説明

液体吐出装置、液体吐出装置の検査方法、及びプログラム

【課題】板状電極が用いられた場合に生じる特有のノイズによる誤検査を軽減したい。
【解決手段】本発明は、ノズルから液体を吐出するヘッドと、前記液体を第1電位にするための第1電極と、前記ヘッドと対向する位置に設けられ、前記第1電位とは異なる第2電位になる板状の第2電極と、を備え、前記ノズルから前記液体を吐出させたときの前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方に発生する電位変化に基づいて、前記ノズルからの前記液体の吐出の有無を判定する吐出判定を行う液体吐出装置であって、検査対象となる前記ノズルに対して前記吐出判定を連続して複数回行い、複数回の前記吐出判定のいずれかの吐出判定で前記液体の吐出があると判定しても、複数回の前記吐出判定のいずれかの吐出判定で前記液体の吐出が無いと判定すれば、前記検査対象となるノズルからの前記液体の吐出が無いと決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、液体吐出装置の検査方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ノズルから帯電させた液体滴を吐出検査用電極に向けて吐出させ、電極に生じる電気的な変化を検出することによって、ノズルの吐出検査を行う液体吐出装置が知られている。このような電気的な変化を検出することによって吐出検査を行う場合、吐出検査中にノイズが発生すると、誤検査の原因になる。
【0003】
特許文献1の吐出検査方法では、吐出検査時に液体滴を吐出させない非吐出期間を設け、非吐出期間における電極の電位変化に基づいて、吐出検査時にノイズが発生したか否かを判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−64309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、ワイヤー状の電極が用いられている。但し、ワイヤー状の電極の場合、ノズルの位置に応じて、ノズルと電極との対向関係が異なる。例えば、ワイヤー状の電極の場合、あるノズルは電極の一部分と正面から対向しているのに、別のノズルは電極に対向していないということがある。しかし、吐出検査の精度を高めるためには、どのノズルにおいても電極との対向関係が同様であることが望ましい。
【0006】
そこで、本願発明では、板状電極を採用するとともに、板状電極が用いられた場合に生じる特有のノイズによる誤検査を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための主たる発明は、ノズルから液体を吐出するヘッドと、前記液体を第1電位にするための第1電極と、前記ヘッドと対向する位置に設けられ、前記第1電位とは異なる第2電位になる板状の第2電極と、を備え、前記ノズルから前記液体を吐出させたときの前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方に発生する電位変化に基づいて、前記ノズルからの前記液体の吐出の有無を判定する吐出判定を行う液体吐出装置であって、検査対象となる前記ノズルに対して前記吐出判定を連続して複数回行い、複数回の前記吐出判定のいずれかの吐出判定で前記液体の吐出があると判定しても、複数回の前記吐出判定のいずれかの吐出判定で前記液体の吐出が無いと判定すれば、前記検査対象となるノズルからの前記液体の吐出が無いと決定することを特徴とする液体吐出装置である。
【0008】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】印刷システムの構成ブロック図である。
【図2】図2Aは、プリンター1の概略断面図であり、図2Bは、プリンター1の概略上面図である。
【図3】ヘッドユニット40における複数のヘッド41の配置を示す図である。
【図4】ヘッド41におけるノズルの配置を示す図である。
【図5】印刷方法の説明図である。
【図6】吐出検査部の説明図である。
【図7】8個の板状電極61の配置を示す図である。
【図8】図8Aは、ピエゾ素子を駆動する駆動信号COMの説明図である。図8Bは、インク滴が吐出されたときの検出信号の説明図である。
【図9】図9A及び図9Bは、本実施形態の吐出検査時の検出信号の説明図である。
【図10】図10A及び図10Bは、ノイズが混入したときの検出信号の説明図である。
【図11】図11A及び図11Bは、参考例の電極の説明図である。
【図12】図12A及び図12Bは、スパイク状のノイズの性質の説明図である。
【図13】単位ブロックの処理フローの説明図である。
【図14】吐出検査部60の吐出検査時の動作の説明図である。
【図15】吐出検査の並列処理の説明図である。
【図16】コントローラー10による並列処理のフローの説明図である。
【図17】マットブラックノズル列のノズル#1の判定結果の説明図である。
【図18】コントローラー10の保持部が保持している判定結果の説明図である。
【図19】図16の処理フローの変形例を示している。
【図20】図20A及び図20Bは、比較例の単位ブロックによる検出信号の説明図である。
【図21】図21A〜図21Cは、別の単位ブロックによる検出信号の説明図である。
【図22】別の並列処理のフローの説明図である。
【図23】図22の処理による判定結果の説明図である。
【図24】更に別の並列処理のフローの説明図である。
【図25】図24の処理による判定結果の説明図である。
【図26】また更に別の並列処理のフローの説明図である。
【図27】図27A〜図27Cは、吐出検査部の別の構成の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0011】
ノズルから液体を吐出するヘッドと、前記液体を第1電位にするための第1電極と、前記ヘッドと対向する位置に設けられ、前記第1電位とは異なる第2電位になる板状の第2電極と、を備え、前記ノズルから前記液体を吐出させたときの前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方に発生する電位変化に基づいて、前記ノズルからの前記液体の吐出の有無を判定する吐出判定を行う液体吐出装置であって、検査対象となる前記ノズルに対して前記吐出判定を連続して複数回行い、複数回の前記吐出判定のいずれかの吐出判定で前記液体の吐出があると判定しても、複数回の前記吐出判定のいずれかの吐出判定で前記液体の吐出が無いと判定すれば、前記検査対象となるノズルからの前記液体の吐出が無いと決定することを特徴とする液体吐出装置が明らかとなる。
このような液体吐出装置によれば、板状電極が用いられた場合に生じる特有のノイズによる誤検査を軽減することができる。
【0012】
前記ヘッドの全てのノズルから前記液体を吐出させない状態での前記電位変化に基づいて、ノイズの有無を判定するノイズ判定を行うことが望ましい。これにより、比較的長期のノイズを検出できる。
【0013】
複数回の前記吐出判定を行う毎に前記ノイズ判定を行うとともに、前記ノイズ判定においてノイズがあると判定した場合には、そのノイズ判定と共に行われた複数回の前記吐出判定の結果を用いずに、同じノズルを検査対象として別の複数回の前記吐出判定を再び行うことが望ましい。これにより、比較的長期のノイズによる誤検査を回避できる。
【0014】
前記液体吐出装置は、複数個の前記ヘッドを備えており、前記第2電極は、少なくとも2個の前記ヘッドと対向していることが望ましい。このような構成の場合に特に有効である。
【0015】
