説明

液体吐出容器

【課題】複数の異なる液体を収容するとともに、これら各液体を確実に吐出可能で携帯容易な、使い勝手のよい液体吐出容器を提供する。
【課題の解決手段】液体吐出容器1は、液密に区画された複数の液体収容室12a,12bを有し、これら各液体収容室12a,12bには各別にポンプ20a,20bを配設し、各ポンプ20a,20bは、上下動可能な駆動ヘッド30と、この駆動ヘッド30に着脱可能に設けた吐出ノズルを備え、駆動ヘッド30が上下動に際してぶれるのを規制する規制板32aとガイド板33aを設け、駆動ヘッド30の上下動に応じて吐出ノズルから液体収容室12a,12b内の液体を吐出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料などの各種液体を適量ずつ排出するポンプを備えた液体吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種容器は、化粧品やシャンプーの容器として使用されているが、液体の収容室は一つしか有しないのが一般的である(特許文献1)。このため、例えば化粧品の容器として使用する場合は、一つの容器に一つの化粧品しか収容できないので、使用する化粧品の種類と同数の容器が必要となり、家庭内で使用する場合は問題ないが、携帯用としては常に複数の容器を持ち歩かなければならないため、極めて不便であった。
【0003】
この不便さを解消するために、従来においては、2つに区画された収容部を有する収容ケースに、異なる液体を収容した2つの収容袋を前記収容部にそれぞれ収容し、2つのポンプユニットの各チューブを前記収容袋に突き刺して、前記ポンプユニットを同時に操作して、同時に2種類の液体を取り出すことが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−137329号公報
【特許文献2】特開2007−308181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した2つの収容袋を用いる構成では、液体の収容量を増すためには収容袋を容量の大きなものにしなければならず、収容袋を収容するケースはさらに大きくなってしまい、携帯用としては使い勝手が悪いという不都合がある。本発明は、この不都合を解消し、収容袋を用いないことで、ケース内に収容する複数種類の液体の量を増してもケースの大きさにはさほど影響しないとともに、使い勝手のよい液体吐出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため本発明の請求項1に係る液体吐出容器は、液密に区画された複数の液体収容室を有し、これら各液体収容室には各別にポンプを配設し、各ポンプは、上下動可能な駆動ヘッドと、この駆動ヘッドに設けた各ポンプに各別に対応する吐出ノズルを備え、前記駆動ヘッドの上下動に応じて前記各吐出ノズルから液体収容室内の液体を吐出すべくなしたものである。
【0007】
また、同じく前記目的を達成するために、本発明の請求項2に係る液体吐出容器は、前記請求項1の構成において、二つの液体収容室を有し、各ポンプ毎に各別に駆動ヘッドを設け、各駆動ヘッドの上面に係合するよう作動アームを設けるとともに、この作動アームを上下動可能となし、前記作動アームを押し下げると二つの駆動ヘッドが同時に下降する一方、前記作動アームを押し下げずに前記各駆動ヘッドを各別に押し下げると、押し下げた駆動ヘッドのみが下降するようなしたものである。
【0008】
また、同じく前記目的を達成するために、本発明の請求項3に係る液体吐出容器は、前記請求項2の構成において、作動アームは、各駆動ヘッドの上面の中央部分にまで及ぶよう掛け渡して係合するとともに、前記各駆動ヘッドの方向に傾動可能に設けた支持軸で支持し、作動アームの中央を押し下げると二つの駆動ヘッドが同時に下降する一方、作動アームの一端側を押し下げると対応する駆動ヘッドのみが下降するようなしたものである。
【0009】
さらに、同じく前記目的を達成するために、本発明の請求項4に係る液体吐出容器は、前記請求項1の構成において、二つの液体収容室を有し、各ポンプに共通な一つの駆動ヘッドに二つの吐出ノズルを互いに同一方向に伸びるよう設け、前記駆動ヘッドがその上下動に際して前記各吐出ノズルの前後方向へぶれるのを規制するための規制機構を設けたものである。
