説明

液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置

【課題】高い信頼性を持つ圧電アクチュエーターを有した液体噴射ヘッドおよびその製造方法および液体噴射装置を提供する。
【解決手段】液体を噴射するためのノズル孔に連通した圧力室11と、圧力室11とオーバーラップした第1領域33を有する振動板と、第1領域33内に形成された第1導電部と第1領域33外に形成された第2導電部を有する第1の導電層と、第1の導電層を覆うように形成された圧電体層50と、圧電体層50の一部を覆い、かつ、第1導電部の少なくとも一部とオーバーラップするように形成された第2の導電層60と、圧電体層50において、第2の導電層60と離間し、第2導電部の上に位置した開口部54と、を有し、圧電体層50において、第2の導電層60が上方に形成されていない部分の少なくとも一部を覆うように形成された、電気的絶縁膜からなる第1の保護膜80を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばインクジェットプリンター等の液体噴射装置において、インク等の液滴を噴射するために、圧電アクチュエーターを備えた液体噴射ヘッドが知られている。このような液体噴射ヘッドは、例えば、駆動信号等によって圧電アクチュエーターの圧電素子を変位させることにより、圧電アクチュエーターの下方に形成された圧力室内の圧力を変化させることができる。これによって、ノズル孔から圧力室内に供給されたインクなどの液滴を噴射させることができる。このような液体噴射ヘッドにおいて、例えば、湿気等の外的要因に対して弱い圧電素子の圧電体層を保護する目的として、圧電体層を上部電極で覆った構造を有したものがある(特許文献1)。このような液体噴射ヘッドにおいて、湿気等の外的要因に対してより強く、稼動中に振動板等においてクラック等の物理的問題を生じない、高い信頼性を持つ圧電アクチュエーターを有した液体噴射ヘッドが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−88441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的の1つは、高い信頼性を持つ圧電アクチュエーターを有した液体噴射ヘッドを提供することにある。
【0005】
本発明の目的の1つは、高い信頼性を持つ圧電アクチュエーターを有した液体噴射ヘッドの製造方法を提供することにある。
【0006】
本発明の目的の1つは、上記液体噴射ヘッドを有する液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る液体噴射ヘッドは、
液体を噴射するためのノズル孔に連通した圧力室を有する圧力室板と、
前記圧力室板の上方に形成された振動板であって、前記圧力室板と対向した第1の面と、前記第1の面と反対側の第2の面を有し、前記第2の面において、前記圧力室とオーバーラップした第1領域を有する振動板と、
前記第2の面において第1の方向に延びるように形成された第1の導電層であって、前記第1領域内に形成された第1導電部と前記第1領域外に形成された第2導電部を有する第1の導電層と、
前記第1の導電層を覆うように形成された圧電体層と、
前記圧電体層の一部を覆い、かつ、前記第1導電部の少なくとも一部とオーバーラップするように形成された第2の導電層と、
前記圧電体層において、前記第2の導電層と離間し、前記第2導電部の上に位置した開口部と、
を有し、
前記圧電体層において、前記第2の導電層が上方に形成されていない部分の少なくとも一部を覆うように形成された、電気的絶縁膜からなる第1の保護膜を含む。
【0008】
なお、本発明に係る記載では、「上方」という文言を、例えば、「特定のもの(以下「A」という)の「上方」に他の特定のもの(以下「B」という)を形成する」などと用いている。本発明に係る記載では、この例のような場合に、A上に直接Bを形成するような場合と、A上に他のものを介してBを形成するような場合とが含まれるものとして、「上方」という文言を用いている。同様に、「下方」という文言は、A下に直接Bを形成するような場合と、A下に他のものを介してBを形成するような場合とが含まれるものとする。
【0009】
本発明によれば、高い信頼性を持つ圧電アクチュエーターを有した液体噴射ヘッドを提供することができる。
【0010】
(2)本発明に係る液体噴射ヘッドは、
液体を噴射するためのノズル孔に連通した複数の圧力室を有する圧力室板と、
前記圧力室板の上方に形成された振動板であって、前記圧力室板と対向した第1の面と、前記第1の面と反対側の第2の面を有し、前記第2の面において、複数の前記圧力室とそれぞれオーバーラップした第1領域を有する振動板と、
前記第2の面において第1の方向に延びるように形成された第1の導電層であって、前記第1領域内に形成された第1導電部と前記第1領域外に形成された第2導電部を有する複数の第1の導電層と、
複数の前記第1の導電層をそれぞれ覆うように形成された圧電体層と、
複数の前記圧電体層の一部を覆い、かつ、複数の前記第1導電部の少なくとも一部とオーバーラップするように連続して形成された第2の導電層と、
複数の前記圧電体層において、前記第2の導電層と離間し、前記第2導電部の上にそれぞれ位置した開口部と、
を有し、
前記圧電体層において、前記第2の導電層が上方に形成されていない部分の少なくとも一部を覆うように形成された、電気的絶縁膜からなる第1の保護膜を含む。
【0011】
本発明によれば、高い信頼性を持つ圧電アクチュエーターを有した液体噴射ヘッドを提供することができる。
【0012】
(3)本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
前記第1の保護膜は、前記圧電体層の上に形成された前記第2の導電層の少なくとも一部にオーバーラップしていてもよい。
【0013】
(4)本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
前記圧電体層において、前記第1の導電層と前記第2の導電層とに挟まれた領域を駆動領域としたとき、
前記第2の導電層の上において、前記駆動領域の少なくとも一部とオーバーラップし、かつ、前記第1の保護膜と離間して形成された第2の保護膜を含んでいてもよい。
【0014】
(5)本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
前記第1の保護膜および前記第2の保護膜は、感光性樹脂であってもよい。
【0015】
(6)本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
前記第1の保護膜および前記第2の保護膜は、酸化アルミニウムであってもよい。
【0016】
(7)本発明に係る液体噴射ヘッドにおいて、
少なくとも前記開口部を覆うように形成された第3の導電層と、
前記第3の導電層と電気的に接続された第4の導電層と、
をさらに含んでいてもよい。
【0017】
(8)本発明に係る液体噴射装置は、
上記のいずれかの液体噴射ヘッドを有する。
【0018】
本発明によれば、高い信頼性を持つ圧電アクチュエーターを有した液体噴射装置を提供することができる。
【0019】
(9)本発明に係る液体噴射ヘッドの製造方法は、
圧力室を有する圧力室板を形成する工程と、
前記圧力室板の上方に形成される振動板であって、前記圧力室板と対向した第1の面と、前記第1の面と反対側の第2の面を有し、前記第2の面において、前記圧力室とオーバーラップする第1領域を有した振動板を形成する工程と、
前記第2の面において第1の方向に延びる第1の導電層であって、前記第1領域内に形成された第1導電部と前記第1領域外に形成された第2導電部を有する第1の導電層を形成する工程と、
前記第1の導電層を覆うように圧電体層を形成する工程と、
前記圧電体層の一部を覆い、かつ、前記第1導電部の少なくとも一部とオーバーラップするように第2の導電層を形成する工程と、
