液体吐出装置、及び液体吐出方法
【課題】液体の吐出量の均一化を図る。
【解決手段】基準信号を生成する基準信号生成部と、液体を吐出する複数のノズルと、複数の前記ノズルにそれぞれ対応して設けられ、前記基準信号を増幅して得られる駆動信号に基づいて、前記ノズルから液体を吐出させるための動作を行う複数の素子と、或るノズルに対して設けられ、前記基準信号を増幅する第1増幅回路と、別のノズルに対して設けられ、前記基準信号を増幅する第2増幅回路と、を備え、前記第1増幅回路の増幅率と前記第2増幅回路の増幅率が異なる。
【解決手段】基準信号を生成する基準信号生成部と、液体を吐出する複数のノズルと、複数の前記ノズルにそれぞれ対応して設けられ、前記基準信号を増幅して得られる駆動信号に基づいて、前記ノズルから液体を吐出させるための動作を行う複数の素子と、或るノズルに対して設けられ、前記基準信号を増幅する第1増幅回路と、別のノズルに対して設けられ、前記基準信号を増幅する第2増幅回路と、を備え、前記第1増幅回路の増幅率と前記第2増幅回路の増幅率が異なる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、及び液体吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体(紙、布、OHP用紙など)に液体(例えばインク)を吐出する液体吐出装置(例えばプリンタ)がある。このような液体吐出装置では、駆動信号に基づいて素子(例えばピエゾ素子)が駆動されてヘッドの各ノズルから液体が吐出される。なお、駆動信号は、所定波形の基準信号を増幅(電圧増幅、電流増幅)することによって得られる(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−343690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
製造ばらつきなどにより、各ノズルにおける液体の吐出特性が同じでない場合がある。例えば、同一の駆動信号に対して、各ノズルから吐出される液体の量が異なっていることがある。
そこで、本発明は、各ノズルからの液体の吐出量の均一化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するための主たる発明は、基準信号を生成する基準信号生成部と、液体を吐出する複数のノズルと、複数の前記ノズルにそれぞれ対応して設けられ、前記基準信号を増幅して得られる駆動信号に基づいて、前記ノズルから液体を吐出させるための動作を行う複数の素子と、或るノズルに対して設けられ、前記基準信号を増幅する第1増幅回路と、別のノズルに対して設けられ、前記基準信号を増幅する第2増幅回路と、を備え、前記第1増幅回路の増幅率と前記第2増幅回路の増幅率が異なる、ことを特徴とする液体吐出装置である。
【0005】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
===開示の概要===
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0007】
すなわち、基準信号を生成する基準信号生成部と、液体を吐出する複数のノズルと、複数の前記ノズルにそれぞれ対応して設けられ、前記基準信号を増幅して得られる駆動信号に基づいて、前記ノズルから液体を吐出させるための動作を行う複数の素子と、或るノズルに対して設けられ、前記基準信号を増幅する第1増幅回路と、別のノズルに対して設けられ、前記基準信号を増幅する第2増幅回路と、を備え、前記第1増幅回路の増幅率と前記第2増幅回路の増幅率が異なる、ことを特徴とする液体吐出装置が明らかとなる。このような液体吐出装置によれば、各ノズルからの液体の吐出量の均一化を図ることができる。
【0008】
かかる液体吐出装置であって、前記第1増幅回路及び前記第2増幅回路は、帰還抵抗を有するオペアンプと、前記帰還抵抗の抵抗値を設定するゲイン調整部と、をそれぞれ有し、前記第1増幅回路の前記帰還抵抗の抵抗値と、前記第2増幅回路の前記帰還抵抗の抵抗値の値が異なることが望ましい。このような液体吐出装置によれば、帰還抵抗の抵抗値の設定によってオペアンプの増幅率が定まるので、ノズル毎の液体の吐出量を容易に調整することができる。
【0009】
かかる液体吐出装置であって、前記帰還抵抗は、前記オペアンプの出力と入力との間に複数の抵抗が直列接続されて形成されたものであり、前記ゲイン調整部は、一方が前記オペアンプの出力と接続された切替スイッチを有し、前記切替スイッチの他方を、複数の前記抵抗の各接続点の何れかに接続させることによって、前記帰還抵抗の抵抗値を設定するようにしてもよい。このような液体吐出装置によれば、切替スイッチの接続を制御することで、各オペアンプの増幅率をノズルの特性に応じた値に調整することができる。
【0010】
かかる液体吐出装置であって、各ノズルに対応したデジタルデータが格納される記憶部を有し、前記ゲイン調整部は、前記記憶部から読み出された前記デジタルデータの値に応じて、前記切替スイッチの接続を切り替える、ことが望ましい。このような液体吐出装置によれば、各ノズルに対応した増幅率に、正確に設定することができる。
【0011】
かかる液体吐出装置であって、前記帰還抵抗は、前記オペアンプの出力と入力との間に複数の抵抗が直列接続されて形成されたものであり、前記ゲイン調整部は、一端が前記オペアンプの出力に接続され、他端が複数の前記抵抗の接続点に接続されたヒューズを有し、前記ヒューズが切断されることに応じて、前記帰還抵抗の抵抗値を設定するようにしてもよい。このような液体吐出装置によれば、ヒューズを切断することによって、各オペアンプの増幅率をノズルの特性に応じた値に調整することができる。
【0012】
かかる液体吐出装置であって、前記ヒューズは、当該ヒューズの前記他端を接地させた状態で、前記オペアンプの出力を上昇させることによって切断される、ことが望ましい。このような液体吐出装置によれば、正確に且つ容易に目的のヒューズを切断することができる。
【0013】
また、液体を吐出する複数のノズルと、複数の前記ノズルにそれぞれ対応して設けられ、基準信号を増幅して得られる駆動信号に基づいて、前記ノズルから液体を吐出させるための動作を行う複数の素子と、を備えた液体吐出装置の液体吐出方法であって、前記基準信号を生成する基準信号生成ステップと、或るノズルに対して、前記基準信号を増幅する第1増幅ステップと、別のノズルに対して、前記基準信号を増幅する第2増幅ステップと、を有し、前記第1増幅ステップの増幅率と前記第2増幅ステップの増幅率が異なることを特徴とする液体吐出方法が明らかとなる。
【0014】
以下、本発明の実施形態を液体吐出装置の一つであるプリンタを用いて説明する。
【0015】
===第1実施形態のプリンタの構成について===
図1は、第1実施形態のプリンタの全体構成を説明するブロック図である。また、図2Aは、プリンタの全体構成の概略図である。また、図2Bは、プリンタの全体構成の横断面図である。以下、図面を参照しつつプリンタの基本的な構成について説明する。
【0016】
プリンタ1は、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、検出器群50、及び本体基板60を有する。外部装置であるコンピュータ110から印刷データを受信したプリンタ1は、本体基板60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。本体基板60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙Sに画像を印刷する。プリンタ1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果を本体基板60に出力する。本体基板60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
【0017】
搬送ユニット20は、媒体(例えば紙Sなど)を所定方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。この搬送ユニットは、給紙ローラ21と、搬送モータ22(PFモータとも言う)と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された紙Sをプリンタ内に給紙するためのローラである。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって給紙された紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラであり、搬送モータ22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の紙Sを支持する。排紙ローラ25は、紙Sをプリンタの外部に排出するローラであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。
【0018】
キャリッジユニット30は、ヘッドを所定の方向(以下、移動方向という)に移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモータ32(CRモータとも言う)とを有する。キャリッジ31は、移動方向に往復移動可能であり、キャリッジモータ32によって駆動される。また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。
【0019】
ヘッドユニット40は、紙Sにインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、インクを吐出する複数のノズルが形成されたヘッド41を備える。このヘッド41はキャリッジ31に設けられているため、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動中にノズルからインクを断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が紙に形成される。
【0020】
更に、ヘッドユニット40は駆動信号生成部42を備えている。駆動信号生成部42は、デジタルデータに基づいて、ヘッド41の各ノズルに設けられているピエゾ素子(後述)を動作させるための駆動信号COMを生成する。図1に示すように駆動信号生成部42は、基準信号生成部43、遅延部44、増幅部45を有している。基準信号生成部43は、CPU62からのデジタルデータに基づいて所定波形を示す基準信号を生成する。遅延部44は、基準信号の伝送を遅延させる。増幅部45は、基準信号を増幅(電圧増幅及び電流増幅)することで駆動信号COMを生成する。なお、第1実施形態の駆動信号生成部42は、生成する駆動信号COMの波形の大きさと位相を、ノズル毎に調整している。駆動信号生成部42の詳細については後述する。
【0021】
検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサ53、および光学センサ54等が含まれる。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出する。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出する。紙検出センサ53は、給紙中の紙の先端の位置を検出する。光学センサ54は、キャリッジ31に取付けられている発光部と受光部により、紙Sの有無を検出する。そして、光学センサ54は、キャリッジ31によって移動しながら紙Sの端部の位置を検出し、紙Sの幅を検出することができる。また、光学センサ54は、状況に応じて、紙Sの先端(搬送方向下流側の端部であり、上端ともいう)・後端(搬送方向上流側の端部であり、下端ともいう)も検出できる。
【0022】
本体基板60は、プリンタ1の各ユニットの制御を行うための制御部である。なお、本体基板60は、フレキシブルケーブル70を介してヘッドユニット40を制御している。本体基板60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110と、プリンタ1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM、ROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
【0023】
===ヘッド41の構成===
