説明

液体化粧料

【課題】塗布手段として筆穂又はペン芯を用いる液体化粧料塗布具に適した液体化粧料であり、耐水性が良好で、肌密着性に優れた液体化粧料を提供する。
【解決手段】塗布手段として筆穂又はペン芯を用いる液体化粧料塗布具に内蔵される液体化粧料であって、該液体化粧料は、少なくとも、カーボンブラックと、水と、皮膜形成性樹脂からなる分散剤0.5〜5質量%と、皮膜形成剤2〜15質量%(固形分換算)と、界面活性剤0.5重量%以下とを含有し、かつ、ELD型粘度計による温度25℃、ずり速度3.83S−1での粘度が2〜8mPa・sの範囲であることを特徴とする液体化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体化粧料に関し、更に詳しくは、塗布手段として筆穂又はペン芯を用いる液体化粧料塗布具に適した液体化粧料であり、耐水性が良好で、肌密着性に優れた液体化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塗布具に内蔵されて使用するタイプの液体化粧料は、着色剤として、染料を水及び水溶性有機溶剤などに溶解したものや、顔料を界面活性剤や水溶性の樹脂で水及び水溶性有機溶剤などに分散させたものが知られている。
これらの従来の液体化粧料は、染料を使用した場合は耐水性が不十分となり、また、顔料を用いた場合は、分散剤が界面活性剤であれば定着用に皮膜形成樹脂を添加したり、分散剤に水溶性の樹脂を用いた場合は、その分散剤の定着性により耐水性を付与している。
【0003】
しかしながら、従来の着色剤に顔料を用いて定着用の皮膜形成樹脂を添加したものや、分散剤に水溶性の樹脂を用いたものは未だ耐水性が不十分で、汗をかいたときなど化粧料が徐々になくなるという問題点があった。
【0004】
本出願人らは、水性分散液のメーキャップ化粧料からなる、液体化粧料、該液体化粧料を内蔵する液体化粧料塗布具を提示している(例えば、特許文献1〜3参照)。これらの液体化粧料等は、塗布性能に優れた、十分な描線が得られるものであるが、レシチンや、非イオン界面活性剤を多く含み、拭き取り試験にあるように、ウエットティシュなどで完全に拭き取れる点で性能はよいが、その反面、特に耐水固着性に劣る点に若干の課題があった。
【0005】
また、筆穂用に好適な液体化粧料として、本願出願人は、パール顔料を使用したアイライナー液、並びに、該化粧料を内蔵する液体化粧料塗布具を提示している(例えば、特許文献4参照)。これらは美麗なパール色を伴うアイライナー液であるが、その安定化にズリ速度における粘度を規定しており、さらに安定化において、水添レシチンや、分散剤にポリエチレングリコール脂肪酸エステル等を使用しており、美麗なアイラインを描くことが可能であるが、大きな粒子を使用する影響もあり、また、安定化に水添レシチン0.5%、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル0.5%を添加しており、これらも、特に、耐水固着性に劣る点に若干の課題があった。
【0006】
一方、ペン型化粧具用メイクアップ液状化粧料として、顔料と水と水溶性高分子とプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコールの単独もしくは混合物とから少なくともなる液状化粧料において、前記水溶性高分子として、疎水性不飽和モノマーと親水性不飽和モノマーとの共重合体及び/またはその塩を使用し、粘度を1〜50cpsとした低粘度のものが知られている(例えば、特許文献5参照)。この実施例1にはメチルスチレン−メタクリル酸共重合体のアンモニウム塩を使用したアイライナー、実施例2にはメトキシエチレン−無水マレイン酸共重合体を使用したアイシャドウ、実施例3ではスチレン−無水マレイン酸共重合体を使用したアイブロウ、実施例5ではメタクリル酸エチル−メタクリル酸共重合体を使用したアイライナーが開示されているが、これらの液状化粧料は皮膜形成剤の添加もなく、肌密着性や耐水性を付与することが難しい点に課題がある。
【0007】
更に、ポリアスパラギン酸ポリグルタミン酸及びこれらの塩で無機顔料を分散し、さらにポリマーエマルジョンを配合したアイライナー(例えば、特許文献6参照)や、黒酸化鉄、べんがら及び紺青、並びに、アニオン系分散剤とノニオン系分散剤とを含有するペン型容器に充填してなるアイライナー(例えば、特許文献7参照)が知られており、これらは、良好な分散物であるが、ポリアスパラギン酸塩などのアニオン系の界面活性剤を多く配合しており、肌密着性や耐水性を付与することが難しい点に課題がある。
