液体吐出装置及び画像形成装置
【課題】本発明の課題は、本発明は、液体吐出ヘッドの維持・回復動作を行うときに、複数の液体吐出ヘッドと対応するキャップとの主走査方向の位置合わせを、簡易な構成で同時に行うことができる液体吐出装置及びこれを備えた画像形成装置の提供をすることである。
【解決手段】本発明に係るインク吐出装置(液体吐出装置)1は、ヘッドユニット11が維持・回復ユニット13に向けて移動したときに、ピン(被ガイド部)19а、19bは案内溝(ガイド部)33а、33bと係合してヘッドユニット11と維持・回復ユニット13とにおけるヘッドユニット11の移動方向に直交する方向の位置合わせをするものであり、駆動制御部22は、ピン19а、19bと案内溝33а、33bとが係合を開始する前にヘッドユニット11の移動速度を低くしている。
【解決手段】本発明に係るインク吐出装置(液体吐出装置)1は、ヘッドユニット11が維持・回復ユニット13に向けて移動したときに、ピン(被ガイド部)19а、19bは案内溝(ガイド部)33а、33bと係合してヘッドユニット11と維持・回復ユニット13とにおけるヘッドユニット11の移動方向に直交する方向の位置合わせをするものであり、駆動制御部22は、ピン19а、19bと案内溝33а、33bとが係合を開始する前にヘッドユニット11の移動速度を低くしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録媒体に液体を吐出する液体吐出装置、及びこの液体吐出装置を備え記録媒体に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図12に示す従来技術Aにおいては、液体吐出ヘッド101の維持・回復のためのキャッピング動作を行うときに、液体吐出ヘッド101とキャップ103との主走査方向におけるずれWの修正を、主走査方向の位置合わせ用のキャップガイド105によってキャップ103を液体吐出ヘッド101に正対する位置に案内することにより行っていた。
【0003】
【特許文献1】特開2005−137075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術Aにおいては、液体吐出ヘッド101が複数ある場合に、ヘッド101毎にキャップガイド105を設けなければならず構成が複雑であった。
【0005】
そこで、本発明は、液体吐出ヘッドの維持・回復動作を行うときに、複数の液体吐出ヘッドと対応するキャップとの主走査方向の位置合わせを、簡易な構成で同時に行うことができる液体吐出装置及びこれを備えた画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、液体吐出ヘッドを有するヘッドユニットと、液体吐出ヘッドの維持・回復ユニットと、ヘッドユニットを記録位置と維持・回復ユニットに対向する位置との間で移動させる駆動部と、ヘッドユニットの駆動を制御する駆動制御部とを備え、液体吐出ヘッドは記録媒体に液体を吐出して画像を記録するものであり、ヘッドユニットと維持・回復ユニットの何れか一方にはヘッドユニットの移動方向に沿ったガイド部が設けられており他方にはガイド部と係合する被ガイド部が設けられており、ヘッドユニットが維持・回復ユニットに向けて移動したときに、被ガイド部はガイド部と係合してヘッドユニットと維持・回復ユニットとにおけるヘッドユニットの移動方向に直交する方向の位置合わせをするものであり、駆動制御部は、ガイド部と被ガイド部とが係合を開始する前にヘッドユニットの移動速度を低くすることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、ガイド部は維持・回復ユニットに形成された溝であり、ガイド部の記録位置側の端部は記録位置側程広がるテーパー形状となっており、被ガイド部の径はテーパーの最小径以下であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、ガイド部はヘッドユニットの移動方向に直交する方向の両側に設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明において、維持・回復ユニットは、液体吐出ヘッドをキャッピングするキャッピング部と、キャッピング部を支持する支持部とを備え、キャッピング部と支持部の何れか一方にはヘッドユニットの移動方向に直交する方向に長孔が形成されており他方には長孔に係合する突起が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載された発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の液体吐出装置を備え、記録媒体に液体を吐出して画像を形成することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ヘッドユニットと維持・回復ユニットの何れか一方にガイド部を設けて且つ他方にガイド部に係合する被ガイド部を設けただけの簡易な構成で、複数の液体吐出ヘッドと対応するキャップとの主走査方向の位置合わせを同時に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面の図1〜図8を参照して、本発明の実施の形態を説明する。本実施の形態に係るインク吐出装置(液体吐出装置)1は、図8に示すように、画像形成装置3に搭載されている。画像形成装置3は、インク吐出方式により画像を形成するプリンターであり、記録媒体(用紙)にインクを吐出して画像を記録するインク吐出装置1と、記録媒体をセットする給紙トレイ7と、給紙トレイ7から記録媒体を送り出す給紙ローラ12аと、記録媒体を記録領域14に搬送する搬送ローラ12bと、記録領域14において記録媒体を搬送する搬送ベルト12cと、記録領域14で画像を記録された記録媒体を排出する排紙トレイ9とを備えている。
【0013】
液体吐出装置1は、図8に示すように、複数のインク吐出ヘッド5(図1(a)参照)を有するヘッドユニット11と、インク吐出ヘッド5の維持・回復動作を行う維持・回復ユニット13と、ヘッドユニット11を主走査方向に直交する方向に移動させる駆動部21(図6参照)と、駆動部21を制御する駆動制御部22(図6参照)と、インク吐出ヘッド5に供給するインクを貯留するインクタンク31と、インクタンク31からインク吐出ヘッド5にインクを供給するインクチューブ15とを備えている。