前記圧電体層において、前記第2の導電層に離間し、前記第2導電部の上に位置した開口部を形成する工程と、
前記圧電体層において、前記第2の導電層が上方に形成されていない部分の少なくとも一部を覆うように、電気的絶縁膜からなる第1の保護膜を形成する工程と、
前記開口部内の前記第2導電部と電気的に接続された第4の導電層を形成する工程と、
を含み、
前記第1の保護膜を形成する工程は、前記第4の導電層を形成する工程の前に行われる。
【0020】
本発明によれば、高い信頼性を持つ圧電アクチュエーターを有した液体噴射ヘッドの製造方法を提供することができる。
【0021】
(10)本発明に係る液体噴射ヘッドの製造方法は、
複数の圧力室を有する圧力室板を形成する工程と、
前記圧力室板の上方に形成される振動板であって、前記圧力室板と対向した第1の面と、前記第1の面と反対側の第2の面を有し、前記第2の面において、複数の前記圧力室とそれぞれオーバーラップする第1領域を有した振動板を形成する工程と、
前記第2の面において第1の方向に延びる第1の導電層であって、前記第1領域内に形成された第1導電部と前記第1領域外に形成された第2導電部を有する複数の第1の導電層を形成する工程と、
複数の前記第1の導電層をそれぞれ覆うように、圧電体層を形成する工程と、
複数の前記圧電体層の一部を覆い、かつ、前記第1導電部の少なくとも一部とオーバーラップするように第2の導電層を連続して形成する工程と、
複数の前記圧電体層において、前記第2の導電層に離間し、前記第2導電部の上に位置した開口部をそれぞれ形成する工程と、
前記圧電体層において、前記第2の導電層が上方に形成されていない部分の少なくとも一部を覆うように、電気的絶縁膜からなる第1の保護膜を形成する工程と、
前記開口部内の前記第2導電部と電気的に接続された第4の導電層を形成する工程と、
を含み、
前記第1の保護膜を形成する工程は、前記第4の導電層を形成する工程の前に行われる。
【0022】
本発明によれば、高い信頼性を持つ圧電アクチュエーターを有した液体噴射ヘッドの製造方法を提供することができる。
【0023】
(11)本発明に係る液体噴射ヘッドの製造方法において、
少なくとも前記開口部を覆うように第3の導電層を形成する工程を更に含み、
前記第4の導電層は、前記第3の導電層を介して前記第2導電部と電気的に接続されてもよい。
【0024】
(12)本発明に係る液体噴射ヘッドの製造方法において、
前記圧電体層において、前記第1の導電層と前記第2の導電層とに挟まれた領域を駆動領域としたとき、
前記第1の保護膜を、前記圧電体層から前記第2の導電層の一部を覆うように形成する工程と、
前記第2の導電層の上において、前記駆動領域の一部とオーバーラップし、かつ、第1の方向において、前記第1の保護膜と離間した第2の保護膜を形成する工程と、
を含んでいてもよい。
【0025】
(13)本発明に係る液体噴射ヘッドの製造方法において、
前記第1の導電層を形成する工程は、
前記第1領域上に導電層を形成する工程と、
前記導電層の上にエッチング保護膜を形成する工程と、
前記エッチング保護膜を形成した後に前記導電層をエッチングする工程を含み、
前記エッチング保護膜は、前記圧電体層を形成する材料が用いられてもよい。
【0026】
(14)本発明に係る液体噴射ヘッドの製造方法において、
前記圧電体層を形成する工程は、
少なくとも前記第1の導電膜を覆うようにエッチング処理前の圧電体層を形成する工程と、
エッチング処理前の前記圧電体層の上に導電性を有するマスク層を形成する工程と、
前記マスク層を形成した後に前記圧電体層をエッチングする工程を含み、
前記マスク層は、前記第2の導電層を形成する材料が用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態に係る液体噴射ヘッドを模式的に示す分解斜視図。
【図2(A)】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの要部を模式的に示す平面図。
【図2(B)】図2(A)のIIB−IIB線における要部を模式的に示す断面図。
【図2(C)】図2(A)のIIC−IIC線における要部を模式的に示す断面図。
【図2(D)】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの要部の変形例を模式的に示す平面図。
【図3】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法を模式的に示す断面図。
【図4】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法を模式的に示す断面図。
【図5】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法を模式的に示す断面図。
【図6】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法を模式的に示す断面図。
【図7】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法を模式的に示す断面図。
【図8】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法を模式的に示す断面図。
【図9】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法を模式的に示す断面図。
【図10】本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法を模式的に示す断面図。
【図11】本実施形態に係る液体噴射装置を模式的に示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明を適用した実施形態の一例について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施形態のみに限定されるものではない。本発明は、以下の実施形態およびその変形例を自由に組み合わせたものを含むものとする。
【0029】
1. 液体噴射ヘッド
以下、図面を参照して、本実施形態に係る液体噴射ヘッドについて説明する。
【0030】
図1は、本実施形態に係る液体噴射ヘッド300の分解斜視図である。
【0031】
図1に示すように、本実施形態に係る液体噴射ヘッド300は、圧力室11を有する圧力室板10と、圧力室板10の上方に形成された振動板30と、振動板30の上方に形成された圧電素子100と、圧力室板10の下方に形成されたノズル板20と、圧電素子100を封止する封止板90と、を含む。
【0032】
圧力室板10は、図1に示すように、圧力室11を有する。図1に示すように、圧力室板10は、圧力室11の側壁を構成する壁部12を有する。また、圧力室板10は、圧力室11と供給路13および連通路14を介して連通したリザーバ15を有していてもよい。リザーバ15には、図示されない貫通孔が形成されてもよく、該貫通孔を通って外部からリザーバ15内に液体が供給されてもよい。これによれば、リザーバ15に液体を供給することによって、供給路13および連通路14を介して圧力室11に液体を供給することができる。圧力室11の形状は、特に限定されない。圧力室11の形状は、例えば、平面視において平行四辺形であってもよく、矩形であってもよい。圧力室11の数は特に限定されず、1つであってもよいし、複数設けられていてもよい。圧力室板10の材質は、特に限定されない。圧力室板10は、例えば、単結晶シリコン、ニッケル、ステンレス、ステンレス鋼、ガラスセラミックス等から形成されてもよい。
【0033】
