説明

液体吐出装置

【課題】圧力印加機構のコストを低下させつつ液体吐出ヘッドの大型化を抑制する。
【解決手段】インクジェットプリンタ1は、リザーバユニット70を有するインクジェットヘッド2と、リザーバユニット70にインクを強制的に送る加圧ポンプ6と、ヒータ76と、インクジェットヘッド2の周囲温度を検出する温度センサ75と、制御部100とを含んでいる。制御部100は、周囲温度が第1所定温度未満のときに、リザーバ流路72a内のインクが加熱されるようにヒータ76を制御する加熱制御部と、周囲温度が第1所定温度未満のときに、吐出口から所定量のインクが吐出されるまで複数回に分けて断続的に加圧ポンプ6が駆動されるように加圧ポンプ6を制御するパージ制御部とを有している。そして、パージ制御部は、1回の駆動によって吐出されるインク量が、ヒータ76によって加熱されるインク量以下となるように加圧ポンプ6を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インクジェットヘッドのインク流路内のインクにポンプによって圧力を付与し、ノズルからインクをパージさせてノズル内のインクの増粘などを解消するインクジェット記録装置について記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−268852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のインクジェット記録装置においては、インクジェットヘッドの周囲温度に応じたパージ制御について何ら記載されていない。仮に、周囲温度が所定温度(例えば、30℃であってヘッド内のインク粘度が所望粘度となる温度)よりも低いときに、当該周囲温度が所定温度以上のときと同様にインク流路内のインクに同じ圧力を付与してノズルからインクをパージさせようとしても、インクは周囲温度が低くなるに連れてその温度が低くなり且つインク粘度が増大しているので、インクに対する流路抵抗が大きくノズルから所定量のインクがパージできない、すわなち、パージ不良が生じる。これに対して、周囲温度が所定温度よりも低いときにパージさせることが可能なように、インクに大きな圧力を付与することが可能な高圧ポンプを設けることは可能であるが、コストが高くなることと、この高圧ポンプによる圧力に耐えうるインクジェットヘッドにするために、インクジェットヘッドが大型化し装置自体も大型化する。また、インク流路を流れるインクに対する流路抵抗を小さくするために、インク流路のインク流れ方向に直交する方向の断面を大きくしても、インクジェットヘッドが大型化する。
【0005】
一方、インクジェットヘッドにヒータを設けて、インク流路内のインクを加熱することによってインクに対する流路抵抗を低下させることは可能であるが、パージによるインク吐出によってインクジェットヘッドの外部からインク温度の低い、すなわち、インク粘度の高いインクがインク流路内に流入するので、そのインク粘度の高いインクに対する非常に大きな流路抵抗によって、パージ不良が生じてしまう。
【0006】
そこで、本発明の目的は、圧力印加機構のコストを低下させつつ液体吐出ヘッドの大型化を抑制することが可能な液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液体吐出装置は、液体を吐出する複数の吐出口を有し、前記複数の吐出口に連通する液体流路が内部に形成された液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッド内の液体に外部から圧力を加える圧力印加機構と、前記液体吐出ヘッドの周囲温度を検出する温度センサと、前記液体吐出ヘッドに設けられ、前記液体流路内の液体の少なくとも一部を加熱するヒータと、前記温度センサによって検出された前記周囲温度が第1所定温度未満のときに、前記液体流路内の液体が加熱されるように前記ヒータを制御する加熱制御手段と、前記温度センサによって検出された前記周囲温度が前記第1所定温度以上のときには、前記複数の吐出口から所定量の液体が吐出されるまで連続的に前記圧力印加機構が駆動され、前記温度センサによって検出された前記周囲温度が前記第1所定温度未満のときには、前記複数の吐出口から前記所定量の液体が吐出されるまで複数回に分けて断続的に前記圧力印加機構が駆動されるように、前記圧力印加機構を制御する排出制御手段とを備えている。そして、前記排出制御手段は、前記周囲温度が前記第1所定温度未満のときに前記圧力印加機構の1回の駆動によって前記複数の吐出口から吐出される液体量が、前記液体流路内において前記ヒータによって加熱される液体量以下となるように前記圧力印加機構を制御する。
【0008】
これによると、液体吐出ヘッドの周囲温度が第1所定温度未満のときに、複数の吐出口から所定量の液体が吐出されるまで、ヒータによって加熱された液体量以下の液体が複数回吐出される。このとき、液体流路を流れる液体が加熱された低粘度の液体となるため、液体に対する流路抵抗の上昇を抑制することができる。そのため、複数の吐出口からの液体吐出時において、外部から液体に加える圧力を小さくすることができ、圧力印加機構のコストを低下させつつ液体吐出ヘッドの大型化を抑制することが可能となる。加えて、複数の吐出口からの液体吐出時において、液体に対する流路抵抗の上昇が抑制されることによって、液体流路を流れる流速も低下しにくくなる。そのため、液体流路内の気泡を効果的に排出することが可能となる。
【0009】
