説明

液体吸引機構および試料分析装置

【課題】液体吸引ノズルの外周面をより効果的に洗浄することが可能な液体吸引機構を提供する。
【解決手段】この液体吸引機構(洗浄部103c)は、キュベット7に収容された液体(検体)を吸引するためのノズル部材103dと、キュベット7に収容された液体を、ノズル部材103dを介して吸引する吸引部と、ノズル部材103dが長手方向に沿って配置され、洗浄液を噴出するための噴出口103fがノズル部材103dの外周面に向けて設けられた管部材103sと、管部材103sの噴出口103fを介してノズル部材103dの外周面に洗浄液を供給するシリンジポンプ103vとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吸引機構および試料分析装置に関し、特に、試料や試薬などの液体を吸引する液体吸引ノズルを備えた液体吸引機構および試料分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液試料や試薬などの液体を吸引する液体吸引ノズルを洗浄する洗浄装置が知られている(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、検体や試薬を吸引する吸引ノズルと、洗浄液を吐出する吐出ノズルと、洗浄槽とを備えたノズル洗浄装置が開示されている。上記特許文献1によるノズル洗浄装置の吐出ノズルは、吸引ノズルに隣接するように設けられている。また、吸引ノズルの下端は、吐出ノズルの下端よりも下方に位置している。吐出ノズルの下端には、洗浄液を吐出する噴出口が設けられている。そして、上記ノズル洗浄装置は、吸引ノズルの下方に配置された洗浄槽内に吸引ノズルを下降させた後、吐出ノズルから洗浄液を洗浄槽内に吐出して吸引ノズルを洗浄槽内の洗浄液に浸漬させることによって吸引ノズルの外周面を洗浄し、洗浄槽内の洗浄液を吸引ノズルにより吸引することによって吸引ノズルの内周面を洗浄するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−283246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のノズル洗浄装置では、液体吸引ノズルの外周面の洗浄が不十分であった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の1つの目的は、液体吸引ノズルの外周面をより効果的に洗浄することが可能な液体吸引機構および試料分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面による液体吸引機構は、液体吸引ノズルと、容器に収容された液体を、液体吸引ノズルを介して吸引する吸引部と、液体吸引ノズルの長手方向に沿って配置され、洗浄液を噴出するための噴出口が液体吸引ノズルの外周面に向けて設けられた洗浄液噴出ノズルと、洗浄液噴出ノズルの噴出口を介して液体吸引ノズルの外周面に洗浄液を供給する洗浄液供給部とを備える。
【0008】
この第1の局面による液体吸引機構では、上記のように、洗浄液を噴出する噴出口が液体吸引ノズルの外周面に向けて設けられた洗浄液噴出ノズルを設けるとともに、その噴出口を介して液体吸引ノズルの外周面に洗浄液を供給する洗浄液供給部を設けることによって、より多くの量の洗浄液を確実に液体吸引ノズルの外周面に噴出することができるので、液体吸引ノズルの外周面をより効果的に洗浄することができる。
【0009】
上記第1の局面による液体吸引機構において、好ましくは、噴出口は、洗浄液噴出ノズルの側面の液体吸引ノズルの外周面に対向した位置に設けられた側方噴出口を含む。このように構成すれば、簡易な構造で、噴出口が液体吸引ノズルの外周面に向けて設けられた洗浄液噴出ノズルを構成することができる。また、液体吸引ノズルの外周面に対向する側方噴出口により洗浄液を液体吸引ノズルの側方から当てることができるので、液体吸引ノズルの外周面を効果的に洗浄することができる。
【0010】
この場合において、好ましくは、噴出口は、洗浄液噴出ノズルの下端に設けられ、洗浄液供給部から供給された洗浄液を洗浄液噴出ノズルの下方に噴出するための下方噴出口をさらに含む。このように構成すれば、側方噴出口だけでなく、下方噴出口からも洗浄液を噴出させることができる。このため、下方噴出口および側方噴出口の両方を設けた分、噴出口の開口部の面積が増加することにより洗浄液の吐出圧が低下するので、小径の洗浄液噴出ノズルを用いた場合であっても、洗浄液の流速を一定レベル以下に保ちつつ、洗浄液の供給量を増加させることができる。これにより、たとえば容器内に液体吸引ノズルと洗浄液噴出ノズルとを挿入して液体吸引ノズルの洗浄を行う際に、小径の洗浄液噴出ノズルを用いた場合にも、液体吸引ノズルに噴出された洗浄液が液体吸引ノズルの外周面に跳ね返って容器外に発散してしまうことを抑制しながら、より効果的に液体吸引ノズルの外周面を洗浄することができる。また、小径の洗浄液噴出ノズルを用いる場合には、液体吸引ノズルおよび洗浄液噴出ノズルの全体の外径寸法を小さくすることができるので、容器から液体を吸引する場合に、液体吸引ノズルおよび洗浄液噴出ノズルを容器内に挿入する際に容器と干渉するのをより抑制することができる。
【0011】
上記洗浄液噴出ノズルが下方噴出口を含む構成において、好ましくは、洗浄液噴出ノズルの側方噴出口の開口部の大きさは、下方噴出口の開口部の大きさよりも大きい。このように構成すれば、下方噴出口から噴出される洗浄液量よりも側方噴出口から噴出される洗浄液量をより大きくすることができる。このため、下方噴出口から噴出される洗浄液の流速を減少させることができる。これにより、たとえば容器内に液体吸引ノズルと洗浄液噴出ノズルとを挿入して液体吸引ノズルの洗浄を行う際に、小径の洗浄液噴出ノズルを用いた場合や洗浄液の流量を増加させた場合に洗浄液の流速が上昇することに起因して、下方噴出口から噴出される洗浄液が容器の内壁に跳ね返って容器外に発散してしまうのを抑制することができる。
【0012】
上記洗浄液噴出ノズルが側方噴出口を含む構成において、好ましくは、側方噴出口は、液体吸引ノズルの外周面に向けて、洗浄液噴出ノズルの側面の液体吸引ノズルに対向した位置に複数設けられており、複数の側方噴出口は、洗浄液噴出ノズルの長手方向に沿って互いに間隔を隔てて配置されている。このように構成すれば、側方噴出口を複数設けることによって、側方噴出口の開口部の面積をより大きくすることができるので、洗浄液の供給量を増加させても洗浄液の流速を一定レベル以下に保つことができる。このため、たとえば容器内に液体吸引ノズルと洗浄液噴出ノズルとを挿入して液体吸引ノズルの洗浄を行う際に、液体吸引ノズルに噴出された洗浄液が液体吸引ノズルの外周面に跳ね返って容器外に発散してしまうことを抑制しながら、より効果的に液体吸引ノズルの外周面を洗浄することができる。また、複数の側方噴出口を間隔を隔てて配置することによって、1つの大型の側方噴出口を設ける場合と比較して、洗浄液噴出ノズルの機械的強度が低下する度合いを小さくすることができる。
【0013】
上記洗浄液噴出ノズルが側方噴出口を含む構成において、好ましくは、液体吸引ノズルは、液体吸引ノズルの下端側に位置し、液体を吸引するための吸引口が設けられた第1胴部と、液体吸引ノズルの上端側に位置し、第1胴部よりも外径の大きい第2胴部と、第1胴部と第2胴部とを第2胴部から第1胴部に向かうに従って外径が連続的に小さくなるように連結する連結部とを含み、洗浄液噴出ノズルの側方噴出口は、洗浄液供給部から供給された洗浄液が連結部の外周面に噴出されるように、連結部の外周面に向けて設けられている。このように構成すれば、上方(第2胴部の側)から下方(第1胴部の側)に向かって外径が小さくなる連結部により構成される傾斜面(外周面)に向けて、洗浄液を側方から噴出させることができる。これにより、連結部に噴出された洗浄液を、連結部の傾斜した外周面に沿って下方に向けて流すことができる。また、下方に向かって外径が小さくなるように傾斜された連結部に対して側方から洗浄液を噴出させることによって、側方から噴出された洗浄液が下方に向かって外径が小さくなるように傾斜した連結部に対して斜めに当りながら下方に落下するので、流体の特性により、液体吸引ノズルの外径が均一な外周面に対して洗浄液が側方から垂直に噴出されて当たる場合に比べて、液体吸引ノズルの外周面を流れる洗浄液が液体吸引ノズルの裏側(側方噴出口の設けられた側と反対側)にまでより回り込み易くなる。これにより、洗浄液が液体吸引ノズルの外周面に跳ね返ってしまうことを抑制しながら、より効果的に液体吸引ノズルの外周面を洗浄することができる。
【0014】
上記第1の局面による液体吸引機構において、好ましくは、液体吸引ノズルは、液体吸引ノズルの下端側に位置し、液体を吸引するための吸引口が設けられた第1胴部と、液体吸引ノズルの上端側に位置し、第1胴部よりも外径の大きい第2胴部とを含み、洗浄液噴出ノズルは、液体吸引ノズルの第2胴部に隣接して設けられている。このように構成すれば、液体吸引ノズルの上端側に第1胴部よりも外径の大きい第2胴部を設けることにより、液体吸引ノズルの機械的強度を向上させることができる。また、洗浄液噴出ノズルを第2胴部に隣接して設けることによって、洗浄液噴出ノズルを液体吸引ノズルから離間させる場合よりも液体吸引ノズルおよび洗浄液噴出ノズルの全体の外径寸法を小さくすることができる。この結果、液体吸引ノズルおよび洗浄液噴出ノズルの外径寸法が大型化するのを抑制しながら液体吸引ノズルの機械的強度を向上させることができる。
【0015】
上記第1の局面による液体吸引機構において、好ましくは、噴出口は、液体吸引ノズルの外周面に向けて傾いて設けられた傾斜噴出口を含む。このように構成すれば、容易に、噴出口が液体吸引ノズルの外周面に向けて設けられた洗浄液噴出ノズルを設けることができる。液体吸引ノズルの外周面に向けて傾いた傾斜噴出口から洗浄液を噴出させることによって、洗浄液をより確実に液体吸引ノズルの外周面に沿って落下させることができる。
【0016】
この場合において、好ましくは、洗浄液噴出ノズルの下端面は、液体吸引ノズルに近い側が洗浄液の流れの上流側に位置し、液体吸引ノズルから遠い側が洗浄液の流れの下流側に位置するように傾斜した傾斜部を含み、傾斜噴出口は、傾斜部に設けられている。このように構成すれば、傾斜噴出口を液体吸引ノズルの外周面に容易に向けることができるので、傾斜噴出口から噴出される洗浄液を液体吸引ノズルの外周面に向かって確実に噴出することができる。
【0017】
上記噴出口が傾斜噴出口を含む構成において、好ましくは、洗浄液噴出ノズルを複数備え、複数の洗浄液噴出ノズルは液体吸引ノズルの長手方向に沿って環状に配置されている。このように構成すれば、複数の洗浄液噴出ノズルを流通する洗浄液を、液体吸引ノズルの長手方向に安定させて流通させることができるので、複数の傾斜噴出口から一定の方向に洗浄液を噴出させることができる。これにより、洗浄液を液体吸引ノズルの外周面に均一に接触させることができる。
【0018】
この場合において、好ましくは、複数の洗浄液噴出ノズルは、互いに密着した状態で配置されている。このように構成すれば、複数の傾斜噴出口から噴出される洗浄液の隣り合う間隔を小さくすることができるので、液体吸引ノズルの外周面全体に均一に洗浄液を噴出することができる。
【0019】
上記複数の洗浄液噴出ノズルを備える液体吸引機構において、好ましくは、液体吸引ノズルの中心軸線と同軸線を中心とする筒形状を有し、複数の洗浄液噴出ノズルを含む筒形部をさらに備える。このように構成すれば、容易に、液体吸引ノズルを環状に取り囲むように傾斜噴出口を配置させることができる。
【0020】
この場合において、好ましくは、筒形部は、複数の洗浄液噴出ノズルが設けられたノズル設置部と、ノズル設置部の上端に接続され、洗浄液供給部から供給された洗浄液をノズル設置部の各洗浄液噴出ノズルに導くための単一の流路が設けられた単一流路部とを含む。このように構成すれば、単一流路部を設ける分、筒形部に複数の洗浄液噴出ノズルのみが設けられる場合と比べて、複数の洗浄液噴出ノズルの長さを小さくすることができるので、その分、複数の洗浄液噴出ノズルを構成する部材の使用量を少なくすることができる。
【0021】
上記第1の局面による液体吸引機構において、好ましくは、液体吸引ノズルは、上下方向に延びるように配置され、容器の液体に浸される吸引口を有するノズル部と、ノズル部の上端と接続され、ノズル部を介して吸引部により上方向に流通される液体を下方向に流通するように湾曲された湾曲流路部を有する吸引流路部とを含む。このように構成すれば、ノズル部により吸引された液体が湾曲流路部の湾曲の頂点部分よりも下流側に流通されることにより、ノズル部により吸引された液体がノズル部に逆流するのを抑制することができる。
【0022】
上記筒形部を備える液体吸引機構において、好ましくは、液体吸引ノズルは、上下方向に延びるように配置され、容器の液体に浸される吸引口を有するノズル部と、ノズル部の上端と接続され、ノズル部を介して吸引部により上方向に流通される液体を下方向に流通するように湾曲された湾曲流路部を有する吸引流路部とを含み、液体吸引ノズルの湾曲流路部は、筒形部の内部から導出されるように構成されており、湾曲流路部が筒形部から導出される部分における湾曲流路部と筒形部との隙間をシールする樹脂製のシール部材をさらに備える。このように構成すれば、筒形部の内部に流通する洗浄液が湾曲流路部と筒形部との間の隙間から流出するのを抑制することができる。また、シール部材を樹脂により構成することによって、湾曲流路部と筒形部との間の隙間を金属製のシール部材によりシールした場合と比べて、シール部材が腐食するのを抑制することができるので、シール部材が腐食した際に生じる不純物が洗浄液に混じるのを抑制することができる。
【0023】
この場合において、好ましくは、シール部材は、湾曲流路部と筒形部とを互いに固定するように構成されている。このように構成すれば、シール部材のみにより、湾曲流路部と筒形部との間の隙間をシールしながら、湾曲流路部と筒形部との位置関係を固定することができる。
【0024】
この発明の第2の局面による試料分析装置は、容器に収容された試料を吸引するための試料吸引機構と、試料吸引機構により吸引された試料、および、試料吸引機構による吸引後に容器に残った試料のいずれか一方を用いて、試料中の所定の成分の分析を行う分析部とを備え、試料吸引機構は、容器に収容された試料を吸引するための液体吸引ノズルと、容器に収容された試料を、液体吸引ノズルを介して吸引する吸引部と、液体吸引ノズルが延びる方向に液体吸引ノズルの長手方向に沿って配置され、洗浄液を噴出するための噴出口が液体吸引ノズルの外周面に向けて設けられた洗浄液噴出ノズルと、洗浄液噴出ノズルの噴出口を介して液体吸引ノズルの外周面に洗浄液を供給する洗浄液供給部とを含む。
