説明

液体吐出ヘッド及び画像形成装置

【課題】薄膜材と板材とを接着剤接合したクラッド材を用いて板材に開口部を形成するために薄膜材のダンパとして機能する部分の剛性が高くなり、また、薄膜材と接着剤の線膨張率差による変形などが生じ、ダンパ機能が十分に発揮されなくなる。
【解決手段】共通液室10の一部の壁面を形成する可撓性を有する薄膜部材35と、薄膜部材35に接着剤33で接合された薄膜保持部材31とを有し、薄膜保持部材31には、薄膜部材35が接合される面側が広く、前記薄膜部材が接合される面から離れるに従って狭くなる開口部32が形成され、薄膜保持部材31の開口部32が薄膜部材35で封止され、薄膜部材35の開口部32に対応する部分は薄膜保持部材31と接する周縁部のみに接着剤33を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ヘッド及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置(例えばインクジェット記録装置)が知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出記録方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。また、「用紙」とは、材質を紙に限定するものではなく、上述したOHPシート、布なども含み、インク滴が付着されるものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含むものの総称として用いる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を3次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
液体吐出ヘッドとしては、液滴を吐出するノズル、ノズルが連通する個別液室(加圧液室、吐出室、圧力室、液体流路などとも称される。)、圧力室内の液体を加圧する圧力(エネルギー)を発生する圧力発生手段(エネルギー発生手段)と、各圧力室に液体を供給する比較的容積の大きな共通液室とを備えて、圧力発生手段で発生させる圧力で圧力室内の液体を加圧することによってノズルから液滴を吐出させる。ここで、圧力発生手段としては、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマル方式、圧電素子(本願では電気機械変換素子と同義語として用いる。)などを用いる圧電方式、静電力を発生する静電型アクチュエータを用いる静電方式などが知られている。
【0005】
ところで、液体吐出ヘッドにおいて、液滴を吐出するとき、個別液室の圧力を上昇させる必要がある。ここで発生する圧力は、ノズルから液滴を吐出させると同時に、共通液室へと伝播する。この圧力が、再び個別液室側へ伝わると、個別液室内の圧力を予期しない値に変動させる要因となり、液滴を所望の滴量、速度で吐出させることができなくなり、噴射不良を引き起こす。特に、同時に複数の個別液室を加圧して液滴を吐出させる場合、共通液室に個別液室から伝えられる圧力は非常に大きなものとなり、噴射不良が発生しやすい。また、共通液室に伝播した圧力変動が隣接する加圧液室に伝播して液体にも影響が及ぶ相互干渉が生じると、意図しないノズルからの液滴の漏洩や吐出、吐出状態の不安定を誘発することになる。その結果、高品位な画像出力を得ることを妨げることになる。
【0006】
特に、高速化と高画質化を達成するため、圧力発生手段の駆動周波数を上げた場合、圧力室から共通液室へと伝播した圧力の反射によって圧力室における圧力の挙動も複雑になり、正確に液滴を吐出することが難しくなる。また、ノズル数を多くする場合、共通液室での気泡排出性を高めるために共通液室の長手方向端部でその形状をすぼめていくことがあるが、この結果、共通液室長手方向端部では圧力変化が大きくなり、圧力室に与える影響は共通液室長手方向中央部よりも大きくなるため、圧力室のノズル配列方向の位置によってその圧力挙動に差異が発生し、その全てを適切に制御することが非常に困難となる。
【0007】
そこで、共通液室における圧力変化を抑えるとともに、圧力室のノズル配列方向位置による圧力変化の違いをも抑える必要がある。
【0008】
そのため、従来、共通液室内の圧力変動を吸収ないし低減するダンパを設けることが行なわれている。しかし、薄膜材料で形成されるこのダンパ構成部材はその機能から極めて薄く、単体で保持することが困難である。そのためこのダンパ構成部材は、薄膜材を板材に貼り付けられたクラッド材を使用し、板材をエッチング処理することでダンパ室を形成し、薄膜材をダンパとするもの(特許文献1、2)のように、薄膜材とそれを保持する基材を一体としてからダンパ部に薄膜材を残すように加工することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−353871号公報
【特許文献2】特開2006−347036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1、特許文献2に開示されているように、薄膜材と板材とを接着剤接合したクラッド材を用いる場合、薄膜材の上に、薄膜材と板材を貼り合わせた接着剤が残るため、接着剤により、薄膜材のダンパとして機能する部分の剛性が高くなり、また、薄膜材と接着剤の線膨張率差による変形などが生じ、薄膜材本来のダンパ機能が十分に発揮されなくなるという課題がある。