図3は、ヘッド41の下面におけるノズルの配列の一例を示す説明図である。同図に示すヘッド41の下面には、ブラックインクノズル列Kと、シアンインクノズル列Cと、マゼンタインクノズル列Mと、イエローインクノズル列Yが形成されている。各ノズル列は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを複数(本実施形態では90個とする)備えている。
【0024】
各ノズル群の複数のノズル(Nz)は、搬送方向に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)でそれぞれ整列している。ここで、Dは、搬送方向における最小のドットピッチ(つまり、紙Sに形成されるドットの最高解像度での間隔)である。また、kは、1以上の整数である。例えば、ノズルピッチが90dpi(1/90インチ)であって、搬送方向のドットピッチが720dpi(1/720インチ)である場合、k=8である。
【0025】
各ノズル群のノズルは、下流側のノズルほど小さい数の番号が付されている(♯1〜♯90)。つまり、ノズル(♯1)は、ノズル(♯90)よりも搬送方向の下流側に位置している。
各ノズルには、それぞれピエゾ素子が設けられている。ピエゾ素子は、電荷を保持可能な容量性素子の一種であり、充放電に伴って変形する。このピエゾ素子の動作に応じてノズルからインク滴が吐出される。
【0026】
図4は、ヘッド41のあるノズルの構造を説明するための図である。図には、ノズルNz、ピエゾ素子PZT、インク供給路402、ノズル連通路404、及び、弾性板406が示されている。なお、ピエゾ素子はノズル毎に対応して設けられている。
【0027】
インク供給路402には、不図示のインクタンクからインク又は透明な液体が供給される。そして、これらのインク等は、ノズル連通路404に供給される。ピエゾ素子PZTには、駆動信号COMの電圧が印加される。この駆動信号COMの波形に応じて、ピエゾ素子PZTが伸縮し、弾性板406を振動させる。そして、駆動信号COMの振幅に対応する量のインク滴がノズルNzから吐出されるようになっている。つまり、このピエゾ素子PZTの伸縮が、対応するノズルNzからインク滴を吐出させるための動作に相当する。なお、駆動信号COMの振幅を大きくすると、弾性板406の振動が大きくなる。よって、ノズルから吐出されるインクの量が多くなる。一方、駆動信号COMの振幅を小さくすると、弾性板406の振動が小さくなる。よって、ノズルから吐出されるインクの量が少なくなる。
【0028】
===駆動信号生成部42の構成===
図5は、第1実施形態の駆動信号生成部42の構成の一例を示すブロック図である。以下、図面を参照しつつ、駆動信号生成部42の構成について説明する。なお、図5では、図3に示すヘッド41のうちの、ある色のノズル列に対応する部分について示しており、図5のヘッド41に示す各ピエゾ素子(#1〜#90)は、そのノズル列の各ノズル(#1〜#90)にそれぞれ対応している。
前述したように、駆動信号生成部42は、基準信号生成部43、遅延部44、増幅部45を備えている。
【0029】
<基準信号生成部について>
基準信号生成部43は、デジタルアナログコンバータ(以下、D/Aコンバータともいう)431を有している。D/Aコンバータ431は、本体基板60のCPU62から取得した多ビットのデジタルデータを、所定波形のアナログ信号に変換する。具体的には、デジタルデータの値が大きいほど高い電圧となり、デジタルデータの値が小さいほど低い電圧となるアナログの信号に変換する。このようにして、基準信号生成部43は、デジタルデータに基づいて、所定波形のアナログ信号(以下、基準信号COM′とする)を生成する。なお、デジタルデータは、例えばメモリ63に格納されており、CPU62によって適宜読み出されて、基準信号生成部43に送られる。
【0030】
<遅延部について>
遅延部44は、基準信号COM′の伝送を遅延させるディレイ回路441を、各ノズル(各ピエゾ素子)に対応してそれぞれ備えている。本実施形態では、ノズル列のノズル数が90個であるので、遅延部44は、90個のディレイ回路441を備えている。また、各ディレイ回路441は、アナログ信号の伝送を遅延させるディレイライン(例えば同軸ケーブル)を有している。そして、各ディレイ回路441には、例えば伝送経路の長さを調整することによって、対応するノズルの特性に応じた遅延時間が設定されている。なお、遅延させる必要のないノズルの場合には、遅延時間をほぼゼロに等しくなるようにしている。そして、ノズル毎に、基準信号COM′の伝送を遅延させている。以下、図5に示すように、共通の基準信号COM′の入力に対して、各ディレイ回路441から出力される信号を、それぞれ基準信号COM(1)′、基準信号COM(2)′・・・・基準信号COM(90)′とする。なお、各ディレイ回路441は、基準信号COM′の伝送を遅延させるのみであり、波形の形(パルス間隔や大きさ)は変化させないこととする。また、上述した以外の方法で基準信号COM′の伝送を遅延させるようにしてもよい。例えば、一端側から入力される電荷を、素子毎に転送し、その素子数分の転送回数に相当する遅延を持たせて、他端側から取り出すことのできるCCD(Charge Coupled Device)、BBD(Bucket Brigade Device)のような遅延素子を用いてもよい。
【0031】
<増幅部について>
図5に示すように増幅部45は、スイッチ451、オペアンプ452、ゲイン調整部453、抵抗Ri、Rj、Ra、Rb、Rc、Rdの組み合わせをノズル毎(ピエゾ素子毎)にそれぞれ有している。本実施形態では、ノズル列のノズルの数が90個であるので、増幅部45は、この組み合わせを90個有している。そして、増幅部45は、遅延部44の各ディレイ回路441から出力された基準信号COM(1)′〜基準信号COM(90)′を、それぞれ増幅(電圧増幅及び電流増幅)して、駆動信号COM(1)〜駆動信号COM(90)を生成する。なお、各オペアンプ452は、後述するように、それぞれ個別に増幅率を設定できるようになっている。
【0032】
上述した組み合わせは、それぞれ同じ構成であるので、以下、そのうちの一つ(紙面上側)を用いて説明する。
【0033】
スイッチ451は、CPU62からの制御信号(不図示)によって導通(オン)、非導通(オフ)が制御されている。スイッチ451が導通することにより、オペアンプ452によって駆動信号COM(1)が生成され、対応するピエゾ素子PZTに供給されることになる。
【0034】
オペアンプ452の非反転入力端子(以下、+端子ともいう)は、スイッチ451を介して、遅延部44のディレイ回路441(紙面上側)と接続されている。これにより、スイッチ451が導通することによって、オペアンプ452の+端子には、基準信号COM(1)′が入力される。また、オペアンプ452の反転入力端子(以下、−端子ともいう)は、抵抗Rjを介して接地されるとともに、当該オペアンプ452の出力が帰還抵抗(直列接続された抵抗Ra、抵抗Rb、抵抗Rc、抵抗Rd)を介して帰還される(負帰還)。
【0035】
さらに、オペアンプ452の−端子は抵抗Riを介して+端子と接続されている。この抵抗Riは、スイッチ451が非導通のとき、オペアンプ452の出力を一定にするための抵抗である。なお、抵抗Riには、スイッチ451が導通しているときに、オペアンプ452の+端子の入力に、−端子側からの影響を与えないように、十分高い抵抗値のものが用いられている。もし仮に、抵抗Riが設けられていないとすると、スイッチ451が非導通のとき、オペアンプ452の+端子の入力が不定になる。そして、オペアンプ452で、この不定の信号が増幅されることになるので、オペアンプ452の出力が安定しなくなる。これに対し、本実施形態では、抵抗Riを設けているので、スイッチ451が非導通の場合でも、+端子に抵抗Riを介して−端子と同じ電圧が印加されることになる。よって、オペアンプ452の出力を一定にすることができる。
【0036】
抵抗Ra、抵抗Rb、抵抗Rc、抵抗Rdは、オペアンプ452の帰還抵抗を構成しており、この順でオペアンプ452の−端子と当該オペアンプ452の出力との間に直列に接続されている。また、抵抗Raと抵抗Rbの接続点は、後述するゲイン調整部453の接点aと接続されており、抵抗Rbと抵抗Rcの接続点は、ゲイン調整部453の接点bと接続されている。また、抵抗Rcと抵抗Rdの接続点は、ゲイン調整部453の接点cと接続されている。
【0037】
ゲイン調整部453は、オペアンプ452の増幅率(ゲイン)を設定するものであり、スイッチSW(切替スイッチに相当する)を有する。スイッチSWの一方はオペアンプ452の出力と接続されている。このスイッチSWの他方側の接続を切り替えることによって増幅率が設定される。なお、本実施形態のゲイン調整部453は、例えばメモリ63のレジスタ(記憶部に相当する)から読み出される2ビットデータ(デジタルデータに相当する)に基づいて、オペアンプ452毎(すなわちノズル毎)に、スイッチSWの他方側の接続を切り替える。このデータは2ビットずつノズルごとに用意されたレジスタ(図示せず)にシリアル転送され格納される。例えば、あるノズルに対して、2ビットデータが(0、0)の場合には、スイッチSWを接点aに接続し、2ビットデータが(0、1)の場合には接点bに接続する。また、2ビットデータが(1、0)の場合には、スイッチSWを接点cに接続し、2ビットデータが(1、1)の場合には、帰還抵抗と独立した接点dに接続する。このように、ゲイン調整部453は、各ノズルに対応する2ビットデータの値によってスイッチSWの接続を切り替える。そして、このスイッチSWの切り替えによって、オペアンプ452の増幅率が設定されることになる(後述する)。上記レジスタには、各ノズルの吐出特性に応じて、このような2ビットデータがノズル毎(オペアンプ452毎)に格納されている。
【0038】
そして、オペアンプ452は、スイッチ451が導通することにより、当該オペアンプ452の+端子に入力される基準信号COM(1)′をゲイン調整部453によって定まる増幅率で増幅(電圧増幅及び電流増幅)して、駆動信号COM(1)を生成する。
【0039】
<オペアンプについて>
本実施形態のオペアンプ452は、前述したように、電圧増幅と電流増幅を行っている。
図6はオペアンプ452の構成の一例の説明図である。図6のオペアンプ452は、駆動信号生成制御回路454、Pチャンネル型MOSFET(以下、PMOSともいう)455、Nチャンネル型MOSFET(以下、NMOSともいう)456を有している。
【0040】
駆動信号生成制御回路454の入力1は、オペアンプ452の+端子に対応し、駆動信号生成制御回路454の入力2は、オペアンプ452の−端子に対応している。また、駆動信号生成制御回路454の出力3は、PMOS455のゲートと接続され、駆動信号生成制御回路454の出力4は、NMOS456のゲートと接続されている。
PMOS455のソースは一定電圧(例えば42ボルト)の電源VHの供給線に接続されている。PMOS455のドレインは、NMOS456のドレインと接続され、この接続点がオペアンプ452の出力となっている。また、NMOS456のソースは接地(GND)されている。
【0041】
このように、PMOS455とNMOS456は、ソースが一定の電圧(ソース共通回路)となっている。ここで、ドレインが一定(ソースフォロワ回路)では、電圧増幅率がほぼ1であり、電流増幅しかできないのに対し、ソース共通回路では、電流増幅と電圧増幅を行うことができる。よって、PMOS455あるいはNMOS456が動作することによって、入力信号の電圧増幅と電流増幅が行われることになる。
PMOS455が動作すれば、オペアンプ452の出力が上昇する。一方、NMOS456が動作すれば、オペアンプ452の出力が下降する。オペアンプ452の出力は、図5の帰還抵抗を介して当該オペアンプ452の−端子(駆動信号生成制御回路454の入力2に対応)に帰還され、駆動信号生成制御回路454によってモニタされる。
そして、駆動信号生成制御回路454は、入力1及び入力2の大きさに基づいて、オペアンプ452の出力が当該オペアンプ452の+端子入力の増幅値となるように、PMOS455とNMOS456の動作を制御する。このようにして、基準信号COM´が増幅されて駆動信号COMが生成される。
【0042】
なお、本実施形態では、基準信号COM′を増幅(電圧増幅、電流増幅)するのに上述したオペアンプ452を用いているが、電圧増幅および電流増幅を行うことができれば他の構成であってもよく、これには限定されない。
【0043】
