説明

液体噴射ヘッド及び液体噴射装置

【課題】カバー部材を確実に接地することができると共に、接地状態を長期間に亘って維持することができ、且つ小型化することができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】液体を噴射するノズルが形成された液体噴射面を有するヘッド本体20と、前記ヘッド本体20の前記液体噴射面とは反対面側に設けられたケース部材30と、前記ヘッド本体20の前記液体噴射面側を覆うと共に液体が噴射されるノズル開口が露出される露出開口部を有するカバー部材50と、前記ケース部材30に保持された回路基板40と、を具備し、前記ケース部材30には、前記回路基板40の接地された接地端子42に相対向する位置に貫通孔33が設けられ、該貫通孔33内には、導通部材37が挿通されており、前記カバー部材50が、前記導通部材37を前記回路基板40に向けて付勢した状態で前記ケース部材30に保持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を噴射する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関し、特に液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射ヘッドの代表例としては、インクを吐出するインクジェット式記録ヘッドが挙げられる。インクジェット式記録ヘッドは、インクを吐出するヘッド本体と、該ヘッド本体のインク滴が吐出される液体噴射面とは反対側に設けられたケース部材(ケース)と、ヘッド本体の液体噴射面側に設けられて当該液体噴射面を覆うカバー部材(カバーヘッド)と、で構成されたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなインクジェット式記録ヘッドでは、紙などの被記録媒体や外部からの静電気によってインクジェット式記録ヘッドを構成する金属部品が帯電し、インクに圧力を付与するための圧力発生手段である圧力変換素子や、この圧力変換素子を駆動するための駆動回路(ドライバーIC)等が破壊されてしまう虞がある。このため、ノズルプレートをカバー部材に導通させて、カバー部材を接地することで、ノズルプレートの接地を行っている。
【0004】
カバー部材の接地としては、例えば、インクジェット式記録ヘッドが搭載されるキャリッジ(ヘッド取り付け台)に接地パターン(GNDライン)を設け、カバー部材の側面から突出した接地端子をキャリッジの接地パターンに接続した構造が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、特許文献2では、ケース部材等に貫通孔を設け、貫通孔内に導電性接着剤を充填して、この導電性接着剤を介して基板の接地パターン(GNDパターン)とノズルプレートとを導通することで、ノズルプレートを接地した構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−45884号公報
【特許文献2】特開平11−34324号公報(第5図及び第11図、第4頁〜第6頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2のように、カバー部材の側面に接地端子を突出させて、接地パターンと導通させた場合、キャリッジに接地パターンを設ける必要があるため、大型化してしまうという問題がある。また、例えば、キャリッジに設けられた接地パターンをキャリッジ軸を介して接地する方法も考えられるが、キャリッジがキャリッジ軸を軸方向に移動するため、接地が不安定又は電気抵抗が大きくなってしまうという問題がある。また、キャリッジに設けられた接地パターンをキャリッジ軸以外で接地するには、接地するための配線等が別途必要になってしまうという問題がある。
【0008】
また、特許文献2のようにケース部材に貫通孔を設け、貫通孔内に充填した導電性接着剤で基板の接地パターンとノズルプレートとを接地すると、ケース部材の変形などによって導電性接着剤の硬化した部分がノズルプレート(カバー部材)や接地パターンから剥がれてしまい、導通が取れなくなってしまうという問題がある。
【0009】
なお、このような問題はインクジェット式記録ヘッドに限定されず、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑み、カバー部材を確実に接地することができると共に、接地状態を長期間に亘って維持することができ、且つ小型化することができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する本発明の態様は、液体を噴射するノズルが形成された液体噴射面を有するヘッド本体と、前記ヘッド本体の前記液体噴射面とは反対面側に設けられたケース部材と、前記ヘッド本体の前記液体噴射面側を覆うと共に液体が噴射されるノズル開口が露出される露出開口部を有するカバー部材と、前記ケース部材に保持された回路基板と、を具備し、前記ケース部材には、前記回路基板の接地された接地端子に相対向する位置に貫通孔が設けられ、該貫通孔内には、導通部材が挿通されており、前記カバー部材が、前記導通部材を前記回路基板に向けて付勢した状態で前記ケース部材に保持されていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、カバー部材を導通部材で接地端子と導通することができる。したがって、ケース部材の膨張や変形によって導通が解除され難く、長期に亘ってカバー部材を接地することができる。また、回路基板とカバー部材を接地することで、キャリッジ等にカバー部材を接地する端子等が不要となり、小型化することができる。