【0014】
ヘッドユニット11は、図1(a)に示すように、記録媒体の幅分のインク吐出ヘッド5を用いたライン型のヘッドユニットである。ライン型のヘッドユニットは、記録媒体を間欠駆動無しに搬送、印字可能であり、印字の高速化が図れる。
【0015】
ヘッドユニット11には、図1(a)に示すように、液滴を吐出するノズルを主走査方向に配列したインク吐出ヘッド5が千鳥状に配置されており、ヘッドユニット11の長手方向の両端側(ヘッドユニットの移動方向に直交する方向の両側)には、図1(a)、(b)に示すように、下側に突出した円柱状のピン(被ガイド部)19а、19bが設けられている。
【0016】
インク吐出ヘッド5は、図8に示すように、インクタンク31に、インクチューブ15により接続されており、インクタンク31からインクの供給を受けている。また、インク吐出ヘッド11は電源ボックス17にフレキシブルケーブル(インクヘッド制御ケーブル)16により接続されており、電源ボックス17からインク吐出ヘッド11や搬送ベルト12c等の駆動モータに駆動電源及び駆動制御信号を送信してこれらの駆動を制御している。
【0017】
維持・回復ユニット13は、複数のインク吐出ヘッド5を同時にキャッピングするキャッピング部14と、キャッピング部14を支持する支持部16とを備えている。キャッピング部14の下面には主走査方向に沿った長孔25が4つ形成されており、支持部16の上面には各長孔25に入り込んだ突起27が形成されている。即ち、キャッピング部14は、支持部16上を主走査方向に沿ってスライドして、長孔25の長さの分だけ移動するようになっている。尚、各突起27の径は、各長孔25の幅と同程度である。
【0018】
キャッピング部14には、図1(a)に示すように、各インク吐出ヘッド5をキャッピングするキャップ35が千鳥状に配列されており、キャッピング部14の長手方向の両端側(ヘッドユニットの移動方向に直交する方向の両側)には、ヘッドユニット11の移動方向に沿った案内溝(ガイド部)33а、33bが形成されている。
【0019】
案内溝33а、33bの開口部は上側に向いており、案内溝33а、33bの一端部は図3に示すように、キャッピング部14の一側面37а側が広がったハ字状(テーパ形状)となっている。
【0020】
案内溝33а、33bの一端は、図3に示すように、ハ字の最大幅部39であり、開放されている。各案内溝33а、33bの最大幅部39の幅T(図3参照)は、各長孔25の長さと同程度である。
【0021】
案内溝33а、33bは、図1(a)に示すように、ハ字の最小幅部41から同じ幅(テーパーの最小径)G(図3参照)でキャッピング部14の他側面37bまでヘッドユニット11の移動方向(主走査方向に直交する方向)に沿って連続している。ピン19а、19bの径Pは、図3に示すように、最小幅部41の幅Gよりも僅かに小さい(テーパーの最小径以下)である。即ち、ヘッドユニット11が維持・回復ユニット13側に移動して、ピン19а、19bが最小幅部41よりも内側に入り込むと、インク吐出ヘッド5とキャップ35との主走査方向の位置合わせがなされるようになっている。
【0022】
案内溝33а、33bにピン19а、19bが入り込んだときのピン19а、19bの先端から案内溝33а、33bの底壁までの距離は、正対するインク吐出ヘッド5の先端とキャップ35の先端との距離よりも長い。即ち、ピン19а、19bの長さ及び案内溝33а、33bの深さは、維持・回復ユニット13が上昇してインク吐出ヘッド5をキャッピングすることを妨げない長さ及び深さとなっている。
【0023】
キャップ35は、インク吐出ヘッド5の維持・回復動作のときに、インク吐出ヘッド5をキャッピングするものである。インク吐出ヘッド5は、キャッピング中に、不使用ノズルの乾燥防止手段としての予備吐出を行い、また、所定の印字数量を実施後にポンプにより吸引が行われる。各キャップ35は、ヘッドユニット11と維持・回復ユニット13の位置合わせが成されると、各インク吐出ヘッド5に正対するように、維持・回復ユニット13に配置されている。
【0024】
駆動部21は、モータの駆動力で、ヘッドユニット11を印字位置(記録位置)Rとインク吐出ヘッド5の維持・回復動作を行うメンテナンス位置M(図4参照)との間を移動させるものである。尚、画像形成装置3には、図6に示すように、ヘッドユニット11の移動速度Vを計測する速度検知器43と、ヘッドユニット11を検知する第1センサ45及び第2センサ47が設けられている。第1センサ45はヘッドユニット11の移動距離がL1(図5参照)になったとき(ヘッドユニット11が印字位置Rから速度制限位置Kに移動したとき(図2参照))に検知し、第2センサ47はヘッドユニット11の移動距離がL2(図5参照)になったときに検知するように配置されている。
【0025】
駆動制御部22は、図6に示すように、駆動部21のモータの回転速度を制御することによりヘッドユニット11の移動速度Vを制御するものであり、速度検知器43が計測した速度と通常速度V1及び衝撃緩和速度V2とを比較する比較部49と、第1センサ45及び第2センサ47からの検知信号を受信する受信部51とを備えている。尚、図5に示すように、本実施の形態では、衝撃緩和速度V2は通常速度V1の60%程度である。
【0026】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置3の動作を説明する。パソコン等からの印刷開始信号を受信すると、給紙トレイ7にセットされた記録媒体が給紙ローラ12аにより送り出され、搬送ローラ12bにより記録領域61に搬送される。記録領域61に搬送された記録媒体は搬送ベルト12cにより搬送されつつインク吐出装置1からインクの吐出を受ける。インクの吐出を受けた記録媒体は、開口部23を通過して、排紙トレイ9に排出される。
【0027】