以上の構成により、駆動信号生成部42は、まず、基準信号生成部43のD/Aコンバータ431によって、CPU62から取得したデジタルデータを、アナログの基準信号COM′に変換する。そして、この基準信号COM′を、遅延部44のノズル毎に設けられたディレイ回路441によって適宜遅延させる(基準信号COM(1)′〜基準信号COM(90)′)。そして、増幅部45が、遅延部44の各ディレイ回路441の出力を、各ノズルに対して設定された増幅率によってそれぞれ増幅し、駆動信号COM(1)〜駆動信号COM(90)を生成する。
各駆動信号COMは、それぞれ対応するピエゾ素子PZTに印加される。各ピエゾ素子は駆動信号COMの波形に応じた伸縮を行い、この動作に基づいて、対応するノズルからインク滴が吐出される。
このように、本実施形態の駆動信号生成部42では、ノズル毎に基準信号COM′の伝送時間や、増幅率を設定している。以下その設定について説明する。
【0044】
===ノズル毎の設定について===
<ノズルのばらつきについて>
ヘッド41には複数のノズルが形成されている。しかし、製造ばらつきなどにより各ノズルにおける液体の吐出特性が同一でない場合がある。
図7は、ヘッド41のノズルにばらつきがある場合の一例を説明するための図である。なお、図7の左側には、図3のヘッド41の4つのノズル列のうちのあるノズル列を示しており、その各ノズルを白丸で示している。図7の右側は、各ノズルによって吐出されたインクによって紙Sに形成されるドットを黒丸で示している。
【0045】
例えば、製造ばらつきによって、ノズル(#1)からのインクの吐出方向が移動方向の反対側(紙面左側)に傾いている場合、あるいはノズル(#1)からのインクの吐出速度が他のノズルからのインクの吐出速度よりも速い場合、図7に示すように、ノズル(#1)によって形成されるドットの位置(インク滴の着弾位置)が、他のドットの位置よりも移動方向の反対側にΔLずれる。なお、ヘッド41でのノズル(#1)の形成位置が移動方向の反対側にずれている場合も、上述した場合と同様に、ドットの位置が移動方向の反対側にずれる。
【0046】
また、図7では、ノズル(#90)のサイズが他のノズルよりも小さくなっている。この場合、各ピエゾ素子を同じ駆動信号で動作させると、同図に示すように、紙Sに形成されるノズル(#90)に対応するドットの大きさが、他のノズルに対応するドットよりも小さくなってしまう。
そこで、本実施形態では、各ノズルによって紙Sに形成されるドットの均一化を図っている。具体的には、共通の基準信号に対して、ノズル毎に遅延時間と増幅率を調整する。
【0047】
<遅延時間について>
インクの着弾位置を揃えるため、遅延部44でノズル毎にインクの吐出タイミングの調整を行う。例えば図7の場合、ノズル(#1)に対応するディレイ回路441(図5の紙面上側)において、他のノズルに対応するディレイ回路441よりもΔLに対応する時間(Δtとする)長い遅延時間を設定する。なお、本実施形態では、説明の都合上、他のノズルに対応するディレイ回路441は基準信号COM′の伝送を遅延させないこととする(遅延時間がほぼゼロとする)。よって、ノズル(#1)に対応するディレイ回路441は、基準信号COM′の伝送をΔt遅延させる。
【0048】
図8は、遅延部44のディレイ回路441による信号の遅延の説明図である。図8の横軸は時間を示し、縦軸は信号の大きさ(電圧)を示している。また、図8の実線は、基準信号COM′の波形を示し、点線は、遅延部44から出力される基準信号COM(1)′の波形を示している。
【0049】
図からわかるように、基準信号COM(1)′は、基準信号COM′と比べて、波形の変化するタイミングがすべてΔt遅れている。一方、他のノズルに対応するディレイ回路441から出力される信号(基準信号COM(2)′〜基準信号COM(90)′)は基準信号COM′と同じ波形となる。よって、遅延部44の各ディレイ回路441に共通の基準信号COM′が入力されるにもかかわらず、ノズル(#1)に対応するディレイ回路441の出力だけが、他のノズルに対応するディレイ回路441の出力よりもΔt遅れることとなる。
【0050】
これにより、ノズル(#1)に対応するピエゾ素子の動作するタイミングが、他のピエゾ素子よりもΔt遅れる。すなわち、ノズル(#1)からのインクの吐出タイミングが、他のノズルよりもΔt遅れる。つまり、図7においてノズル(#1)によって形成されるドットの位置が移動方向側(紙面右側)にΔLずれることとなり、各ノズルによって形成されるドットの位置を揃えるようにすることができる。
【0051】
このように、本実施形態では、ノズル毎に対応してディレイ回路441(#1)を設けているので、各ノズルからインク滴を吐出するタイミングをそれぞれ調整することができる。よって、各ノズルによるドットの形成位置(インク滴の着弾位置)を揃えるようにすることができる。
【0052】
上述した実施形態では、1つのノズルの特性が異なる場合について説明したが、複数のノズルにおいてばらつきがある場合がある。例えば、ノズル列が搬送方向に対して平行になっていない場合がある。このような場合でも、同様に、各ディレイ回路441の遅延時間をそれぞれ調整することにより、各ノズルから吐出されるインク滴の着弾位置の均一化を図ることができる。また、各ノズルに対して共通の基準信号COM′を用いることができるので、ノズル毎に基準信号を生成する場合に比べて回路を簡素化することができる。
また、ノズル列全体で平均的にずれることがあるが、このノズル列全体を大きめあるいは小さめのディレイにすることにより、他のノズル列とのずれをなくすことができる。
【0053】
<増幅率について>
前述したように、増幅部45の各オペアンプ452では、ゲイン調整部453のスイッチSWの切り替えに応じて増幅率を設定している。まず、この増幅率の設定について説明する。
【0054】
オペアンプ452の出力と、−端子との間の抵抗(帰還抵抗)の抵抗値をRtとする。また、抵抗Ra、抵抗Rb、抵抗Rc、抵抗Rdの抵抗値をそれぞれRa、Rb、Rc、Rdとする。この場合、ゲイン調整部453においてスイッチSWを接点aに接続した場合の抵抗値Rtは、
Rt=Ra
となる。また、スイッチSWを接点bに接続した場合の抵抗値Rtは、
Rt=Ra+Rb
となる。さらに、スイッチSWを接点c、接点dに接続した場合の抵抗値Rtは、それぞれ、
Rt=Ra+Rb+Rc
Rt=Ra+Rb+Rc+Rd
となる。このように、ゲイン調整部453は、スイッチSWの切り替えに応じて帰還抵抗の抵抗値を変更する。
【0055】
オペアンプ452は負帰還の非反転増幅回路であり、その増幅率は、周知のように、帰還抵抗の抵抗値(Rt)と、抵抗Rjの抵抗値(Rjとする)に応じて定まる。具体的には、オペアンプ452の増幅率は、(1+Rt/Rj)となる。
ここで、例えばRjを1kΩとし、Raを9kΩ、Rb、Rc、Rdをそれぞれ1kΩとすると、ゲイン調整部453のスイッチSWを接点aに接続した場合、オペアンプ452の増幅率は10(=1+9/1)倍となる。また、スイッチSWを接点b、接点c、接点dに接続した場合の増幅率は、それぞれ11倍、12倍、13倍となる。
【0056】
図9は、オペアンプ452の増幅率の切り替えによる駆動信号COMの変化の説明図である。図の横軸は時間を示し、縦軸は電圧の大きさを示している。図には、ある入力信号に対して、ゲイン調整部453のスイッチSWを接点a〜dにそれぞれ切り替えたときの駆動信号COMの波形を、同一タイミングで変化するようにして示している。
図からわかるように、スイッチSWの接続を接点a→b→c→dと切り替えるのに従って(オペアンプ452の増幅率が高くなるのに従って)、駆動信号COMの波形の電圧が高くなっていく。よって、この順でピエゾ素子PZTの伸縮の動作が大きくなり、ノズルから吐出されるインクの量が増えることになる。
【0057】
このように、帰還抵抗を構成する各抵抗の抵抗値の設定、及び、スイッチSWの切り替えに応じてオペアンプ452の増幅率を設定することができる。そして、これにより、生成する駆動信号COMの大きさを容易に調整することができる。
【0058】
例えば、図7では、ノズル(#90)からのインクの吐出量が、他のノズルよりも少なく、ノズル(#90)によって紙Sに形成されるドットが、他のドットに比べて小さくなっている。なお、図7のドットを形成した場合には、各ノズルに対応するオペアンプ452のゲイン調整部453のスイッチSWの接続が接点dであるとする。
【0059】
このような場合、ノズル(#90)のインクの吐出量を増やすべく、ノズル(#90)に対応するオペアンプ452のゲイン調整部453のスイッチSWを、接点dよりもオペアンプ452の増幅率が大きくなる接点(例えば接点a)に接続するようにする。つまり、前述したレジスタに格納される2ビットデータを、他のノズルに対応する値(例えば(0、0))と異なる値(例えば(1、1))にする。こうすることにより、各オペアンプ452に入力される信号の大きさが同じであったとしても、ノズル(#90)に対応するオペアンプ452の出力だけをより増幅させることができ、ノズル(#90)からのインクの吐出量のみを多くすることができる。このように、ノズル毎に増幅率を設定することによって、各ノズルからのインクの吐出量を揃えるようにすることができ、紙Sに形成されるドットの大きさを揃えることができる。
【0060】
このように、本実施形態では、増幅部45の前述した組み合わせ(オペアンプ452など)をノズル毎に備えているので、ゲイン調整部453のスイッチSWの接続を切り替えることによって、各オペアンプ452の増幅率を、ノズルの吐出特性に応じた値に調整することができる。また、2ビットデータによってゲイン調整部453のスイッチSWの接続を切り替えているので、各ノズルに対応した増幅率に、正確に設定することができる。
【0061】
なお、本実施形態では、ノズル毎にディレイ回路441とオペアンプ452を設け、ノズル毎に遅延時間と、増幅率を調整していたが、ノズル列毎にディレイ回路441とオペアンプ452を設け、ノズル列毎に遅延時間と、増幅率を調整してもよい。こうすることにより、各ノズル列のインクの吐出特性にばらつきがある場合でも、各ノズル列の吐出特性の均一化を図ることができる。
【0062】
また、複数のヘッドが備えられている場合に同様にして、ヘッド毎に遅延時間と、増幅率を調整してもよい。こうすることにより、各ヘッドのインクの吐出特性にばらつきがあっても、各ヘッドの吐出特性の均一化を図ることができる。
【0063】
ただし、これらの場合、各オペアンプ452に接続されるピエゾ素子の数が多くなるので、オペアンプ452のみでは、各ピエゾ素子に供給するのに十分な電流増幅を行えない可能性がある。よって、各オペアンプ452の後段に電流増幅回路(例えばプッシュプルソースフォロワに接続されたNMOSとPMOS)を別途設けることが望ましい。なお、これらの場合は、ピエゾ素子PZTの直前にノズル選択のスイッチを設ける。
【0064】
また、本実施形態では、駆動信号生成部42(基準信号生成部43、遅延部44、増幅部45)をヘッドユニット40側に設けていたが、例えば、基準信号生成部43を本体基板60側に設け、本体基板60において基準信号COM′を生成してもよい。そして、フレキシブルケーブル70を介して、基準信号COM′をヘッドユニット40側の遅延部44に伝送するようにしてもよい。こうすることにより、フレキシブルケーブル70を通るのが多ビットのデジタルデータではなく、アナログ信号(基準信号COM′)となるので、ケーブルの芯数を少なくすることができる。
【0065】
===第2実施形態===
第1実施形態では、増幅部45において、ゲイン調整部453のスイッチSWの接続を切り替えることによって、オペアンプ452の増幅率を変更していた。第2実施形態では、スイッチSWによる切り替えを行わずに、オペアンプ452の増幅率を変更する場合について説明する。
【0066】
図10は、第2実施形態のプリンタの全体構成を説明するブロック図である。また、図11は、第2実施形態の駆動信号生成部42′の構成の一例を示すブロック図である。なお、図10及び図11において、図1及び図5と同一構成の部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0067】
第2実施形態の駆動信号生成部42′は、図10、図11に示すように増幅部45′を備えている。
増幅部45′は、スイッチ451、オペアンプ452、ゲイン調整部453′、抵抗Ri、Rj、Ra、Rb、Rc、Rdの組み合わせをノズル毎(ピエゾ素子毎)にそれぞれ有している。
ゲイン調整部453′は、オペアンプ452の増幅率を設定するものであり、ヒューズF1、F2、F3、スイッチS1、S2、S3を有している。
