液体収容容器
【課題】 液体収容容器の大型化に伴う液体導出部と液体供給部の接続性低下の防止や、液体導出部の液垂れ防止を図ることができる良好な液体収容容器を提供する。
【解決手段】 インクカートリッジは、カートリッジ装着部に着脱自在に装着され、インクパック7に貯留しているインクをインクジェット式記録装置に供給する容器本体5と、インクパック7に設けられたインクを導出する接続口7aと、容器本体5の前面壁5cに設けられ、カートリッジ装着部に設けられた液体供給部を接続口7aに連通させる液体導出部9と、前面壁5cが対向するカートリッジ装着部の2箇所に設けられた位置決めピンが嵌合することによって、前面壁5cに沿う方向の移動を規制する2つの位置決め孔27,28と、を備える。液体導出部9は、前面壁5cの幅方向両端側にそれぞれ配置された2つの位置決め孔27,28の一方の側である位置決め孔27に近い位置に設けられる。
【解決手段】 インクカートリッジは、カートリッジ装着部に着脱自在に装着され、インクパック7に貯留しているインクをインクジェット式記録装置に供給する容器本体5と、インクパック7に設けられたインクを導出する接続口7aと、容器本体5の前面壁5cに設けられ、カートリッジ装着部に設けられた液体供給部を接続口7aに連通させる液体導出部9と、前面壁5cが対向するカートリッジ装着部の2箇所に設けられた位置決めピンが嵌合することによって、前面壁5cに沿う方向の移動を規制する2つの位置決め孔27,28と、を備える。液体導出部9は、前面壁5cの幅方向両端側にそれぞれ配置された2つの位置決め孔27,28の一方の側である位置決め孔27に近い位置に設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着され、液体収容部に貯留している液体を前記液体消費装置に供給する液体収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体消費装置に使用される液体を収容した液体収容容器として、例えばインクジェットプリンタに使用されるインクカートリッジが挙げられる。インクジェットプリンタ用のインクカートリッジは、印刷ヘッドに供給するインクを収容しているインク収容室(液体収容部)が容器本体内に設けられ、使用の際には所定位置のカートリッジ装着部(容器装着部)に着脱自在に嵌合装着される。そして、インク収容室内に収容されたインクは、ホストコンピュータから送られた印刷データに応じて駆動する印刷ヘッドに供給され、印刷ヘッドに設けられたノズルによって用紙等の被印刷物上の目標位置に噴射される。
【0003】
また一般に、インクジェットプリンタは、インク滴を吐出する印刷ヘッドが搭載され被印刷物の搬送方向と直交する方向に往復移動するキャリッジを備えている。そして、インクカートリッジから印刷ヘッドへのインクの供給方式としては、キャリッジに設けられたカートリッジ装着部にインクカートリッジを着脱自在に装着し、印刷ヘッドとともに往復移動するインクカートリッジから印刷ヘッドにインクを供給する方式(所謂オンキャリッジタイプ)がある。また、他の方式としては、インクカートリッジをインクジェットプリンタのキャリッジ以外の箇所に設けられたカートリッジ装着部に着脱自在に装着するとともに、可撓性チューブ等で形成したインク流路を介してインクカートリッジから印刷ヘッドにインクを供給する方式(所謂オフキャリッジタイプ)がある。
【0004】
そして、オフキャリッジタイプのインクジェットプリンタに装着されるインクカートリッジとしては、特許文献1に記載された構成のもの等、種々の構成が提案されている。
図15及び図16に示すインクカートリッジ201は、特許文献1に記載されたものであり、インクジェットプリンタのカートリッジ装着部203に装着される容器本体205内に、容器本体205内の加圧室207に供給される加圧空気による圧力で容積が縮小可能なインクパック209が収容されるとともに、インクパック209にインクジェットプリンタで使用されるインク液が収容される。
【0005】
容器本体205の一面(装着方向の先端面)には、図16に示すように、カートリッジ装着部203内の2箇所に設けられた位置決め部材211との嵌合により容器本体205の位置決めを果たす2つの位置決め嵌合部(位置決め手段)213と、カートリッジ装着部203のインク供給路(液体供給部)215をインクパック209に接続するインク導出口(液体導出部)217と、カートリッジ装着部203の加圧空気供給路219を加圧室207に接続する加圧空気導入部221と、が設けられている。上記インクカートリッジ201では、インク導出口217が、容器本体205の一面の略中心に設けられている。
【0006】
インクパック209は、図17に示すように、収容したインクを外部に導出するインク導出口217を可撓性袋体216に設けた構成である。可撓性袋体216は、例えば、2枚のラミネートフィルムを重ねて、それぞれのラミネートフィルムの外周縁同士を溶着させることにより形成されている。
【0007】
【特許文献1】特開2002−19135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、最近の液体収容容器の大型化に伴って、容器本体205の成形誤差や組立誤差が大きくなり、位置決め嵌合部213とインク導出口217の間の寸法公差も大きくなってきた。
そこで、上述したようなインクカートリッジ201をカートリッジ装着部203に装着する際には、インク供給路215に対するインク導出口217の位置精度が低下する為、インク供給路215とインク導出口217の接続がスムーズに行えず、カートリッジ装着性の低下を招く可能性がある。
【0009】
また、近年、記録品質の向上のために液体収容容器の数が多くなるのに伴い、高密度な収容が可能となる液体収容容器の縦置きが想定されるようになってきた。
そこで、上述したようなインクカートリッジ201を縦置きした場合には、液体収容容器の大型化に伴ってインクパック209へ充填するインク量が多くなると、非加圧時にもパック内圧力が上昇する。その結果、インク導出口217におけるインク垂れ量が増加してしまう可能性がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は上記課題を解消することに係り、液体収容容器の大型化に伴う液体導出部と液体供給部の接続性低下の防止や、液体導出部の液垂れ防止を図ることができる良好な液体収容容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記目的は、液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着可能であり、液体を貯留している液体収容部を有する容器本体と、
前記液体収容部に設けられ、前記液体を導出する接続口と、
前記容器本体の一の面に設けられ、前記液体を前記液体消費装置に供給するための液体導出部と、
前記容器本体が前記液体消費装置に装着された際に、前記一の面が対向する前記容器装着部の複数箇所に設けられた位置決め部材が嵌合することによって、前記容器本体の位置決めを行う複数の位置決め手段と、を備えた液体収容容器であって、
前記液体導出部が、前記複数の位置決め手段のうちいずれか一つに近接するように設けられることを特徴とする液体収容容器により達成される。
【0012】
上記構成の液体収容容器によれば、液体導出部が、一の面に配置された位置決め手段に近接するように設けられるので、液体収容容器の大型化に伴って生じる可能性がある容器装着部の位置決め部材と容器本体の位置決め手段との間の寸法公差拡大の影響を低減することができる。そこで、容器装着部の液体供給部に対する容器本体の液体導出部の位置精度が向上し、液体導出部と液体供給部との接続をスムーズに行うことができ、液体収容容器の装着性の低下を防止できる。
【0013】
尚、上記構成の液体収容容器において、前記液体導出部が、前記接続口の開口の中心線に対してずれた位置に設けられることが望ましい。
【0014】
このような構成の液体収容容器によれば、接続口と液体導出部の間に、容器本体の幅方向に延びる流路が形成される。そこで、容器本体の長手方向(奥行き方向)の拡大寸法を最小限としながら、この流路の一部に付加機能部を設けることができる。従って、残量検出手段や気泡トラップ室等の付加機能部を備えたコンパクトな液体収容容器を構成することができる。
【0015】
また、上記構成の液体収容容器において、前記接続口と前記液体導出部の間を連通する流路を有するオフセット流路部材を備えると共に、前記容器本体と前記オフセット流路部材との連結部に、前記容器本体と前記オフセット流路部材とが相対的に回転して着脱可能な嵌合手段を備えることが望ましい。
【0016】
このような構成の液体収容容器によれば、オフセット流路部材を用いることで、接続口の開口の中心線に対してずれた位置に、液体導出部を容易に設けることができる。そこで、液体導出部の形成位置の自由度が増す。
また、容器本体へのオフセット流路部材の取り付けは、互いの連結部に装備された嵌合手段により、相互の連結部を嵌合させた後に、相互を相対回転させるという単純な操作で完了させることができる。
【0017】
また、本発明の上記目的は、液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着可能であり、液体収容部に貯留している液体を前記液体消費装置に供給する容器本体と、
前記液体収容部に設けられた液体を導出する接続口と、
前記容器本体の装着方向の先端面に設けられ、前記容器装着部に設けられた液体供給部を前記接続口に連通させる液体導出部と、を備えた液体収容容器であって、
前記液体導出部が、前記装着方向の先端面の略中心に対して前記容器本体が前記液体消費装置に装着された時の高さ方向上側に設けられることを特徴とする液体収容容器により達成される。
【0018】
上記構成の液体収容容器によれば、一般的に、容器本体が液体消費装置に装着された時には容器本体の装着方向の先端面における略中心の高さに位置する液体収容部の接続口よりも、容器本体の液体導出部が上側に位置するので、その水頭差分だけ液体導出部の静圧を下げることができ、液体導出部からの液体の漏れを低減することができる。
【0019】
尚、上記構成の液体収容容器において、前記液体導出部が、前記接続口の開口の中心線に対してずれた位置に設けられることが望ましい。
【0020】
このような構成の液体収容容器によれば、接続口と液体導出部の間に、容器本体の幅方向に延びる流路が形成される。そこで、容器本体の長手方向(奥行き方向)の拡大寸法を最小限としながら、この流路の一部に付加機能部を設けることができる。従って、残量検出手段や気泡トラップ室等の付加機能部を備えたコンパクトな液体収容容器を構成することができる。
【0021】
また、上記構成の液体収容容器において、前記接続口と前記液体導出部の間を連通する流路を有するオフセット流路部材を備えると共に、前記容器本体と前記オフセット流路部材との連結部に、前記容器本体と前記オフセット流路部材とが相対的に回転して着脱可能な嵌合手段を備えることが望ましい。
【0022】
このような構成の液体収容容器によれば、オフセット流路部材を用いることで、接続口の中心線に対してずれた位置に、液体導出部を容易に設けることができる。そこで、液体導出部の形成位置の自由度が増す。
また、容器本体へのオフセット流路部材の取り付けは、互いの連結部に装備された嵌合手段により、相互の連結部を嵌合させた後に、相互を相対回転させるという単純な操作で完了させることができる。
【0023】
また、本発明の上記目的は、液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着され、液体収容部に貯留している液体を前記液体消費装置に供給する容器本体と、