本発明において、前記温度センサによって検出された前記周囲温度から前記ヒータによって加熱される前における前記液体流路内の液体温度を推定する推定手段をさらに含んでいる。そして、前記加熱制御手段は、前記液体流路内の少なくとも一部の液体の前記液体温度が前記推定手段によって推定された温度から前記第1所定温度以下の第2所定温度に加熱されるように前記ヒータを制御することが好ましい。これにより、液体を必要以上に加熱する必要がなくなり、加熱コストを抑えつつ液体を効果的に加熱することができる。
【0010】
また、このとき、前記排出制御手段は、前記周囲温度が前記第1所定温度未満のときに前記圧力印加機構を駆動する駆動間隔が、前記1回の駆動によって前記複数の吐出口から液体が吐出されることによって前記液体流路内に流入した液体を前記第2所定温度にまで加熱するのに要する時間と同じになるように、前記圧力印加機構を制御していてもよい。これにより、印加機構を駆動する駆動間隔が液体を第2所定温度にまで加熱するのに要する時間となり、駆動間隔が必要以上に長くならない。
【0011】
また、本発明において、前記排出制御手段は、前記周囲温度が前記第1所定温度未満のときに前記圧力印加機構を駆動する駆動間隔が、前記周囲温度が高いほど短くなるように、前記圧力印加機構を制御することが好ましい。これにより、周囲温度に応じた駆動間隔となり、液体吐出ヘッドの周囲温度が第1所定温度未満のときに行われる液体を吐出するための合計時間が必要以上に長くならない。
【0012】
また、本発明において、前記液体吐出ヘッドの前記液体流路が、液体供給源からの液体を一時的に貯留するリザーバ流路と、前記リザーバ流路と連通する共通液体流路と、前記共通液体流路の出口から前記吐出口に至り且つ前記リザーバ流路及び前記共通液体流路よりも流路抵抗が大きい部分流路を有する複数の個別液体流路とを有している。そして、前記ヒータが、前記共通液体流路の出口よりも上流に存在する液体を加熱することが好ましい。これにより、周囲温度が第1所定温度未満のときに、加熱された低粘度の液体を個別液体流路に流すことが可能となる。そのため、個別液体流路を流れるときの液体に対する流路抵抗の上昇を抑制することができる。
【0013】
また、このとき、前記リザーバ流路が、前記共通液体流路よりも大きい容積を有しており、前記ヒータが、前記リザーバ流路内の液体を加熱していてもよい。これにより、加熱コストを抑えつつヘッド内の液体を効果的に加熱することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の液体吐出装置によると、液体吐出ヘッドの周囲温度が第1所定温度未満のときに、複数の吐出口から所定量の液体が吐出されるまで、ヒータによって加熱された液体量以下の液体が複数回吐出される。このとき、液体流路を流れる液体が加熱された低粘度の液体となるため、液体に対する流路抵抗の上昇を抑制することができる。そのため、複数の吐出口からの液体吐出時において、外部から液体に加える圧力を小さくすることができ、圧力印加機構のコストを低下させつつ液体吐出ヘッドの大型化を抑制することが可能となる。加えて、複数の吐出口からの液体吐出時において、液体に対する流路抵抗の上昇が抑制されることによって、液体流路を流れる流速も低下しにくくなる。そのため、液体流路内の気泡を効果的に排出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態によるインクジェットプリンタの概略的な構成を示す斜視図である。図1に示すように、インクジェットプリンタ1(以下、単に「プリンタ1」と称する)は、4つのインクジェットヘッド2を有するカラーインクジェットプリンタである。プリンタ1には、用紙Pを搬送する搬送機構60が設けられている。さらにプリンタ1は、プリンタ1の動作を制御する制御部100を有している。
【0017】
搬送機構60は、一対のベルトローラ61a,61bと、一対のベルトローラ61a,61bに巻き掛けられた無端状の搬送ベルト62とを有している。ベルトローラ61a,61bはいずれも主走査方向に長尺であり、副走査方向に沿って水平に離隔して配置されている。一方のベルトローラ61aは、制御部100の制御により搬送モータ58(図7参照)が駆動されることによって、図1中矢印A方向に回転する。このベルトローラ61aの回転に伴って搬送ベルト62も同方向に走行する。そして、搬送ベルト62の外周面において上方を向いた部分が、用紙Pを搬送方向Bに搬送する搬送面として機能する。なお、他方のベルトローラ61bは、従動ローラであって搬送ベルト62の走行に伴って回転する。
【0018】
本明細書において、副走査方向とは搬送機構60による用紙Pの搬送方向B(図1中手前から奥に向かう方向)と平行な方向であり、主走査方向とは副走査方向に直交する方向であって水平面に沿った方向(図1中左右方向)である。
【0019】
また、搬送機構60は、主走査方向に同軸状に連なる複数のニップローラ63を有している。これらニップローラ63は、ニップローラ63の軸部材63aが図示しない付勢機構によって下方に付勢されることによって、搬送ベルト62の搬送面に押し付けられている。なお、ニップローラ63も従動ローラであって搬送ベルト62が走行することによって回転する。
【0020】
用紙Pは、搬送機構60によって以下のように搬送される。用紙Pの一端がニップローラ63と搬送ベルト62との間に達すると、用紙Pはニップローラ63と搬送ベルト62とに挟まれつつ、搬送ベルト62の走行に伴って搬送方向Bに搬送される。そして、用紙Pは搬送ベルト62の搬送面上に保持されつつ搬送方向Bに搬送され、4つのインクジェットヘッド2の吐出面2aと対向する位置に搬送される。