【0025】
この第2の局面による試料分析装置では、上記のように、洗浄液を噴出する噴出口が液体吸引ノズルの外周面に向けて設けられた洗浄液噴出ノズルを設けるとともに、その噴出口を介して液体吸引ノズルに洗浄液を供給する洗浄液供給部を設けることによって、より多くの量の洗浄液を確実に液体吸引ノズルの外周面に噴出することができるので、液体吸引ノズルの外周面をより効果的に洗浄することができる。
【0026】
上記第2の局面による試料分析装置において、好ましくは、所定の成分は、抗原または抗体である。このように構成すれば、抗原または抗体を分析可能な試料分析装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態による免疫分析装置の全体構成を示した平面図である。
【図2】図1に示した第1実施形態による免疫分析装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図3】図1に示した第1実施形態による免疫分析装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図4】図1に示した第1実施形態による免疫分析装置において使用されるピペットチップの正面図である。
【図5】図1に示した第1実施形態による免疫分析装置において使用されるキュベットの正面図である。
【図6】図1に示した第1実施形態による免疫分析装置の1次反応部を示した斜視図である。
【図7】図1に示した第1実施形態による免疫分析装置のBF分離部を示した斜視図である。
【図8】図1に示した第1実施形態による免疫分析装置のBF分離部を示した側面図である。
【図9】図1に示した第1実施形態による免疫分析装置のBF分離部の洗浄部を示した斜視図である。
【図10】図1に示した第1実施形態による免疫分析装置のBF分離部の洗浄部を示した断面図である。
【図11】図1に示した第1実施形態による免疫分析装置のBF分離部の洗浄部の下側部材の構造を説明するための断面図である。
【図12】図1に示した第1実施形態による免疫分析装置のBF分離部の洗浄部の下側部材およびノズル部材の構造を説明するための断面図である。
【図13】図1に示した第1実施形態による免疫分析装置のBF分離部のノズル洗浄部近傍を示した斜視図である。
【図14】図1に示した第1実施形態による免疫分析装置の測定フローを示した図である。
【図15】図1に示した第1実施形態による免疫分析装置で測定される検体の抗原と各種試薬との反応を示した模式図である。
【図16】図1に示した第1実施形態による免疫分析装置のBF分離部の分析動作を説明するための模式図である。
【図17】図1に示した第1実施形態による免疫分析装置のBF分離部の分析動作を説明するための模式図である。
【図18】本発明の第2実施形態による免疫分析装置のBF分離部を示した側面図である。
【図19】図18に示した第2実施形態による免疫分析装置のBF分離部の洗浄部を示した斜視図である。
【図20】図19に示した第2実施形態による免疫分析装置の洗浄部の吸引ノズルおよび噴出ノズルを説明するための拡大斜視図である。
【図21】図19に示した第2実施形態による免疫分析装置の洗浄部の吸引ノズルを示した平面図である。
【図22】図19に示した第2実施形態による免疫分析装置の洗浄部の噴出ノズルを示した平面図である。
【図23】図22に示した第2実施形態による免疫分析装置の洗浄部の噴出ノズルの側方噴出口を説明するための部分拡大図である。
【図24】図19に示した第2実施形態による免疫分析装置の洗浄部の吸引ノズルおよび噴出ノズルを説明するための断面図である。
【図25】図22に示した第2実施形態による免疫分析装置の洗浄部の噴出ノズルの側方噴出口と下方噴出口とを説明するための図である。
【図26】図19に示した第2実施形態による免疫分析装置の洗浄部の噴出ノズルから噴出される洗浄液の流れを説明するための図である。
【図27】図26に示した第2実施形態による免疫分析装置の洗浄部の噴出ノズルから噴出される洗浄液の流れを説明するための吸引ノズルおよび噴出ノズルを下面側から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
(第1実施形態)
まず、図1〜図14を参照して、本発明の第1実施形態による免疫分析装置1の全体構成について説明する。
【0030】
本発明の第1実施形態による免疫分析装置1は、血液などの検体を用いてB型肝炎、C型肝炎、腫瘍マーカおよび甲状腺ホルモンなど種々の項目の検査を行うための装置である。この免疫分析装置1は、図1に示すように、検体である血液の測定を行う機能を有する測定ユニット2と、測定ユニット2から出力された測定結果を分析して分析結果を得るデータ処理ユニット150とにより構成されている。測定ユニット2は、図1および図2に示すように、検体搬送部(サンプラ)10と、緊急検体・チップ搬送部20と、ピペットチップ供給装置30と、チップ脱離部40と、検体分注アーム50と、試薬設置部60aおよび60bと、1次反応部70および2次反応部80と、試薬分注アーム90と、BF分離部100および110と、検出部120とから主に構成されている。なお、第1実施形態による免疫分析装置1は、検体分注アーム50により吸引および吐出された血液などの検体が他の検体と混ざり合うのを抑制するために、検体の吸引および吐出を行う度に、使い捨てのピペットチップ3(図4参照)の交換を行うように構成されている。
【0031】
この免疫分析装置1は、測定対象である血液などの検体に含まれる抗原に結合した捕捉抗体(R1試薬)に磁性粒子(R2試薬)を結合させた後に、結合(Bound)した抗原、捕捉抗体および磁性粒子をBF(Bound Free)分離部100の磁石101b(図14参照)に引き寄せることにより、未反応(Free)の捕捉抗体を含むR1試薬を除去するように構成されている。そして、免疫分析装置1は、磁性粒子が結合した抗原と標識抗体(R3試薬)とを結合させた後に、結合(Bound)した磁性粒子、抗原および標識抗体をBF分離部110の磁石に引き寄せることにより、未反応(Free)の標識抗体を含むR3試薬を除去する。さらに、標識抗体との反応過程で発光する発光基質(R5試薬)を添加した後、標識抗体と発光基質との反応によって生じる発光量を測定する。このような過程を経て、標識抗体に結合する検体に含まれる抗原を定量的に測定している。
【0032】
また、測定ユニット2における各機構(各種分注アーム、BF分離部100および110など)は、図3に示すように、測定ユニット2に設けられた測定制御部2aにより制御される。なお、各種分注アーム、BF分離部100および110(図1および図2参照)など、各ユニットの構成については後に詳細に説明する。
【0033】
測定制御部2aは、CPU2bと、ROM2cと、RAM2dと、入出力インタフェース2eと、通信インタフェース2fとから主として構成されている。CPU2b、ROM2c、RAM2d、入出力インタフェース2eおよび通信インタフェース2fは、それぞれ、バス2gにより接続されている。
【0034】
CPU2bは、ROM2cに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM2dに読み出されたコンピュータプログラムを実行することが可能である。ROM2cは、CPU2bに実行させるためのコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータなどを記憶している。RAM2dは、ROM2cに記憶しているコンピュータプログラムの読み出しに用いられるとともに、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU2bの作業領域として利用される。
【0035】
入出力インタフェース2eは、たとえば、USB、IEEE1394などのシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインタフェース、および、D/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインタフェースなどから構成されている。入出力インタフェース2eには、バーコードリーダ4が接続されている。検体を収容する試験管5や、複数の試験管5が載置されるラック6には、試験管5内の検体やラック6を特定するための情報を記録したバーコードが付されており、バーコードリーダ4は、これら試験管5やラック6に付されたバーコードを読み取る機能を有する。
【0036】
通信インタフェース2fは、たとえば、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース2fは、所定の通信プロトコルを使用して、測定制御部2とデータ処理ユニット150との間でデータを送受信することが可能なように構成されている。
【0037】
検体搬送部10は、図1および図2に示すように、検体を収容した複数の試験管5が載置されたラック6を検体分注アーム50の吸引位置に対応する位置まで搬送するように構成されている。この検体搬送部10は、未処理の検体を収容した試験管5が載置されたラック6をセットするためのラックセット部10aと、分注処理済みの検体を収容した試験管5が載置されたラック6を貯留するためのラック貯留部10bとを有している。そして、未処理の検体を収容した試験管5を検体分注アーム50の吸引位置1aに対応する位置まで搬送することにより、検体分注アーム50により試験管5内の血液などの検体の吸引が行われて、その試験管5を載置したラック6がラック貯留部10bに貯留される。
【0038】
緊急検体・チップ搬送部20は、検体搬送部10により搬送される検体に割り込んで検査する必要がある緊急検体を収容した試験管5を検体分注アーム50の装着位置まで搬送するように構成されている。この緊急検体・チップ搬送部20は、X方向に延びるように設けられたスライドレール21と、スライドレール21に沿って移動可能な搬送ラック22とを含んでいる。また、搬送ラック22には、緊急の検体が収容された試験管4を載置するためのチップ設置部22aが設けられている。
【0039】
ピペットチップ供給装置30は、投入したピペットチップ3(図4参照)を1つずつ緊急検体・チップ搬送部20の搬送ラック22のチップ設置部22aに載置する機能を有している。チップ脱離部40(図1参照)は、検体分注アーム50に装着されたピペットチップ3(図4参照)を脱離するために設けられている。
【0040】
検体分注アーム50は、検体搬送部10により吸引位置に搬送された試験管5内の検体を、後述する1次反応部70の回転テーブル部71の保持部71aに保持されるキュベット7(図5参照)内に分注する機能を有している。この検体分注アーム50は、アーム部51を、軸52を中心に回動させるとともに、上下方向に移動させることが可能なように構成されている。また、アーム部51の先端部には、検体の吸引および吐出を行うノズル部(図示せず)が設けられており、このノズル部(図示せず)の先端には、緊急検体・チップ搬送部20の搬送ラック22により搬送されるピペットチップ3(図4参照)が装着される。
【0041】
試薬設置部60aは、捕捉抗体を含むR1試薬が収容される試薬ビン8a(図1参照)および標識抗体を含むR3試薬が収容される試薬ビン8b(図1参照)を設置するように構成されている。この試薬設置部60aは、設置された試薬ビン8aおよび試薬ビン8bをそれぞれ所定の位置に搬送するために回転可能に構成されている。
【0042】
試薬設置部60bは、磁性粒子を含むR2試薬が収容される試薬ビン8c(図1参照)を設置するように構成されている。この試薬設置部60bは、設置された試薬ビン8cをそれぞれ所定の位置に搬送するために回転可能に構成されている。
【0043】
1次反応部70は、回転テーブル部71の保持部71aに保持されるキュベット7を所定の期間毎に所定の角度だけ回転移送するとともに、キュベット7内の検体、R1試薬およびR2試薬を攪拌するために設けられている。つまり、1次反応部70は、キュベット7内で磁性粒子を有するR2試薬と検体中の抗原とを反応させるために設けられている。この1次反応部70は、検体とR1試薬およびR2試薬とが収容されるキュベット7を回転方向に搬送するための回転テーブル部71と、キュベット7内の検体、R1試薬およびR2試薬を攪拌するとともに、攪拌された検体、R1試薬およびR2試薬が収容されたキュベット7を後述するBF分離部100に搬送する容器搬送部72とから構成されている。
【0044】
また、容器搬送部72は、回転テーブル部71の中心部分に回転可能に設置されている。この容器搬送部72は、回転テーブル部71の保持部71aに保持されるキュベット7を把持するとともにキュベット7内の試料を攪拌する機能を有している。さらに、容器搬送部72は、検体、R1試薬およびR2試薬を攪拌してインキュベーションした試料を収容したキュベット7をBF分離部100に搬送する機能も有している。容器搬送部72は、図6に示すように、キュベット7を把持するとともに攪拌する攪拌部721と、攪拌部721を上下方向に移動させるための上下移動機構部722と、攪拌部721および上下移動機構部722を回転テーブル部71の中心から外側まで移動させるための前後移動機構部723とから構成されている。
【0045】
攪拌部721は、キュベット7の胴部7a(図5参照)を把持するための一対の板部材721aと一対の板部材721aに掛け渡されたコイルバネ721bとからなるチャック部721cと、チャック部721cを支持するための支持部材721dと、支持部材721dに一体的に設けられるモータ取付部721eに取り付けられるモータ721fと、モータ721fの軸に回転可能に取り付けられる偏心重り721gとを有している。このため、チャック部721cの板部材721aの間に配置されたキュベット7はコイルバネ721bの付勢力により把持される。そして、チャック部721cによりキュベット7が把持された状態で、モータ721fが駆動することにより、キュベット7内の試料が攪拌される。具体的には、モータ721fが駆動することにより、偏心重り721gが回転して、偏心重り721gおよびモータ721fが旋回振動する。これにより、偏心重り721gおよびモータ721fの振動がチャック部721cに把持されるキュベット7に伝達するので、キュベット7内の試料を攪拌することが可能となる。
【0046】