ノズル板20は、図1に示すように、圧力室10の下方に形成される。ノズル板20は、プレート状の部材であって、ノズル孔21を有する。ノズル孔21は、圧力室11に連通するように形成される。ノズル孔21の形状は、液体を吐出することができる限り、特に限定されない。ノズル孔21を介することで、圧力室11内の液体を、例えば、ノズル板20の下方に向けて吐出することができる。また、ノズル孔21の数は特に限定されず、1つであってもよいし、複数設けられていてもよい。ノズル板20の材質は、特に限定されない。ノズル板20は、例えば、単結晶シリコン、ニッケル、ステンレス、ステンレス鋼、ガラスセラミックス等から形成されてもよい。
【0034】
振動板30は、図1に示すように、圧力室板10の上方に形成される。したがって、振動板30は、圧力室11および壁部12の上方に形成される。振動板30は、プレート状の部材であって、圧力室板10と対向した第1の面31と、第1の面31と反対の面である第2の面32とを有する。振動板30の構造及び材料は、特に限定されない。例えば、振動板30は、図1に示すように、複数の膜の積層体で形成されていてもよい。このとき、振動板30は、例えば、酸化ジルコニウムや酸化シリコンなどの絶縁膜、ニッケルなどの金属膜、ポリイミドなどの高分子材料膜、からなる複数の膜の積層体であってもよい。振動板30は、振動部を構成する。言い換えれば、後述される圧電素子100が変位することによって振動(変位)することができる。これにより、下方に形成された圧力室11の体積を変化させることができる。
【0035】
本実施形態に係る液体噴射ヘッド300の圧電素子100は、図1に示すように、振動板30の第2の面32の上において形成される。本実施形態に係る液体噴射ヘッド300の圧電アクチュエーター110は、圧電素子100と振動板30によって構成される。以下、図2〜図4を参照して、本実施形態に係る液体噴射ヘッド300の圧電素子100の詳細について説明する。
【0036】
図2(A)は、液体噴射ヘッド300に係る要部である圧力室板10、振動板30、および圧電素子100のみを便宜的に示した平面図である。図2(B)は、図2(A)に示す要部のIIB−IIB線断面図である。図2(C)は、図2(A)に示す要部のIIC−IIC線断面図である。図2(D)は、液体噴射ヘッド300に係る要部の変形例を模式的に示す断面図である。図3(A)〜図3(C)は、液体噴射ヘッド300に係る要部の変形例を模式的に示す平面図である。
【0037】
以下に圧電素子100の構造についての詳細を説明する。
【0038】
図2(A)〜図2(C)に示すように、圧電素子100は、大略すれば、振動板30上に第1の方向200に延びるように形成された第1の導電層40と、第1の導電層40を覆うように形成された圧電体層50と、圧電体層50の少なくとも一部を覆うように形成された第2の導電層60とを含む。
【0039】
図2(A)に示すように、振動板30は、第2の面32(図2(B)参照)において第1領域33(図2(A)の太字破線部分)を有する。第1領域33は、第2の面32の圧力室11とオーバーラップする領域である。図2(A)に示すように、第1領域33は圧力室11毎に形成されている。第1領域33は、圧力室11の平面視の形状と同じ形状を有する。また、図2(B)に示すように、隣り合う第1領域33の間で、圧力室板10の壁部12とオーバーラップしている領域を第2領域34とする。
【0040】
第1の導電層40は、図2(A)に示すように、第1領域33において、第1の方向200に延びるように形成される。図2(A)に示すように、第1の方向200は、第2の面32における1方向であって、第1領域33の長手方向である。また、第1の方向200に直交した方向を第2の方向210とする。図2(A)に示すように、第1の導電層40は、第1領域33内に第1の方向200における一方の端部である端部41を有する。また、図2(B)に示すように、第1の導電層40は、第1領域33内に第2の方向210における両端部を有する。第1の導電層40は、図2(A)に示すように、第1領域33内に形成された第1導電部42と、第1領域33の一方の短辺である第1の辺33aを境界として、第1領域33内から第1領域33外へ連続して延びた第2導電部43と、から形成される。したがって、端部41は、第1導電部42の第1の方向における端部である。第1の導電層40は、導電性を有した層からなり、圧電素子100において下部電極を構成する。第1の導電層40の構造及び材料は、特に限定されない。例えば、第1の導電層40は、単層で形成されていてもよい。あるいは、第1の導電層40は、複数の膜の積層体で形成されていてもよい。第1の導電層40は、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、金(Au)などのいずれかを含む金属層であってもよい。
【0041】
圧電体層50は、図2(A)に示すように、第1領域33において、第1の導電層40を覆うように形成される。圧電体層50は、図2(B)に示すように、第1領域33内において、第2の方向210における両端部を有する。つまりは、圧電体層50は、第2の方向210において、第1の導電層40の幅より大きく、かつ、第1領域33の幅より狭い幅を有する。圧電体層50は、図2(A)に示すように、第1領域33外においても、第1の方向200に沿うように連続して延び、第1の導電層40の第2導電部43を覆うように形成される。図2(A)に示すように、圧電体層50は、第1の辺33aと、第1領域33の他方の短辺である第2の辺33bから第1領域33外に連続して延びるように形成されていてもよい。圧電体層50の形状は特に限定されないが、図2(B)に示すように、第1の導電層40の上方に上面51を有し、上面51と連続したテーパー状の側面52を有していてもよい。また、図2(D)に示すように、側面52は、振動板30の第2の面32に至らずに、第1領域33から第2領域34に連続して形成された圧電体層50の面53に連続していてもよい。面53は、上面51よりも高さが低い面であって、面53の高さは、所望の高さに調整されることができる。言い換えれば、面53における圧電体層50の厚みを所望の厚みに調整することによって、圧電アクチュエーター110の剛性を調整することができる。圧電体層50は、圧電特性を有した多結晶体からなり、圧電素子100において印加されることにより振動することができる。圧電体層50の構造及び材料は、圧電特性を有していればよく、特に限定されない。圧電体層50は、公知の圧電材料から形成されればよく、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr、Ti)O)、チタン酸ビスマスナトリウム((Bi、Na)TiO3)などを用いてもよい。
【0042】
また、圧電体層50は、図2(A)および図2(C)に示すように、第1の導電層40の第2導電部43上において、第2導電部43の一部が露出するような開口部54を有する。開口部54の位置は、第2導電部43上であって、後述される第2の導電層60に離間していればよく、特に限定されない。開口部54の形状は、第2導電部である第1の導電層40が露出させることができればよく、特に限定されない。
【0043】
