説明

液体供給装置

【課題】液体の供給量を常時一定に保つことができるとともに、液体を安定且つ連続して供給することができる液体供給装置を提供する。
【解決手段】シリンダ本体2の右側ピストン5Aを圧縮されたエアーCにより右側シリンダ室4Aに吸入された液体Dが吐出される方向へ移動すると、左側ピストン5Bも液供給源BBに貯蔵された液体Dが左側シリンダ室4B内へ吸入される方向へ移動する。左側ピストン5Bを圧縮されたエアーCにより左側シリンダ室4Bに吸入された液体Dが吐出される方向へ移動すると、右側ピストン5Aも液供給源BBに貯蔵された液体Dが右側シリンダ室4A内へ吸入される方向へ移動する。つまり、ピストンロッド6で連結された右側ピストン5Aと左側ピストン5Bを左右方向へ往復動作することにより、図示しない工作機械のミスト噴射ノズルに対して液体Dを安定且つ連続して供給することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば各種工作機械のミストクーラント装置(セミドライ装置)において使用される切削油、潤滑油、クーラント液、或いは、医療機器や製造装置において使用される薬液、溶剤、原料等の液体を供給する際に用いられる液体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述の液体を供給する装置としては、例えばポンプユニットを構成する一対のプランジャを、各プランジャに連結された各モータの正逆回転により交互に往復動作させて、容器内に貯蔵された液体を連続的に移送する特許文献1のポンプ装置と、LUB追従シリンダとLUBサブシリンダを交互に往復動作させて、LUBタンク内の潤滑油を噴射ノズルへ供給する特許文献2の液体供給装置がある。
【0003】
【特許文献1】特開昭63−253182号公報
【特許文献2】特開2001−150293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のポンプ装置は、一方のモータの逆回転によりプランジャを後退させて、該プランジャ側の室内へ液体を吸入すると同時に、他方のモータの正回転によりプランジャを前進させて、該プランジャ側の室内に吸入された液体を吐出するものであるが、一方のモータから他方のモータへ移行する際に、液体に付加される圧力が減衰するため、液体の供給量を一定に保つことができない。
【0005】
また、特許文献2の液体供給装置は、LUBサブシリンダを吸入状態から流出状態へ移行させて、LUBサブシリンダ内に吸入された液体を流出するものであるが、LUBサブシリンダ内から流出される液体に脈動流が発生しやすく、液体の供給量を一定に保つことができない。
【0006】
この発明は前記問題に鑑み、液体の供給量を常時一定に保つことができるとともに、液体を安定且つ連続して供給することができる液体供給装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明の液体供給装置は、シリンダ本体のピストンを、液供給源の液体がシリンダ本体内へ吸入される吸入方向と、該液体がシリンダ本体内から吐出される吐出方向へ往復移動して、該シリンダ本体内から吐出される液体を供給する液体供給装置であって、前記シリンダ本体の内部に、該シリンダ本体の中央部に設けられた隔壁部により左右均等に隔てられた右側シリンダ室と左側シリンダ室を形成し、前記右側シリンダ室に収容された右側ピストンと、前記左側シリンダ室に収容された左側ピストンを、前記隔壁部中心の軸受孔に挿入されたピストンロッドにより連結して左右方向へ往復移動自在に設け、前記各シリンダ室の液体が吸入される室内側に、該室内側へ液供給源から供給される液体を送り込むための液吸入路と、該室内側から液体を吐出するための液吐出路を接続し、前記各シリンダ室のエアーが送り込まれる室内側に、該室内側へエアー供給源から供給される圧縮されたエアーを送り込み、該室内側からエアーを排出するためのエアー通路を接続するとともに、前記エアー通路を、前記各シリンダ室に送り込まれるエアーによる右側ピストン及び左側ピストンの往復動作に対応して、前記各シリンダ室にエアーが供給される供給状態と、各シリンダ室からエアーが排出される排出状態とに切換えるための切換え手段を介して前記エアー供給源に接続したことを特徴とする。