前記液体収容部に設けられた液体を導出する接続口と、
前記容器本体の装着方向先端面に設けられ、前記容器装着部に設けられた液体供給部を前記接続口に連通させる液体導出部と、
前記装着方向先端面が対向する前記容器装着部の2箇所に設けられた凸部が入る2つの凹部と、を備えた液体収容容器であって、
前記液体導出部が、前記装着方向先端面の幅方向両端側にそれぞれ配置された前記2つの凹部のいずれか一方の側に近い位置に設けられることを特徴とする液体収容容器により達成される。
【0024】
また、本発明の上記目的は、液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着可能な液体収容容器において、
前記液体収容容器は、
液体を貯留している液体収容部と、
前記液体収容部に設けられ、前記液体を導出する接続口と、
前記液体収容容器の前面壁に設けられ、前記液体を前記液体消費装置に供給するための液体導出部と、
前記前面壁の両側に設けられ、前記液体収容容器が前記液体消費装置に装着された際に、前記前面壁が対向する前記容器装着部に設けられた第1及び第2の位置決め部材が嵌合することによって、前記容器本体の位置決めを行う第1及び第2の位置決め孔と、を備え、
前記液体導出部が、前記第2の位置決め孔よりも前記第1の位置決め孔の近くに設けられたことを特徴とする液体収容容器により達成される。
【0025】
尚、上記構成の液体収容容器において、前記第1の位置決め孔は、前記液体収容容器が前記液体消費装置に装着された際に前記第2の位置決め孔よりも上部に位置することが好ましい。
【0026】
尚、上記構成の液体収容容器において、前記液体収容容器は、前記前面壁と直交し、前記液体収容容器が前記液体消費装置に装着された際に上面に位置する側壁を有し、前記側壁には前記液体消費装置に設けられた接続端子と接触可能な回路基板が設けられることが好ましい。
【0027】
尚、上記構成の液体収容容器において、前記液体収容容器は、前記前面壁と直交し、前記液体収容容器が前記液体消費装置に装着された際に下面に位置する側壁を有し、前記側壁には前記液体消費装置に設けられた係合手段と係合可能な係合部が設けられることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、添付図面に基づいて本発明の一実施形態に係る液体収容容器を詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る液体収容容器の分解斜視図、図2は図1に示した液体収容容器の組立状態の斜視図、図3(a)は図1に示した容器本体の袋体収容部に液体収容部であるインクパックと該インクパックの周囲の隙間を埋めるスペーサとを装着した状態の斜視図、図3(b)は図3(a)のA部拡大図、図4は図1に示した残量検出手段の裏面側からの斜視図である。
【0029】
図1及び図2に示したインクカートリッジ(液体収容容器)1は、商業用のインクジェット式記録装置(液体消費装置)のカートリッジ装着部(容器装着部)100に着脱自在に装着されて、記録装置に装備された記録ヘッド(液体噴射ヘッド)にインクを供給する(図10参照)。
【0030】
本実施形態のインクカートリッジ1は、インクジェット式記録装置のカートリッジ装着部100に着脱自在に装着可能であり、液体収容部としてのインクパック7に貯留しているインク(液体)を記録装置に装備された記録ヘッドに供給する容器本体5と、インクパック7に設けられたインクを導出する接続口7aと、容器本体5の装着方向の先端面である前面壁5cに設けられ、カートリッジ装着部100に設けられた液体供給部102を接続口7aに連通させる液体導出部9と、前面壁5cが対向する容器装着部100の2箇所に設けられた位置決めピン(位置決め部材)106,107が嵌合することによって、前面壁5cに沿う方向の移動を規制する2つの位置決め孔(位置決め手段)27,28と、を備える。
【0031】
このインクカートリッジ1に係るインクパック7は、加圧手段によって加圧される袋体収容部3内に収容され、袋体収容部3の加圧により貯留しているインクを接続口7aから排出する。
また、外部の記録ヘッドにインクを供給するための液体導出部9は、容器本体5に着脱可能に装着される付加機能部としての残量検出手段11に設けられている。この残量検出手段11は、インクパック7の接続口7aと液体導出部9の間を連通する流路を有するオフセット流路部材であり、容器本体5と残量検出手段11との連結部に、容器本体5と残量検出手段11とが相対的に回転して着脱可能な検出手段嵌合部(嵌合手段)23を備える。
【0032】
容器本体5は、樹脂成形によって形成された筐体で、上部を開放した略箱形の袋体収容部3と、この袋体収容部3の前面側に位置して残量検出手段11を収容する検出手段収容部13とが区画形成されている。
すなわち、このインクカートリッジ1の容器本体5は、前面壁5cと、後面壁5fと、インクカートリッジ1がインクジェット式記録装置のカートリッジ装着部100に装着された状態(以下、装着状態と呼ぶ)で上面に位置する第1の側壁5dと、インクカートリッジ1の装着状態で下方に位置する第2の側壁5eと、インクカートリッジ1の装着状態で垂直面となる第3の側壁5gと、袋体収容部3と検出手段収容部13との間を区画している隔壁5aとから構成される。
袋体収容部3の開放面は、インクパック7の収容後にシールフィルム15によって封止される。これにより、袋体収容部3が密封室になり、加圧手段によって加圧される。
【0033】
袋体収容部3と検出手段収容部13との間を区画している隔壁5aには、密封室に形成された袋体収容部3内に加圧空気を送給するための連通路である加圧口17が装備されている。インクカートリッジ1をインクジェット式記録装置のカートリッジ装着部100に装着すると、図10に示すカートリッジ装着部側の加圧空気供給手段104が加圧口17に接続され、袋体収容部3内に供給される加圧空気によってインクパック7を加圧することが可能になる。
【0034】
インクパック7は、樹脂フィルム層の上にアルミニウム層が積層形成されたアルミラミネート複層フィルムにより形成した可撓性袋体7bの一端側に、残量検出手段11の接続針11a(図4参照)が挿入接続される筒状の接続口7aを接合したものである。なお、アルミラミネート複層フィルムを使用したことで、高いガスバリア性を確保している。
【0035】
なお、液体収容部の具体的な構造は、上記インクパック7に限らない。例えば、可撓性袋体を使用するパックではなく、容器にインクを充填させて、インクをフィルム等で覆った構成としても良い。
【0036】
インクパック7の接続口7aは、隔壁5aに形成した接続口挿通用の開口18を気密に挿通して、図3に示すように先端が検出手段収容部13内に突出するようになっている。
インクパック7には、残量検出手段11を接続する前に、予め脱気度の高い状態に調整されたインクが充填される。
【0037】
袋体収容部3にインクパック7を装着したときには、可撓性袋体7bの前後の傾斜部7c,7dの上に、樹脂製のスペーサ19が装着される。樹脂製のスペーサ19は、袋体収容部3の上面がシールフィルム15によって覆われて、袋体収容部3が密封室となる時に、該密封室内でインクパック7がガタつくことを防止すると同時に、落下の際、インクパック7内のインク移動による圧力がインクパック7の溶着部に集中することを防止する。
【0038】
袋体収容部3を含んで検出手段収容部13の開放面を封止したシールフィルム15の上には、樹脂製のカバー21が装着される。樹脂製のカバー21は、容器本体5の上に被せると、不図示の係合手段が、容器本体5の第2の側壁5eに設けられた係合部に係合して、容器本体5に固定される。
【0039】
隔壁5aに開口した開口18の周囲には、図3(b)に示すように、連結部として、残量検出手段11が相対回転可能に嵌合装着される検出手段嵌合部23が装備されている。
本実施形態の場合、検出手段嵌合部23は、2つの湾曲した凸壁23a,23bを備え、これらの凸壁23a,23bにより残量検出手段11の回転中心を規制する環構造を形成している。
また、図3(b)に示すように、検出手段嵌合部23に近接した位置で、隔壁5aに直交する如く検出手段収容部13に立設された隔壁5bには、検出手段嵌合部23に嵌合した残量検出手段11の抜けを防止する係止溝24が装備されている。
【0040】
検出手段収容部13の前面側を覆う隔壁である容器本体5の前面壁(装着方向の先端面)5cは、残量検出手段11の取り付け操作のために、検出手段嵌合部23と対向する位置に切り欠きによる開口26が形成されている。
図2に示すように、前面壁5cの両側部には、インクカートリッジ1をカートリッジ装着部100に装着した際に、カートリッジ装着部100側に装備されている位置決めピン106,107が挿入される位置決め孔27,28が装備されている(図10参照)。
一方の位置決め孔27は丸孔に設定され、他方の位置決め孔28は容器本体5の幅方向(図2の矢印X方向)に細長い長孔に設定されている。このように、一方の位置決め孔28を長孔に形成しておくことで、位置決め精度を保つ一方で寸法公差等の許容が容易になる。
【0041】
更に、前面壁5cに設けられる液体導出部9は、図7に示すように、前面壁5cの幅方向両端側にそれぞれ配置された2つの位置決め孔27(第1の位置決め孔),28(第2の位置決め孔)の間に設けられ、2つの位置決め孔27,28の一方の側である位置決め孔27に近い位置に設けられている。さらに、液体導出部9は2つの位置決め孔27,28を結ぶ仮想線からは図中の上下方向において上方にずれて配置される。そこで、インクパック7の接続口7aの位置と液体導出部9の位置とは、図中の左右方向にずれており、液体導出部9が接続口7aの中心線S対してずれた位置となるオフセット位置に設けられている。
【0042】
そして、実際にインクカートリッジ1がインクジェット記録装置に取り付けられる容器使用時には、図7のカートリッジを時計回りに90°回転させた状態となる。このため、液体導出部9は、前面壁5cの略中心(接続口7aの開口の中心線S上)に対して容器使用時の高さ方向上側に設けられる。
【0043】
丸孔の位置決め孔27に近い容器本体5の第1の側壁5d上で、前面寄りの位置には、インクカートリッジ1をカートリッジ装着部100に装着した際にカートリッジ装着部100側に装備された接続端子109に接触して電気的な接続を果たす回路基板31が装備されている(図10参照)。
この回路基板31は、その裏面に配置されるメモリ素子や、残量検出手段11に搭載される圧電素子をインクジェット式記録装置側の制御回路に電気接続し、これらのメモリ素子や圧電素子の動作を記録装置側から制御可能にする。
【0044】
オフセット流路部材としての本第1実施形態の残量検出手段11は、図1及び図4に示すように、連結部として容器本体5の検出手段嵌合部23(図3参照)に相対回転可能に嵌合する容器嵌合部35と、検出手段嵌合部23に容器嵌合部35を嵌合させた状態で残量検出手段11を回転させると容器本体5への固定を果たす固定手段37と、接続口7aが接続される接続針11aを介して可撓性袋体7b内のインクを液体導出部9に誘導する不図示の内部流路と、この内部流路内へのインクの流入状態(圧力変動)からインク残量を検出する不図示のセンサとを備えている。
【0045】
本実施形態の場合、容器嵌合部35は、検出手段嵌合部23の凸壁23a,23bに対し着脱可能に形成され、且つ回転可能に嵌合する2つの湾曲した凸壁35a,35bを備え、これらの凸壁35a,35bにより残量検出手段11の回転中心を規制する環構造を形成している。
【0046】
以上の構成において、隔壁5aに形成した検出手段嵌合部23と、液体残量検出ユニット11に設けた容器嵌合部35とが、容器本体5と液体残量検出ユニット11とを相対回転可能に連結する嵌合手段を構成している。