上下移動機構部722は、前後移動機構部723の移動部材723cに設けられており、前後移動機構部723と一体的に前後方向に移動可能に構成されている。この上下移動機構部722は、駆動源となるモータ722aと、モータ722aに接続されるプーリ722bと、プーリ722bと所定の間隔を隔てて配置されるプーリ722cと、プーリ722bおよびプーリ722cに装着される駆動伝達ベルト722dと、駆動伝達ベルト722dに連結される移動部材722eと、移動部材722eに取り付けられるスライド本体722fおよび後述する前後移動機構部723に取り付けられるスライドレール722gからなる直動ガイドと、遮光センサ722hとから構成されている。また、移動部材722eには、遮光センサ722hにより検出される検出片722iが一体的に形成されている。そして、移動部材722eには、上記した攪拌部721が設けられている。したがって、モータ722aが駆動することにより、プーリ722bを介して、駆動伝達ベルト722dが駆動されるので、駆動伝達ベルト722dに連結される移動部材722eが上下方向(Z方向)に移動される。このため、移動部材722eに設けられる攪拌部721が上下方向に移動されるので、攪拌部721のチャック部721cに把持されるキュベット7を上下方向に移動することが可能となる。
【0047】
前後移動機構部723は、駆動源となるモータ723aと、モータ723aの駆動に伴って駆動する駆動伝達ベルト723bと、駆動伝達ベルト723bに連結される移動部材723cと、移動部材723cを回転テーブル部71の中心から外側に向かって移動させる図示しない直動ガイドと、遮光センサ723dとから構成されている。また、移動部材723cには、遮光センサ723dによって検出される検出片723eが設けられている。したがって、モータ723aが駆動することにより、駆動伝達ベルト723bが駆動されるので、駆動伝達ベルト723bに連結される移動部材723cが前後方向に移動される。このため、移動部材723cに設けられる上下移動機構部722が前後方向移動されるので、上下移動機構部722の移動部材722eに設けられる攪拌部721を前後方向に移動することが可能となる。
【0048】
試薬分注アーム90aは、図1および図2に示すように、試薬設置部60aに設置される試薬ビン8a内のR1試薬を吸引するとともに、その吸引したR1試薬を1次反応部70の検体が分注されたキュベット7内に分注するための機能を有している。この試薬分注アーム90aは、アーム部91aを、軸91bを中心に回動させるとともに、上下方向に移動させることが可能なように構成されている。また、アーム部91aの先端部には、試薬ビン8a内のR1試薬の吸引および吐出を行うためのノズル(図示せず)が取り付けられており、ノズル(図示せず)が試薬ビン8a内のR1試薬を吸引した後、検体が分注されたキュベット7内に吸引されたR1試薬が分注される。
【0049】
試薬分注アーム90bは、試薬設置部60bに設置される試薬ビン8c内のR2試薬を1次反応部70の検体およびR1試薬が分注されたキュベット7内に分注するための機能を有している。この試薬分注アーム90bは、アーム部92aを、軸92bを中心に回動させるとともに、上下方向に移動させることが可能なように構成されている。また、アーム部92aの先端部には、試薬ビン8c内のR2試薬の吸引および吐出を行うためのノズル(図示せず)が取り付けられており、ノズル(図示せず)が試薬ビン8c内のR2試薬を吸引した後、検体が分注されたキュベット7内に吸引されたR2試薬が分注される。
【0050】
BF分離部100は、1次反応部70の容器搬送部72によって搬送されたキュベット7(図5参照)内の試料から未反応のR1試薬(不要成分)と磁性粒子とを分離するために設けられている。また、第1実施形態では、BF分離部100は、4回の洗浄工程を経てキュベット7内の未反応のR1試薬(不要成分)を除去するとともに、未反応のR1試薬(不要成分)と磁性粒子とを分離するように構成されている。BF分離部100は、図7に示すように、キュベット7を設置するとともに回転方向に搬送するための集磁部101と、キュベット7内の試料を攪拌するための4つの攪拌機構部102(4つのうち3つの攪拌機構部102を図示)と、キュベット7内の試料を吸引するとともに洗浄液を吐出する第1分離機構部103、第2分離機構部104、第3分離機構部(図示せず)および第4分離機構部105と、ノズル洗浄部106とを含んでいる。
【0051】
また、図7および図8に示すように、BF分離部100は、グリスチャンバ100aを介して第1分離機構部103、第2分離機構部104、第3分離機構部(図示せず)および第4分離機構部105にそれぞれ接続された廃棄容器100bと、バルブ100cの開閉によって陽圧または陰圧を切替可能に供給する空圧源100dとを含んでいる。この空圧源100dから供給される陰圧によって、キュベット7内の試料や洗浄液が第1分離機構部103、第2分離機構部104、第3分離機構部(図示せず)および第4分離機構部105のそれぞれから廃棄容器100bまで吸引される。グリスチャンバ100aは、吸引された試料や洗浄液に混入した空気(気泡)をシリコングリスなどの消泡剤を用いて取り除く機能を有する。また、BF分離部100は、第1分離機構部103、第2分離機構部104、第3分離機構部(図示せず)および第4分離機構部105の各々に接続された洗浄液タンク100eと、バルブ100fの開閉によって陽圧および陰圧を切替可能に供給する空圧源100gとを含んでいる。
【0052】
なお、第1実施形態では、第1分離機構部103は、1回目のキュベット7内の洗浄工程を行うために設けられており、第2分離機構部104は、2回目のキュベット7内の洗浄工程を行うために設けられている。また、第3分離機構部(図示せず)は、3回目のキュベット7内の洗浄工程を行うために設けられており、第4分離機構部105は、4回目のキュベット7内の洗浄工程を行うために設けられている。すなわち、第1分離機構部103は、不要成分が多いキュベット7に特化して不要成分を分離するように構成されており、第2分離機構部104は、不要成分がやや多いキュベット7に特化して不要成分を分離するように構成されている。また、第3分離機構部(図示せず)は、不要成分が少ないキュベット7に特化して不要成分を分離するように構成されており、第4分離機構部105は、不要成分が殆ど除去されたキュベット7に特化して不要成分を分離するように構成されている。
【0053】
第1実施形態では、集磁部101は、回転可能に構成される設置部101aと、キュベット7内の磁性粒子を集磁するための磁石101b(図14参照)とを含んでいる。設置部101aには、6つのキュベット挿入穴101cが約60°の角度間隔で設けられている。そして、磁石101b(図14参照)は、キュベット挿入穴101cに配置されたキュベット7の側方に位置するように、設置部101aの内部に取り付けられている。また、第1実施形態では、集磁部101は、60度ずつ回転されることにより、6つのキュベット挿入穴101cに設置されるキュベット7を、後述する第1分離機構部103、第2分離機構部104、第3分離機構部(図示せず)および第4分離機構部105のノズル部材103dに対応する位置に移動することが可能である。
【0054】
また、4つの攪拌機構部102は、それぞれ、前後方向(Y方向)に延びるスライドレール107に沿って前後方向に移動可能に設けられている。そして、攪拌機構部102は、それぞれ、上下方向(Z方向)に延びるスライドレール102aとスライド本体102bとからなる直動ガイドと、スライド本体102bに取り付けられる攪拌部102cとから構成されている。すなわち、各攪拌部102cは、それぞれ、スライドレール102aに沿って上下方向に一体的に移動するように構成されている。
【0055】
そして、第1実施形態では、攪拌部102cは、集磁部101のキュベット挿入穴101cに配置されるキュベット7を持ち上げて、集磁しない状態で攪拌する機能を有している。この攪拌部102cは、キュベット7を把持するチャック部102dと、スライド本体102bに設けられるモータ支持部102eと、モータ支持部102eに支持されるモータ102fと、モータ102fの軸に取り付けられる偏心重り102gとを含んでいる。
【0056】
第1分離機構部103、第2分離機構部104、第3分離機構部(図示せず)および第4分離機構部105は、それぞれ、上記したスライドレール107に沿って前後方向(Y方向)に移動可能に設けられている。また、第1分離機構部103、第2分離機構部104、第3分離機構部(図示せず)および第4分離機構部105は、それぞれ、独立して上下方向に移動可能に構成されている。
【0057】
そして、第1分離機構部103は、モータ103a(図8参照)と、モータ103aの駆動に伴って上下方向に移動する移動部材103bと、移動部材103bに設けられる洗浄部103cとを含んでいる。この洗浄部103cは、集磁部101のキュベット挿入穴101cに配置されるキュベット7に洗浄液を供給して排出する機能を有している。具体的には、第1実施形態では、洗浄部103cは、図9および図10に示すように、キュベット7(図10参照)に収容された不要成分を吸引するためのノズル部材103dを含んでいる。図8に示すように、ノズル部材103dは、ホース108aを介して吸引流路103eに接続されている。吸引流路103eは、バルブ103uを介してグリスチャンバ100aと接続されている。キュベット7(図10参照)に収容された不要成分は、空圧源100dから供給される陰圧によってノズル部材103dにより吸引されるとともに、ホース108a、吸引流路103eおよびグリスチャンバ100aを通過して廃棄容器100bに移送されるように構成されている。このノズル部材103dによる不要成分の吸引は、吸引流路103eとグリスチャンバ100aとを接続するバルブ103u、および、空圧源100dと廃棄容器100bとの間に設けられたバルブ100cの開閉を制御することによって行われる。さらに、洗浄部103cは、ノズル部材103dを環状に取り囲むように設けられた複数(18箇所)の噴出口103fを有し、噴出口103fから洗浄液を噴出可能な噴出部材103gを含んでいる。図8に示すように、噴出部材103gは、ホース108bを介してバルブ103hに接続されている。このバルブ103hは、モータ103wにより駆動されるシリンジポンプ103vと接続されている。また、シリンジポンプ103vは、バルブ103xを介して洗浄液タンク100eに接続されている。洗浄液は、バルブ103h、103xおよび100fの開閉を制御するとともに、モータ103wを駆動することによって、洗浄液タンク100eからシリンジポンプ103vを介して噴出部材103gへ供給されるように構成されている。
【0058】
第1実施形態では、ノズル部材103dは、図10に示すように、上下方向に延びるように配置され、キュベット7の不要成分(液体)に浸される吸引口103iを有するノズル部103jと、ノズル部103jの上端と接続され、上方向に流通される不要成分をさらに上方に移動させる直線流路部103k、および、上方向に流通される不要成分を下方向に流通するように湾曲された湾曲流路部103lを有する吸引流路部103mとを有している。なお、ノズル部材103dは耐食性に優れるステンレス鋼により形成されている。
【0059】
ノズル部103jは、吸引流路部103mの直線流路部103kを絞るようにして形成されており、直線流路部103kよりも細い内径を有する。これにより、ノズル部103jにより吸引された不要成分は、毛細管現象などにより、下方に流通し難くなる。また、ノズル部103jの内周面には、フッ素樹脂を分散させためっきが施されており、ノズル部103jの内周面は、不要成分が付着し難いように構成されている。また、ノズル部103jの吸引口103iは、ノズル部103jの下端部がノズル部103jの長手方向に対して傾斜するようにカットされることにより形成されている。つまり、吸引口103iは、ノズル部103jの下端部が鋭角の先端形状になるように形成されており、ノズル部103jがキュベット7に挿入された際に、ノズル部103jの下端部の鋭角の先端形状部分がキュベット7の底面に当接するように構成されている。これにより、キュベット7の不要成分がキュベット7の底面に残るのを抑制しながら吸引することが可能となる。吸引流路部103mの湾曲流路部103lは、上に突出するUの字状に形成されており、湾曲流路部103lの頂点部分を通過した不要成分が直線流路部103k側に戻るのを抑制する機能を有する。
【0060】
また、湾曲流路部103lには、図8に示すように、ホース108aが接続されており、ノズル部材103dにより吸引された不要成分は、ホース108aを介して吸引流路103eに吸引される。
【0061】
また、第1実施形態では、図10に示すように、噴出部材103gは、ノズル部材103dの中心軸線L1と同軸線を中心とする筒形状を有する。具体的には、噴出部材103gは、下側部材103nと、中間部材103oと、上側部材103pとを含んでおり、下側部材103n、中間部材103oおよび上側部材103pがそれぞれ接続されることにより構成されている。
【0062】
第1実施形態では、図11および図12に示すように、下側部材103nは、円筒形状の内側部材103qと、内側部材103qを所定の間隔を隔てて覆う外側部材103rと、内側部材103qと外側部材103rとの間に環状に配置された複数(18本)の管部材103sとを含んでいる。内側部材103q、外側部材103rおよび複数の管部材103sは、それぞれ、ノズル部材103d(図10参照)が延びる方向と同じ方向に延びるように設けられており、複数の管部材103sは、それぞれ、内側部材103qを介してノズル部材103dの外周面に沿って環状に設けられている。
【0063】
また、第1実施形態では、図12に示すように、上記した複数の噴出口103fは、それぞれ、複数の管部材103sの下端部の開口からなる。また、複数の管部材103sは、互いに密着した状態でノズル部材103dの外周面に沿って環状に配置されており、複数の管部材103sの下端部の噴出口103fも、管部材103sと同様に、互いに密着した構造を有している。
【0064】
また、第1実施形態では、図10および図12に示すように、噴出部材103gの下側部材103nの複数の噴出口103fが設けられている側の端面(下側部材103nの下端面)は、ノズル部材103dが設けられている側である内側が外側よりも上側(上流側)に窪んだ形状を有する。具体的には、下側部材103nの下端面は、ノズル部材103dに近い側が洗浄液の流れの上流側に位置し、ノズル部材103dから遠い側が洗浄液の流れの下流側に位置するように、下側部材103nの外周側からノズル部材103dの中心軸線L1側に傾斜するように構成されている。下側部材103nの下端面と中心軸線L1との傾斜角度は、所定の角度α(約60°(図12参照))を有しており、管部材103sを介して噴出口103fから噴出される洗浄液がノズル部材103dの外周面に向かって噴出される角度になるように調整されている。
【0065】
中間部材103oは、図9および図10に示すように、円筒形状を有しており、下側部材103nの外側部材103rの外周部分を挿入可能に構成されている。中間部材103oは、下側部材103nが挿入された状態で、中間部材103oの外周面と下側部材103nの外周面との隙間を接着することにより、下側部材103nと固定されている。