【0010】
またさらに、同じく前記目的を達成するために、本発明の請求項5に係る液体吐出容器は、前記請求項1〜4のいずれか1項の構成において、駆動ヘッドに対して各吐出ノズルは着脱可能に設け、吐出口径の異なる吐出ノズルと交換可能に設けたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に係る液体吐出容器によれば、一つの容器から複数種の液体を同時に、あるいは各別に、選択的に吐出できるので、複数の容器を持ち歩く必要がないため、携帯用容器として最適であるとともに使い勝手がよいという効果を奏する。
【0012】
また、本発明の請求項2または3に係る液体吐出容器によれば、一つの容器から複数種の液体を同時に、あるいは各別に、選択的に吐出する動作を、容器を保持する一方の手のみを用いて極めて簡単に、かつ確実になしうるという効果を奏する。
【0013】
さらに、本発明の請求項4に係る液体吐出容器によれば、一つの容器から複数種の液体を同時に吐出できるとともに、駆動ヘッドがその上下動に際して吐出ノズルの前後方向にぶれることがないので、確実で円滑な吐出動作がなされるという効果を奏する。
【0014】
またさらに、本発明の請求項5に係る液体吐出容器によれば、収容した液体の粘度に応じた大きさの吐出口径を有する吐出ノズルを装着することができるので、収容した液体の粘度の如何に拘らず常に確実で円滑な吐出動作がなされるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の好適な一実施形態の中央縦断正面図。
【図2】同じく中央縦断側面図。
【図3】同じくカバーを外した状態の正面図。
【図4】同じく駆動ヘッド及び吐出ノズルの縦断側面図。
【図5】吐出ノズルの他の実施形態を示す部分横断平面図。
【図6】同じく吐出ノズルを装着する駆動ヘッドの正面図。
【図7】同じく吐出ノズルを装着した駆動ヘッドの底面図。
【図8】液体収容室を三つ備える実施形態を示す中央縦断正面図。
【図9】同じくカバーを外した状態の平面図。
【図10】さらに他の実施形態のカバーを外した状態の中央縦断正面図。
【図11】同じく正面図。
【図12】さらに他の実施形態の作動アームと駆動ヘッドの関係を示す中央縦断正面図。
【図13】同じく平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な一実施形態について説明すると、図1〜図3に示すように、液体吐出容器1は、ほぼ円筒状で上部が小径化された容器本体10を備え、この容器本体10は隔壁11によって液密に区画された二つの液体収容室12a,12bを有している。前記容器本体10の開口底面は底蓋13によって液密に閉塞され、前記容器本体10の小径部分には、上面に設置されたパッキン14を介して液密にポンプ取付体15が装着されている。また、前記ポンプ取付体15には、カバー16が着脱可能に嵌合されている。
【0017】
ポンプ取付体15の上面には各液体収容室12a,12bに対応して取付筒15a,15bが突設され、各取付筒15a,15bにそれぞれ各液体収容室12a,12bに充填された液体を適量ずつ、液体吐出容器1外に排出するポンプ20a,20bが取り付け固定されている。これらポンプ20a,20bの上端に位置する昇降筒21a,21bには、駆動ヘッド30の嵌合筒31a,31bが嵌合されている。前記駆動ヘッド30の外周面下端は、ポンプ取付体15の上面に一体的に立設された環状の案内壁17の内周面と当接している。
【0018】
また、図1及び図2に示すように、前記駆動ヘッド30には天板内面から垂下する前後一対の規制板32a,32bを一体的に突設し、各規制板32a,32bは、前記駆動ヘッド30が待機状態(図示状態)から下降するとポンプ取付体15の上面に立設した同じく前後一対のガイド板33a,33bと摺接するよう形成されている。前記各規制板32a,32b及び各ガイド板33a,33bによって規制機構を構成する。
【0019】
図2及び図4に示すように、駆動ヘッド30の嵌合筒31a,31bに連通する取付筒34(嵌合筒31a側のみ図示)には、吐出ノズル40a,40bを挿脱可能に取り付けている。すなわち、これらの吐出ノズル40a,40bは、各別に交換可能であり、各液体収容室12a,12bに収容する液体の粘度に応じて、適切な口径を有するものを選択して使用される。
【0020】