【0021】
4つのインクジェットヘッド2は、4色のインク(マゼンタ、イエロー、シアン、ブラック)に対応しており、図1に示すように、主走査方向に長尺な略直方体形状を有している。また、4つのインクジェットヘッド2は、副走査方向に沿って所定の間隔で配列され、図示しない枠状フレームに固定されている。すなわち、このプリンタ1はライン式のプリンタである。
【0022】
4つのインクジェットヘッド1は、その下端にヘッド本体3をそれぞれ有している。ヘッド本体3は、主走査方向に長尺な略直方体形状となっている。また、ヘッド本体3の底面は、インクを吐出する複数の吐出口8が形成された吐出面2aとなっている。搬送される用紙Pが4つのヘッド本体3のすぐ下方を通過する際に、この用紙Pの上面すなわち印刷面に向けて吐出面2aから各色のインクが順に吐出されることで、用紙Pの印刷面に所望のカラー画像が形成される。
【0023】
次に、図2を参照しつつインクジェットヘッド2について詳細に説明する。図2は、図1に示すインクジェットヘッドの断面図である。図2に示すように、インクジェットヘッド2は、その下端に、流路ユニット4と4つのアクチュエータユニット21とが接着剤を介して接合されたヘッド本体3を有している。ヘッド本体3の上面には、ヘッド本体3にインクを供給するリザーバユニット70が固定されている。
【0024】
アクチュエータユニット21の上面には、COF(Chip On Film)50の一端付近が固定されている。COF50は、ドライバIC(図示せず)が実装されたフレキシブル基板であり、その他端は制御基板(図示せず)と電気的に接続されている。制御基板は、ドライバICを介してアクチュエータユニット21の駆動を制御する。ドライバICは、アクチュエータユニット21を駆動する駆動信号を生成する。
【0025】
リザーバユニット70は、矩形平面形状の3枚の金属プレート71〜73が積層されたものであり、その内部に、インク流入流路71a、リザーバ流路72a、及び、10個のインク流出流路73aが互いに連通するように形成されている。なお、図2においては、1つのインク流出流路73aのみが表れている。インク流入流路71aには、図示しないインクタンクに繋がった可撓性を有するチューブ5が接続されており、チューブ5を介してインクタンク内のインクがインク流入流路71aに流入する。チューブ5の途中部位には、加圧ポンプ6が配置されている。この加圧ポンプ6は、制御部100により駆動されることによって、インクジェットヘッド2内のインクに圧力を加えるようにインクタンクのインクをインクジェットヘッド2に向けて強制的に送る。
【0026】
リザーバ流路72aは、インク流入流路71a及びインク流出流路73aと連通しており、インクを一時的に貯溜する。リザーバ流路72aは、主走査方向に沿って長尺に延在しており(図1参照)、ヘッド2内に形成された流路のうち、最も大きい容積を有している。また、インク流入流路71aからインク流出流路73aに至る流路は、インクジェットヘッド2内の流路を構成する部分流路として、最も流路抵抗が低く形成されている。
【0027】
プレート73の下面は、COF50との間に間隙が形成されるように、凹凸面となっている。プレート73は下面の凸部によって流路ユニット4に固定され、リザーバ流路72aは凸部内に形成されたインク流出流路73aによって流路ユニット4のインク供給口5b(後述)と連通している。これによって、インクタンクからのインクは、インク流入流路71a、リザーバ流路72a及びインク流出流路73aを順に通過し、インク供給口5bから流路ユニット4に供給される。
【0028】
リザーバユニット70の上面には、温度センサ75と、ヒータ76とが設けられている。温度センサ75は、リザーバユニット70のチューブ5が接続された部分とヒータ76との間に配置されており、インクジェットヘッド2の周囲温度を検出し制御部100にその検出信号を送信する。ヒータ76は、主走査方向に沿って長尺に延在しており、且つ、リザーバ流路72aの副走査方向の幅とほぼ同じ幅を有している。また、ヒータ76は、制御部100の制御により通電されることで発熱し、プレート71を加熱してリザーバ流路72a内のインク全体を加熱する。
【0029】
次に、図3〜図6を参照しつつ、ヘッド本体3について説明する。図3は、ヘッド本体3の平面図である。図4は、図3の一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。なお、図4では、実線で描くべきアクチュエータユニット21を破線で、アクチュエータユニット21の下方にあって破線で描くべき圧力室10、アパーチャ12及び吐出口8を実線で描いている。図5は、図4に示すV−V線に沿った断面図である。図6(a)はアクチュエータユニット21の拡大断面図であり、図6(b)は、図6(a)においてアクチュエータユニット21の表面に配置された個別電極を示す平面図である。
【0030】