【0066】
上側部材103pは、上側部分が下側部分よりも小さい径を有するように絞られた筒形状を有している。そして、上側部材103pは、中間部材103oの上側に挿入されている。また、上側部材103pの下側部分には、図10に示すように、切欠部103tが形成されている。第1実施形態では、この切欠部103tは、ノズル部材103dの湾曲流路部103lを挿入可能に構成されており、ノズル部材103dの湾曲流路部103lを、噴出部材103gの内部から導出可能に構成されている。具体的には、湾曲流路部103lは、上側部材103pの切欠部103tと中間部材103oの上端部との間から噴出部材103gの外側に導出されている。また、切欠部103tと湾曲流路部103lとの隙間、中間部材103oの上端部と湾曲流路部103lとの隙間、および、上側部材103pと中間部材103oとの隙間には、シール部材109が設置されている。これにより、上側部材103p(噴出部材103g)を流通する洗浄液が外部に漏れるのを抑制することが可能となる。また、シール部材109は、エポキシ樹脂により形成されており、上側部材103p(噴出部材103g)を流通する洗浄液が外部に漏れるのを抑制するのみならず、上側部材103p、中間部材103oおよび湾曲流路部103lを互いに固定する機能を有する。
【0067】
また、上側部材103pには、図8に示すように、ホース108bが接続されており、シリンジポンプ103vから供給される洗浄液は、ホース108bを介して噴出部材103gに供給される。
【0068】
シリンジポンプ103vは、モータ103wによって駆動されることにより、洗浄液タンク100e内の洗浄液を第1分離機構部103(シリンジポンプ103v)まで吸引する機能と、シリンジポンプ103v内に吸引された洗浄液を、噴出部材103gまで所定の圧力で供給する機能とを有する。具体的には、バルブ100fを開いて空圧源100gから洗浄液タンク100eに陽圧を供給した状態で、バルブ103xを開くとともにモータ103wを用いてシリンジポンプ103vを吸引側に駆動することによって、洗浄液が洗浄液タンク100eからシリンジポンプ103v内に吸引される。また、シリンジポンプ103v内に洗浄液を満たした状態で、バルブ103xを閉じるとともにバルブ103hを開放し、モータ103wによりシリンジポンプ103vを吐出側に駆動することにより、洗浄液がバルブ103hからホース108bを介して噴出部材103gに供給される。
【0069】
図10に示すように、上記のように噴出部材103gを構成することによって、シリンジポンプ103v(図8参照)から供給された洗浄液を噴出口103fに導くための複数の流路(管部材103s)を設けることが可能となるとともに、複数の流路の上端に接続され、シリンジポンプ103vから供給された洗浄液を各流路(各管部材103s)に導くための単一の流路(中間部材103oおよび上側部材103p)を設けることが可能となる。
【0070】
ここで、第1実施形態では、図7に示すように、第2分離機構部104、第3分離機構部(図示せず)および第4分離機構部105は、第1分離機構部103と同様の構成を有しており、第1分離機構部103の洗浄部103cと同じ構造の洗浄部103c(図9および図10参照)を有している。
【0071】
また、ノズル洗浄部106は、図13に示すように、第1分離機構部103、第2分離機構部104、第3分離機構部(図示せず)および第4分離機構部105のノズル部材103dを洗浄するために設けられている。具体的には、ノズル洗浄部106は、集磁部101の後方に設けられており、各ノズル部材103dが挿入可能な孔部106aを有している。各ノズル部材103dは、それぞれ、スライドレール107に沿って前後方向に移動可能に構成されており、集磁部101でキュベット7内の不要成分を吸引した後に、ノズル洗浄部106に移動可能に構成されている。そして、ノズル洗浄部106は、各ノズル部材103dが移動された後に、ノズル洗浄部106の孔部106aにノズル部材103dを挿入した状態で、噴出部材103gの噴出口103f(図10参照)から噴出される洗浄液を受け止めるとともに廃棄するように構成されている。これにより、シリンジポンプ103v(図8参照)から供給される洗浄液により、ノズル部材103dに付着した検体やR1試薬からなる不要成分を洗い流すことが可能となる。その結果、ノズル部材103dを次のキュベット7(図5参照)内に挿入した場合でも、前のキュベット7の不要成分を持ち込むのを抑制することが可能となる。なお、第1実施形態では、第1分離機構部103および第2分離機構部104では、ノズル部材103dは2回洗浄されるように構成されているとともに、第3分離機構部(図示せず)および第4分離機構部105では、ノズル部材103dは1回だけ洗浄されるように構成されている。
【0072】
未反応のR1試薬などが分離されたBF分離部100の集磁部101のキュベット7(図5参照)は、搬送機構130により2次反応部80の回転テーブル部81の保持部81aに搬送される。搬送機構130は、先端にキュベット把持部(図示せず)を有するアーム部131aが軸131bを中心に回動されるとともに、上下方向に移動することが可能なように構成されている。
【0073】
2次反応部80は、1次反応部70と同様の構成を有しており、回転テーブル部81の保持部81aに保持されるキュベット7を所定の期間毎に所定の角度だけ回転移送するとともに、キュベット7内の検体、R1試薬、R2試薬、R3試薬およびR5試薬を攪拌するために設けられている。つまり、2次反応部80は、キュベット7内で標識抗体を有するR3試薬と検体中の抗原とを反応させるとともに、発光基質を有するR5試薬とR3試薬の標識抗体とを反応させるために設けられている。この2次反応部80は、検体、R1試薬、R2試薬、R3試薬およびR5試薬が収容されるキュベット7を回転方向に搬送するための回転テーブル部81と、キュベット7内の検体、R1試薬、R2試薬、R3試薬およびR5試薬を攪拌するとともに、攪拌された検体などが収容されたキュベット7を後述するBF分離部110に搬送する容器搬送部82とから構成されている。さらに、容器搬送部82は、BF分離部110により処理されたキュベット7を再び回転テーブル部81の保持部81aに搬送する機能を有している。なお、2次反応部80の詳細構造は、1次反応部70と同様であるので、その説明を省略する。
【0074】
試薬分注アーム90cは、試薬設置部60aに設置される試薬ビン8b内のR3試薬を吸引するとともに、その吸引されたR3試薬を2次反応部80の検体、R1試薬およびR2試薬が分注されたキュベット7内に分注するための機能を有している。この試薬分注アーム90cは、アーム部93aを、軸93bを中心に回動させるとともに、上下方向に移動させることが可能なように構成されている。また、アーム部93aの先端部には、試薬ビン8b内のR3試薬の吸引および吐出を行うためのノズル(図示せず)が取り付けられており、試薬分注アーム90cは、ノズル(図示せず)が試薬ビン8b内のR3試薬を吸引した後、検体、R1試薬およびR2試薬が分注されたキュベット7内に吸引されたR3試薬を分注する機能を有する。
【0075】
BF分離部110(図1および図2参照)は、BF分離部100と同様の構成を有しており、2次反応部80の容器搬送部82によって搬送されたキュベット7(図5参照)内の試料から未反応のR3試薬(不要成分)と磁性粒子とを分離するために設けられている。なお、BF分離部110の詳細構造は、BF分離部100と同様であるので、その説明を省略する。
【0076】
R5試薬分注アーム90dは、図示しないノズル部を上下方向に移動可能に構成されており、R5試薬を2次反応部80の回転テーブル81に保持されたキュベット内に供給(分注)するために設けられている。
【0077】
検出部120は、所定の処理が行なわれた検体の抗原に結合する標識抗体と発光基質との反応過程で生じる光を光電子増倍管(Photo Multiplier Tube)で取得することにより、その検体に含まれる抗原の量を測定するために設けられている。この検出部120には、2次反応部80の回転テーブル部81の保持部81aに保持されるキュベット7(図5参照)を搬送するための搬送機構部121が設けられている。
【0078】
次に、データ処理ユニット150の構成について説明する。データ処理ユニット150は、パーソナルコンピュータ(PC)などからなり、CPU、ROM、RAMなどからなる制御部150a(図3参照)と、表示部150b(図1および図3参照)と、キーボード150c(図1および図3参照)とを含んでいる。また、表示部150bは、測定ユニット2から送信されたデジタル信号のデータを分析して得られた分析結果などを表示するために設けられている。制御部150aは、図3に示すように、CPU151aと、ROM151bと、RAM151cと、ハードディスク151dと、読出装置151eと、入出力インタフェース151fと、通信インタフェース151gと、画像出力インタフェース151hとから主として構成されている。CPU151a、ROM151b、RAM151c、ハードディスク151d、読出装置151e、入出力インタフェース151f、通信インタフェース151g、および画像出力インタフェース151hは、それぞれ、バス151iによって接続されている。
【0079】
CPU151aは、ROM151bに記憶されているコンピュータプログラムおよびRAM151cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するようなアプリケーションプログラム152aをCPU151aが実行することにより、コンピュータ151がデータ処理ユニット150として機能する。
【0080】
ROM151bは、マスクROM、PROM、EPROM、EEPROMなどによって構成されており、CPU151aに実行されるコンピュータプログラムおよびこれに用いるデータなどが記録されている。
【0081】
RAM151cは、SRAMまたはDRAMなどによって構成されている。RAM151cは、ROM151bおよびハードディスク151dに記録されているコンピュータプログラムの読み出しに用いられる。また、これらのコンピュータプログラムを実行するときに、CPU151aの作業領域として利用される。
【0082】
ハードディスク151dは、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムなど、CPU151aに実行させるための種々のコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムの実行に用いるデータがインストールされている。第1実施形態に係る免疫分析用のアプリケーションプログラム152aも、このハードディスク151dにインストールされている。CPU151aは、この免疫分析用のアプリケーションプログラム152aを実行することにより、測定ユニット2から送信された測定用試料の発光量(デジタル信号のデータ)に基づいて、測定用試料の抗原または抗体の量を測定する。
【0083】
読出装置151eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブなどによって構成されており、可搬型記録媒体152に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体152には、免疫分析用のアプリケーションプログラム152aが格納されており、CPU151aがその可搬型記録媒体152からアプリケーションプログラム152aを読み出し、そのアプリケーションプログラム152aをハードディスク151dにインストールすることが可能である。
【0084】
なお、上記アプリケーションプログラム152aは、可搬型記録媒体152によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によって制御部150aと通信可能に接続された外部の機器から上記電気通信回線を通じて提供することも可能である。たとえば、上記アプリケーションプログラム152aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにCPU151aがアクセスして、そのアプリケーションプログラム152aをダウンロードし、これをハードディスク151dにインストールすることも可能である。
【0085】
また、ハードディスク151dには、たとえば、米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)などのグラフィカルユーザインタフェース環境を提供するオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、第1実施形態に係るアプリケーションプログラム152aは上記オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0086】
入出力インタフェース151fは、たとえば、USB、IEEE1394、RS−232Cなどのシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284などのパラレルインタフェース、およびD/A変換器、A/D変換器などからなるアナログインタフェースなどから構成されている。入出力インタフェース151fには、キーボード150cが接続されており、ユーザがそのキーボード150cを使用することにより、コンピュータ151にデータを入力することが可能である。
【0087】
通信インタフェース151gは、たとえば、Ethernet(登録商標)インタフェースである。CPU151aは、その通信インタフェース151gにより、所定の通信プロトコルを使用して測定ユニット2との間でデータの送受信が可能である。
【0088】
画像出力インタフェース151hは、LCDまたはCRTなどで構成された表示部150bに接続されており、CPU151aから与えられた画像データに応じた映像信号を表示部150bに出力するようになっている。表示部150bは、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。表示部150bは、装置に各種指示を行うためのボタンを表示するように構成されており、このボタンが選択されることにより、装置はそのボタンに対応する処理を行うように構成されている。この表示部150bにおいて、使用者は装置に対する測定開始または中止の指示、装置の設定、および、試薬の交換または取出しの指示などの操作を行うことができる。表示部150bは、タッチパネルにより構成されており、使用者が表示部150bに表示されたボタンを直接触れることによりボタンを選択することが可能である。また、ボタンは、マウスなど(図示せず)により移動可能なポインタにより選択することも可能に構成されている。