インク吐出装置1は、印字の合間に、インク吐出ヘッド5の維持・回復動作を行う。記録動作を行ってから維持・回復動作に移行するまでの一連の流れについて、図5のグラフ及び図7のフローチャートを用いて説明する。
【0028】
先ず、駆動部21のモータを駆動して、ヘッドユニット11の維持・回復ユニット13側への移動を開始する(S1)。ヘッドユニット11の速度が通常速度V1になったら、速度を一定にする(S2)。ヘッドユニット11の移動距離がL1になったら(S4)、ヘッドユニット11の速度を下げる(S5)。速度が衝撃緩和速度V2になったら(S6)、速度を一定にする(S7)。
【0029】
ヘッドユニット11は、衝撃緩和速度V2のまま、維持・回復ユニット13に対向する位置に移動する。このとき、図3に示すように、各ピン19а、19bが各案内溝33а、33bの一方の側壁53аに衝突した場合には、各ピン19а、19bは側壁53аと当接しつつ図3のX方向(主走査方向に直交する方向)に進んで、最小幅部41に到達する。一方、キャッピング部14は、各ピン19а、19bに押圧されて、図3のY方向(主走査方向に沿った方向)に移動する。このようにして、ヘッドユニット11とキャッピング部14との主走査方向の位置合わせがなされる。
【0030】
ピン19а、19bが他方の側壁53bに衝突した場合には、各ピン19а、19bは側壁53bと当接しつつ図3のX方向(主走査方向に直交する方向)に進んで、最小幅部41に到達する。一方、キャッピング部14は、各ピン19а、19bに押圧されて、図3のY方向と反対方向に移動する。尚、一方及び他方の側壁53а、53bは、図3に示すように、ハ字を成している。
【0031】
ヘッドユニット11の移動距離がL2になったら(S8)、速度を下げて(S9)、速度が0になったら(S10)、ヘッドユニット11はメンテナンス位置M(図4参照)に停止する(フロー終了)。
【0032】
このとき、各インク吐出ヘッド5と各キャップ35が正対しているので、維持・回復ユニット13を上昇させて、各インク吐出ヘッド5を確実にキャッピングすることができる。
【0033】
尚、ヘッドユニット11は、メンテナンス位置Mで維持・回復動作を行った後、通常速度V1で印字位置Rに移動して、印字を再開する。
【0034】
次に、本実施の形態に係るインク吐出装置1の作用効果を説明する。
【0035】
本実施の形態に係るインク吐出装置1によれば、ヘッドユニット11と維持・回復ユニット13の何れか一方に案内溝(ガイド部)33а、33bを形成し且つ他方に案内溝33а、33bに入り込む(係合する)ピン(被ガイド部)19а、19bを設けただけの簡易な構成で、複数の液体吐出ヘッド11と対応するキャップ35との主走査方向の位置合わせを同時に行うことができる。
【0036】
案内溝33а、33bとピン19а、19bとが係合を開始する前に、ヘッドユニット11の移動速度Vを通常速度V1よりも低い衝撃緩和速度V2に設定するので、ピン19а、19bと案内溝33а、33bの側壁53а、53bとが衝突(係合を開始)するときの衝撃を緩和することができる。
【0037】
維持・回復ユニット13のキャッピング部14が長孔(ガイド)25の長さ方向に(主走査方向に沿って)移動自在なので、キャッピング部14をヘッドユニット11に追従させることができる。従って、複数の液体吐出ヘッド11と対応するキャップ35との主走査方向の位置合わせを、簡易な構成で、スムーズ且つ確実に行うことができる。
【0038】
ピン19а、19bの横断面が円弧状なので、案内溝33а、33bの側壁53а、53bとの係合をスムーズに開始することができる。
【0039】
上述の効果を奏する液体吐出装置1を備え、記録媒体に画像を記録する画像形成装置3を提供できる。
【0040】
本発明は、上述した実施の形態に限定されること無く、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0041】
上述の実施の形態では、インク吐出装置1を画像形成装置3に搭載しているが、これに代えて、液晶吐出装置を画像形成装置に搭載しても良く、上述した効果と同様な効果が得られる。
【0042】
上述の実施の形態では、インク吐出装置1をプリンターに搭載しているが、これに限らず、インク吐出装置1を複写機等に設けても良い。
【0043】
上述の実施の形態では、ヘッドユニット11にピン19а、19bを設けて且つ維持・回復ユニット13に案内溝33а、33bを形成しているが、これに代えて、ヘッドユニットに案内溝33а、33bを形成して且つ維持・回復ユニットにピン19а、19bを設けても良い。
【0044】
上述の実施の形態では、キャッピング部14に長孔25を形成して且つ支持部16に突起27を形成して突起27が長孔25に入り込むようにしているが、これに代えて、キャッピング部14に突起27を形成して且つ支持部16に長孔25を形成して突起27が長孔25に入り込むようにしても良い。
【0045】
上述の実施の形態では、ヘッドユニット11にピンを2つ設けて且つ維持・回復ユニット13に案内溝を2つ形成しているが、これに限らず、例えば、ヘッドユニット11に1つのピン19аを設けて且つ維持・回復ユニット13に1つの案内溝33аを設けても良い。この場合、図9に示すようにピン19аをヘッドユニット11の移動方向に沿って長い形状とするか、又は、ピン19аをヘッドユニット11の移動方向に沿って複数並べて設けると良い。
【0046】
上述の実施の形態では、維持・回復ユニット13に案内溝33а、33bを形成しているが、これに代えて、維持・回復ユニット13に2つの直線状のレールを案内溝33а、33bの幅Gだけ離間した位置に設けて、ピンがレール同士の間を移動するようにしても良い。
【0047】
上述の実施の形態では、案内溝33а、33bの一端部をハ字状とし、ピン19а、19bの横断面を円弧状としているが、これに代えて、図10に示すように、案内溝33а、33bの幅を均一にして且つピン19а、19bの側部55の横断面を維持・回復ユニット13側に突出した三角形状としても良い。
【0048】
