説明

液体吐出装置

【課題】吐出口内の液体の粘度を低下させると共に省電力化を図る。
【解決手段】吐出口に連通する複数の圧力室110がマトリックス状に配置されている。アクチュエータユニットが、複数の圧力室と対向する圧電シートと圧力室に対向する個別電極とを含んでいる。割付決定部が、基準圧力室110aと、基準圧力室110aに隣接する8つの隣接圧力室110bとを含む複数の圧力室ブロック80の割り付けを決定する。信号供給制御部が、各圧力室ブロック80に係る基準圧力室110aと対向する個別電極のみに、吐出口からインク滴が吐出されない範囲で圧電シートを変位させる不吐出駆動信号を同時に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出口から液体を吐出する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
吐出口からインク滴を吐出させるインクジェットヘッドにおいて、吐出口からインク滴
が吐出されない程度にアクチュエータを駆動することによって、吐出口に形成されたメニスカスを振動させる不吐出フラッシングを行う技術がある(例えば、特許文献1参照)。不吐出フラッシングを行うことによって、インク滴を吐出させることなく吐出口内のインクが攪拌され、乾燥などにより増粘した吐出口内のインクの粘度を低下させることができる。これにより、インク吐出特性が回復する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4003038号(図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した技術では、全ての吐出口に関して同時に不吐出フラッシングを行うため、各吐出口に対応する全てのアクチュエータが同時に駆動され、消費電力が大きくなる。
【0005】
本発明の目的は、吐出口内の液体の粘度を低下させると共に省電力化を図ることができる液体吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体吐出装置は、マトリクス配置された複数の圧力室のそれぞれを介して吐出口に至る複数の個別液体流路を有する流路ユニットと、前記複数の圧力室に対向するように連続した圧電層、前記圧電層の表面に各圧力室に対向するように配置された複数の個別電極、及び、前記複数の個別電極と共に前記圧電層を挟持する共通電極を有するアクチュエータユニットと、1つの前記圧力室である基準圧力室と、前記基準圧力室に隣接する全ての前記圧力室とを含む圧力室ブロックであって、互いに隣接するように、且つ、互いに重なり合わないように配置された複数の前記圧力室ブロックの割り付けを決定する割付決定手段と、前記吐出口から液体が吐出されない範囲で前記圧電層を変形させる不吐出駆動信号を生成する不吐出信号生成手段と、各圧力室ブロックに係る前記基準圧力室に対向する前記個別電極のみに、前記不吐出信号生成手段によって生成された前記不吐出駆動信号を供給する信号供給制御手段とを備えている。前記割付決定手段は、1つのタイミングで割り付けが決定された前記圧力室ブロック内の全ての前記圧力室が互いに同じ確率で前記基準圧力室となるように、複数の前記圧力室ブロックの割り付けを決定する。
【0007】
また、別の観点から観て本発明の液体吐出装置は、マトリクス配置された複数の圧力室のそれぞれを介して吐出口に至る複数の個別液体流路を有する流路ユニットと、前記複数の圧力室に対向するように連続した圧電層、前記圧電層の表面に各圧力室に対向するように配置された複数の個別電極、及び、前記複数の個別電極と共に前記圧電層を挟持する共通電極を有するアクチュエータユニットと、前記吐出口から液体が吐出されない範囲で前記圧電層を変形させる不吐出駆動信号を生成する不吐出信号生成手段と、1つの前記圧力室である基準圧力室と、前記基準圧力室に隣接する全ての前記圧力室とを含む圧力室ブロックであって、互いに隣接するように、且つ、互いに重なり合わないように配置された複数の前記圧力室ブロックにおいて、各圧力室ブロックに係る前記基準圧力室を基準とする相対位置が同じとなる前記圧力室に対向する前記個別電極のみに、前記不吐出信号生成手段によって生成された前記不吐出駆動信号を供給する信号供給制御手段とを備えている。前記信号供給制御手段は、前記圧力室ブロックに含まれる各圧力室に対向する前記個別電極に順に前記不吐出駆動信号を供給する。
【0008】
本発明によると、特定の圧力室と対向する個別電極に不吐出駆動信号を供給しつつ、当該特定の圧力室に隣接する全ての圧力室と対向する個別電極に不吐出駆動信号を供給しないことによって、圧電層に係る当該特定の圧力室と対向する領域が変形すると共に、当該変形が伝播して、圧電層に係る当該特定の圧力室に隣接する全ての圧力室と対向する領域が変形する。これにより、当該特定の圧力室のみならず当該圧力室に隣接する他の圧力室に関する吐出口に形成されたメニスカスが振動し、吐出口内の液体の粘度を効率よく低下させることができる。これにより、個別電極に不吐出駆動信号を供給する回数を少なくして消費電力を抑制することができる。
【0009】