【0011】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、安定したダンパ機能が得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体吐出ヘッドは、
液滴を吐出する複数のノズルが連通する複数の圧力室に液体を供給する共通液室を形成する部材と、
前記共通液室の一部の壁面を形成する可撓性を有する薄膜部材と、
前記薄膜部材に接着剤で接合された薄膜保持部材と、を有し、
前記薄膜保持部材には、少なくとも、前記薄膜部材が接合される面側が広く、前記薄膜部材が接合される面から離れるに従って狭くなる開口部又は凹部が形成され、
前記薄膜保持部材の前記開口部又は凹部が前記薄膜部材で封止され、
前記薄膜部材の前記開口部又は凹部に対応する部分は、前記薄膜保持部材と接する周縁部のみに前記接着剤を有している
構成とした。
【0013】
本発明に係る液体吐出ヘッドは、
液滴を吐出する複数のノズルが連通する複数の圧力室に液体を供給する共通液室を形成する部材と、
前記共通液室の一部の壁面を形成する可撓性を有する薄膜部材と、
前記薄膜部材に接着剤で接合された薄膜保持部材と、を有し、
前記薄膜保持部材には、少なくとも、前記薄膜部材が接合される面側が広く、前記薄膜部材が接合される面から離れるに従って狭くなる部分を有する凹部が形成され、
前記薄膜保持部材の凹部が前記薄膜部材で封止され、
前記凹部よりも断面積の小さな貫通孔が、前記凹部と前記薄膜保持部材の前記薄膜部材の接合された面とは反対側の面とを連通して形成され、
前記薄膜部材の前記開口部又は凹部に対応する部分は、前記薄膜保持部材と接する周縁部のみに前記接着剤を有している
構成とした。
【0014】
ここで、前記貫通孔が前記凹部と大気とを連通している構成とできる。
【0015】
本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法は、
液滴を吐出する複数のノズルが連通する複数の圧力室に液体を供給する共通液室を形成する部材と、
前記共通液室の一部の壁面を形成する可撓性を有する薄膜部材と、
前記薄膜部材に接着剤で接合された薄膜保持部材と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法において、
前記薄膜保持部材に対し、少なくとも、前記薄膜部材が接合される面側が広く、前記薄膜部材が接合される面から離れるに従って狭くなる開口部又は凹部を形成する工程と、
前記薄膜保持部材の前記薄膜部材を接合する面に前記開口部又は凹部を除いて接着剤を塗布する工程と、
微粘着性を有するフィルムに貼り合わされた前記薄膜部材を、前記薄膜保持部材の前記開口部又は凹部を封止する面に接着剤で接合する工程と、
前記接着剤が硬化又は仮硬化した状態で、前記フィルムを前記薄膜部材から剥離する工程と、を行なう
構成とした。
【0016】
本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法は、
液滴を吐出する複数のノズルが連通する複数の圧力室に液体を供給する共通液室を形成する部材と、
前記共通液室の一部の壁面を形成する可撓性を有する薄膜部材と、
前記薄膜部材に接着剤で接合された薄膜保持部材と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法において、
前記薄膜保持部材に対し、少なくとも、前記薄膜部材が接合される面側が広く、前記薄膜部材が接合される面から離れるに従って狭くなる部分を有する凹部と、前記凹部よりも断面積の小さな貫通孔を、前記凹部と前記薄膜保持部材の前記薄膜部材の接合される面とは反対側の面とを連通して形成する工程と、
前記薄膜保持部材の前記薄膜部材を接合する面に前記凹部を除いて接着剤を塗布する工程と、
微粘着性を有するフィルムに貼り合わされた前記薄膜部材を、前記薄膜保持部材の前記凹部を封止する面に接着剤で接合する工程と、
前記接着剤が硬化又は仮硬化した状態で、前記フィルムを前記薄膜部材から剥離する工程と、を行なう
構成とした。
【0017】
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る液体吐出ヘッドによれば、薄膜部材の開口部又は凹部に対応する部分は、薄膜保持部材と接する周縁部のみに接着剤を有している構成としたので、安定したダンパ機能を発揮することができ、安定した滴吐出を行なうことができる。
【0019】
本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法によれば、薄膜保持部材の薄膜部材を接合する面に開口部又は凹部を除いて接着剤を塗布する工程と、微粘着性を有するフィルムに貼り合わされた薄膜部材を、薄膜保持部材の開口部又は凹部を封止する面に接着剤で接合する工程と、接着剤が硬化又は仮硬化した状態で、フィルムを薄膜部材から剥離する工程とを行なう構成としたので、薄膜部材の開口部又は凹部に対応する部分は、薄膜保持部材と接する周縁部のみに接着剤を有している液体吐出ヘッドを容易に得ることができる。
【0020】
本発明に係る画像形成装置によれば、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えている構成としたので、安定した滴吐出を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図である。