流路ユニット4は、リザーバユニット70のプレート73とほぼ同じ平面形状を有する直方体形状となっている。流路ユニット4の上面4aには、リザーバユニット70のインク流出流路73a(図2参照)に対応して、計10個のインク供給口5bが設けられている。さらに、多数の圧力室10が、マトリクス状に配列されている。流路ユニット4の内部には、インク供給口5bに連通するマニホールド流路5及びマニホールド流路5から分岐した副マニホールド流路5aが形成されている。さらに、圧力室10をそれぞれ含む多数のインク流路が形成されている。なお、圧力室10は流路ユニット4の上面に開口し、アクチュエータユニット21によって閉塞されている。流路ユニット4の下面である吐出面2aには、図4及び図5に示すように、インクを吐出する吐出口8が、圧力室10と同様に、マトリクス状に配置されている。
【0031】
本実施形態では、等間隔に配置された複数の圧力室10からなる流路ユニット4の長手方向に延びた圧力室10の列が、1つのアクチュエータユニット21の対向領域内に16列形成されている。各圧力室列に含まれる圧力室10の数は、アクチュエータユニット21の長辺(下底)に近いものほど多く、短辺(上底)に近いものほど少ない。吐出口8についても同様である。
【0032】
図5に示すように、流路ユニット4は、上から順に、キャビティプレート22、ベースプレート23、アパーチャプレート24、サプライプレート25、3枚のマニホールドプレート26、27、28、カバープレート29、及び、ノズルプレート30、という9枚のステンレス鋼等の金属プレートから構成されている。これらプレート22〜30は、主走査方向に長尺な矩形平面形状を有する。これらプレート22〜30を互いに位置合わせしつつ積層することによって、流路ユニット4内に、マニホールド流路5、副マニホールド流路5a、及び、副マニホールド流路5aの出口から圧力室10を経て吐出口8に至る多数の個別インク流路32が形成される。
【0033】
流路ユニット4におけるインクの流れについて説明する。リザーバユニット70からインク供給口5bを介して流路ユニット4内に供給されたインクは、マニホールド流路5から副マニホールド流路5aに流れ込む。副マニホールド流路5a内のインクは、各個別インク流路32に分流され、絞りとして機能するアパーチャ12及び圧力室10を通って吐出口8に至る。なお、個別インク流路32の一部を構成するアパーチャ12は、吐出口8を構成するノズルを除くインクジェットヘッド2内の流路のうち最も流路抵抗が大きい部分流路となっている。
【0034】
次に、アクチュエータユニット21について説明する。図3に示すように、各アクチュエータユニット21は台形の平面形状を有している。4つのアクチュエータユニット21は、インク供給口5bを避けるよう主走査方向に千鳥状に配置されている。各アクチュエータユニット21の平行対向辺は流路ユニット4の長手方向に沿っている。隣接するアクチュエータユニット21の斜辺同士は、主走査方向に関して互いにオーバーラップしている。
【0035】
図6(a)に示すように、アクチュエータユニット21は、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料からなる3枚の圧電層41〜43が積層された圧電体を含んでいる。最上層である圧電層41の上面であって圧力室10に対向する領域には、個別電極35が形成されている。圧電層41とその下側の圧電層42との間には、シート全面に形成された共通電極34が介在している。
【0036】
個別電極35は、図6(b)に示すように、圧力室10と相似な略菱形の平面形状を有する。平面視で、個別電極35の大部分は、圧力室10の領域内にある。個別電極35における鋭角部の一方は圧力室10の外に延出され、その先端には円形のランド36が設けられている。
【0037】
共通電極34及び個別電極35は、それぞれ、COF50に設けられた配線を介してドライバICと接続されている。共通電極34には、グランド電位に保持された信号がドライバICから供給される。個別電極35には、印字すべき画像パターンに応じてグランド電位と正電位とを交互に取る駆動信号がドライバICから供給される。
【0038】
圧電層41はその厚み方向に分極されている。個別電極35を共通電極34と異なる電位にして両電極34,35に挟まれた部分(活性部)に対してその分極方向に電界を印加すると、活性部が圧電効果で歪む。例えば、分極方向と電界の印加方向とが同じであれば、活性部は分極方向に直交する方向(平面方向)に縮む。一方、圧電層42、43は自発的に歪むことはない非活性層である。このとき、圧電層41〜43は圧力室10を区画するキャビティプレート22の上面に固定されているので、ユニモルフ変形(活性部に相当する領域が圧力室10に向かって凸になるように変形)が生じる。このようなユニモルフ変形が生じることで、圧力室10内のインクに圧力つまり吐出エネルギーが付与され、吐出口8からインク滴が吐出される。このように、個別電極35と圧力室10との間に挟まれた部分が個別のアクチュエータとして働き、アクチュエータユニット21には、圧力室10の数と同数のアクチュエータが形成されていることになる。
【0039】
図1に戻って、プリンタ1には、4つのインクジェットヘッド2が固定された枠状フレーム(不図示)を上下方向に昇降させるヘッド昇降機構9(図7参照)が設けられている。ヘッド昇降機構9は、インクジェットヘッド2を上下方向(方向C)に移動させて搬送ベルト63の搬送面と吐出面2aとの離隔距離を変化させる。通常、4つのインクジェットヘッド2は、用紙Pに対してインクを吐出し印刷する印刷位置に配置される(図8(a)参照)。このとき、インクジェットヘッド2の吐出面2aと搬送面との間には、僅かな隙間が形成される。一方、インクジェットヘッド2は、パージなどを行うメンテナンス動作を行うときにだけ、ヘッド昇降機構9によって移動され、印刷位置よりも上方に配置される。