ノズルから液体を吐出するヘッドと、前記液体を第1電位にするための第1電極と、前記ヘッドと対向する位置に設けられ、前記第1電位とは異なる第2電位になる板状の第2電極と、を備え、前記ノズルから前記液体を吐出させたときの前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方に発生する電位変化に基づいて、前記ノズルからの前記液体の吐出の有無を判定する吐出判定を行う液体吐出装置の検査方法であって、検査対象となる前記ノズルに対して前記吐出判定を連続して複数回行い、複数回の前記吐出判定のいずれかの吐出判定で前記液体の吐出があると判定しても、複数回の前記吐出判定のいずれかの吐出判定で前記液体の吐出が無いと判定すれば、前記検査対象となるノズルからの前記液体の吐出が無いと決定することを特徴とする液体吐出装置の検査方法が明らかになる。
このような検査方法によれば、板状電極が用いられた場合に生じる特有のノイズによる誤検査を軽減することができる。
【0016】
ノズルから液体を吐出するヘッドと、前記液体を第1電位にするための第1電極と、前記ヘッドと対向する位置に設けられ、前記第1電位とは異なる第2電位になる板状の第2電極と、を備え、前記ノズルから前記液体を吐出させたときの前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方に発生する電位変化に基づいて、前記ノズルからの前記液体の吐出の有無を判定する吐出判定を行う液体吐出装置に、検査対象となる前記ノズルに対して前記吐出判定を連続して複数回行う機能と、複数回の前記吐出判定のいずれかの吐出判定で前記液体の吐出があると判定しても、複数回の前記吐出判定のいずれかの吐出判定で前記液体の吐出が無いと判定すれば、前記検査対象となるノズルからの前記液体の吐出が無いと決定する機能とを実行させることを特徴とするプログラムが明らかになる。
このようなプログラムによれば、板状電極が用いられた場合に生じる特有のノイズによる誤検査を軽減することができる。
【0017】
===第1実施形態===
<全体構成>
以下、液体吐出装置をインクジェットプリンター(以下、プリンター)とし、プリンターとコンピューターが接続された印刷システムを例に挙げて説明する。
【0018】
図1は、印刷システムの構成ブロック図である。図2Aは、プリンター1の概略断面図であり、図2Bは、プリンター1の概略上面図である。
【0019】
コンピューター100は、プリンター1と通信可能に接続されており、プリンター1に画像を印刷させるための印刷データをプリンター1に出力する。なお、コンピューター100には、アプリケーションプログラムから出力された画像データを印刷データに変換させるためのプログラム(プリンタードライバー)がインストールされている。
【0020】
コントローラー10は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11はコンピューター100とプリンター1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12はプリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー13はCPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12はユニット制御回路14により各ユニットを制御する。なお、プリンター1内の状況を検出器群50が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラー10は各ユニットを制御する。
【0021】
搬送ユニット20は、媒体Sが連続する方向(以下、搬送方向、又はX方向)に、媒体Sを上流側から下流側に搬送するものである。モータによって駆動する搬送ローラー21によって印刷前のロール状の媒体Sを印刷領域に供給し、その後、印刷済みの媒体Sを巻取機構によりロール状に巻き取る。なお、印刷中に印刷領域に位置する媒体を下からバキューム吸着することで、媒体Sを所定の位置に保持することができる。
【0022】
駆動ユニット30は、ヘッドユニット40を、媒体Sの搬送方向に対応するX方向と媒体Sの紙幅方向に対応するY方向とに自在に移動させるものである。駆動ユニット30は、ヘッドユニット40をX方向に移動させるX軸ステージ31と、ヘッドユニット40をY方向に移動させるY軸ステージ32と、これらを移動させるモータ(不図示)とで、構成されている。
【0023】
ヘッドユニット40は、画像を形成するためのものであり、複数のヘッド41を有する。ヘッド41の下面にはノズルが複数設けられており、各ノズルからインクが吐出される。なお、ノズルからのインク吐出方式は、ピエゾ方式でもよいし、サーマル方式でもよい。
【0024】
図3は、ヘッドユニット40における複数のヘッド41の配置を示す図である。なお、図中では、ヘッドの配置をヘッドユニット40の上面から仮想的に見た状態が示されている。(このため、実際のヘッドの配置は、図中の配置と左右が逆である。)
ヘッドユニット40は、15個のヘッド41を有する。15個のヘッド41は、Y方向の異なる位置に配置されている。説明のため、Y方向上端側のヘッド41から順に、第1ヘッド41(1)、第2ヘッド41(2)、…、第15ヘッド41(15)と呼ぶ。
15個のヘッド41は、千鳥列状にY方向に沿って並んでいる。このため、奇数番目のヘッド同士がY方向に沿って並ぶとともに、偶数番目のヘッド同士がY方向に沿って並んでいる。
【0025】
図4は、ヘッド41におけるノズルの配置を示す図である。なお、図中では、ノズルの配置をヘッドユニット40の上面から仮想的に見た状態が示されている。(このため、実際のノズルの配置は、図中の配置と左右が逆である。)
各ヘッドは、8色のノズル列を有している。図中の左側から順に、マットブラックインクを吐出するマットブラックノズル列(以下、Mk列)、グリーンインクを吐出するグリーンノズル列Gr(以下、Gr列)、オレンジインクを吐出するオレンジノズル列(以下、Or列)と、クリアインクを吐出するクリアノズル列Cl(以下、Cl列)、フォトブラックインクを吐出するフォトブラックノズル列(以下、Pk列)、シアンインクを吐出するシアンノズル列Cy(以下、Cy列)、マゼンタインクを吐出するマゼンタノズル列(以下、Ma列)と、イエローインクを吐出するイエローノズル列(以下、Ye列)である。
【0026】
各ノズル列は、180個のノズルを有する。180個のノズルは、Y方向に沿って、一定のノズルピッチ(1/180インチ)で並んでいる。説明のため、Y方向の上端側のノズルから順に小さい番号を付している(#1〜#180)。
Y方向の位置に関して隣り合うヘッド(例えば、第1ヘッド41(1)と第2ヘッド41(2))のうち、上端側のヘッド(例えば第1ヘッド41(1))の下端の4個のノズル(#177ノズル、#178ノズル、#179ノズル及び#180ノズル)と下端側のヘッド(ヘッド41(2))の上端の4つのノズル(#1ノズル、#2ノズル、#3ノズル及び#4ノズル)とのY方向に関する位置は一致している。つまり、Y方向の位置に関して隣り合うヘッド同士は、4個のノズルを重複させて配置されている。Y方向の位置が一致している2個のノズルは、互いを補間し合いながらドットを形成することが可能である。このように一部のノズルを重複させながら15個のヘッドを配置することによって、ヘッドユニット40を1つの大きな仮想的なヘッド(若しくは1つの大きな仮想的なノズル列)とみなすことができる。
【0027】
図5は、印刷方法の説明図である。説明の容易のために、図には、1つのノズル列が示され、1つのノズル列には5つのノズルが設けられている。
まず、コントローラー10は、搬送ユニット20により印刷領域に媒体Sを供給させる。そして、X軸ステージ31にてヘッドユニット40をX方向(媒体の搬送方向)に移動させながらノズルからインクを吐出してドットを形成するドット形成動作と、Y軸ステージ32によりX軸ステージ31を介して、ヘッドユニット40をY方向(紙幅方向)下端側に移動する相対移動動作と、を繰り返す。なお、ドット形成動作のことを「パス」と呼び、n回目のパスのことを「パスn」と呼ぶことがある。