本発明においては、前記割付決定手段が、前記1つのタイミングで割り付けが決定された前記圧力室ブロックにおける前記基準圧力室に隣接する複数の前記圧力室のいずれか1つが前記基準圧力室となるように、前記1つのタイミングに続くタイミングにおいて複数の前記圧力室ブロックの割り付けを決定し、前記信号供給制御手段は、前記割付決定手段が前記圧力室ブロックの割り付けを決定する毎に、各基準圧力室に対向する前記個別電極のみに、前記不吐出駆動信号を供給することが好ましい。これによると、全ての吐出口についてメニスカスの振動量を均一化することができる。
【0010】
このとき、前記割付決定手段が、所定の周期で前記圧力室ブロックの割り付けを決定してもよい。これによると、割付決定手段を容易に構成することができる。
【0011】
本発明においては、前記割付決定手段は、平面視において、前記基準圧力室の中心及び当該基準圧力室に隣接する前記圧力室の中心を通過しつつ、当該基準圧力室の中心において互いに交差する全ての直線上に、前記圧力室が3つ配列されるように前記圧力室ブロックの割り付けを決定することが好ましい。これによると、圧力室ブロックを容易に決定することができる。
【0012】
このとき、前記割付決定手段は、第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向のそれぞれに関して前記圧力室が3つ配列された前記圧力室ブロックの割り付けを決定してもよい。これによると、圧力室ブロックをさらに容易に決定することができる。
【0013】
本発明においては、画像データに基づいて前記吐出口から液体を吐出させる吐出駆動信号を生成する吐出駆動信号生成手段をさらに備えており、前記信号供給制御手段が、前記吐出駆動信号及び前記不吐出駆動信号を同じタイミングで同じ前記個別電極に対して供給しようとするとき、前記吐出駆動信号のみを当該個別電極に供給することが好ましい。これによると、吐出口から液体を吐出させながら、他の液体を吐出していない吐出口について不吐出フラッシングを行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、特定の圧力室と対向する個別電極に不吐出駆動信号を供給しつつ、当該特定の圧力室に隣接する全ての圧力室と対向する個別電極に不吐出駆動信号を供給しないことによって、圧電層に係る当該特定の圧力室と対向する領域が変形すると共に、当該変形が伝播して、圧電層に係る当該特定の圧力室に隣接する全ての圧力室と対向する領域が変形する。これにより、当該特定の圧力室のみならず当該圧力室に隣接する他の圧力室に関する吐出口に形成されたメニスカスが振動し、吐出口内の液体の粘度を効率よく低下させることができる。これにより、個別電極に不吐出駆動信号を供給する回数を少なくして消費電力を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態によるインクジェットプリンタの断面図である。
【図2】図1に示すインクジェットヘッドの幅方向に沿った断面図である。
【図3】図2に示すIII-III線に関する断面図である。
【図4】図3に示す一点鎖線で囲まれた領域の拡大図である。
【図5】(a)図2に示すアクチュエータユニットの部分断面図である。(b)アクチュエータユニットの部分平面図である。
【図6】図1に示す制御装置の機能ブロック図である。
【図7】(a)図6に示す吐出信号生成部が生成する吐出駆動信号の波形図である。(b)図6に示す不吐出信号生成部が生成する不吐出駆動信号の波形図である。
【図8】図6に示す割付決定部によって割り付けが決定された圧力室ブロックを示した図である。
【図9】図8に示す圧力室ブロックの拡大図である。
【図10】圧力室に係る変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
インクジェットプリンタ101は、図1に示すように、直方体形状の筐体1aを有している。筐体1aの上部には、排紙部31が設けられている。さらに、筐体1a内は、上から順に3つの空間A、B、Cに区分されている。空間Aには、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインクをそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッド1、及び、搬送ユニット20が配置されている。空間B、Cはそれぞれ、筐体1aに対して着脱可能な給紙ユニット1b及びインクタンクユニット1cが配置される空間である。なお、本実施形態において、副走査方向とは搬送ユニット20で用紙Pを搬送するときの搬送方向と平行な方向であり、主走査方向とは副走査方向に直交する方向であって水平面に沿った方向である。
【0018】
インクジェットプリンタ101の内部には、給紙ユニット1bから排紙部31に向けて、用紙Pが搬送される用紙搬送経路が形成されている(図1中太矢印)。給紙ユニット1bは、複数枚の用紙Pを収納することが可能な給紙トレイ23と、給紙トレイ23に取り付けられた給紙ローラ25とを有している。給紙ローラ25は、給紙トレイ23に積層して収納された複数の用紙Pのうち、最も上方にある用紙Pを送り出す。給紙ローラ25によって送り出された用紙Pは、ガイド27a、27bによりガイドされ且つ送りローラ対26によって挟持されつつ搬送ユニット20へと送られる。
【0019】