【図2】同ヘッドのノズル配列方向に沿う正面説明図である。
【図3】同ヘッドのダンパ部分の要部拡大説明図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドの断面説明図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る液体吐出ヘッドの断面説明図である。
【図6】同じくダンパ部分の要部拡大説明図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る液体吐出ヘッドの断面説明図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係る液体吐出ヘッドの断面説明図である。
【図9】本発明の第6実施形態に係る液体吐出ヘッドの断面説明図である。
【図10】同じくダンパ部分の要部拡大説明図である。
【図11】本発明の第7実施形態に係る液体吐出ヘッドのダンパ部分の要部拡大説明図である。
【図12】本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法の第1例の説明に供する断面説明図である。
【図13】同じく第2例の説明に供する断面説明図である。
【図14】比較例1に係る液体吐出ヘッドの製造方法の説明に供する断面説明図である。
【図15】比較例2に係る液体吐出ヘッドの製造方法の説明に供する断面説明図である。
【図16】本発明に係る液体吐出ヘッドを備える本発明に係る画像形成装置の機構部の全体構成を説明する概略構成図である。
【図17】同機構部の要部平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向(液室長手方向)に沿う断面説明図、図2は同ヘッドのノズル配列方向に沿う正面説明図である。
【0023】
この液体吐出ヘッドは、SUS基板で形成した流路部材(液室基板)1と、この流路部材1の下面に接合した振動板部材2と、流路部材1の上面に接合したノズル板3とを有し、これらによって液滴(液体の滴)を吐出する複数のノズル4がそれぞれノズル連通路5を介して連通する個別流路としての複数の圧力室(加圧液室、圧力室、加圧室、流路などとも称される。以下、「液室」という。)6、液室6にインクを供給する供給路を兼ねた流体抵抗部7、この流体抵抗部7を介して液室6と連通する連通部8を形成し、連通部8に振動板部材2に形成した供給口9を介して後述する共通液室部材20に形成した共通液室10からインクを供給する。
【0024】
流路部材1は、SUS基板を、酸性エッチング液を用いてエッチング、あるいは打ち抜き(プレス)などの機械加工することで、液室6、流体抵抗部7、連通部8などの開口をそれぞれ形成している。なお、流路部材1としてはシリコン基板などを用いることもできる。
【0025】
振動板部材2は、第1層2Aと第2層2Bとで形成されて、第1層2Aで薄肉部を形成し、第1層2A及び第2層2Bで厚肉部を形成している。そして、この振動板部材2は、各液室6に対応してその壁面を形成する第1層2Aで形成された各振動領域(ダイアフラム部)2aを有し、この振動領域2aの中に、面外側(液室6と反対面側)に第1層2A及び第2層2Bの厚肉部で形成された島状凸部である第1凸部2bが設けられ、この第1凸部2bに振動領域2aを変形させる駆動手段(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての電気機械変換素子を含む圧電アクチュエータ100を配置している。
【0026】
この圧電アクチュエータ100は、ベース部材13上に接着剤接合した複数(ここでは2つとする)の積層型圧電部材12を有し、圧電部材12にはハーフカットダイシングによって溝加工して1つの圧電部材12に対して所要数の圧電柱12A、12Bを所定の間隔で櫛歯状に形成している。なお、圧電部材12の圧電柱12A、12Bは、同じものであるが、駆動波形を与えて駆動させる圧電柱を駆動圧電柱(駆動柱)12A、駆動波形を与えないで単なる支柱として使用する圧電柱を非駆動圧電柱(非駆動柱)12Bとして区別している。そして、駆動圧電柱12Aの上端面(接合面)を振動板部材2の凸部2bに接合している。
【0027】
ここで、圧電部材12は、圧電層と内部電極とを交互に積層したものであり、内部電極がそれぞれ端面に引き出されて図示しない外部電極が設けられ、駆動圧電柱12Aの外部電極に駆動信号を与えるための可撓性を有する給電部材(配線部材)としてのフレキシブル配線基板であるFPC15が接続されている。
【0028】
ノズル板3は、ニッケル(Ni)の金属プレートから形成したもので、エレクトロフォーミング法(電鋳)で製造している。このノズル板3には各液室6に対応して直径10〜35μmのノズル4を形成し、流路板1に接着剤接合している。そして、このノズル板3の液滴吐出側面(吐出方向の表面:吐出面、又は液室6側と反対の面)には撥水層を設けている。
【0029】
さらに、これらの圧電素子12、ベース部材13及びFPC15などで構成される圧電アクチュエータ100の外周側には例えばSUS部材を積層した共通液室部材20を配設している。そして、この共通液室部材20には前述した共通液室10を形成し、共通液室部材20のフレーム部材21を接合し、フレーム部材21には共通液室10に外部からインクを供給するための供給口19を形成し、この供給口19は更に図示しないサブタンクやインクカートリッジなどのインク供給源に接続される。なお、供給口19はノズル配列方向の両端部あるいは中央部に配置される。