ここで、ポンプ20a,20bの構成について、図1に基づき詳細に説明するが、各ポンプは同一構成なので、ポンプ20aについてのみ説明し、ポンプ20bについては対応する構成要素にaをbに換えた符号を付するに止める。昇降筒21aは取付筒15aに昇降可能に支持され、下部は肉薄となって段部が形成され、この段部下面と環状のバケット22aとの間に配設されたコイルバネ23aによって上方に弾発付勢される一方、昇降筒21aの前記段部上面が取付筒15aの上端内周突縁下面に係合し、上昇方向への移動を規制している。
【0021】
バケット22aはほぼ円筒状のハウジング24aの上端大径部分内に配置された作動棒25aの突縁部上に配置されて、昇降筒21aが下降するとコイルバネ23aによって下方に弾発付勢され、前記作動棒25aも前記バケット22aを介して前記コイルバネ23aによって下方に弾発付勢される。また、前記ハウジング24aの上端は前記取付筒15aに嵌合固定され、前記ハウジング24aの下部内面には弁座26aが設けられ、この弁座26aにはボール弁27aが配置されている。
【0022】
ハウジング24aの弁座26aよりも下端部分には導入パイプ28aの上端が嵌合固定され、この導入パイプ28aの下端は底蓋13に近接して位置する。ボール弁27aと作動棒25aの突縁部下面との間にはコイルバネ29aが配設され、図1に示す待機状態時には、前記ボール弁27aを下方に弾発付勢し、前記作動棒25aを上方に弾発付勢している。このコイルバネ29aの弾発付勢力はコイルバネ23aの弾発付勢力よりは弱く設定されており、前記ボール弁27aは図1に示す待機状態時には閉塞状態に維持される。
【0023】
続いて、上述した実施形態の動作を説明する。液体収容室12a,12b内に異なった種類の液体(図示せず)が充満している使用初期の待機状態において(図1参照)、カバー16を外して駆動ヘッド30を押し下げると、各昇降筒21a,21bも下降し、各バケット22a,22b及び各作動棒25a,25bもコイルバネ23a,23bの弾発付勢力によって下降する。この際、各規制板32a,32bは対応する各ガイド板33a,33bと摺接して前記駆動ヘッド30が前後にぶれずに垂直に移動するようガイドするので、前記駆動ヘッド30は垂直に押し下げられ、この押し下げ量に応じて前記各昇降筒21a,21bは偏りなく同一距離下降する。
【0024】
これによって、各昇降筒21a,21b内の圧力が高まるとともに、ハウジング24a,24b内における作動棒25a,25bの突縁部から下の空間の圧力が高まり、この圧力によって前記作動棒25a,25bの突縁部から下の空間の液体は前記突縁部から上の空間にバケット22a,22bとハウジング24a,24bとの空隙を通って移動し始める。
【0025】
さらに、駆動ヘッド30を押し下げて、嵌合筒31a,31bの下端が取付筒15a,15bの上端面と接する最下降位置まで達すると、下降が阻止される。この状態でハウジング24a,24b内の液体への圧力は最大となり、昇降筒21a,21b内の液体とともに、吐出ノズル40a、40bから吐出される。
【0026】
ここで、駆動ヘッド30に加えていた押し下げ力を解除すると、各コイルバネ23a,23b,29a,29bの弾発力で原位置に復帰し、待機状態となる。この時、各ハウジング24a,24b内の圧力は液体収容室12a.12bの圧力よりも小さくなり、各ボール弁29a,29bが開放状態となり、各ハウジング24a,24b内に液体収容室12a.12bの液体が導入パイプ28a,28bから流入し、次の動作に備える状態となる。
【0027】
続いて、本発明の吐出ノズルに関する第2の実施形態を図5〜図7に基づいて説明する。図5に示すように、一対の吐出ノズル50a,50bが連結材51によって一体的に連結されている。連結材51の背面側には一対の係止爪52a,52bが設けられ、これら係止爪52a,52bは互いの接近方向への変位と、原位置への弾発復帰が可能である。一方、図6に示すように、駆動ヘッド53には、各吐出ノズル50a,50bを着脱可能に取り付ける取付筒54a,54bが設けられるとともに、前記係止爪52a,52bが挿脱可能に挿入係止される係止孔55が設けられている。
【0028】