ヒューズF1、F2、F3の一端は、オペアンプ452の出力と接続されている。ヒューズF1の他端は、抵抗Raと抵抗Rbの接続点に接続されるとともに、スイッチS1を介して接地されている。また、ヒューズF2の他端は、抵抗Rbと抵抗Rcの接続点に接続されるとともに、スイッチS2を介して接地されている、また、ヒューズF3の他端は、抵抗Rcと抵抗Rdの接続点に接続されるとともに、スイッチS3を介して接地されている。
【0068】
以上の構成により、例えばスイッチS1を導通させた状態で、オペアンプ452の出力を上昇させると、ヒューズF1を切断することができる。また、スイッチS2を導通させた状態で、オペアンプ452の出力を上昇させるとヒューズF2を切断することができる。また、スイッチS3を導通させた状態で、オペアンプ452の出力を上昇させると、ヒューズF3を切断することができる。
【0069】
以下、第1実施形態と同様に、Rjを1kΩとし、Raを9kΩ、Rb、Rc、Rdをそれぞれ1kΩとし、帰還抵抗の抵抗値をRtとする。
ヒューズF1、F2、F3が全て未切断の場合(図11の場合)には、
Rt=Ra=9(kΩ)
となり、オペアンプ452の増幅率は、10(=1+9/1)倍になる。
ヒューズF1を切断すると、
Rt=Ra+Rb=10(kΩ)
となり、オペアンプ452の増幅率は、11(=1+10/1)倍になる。
さらに、ヒューズF2を切断(すなわちヒューズF1、F2を切断)すると、
Rt=Ra+Rb+Rc=11(kΩ)
となり、オペアンプ452の増幅率は、12(=1+11/1)倍になる。
そして、ヒューズF1、F2、F3を全て切断すると、
Rt=Ra+Rb+Rc+Rd=12(kΩ)
となり、オペアンプ452の増幅率は、13(=1+12/1)倍になる。
このように、ヒューズF1、F2、F3の切断に応じて、オペアンプ452の増幅率を調整することができる。各ヒューズの切断は、それぞれ対応するスイッチを導通させた状態で、オペアンプ452の出力を上昇させればよいので、正確、且つ、容易に行うことができる。
【0070】
以上説明したように、第2実施形態の駆動信号生成部42′では、ゲイン調整部453′のヒューズF1、F2、F3を適宜切断することに応じて、各オペアンプ452の増幅率をノズルの吐出特性に応じた値に調整することができる。
なお、各ヒューズの切断は、例えば製品出荷の前に、各ノズルの吐出特性(吐出されるインク量)に応じて行うようにしておく。こうすることにより、以後、各ノズルの吐出量のばらつきを気にせず使用することができる。
【0071】
===第3実施形態===
前述した実施形態では、基準信号COM′の伝送の遅延時間と増幅率をそれぞれノズル毎に調整していたが、第3実施形態では、基準信号COM′の増幅率のみをノズル毎に調整する。
図12は、第3実施形態のプリンタの全体構成を説明するブロック図である。なお、図12において、図1と同一構成の部分には同一符号を付し、説明を省略する。第3実施形態の駆動信号生成部42″は、基準信号生成部43と増幅部45を備えている。
また、図13は、駆動信号生成部42″の構成の一例を示すブロック図である。図13において、図5と同一構成の部分には同一符号を付し説明を省略する。
【0072】
第1実施形態(図5)では増幅部45の各オペアンプ452は、遅延部44の各ディレイ回路441の出力を増幅していたが、第3実施形態(図13)では、増幅部45の各オペアンプ452は、基準信号生成部43で生成された基準信号COM′を増幅する。つまり、各オペアンプ452から出力される駆動信号COMの変化のタイミングが同じになる。
【0073】
なお、第1実施形態や第2実施形態と同様に、第3実施形態においても、各オペアンプ452で増幅率を調整することができるので、駆動信号COMの大きさをノズル毎に変えることができる。よって、各ノズルにおけるインクの吐出量の均一化を図ることができる。また、第3実施形態では、遅延部44を設けていないので、他の実施形態よりも回路を簡素化させることができる。
【0074】
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主としてプリンタについて記載されているが、その中には、印刷装置、記録装置、液体の吐出装置、印刷方法、記録方法、液体の吐出方法、印刷システム、記録システム、コンピュータシステム、プログラム、プログラムを記憶した記憶媒体、表示画面、画面表示方法、印刷物の製造方法、等の開示が含まれていることは言うまでもない。
【0075】
また、一実施形態としてのプリンタ等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0076】
<プリンタについて>
前述の実施形態では、プリンタが説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の記録装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。このような分野に本技術を適用しても、液体を対象物に向かって直接的に吐出(直描)することができるという特徴があるので、従来と比較して省材料、省工程、コストダウンを図ることができる。
また、本実施形態と同様の技術をラインプリンタに適用しても良い。
【0077】
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンタの実施形態だったので、染料インク又は顔料インクをノズルから吐出していた。しかし、ノズルから吐出する液体は、このようなインクに限られるものではない。例えば、金属材料、有機材料(特に高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク、加工液、遺伝子溶液などを含む液体(水も含む)をノズルから吐出しても良い。このような液体を対象物に向かって直接的に吐出すれば、省材料、省工程、コストダウンを図ることができる。
【0078】
<帰還抵抗について>
本実施形態では帰還抵抗を構成する抵抗が4つであったが、複数であればよい。例えば2つでもよい。なお、抵抗の数を多くし、ゲイン調整部453の接点の数を多くするほど、オペアンプ452の増幅率の設定を多くすることができる。
また、前述した実施形態では、オペアンプの帰還抵抗として4つの抵抗を直列接続していたが、オペアンプ452の出力と−端子との間の抵抗値を複数段階に切り替えることができる構成であれば、これ以外であってもよい。
例えば、図5において、抵抗Ra、抵抗Rb、抵抗Rc、抵抗Rdの一端を全てオペアンプ452の−端子に接続し、抵抗Ra、抵抗Rb、抵抗Rc、抵抗Rdの他端をそれぞれ、接点a、接点b、接点c、接点dとしてもよい。そして、スイッチSWをこの接点のうちの何れかに接続するようにしてもよい。この場合、抵抗Rj、抵抗Ra、抵抗Rb、抵抗Rc、抵抗Rdの各抵抗値を、それぞれ1kΩ、9kΩ、10kΩ、11kΩ、12kΩとすると、スイッチSWの接続の切り替えに応じて、第1実施形態と同じように増幅率を設定することができる。
【0079】
<増幅率の設定について>
各ノズルの吐出特性の傾向が分かっているような場合、予め、ノズル毎に増幅率の異なるオペアンプを設けるようにしてもよい。例えば、図7のようにノズル列端のノズル(#90)からの吐出量が、他のノズルよりも少なくなる傾向がある場合、他のノズルに対応するオペアンプの増幅率よりも大きい増幅率のオペアンプを、ノズル(#90)に対して予め設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】第1実施形態のプリンタの全体構成を説明するブロック図である。
【図2】図2Aは、プリンタの全体構成の概略図である。図2Bは、プリンタの全体構成の横断面図である。
【図3】ノズルの配列の一例を示す説明図である。
【図4】ヘッドの構造を説明するための図である。
【図5】第1実施形態の駆動信号生成部の構成を示すブロック図である。
【図6】オペアンプの構成例の説明図である
【図7】ノズルにばらつきがある場合を説明するための図である。
【図8】ディレイ回路による信号の遅延の説明図である。
【図9】オペアンプの増幅率の切り替えによる駆動信号COMの変化の説明図である。
【図10】第2実施形態のプリンタの全体構成を説明するブロック図である。
【図11】第2実施形態の駆動信号生成部の構成を示すブロック図である。
【図12】第3実施形態のプリンタの全体構成を説明するブロック図である。
【図13】第3実施形態の駆動信号生成部の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0081】
1 プリンタ、20 搬送ユニット、21 給紙ローラ、
22 搬送モータ(PFモータ)、23 搬送ローラ、24 プラテン、
25 排紙ローラ、30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、
32 キャリッジモータ(CRモータ)、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、42 駆動信号生成部、
43 基準信号生成部、44 遅延部、45 増幅部
50 検出器群、51 リニア式エンコーダ、
52 ロータリー式エンコーダ、53 紙検出センサ、54 光学センサ、
60 本体基板、61 インターフェース部、62 CPU、
63 メモリ、64 ユニット制御回路、70 フレキシブルケーブル
402 インク供給路、404 ノズル連通路、406 弾性板、
431 D/Aコンバータ、441 ディレイ回路、451 スイッチ、
452 オペアンプ、453 ゲイン調整部
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、及び液体吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体(紙、布、OHP用紙など)に液体(例えばインク)を吐出する液体吐出装置(例えばプリンタ)がある。このような液体吐出装置では、駆動信号に基づいて素子(例えばピエゾ素子)が駆動されてヘッドの各ノズルから液体が吐出される。なお、駆動信号は、所定波形の基準信号を増幅(電圧増幅、電流増幅)することによって得られる(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−343690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
製造ばらつきなどにより、各ノズルにおける液体の吐出特性が同じでない場合がある。例えば、同一の駆動信号に対して、各ノズルから吐出される液体の量が異なっていることがある。
そこで、本発明は、各ノズルからの液体の吐出量の均一化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するための主たる発明は、基準信号を生成する基準信号生成部と、液体を吐出する複数のノズルと、複数の前記ノズルにそれぞれ対応して設けられ、前記基準信号を増幅して得られる駆動信号に基づいて、前記ノズルから液体を吐出させるための動作を行う複数の素子と、或るノズルに対して設けられ、前記基準信号を増幅する第1増幅回路と、別のノズルに対して設けられ、前記基準信号を増幅する第2増幅回路と、を備え、前記第1増幅回路の増幅率と前記第2増幅回路の増幅率が異なる、ことを特徴とする液体吐出装置である。
【0005】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
===開示の概要===
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0007】
すなわち、基準信号を生成する基準信号生成部と、液体を吐出する複数のノズルと、複数の前記ノズルにそれぞれ対応して設けられ、前記基準信号を増幅して得られる駆動信号に基づいて、前記ノズルから液体を吐出させるための動作を行う複数の素子と、或るノズルに対して設けられ、前記基準信号を増幅する第1増幅回路と、別のノズルに対して設けられ、前記基準信号を増幅する第2増幅回路と、を備え、前記第1増幅回路の増幅率と前記第2増幅回路の増幅率が異なる、ことを特徴とする液体吐出装置が明らかとなる。このような液体吐出装置によれば、各ノズルからの液体の吐出量の均一化を図ることができる。
【0008】