【0030】
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば押し打ち方式で駆動する場合には、図示しない制御部から記録する画像に応じて駆動圧電柱12Aに20〜50Vの駆動パルス電圧を選択的に印加することによって、パルス電圧が印加された駆動圧電柱12Aが変位して振動板部材2の振動領域2aをノズル板3方向に変形させ、液室6の容積(体積)変化によって液室6内の液体を加圧することで、ノズル板3のノズル4から液滴が吐出される。そして、液滴の吐出に伴って液室6内の圧力が低下し、このときの液流れの慣性によって液室6内には若干の負圧が発生する。この状態の下において、駆動圧電柱12Aへの電圧の印加をオフ状態にすることによって、振動板2が元の位置に戻って液室6が元の形状になるため、さらに負圧が発生する。このとき、共通液室10から液室6内にインクが充填され、次の駆動パルスの印加に応じて液滴がノズル4から吐出される。
【0031】
なお、液体吐出ヘッドは、上記の押し打ち以外にも、引き打ち方式(振動板2を引いた状態から開放して復元力で加圧する方式)、引き−押し打ち方式(振動板2を中間位置で保持しておき、この位置から引いた後、押出す方式)などの方式で駆動することもできる。
【0032】
次に、この液体吐出ヘッドにおけるダンパ構成に図3を参照して説明する。なお、図3は同ヘッドのダンパ部分の要部拡大説明図である。
積層型共通液室部材20を構成する1つの積層部材を薄膜保持部材31とし、薄膜保持部材31には共通液室10の一部を構成する開口部32を形成している。そして、薄膜保持部材31には開口部32の一方の開口を封止する樹脂フィルムからなる可撓性を有する薄膜部材35を接着剤33で接合している。なお、薄膜保持部材31に接着剤33で薄膜部材35を保持した部材を「ダンパ構成部材30」という。
【0033】
そして、ダンパ構成部材30の薄膜部材35により共通液室10の壁面の一部を形成している。また、フレーム部材21には薄膜部材35を挟んで開口部32に対向する凹部36を設けることで空気室37を形成している。
【0034】
ここで、薄膜部材35としては、共通液室10の圧力変動を低減、吸収するための自由振動面としての機能を十分に発揮するためには、なるべく薄い樹脂を用いることが好ましい。例えば、PPS(商品名:トレリナ、東レ)、ポリイミド(商品名:カプトン、東レデュポン)を挙げることができる。
【0035】
薄膜保持部材31の開口部32は、薄膜保持部材32を両面からエッチングすることで形成し、開口部32には、少なくとも、薄膜部材35が接合される面側が広く、薄膜部材35が接合される面から離れるに従って狭くなる部分32aを有している。
【0036】
また、薄膜部材35の開口部32に対する部分35aの周縁部を除く部分には薄膜保持部材31と接合する接着剤33が存在していない。
【0037】
このように構成することで、共通液室10内に圧力変動が発生したときには、薄膜部材35が変位して圧力変動が低下され、あるいは、吸収されるので、安定した滴吐出特性が得られる。
【0038】
そして、ここでは、薄膜部材35の開口部32に対する部分35aの周縁部を除く部分には薄膜保持部材31と接合する接着剤33が存在していないので、接着剤33により、薄膜部材35のダンパとして機能する部分の剛性が高くなることもなく、また、薄膜部材35と接着剤33の線膨張率差による変形などが生じることもなく、安定したダンパ機能を得ることができる。
【0039】
次に、本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図4を参照して説明する。なお、図4は同液体吐出ヘッドの断面説明図である。
本実施形態では、共通液室部材20とフレーム部材21との間に、共通液室10の壁面を形成する薄膜部材35を接合した薄膜保持部材31、即ちダンパ構成部材30を配置している。そして、この薄膜保持部材31には、前記第1実施形態と同様な開口部32にて空気室37を形成している。また、薄膜部材35と薄膜保持部材31との接着剤による接合は前記第1実施形態と同様とし、これにより、前記第1実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0040】
なお、このような構成の場合、剛性を持たせるために金属やセラミックスが用いられる薄膜保持部材31と一般的な樹脂成形で形成されるフレーム部材21とは大きく熱膨張率が異なる。そのため、図4に示すように両者の間を弾性接着剤39で接合することが好ましい。
【0041】
次に、本発明の第3実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図5及び図6を参照して説明する。なお、図5は同液体吐出ヘッドの断面説明図、図6は同じくダンパ部分の要部拡大説明図である。
本実施形態でも、共通液室部材20とフレーム部材21との間に、共通液室10の壁面を形成する薄膜部材35を接合した薄膜保持部材31、即ちダンパ構成部材30を配置している。そして、この薄膜保持部材31には、薄膜部材35が接合される面側が広く、薄膜部材35が接合される面から離れるに従って狭くなる形状を有する凹部38を形成し、この凹部38にて空気室37を形成している。また、薄膜部材35と薄膜保持部材31との接着剤による接合は前記第1実施形態と同様とし、これにより、前記第1実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0042】