【0028】
各ノズルは、X方向に移動しながらインクを吐出することによって、X方向に並ぶドットから構成されるドット列を形成できる。また、1回のパスによって、ノズルピッチに相当する1/180インチの間隔で並ぶ複数のドット列を形成できる。そして、パス1〜パス4の間に相対移動動作が行われることにより、4回のパスによって、1/720インチの間隔でY方向に並ぶ複数のドット列を形成できる。
【0029】
コントローラー10は、4回のパスによって印刷領域に画像を形成した後、搬送ユニット20により印刷領域に媒体Sを供給させる。これにより、画像が形成された領域は搬送方向下流側に搬送され、まだ画像の形成されていない領域が印刷領域に供給される。
【0030】
<吐出検査部の構成>
図6は、吐出検査部60の説明図である。吐出検査部60は、ノズルからのインクの吐出の有無を検査するためのものである。
【0031】
吐出検査部60は、板状電極61と、高圧電源ユニット62と、第1制限抵抗63と、第2制限抵抗64と、検出用コンデンサ65と、増幅器66と、検出制御部67と、平滑コンデンサ68とを有する。なお、ヘッド41のノズルプレート41aは、接地されており、吐出検査部の一部としても機能する。ここでは、ノズルプレート21は、ノズルから吐出されるインクをグランド電位にする第1電極としての機能を果たす。
【0032】
板状電極61は、金属製の板で形成されている。この板状電極61は、ノズルと対向する位置に設けられた第2電極としての機能を果たす。なお、図6では1個の板状電極61しか描かれていないが、本実施形態のプリンター1は、複数のヘッド41の吐出検査を行うため、複数の板状電極61を備えている。そして、複数の板状電極61のそれぞれに対して、図6に示す吐出検査部が構成されている。
【0033】
高圧電源ユニット62は、板状電極61を所定電位にする電源である。本実施形態の高圧電源ユニットは、600V〜1000V程度の直流電源によって構成される。
【0034】
第1制限抵抗63及び第2制限抵抗64は、高圧電源ユニット62と板状電極61との間に配置され、高圧電源ユニット62と板状電極61との間に流れる電流を制御する。本実施形態の第1制限抵抗63及び第2制限抵抗64は、ともに1.6MΩの抵抗値である。
【0035】
検出用コンデンサ65は、板状電極61の電位変化成分を抽出するための素子である。検出用コンデンサ65の一端は板状電極61に接続され、他端は増幅器66に接続されている。検出用コンデンサ65により、板状電極61のバイアス成分(直流成分)を除去している。本実施形態の検出用コンデンサ65は、4700pFの容量である。
【0036】
増幅器66は、検出用コンデンサ65の他端側の信号を増幅する。本実施形態の増幅器66は、4000倍の増幅率である。これにより、増幅器66から3V程度で電位が変化する検出信号を取得できる。
【0037】
検出制御部67は、吐出検査部60を制御する。例えば、検出制御部67は、高圧電源ユニット62の動作を制御する。また、検出制御部67は、増幅器66からの検出信号(アナログ信号)に基づいて、検査対象のノズルがインクを吐出しているか否か(検査対象のノズルが異常ノズルか否か)を判定し、判定結果をデジタル信号としてコントローラー10に出力する。つまり、検出制御部67は、板状電極に発生する電位変化に基づいてノズルからのインクの吐出の有無を判定する判定部となる。この判定方法については、後述する。
【0038】
平滑コンデンサ68は、電位の急激な変化を抑制する。平滑コンデンサ68の一端は第1制限抵抗63及び第2制限抵抗64に接続され、他端は接地されている。本実施形態の平滑コンデンサ29は、0.1μFの容量である。
【0039】
図7は、8個の板状電極61の配置を示す図である。8個の板状電極61は、Y方向の異なる位置に配置されている。また、8個の板状電極61のうちの4個がY方向に沿って並ぶとともに、残りの4個もY方向に沿って並んでいる。つまり、Y方向に並ぶ4個の板状電極61の列が、X方向に2列並んでいる。説明のため、図中の左側の列の4個の板状電極61について、Y方向上端側から順に、第1板状電極61(1)、第2板状電極61(2)、第3板状電極61(3)、第4板状電極61(4)と呼ぶ。また、図中の右側の列の4個の板状電極61について、Y方向上端側から順に、第5板状電極61(5)、第6板状電極61(6)、第7板状電極61(7)、第8板状電極61(8)と呼ぶ。第1板状電極61〜第4板状電極61(4)の列は、第5板状電極61(5)〜第8板状電極61(8)の列に対して、およそヘッド41の1個分に相当する分だけY方向にずれて配置されている。
【0040】
なお、不図示であるが、8個の板状電極61のそれぞれに対して、図6に示す吐出検査部60が構成されている。板状電極61に付加されている番号に合わせて、8個の吐出検査部60について、それぞれ第1吐出検査部60(1)、第2吐出検査部60(2)、…、第8吐出検査部60(8)と呼ぶことがある。
【0041】
図中には、吐出検査時の15個のヘッドの位置が点線で示されている。図に示すように、各板状電極61は、それぞれ2個のヘッド41と対向するように設けられている。例えば、第1板状電極61(1)は、第1ヘッド41(1)と第3ヘッド41(3)と対向するように設けられている。但し、第8板状電極61(8)は、第15ヘッド(15)だけと対向する。
【0042】
8個の板状電極61は、図2A及び図2Bに示すように、印刷領域よりも搬送方向上流側に設けられている。そして、コントローラー10は、ノズルの吐出検査の際に、ヘッドユニット40を搬送方向上流側に移動させて、ヘッドユニット40の15個のヘッド41をそれぞれの板状電極61に対向させる。
【0043】
<吐出検査の原理>
ノズルプレート41aのノズルからインクが吐出されると、板状電極61の電位が変化し、この電位変化を検出用コンデンサ65及び増幅器66が検出し、検出信号が検出制御部67に出力される。異常ノズルからインクを吐出させようとしても、インクが吐出されないため(若しくは正常な量のインクが吐出されないため)、板状電極61の電位は変化せず、検出信号に電圧変化は現れないことになる。
【0044】
この原理は正確には解明されていないが、次にように考えられている。一般的に、コンデンサを構成する2個の導体の間隔dが変化すると、コンデンサに蓄えられる電荷Qが変化することが知られている。グランド電位のノズルプレート41aから高電位の板状電極61に向かってインクが吐出されると、グランド電位のインク滴と板状電極61との間隔d(図6参照)が変化し、コンデンサの2個の導体の間隔dが変化したときのように、板状電極61に蓄えられる電荷Qが変化する。この結果、板状電極61に電荷が移動し、このときに流れる電流を検出用コンデンサ65及び増幅器66が検出し、検出信号が検出制御部67に出力されると考えられる。
【0045】
本実施形態では、このような現象を利用することによって、検査対象のノズルからインクを吐出させる制御をした時に(検査対象のノズルのピエゾ素子に駆動信号COMを印加した時に)、検出信号に所定の電圧変化が発生するか否かを検出制御部67が検出し、検査対象のノズルがインクを吐出しているか否か(検査対象のノズルが異常ノズルか否か)を判定する。
【0046】
なお、ノズルプレート41aのノズルからインク滴が吐出されたとき、そのノズルと対向する半径5mm程度の領域の静電容量が変化することによって、電極に蓄えられる電荷Qが変化すると考えられている。そして、本実施形態では板状電極61を採用しているため、どのノズルからインク滴を吐出しても、ほぼ同程度の広さの領域で静電容量が変化するため、安定した吐出検査を実現できる。もし仮に、板状電極61ではなく、ワイヤー状の電極が採用されると、インクを吐出するノズルの位置によって、ノズルと対向する電極の領域が変わってしまうことになる。
【0047】