かかる液体吐出装置であって、前記第1増幅回路及び前記第2増幅回路は、帰還抵抗を有するオペアンプと、前記帰還抵抗の抵抗値を設定するゲイン調整部と、をそれぞれ有し、前記第1増幅回路の前記帰還抵抗の抵抗値と、前記第2増幅回路の前記帰還抵抗の抵抗値の値が異なることが望ましい。このような液体吐出装置によれば、帰還抵抗の抵抗値の設定によってオペアンプの増幅率が定まるので、ノズル毎の液体の吐出量を容易に調整することができる。
【0009】
かかる液体吐出装置であって、前記帰還抵抗は、前記オペアンプの出力と入力との間に複数の抵抗が直列接続されて形成されたものであり、前記ゲイン調整部は、一方が前記オペアンプの出力と接続された切替スイッチを有し、前記切替スイッチの他方を、複数の前記抵抗の各接続点の何れかに接続させることによって、前記帰還抵抗の抵抗値を設定するようにしてもよい。このような液体吐出装置によれば、切替スイッチの接続を制御することで、各オペアンプの増幅率をノズルの特性に応じた値に調整することができる。
【0010】
かかる液体吐出装置であって、各ノズルに対応したデジタルデータが格納される記憶部を有し、前記ゲイン調整部は、前記記憶部から読み出された前記デジタルデータの値に応じて、前記切替スイッチの接続を切り替える、ことが望ましい。このような液体吐出装置によれば、各ノズルに対応した増幅率に、正確に設定することができる。
【0011】
かかる液体吐出装置であって、前記帰還抵抗は、前記オペアンプの出力と入力との間に複数の抵抗が直列接続されて形成されたものであり、前記ゲイン調整部は、一端が前記オペアンプの出力に接続され、他端が複数の前記抵抗の接続点に接続されたヒューズを有し、前記ヒューズが切断されることに応じて、前記帰還抵抗の抵抗値を設定するようにしてもよい。このような液体吐出装置によれば、ヒューズを切断することによって、各オペアンプの増幅率をノズルの特性に応じた値に調整することができる。
【0012】
かかる液体吐出装置であって、前記ヒューズは、当該ヒューズの前記他端を接地させた状態で、前記オペアンプの出力を上昇させることによって切断される、ことが望ましい。このような液体吐出装置によれば、正確に且つ容易に目的のヒューズを切断することができる。
【0013】
また、液体を吐出する複数のノズルと、複数の前記ノズルにそれぞれ対応して設けられ、基準信号を増幅して得られる駆動信号に基づいて、前記ノズルから液体を吐出させるための動作を行う複数の素子と、を備えた液体吐出装置の液体吐出方法であって、前記基準信号を生成する基準信号生成ステップと、或るノズルに対して、前記基準信号を増幅する第1増幅ステップと、別のノズルに対して、前記基準信号を増幅する第2増幅ステップと、を有し、前記第1増幅ステップの増幅率と前記第2増幅ステップの増幅率が異なることを特徴とする液体吐出方法が明らかとなる。
【0014】
以下、本発明の実施形態を液体吐出装置の一つであるプリンタを用いて説明する。
【0015】
===第1実施形態のプリンタの構成について===
図1は、第1実施形態のプリンタの全体構成を説明するブロック図である。また、図2Aは、プリンタの全体構成の概略図である。また、図2Bは、プリンタの全体構成の横断面図である。以下、図面を参照しつつプリンタの基本的な構成について説明する。
【0016】
プリンタ1は、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40、検出器群50、及び本体基板60を有する。外部装置であるコンピュータ110から印刷データを受信したプリンタ1は、本体基板60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。本体基板60は、コンピュータ110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙Sに画像を印刷する。プリンタ1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果を本体基板60に出力する。本体基板60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
【0017】
搬送ユニット20は、媒体(例えば紙Sなど)を所定方向(以下、搬送方向という)に搬送させるためのものである。この搬送ユニットは、給紙ローラ21と、搬送モータ22(PFモータとも言う)と、搬送ローラ23と、プラテン24と、排紙ローラ25とを有する。給紙ローラ21は、紙挿入口に挿入された紙Sをプリンタ内に給紙するためのローラである。搬送ローラ23は、給紙ローラ21によって給紙された紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラであり、搬送モータ22によって駆動される。プラテン24は、印刷中の紙Sを支持する。排紙ローラ25は、紙Sをプリンタの外部に排出するローラであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設けられている。
【0018】
キャリッジユニット30は、ヘッドを所定の方向(以下、移動方向という)に移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ31と、キャリッジモータ32(CRモータとも言う)とを有する。キャリッジ31は、移動方向に往復移動可能であり、キャリッジモータ32によって駆動される。また、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。
【0019】
ヘッドユニット40は、紙Sにインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット40は、インクを吐出する複数のノズルが形成されたヘッド41を備える。このヘッド41はキャリッジ31に設けられているため、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動中にノズルからインクを断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が紙に形成される。
【0020】
更に、ヘッドユニット40は駆動信号生成部42を備えている。駆動信号生成部42は、デジタルデータに基づいて、ヘッド41の各ノズルに設けられているピエゾ素子(後述)を動作させるための駆動信号COMを生成する。図1に示すように駆動信号生成部42は、基準信号生成部43、遅延部44、増幅部45を有している。基準信号生成部43は、CPU62からのデジタルデータに基づいて所定波形を示す基準信号を生成する。遅延部44は、基準信号の伝送を遅延させる。増幅部45は、基準信号を増幅(電圧増幅及び電流増幅)することで駆動信号COMを生成する。なお、第1実施形態の駆動信号生成部42は、生成する駆動信号COMの波形の大きさと位相を、ノズル毎に調整している。駆動信号生成部42の詳細については後述する。
【0021】
検出器群50には、リニア式エンコーダ51、ロータリー式エンコーダ52、紙検出センサ53、および光学センサ54等が含まれる。リニア式エンコーダ51は、キャリッジ31の移動方向の位置を検出する。ロータリー式エンコーダ52は、搬送ローラ23の回転量を検出する。紙検出センサ53は、給紙中の紙の先端の位置を検出する。光学センサ54は、キャリッジ31に取付けられている発光部と受光部により、紙Sの有無を検出する。そして、光学センサ54は、キャリッジ31によって移動しながら紙Sの端部の位置を検出し、紙Sの幅を検出することができる。また、光学センサ54は、状況に応じて、紙Sの先端(搬送方向下流側の端部であり、上端ともいう)・後端(搬送方向上流側の端部であり、下端ともいう)も検出できる。
【0022】
本体基板60は、プリンタ1の各ユニットの制御を行うための制御部である。なお、本体基板60は、フレキシブルケーブル70を介してヘッドユニット40を制御している。本体基板60は、インターフェース部61と、CPU62と、メモリ63と、ユニット制御回路64とを有する。インターフェース部61は、外部装置であるコンピュータ110と、プリンタ1との間でデータの送受信を行う。CPU62は、プリンタ全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリ63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEPROM、ROM等の記憶素子を有する。CPU62は、メモリ63に格納されているプログラムに従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
【0023】
===ヘッド41の構成===
図3は、ヘッド41の下面におけるノズルの配列の一例を示す説明図である。同図に示すヘッド41の下面には、ブラックインクノズル列Kと、シアンインクノズル列Cと、マゼンタインクノズル列Mと、イエローインクノズル列Yが形成されている。各ノズル列は、各色のインクを吐出するための吐出口であるノズルを複数(本実施形態では90個とする)備えている。
【0024】
各ノズル群の複数のノズル(Nz)は、搬送方向に沿って、一定の間隔(ノズルピッチ:k・D)でそれぞれ整列している。ここで、Dは、搬送方向における最小のドットピッチ(つまり、紙Sに形成されるドットの最高解像度での間隔)である。また、kは、1以上の整数である。例えば、ノズルピッチが90dpi(1/90インチ)であって、搬送方向のドットピッチが720dpi(1/720インチ)である場合、k=8である。
【0025】
各ノズル群のノズルは、下流側のノズルほど小さい数の番号が付されている(♯1〜♯90)。つまり、ノズル(♯1)は、ノズル(♯90)よりも搬送方向の下流側に位置している。
各ノズルには、それぞれピエゾ素子が設けられている。ピエゾ素子は、電荷を保持可能な容量性素子の一種であり、充放電に伴って変形する。このピエゾ素子の動作に応じてノズルからインク滴が吐出される。
【0026】
図4は、ヘッド41のあるノズルの構造を説明するための図である。図には、ノズルNz、ピエゾ素子PZT、インク供給路402、ノズル連通路404、及び、弾性板406が示されている。なお、ピエゾ素子はノズル毎に対応して設けられている。
【0027】
インク供給路402には、不図示のインクタンクからインク又は透明な液体が供給される。そして、これらのインク等は、ノズル連通路404に供給される。ピエゾ素子PZTには、駆動信号COMの電圧が印加される。この駆動信号COMの波形に応じて、ピエゾ素子PZTが伸縮し、弾性板406を振動させる。そして、駆動信号COMの振幅に対応する量のインク滴がノズルNzから吐出されるようになっている。つまり、このピエゾ素子PZTの伸縮が、対応するノズルNzからインク滴を吐出させるための動作に相当する。なお、駆動信号COMの振幅を大きくすると、弾性板406の振動が大きくなる。よって、ノズルから吐出されるインクの量が多くなる。一方、駆動信号COMの振幅を小さくすると、弾性板406の振動が小さくなる。よって、ノズルから吐出されるインクの量が少なくなる。
【0028】
===駆動信号生成部42の構成===
図5は、第1実施形態の駆動信号生成部42の構成の一例を示すブロック図である。以下、図面を参照しつつ、駆動信号生成部42の構成について説明する。なお、図5では、図3に示すヘッド41のうちの、ある色のノズル列に対応する部分について示しており、図5のヘッド41に示す各ピエゾ素子(#1〜#90)は、そのノズル列の各ノズル(#1〜#90)にそれぞれ対応している。
前述したように、駆動信号生成部42は、基準信号生成部43、遅延部44、増幅部45を備えている。
【0029】
<基準信号生成部について>
基準信号生成部43は、デジタルアナログコンバータ(以下、D/Aコンバータともいう)431を有している。D/Aコンバータ431は、本体基板60のCPU62から取得した多ビットのデジタルデータを、所定波形のアナログ信号に変換する。具体的には、デジタルデータの値が大きいほど高い電圧となり、デジタルデータの値が小さいほど低い電圧となるアナログの信号に変換する。このようにして、基準信号生成部43は、デジタルデータに基づいて、所定波形のアナログ信号(以下、基準信号COM′とする)を生成する。なお、デジタルデータは、例えばメモリ63に格納されており、CPU62によって適宜読み出されて、基準信号生成部43に送られる。
【0030】
<遅延部について>