次に、本発明の第4実施形態に係る液体吐出ヘッドついて図7を参照して説明する。なお、図7は同液体吐出ヘッドの断面説明図である。
本実施形態では、共通液室部材20とフレーム部材21との間に、共通液室10の壁面を形成する薄膜部材35を接合した薄膜保持部材31、即ちダンパ構成部材30を配置している。そして、この薄膜保持部材31には、前記第3実施形態と同様な開口部32にて空気室37を形成している。また、この開口部32よりも断面積の小さな貫通孔40で前記開口部32と薄膜保持部材31の薄膜部材35が接合された面の反対側の面とを連通している。さらにこの貫通孔40はフレーム部材21に設けられた大気連通孔41により大気に連通している。また、薄膜部材35と薄膜保持部材31との接着剤による接合は前記第1実施形態と同様とし、これにより、前記第1実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0043】
さらに、貫通孔40の断面積を開口部32よりも小さくする(薄膜保持部材31側より小さくする)ことで、弾性接着剤39の塗布可能領域を広げることができる。弾性接着剤39はその機能(熱膨張差の緩和)から、ある程度の厚みが必要であり、そのために高精度な微細パターンでの塗布はできないが、共通液室部材20、およびそれに対向するダンパ構成部材30の接合領域はヘッド小型化のため、必要最小限しか確保されていない。したがって、開口部37と同様の開口状態で弾性接着剤39での接合を行うと十分な接合信頼性の確保が困難となる。これに対し、開口部32よりも貫通孔40の断面積を小さくすることで、弾性接着剤39の接合領域を広く確保でき、接合信頼性を改善することができる。
【0044】
また、開口部32(空気室37)を大気と連通することにより、温度変動、気圧変動等でダンパ特性が変わることがなく、常に安定したダンパ機能を維持することができる。
【0045】
次に、本発明の第5実施形態に係る液体吐出ヘッドついて図8を参照して説明する。なお、図8は同液体吐出ヘッドの断面説明図である。
本実施形態では、振動板部材2とフレーム部材21との間に、共通液室10の壁面を形成する薄膜部材35を接合した薄膜保持部材31、即ちダンパ構成部材30を配置している。そして、この薄膜保持部材31には、前記第3実施形態と同様な形状を有する凹部38を形成し、この凹部38にて空気室37を形成している。また、薄膜部材35と薄膜保持部材31との接着剤による接合は前記第1実施形態と同様とし、これにより、前記第1実施形態と同様な作用効果を得ることができる。また、共通液室10の一部が形成された部材とダンパ構成部材30を兼ねることで部品点数を削減し、コストダウンを図ることもできる。
【0046】
次に、本発明の第6実施形態に係る液体吐出ヘッドついて図9及び図10を参照して説明する。なお、図9は同液体吐出ヘッドの断面説明図、図10は同じくダンパ部分の要部拡大説明図である。
本実施形態では、振動板部材2とフレーム部材21との間に、共通液室10の壁面を形成する薄膜部材35を接合した薄膜保持部材31、即ちダンパ構成部材30を配置している。そして、この薄膜保持部材31には、前記第3実施形態と同様な形状を有する凹部38を形成し、この凹部38にて空気室37を形成し、凹部38には薄膜部材35と反対側に大気に連通する空気抜き穴42を形成している。また、薄膜部材35と薄膜保持部材31との接着剤による接合は前記第1実施形態と同様とし、これにより、前記第1実施形態と同様な作用効果を得ることができる。また、空気室37が空気抜き穴42を介して大気に連通しているので、前述の通りより安定したダンパ機能を維持することができる。
【0047】
次に、本発明の第7実施形態に係る液体吐出ヘッドついて図11を参照して説明する。なお、図11は同液体吐出ヘッドのダンパ部分の要部拡大説明図である。
本実施形態の薄膜構成部材30では、薄膜保持部材31には、凹部38の一部に凸部38aを設けている。
【0048】
これにより、薄膜部材35に大きな圧力が加わった場合でも、図11(b)のように凸部38aによって薄膜部材35の変位が規制されるので、薄膜部材35が破損するようなことを防止できる。
【0049】
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法の第1例について図12を参照して説明する。
図12(a)に示すように、SUS基板からなる薄膜保持部材31に一方向エッチングによって開口部32を形成し、同図(b)に示すように、薄膜保持部材31の薄膜部材35を接合する面側に開口部32を除いて接着剤33を塗布する。
【0050】
一方、同図(c)に示すように、微粘着性を有するフィルム(キャリアシート)50に薄膜部材35を貼り合わされた貼り合わせ部材51を準備する。このように微粘着性を有するフィルム(キャリアシート)50に貼り合わされた薄膜部材35はハンドリング性が向上するため、単体では取り扱いが困難な薄膜部材であっても薄膜保持部材31との接合が可能となる。また、薄膜部材35とキャリアシート50の貼り合わせはロール材にて大規模に行うことができる。
【0051】
また、この微粘着性を有するフィルム(キャリアシート)50と薄膜部材31との貼り合わせ部材51はプレス加工などにより任意の貼り合わせ形状に加工することができる。例えば、薄膜保持部材31と位置決めをして貼り合わせを行うためのアライメント穴などの加工ができる。