本実施形態においては、係止爪52a,52bを互いの接近方向にすぼめた状態で係止孔55に対応位置させるとともに、各吐出ノズル50a,50bを取付筒54a,54bに対応位置させて、押し込むことによって、連結材51の背面側が駆動ヘッド53の前面平坦部に当接した状態で、各吐出ノズル50a,50bを取付筒54a,54bに取り付けることができる(図7参照)。この取付状態においては、前記係止爪52a,52bは原位置に弾発復帰して、係止孔55から抜け出るのを阻止している。一方、所定以上の力で各吐出ノズル50a,50bを引き抜くと、係止爪52a,52bは互いの接近方向にすぼまった状態となって係止孔55から離脱し、各吐出ノズル50a,50bも同時に取付筒54a,54bから離脱することができる。
【0029】
続いて、本発明の第3の実施形態である液体収容室を三つ備える実施形態について図8及び図9に基づいて説明する。図8に示すように、液体吐出容器2は、ほぼ円筒状で上部が小径化された容器本体60を備え、この容器本体60は、ほぼ120度の中心角を存して設けた三つの隔壁61(一つのみ図示)によって液密に区画された三つの液体収容室62(一つのみ図示)を有している。前記容器本体60の開口底面は底蓋63によって液密に閉塞され、前記容器本体60の小径部分には、上面に設置されたパッキン64を介して液密にポンプ取付体65が装着されている。また、前記ポンプ取付体65には、カバー66が着脱可能に嵌合されている。
【0030】
ポンプ取付体65の上面には各液体収容室62に対応してそれぞれ取付筒65a(一つのみ図示)が突設され、各取付筒65aは前記ポンプ取付体65の上面に突設された周壁67と三叉状の隔壁68によって区画された部分に設置されている。なお、前記各隔壁68は、各隔壁61とそれぞれ対応位置している。前記各取付筒65aにはそれぞれ各液体収容室62に充填された液体を適量ずつ、液体吐出容器2外に排出するポンプ70(一つのみ図示)が取り付け固定されている。これらポンプ70の構成は上述した各ポンプ20a,20bと同一であるから、その説明は省略する。
【0031】
各ポンプ70の昇降筒71には、駆動ヘッド80a,80b,80cの嵌合筒81(駆動ヘッド80aについてのみ図示)が嵌合されている。これら駆動ヘッド80a,80b,80cは、平面形状がほぼ扇形で、中央部分に押し下げる際に指を掛ける凹部が形成されている。また、各駆動ヘッド80a,80b,80cには、それらの平面状に形成した前面上端部から突出するように、嵌合筒81と連通する吐出ノズル82a,82b,82cが一体的に形成され、互いに水平方向にほぼ120度の間隔をおいて設置されている。
【0032】
本実施形態にあっては、カバー66を外した状態で、吐出を望む液体を収容している液体収容室62に対応する駆動ヘッド80a,80b,80cを押し下げると、上述した各ポンプ20a,20bの動作と同様に、押し下げた駆動ヘッド80a,80b,80cに対応するポンプ70が動作し、その吐出ノズル82a,82b,82cから所望の液体を吐出させることができる。
【0033】
本実施形態にあっては、複数の駆動ヘッド80a,80b,80cを同時に押し下げることも可能であるが、各吐出ノズル82a,82b,82cからの液体の吐出方向が120度ずつ間隔をおいたものとなるので、これを同一容器や掌で受けることは困難であり、実際には各別に動作させることになる。また、本実施形態においては、各吐出ノズル82a,82b,82cは対応する各駆動ヘッド80a,80b,80cに一体的に設けられているので、口径の異なるものに交換することはできない。
【0034】
続いて、本発明の第4の実施形態を図10及び図11に基づいて説明する。本実施形態が図1〜図4に示す第1の実施形態と異なるのは、駆動ヘッドを各ポンプ毎に各別に設けて、作動アームを両駆動ヘッドの中央部分まで及ぶよう掛け渡して設けたところにある。図10及び図11に示すように、液体吐出容器3は、容器本体90内を隔壁91で液密に区画してなる二つの液体収容室92a,92bを有し、ポンプ取付体93の取付筒93a,93bが周縁部に離れて位置し、その間にはこれら取付筒93a,93bよりも上方に突出する支持筒94が一体的に設けられている。
【0035】