遅延部44は、基準信号COM′の伝送を遅延させるディレイ回路441を、各ノズル(各ピエゾ素子)に対応してそれぞれ備えている。本実施形態では、ノズル列のノズル数が90個であるので、遅延部44は、90個のディレイ回路441を備えている。また、各ディレイ回路441は、アナログ信号の伝送を遅延させるディレイライン(例えば同軸ケーブル)を有している。そして、各ディレイ回路441には、例えば伝送経路の長さを調整することによって、対応するノズルの特性に応じた遅延時間が設定されている。なお、遅延させる必要のないノズルの場合には、遅延時間をほぼゼロに等しくなるようにしている。そして、ノズル毎に、基準信号COM′の伝送を遅延させている。以下、図5に示すように、共通の基準信号COM′の入力に対して、各ディレイ回路441から出力される信号を、それぞれ基準信号COM(1)′、基準信号COM(2)′・・・・基準信号COM(90)′とする。なお、各ディレイ回路441は、基準信号COM′の伝送を遅延させるのみであり、波形の形(パルス間隔や大きさ)は変化させないこととする。また、上述した以外の方法で基準信号COM′の伝送を遅延させるようにしてもよい。例えば、一端側から入力される電荷を、素子毎に転送し、その素子数分の転送回数に相当する遅延を持たせて、他端側から取り出すことのできるCCD(Charge Coupled Device)、BBD(Bucket Brigade Device)のような遅延素子を用いてもよい。
【0031】
<増幅部について>
図5に示すように増幅部45は、スイッチ451、オペアンプ452、ゲイン調整部453、抵抗Ri、Rj、Ra、Rb、Rc、Rdの組み合わせをノズル毎(ピエゾ素子毎)にそれぞれ有している。本実施形態では、ノズル列のノズルの数が90個であるので、増幅部45は、この組み合わせを90個有している。そして、増幅部45は、遅延部44の各ディレイ回路441から出力された基準信号COM(1)′〜基準信号COM(90)′を、それぞれ増幅(電圧増幅及び電流増幅)して、駆動信号COM(1)〜駆動信号COM(90)を生成する。なお、各オペアンプ452は、後述するように、それぞれ個別に増幅率を設定できるようになっている。
【0032】
上述した組み合わせは、それぞれ同じ構成であるので、以下、そのうちの一つ(紙面上側)を用いて説明する。
【0033】
スイッチ451は、CPU62からの制御信号(不図示)によって導通(オン)、非導通(オフ)が制御されている。スイッチ451が導通することにより、オペアンプ452によって駆動信号COM(1)が生成され、対応するピエゾ素子PZTに供給されることになる。
【0034】
オペアンプ452の非反転入力端子(以下、+端子ともいう)は、スイッチ451を介して、遅延部44のディレイ回路441(紙面上側)と接続されている。これにより、スイッチ451が導通することによって、オペアンプ452の+端子には、基準信号COM(1)′が入力される。また、オペアンプ452の反転入力端子(以下、−端子ともいう)は、抵抗Rjを介して接地されるとともに、当該オペアンプ452の出力が帰還抵抗(直列接続された抵抗Ra、抵抗Rb、抵抗Rc、抵抗Rd)を介して帰還される(負帰還)。
【0035】
さらに、オペアンプ452の−端子は抵抗Riを介して+端子と接続されている。この抵抗Riは、スイッチ451が非導通のとき、オペアンプ452の出力を一定にするための抵抗である。なお、抵抗Riには、スイッチ451が導通しているときに、オペアンプ452の+端子の入力に、−端子側からの影響を与えないように、十分高い抵抗値のものが用いられている。もし仮に、抵抗Riが設けられていないとすると、スイッチ451が非導通のとき、オペアンプ452の+端子の入力が不定になる。そして、オペアンプ452で、この不定の信号が増幅されることになるので、オペアンプ452の出力が安定しなくなる。これに対し、本実施形態では、抵抗Riを設けているので、スイッチ451が非導通の場合でも、+端子に抵抗Riを介して−端子と同じ電圧が印加されることになる。よって、オペアンプ452の出力を一定にすることができる。
【0036】
抵抗Ra、抵抗Rb、抵抗Rc、抵抗Rdは、オペアンプ452の帰還抵抗を構成しており、この順でオペアンプ452の−端子と当該オペアンプ452の出力との間に直列に接続されている。また、抵抗Raと抵抗Rbの接続点は、後述するゲイン調整部453の接点aと接続されており、抵抗Rbと抵抗Rcの接続点は、ゲイン調整部453の接点bと接続されている。また、抵抗Rcと抵抗Rdの接続点は、ゲイン調整部453の接点cと接続されている。
【0037】
ゲイン調整部453は、オペアンプ452の増幅率(ゲイン)を設定するものであり、スイッチSW(切替スイッチに相当する)を有する。スイッチSWの一方はオペアンプ452の出力と接続されている。このスイッチSWの他方側の接続を切り替えることによって増幅率が設定される。なお、本実施形態のゲイン調整部453は、例えばメモリ63のレジスタ(記憶部に相当する)から読み出される2ビットデータ(デジタルデータに相当する)に基づいて、オペアンプ452毎(すなわちノズル毎)に、スイッチSWの他方側の接続を切り替える。このデータは2ビットずつノズルごとに用意されたレジスタ(図示せず)にシリアル転送され格納される。例えば、あるノズルに対して、2ビットデータが(0、0)の場合には、スイッチSWを接点aに接続し、2ビットデータが(0、1)の場合には接点bに接続する。また、2ビットデータが(1、0)の場合には、スイッチSWを接点cに接続し、2ビットデータが(1、1)の場合には、帰還抵抗と独立した接点dに接続する。このように、ゲイン調整部453は、各ノズルに対応する2ビットデータの値によってスイッチSWの接続を切り替える。そして、このスイッチSWの切り替えによって、オペアンプ452の増幅率が設定されることになる(後述する)。上記レジスタには、各ノズルの吐出特性に応じて、このような2ビットデータがノズル毎(オペアンプ452毎)に格納されている。
【0038】
そして、オペアンプ452は、スイッチ451が導通することにより、当該オペアンプ452の+端子に入力される基準信号COM(1)′をゲイン調整部453によって定まる増幅率で増幅(電圧増幅及び電流増幅)して、駆動信号COM(1)を生成する。
【0039】
<オペアンプについて>
本実施形態のオペアンプ452は、前述したように、電圧増幅と電流増幅を行っている。
図6はオペアンプ452の構成の一例の説明図である。図6のオペアンプ452は、駆動信号生成制御回路454、Pチャンネル型MOSFET(以下、PMOSともいう)455、Nチャンネル型MOSFET(以下、NMOSともいう)456を有している。
【0040】
駆動信号生成制御回路454の入力1は、オペアンプ452の+端子に対応し、駆動信号生成制御回路454の入力2は、オペアンプ452の−端子に対応している。また、駆動信号生成制御回路454の出力3は、PMOS455のゲートと接続され、駆動信号生成制御回路454の出力4は、NMOS456のゲートと接続されている。
PMOS455のソースは一定電圧(例えば42ボルト)の電源VHの供給線に接続されている。PMOS455のドレインは、NMOS456のドレインと接続され、この接続点がオペアンプ452の出力となっている。また、NMOS456のソースは接地(GND)されている。
【0041】
このように、PMOS455とNMOS456は、ソースが一定の電圧(ソース共通回路)となっている。ここで、ドレインが一定(ソースフォロワ回路)では、電圧増幅率がほぼ1であり、電流増幅しかできないのに対し、ソース共通回路では、電流増幅と電圧増幅を行うことができる。よって、PMOS455あるいはNMOS456が動作することによって、入力信号の電圧増幅と電流増幅が行われることになる。
PMOS455が動作すれば、オペアンプ452の出力が上昇する。一方、NMOS456が動作すれば、オペアンプ452の出力が下降する。オペアンプ452の出力は、図5の帰還抵抗を介して当該オペアンプ452の−端子(駆動信号生成制御回路454の入力2に対応)に帰還され、駆動信号生成制御回路454によってモニタされる。
そして、駆動信号生成制御回路454は、入力1及び入力2の大きさに基づいて、オペアンプ452の出力が当該オペアンプ452の+端子入力の増幅値となるように、PMOS455とNMOS456の動作を制御する。このようにして、基準信号COM´が増幅されて駆動信号COMが生成される。
【0042】
なお、本実施形態では、基準信号COM′を増幅(電圧増幅、電流増幅)するのに上述したオペアンプ452を用いているが、電圧増幅および電流増幅を行うことができれば他の構成であってもよく、これには限定されない。
【0043】
以上の構成により、駆動信号生成部42は、まず、基準信号生成部43のD/Aコンバータ431によって、CPU62から取得したデジタルデータを、アナログの基準信号COM′に変換する。そして、この基準信号COM′を、遅延部44のノズル毎に設けられたディレイ回路441によって適宜遅延させる(基準信号COM(1)′〜基準信号COM(90)′)。そして、増幅部45が、遅延部44の各ディレイ回路441の出力を、各ノズルに対して設定された増幅率によってそれぞれ増幅し、駆動信号COM(1)〜駆動信号COM(90)を生成する。
各駆動信号COMは、それぞれ対応するピエゾ素子PZTに印加される。各ピエゾ素子は駆動信号COMの波形に応じた伸縮を行い、この動作に基づいて、対応するノズルからインク滴が吐出される。
このように、本実施形態の駆動信号生成部42では、ノズル毎に基準信号COM′の伝送時間や、増幅率を設定している。以下その設定について説明する。
【0044】
===ノズル毎の設定について===
<ノズルのばらつきについて>
ヘッド41には複数のノズルが形成されている。しかし、製造ばらつきなどにより各ノズルにおける液体の吐出特性が同一でない場合がある。
図7は、ヘッド41のノズルにばらつきがある場合の一例を説明するための図である。なお、図7の左側には、図3のヘッド41の4つのノズル列のうちのあるノズル列を示しており、その各ノズルを白丸で示している。図7の右側は、各ノズルによって吐出されたインクによって紙Sに形成されるドットを黒丸で示している。
【0045】
例えば、製造ばらつきによって、ノズル(#1)からのインクの吐出方向が移動方向の反対側(紙面左側)に傾いている場合、あるいはノズル(#1)からのインクの吐出速度が他のノズルからのインクの吐出速度よりも速い場合、図7に示すように、ノズル(#1)によって形成されるドットの位置(インク滴の着弾位置)が、他のドットの位置よりも移動方向の反対側にΔLずれる。なお、ヘッド41でのノズル(#1)の形成位置が移動方向の反対側にずれている場合も、上述した場合と同様に、ドットの位置が移動方向の反対側にずれる。
【0046】
また、図7では、ノズル(#90)のサイズが他のノズルよりも小さくなっている。この場合、各ピエゾ素子を同じ駆動信号で動作させると、同図に示すように、紙Sに形成されるノズル(#90)に対応するドットの大きさが、他のノズルに対応するドットよりも小さくなってしまう。
そこで、本実施形態では、各ノズルによって紙Sに形成されるドットの均一化を図っている。具体的には、共通の基準信号に対して、ノズル毎に遅延時間と増幅率を調整する。
【0047】
<遅延時間について>
インクの着弾位置を揃えるため、遅延部44でノズル毎にインクの吐出タイミングの調整を行う。例えば図7の場合、ノズル(#1)に対応するディレイ回路441(図5の紙面上側)において、他のノズルに対応するディレイ回路441よりもΔLに対応する時間(Δtとする)長い遅延時間を設定する。なお、本実施形態では、説明の都合上、他のノズルに対応するディレイ回路441は基準信号COM′の伝送を遅延させないこととする(遅延時間がほぼゼロとする)。よって、ノズル(#1)に対応するディレイ回路441は、基準信号COM′の伝送をΔt遅延させる。
【0048】
図8は、遅延部44のディレイ回路441による信号の遅延の説明図である。図8の横軸は時間を示し、縦軸は信号の大きさ(電圧)を示している。また、図8の実線は、基準信号COM′の波形を示し、点線は、遅延部44から出力される基準信号COM(1)′の波形を示している。
【0049】
図からわかるように、基準信号COM(1)′は、基準信号COM′と比べて、波形の変化するタイミングがすべてΔt遅れている。一方、他のノズルに対応するディレイ回路441から出力される信号(基準信号COM(2)′〜基準信号COM(90)′)は基準信号COM′と同じ波形となる。よって、遅延部44の各ディレイ回路441に共通の基準信号COM′が入力されるにもかかわらず、ノズル(#1)に対応するディレイ回路441の出力だけが、他のノズルに対応するディレイ回路441の出力よりもΔt遅れることとなる。
【0050】
これにより、ノズル(#1)に対応するピエゾ素子の動作するタイミングが、他のピエゾ素子よりもΔt遅れる。すなわち、ノズル(#1)からのインクの吐出タイミングが、他のノズルよりもΔt遅れる。つまり、図7においてノズル(#1)によって形成されるドットの位置が移動方向側(紙面右側)にΔLずれることとなり、各ノズルによって形成されるドットの位置を揃えるようにすることができる。
【0051】
このように、本実施形態では、ノズル毎に対応してディレイ回路441(#1)を設けているので、各ノズルからインク滴を吐出するタイミングをそれぞれ調整することができる。よって、各ノズルによるドットの形成位置(インク滴の着弾位置)を揃えるようにすることができる。
【0052】
上述した実施形態では、1つのノズルの特性が異なる場合について説明したが、複数のノズルにおいてばらつきがある場合がある。例えば、ノズル列が搬送方向に対して平行になっていない場合がある。このような場合でも、同様に、各ディレイ回路441の遅延時間をそれぞれ調整することにより、各ノズルから吐出されるインク滴の着弾位置の均一化を図ることができる。また、各ノズルに対して共通の基準信号COM′を用いることができるので、ノズル毎に基準信号を生成する場合に比べて回路を簡素化することができる。
また、ノズル列全体で平均的にずれることがあるが、このノズル列全体を大きめあるいは小さめのディレイにすることにより、他のノズル列とのずれをなくすことができる。
【0053】
<増幅率について>
前述したように、増幅部45の各オペアンプ452では、ゲイン調整部453のスイッチSWの切り替えに応じて増幅率を設定している。まず、この増幅率の設定について説明する。
【0054】
オペアンプ452の出力と、−端子との間の抵抗(帰還抵抗)の抵抗値をRtとする。また、抵抗Ra、抵抗Rb、抵抗Rc、抵抗Rdの抵抗値をそれぞれRa、Rb、Rc、Rdとする。この場合、ゲイン調整部453においてスイッチSWを接点aに接続した場合の抵抗値Rtは、
Rt=Ra
となる。また、スイッチSWを接点bに接続した場合の抵抗値Rtは、
Rt=Ra+Rb
となる。さらに、スイッチSWを接点c、接点dに接続した場合の抵抗値Rtは、それぞれ、
Rt=Ra+Rb+Rc
Rt=Ra+Rb+Rc+Rd
となる。このように、ゲイン調整部453は、スイッチSWの切り替えに応じて帰還抵抗の抵抗値を変更する。
【0055】
オペアンプ452は負帰還の非反転増幅回路であり、その増幅率は、周知のように、帰還抵抗の抵抗値(Rt)と、抵抗Rjの抵抗値(Rjとする)に応じて定まる。具体的には、オペアンプ452の増幅率は、(1+Rt/Rj)となる。
ここで、例えばRjを1kΩとし、Raを9kΩ、Rb、Rc、Rdをそれぞれ1kΩとすると、ゲイン調整部453のスイッチSWを接点aに接続した場合、オペアンプ452の増幅率は10(=1+9/1)倍となる。また、スイッチSWを接点b、接点c、接点dに接続した場合の増幅率は、それぞれ11倍、12倍、13倍となる。
【0056】
図9は、オペアンプ452の増幅率の切り替えによる駆動信号COMの変化の説明図である。図の横軸は時間を示し、縦軸は電圧の大きさを示している。図には、ある入力信号に対して、ゲイン調整部453のスイッチSWを接点a〜dにそれぞれ切り替えたときの駆動信号COMの波形を、同一タイミングで変化するようにして示している。
図からわかるように、スイッチSWの接続を接点a→b→c→dと切り替えるのに従って(オペアンプ452の増幅率が高くなるのに従って)、駆動信号COMの波形の電圧が高くなっていく。よって、この順でピエゾ素子PZTの伸縮の動作が大きくなり、ノズルから吐出されるインクの量が増えることになる。
【0057】
このように、帰還抵抗を構成する各抵抗の抵抗値の設定、及び、スイッチSWの切り替えに応じてオペアンプ452の増幅率を設定することができる。そして、これにより、生成する駆動信号COMの大きさを容易に調整することができる。
【0058】
例えば、図7では、ノズル(#90)からのインクの吐出量が、他のノズルよりも少なく、ノズル(#90)によって紙Sに形成されるドットが、他のドットに比べて小さくなっている。なお、図7のドットを形成した場合には、各ノズルに対応するオペアンプ452のゲイン調整部453のスイッチSWの接続が接点dであるとする。
【0059】
このような場合、ノズル(#90)のインクの吐出量を増やすべく、ノズル(#90)に対応するオペアンプ452のゲイン調整部453のスイッチSWを、接点dよりもオペアンプ452の増幅率が大きくなる接点(例えば接点a)に接続するようにする。つまり、前述したレジスタに格納される2ビットデータを、他のノズルに対応する値(例えば(0、0))と異なる値(例えば(1、1))にする。こうすることにより、各オペアンプ452に入力される信号の大きさが同じであったとしても、ノズル(#90)に対応するオペアンプ452の出力だけをより増幅させることができ、ノズル(#90)からのインクの吐出量のみを多くすることができる。このように、ノズル毎に増幅率を設定することによって、各ノズルからのインクの吐出量を揃えるようにすることができ、紙Sに形成されるドットの大きさを揃えることができる。
【0060】
このように、本実施形態では、増幅部45の前述した組み合わせ(オペアンプ452など)をノズル毎に備えているので、ゲイン調整部453のスイッチSWの接続を切り替えることによって、各オペアンプ452の増幅率を、ノズルの吐出特性に応じた値に調整することができる。また、2ビットデータによってゲイン調整部453のスイッチSWの接続を切り替えているので、各ノズルに対応した増幅率に、正確に設定することができる。
【0061】
なお、本実施形態では、ノズル毎にディレイ回路441とオペアンプ452を設け、ノズル毎に遅延時間と、増幅率を調整していたが、ノズル列毎にディレイ回路441とオペアンプ452を設け、ノズル列毎に遅延時間と、増幅率を調整してもよい。こうすることにより、各ノズル列のインクの吐出特性にばらつきがある場合でも、各ノズル列の吐出特性の均一化を図ることができる。
【0062】
また、複数のヘッドが備えられている場合に同様にして、ヘッド毎に遅延時間と、増幅率を調整してもよい。こうすることにより、各ヘッドのインクの吐出特性にばらつきがあっても、各ヘッドの吐出特性の均一化を図ることができる。
【0063】
ただし、これらの場合、各オペアンプ452に接続されるピエゾ素子の数が多くなるので、オペアンプ452のみでは、各ピエゾ素子に供給するのに十分な電流増幅を行えない可能性がある。よって、各オペアンプ452の後段に電流増幅回路(例えばプッシュプルソースフォロワに接続されたNMOSとPMOS)を別途設けることが望ましい。なお、これらの場合は、ピエゾ素子PZTの直前にノズル選択のスイッチを設ける。
【0064】
また、本実施形態では、駆動信号生成部42(基準信号生成部43、遅延部44、増幅部45)をヘッドユニット40側に設けていたが、例えば、基準信号生成部43を本体基板60側に設け、本体基板60において基準信号COM′を生成してもよい。そして、フレキシブルケーブル70を介して、基準信号COM′をヘッドユニット40側の遅延部44に伝送するようにしてもよい。こうすることにより、フレキシブルケーブル70を通るのが多ビットのデジタルデータではなく、アナログ信号(基準信号COM′)となるので、ケーブルの芯数を少なくすることができる。
【0065】
===第2実施形態===
第1実施形態では、増幅部45において、ゲイン調整部453のスイッチSWの接続を切り替えることによって、オペアンプ452の増幅率を変更していた。第2実施形態では、スイッチSWによる切り替えを行わずに、オペアンプ452の増幅率を変更する場合について説明する。
【0066】
図10は、第2実施形態のプリンタの全体構成を説明するブロック図である。また、図11は、第2実施形態の駆動信号生成部42′の構成の一例を示すブロック図である。なお、図10及び図11において、図1及び図5と同一構成の部分には同一符号を付し、説明を省略する。
【0067】
第2実施形態の駆動信号生成部42′は、図10、図11に示すように増幅部45′を備えている。
増幅部45′は、スイッチ451、オペアンプ452、ゲイン調整部453′、抵抗Ri、Rj、Ra、Rb、Rc、Rdの組み合わせをノズル毎(ピエゾ素子毎)にそれぞれ有している。
ゲイン調整部453′は、オペアンプ452の増幅率を設定するものであり、ヒューズF1、F2、F3、スイッチS1、S2、S3を有している。
ヒューズF1、F2、F3の一端は、オペアンプ452の出力と接続されている。ヒューズF1の他端は、抵抗Raと抵抗Rbの接続点に接続されるとともに、スイッチS1を介して接地されている。また、ヒューズF2の他端は、抵抗Rbと抵抗Rcの接続点に接続されるとともに、スイッチS2を介して接地されている、また、ヒューズF3の他端は、抵抗Rcと抵抗Rdの接続点に接続されるとともに、スイッチS3を介して接地されている。
【0068】
以上の構成により、例えばスイッチS1を導通させた状態で、オペアンプ452の出力を上昇させると、ヒューズF1を切断することができる。また、スイッチS2を導通させた状態で、オペアンプ452の出力を上昇させるとヒューズF2を切断することができる。また、スイッチS3を導通させた状態で、オペアンプ452の出力を上昇させると、ヒューズF3を切断することができる。
【0069】
以下、第1実施形態と同様に、Rjを1kΩとし、Raを9kΩ、Rb、Rc、Rdをそれぞれ1kΩとし、帰還抵抗の抵抗値をRtとする。
ヒューズF1、F2、F3が全て未切断の場合(図11の場合)には、
Rt=Ra=9(kΩ)
となり、オペアンプ452の増幅率は、10(=1+9/1)倍になる。
ヒューズF1を切断すると、
Rt=Ra+Rb=10(kΩ)
となり、オペアンプ452の増幅率は、11(=1+10/1)倍になる。
さらに、ヒューズF2を切断(すなわちヒューズF1、F2を切断)すると、
Rt=Ra+Rb+Rc=11(kΩ)
となり、オペアンプ452の増幅率は、12(=1+11/1)倍になる。
そして、ヒューズF1、F2、F3を全て切断すると、
Rt=Ra+Rb+Rc+Rd=12(kΩ)
となり、オペアンプ452の増幅率は、13(=1+12/1)倍になる。
このように、ヒューズF1、F2、F3の切断に応じて、オペアンプ452の増幅率を調整することができる。各ヒューズの切断は、それぞれ対応するスイッチを導通させた状態で、オペアンプ452の出力を上昇させればよいので、正確、且つ、容易に行うことができる。
【0070】
以上説明したように、第2実施形態の駆動信号生成部42′では、ゲイン調整部453′のヒューズF1、F2、F3を適宜切断することに応じて、各オペアンプ452の増幅率をノズルの吐出特性に応じた値に調整することができる。
なお、各ヒューズの切断は、例えば製品出荷の前に、各ノズルの吐出特性(吐出されるインク量)に応じて行うようにしておく。こうすることにより、以後、各ノズルの吐出量のばらつきを気にせず使用することができる。
【0071】
===第3実施形態===
前述した実施形態では、基準信号COM′の伝送の遅延時間と増幅率をそれぞれノズル毎に調整していたが、第3実施形態では、基準信号COM′の増幅率のみをノズル毎に調整する。
図12は、第3実施形態のプリンタの全体構成を説明するブロック図である。なお、図12において、図1と同一構成の部分には同一符号を付し、説明を省略する。第3実施形態の駆動信号生成部42″は、基準信号生成部43と増幅部45を備えている。
また、図13は、駆動信号生成部42″の構成の一例を示すブロック図である。図13において、図5と同一構成の部分には同一符号を付し説明を省略する。
【0072】
第1実施形態(図5)では増幅部45の各オペアンプ452は、遅延部44の各ディレイ回路441の出力を増幅していたが、第3実施形態(図13)では、増幅部45の各オペアンプ452は、基準信号生成部43で生成された基準信号COM′を増幅する。つまり、各オペアンプ452から出力される駆動信号COMの変化のタイミングが同じになる。
【0073】
なお、第1実施形態や第2実施形態と同様に、第3実施形態においても、各オペアンプ452で増幅率を調整することができるので、駆動信号COMの大きさをノズル毎に変えることができる。よって、各ノズルにおけるインクの吐出量の均一化を図ることができる。また、第3実施形態では、遅延部44を設けていないので、他の実施形態よりも回路を簡素化させることができる。
【0074】