【0012】
ここで、前記貫通孔は、前記回路基板側の内径がより液体噴射面側の内径より大きくなっていることが好ましい。これによれば、液体が貫通孔内に侵入したとしても、貫通孔の回路基板側の内径が大きくなっていることで、回路基板側まで液体が侵入するのを抑制することができる。
【0013】
また、前記ヘッド本体は、前記ノズル開口が設けられて導電性を有するノズルプレートを具備し、該ノズルプレートと前記カバー部材とが導通して設けられていることが好ましい。これによれば、ノズルプレートをカバー部材及び導通部材を介して接地することができる。
【0014】
さらに、本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、信頼性を向上して、小型化が可能な液体噴射装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの要部を切り欠いた斜視図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る記録装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの斜視図であり、図2は、インクジェット式記録ヘッドの要部を切り欠いた斜視図であり、図3は、インクジェット式記録ヘッドの断面図である。
【0017】
図示するように、本実施形態の液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッド10は、液体としてインク滴を吐出するヘッド本体20と、ヘッド本体20を一方面側に保持するケース部材30と、ケース部材30に保持された回路基板40と、ヘッド本体20の液体噴射面22側に設けられたカバー部材50と、を具備する。
【0018】
ヘッド本体20は、一方面にインク滴を吐出するノズル開口21が開口する液体噴射面22が設けられている。
【0019】
なお、ヘッド本体20は、内部にノズル開口21と連通する流路(図示なし)が設けられており、図示しない圧力発生手段によって流路内のインクに圧力変化を生じさせることでノズル開口21からインク滴が吐出される。このように流路内に圧力変化を生じさせる圧力発生手段としては、例えば、電気機械変換機能を呈する圧電材料を有する圧電素子を用いた圧電アクチュエーターや、流路内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル開口21からインク滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させて流路内に圧力変化を生じさせてノズル開口21からインク滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを用いることができる。
【0020】
また、ヘッド本体20のノズル開口21が開口するノズルプレートが導電性材料で形成されている場合、ノズルプレートとカバー部材50とを導通させることで、カバー部材50を接地するだけで、ノズルプレートの接地も行うことができる。
【0021】
なお、ノズルプレートを形成する導電性材料としては、例えば、ステンレス鋼等の金属やシリコンなどが挙げられる。もちろん、導電性を有するノズルプレートとしては、例えば、絶縁体からなる母材の表面に導電層を設けたものであってもよい。
【0022】
ケース部材30は、ベース部31と、ケースカバー部32と、を具備する。
【0023】
ベース部31のケースカバー部32とは反対面側にヘッド本体20の液体噴射面22とは反対面側が固定される。
【0024】
また、ベース部31とケースカバー部32との間には、回路基板40が保持されている。
【0025】
このようなケース部材30の内部には、特に図示していないが、インクカートリッジやインクタンクなどの貯留手段からヘッド本体20にインクを供給する流路が設けられている。また、ケース部材30の流路の途中には、例えば、インクに含まれるゴミや気泡などの異物を捕捉するフィルターや、ダイヤフラム、バネ、弁体から構成される所定の負圧で開放する弁を設け背圧制御の機能を持たせるようにしてもよい。もちろん、ケース部材30には、その他の機能を持たせるようにしてもよい。
【0026】
回路基板40は、板状の基板からなり、一端部にフレキシブルフラットケーブル(FFC)などの外部配線が接続されるコネクター41が設けられている。
【0027】
このような回路基板40は、特に図示していないが、ヘッド本体20の圧力発生手段とフレキシブルフラットケーブルなどの内部配線を介して電気的に接続されている。
【0028】