搬送ユニット20は、2つのベルトローラ6、7と、両ローラ6、7間に架け渡されるように巻回されたエンドレスの搬送ベルト8と、テンションローラ10とを有している。テンションローラ10は、搬送ベルト8の下側ループにおいて、その内周面に接触しつつ下方に付勢されることで搬送ベルト8にテンションを付加している。ベルトローラ7は、駆動ローラであって、搬送モータMから2つのギアを介して駆動力が与えられることで、図1中時計回りに回転する。ベルトローラ6は、従動ローラであって、ベルトローラ7の回転により搬送ベルト8が走行するのに伴って、図1中時計回りに回転する。
【0020】
搬送ベルト8の外周面8aにはシリコーン処理が施されており、粘着性を有している。用紙搬送経路上において搬送ベルト8を挟んでベルトローラ6と対向する位置には、ニップローラ4が配置されている。ニップローラ4は、給紙ユニット1bから送り出された用紙Pを搬送ベルト8の外周面8aに押さえ付ける。外周面8aに押さえ付けられた用紙Pは、その粘着力によって外周面8a上に保持されつつ、図1右方へと搬送される。
【0021】
また、用紙搬送経路上において搬送ベルト8を挟んでベルトローラ7と対向する位置には、剥離プレート5が設けられている。剥離プレート5は、用紙Pを外周面8aから剥離する。剥離された用紙Pは、ガイド29a,29bによりガイドされ且つ二組の送りローラ対28によって挟持されつつ搬送され、筐体1a上部の開口30から排紙部31へと排出される。
【0022】
4つのインクジェットヘッド1は、フレーム3を介して筐体1aに支持されている。また、4つのインクジェットヘッド1は、それぞれ主走査方向に沿って延在し、副走査方向には互いに平行に配置されている。すなわち、インクジェットプリンタ101は、主走査方向に延びる吐出領域が形成されたライン式のカラーインクジェットプリンタである。各インクジェットヘッド1の下面は、インク滴が吐出される吐出面2aである。
【0023】
搬送ベルト8のループ内には、4つのインクジェットヘッド1と対向して、プラテン19が配置されている。プラテン19の上面は、搬送ベルト8の上側ループの内周面と接触しており、搬送ベルト8の内周側からこれを支持している。これにより、搬送ベルト8の上側ループの外周面8aとインクジェットヘッド1の下面、即ち吐出面2aとが対向しつつ平行になり、且つ、画像形成に適した所定間隔の隙間が形成されている。当該隙間は、用紙搬送経路の一部を構成する。搬送ベルト8によって搬送されてきた用紙Pが4つのヘッド1のすぐ下方を通過する際に、各ヘッド1から用紙Pの上面に向けて各色のインクが順に吐出され、用紙P上に所望のカラー画像が形成される。
【0024】
インクジェットヘッド1はそれぞれ、空間Cのインクタンクユニット1cに装着されたインクタンク49と接続されている。すなわち、4つのインクタンク49にはそれぞれ対応するインクジェットヘッド1の吐出するインクが貯留されている。そして、各インクタンク49からチューブ(図示せず)等を介してインクジェットヘッド1にインクが供給される。
【0025】
次に、図2、図3を参照しつつインクジェットヘッド1について詳細に説明する。なお、図3においては、下筐体87が省略されている。
【0026】
図2に示すように、インクジェットヘッド1は、リザーバユニット71と、流路ユニット9及びアクチュエータユニット21を含むヘッド本体2と、一端がアクチュエータユニット21に接続されていると共にドライバIC52が実装されたCOF(Chip On Film:平型柔軟基板)50と、COF50の他端が接続された制御基板54とを有している。さらに、インクジェットヘッド1は、リザーバユニット71及び流路ユニット9を包囲する箱体を形成する上筐体86及び下筐体87と、上筐体86の上方において制御基板54を包囲するヘッドカバー55とを有している。
【0027】
リザーバユニット71は、ヘッド本体2の上面に固定されていると共にヘッド本体2にインクを供給する流路形成部材である。また、リザーバユニット71は、プレート91〜94の4枚のプレートが互いに位置合わせされて積層された積層体であり、その内部に、図示しないインク流入流路、インクリザーバ72、及び、10個のインク流出流路73が互いに連通するように形成されている。なお、図2においては、1つのインク流出流路73のみが表れている。インク流入流路は、インクタンク49からのインクが流入する流路である。インクリザーバ72は、インク流入流路から流入したインクを一時的に貯溜するインク溜である。インク流出流路73は、インクリザーバ72からのインクが流出する流路であって、流路ユニット9の上面に形成されたインク供給口105bに連通している。インクタンク49からのインクは、インク流入流路を介してインクリザーバ72に流入し、インク流出流路73を通過して、インク供給口105bから流路ユニット9に供給される。
【0028】
また、プレート94の下面には、凹部94aが形成されている。凹部94は、流路ユニット9の上面との間で空隙90を形成している。空隙90には、流路ユニット9上の4つのアクチュエータユニット21が、流路ユニット9の長手方向に沿って等間隔で配列されている。また、積層体の側面には、リザーバユニット71の長手方向に沿って、空隙90の4つの開口90aが千鳥状に等間隔で形成されている。
【0029】
また、プレート94の下面は、凸部(凹部94a以外の部分)が流路ユニット9と接着されている。凸部内には、インク流出流路73が形成されている。
【0030】