【0089】
次に、図1、図4〜図7、図9、図10および図13〜図17を参照して、本発明の第1実施形態による免疫分析装置の分析動作について説明する。
【0090】
(キュベット供給工程)
まず、図1に示すように、キュベット7(図5参照)は、1次反応部70の回転テーブル部71の保持部71aに搬送される。
【0091】
(R1試薬分注工程)
そして、試薬分注アーム90aは、試薬設置部60aに設置される試薬ビン8a内のR1試薬を吸引した後、1次反応部70側に回動して、キュベット7に吸引した所定量のR1試薬を吐出する。なお、図14および図15に示すように、R1試薬には、検体に含まれる抗原に結合する捕捉抗体が含まれている。
【0092】
(検体分注工程)
そして、検体分注アーム50は、緊急検体・チップ搬送部20の搬送ラック22に搬送されるピペットチップ3(図4参照)を装着した後、検体搬送部10により吸引位置まで搬送されたラック6に載置される試験管5から血液などの検体を吸引する。そして、検体分注アーム50が1次反応部70側に回動するとともに、回転テーブル部71の保持部71aのR1試薬を収容したキュベット7に、吸引した所定量の検体を吐出する。
【0093】
(R1試薬および検体の攪拌工程)
そして、図6に示した1次反応部70の容器搬送部72が、R1試薬および検体が収容されたキュベット7を攪拌する。具体的には、容器搬送部72を回転させることにより、攪拌部721のチャック部721cを回転テーブル部71の保持部71aに保持されるキュベット7に対向するように配置して、容器搬送部72の攪拌部721を回転テーブル部71の中心から外側に向かって移動させる。これにより、攪拌部721のチャック部721cにより、R1試薬および検体が収容されたキュベット7が把持される。そして、上下移動機構部722のモータ722aを駆動することにより、キュベット7を把持したチャック部721cを上方に持ち上げた後、攪拌部721のモータ721fを駆動する。これにより、偏心重り721gおよびモータ721fの旋回振動がチャック部721cに把持されるキュベット7内のR1試薬および検体に伝達するので、キュベット7内のR1試薬および検体が攪拌される。
【0094】
(インキュベーション工程(図14および図15に示した反応1))
そして、攪拌されたR1試薬および検体は、所定の角度だけ回転する回転テーブル部71の保持部71aのキュベット7内で、所定時間インキュベーションされる。すなわち、キュベット7が回転移送される間に、捕捉抗体(R1試薬)と検体の抗原とが結合する。
【0095】
(R2試薬分注工程)
そして、試薬分注アーム90bは、試薬設置部60bに設置される試薬ビン8c内のR2試薬を吸引した後、1次反応部70側に回動して、所定時間インキュベーションされたR1試薬および検体を収容するキュベット7に、吸引した所定量のR2試薬を吐出する。なお、図14および図15に示すように、R2試薬には、検体中の抗原が結合した捕捉抗体に結合する磁性粒子が含まれている。
【0096】
(R2試薬および検体の攪拌工程)
そして、1次反応部70の容器搬送部72が、上述したR1試薬および検体の攪拌工程と同様にして、R1試薬、検体およびR2試薬が収容されたキュベット7を攪拌する。
【0097】
(インキュベーション工程(図14および図15に示した反応2))
そして、攪拌されたR1試薬、検体およびR2試薬は、回転テーブル部71の保持部71aのキュベット7内で、所定時間インキュベーションされる。すなわち、キュベット7が回転移送される間に、磁性粒子(R2試薬)と検体の抗原が結合した捕捉抗体(R1試薬)とが結合する。
【0098】
(1次反応部70からBF分離部100への搬送工程)
そして、インキュベーションされたR1試薬、検体およびR2試薬を収容したキュベット7は、1次反応部70の容器搬送部72により、図7に示したBF分離部100のキュベット挿入穴101cに搬送される。具体的には、容器搬送部72を回転させることにより、攪拌部721のチャック部721cをインキュベーションされる間に回転移送されたキュベット7に対向するように配置して、容器搬送部72の攪拌部721を回転テーブル部71の中心から外側に向かって移動させる。これにより、攪拌部721のチャック部721cにより、R1試薬、R2試薬および検体が収容されたキュベット7が把持される。そして、上下移動機構部722のモータ722aを駆動することによりキュベット7を把持したチャック部721cを上方に持ち上げた後、前後移動機構部723のモータ723aが駆動されることにより、キュベット7はBF分離部100の集磁部101の設置部101aまで搬送される。
【0099】
(BF分離部100における第1洗浄工程)
次に、第1実施形態では、集磁部101の設置部101aのキュベット挿入穴101cに設置されたキュベット7は、設置部101aの回転に伴って回転方向に移送されて、攪拌機構部102の攪拌部102cに対応する位置に配置される。この際、図14に示すように、設置部101aのキュベット挿入穴101cに保持されたキュベット7内の磁性粒子は、キュベット7の側方に配置される磁石101bにより集磁される。そして、図7に示すように、BF分離部100の攪拌機構部102および第1分離機構部103が、共通のスライドレール107に沿って前方(Y方向)に移動して、攪拌部102cのチャック部102dがキュベット7を把持する。この状態で、図16に示すように、キュベット7内に第1分離機構部103(図7参照)の洗浄部103cのノズル部材103dを挿入した後、キュベット7内の試料を吸引することにより、磁性粒子および磁性粒子に捕捉抗体を介して結合する抗原を除く不要成分を除去する。しかし、第1洗浄工程では、不要成分の一部が集磁部101の磁石101bに引き寄せられる磁性粒子に巻き込まれるように磁性粒子とともにキュベット7の内壁に留まることがあり、不要成分を十分に除去することが困難であるので、第1実施形態では、不要成分を十分に除去するために、以下に説明する攪拌工程および第2洗浄工程が行われる。
【0100】
(BF分離部100における攪拌工程(1回目))
第1実施形態では、BF分離部100において第1洗浄工程が行われたキュベット7内に洗浄液を供給して、攪拌を行う。具体的には、図17に示すように、第1洗浄工程において、第1分離機構部103のノズル部材103dにより吸引が行われた直後に、第1分離機構部103の噴出部材103gの噴出口103fから所定量の洗浄液を吐出する。そして、攪拌部102cのチャック部102dがキュベット7を把持した状態から、攪拌部102cがスライドレール102a(図7参照)に沿って上方(Z方向)に移動される。そして、キュベット7を持ち上げた状態で、モータ102f(図7参照)を駆動することにより、偏心重り102g(図7参照)およびモータ102fの旋回振動がチャック部102dに把持されるキュベット7に伝達して、キュベット7内の洗浄液、不要成分および磁性粒子が攪拌される。これにより、磁性粒子に巻き込まれて、磁性粒子とともにキュベット7の内壁に留まっていた不要成分を分散させることが可能となる。
【0101】
図13に示すように、上記キュベット7内を攪拌している際に、第1分離機構部103は、スライドレール107に沿って集磁部101の後方(Y方向)のノズル洗浄部106の上方に移動されるとともに、ノズル部材103dの外周部分が洗浄される。具体的には、第1分離機構部103がノズル洗浄部106の上方に移動された後、モータ103a(図7参照)が駆動するのに伴って移動部材103bが下方向に移動される。これにより、ノズル部材103dは、ノズル洗浄部106の孔部106aに挿入される。その後、噴出部材103gの噴出口103f(図9参照)から所定量の洗浄液がノズル部材103dの外周面に向かう流れになるように噴出され、噴出された洗浄液がノズル部材103dの外周面の全周を伝って流れ落ちることによって、ノズル部材103dの外周部分は洗浄される。この場合、下側部材103n(図9参照)の下端面は、ノズル部材103dに近い側が洗浄液の流れの上流側に位置し、ノズル部材103dから遠い側が洗浄液の流れの下流側に位置するように、下側部材103nの外周側からノズル部材103dの中心軸線L1(図10参照)側に傾斜するように構成されているため、噴出口103f(図9参照)からより多くの量の洗浄液が確実にノズル部材103dの外周面に向かって噴出される。なお、ノズル部材103dの外周面を洗浄し、流れ落ちる洗浄液は、ノズル洗浄部106の孔部106aから廃棄される。
【0102】
また、第1実施形態の第1分離機構部103では、ノズル部材103dの洗浄は2回行われるように制御されており、噴出部材103gの噴出口103fから洗浄液が噴出された後、もう一度、ノズル洗浄部106の孔部106aにおいて噴出部材103gの噴出口103fから洗浄液が噴出される。このように、第1分離機構部103のノズル部材103dは、未反応のR1試薬の濃度が高い不要成分を吸引するため、2度洗浄される。その後、第1分離機構部103は、スライドレール107に沿って集磁部101に対応する位置に移動される。なお、このノズル部材103dの洗浄工程では、第1分離機構部103のみならず、第2分離機構部104(図7参照)、第3分離機構部(図示せず)および第4分離機構部105(図7参照)のノズル部材103dの洗浄も同時に行われる。
【0103】
(BF分離部100における第2洗浄工程(1回目))
また、第1実施形態では、図14に示すように、BF分離部100の攪拌部102cにおいて攪拌されたキュベット7を再び集磁部101のキュベット挿入穴101cに保持させることにより、磁性粒子をキュベット7の側方に配置される磁石101b側に集磁する。そして、第1洗浄工程を終えたキュベット7は、集磁部101が回転されることにより、第2分離機構部104に対応する位置に移動される。つまり、1回目の第2洗浄工程は、第2分離機構部104で行われる。そして、図16に示すように、キュベット7内の磁性粒子を集磁した後、洗浄液および不要成分を排出する。つまり、キュベット7内に第2分離機構部104の洗浄部103cのノズル部材103dを挿入した後、キュベット7内の洗浄液を吸引することにより、磁性粒子に巻き込まれて残余していた不要成分を除去することが可能となる。
【0104】
(BF分離部100における攪拌工程(2回目))
さらに、第1実施形態では、BF分離部100の第2分離機構部104において1回目の第2洗浄工程が行われたキュベット7内に再び洗浄液を供給して、攪拌を行う。具体的には、図17に示すように、1回目の第2洗浄工程において、第2分離機構部104のノズル部材103dにより洗浄液および不要成分の吸引が行われた直後に、第2分離機構部104の噴出部材103gにより所定量の洗浄液を吐出する。そして、攪拌部102cのチャック部102dがキュベット7を上方に持ち上げた状態で、キュベット7内の洗浄液、僅かに残余する不要成分および磁性粒子R1試薬を攪拌する。
【0105】
図13に示すように、上記キュベット7内を攪拌している際に、第2分離機構部104は、スライドレール107に沿って集磁部101の後方(Y方向)のノズル洗浄部106の上方に移動されるとともに、ノズル部材103dの外周部分が洗浄される。また、第1実施形態の第2分離機構部104では、第1分離機構部103と同様に、ノズル部材103dの洗浄は2回行われるように制御されており、噴出部材103gの噴出口103f(図9参照)から洗浄液が噴出された後、もう一度、ノズル洗浄部106の孔部106aにおいて噴出部材103gの噴出口103f(図9参照)から洗浄液が噴出される。その後、第2分離機構部104は、スライドレール107に沿って集磁部101に対応する位置に移動される。
【0106】
(BF分離部100における第2洗浄工程(2回目))
そして、第1実施形態では、図14に示すように、BF分離部100の攪拌部102cにおいて攪拌されたキュベット7を再び集磁部101のキュベット挿入穴101cに保持させることにより、磁性粒子をキュベット7の側方に配置される磁石101b側に集磁する。そして、第2洗浄工程(1回目)を終えたキュベット7は、集磁部101が回転されることにより、第3分離機構部(図示せず)に対応する位置に移動される。つまり、2回目の第2洗浄工程は、第3分離機構部(図示せず)で行われる。そして、図16に示すように、キュベット7内の磁性粒子を集磁した後、洗浄液および僅かに残余する不要成分を確実に排出する。つまり、キュベット7内に第3分離機構部(図示せず)の洗浄部103cのノズル部材103dを挿入した後、キュベット7内の洗浄液を吸引することにより、僅かに残余していた不要成分を確実に除去することが可能となる。
【0107】
(BF分離部100における攪拌工程(3回目))
さらに、第1実施形態では、BF分離部100の第3分離機構部(図示せず)において2回目の第2洗浄工程が行われたキュベット7内に再び洗浄液を供給して、攪拌を行う。具体的には、図17に示すように、2回目の第2洗浄工程において、第3分離機構部(図示せず)のノズル部材103dにより洗浄液および不要成分の吸引が行われた直後に、第2分離機構部104の噴出部材103gにより所定量の洗浄液が吐出される。そして、攪拌部102cのチャック部102dがキュベット7を上方に持ち上げた状態で、キュベット7内の洗浄液、ごく僅かに残余する不要成分および磁性粒子R1試薬を攪拌する。
【0108】
上記キュベット7内を攪拌している際に、第3分離機構部(図示せず)は、スライドレール107に沿って集磁部101の後方(Y方向)のノズル洗浄部106の上方に移動されるとともに、ノズル部材103dの外周部分が洗浄される。第1実施形態の第3分離機構部(図示せず)では、第1分離機構部103と異なり、ノズル部材103dの洗浄は1回だけ行われるように制御されている。その後、第3分離機構部(図示せず)は、スライドレール107に沿って集磁部101に対応する位置に移動される。
【0109】
(BF分離部100における第2洗浄工程(3回目))
そして、第1実施形態では、図14に示すように、BF分離部100の攪拌部102cにおいて攪拌されたキュベット7を再び集磁部101のキュベット挿入穴101cに保持させることにより、磁性粒子をキュベット7の側方に配置される磁石101b側に集磁する。そして、第2洗浄工程(2回目)を終えたキュベット7は、集磁部101が回転されることにより、第4分離機構部105に対応する位置に移動される。つまり、3回目の第2洗浄工程は、第4分離機構部105で行われる。そして、図16に示すように、キュベット7内の磁性粒子を集磁した後、第2洗浄工程(1回目および2回目)と同様にして、キュベット7内の洗浄液を吸引し、その後、分離機構部104の噴出部材103gによりキュベット7内に再び洗浄液が供給される。この後、不要成分が除去された固相の磁性粒子を主とする試料を収容したキュベット7は、図1に示すように、BF分離部100の設置部101aの回転に伴って回転方向に移送されて、搬送機構130のアーム部131aにより把持される位置まで搬送される。