【0040】
また、プリンタ1は、移動台64、及び、固定台65を搬送機構60の側方に有している。これらは、いずれも水平な上面を有している。固定台65はプリンタ1に水平に固定された平板状の部材である。移動台64は、固定台65上に、主走査方向について往復移動が可能なように載置されている。移動台64は、移動台64全体が固定台65と対向する退避位置と、各吐出面2aと対向するメンテナンス位置とを往復する。
【0041】
また、移動台64には、副走査方向に長尺な略直方体形状の支持台55が固定されている。支持台55は、移動台64が退避位置にあるときに、移動台64のインクジェットヘッド2に最も近い端部近傍に配置されている。支持台55には、吐出面2aを払拭するためのワイパー56が立設されている。ワイパー56は、樹脂及びゴムなどの弾性材料からなり、副走査方向に並ぶ4つのインクジェットヘッド2全体の幅よりも若干長い形状を有し、その長手方向が搬送方向Bと平行となるように配置されている。
【0042】
また、プリンタ1は、移動台64を移動させる移動台駆動機構66を有している。移動台駆動機構66は従動ローラ67、駆動ローラ68、駆動ベルト69及び駆動ローラ68を駆動する駆動モータ59(図7参照)を有している。従動ローラ67及び駆動ローラ68は、互いに主走査方向に沿って水平に離隔されており、いずれも副走査方向に沿った回転軸の周りに回転が可能なように設置されている。駆動ベルト69は、従動ローラ67及び駆動ローラ68の周囲に巻き掛けられている。移動台64には、主走査方向に関して平行な側面から副走査方向に突出する突出部64aが形成されており、その突出部64aが駆動ベルト69に固定されている。
【0043】
この構成において、制御装置100によって駆動モータ59が駆動され、駆動ローラ68が所定方向に回転すると、駆動ベルト69が走行し、移動台64が退避位置からメンテナンス位置に移動する。一方、制御装置100によって駆動モータ59が駆動され、駆動ローラ68が所定方向とは逆方向に回転すると、移動台64がメンテナンス位置から退避位置に移動する。このとき、ワイパー56の先端が吐出面2aよりも上方の位置に配置されていると、ワイパー56が吐出面2aを払拭しながら退避位置に戻る。
【0044】
次に、制御部100について説明する。制御部100は、例えば汎用のパーソナルコンピュータによって構成されている。かかるコンピュータは、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどのハードウェアが収納されており、ハードディスクには、プリンタ1の全体の動作を制御する為のプログラムを含む各種のソフトウェアが記憶されている。そして、これらのハードウェア及びソフトウェアが組み合わされることによって、後述の各部101〜105(図7参照)が構築されている。
【0045】
図7は、制御部の概略構成を示すブロック図である。図7に示すように、制御部100は、印刷制御部101及びメンテナンス制御部102を含んでいる。なお、制御部100には、温度センサ75が接続されおり、温度センサ75からインクジェットヘッド2の周囲温度が検出信号として制御部100に送信される。
【0046】
印刷制御部101は、用紙Pを搬送方向Bに沿って搬送するように搬送機構60(搬送モータ58)を制御するとともに、吐出口8からこの搬送動作と同期してインク滴を吐出するようにインクジェットヘッド2を制御する。
【0047】
メンテナンス制御部102は、推定部103、加熱制御部104及びパージ制御部105とを含んでいる。推定部103は、ヒータ76による加熱前において、温度センサ75によって検出された周囲温度からリザーバ流路72a内のインク温度を推定する。本実施形態における推定部104は、リザーバ流路72a内のインク温度を、温度センサ75によって検出された周囲温度よりも−5℃だけ低い温度であると推定する。
【0048】
加熱制御部104は、温度センサ75によって検出された周囲温度が第1所定温度(例えば、30℃)未満のときに、推定部103によって推定されたインク温度に応じてヒータ76の加熱制御を行う。このとき、加熱制御部104は、リザーバ流路72a内のインクが第2所定温度となるように加熱制御する。第2所定温度は、第1所定温度以下の温度であって、インク粘度が所望の粘度となる温度である。本実施形態では、第2所定温度は25℃に設定されている。
【0049】
また、加熱制御部104は、検出された周囲温度が低いほどヒータ76を長時間駆動し、逆に周囲温度が高いほどヒータ76を短時間駆動する。これにより、インクを必要以上に加熱する必要がなくなり、ヒータ76を駆動するための消費電力、すなわち加熱コストを抑えつつインクを効果的に加熱することができる。
【0050】
パージ制御部105は、インクジェットヘッド2を印刷位置及び印刷位置よりも上方の位置に移動させるように、ヘッド昇降機構9を制御するとともに、移動台64をメンテナンス位置及び退避位置のいずれかに移動させるように、移動台駆動機構66を制御する。パージ制御部105は、温度センサ75によって検出された周囲温度が第1所定温度以上のときには、複数の吐出口8から所定量(本実施形態においてはリザーバ流路72aの容積の2倍のインク量)のインクが吐出されるまで連続的に加圧ポンプ6を駆動する。
【0051】