COF50は、その一方端部近傍がアクチュエータユニット21の上面に接続されている。さらに、COF50は、アクチュエータユニット21の上面から水平方向に延在して開口90aを通過した後、リザーバユニット71の側壁に沿って、上筐体86あるいは下筐体87との隙間を介して引き出されている。上筐体86及び下筐体87の内壁面には、切り欠き53が形成されており、COF50が上方に引き出される引き出し経路が構成されている。COF50は、リザーバユニット71の上方において、上筐体86に形成されたスリット86aから上筐体86の上方に引き出されている。そして、上筐体86の上方において、COF50の他方端部がコネクタ54aを介して制御基板54に接続されている。COF50に実装されたドライバIC52は、リザーバユニット71の上面に貼り付けられており、リザーバユニット71と熱的に結合されている。これにより、ドライバIC52から発生した熱が、リザーバユニット71に伝達してドライバIC52を冷却する一方で、リザーバユニット71内のインクを温めることによってインクの粘度が高くなるのを抑制している。
【0031】
制御基板54は、上筐体86の上方に配置されており、COF50のドライバIC52を介してアクチュエータユニット21の駆動を制御する。ドライバIC52は、アクチュエータユニット21を駆動する駆動信号を生成する。
【0032】
さらに、図3及び図4を参照しつつ、ヘッド本体2について説明する。なお、図4では説明の都合上、アクチュエータユニット21の下方にあって破線で描くべき圧力室110、アパーチャ112及び吐出口108を実線で描いている。
【0033】
ヘッド本体2は、図3に示すように、流路ユニット9の上面9aに4つのアクチュエータユニット21が固定された積層体である。図3及び図4に示すように、流路ユニット9は、圧力室110等を含むインク流路が内部に形成されている。アクチュエータユニット21は、各圧力室110に対応した複数のアクチュエータを含んでおり、圧力室110内のインクに選択的に吐出エネルギーを付与する機能を有する。
【0034】
流路ユニット9の上面9aには、リザーバユニット71のインク流出流路73(図2参照)に対応して、計10個のインク供給口105bが開口している。流路ユニット9の内部には、図3に示すように、インク供給口105bに連通するマニホールド流路105、マニホールド流路105から分岐した副マニホールド流路105a、さらに副マニホールド流路105aから分岐した多数の個別インク流路132が形成されている。流路ユニット9の下面には、図4に示すように、吐出面2aが形成されており、多数の吐出口108がマトリクス状に配置されている。流路ユニット9の上面9a(アクチュエータユニット21の固定面)にも、角の丸い菱形の平面形状を有する圧力室110が第1方向及びこれに交差する第2方向に関して、マトリクス状に多数配置されている(図8参照)。なお、吐出口108は、主走査方向に関して主走査方向解像度である600dpiの間隔で配列されている。
【0035】
本実施形態では、流路ユニット9の長手方向に等間隔に並ぶ圧力室110の列が、幅方向に互いに平行に16列配列されている。各圧力室列に含まれる圧力室110の数は、後述のアクチュエータユニット21の外形形状(台形形状)に対応して、その長辺側(下底側)から短辺側(上底側)に向かって次第に少なくなるように配置されている。吐出口108も、これに対応した配置がされている。
【0036】
流路ユニット9は、ステンレス鋼からなる複数の金属製のプレートを互いに位置合わせした積層体である。流路ユニット9内には、マニホールド流路105から副マニホールド流路105a、そして副マニホールド流路105aの出口から圧力室110を経て吐出口108に至る多数の個別インク流路132が形成される。
【0037】
流路ユニット9におけるインクの流れについて説明する。図3〜図4に示すように、リザーバユニット71からインク供給口105bを介して流路ユニット9内に供給されたインクは、マニホールド流路105から副マニホールド流路105aに分配される。副マニホールド流路105a内のインクは、各個別インク流路に流れ込み、圧力室110を介して吐出口108に至る。
【0038】
次に、アクチュエータユニット21について説明する。図5(a)に示すように、アクチュエータユニット21は、強誘電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のセラミックス材料からなる3枚の圧電シート141〜143から構成されている。また、最上層の圧電シート141の上面における圧力室110に対向する位置には、個別電極135が形成されている。最上層の圧電シート141とその下側の圧電シート142との間にはシート全面に形成された共通電極134が介在している。個別電極135は、図5(b)に示すように、圧力室110と相似な略菱形の平面形状を有する。平面視で、個別電極135の大部分は、圧力室110の領域内にある。略菱形の個別電極135における鋭角部の一方は圧力室110の外に延出され、その先端には個別電極135と電気的に接続された個別バンプ136が設けられている。
【0039】
共通電極134は、すべての圧力室110に対応する領域において等しくグランド電位が付与されている。一方、個別電極135は、COF50を介してドライバIC52の各出力端子と電気的に接続されており、ドライバIC52からの駆動信号が選択的に供給されるようになっている。
