説明

液体噴射ヘッド、液体噴射装置及び液体噴射ヘッドの製造方法

【課題】側壁6の変形を溝5の容積変化に変換する変換効率を向上させ、耐久性の高い液体噴射ヘッドを提供する。
【解決手段】液体噴射ヘッド1は、溝5を構成する側壁6と、側壁6の下方に設置される補強板17と、溝5に連通するノズル3を有し、補強板17の側壁6側とは反対側に設置されるノズルプレート4と、側壁6の壁面WSに形成される駆動電極7と、側壁6に液体を供給する供給口8と液体を排出する排出口9を有し、側壁6の上方に設置されるカバープレート10により構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を吐出して被記録媒体に画像や文字、あるいは薄膜材料を形成する液体噴射ヘッド、これを用いた液体噴射装置、及び液体噴射ヘッドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、記録紙等にインク滴を吐出して文字、図形を描画する、或いは素子基板の表面に液体材料を吐出して機能性薄膜を形成するインクジェット方式の液体噴射ヘッドが利用されている。この方式は、インクや液体材料を液体タンクから供給管を介して液体噴射ヘッドに供給し、チャンネルに充填したインクや液体材料をチャンネルに連通するノズルから吐出させる。インクの吐出の際には、液体噴射ヘッドや噴射した液体を記録する被記録媒体を移動させて、文字や図形を記録する、或いは所定形状の機能性薄膜を形成する。
【0003】
特許文献1には、圧電体材料から成るシートに多数の溝からなるインクチャンネルを形成したインクジェットヘッド100が記載されている。図14は特許文献1の図2に記載されるインクジェットヘッド60の断面図である。インクジェットヘッド60は、基板62と圧電部材65とカバー部材64の積層構造を有する。基板62の中央に供給口81が形成され、供給口81を挟むように排出口82が形成される。基板62の表面には圧電部材65と枠部材63が接着され、その上面にカバー部材64が接着される。
【0004】
圧電部材65は互いに分極方向を対向させた2枚の圧電板73が張り合わされて形成される。圧電部材65には副走査方向(紙面に平行方向)に延びた複数本の微細な溝が切削形成され、主走査方向(紙面に垂直方向)に等間隔で並んだ複数の圧力室74が形成される。圧力室74(チャンネル)は隣接する一対の壁75により区画され、一対の壁75の対面する側面とその間の底部に連続して電極76が形成され、更に基板62の表面に形成される電気配線77を介してIC66に電気的に接続される。カバー部材64はフィルム92と補強部材94が接着剤を介して貼り合わされ、補強部材94を圧電部材65側にして圧電部材65及び枠部材63に接着される。補強部材94及びフィルム92には各圧力室74に対応する開口96及びノズル72が形成される。
【0005】
インクは基板62の中央の供給口81から供給され、複数の圧力室74に流れ、更にインク室90に流れて排出口82から排出される。そして、IC66から駆動パルスが電気配線77を介して圧力室74を挟む一対の壁75の電極76に印加されると、一対の壁75はシェアーモード変形して湾曲するように離反し、次に初期位置に復帰して圧力室74内の圧力を高める。これに伴ってノズル72からインク滴が吐出される。
【0006】
ここで、カバー部材64のフィルム92はポリイミドフィルムが使用され、補強部材94はSUS、Ni、Ti、Cr等の金属箔が使用されている。カバー部材64としてポリイミドフィルム92の単層とした場合に、ポリイミドフィルムはレーザー光によるノズル72の形成が容易であるが、金属などよりも剛性が小さいので、壁75をシェアーモード変形させたときにフィルムが伸びてしまう。そのために、圧力室74内に充填されたインクに効率よく圧力を伝達できない。そこで、カバー部材64としてポリイミドフィルム92とこのポリイミドフィルム92よりも大きな剛性を有する金属箔を貼り合わせた。これにより、壁75をシェアーモード変形させたときに壁75の上端部を固定することができ、インク滴を吐出させる際の圧力損失を無くすことができる、というものである。なお、ポリイミドフィルム92は厚さが50μmであり、補強部材94としての金属箔は厚さが50μm〜100μmである。また、壁75の壁面に形成した電極76と補強部材94の金属箔が短絡しないようにするために金属箔の電極76側の表面にSiO2膜95を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−196122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、インクジェットヘッドの吐出面は通常数10mm以上の長さがある。厚さが50μm〜100μmで外径が数10mm以上の大きさの金属箔は反りやすく、接着剤を介して壁75の上端面に平坦に貼り付けるのが困難である。また、厚さ50μmのポリイミドフィルム92とこの金属箔とを接着剤を介在して貼り合わせる際に反りを無くすことも難しい。
【0009】
そこで、厚い金属板を壁75の上端面に先に貼り付け、その後金属板を上記厚さに研削して金属箔とする方法が考えられる。この場合は、金属板に先に開口96を形成しておき、この金属板を研削して薄膜化することになる。しかし、金属板を研削すると開口96の端部が変形し或いはバリが発生して開口96の形状を維持することができない。また、補強部材94を金属材料とすると壁75の壁面に形成した電極76と短絡するので、これを防ぐために金属材料の表面にSiO2膜95を形成しなければならず、工数が増加しコストアップの原因となった。また、補強部材94としての金属箔はインクと接触する。そのため、腐食性のインクを使用すると金属材料が腐食してインクジェットヘッドの耐久性が低下する恐れがあった。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、補強部材の接合が容易で信頼性の高い液体噴射ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の液体噴射ヘッドは、溝を構成する側壁と、前記溝に連通する貫通孔を有し、セラミックス材から成り、前記側壁の下方に設置される補強板と、前記貫通孔に開口するノズルを有し、前記補強板の側壁側とは反対側に設置されるノズルプレートと、前記側壁の壁面に形成される駆動電極と、前記溝に液体を供給する供給口と前記溝から液体を排出する排出口を有し、前記側壁の上方に設置されるカバープレートと、を備えることとした。
【0012】
また、前記セラミックス材はマシナブルセラミックスから成ることとした。
また、前記カバープレートは、前記側壁の長手方向における端部上面を露出させて前記側壁の上面に設置され、前記端部上面には前記駆動電極に電気的に接続する引出電極が形成されることとした。
また、表面に配線電極が形成されたフレキシブル基板を更に備え、前記フレキシブル基板は前記端部上面に接合され、前記配線電極は前記引出電極に電気的に接続することとした。
【0013】
また、前記溝と前記供給口の間、及び前記溝と前記排出口の間の各連通部よりも外側の溝を塞ぐ封止材を備えることとした。