一方、駆動ヘッド95a,95bは、各取付筒93a,93bにそれぞれ取り付け固定されたポンプ96a,96b毎に設けられている。前記各駆動ヘッド95a,95bの上面には、その中央部分にまで及ぶよう作動アーム97が掛け渡され、この作動アーム97は支持軸98によって支持筒94に支持されている。前記支持軸98は、合成樹脂製等の可撓性を有する材質からなるとともに、前記支持筒94から突出している部分の前記各駆動ヘッド95a,95b側の面が切除された肉薄状に形成されている。このため、前記支持軸98は前記各駆動ヘッド95a,95bの方向に容易に傾動可能となっている。また、前記各駆動ヘッド95a,95bには吐出ノズル99a,99bが一体的に設けられるとともに、互いの接近方向に向けて伸びている。その他の構成は第1の実施形態と同様であるからその説明は省略する。
【0036】
本実施形態においては、作動アーム97の中央を押し下げると二つの駆動ヘッド95a,95bが同時に下降して、各ポンプ96a,96bが作動し、各液体収容室92a,92b内の液体がそれぞれ吐出ノズル99a,99bから互いに接近する方向に向けて吐出する。したがって、掌など狭い部分でも確実に二種類の液体を受けることができる。一方、作動アーム97の一端側、例えば駆動ヘッド95bに対応する側を押し下げると、前記対応する駆動ヘッド95bのみが下降し、液体収容室92b内の液体のみが吐出ノズル99bから吐出する。
【0037】
本実施形態にあっては、二種類の液体を同量吐出させたい場合や、所定の割合で吐出させたい場合に、一方の液体の量が少ないときは、この少ない液体の液体収容室92a,92bに対応する駆動ヘッド95a,95b側の作動アーム97の一端側を押し下げると、所望の液体のみが吐出するので、液量の調節が容易である。また、前記作動アーム97の一端側の押し下げは、液体吐出容器3を保持している手の指を使ってできるので、他方の手の掌に液体を吐出してこの手が使えない状態でも支障なく再度液体の吐出を行なうことができる。
【0038】
続いて、本発明の第5の実施形態を図12及び図13に基づいて説明する。本実施形態が上述の第4の実施形態と異なるのは、作動アームを両駆動ヘッドの対向する縁部に係合するよう設けて、作動アームによらず各別に駆動ヘッドを押し下げ可能にしたところにある。他の構成及び動作は、上述の第4の実施形態と同様であるから、作動アームと駆動ヘッド以外の説明は省略する。
【0039】
駆動ヘッド105a,105bは、ポンプ取付体103の各取付筒103a,103bにそれぞれ取り付け固定された各ポンプ(図示せず)毎に設けられている。前記各駆動ヘッド105a,105bの対向する縁部上面には、平面長方形状の凹入段部106a,106bが形成され、これら凹入段部106a,106bに作動アーム107が係合載置されている。この作動アーム107の支持軸108は丸棒状で、支持筒104に上下動可能に支持されている。また、前記各駆動ヘッド105a,105bには図示していない吐出ノズルが一体的に設けられるとともに、互いの接近方向に向けて伸びている。
【0040】
本実施形態においては、作動アーム107を押し下げると二つの駆動ヘッド105a,105bが同時に下降して、図示していない各ポンプが作動し、図示していない各液体収容室内の液体が、同じく図示していない吐出ノズルから互いに接近する方向に向けて吐出する。したがって、掌など狭い部分でも確実に二種類の液体を受けることができる。一方、作動アーム107には触れずに駆動ヘッド、例えば駆動ヘッド105bを押し下げると、前記駆動ヘッド105bのみが下降する。そして、この駆動ヘッド105bに設けた図示していない吐出ノズルから、対応する同じく図示していない液体収容室内の液体のみが吐出する。
【0041】
本実施形態にあっては、上述した第4の実施形態と同様に、二種類の液体を同量吐出させたい場合や、所定の割合で吐出させたい場合に、一方の液体の量が少ないときは、この少ない液体の液体収容室に対応する駆動ヘッド105a,105bのみを押し下げると、所望の液体のみが吐出するので、液量の調節が容易である。また、前記各駆動ヘッド105a,105bの押し下げは、液体吐出容器を保持している手の指を使ってできるので、他方の手の掌に液体を吐出してこの手が使えない状態でも支障なく再度液体の吐出を行なうことができる。