【0040】
アクチュエータユニット21は、個別電極135と圧力室110とで挟まれた部分が、個別のアクチュエータとして働く。圧力室110から離れた圧電シート141が活性部を含む層とし、圧力室110に近い2枚の圧電シート142、143が自発的に変形しない非活性層である。アクチュエータユニット21は、いわゆるユニモフルタイプのアクチュエータである。アクチュエータユニット21には、個別のアクチュエータが、少なくとも圧力室110の数だけ作り込まれている。
【0041】
ここで、アクチュエータユニット21の駆動方法について述べる。圧電シート141はその厚み方向に分極されている。個別電極135を共通電極134と異なる電位にして圧電シート141に対してその分極方向に電界を印加すると、圧電シート141における電界印加部分が活性部として働き、圧電効果により歪む。例えば、分極方向と電界の印加方向とが同じであれば、活性部は分極方向に直交する方向(平面方向)に縮む。このとき、圧電シート142、143には、電界による自発的歪みが生じない。圧電シート141の電界印加部分と圧電シート142、143との間で平面方向への歪みに差が生じる。さらに、図5(a)に示すように、圧電シート141〜143は圧力室110を区画するプレート122の上面に固定されているため、圧電シート141〜143全体が圧力室110側へ凸になるように変形(ユニモルフ変形)する。これにより圧力室110内のインクに圧力(吐出エネルギー)が付与され、吐出口108からインク滴が吐出される。
【0042】
なお、本実施形態においては、予め個別電極135に所定の電位V1を付与しておき、吐出要求があるごとに一旦個別電極135をグランド電位V0にした後、所定のタイミングで再び個別電極135に電位V1を付与するような駆動信号をドライバIC52から出力させる(図7参照)。この場合、個別電極135がグランド電位V0となるタイミングで圧電シート141〜143が元の状態に戻り、圧力室110の容積は初期状態(予め電圧が印加された状態)と比較して増加し、副マニホールド流路105aから個別インク流路132へとインクが吸い込まれる。その後、再び個別電極135に所定の電位V1が付与されたタイミング(吸い込まれたインクが圧力室110に達するタイミング)で圧電シート141〜143において活性領域と対向する部分が圧力室110側に凸となるように変形し、圧力室110の容積低下によりインクの圧力が上昇し、吐出口108からインクが吐出される。
【0043】
次に、図6を参照しつつ、制御装置16について説明する。制御装置16は、CPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行するプログラム及びこれらプログラムに使用されるデータを書き替え可能に記憶するEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)と、プログラム実行時にデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)とを含んでいる。制御装置16を構成する各機能部は、これらハードウェアとEEPROM内のソフトウェアとが協働して構築されている。図6に示すように、制御装置16は、制御基板54及びドライバIC52と連携して、インクジェットプリンタ101全体を制御するものであり、搬送制御部41と、画像データ記憶部42と、吐出信号生成部43と、割付決定部44と、不吐出信号生成部45と、信号供給制御部46とを有している。
【0044】
搬送制御部41は、搬送方向に沿って用紙Pが搬送されるように搬送ユニット20の搬送モータMを制御する。画像形成時には、アクチュエータユニット21の駆動開始タイミングに合わせて、用紙Pを給紙トレイ23から繰り出す。
【0045】
画像データ記憶部42は、用紙Pに印刷すべき画像に関する画像データを記憶する。画像データは、各インクジェットヘッド1に係る吐出口108のそれぞれに、画像を構成する各画像ドットを形成するためのインク滴の体積を印刷周期毎に割り当てたものである。なお、本実施形態においては、吐出口108から吐出されるインク滴は、4種類の体積(大滴、中滴、小滴、0)から選択されたいずれかが割り当てられている。印刷周期は、搬送方向の印刷解像度に対応した単位距離だけ用紙Pが搬送されるのに要する時間である。
【0046】
吐出信号生成部43は、吐出口108からインク滴が吐出されるように、アクチュエータユニット21を変形させる駆動信号である吐出駆動信号を生成する。図7(a)に示すように、吐出駆動信号は、1印刷周期において電位V1から所定時間グランド電位V0となるパルスを含む信号である。このパルス幅は、圧力波が副マニホールド流路105aの出口から吐出口108に至る距離AL(Acoustic Length)長を伝播する時間tと等しい。なお、図7(a)の波形は、インクを小滴として吐出するときの波形であり、1印刷周期内に1つのパルスを有している。中滴として吐出するときの波形は、2つのパルスを有しており、大滴として吐出するときの波形は、3つのパルスを有している。この場合、各波形は、吐出安定の観点から、それぞれの吐出パルスの残留振動を抑制するためのキャンセルパルスを含んでいてもよい。
【0047】
割付決定部44は、吐出口108に形成されたインクのメニスカスを振動させることによって、吐出口108内のインクの粘度を低下させる不吐出フラッシングを行うときに、複数の圧力室ブロック80の割り付けを決定する。圧力室ブロック80は、不吐出フラッシングのための不吐出駆動信号が供給される単位の領域であって、各領域内には、複数の圧力室110がそれぞれ同じ配置形態で含まれている。不吐出フラッシングは、1又は複数の用紙Pに対する印刷が開始されてから、当該印刷が完了するまでの間行われる。
【0048】
圧力室ブロック80は、図中第1方向及び第1方向に交差する第2方向のそれぞれに関して複数の圧力室110が配列されている。例えば、圧力室ブロック80は、図8に示すように、1つの圧力室110である基準圧力室110aと、基準圧力室110aを挟んで両側に隣接する8つの隣接圧力室110bとの計9つの圧力室110によって構成されている。また、圧力室ブロック80においては、平面視で、基準圧力室110aの中心及び隣接圧力室110bの中心を通過しつつ、基準圧力室110aの中心において互いに交差する全ての直線上(4つの直線:図中破線)に、それぞれ3つの圧力室110が配列されている。この場合、圧力室ブロック80は、圧力室110と相似の略菱形の外形形状を有している。割付決定部44は、複数の圧力室ブロック80の割り付けを、互いに隣接するように、且つ、互いに重なり合わないように決定する。このように、割付決定部44は、互いに隣接しない基準圧力室110aを抽出している。
【0049】
割付決定部44は、ある1つのタイミングで、1つの圧力室ブロック80に対して、9つの圧力室110が内包されるように各圧力室110を割り付ける。割付決定部44は、この割付動作を所定の周期で繰り返して、この圧力室ブロック80内の全ての圧力室110を互いに同じ確率で基準圧力室110aとする。
【0050】
具体的には、割付決定部44は、まず1つのタイミングで各圧力室ブロック80を決定し、例えば、図9中の番号1で示された位置にある圧力室110を初めの基準圧力室110aとして抽出する。1つのタイミングに続く次のタイミングにおいて、割付決定部44は、新たな基準圧力室110aとして、初めの基準圧力室110aに隣接する隣接圧力室110b(図9中の番号2で示された位置の隣接圧力室110b)を抽出する。割付決定部44は、この割付動作を、初めの基準圧力室110aを中心に配置された他の隣接圧力室110bに対して順に続ける。本実施形態では、1つの圧力室ブロック80において、初めの基準圧力室110aの決定に続いて、8回の割付動作が時計回りの順(図中番号2〜番号9の順)に連続して行われる。このように、圧力室ブロック80の割り付けの決定を連続して9回続けることにより、ある1つのタイミングで割り付けで決定された圧力室ブロック80に係る全ての圧力室110が順に基準圧力室110aとなる。
【0051】
不吐出信号生成部45は、吐出口108からインク滴が吐出されない範囲で、アクチュエータユニット21を駆動する駆動信号である不吐出駆動信号を生成する。図7(b)に示すように、不吐出駆動信号は、電位V1から所定時間グランド電位V0となるパルスが所定の周期(本実施形態においては8μm)で繰り返される信号である。このパルス幅は、圧力波がAL長を伝播する時間tの1/3以下であることが好ましい。
【0052】
信号供給制御部46は、割付決定部44が圧力室ブロック80の割り付けを決定する周期毎に、不吐出信号生成部45によって生成された不吐出駆動信号を同時に供給する。このとき、所定の発数の不吐出駆動信号が、各基準圧力室110aに対向する個別電極135のみに供給される。
【0053】
ここで、基準圧力室110aに対応するアクチュエータが駆動されると、その振動が隣接する圧力室110に伝わる。仮に、隣接圧力室110bも、同様に駆動されていると、伝播してくる振動によって自身の振動が阻害されて、吐出口付近のインクの攪拌効果が低くなる。しかし、基準圧力室110aのみが駆動されており、その信号につられて隣接圧力室110bも振動することになるので、その分隣接圧力室110bに対する駆動(印加する不吐出駆動信号の総パルス数)を制限できる。
【0054】
これを別の観点から観ると、信号供給制御部46は、固定された圧力室ブロック80において、各圧力室ブロック80に係る基準圧力室110aを基準とする相対位置が同じとなる圧力室110に対向する個別電極135のみに不吐出駆動信号を供給すると共に、圧力室ブロック80に係る各圧力室110に対向する個別電極135に所定の周期で順に不吐出駆動信号を供給している。
【0055】
また、信号供給制御部46は、画像データに基づいて、インク滴の吐出動作を行う圧力室110に対向する個別電極135に、吐出信号生成部43によって生成された吐出駆動信号を所望のタイミングで供給する。信号供給制御部46は、吐出駆動信号及び不吐出駆動信号を同じタイミングで同じ個別電極135に対して供給しようとするとき、吐出駆動信号のみを当該個別電極135に供給する。これにより、用紙Pに対して印刷を行っているときにおいても、インク滴を吐出しない吐出口108に関して不吐出フラッシングを行うことができる。
【0056】
以上のように、本実施形態のインクジェットプリンタ101によると、不吐出フラッシングを行うために、基準圧力室110aと対向する個別電極135に不吐出駆動信号を供給することによって、圧電シート141や基準圧力室110aが変形(振動)すると共に、当該変形が伝播して、基準圧力室110aに隣接する全ての隣接圧力室110bに関連する部分(圧電シート141及び隣接圧力室110bを含む)も変形する。これにより、各圧力室ブロック80に係る全ての圧力室110に関する吐出口108に形成されたメニスカスが振動して不吐出フラッシングが行われ、吐出口108内のインクの粘度を効率よく低下させることができる。このため、個別電極135に不吐出駆動信号を供給する回数を少なくして消費電力を抑制することができる。
【0057】
また、割付決定部44が、所定の周期で圧力室ブロック80の割り付けを決定するため、割付決定部44を容易に構成することができる。
【0058】
割付決定部44が、平面視において、基準圧力室110aの中心及び隣接圧力室110bの中心を通過しつつ、基準圧力室110aの中心において互いに交差する全ての直線上(図中破線)に、圧力室110が3つ配列されるように圧力室ブロック80の割り付けを決定するため、圧力室ブロック80を容易に決定することができる。
【0059】
このとき、割付決定部44は、第1方向及び第2方向のそれぞれに関して前記圧力室が3つ配列された圧力室ブロック80の割り付けを決定するため、圧力室ブロック80をさらに容易に決定することができる。さらに、図8及び図9に示されるように、第1方向と第2方向は、略菱形の基準圧力室110aと隣接圧力室110bとが、互いの斜辺同士を平行に対向する方向であって、基準圧力室110aの振動を確実に隣接圧力室110bへと伝えやすい。
【0060】
また、信号供給制御部46が、吐出駆動信号及び不吐出駆動信号を同じタイミングで同じ個別電極135に対して供給しようとするとき、吐出駆動信号のみを当該個別電極135に供給するため、画像形成を行う吐出口108からインク滴を吐出させつつ、インク滴を吐出していない他の吐出口108について不吐出フラッシングを行うことができる。
【0061】
<変形例>
本発明に係る変形例について説明する。上述した実施形態においては、圧力室110が、菱形の平面形状を有する構成であるが、他の平面形状を有する構成であってもよい。例えば、図10に示すように、圧力室210が、六角形(正六角形及び変形された六角形)の平面形状を有していてもよい。このとき、割付決定部は、基準圧力室210a及び基準圧力室210aに隣接する6つの隣接圧力室210bによって構成される圧力室ブロック280の割り付けを決定すればよい。圧力室ブロック280においては、平面視で、基準圧力室210aの中心及び隣接圧力室210bの中心を通過しつつ、基準圧力室210aの中心において互いに交差する全ての直線上(3つの直線:図中破線)に、圧力室210が3つ配列されている。
【0062】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。上述の実施形態では、割付決定部44が、所定の周期で圧力室ブロック80の割り付けを決定する構成であるが、割付決定部が、任意のタイミングで圧力室ブロック80の割り付けを決定してもよい。例えば、割付決定部が、2以上の周期で圧力室ブロック80の割り付けを決定してもよい。
【0063】
また、上述の実施形態においては、吐出口108からインク滴を吐出させているときに、他の吐出口108について不吐出フラッシングを行うことが可能な構成となっているが、信号供給制御部は、吐出口108からインク滴を吐出しているときには、他の吐出口108について不吐出フラッシングを行わない構成であってもよい。この場合、用紙Pにインク滴を吐出させないとき、例えば、用紙Pに対して印刷が行われる直前のみに不吐出フラッシングを行えばよい。
【0064】
さらに、上述の実施形態においては、割付決定部は、圧力室ブロック80、280を基準圧力室110a、210aに対して線あるいは点を介して隣接する隣接圧力室110b、210bをちょうど内包する領域として割り付けていたが、さらにその外側を包囲するように配置された複数の圧力室110、210を内包するように割り付けてもよい。
【0065】
また、上述の実施形態においては、割付決定部による圧力室ブロックの割付動作が、不吐出フラッシングが必要となったタイミング毎に行われていたが、例えば、電源投入時に割付決定部によって予め割付動作を完了して記憶しておき、不吐出フラッシングが必要となったタイミング(周期)では、記憶された割付パターンに従って基準圧力室に対する不吐出フラッシングを行ってもよい。
【0066】
またさらに、割付決定部による圧力室ブロックの割り付けは、初めに基準圧力室として抽出する圧力室がランダムに、しかし、複数の圧力室ブロックは互いに隣接し、且つ、重なり合わないように決定されてもよい。これにより、初めの圧力室ブロックの配置形態が、割付決定部によって一連の割付動作が行われる度に変り、吐出口付近のインクの攪拌効果に配置形態に基づく偏りが無くなる。
【0067】
本発明は、インク以外の液体を吐出する記録装置にも適用可能である。さらに、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機などにも適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 インクジェットヘッド
2 ヘッド本体
2a 吐出面