また、前記溝は液体吐出用の吐出溝と液体を吐出しないダミー溝を有し、前記吐出溝と前記ダミー溝は交互に配列することとした。
また、前記供給口と前記排出口は、前記吐出溝に対して開口し前記ダミー溝に対して閉止することとした。
【0014】
本発明の液体噴射装置は、上記いずれか一項に記載の液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドを往復移動させる移動機構と、前記液体噴射ヘッドに液体を供給する液体供給管と、前記液体供給管に前記液体を供給する液体タンクと、を備えることとした。
【0015】
本発明の液体噴射ヘッドの製造方法は、圧電体材料を含む基板の表面に側壁により構成される溝を形成する溝形成工程と、前記基板に導電体を堆積して導電膜を形成する導電膜形成工程と、前記導電膜をパターニングして電極を形成する電極形成工程と、前記溝に液体を供給する供給口と前記溝から液体を排出する排出口を有するカバープレートを前記側壁の上面に接合するカバープレート接合工程と、前記基板の裏面を研削し、前記溝を裏面側に開口させる基板研削工程と、前記側壁の下面にセラミックス材から成る補強板を接合する補強板接合工程と、前記補強板にノズルプレートを接合するノズルプレート接合工程と、を備えることとした。
【0016】
また、前記補強板接合工程の後に前記補強板を研削する補強板研削工程を備えることとした。
また、前記補強板研削工程の前に、前記補強板の前記側壁とは反対側の表面に座繰り部を形成する補強板座繰加工工程を備えることとした。
また、前記ノズルプレートの前記供給口と前記排出口の間の位置に液体を吐出するノズルを形成するノズル形成工程を備えることとした。
【0017】
また、前記電極形成工程は、前記側壁の壁面に駆動電極を形成するとともに、前記側壁の長手方向における端部上面に前記駆動電極と電気的に接続する引出電極を形成する工程からなることとした。
また、配線電極が形成されたフレキシブル基板を前記端部上面に接合し、前記配線電極と前記引出電極を電気的に接続するフレキシブル基板接合工程を備えることとした。
【発明の効果】
【0018】
本発明の液体噴射ヘッドは、溝を構成する側壁と、溝に連通する貫通孔を有し、セラミックス材から成り、側壁の下方に設置される補強板と、貫通孔に開口するノズルを有し、補強板の側壁側とは反対側に設置されるノズルプレートと、側壁の壁面に形成される駆動電極と、溝に液体を供給する供給口と溝から液体を排出する排出口を有し、側壁の上方に設置されるカバープレートと、を備える。補強板としてセラミックス材を使用したので、側壁の変形が液体の圧力変動に変換される変換効率を向上させ、液体及び補強板を介して駆動信号が漏洩することもなく、更にセラミックス材は耐蝕性が高いので腐蝕性インクを使用しても耐久性が低下することの無い液体噴射ヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一実施形態に係る液体噴射ヘッドの模式的な縦断面図である。
【図2】本発明の第二実施形態に係る液体噴射ヘッドの模式的な分解斜視図である。
【図3】図2の部分AAの模式的な縦断面図である。
【図4】図2の部分BBの模式的な縦断面図である。
【図5】本発明の第三実施形態に係る液体噴射ヘッドの説明図である。
【図6】本発明の第四実施形態に係る液体噴射ヘッドの模式的な縦断面図である。
【図7】本発明の第五実施形態に係る液体噴射ヘッドの模式的な斜視図である。
【図8】本発明の第六実施形態に係る液体噴射装置の模式的な斜視図である。
【図9】本発明の液体噴射ヘッドの基本的な製造方法を表す工程図である。
【図10】本発明の第七実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法を表す図である。
【図11】本発明の第七実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法を表す図である。
【図12】本発明の第七実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法を表す図である。
【図13】本発明の第七実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法を表す図である。
【図14】従来から公知のインクジェットヘッドの断面図である。
【図15】本発明の第八実施形態に係る液体噴射ヘッドの模式的な縦断面図である。
【図16】本発明の第九実施形態に係る液体噴射ヘッドの模式的な縦断面図である。
【図17】本発明の第十実施形態に係る液体噴射ヘッドの模式的な縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<液体噴射ヘッド>
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態に係る液体噴射ヘッド1の模式的な縦断面図であり、本発明に係る液体噴射ヘッド1の基本構成を表す。図1(a)が吐出溝5aに沿った方向の断面図であり、図1(b)が吐出溝5aに直交する方向の断面図である。図1に示すように、液体噴射ヘッド1は、複数の側壁6、6’と、この複数の側壁6、6’の下方に設置される補強板17と、この補強板17の側壁6、6’とは反対側に設置されるノズルプレート4と、複数の側壁6、6’の壁面WSに形成される駆動電極7と、側壁6、6’の上方に設置されるカバープレート10を備えている。
【0021】
2つの側壁6、6’は吐出溝5aを構成する。各側壁6、6’はその一部又は全部が補強板17の基板面に対して垂直方向に分極された圧電体から成る。駆動電極7は各側壁6の上半分に側壁6を挟むように形成される。補強板17はセラミックス材から成り、吐出溝5aに連通する貫通孔18を有する。ノズルプレート4は補強板17の貫通孔18に開口するノズル3を有する。カバープレート10は、インク等の液体を吐出溝5aに供給する供給口8と吐出溝5aから液体を排出する排出口9を有する。
【0022】
更に、カバープレート10は、吐出溝5aの上部開口を閉塞し一方の端部上面を露出させて側壁6、6’の上面に接合される。側壁6、6’の端部上面には駆動電極7に電気的に接続する引出電極16が形成される。貫通孔18及びノズル3は吐出溝5aの長手方向において供給口8と排出口9の略中央に位置する。なお、側壁6、6’の端部上面に引出電極16を形成して露出させること、また、ノズル3及び貫通孔18を供給口8と排出口9の略中央の位置に形成することは本発明において必須要件ではない。
【0023】
液体噴射ヘッド1は次のように動作する。図示しない液体タンクから供給口8にインク等の液体が供給され、吐出溝5aに流入し、排出口9を介して液体タンクに排出される。つまり液体は循環して吐出溝5aに供給される。側壁6及び側壁6’のそれぞれを挟む駆動電極7に駆動信号が印加されると、2つの側壁6、6’は厚み滑り変形して垂直方向に対して屈曲する。2つの側壁6、6’は、まず、実線で示すように互いに離れる方向に変位して吐出溝5aの容積を拡大させ、液体を吐出溝5aに引き込む。次に、2つの側壁6、6’は、初期位置に戻る、又は一点鎖線で示すように互いに接近する方向に変位して吐出溝5aの容積を縮小させ、ノズル3から液滴を吐出する。この場合に、2つの側壁6、6’の下端面に補強板17を設置したので、補強板17がないときよりも側壁6、6’の下端部が固定されて吐出溝5aの容積が大きく変化する。そのため、側壁6、6’の厚み滑り変形を吐出溝5aの液体の圧力変動に変換する変換効率が向上する。