第2の導電層60は、図2(A)に示すように、第1領域33において、端部41を含む第1の導電層40とオーバーラップし、圧電体層50の一部を覆うように形成される。また、第2の導電層60は、第1の方向200における一方の端部61を第1領域33内に有するように形成される。第2の導電層60は、図2(A)複数の圧電体層50の一部をそれぞれ覆うように、第2の方向210において連続して形成されてもよい。また、図2(B)に示すように、第2の導電層60は、第2の方向210において、圧電体層50の一部において、圧電体層50の上面51と側面52を連続して覆うことができる。このとき、図2(A)に示すように、端部61は、複数の圧電体層50の上に連続して形成されてもよい。図2(B)および図2(C)に示すように、第2の導電層60は、第1領域33内において、端部41を含む第1の導電層40とオーバーラップするように形成される。その結果、第1領域33内の圧電体層50の一部の領域が第1の導電層40の第1導電部42と第2の導電層60とに挟まれる。このとき、圧電体層50において第1の導電層40と第2の導電層60とに挟まれた領域を駆動領域55とする。図2(C)に示すように、駆動領域55の第1の方向200における一方の端部55aの位置は、第2の導電層60の端部61の位置によって規定することができる。また、駆動領域55の第1の方向200における他方の端部55bの位置は、第1の導電層40の端部41の位置によって規定することができる。図2(A)に示すように、第2の導電層60は、第1領域33の第1の辺33aにオーバーラップしないように形成されてもよい。第2の導電層60の構造及び材料は、特に限定されない。例えば、第2の導電層60は、単層で形成されていてもよい。あるいは、第2の導電層60は、複数の膜の積層体で形成されていてもよい。第2の導電層60は、導電性を有した層からなり、圧電素子100において上部電極を構成する。第2の導電層60は、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、金(Au)などを含む金属層であってもよい。図示はされないが、第2の導電層60は、配線を介して、または連続して、例えば、接地回路等と接続されていてもよい。第2の導電層60は、圧電体層50の駆動領域55を含む部分を第2の方向210において完全に覆うことができる。これによれば、駆動領域55の圧電体層50を大気中の水分(湿気)等の外的要因の影響から保護することができるため、圧電アクチュエーター110の信頼性を向上させることができる。
【0044】
第3の導電層67は、図2(A)および図2(C)に示すように、少なくとも開口部54を覆うように形成されてもよい。また、第3の導電層67は、少なくとも開口部54における第2導電部43(第1の導電層40)を覆うように形成されていてもよい(図示せず)。第3の導電層67の構造及び材料は、特に限定されない。第3の導電層67は、導電性を有した層であればよく、第2の導電層60と同じであってもよい。第3の導電層67を形成することによって、製造工程において開口部54における第1の導電層40の第2導電部43の表面を保護することができる。その詳細は製造方法において後述される。また、第3の導電層67は本実施形態に圧電素子100の必須な構成ではないため、開口部54において第1の導電層40の上に第3の導電層67が形成されていなくてもよい(図示せず)。
【0045】
第4の導電層70は、図2(A)および図2(C)に示すように、第3の導電層67に電気的に接続されるように形成される。つまりは、第4の導電層70は、第2導電部43を介して第1導電部42と電気的に接続されている。また、第3の導電層67が形成されていない場合は、第4の導電層70は、開口部54内の第2導電部43と電気的に接続されればよいため、第4の導電層70は、第3の導電層67を介さず、少なくとも開口部54を覆うように形成されてもよい。第4の導電層70の形状は、少なくとも開口部54内に形成される限り、特に限定されない。第4の導電層70の構造及び材料は、特に限定されない。例えば、第4の導電層70は、単層で形成されていてもよい。あるいは、第4の導電層70は、複数の膜の積層体で形成されていてもよい。第4の導電層70は、導電性を有した層からなり、圧電素子100において下部電極へのリード線を構成する。第4の導電層70は、例えば、金(Au)、ニッケル−クロム合金(Ni−Cr)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)などを含む金属層であってもよい。図示はされないが、第4の導電層70は、外部駆動回路と接続されていてもよい。これによって、第1の導電層40が、第4の導電層70を介して、例えば外部駆動回路と電気的に接続されることができる。
【0046】
第1の保護膜80は、図2(C)に示すように、圧電体層50の第2の導電層が上方に形成されていない部分の少なくとも一部を覆うように形成されればよい。また、図2(C)に示すように、第1の保護膜80は、駆動領域55の少なくとも一部とオーバーラップするように形成されてもよい。言い換えれば、図2(A)に示すように、第1の保護膜80の第1の方向200における一方の端部80a(図2(A)において太線で示される部分)の一部が駆動領域55上に形成されてもよい。言い換えれば、端部55aにオーバーラップするように形成されてもよい。このとき、図2(C)に示すように、第1の保護膜80は、第2の導電層60の端部61を覆うように形成される。図2(A)に示すように、第1の保護膜80は、複数の圧電体層50の第1の部分56を連続して覆うように形成されてよい。また、第1の保護膜80は、複数の圧電体層50の上に形成された端部61を連続して覆うように形成されてもよい。第1の保護膜80の材料は、電気的絶縁性を有し、水分バリア性を有している限りにおいて特に限定されない。第1の保護膜80は、例えば、酸化アルミニウムなどの酸化絶縁膜(無機絶縁膜)、もしくはポリイミドなどの高分子材料膜(有機絶縁膜)から形成されていてもよい。第1の保護膜80がポリイミドなどの感光性樹脂である場合、第1の保護膜80は、製造工程において利用されるレジスト層であってもよい。詳細は後述される。
【0047】
第2の保護膜81は、図2(C)に示すように、第2の導電層60の上において、駆動領域55の少なくとも一部とオーバーラップし、かつ、第1の方向200において、第1の保護膜80と離間して配置されてもよい。言い換えれば、図2(A)に示すように、第2の保護膜81の第1の方向200における一方の端部81a(図2(A)において太線で示される部分)の一部が駆動領域55上に形成されてもよい。言い換えれば、第2の保護膜81は、駆動領域55の端部55bにオーバーラップするように形成されてもよい。また、図2(C)に示すように、複数の端部55bを連続してオーバーラップするように連続して形成されてもよい。第2の保護膜81の材料は、電気的絶縁性を有し、水分バリア性を有している限りにおいて特に限定されない。第2の保護膜81は、例えば、酸化アルミニウムなどの酸化絶縁膜(無機絶縁膜)、もしくはポリイミドなどの高分子材料膜(有機絶縁膜)から形成されていてもよい。第2の保護膜81がポリイミドなどの感光性樹脂である場合、第2の保護膜81は、製造工程において利用されるレジスト層であってもよい。詳細は後述される。また、第2の保護膜81は、第1の保護膜80と同じ材料より形成されてもよい。
【0048】
以上のいずれかの構成により、圧電素子100並びに圧電素子100を有した圧電アクチュエーター110の構成とすることができる。
【0049】
本実施形態に係る液体噴射ヘッド300は、図1に示すように、圧電素子100を封止することができる封止板90を有していてもよい。封止板90は、圧電素子100を所定の空間領域に封止することができる封止領域91を有している。封止領域91は、圧電素子100の振動運動を阻害しない程度の空間領域であればよい。封止板90の構造及び材料は、特に限定されない。例えば、封止板90は、例えば、単結晶シリコン、ニッケル、ステンレス、ステンレス鋼、ガラスセラミックス等から形成されてもよい。また、液体噴射ヘッド300は、例えば、各種樹脂材料、各種金属材料からなり、上述された構成を収納することができる筐体を有していてもよい(図示せず)。
【0050】
以上のいずれかの構成により、本実施形態に係る液体噴射ヘッド300の構成とすることができる。
【0051】
本実施形態に係る液体噴射ヘッド300は、例えば、以下の特徴を有する。
【0052】
本実施形態に係る液体噴射ヘッド300によれば、圧電体層50の第2の導電層が上方に形成されていない部分の少なくとも一部を覆うように第1の保護膜80が形成されるため、圧電体層50の水分バリア性を高めることができる。また、第1の保護膜80に覆われることにより、物理的ダメージも防ぐこともできる。
【0053】