【0042】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、例えば、二つの液体収容室12a,12b,92a,92bの場合に、作動アーム97,107を設けることなく、駆動ヘッド30,95a,95b,105a,105bを各ポンプ20a,20b,96a,96b毎に各別に設けてもよい。また、三つの吐出ノズル82a,82b,82cの場合や作動アーム97,107を設けた場合にも、各吐出ノズル82a,82b,82c,99a,99bを駆動ヘッド80a,80b,80c,95a,95b,105a,105bに対して着脱可能に構成することもできる。さらに、ポンプ20a,20b,70,96a,96bの構成も上述のものに限定されない。
【0043】
またさらに、第4の実施形態において、支持軸98を回転可能に支持して、作動アーム97を回転可能とし、これを90度回転することで、作動アーム97の各駆動ヘッド95a,95bへの掛け渡し係合状態を解除するよう構成し、解除状態において、各駆動ヘッド95a,95bを各別に直接押し下げるよう構成することもできる。この場合には前記支持軸98に肉薄部分を形成しなくてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1,2,3 液体吐出容器
10,60,90 容器本体
11,61,91 隔壁
12a,12b,62,92a,92b 液体収容室
13,63 底蓋
14,64 パッキン
15,65,93,103 ポンプ取付体
15a,15b,65a,93a,93b,103a,103b 取付筒
20a,20b,70,96a,96b ポンプ
21a,21b,71 昇降筒
22a,22b バケット
23a,23b,29a,29b コイルスプリング
24a,24b ハウジング
25a,25b 作動棒
27a,27b ボール弁
28a,28b 導入パイプ
30,53,80a,80b,80c,95a,95b,105a,105b 駆動ヘッド
31a,31b,81 嵌合筒
32a,32b 規制板
33a,33b ガイド板
40a,40b,50a,50b,82a,82b,82c,99a,99b 吐出ノズル
52a,52b 係止爪
94,104 支持筒
97,107 作動アーム
98,108 支持軸
106a,106b 凹入段部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液密に区画された複数の液体収容室を有し、これら各液体収容室には各別にポンプを配設し、各ポンプは、上下動可能な駆動ヘッドと、この駆動ヘッドに設けた吐出ノズルを備え、前記駆動ヘッドの上下動に応じて前記吐出ノズルから液体収容室内の液体を吐出すべく構成したことを特徴とする液体吐出容器。
【請求項2】
前記請求項1の構成において、二つの液体収容室を有し、各ポンプ毎に各別に駆動ヘッドを設け、各駆動ヘッドの上面に係合するよう作動アームを設けるとともに、この作動アームを上下動可能となし、前記作動アームを押し下げると二つの駆動ヘッドが同時に下降する一方、前記作動アームを押し下げずに前記各駆動ヘッドを各別に押し下げると、押し下げた駆動ヘッドのみが下降するよう構成したことを特徴とする液体吐出容器。
【請求項3】
前記請求項2の構成において、作動アームは、各駆動ヘッドの上面中央部分にまで及ぶよう掛け渡して係合するとともに、前記各駆動ヘッドの方向に傾動可能に設けた支持軸で支持し、作動アームの中央を押し下げると二つの駆動ヘッドが同時に下降する一方、作動アームの一端側を押し下げると対応する駆動ヘッドのみが下降するよう構成したことを特徴とする液体吐出容器。
【請求項4】
前記請求項1の構成において、二つの液体収容室を有し、各ポンプに共通な一つの駆動ヘッドに二つの吐出ノズルを互いに同一方向に伸びるよう設け、前記駆動ヘッドがその上下動に際して前記各吐出ノズルの前後方向へぶれるのを規制するための規制機構を設けたことを特徴とする液体吐出容器。
【請求項5】
前記請求項1〜4のいずれか1項の構成において、各吐出ノズルは駆動ヘッドに対して着脱可能に設け、吐出口径の異なる吐出ノズルと交換可能に設けたことを特徴とする液体吐出容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−112406(P2013−112406A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262732(P2011−262732)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(392020428)株式会社矢板製作所 (9)
【Fターム(参考)】