上述の実施の形態では、維持・回復ユニット13に案内溝(ガイド部)33а、33bを形成しているが、これに代えて、図11(a)及び(b)に示すように、維持・回復ユニット13に上側に突出するレール(ガイド部)57а、57bを主走査方向に沿った両端側に1つずつ設けても良い。尚、図11(a)及び(b)では、各レール57а、57bの一端部は印字位置R側程狭くなるテーパー形状となっている。
【0049】
上述の実施の形態では、維持・回復ユニット13に長孔25を設けているが、これに代えて、維持・回復ユニット13に2つの直線状のレールを長孔25の幅だけ離間した位置に設けて、支持部16の突起27がレール同士の間に入り込むようにしても良い。
【0050】
上述の実施の形態では、衝撃緩和速度V2を通常速度V1の60%程度としているが、これに限らず、例えば、衝撃緩和速度V2を通常速度V1の40%程度としてもよい。
【0051】
上述の実施の形態では、案内溝33а、33bとピン19а、19bとが係合を開始する前に、ヘッドユニット11の移動速度Vを通常速度V1よりも低い衝撃緩和速度V2に設定しているが、これに加えて、ヘッドユニット11がメンテナンス位置Mから印字位置Rに向けて移動して案内溝33а、33bとピン19а、19bとの係合が解除される前に、ヘッドユニット11の移動速度Vを通常速度V1よりも低い衝撃緩和速度V2に設定しても良い。例えば、ピン19а、19bと案内溝33а、33bとの間に、ヘッドユニット11の移動方向に直交する方向の偏在した力が作用して、ピン19а、19bが案内溝33а、33bのハ字状の側壁53а、53bに衝突しても、この衝撃を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】(а)は本実施の形態に係るインク吐出装置のヘッドユニットと維持・回復ユニットの平面図である。(b)は本実施の形態に係るインク吐出装置のヘッドユニットと維持・回復ユニットの側面図であり、ヘッドユニットが印字位置にある状態を示している。
【図2】(a)は本実施の形態に係るインク吐出装置のヘッドユニットと維持・回復ユニットの平面図であり、ヘッドユニットが速度制限位置に移動した状態を示している。図2(b)は本実施の形態に係るインク吐出装置のヘッドユニットと維持・回復ユニットの側面図であり、ヘッドユニットが速度制限位置に移動した状態を示している。
【図3】本実施の形態に係るヘッドユニットのピンと維持・回復ユニットの案内溝の一部とを抜き出した横断面図であり、ピンが案内溝の側壁と当接した状態を示している。
【図4】(a)は本実施の形態に係るインク吐出装置のヘッドユニットと維持・回復ユニットの平面図であり、ヘッドユニットが維持・回復ユニットに正対するメンテナンス位置に移動した状態を示している。(b)は本実施の形態に係るインク吐出装置のヘッドユニットと維持・回復ユニットの側面図であり、ヘッドユニットが維持・回復ユニットに正対するメンテナンス位置に移動した状態を示している。
【図5】本実施の形態に係るヘッドユニットの移動距離とヘッドユニットの速度との関係を示したグラフである。
【図6】本実施の形態に係るヘッドユニットの駆動制御の構成を示すブロック図である。
【図7】本実施の形態に係るヘッドユニットの駆動制御の流れ示すフローチャートである
【図8】本実施の形態に係る画像形成装置の概略的構成を示す縦断面図である。
【図9】本実施の形態の変形例に係るヘッドユニットの突起と維持・回復ユニットの案内溝の一部とを抜き出した横断面図であり、ピンが案内溝の側壁と当接した状態を示している。
【図10】本実施の形態の変形例に係るヘッドユニットのピンと維持・回復ユニットの案内溝の一部とを抜き出した横断面図であり、ピンと案内溝が係合する状態を示している。
【図11】(а)及び(b)は本実施の形態の変形例に係るヘッドユニットと維持・回復ユニットの平面図であり、ピンとレールが係合する状態を示している。
【図12】従来例に係る液体吐出装置の液体吐出ヘッドとキャップとキャップガイドとを抜き出して示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 インク吐出装置(液体吐出装置)
3 画像形成装置
5 インク吐出ヘッド(液体吐出ヘッド)
13 維持・回復ユニット
14 キャッピング部
16 支持部
19а、19b ピン(被ガイド部)
21 駆動部
22 駆動制御部
25 長孔
27 突起
33а、33b 案内溝(ガイド部)
39 案内溝の最大幅部(ガイド部の一端)
57а、57b レール(ガイド部)
V1 通常速度
V2 衝撃緩和速度
R 印字位置(記録位置)
M メンテナンス位置(維持・回復ユニットに対向する位置)
P ピンの径(被ガイド部の径)
G 最小幅部の幅(テーパーの最小径)
【技術分野】
【0001】
本発明は記録媒体に液体を吐出する液体吐出装置、及びこの液体吐出装置を備え記録媒体に画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図12に示す従来技術Aにおいては、液体吐出ヘッド101の維持・回復のためのキャッピング動作を行うときに、液体吐出ヘッド101とキャップ103との主走査方向におけるずれWの修正を、主走査方向の位置合わせ用のキャップガイド105によってキャップ103を液体吐出ヘッド101に正対する位置に案内することにより行っていた。
【0003】
【特許文献1】特開2005−137075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術Aにおいては、液体吐出ヘッド101が複数ある場合に、ヘッド101毎にキャップガイド105を設けなければならず構成が複雑であった。
【0005】