また、本実施形態に係る液体噴射ヘッド300によれば、第1の保護膜80が第2の導電層60の端部61を覆うことができる。これによれば、第2の導電層60の剥離を防ぐことができる。
【0054】
また、本実施形態に係る液体噴射ヘッド300によれば、第1の保護膜80が駆動領域55の一方の端部55aとオーバーラップしている。これによれば、駆動領域55の端部55aにおいて、第1の保護膜80がオーバーラップすることにより圧電アクチュエーター110の駆動を抑制することができる。このとき、第1の保護膜80をより厚く形成することや、ヤング率の大きい酸化アルミニウムなどの無機絶縁を好適に用いることによって、端部55aにおける駆動を抑制する効果を高めることができる。その結果、駆動領域55の端部55aに隣接した部材、例えば、振動板30や、振動板30と圧力室基板10との接合部分等において、クラック等の物理的ダメージが発生することを抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態に係る液体噴射ヘッド300によれば、第2の保護膜81が駆動領域55の端部55bとオーバーラップしている。これによれば、駆動領域55の端部55bにおいて、第2の保護膜81がオーバーラップすることにより、圧電アクチュエーター110の駆動を抑制することができる。このとき、第2の保護膜81をより厚く形成することや、ヤング率の大きい酸化アルミニウムなどの無機絶縁を好適に用いることによって、端部55bにおける駆動を抑制する効果を高めることができる。その結果、駆動領域55の端部55bに隣接した部材、例えば、振動板30や、振動板30と圧力室板10との接合部分等において、クラック等の物理的ダメージが発生することを抑制することができる
また、本実施形態に係る液体噴射ヘッド300によれば、圧電体層50の第2の導電層が上方に形成されていない部分の少なくとも一部を覆うように第1の保護膜80が形成されるため、製造工程における圧電体層50への化学的ダメージを回避することができる。よって、第2の導電層が上方に形成されていない部分の圧電体層50が化学的ダメージを受けていないため、圧電アクチュエーター110の信頼性を高めることができる。製造工程において詳細は後述される。
【0056】
以上によって、本実施形態に係る液体噴射ヘッド300によれば、高い信頼性を持つ圧電アクチュエーター110を有した液体噴射ヘッドを提供することができる。
【0057】
2. 液体噴射ヘッドの製造方法
以下、図面を参照して、本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法について説明する。
【0058】
図3〜図10は、本実施形態に係る液体噴射ヘッド300の製造方法を模式的に示す断面図である。
【0059】
本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法は、図3〜図10に示すように、圧力室11を有する圧力室板10を形成する工程と、圧力室板10の上方に形成される振動板30であって、圧力室板10と対向した第1の面31と、第1の面31と反対側の第2の面32を有し、第2の面32において、圧力室11とオーバーラップする第1領域33を有した振動板30を形成する工程と、第2の面32において第1の方向200に延びる第1の導電層40であって、第1領域33内に形成された第1導電部42と第1領域33外に形成された第2導電部42を有する第1の導電層40を形成する工程と、第1の導電層40を覆うように圧電体層50を形成する工程と、圧電体層50の一部を覆い、かつ、第1導電部42の少なくとも一部とオーバーラップするように第2の導電層60を形成する工程と、圧電体層50において、第2の導電層60に離間し、第2導電部43の上に位置した開口部54を形成する工程と、圧電体層50において、第2の導電層60が上方に形成されていない部分の少なくとも一部を覆うように、電気的絶縁膜からなる第1の保護膜80を形成する工程と、開口部64内の第2導電部43と電気的に接続された第4の導電層70を形成する工程と、を含み、第1の保護膜80を形成する工程は、第4の導電層70を形成する工程の前に行われる。
【0060】
本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法は、圧力室板10、ノズル板20を形成するために用いられる材質が単結晶シリコン等を用いる場合と、ステンレス等を用いる場合とによって異なる。以下において、単結晶シリコンを用いた場合の液体噴射ヘッドの製造方法を一例として記載する。本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法は、特に以下の製造方法に限定されず、ニッケルやステンレス鋼、ステンレス等を材料として用いる場合は、公知の電鋳法等の工程を含んでいてもよい。また、各工程の先後は、以下に記載の製造方法に限定されるものではない。
【0061】
まず、図3(A)に示すように、準備された単結晶シリコンからなる基板1の上に、振動板30を形成する。図3(A)に示すように、後述される製造工程において、基板1の圧力室11が形成される領域を領域11aとする。振動板30は、公知の成膜技術によって形成される。図3(A)に示すように、例えば、振動板30は、弾性板を構成する弾性層30aをスパッタリング法等によって形成した後、絶縁層30bを弾性層30aの上にスパッタリング法等によって形成してもよい。例えば、弾性層30aは酸化ジルコニウムを用い、絶縁層30bは酸化シリコンを用いてもよい。ここで、第2の面32において、領域11aとオーバーラップした領域を第1領域33とする。
【0062】
振動板30を形成した後に、図3(B)に示すように、振動板30の第2の面32上に第1の導電層40を形成する。ここで、第1の導電層40は、領域11aにオーバーラップするように所望の形状にパターニングされる。これにより、第1の導電層40の第1の方向200における一方の端部41が第1領域33内に形成される。また、第1領域33内の第1導電部42と第1領域33外に延びる第2導電部43とが形成される。なお、第1の導電層40の詳細な構成は、前述されているため、省略する。第1の導電層40は、公知の成膜技術によって形成されてもよい。例えば、白金、イリジウム等をスパッタリング法等によって積層することによって導電層(図示せず)を形成し、導電層を所定の形状にエッチングすることによって第1の導電層40を形成してもよい。
【0063】
ここで、図3(C)に示すように、第1の導電層40を形成するための導電層がエッチングによってパターニングされる前に、該導電層の上にエッチング保護膜50aを形成してもよい。エッチング保護膜50aは、後述される圧電体層50と同じ圧電材料から形成された圧電体層であってもよい。エッチング保護膜50aは、少なくとも、所望の形状にパターニングされる第1の導電層40が形成される領域に形成されてもよい。これによれば、第1の導電層40をパターニングするエッチング工程において、使用されるエッチャントによる化学的なダメージから第1の導電層40の表面を保護することができる。
【0064】
次に、図4(A)に示すように、第1の導電層40を覆うように圧電体層50bを形成する。圧電体層50bをパターニングすることによって、圧電体層50が形成される。詳細は後述される。圧電体層50bは、公知の成膜技術によって形成されてもよい。圧電体層50bは、例えば、公知の圧電材料である前駆体を第2の面32の上に塗布して加熱処理されて形成されてもよい。用いられる前駆体としては、加熱処理によって焼成した後、分極処理され、圧電特性を発生させるものであれば特に限定されず、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛等の前駆体を用いてもよい。なお、エッチング保護膜50aが形成されている場合、エッチング保護膜50aは圧電体層50b(圧電体層50)と同じ圧電材料から形成されているため、焼成後、エッチング保護膜50aは圧電体層50bと一体化することができる。