【0052】
そして、同図(d)に示すように、貼り合わせ部材31のまま薄膜保持部材31の開口部32を封止する面に薄膜部材35を接着剤33で接合する。
【0053】
その後、同図(e)に示すように、接着剤33が硬化又は仮硬化した後、キャリアシート50を剥離することにより、薄膜保持部材31に薄膜部材35を貼り合わせる。これにより、薄膜部材35の開口部32に対応部分の周辺部以外への接着剤33のはみ出しが低減する。
【0054】
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法の第2例について図13を参照して説明する。
この例では、図13(a)に示すように、SUS基板からなる薄膜保持部材31に両方向エッチングによって開口部32を形成している点が前記第1例と異なるのみであるので、以降の工程説明は省略する。
【0055】
このように、薄膜保持部材の薄膜部材を接合する面に開口部又は凹部を除いて接着剤を塗布する工程と、微粘着性を有するフィルムに貼り合わされた薄膜部材を、薄膜保持部材の開口部又は凹部を封止する面に接着剤で接合する工程と、接着剤が硬化又は仮硬化した状態で、フィルムを薄膜部材から剥離する工程とを行なう構成とすることで、薄膜部材の前記開口部又は凹部に対応する部分の周縁部を除く部分には薄膜保持部材と接合する接着剤が存在していない液体吐出ヘッドを容易に得ることができる。
【0056】
ここで、本発明に係る液体吐出ヘッドの製造方法の比較例について図14及び図15を参照して説明する。
図14に示す比較例1では、同図(a)に示すように、薄膜保持部材131と薄膜部材135を接着剤133で接合した部材(クラッド部材)130を準備し、同図(b)に示すように、薄膜保持部材131に一方向エッチングを施して開口部132を形成している。薄膜部材135であっても、このように立体的な加工のない板材とであれば比較的接合は容易であり、その後は薄膜保持部材131と一体に扱えるため、作業性には優れている。
【0057】
しかしながら、このようの製造方法では、開口部132は薄膜部材135側が狭く、薄膜部材135から離れるに従って広がる形状となり、ダンパとして機能部分が狭くなり(広くするためにエッチングで除去する領域を大きくしなければならない)、また、薄膜部材135の開口部132側の全面に接着剤133が残存するために、安定したダンパ機能を得ることが困難になる。
【0058】
次に、図15に示す比較例2では、同図(a)に示すように、薄膜保持部材131に一方向エッチングを施して開口部132を形成した後、同図(b)に示すように、薄膜保持部材131に接着剤133を塗布し、同図(c)に示すように薄膜部材135を接合している。
【0059】
しかしながら、薄膜部材135は2μm程度の薄い膜であって、このような薄膜部材131を単体で接合するときにはハンドリング性が悪く、皺が発生するという不具合が生じる。
【0060】
これに対し、上記実施形態にように微粘着性を有するフィルムに貼り合わされた薄膜部材を、薄膜保持部材の開口部又は凹部を封止する面に接着剤で接合し、接着剤が硬化又は仮硬化した状態で、フィルムを薄膜部材から剥離することによって、ハンドリング性が向上し、皺の発生も低減ないし防止され、高品質な接合を行なうことができる。
【0061】
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドを備える本発明に係る画像形成装置の一例について図16及び図17を参照して説明する。なお、図16は同装置の機構部の全体構成を説明する概略構成図、図17は同機構部の要部平面説明図である。
この画像形成装置はシリアル型画像形成装置であり、左右の側板221A、221Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド231、232でキャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0062】
このキャリッジ233には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本発明に係る液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド234を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0063】
記録ヘッド234は、それぞれ2つのノズル列を有する液体吐出ヘッド234a、234bを1つのベース部材に取り付けて構成したもので、一方のヘッド234aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、他方のヘッド234bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。なお、ここでは2ヘッド構成で4色の液滴を吐出する構成としているが、各色毎の液体吐出ヘッドを備えることもできる。
【0064】
また、キャリッジ233には、記録ヘッド234のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのサブタンク235a、235b(区別しないときは「サブタンク235」という。)を搭載している。このサブタンク235には各色の供給チューブ236を介して、供給ユニット224によって各色のインクカートリッジ210から各色のインクが補充供給される。