【0024】
ここで、圧電体基板15として、基板面の垂直方向に分極処理が施されているPZTセラミックスを使用する。吐出溝5aは長手方向の端部が傾斜する船型形状を有している。ノズルプレート4はポリイミド膜を使用する。カバープレート10は圧電体基板15と同じ材料を使用する。これにより、カバープレート10と圧電体基板15とは熱膨張係数が等しく、温度変化に対する信頼性を向上させることができる。
【0025】
補強板17としては、マシナブルセラミックス、PZTセラミックス、酸化シリコン、酸化アルミニウム(アルミナ)、窒化アルミニウム等のセラミックス材を使用することができる。マシナブルセラミックスとしては、例えばマセライト、マコール、ホトベール、シェイパル(以上いずれも登録商標)などを使用することができる。セラミックス材は、予め貫通孔を形成しておいても研削によりその貫通孔の開口形状が変形することがなく、絶縁性の材料を使用すれば短絡防止のための絶縁膜を形成する必要がない。更に、セラミックス材は耐蝕性が高いので使用できる液体の種類の範囲が広く、例えば腐蝕性の水性インクを使用しても耐久性が低下することがない。特に、マシナブルセラミックスは、研削加工が容易であり、かつ、熱膨張係数を圧電体基板15、この場合はPZTセラミックスと同等とすることができる。そのため、温度変化に対して圧電体基板15が反る、或いは割れることがなく、信頼性の高い液体噴射ヘッド1を形成することができる。
【0026】
(第二実施形態)
図2〜図4は本発明の第二実施形態に係る液体噴射ヘッド1を表し、図2が液体噴射ヘッド1の模式的な分解斜視図であり、図3が部分AAの模式的な縦断面図であり、図4は部分BBの模式的な縦断面図である。なお、図3では側壁6の端部上面EJに接合したフレキシブル基板20を追加記載している。また、図2のAA線は、後に説明するスリット25a及び25bの上部に位置している。
【0027】
液体噴射ヘッド1は、ノズルプレート4と、セラミックス材から成る補強板17と、並列に設置した複数の側壁6と、カバープレート10を積層した積層構造を備える。ノズルプレート4は液体を吐出するためのノズル3を備える。補強板17はノズル3に対応する位置に貫通孔18を備える。複数の側壁6は、補強板17の上方に並列に配列し、深さが一定の複数の溝5を構成する。各側壁6は全部又は一部が圧電材料、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電性セラミックスから成る。圧電性セラミックスは例えば上下方向に分極処理が施される。各側壁6の壁面WSには、側壁6の圧電材料に電界を印加して選択的に変形させるための駆動電極7が形成される。カバープレート10は、複数の側壁6の上面USに設置され、複数の溝5に液体を供給する供給口8と溝5から液体を排出する排出口9を備える。カバープレート10は、複数の側壁6の長手方向における端部上面EJを露出させて側壁6の上面USに設置される。
【0028】
複数の溝5は液体が充填される吐出溝5aと液体が充填されないダミー溝5bを含む。吐出溝5aとダミー溝5bは交互に並列に配列する。供給口8と排出口9にはスリット25a、25bがそれぞれ形成される。供給口8と吐出溝5aはスリット25aを介して、吐出溝5aと排出口9はスリット25bを介してそれぞれ連通する。ダミー溝5bに対して供給口8と排出口9は閉止される。更に、吐出溝5aと供給口8の間、及び吐出溝5aと排出口9の間の各連通部よりも外側の吐出溝5aを封止する封止材11が設置される。図3に示すように、封止材11は、吐出溝5aを塞ぐとともに、スリット25aおよび25bにかかるまで形成されている。従って、供給口8に供給された液体は、スリット25aを介して吐出溝5aに供給され、更に、スリット25bを介して排出口9に排出され、外部に漏えいしない。一方、ダミー溝5bは供給口8及び排出口9に対して閉止されるので液体が充填されない。貫通孔18及びノズル3は供給口8と排出口9のほぼ中央に位置し、吐出溝5aに連通する。ノズル3は、ダミー溝5bに対応するように形成されても形成されなくてもどちらでも構わない。本実施形態では加工数の減少のためにダミー溝5bに対応してノズル3が形成されていない形態を示す。
【0029】
駆動電極7は、側壁6の壁面WSの上半分であり、側壁6の長手方向における端部まで延設される。各側壁6の端部上面EJには引出電極16が形成される。引出電極16は、吐出溝5aを構成する2つの側壁6の壁面WSに形成される駆動電極7に電気的に接続する共通引出電極16bと、ダミー溝5bを構成する2つの側壁6の壁面WSに形成される駆動電極7に電気的に接続する個別引出電極16aとを含む。個別引出電極16aは2つの側壁6の端部上面EJの端部側に設置され、共通引出電極16bは2つの側壁6の端部上面EJのカバープレート10側に設置される。
【0030】
図3に示すように、側壁6の端部上面EJにフレキシブル基板20が接合される。フレキシブル基板20の下側の表面には配線電極21が形成され図示しない駆動回路に接続される。配線電極21は、共通引出電極16bに電気的に接続する共通配線電極21bと、個別引出電極16aに電気的に接続する個別配線電極21aとを含む。フレキシブル基板20の配線電極21は接合面以外の表面に保護膜26が形成され、短絡等の発生を防止する。
【0031】
この液体噴射ヘッド1は次のように動作する。図示しない液体タンク等から供給口8にインク等の液体が供給される。供給された液体はスリット25aを介して吐出溝5aに流入し、スリット25bを介して排出口9に流出し、図示しない液体タンク等へ排出される。そして、個別配線電極21aと共通配線電極21bとに駆動信号が与えられ、側壁6を挟む駆動電極7の一方と他方で電位差ができると、側壁6は厚み滑り変形し、吐出溝5aの容積が瞬間的に変化して内部に充填された液体に圧力が印加され、ノズル3から液滴が吐出される。例えば、引き打ち法では、吐出溝5aの容積を一旦拡張させて供給口8から液体を引き込み、次に吐出溝5aの容積を縮小させてノズル3から液体を吐出する。液体噴射ヘッド1とその下部の被記録媒体を移動させて被記録媒体に液滴を描画して記録する。
【0032】
複数の側壁6とノズルプレート4の間にセラミックス材から成る補強板17を設置したので、側壁6の変形を吐出溝5aの液体の圧力変動に変換する変換効率が向上する。更に、絶縁性のセラミックス材を使用すれば、導電性の液体を使用した場合でも駆動信号が補強板17を介して漏洩せず、腐蝕性の液体を使用しても耐久性が低下することがない。また、セラミックス材の熱膨張係数を側壁6のPZTセラミックスと同等に設定し、温度変化に対する反りや割れのない高信頼性の液体噴射ヘッド1を提供することができる。
【0033】