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主としてプリンタについて記載されているが、その中には、印刷装置、記録装置、液体の吐出装置、印刷方法、記録方法、液体の吐出方法、印刷システム、記録システム、コンピュータシステム、プログラム、プログラムを記憶した記憶媒体、表示画面、画面表示方法、印刷物の製造方法、等の開示が含まれていることは言うまでもない。
【0075】
また、一実施形態としてのプリンタ等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0076】
<プリンタについて>
前述の実施形態では、プリンタが説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の記録装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。また、これらの方法や製造方法も応用範囲の範疇である。このような分野に本技術を適用しても、液体を対象物に向かって直接的に吐出(直描)することができるという特徴があるので、従来と比較して省材料、省工程、コストダウンを図ることができる。
また、本実施形態と同様の技術をラインプリンタに適用しても良い。
【0077】
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンタの実施形態だったので、染料インク又は顔料インクをノズルから吐出していた。しかし、ノズルから吐出する液体は、このようなインクに限られるものではない。例えば、金属材料、有機材料(特に高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク、加工液、遺伝子溶液などを含む液体(水も含む)をノズルから吐出しても良い。このような液体を対象物に向かって直接的に吐出すれば、省材料、省工程、コストダウンを図ることができる。
【0078】
<帰還抵抗について>
本実施形態では帰還抵抗を構成する抵抗が4つであったが、複数であればよい。例えば2つでもよい。なお、抵抗の数を多くし、ゲイン調整部453の接点の数を多くするほど、オペアンプ452の増幅率の設定を多くすることができる。
また、前述した実施形態では、オペアンプの帰還抵抗として4つの抵抗を直列接続していたが、オペアンプ452の出力と−端子との間の抵抗値を複数段階に切り替えることができる構成であれば、これ以外であってもよい。
例えば、図5において、抵抗Ra、抵抗Rb、抵抗Rc、抵抗Rdの一端を全てオペアンプ452の−端子に接続し、抵抗Ra、抵抗Rb、抵抗Rc、抵抗Rdの他端をそれぞれ、接点a、接点b、接点c、接点dとしてもよい。そして、スイッチSWをこの接点のうちの何れかに接続するようにしてもよい。この場合、抵抗Rj、抵抗Ra、抵抗Rb、抵抗Rc、抵抗Rdの各抵抗値を、それぞれ1kΩ、9kΩ、10kΩ、11kΩ、12kΩとすると、スイッチSWの接続の切り替えに応じて、第1実施形態と同じように増幅率を設定することができる。
【0079】
<増幅率の設定について>
各ノズルの吐出特性の傾向が分かっているような場合、予め、ノズル毎に増幅率の異なるオペアンプを設けるようにしてもよい。例えば、図7のようにノズル列端のノズル(#90)からの吐出量が、他のノズルよりも少なくなる傾向がある場合、他のノズルに対応するオペアンプの増幅率よりも大きい増幅率のオペアンプを、ノズル(#90)に対して予め設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】第1実施形態のプリンタの全体構成を説明するブロック図である。
【図2】図2Aは、プリンタの全体構成の概略図である。図2Bは、プリンタの全体構成の横断面図である。
【図3】ノズルの配列の一例を示す説明図である。
【図4】ヘッドの構造を説明するための図である。
【図5】第1実施形態の駆動信号生成部の構成を示すブロック図である。
【図6】オペアンプの構成例の説明図である
【図7】ノズルにばらつきがある場合を説明するための図である。
【図8】ディレイ回路による信号の遅延の説明図である。
【図9】オペアンプの増幅率の切り替えによる駆動信号COMの変化の説明図である。
【図10】第2実施形態のプリンタの全体構成を説明するブロック図である。
【図11】第2実施形態の駆動信号生成部の構成を示すブロック図である。
【図12】第3実施形態のプリンタの全体構成を説明するブロック図である。
【図13】第3実施形態の駆動信号生成部の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0081】
1 プリンタ、20 搬送ユニット、21 給紙ローラ、
22 搬送モータ(PFモータ)、23 搬送ローラ、24 プラテン、
25 排紙ローラ、30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、
32 キャリッジモータ(CRモータ)、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、42 駆動信号生成部、
43 基準信号生成部、44 遅延部、45 増幅部
50 検出器群、51 リニア式エンコーダ、
52 ロータリー式エンコーダ、53 紙検出センサ、54 光学センサ、
60 本体基板、61 インターフェース部、62 CPU、
63 メモリ、64 ユニット制御回路、70 フレキシブルケーブル
402 インク供給路、404 ノズル連通路、406 弾性板、
431 D/Aコンバータ、441 ディレイ回路、451 スイッチ、
452 オペアンプ、453 ゲイン調整部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準信号を生成する基準信号生成部と、
液体を吐出する複数のノズルと、
複数の前記ノズルにそれぞれ対応して設けられ、前記基準信号を増幅して得られる駆動信号に基づいて、前記ノズルから液体を吐出させるための動作を行う複数の素子と、
或るノズルに対して設けられ、前記基準信号を増幅する第1増幅回路と、
別のノズルに対して設けられ、前記基準信号を増幅する第2増幅回路と、
を備え、
前記第1増幅回路の増幅率と前記第2増幅回路の増幅率が異なる、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出装置であって、
前記第1増幅回路及び前記第2増幅回路は、
帰還抵抗を有するオペアンプと、
前記帰還抵抗の抵抗値を設定するゲイン調整部と、
をそれぞれ有し、
前記第1増幅回路の前記帰還抵抗の抵抗値と、前記第2増幅回路の前記帰還抵抗の抵抗値の値が異なることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体吐出装置であって、
前記帰還抵抗は、前記オペアンプの出力と入力との間に複数の抵抗が直列接続されて形成されたものであり、
前記ゲイン調整部は、一方が前記オペアンプの出力と接続された切替スイッチを有し、前記切替スイッチの他方を、複数の前記抵抗の各接続点の何れかに接続させることによって、前記帰還抵抗の抵抗値を設定する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液体吐出装置であって、
各ノズルに対応したデジタルデータが格納される記憶部を有し、
前記ゲイン調整部は、前記記憶部から読み出された前記デジタルデータの値に応じて、前記切替スイッチの接続を切り替える、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項5】
請求項2に記載の液体吐出装置であって、
前記帰還抵抗は、前記オペアンプの出力と入力との間に複数の抵抗が直列接続されて形成されたものであり、
前記ゲイン調整部は、一端が前記オペアンプの出力に接続され、他端が複数の前記抵抗の接続点に接続されたヒューズを有し、前記ヒューズが切断されることに応じて、前記帰還抵抗の抵抗値を設定する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の液体吐出装置であって、
前記ヒューズは、当該ヒューズの前記他端を接地させた状態で、前記オペアンプの出力を上昇させることによって切断される、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項7】
液体を吐出する複数のノズルと、複数の前記ノズルにそれぞれ対応して設けられ、基準信号を増幅して得られる駆動信号に基づいて、前記ノズルから液体を吐出させるための動作を行う複数の素子と、を備えた液体吐出装置の液体吐出方法であって、
前記基準信号を生成する基準信号生成ステップと、
或るノズルに対して、前記基準信号を増幅する第1増幅ステップと、
別のノズルに対して、前記基準信号を増幅する第2増幅ステップと、
を有し、
前記第1増幅ステップの増幅率と前記第2増幅ステップの増幅率が異なる
ことを特徴とする液体吐出方法。
【請求項1】
基準信号を生成する基準信号生成部と、
液体を吐出する複数のノズルと、
複数の前記ノズルにそれぞれ対応して設けられ、前記基準信号を増幅して得られる駆動信号に基づいて、前記ノズルから液体を吐出させるための動作を行う複数の素子と、
或るノズルに対して設けられ、前記基準信号を増幅する第1増幅回路と、
別のノズルに対して設けられ、前記基準信号を増幅する第2増幅回路と、
を備え、
前記第1増幅回路の増幅率と前記第2増幅回路の増幅率が異なる、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出装置であって、
前記第1増幅回路及び前記第2増幅回路は、
帰還抵抗を有するオペアンプと、
前記帰還抵抗の抵抗値を設定するゲイン調整部と、
をそれぞれ有し、
前記第1増幅回路の前記帰還抵抗の抵抗値と、前記第2増幅回路の前記帰還抵抗の抵抗値の値が異なることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体吐出装置であって、
前記帰還抵抗は、前記オペアンプの出力と入力との間に複数の抵抗が直列接続されて形成されたものであり、
前記ゲイン調整部は、一方が前記オペアンプの出力と接続された切替スイッチを有し、前記切替スイッチの他方を、複数の前記抵抗の各接続点の何れかに接続させることによって、前記帰還抵抗の抵抗値を設定する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液体吐出装置であって、
各ノズルに対応したデジタルデータが格納される記憶部を有し、
前記ゲイン調整部は、前記記憶部から読み出された前記デジタルデータの値に応じて、前記切替スイッチの接続を切り替える、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項5】
請求項2に記載の液体吐出装置であって、
前記帰還抵抗は、前記オペアンプの出力と入力との間に複数の抵抗が直列接続されて形成されたものであり、
前記ゲイン調整部は、一端が前記オペアンプの出力に接続され、他端が複数の前記抵抗の接続点に接続されたヒューズを有し、前記ヒューズが切断されることに応じて、前記帰還抵抗の抵抗値を設定する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の液体吐出装置であって、
前記ヒューズは、当該ヒューズの前記他端を接地させた状態で、前記オペアンプの出力を上昇させることによって切断される、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項7】
液体を吐出する複数のノズルと、複数の前記ノズルにそれぞれ対応して設けられ、基準信号を増幅して得られる駆動信号に基づいて、前記ノズルから液体を吐出させるための動作を行う複数の素子と、を備えた液体吐出装置の液体吐出方法であって、
前記基準信号を生成する基準信号生成ステップと、
或るノズルに対して、前記基準信号を増幅する第1増幅ステップと、
別のノズルに対して、前記基準信号を増幅する第2増幅ステップと、
を有し、
前記第1増幅ステップの増幅率と前記第2増幅ステップの増幅率が異なる
ことを特徴とする液体吐出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−196120(P2009−196120A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37802(P2008−37802)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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