【0065】
一方、給紙トレイ202の用紙積載部(圧板)241上に積載した用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)243及び給紙コロ243に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244を備え、この分離パッド244は給紙コロ243側に付勢されている。
【0066】
そして、この給紙部から給紙された用紙242を記録ヘッド234の下方側に送り込むために、用紙242を案内するガイド部材245と、カウンタローラ246と、搬送ガイド部材247と、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248とを備えるとともに、給送された用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト251を備えている。
【0067】
この搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト251の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ256を備えている。この帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触し、搬送ベルト251の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト251は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ252が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0068】
さらに、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部として、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261と、排紙ローラ262及び排紙コロ263とを備え、排紙ローラ262の下方に排紙トレイ203を備えている。
【0069】
また、装置本体の背面部には両面ユニット271が着脱自在に装着されている。この両面ユニット271は搬送ベルト251の逆方向回転で戻される用紙242を取り込んで反転させて再度カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は手差しトレイ272としている。
【0070】
さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構281を配置している。この維持回復機構281には、記録ヘッド234の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)282a、282b(区別しないときは「キャップ282」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード283と、増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284などを備えている。
【0071】
また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け288を配置し、この空吐出受け288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289などを備えている。
【0072】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ202から用紙242が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙242はガイド245で案内され、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド247で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0073】
このとき、帯電ローラ256に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト251が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト251上に用紙242が給送されると、用紙242が搬送ベルト251に吸着され、搬送ベルト251の周回移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
【0074】
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙242を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙242の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙242を排紙トレイ203に排紙する。
【0075】
このように、この画像形成装置では本発明に係る液体吐出ヘッドを記録ヘッドとして備えているので、安定した滴吐出特性が得られ、安定して高画質画像を形成することができる。