【0065】
ここで、例えば圧電対層50b(圧電体層50)をチタン酸ジルコン酸鉛によって形成する場合、図4(B)に示すように、チタンからなる中間チタン層50cを第2の面32の上の全面に形成した後に、圧電材料である前駆体を塗布してもよい。これによれば、前駆体を加熱処理によって、圧電体層50bを結晶成長させる際、該前駆体を結晶成長させる界面を中間チタン層50cで統一することができる。言い換えれば、振動板30上で結晶成長する圧電体層50bを無くすことができる。これによって、圧電体層50bの結晶成長の制御性を高めることができ、圧電体層50bが、より配向性の高い圧電体結晶となることができる。なお、中間チタン層50cは加熱処理時に圧電体層50bの結晶内に取り込まれることができる。
【0066】
次に、図5(A)に示すように、圧電体層50bがエッチングによって所望の形状にパターニングされる前に、圧電体層50bを覆うように導電性を有するマスク層60aを形成してもよい。マスク層60aは、後述される第2の導電層60と同じ材料から形成された金属層である。図5(B)に示すように、マスク層60aを形成後、圧電体層50bがエッチングによりパターニングされ、圧電体層50が所望の形成にパターニングされる。ここで、マスク層60aを形成することによって、マスク層60aがエッチング工程においてハードマスクとして作用するため、図5(B)に示すように圧電体層50にテーパー状の側面52を容易に形成することができる。なお、圧電体層50の詳細な構成は、前述されているため、省略する。
【0067】
図5(C)に示すように、圧電体層50をエッチングする際、第1の導電層40の第2導電部43上において、第1の導電層40を露出させる開口部54が同時に形成される。開口部54は、第2導電部43の上であって、第2の導電層60に離間するように形成される。
【0068】
図6に示すように、圧電体層50および開口部54を覆うように導電層60bが形成される。よって、導電層60bは、第2の導電層60と同じ材料によって形成される。導電層60bは、公知の成膜技術によって形成されてもよい。例えば、白金、イリジウム等をスパッタリング法等によって積層することによって導電層60bを形成してもよい。マスク層60aが形成されていた場合、マスク層60aは、第2の導電層60と同じ材料を用いているため、マスク層60aは導電層60bと一体化することができる。
【0069】
次に、図7(A)に示すように、導電層60bをエッチングによって所望の形状にパターニングし、第2の導電層60を形成する。このとき、第2の導電層60は、端部41を含む第1の導電層40とオーバーラップし、圧電体層50の一部を覆い、第1の方向200における一方の端部61を第1領域33内に有するようにパターニングされる。第2の導電層60をパターニングする工程において、図7(B)に示すように、第2の導電層60は、複数の圧電体層50の少なくとも一部をそれぞれ覆うように、連続して形成される。これによれば、第2の導電層60が接地回路に接続されている場合、第2の導電層60を圧電素子100の共通の上部電極として利用することができる。
【0070】
また、第2の導電層60をパターニングする工程において、図7(A)に示すように、導電層60bが少なくとも開口部54を覆うようにパターニングされてもよい。つまりは、開口部54の上方に形成された導電層60bを除去しないことで、第3の導電層67を形成してもよい。これによれば、例えばレジストを塗布した後、露光処理と現像処理を行ってレジスト膜を形成し、レジスト膜をマスクとしてエッチングを行う場合、有機アルカリ現像液、有機剥離液、洗浄液等が用いられる。したがって、開口部54の上方に形成された導電層60bを除去しないことで(言い換えれば、第3の導電層67を形成することで)、開口部54内の第1の導電層40の表面が、オーバーエッチングされる可能性を無くすことができる。また、エッチングの後に、開口部54内の第1の導電層40の露出部分が、有機剥離液、洗浄液等に晒されて化学的ダメージを受けることを防ぐことができる。なお、本実施形態の係る製造方法において、第3の導電層67は必須の構成ではなく、開口部54における導電層60bを除去し、第3の導電層67を形成しなくてもよい。
【0071】
次に、図8に示すように、圧電体層50の第2の導電層が上方に形成されていない部分の少なくとも一部に第1の保護膜80を形成する。第1の保護膜80は、公知の成膜技術によって形成される。第1の保護膜80は、例えば、ポリイミドなどの感光性樹脂膜を塗布法等により成膜して、所望の形状にパターニングして形成されてもよい。ここで、図8に示すように、第1の保護膜80は、駆動領域55の少なくとも一部とオーバーラップするように形成される。また、第1の保護膜80は、第2の導電層60の端部61を覆うように形成され、駆動領域55の少なくとも一部とオーバーラップしてもよい。また、第1の方向200において第1の保護膜80と離間して、第2の保護膜81を一体形成してもよい。ここで、第1の保護膜80および第2の保護膜81は、後述される第4の導電層70を形成する際のレジスト層の一部であってもよい。
【0072】
次に、図9に示すように、少なくとも開口部54を覆うように、第4の導電層70を形成する。第4の導電層70は、開口部54内の第2導電部43と電気的に接続されればよい。第3の導電層67が形成されている場合は、第4の導電層70は、第3の導電層67と電気的に接続されるように形成されればよい。第3の導電層67が形成されていない場合は、第4の導電層70は、少なくとも開口部54を覆うように形成されればよい。第4の導電層70は、公知の成膜技術によって形成されてもよい。例えば、金、ニッケル・クロム合金等をスパッタリング法等によって積層することによって導電層(図示せず)を形成し、該導電層を所定の形状にエッチングすることによって第4の導電層70を形成してもよい。第4の導電層70は、図示されない外部駆動回路に接続されていてもよい。
【0073】
ここで、図9に示すように、第1の保護膜80が形成されている場合、第4の導電層70をエッチングによって形成する工程において、圧電体層50の第2の導電層60が上方に形成されていない部分をエッチャント等による化学ダメージから保護することができる。より具体的には、第4の導電層70の為の導電層がスパッタリング法等によって形成された後、該導電層をエッチングして所望の形状の第4の導電層70が得られる。ここで、第1の保護膜80が、圧電体層50の第2の導電層60が上方に形成されていない部分の少なくとも一部に形成されていることによって、例えば、駆動領域55に隣接した圧電体層50がエッチャント等によって化学的ダメージを受けることが無いため、圧電素子100の信頼性を向上させることができる。また、第1の保護膜80は、第4の導電層70を形成する工程において、第4の導電層70をパターニングするためのレジスト層として用いてもよい。
【0074】
以上の方法により、圧電素子100および圧電アクチュエーター110を製造することができる。
【0075】
図10(A)に示すように、封止領域91が形成された封止板90を圧電素子100の上方より搭載する。ここで、圧電素子100は、封止領域91内に封止されることができる。封止板90は、例えば、接着剤によって圧電素子100を封止してもよい。次に、図10(B)に示すように、基板1を所定の厚みに薄くし、圧力室11などを区画する。例えば、所定の厚みを有した基板1に対し、所望の形状にパターニングされるようにマスク(図示せず)を振動板30が形成された面と反対の面に形成し、エッチング処理することによって、圧力室11、壁部12、供給路13、連通路14およびリザーバ15を区画する(図示せず)。以上によって、振動板30の下方に圧力室11を有した圧力室板10を形成することができる。圧力室板11を形成した後、図10(C)に示すように、ノズル孔21を有したノズル板20を、例えば接着剤等により所定の位置に接合する。これによって、ノズル孔21は、圧力室11と連通する。