【0047】
固定手段37は、容器嵌合部35の外周に突設された係止片38と、回転移動する先端側に設けられた係合部39とから構成されている。
係止片38は、図5に示すように検出手段嵌合部23に容器嵌合部35を嵌合させた状態から矢印(B)に示すように残量検出手段11を回転させた時に、容器本体5側の係止溝24(図3参照)に係合して、図7及び図8に示すように、嵌合部のカートリッジ装着部側への抜け止めを果たす。一方、係合部39は、図5に示すように検出手段嵌合部23に容器嵌合部35を嵌合させた状態から矢印(B)に示すように残量検出手段11を回転させた時に、容器本体5側に装備された係合部に係合して、回転を規制する。
【0048】
本実施の形態の場合、図6に示すように、容器嵌合部35の回転中心O1が、接続針1aの中心O2から容器本体5の開放面側に向かって距離Lだけずれて設定されている。
更に、残量検出手段11の容器嵌合部35を容器本体5の検出手段嵌合部23に嵌合させて、図7及び図8に示すように、残量検出手段11の回転により係止片38の係止溝24への係合を完了させたとき、接続針11aが、容器本体5の袋体収容部3に収容されるインクパック7の接続口7aの略中心に位置決めされるように、回転中心O1と中心O2の偏心量が設定されている。
【0049】
言い換えれば、残量検出手段11が容器本体5に嵌合された状態では、接続針11aの位置が、隔壁5aに開口した開口18の中心から外れた位置となる偏芯状態位置となり、残量検出手段11が容器本体5に結合された状態では、接続針11aの位置が、開口18の中心となる中心状態位置となるように設定されて、残量検出手段がその回転操作によって偏芯状態位置と中心状態位置とを移動するように形成され、回転軌跡を小さくするようにしている。
【0050】
以上に説明した本第1実施形態のインクカートリッジ1によれば、液体導出部9が、前面壁5cに配置された位置決め孔27に近い位置に設けられるので、インクカートリッジの大型化に伴って生じる可能性があるカートリッジ装着部100の位置決めピン106,107と容器本体5の位置決め孔27,28との間の寸法公差拡大の影響を低減することができる。そこで、カートリッジ装着部100の液体供給部102に対する容器本体5の液体導出部9の位置精度が向上し、液体導出部9と液体供給部102との接続をスムーズに行うことができ、インクカートリッジ1の装着性の低下を防止できる。
【0051】
更に、本実施形態のインクカートリッジ1においては、液体導出部9が、インクパック7の接続口7aの中心線Sに対してずれた位置に設けられている。そこで、接続口7aと液体導出部9の間に、容器本体5の幅方向に延びる流路が形成される。そこで、容器本体5の長手方向(奥行き方向)の拡大寸法を最小限としながら、この流路の一部に付加機能部としての残量検出手段11を設けることができ、残量検出手段11を備えたコンパクトなインクカートリッジ1を構成することができる。
【0052】
また、本実施形態のインクカートリッジ1においては、インクパック7の接続口7aと液体導出部9の間を連通する流路を有するオフセット流路部材としての残量検出手段11を備えると共に、容器本体5と残量検出手段11との連結部に、容器本体5と残量検出手段11とが相対的に回転して着脱可能な検出手段嵌合部23を備えている。そこで、この様なオフセット流路部材としての残量検出手段11を用いることで、接続口7aの中心線Sに対してずれた位置に、液体導出部9を容易に設けることができ、液体導出部9の形成位置の自由度が増す。
【0053】
また、本実施形態のインクカートリッジ1においては、液体導出部9が前面壁5cに配置された位置決め孔27に近い位置に設けられるだけでなく、回路基板31が位置決め孔27に近い容器本体の上面壁5d上であって前面壁5c側に設けられるので、インクカートリッジ1をカートリッジ装着部100に装着した際にカートリッジ装着部100側に装備された接続端子109との良好な電気的接触を確保することができる。
【0054】
そして、図5及び図6に示すように容器本体5の検出手段嵌合部23に残量検出手段11の容器嵌合部35を嵌合させた後、図5に示す矢印(B)方向に残量検出手段11を嵌合部の周囲に回転させると、容器嵌合部35の外周に突設されている係止片38が容器本体5側の係止溝24に係合すると共に、係合部39が容器本体5側の係合部に係合して、残量検出手段11が容器本体5に固定される。
【0055】
即ち、インクパック7を収容する容器本体5への残量検出手段11の取り付けは、相互の連結部に装備された嵌合手段である互いの嵌合部35,23を嵌合させた後に、残量検出手段11を回転させるという単純な操作で完了するため、組立性が良く、組立性の向上によりインクカートリッジ1の生産性を向上させることができる。
【0056】
しかも、容器嵌合部35の回転中心O1が、接続針11aの中心O2からずれて設定されているため、回転操作によって容器本体5に係合させる残量検出手段11の係止片38の回転軌跡を小さく抑えることができ、これによって、容器本体5側に装備する係止溝24の位置を、残量検出手段11の回転中心により接近させて配置したり、係止溝24の深さの低減ができたりするため、容器本体5をコンパクトにまとめて、インクカートリッジ1の大型化を防止することができる。
【0057】
また、上記実施の形態のインクカートリッジ1では、残量検出手段11の容器嵌合部35を容器本体5の検出手段嵌合部23に嵌合させて、残量検出手段11の回転により係止片38の係止溝24への係合を完了させたとき、図8に示すように、接続針11aが、容器本体5の袋体収容部3に収容されるインクパック7の接続口7aの略中心に位置決めされる。
【0058】
そのため、図7に示したように、残量検出手段11を回転操作により容器本体5に固定した後に、容器本体5の袋体収容部3にインクパック7をセットする製造方法を採用することで、インクパック7の接続口7aを、簡単に残量検出手段11の接続針11aに位置合わせすることができ、残量検出手段11とインクパック7との接続を容易にして、更に組立性を向上させることができる。
【0059】
また、上記実施形態のインクカートリッジ1では、容器本体5の検出手段嵌合部23及び残量検出手段11の容器嵌合部35は、いずれも、一つ以上の凸壁により、相手の環構造に相対回転自在に嵌合する構成としており、凸壁の装備が間欠的なため、検出手段嵌合部23及び容器嵌合部35を互いに嵌合する円筒構造にする場合と比較して、成形時の型抜き性を向上させることができ、検出手段嵌合部23や容器嵌合部35の製造が容易になる。
【0060】
なお、検出手段嵌合部23や容器嵌合部35の具体的な構造は、上記実施形態のものに限らない。上記実施形態では、検出手段嵌合部23や容器嵌合部35は、二つの凸壁により形成したが、一つ又は、3つ以上の凸壁により、回転中心を規制する環構造を形成するようにしてもよい。更に、凸壁の代わりに、少なくとも一つ以上の凹溝により相手の回転中心を規制する環構造を形成するようにしてもよい。
【0061】
更に、本第1実施形態のインクカートリッジ1は、インクジェット記録装置のカートリッジ装着部100に取り付けられる容器使用時に、液体導出部9が前面壁5cの略中心(接続口7aの中心線S上)に対して容器使用時の高さ方向上側に位置する。
【0062】
そこで、一般的に、容器使用時には容器本体5の前面壁5cにおける略中心の高さに位置するインクパック7の接続口7aよりも、容器本体5の液体導出部9が上側に位置するので、その水頭差分だけ液体導出部9の静圧を下げることができ、液体導出部9からのインクの漏れを低減することができる。すなわち、接続口7aからのインクの流路は、接続口7aから液体導出部9に向けて鉛直方向に上昇する流路になり、この上昇する流路において、インクの圧力からインクの重力が差し引かれるので、液体導出部9にかかるインクの圧力が低減される。
【0063】
尚、上記第1実施形態のインクカートリッジ1においては、残量検出手段11の内部流路を、接続口7aと液体導出部9の間に形成される容器本体5の幅方向(図2の矢印X方向)に延びる流路として構成し、該流路の一部に設けられる付加機能部として残量検出手段11を設けた例について説明したが、本発明に係る付加機能部はこれに限定されるものではない。
【0064】
例えば、図11に示した第2実施形態としてのインクカートリッジ110は、上記第1実施形態のインクカートリッジ1における残量検出手段11に代えて、付加機能部としての気泡トラップ手段111を接続口7aと液体導出部9の間に設けた液体収容容器である。尚、上記実施形態のインクカートリッジ1と同様の構成部材については、同符号付して詳細な説明を省略する。
【0065】
インクカートリッジ110においては、図11に示すように、内部流路112a,112b及びトラップ室113を、接続口7aと液体導出部9の間に形成される容器本体5の幅方向(図11の上下方向)に延びる流路として構成し、該流路の一部に設けられる付加機能部として気泡トラップ手段111を設けた。
【0066】
これによって、インクパック7内及び内部流路112a内のインク中の気泡が、液体導出部9からインクと伴に記録ヘッドに供給されることがなくなり、記録ヘッドの印字品質を良好に維持できる。即ち、インクパック7の可撓性袋体7bを浸透した外気や、液体導出部9から逆流した脱気度の低下したインクなどにより、インクパック7内及び内部流路112a内のインクに気泡が発生した場合でも、流路内の気泡はトラップ室113において捕捉され、内部流路112から液体導出部9へ流出することがない。
【0067】
従って、上記第1及び第2実施形態のインクカートリッジ1,110は、液体導出部9が接続口7aの中心線Sに対してずれた位置に設けられることよって、接続口7aと液体導出部9の間に容器本体5の幅方向に延びる流路が形成されるので、容器本体5の長手方向の拡大寸法を最小限としながら、この流路に上述した残量検出手段11や気泡トラップ手段111など付加機能部をコンパクトに設けることができる。
【0068】
図12及び図13に示した第3実施形態としてのインクカートリッジ120は、上記第1実施形態のインクカートリッジ1における残量検出手段11に代えて、オフセット流路部材121が、容器本体5に着脱可能に装着されている。尚、上記第1実施形態のインクカートリッジ1と同様の構成部材については、同符号付して詳細な説明を省略する。
【0069】
インクカートリッジ120においては、図13に示すように、オフセット流路部材121の流路122が、インクパック7の接続口7aと液体導出部9の間に形成される容器本体5の幅方向(図13の上下方向)に延びる流路として構成されている。
このオフセット流路部材121は、容器本体5との連結部に、上記第1実施形態の検出手段嵌合部23と同様に、容器本体5とオフセット流路部材121とが相対的に回転して着脱可能な嵌合手段を備えている。
【0070】
即ち、本第3実施形態のインクカートリッジ120は、オフセット流路部材121を用いることで、接続口7aの中心線Sに対してずれた位置に、液体導出部9を容易に設けることができ、液体導出部9の形成位置の自由度が増す。
そして、本第3実施形態のインクカートリッジ120は、上記第1実施形態のインクカートリッジ1と同様に、液体導出部9が、前面壁5cに配置された位置決め孔27に近い位置に設けられるので、インクカートリッジの大型化に伴って生じる可能性があるカートリッジ装着部100の位置決めピン106,107と容器本体5の位置決め孔27,28との間の寸法公差拡大の影響を低減することができる。そこで、カートリッジ装着部100の液体供給部102に対する容器本体5の液体導出部9の位置精度が向上し、液体導出部9と液体供給部102との接続をスムーズに行うことができ、インクカートリッジ120の装着性の低下を防止できる。