【0076】
なお、上記実施形態では、本発明の画像形成装置としてシリアル型画像形成装置を例に説明しているが、ライン型画像形成装置にも同様に実施することができる。また、狭義のインク以外の液体や定着処理液などを用いる画像形成装置にも適用することができる。
【0077】
また、前記実施形態で説明したダンパ構成部材は、例えば液体吐出ヘッドに液体を供給するヘッドタンク内の液体収容部における圧力変動を低減するためのダンパとして使用することもできる。
【符号の説明】
【0078】
1 流路板
2 振動板部材
3 ノズル板
4 ノズル
6 圧力室(液室)
10 共通液室
12 圧電部材
12A、12B 圧電柱
13 ベース部材
20 積層型共通液室部材
21 フレーム部材
30 ダンパ構成部材
31 薄膜保持部材
32 開口部
33 接着剤
35 薄膜部材
234…キャリッジ
235…記録ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズルが連通する複数の圧力室に液体を供給する共通液室を形成する部材と、
前記共通液室の一部の壁面を形成する可撓性を有する薄膜部材と、
前記薄膜部材に接着剤で接合された薄膜保持部材と、を有し、
前記薄膜保持部材には、少なくとも、前記薄膜部材が接合される面側が広く、前記薄膜部材が接合される面から離れるに従って狭くなる開口部又は凹部が形成され、
前記薄膜保持部材の前記開口部又は凹部が前記薄膜部材で封止され、
前記薄膜部材の前記開口部又は凹部に対応する部分は、前記薄膜保持部材と接する周縁部のみに前記接着剤を有している
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
液滴を吐出する複数のノズルが連通する複数の圧力室に液体を供給する共通液室を形成する部材と、
前記共通液室の一部の壁面を形成する可撓性を有する薄膜部材と、
前記薄膜部材に接着剤で接合された薄膜保持部材と、を有し、
前記薄膜保持部材には、少なくとも、前記薄膜部材が接合される面側が広く、前記薄膜部材が接合される面から離れるに従って狭くなる部分を有する凹部が形成され、
前記薄膜保持部材の凹部が前記薄膜部材で封止され、
前記凹部よりも断面積の小さな貫通孔が、前記凹部と前記薄膜保持部材の前記薄膜部材の接合された面とは反対側の面とを連通して形成され、
前記薄膜部材の前記開口部又は凹部に対応する部分は、前記薄膜保持部材と接する周縁部のみに前記接着剤を有している
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記貫通孔が前記凹部と大気とを連通していることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
液滴を吐出する複数のノズルが連通する複数の圧力室に液体を供給する共通液室を形成する部材と、
前記共通液室の一部の壁面を形成する可撓性を有する薄膜部材と、
前記薄膜部材に接着剤で接合された薄膜保持部材と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法において、
前記薄膜保持部材に対し、少なくとも、前記薄膜部材が接合される面側が広く、前記薄膜部材が接合される面から離れるに従って狭くなる開口部又は凹部を形成する工程と、
前記薄膜保持部材の前記薄膜部材を接合する面に前記開口部又は凹部を除いて接着剤を塗布する工程と、
微粘着性を有するフィルムに貼り合わされた前記薄膜部材を、前記薄膜保持部材の前記開口部又は凹部を封止する面に接着剤で接合する工程と、
前記接着剤が硬化又は仮硬化した状態で、前記フィルムを前記薄膜部材から剥離する工程と、を行なう
ことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項5】
液滴を吐出する複数のノズルが連通する複数の圧力室に液体を供給する共通液室を形成する部材と、
前記共通液室の一部の壁面を形成する可撓性を有する薄膜部材と、
前記薄膜部材に接着剤で接合された薄膜保持部材と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法において、
前記薄膜保持部材に対し、少なくとも、前記薄膜部材が接合される面側が広く、前記薄膜部材が接合される面から離れるに従って狭くなる部分を有する凹部と、前記凹部よりも断面積の小さな貫通孔を、前記凹部と前記薄膜保持部材の前記薄膜部材の接合される面とは反対側の面とを連通して形成する工程と、
前記薄膜保持部材の前記薄膜部材を接合する面に前記凹部を除いて接着剤を塗布する工程と、
微粘着性を有するフィルムに貼り合わされた前記薄膜部材を、前記薄膜保持部材の前記凹部を封止する面に接着剤で接合する工程と、
前記接着剤が硬化又は仮硬化した状態で、前記フィルムを前記薄膜部材から剥離する工程と、を行なう
ことを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
【請求項6】
請求項1ないし3のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−61714(P2012−61714A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207593(P2010−207593)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】