そこで、本発明は、液体吐出ヘッドの維持・回復動作を行うときに、複数の液体吐出ヘッドと対応するキャップとの主走査方向の位置合わせを、簡易な構成で同時に行うことができる液体吐出装置及びこれを備えた画像形成装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、液体吐出ヘッドを有するヘッドユニットと、液体吐出ヘッドの維持・回復ユニットと、ヘッドユニットを記録位置と維持・回復ユニットに対向する位置との間で移動させる駆動部と、ヘッドユニットの駆動を制御する駆動制御部とを備え、液体吐出ヘッドは記録媒体に液体を吐出して画像を記録するものであり、ヘッドユニットと維持・回復ユニットの何れか一方にはヘッドユニットの移動方向に沿ったガイド部が設けられており他方にはガイド部と係合する被ガイド部が設けられており、ヘッドユニットが維持・回復ユニットに向けて移動したときに、被ガイド部はガイド部と係合してヘッドユニットと維持・回復ユニットとにおけるヘッドユニットの移動方向に直交する方向の位置合わせをするものであり、駆動制御部は、ガイド部と被ガイド部とが係合を開始する前にヘッドユニットの移動速度を低くすることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、ガイド部は維持・回復ユニットに形成された溝であり、ガイド部の記録位置側の端部は記録位置側程広がるテーパー形状となっており、被ガイド部の径はテーパーの最小径以下であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載された発明は、請求項1に記載の発明において、ガイド部はヘッドユニットの移動方向に直交する方向の両側に設けられていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の発明において、維持・回復ユニットは、液体吐出ヘッドをキャッピングするキャッピング部と、キャッピング部を支持する支持部とを備え、キャッピング部と支持部の何れか一方にはヘッドユニットの移動方向に直交する方向に長孔が形成されており他方には長孔に係合する突起が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載された発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の液体吐出装置を備え、記録媒体に液体を吐出して画像を形成することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ヘッドユニットと維持・回復ユニットの何れか一方にガイド部を設けて且つ他方にガイド部に係合する被ガイド部を設けただけの簡易な構成で、複数の液体吐出ヘッドと対応するキャップとの主走査方向の位置合わせを同時に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面の図1〜図8を参照して、本発明の実施の形態を説明する。本実施の形態に係るインク吐出装置(液体吐出装置)1は、図8に示すように、画像形成装置3に搭載されている。画像形成装置3は、インク吐出方式により画像を形成するプリンターであり、記録媒体(用紙)にインクを吐出して画像を記録するインク吐出装置1と、記録媒体をセットする給紙トレイ7と、給紙トレイ7から記録媒体を送り出す給紙ローラ12аと、記録媒体を記録領域14に搬送する搬送ローラ12bと、記録領域14において記録媒体を搬送する搬送ベルト12cと、記録領域14で画像を記録された記録媒体を排出する排紙トレイ9とを備えている。
【0013】
液体吐出装置1は、図8に示すように、複数のインク吐出ヘッド5(図1(a)参照)を有するヘッドユニット11と、インク吐出ヘッド5の維持・回復動作を行う維持・回復ユニット13と、ヘッドユニット11を主走査方向に直交する方向に移動させる駆動部21(図6参照)と、駆動部21を制御する駆動制御部22(図6参照)と、インク吐出ヘッド5に供給するインクを貯留するインクタンク31と、インクタンク31からインク吐出ヘッド5にインクを供給するインクチューブ15とを備えている。
【0014】
ヘッドユニット11は、図1(a)に示すように、記録媒体の幅分のインク吐出ヘッド5を用いたライン型のヘッドユニットである。ライン型のヘッドユニットは、記録媒体を間欠駆動無しに搬送、印字可能であり、印字の高速化が図れる。
【0015】
ヘッドユニット11には、図1(a)に示すように、液滴を吐出するノズルを主走査方向に配列したインク吐出ヘッド5が千鳥状に配置されており、ヘッドユニット11の長手方向の両端側(ヘッドユニットの移動方向に直交する方向の両側)には、図1(a)、(b)に示すように、下側に突出した円柱状のピン(被ガイド部)19а、19bが設けられている。
【0016】
インク吐出ヘッド5は、図8に示すように、インクタンク31に、インクチューブ15により接続されており、インクタンク31からインクの供給を受けている。また、インク吐出ヘッド11は電源ボックス17にフレキシブルケーブル(インクヘッド制御ケーブル)16により接続されており、電源ボックス17からインク吐出ヘッド11や搬送ベルト12c等の駆動モータに駆動電源及び駆動制御信号を送信してこれらの駆動を制御している。
【0017】
維持・回復ユニット13は、複数のインク吐出ヘッド5を同時にキャッピングするキャッピング部14と、キャッピング部14を支持する支持部16とを備えている。キャッピング部14の下面には主走査方向に沿った長孔25が4つ形成されており、支持部16の上面には各長孔25に入り込んだ突起27が形成されている。即ち、キャッピング部14は、支持部16上を主走査方向に沿ってスライドして、長孔25の長さの分だけ移動するようになっている。尚、各突起27の径は、各長孔25の幅と同程度である。
【0018】
キャッピング部14には、図1(a)に示すように、各インク吐出ヘッド5をキャッピングするキャップ35が千鳥状に配列されており、キャッピング部14の長手方向の両端側(ヘッドユニットの移動方向に直交する方向の両側)には、ヘッドユニット11の移動方向に沿った案内溝(ガイド部)33а、33bが形成されている。
【0019】
案内溝33а、33bの開口部は上側に向いており、案内溝33а、33bの一端部は図3に示すように、キャッピング部14の一側面37а側が広がったハ字状(テーパ形状)となっている。
【0020】
案内溝33а、33bの一端は、図3に示すように、ハ字の最大幅部39であり、開放されている。各案内溝33а、33bの最大幅部39の幅T(図3参照)は、各長孔25の長さと同程度である。
【0021】