【0071】
更に、本第3実施形態のインクカートリッジ120も、インクジェット記録装置のカートリッジ装着部100に取り付けられる容器使用時に、液体導出部9が前面壁5cの略中心(接続口7aの中心線S上)に対して容器使用時の高さ方向上側に位置する。そこで、一般的に、容器使用時には容器本体5の前面壁5cにおける略中心の高さに位置するインクパック7の接続口7aよりも、容器本体5の液体導出部9が上側に位置するので、その水頭差分だけ液体導出部9の静圧を下げることができ、液体導出部9からのインクの漏れを低減することができる。
【0072】
図14は本発明の第4実施形態に係る液体収容容器の要部断面図である。尚、上記第1実施形態のインクカートリッジ1と略同様の構成部材については、同符号付して詳細な説明を省略する。
【0073】
本第4実施形態のインクカートリッジ130は、カートリッジ装着部100に着脱自在に装着され、液体収容部としてのインクパック137に貯留しているインクを記録装置に装備された記録ヘッドに供給する容器本体5と、インクパック137に設けられたインクを導出する接続口7aと、容器本体5の装着方向の先端面である前面壁5cに設けられ、カートリッジ装着部100に設けられた液体供給部102を接続口7aに連通させる液体導出部9と、前面壁5cが対向する容器装着部100の2箇所に設けられた位置決めピン106,107が嵌合することによって、前面壁5cに沿う方向の移動を規制する2つの位置決め孔27,28と、を備える。
【0074】
このインクカートリッジ130に係るインクパック137は、袋体収容部3の加圧により貯留しているインクを排出する接続口7aが、可撓性袋体7bの一端側において一側縁側(図14中、上側縁側)にオフセットして接合されている。
一方、カートリッジ装着部100に設けられた液体供給部102を接続口7aに連通させる液体導出部9は、前面壁5cの幅方向両端側にそれぞれ配置された2つの位置決め孔27,28の一方の側である位置決め孔27に近い位置に設けられている。
【0075】
そこで、インクパック137の接続口7aと液体導出部9とは、前面壁5cの略中心に対して図中の上方向にずれた位置となるオフセット位置に、中心線が一致して設けられている。
そして、実際にインクカートリッジ130がインクジェット記録装置に取り付けられる容器使用時には、図14に示したように、液体導出部9が、前面壁5cの略中心に対して容器使用時の高さ方向上側に設けられる。
【0076】
従って、本第4実施形態のインクカートリッジ130によれば、液体導出部9が、前面壁5cに配置された位置決め孔27に近い位置に設けられるので、インクカートリッジの大型化に伴って生じる可能性があるカートリッジ装着部100の位置決めピン106,107と容器本体5の位置決め孔27,28との間の寸法公差拡大の影響を低減することができる。そこで、カートリッジ装着部100の液体供給部102に対する容器本体5の液体導出部9の位置精度が向上し、液体導出部9と液体供給部102との接続をスムーズに行うことができ、インクカートリッジ130の装着性の低下を防止できる。
【0077】
更に、本第4実施形態のインクカートリッジ130は、インクジェット記録装置のカートリッジ装着部100に取り付けられる容器使用時に、液体導出部9と伴に接続口7aが前面壁5cの略中心に対して容器使用時の高さ方向上側に位置するので、インクパック137内のインクの自重により接続口7aを介して液体導出部9にかかるインクの圧力を下げることができ、液体導出部9からのインクの漏れを低減することができる。
【0078】
尚、上記実施形態においては、カートリッジ装着部100の2箇所に設けられた位置決めピン106,107が嵌合することによって、前面壁5cに沿う方向の移動を規制する2つの位置決め孔27,28を備えた容器本体5について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、カートリッジ装着部の2箇所に設けられた凸部が嵌合する2つの凹部を備えた容器本体において、これら凹部のいずれか一方の側に近い位置に液体導出部を設けることもできる。
また、位置決め孔並びに位置決めピンの数は、少なくとも2つあるのが好ましく、2つ以上であってもよい。位置決め孔が2つ以上の場合には、複数の位置決め孔のうちいずれか一つに近接するように液体導出部が設けられることが望ましい。
【0079】
また、本発明の液体収容容器の用途は、インクジェット記録装置のインクカートリッジに限らない。液体噴射ヘッドを備える各種の液体消費装置に流用可能である。
また、液体噴射ヘッドを備える液体消費装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレー等のカラーフィルタ製造に用いられる色材噴射ヘッドを備えた装置、有機ELディスプレー、面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッドを備えた装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドを備えた装置、精密ピペットとしての試料噴射ヘッドを備えた装置、捺染装置やマイクロデスペンサ等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液体収容容器の分解斜視図。
【図2】図1に示した液体収容容器の組立状態の斜視図。
【図3】(a)は図1に示した容器本体の袋体収容部に液体収容部であるインクパックと該インクパックの周囲の隙間を埋めるスペーサとを装着した状態の斜視図、(b)は(a)のA部拡大図。
【図4】図1に示した残量検出手段の裏面側からの斜視図。
【図5】検出手段嵌合部に、残量検出手段を嵌合装着した状態の斜視図。
【図6】図5のVI−VI断面矢視図。
【図7】容器本体の組み付け工程を示す斜視図。
【図8】図7のVIII−VIII断面矢視図。
【図9】図7に示した組立工程の完了時の状態を示す斜視図。
【図10】(a)は液体消費装置の容器装着部を示す正面図、(b)は(a)のC−C断面図矢視図。
【図11】本発明の第2実施形態に係る液体収容容器の要部拡大断面図。
【図12】(a)は本発明の第3実施形態に係る液体収容容器の正面図、(b)は(a)のD−D断面図矢視図。
【図13】図12(b)のE部拡大図。
【図14】本発明の第4実施形態に係る液体収容容器の要部拡大断面図。
【図15】従来の液体収容容器の斜視図。
【図16】図15に示した液体収容容器と容器装着部の要部断面図。
【図17】図15に示した液体収容容器に収容されるインクパックの斜視図。
【符号の説明】
【0081】
1 インクカートリッジ(液体収容容器)、3 袋体収容部、5 容器本体、5c 前面壁(容器本体の装着方向の先端面)、7 インクパック(液体収容部)、7a 接続口、7b 可撓性袋体、9 液体導出部、11 残量検出手段(オフセット流路部材)、11a 接続針、23 検出手段嵌合部(嵌合手段)、23a,23b 凸壁、24 係止溝、27,28 位置決め孔(位置決め手段)、35 容器嵌合部(嵌合手段)、35a,35b 凸壁、38 係止片、100 カートリッジ装着部(容器装着部)、102 液体供給部、106,107 位置決めピン(位置決め部材)、O1 容器嵌合部の回転中心、O2 接続針の中心
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着され、液体収容部に貯留している液体を前記液体消費装置に供給する液体収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体消費装置に使用される液体を収容した液体収容容器として、例えばインクジェットプリンタに使用されるインクカートリッジが挙げられる。インクジェットプリンタ用のインクカートリッジは、印刷ヘッドに供給するインクを収容しているインク収容室(液体収容部)が容器本体内に設けられ、使用の際には所定位置のカートリッジ装着部(容器装着部)に着脱自在に嵌合装着される。そして、インク収容室内に収容されたインクは、ホストコンピュータから送られた印刷データに応じて駆動する印刷ヘッドに供給され、印刷ヘッドに設けられたノズルによって用紙等の被印刷物上の目標位置に噴射される。
【0003】
また一般に、インクジェットプリンタは、インク滴を吐出する印刷ヘッドが搭載され被印刷物の搬送方向と直交する方向に往復移動するキャリッジを備えている。そして、インクカートリッジから印刷ヘッドへのインクの供給方式としては、キャリッジに設けられたカートリッジ装着部にインクカートリッジを着脱自在に装着し、印刷ヘッドとともに往復移動するインクカートリッジから印刷ヘッドにインクを供給する方式(所謂オンキャリッジタイプ)がある。また、他の方式としては、インクカートリッジをインクジェットプリンタのキャリッジ以外の箇所に設けられたカートリッジ装着部に着脱自在に装着するとともに、可撓性チューブ等で形成したインク流路を介してインクカートリッジから印刷ヘッドにインクを供給する方式(所謂オフキャリッジタイプ)がある。
【0004】
そして、オフキャリッジタイプのインクジェットプリンタに装着されるインクカートリッジとしては、特許文献1に記載された構成のもの等、種々の構成が提案されている。
図15及び図16に示すインクカートリッジ201は、特許文献1に記載されたものであり、インクジェットプリンタのカートリッジ装着部203に装着される容器本体205内に、容器本体205内の加圧室207に供給される加圧空気による圧力で容積が縮小可能なインクパック209が収容されるとともに、インクパック209にインクジェットプリンタで使用されるインク液が収容される。
【0005】
容器本体205の一面(装着方向の先端面)には、図16に示すように、カートリッジ装着部203内の2箇所に設けられた位置決め部材211との嵌合により容器本体205の位置決めを果たす2つの位置決め嵌合部(位置決め手段)213と、カートリッジ装着部203のインク供給路(液体供給部)215をインクパック209に接続するインク導出口(液体導出部)217と、カートリッジ装着部203の加圧空気供給路219を加圧室207に接続する加圧空気導入部221と、が設けられている。上記インクカートリッジ201では、インク導出口217が、容器本体205の一面の略中心に設けられている。
【0006】
インクパック209は、図17に示すように、収容したインクを外部に導出するインク導出口217を可撓性袋体216に設けた構成である。可撓性袋体216は、例えば、2枚のラミネートフィルムを重ねて、それぞれのラミネートフィルムの外周縁同士を溶着させることにより形成されている。
【0007】
【特許文献1】特開2002−19135号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、最近の液体収容容器の大型化に伴って、容器本体205の成形誤差や組立誤差が大きくなり、位置決め嵌合部213とインク導出口217の間の寸法公差も大きくなってきた。
そこで、上述したようなインクカートリッジ201をカートリッジ装着部203に装着する際には、インク供給路215に対するインク導出口217の位置精度が低下する為、インク供給路215とインク導出口217の接続がスムーズに行えず、カートリッジ装着性の低下を招く可能性がある。
【0009】
また、近年、記録品質の向上のために液体収容容器の数が多くなるのに伴い、高密度な収容が可能となる液体収容容器の縦置きが想定されるようになってきた。