【0110】
(BF分離部100から2次反応部80への搬送工程)
そして、BF分離部100により不要成分と磁性粒子との分離が行われたキュベット7は、搬送機構130のアーム部131aによって把持されて、2次反応部80の回転テーブル部81の保持部81aに搬送される。
【0111】
(R3試薬分注工程)
そして、試薬分注アーム90cは、試薬設置部60aに設置される試薬ビン8b内のR3試薬を吸引した後、2次反応部80側に回動して、捕捉抗体(R1試薬)を介して結合した磁性粒子(R2試薬)と検体の抗原とを収容したキュベット7に吸引した所定量のR3試薬を吐出する。なお、図14および図15に示すように、R3試薬には、検体中の抗原に結合する標識抗体が含まれている。
【0112】
(R3試薬および検体の攪拌工程)
そして、2次反応部80の容器搬送部82が、上述したR1試薬および検体の攪拌工程と同様にして、捕捉抗体(R1試薬)、抗原(検体)、磁性粒子(R2試薬)および標識抗体を含むR3試薬が収容されたキュベット7を攪拌する。
【0113】
(インキュベーション工程(図14および図15に示した反応3))
そして、攪拌された捕捉抗体(R1試薬)、抗原(検体)、磁性粒子(R2試薬)および標識抗体を含むR3試薬は、図1に示すように、回転テーブル部81の保持部81aのキュベット7(図4参照)内で、所定時間インキュベーションされる。すなわち、キュベット7が回転移送される間に、捕捉抗体(R1試薬)を介して磁性粒子(R2試薬)と結合した抗原と標識抗体(R3試薬)とが結合する。
【0114】
(2次反応部80からBF分離部110への搬送工程)
そして、インキュベーションされた捕捉抗体(R1試薬)、抗原(検体)、磁性粒子(R2試薬)および標識抗体を含むR3試薬を収容したキュベット7は、上述した1次反応部70からBF分離部100への搬送工程と同様にして、2次反応部80の容器搬送部82により、BF分離部110のキュベット挿入穴101cに搬送される。
【0115】
(BF分離部110における第1洗浄工程、攪拌工程、第2洗浄工程)
次に、第1実施形態では、上記したBF分離部100における第1洗浄工程と3回の攪拌工程および第2洗浄工程と同様に、BF分離部110において第1洗浄工程と3回の攪拌工程および第2洗浄工程が行われる。これにより、検体の抗原と結合しない標識抗体を含むR3試薬(不要成分)の十分な除去を行うことが可能となる。この後、不要成分が除去された標識抗体が結合した抗原を含む試料を収容したキュベット7は、BF分離部110の集磁部の回転に伴って回転方向に移送されて、2次反応部80の容器搬送部82により搬送可能な位置まで搬送される。
【0116】
(BF分離部100から2次反応部80への搬送工程)
そして、BF分離部110により不要成分と磁性粒子との分離が行われたキュベット7は、2次反応部80の容器搬送部82により、再び回転テーブル部81の保持部81aに搬送される。
【0117】
(R5試薬分注工程)
そして、R5試薬分注アーム90dは、免疫分析装置1の下部に設置される図示しない試薬ビン内の発光基質を含むR5試薬を、捕捉抗体(R1試薬)、磁性粒子(R2試薬)、標識抗体(R3試薬)および検体の抗原を収容したキュベット7に、所定量だけ吐出する。なお、図14および図15に示すように、R5試薬には、R3試薬の標識抗体と反応して発光する発光基質が含まれている。
【0118】
(R5試薬および標識抗体の攪拌工程)
そして、2次反応部80の容器搬送部82が、上述したR1試薬および検体の攪拌工程と同様にして、捕捉抗体(R1試薬)、抗原(検体)、磁性粒子(R2試薬)、標識抗体(R3試薬)および発光基質を含むR5試薬が収容されたキュベット7を攪拌する。
【0119】
(インキュベーション工程(図14および図15に示した反応4))
そして、攪拌された捕捉抗体(R1試薬)、抗原(検体)、磁性粒子(R2試薬)、標識抗体および発光基質を含むR5試薬は、回転テーブル部81の保持部81aのキュベット7内で、所定時間インキュベーションされる。すなわち、キュベット7が回転移送される間に、標識抗体(R3試薬)と発光基質(R5試薬)との反応が進行する。
【0120】
(測定工程)
その後、図1および図2に示すように、インキュベーションされた捕捉抗体(R1試薬)、抗原(検体)、磁性粒子(R2試薬)、標識抗体(R3試薬)および発光基質を含むR5試薬を収容したキュベット7は、検出部120の搬送機構部121により、設置部に搬送される。そして、検出部120においてR3試薬の標識抗体とR5試薬の発光基質との反応過程で生じる発光量を光電子増倍管(図示せず)で取得することによって、検体の分析が行われる。上記のようにして第1実施形態による免疫分析装置1の分析動作が行われる。
【0121】
第1実施形態では、上記のように、洗浄液を噴出するための噴出口103fがノズル部材103dの外周面に向けて設けられた管部材103sを設けるとともに、噴出口103fを介してノズル部材103dの外周面に洗浄液を供給するシリンジポンプ103vを設けることによって、より多くの量の洗浄液を確実にノズル部材103dの外周面に噴出することができる。そのため、ノズル部材103dの外周面をより効果的に洗浄することができる。
【0122】
また、第1実施形態では、上記のように、噴出口103fを、ノズル部材103dの外周面に向けて傾けることによって、容易に、噴出口103fがノズル部材103dの外周面に向けて設けられた管部材103sを設けることができる。ノズル部材103dの外周面に向けて傾いた噴出口103fから洗浄液を噴出させることによって、より多くの量の洗浄液を確実にノズル部材103dの外周面に噴出することができる。
【0123】
また、第1実施形態では、上記のように、ノズル部材103dを環状に取り囲む複数の噴出口103fを有する噴出部材103gを設けるとともに、複数の噴出口103fを介してノズル部材103dに洗浄液を供給することによって、ノズル部材103dを環状に取り囲む複数の噴出口103fから噴出される洗浄液を、ノズル部材103dの外周面の全周に渡って流すことができるので、噴出口103fがノズル部材103dの外周面の一方側のみに配置されている場合と比べて、ノズル部材103dの外周面を効果的に洗浄することができる。また、ノズル部材103dの外周面に向かう流れになるように洗浄液を噴出可能な噴出口103fを有する噴出部材103gを設けることによって、洗浄液を確実にノズル部材103dの外周面に接触させることができるので、ノズル部材103dの外周面をより効果的に洗浄することができる。また、ノズル部材103dの外周面をより効果的に洗浄することができるため、ノズル部材103dに付着した検体中の成分が、他の検体に混ざることをより抑制することができる。そのため、検体中の抗原や抗体といった微小な成分を測定する場合であっても、より精度良く測定を行うことが可能となる。
【0124】
また、第1実施形態では、上記のように、噴出部材103gの複数の噴出口103fが設けられている側の端面を、ノズル部材103dが設けられる側である内側が外側よりも液体の上流側に窪んだ形状に構成することによって、複数の噴出口103fをノズル部材103dの外周面に向けることができるので、複数の噴出口103fから噴出される洗浄液をノズル部材103dの外周面に向かって噴出することができる。そのため、洗浄液の噴出速度を上昇させた場合でも、洗浄液がノズル部材103d以外の場所に発散することを抑制でき、確実にノズル部材103dの外周面に洗浄液を噴出することができる。そのため、ノズル部材103dの洗浄処理を迅速化することができる。
【0125】
また、第1実施形態では、上記のように、複数の噴出口103f、および、複数の噴出口103fを構成する複数の管部材103sを互いに密着した構造に構成することによって、複数の噴出口103fから噴出される洗浄液の隣り合う間隔を小さくすることができるので、ノズル部材103dの外周面全体に均一に洗浄液を噴出することができる。
【0126】
また、第1実施形態では、上記のように、複数の管部材103sを、それぞれ、ノズル部材103dの長手方向に沿って環状に設けることによって、複数の管部材103sにより、複数の管部材103sを流通する洗浄液を、ノズル部材103dの長手方向に安定させて流通させることができるので、複数の噴出口103fから一定の方向に洗浄液を噴出させることができる。これにより、洗浄液をノズル部材103dの外周面に均一に接触させることができる。
【0127】
また、第1実施形態では、上記のように、ノズル部材103dに、上下方向に延びるように配置され、容器の液体に浸される吸引口103iを有するノズル部103jと、ノズル部103jの上端と接続され、ノズル部103jにより上方向に流通される液体を下方向に流通するように湾曲された湾曲流路部103lを有する吸引流路部103mとを設けることによって、ノズル部103jにより吸引された液体が湾曲流路部103lの湾曲の頂点部分よりも下流側に流通されることにより、ノズル部103jにより吸引された液体がノズル部103jに逆流するのを抑制することができる。
【0128】
また、第1実施形態では、上記のように、ノズル部材103dの湾曲流路部103lを、噴出部材103gの内部から導出するように構成することによって、噴出部材103gの内部に流通する洗浄液が湾曲流路部103lと噴出部材103gとの間の隙間から流出するのを抑制することができる。また、シール部材109を樹脂により構成することによって、湾曲流路部103lと噴出部材103gとの間の隙間を金属製のシール部材によりシールした場合と比べて、シール部材109が腐食するのを抑制することができるので、シール部材109が腐食した際に生じる不純物が洗浄液に混じるのを抑制することができる。
【0129】
(第2実施形態)
次に、図18〜図25を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、ノズル部材103dに対して傾斜した噴出口103fを設けた上記第1実施形態と異なり、噴出ノズル203eの側面の吸引ノズル203dに対向した位置に側方噴出口203lおよび203mを設けた例について説明する。
【0130】
第2実施形態では、図18に示すように、第1分離機構部103の洗浄部203cは、キュベット7(図10参照)に収容された不要成分を吸引するための吸引ノズル203dと、吸引ノズル203dの長手方向に沿って設けられ、側方噴出口203l、203m(図19参照)および下方噴出口203n(図20参照)からそれぞれ洗浄液を噴出可能な噴出ノズル203eとを含んでいる。図18に示すように、吸引ノズル203dは、ホース108aを介して吸引流路103eに接続されている。キュベット7(図10参照)に収容された不要成分は、空圧源100dから供給される陰圧によって吸引ノズル203dにより吸引されるとともに、ホース108a、吸引流路103eおよびグリスチャンバ100aを通過して廃棄容器100bに移送されるように構成されている。また、噴出ノズル203eは、ホース108bを介してバルブ103hに接続されている。洗浄液は、バルブ103h、103xおよび100fの開閉を制御するとともに、モータ103wを駆動することによって、洗浄液タンク100eからシリンジポンプ103vを介して噴出ノズル203eへ供給されるように構成されている。図19に示すように、これらの吸引ノズル203dおよび噴出ノズル203eは、保持部材203fによって固定的に保持されている。
【0131】
第2実施形態では、吸引ノズル203dは、図19に示すように、上下方向に延びるように配置され、キュベット7の不要成分(液体)に浸される吸引口203g(図20参照)を有する第1胴部203hと、上端に排出口203iが設けられた第2胴部203jと、第1胴部203hと第2胴部203jとを連結する連結部203kとを一体的に含んでいる。図21に示すように、第2胴部203jは、第1胴部203hの外径A1(たとえば、約1mm)よりも大きい外径A2(たとえば、約2.11mm)を有する。連結部203kは、この大きい外径A2を有する上側の第2胴部203jから外径A1を有する下側の第1胴部203hに向かって、吸引ノズル203dの外径が連続的に小さくなるように形成されている。より詳細には、連結部203kは、角度α1で中心軸対称に逆円錐台状に傾斜したテーパ形状に形成されている。連結部203kは、吸引ノズル203dの下端から長さL1の位置で第2胴部203jと連結され、吸引ノズル203dの下端から長さL2の位置で第1胴部203hと連結されるように形成されている。つまり、吸引ノズル203dの外周面には、下端からの長さL1の位置から下端からの長さL2の位置までの幅W1の領域に、連結部203kからなる傾斜面が形成されている。
【0132】
また、吸引ノズル203d(第1胴部203h)の下端の吸引口203gは、角度α2で傾斜した先端形状になるように形成されている。吸引ノズル203dがキュベット7に挿入された際には、傾斜した先端形状部分がキュベット7の底面に当接するように構成されている。これにより、キュベット7の不要成分がキュベット7の底面に残るのを抑制しながら吸引することが可能となる。なお、吸引ノズル203dは耐食性に優れるステンレス鋼により形成されている。
【0133】
また、図18に示すように、吸引ノズル203d(第2胴部203j)の上端の排出口203iにはホース108aが接続されており、吸引ノズル203dにより吸引された不要成分はホース108aを介して吸引流路103eに吸引される。そして、吸引された不要成分は、空圧源100dから供給される陰圧によってグリスチャンバ100aを経て廃棄容器100bに移送される。
【0134】
また、第2実施形態では、図22に示すように、噴出ノズル203eは、外径A3(たとえば、約0.88mm)の円筒形状を有する。図19に示すように、噴出ノズル203eの上端には洗浄液の流入口203oが設けられるとともに、噴出ノズル203eの下端には洗浄液を下方に向けて噴出するための下方噴出口203nが設けられている。また、図19および図20に示すように、噴出ノズル203eの側面の吸引ノズル203dの外周面に対向した位置には、噴出ノズル203eの長手方向(上下方向)に対して直交する方向(吸引ノズル203dの外周面の配置された方向)を向く2つの側方噴出口203lおよび203mが形成されている。図23に示すように、上側の側方噴出口203lは、側方噴出口203lの上端部が噴出ノズル203eの下端から長さL3(たとえば、約4mm)の位置に配置されるように形成されている。下側の側方噴出口203mは、側方噴出口203mの上端部が噴出ノズル203eの下端から長さL4(たとえば、約2mm)の位置に配置されるように形成されている。これらの側方噴出口203lと側方噴出口203mとは、噴出ノズル203eの長手方向(上下方向)に沿って直線状に、間隔D(たとえば、約1mm)を隔てて配置されている。なお、噴出ノズル203eは、吸引ノズル203dと同様に、ステンレス鋼により形成されている。