また、パージ制御部105は、温度センサ75によって検出された周囲温度が第1所定温度未満のときには、複数の吐出口8から所定量のインクが吐出されるまで、2回に分けて断続的に加圧ポンプ6を駆動する。すなわち、加圧ポンプ6の1回の駆動によって、所定量の半分であってリザーバ流路72aの容積分のインクが複数の吐出口8から吐出される。また、パージ制御部105は、加圧ポンプ6の駆動間隔(先の駆動終了時から次の駆動開始時までの期間)が、先の駆動によって消費されたインクを補うために補充されたインクを第2所定温度にまで加熱するのに要する時間と同じになるように、加圧ポンプ6を制御する。これにより、加圧ポンプ6を駆動する駆動間隔が必要以上に長くならない。さらにパージ制御部105は、上述の駆動間隔が、温度センサ75によって検出された周囲温度が高いほど短くなるように、加圧ポンプ6を制御する。これにより、周囲温度に応じた駆動間隔となり、インクジェットヘッド2の周囲温度が第1所定温度未満のときに行われるインクをパージするための合計時間が必要以上に長くならない。
【0052】
次に、プリンタ1で行われる印刷動作について説明する。印刷命令が入力されると、印刷制御部101の制御により、搬送ベルト8の走行が開始され、給紙カセット(不図示)から用紙Pが搬送ベルト8上に供給されるように、搬送機構60が制御される。
【0053】
そして、用紙Pが吐出面2aと対向する領域を通過するときに、印刷制御部101の制御により、吐出口8からインクが吐出されるようにインクジェットヘッド2が制御される。こうして、用紙Pに画像が形成される。次に、印刷が施された用紙Pが排紙トレイ(不図示)に収納されると、印刷制御部101の制御によって、搬送ベルト63の走行が停止されるように、搬送機構60が制御される。こうして、プリンタ1による用紙Pに対する印刷が終了する。
【0054】
次に、図8及び図9を参照しつつ、プリンタ1で行われるメンテナンス動作について説明する。本実施形態におけるメンテナンス動作とは、吐出口8が吐出不良などに陥ったインクジェットヘッド2を回復させる際に行うパージ動作、及び、パージ動作後の吐出面2aの払拭動作をいう。図8は、パージ動作及び払拭動作を行う際のインクジェットヘッド2及び移動台64の動作状況図である。図9は、パージ動作及び払拭動作を行う際の制御フロー図である。
【0055】
パージ動作を行う際には、図9に示すようにステップ1(S1)において、パージ制御部105の制御により、図8(a)に示す印刷位置に配置されている4つのインクジェットヘッド2を上方に移動させるように、枠状フレームを上昇させる。より詳細には、図8(b)に示すように、吐出面2aがワイパー56と接触しない位置までインクジェットヘッド2を上昇させる。これにより、移動台64上のワイパー56が、吐出面2aの下方を通ってメンテナンス位置に自由に移動可能となる。
【0056】
次に、ステップ2(S2)において、図8(b)に示すように、パージ制御部105の制御により、移動台64をメンテナンス位置に移動させる。その後、吐出口8から移動台64上に所定量のインクを吐出するパージが行われるように、加圧ポンプ6を駆動させる。このとき、ステップ3(S3)において、温度センサ75によって検出された周囲温度が第1所定温度以上ときにはステップ4(S4)に進み、パージ制御部105が所定量のインクが複数の吐出口8から吐出されるまで連続的に加圧ポンプ6を駆動する。
【0057】
一方、ステップ3において、温度センサ75によって検出された周囲温度が第1所定温度未満のときにはステップ5(S5)に進み、推定部103が、温度センサ75による検出温度に基づいて、ヒータ加熱前におけるリザーバ流路72a内のインクの温度を推定する。ここで、推定部103による推定温度は、温度センサ75による検出温度よりも5℃だけ低い。そして、ステップ6(S6)において、加熱制御部104が、リザーバ流路72a内のインクが推定されたインク温度から第2所定温度にまで加熱されるように、ヒータ76を所定時間だけ駆動する。
【0058】
次に、所定時間経過後にステップ7(S7)において、パージ制御部105が、加圧ポンプ6を駆動して、リザーバ流路72aの容積分のインクを複数の吐出口8から吐出させる。その後、一旦加圧ポンプ6を停止する。なお、このインク吐出動作中には、吐出口8から消費されるインクを補うために、新たなインクがリザーバ流路72aに流入してくる。
【0059】
次に、ステップ8(S8)において、加熱制御部104が、リザーバ流路72a内に補充されたインクが推定されたインク温度から第2所定温度にまで加熱されるように、ヒータを所定時間だけ駆動する。そして、リザーバ流路72a内のインクが第2所定温度にまで上昇する時間だけ待機してから、ステップ9(S9)において、パージ制御部105が加圧ポンプ6の駆動を再開する。なお、温度センサ75によって検出された周囲温度が高いほど、リザーバ流路72a内のインクが第2所定温度に近いので、当該インクを加熱する時間が短くなって加圧ポンプ6の駆動間隔が短くなる。
【0060】
こうして、2回の加圧ポンプ6の駆動による合計インク吐出量が所定量となるインクが複数の吐出口8からパージされる。このパージ動作によって、吐出口8近傍の詰まりやインクの増粘が解消される。なお、移動台64上に吐出されたインクは、図示しない廃液タンクに流れ込む。なお、一部のインクは、インク滴となって吐出面2aに残留する。
【0061】