本実施形態においては、側壁6の間に形成される溝5の深さを一定とし、供給口8及び排出口9との間の連通部よりも外側の吐出溝5aを封止材11により閉止する構造とした。その結果、溝5の研削の際に使用した円盤状のダイシングブレード(ダイヤモンドホイールともいう。)の外形形状が圧電体や基板に残ってデッドスペースとなることを防止することができ、液体噴射ヘッド1の溝5の長手方向の幅を大幅に小さく形成することができる。例えば、溝5の深さを350μmとした場合に、従来法と比べて液体噴射ヘッド1の幅を8mm〜12mm狭く形成することが可能となり、同じ大きさの圧電体基板からの取り個数が増大し、コストダウンを図ることができる。
【0034】
さらに、封止材11は、スリット25a、25bの壁面にかかるようにスリット25a、25bの内部に形成されるとともに、スリット25a、25bの壁面から離れるに従いなだらかに傾斜している。その結果、液体の滞留領域を少なくすることができる。つまり、吐出溝5aや供給口8及び排出口9には、液体が滞留し、液体中の気泡や異物が長時間留まる滞留領域が少ない。例えば、吐出溝5aに気泡が滞留すると液体を吐出させるための圧力波が気泡により吸収されて、ノズルから液滴を正常に吐出させることができない。このような不良が発生したときは気泡をチャンネル内から迅速に排出させる必要があるが、本実施形態では滞留領域が少ないので気泡を迅速に排出させることができる。
【0035】
また、図14に示す従来例では、圧力室74とIC66が基板62の同一面に形成されるので、IC66はその上面がカバー部材64の吐出面よりも突出しないように高さが制限される。これに対し本実施形態においては、側壁6の上面USの一部である端部上面EJにフレキシブル基板20を接合し、反対側にノズルプレート4を接合して、液体はフレキシブル基板20の接合側とは反対側に吐出される。その結果、フレキシブル基板20の接合部に高さ制限がなく、フレキシブル基板20を側壁6の上面USに容易に接合することができるとともに、設計自由度が拡大する。
【0036】
また、図14に示す従来例では、全ての圧力室74にインクが流入し、電極76や基板62上の電気配線77がインクに接触するので、導電性のインクを使用すると駆動信号が漏洩し或いは電極が電気分解する。これを防ぐために全ての電極76や電気配線77を酸化膜等の保護膜により覆わなければならない。これに対して、本実施形態においては吐出溝5aとダミー溝5bを交互に並列に配列し、吐出溝5aには液体が充填されるがダミー溝5bには液体が充填されない。駆動の際には吐出溝5a側の駆動電極7を全て共通にGNDに接続し、ダミー溝5b側の駆動電極7に駆動信号を選択的に印加する。これにより、導電性の液体を使用する場合でも駆動信号が漏洩せず、液体に両極性の電圧が印加されないので電極の耐久性が向上する。
【0037】
なお、カバープレート10はプラスチックやセラミックス等を使用できるが、側壁6と同じ材料、例えばPZTセラミックスを使用すれば、熱膨張係数が側壁6と等しくなり、熱変化に対する耐久性を向上させることができる。ノズルプレート4はプラスチック材料、金属材料、或いはセラミックス等を使用することができる。ノズルプレート4としてポリイミド材料を使用すれば、レーザー光によるノズル3の穴開け加工が容易となる。
【0038】
また、本実施形態においては封止材11を供給口8及び排出口9の側の吐出溝5aに設置したが、本発明はこれに限定されない。封止材11を、カバープレート10の両端側から吐出溝5aに流し込み、カバープレート10の供給口8及び排出口9よりも外側の吐出溝5aに封止材11を充填してもよい。
【0039】
(第三実施形態)
図5は、本発明の第三実施形態に係る液体噴射ヘッド1を表し、供給口8の長手方向の縦断面に電極配線を付加した説明図である。第二実施形態と異なる点は、両端を除いて溝5を全て吐出溝5aとした点である。これに伴い、側壁6の上部に設置するカバープレート10の供給口8及び図示しない排出口は全ての吐出溝5aに連通する。また、側壁6の下部に設置した補強板17及びノズルプレート4は吐出溝5aのそれぞれに連通する貫通孔18及びノズル3を有する。各貫通孔18及びノズル3は吐出溝5aの長手方向において供給口と排出口の略中央に位置する。端子T0〜T9のそれぞれは対応する吐出溝5aの両壁面に形成した駆動電極7に電気的に接続する。
【0040】
この液体噴射ヘッド1は3サイクル駆動により液滴を吐出する。即ち、端子T1と端子T0、端子T1と端子T2それぞれの間に駆動信号を印加して端子T1に対応する吐出溝5aから液体を吐出させる。次に端子T2と端子T1、端子T2と端子T3それぞれの間に駆動信号を印加して端子T2に対応する吐出溝5aから液体を吐出させる。次に端子T3と端子T2、端子T3と端子T4それぞれの間に駆動信号を印加して端子T3に対応する吐出溝5aから液体を吐出させる。以降これを繰り返す。つまり、隣接する3つの吐出溝5aを順に繰り返して選択して液体を吐出させる。これにより、第一実施形態の液体噴射ヘッド1よりも高密度に記録することができる。
【0041】
このように、ノズルプレート4と側壁6の間にセラミックス材から成る補強板17を設置したので、側壁6の変形が吐出溝5aの液体の圧力変動に変換される変換効率を向上させることができる。
【0042】
(第四実施形態)
図6は、本発明の第四実施形態に係る液体噴射ヘッド1を表し、溝5の長手方向に直交する方向の模式的な縦断面図である。第二実施形態と異なる点は、側壁6の構成とその壁面WSに形成した駆動電極7であり、その他は第二実施形態と同様である。従って、以下、主に第二実施形態と異なる部分について説明し、同一の部分は説明を省略する。同一の部分または同一の機能を有する部分については同一の符号を付した。
【0043】
液体噴射ヘッド1は、ノズルプレート4、補強板17、側壁6及びカバープレート10の積層構造を有している。複数の側壁6は深さが一定である複数の溝5を構成し、複数の溝5は交互に並列に配列する吐出溝5aとダミー溝5bからなる。カバープレート10は、供給口8と図示しない排出口9を有し、供給口8及び排出口9はスリット25a及び図示しないスリット25bを介して吐出溝5aに連通する。補強板17は各吐出溝5aに対応する位置に貫通孔18を有し、各貫通孔18は各吐出溝5aに連通する。ノズルプレート4は各貫通孔18に対応する位置にノズル3を有し、各ノズル3は各貫通孔18に連通する。
【0044】
ここで、側壁6は分極処理が施された圧電体から形成され、側壁6の上半分の側壁6aの分極方向と下半分の側壁6bの分極方向は反対側に向いている。例えば側壁6aが上向きに分極され、側壁6bが下向きに分極される。そして駆動電極7は側壁6a及び側壁6bの壁面WSの上端から下端に亘って形成される。吐出溝5aの両駆動電極7をGNDに、吐出溝5aに隣接する2つのダミー溝5bの吐出溝5a側の2つの駆動電極7に駆動信号を印加することにより、側壁6を垂直方向に対して屈曲させ、吐出溝5a内に充填された液体に圧力波を生じさせてノズル3から液体を吐出させる。電圧を上半分の側壁6aのみに印加する場合よりも分極方向を逆にして同じ電圧を側壁6aと側壁6bに印加するほうが側壁6の変形量が大きくなるので、同じ変形量を生じさせる場合は本実施形態の方が第二実施形態の場合よりも駆動電圧を低下させることができる。
【0045】
なお、カバープレート10を側壁6の長手方向における端部上面が露出するように側壁6の上面に設置し、第二実施形態と同様に、その端部上面に引出電極16を形成し、その引出電極16に配線電極21を形成したフレキシブル基板20を接合することができる。また、第三実施形態と同様に、溝5を全て吐出溝5aとし、3サイクル駆動により液滴を吐出させて、高密度に記録することができる。