【0076】
以上のいずれかの方法により、液体噴射ヘッド300を製造することができる。なお、前述の通り、液体噴射ヘッド300の製造方法は、上述の製造方法に限定されずに、圧力室板10およびノズル板20を、電鋳法等を用いて一体形成してもよい。
【0077】
本実施形態に係る液体噴射ヘッドの製造方法は、例えば、以下の特徴を有する。
【0078】
本実施形態に係る液体噴射ヘッド300の製造方法によれば、第4の導電層70を形成する工程において、圧電体層50の第1の部分56の少なくとも一部が第1の保護膜80によって覆われているため、圧電体層50の第1の部分56に対して第4の導電層70のエッチング工程において用いられるエッチャントによる化学的ダメージを低減することができる。その結果、圧電体層50の信頼性を高めることができるため、信頼性の高い圧電素子100を有した圧電アクチュエーター110を製造することができる。
【0079】
以上によって、本実施形態に係る液体噴射ヘッド300によれば、高い信頼性を持つ圧電アクチュエーターを有した液体噴射ヘッドを提供することができる。
【0080】
3. 液体噴射装置
次に、本実施形態に係る液体噴射装置について説明する。本実施形態に係る液体噴射装置は、本発明に係る液体噴射ヘッドを有する。ここでは、本実施形態に係る液体噴射装置1000がインクジェットプリンターである場合について説明する。図11は、本実施形態に係る液体噴射装置1000を模式的に示す斜視図である。
【0081】
液体噴射装置1000は、ヘッドユニット1030と、駆動部1010と、制御部1060と、を含む。また、液体噴射装置1000は、装置本体1020と、給紙部1050と、記録用紙Pを設置するトレイ1021と、記録用紙Pを排出する排出口1022と、装置本体1020の上面に配置された操作パネル1070と、を含むことができる。
【0082】
ヘッドユニット1030は、例えば、上述した液体噴射ヘッド300から構成されるインクジェット式記録ヘッド(以下単に「ヘッド」ともいう)を有する。ヘッドユニット1030は、さらに、ヘッドにインクを供給するインクカートリッジ1031と、ヘッドおよびインクカートリッジ1031を搭載した運搬部(キャリッジ)1032と、を備える。
【0083】
駆動部1010は、ヘッドユニット1030を往復動させることができる。駆動部1010は、ヘッドユニット1030の駆動源となるキャリッジモータ1041と、キャリッジモータ1041の回転を受けて、ヘッドユニット1030を往復動させる往復動機構1042と、を有する。
【0084】
往復動機構1042は、その両端がフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸1044と、キャリッジガイド軸1044と平行に延在するタイミングベルト1043と、を備える。キャリッジガイド軸1044は、キャリッジ1032が自在に往復動できるようにしながら、キャリッジ1032を支持している。さらに、キャリッジ1032は、タイミングベルト1043の一部に固定されている。キャリッジモータ1041の作動により、タイミングベルト1043を走行させると、キャリッジガイド軸1044に導かれて、ヘッドユニット1030が往復動する。この往復動の際に、ヘッドから適宜インクが吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
【0085】
制御部1060は、ヘッドユニット1030、駆動部1010および給紙部1050を制御することができる。
【0086】
給紙部1050は、記録用紙Pをトレイ1021からヘッドユニット1030側へ送り込むことができる。給紙部1050は、その駆動源となる給紙モータ1051と、給紙モータ1051の作動により回転する給紙ローラ1052と、を備える。給紙ローラ1052は、記録用紙Pの送り経路を挟んで上下に対向する従動ローラ1052aおよび駆動ローラ1052bを備える。駆動ローラ1052bは、給紙モータ1051に連結されている。制御部1060によって供紙部1050が駆動されると、記録用紙Pは、ヘッドユニット1030の下方を通過するように送られる。
【0087】
ヘッドユニット1030、駆動部1010、制御部1060および給紙部1050は、装置本体1020の内部に設けられている。
【0088】
液体噴射装置1000では、本発明に係る液体噴射ヘッド300を有することができる。本発明に係る液体噴射ヘッド300は、上述のように、高い信頼性を持つ圧電アクチュエーターを有することができる。そのため、高い信頼性を有する液体噴射装置1000を得ることができる。
【0089】
なお、上述した例では、液体噴射装置1000がインクジェットプリンターである場合について説明したが、本発明のプリンタは、工業的な液体噴射装置として用いられることもできる。この場合に吐出される液体(液状材料)としては、各種の機能性材料を溶媒や分散媒によって適当な粘度に調整したもの、または、メタルフレーク等を含むものなどを用いることができる。
【0090】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0091】
1 基板、10 圧力室板、11 圧力室、11a 領域、12 壁部、13 供給路、
14 連通路、15 リザーバ、20 ノズル板、21 ノズル孔、30 振動板、
31 第1の面、32 第2の面、33 第1領域、33a 第1の辺、
33b 第2の辺、40 第1の導電層、41 端部、42 第1導電部、
43 第2導電層、50 圧電体層、50a 保護層、50b 圧電体層、
50c 中間チタン層、51 上面、52 側面、54 開口部、55 駆動領域、
55a 端部、55b 端部、60 第2の導電層、60a 導電層、60b 導電層、
61 端部、67 第3の導電層、70 第4の導電層、
80 第1の保護膜、81 第2の保護膜、90 封止板、91 封止領域、
100 圧電素子、110 圧電アクチュエーター、200 第1の方向、
210 第2の方向、300 液体噴射ヘッド、1000 液体噴射装置、
1010 駆動部、1020 装置本体、1021 トレイ、1022 排出口、
1030 ヘッドユニット、1031 インクカートリッジ、1032 キャリッジ、
1041 キャリッジモータ、1042 往復動機構、1043 タイミングベルト、1044 キャリッジガイド軸、1050 給紙部、1051 給紙モータ、
1052 給紙ローラ、1060 制御部、1070 操作パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射するためのノズル孔に連通した圧力室を有する圧力室板と、
前記圧力室板の上方に形成された振動板であって、前記圧力室板と対向した第1の面と、前記第1の面と反対側の第2の面を有し、前記第2の面において、前記圧力室とオーバーラップした第1領域を有する振動板と、
前記第2の面において第1の方向に延びるように形成された第1の導電層であって、前記第1領域内に形成された第1導電部と前記第1領域外に形成された第2導電部を有する第1の導電層と、
前記第1の導電層を覆うように形成された圧電体層と、
前記圧電体層の一部を覆い、かつ、前記第1導電部の少なくとも一部とオーバーラップするように形成された第2の導電層と、
前記圧電体層において、前記第2の導電層と離間し、前記第2導電部の上に位置した開口部と、
を有し、
前記圧電体層において、前記第2の導電層が上方に形成されていない部分の少なくとも一部を覆うように形成された、電気的絶縁膜からなる第1の保護膜を含む液体噴射ヘッド。
【請求項2】
液体を噴射するためのノズル孔に連通した複数の圧力室を有する圧力室板と、
前記圧力室板の上方に形成された振動板であって、前記圧力室板と対向した第1の面と、前記第1の面と反対側の第2の面を有し、前記第2の面において、複数の前記圧力室とそれぞれオーバーラップした第1領域を有する振動板と、