案内溝33а、33bは、図1(a)に示すように、ハ字の最小幅部41から同じ幅(テーパーの最小径)G(図3参照)でキャッピング部14の他側面37bまでヘッドユニット11の移動方向(主走査方向に直交する方向)に沿って連続している。ピン19а、19bの径Pは、図3に示すように、最小幅部41の幅Gよりも僅かに小さい(テーパーの最小径以下)である。即ち、ヘッドユニット11が維持・回復ユニット13側に移動して、ピン19а、19bが最小幅部41よりも内側に入り込むと、インク吐出ヘッド5とキャップ35との主走査方向の位置合わせがなされるようになっている。
【0022】
案内溝33а、33bにピン19а、19bが入り込んだときのピン19а、19bの先端から案内溝33а、33bの底壁までの距離は、正対するインク吐出ヘッド5の先端とキャップ35の先端との距離よりも長い。即ち、ピン19а、19bの長さ及び案内溝33а、33bの深さは、維持・回復ユニット13が上昇してインク吐出ヘッド5をキャッピングすることを妨げない長さ及び深さとなっている。
【0023】
キャップ35は、インク吐出ヘッド5の維持・回復動作のときに、インク吐出ヘッド5をキャッピングするものである。インク吐出ヘッド5は、キャッピング中に、不使用ノズルの乾燥防止手段としての予備吐出を行い、また、所定の印字数量を実施後にポンプにより吸引が行われる。各キャップ35は、ヘッドユニット11と維持・回復ユニット13の位置合わせが成されると、各インク吐出ヘッド5に正対するように、維持・回復ユニット13に配置されている。
【0024】
駆動部21は、モータの駆動力で、ヘッドユニット11を印字位置(記録位置)Rとインク吐出ヘッド5の維持・回復動作を行うメンテナンス位置M(図4参照)との間を移動させるものである。尚、画像形成装置3には、図6に示すように、ヘッドユニット11の移動速度Vを計測する速度検知器43と、ヘッドユニット11を検知する第1センサ45及び第2センサ47が設けられている。第1センサ45はヘッドユニット11の移動距離がL1(図5参照)になったとき(ヘッドユニット11が印字位置Rから速度制限位置Kに移動したとき(図2参照))に検知し、第2センサ47はヘッドユニット11の移動距離がL2(図5参照)になったときに検知するように配置されている。
【0025】
駆動制御部22は、図6に示すように、駆動部21のモータの回転速度を制御することによりヘッドユニット11の移動速度Vを制御するものであり、速度検知器43が計測した速度と通常速度V1及び衝撃緩和速度V2とを比較する比較部49と、第1センサ45及び第2センサ47からの検知信号を受信する受信部51とを備えている。尚、図5に示すように、本実施の形態では、衝撃緩和速度V2は通常速度V1の60%程度である。
【0026】
次に、本実施の形態に係る画像形成装置3の動作を説明する。パソコン等からの印刷開始信号を受信すると、給紙トレイ7にセットされた記録媒体が給紙ローラ12аにより送り出され、搬送ローラ12bにより記録領域61に搬送される。記録領域61に搬送された記録媒体は搬送ベルト12cにより搬送されつつインク吐出装置1からインクの吐出を受ける。インクの吐出を受けた記録媒体は、開口部23を通過して、排紙トレイ9に排出される。
【0027】
インク吐出装置1は、印字の合間に、インク吐出ヘッド5の維持・回復動作を行う。記録動作を行ってから維持・回復動作に移行するまでの一連の流れについて、図5のグラフ及び図7のフローチャートを用いて説明する。
【0028】
先ず、駆動部21のモータを駆動して、ヘッドユニット11の維持・回復ユニット13側への移動を開始する(S1)。ヘッドユニット11の速度が通常速度V1になったら、速度を一定にする(S2)。ヘッドユニット11の移動距離がL1になったら(S4)、ヘッドユニット11の速度を下げる(S5)。速度が衝撃緩和速度V2になったら(S6)、速度を一定にする(S7)。
【0029】
ヘッドユニット11は、衝撃緩和速度V2のまま、維持・回復ユニット13に対向する位置に移動する。このとき、図3に示すように、各ピン19а、19bが各案内溝33а、33bの一方の側壁53аに衝突した場合には、各ピン19а、19bは側壁53аと当接しつつ図3のX方向(主走査方向に直交する方向)に進んで、最小幅部41に到達する。一方、キャッピング部14は、各ピン19а、19bに押圧されて、図3のY方向(主走査方向に沿った方向)に移動する。このようにして、ヘッドユニット11とキャッピング部14との主走査方向の位置合わせがなされる。
【0030】
ピン19а、19bが他方の側壁53bに衝突した場合には、各ピン19а、19bは側壁53bと当接しつつ図3のX方向(主走査方向に直交する方向)に進んで、最小幅部41に到達する。一方、キャッピング部14は、各ピン19а、19bに押圧されて、図3のY方向と反対方向に移動する。尚、一方及び他方の側壁53а、53bは、図3に示すように、ハ字を成している。
【0031】
ヘッドユニット11の移動距離がL2になったら(S8)、速度を下げて(S9)、速度が0になったら(S10)、ヘッドユニット11はメンテナンス位置M(図4参照)に停止する(フロー終了)。
【0032】
このとき、各インク吐出ヘッド5と各キャップ35が正対しているので、維持・回復ユニット13を上昇させて、各インク吐出ヘッド5を確実にキャッピングすることができる。
【0033】
尚、ヘッドユニット11は、メンテナンス位置Mで維持・回復動作を行った後、通常速度V1で印字位置Rに移動して、印字を再開する。
【0034】
次に、本実施の形態に係るインク吐出装置1の作用効果を説明する。
【0035】
本実施の形態に係るインク吐出装置1によれば、ヘッドユニット11と維持・回復ユニット13の何れか一方に案内溝(ガイド部)33а、33bを形成し且つ他方に案内溝33а、33bに入り込む(係合する)ピン(被ガイド部)19а、19bを設けただけの簡易な構成で、複数の液体吐出ヘッド11と対応するキャップ35との主走査方向の位置合わせを同時に行うことができる。
【0036】
案内溝33а、33bとピン19а、19bとが係合を開始する前に、ヘッドユニット11の移動速度Vを通常速度V1よりも低い衝撃緩和速度V2に設定するので、ピン19а、19bと案内溝33а、33bの側壁53а、53bとが衝突(係合を開始)するときの衝撃を緩和することができる。
【0037】