<吐出検査時の動作>
(1.吐出検査の検出信号)
図8Aは、ピエゾ素子を駆動する駆動信号COMの説明図である。コントローラー10は、図に示すような駆動信号COMを1kHzの周期で繰り返し出力する。コントローラー10は、このような駆動信号COMを各ヘッド41に出力する。そして、コントローラー10は、検査対象となるノズルのピエゾ素子に駆動信号COMを印加させる。
【0048】
図中の繰り返し期間は、ある1個のノズルの1回分の吐出判定に要する期間である。この期間の前半部分の駆動信号COMには、50kHz相当の間隔で20〜30個のインク吐出用のパルスが含まれている。また、後半部分の駆動信号COMは、一定電位(中間電位)になっている。
このような駆動信号COMがピエゾ素子に印加されると、そのピエゾ素子に対応するノズルから50kHz相当の間隔で20〜30個のインク滴が吐出される。
【0049】
図8Bは、インク滴が吐出されたときの検出信号の説明図である。図8Aの繰り返し期間の間にノズルから50kHz相当の間隔で20〜30個のインク滴が吐出されると、図8Bのような検出信号が増幅器66から出力される。
【0050】
検出制御部67は、ある繰り返し期間中に増幅器66から出力された検出信号の振幅Va(検出信号の最高電位VHと最低電位VLとの差)を検出し、検出された振幅Vaと予め定められた閾値Vth(例えば3V)とを比較する。検出信号の振幅Vaが閾値Vthよりも大きければ、検出制御部67は、検査対象のノズルから正常にインクが吐出されていると判定する。逆に、検出信号の振幅Vaが閾値Vthよりも小さければ、検出制御部67は、検査対象のノズルからインクが吐出されていないと判定する。
【0051】
(2.各ノズルの吐出検査:単位ブロック)
図9A及び図9Bは、本実施形態の吐出検査時の検出信号の説明図である。図10A及び図10Bは、ノイズが混入したときの検出信号の説明図である。
【0052】
図中の単位ブロックは、1個のノズルに対して1回吐出検査を行うための単位動作である。それぞれの単位ブロックは、図8Aの繰り返し期間の3回分に相当しており、2回の吐出検査期間と、1回のノイズ検査期間とから構成されている。
【0053】
吐出検査期間では、コントローラー10は、図8Aに示される駆動信号COMを検査対象となるノズルのピエゾ素子に印加する。この結果、ノズルが正常であれば、単位ブロックの中の吐出検査期間において、検出信号の振幅Vaは閾値Vthを超えることになる。また、ノズルに異常があれば、単位ブロックの中の吐出検査期間において、検出信号の振幅Vaは閾値Vthを超えないことになる(図9Bのノズル#4の吐出検査期間を参照)。
【0054】
ノイズ検査期間では、コントローラー10は、どのノズルのピエゾ素子にも駆動信号COMを印加しない。つまり、ノイズ検査期間は、インク滴を吐出させない非吐出期間になる。このため、ノズルの状態に関わらず、ノイズ検査期間に検出された検出信号の振幅Vaが閾値Vthを超えていれば、検出信号にノイズが混入していると判定される。
【0055】
図10Aに示すように、比較的長期のノイズが検出信号に入れば、単位ブロックの中のノイズ検査期間の検出信号の振幅Vaが閾値Vthを超えることになる。このため、ノイズ検査期間の検出信号の振幅Vaが閾値Vthを超えた場合には、同じ単位ブロックの中の吐出検査期間の検出信号にもノイズが混入していると考えられる。したがって、このような場合には、この単位ブロックの検出信号を用いずに、同じノズルを検査対象として単位ブロックを再度実行し、ノイズ検査期間にノイズが混入していないときの単位ブロックの検出信号に基づいてノズルの吐出判定を行う。
【0056】
なお、図10Bに示すように、短期間のノイズ(スパイク状のノイズ)が検出信号に混入することがある。このようなスパイク状のノイズが検出信号に混入した場合、ノイズ検査期間の検出信号だけでは、ノイズの混入を検出することができない。
【0057】
但し、本実施形態の吐出検査部60のように、板状の電極(板状電極61)を採用した結果、このようなスパイク状のノイズが検出信号に特に混入しやすくなる。この理由を以下に説明する。
図11A及び図11Bは、参考例の電極の説明図である。この電極61’は、特開2010−64309号公報(特許文献1)の吐出検査に用いられているワイヤー状の電極である。ワイヤー状の電極61’であれば、ワイヤーの上にゴミが付着する確率は低いので、ゴミが付着しても電極61’とヘッド41のノズルプレート41a(もう一方の電極)との間隔は必ずしも狭くならない。
これに対し、本実施形態のように板状電極61が採用された場合、ゴミが電極に付着すると、板状電極61とノズルプレート41aとの間隔は、必然的にゴミの高さの分だけ狭くなり、ワイヤー状の電極の場合(図11B参照)と比べて狭くなる。このため、板状電極61が採用された場合、ゴミとノズルプレート41aとの間で放電現象が生じやすくなり、検出信号にスパイク状のノイズが混入すると考えられている。
【0058】
このようなスパイク状のノイズは、定常的・連続的には発生せず、ある程度の期間を空けて発生するという性質がある。この理由を以下に説明する。
図12A及び図12Bは、スパイク状のノイズの性質の説明図である。スパイク状のノイズは放電現象と考えられているため、一旦放電が起きると(図12A参照)、板状電極61の電位が低下するので、次の放電が生じるためには板状電極61が再び高電位になる必要がある。つまり、放電後に板状電極61への充電が必要になる(図12B)。この結果、スパイク状のノイズが生じてから、次のスパイク状ノイズが生じるまでの間、充電期間に相当する期間が空くことになると考えられる。言い換えると、スパイク状のノイズは、ごく短期間に連続して発生しにくいと考えられる。
【0059】
そこで、本実施形態では、スパイク状のノイズが定常的・連続的に発生しない性質を利用して、スパイク状のノイズによる誤検査を回避している。具体的には、単位ブロックの中に連続して複数の吐出検査期間を設け、複数の吐出検査期間における検出信号に基づいてノズルの吐出検査を行うことにより、スパイク状のノイズによる誤検査を回避している。
【0060】
図13は、単位ブロックの処理フローの説明図である。この処理は、吐出検査部60の検出制御部67が行っている。
【0061】
まず、検出制御部67は、単位ブロックのノイズ検査期間中に増幅器66から出力された検出信号の振幅Va(検出信号の最高電位VHと最低電位VLとの差)を検出し、検出された振幅Vaと予め定められた閾値Vth(例えば3V)とを比較する(S101)。そして、ノイズ検査期間に検出された振幅Vaが閾値Vthよりも大きければ(S101でYES)、検出制御部67は、同じ単位ブロックの吐出検査期間の検出信号に基づく吐出判定(S103〜S105、ノズルからのインクの吐出の有無の判定)を行わずに、単位ブロックにノイズが混入していると判定する。以下、この判定を「ノイズ判定」と呼ぶ。例えば、図10Aのような検出信号の場合、検査制御部67は、ノズル#4を検査対象とする単位ブロックの処理では「ノイズ判定」を行うことになる。なお、「ノイズ判定」が行われた場合、コントローラー10は、同じノズルを検査対象とした単位ブロックを再度実行することになる。
【0062】
ノイズ検査期間に検出された振幅Vaが閾値Vthより小さければ(S101でNO)、検出制御部67は、同じ単位ブロックの複数の吐出検査期間の検出信号に基づいて吐出判定を行う(S103〜S105)。なお、「吐出判定」とは、ノズルからのインクの吐出の有無を判定することを指し、ノイズの有無を判定することは含まない。
【0063】
まず、検出制御部67は、複数の吐出検査期間の全ての期間において、検出された振幅Vaが閾値Vthよりも大きいか否かを判断する(S103)。
【0064】