9 流路ユニット
16 制御装置
21 アクチュエータユニット
41 搬送制御部
42 画像データ記憶部
43 吐出信号生成部
44 割付決定部
45 不吐出信号生成部
46 信号供給制御部
80、280 圧力室ブロック
101 インクジェットプリンタ
108 吐出口
110、210 圧力室
110a、210a 基準圧力室
110b、210b 隣接圧力室
134 共通電極
135 個別電極
141〜143 圧電シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス配置された複数の圧力室のそれぞれを介して吐出口に至る複数の個別液体流路を有する流路ユニットと、
前記複数の圧力室に対向するように連続した圧電層、前記圧電層の表面に各圧力室に対向するように配置された複数の個別電極、及び、前記複数の個別電極と共に前記圧電層を挟持する共通電極を有するアクチュエータユニットと、
1つの前記圧力室である基準圧力室と、前記基準圧力室に隣接する全ての前記圧力室とを含む圧力室ブロックであって、互いに隣接するように、且つ、互いに重なり合わないように配置された複数の前記圧力室ブロックの割り付けを決定する割付決定手段と、
前記吐出口から液体が吐出されない範囲で前記圧電層を変形させる不吐出駆動信号を生成する不吐出信号生成手段と、
各圧力室ブロックに係る前記基準圧力室に対向する前記個別電極のみに、前記不吐出信号生成手段によって生成された前記不吐出駆動信号を供給する信号供給制御手段とを備えており、
前記割付決定手段は、1つのタイミングで割り付けが決定された前記圧力室ブロック内の全ての前記圧力室が互いに同じ確率で前記基準圧力室となるように、複数の前記圧力室ブロックの割り付けを決定することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記割付決定手段は、前記1つのタイミングで割り付けが決定された前記圧力室ブロックにおける前記基準圧力室に隣接する複数の前記圧力室のいずれか1つが前記基準圧力室となるように、前記1つのタイミングに続くタイミングにおいて複数の前記圧力室ブロックの割り付けを決定し、
前記信号供給制御手段は、前記割付決定手段が前記圧力室ブロックの割り付けを決定する毎に、各基準圧力室に対向する前記個別電極のみに、前記不吐出駆動信号を供給することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記割付決定手段が、所定の周期で前記圧力室ブロックの割り付けを決定することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記割付決定手段は、平面視において、前記基準圧力室の中心及び当該基準圧力室に隣接する前記圧力室の中心を通過しつつ、当該基準圧力室の中心において互いに交差する全ての直線上に、前記圧力室が3つ配列されるように前記圧力室ブロックの割り付けを決定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記割付決定手段は、第1方向及び前記第1方向に交差する第2方向のそれぞれに関して前記圧力室が3つ配列された前記圧力室ブロックの割り付けを決定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
マトリクス配置された複数の圧力室のそれぞれを介して吐出口に至る複数の個別液体流路を有する流路ユニットと、
前記複数の圧力室に対向するように連続した圧電層、前記圧電層の表面に各圧力室に対向するように配置された複数の個別電極、及び、前記複数の個別電極と共に前記圧電層を挟持する共通電極を有するアクチュエータユニットと、
前記吐出口から液体が吐出されない範囲で前記圧電層を変形させる不吐出駆動信号を生成する不吐出信号生成手段と、
1つの前記圧力室である基準圧力室と、前記基準圧力室に隣接する全ての前記圧力室とを含む圧力室ブロックであって、互いに隣接するように、且つ、互いに重なり合わないように配置された複数の前記圧力室ブロックにおいて、各圧力室ブロックに係る前記基準圧力室を基準とする相対位置が同じとなる前記圧力室に対向する前記個別電極のみに、前記不吐出信号生成手段によって生成された前記不吐出駆動信号を供給する信号供給制御手段とを備えており、
前記信号供給制御手段は、前記圧力室ブロックに含まれる各圧力室に対向する前記個別電極に順に前記不吐出駆動信号を供給することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項7】
画像データに基づいて前記吐出口から液体を吐出させる吐出駆動信号を生成する吐出駆動信号生成手段をさらに備えており、
前記信号供給制御手段が、前記吐出駆動信号及び前記不吐出駆動信号を同じタイミングで同じ前記個別電極に対して供給しようとするとき、前記吐出駆動信号のみを当該個別電極に供給することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−5688(P2011−5688A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149623(P2009−149623)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】