そこで、上述したようなインクカートリッジ201を縦置きした場合には、液体収容容器の大型化に伴ってインクパック209へ充填するインク量が多くなると、非加圧時にもパック内圧力が上昇する。その結果、インク導出口217におけるインク垂れ量が増加してしまう可能性がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は上記課題を解消することに係り、液体収容容器の大型化に伴う液体導出部と液体供給部の接続性低下の防止や、液体導出部の液垂れ防止を図ることができる良好な液体収容容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記目的は、液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着可能であり、液体を貯留している液体収容部を有する容器本体と、
前記液体収容部に設けられ、前記液体を導出する接続口と、
前記容器本体の一の面に設けられ、前記液体を前記液体消費装置に供給するための液体導出部と、
前記容器本体が前記液体消費装置に装着された際に、前記一の面が対向する前記容器装着部の複数箇所に設けられた位置決め部材が嵌合することによって、前記容器本体の位置決めを行う複数の位置決め手段と、を備えた液体収容容器であって、
前記液体導出部が、前記複数の位置決め手段のうちいずれか一つに近接するように設けられることを特徴とする液体収容容器により達成される。
【0012】
上記構成の液体収容容器によれば、液体導出部が、一の面に配置された位置決め手段に近接するように設けられるので、液体収容容器の大型化に伴って生じる可能性がある容器装着部の位置決め部材と容器本体の位置決め手段との間の寸法公差拡大の影響を低減することができる。そこで、容器装着部の液体供給部に対する容器本体の液体導出部の位置精度が向上し、液体導出部と液体供給部との接続をスムーズに行うことができ、液体収容容器の装着性の低下を防止できる。
【0013】
尚、上記構成の液体収容容器において、前記液体導出部が、前記接続口の開口の中心線に対してずれた位置に設けられることが望ましい。
【0014】
このような構成の液体収容容器によれば、接続口と液体導出部の間に、容器本体の幅方向に延びる流路が形成される。そこで、容器本体の長手方向(奥行き方向)の拡大寸法を最小限としながら、この流路の一部に付加機能部を設けることができる。従って、残量検出手段や気泡トラップ室等の付加機能部を備えたコンパクトな液体収容容器を構成することができる。
【0015】
また、上記構成の液体収容容器において、前記接続口と前記液体導出部の間を連通する流路を有するオフセット流路部材を備えると共に、前記容器本体と前記オフセット流路部材との連結部に、前記容器本体と前記オフセット流路部材とが相対的に回転して着脱可能な嵌合手段を備えることが望ましい。
【0016】
このような構成の液体収容容器によれば、オフセット流路部材を用いることで、接続口の開口の中心線に対してずれた位置に、液体導出部を容易に設けることができる。そこで、液体導出部の形成位置の自由度が増す。
また、容器本体へのオフセット流路部材の取り付けは、互いの連結部に装備された嵌合手段により、相互の連結部を嵌合させた後に、相互を相対回転させるという単純な操作で完了させることができる。
【0017】
また、本発明の上記目的は、液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着可能であり、液体収容部に貯留している液体を前記液体消費装置に供給する容器本体と、
前記液体収容部に設けられた液体を導出する接続口と、
前記容器本体の装着方向の先端面に設けられ、前記容器装着部に設けられた液体供給部を前記接続口に連通させる液体導出部と、を備えた液体収容容器であって、
前記液体導出部が、前記装着方向の先端面の略中心に対して前記容器本体が前記液体消費装置に装着された時の高さ方向上側に設けられることを特徴とする液体収容容器により達成される。
【0018】
上記構成の液体収容容器によれば、一般的に、容器本体が液体消費装置に装着された時には容器本体の装着方向の先端面における略中心の高さに位置する液体収容部の接続口よりも、容器本体の液体導出部が上側に位置するので、その水頭差分だけ液体導出部の静圧を下げることができ、液体導出部からの液体の漏れを低減することができる。
【0019】
尚、上記構成の液体収容容器において、前記液体導出部が、前記接続口の開口の中心線に対してずれた位置に設けられることが望ましい。
【0020】
このような構成の液体収容容器によれば、接続口と液体導出部の間に、容器本体の幅方向に延びる流路が形成される。そこで、容器本体の長手方向(奥行き方向)の拡大寸法を最小限としながら、この流路の一部に付加機能部を設けることができる。従って、残量検出手段や気泡トラップ室等の付加機能部を備えたコンパクトな液体収容容器を構成することができる。
【0021】
また、上記構成の液体収容容器において、前記接続口と前記液体導出部の間を連通する流路を有するオフセット流路部材を備えると共に、前記容器本体と前記オフセット流路部材との連結部に、前記容器本体と前記オフセット流路部材とが相対的に回転して着脱可能な嵌合手段を備えることが望ましい。
【0022】
このような構成の液体収容容器によれば、オフセット流路部材を用いることで、接続口の中心線に対してずれた位置に、液体導出部を容易に設けることができる。そこで、液体導出部の形成位置の自由度が増す。
また、容器本体へのオフセット流路部材の取り付けは、互いの連結部に装備された嵌合手段により、相互の連結部を嵌合させた後に、相互を相対回転させるという単純な操作で完了させることができる。
【0023】
また、本発明の上記目的は、液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着され、液体収容部に貯留している液体を前記液体消費装置に供給する容器本体と、
前記液体収容部に設けられた液体を導出する接続口と、
前記容器本体の装着方向先端面に設けられ、前記容器装着部に設けられた液体供給部を前記接続口に連通させる液体導出部と、
前記装着方向先端面が対向する前記容器装着部の2箇所に設けられた凸部が入る2つの凹部と、を備えた液体収容容器であって、
前記液体導出部が、前記装着方向先端面の幅方向両端側にそれぞれ配置された前記2つの凹部のいずれか一方の側に近い位置に設けられることを特徴とする液体収容容器により達成される。
【0024】
また、本発明の上記目的は、液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着可能な液体収容容器において、
前記液体収容容器は、
液体を貯留している液体収容部と、
前記液体収容部に設けられ、前記液体を導出する接続口と、
前記液体収容容器の前面壁に設けられ、前記液体を前記液体消費装置に供給するための液体導出部と、
前記前面壁の両側に設けられ、前記液体収容容器が前記液体消費装置に装着された際に、前記前面壁が対向する前記容器装着部に設けられた第1及び第2の位置決め部材が嵌合することによって、前記容器本体の位置決めを行う第1及び第2の位置決め孔と、を備え、
前記液体導出部が、前記第2の位置決め孔よりも前記第1の位置決め孔の近くに設けられたことを特徴とする液体収容容器により達成される。
【0025】
尚、上記構成の液体収容容器において、前記第1の位置決め孔は、前記液体収容容器が前記液体消費装置に装着された際に前記第2の位置決め孔よりも上部に位置することが好ましい。
【0026】
尚、上記構成の液体収容容器において、前記液体収容容器は、前記前面壁と直交し、前記液体収容容器が前記液体消費装置に装着された際に上面に位置する側壁を有し、前記側壁には前記液体消費装置に設けられた接続端子と接触可能な回路基板が設けられることが好ましい。
【0027】
尚、上記構成の液体収容容器において、前記液体収容容器は、前記前面壁と直交し、前記液体収容容器が前記液体消費装置に装着された際に下面に位置する側壁を有し、前記側壁には前記液体消費装置に設けられた係合手段と係合可能な係合部が設けられることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、添付図面に基づいて本発明の一実施形態に係る液体収容容器を詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係る液体収容容器の分解斜視図、図2は図1に示した液体収容容器の組立状態の斜視図、図3(a)は図1に示した容器本体の袋体収容部に液体収容部であるインクパックと該インクパックの周囲の隙間を埋めるスペーサとを装着した状態の斜視図、図3(b)は図3(a)のA部拡大図、図4は図1に示した残量検出手段の裏面側からの斜視図である。
【0029】
図1及び図2に示したインクカートリッジ(液体収容容器)1は、商業用のインクジェット式記録装置(液体消費装置)のカートリッジ装着部(容器装着部)100に着脱自在に装着されて、記録装置に装備された記録ヘッド(液体噴射ヘッド)にインクを供給する(図10参照)。
【0030】
本実施形態のインクカートリッジ1は、インクジェット式記録装置のカートリッジ装着部100に着脱自在に装着可能であり、液体収容部としてのインクパック7に貯留しているインク(液体)を記録装置に装備された記録ヘッドに供給する容器本体5と、インクパック7に設けられたインクを導出する接続口7aと、容器本体5の装着方向の先端面である前面壁5cに設けられ、カートリッジ装着部100に設けられた液体供給部102を接続口7aに連通させる液体導出部9と、前面壁5cが対向する容器装着部100の2箇所に設けられた位置決めピン(位置決め部材)106,107が嵌合することによって、前面壁5cに沿う方向の移動を規制する2つの位置決め孔(位置決め手段)27,28と、を備える。
【0031】
このインクカートリッジ1に係るインクパック7は、加圧手段によって加圧される袋体収容部3内に収容され、袋体収容部3の加圧により貯留しているインクを接続口7aから排出する。
また、外部の記録ヘッドにインクを供給するための液体導出部9は、容器本体5に着脱可能に装着される付加機能部としての残量検出手段11に設けられている。この残量検出手段11は、インクパック7の接続口7aと液体導出部9の間を連通する流路を有するオフセット流路部材であり、容器本体5と残量検出手段11との連結部に、容器本体5と残量検出手段11とが相対的に回転して着脱可能な検出手段嵌合部(嵌合手段)23を備える。
【0032】
容器本体5は、樹脂成形によって形成された筐体で、上部を開放した略箱形の袋体収容部3と、この袋体収容部3の前面側に位置して残量検出手段11を収容する検出手段収容部13とが区画形成されている。
すなわち、このインクカートリッジ1の容器本体5は、前面壁5cと、後面壁5fと、インクカートリッジ1がインクジェット式記録装置のカートリッジ装着部100に装着された状態(以下、装着状態と呼ぶ)で上面に位置する第1の側壁5dと、インクカートリッジ1の装着状態で下方に位置する第2の側壁5eと、インクカートリッジ1の装着状態で垂直面となる第3の側壁5gと、袋体収容部3と検出手段収容部13との間を区画している隔壁5aとから構成される。
袋体収容部3の開放面は、インクパック7の収容後にシールフィルム15によって封止される。これにより、袋体収容部3が密封室になり、加圧手段によって加圧される。
【0033】
袋体収容部3と検出手段収容部13との間を区画している隔壁5aには、密封室に形成された袋体収容部3内に加圧空気を送給するための連通路である加圧口17が装備されている。インクカートリッジ1をインクジェット式記録装置のカートリッジ装着部100に装着すると、図10に示すカートリッジ装着部側の加圧空気供給手段104が加圧口17に接続され、袋体収容部3内に供給される加圧空気によってインクパック7を加圧することが可能になる。
【0034】