また、顔料とベタイン型アクリル酸系両性樹脂と皮膜形成剤とからなる1〜300mPa・sの範囲である液状化粧料(例えば、特許文献8参照)も知られているが、分散剤としてベタイン型樹脂に限定しており、耐水性において未だ十分ではない点に課題があるのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公平2−12924号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】特公平4−66447号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献3】特開平10−231233号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献4】特開2000−247833号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献5】特公平7−47529号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献6】特開2004−175709号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献7】特開2003−231614号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献8】特開2003−73220号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来技術の課題及び現状に鑑み、これを解消しようとするものであり、塗布手段として筆穂又はペン芯を用いる液体化粧料塗布具に使用可能であり、塗布した化粧料の耐水性、肌密着性に優れた液体化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記従来の課題等に鑑み、鋭意研究を行った結果、塗布手段として筆穂又はペン芯を用いる液体化粧料塗布具に内蔵される液体化粧料において、該液体化粧料を、少なくとも、カーボンブラックと、水の他に、特定の含有量範囲となる皮膜形成性樹脂からなる分散剤と皮膜形成剤と界面活性剤とを含有せしめると共に、液体化粧料の粘度を特定の範囲とすることにより、上記目的の液体化粧料が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0011】
すなわち、本発明は、次の(1)〜(5)に存する。
(1) 塗布手段として筆穂又はペン芯を用いる液体化粧料塗布具に内蔵される液体化粧料であって、該液体化粧料は、少なくとも、カーボンブラックと、水と、皮膜形成性樹脂からなる分散剤0.5〜5質量%と、皮膜形成剤2〜15質量%(固形分換算)と、界面活性剤0.5重量%以下とを含有し、かつ、ELD型粘度計による温度25℃、ずり速度3.83S−1での粘度が2〜8mPa・sの範囲であることを特徴とする液体化粧料。
(2) 前記皮膜形成性樹脂からなる分散剤は、アクリル酸、メタクリル酸あるいはそれらのアルキルエステル又はその誘導体、酢酸ビニル、ビニルピロリドンの中の1種又は2種以上から選択されるものからなる共重合体であることを特徴とする上記(1)記載の液体化粧料。
(3) 前記皮膜形成性樹脂からなる分散剤が、アクリル酸、メタクリル酸あるいはそれらのアルキルエステル又はその誘導体の1種以上と酢酸ビニルとの共重合体、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体、アクリル酸、メタクリル酸あるいはそれらのアルキルエステルの1種以上とオクチルアクリルアミドとの共重合体であることを特徴とする上記(2)記載の液体化粧料。
(4) 液体化粧料塗布具には、中綿に液体化粧料を保持させる中綿式容器又は枚葉体に液体化粧料を保持させるコレクター式容器を有することを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の液体化粧料。
(5) 液体化粧料はアイライナー用又はアイブロウ用であることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか一つに記載の液体化粧料。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、塗布手段として筆穂又はペン芯を用いる液体化粧料塗布具に使用可能であり、塗布した化粧料の耐水固着性に極めて優れ、かつ細線が描きやすい、カーボンブラックを色材とした黒色系の低粘度の液体化粧料が得られるという特有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の液体化粧料の実施形態の一例を示す部分断面図である。
【図2】本発明の液体化粧料の実施形態の他例を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の液体化粧料は、塗布手段として筆穂又はペン芯を用いる液体化粧料塗布具に内蔵される液体化粧料であって、該液体化粧料は、少なくとも、カーボンブラックと、水と、皮膜形成性樹脂からなる分散剤0.5〜5質量%と、皮膜形成剤2〜15質量%(固形分換算)と、界面活性剤0.5重量%以下とを含有し、かつ、ELD型粘度計による温度25℃、ずり速度3.83S−1での粘度が2〜8mPa・sの範囲であることを特徴とするものである。