単位ブロックの中の全ての吐出検査期間において、検出された振幅Vaが閾値Vthよりも大きければ(S103でYES)、検出制御部67は、検査対象のノズルからインクが正常に吐出されていると判定する(S104)。言い換えると、単位ブロックの中の全ての吐出検査期間において、ノズルからインクが吐出されていると判定された場合には(S103でYES)、検出制御部67は、検査対象のノズルからインクが吐出されていると総合判定する(S104)。以下、この判定を「正常判定」と呼ぶ。例えば、図10Bのような検出信号の場合、検査制御部67は、ノズル#1を検査対象とする単位ブロックの処理では「正常判定」を行う。
【0065】
一方、単位ブロックの中のいずれかの吐出検査期間において検出された振幅Vaが閾値Vthよりも小さいことがあれば(S103でNO)、検出制御部67は、検査対象のノズルからインクが吐出されていないと判定する(S105)。言い換えると、単位ブロックの中のいずれかの吐出検査期間において、ノズルからインクが吐出されていないと判定された場合には(S103でYES)、検出制御部67は、検査対象のノズルからインクが吐出されていないと総合判定する(S104)。以下、この判定を「異常判定」と呼ぶ。
【0066】
図10Bに示す検出信号では、ノズル#4を検査対象とする単位ブロックにスパイク状のノイズが混入している。このようにスパイク状のノイズが混入していても、本実施形態の検査制御部67は、ノズル#4を検査対象とする単位ブロックの処理で「異常判定」を行うことができる。
【0067】
なお、既に説明した通り、スパイク状のノイズは、定常的・連続的に発生しない性質を有する。このため、同じ単位ブロックの中で連続して複数の吐出検査期間を設けていれば、仮にスパイク状のノイズが検出信号に混入しても、全ての吐出検査期間の検出信号にスパイク状のノイズが混入するような事態は生じ難い。したがって、インクを吐出していないノズルが検査対象になれば、いずれかの吐出検査期間において、検出信号の振幅Vaが閾値Vthよりも小さくなる(ノズルからインクが吐出されていないと判定される)。このことを利用して、スパイク状のノイズによる誤検査を回避しているのである。
【0068】
また、単位ブロックの全ての吐出検査期間にノイズが混入するような場合には(例えば図10A参照)、スパイク状のノイズではなく比較的長期のノイズが混入していると考えられる。但し、比較的長期のノイズが混入した場合には、ノイズ検査期間の検出信号の振幅Vaが閾値Vthよりも大きくなるので(S101でYES)、S103〜S105の吐出判定は行われない。このため、ノイズによって単位ブロックの全ての期間において検出信号の振幅Vaが閾値Vthを超えていても、ノイズによる誤検査を回避できる。
【0069】
そして、ノイズ判定(S102)、正常判定(S104)又は異常判定(S105)の判定後、検出制御部67は、コントローラー10に判定結果を出力する。
【0070】
(3.吐出検査の順序)
図14は、吐出検査部60の吐出検査時の動作の説明図である。ここでは、第1吐出検査部60(1)による吐出検査時の動作について説明する。ここでは、ノイズによる単位ブロックの再実行については省略して説明する。
【0071】
まず、コントローラー10は、第1ヘッド41(1)のマットブラックノズル列(図4のMk列)のノズル#1を検査対象として、単位ブロックを実行する。ヘッドユニット40は、コントローラー10の指示に従って、第1ヘッド41(1)のマットブラックノズル列(図4のMk列)のノズル#1のピエゾ素子に対して吐出検査期間に駆動信号COMを印加しつつ、ノイズ検査期間にどのノズルのピエゾ素子にも駆動信号COMを印加しないようにする。そして、第1吐出検査部60(1)は、判定結果をコントローラー10に出力する。
【0072】
コントローラー10は、マットブラックノズル列Mk(図4参照)のノズル#1の吐出検査が終われば、次に同じノズル列のノズル#2を検査対象として単位ブロックを実行する。このようにして、コントローラー10は、マットブラックノズル列Mkのノズル#180までの吐出検査を行う。
【0073】
マットブラックノズル列Mkの吐出検査が終われば、コントローラー10は、次にグリーンノズル列Grの180個のノズルに対してそれぞれ順に吐出検査を行う。このようにして、コントローラー10は、ヘッド41の8個のノズル列の各ノズルに対して、それぞれ順に吐出検査を行う。これにより、第1吐出検査部60による第1ヘッド41(1)の吐出検査が行われる。
【0074】
第1ヘッド41(1)の吐出検査が終われば、次にコントローラー10は、第3ヘッド41(3)の8個のノズル列の各ノズルについても同様に吐出検査を行う。なお、図7に示すように第1吐出検査部60(1)の第1板状電極61(1)が第1ヘッド41(1)及び第3ヘッド41(3)に対向しているので、第3ヘッド41(3)の吐出検査が次に行われるのである。このようにして、コントローラー10は、第1吐出検査部60(1)を用いて、2個のヘッド41(第1ヘッド41(1)と第3ヘッド41(3))の各ノズルの吐出検査を行う。
【0075】
(4.複数の吐出検査の並列処理)
図15は、吐出検査の並列処理の説明図である。ここでは、4個の吐出検査部60の並列処理について説明する。
【0076】
まず、コントローラー10は、第1ヘッド41(1)、第5ヘッド41(5)、第9ヘッド41(9)及び第13ヘッド41(13)のマットブラックノズル列(図4のMk列)のノズル#1を検査対象として、単位ブロックを実行する。ヘッドユニット40は、コントローラー10の指示に従って、第1ヘッド41(1)、第5ヘッド41(5)、第9ヘッド41(9)及び第13ヘッド41(13)のマットブラックノズル列(図4のMk列)のノズル#1のピエゾ素子に対して吐出検査期間に駆動信号COMを印加しつつ、ノイズ検査期間にどのノズルのピエゾ素子にも駆動信号COMを印加しないようにする。そして、第1吐出検査部60(1)〜第4吐出検査部60(4)が判定結果をコントローラー10にそれぞれ出力する。
【0077】
4個の判定結果の中にノイズ判定が含まれていなければ、コントローラー10は、ノズル#1の吐出検査を終えて、同じノズル列のノズル#2を検査対象として単位ブロックを実行する。この場合、コントローラー10は、4個の吐出検査部60の検査対象となるノズルを、ノズル#1からノズル#2に同時に変更することになる。
【0078】
一方、例えば第2吐出検査部60(2)の判定結果がノイズ判定であった場合には、コントローラー10は、同じノズル#1を検査対象として、単位ブロックを再度実行する。再度単位ブロックを実行しなければ、第5ヘッド61(5)のマットブラックノズル列のノズル#1の吐出状態が判らないためである。単位ブロックを再実行する場合、仮に第2吐出検査部60(2)以外の吐出検査部60では吐出判定(正常判定又は異常判定)が行われていたとしても、コントローラー10は、4個の全ての吐出検査部60においても前回と同じノズルを検査対象とするように、単位ブロックの再実行を指示する。言い換えると、コントローラー10は、どのヘッド41に対しても前回と同じノズルを検査対象とするように、単位ブロックの再実行を指示する。これにより、コントローラー10の指示や処理を簡略化・共通化することができる。
【0079】
もし仮に吐出検査部60毎にそれぞれ独立して吐出検査が行われると、吐出検査部60毎に検査対象のノズルがバラバラになってしまい、コントローラー10の指示や処理内容が複雑化してしまう。例えば、ノズル#1を検査対象とする最初の単位ブロックの判定結果において第2吐出検査部60(2)だけがノイズ判定であった場合に、第2吐出検査部60(2)だけノズル#1を検査対象として単位ブロックを再実行し、他の吐出検査部60(3)には次のノズル#2を検査対象として単位ブロックを実行すると、その後のコントローラー10の指示や処理内容が複雑化してしまう。本実施形態では、このような処理の複雑化を回避しているのである。