次に、ステップ10(S10)において、パージ制御部105の制御により、インクジェットヘッド2を若干下方に移動させる。このとき、図8(c)に示すように、メンテナンス位置にある移動台64が退避位置に移動する際に、ワイパー56の先端が吐出面2aに接触する位置まで、インクジェットヘッド2を降下させる。そして、ステップ11(S11)において、パージ制御部105の制御により、メンテナンス位置にある移動台64を退避位置に移動させて、図8(c)に示すように、ワイパー56で吐出面2aを払拭する。
【0062】
次に、移動台64が退避位置に戻ったときに、ステップ12(S12)において、パージ制御部105の制御によって、4つのインクジェットヘッド2が印刷位置に配置されるように、枠状フレームを下降させる。こうして、インクジェットヘッド2のパージ動作及び払拭動作が終了する。
【0063】
以上のような本実施形態のプリンタ1によると、インクジェットヘッド2の周囲温度が第1所定温度未満のときに、ヒータ76によって加熱されたリザーバ流路72aの容積分のインクが2回吐出される。このとき、インクが低粘度となるため、インクに対する流路抵抗の上昇を抑制することができる。そのため、複数の吐出口8からのパージ時において、外部からインクに加える圧力を小さくすることができ、安価な加圧ポンプ6を採用することができる。加えて、加圧ポンプ6を高圧ポンプにする必要がなくなるので、インクジェットヘッド2を高圧に耐えうるように大型化する必要がなくなる。さらに、装置自体も大型化しない。
【0064】
さらに、複数の吐出口8からのパージ時において、インクに対する流路抵抗の上昇が抑制されることによって、インクの流速も低下しにくくなる。そのため、インク流路内の気泡を効果的に排出することが可能となる。すなわち、インクに対する流路抵抗の増大に伴ってインクの流速が大幅に低下すると、インク流路内の気泡がインクとともに排出されずにインク流路内に残存するが、インク流速の低下を抑制することによって、気泡排出の低下を抑制することが可能となる。
【0065】
また、ヒータ76が副マニホールド流路5aの出口よりも上流にあるリザーバ流路72a内のインクを加熱しているので、周囲温度が第1所定温度未満のときに、低粘度のインクを個別インク流路32に流すことが可能となる。そのため、個別インク流路32を流れるときのインクに対する流路抵抗の上昇を抑制することができる。加えて、ヘッド内のインクをすべて加熱する必要がなくなり、加熱コストを抑えつつヘッド内のインクを効果的に加熱することができる。
【0066】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態において、加熱制御部104は、リザーバ流路72a内のインクが推定部103によって推定されたインク温度から第2所定温度にまで加熱されるようにヒータ76を制御しているが、推定部103を設けずに単に周囲温度に応じてヒータ76がリザーバ流路72a内のインクを加熱してもよい。このとき、加熱制御部104はリザーバ流路72a内のインクが推定部103によって推定されたインク温度から第2所定温度未満にまで加熱されるようにヒータ76を制御してもよい。この場合でも、リザーバ流路72a内のインクは推定部103によって推定されたインク温度よりも高い温度になるので、インクに対する流路抵抗の上昇を抑制することができる。また、加熱制御部104はリザーバ流路72a内のインクが推定部103によって推定されたインク温度から第1所定温度以上にまで加熱されるようにヒータ76を制御してもよい。この場合、リザーバ流路72a内のインクはより低粘度のインクとなるため、インクに対する流路抵抗の上昇をより一層抑制することができる。
【0067】
また、周囲温度が第1所定温度未満のときに行われる2回のインク吐出における加圧ポンプ6の駆動間隔が、一定の所定時間に定められていてもよい。すなわち、駆動間隔が、周囲温度が高いほど短く、又は低いほど長くならずに一定の所定時間となる。このとき、消費電力低減という観点から、周囲温度は高いほどヒータ76への投入電力を低くすることが好適である。
【0068】
また、インクジェットヘッド2のインク流路全体、又はリザーバ流路72a以外の流路のいずれかにあるインクを加熱することが可能な位置にヒータが配置されていてもよい。
【0069】
また、本実施形態におけるパージ時のインク吐出量がリザーバ流路72aの容積の2倍となっているがこれ以上でも未満でもよい。すなわち、パージ制御部105が、周囲温度が第1所定温度未満のときに、1回の駆動によって吐出されるインク量がヒータ76によって加熱されたインク量以下であって、その合計量が所定量を超えるまで複数回に分けて断続的に加圧ポンプ6を駆動すればよい。また、圧力印加機構である加圧ポンプ6に代えて、吐出口8からインクを外部に吸引する吸引機構を採用してもよい。このときも加圧ポンプ6と同様にパージ制御部105が吸引機構を制御すれば上述と同様な効果を得ることができる。
【0070】
また、上述した実施形態は、吐出口からインクを吐出するインクジェットヘッドを有するインクジェットプリンタに本発明を適用した一例であるが、本発明の適用可能対象はこのようなインクジェットプリンタに限られない。例えば、導電ペーストを吐出して基板上に微細な配線パターンを形成したり、あるいは、有機発光体を基板に吐出して高精細ディスプレイを形成したり、さらには、光学樹脂を基板に吐出して光導波路等の微小電子デバイスを形成するための、液体吐出ヘッドを有する、種々の液体吐出装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の一実施形態によるインクジェットプリンタの概略的な構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すインクジェットヘッドの断面図である。