維持・回復ユニット13のキャッピング部14が長孔(ガイド)25の長さ方向に(主走査方向に沿って)移動自在なので、キャッピング部14をヘッドユニット11に追従させることができる。従って、複数の液体吐出ヘッド11と対応するキャップ35との主走査方向の位置合わせを、簡易な構成で、スムーズ且つ確実に行うことができる。
【0038】
ピン19а、19bの横断面が円弧状なので、案内溝33а、33bの側壁53а、53bとの係合をスムーズに開始することができる。
【0039】
上述の効果を奏する液体吐出装置1を備え、記録媒体に画像を記録する画像形成装置3を提供できる。
【0040】
本発明は、上述した実施の形態に限定されること無く、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。
【0041】
上述の実施の形態では、インク吐出装置1を画像形成装置3に搭載しているが、これに代えて、液晶吐出装置を画像形成装置に搭載しても良く、上述した効果と同様な効果が得られる。
【0042】
上述の実施の形態では、インク吐出装置1をプリンターに搭載しているが、これに限らず、インク吐出装置1を複写機等に設けても良い。
【0043】
上述の実施の形態では、ヘッドユニット11にピン19а、19bを設けて且つ維持・回復ユニット13に案内溝33а、33bを形成しているが、これに代えて、ヘッドユニットに案内溝33а、33bを形成して且つ維持・回復ユニットにピン19а、19bを設けても良い。
【0044】
上述の実施の形態では、キャッピング部14に長孔25を形成して且つ支持部16に突起27を形成して突起27が長孔25に入り込むようにしているが、これに代えて、キャッピング部14に突起27を形成して且つ支持部16に長孔25を形成して突起27が長孔25に入り込むようにしても良い。
【0045】
上述の実施の形態では、ヘッドユニット11にピンを2つ設けて且つ維持・回復ユニット13に案内溝を2つ形成しているが、これに限らず、例えば、ヘッドユニット11に1つのピン19аを設けて且つ維持・回復ユニット13に1つの案内溝33аを設けても良い。この場合、図9に示すようにピン19аをヘッドユニット11の移動方向に沿って長い形状とするか、又は、ピン19аをヘッドユニット11の移動方向に沿って複数並べて設けると良い。
【0046】
上述の実施の形態では、維持・回復ユニット13に案内溝33а、33bを形成しているが、これに代えて、維持・回復ユニット13に2つの直線状のレールを案内溝33а、33bの幅Gだけ離間した位置に設けて、ピンがレール同士の間を移動するようにしても良い。
【0047】
上述の実施の形態では、案内溝33а、33bの一端部をハ字状とし、ピン19а、19bの横断面を円弧状としているが、これに代えて、図10に示すように、案内溝33а、33bの幅を均一にして且つピン19а、19bの側部55の横断面を維持・回復ユニット13側に突出した三角形状としても良い。
【0048】
上述の実施の形態では、維持・回復ユニット13に案内溝(ガイド部)33а、33bを形成しているが、これに代えて、図11(a)及び(b)に示すように、維持・回復ユニット13に上側に突出するレール(ガイド部)57а、57bを主走査方向に沿った両端側に1つずつ設けても良い。尚、図11(a)及び(b)では、各レール57а、57bの一端部は印字位置R側程狭くなるテーパー形状となっている。
【0049】
上述の実施の形態では、維持・回復ユニット13に長孔25を設けているが、これに代えて、維持・回復ユニット13に2つの直線状のレールを長孔25の幅だけ離間した位置に設けて、支持部16の突起27がレール同士の間に入り込むようにしても良い。
【0050】
上述の実施の形態では、衝撃緩和速度V2を通常速度V1の60%程度としているが、これに限らず、例えば、衝撃緩和速度V2を通常速度V1の40%程度としてもよい。
【0051】
上述の実施の形態では、案内溝33а、33bとピン19а、19bとが係合を開始する前に、ヘッドユニット11の移動速度Vを通常速度V1よりも低い衝撃緩和速度V2に設定しているが、これに加えて、ヘッドユニット11がメンテナンス位置Mから印字位置Rに向けて移動して案内溝33а、33bとピン19а、19bとの係合が解除される前に、ヘッドユニット11の移動速度Vを通常速度V1よりも低い衝撃緩和速度V2に設定しても良い。例えば、ピン19а、19bと案内溝33а、33bとの間に、ヘッドユニット11の移動方向に直交する方向の偏在した力が作用して、ピン19а、19bが案内溝33а、33bのハ字状の側壁53а、53bに衝突しても、この衝撃を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】(а)は本実施の形態に係るインク吐出装置のヘッドユニットと維持・回復ユニットの平面図である。(b)は本実施の形態に係るインク吐出装置のヘッドユニットと維持・回復ユニットの側面図であり、ヘッドユニットが印字位置にある状態を示している。
【図2】(a)は本実施の形態に係るインク吐出装置のヘッドユニットと維持・回復ユニットの平面図であり、ヘッドユニットが速度制限位置に移動した状態を示している。図2(b)は本実施の形態に係るインク吐出装置のヘッドユニットと維持・回復ユニットの側面図であり、ヘッドユニットが速度制限位置に移動した状態を示している。
【図3】本実施の形態に係るヘッドユニットのピンと維持・回復ユニットの案内溝の一部とを抜き出した横断面図であり、ピンが案内溝の側壁と当接した状態を示している。
【図4】(a)は本実施の形態に係るインク吐出装置のヘッドユニットと維持・回復ユニットの平面図であり、ヘッドユニットが維持・回復ユニットに正対するメンテナンス位置に移動した状態を示している。(b)は本実施の形態に係るインク吐出装置のヘッドユニットと維持・回復ユニットの側面図であり、ヘッドユニットが維持・回復ユニットに正対するメンテナンス位置に移動した状態を示している。
【図5】本実施の形態に係るヘッドユニットの移動距離とヘッドユニットの速度との関係を示したグラフである。
【図6】本実施の形態に係るヘッドユニットの駆動制御の構成を示すブロック図である。