インクパック7は、樹脂フィルム層の上にアルミニウム層が積層形成されたアルミラミネート複層フィルムにより形成した可撓性袋体7bの一端側に、残量検出手段11の接続針11a(図4参照)が挿入接続される筒状の接続口7aを接合したものである。なお、アルミラミネート複層フィルムを使用したことで、高いガスバリア性を確保している。
【0035】
なお、液体収容部の具体的な構造は、上記インクパック7に限らない。例えば、可撓性袋体を使用するパックではなく、容器にインクを充填させて、インクをフィルム等で覆った構成としても良い。
【0036】
インクパック7の接続口7aは、隔壁5aに形成した接続口挿通用の開口18を気密に挿通して、図3に示すように先端が検出手段収容部13内に突出するようになっている。
インクパック7には、残量検出手段11を接続する前に、予め脱気度の高い状態に調整されたインクが充填される。
【0037】
袋体収容部3にインクパック7を装着したときには、可撓性袋体7bの前後の傾斜部7c,7dの上に、樹脂製のスペーサ19が装着される。樹脂製のスペーサ19は、袋体収容部3の上面がシールフィルム15によって覆われて、袋体収容部3が密封室となる時に、該密封室内でインクパック7がガタつくことを防止すると同時に、落下の際、インクパック7内のインク移動による圧力がインクパック7の溶着部に集中することを防止する。
【0038】
袋体収容部3を含んで検出手段収容部13の開放面を封止したシールフィルム15の上には、樹脂製のカバー21が装着される。樹脂製のカバー21は、容器本体5の上に被せると、不図示の係合手段が、容器本体5の第2の側壁5eに設けられた係合部に係合して、容器本体5に固定される。
【0039】
隔壁5aに開口した開口18の周囲には、図3(b)に示すように、連結部として、残量検出手段11が相対回転可能に嵌合装着される検出手段嵌合部23が装備されている。
本実施形態の場合、検出手段嵌合部23は、2つの湾曲した凸壁23a,23bを備え、これらの凸壁23a,23bにより残量検出手段11の回転中心を規制する環構造を形成している。
また、図3(b)に示すように、検出手段嵌合部23に近接した位置で、隔壁5aに直交する如く検出手段収容部13に立設された隔壁5bには、検出手段嵌合部23に嵌合した残量検出手段11の抜けを防止する係止溝24が装備されている。
【0040】
検出手段収容部13の前面側を覆う隔壁である容器本体5の前面壁(装着方向の先端面)5cは、残量検出手段11の取り付け操作のために、検出手段嵌合部23と対向する位置に切り欠きによる開口26が形成されている。
図2に示すように、前面壁5cの両側部には、インクカートリッジ1をカートリッジ装着部100に装着した際に、カートリッジ装着部100側に装備されている位置決めピン106,107が挿入される位置決め孔27,28が装備されている(図10参照)。
一方の位置決め孔27は丸孔に設定され、他方の位置決め孔28は容器本体5の幅方向(図2の矢印X方向)に細長い長孔に設定されている。このように、一方の位置決め孔28を長孔に形成しておくことで、位置決め精度を保つ一方で寸法公差等の許容が容易になる。
【0041】
更に、前面壁5cに設けられる液体導出部9は、図7に示すように、前面壁5cの幅方向両端側にそれぞれ配置された2つの位置決め孔27(第1の位置決め孔),28(第2の位置決め孔)の間に設けられ、2つの位置決め孔27,28の一方の側である位置決め孔27に近い位置に設けられている。さらに、液体導出部9は2つの位置決め孔27,28を結ぶ仮想線からは図中の上下方向において上方にずれて配置される。そこで、インクパック7の接続口7aの位置と液体導出部9の位置とは、図中の左右方向にずれており、液体導出部9が接続口7aの中心線S対してずれた位置となるオフセット位置に設けられている。
【0042】
そして、実際にインクカートリッジ1がインクジェット記録装置に取り付けられる容器使用時には、図7のカートリッジを時計回りに90°回転させた状態となる。このため、液体導出部9は、前面壁5cの略中心(接続口7aの開口の中心線S上)に対して容器使用時の高さ方向上側に設けられる。
【0043】
丸孔の位置決め孔27に近い容器本体5の第1の側壁5d上で、前面寄りの位置には、インクカートリッジ1をカートリッジ装着部100に装着した際にカートリッジ装着部100側に装備された接続端子109に接触して電気的な接続を果たす回路基板31が装備されている(図10参照)。
この回路基板31は、その裏面に配置されるメモリ素子や、残量検出手段11に搭載される圧電素子をインクジェット式記録装置側の制御回路に電気接続し、これらのメモリ素子や圧電素子の動作を記録装置側から制御可能にする。
【0044】
オフセット流路部材としての本第1実施形態の残量検出手段11は、図1及び図4に示すように、連結部として容器本体5の検出手段嵌合部23(図3参照)に相対回転可能に嵌合する容器嵌合部35と、検出手段嵌合部23に容器嵌合部35を嵌合させた状態で残量検出手段11を回転させると容器本体5への固定を果たす固定手段37と、接続口7aが接続される接続針11aを介して可撓性袋体7b内のインクを液体導出部9に誘導する不図示の内部流路と、この内部流路内へのインクの流入状態(圧力変動)からインク残量を検出する不図示のセンサとを備えている。
【0045】
本実施形態の場合、容器嵌合部35は、検出手段嵌合部23の凸壁23a,23bに対し着脱可能に形成され、且つ回転可能に嵌合する2つの湾曲した凸壁35a,35bを備え、これらの凸壁35a,35bにより残量検出手段11の回転中心を規制する環構造を形成している。
【0046】
以上の構成において、隔壁5aに形成した検出手段嵌合部23と、液体残量検出ユニット11に設けた容器嵌合部35とが、容器本体5と液体残量検出ユニット11とを相対回転可能に連結する嵌合手段を構成している。
【0047】
固定手段37は、容器嵌合部35の外周に突設された係止片38と、回転移動する先端側に設けられた係合部39とから構成されている。
係止片38は、図5に示すように検出手段嵌合部23に容器嵌合部35を嵌合させた状態から矢印(B)に示すように残量検出手段11を回転させた時に、容器本体5側の係止溝24(図3参照)に係合して、図7及び図8に示すように、嵌合部のカートリッジ装着部側への抜け止めを果たす。一方、係合部39は、図5に示すように検出手段嵌合部23に容器嵌合部35を嵌合させた状態から矢印(B)に示すように残量検出手段11を回転させた時に、容器本体5側に装備された係合部に係合して、回転を規制する。
【0048】
本実施の形態の場合、図6に示すように、容器嵌合部35の回転中心O1が、接続針1aの中心O2から容器本体5の開放面側に向かって距離Lだけずれて設定されている。
更に、残量検出手段11の容器嵌合部35を容器本体5の検出手段嵌合部23に嵌合させて、図7及び図8に示すように、残量検出手段11の回転により係止片38の係止溝24への係合を完了させたとき、接続針11aが、容器本体5の袋体収容部3に収容されるインクパック7の接続口7aの略中心に位置決めされるように、回転中心O1と中心O2の偏心量が設定されている。
【0049】
言い換えれば、残量検出手段11が容器本体5に嵌合された状態では、接続針11aの位置が、隔壁5aに開口した開口18の中心から外れた位置となる偏芯状態位置となり、残量検出手段11が容器本体5に結合された状態では、接続針11aの位置が、開口18の中心となる中心状態位置となるように設定されて、残量検出手段がその回転操作によって偏芯状態位置と中心状態位置とを移動するように形成され、回転軌跡を小さくするようにしている。
【0050】
以上に説明した本第1実施形態のインクカートリッジ1によれば、液体導出部9が、前面壁5cに配置された位置決め孔27に近い位置に設けられるので、インクカートリッジの大型化に伴って生じる可能性があるカートリッジ装着部100の位置決めピン106,107と容器本体5の位置決め孔27,28との間の寸法公差拡大の影響を低減することができる。そこで、カートリッジ装着部100の液体供給部102に対する容器本体5の液体導出部9の位置精度が向上し、液体導出部9と液体供給部102との接続をスムーズに行うことができ、インクカートリッジ1の装着性の低下を防止できる。
【0051】
更に、本実施形態のインクカートリッジ1においては、液体導出部9が、インクパック7の接続口7aの中心線Sに対してずれた位置に設けられている。そこで、接続口7aと液体導出部9の間に、容器本体5の幅方向に延びる流路が形成される。そこで、容器本体5の長手方向(奥行き方向)の拡大寸法を最小限としながら、この流路の一部に付加機能部としての残量検出手段11を設けることができ、残量検出手段11を備えたコンパクトなインクカートリッジ1を構成することができる。
【0052】
また、本実施形態のインクカートリッジ1においては、インクパック7の接続口7aと液体導出部9の間を連通する流路を有するオフセット流路部材としての残量検出手段11を備えると共に、容器本体5と残量検出手段11との連結部に、容器本体5と残量検出手段11とが相対的に回転して着脱可能な検出手段嵌合部23を備えている。そこで、この様なオフセット流路部材としての残量検出手段11を用いることで、接続口7aの中心線Sに対してずれた位置に、液体導出部9を容易に設けることができ、液体導出部9の形成位置の自由度が増す。
【0053】
また、本実施形態のインクカートリッジ1においては、液体導出部9が前面壁5cに配置された位置決め孔27に近い位置に設けられるだけでなく、回路基板31が位置決め孔27に近い容器本体の上面壁5d上であって前面壁5c側に設けられるので、インクカートリッジ1をカートリッジ装着部100に装着した際にカートリッジ装着部100側に装備された接続端子109との良好な電気的接触を確保することができる。
【0054】
そして、図5及び図6に示すように容器本体5の検出手段嵌合部23に残量検出手段11の容器嵌合部35を嵌合させた後、図5に示す矢印(B)方向に残量検出手段11を嵌合部の周囲に回転させると、容器嵌合部35の外周に突設されている係止片38が容器本体5側の係止溝24に係合すると共に、係合部39が容器本体5側の係合部に係合して、残量検出手段11が容器本体5に固定される。
【0055】
即ち、インクパック7を収容する容器本体5への残量検出手段11の取り付けは、相互の連結部に装備された嵌合手段である互いの嵌合部35,23を嵌合させた後に、残量検出手段11を回転させるという単純な操作で完了するため、組立性が良く、組立性の向上によりインクカートリッジ1の生産性を向上させることができる。
【0056】
しかも、容器嵌合部35の回転中心O1が、接続針11aの中心O2からずれて設定されているため、回転操作によって容器本体5に係合させる残量検出手段11の係止片38の回転軌跡を小さく抑えることができ、これによって、容器本体5側に装備する係止溝24の位置を、残量検出手段11の回転中心により接近させて配置したり、係止溝24の深さの低減ができたりするため、容器本体5をコンパクトにまとめて、インクカートリッジ1の大型化を防止することができる。
【0057】
また、上記実施の形態のインクカートリッジ1では、残量検出手段11の容器嵌合部35を容器本体5の検出手段嵌合部23に嵌合させて、残量検出手段11の回転により係止片38の係止溝24への係合を完了させたとき、図8に示すように、接続針11aが、容器本体5の袋体収容部3に収容されるインクパック7の接続口7aの略中心に位置決めされる。
【0058】
そのため、図7に示したように、残量検出手段11を回転操作により容器本体5に固定した後に、容器本体5の袋体収容部3にインクパック7をセットする製造方法を採用することで、インクパック7の接続口7aを、簡単に残量検出手段11の接続針11aに位置合わせすることができ、残量検出手段11とインクパック7との接続を容易にして、更に組立性を向上させることができる。