【図3】ヘッド本体の平面図である。
【図4】図3の一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。
【図5】図4に示すV−V線に沿った断面図である。
【図6】(a)はアクチュエータユニットの拡大断面図であり、(b)は図6(a)においてアクチュエータユニットの表面に配置された個別電極を示す平面図である。
【図7】図1に示す制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図8】パージ動作及び払拭動作を行う際のインクジェットヘッド及び移動台の動作状況図である。
【図9】パージ動作及び払拭動作を行う際の制御フロー図である。
【符号の説明】
【0072】
1 インクジェットプリンタ(液体吐出装置)
2 インクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)
2a 吐出面
5a 副マニホールド流路(共通液体流路)
6 加圧ポンプ(圧力印加機構)
8 吐出口
12 アパーチャ(部分流路)
32 個別インク流路(個別液体流路)
72a リザーバ流路
75 温度センサ
76 ヒータ
103 推定部(推定手段)
104 加熱制御部(加熱制御手段)
105 パージ制御部(排出制御手段)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する複数の吐出口を有し、前記複数の吐出口に連通する液体流路が内部に形成された液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッド内の液体に外部から圧力を加える圧力印加機構と、
前記液体吐出ヘッドの周囲温度を検出する温度センサと、
前記液体吐出ヘッドに設けられ、前記液体流路内の液体の少なくとも一部を加熱するヒータと、
前記温度センサによって検出された前記周囲温度が第1所定温度未満のときに、前記液体流路内の液体が加熱されるように前記ヒータを制御する加熱制御手段と、
前記温度センサによって検出された前記周囲温度が前記第1所定温度以上のときには、前記複数の吐出口から所定量の液体が吐出されるまで連続的に前記圧力印加機構が駆動され、前記温度センサによって検出された前記周囲温度が前記第1所定温度未満のときには、前記複数の吐出口から前記所定量の液体が吐出されるまで複数回に分けて断続的に前記圧力印加機構が駆動されるように、前記圧力印加機構を制御する排出制御手段とを備えており、
前記排出制御手段は、前記周囲温度が前記第1所定温度未満のときに前記圧力印加機構の1回の駆動によって前記複数の吐出口から吐出される液体量が、前記液体流路内において前記ヒータによって加熱される液体量以下となるように前記圧力印加機構を制御することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記温度センサによって検出された前記周囲温度から前記ヒータによって加熱される前における前記液体流路内の液体温度を推定する推定手段をさらに含んでおり、
前記加熱制御手段は、前記液体流路内の少なくとも一部の液体の前記液体温度が前記推定手段によって推定された温度から前記第1所定温度以下の第2所定温度に加熱されるように前記ヒータを制御することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記排出制御手段は、前記周囲温度が前記第1所定温度未満のときに前記圧力印加機構を駆動する駆動間隔が、前記1回の駆動によって前記複数の吐出口から液体が吐出されることによって前記液体流路内に流入した液体を前記第2所定温度にまで加熱するのに要する時間と同じになるように、前記圧力印加機構を制御することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記排出制御手段は、前記周囲温度が前記第1所定温度未満のときに前記圧力印加機構を駆動する駆動間隔が、前記周囲温度が高いほど短くなるように、前記圧力印加機構を制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記液体吐出ヘッドの前記液体流路が、
液体供給源からの液体を一時的に貯留するリザーバ流路と、
前記リザーバ流路と連通する共通液体流路と、
前記共通液体流路の出口から前記吐出口に至り且つ前記リザーバ流路及び前記共通液体流路よりも流路抵抗が大きい部分流路を有する複数の個別液体流路とを有しており、
前記ヒータが、前記共通液体流路の出口よりも上流に存在する液体を加熱することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記リザーバ流路が、前記共通液体流路よりも大きい容積を有しており、
前記ヒータが、前記リザーバ流路内の液体を加熱することを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−46969(P2010−46969A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214890(P2008−214890)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】