【0046】
このように、側壁6とカバープレート10の間にセラミックス材からなる補強板17を挿入したので、側壁6の変形を吐出溝5aの液体の圧力変動に変換する変換効率が向上する。更に、絶縁性のセラミックス材を使用すれば、駆動電極7の下端部が補強板17に接触しても駆動電極7が他の駆動電極7と短絡することがなく、図14の従来例のように補強部材94の圧力室74側の表面に絶縁膜を形成する必要がない。
【0047】
(第五実施形態)
図7は本発明の第五実施形態に係る液体噴射ヘッド1の模式的な斜視図である。図7(a)は液体噴射ヘッド1の全体斜視図であり、図7(b)は液体噴射ヘッド1の内部斜視図である。
【0048】
図7(a)及び(b)に示すように、液体噴射ヘッド1はノズルプレート4と補強板17と複数の側壁6とカバープレート10と流路部材14の積層構造を備える。ノズルプレート4と補強板17と複数の側壁6とカバープレート10の積層構造は第一〜第四実施形態のいずれかと同じである。ノズルプレート4と補強板17と側壁6はy方向の幅がカバープレート10と流路部材14のy方向の幅よりも長く、カバープレート10は側壁6の一方の端部上面EJが露出するように側壁6の上面に接合される。複数の側壁6は、x方向に並列に配列し、隣接する側壁6の間に深さが一定の複数の溝5が形成される。カバープレート10は複数の溝5に連通する供給口8と排出口9を備える。
【0049】
流路部材14は、カバープレート10側の表面に開口する凹部からなる図示しない液体供給室と液体排出室を備え、カバープレート10とは反対側の表面に液体供給室と連通する供給継手27aと液体排出室と連通する排出継手27bを備える。
【0050】
各側壁6の壁面には図示しない駆動電極が形成され、当該側壁6の端部上面EJに形成される図示しない引出電極に電気的に接続される。フレキシブル基板20は端部上面EJに接合されている。フレキシブル基板20の端部上面EJ側の表面に多数の配線電極が形成され、端部上面EJに形成した引出電極に電気的に接続される。フレキシブル基板20はその表面に駆動回路としてのドライバIC28や接続コネクタ29を備える。ドライバIC28は、接続コネクタ29から入力した信号に基づいて側壁6を駆動するための駆動信号を生成し、配線電極と引出電極を介して図示しない駆動電極に供給する。
【0051】
ベース30はノズルプレート4、側壁6、カバープレート10及び流路部材14の積層体を収納する。ベース30の下面にノズルプレート4の液体噴射面が露出する。フレキシブル基板20はベース30の側面から外部に引き出され、ベース30の外側面に固定される。ベース30はその上面に2つの貫通孔を備え、液体供給用の供給チューブ31aが一方の貫通孔を貫通して供給継手27aに接続し、液体排出用の排出チューブ31bが他方の貫通孔を貫通して排出継手27bに接続する。その他の構成は第一〜第四実施形態のいずれかと同様なので、説明を省略する。
【0052】
流路部材14を設け、上方から液体を供給し上方へ液体を排出するように構成するとともに、フレキシブル基板20にドライバIC28を実装し、フレキシブル基板20をz方向に折り曲げて立設した。第二〜第四実施形態のいずれかを採用すれば、溝5を形成する際に溝5のy方向端部にダイシングブレードの外形形状が残りデッドスペースとなることがないので、y方向の幅を狭く形成できることに加えて、配線周りもコンパクトにまとめることができる。また、ドライバIC28や側壁6は駆動時に発熱するが、熱はベース30や流路部材14を介して内部を流れる液体に伝達される。即ち、被記録媒体の記録用液体を冷却媒体として利用して、内部で発生した熱を効率よく外部に放熱することができる。そのため、ドライバIC28や側壁6の過熱による駆動能力の低下を防止することができる。また、吐出溝内を液体が循環するので、気泡が混入した場合でもその気泡を外部に迅速に排出でき、無駄に液体を使用せず、記録不良による被記録媒体の無駄な消費を抑制することができる。これにより、信頼性の高い液体噴射ヘッド1を提供することが可能となる。
【0053】
<液体噴射装置>
(第六実施形態)
図8は本発明の第六実施形態に係る液体噴射装置2の模式的な斜視図である。液体噴射装置2は、液体噴射ヘッド1、1’を往復移動させる移動機構40と、液体噴射ヘッド1、1’に液体を供給する流路部35、35’と、流路部35、35’に液体を供給する液体ポンプ33、33’及び液体タンク34、34’を備えている。各液体噴射ヘッド1、1’は複数の吐出溝を備え、各吐出溝に連通するノズルから液滴を吐出する。液体噴射ヘッド1、1’は既に説明した第一〜第五実施形態のいずれかを使用する。
【0054】
液体噴射装置2は、紙等の被記録媒体44を主走査方向に搬送する一対の搬送手段41、42と、被記録媒体44に液体を吐出する液体噴射ヘッド1、1’と、液体噴射ヘッド1、1’を載置するキャリッジユニット43と、液体タンク34、34’に貯留した液体を流路部35、35’に押圧して供給する液体ポンプ33、33’と、液体噴射ヘッド1、1’を主走査方向と直交する副走査方向に走査する移動機構40を備えている。図示しない制御部は液体噴射ヘッド1、1’、移動機構40、搬送手段41、42を制御して駆動する。
【0055】
一対の搬送手段41、42は副走査方向に延び、ローラ面を接触しながら回転するグリッドローラとピンチローラを備えている。図示しないモータによりグリッドローラとピンチローラを軸周りに移転させてローラ間に挟み込んだ被記録媒体44を主走査方向に搬送する。移動機構40は、副走査方向に延びた一対のガイドレール36、37と、一対のガイドレール36、37に沿って摺動可能なキャリッジユニット43と、キャリッジユニット43を連結し副走査方向に移動させる無端ベルト38と、この無端ベルト38を図示しないプーリを介して周回させるモータ39を備えている。
【0056】
キャリッジユニット43は、複数の液体噴射ヘッド1、1’を載置し、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4種類の液滴を吐出する。液体タンク34、34’は対応する色の液体を貯留し、液体ポンプ33、33’、流路部35、35’を介して液体噴射ヘッド1、1’に供給する。各液体噴射ヘッド1、1’は駆動信号に応じて各色の液滴を吐出する。液体噴射ヘッド1、1’から液体を吐出させるタイミング、キャリッジユニット43を駆動するモータ39の回転及び被記録媒体44の搬送速度を制御することにより、被記録媒体44上に任意のパターンを記録することできる。
【0057】
<液体噴射ヘッドの製造方法>
次に本発明に係る液体噴射ヘッドの製造方法について説明する。図9は、本発明の液体噴射ヘッドの基本的な製造方法を表す工程図である。まず、圧電体基板又は圧電体基板と絶縁体基板を積層した基板、或いは分極方向が反対側を向いた2枚の圧電体基板を接合した基板を準備し、その表面に複数の溝を形成する(溝形成工程S1)。圧電体基板はPZTセラミックスを使用することができる。次に、溝が形成された基板の表面に導電体を堆積する(導電膜形成工程S2)。導電体として金属材料を用い、蒸着法、スパッタリング法、めっき法等により堆積して導電膜を形成する。その後、導電膜をパターニングして電極を形成する(電極形成工程S3)。電極は、側壁の壁面に駆動電極を、側壁の上面に引出電極を形成する。パターニングはフォトリソグラフィー及びエッチング工程、リフトオフ工程、或いはレーザー光を照射して導電膜を局所的に除去して電極パターンを形成する。