【0059】
また、上記実施形態のインクカートリッジ1では、容器本体5の検出手段嵌合部23及び残量検出手段11の容器嵌合部35は、いずれも、一つ以上の凸壁により、相手の環構造に相対回転自在に嵌合する構成としており、凸壁の装備が間欠的なため、検出手段嵌合部23及び容器嵌合部35を互いに嵌合する円筒構造にする場合と比較して、成形時の型抜き性を向上させることができ、検出手段嵌合部23や容器嵌合部35の製造が容易になる。
【0060】
なお、検出手段嵌合部23や容器嵌合部35の具体的な構造は、上記実施形態のものに限らない。上記実施形態では、検出手段嵌合部23や容器嵌合部35は、二つの凸壁により形成したが、一つ又は、3つ以上の凸壁により、回転中心を規制する環構造を形成するようにしてもよい。更に、凸壁の代わりに、少なくとも一つ以上の凹溝により相手の回転中心を規制する環構造を形成するようにしてもよい。
【0061】
更に、本第1実施形態のインクカートリッジ1は、インクジェット記録装置のカートリッジ装着部100に取り付けられる容器使用時に、液体導出部9が前面壁5cの略中心(接続口7aの中心線S上)に対して容器使用時の高さ方向上側に位置する。
【0062】
そこで、一般的に、容器使用時には容器本体5の前面壁5cにおける略中心の高さに位置するインクパック7の接続口7aよりも、容器本体5の液体導出部9が上側に位置するので、その水頭差分だけ液体導出部9の静圧を下げることができ、液体導出部9からのインクの漏れを低減することができる。すなわち、接続口7aからのインクの流路は、接続口7aから液体導出部9に向けて鉛直方向に上昇する流路になり、この上昇する流路において、インクの圧力からインクの重力が差し引かれるので、液体導出部9にかかるインクの圧力が低減される。
【0063】
尚、上記第1実施形態のインクカートリッジ1においては、残量検出手段11の内部流路を、接続口7aと液体導出部9の間に形成される容器本体5の幅方向(図2の矢印X方向)に延びる流路として構成し、該流路の一部に設けられる付加機能部として残量検出手段11を設けた例について説明したが、本発明に係る付加機能部はこれに限定されるものではない。
【0064】
例えば、図11に示した第2実施形態としてのインクカートリッジ110は、上記第1実施形態のインクカートリッジ1における残量検出手段11に代えて、付加機能部としての気泡トラップ手段111を接続口7aと液体導出部9の間に設けた液体収容容器である。尚、上記実施形態のインクカートリッジ1と同様の構成部材については、同符号付して詳細な説明を省略する。
【0065】
インクカートリッジ110においては、図11に示すように、内部流路112a,112b及びトラップ室113を、接続口7aと液体導出部9の間に形成される容器本体5の幅方向(図11の上下方向)に延びる流路として構成し、該流路の一部に設けられる付加機能部として気泡トラップ手段111を設けた。
【0066】
これによって、インクパック7内及び内部流路112a内のインク中の気泡が、液体導出部9からインクと伴に記録ヘッドに供給されることがなくなり、記録ヘッドの印字品質を良好に維持できる。即ち、インクパック7の可撓性袋体7bを浸透した外気や、液体導出部9から逆流した脱気度の低下したインクなどにより、インクパック7内及び内部流路112a内のインクに気泡が発生した場合でも、流路内の気泡はトラップ室113において捕捉され、内部流路112から液体導出部9へ流出することがない。
【0067】
従って、上記第1及び第2実施形態のインクカートリッジ1,110は、液体導出部9が接続口7aの中心線Sに対してずれた位置に設けられることよって、接続口7aと液体導出部9の間に容器本体5の幅方向に延びる流路が形成されるので、容器本体5の長手方向の拡大寸法を最小限としながら、この流路に上述した残量検出手段11や気泡トラップ手段111など付加機能部をコンパクトに設けることができる。
【0068】
図12及び図13に示した第3実施形態としてのインクカートリッジ120は、上記第1実施形態のインクカートリッジ1における残量検出手段11に代えて、オフセット流路部材121が、容器本体5に着脱可能に装着されている。尚、上記第1実施形態のインクカートリッジ1と同様の構成部材については、同符号付して詳細な説明を省略する。
【0069】
インクカートリッジ120においては、図13に示すように、オフセット流路部材121の流路122が、インクパック7の接続口7aと液体導出部9の間に形成される容器本体5の幅方向(図13の上下方向)に延びる流路として構成されている。
このオフセット流路部材121は、容器本体5との連結部に、上記第1実施形態の検出手段嵌合部23と同様に、容器本体5とオフセット流路部材121とが相対的に回転して着脱可能な嵌合手段を備えている。
【0070】
即ち、本第3実施形態のインクカートリッジ120は、オフセット流路部材121を用いることで、接続口7aの中心線Sに対してずれた位置に、液体導出部9を容易に設けることができ、液体導出部9の形成位置の自由度が増す。
そして、本第3実施形態のインクカートリッジ120は、上記第1実施形態のインクカートリッジ1と同様に、液体導出部9が、前面壁5cに配置された位置決め孔27に近い位置に設けられるので、インクカートリッジの大型化に伴って生じる可能性があるカートリッジ装着部100の位置決めピン106,107と容器本体5の位置決め孔27,28との間の寸法公差拡大の影響を低減することができる。そこで、カートリッジ装着部100の液体供給部102に対する容器本体5の液体導出部9の位置精度が向上し、液体導出部9と液体供給部102との接続をスムーズに行うことができ、インクカートリッジ120の装着性の低下を防止できる。
【0071】
更に、本第3実施形態のインクカートリッジ120も、インクジェット記録装置のカートリッジ装着部100に取り付けられる容器使用時に、液体導出部9が前面壁5cの略中心(接続口7aの中心線S上)に対して容器使用時の高さ方向上側に位置する。そこで、一般的に、容器使用時には容器本体5の前面壁5cにおける略中心の高さに位置するインクパック7の接続口7aよりも、容器本体5の液体導出部9が上側に位置するので、その水頭差分だけ液体導出部9の静圧を下げることができ、液体導出部9からのインクの漏れを低減することができる。
【0072】
図14は本発明の第4実施形態に係る液体収容容器の要部断面図である。尚、上記第1実施形態のインクカートリッジ1と略同様の構成部材については、同符号付して詳細な説明を省略する。
【0073】
本第4実施形態のインクカートリッジ130は、カートリッジ装着部100に着脱自在に装着され、液体収容部としてのインクパック137に貯留しているインクを記録装置に装備された記録ヘッドに供給する容器本体5と、インクパック137に設けられたインクを導出する接続口7aと、容器本体5の装着方向の先端面である前面壁5cに設けられ、カートリッジ装着部100に設けられた液体供給部102を接続口7aに連通させる液体導出部9と、前面壁5cが対向する容器装着部100の2箇所に設けられた位置決めピン106,107が嵌合することによって、前面壁5cに沿う方向の移動を規制する2つの位置決め孔27,28と、を備える。
【0074】
このインクカートリッジ130に係るインクパック137は、袋体収容部3の加圧により貯留しているインクを排出する接続口7aが、可撓性袋体7bの一端側において一側縁側(図14中、上側縁側)にオフセットして接合されている。
一方、カートリッジ装着部100に設けられた液体供給部102を接続口7aに連通させる液体導出部9は、前面壁5cの幅方向両端側にそれぞれ配置された2つの位置決め孔27,28の一方の側である位置決め孔27に近い位置に設けられている。
【0075】
そこで、インクパック137の接続口7aと液体導出部9とは、前面壁5cの略中心に対して図中の上方向にずれた位置となるオフセット位置に、中心線が一致して設けられている。
そして、実際にインクカートリッジ130がインクジェット記録装置に取り付けられる容器使用時には、図14に示したように、液体導出部9が、前面壁5cの略中心に対して容器使用時の高さ方向上側に設けられる。
【0076】
従って、本第4実施形態のインクカートリッジ130によれば、液体導出部9が、前面壁5cに配置された位置決め孔27に近い位置に設けられるので、インクカートリッジの大型化に伴って生じる可能性があるカートリッジ装着部100の位置決めピン106,107と容器本体5の位置決め孔27,28との間の寸法公差拡大の影響を低減することができる。そこで、カートリッジ装着部100の液体供給部102に対する容器本体5の液体導出部9の位置精度が向上し、液体導出部9と液体供給部102との接続をスムーズに行うことができ、インクカートリッジ130の装着性の低下を防止できる。
【0077】
更に、本第4実施形態のインクカートリッジ130は、インクジェット記録装置のカートリッジ装着部100に取り付けられる容器使用時に、液体導出部9と伴に接続口7aが前面壁5cの略中心に対して容器使用時の高さ方向上側に位置するので、インクパック137内のインクの自重により接続口7aを介して液体導出部9にかかるインクの圧力を下げることができ、液体導出部9からのインクの漏れを低減することができる。
【0078】
尚、上記実施形態においては、カートリッジ装着部100の2箇所に設けられた位置決めピン106,107が嵌合することによって、前面壁5cに沿う方向の移動を規制する2つの位置決め孔27,28を備えた容器本体5について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、カートリッジ装着部の2箇所に設けられた凸部が嵌合する2つの凹部を備えた容器本体において、これら凹部のいずれか一方の側に近い位置に液体導出部を設けることもできる。
また、位置決め孔並びに位置決めピンの数は、少なくとも2つあるのが好ましく、2つ以上であってもよい。位置決め孔が2つ以上の場合には、複数の位置決め孔のうちいずれか一つに近接するように液体導出部が設けられることが望ましい。
【0079】
また、本発明の液体収容容器の用途は、インクジェット記録装置のインクカートリッジに限らない。液体噴射ヘッドを備える各種の液体消費装置に流用可能である。
また、液体噴射ヘッドを備える液体消費装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレー等のカラーフィルタ製造に用いられる色材噴射ヘッドを備えた装置、有機ELディスプレー、面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッドを備えた装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドを備えた装置、精密ピペットとしての試料噴射ヘッドを備えた装置、捺染装置やマイクロデスペンサ等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液体収容容器の分解斜視図。
【図2】図1に示した液体収容容器の組立状態の斜視図。
【図3】(a)は図1に示した容器本体の袋体収容部に液体収容部であるインクパックと該インクパックの周囲の隙間を埋めるスペーサとを装着した状態の斜視図、(b)は(a)のA部拡大図。
【図4】図1に示した残量検出手段の裏面側からの斜視図。
【図5】検出手段嵌合部に、残量検出手段を嵌合装着した状態の斜視図。
【図6】図5のVI−VI断面矢視図。
【図7】容器本体の組み付け工程を示す斜視図。
【図8】図7のVIII−VIII断面矢視図。
【図9】図7に示した組立工程の完了時の状態を示す斜視図。