前記第2の面において第1の方向に延びるように形成された第1の導電層であって、前記第1領域内に形成された第1導電部と前記第1領域外に形成された第2導電部を有する複数の第1の導電層と、
複数の前記第1の導電層をそれぞれ覆うように形成された圧電体層と、
複数の前記圧電体層の一部を覆い、かつ、複数の前記第1導電部の少なくとも一部とオーバーラップするように連続して形成された第2の導電層と、
複数の前記圧電体層において、前記第2の導電層と離間し、前記第2導電部の上にそれぞれ位置した開口部と、
を有し、
前記圧電体層において、前記第2の導電層が上方に形成されていない部分の少なくとも一部を覆うように形成された、電気的絶縁膜からなる第1の保護膜を含む液体噴射ヘッド。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記第1の保護膜は、前記圧電体層の上に形成された前記第2の導電層の少なくとも一部にオーバーラップしている液体噴射ヘッド。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項において、
前記圧電体層において、前記第1の導電層と前記第2の導電層とに挟まれた領域を駆動領域としたとき、
前記第2の導電層の上において、前記駆動領域の少なくとも一部とオーバーラップし、かつ、前記第1の保護膜と離間して形成された第2の保護膜を含む液体噴射ヘッド。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項において、
前記第1の保護膜および前記第2の保護膜は、感光性樹脂である液体噴射ヘッド。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項において、
前記第1の保護膜および前記第2の保護膜は、酸化アルミニウムである液体噴射ヘッド。
【請求項7】
請求項1から請求項13のいずれか1項において、
少なくとも前記開口部を覆うように形成された第3の導電層と、
前記第3の導電層と電気的に接続された第4の導電層と、
をさらに含む液体噴射ヘッド。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッドを有する、液体噴射装置。
【請求項9】
圧力室を有する圧力室板を形成する工程と、
前記圧力室板の上方に形成される振動板であって、前記圧力室板と対向した第1の面と、前記第1の面と反対側の第2の面を有し、前記第2の面において、前記圧力室とオーバーラップする第1領域を有した振動板を形成する工程と、
前記第2の面において第1の方向に延びる第1の導電層であって、前記第1領域内に形成された第1導電部と前記第1領域外に形成された第2導電部を有する第1の導電層を形成する工程と、
前記第1の導電層を覆うように圧電体層を形成する工程と、
前記圧電体層の一部を覆い、かつ、前記第1導電部の少なくとも一部とオーバーラップするように第2の導電層を形成する工程と、
前記圧電体層において、前記第2の導電層に離間し、前記第2導電部の上に位置した開口部を形成する工程と、
前記圧電体層において、前記第2の導電層が上方に形成されていない部分の少なくとも一部を覆うように、電気的絶縁膜からなる第1の保護膜を形成する工程と、
前記開口部内の前記第2導電部と電気的に接続された第4の導電層を形成する工程と、
を含み、
前記第1の保護膜を形成する工程は、前記第4の導電層を形成する工程の前に行われる液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項10】
複数の圧力室を有する圧力室板を形成する工程と、
前記圧力室板の上方に形成される振動板であって、前記圧力室板と対向した第1の面と、前記第1の面と反対側の第2の面を有し、前記第2の面において、複数の前記圧力室とそれぞれオーバーラップする第1領域を有した振動板を形成する工程と、
前記第2の面において第1の方向に延びる第1の導電層であって、前記第1領域内に形成された第1導電部と前記第1領域外に形成された第2導電部を有する複数の第1の導電層を形成する工程と、
複数の前記第1の導電層をそれぞれ覆うように、圧電体層を形成する工程と、
複数の前記圧電体層の一部を覆い、かつ、前記第1導電部の少なくとも一部とオーバーラップするように第2の導電層を連続して形成する工程と、
複数の前記圧電体層において、前記第2の導電層に離間し、前記第2導電部の上に位置した開口部をそれぞれ形成する工程と、
前記圧電体層において、前記第2の導電層が上方に形成されていない部分の少なくとも一部を覆うように、電気的絶縁膜からなる第1の保護膜を形成する工程と、
前記開口部内の前記第2導電部と電気的に接続された第4の導電層を形成する工程と、
を含み、
前記第1の保護膜を形成する工程は、前記第4の導電層を形成する工程の前に行われる液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項11】
請求項9または請求項10において、
少なくとも前記開口部を覆うように第3の導電層を形成する工程を更に含み、
前記第4の導電層は、前記第3の導電層を介して前記第2導電部と電気的に接続される液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項12】
請求項9から請求項11のいずれか1項において、
前記圧電体層において、前記第1の導電層と前記第2の導電層とに挟まれた領域を駆動領域としたとき、
前記第1の保護膜を、前記圧電体層から前記第2の導電層の一部を覆うように形成する工程と、
前記第2の導電層の上において、前記駆動領域の一部とオーバーラップし、かつ、第1の方向において、前記第1の保護膜と離間した第2の保護膜を形成する工程と、
を含む液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項13】
請求項9から請求項12のいずれか1項において、
前記第1の導電層を形成する工程は、
前記第1領域上に導電層を形成する工程と、
前記導電層の上にエッチング保護膜を形成する工程と、
前記エッチング保護膜を形成した後に前記導電層をエッチングする工程を含み、
前記エッチング保護膜は、前記圧電体層を形成する材料が用いられる液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項14】
請求項9から請求項13のいずれか1項において、
前記圧電体層を形成する工程は、
少なくとも前記第1の導電膜を覆うようにエッチング処理前の圧電体層を形成する工程と、
エッチング処理前の前記圧電体層の上に導電性を有するマスク層を形成する工程と、
前記マスク層を形成した後に前記圧電体層をエッチングする工程を含み、
前記マスク層は、前記第2の導電層を形成する材料が用いられる液体噴射ヘッドの製造方法。

【図1】
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【図2(A)】
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【図2(B)】
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【図2(C)】
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【図2(D)】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−208136(P2010−208136A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56518(P2009−56518)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】