【0058】
次に、基板の表面、即ち複数の側壁の上面にカバープレートを接合する(カバープレート接合工程S4)。接合は接着剤を用いることができる。カバープレートには予め表面から裏面に貫通し、複数の溝に連通する供給口と排出口を形成しておく。カバープレートは接合する基板と同じ材料、例えばPZTセラミックスを使用することができる。基板とカバープレートの熱膨張係数を等しくすれば剥がれや亀裂が発生し難く、耐久性を向上させることができる。次に、基板の表面とは反対側の裏面を研削し、複数の溝を裏面側に開口させる(基板研削工程S5)。溝が開口することにより溝を分離する側壁は分離されるが、上面側にカバープレートが接合しているので、ばらばらに脱落することがない。次に、複数の側壁の下面にセラミックス材から成る補強板を接合する(補強板接合工程S6)。溝に対応する位置に予め貫通孔を形成した補強板を側壁の下面に接合し、その後研削して補強板を薄板化することができる。次に、補強板の外面にノズルプレートを接合する(ノズルプレート接合工程S7)。
【0059】
本発明の製造方法によれば、補強板としてセラミックス材を使用したので高い位置精度で接合することができる。絶縁性のセラミックス材を使用すれば駆動信号が漏洩することがない。また、セラミックス材は耐蝕性が高いので腐蝕性インクを使用しても耐久性が低下することがない。以下、本発明について実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0060】
(第七実施形態)
図10〜図13は本発明の第七実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法を表す図である。図10が液体噴射ヘッドの製造方法を表す工程図であり、図11〜図13が各工程の説明図である。本実施形態では図9に示す溝形成工程S1〜ノズルプレート接合工程S7の基本工程に、リフトオフ法により電極を形成するための樹脂パターン形成工程S01、補強板に座繰り加工を施す補強材座繰加工工程S60、側壁の下面に接合した補強板を研削する補強板研削工程S61、ノズルプレートにノズルを形成するノズル形成工程S71、吐出溝を封止材により閉止する封止材設置工程S72、フレキシブル基板を端部上面EJに接合するフレキシブル基板接合工程S73、カバープレートの上面に流路部材を接合する流路部材接合工程S74を付加した。同一の部分または同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0061】
図11(a)は、圧電体基板15の縦断面図である。圧電体基板15としてPZTセラミックスを使用し基板垂直方向に分極処理を施した。図11(b)は、圧電体基板15の上面USに感光性樹脂22、例えばレジストを塗布又は貼り付け、パターニングする樹脂パターン形成工程S01の説明図である。電極形成用の導電体を残す領域からは感光性樹脂22を除去し、導電体を残さない領域には感光性樹脂22を残す。
【0062】
図11(c)及び(d)は、圧電体基板15の表面にダイシングブレード23により複数の溝5を形成する溝形成工程S1の説明図である。図11(c)がダイシングブレード23を横方向から見た図であり、図11(d)がダイシングブレード23の移動方向から見た図である。吐出溝5aとダミー溝5bを交互に並列に研削し吐出溝5aとダミー溝5bの間に側壁6を介在させる。溝5は一定の深さ、例えば300μm〜350μmの深さに、吐出溝5a及びダミー溝5bを30μm〜100μmの幅に形成する。
【0063】
図11(e)及び(f)は、斜め蒸着法により溝5が開口する側の圧電体基板15の表面に導電体を堆積して導電膜32を形成する導電膜形成工程S2の説明図であり、図11(d)に示す圧電体基板15を上下反転させた。圧電体基板15の上面USを下方に向けて、溝5の長手方向に直交し、圧電体基板15の上面USの法線に対して傾斜角(−θ)と傾斜角(+θ)の方向から導電体を蒸着する。これにより、側壁6の両壁面の上面US側の上半分と上面USに導電体を堆積して導電膜32を形成する。導電体としてAl、Mo、Cr、Ag、Ni等の金属を使用することができる。斜め蒸着法によれば、溝5の深さ方向に所望の導電膜32を形成することができるため、側壁6の壁面WSに堆積した導電膜32のパターニングを行う必要がない。
【0064】
図11(g)は、リフトオフ法により導電膜32をパターニングして電極を形成する電極形成工程S3の説明図であり、図11(f)に示す圧電体基板15を上下反転させた。圧電体基板15の上面USから感光性樹脂22と感光性樹脂22上の導電膜32を除去し、溝5の壁面に駆動電極7を形成し、側壁6の上面USに図示しない引出電極を形成する。なお、導電膜32のパターニングは、導電膜形成工程S2の後にフォトリソグラフィー及びエッチング法により、或いはレーザー光により行うことができるが、上記のリフトオフ法のほうが簡便にパターニングすることができる。
【0065】
図12(h)は、圧電体基板15の表面(上面US)にカバープレート10を接合するカバープレート接合工程S4の説明図である。カバープレート10には予め供給口8と排出口9とスリット25を形成しておく。カバープレート10を圧電体基板15の表面(上面US)に圧電体基板15の端部上面が露出するように接着剤により接合する。接合の際にスリット25を吐出溝5aに連通させ、ダミー溝5bに対して供給口8及び排出口9を閉止させる。カバープレート10は圧電体基板15とほぼ等しい熱膨張係数を有す材料を使用することが好ましい。本実施形態においてはカバープレート10としてPZTセラミックスを使用した。
【0066】
図12(i)は、圧電体基板15の表面とは反対側の裏面を研削し、溝5を裏面側に開口させる基板研削工程S5の説明図である。研削盤又は研磨定盤を用いて圧電体基板15を裏面側から研削し、各吐出溝5a及びダミー溝5bを裏面側に開口させる。これにより各側壁6は互いに分離されるが、各側壁6の上面USがカバープレート10に接着されているので、崩落することはない。
【0067】
図12(j)は、セラミックス材から成る補強板17の表面に座繰り部34を形成する補強板座繰加工工程S60の後に、その座繰り部34に貫通孔18を形成した状態を表す。セラミックス板に直径が数10μm〜100μmで深さが200μm以上の細孔を吐出溝5aの位置に合わせて多数形成することは極めて難しい。そこで、例えば0.2mm〜1mm程度の厚さのセラミックス板(補強板17)を用意し、複数の吐出溝5aに対応する位置にサンドブラストにより底厚を0.1mm〜0.2mm程度残して座繰り部34を形成する。そして、サンドブラスト等により座繰り部34の底部に貫通孔18を形成し、この補強板17を、座繰り部34を外側に(側壁6とは反対側に)して圧電体基板15の裏面側に接合する。
【0068】