このように、本実施形態では、検査対象のノズルに対する単位ブロックの実行及び再実行や、検査対象のノズルの変更などは、複数の吐出検査部において共通化されている。この結果、複数の吐出検査の処理が並列して行われることになる。
【0080】
ところで、4つの吐出検査が並列処理される状況下において、4つの判定結果の中に1つでもノイズ判定が含まれている場合に、同じノズルを検査対象とする単位ブロックを常に再実行することにすると、全てのノズルの吐出検査を完了するまでに時間がかかることになる。特に並列処理する吐出検査の数が増えるほど、複数の判定結果の中にノイズ判定が含まれる確率が高くなり、吐出検査にかかる時間が極めて長くなってしまう。
【0081】
そこで、本実施形態のコントローラー10は、判定結果の中にノイズ判定が含まれている場合であっても、ノイズ判定をした吐出検査部60が検査対象のノズルに対して既に吐出判定(正常判定又は異常判定)を行っていれば、そのノズルの吐出検査を完了して、次のノズルを検査対象にしている。以下、この処理について説明する。
【0082】
図16は、コントローラー10による並列処理のフローの説明図である。なお、図16の各処理は、メモリー13に記憶されたプログラムに従ってコントローラー10が各ユニットを制御することによって実現される。
図17は、マットブラックノズル列のノズル#1の判定結果の説明図である。図18は、コントローラー10の保持部が保持している判定結果の説明図である。なお、図17及び図18において、丸印は「正常判定」を示しており、×印は「異常判定」を示しており、?印は「ノイズ判定」を示している。
【0083】
まず、コントローラー10は、保持部が保持している情報をクリアした後(S201)、最初の単位ブロックを実行して、4個の吐出検査部60(図15参照)から出力された判定結果をそれぞれ取得する(S203)。1回目の単位ブロックの判定結果は、第1、第3、第4吐出検査部は「正常判定」であり、第2吐出検査部60(2)は「ノイズ判定」である。
【0084】
次に、コントローラー10は、取得した4個の判定結果の中にノイズ判定が含まれているか否かを判断する(S204)。仮にノイズ判定が含まれていなければ(S204でNO)、コントローラー10は、取得した判定結果を最終結果としてメモリー13に記憶し、ノズル#1の吐出検査を終える(S205)。
但し、取得した4個の判定結果の中にノイズ判定が含まれているので(S204でYES)、コントローラー10は、吐出判定が行われた第1、第3、第4吐出検査部の判定結果について、保持部の保持している判定結果を更新する。S206の処理により、保持部には、吐出判定(正常判定又は異常判定)の最新結果が保持される。
【0085】
そして、S206の後、コントローラー10は、ノイズ判定を行った第2吐出検査部60(2)が既に検査対象のノズルを吐出判定したか否かについて判断する(S207)。この判断は、保持部に保持されている第2吐出検査部60(2)の吐出判定の最新結果が正常判定又は異常判定であるか否かに基づいて行われる。最初の単位ブロックの処理ではS207でNOになるので、コントローラー10は、単位ブロックを再実行する(S208)。(最初の単位ブロックの処理では、S207は意味のない処理である。)
図17に示すように第2吐出検査部60(2)の判定結果は10回連続して「ノイズ判定」である。このため、コントローラー10は、10回の単位ブロックの処理のいずれにおいても、S204でYESと判断し、S207でNOと判断することになる。
【0086】
11回目の単位ブロックの処理の際に第2吐出検査部60(2)の判定結果が「正常判定」になり、コントローラー10は、初めて第2吐出検査部60の吐出判定の結果を取得する。但し、11回目の単位ブロックの処理では、第1吐出検査部60(1)の判定結果が「ノイズ判定」である。このため、コントローラー10は、11回目の単位ブロックの処理においても、S204でNOと判断することになる。
11回目の単位ブロックの処理では、S206の処理によって、第2〜第4吐出検査部の判定結果について、保持部の保持している判定結果を更新する。なお、第1吐出検査部の「ノイズ判定」は吐出判定(正常判定又は異常判定)ではないので、この判定結果は保持部には保持されない。この結果、この段階での保持部が保持する最新結果は、第1、第2吐出検査部は「正常判定」であり、第3、第4吐出検査部は「異常判定」である(図18参照)。
【0087】
次に、S207の処理において、コントローラー10は、ノイズ判定を行った第1吐出検査部60(1)が既に検査対象のノズルを吐出判定したか否かについて判断する。この判断は、保持部に保持されている第1吐出検査部60(1)の吐出判定の最新結果が正常判定又は異常判定であるか否かに基づいて行われる。図18に示すように、保持部が保持する第1吐出検査部の最新結果は「正常判定」であるので、コントローラー10は、11回目の単位ブロックの処理ではS207でYESと判断する。
【0088】
S207でYESの場合、コントローラー10は、保持部が保持している吐出判定(正常判定又は異常判定)の最新結果を最終結果としてメモリー13に記憶し、ノズル#1の吐出検査を終える(S209)。この結果、第1ヘッド41(1)、第5ヘッド41(5)、第9ヘッド41(9)及び第13ヘッド41(13)のそれぞれのマットブラックノズル列のノズル#1について、順に「正常判定」、「正常判定」、「異常判定」、「異常判定」とする吐出検査が完了する。
【0089】
そして、コントローラー10は、検査対象となる次のノズルが存在するか否かについて判断する(S210)。ここではコントローラー10は、S210でNOと判断し、次にノズル#2を検査対象として単位ブロックを実行することになる。
【0090】
以上の説明の通り、本実施形態では、判定結果の中にノイズ判定が含まれている場合であっても(S204でYES)、ノイズ判定をした吐出検査部60が検査対象のノズルに対して既に正常に吐出判定を行っていれば(S207でYES)、そのノズルの吐出検査を完了している(S209)。これにより、複数の吐出検査が並列処理されているにも関わらず、吐出検査が長引くことを抑制できる。
【0091】
また、本実施形態では、吐出判定の最新結果に基づいて吐出検査が行われるため、ノズルの吐出状態が検査途中で変化しても、装置の現状に即した吐出検査を行うことができる。また、コントローラー10の保持部は、最新結果を保持するだけで良く、それまでの判定結果までは保持する必要がない。
【0092】
なお、コントローラー10は、全てのノズルの検査を完了するまでの間、単位ブロックの実行回数の累積値をカウントしている。そして、累積値が所定回数を超えたとき、コントローラー10はエラーを報知する。これにより、ノイズ判定により単位ブロックが繰り返され続ける事態を回避できる。
【0093】
(5.変形例)
図19は、図16の処理フローの変形例を示している。なお、図19の各処理は、メモリー13に記憶されたプログラムに従ってコントローラー10が各ユニットを制御することによって実現される。
前述の図16では、S206及びS207の処理の前に、S204の判断処理が行われていた。この結果、メモリー13に最終結果を記憶する処理が、吐出検査部から取得した判定結果をそのままメモリー13に記憶する場合と、保持部の保持する判定結果をメモリー13に記憶する場合の2通りあった。これに対し、図19に示した変形例では、図16のS204の処理を省略しており、最終結果をメモリー13に記憶する処理が統一化されている。
【0094】
この変形例では、コントローラー10は、吐出検査部60から出力された判定結果を取得した後(S203)、取得した判定結果のうちの吐出判定(正常判定又は異常判定)について保持部の保持している判定結果を更新する(S206)。なお、「ノイズ判定」は吐出判定(正常判定又は異常判定)ではないので、この判定結果は保持部には保持されない。この処理は、図16のS206の処理と同じである。
【0095】