【0015】
本発明に用いるカーボンブラックは、色材として用いるものであり、黒色系の液体化粧料の色材として通常使用されているカーボンブラックであれば、特に限定されず、各種のカーボンブラックを用いることができる。
このカーボンブラックの含有量は、液体化粧料全量に対して、1〜20質量%が好ましく、更に好ましくは、5〜15質量%である。このカーボンブラックの含有量が1質量%未満では、発色が薄くて化粧料として不十分となり、一方、20質量%を超えると、粘度が高くなり過ぎて、本発明の中綿式やコレクター式などの液体化粧料塗布具では液がスムーズに吐出されなくなり、好ましくない。
【0016】
本発明に用いる分散剤は、皮膜形成性樹脂からなるものであり、色材であるカーボンブラックの分散性を向上させると共に、皮膜形成の樹脂としても機能するものである。
用いることができる分散剤としては、上記機能を有するものであれば、特に限定されず、例えば、アクリル酸、メタクリル酸あるいはこれらのアルキルエステル又は誘導体、酢酸ビニル、ビニルピロリドンの中の1種又は2種以上から選択されるものからなる共重合体や、ベタイン型アルキル酸系両性樹脂などが挙げられ、好ましくは、カーボンブラックの更なる分散性能の点から、アクリル酸、メタクリル酸あるいはそれらのアルキルエステル又は誘導体中から選ばれる1種と酢酸ビニルとの共重合体、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体、アクリル酸、メタクリル酸あるいはそれらのアルキルエステルの1種以上とオクチルアクリルアミドとの共重合体が望ましく、特に好ましくは、更なる分散性能、皮膜形成能の点から、アクリル酸、メタクリル酸あるいはそれらのアルキルエステルの1種以上とオクチルアクリルアミドとの共重合体である。
【0017】
これらの分散剤の含有量は、液体化粧料全量に対して、0.5〜5質量%が好ましく、更に好ましくは、2〜4質量%である。
この分散剤の含有量が0.5質量%未満では、色材であるカーボンブラックの分散安定性が不十分となり、一方、5質量%を超えて含有すると、粘度が高くなり過ぎて分散安定性の向上は見られず、経済的でない。
【0018】
本発明に用いる皮膜形成剤としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸あるいはそれらのアルキルエステル又は誘導体、スチレン、酢酸ビニルの中の1種又は2種以上のモノマーから選択されてなる共重合体のエマルジョン樹脂が挙げられる。
本発明において、上記分散剤も皮膜形成性樹脂からなるものであり、上記分散剤との相違は、可溶性樹脂と、エマルジョン樹脂の点で異なるものであり、エマルジョン樹脂はモノマーを重合溶媒としての水の中で乳化重合させて得られた水懸濁液である。本発明におけるカーボンブラックの分散において、エマルジョン樹脂よりも可溶性樹脂の方が安定したカーボンブラックの分散液が得られている。この点で分別して使用するものである。
【0019】
皮膜形成剤(エマルジョン樹脂)の含有量は、固形分(樹脂分)換算で液体化粧料全量に対して、2〜15質量が好ましく、更に好ましくは、2〜10質量%とすることが望ましい。
これらの皮膜形成剤(エマルジョン樹脂)の含有量が、固形分(樹脂分)換算で2質量%未満では、耐水性能が悪く、一方、固形分(樹脂分)換算で15質量%を超えて含有すると液体化粧料塗布具の塗布部(筆穂やペン芯等)が乾燥して塗布不能になる不具合が発生することがあり、好ましくない。
なお、これら皮膜形成剤(エマルジョン樹脂)の安定化に、界面活性剤が使用されることもあるが、これらに配合されている界面活性剤については、本願発明の固着性に関する影響は少ないので、含有量には、考慮しないものとする。
【0020】
本発明で用いる界面活性剤は、カーボンブラックの分散に関して、分散補助として機能させるものであり、例えば、ノニオン系界面活性剤、アニオン系面活性剤、カチオン系界面活性剤が挙げられ、レシチン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルの他、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸・リン酸塩、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキル硫酸塩、スルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩などの1種又は2種以上の混合物が挙げられる。
【0021】
これらの界面活性剤の含有量は、液体化粧料全量に対して、0.5質量%以下が好ましく、更に好ましくは、0〜0.3質量%とすることが望ましい。