図12(k)は、圧電体基板15の裏面側に補強板17を接合した補強板接合工程S6の説明図である。補強板17は圧電体基板15、即ち側壁6の裏面側に接着剤により接合した。補強板17にはカバープレート10の供給口8と排出口9の略中央の位置に吐出溝5aに連通する貫通孔18を設け、貫通孔18の下面には貫通孔18に連通する座繰り部34を設けている。側壁6及び圧電体基板15の下面に補強板17を接着剤により接合する前に補強板17に貫通孔18を開けておけば、接合の際に貫通孔18から接着剤を逃がすことができる。これにより、余分な接着剤を除去して補強板17を側壁6の下面に平坦に接合することが可能となる。
【0069】
図12(l)は、補強板17の下面を研削して補強板17を薄膜化する補強板研削工程S61の説明図である。研削盤又は研磨定盤を用いて補強板17を薄膜化し、座繰り部34を除去する。補強板17の厚さを50μm〜100μmとする。100μm以上とすると貫通孔18の側壁等に気泡が付着しやすくなり、薄すぎると取り扱い難くなる。
【0070】
図12(m)は、補強板17の側壁6とは反対側にノズルプレート4を接合するノズルプレート接合工程S7の説明図である。ノズルプレート4はポリイミド膜を使用した。ノズルプレート4には、補強板17の貫通孔18の位置にノズル3を設ける(ノズル形成工程S71)。ノズル3はノズルプレート4を補強板17に接合する前に形成してもよいし、接合した後に形成してもよい。補強板17に接合した後にノズル3を形成すれば位置合わせが容易となる。ノズル3は外側からレーザー光を照射して形成する。
【0071】
図13(n)は、供給口8及び排出口9との間の連通部よりも外側の吐出溝5aを閉止する封止材11を設置した封止材設置工程S72の説明図である。封止材11により吐出溝5aを塞いで液体が外部に漏えいすることを防止する。図13(n)では封止材11を供給口8及び排出口9側に設けているが、封止材11はカバープレート10の端部側に設けてもよい。なお、図13(n)に示すように、側壁6(圧電体基板15)の端部上面EJには引出電極16が形成され、個別引出電極16aが側壁6(圧電体基板15)の端部側に、共通引出電極16bがカバープレート10の端部側に設置されている。
【0072】
図13(o)は、端部上面EJのフレキシブル基板20を接合したフレキシブル基板接合工程S73の説明図である。フレキシブル基板20には予め個別配線電極21aと共通配線電極21bから成る配線電極21を形成しておく。個別配線電極21aと個別引出電極16aが電気的に接続し、共通配線電極21bと共通引出電極16bが電気的に接続するようにフレキシブル基板20を圧電体基板15の端部上面EJに接合する。配線電極21と引出電極16とは例えば異方性導電体を介して接着する。フレキシブル基板20上の配線電極21は接合領域以外の領域が保護膜26により覆われ、保護されている。また、フレキシブル基板20を液体が吐出されるノズルプレート4の側とは反対側の端部上面EJに接合したので接合部の厚さに制限がなく、設計自由度が拡大する。
【0073】
図13(p)は、流路部材14をカバープレート10の上面に接合した流路部材接合工程S74の説明図である。流路部材14には予め供給流路33a及び供給流路33aに連通する供給継手27aと、排出流路33b及び排出流路33bに連通する排出継手27bを形成しておく。接合の際に、流路部材14の供給流路33aをカバープレート10の供給口8に、流路部材14の排出流路33bをカバープレート10の排出口9に合わせる。流路部材14の供給継手27a及び排出継手27bを流路部材14の上面に設置したので、配管を集約しコンパクトに構成することができる。
【0074】
なお、本発明に係る液体噴射ヘッド1の製造方法は、吐出溝5aとダミー溝5bを交互に並列して形成することに限定されず、全ての溝5を吐出溝5aとし、ノズル3及び貫通孔18をそれぞれの吐出溝5aに対応させて形成してもよい。また、側壁6は分極方向が互いに逆向きの積層された圧電体を使用し、駆動電極7を側壁6の壁面WSの上端から下端の全面に形成する構成としてもよい。また、上記各工程の順番通りとする必要はなく、例えば、ノズルプレート4と補強板17を予め貼り合わせて積層構造とし、次に側壁6及び圧電体基板15の下面にその積層体を接合してもよい。また、溝5を深さの一定なストレートの溝とすることに代えて第一実施形態のように船型の溝としてもよい。その場合は封止材設置工程S72が不要となる。
【0075】
(第八実施形態)
図15は、本発明の第八実施形態に係る液体噴射ヘッド1の模式的な縦断面図であり、具体的には吐出溝5aに沿った方向の断面図である。第一実施形態と異なる点は、貫通孔118の幅P1をカバープレート10の供給口8の内側面Paから排出口9の内側面Pbの幅と同一にした点である。この特徴以外は、第一実施形態と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0076】
貫通孔118の側面Pa’は、供給口8の内側面Paに対応する。側面Pa’は、内側面Paの真下に位置する。貫通孔118の側面Pb’は、排出口9の内側面Pbに対応する。側面Pb’は、内側面Pbの真下に位置する。貫通孔118の幅P1は、内側面Paから内側面Pbの幅と同じ幅である。
【0077】
第八実施形態は、このような構成を有することによって、供給口8から吐出溝5aを介して排出口8にインクが流れる際に、インクの流れが貫通孔118に付着した気泡を取り去ることができるので、吐出溝5aから効果的に気泡を排出することができる。この現象は、第一実施形態に比較して貫通孔118の幅P1を拡大したことにより、インクの流れが貫通孔118の気泡に与える影響を大きくすることができたため発生している。なお、この第八実施形態は溝5が徐々に深くなる形状を有する第一実施形態と比較して述べたが、第二実施形態に示した圧電体基板15の一端から他端まで溝5を形成し封止材11で封止する構成でも採用することができる。
【0078】
(第九実施形態)
図16は、本発明の第九実施形態に係る液体噴射ヘッド1の模式的な縦断面図であり、具体的には吐出溝5aに沿った方向の断面図である。第一実施形態と異なる点は、貫通孔218の幅P2をカバープレート10の供給口8の外側面Pcから排出口9の外側面Pdの幅と同一にした点である。また、第九実施懈怠の貫通孔218の幅P2は、第八実施形態の貫通孔118の幅P1よりも広い。この特徴以外は、第一実施形態と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0079】
貫通孔218の側面Pc’は、供給口8の外側面Pcに対応する。側面Pc’は、外側面Pcの真下に位置する。貫通孔218の側面Pd’は、排出口9の外側面Pdに対応する。側面Pd’は、外側面Pdの真下に位置する。貫通孔218の幅P1は、外側面Pcから外側面Pdの幅と同じ幅である。
【0080】
第九実施形態は、このような構成を有することによって、供給口8から吐出溝5aを介して排出口8にインクが流れる際に、インクの流れが貫通孔218に付着した気泡を取り去ることができるので、吐出溝5aから効果的に気泡を排出することができる。この現象は、第一実施形態に比較して貫通孔218の幅P2を拡大したことにより、インクの流れが貫通孔218の気泡に与える影響を大きくすることができたため発生している。さらに、供給口8と排出口9の図面下側まで貫通孔218が形成されているため、インクの流れによる気泡除去効果を受けやすくすることができる。結果、より効果的に貫通孔218に滞留する気泡を排出することができる。なお、この第九実施形態は溝5が徐々に深くなる形状を有する第一実施形態と比較して述べたが、第二実施形態に示した圧電体基板15の一端から他端まで溝5を形成し封止材11で封止する構成でも採用することができる。
【0081】
(第十実施形態)
図17は、本発明の第十実施形態に係る液体噴射ヘッド1の模式的な縦断面図であり、具体的には吐出溝5aに沿った方向の断面図である。第一実施形態と異なる点は、貫通孔318の壁面Q2を圧電体基板15に形成される吐出溝5aの壁面Q1に沿って連続的な壁面となるように形成した点にある。この特徴以外は、第一実施形態と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0082】
第十実施形態は、このような構成を有することによって、供給口8から吐出溝5aを介して排出口8にインクが流れる際に、インクの流れが貫通孔318に付着した気泡を取り去ることができるので、吐出溝5aから効果的に気泡を排出することができる。この現象は、第一実施形態に比較して貫通孔318の壁面Q2を吐出溝5aの壁面Q1と連続するように形成したことにより、インクの流れが貫通孔318の気泡に与える影響を大きくすることができたため発生している。
【0083】
なお図17では、壁面Q1が吐出溝5aの深さ方向に徐々に深くなるなだらかな形状であるため、壁面Q2もノズル3に向かって徐々に深くなるなだらかな形状としたが、Q2をQ1と連続的に形成するという意味は、これに限られるものではない。つまり、壁面Q1の傾斜形状がどのような形状であっても、壁面Q1と壁面Q2の接続点が連続的に繋がっていれば該当するものとする。
【符号の説明】
【0084】
1 液体噴射ヘッド
2 液体噴射装置
3 ノズル
4 ノズルプレート
5 溝、5a 吐出溝、5b ダミー溝
6 側壁
7 駆動電極
8 供給口
9 排出口
10 カバープレート
11 封止材
14 流路部材
15 圧電体基板
16 引出電極、16a 個別引出電極、16b 共通引出電極
17 補強板
18 貫通孔
20 フレキシブル基板
21 配線電極、21a 個別配線電極、21b 共通配線電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝を構成する側壁と、
前記溝に連通する貫通孔を有し、前記側壁の下方に設置される補強板と、
前記貫通孔に開口するノズルを有し、前記補強板の側壁側とは反対側に設置されるノズルプレートと、
前記側壁の壁面に形成される駆動電極と、
前記溝に液体を供給する供給口と前記溝から液体を排出する排出口を有し、前記側壁の上方に設置されるカバープレートと、を備える液体噴射ヘッド。
【請求項2】
前記補強板はマシナブルセラミックスから成る請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項3】
前記カバープレートは、前記側壁の長手方向における端部上面を露出させて前記側壁の上面に設置され、
前記端部上面には前記駆動電極に電気的に接続する引出電極が形成されている請求項1又は2に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項4】
表面に配線電極が形成されたフレキシブル基板を更に備え、
前記フレキシブル基板は前記端部上面に接合され、前記配線電極は前記引出電極に電気的に接続する請求項3に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項5】
前記溝と前記供給口の間、及び前記溝と前記排出口の間の各連通部よりも外側の溝を塞ぐ封止材を備える請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項6】
前記溝は液体吐出用の吐出溝と液体を吐出しないダミー溝を有し、前記吐出溝と前記ダミー溝は交互に配列する請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項7】
前記供給口と前記排出口は、前記吐出溝に対して開口し前記ダミー溝に対して閉止している請求項6に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドを往復移動させる移動機構と、
前記液体噴射ヘッドに液体を供給する液体供給管と、
前記液体供給管に前記液体を供給する液体タンクと、を備える液体噴射装置。
【請求項9】
圧電体材料を含む基板の表面に側壁により構成される溝を形成する溝形成工程と、
前記基板に導電体を堆積して導電膜を形成する導電膜形成工程と、
前記導電膜をパターニングして電極を形成する電極形成工程と、
前記溝に液体を供給する供給口と前記溝から液体を排出する排出口を有するカバープレートを前記側壁の上面に接合するカバープレート接合工程と、
前記基板の裏面を研削し、前記溝を裏面側に開口させる基板研削工程と、
前記側壁の下面に補強板を接合する補強板接合工程と、
前記補強板にノズルプレートを接合するノズルプレート接合工程と、を備える液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項10】
前記補強板接合工程の後に前記補強板を研削する補強板研削工程を備える請求項9に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項11】
前記補強板研削工程の前に、前記補強板の前記側壁とは反対側の表面に座繰り部を形成する補強板座繰加工工程を備える請求項10に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項12】
前記ノズルプレートの前記供給口と前記排出口の間の位置に液体を吐出するノズルを形成するノズル形成工程を備える請求項9〜11のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項13】
前記電極形成工程は、前記側壁の壁面に駆動電極を形成するとともに、前記側壁の長手方向における端部上面に前記駆動電極と電気的に接続する引出電極を形成する工程からなる請求項9〜12のいずれか一項に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項14】
配線電極が形成されたフレキシブル基板を前記端部上面に接合し、前記配線電極と前記引出電極を電気的に接続するフレキシブル基板接合工程を備える請求項13に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−31991(P2013−31991A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−6475(P2012−6475)
【出願日】平成24年1月16日(2012.1.16)
【出願人】(501167725)エスアイアイ・プリンテック株式会社 (198)
【Fターム(参考)】