【0135】
図24に示すように、上側の側方噴出口203lは、吸引ノズル203dのテーパ形状の連結部203kの外周面と対向する位置に配置されている。また、下側の側方噴出口203mは、第1胴部203hの外周面と対向するように配置されている。このため、洗浄液は、上側の側方噴出口203lから連結部203kのテーパ形状の外周面に向けて噴出されるとともに、下側の側方噴出口203mから第1胴部203hの外周面に向けて噴出されるように構成されている。
【0136】
また、側方噴出口203lおよび203mは、図23に示すように、互いに等しい幅(長手方向の幅)W2(たとえば、約1mm)を有し、噴出ノズル203eの側面において深さC(たとえば、約0.44mm)を有する切欠状に形成されている。この深さCは、第2実施形態では、噴出ノズル203eの外径A3の略半分に等しい。また、切欠状に形成された側方噴出口203lおよび203mの角部203qは、円弧状に形成されている。第2実施形態では、これらの側方噴出口203lおよび203mの開口部の大きさは、下方噴出口203nの開口部の大きさよりも大きくなるように形成されている。具体的には、側方噴出口203lおよび203mは、噴出ノズル203eの外径A3の略半分の深さCを有するので、図25に示すように、側方噴出口203lおよび203mの短手方向の幅が噴出ノズル203eの内径B(たとえば、約0.58mm)と略等しくなる。ここで、側方噴出口203lおよび203mの長手方向の幅W2(約1mm)は、噴出ノズル203eの内径B(約0.58mm)よりも大きい。このため、側方噴出口203l(203m)の開口部の大きさ(噴出方向から見た平面積)は、約B×W2=約0.58mmとなる。一方、下方噴出口203nの開口部の大きさは、内径Bを有する円の面積(π(B/2)=約0.26mm)に等しい。したがって、側方噴出口203l(203m)の方が下方噴出口203nよりも噴出口の面積が大きい。
【0137】
また、図18に示すように、噴出ノズル203eの上端にはホース108bが接続されている。シリンジポンプ103vからバルブ103hを介して供給される洗浄液は、ホース108bを経て流入口203o(図19参照)から噴出ノズル203e内に供給される。流入口203oから流入する洗浄液は、屈曲部203pを通過して、側方噴出口203lおよび203mにより吸引ノズル203dに向けて噴出されるとともに、下方噴出口203nによりキュベット7(図26参照)内に下方向に噴出される。
【0138】
保持部材203fは、吸引ノズル203dおよび噴出ノズル203eを圧入するための貫通孔(図示せず)が設けられた筒状形状を有する。図19に示すように、吸引ノズル203dおよび噴出ノズル203eは、保持部材203fの貫通孔にそれぞれ圧入された状態で、保持部材203fの上面に接着材203rを塗布することにより固定されている。このように、吸引ノズル203dおよび噴出ノズル203eを保持部材203fの上面側で接着材203rにより固定することによって、接着材203rの成分がキュベット7内に混入するのを防止することが可能である。
【0139】
次に、図26および図27を参照して、第2実施形態による洗浄部203cの噴出ノズル203eから噴出される洗浄液の流れについて詳細に説明する。
【0140】
図26に示すように、3つの噴出口(側方噴出口203l、203mおよび下方噴出口203n)から噴出される洗浄液のそれぞれの流量は、各噴出口における噴出ノズル203eの管路内を流通する洗浄液の圧力の差や開口部の大きさに起因してそれぞれ異なる。第2実施形態では、噴出ノズル203e内を上方から下方に向かって流れてきた洗浄液の圧力が最初に開放される上側の側方噴出口203lからの洗浄液の流量が最も多く、次に下方噴出口203nからの洗浄液の流量が多く、下側の側方噴出口203mからの洗浄液の流量が最も少なくなるように構成されている。
【0141】
上側の側方噴出口203lから噴出される洗浄液は、吸引ノズル203dの連結部203kが備える下方に傾斜した外周面に接触し、連結部203kの傾斜に沿って下端に向けて下向きに流れる。このため、下側の側方噴出口203mから第1胴部203hに噴出される洗浄液は、上方の連結部203kから流れてくる下向きの洗浄液の流れに合流するようにして、吸引ノズル203d(第1胴部203h)の外周面に沿って吸引ノズル203dの下端に向けて流れることになる。これにより、2つの側方噴出口203lおよび203mから吸引ノズル203dに向かって噴出される洗浄液を、吸引ノズル203dの外周面に沿って流すことができる。
【0142】
さらに、第2実施形態では、吸引ノズル203dの連結部203kをテーパ形状に形成することによって、連結部203k(吸引ノズル203d)の外周面を全周に渡って均一な勾配で傾斜させている。このため、第2実施形態では、図27に示すように、側方噴出口203lから噴出される洗浄液がテーパ形状の連結部203kの傾斜に沿って連結部203kの外周面を回り込む流れPが形成される。これにより、側方噴出口203lから噴出される洗浄液が、吸引ノズル203d(第1胴部203h)の裏側まで回りこむように流れる。このように、第2実施形態では、吸引ノズル203dの一方側(側方噴出口203lの配置された側)から洗浄液を噴出させるだけで、吸引ノズル203dの第1胴部203hの外周面を全周に渡って洗浄することが可能である。
【0143】
なお、第2実施形態の上記した構成以外の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0144】
第2実施形態では、上記のように、洗浄液を噴出する側方噴出口203lおよび203mが吸引ノズル203dの外周面に向けて設けられた噴出ノズル203eを設けるとともに、その側方噴出口203lおよび203mを介して吸引ノズル203dの外周面に洗浄液を供給するシリンジポンプ103vを設けることによって、より多くの量の洗浄液を確実に吸引ノズル203dの外周面に噴出することができるので、吸引ノズル203dの外周面をより効果的に洗浄することができる。
【0145】
第2実施形態では、上記のように、噴出ノズル203eの側面の吸引ノズル203dの外周面に対向した位置に側方噴出口203lおよび203mを設けることによって、簡易な構造で、噴出口が吸引ノズル203dの外周面に向けて設けられた噴出ノズル203eを構成することができる。また、吸引ノズル203dの外周面に対向する側方噴出口203lおよび203mにより、洗浄液を吸引ノズル203dの側方から当てることができるので、吸引ノズル203dの外周面を効果的に洗浄することができる。
【0146】
第2実施形態では、上記のように、洗浄液を噴出ノズル203eの下方に噴出するための下方噴出口203nを設けることによって、側方噴出口203l(203m)だけでなく、下方噴出口203nからも洗浄液を噴出させることができる。このため、下方噴出口203nおよび側方噴出口203l(203m)を設けた分、噴出口(側方噴出口203l、203mおよび下方噴出口203n)の開口部の面積が増加することにより洗浄液の吐出圧が低下するので、小径(外径A3)の噴出ノズル203eを用いて洗浄液の供給量を維持したとしても洗浄液の流速を一定レベル以下に保つことができる。これにより、小径の噴出ノズル203eを用いた場合にも、吸引ノズル203dに噴出された洗浄液が吸引ノズル203dの外周面に跳ね返ってキュベット7の外に発散してしまうことを抑制しながら、より効果的に吸引ノズル203dの外周面を洗浄することができる。また、小径の噴出ノズル203eを用いる場合には、吸引ノズル203dおよび噴出ノズル203eの全体の外径寸法(第2胴部203jの外径A2と噴出ノズル203eの外径A3との合計)を小さくすることができるので、キュベット7内の不要成分の吸引を行う場合やキュベット7内で洗浄液を噴出する場合(図26参照)に、吸引ノズル203dおよび噴出ノズル203eをキュベット7内に挿入する際に吸引ノズル203dおよび噴出ノズル203eがキュベット7と干渉するのをより抑制することができる。これにより、容易に不要成分の吸引および吸引ノズル203dの洗浄を行うことができる。
【0147】
第2実施形態では、上記のように、噴出ノズル203eの側方噴出口203l(203m)の開口部の大きさを、下方噴出口203nの開口部の大きさよりも大きく形成することによって、下方噴出口203nから噴出される洗浄液量よりも側方噴出口203lおよび203mから噴出される洗浄液量をより大きくすることができる。このため、下方噴出口203nから噴出される洗浄液の流速を減少させることができる。これにより、小径の噴出ノズル203eを用いた場合や洗浄液の流量を増加させた場合に洗浄液の流速が上昇することに起因して、下方噴出口203nからキュベット7内に噴出された洗浄液がキュベット7の内壁に跳ね返ってキュベット7の外に発散してしまうのを抑制することができる。
【0148】
第2実施形態では、上記のように、噴出ノズル203eに2つの側方噴出口203lおよび203mを設けるともに、これら2つの側方噴出口203lおよび203mを噴出ノズル203eの長手方向(上下方向)に沿って間隔Dを隔てて配置する。これにより、2つの側方噴出口203lおよび203mを設けることによって、側方噴出口203lおよび203mの開口部の合計面積をより大きくすることができるので、洗浄液の供給量を増加させても洗浄液の流速を一定レベル以下に保つことができる。このため、吸引ノズル203dに噴出された洗浄液が吸引ノズル203dの外周面に跳ね返ってキュベット7の外に発散してしまうことを抑制しながら、より効果的に吸引ノズル203dの外周面を洗浄することができる。また、2つの側方噴出口203lおよび203mを互いに間隔Dを隔てて配置することによって、1つの大型の側方噴出口を設ける場合と比較して、噴出ノズル203eの機械的強度が低下する度合いを小さくすることができる。
【0149】
第2実施形態では、上記のように、吸引ノズル203dに、吸引ノズル203dの下端側に位置する第1胴部203hと、吸引ノズル203dの上端側に位置し、第1胴部203hの外径A1よりも大きい外径A2を有する第2胴部203jとを設け、噴出ノズル203eを、吸引ノズル203dの第2胴部203jに隣接して設けることによって、吸引ノズル203dの上端側に第1胴部203hよりも外径の大きい第2胴部203jを設けることにより、吸引ノズル203dの機械的強度を向上させることができる。また、噴出ノズル203eを第2胴部203jに隣接して設けることによって、噴出ノズル203eを吸引ノズル203dから離間させる場合よりも、噴出ノズル203eおよび吸引ノズル203dの全体の短手方向の外径寸法(第2胴部203jの外径A2と噴出ノズル203eの外径A3との合計幅)を小さくすることができる。この結果、吸引ノズル203dおよび噴出ノズル203eの短手方向の外径寸法が大型化するのを抑制しながら吸引ノズル203dの機械的強度を向上させることができる。
【0150】
第2実施形態では、上記のように、吸引ノズル203dに、第1胴部203hと第2胴部203jとを第2胴部203jから第1胴部203hに向かうに従って外径が連続的に小さくなるように連結する連結部203kを設け、噴出ノズル203eの側方噴出口203lを、洗浄液が連結部203kの外周面に噴出されるように、連結部203kの外周面に向けて設けることによって、上方(第2胴部203j側)から下方(第1胴部203h側)に向かって外径が小さくなる連結部203kにより構成される傾斜面(外周面)に向けて、洗浄液を側方から噴出させることができる。これにより、連結部203kに噴出された洗浄液を、連結部203kの傾斜した外周面に沿って下方に向けて流すことができる。また、下方に向かって外径が小さくなるように傾斜された連結部203kに対して側方から洗浄液を噴出させることによって、側方から噴出された洗浄液が下方に向かって外径が小さくなるように傾斜した連結部203kに対して斜めに当りながら下方に落下するので、流体の特性により、吸引ノズル203dの外径が均一な外周面(たとえば、第2胴部203j)に対して洗浄液が側方から垂直に噴出されて当たる場合に比べて、吸引ノズル203dの外周面を流れる洗浄液が吸引ノズル203dの裏側(側方噴出口203lの設けられた側と反対側)にまでより回り込み易くなる。これにより、洗浄液が吸引ノズル203dの外周面に跳ね返ってしまうことを抑制しながら、より効果的に吸引ノズル203dの外周面を洗浄することができる。特に、第2実施形態では、連結部203kを全周に渡って均一な勾配を有するテーパ形状に形成することによって、連結部203k(吸引ノズル203d)の裏側(側方噴出口203lの設けられた側と反対側)に回りこむ洗浄液の流れPを形成することができるので、吸引ノズル203dの一方側から洗浄液を噴出させるだけで、吸引ノズル203dの第1胴部203hの外周面を全周に渡って洗浄することができる。
【0151】
第2実施形態では、上記のように、噴出ノズル203eの側方噴出口203mを、洗浄液が第1胴部203hの外周面に噴出されるように、側方噴出口203lに加えてさらに設けることによって、噴出ノズル203eの側方から噴出される洗浄液の供給量を増加させることができる。この場合に、側方噴出口203mから第1胴部203hの外周面に噴出される洗浄液は、上方の連結部203kから下方に向けて流れる洗浄液(側方噴出口203lから噴出された洗浄液)と合流するようにして吸引ノズル203dの外周面を流れるので、側方噴出口203mから噴出される洗浄液を傾斜面(連結部203k)に向けなくても、液体吸引ノズルの外周面を流れる洗浄液の量を増加させることができる。
【0152】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0153】
たとえば、上記第1実施形態では、下側部材の下端面を、ノズル部材103dに近い側が洗浄液の流れの上流側に位置し、ノズル部材103dから遠い側が洗浄液の流れの下流側に位置するように、下側部材の外周側からノズル部材の中心軸線側に傾斜するように構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、ノズル部材の外周面に対して洗浄液を確実に噴出可能であれば、下側部材の下端面を上記傾斜形状以外の形状になるように構成してもよい。
【0154】