【0008】
この発明によると、エアー供給源から一方のシリンダ室へエアーを供給する供給状態と、他方のシリンダ室からエアーを排出する排出状態とを、右側ピストン及び左側ピストンの往復動作に対応して切換え手段により切換え動作する。
【0009】
先ず、エアー供給源から供給される圧縮されたエアーを右側シリンダ室内へ送り込み、そのエアーの圧力により、ピストンロッドで連結された右側ピストンと左側ピストンを右側へ移動させる。右側シリンダ室内に吸入された液体を、右側へ移動する右側ピストンの吐出動作により、右側液吐出路を介して室外へ吐出する。同時に、左側シリンダ室内に送り込まれたエアーを、右側へ移動する左側ピストンの排出動作により、エアー通路を介して大気中へ放出するとともに、左側シリンダ室内に生じる負圧により、液供給源から供給される液体を左側シリンダ室内へ吸入する。
【0010】
次に、エアー供給源から供給される圧縮されたエアーを左側シリンダ室内へ送り込み、そのエアーの圧力により、ピストンロッドで連結された左側ピストンと右側ピストンを左側へ移動させる。左側シリンダ室内に吸入された液体を、左側へ移動する左側ピストンの吐出動作により、左側液吐出路を介して室外へ吐出する。同時に、右側シリンダ室内に送り込まれたエアーを、左側へ移動する右側ピストンの排出動作により、エアー通路を介して大気中へ放出するとともに、右側シリンダ室内に生じる負圧により、液供給源から供給される液体を左側シリンダ室内へ吸入する。つまり、右側ピストンと左側ピストンを左右方向へ往復動作することにより、液体を吸入する吸入動作から、液体を吐出する吐出動作へ即移行することができ、例えば工作機械に設けられたミスト噴射ノズル等に対して液体を安定且つ連続して供給することができる。
【0011】
請求項2に記載した発明の液体供給装置は、前記請求項1に記載の構成と併せて、前記液吸入路を、前記液供給源側へ液体が逆流するのを防止するための逆止弁を介して各シリンダ室の液体が吸入される室内側に接続し、前記液吐出路を、前記各シリンダ室側へ液体が逆流するのを防止するための逆止弁を介して各シリンダ室の液体が吸入される室内側に接続したことを特徴とする。
【0012】
この発明によると、各シリンダ室に吸入された液体が液供給源側へ逆流するのを防止する。また、各シリンダ室から吐出される液体が各シリンダ室側へ逆流するのを防止するので、液体を一方向へ供給する作業が効率的に行える。
【0013】
請求項3に記載した発明の液体供給装置は、前記請求項1又は2に記載の構成と併せて、前記隔壁部の軸受孔に挿入されたピストンロッドの外面に、該ピストンロッドの軸方向に直交して切換え軸を固定し、前記隔壁部の外面に、該隔壁部の軸受孔と連通して前記切換え軸が軸方向に対して前後移動自在に挿入されたガイド孔を形成し、前記ガイド孔の右端と左端に、前記ガイド孔より外方に突出された切換え軸を検出するための左右一対の検出手段を設け、前記右側検出手段及び左側検出手段を、該各検出手段から出力される検出信号に基づいて切換え動作される前記切換え手段に接続したことを特徴とする。
【0014】
この発明によると、右側ピストンを、右側シリンダ室内の右端へ移動して液体を吐出すると、ピストンロッドに固定した切換え軸も右端へ移動するため、切換え軸が右側検出手段で検出される。また、左側ピストンを、左側シリンダ室内の左端へ移動して液体を吐出すると、ピストンロッドに固定した切換え軸も左端へ移動するため、切換え軸が左側検出手段で検出される。切換え手段は、右側ピストン及び左側ピストンの往復動作に対応して、右側検出手段と左側検出手段から出力される検出信号に基づいて、エアー供給源から一方のシリンダ室へエアーを供給する供給状態と、他方のシリンダ室からエアーを排出する排出状態とに切換え動作するので、エアーの供給及び排出を切換える動作が容易に行える。
【0015】
請求項4に記載した発明の液体供給装置は、前記請求項3に記載の構成と併せて、前記切換え軸が挿入された隔壁部のガイド孔を、前記右側ピストン及び左側ピストンの移動距離と対応する長さに形成したことを特徴とする。
【0016】
この発明によると、ピストンロッドに固定した切換え軸をガイド孔の右端及び左端に当接して、右側ピストン及び左側ピストンを、所定量の液体が吸入及び吐出される移動位置に規制するので、各シリンダ室から吐出される液体の吐出量を常時一定に保つことができる。
【0017】
前記液体は、例えば切削油、潤滑油、クーラント液、薬液、溶剤、原料等の単一液体又は複合液体で構成することができる。また、エアー供給源は、例えばエアーを圧縮して供給するエアー供給装置、エアー供給ポンプ、コンプレッサー等で構成することができる。また、液供給源は、例えば液体が貯蔵されたタンクや容器などの液貯蔵部、或いは、液体を連続して供給する施設や装置等で構成することができる。また、切換え手段は、例えば電磁式切換え弁、空気圧式切換え弁、機械式切換え弁等の各種切換え弁で構成することができる。また、検出手段は、例えばタッチセンサ、光電センサ、近接スイッチ、リミットスイッチ等の各種検出センサで構成することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、シリンダ本体の右側シリンダ室に収容された右側ピストンと、左側シリンダ室に収容された左側ピストンをピストンロッドにより一体的に連結して一体的に往復動作するので、液体を吸入する吸入動作から、液体を吐出する吐出動作へ即移行することができる。また、液体に付加される圧力が減衰したり、液体に脈動流が発生することがなく、液体の供給量を常時一定に保つことができるとともに、例えば工作機械に設けられたミスト噴射ノズル等に対して液体を安定且つ連続して供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
この発明は、液体の供給量を常時一定に保つことができるとともに、液体を安定且つ連続して供給することができるという目的を、シリンダ本体の右側シリンダ室に収容された右側ピストンと、左側シリンダ室に収容された左側ピストンをピストンロッドにより一体的に連結することで達成した。
【実施例】
【0020】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は、工作機械のミスト噴射ノズルに対して液体を安定且つ連続して供給する液体供給装置を示し、図1及び図2に於いて、この液体供給装置1は、左右端部が閉塞された筒状を有するシリンダ本体2の内部に、シリンダ本体2の中央部に設けられた隔壁部3により左右均等に隔てられた右側シリンダ室4Aと左側シリンダ室4Bを形成している。また、右側シリンダ室4Aに収容された右側ピストン5Aと、左側シリンダ室4Bに収容された左側ピストン5Bを、隔壁部3中心の軸受孔3aに挿入された1本のピストンロッド6により連結して左右方向へ往復移動自在に設けている。なお、右側シリンダ室4Aと左側シリンダ室4Bは同一容積に形成されている。
【0021】
シリンダ本体2は、円柱状を有する隔壁部3の両端部に、右側筒体2Aと左側筒体2Bの一端側開口部を圧入固定し、右側筒体6Aの他端側開口部に、右側閉塞体7Aの中央部に形成した円柱状の突出部を圧入固定し、左側筒体6Bの他端側開口部に、左側閉塞体7Bの中央部に形成した円柱状の突出部を圧入固定している。
【0022】
隔壁部3の両端部外周面に装着したシールリングC1,C1は、隔壁部3の両端部外周面と、右側筒体6A及び左側筒体6Bの一端側内周面との間をシールしている。また、右側閉塞体7A及び左側閉塞体7Bの突出部外周面に装着したシールリングC2,C2は、右側閉塞体7A及び左側閉塞体7Bの突出部外周面と、右側筒体6A及び左側筒体6Bの他端側内周面との間をシールしている。なお、隔壁部3と、筒体6A,6Bと、閉塞体7A,7Bを、例えば溶着、接着、螺着する等して、気密性及び水密性が保たれる状態に固定してもよい。
【0023】
隔壁部3中心に形成した軸受孔3aには、後述するピストンロッド6を軸方向に対して前後摺動自在に軸受している。また、軸受孔3aの右側に突出されたピストンロッド6の一端は、右側シリンダ室4Aに収容された右側ピストン5Aの孔部5Aaに対してボルト等で固定され、軸受孔3aの左側に突出されたピストンロッド6の他端は、左側シリンダ室4Bに収容された左側ピストン5Bの孔部5Baに対してボルト等で固定されている。また、軸受孔3aの両端部内周面に装着したシールリングC3,C3は、軸受孔3aの内周面と、ピストンロッド6の外周面との間をシールしている。
【0024】
右側ピストン5A及び左側ピストン5Bの外周面に装着したシールリングC4…は、右側シリンダ室4A及び左側シリンダ室4Bの内周面と、右側ピストン5A及び左側ピストン5Bの外周面との間をシールしている。また、右側ピストン5Aの孔部5Aa内周面及び左側ピストン5Bの孔部5Ba内周面に装着したシールリングC5,C5は、孔部5Aa,5Ba内周面と、ピストンロッド6外周面との間をシールしている。
【0025】
隔壁部3の中央部外周面には、隔壁部3の軸受孔3aと連通して後述する切換え軸8を軸方向に対して前後移動自在にガイドするためのガイド孔3bを形成している。このガイド孔3bは、後述するエアー出入口3A,3Bとは異なる位置の外周面に対して軸方向と平行して形成され、切換え軸8の直径より幅広で、右側ピストン5A及び左側ピストン5Bの移動距離と対応する長さに形成している。
【0026】
切換え軸8の一端は、隔壁部3の軸受孔3aに挿入されたピストンロッド6の中間部外周面に対して軸方向に直交して螺着固定している。また、切換え軸8の他端は、隔壁部3のガイド孔3bより外方に向けて所定長さ突出している。
【0027】
つまり、右側ピストン5A及び左側ピストン5Bを左右方向へ往復移動すると、ピストンロッド6に固定した切換え軸8が、隔壁部3に形成したガイド孔3bの右端及び左端に当接され、右側ピストン5A及び左側ピストン5Bを、所定量の液体Dが吸入及び吐出される移動位置に規制するので、右側シリンダ室4Aと左側シリンダ室4Bから吐出される液体Dの吐出量を常時一定に保つことができる。
【0028】
隔壁部3外周面に装着した右側検出センサ9Aと左側検出センサ9Bは、右側ピストン5A及び左側ピストン5Bの移動量と対応する間隔に隔ててガイド孔3bの右端と左端に取り付けられ、ガイド孔3bより外方に突出された切換え軸8を検出する。また、右側検出センサ9A及び左側検出センサ9Bは、エアーの供給及び排出を切換えるための切換え弁10に接続している。なお、右側検出センサ9Aと左側検出センサ9Bはタッチセンサで構成している。
【0029】
つまり、右側ピストン5Aを、右側シリンダ室4Aの左側室内に供給されるエアーCの圧力により右端(図2参照)へ移動すると、ピストンロッド6に固定した切換え軸8も右端へ移動するため、切換え軸8により右側検出センサ9AがON状態に操作される。また、左側ピストン5Bも右端へ移動し、切換え軸8も右端へ移動するため、左側検出センサ9BがOFF状態に復帰する。
【0030】
一方、左側ピストン5Bを、左側シリンダ室4Bの右側室内へ供給されるエアーCの圧力により左端(図3参照)へ移動すると、ピストンロッド6に固定した切換え軸8も左端へ移動するため、切換え軸8により左側検出センサ9BがON状態に操作される。また、右側ピストン5Aも左端へ移動し、切換え軸8も左端へ移動するため、右側検出センサ9AがOFF状態に復帰する。
【0031】
隔壁部3の右側外周部には、右側シリンダ室4AのエアーCが送り込まれる左側室内と連通して、エアーCを供給及び排出するためのエアー出入口3Aを設けている。また、隔壁部3の左側外周部には、左側シリンダ室4BのエアーCが送り込まれる右側室内と連通して、エアーCを供給及び排出するためのエアー出入口3Bを設けている。なお、エアー出入口3A,3Bは、ピストンロッド6を中心として隔壁部3の対向位置に設けている。
【0032】
隔壁部3のエアー出入口3A,3Bには、エアー通路A1,A2の一方を接続している。エアー通路A1,A2の他方は、ソレノイドバルブ等で構成される切換え弁10を介して、エアー供給源AAに接続している。
【0033】
切換え弁10は、エアー供給源AAから供給される圧縮されたエアーCを右側シリンダ室4A及び左側シリンダ室4Bへ送り込むためのエアー供給動作と、右側シリンダ室4A及び左側シリンダ室4Bから排出されるエアーCを大気側へ放出するためのエアー排出動作とに、右側検出センサ9A及び左側検出センサ9Bから出力される検出信号に基づいて切換え動作される。また、切換え弁10には、エアー排出路A3の一方を接続し、エアー排出路A3の他方は、大気側に開放している。
【0034】
右側閉塞体7Aの中心部には、右側シリンダ室4Aの液体Dが吸入される右側室内と連通して、液体Dを吸入及び吐出するための液出入口7Aaを設けている。また、左側閉塞体7Bの中心部には、左側シリンダ室4Bの液体Dが吸入される左側室内と連通して、液体Dを吸入及び吐出するための液出入口7Baを設けている。
【0035】
右側閉塞体7Aの液出入口7Aaと、左側閉塞体7Bの液出入口7Baには、液吸入路B1と液吐出路B2とを1本に合流してそれぞれ接続している。
【0036】
液吸入路B1,B1の一方は、タンク型を有する液供給源BBへ液体Dが逆流するのを防止するための逆止弁11,11を介して、右側閉塞体7Aの液出入口7Aaと左側閉塞体7Bの液出入口7Baに接続されており、液吸入路B1,B1の他方は、1本に合流して、液体Dが貯蔵された液供給源BBに接続している。
【0037】
液吐出路B2,B2の一方は、右側シリンダ室4A及び左側シリンダ室4Bへ液体Dが逆流するのを防止するための逆止弁12,12を介して、右側閉塞体7Aの液出入口7Aaと左側閉塞体7Bの液出入口7Baに接続されており、液吐出路B2,B2の他方は、1本に合流するとともに流量調整弁13を介して、図示しない工作機械のミスト噴射ノズルに接続している。
【0038】
なお、液吸入路B1,B1を、2本に分けたまま液供給源BBに接続し、液吸入路B1と液吐出路B2を、2本に分けたまま液出入口7Ba,7Baに接続してもよい。また、液吸入路B1を、例えば液体Dを連続して供給する液供給源等に接続してもよい。また、シールリングC1〜C5は、例えばOリング等の気密性及び水密性に優れたシール部材で構成している。
【0039】
図示実施例は前記の如く構成するものにして、以下、液体供給装置1による液体Dの供給動作を説明する。
【0040】
先ず、図1、図2に示すように、左側シリンダ室4Bの左側室内に吸入された液体Dの吐出終了時(図3参照)において、ピストンロッド6に固定された切換え軸8により左側検出センサ9BをON操作(図4参照)して、エアー通路A1が接続された切換え弁10のポートを排出から供給へ切換え、エアー通路A2が接続された切換え弁10のポートを供給から排出へ切換える。
【0041】
エアー供給源AAから供給される圧縮されたエアーCを、隔壁部3のエアー出入口3Aから右側シリンダ室4Aの左側室内へ送り込み、そのエアーCの圧力により、ピストンロッド6で連結された右側ピストン5Aと左側ピストン5Bを右側へ移動させる。
【0042】
右側シリンダ室4Aの右側室内に吸入された液体Dを、右側へ移動する右側ピストン5Aにより加圧して、右側閉塞体7Aの液出入口7Aaから液体Dを室外へ吐出するとともに、右側液吐出路B2を介して、図示しない工作機械のミスト噴射ノズルへ供給する。
【0043】
左側シリンダ室4Bの右側室内に送り込まれたエアーCを、右側へ移動する左側ピストン5Bの排出動作により、エアー通路A2を介して、切換え弁10のエアー排出路A3から大気中へ放出する。同時に、左側シリンダ室4Bの左側室内に生じる負圧により、液供給源BBに貯蔵された液体Dを左側閉塞体7Bの液出入口7Baから左側シリンダ室4Bの左側室内へ吸入する。
【0044】
次に、図3に示すように、右側シリンダ室4Aの右側室内に吸入された液体Dの吐出終了時(図2参照)において、ピストンロッド6に固定された切換え軸8により右側検出センサ9AをON操作(図4参照)して、エアー通路A1が接続された切換え弁10のポートを供給から排出へ切換え、エアー通路A2が接続された切換え弁10のポートを排出から供給へ切換える。
【0045】
エアー供給源AAから供給される圧縮されたエアーCを、隔壁部3のエアー出入口3Bから左側シリンダ室4Bの右側室内へ送り込み、そのエアーCの圧力により、ピストンロッド6で連結された右側ピストン5Aと左側ピストン5Bを左側へ移動させる。
【0046】
左側シリンダ室4Bの左側室内に吸入された液体Dを、左側へ移動する左側ピストン5Bにより加圧して、左側閉塞体7Bの液出入口7Baから液体Dを室外へ吐出するとともに、左側液吐出路B2を介して、図示しない工作機械のミスト噴射ノズルへ供給する。
【0047】
右側シリンダ室4Aの左側室内に送り込まれたエアーCを、左側へ移動する右側ピストン5Aの排出動作により、エアー通路A1を介して、切換え弁10のエアー排出路A3から大気中へ放出する。同時に、右側シリンダ室4Aの右側室内に生じる負圧により、液供給源BBに貯蔵された液体Dを右側閉塞体7Aの液出入口7Aaから右側シリンダ室4Aの右側室内へ吸入する。
【0048】
以上のように、シリンダ本体2の右側シリンダ室4Aに収容された右側ピストン5Aと、左側シリンダ室4Bに収容された左側ピストン5Bを1本のピストンロッド6で連結しているので、右側ピストン5Aを吐出方向へ移動(図2参照)すると、左側ピストン5Bは吸入方向へ移動される。このため、右側ピストン5Aの吐出動作により右側シリンダ室4Aに吸入された液体Dを右側閉塞体7Aの液出入口7Aaから吐出しながら、左側ピストン5Bの吸入動作により液供給源BBに貯蔵された液体Dを左側閉塞体7Bの液出入口7Baから左側シリンダ室4B内へ吸入することができる。
【0049】
また、左側ピストン5Bを吐出方向へ移動(図3参照)すると、右側ピストン5Aは吸入方向へ移動されるため、左側ピストン5Bの吐出動作により左側シリンダ室4Bに吸入された液体Dを左側閉塞体7Bの液出入口7Baから吐出しながら、右側ピストン5Aの吸入動作により液供給源BBに貯蔵された液体Dを右側閉塞体7Aの液出入口7Aaから右側シリンダ室4A内へ吸入することができる。
【0050】
この結果、ピストンロッド6で連結された右側ピストン5Aと左側ピストン5Bを左右方向へ往復動作することにより、液体Dを吸入する吸入動作から、液体Dを吐出する吐出動作へ即移行することができる。また、液体Dに付加される圧力が減衰したり、液体Dに脈動流が発生することがなく、液体Dの供給量を常時一定に保つことができるとともに、図示しない工作機械のミスト噴射ノズルに対して液体Dを安定且つ連続して供給することができる。
【0051】
また、本発明の液体供給装置1は、圧縮されたエアーCを利用して送液するので、右側ピストン5Aと左側ピストン5Bに供給される圧縮されたエアーCと同じ圧力で液体Dを吐出することができる。例えば液体Dのミストを噴射する際のエアーCの圧力を0.4Mpaとし、右側シリンダ室4A及び左側シリンダ室4Bへ供給するエアーCの圧力を0.5Mpaとすることで、安定的に液体Dを供給することができる。
【0052】
また、右側シリンダ室4A及び左側シリンダ室4Bから吐出される液体Dの吐出量よりも、左右の液吐出路B2,B2を移送される液体Dの移送量が少ないため、液体Dに付加される圧力を一定に保つことができ、右側シリンダ室4A及び左側シリンダ室4Bから吐出される液体Dを、遠くの方に配置された各種工作機械のミスト噴射ノズルまで確実に供給することができる。
【0053】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の切換え手段は、実施例の切換え弁10に対応し、
以下同様に、
検出手段は、右側検出センサ9Aと、左側検出センサ9Bに対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の液体供給装置は、例えば医療機器、製造装置等において使用される液体を供給する際にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】液体供給装置の全体構成を示す正面図。
【図2】左右一対の各ピストンを右側へ移動した動作を示す縦断正面図。
【図3】左右一対の各ピストンを左側へ移動した動作を示す縦断正面図。
【図4】切換え弁の切換え動作を示す縦断正面図。
【符号の説明】
【0056】
C…エアー
D…液体
1…液体供給装置
2…シリンダ本体
3…隔壁部
3a…軸受孔
3b…ガイド孔
3A,3B…エアー出入口
4A…右側シリンダ室
4B…左側シリンダ室
5A…右側ピストン
5B…左側ピストン
6…ピストンロッド
7Aa,7Ba…液出入口
8…切換え軸
9A…右側検出センサ
9B…左側検出センサ
10…切換え弁
A1,A2…エアー通路
AA…エアー供給源
B1…液吸入路
B2…液吐出路
11,12…逆止弁
13…流量調整弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ本体のピストンを、液供給源の液体がシリンダ本体内へ吸入される吸入方向と、該液体がシリンダ本体内から吐出される吐出方向へ往復移動して、該シリンダ本体内から吐出される液体を供給する液体供給装置であって、
前記シリンダ本体の内部に、該シリンダ本体の中央部に設けられた隔壁部により左右均等に隔てられた右側シリンダ室と左側シリンダ室を形成し、
前記右側シリンダ室に収容された右側ピストンと、前記左側シリンダ室に収容された左側ピストンを、前記隔壁部中心の軸受孔に挿入されたピストンロッドにより連結して左右方向へ往復移動自在に設け、
前記各シリンダ室の液体が吸入される室内側に、該室内側へ液供給源から供給される液体を送り込むための液吸入路と、該室内側から液体を吐出するための液吐出路を接続し、
前記各シリンダ室のエアーが送り込まれる室内側に、該室内側へエアー供給源から供給される圧縮されたエアーを送り込み、該室内側からエアーを排出するためのエアー通路を接続するとともに、
前記エアー通路を、前記各シリンダ室に送り込まれるエアーによる右側ピストン及び左側ピストンの往復動作に対応して、前記各シリンダ室にエアーが供給される供給状態と、各シリンダ室からエアーが排出される排出状態とに切換えるための切換え手段を介して前記エアー供給源に接続した
液体供給装置。
【請求項2】
前記液吸入路を、前記液供給源側へ液体が逆流するのを防止するための逆止弁を介して各シリンダ室の液体が吸入される室内側に接続し、
前記液吐出路を、前記各シリンダ室側へ液体が逆流するのを防止するための逆止弁を介して各シリンダ室の液体が吸入される室内側に接続した
請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項3】
前記隔壁部の軸受孔に挿入されたピストンロッドの外面に、該ピストンロッドの軸方向に直交して切換え軸を固定し、
前記隔壁部の外面に、該隔壁部の軸受孔と連通して前記切換え軸が軸方向に対して前後移動自在に挿入されたガイド孔を形成し、
前記ガイド孔の右端と左端に、前記ガイド孔より外方に突出された切換え軸を検出するための左右一対の検出手段を設け、
前記右側検出手段及び左側検出手段を、該各検出手段から出力される検出信号に基づいて切換え動作される前記切換え手段に接続した
請求項1又は2に記載の液体供給装置。
【請求項4】
前記切換え軸が挿入された隔壁部のガイド孔を、前記右側ピストン及び左側ピストンの移動距離と対応する長さに形成した
請求項3に記載の液体供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−286146(P2008−286146A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−133651(P2007−133651)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(507166003)株式会社ケイエステック (1)
【Fターム(参考)】