この界面活性剤の含有量が0.5重量%を超えて含有すると、耐水性に劣り、充分な固着力を得ることができなくなり、好ましくない。
【0022】
本発明の液体化粧料は、水(精製水、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水等を含む)を溶媒とする。この水の含有量は、上記各成分、後述する任意成分を含有した残部となる。
更に、本発明の液体化粧料には、前記各必須成分等の他に、通常の液体化粧料に用いられる任意成分などを含有せしめることができる。具体的には、防腐剤、酸化防止剤、中和剤、紫外線吸収剤、キレート剤、保湿剤、美容成分、香料、粘度調整剤などを、本発明の効果を損なわない範囲で適宜量含有せしめることができる。
【0023】
本発明の液体化粧料は、ELD型粘度計による温度25℃、ずり速度3.83S−1での粘度が2〜8mPa・sの範囲とするものであり、特に好ましくは、3mPa・s〜6mPa・sとすることが望ましい。
この粘度値が2mPa・s未満では、液がしわ等に流れ、にじみの原因となり、一方、8mPa・sを超えると粘度が高いため、本発明の塗布手段として筆穂又はペン芯を用いる液体化粧料塗布具に内蔵される液体化粧料では液がスムーズに吐出されなくなり、好ましくない。なお、粘度測定条件(後述する実施例等も含む)は、具体的には、トキメック社製、ELD型粘度計標準コーンローター1rpmにおける温度25℃、ずり速度3.83(S−1)で測定した値を意味する。
【0024】
本発明において、塗布手段として筆穂又はペン芯を用いる液体化粧料塗布具としては、アイライナー用又はアイブロウ用である筆穂又はペン芯を備えた液体化粧料塗布具であれば、特に限定されないが、好ましくは、使用性、簡便性、塗布性に優れる、中綿に液体化粧料を保持させる中綿式容器又は枚葉体に液体化粧料を保持させるコレクター式容器を有するものが挙げられる。
【0025】
中綿式タイプの液体化粧料塗布具としては、例えば、図1に示すように、化粧具本体10内に内軸11を有し、該内軸11内には液化粧料を含浸した中綿等からなる含浸体12が収容され、該含浸体12の先端側には、液体化粧料を塗布するためのペン芯13が設けられており、内軸11の後端に尾栓14が固着される構造のものが挙げられる。なお、15は、内キャップ部16を有するキャップ体である。この形態の液体化粧料塗布具Aでは、キャップ15を取り外すことにより使用に供されることとなる。
【0026】
コレクタータイプの直液式の液体化粧料塗布具としては、例えば、図2に示すように、液体化粧料20を中綿等に吸蔵させないで直接貯溜する軸体となるタンク部21に充填してなるものが挙げられる。このタンク部21の前部には、タンク部21内の空気が温度上昇等によって膨張した場合にタンク部21から押し出される液体化粧料20をペン先や空気孔からボタ落ちさせないために一時的に保溜する枚葉体(インキ保溜体、コレクター部材)22が内蔵され、コレクター部材22の先端部には塗布体となる筆型のペン先(筆穂)23が設けられた構成となっている。
タンク部21からペン先23への液体化粧料の導出は、コレクター部材22の中心孔に付設されたインキ流路24を設けた中継芯25を介してタンク部21から液体化粧料20をペン先23に導出することにより行われる。
なお、図2中の26,27はホルダー部材であり、28はタンク部21の後部に固着される後部軸体であり、29はインナーキャップを有するキャップである。また、中継芯25を介在させることなく、ペン先23の後部をタンク部21内に直接配置して液体化粧料の導出を行ってもよいものである。
この形態の液体化粧料塗布具Bでは、キャップ29を取り外すことにより使用に供されることとなる。
【0027】
このように構成される本発明の液体化粧料では、塗布手段として筆穂又はペン芯を用いる液体化粧料塗布具に使用可能であり、少なくとも、カーボンブラックと、水と、皮膜形成性樹脂からなる分散剤0.5〜5質量%と、皮膜形成剤2〜15質量%(固形分換算)と、界面活性剤0.5重量%以下とを含有し、かつ、ELD型粘度計による温度25℃、ずり速度3.83S−1での粘度が2〜8mPa・sの範囲としたので、塗布した化粧料の耐水固着性に極めて優れ、かつ細線が描きやすい、カーボンブラックを色材とした黒色系の低粘度のアイライナー用又はアイブロウ用等に好適な液体化粧料が得られるという特有の効果を奏するものとなる。
【実施例】
【0028】
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
【0029】
〔実施例1〜7及び比較例1〜6〕
下記表1及び表2に示す配合処方の液体化粧料(配合単位:質量%、全量100質量%)を調製し、上述の測定方法により、各液体化粧料の粘度値を測定すると共に、下記各評価方法により、固着性、塗布性能、内容液安定性について評価した。
これらの結果を下記表1及び表2に示す。
【0030】
(固着力の評価方法)
図2に示す筆ペンタイプの化粧料容器に各液体化粧料を充填し、手の甲に液体化粧料を塗布し、10分間乾燥させた後に、流水にあて、指のはらで擦過し、塗布物の落ち具合を目視にて下記評価基準で官能評価した。
評価基準:
◎:極めて良好(塗布部の剥がれが全くなく、極めて良好。)
○:良好(塗布部の剥がれが少なく良好。)
△:普通(部分的に塗布部の剥がれがある。)
×:不良(塗布部がほとんど剥がれてしまう。)
【0031】
(塗布性能の評価方法)
図2に示す筆ペンタイプの化粧料容器に各液体化粧料を充填し、手の甲に幅1〜2mm、長さ約5cmの線を5本引き、描き具合、描線濃度を下記評価基準で官能評価した。
評価基準:
◎:描線が濃く、描きやすい。
○:描きやすく、充分な濃度がある。
△:多少のかすれ、にじみがあるが、実用域と判断される。
×:かすれ、にじみがあり、不満を感じる。
【0032】
(内容液安定性の評価方法)
内容液である各液体化粧料を50℃の恒温槽に1ヵ月保管し、その粘度を測定した。初期の粘度値と比較し、安定性を下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:初期値との差が±1(mPa・s)以下である。
△:初期値との差が±1(mPa・s)を超え、±2(mPa・s)以下である。
×:初期値との差が±2(mPa・s)を超える。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
上記表1及び表2の結果から明らかなように、本発明の範囲となる実施例1〜7の液体化粧料は、本発明の範囲外となる比較例1〜6に較べて、固着性、塗布性能、内容液安定性に優れていることが判明した。
比較例を個別的に見ると、比較例1及び2は皮膜形成性樹脂からなる分散剤の含有量が本発明の範囲外(上限超過、下限超過)となるものであり、比較例3及び4は皮膜形成剤の含有量が本発明の範囲外(上限超過、下限超過)となるものであり、比較例5は界面活性剤の含有量が本発明の範囲外(上限超過)となるものであり、比較例6はELD型粘度計による温度25℃、ずり速度3.83S−1での粘度が本発明の範囲外となるものであり、これらの場合は、本発明の効果を発揮できないことが判った。
【産業上の利用可能性】
【0036】
塗布手段として筆穂又はペン芯を用いるアイライナー用又はアイブロウ用等に好適な液体化粧料塗布具に内蔵される液体化粧料が得られる。
【符号の説明】
【0037】
A 液体化粧料塗布具
10 化粧具本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布手段として筆穂又はペン芯を用いる液体化粧料塗布具に内蔵される液体化粧料であって、該液体化粧料は、少なくとも、カーボンブラックと、水と、皮膜形成性樹脂からなる分散剤0.5〜5質量%と、皮膜形成剤2〜15質量%(固形分換算)と、界面活性剤0.5重量%以下とを含有し、かつ、ELD型粘度計による温度25℃、ずり速度3.83S−1での粘度が2〜8mPa・sの範囲であることを特徴とする液体化粧料。
【請求項2】
前記皮膜形成性樹脂からなる分散剤は、アクリル酸、メタクリル酸あるいはそれらのアルキルエステル又はその誘導体、酢酸ビニル、ビニルピロリドンの中の1種又は2種以上から選択されるものからなる共重合体であることを特徴とする請求項1記載の液体化粧料。
【請求項3】
前記皮膜形成性樹脂からなる分散剤が、アクリル酸、メタクリル酸あるいはそれらのアルキルエステル又はその誘導体の1種以上と酢酸ビニルとの共重合体、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体、アクリル酸、メタクリル酸あるいはそれらのアルキルエステルの1種以上とオクチルアクリルアミドとの共重合体であることを特徴とする請求項2記載の液体化粧料。
【請求項4】
液体化粧料塗布具には中綿に液体化粧料を保持させる中綿式容器又は枚葉体に液体化粧料を保持させるコレクター式容器を有することを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の液体化粧料。
【請求項5】
液体化粧料はアイライナー用又はアイブロウ用であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の液体化粧料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−260839(P2010−260839A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119610(P2009−119610)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000005957)三菱鉛筆株式会社 (692)
【Fターム(参考)】