【図7】本実施の形態に係るヘッドユニットの駆動制御の流れ示すフローチャートである
【図8】本実施の形態に係る画像形成装置の概略的構成を示す縦断面図である。
【図9】本実施の形態の変形例に係るヘッドユニットの突起と維持・回復ユニットの案内溝の一部とを抜き出した横断面図であり、ピンが案内溝の側壁と当接した状態を示している。
【図10】本実施の形態の変形例に係るヘッドユニットのピンと維持・回復ユニットの案内溝の一部とを抜き出した横断面図であり、ピンと案内溝が係合する状態を示している。
【図11】(а)及び(b)は本実施の形態の変形例に係るヘッドユニットと維持・回復ユニットの平面図であり、ピンとレールが係合する状態を示している。
【図12】従来例に係る液体吐出装置の液体吐出ヘッドとキャップとキャップガイドとを抜き出して示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0053】
1 インク吐出装置(液体吐出装置)
3 画像形成装置
5 インク吐出ヘッド(液体吐出ヘッド)
13 維持・回復ユニット
14 キャッピング部
16 支持部
19а、19b ピン(被ガイド部)
21 駆動部
22 駆動制御部
25 長孔
27 突起
33а、33b 案内溝(ガイド部)
39 案内溝の最大幅部(ガイド部の一端)
57а、57b レール(ガイド部)
V1 通常速度
V2 衝撃緩和速度
R 印字位置(記録位置)
M メンテナンス位置(維持・回復ユニットに対向する位置)
P ピンの径(被ガイド部の径)
G 最小幅部の幅(テーパーの最小径)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出ヘッドを有するヘッドユニットと、液体吐出ヘッドの維持・回復ユニットと、ヘッドユニットを記録位置と維持・回復ユニットに対向する位置との間で移動させる駆動部と、ヘッドユニットの駆動を制御する駆動制御部とを備え、液体吐出ヘッドは記録媒体に液体を吐出して画像を記録するものであり、ヘッドユニットと維持・回復ユニットの何れか一方にはヘッドユニットの移動方向に沿ったガイド部が設けられており他方にはガイド部と係合する被ガイド部が設けられており、ヘッドユニットが維持・回復ユニットに向けて移動したときに、被ガイド部はガイド部と係合してヘッドユニットと維持・回復ユニットとにおけるヘッドユニットの移動方向に直交する方向の位置合わせをするものであり、駆動制御部は、ガイド部と被ガイド部とが係合を開始する前にヘッドユニットの移動速度を低くすることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
ガイド部は維持・回復ユニットに形成された溝であり、ガイド部の記録位置側の端部は記録位置側程広がるテーパー形状となっており、被ガイド部の径はテーパーの最小径以下であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
ガイド部はヘッドユニットの移動方向に直交する方向の両側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
維持・回復ユニットは、液体吐出ヘッドをキャッピングするキャッピング部と、キャッピング部を支持する支持部とを備え、キャッピング部と支持部の何れか一方にはヘッドユニットの移動方向に直交する方向に長孔が形成されており他方には長孔に係合する突起が形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の液体吐出装置を備え、記録媒体に液体を吐出して画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
液体吐出ヘッドを有するヘッドユニットと、液体吐出ヘッドの維持・回復ユニットと、ヘッドユニットを記録位置と維持・回復ユニットに対向する位置との間で移動させる駆動部と、ヘッドユニットの駆動を制御する駆動制御部とを備え、液体吐出ヘッドは記録媒体に液体を吐出して画像を記録するものであり、ヘッドユニットと維持・回復ユニットの何れか一方にはヘッドユニットの移動方向に沿ったガイド部が設けられており他方にはガイド部と係合する被ガイド部が設けられており、ヘッドユニットが維持・回復ユニットに向けて移動したときに、被ガイド部はガイド部と係合してヘッドユニットと維持・回復ユニットとにおけるヘッドユニットの移動方向に直交する方向の位置合わせをするものであり、駆動制御部は、ガイド部と被ガイド部とが係合を開始する前にヘッドユニットの移動速度を低くすることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
ガイド部は維持・回復ユニットに形成された溝であり、ガイド部の記録位置側の端部は記録位置側程広がるテーパー形状となっており、被ガイド部の径はテーパーの最小径以下であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
ガイド部はヘッドユニットの移動方向に直交する方向の両側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
維持・回復ユニットは、液体吐出ヘッドをキャッピングするキャッピング部と、キャッピング部を支持する支持部とを備え、キャッピング部と支持部の何れか一方にはヘッドユニットの移動方向に直交する方向に長孔が形成されており他方には長孔に係合する突起が形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の液体吐出装置を備え、記録媒体に液体を吐出して画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−166315(P2009−166315A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−5650(P2008−5650)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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