また、上記第1実施形態では、複数の管部材が互いに密着した構造を有するように構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、ノズル部材の外周面に向かって洗浄液を均一に噴出可能であれば、複数の管部材を互いに密着させず、所定の間隔を隔てて配置してもよい。
【0155】
また、上記第1実施形態では、噴出部材を、ノズル部材の中心軸線と同軸線を中心とする円筒形状に構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、ノズル部材の外周面に向かって洗浄液を均一に噴出可能であれば、噴出部材を、ノズル部材の中心軸線と同軸線を中心とする筒形状に構成しなくてもよい。また、噴出部材を角形状により構成してもよい。
【0156】
また、上記第1実施形態では、シール部材をエポキシ樹脂により構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、シリコンゴム(樹脂)などのエポキシ樹脂以外の樹脂により構成するようにしてもよい。
【0157】
また、上記第1実施形態では、噴出部材の複数の噴出口から噴出される洗浄液が、ノズル部材のノズル部の外周面に当たるように設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、第1実施形態の構造において、噴出口から噴出される洗浄液が当たるノズル部材の外周面の領域に、外径が下端に向けて先細となる連結部を設けてもよい。この場合、洗浄液を下端に向けてより流れ易くすることができる。
【0158】
また、上記第2実施形態では、噴出ノズルの側方噴出口を2つ設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、側方噴出口を3つ以上設けてもよい。この際、噴出ノズルの機械的強度を低下させないように、各側方噴出口を互いに間隔を隔てて配置するのが好ましい。また、側方噴出口を1つだけ設けてもよい。この場合、側方噴出口の大きさは、噴出ノズルの機械的強度を低下させない程度の大きさにする必要がある。
【0159】
また、上記第2実施形態では、2つの側方噴出口を噴出ノズルの長手方向に沿って間隔を隔てて直線状に配置した例を示したが、本発明はこれに限らず、側方噴出口を噴出ノズルの長手方向に沿って間隔を隔てて、直線状ではなく互いにずらして配置してもよい。
【0160】
また、上記第2実施形態では、1つの噴出ノズルを設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、噴出ノズルを吸引ノズルの長手方向に沿って2つ以上設けてもよい。
【0161】
また、上記第2実施形態では、噴出ノズルの側方噴出口を、噴出ノズルの長手方向に対して直交する方向を向くとともに、吸引ノズルの外周面に向けて設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、側方噴出口は、吸引ノズルの外周面に向けて吸引ノズルの下端方向に傾いて設けられてもよい。このようにすれば、側方噴出口から噴出される洗浄液の流れが吸引ノズルの下端方向に傾いて流れるので、テーパ形状の連結部に洗浄液が当たるように構成しなくても、洗浄液を吸引ノズルの下端方向に容易に流すことができる。これにより、吸引ノズルの外周面を効果的に洗浄することができる。
【0162】
また、上記第2実施形態では、噴出ノズルの下端に下方向に洗浄液を噴出する下方噴出口を設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、噴出ノズルの下端に下方噴出口を設けなくてもよい。また、噴出ノズルの下端を吸引ノズル側に曲げることにより、下方噴出口を吸引ノズル側に向くように形成してもよい。
【0163】
また、上記第2実施形態では、連結部を、角度α1で中心軸対称に傾斜した逆円錐台状のテーパ形状に形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、連結部は、中心軸に対して非対称に傾斜するように形成してもよい。また、連結部は、第1胴部に向けてなだらかに外径が小さくなるように、凸状または凹状の曲線状の断面形状を有するように形成されてもよい。また、連結部は、角度α1とは異なる角度のテーパ形状に形成されてもよい。連結部は、第1胴部に向けて連続的に外径が小さくなるように形成されていればよい。
【0164】
また、上記第2実施形態では、噴出ノズルを吸引ノズルの第2胴部に隣接するように構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、噴出ノズルが吸引ノズルに対して離間するように構成してもよい。
【0165】
また、上記第2実施形態では、噴出ノズルの上側の側方噴出口(側方噴出口203l)を吸引ノズルの連結部に向けて設け、下側の側方噴出口(側方噴出口203m)を第1胴部に向けて設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、連結部を吸引ノズルの長手方向により長く形成して、下側の側方噴出口も連結部に向けて洗浄液を噴出するように構成してもよい。第1胴部全体を下端に向けて先細のテーパ形状に形成してもよい。
【0166】
また、上記第2実施形態では、噴出ノズルの上側の側方噴出口を、吸引ノズルの先端から長さL1の位置と、吸引ノズルの先端から長さL2の位置との間の連結部の領域に対向するように設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、側方噴出口は、連結部の上端(吸引ノズルの先端から長さL1の位置)よりも僅かに上方に設けられていてもよい。側方噴出口は、側方噴出口からの洗浄液の噴流が実質的に連結部の傾斜した外周面に当たる位置に設けられていればよい。この際、側方噴出口からの洗浄液の噴流の大部分が連結部に当たれば、側方噴出口からの洗浄液の噴流の一部が第2胴部の外周面に当っていてもよい。
【0167】
また、上記第2実施形態では、噴出ノズルの下側の側方噴出口(側方噴出口203m)を、吸引ノズルの第1胴部の外周面に対向するように設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、側方噴出口は、第1胴部の上端(吸引ノズルの先端から長さL2の位置)よりも上方に設けられていてもよい。この際、側方噴出口からの洗浄液の噴流の大部分が第1胴部に当たれば、側方噴出口からの洗浄液の噴流の一部が連結部の外周面に当っていてもよい。
【0168】
また、上記第1実施形態では、ノズル部材の下端面の噴出口を円形状に形成し、上記第2実施形態では、噴出ノズルの側方噴出口を平面的に見て矩形状となる切欠状に形成するとともに、下方噴出口を円形状に形成した例について示したが、本発明はこれに限らず、噴出口が円形状でなくてもよく、たとえば、正六角形状や正方形状に噴出口を形成してもよい。
【0169】
また、上記第1および第2実施形態では、キュベット内の不要成分を吸引するための吸引機構に本発明を適用した例について示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、試薬容器内の試薬を吸引する試薬吸引機構や、試験管内の検体を吸引する検体吸引機構に本発明を適用してもよい。
【0170】
また、上記第1実施形態では、ノズル部材をステンレス鋼により形成し、上記第2実施形態では、吸引ノズルおよび噴出ノズルの両方をステンレス鋼により形成した例について示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、ノズル部材(吸引ノズル、噴出ノズル)をPTFEテフロン(登録商標)チューブにより形成してもよい。このようにすれば、耐食性とともに、コスト削減を図ることができる。
【0171】
また、上記第1および第2実施形態では、洗浄液供給部としてシリンジポンプを用いた例を示したが、本発明はこれに限らず、たとえば、洗浄液供給部としてシリンジポンプの代わりにダイアフラムポンプなどの他の構造のポンプを用いてもよい。
【符号の説明】
【0172】
1 免疫分析装置
7 キュベット
103c、203c 洗浄部
103d ノズル部材
103e 吸引流路
103f 噴出口
103g 噴出部材
103v シリンジポンプ
103i、203g 吸引口
103j ノズル部
103k 直線流路部
103l 湾曲流路部
103m 吸引流路部
103s 管部材
103o 中間部材
103p 上側部材
109 シール部材
120 検出部
203d 吸引ノズル
203e 噴出ノズル
203h 第1胴部
203j 第2胴部
203k 連結部
203l、203m 側方噴出口
203n 下方噴出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吸引ノズルと、
容器に収容された液体を、前記液体吸引ノズルを介して吸引する吸引部と、
前記液体吸引ノズルの長手方向に沿って配置され、洗浄液を噴出するための噴出口が前記液体吸引ノズルの外周面に向けて設けられた洗浄液噴出ノズルと、
前記洗浄液噴出ノズルの噴出口を介して前記液体吸引ノズルの外周面に洗浄液を供給する洗浄液供給部とを備える、液体吸引機構。
【請求項2】
前記噴出口は、前記洗浄液噴出ノズルの側面の前記液体吸引ノズルの外周面に対向した位置に設けられた側方噴出口を含む、請求項1に記載の液体吸引機構。
【請求項3】
前記噴出口は、前記洗浄液噴出ノズルの下端に設けられ、前記洗浄液供給部から供給された洗浄液を前記洗浄液噴出ノズルの下方に噴出するための下方噴出口をさらに含む、請求項2に記載の液体吸引機構。
【請求項4】
前記洗浄液噴出ノズルの側方噴出口の開口部の大きさは、前記下方噴出口の開口部の大きさよりも大きい、請求項3に記載の液体吸引機構。
【請求項5】
前記側方噴出口は、前記液体吸引ノズルの外周面に向けて、前記洗浄液噴出ノズルの側面の前記液体吸引ノズルに対向した位置に複数設けられており、
前記複数の側方噴出口は、前記洗浄液噴出ノズルの長手方向に沿って互いに間隔を隔てて配置されている、請求項2〜4のいずれか1項に記載の液体吸引機構。
【請求項6】
前記液体吸引ノズルは、
前記液体吸引ノズルの下端側に位置し、液体を吸引するための吸引口が設けられた第1胴部と、
前記液体吸引ノズルの上端側に位置し、前記第1胴部よりも外径の大きい第2胴部と、
前記第1胴部と前記第2胴部とを前記第2胴部から前記第1胴部に向かうに従って外径が連続的に小さくなるように連結する連結部とを含み、
前記洗浄液噴出ノズルの前記側方噴出口は、前記洗浄液供給部から供給された洗浄液が前記連結部の外周面に噴出されるように、前記連結部の外周面に向けて設けられている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の液体吸引機構。
【請求項7】
前記液体吸引ノズルは、
前記液体吸引ノズルの下端側に位置し、液体を吸引するための吸引口が設けられた第1胴部と、
前記液体吸引ノズルの上端側に位置し、前記第1胴部よりも外径の大きい第2胴部とを含み、
前記洗浄液噴出ノズルは、前記液体吸引ノズルの前記第2胴部に隣接して設けられている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体吸引機構。
【請求項8】
前記噴出口は、前記液体吸引ノズルの外周面に向けて傾いて設けられた傾斜噴出口を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の液体吸引機構。
【請求項9】
前記洗浄液噴出ノズルの下端面は、前記液体吸引ノズルに近い側が洗浄液の流れの上流側に位置し、前記液体吸引ノズルから遠い側が洗浄液の流れの下流側に位置するように傾斜した傾斜部を含み、
前記傾斜噴出口は、前記傾斜部に設けられている、請求項8に記載の液体吸引機構。
【請求項10】
前記洗浄液噴出ノズルを複数備え、前記複数の洗浄液噴出ノズルは前記液体吸引ノズルの長手方向に沿って環状に配置されている、請求項8または9に記載の液体吸引機構。
【請求項11】
前記複数の洗浄液噴出ノズルは、互いに密着した状態で配置されている、請求項10に記載の液体吸引機構。
【請求項12】
前記液体吸引ノズルの中心軸線と同軸線を中心とする筒形状を有し、前記複数の洗浄液噴出ノズルを含む筒形部をさらに備える、請求項10または11に記載の液体吸引機構。
【請求項13】
前記筒形部は、
前記複数の洗浄液噴出ノズルが設けられたノズル設置部と、
前記ノズル設置部の上端に接続され、前記洗浄液供給部から供給された洗浄液を前記ノズル設置部の各洗浄液噴出ノズルに導くための単一の流路が設けられた単一流路部とを含む、請求項12に記載の液体吸引機構。
【請求項14】
前記液体吸引ノズルは、
上下方向に延びるように配置され、前記容器の液体に浸される吸引口を有するノズル部と、
前記ノズル部の上端と接続され、前記ノズル部を介して前記吸引部により上方向に流通される液体を下方向に流通するように湾曲された湾曲流路部を有する吸引流路部とを含む、請求項1、8〜13のいずれか1項に記載の液体吸引機構。
【請求項15】
前記液体吸引ノズルは、
上下方向に延びるように配置され、前記容器の液体に浸される吸引口を有するノズル部と、
前記ノズル部の上端と接続され、前記ノズル部を介して前記吸引部により上方向に流通される液体を下方向に流通するように湾曲された湾曲流路部を有する吸引流路部とを含み、
前記液体吸引ノズルの湾曲流路部は、前記筒形部の内部から導出されるように構成されており、
前記湾曲流路部が前記筒形部から導出される部分における前記湾曲流路部と前記筒形部との隙間をシールする樹脂製のシール部材をさらに備える、請求項12に記載の液体吸引機構。
【請求項16】
前記シール部材は、前記湾曲流路部と前記筒形部とを互いに固定するように構成されている、請求項15に記載の液体吸引機構。
【請求項17】
容器に収容された試料を吸引するための試料吸引機構と、
前記試料吸引機構により吸引された試料、および、前記試料吸引機構による吸引後に前記容器に残った試料のいずれか一方を用いて、試料中の所定の成分の分析を行う分析部とを備え、
前記試料吸引機構は、
前記容器に収容された試料を吸引するための液体吸引ノズルと、
前記容器に収容された試料を、前記液体吸引ノズルを介して吸引する吸引部と、
前記液体吸引ノズルの長手方向に沿って配置され、洗浄液を噴出するための噴出口が前記液体吸引ノズルの外周面に向けて設けられた洗浄液噴出ノズルと、
前記洗浄液噴出ノズルの噴出口を介して前記液体吸引ノズルの外周面に洗浄液を供給する洗浄液供給部とを含む、試料分析装置。
【請求項18】
前記所定の成分は、抗原または抗体である、請求項17に記載の試料分析装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate