説明

液体化粧料

【課題】 塗布部を具備した液体塗布具に充填して化粧に供するのに適した液体化粧料であって、特に、目元周辺のアイメイクアップに好適な液体化粧料を提供する。
【解決手段】 顔料と、皮膜形成性樹脂からなる分散剤0.5〜5質量%と、皮膜形成剤2〜15質量%(固形分換算)と、分子量200〜4300のグリセリン誘導体3〜15質量%と、水とを含有し、かつ、EMD型粘度計におけるずり速度76.8S−1の粘度が20〜250mPa・sの範囲であることを特徴とする液体化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体化粧料に関し、更に詳しくは、塗布部を具備した液体塗布具に充填して化粧に供するのに適した液体化粧料であって、特に、目元周辺のアイメイクアップに好適な液体化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水系アイメイクアップ化粧料は、耐水性、耐摩擦性に優れたものが望まれ、その主要原料である皮膜形成樹脂について種々検討されてきているが、樹脂配合量を多くするなどし、耐水性、耐摩擦性に優れていると、その優れた性能に相反し、液体塗布具の塗布部が乾燥し易く、また、一度乾燥固化した塗布部は正常に復帰しないというも問題が生じている。
【0003】
本出願人らは、耐水性及び肌密着性に優れた液体化粧料を提供するために、無機顔料、特定の分散剤、特定の被膜形成剤および水とからなる液体化粧料であって、更に所望により、界面活性剤を配合されてなることを特徴とする液体化粧料(例えば、特許文献1参照)や、細線を描き易く、耐水固着性能に優れ、わずかな振動で再均一分散化が可能な水系メイクアップ化粧料を提供するために、板状顔料と、顔料分散剤と、被膜形成剤と、界面活性剤と、水とを含む水系液体メイクアップ化粧料(例えば、特許文献2参照)を提案している。
これらの液体化粧料等は、今までにない優れたものであるが、本発明とは発明の課題、配合物性などが相違し、区別化できるものである。アイメイクアップ化粧料等を求める消費者のニーズは耐水性、耐摩擦性に優れ、更にはノンドライ性に優れ、塗布部が乾燥した場合にも復帰性に優れた液体化粧料が切望されているのが現状である。
【0004】
一方、特許文献3においては、脂肪酸アミドアミン化合物、有機酸又は無機酸、分子量が200〜2000のグリセリン誘導体、糖誘導体及びポリオキシアルキレングリコールからなる群から選ばれる1種以上、並びに、水、好ましくは流動パラフィン及び/又はシリコーンガムを含有することを特徴とし、毛髪を適度に整髪できると共に、適用した毛髪に柔軟性や滑らかさを与え、しかも指通り性に優れる整髪用化粧料が知られている。
しかしながら、この特許文献3に開示の整髪用化粧料は、脂肪酸アミドアミン化合物、有機酸又は無機酸などを必須成分とするものであり、しかも、各実施例の整髪用化粧料の配合成分を検討しても、本発明とは、その配合成分及び配合物性、用途が明らかに相違するものであり、区別化できるものである。
また、特許文献4においては、グリセリン及び/又は水酸基価から算出した平均重合度nが2〜10のポリグリセリン、水添ロジン、並びに、20℃で液状の炭素数8〜22の脂肪酸、一種または二種以上、を含有することを特徴とし、艶を付与する効果に優れ、且つ透明粘性油剤を含有する事で皮膚や毛髪に対して、マイルドな洗浄成分で容易に洗い落とせる艶付与化粧料が知られている。しかしながら、この特許文献4に開示の艶付与化粧料は、水添ロジン、炭素数8〜22の脂肪酸などを必須成分とするものであり、しかも、各実施例の配合成分を検討しても、本発明とは、その配合成分及び配合物性、用途が明らかに相違するものであり、区別化できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2007/083753 A1(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】WO2007/083753 A1(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献3】特開2005−2038号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献4】特開2009−274990号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題及び現状に鑑み、これを解消しようとするものであり、耐水性、耐摩擦性に優れ、更にはノンドライ性に優れ、また塗布部が乾燥した場合の復帰性に優れた水系アイメイクアップ化粧料などに好適な液体化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記従来の課題等に鑑み、耐水性、耐摩擦性に優れ、更にはノンドライ性に優れ、また塗布部が乾燥した場合の復帰性に優れた液体化粧料を提供すべく鋭意検討を重ねた結果、顔料と、皮膜形成性樹脂からなる分散剤と、皮膜形成剤と、特定のグリセリン誘導体を特定量含有した上で、粘度を特定の範囲とすることにより、乾燥した皮膜形成樹脂を軟化(可塑化)させることにより、耐水性、耐摩擦性を維持しつつも、ノンドライ性に優れ、かつ塗布部が乾燥した場合の復帰性に優れたアイメイクアップ化粧料などに好適な液体化粧料を得ることにより成功し、本発明を完成するに至ったのである。
【0008】
すなわち、本発明は、次の(1)〜(4)に存する。
(1) 顔料と、皮膜形成性樹脂からなる分散剤0.5〜5質量%と、皮膜形成剤2〜15質量%(固形分換算)と、分子量200〜4300のグリセリン誘導体3〜15質量%と、水とを含有し、かつ、EMD型粘度計におけるずり速度76.8S−1の粘度(25℃)が20〜250mPa・sの範囲であることを特徴とする液体化粧料。
(2) 前記グリセリン誘導体は、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルから選択されることを特徴とする上記(1)記載の液体化粧料。
(3) アイメイクアップ化粧料であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の液体化粧料。
(4) 塗布部を具備した液体塗布具に充填される上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の液体化粧料。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、耐水性、耐摩擦性に優れ、更にはノンドライ性に優れ、また塗布部が乾燥した場合の復帰性に優れた水系アイメイクアップ化粧料などに好適な液体化粧料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の液体化粧料を充填する液体塗布具の一例を示す部分断面図である。
【図2】本発明の液体化粧料を充填する液体塗布具の他例を示す部分断面図である。
【図3】本発明の液体化粧料を充填する液体塗布具の他例を示す部分断面図である。
【図4】図3の塗布部となる塗布体の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の液体化粧料は、顔料と、皮膜形成性樹脂からなる分散剤0.5〜5質量%と、皮膜形成剤2〜15質量%(固形分換算)と、分子量200〜4300のグリセリン誘導体3〜15質量%と、水とを含有し、かつ、EMD型粘度計におけるずり速度76.8S−1の粘度(25℃)が20〜250mPa・sの範囲であることを特徴とするものである。
【0012】
本発明に用いる顔料は、色材として用いるものであり、液体化粧料の顔料として通常使用されているものであれば、特に限定されず、無機顔料、有機顔料などを用いることができる。
例えば、黒酸化鉄、黄酸化鉄、酸化クロム、群青、紺青、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウム、水酸化クロム、炭酸カルシウム、チタンイエロー、ベンガラや、二酸化チタン被覆燐片状チタン、ベンガラ被覆雲母チタン、魚鱗箔、Nε−ラウロイル−L−リジン被膜タルクなどのパール顔料(高輝性粒子)、積層フィルム末や、青色1号Alレーキ、赤色205号、青色青226号、228号、青色404号などの有機顔料から選ばれる少なくとも1種(各単独又は2種以上の混合物)が挙げられる。
【0013】
これらの顔料の含有量は、発色性、好適な粘性、塗布部を具備する液体化粧料塗布具でのスムーズな吐出性の点などから、液体化粧料全量に対して、1〜20質量%(以下、単に「%」という)が好ましく、更に好ましくは、1〜10%が望ましい。
【0014】
本発明に用いる皮膜形成性樹脂からなる分散剤は、顔料の分散性を向上させると共に、皮膜形成の樹脂としても機能するものである。
用いることができる皮膜形成性樹脂からなる分散剤としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらの(炭素数1〜4および炭素数8)アルキルエステルのうちから選択される1種又は2種以上の化合物を原料モノマーとする単独重合体若しくは共重合体が用いられる。好ましくは、その単独重合体もしくは共重合体は、その繰り返し構造中、側鎖として酸性残基を有するものであって、中和によって水に溶解し得るアクリル樹脂、アクリル酸アルキル共重合体が望ましい。
特に好ましいアクリル酸アルキル共重合体としては、tert−ブチルアクリレート、エチルアクリレート、及びメタクリル酸からなる混合物の共重合体が例示され、市販品では、Luvimer 100P(BASF社製)などが挙げられる。
【0015】
これらの皮膜形成性樹脂からなる分散剤の含有量は、液体化粧料全量に対して、0.5〜5%が好ましく、更に好ましくは、2〜4%である。
この分散剤の含有量が0.5%未満では、顔料の分散安定性が不十分となり、一方、5%を超えて含有しても分散安定性の向上は見られず、経済的でない。
【0016】
本発明に用いる被膜形成剤としては、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらの(炭素数1〜4,炭素数6,8,10,12)アルキルエステル、並びに、スチレン,ジアセトンアクリルアミドの2種以上から選択される化合物を原料モノマーとする共重合体、あるいは共重合体のエマルジョン(モノマーを重合溶媒としての水の中で乳化重合させて得られた水懸濁液)が例示され、市販品では、アクリル樹脂アルカノールアミン液であるプラスサイズL−53P(応科学工業社製)などが挙げられる。
【0017】
これらの被膜形成剤の含有量は、固形分換算で液体化粧料全量に対して、2〜15%が好ましい。
この被膜形成剤の含有量が2%未満では、耐水性が悪く、一方、15%を超えて含有しても、耐水性、耐摩擦性の効果の向上は見られず、経済的でない。
【0018】
本発明に用いる分子量200〜4300のグリセリン誘導体は、乾燥した皮膜形成樹脂を軟化(可塑化)させることにより、耐水性、耐摩擦性を維持しつつも、ノンドライ性を向上させ、かつ塗布部が乾燥した場合の復帰性に優れたた機能を発揮せしめるために含有せしめるものであり、例えば、下記一般式(I)で表されるポリグリセリン、下記一般式(II)で表されるポリオキシアルキレングリセリルエーテル等を用いることができる。
【化1】

【化2】

ポリグリセリンとしては、例えば、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン等を用いることができ、ポリオキシアルキレングリセリルエーテルとしては、ポリオキシエチレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル等を用いることができる。
特に好ましいのは、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルである。
なお、上記分子量200未満、4300超過となるグリセリン誘導体では、本発明の効果を発揮することができないものとなる。
【0019】
これらのグリセリン誘導体の含有量は、液体化粧料全量に対して、3〜15%が好ましく、更に好ましくは、4〜10%である。
この含有量が3%未満では、潤滑性の効果が不十分となり、液体塗布具に充填された場合に、塗布部の吐出口や塗布具内の流路で顔料粒子の詰まりが発生したりし、一方、15%を超えて含有すると、べたつき感が生じ、乾燥性も劣るため、好ましくない。
【0020】
本発明の液体化粧料は、上記顔料、皮膜形成性樹脂からなる分散剤、皮膜形成剤を含有するものであるが、本発明の効果を損なわない範囲で、液体化粧料に通常使用されるキレート剤、保湿剤、増粘剤(キサンタンガムなどの天然多糖類等)、水溶性高分子、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、紫外線吸収剤、香料などを含有することができ、残部は精製水、イオン交換水などの水で調製される。
【0021】
本発明では、顔料の沈降制御や再分散性、及び塗布性能の点から、EMD型粘度計、25℃、標準コーンローター20rpm、ずり速度76.8s−1のときの粘度範囲として、20〜250mPa・sとなる液体化粧料とするものであり、好ましくは、20〜200mPa・sとすることが望ましい。
この粘度が20mPa・s未満では、顔料の沈降が著しく再分散性が劣るため、好ましくなく、一方、250mPa・sを越えると、粘性が高くなり塗布性能が劣ることとなる。
なお、上記粘度範囲の調整は、上記顔料、皮膜形成性樹脂からなる分散剤、皮膜形成剤、水の各含有量を好適に組み合わせたり、また、増粘剤などを含有せしめて好適に調整することができる。
【0022】
このように構成される本発明の液体化粧料では、例えば、塗布部を具備した液体塗布具に充填されて使用に供することができる。
用いることができる塗布部を具備した液体塗布具としては、アイライナー用又はアイブロウ用である筆穂、ペン芯や、ゴム、エラストマー、または復元性を有する独立気泡体から構成される塗布部となる塗布口を具備し、液体化粧料を充填する容器を有する塗布具であれば、特に限定されないが、好ましくは、使用性、簡便性、塗布性に優れる、中綿に液体化粧料を保持させる中綿式の液体塗布具、枚葉体に液体化粧料を保持させるコレクター式の液体塗布具、本体内部に塗布液である液体化粧料を充填し、加圧により液押圧機構を具備した液体塗布具を有するものが挙げられる。
【0023】
中綿式タイプの液体化粧料を充填した塗布具としては、例えば、図1に示すように、化粧具本体10内に内軸11を有し、該内軸11内には液化粧料を含浸した中綿等からなる含浸体12が収容され、該含浸体12の先端側には、液体化粧料を塗布するためのペン芯13が設けられており、内軸11の後端に尾栓14が固着される構造のものが挙げられる。なお、15は、内キャップ部16を有するキャップ体である。この形態の液体化粧料塗布具Aでは、キャップ15を取り外すことにより使用に供されることとなる。
【0024】
コレクタータイプの直液式の液体化粧料を充填した塗布具としては、例えば、図2に示すように、液体化粧料20を中綿等に吸蔵させないで直接貯溜する軸体となるタンク部21に充填してなるものが挙げられる。このタンク部21の前部には、タンク部21内の空気が温度上昇等によって膨張した場合にタンク部21から押し出される液体化粧料20をペン先や空気孔からボタ落ちさせないために一時的に保溜する枚葉体(インキ保溜体、コレクター部材)22が内蔵され、コレクター部材22の先端部には塗布体となる筆型のペン先(筆穂)23が設けられた構成となっている。
タンク部21からペン先23への液体化粧料の導出は、コレクター部材22の中心孔に付設されたインキ流路24を設けた中継芯25を介してタンク部21から液体化粧料20をペン先23に導出することにより行われる。
なお、図2中の26,27はホルダー部材であり、28はタンク部21の後部に固着される後部軸体であり、29はインナーキャップを有するキャップである。また、中継芯25を介在させることなく、ペン先23の後部をタンク部21内に直接配置して液体化粧料の導出を行ってもよいものである。
この形態の液体化粧料塗布具Bでは、キャップ29を取り外すことにより使用に供されることとなる。
【0025】
図3は、ゴム、エラストマー、または復元性を有する独立気泡体から構成される塗布部となる塗布口を具備した液体塗布具の部分断面図であり、図4は塗布部である塗布体の拡大斜視図である。
この液体塗布具Cは、本体30内部に充填される液体化粧料31を加圧する液押圧機構(液押圧手段)32を具備し、液押圧機構32の押圧により液体化粧料31を塗布体40へと供給する構成となっている。なお、50はキャップ体である。
【0026】
この液体塗布具Cにあっては、ユーザが液押圧機構32の回転操作部材33を所定量回転させると、この回転操作部材33の回転により、ねじ棒34は係合部35の駆動伝達によって回転し、保持部材36内との螺合によって先端に向けて前進する。これにより、ピストン体37が先端方向に前進し、液体化粧料収容空間31b内の液体化粧料31を加圧する。この液体化粧料31は加圧によって連通路41を通り塗布部分42に押し出され、これにより、液体化粧料31は吐出口43から所定量吐出される。吐出された液体化粧料31は、若干飛び出したとしても、塗布部分42先端に延在する平面部となる粗面部44に一時的に保持され、皮膚などの軟質な被塗布面へと誘導され塗布される。塗布終了後、平面部44に溜まる塗布液はティッシュペーパーやウエス等で容易に拭き取られる。また、液押圧機構32はラチェットを利用しているため、回転操作部材33の一回の操作で、回転操作部材33は決められた量だけ回動し、ピストン体37を操作毎に所定量だけ押し出す機構を有する。このため、液体化粧料を所望の所定量だけ、正確に塗布部分42に供給することができる。従って、加圧された際には、その吐出口43より液体化粧料31が吐出してスムーズに使用に供することができる。また、連通路41の吐出口43に、吐出した液体化粧料31を一時保持する平面部(液保持部)45を塗布部分42の更に設けることによって、吐出液体化粧料31の急激な飛び出し等に対してボタ落ちを防止することができる。
【0027】
この形態の液体塗布具Cでは、使用後に外気に触れる液体化粧料31は吐出口43からの塗布部分42に限られ、これらは容易に除去できることから、粘度が高い液体化粧料31であっても、簡便に塗布し得るだけでなく、外気や外部からの微生物汚染等から内蔵する液体化粧料31を十分に保護することができる。
【0028】
このように構成される本発明の液体化粧料では、顔料と、皮膜形成性樹脂からなる分散剤0.5〜5%と、皮膜形成剤2〜15%(固形分換算)と、分子量200〜4300のグリセリン誘導体3〜15%と、水とを含有し、かつ、EMD型粘度計におけるずり速度76.8S−1の粘度(25℃)が20〜250mPa・sの範囲とすることにより、目元周辺のアイライナー用又はアイブロウ用のアイメイクアップ化粧料に好適な液体化粧料が得られるものであり、耐水性、耐摩擦性に優れ、更にはノンドライ性に優れ、また塗布部が乾燥した場合の復帰性に優れた液体化粧料が得られるものとなる。
特に、この構成の液体化粧料を、アイメイクアップ化粧料とし、図3及び図4に示した塗布部の吐出口が常時開口しているタイプの液体塗布具を充填使用しても、水系でかつ粗大な顔料を含有する液体化粧料であっても、塗布した化粧料の耐水性、耐摩擦性に優れ、かつ更にはノンドライ性に優れるので、塗布具内の出口付近での流路でも乾燥により詰まることはなく、吐出口からスムーズに塗布部に吐出することができ、しかも、塗布部が乾燥した場合の復帰性に優れたものとなる。
【実施例】
【0029】
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
【0030】
〔実施例1〜6及び比較例1〜6〕
下記表1及び表2に示す配合処方の液体化粧料(配合単位:質量%、全量100質量%)を調製し、各成分を混合し、室温下、3時間撹拌して、各表に示す液体化粧料を得た。
このようにして得た各液体化粧料について、下記方法により粘度を測定すると共に、乾燥した塗布部の復帰性能、固着性、塗布性能について評価した。
【0031】
(粘度測定方法)
得られた液体化粧料を用いて、EMD型粘度計(東機産業社製)、25℃、標準コーンローター20rpm、ずり速度76.8s−1のときの粘度を測定した。
【0032】
(乾燥した塗布部の復帰性能の評価方法)
図3及び図4に示す液体塗布具(液体化粧料の充填量:1.4ml)を用いて、25℃、3日間、キャップレスの状態で放置することにより、塗布部を故意に乾燥させ、内容液の吐出性を下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:液吐出流路内で内容液が詰まることなく、正常に吐出される。
△:液吐出流路内で内容液が部分的に乾燥固化しているが、詰まりは生じていない。
×:液吐出流路内で内容液が乾燥固化し、詰まりを生じて内容液が全く塗布出来ない。
【0033】
(固着性の評価方法)
固着性については、液体化粧料を手の甲に塗布し、10分間自然乾燥させた後に、塗布部に流水をあて、指で擦過し、塗布物の落ち具合を目視と指先の感触について下記評価基準で官能評価した。
評価基準:
◎:塗布部の剥がれが全くなく、極めて良好である。
○:塗布部の剥がれが少なく、良好である。
△:部分的に塗布部の剥がれがある。
×:塗布部がほとんど剥がれてしまう。
【0034】
(塗布性能の評価方法)
得られた各液体化粧料を化粧経験5年以上の女性パネラー20人に実際に使用して、塗布時の使用感(なめらかさ、べたつき感等)を下記評価基準で官能評価した。
評価基準:
◎:パネラー20人中、15人以上が、使用感に優れると回答したもの。
○:パネラー20人中、10人以上14人以下が、使用感に優れると回答したもの。
△:パネラー20人中、6人以上9人以下が使用感に優れると回答したもの。
×:パネラー20人中、5人以下しか、使用感に優れると回答しなかったもの。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
上記表1及び表2の結果から明らかなように、本発明の範囲となる実施例1〜6の液体化粧料は、本発明の範囲外となる比較例1〜6に較べて、乾燥した塗布部の復帰性能、固着性、塗布性能に優れていることが判明した。
比較例を個別的に見ると、比較例1及び2は本発明に用いるグリセリン誘導体の含有量の範囲の下限及び上限を超えた場合であり、グリセリン誘導体の含有量が多いと固着性、塗布性能が劣り、グリセリン誘導体の含有量が少ないと乾燥した塗布部の復帰性能が劣ることが判った。比較例3は、分散剤の含有量が少なく、ずり速度76.8S−1の粘度(25℃)が250mPa・s超過の場合であり、この場合は固着性、塗布性能が劣ることが判った。比較例4は、本発明の配合成分を含有しても、ずり速度76.8S−1の粘度(25℃)が20mPa・sの範囲を外れる場合であり、この場合も塗布性能が劣ることが判った。
また、比較例5は皮膜形成剤の含有量が少ない場合であり、この場合は固着性が劣り、比較例6はグリセリン誘導体の代わりに他の可塑剤をしようした場合には乾燥した塗布部の復帰性能が劣ることが判った。
【産業上の利用可能性】
【0038】
アイライナー用又はアイブロウ用のアイメイクアップ化粧料に好適な液体化粧料が得られる。
【符号の説明】
【0039】
C 液体塗布具
31 液体化粧料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料と、皮膜形成性樹脂からなる分散剤0.5〜5質量%と、皮膜形成剤2〜15質量%(固形分換算)と、分子量200〜4300のグリセリン誘導体3〜15質量%と、水とを含有し、かつ、EMD型粘度計におけるずり速度76.8S−1の粘度(25℃)が20〜250mPa・sの範囲であることを特徴とする液体化粧料。
【請求項2】
前記グリセリン誘導体は、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテルから選択されることを特徴とする請求項1記載の液体化粧料。
【請求項3】
アイメイクアップ化粧料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体化粧料。
【請求項4】
塗布部を具備した液体塗布具に充填されることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の液体化粧料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−140473(P2011−140473A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−3172(P2010−3172)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000005957)三菱鉛筆株式会社 (692)
【Fターム(参考)】