そして、S206の処理の後、コントローラー10は、全ての吐出検査部が既に検査対象のノズルを吐出判定したか否かについて判断する(S207’)。変形例では、「全ての吐出検査部」が既に検査対象のノズルを吐出判定したか否かを判断しているため、当然この判断の中には、「ノイズ判定を行った吐出検査部」が既に検査対象のノズルを吐出判定したか否かについての判断も行われることになる。例えば、図17の11回目の単位ブロックの処理の際には、ノイズ判定を行った第1吐出検査部60(1)が既に検査対象のノズルを吐出判定したか否かについても判断されることになる。
【0096】
そして、S207でNOの場合、コントローラー10は、単位ブロックを再実行する(S208)。
一方、S207でYESの場合、コントローラー10は、保持部が保持している吐出判定(正常判定又は異常判定)の最新結果を最終結果としてメモリー13に記憶し、検査対象とされたノズルの吐出検査を終える(S209)。そして、コントローラー10は、検査対象となる次のノズルが存在するか否かについて判断する(S210)。
【0097】
以上の通り、変形例においても、判定結果の中にノイズ判定が含まれている場合に、ノイズ判定をした吐出検査部60が検査対象のノズルに対して既に正常に吐出判定を行っていれば(S207’でYES)、そのノズルの吐出検査を完了している(S209)。これにより、複数の吐出検査が並列処理されているにも関わらず、吐出検査が長引くことを抑制できる。
【0098】
<比較例>
図20A及び図20Bは、比較例の単位ブロックによる検出信号の説明図である。
図20Aでは、単位ブロックの中の吐出検査期間は1つだけであり、連続して複数含まれていない。このため、吐出検査期間中にスパイク状のノイズが発生すると、誤検査のおそれがある。例えば、図中の検出信号によれば、ノズル#8の吐出検査期間中にスパイク状のノイズが発生してしまい、仮にノズル#8がインクを正常に吐出していなくても、検出信号の振幅Vaが閾値Vthを超えているため、誤検査してしまう。
図20Bでは、単位ブロックの中に吐出検査期間が複数あるものの、連続していない。このため、前述の実施形態と比べると、誤検査の可能性が高くなってしまう。例えば、図中の検出信号によれば、2回のスパイク状のノイズが時間をおいて発生しているにも関わらず、ノズル#4の全ての吐出検査期間において検出信号の振幅Vaが閾値Vthを超えているため、誤検査してしまう。
【0099】
したがって、単位ブロックにおいて吐出検査期間を連続して複数回行うことが望ましい。言い換えると、検査対象となるノズルに対して、吐出判定を連続して複数回行うことが望ましい。
【0100】
===別の実施形態===
<単位ブロックについて>
前述の実施形態によれば、単位ブロックの最初に2回の吐出検査期間があり、その後に1回のノイズ検査期間があった。但し、単位ブロックの構成は、これに限られるものではない。
【0101】
図21A〜図21Cは、別の単位ブロックによる検出信号の説明図である。
図21Aでは、単位ブロックは、最初の3回の吐出検査期間と、その後の1回のノイズ検査期間とから構成されている。このように、吐出検査期間は、2回に限られるものではなく、3回以上であっても良い。
図21Bでは、単位ブロックは、最初の1回のノイズ検査期間と、その後の2回の吐出検査期間とから構成されている。このように、ノイズ検査期間は、吐出検査期間の前でも良い。
【0102】
なお、図示しないが、単位ブロックの中で吐出検査期間が連続して複数回行われるのであれば、ノイズ検査期間は、吐出検査期間と吐出検査期間との間でも良い。但し、単位ブロックの中で吐出検査期間を連続して複数回行うのであれば、ノイズ検査期間が単位ブロックの最初又は最後にある方が単位ブロックの長さを短くできる。
【0103】
図21Cでは、単位ブロックは、複数回の吐出検査期間から構成されており、ノイズ検査期間を含まない。このような単位ブロックであっても、吐出検査期間が連続して複数回あるので、仮にスパイク状のノイズが検出信号に混入しても、スパイク状のノイズによる誤検査を回避することが可能である。但し、比較的長期のノイズが検出信号に混入することによって、全ての吐出検査期間で検出信号の振幅Vaが閾値Vthよりも大きくなると、誤検査するおそれがある。
【0104】
<並列処理について>
図22は、別の並列処理のフローの説明図である。図23は、図22の処理による判定結果の説明図である。なお、図22の各処理は、メモリー13に記憶されたプログラムに従ってコントローラー10が各ユニットを制御することによって実現される。
図22と前述の図19とを比較すると、保持部が最新結果を保持のではなく、それまでに取得した全ての判定結果を保持している点で異なる(S206’)。つまり、図22のS206’の処理によれば、保持部は、吐出判定の履歴を保持している。
また、図22と前述の図19とを比較すると、最終結果の決定方法が異なる(S209’)。図22のS209’の処理によれば、吐出判定(正常判定又は異常判定)の履歴に基づいて、より多い判定結果を最終結果としている。例えば、11回の単位ブロックの判定結果が図23に示す通りであれば、コントローラー10は、第4吐出検査部の検査対象のノズルについて、正常判定(6回)が異常判定(5回)よりも多いので、「正常判定」と決定する。これにより、検査結果が正しい確率が高くなる。但し、前述の図19と比較すると、保持部が保持すべき情報量は増える。
【0105】
図24は、更に別の並列処理のフローの説明図である。図25は、図24の処理による判定結果の説明図である。なお、図24の各処理は、メモリー13に記憶されたプログラムに従ってコントローラー10が各ユニットを制御することによって実現される。
図24と前述の図22とを比較すると、最終結果の決定方法が異なる(S209”)。図24のS209”の処理によれば、吐出判定(正常判定又は異常判定)の履歴に基づいて正常判定の割合を算出し、その割合に応じて正常判定・異常判定・不安定判定の3通りの最終結果を出している。つまり、「不安定判定」という最終結果が新たに追加されている。具体的には、コントローラー10は、吐出判定の履歴に基づいて、正常判定が全吐出判定の60%以上であれば「正常判定」とし、正常判定が全吐出判定の40%以上60%未満であれば「不安定判定」とし、正常判定が全吐出判定の40%未満であれば「異常判定」としている。例えば、11回の単位ブロックの判定結果が図25に示す通りであれば、コントローラー10は、第4吐出検査部の検査対象のノズルについて、「不安定判定」と決定する。
そして、例えば、コントローラー10は、最終結果に応じてヘッドのクリーニング方法を変えることができる。例えば、コントローラー10は、異常判定であればインク消費量の多いバキューム方式によるクリーニング方法を実施し、不安定判定であればインク消費量の比較的少ないフラッシング方式(印刷領域外でヘッドからインクを吐出させる方式)によるクリーニング方法を実施することが可能である。
【0106】
図26は、また更に別の並列処理のフローの説明図である。なお、図26の各処理は、メモリー13に記憶されたプログラムに従ってコントローラー10が各ユニットを制御することによって実現される。
前述の図16と比べると、ノイズ判定があれば直ちに単位ブロックの再実行が行われる点で異なっている。このような並列処理だと全てのノズルの吐出検査を完了するまでに時間がかかることになる。特に並列処理する吐出検査の数が増えるほど、複数の判定結果の中にノイズ判定が含まれる確率が高くなり、吐出検査にかかる時間が極めて長くなってしまう。例えば、11回の単位ブロックの判定結果が図17に示す通りであれば、11回目の単位ブロックの後に更に単位ブロックを再実行することになる。
【0107】
但し、以上説明した並列処理であっても、単位ブロックの中で吐出検査期間が連続して複数回行われるのであれば(言い換えると、検査対象となるノズルに対して吐出判定を連続して複数回行うのであれば)、スパイク状のノイズによる誤検査を回避できる。