【図10】(a)は液体消費装置の容器装着部を示す正面図、(b)は(a)のC−C断面図矢視図。
【図11】本発明の第2実施形態に係る液体収容容器の要部拡大断面図。
【図12】(a)は本発明の第3実施形態に係る液体収容容器の正面図、(b)は(a)のD−D断面図矢視図。
【図13】図12(b)のE部拡大図。
【図14】本発明の第4実施形態に係る液体収容容器の要部拡大断面図。
【図15】従来の液体収容容器の斜視図。
【図16】図15に示した液体収容容器と容器装着部の要部断面図。
【図17】図15に示した液体収容容器に収容されるインクパックの斜視図。
【符号の説明】
【0081】
1 インクカートリッジ(液体収容容器)、3 袋体収容部、5 容器本体、5c 前面壁(容器本体の装着方向の先端面)、7 インクパック(液体収容部)、7a 接続口、7b 可撓性袋体、9 液体導出部、11 残量検出手段(オフセット流路部材)、11a 接続針、23 検出手段嵌合部(嵌合手段)、23a,23b 凸壁、24 係止溝、27,28 位置決め孔(位置決め手段)、35 容器嵌合部(嵌合手段)、35a,35b 凸壁、38 係止片、100 カートリッジ装着部(容器装着部)、102 液体供給部、106,107 位置決めピン(位置決め部材)、O1 容器嵌合部の回転中心、O2 接続針の中心
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着可能であり、液体を貯留している液体収容部を有する容器本体と、
前記液体収容部に設けられ、前記液体を導出する接続口と、
前記容器本体の一の面に設けられ、前記液体を前記液体消費装置に供給するための液体導出部と、
前記容器本体が前記液体消費装置に装着された際に、前記一の面が対向する前記容器装着部の複数箇所に設けられた位置決め部材が嵌合することによって、前記容器本体の位置決めを行う複数の位置決め手段と、を備えた液体収容容器であって、
前記液体導出部が、前記複数の位置決め手段のうちいずれか一つに近接するように設けられることを特徴とする液体収容容器。
【請求項2】
前記液体導出部が、前記接続口の開口の中心線に対してずれた位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の液体収容容器。
【請求項3】
前記接続口と前記液体導出部の間を連通する流路を有するオフセット流路部材を備えると共に、前記容器本体と前記オフセット流路部材との連結部に、前記容器本体と前記オフセット流路部材とが相対的に回転して着脱可能な嵌合手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の液体収容容器。
【請求項4】
液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着可能であり、液体収容部に貯留している液体を前記液体消費装置に供給する容器本体と、
前記液体収容部に設けられた液体を導出する接続口と、
前記容器本体の装着方向の先端面に設けられ、前記容器装着部に設けられた液体供給部を前記接続口に連通させる液体導出部と、を備えた液体収容容器であって、
前記液体導出部が、前記装着方向の先端面の略中心に対して前記容器本体が前記液体消費装置に装着された時の高さ方向上側に設けられることを特徴とする液体収容容器。
【請求項5】
前記液体導出部が、前記接続口の開口の中心線に対してずれた位置に設けられることを特徴とする請求項4に記載の液体収容容器。
【請求項6】
前記接続口と前記液体導出部の間を連通する流路を有するオフセット流路部材を備えると共に、前記容器本体と前記オフセット流路部材との連結部に、前記容器本体と前記オフセット流路部材とが相対的に回転して着脱可能な嵌合手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の液体収容容器。
【請求項7】
液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着され、液体収容部に貯留している液体を前記液体消費装置に供給する容器本体と、
前記液体収容部に設けられた液体を導出する接続口と、
前記容器本体の装着方向先端面に設けられ、前記容器装着部に設けられた液体供給部を前記接続口に連通させる液体導出部と、
前記装着方向先端面が対向する前記容器装着部の2箇所に設けられた凸部が入る2つの凹部と、を備えた液体収容容器であって、
前記液体導出部が、前記装着方向先端面の幅方向両端側にそれぞれ配置された前記2つの凹部のいずれか一方の側に近い位置に設けられることを特徴とする液体収容容器。
【請求項8】
液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着可能な液体収容容器において、
前記液体収容容器は、
液体を貯留している液体収容部と、
前記液体収容部に設けられ、前記液体を導出する接続口と、
前記液体収容容器の前面壁に設けられ、前記液体を前記液体消費装置に供給するための液体導出部と、
前記前面壁の両側に設けられ、前記液体収容容器が前記液体消費装置に装着された際に、前記前面壁が対向する前記容器装着部に設けられた第1及び第2の位置決め部材が嵌合することによって、前記容器本体の位置決めを行う第1及び第2の位置決め孔と、を備え、
前記液体導出部が、前記第2の位置決め孔よりも前記第1の位置決め孔の近くに設けられることを特徴とする。
【請求項9】
前記第1の位置決め孔は、前記液体収容容器が前記液体消費装置に装着された際に前記第2の位置決め孔よりも上部に位置することを特徴とする請求項8に記載の液体収容容器。
【請求項10】
前記液体収容容器は、前記前面壁と直交し、前記液体収容容器が前記液体消費装置に装着された際に上面に位置する側壁を有し、前記側壁には前記液体消費装置に設けられた接続端子と接触可能な回路基板が設けられたことを特徴とする請求項8又は9に記載の液体収容容器。
【請求項11】
前記液体収容容器は、前記前面壁と直交し、前記液体収容容器が前記液体消費装置に装着された際に下面に位置する側壁を有し、前記側壁には前記液体消費装置に設けられた係合手段と係合可能な係合部が設けられたことを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の液体収容容器。
【請求項1】
液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着可能であり、液体を貯留している液体収容部を有する容器本体と、
前記液体収容部に設けられ、前記液体を導出する接続口と、
前記容器本体の一の面に設けられ、前記液体を前記液体消費装置に供給するための液体導出部と、
前記容器本体が前記液体消費装置に装着された際に、前記一の面が対向する前記容器装着部の複数箇所に設けられた位置決め部材が嵌合することによって、前記容器本体の位置決めを行う複数の位置決め手段と、を備えた液体収容容器であって、
前記液体導出部が、前記複数の位置決め手段のうちいずれか一つに近接するように設けられることを特徴とする液体収容容器。
【請求項2】
前記液体導出部が、前記接続口の開口の中心線に対してずれた位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の液体収容容器。
【請求項3】
前記接続口と前記液体導出部の間を連通する流路を有するオフセット流路部材を備えると共に、前記容器本体と前記オフセット流路部材との連結部に、前記容器本体と前記オフセット流路部材とが相対的に回転して着脱可能な嵌合手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の液体収容容器。
【請求項4】
液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着可能であり、液体収容部に貯留している液体を前記液体消費装置に供給する容器本体と、
前記液体収容部に設けられた液体を導出する接続口と、
前記容器本体の装着方向の先端面に設けられ、前記容器装着部に設けられた液体供給部を前記接続口に連通させる液体導出部と、を備えた液体収容容器であって、
前記液体導出部が、前記装着方向の先端面の略中心に対して前記容器本体が前記液体消費装置に装着された時の高さ方向上側に設けられることを特徴とする液体収容容器。
【請求項5】
前記液体導出部が、前記接続口の開口の中心線に対してずれた位置に設けられることを特徴とする請求項4に記載の液体収容容器。
【請求項6】
前記接続口と前記液体導出部の間を連通する流路を有するオフセット流路部材を備えると共に、前記容器本体と前記オフセット流路部材との連結部に、前記容器本体と前記オフセット流路部材とが相対的に回転して着脱可能な嵌合手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の液体収容容器。
【請求項7】
液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着され、液体収容部に貯留している液体を前記液体消費装置に供給する容器本体と、
前記液体収容部に設けられた液体を導出する接続口と、
前記容器本体の装着方向先端面に設けられ、前記容器装着部に設けられた液体供給部を前記接続口に連通させる液体導出部と、
前記装着方向先端面が対向する前記容器装着部の2箇所に設けられた凸部が入る2つの凹部と、を備えた液体収容容器であって、
前記液体導出部が、前記装着方向先端面の幅方向両端側にそれぞれ配置された前記2つの凹部のいずれか一方の側に近い位置に設けられることを特徴とする液体収容容器。
【請求項8】
液体消費装置の容器装着部に着脱自在に装着可能な液体収容容器において、
前記液体収容容器は、
液体を貯留している液体収容部と、
前記液体収容部に設けられ、前記液体を導出する接続口と、
前記液体収容容器の前面壁に設けられ、前記液体を前記液体消費装置に供給するための液体導出部と、
前記前面壁の両側に設けられ、前記液体収容容器が前記液体消費装置に装着された際に、前記前面壁が対向する前記容器装着部に設けられた第1及び第2の位置決め部材が嵌合することによって、前記容器本体の位置決めを行う第1及び第2の位置決め孔と、を備え、
前記液体導出部が、前記第2の位置決め孔よりも前記第1の位置決め孔の近くに設けられることを特徴とする。
【請求項9】
前記第1の位置決め孔は、前記液体収容容器が前記液体消費装置に装着された際に前記第2の位置決め孔よりも上部に位置することを特徴とする請求項8に記載の液体収容容器。
【請求項10】
前記液体収容容器は、前記前面壁と直交し、前記液体収容容器が前記液体消費装置に装着された際に上面に位置する側壁を有し、前記側壁には前記液体消費装置に設けられた接続端子と接触可能な回路基板が設けられたことを特徴とする請求項8又は9に記載の液体収容容器。
【請求項11】
前記液体収容容器は、前記前面壁と直交し、前記液体収容容器が前記液体消費装置に装着された際に下面に位置する側壁を有し、前記側壁には前記液体消費装置に設けられた係合手段と係合可能な係合部が設けられたことを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載の液体収容容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−273173(P2008−273173A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−340159(P2007−340159)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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