【0108】
<電極について>
前述の実施形態では、ノズルプレート41a(第1電極に相当)をグランド電位にし、板状電極61(第2電極に相当)を高電位にしている。しかし、これに限られるものではない。また、前述の実施形態では、高電位となる電極の電位変化を検出しているが、これに限られるものではない。
【0109】
図27A〜図27Cは、吐出検査部の別の構成の説明図である。
図27Aでは、前述の実施形態と同様に、高電位となる電極の電位変化を検出している。但し、前述の実施形態とは異なり、ノズルプレートが高電位になっており、キャップ側の電極がグランド電位になっている。
図27Bでは、前述の実施形態と同様に、ノズルプレートをグランド電位にし、キャップ側の電極を高電位にしている。但し、前述の実施形態とは異なり、ノズルプレートの電位変化を検出している。
図27Cは、前述の実施形態と同様に、検出用電極22の電位変化を検出している。但し、前述の実施形態とは異なり、ノズルプレートが高電位になっており、キャップ側の電極がグランド電位になっている。
このような吐出検査部の構成であっても、前述の実施形態とほぼ同様な吐出検査を行うことが可能である。
【0110】
===その他===
上記の実施形態は、主としてプリンターについて記載されているが、その中には、液体吐出装置、液体吐出装置の検査方法、プログラム、プログラムを記憶した記憶媒体等の開示が含まれていることは言うまでもない。
【0111】
また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0112】
<プリンターについて>
前述の実施形態では、プリンターが説明されていたが、これに限られるものではない。例えば、カラーフィルタ製造装置、染色装置、微細加工装置、半導体製造装置、表面加工装置、三次元造形機、液体気化装置、有機EL製造装置(特に高分子EL製造装置)、ディスプレイ製造装置、成膜装置、DNAチップ製造装置などのインクジェット技術を応用した各種の液体吐出装置に、本実施形態と同様の技術を適用しても良い。
【0113】
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンターの実施形態だったので、染料インク又は顔料インクをノズルから吐出していた。しかし、ノズルから吐出する液体は、このようなインクに限られるものではない。例えば、金属材料、有機材料(特に高分子材料)、磁性材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク、加工液、遺伝子溶液などを含む液体(水も含む)をノズルから吐出しても良い。
【0114】
<ノズルについて>
前述の実施形態では、圧電素子を用いてインクを吐出していた。しかし、液体を吐出する方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズル内に泡を発生させる方式など、他の方式を用いてもよい。
【符号の説明】
【0115】
1 プリンター、
10 コントローラー、11 インターフェース部、12 CPU、
13 メモリー、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、21 搬送ローラー、
30 駆動ユニット、31 X軸ステージ、32 Y軸ステージ、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、41a ノズルプレート、
50 検出器群、
60 吐出検査部、61 板状電極、62 高圧電源ユニット、
63 第1制限抵抗、64 第2制限抵抗、65 検出用コンデンサ、
66 増幅器、67 検出制御部、68 平滑コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから液体を吐出するヘッドと、
前記液体を第1電位にするための第1電極と、
前記ヘッドと対向する位置に設けられ、前記第1電位とは異なる第2電位になる板状の第2電極と、
を備え、
前記ノズルから前記液体を吐出させたときの前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方に発生する電位変化に基づいて、前記ノズルからの前記液体の吐出の有無を判定する吐出判定を行う液体吐出装置であって、
検査対象となる前記ノズルに対して前記吐出判定を連続して複数回行い、
複数回の前記吐出判定のいずれかの吐出判定で前記液体の吐出があると判定しても、複数回の前記吐出判定のいずれかの吐出判定で前記液体の吐出が無いと判定すれば、前記検査対象となるノズルからの前記液体の吐出が無いと決定する
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出装置であって、
前記ヘッドの全てのノズルから前記液体を吐出させない状態での前記電位変化に基づいて、ノイズの有無を判定するノイズ判定を行うことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体吐出装置であって、
複数回の前記吐出判定を行う毎に前記ノイズ判定を行うとともに、
前記ノイズ判定においてノイズがあると判定した場合には、そのノイズ判定と共に行われた複数回の前記吐出判定の結果を用いずに、同じノズルを検査対象として別の複数回の前記吐出判定を再び行う
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記液体吐出装置は、複数個の前記ヘッドを備えており、
前記第2電極は、少なくとも2個の前記ヘッドと対向している
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項5】
ノズルから液体を吐出するヘッドと、
前記液体を第1電位にするための第1電極と、
前記ヘッドと対向する位置に設けられ、前記第1電位とは異なる第2電位になる板状の第2電極と、
を備え、
前記ノズルから前記液体を吐出させたときの前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方に発生する電位変化に基づいて、前記ノズルからの前記液体の吐出の有無を判定する吐出判定を行う液体吐出装置の検査方法であって、
検査対象となる前記ノズルに対して前記吐出判定を連続して複数回行い、
複数回の前記吐出判定のいずれかの吐出判定で前記液体の吐出があると判定しても、複数回の前記吐出判定のいずれかの吐出判定で前記液体の吐出が無いと判定すれば、前記検査対象となるノズルからの前記液体の吐出が無いと決定する
ことを特徴とする液体吐出装置の検査方法。
【請求項6】
ノズルから液体を吐出するヘッドと、
前記液体を第1電位にするための第1電極と、
前記ヘッドと対向する位置に設けられ、前記第1電位とは異なる第2電位になる板状の第2電極と、
を備え、
前記ノズルから前記液体を吐出させたときの前記第1電極及び前記第2電極の少なくとも一方に発生する電位変化に基づいて、前記ノズルからの前記液体の吐出の有無を判定する吐出判定を行う液体吐出装置に、
検査対象となる前記ノズルに対して前記吐出判定を連続して複数回行う機能と、
複数回の前記吐出判定のいずれかの吐出判定で前記液体の吐出があると判定しても、複数回の前記吐出判定のいずれかの吐出判定で前記液体の吐出が無いと判定すれば、前記検査対象となるノズルからの前記液体の吐出が無いと決定する機能と
を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−111214(P2012−111214A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264601(P2010−264601)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】