また、回路基板40には、図2及び図3に示すように、ヘッド本体20側の面に接地(GND)された接地端子42が設けられている。この接地端子42は、回路基板40に設けられた図示しない配線を介してコネクター41と接続され、コネクター41を介して外部配線に接続されて接地されている。
【0029】
また、ケース部材30には、回路基板40の接地端子42に相対向する位置に開口すると共に、ヘッド本体20を保持する面に開口する貫通孔33が設けられている。
【0030】
貫通孔33は、回路基板40側で内径が大きくなっている。具体的には、貫通孔33は、中央側の小径部34と、回路基板40側で小径部34よりも大きな内径を有する第1大径部35と、ヘッド本体20側で小径部34よりも内径が大きな第2大径部36と、を具備する。
【0031】
そして、このような貫通孔33内には、導電性材料からなる棒状の導通部材37が挿通されている。導通部材37は、本実施形態では、貫通孔33の内径、すなわち、小径部34の内径よりも小さな外径を有し、貫通孔33の深さよりも長い長さを有する。このような導通部材37としては、例えば、ステンレス鋼等の金属材料を用いることができる。なお、導通部材37は、円柱状、四角柱状など何れの形状であってもよい。
【0032】
カバー部材50は、例えば、ステンレス鋼等の金属材料などの導電性材料で形成されている。
【0033】
また、カバー部材50は、ヘッド本体20の液体噴射面22のノズル開口21を露出する露出開口部51を画成すると共に、ヘッド本体20の液体噴射面22の周縁部を覆う枠部52を有する。
【0034】
枠部52は、その外周が、液体噴射面22よりも大きく、内周、すなわち、枠部52によって画成された露出開口部51が液体噴射面の外周よりも小さい大きさを有する。これにより、枠部52は、液体噴射面22の外周縁部に相対向して、液体噴射面22と接着剤等を介して接着される。なお、ノズルプレートが導電性材料で形成されている場合には、カバー部材50とノズルプレートとを接着する接着剤として、導電性接着剤を用いれば、カバー部材50とノズルプレートとを導通することができる。
【0035】
また、カバー部材50は、液体噴射面22の側面側に、液体噴射面22の外周縁部に亘って枠部52から屈曲するように延設された側壁部53を有する。
【0036】
この側壁部53には、カバー部材50をケース部材30に固定するためのフランジ部54が設けられている。
【0037】
フランジ部54は、ケース部材30のヘッド本体20が固定される面側に設けられて、側壁部53から液体噴射面22の面方向と同一方向に突出するように屈曲して設けられている。本実施形態では、相対向する一対の側壁部53にフランジ部54を設けるようにした。
【0038】
また、フランジ部54は、ケース部材30の貫通孔33に相対向する位置に、貫通孔33の開口(第2大径部36の開口)を覆う大きさで設けられている。
【0039】
そして、このフランジ部54がケース部材30のヘッド本体20を固定した面に固定されることで、カバー部材50は、インクジェット式記録ヘッド10に一体化されている。具体的には、各フランジ部54には、当該カバー部材50を位置決めする2つの位置決め孔55と、ネジ等の締結部材56が挿入されてカバー部材50をケース部材30に保持するための2つの固定孔57と、が設けられている。本実施形態では、2つの固定孔57をフランジ部54の両側に設け、この2つの固定孔57の間に2つの位置決め孔55を設けるようにした。
【0040】
また、ケース部材30には、固定孔57に相対向して連通すると共に固定孔57よりも小さな内径を有する保持孔38を設け、締結部材56を固定孔57に挿通し、締結部材56を保持孔38に螺合させることで、フランジ部54をケース部材30に固定することができる。このとき、ケース部材30には、カバー部材50の位置決め孔55に挿入される位置決め突起39が設けられており、カバー部材50をケース部材30に固定する際に、カバー部材50の位置決め孔55にケース部材30の位置決め突起39を嵌合することで、カバー部材50はケース部材30に対して位置決めされた状態で固定される。
【0041】
また、上述のように、ケース部材30の貫通孔33は、フランジ部54に相対向する位置に開口している。そして、貫通孔33内に挿通された導通部材37は、貫通孔33の貫通方向の深さよりも長い長さを有する。このため、貫通孔33内に挿通された導通部材37は、カバー部材50のフランジ部54をケース部材30に固定した際に、フランジ部54によって回路基板40の接地端子42に向かって付勢される。すなわち、貫通孔33内に挿通された導通部材37は、一端が回路基板40の接地端子42に当接すると、他端が貫通孔33から突出する。このため、カバー部材50のフランジ部54をケース部材30に固定すると、カバー部材50が導通部材37の突出した他端に当接して、導通部材37を回路基板40の接地端子42側に向かって押圧する。また、カバー部材50がケース部材30に固定されると、カバー部材50は導通部材37の突出した分だけ変形する。このとき、カバー部材50のフランジ部54は、金属材料で形成された板状部材からなるため、板ばねとして機能して導通部材37を回路基板40の接地端子42に向かって付勢する。
【0042】
このように、カバー部材50が導通部材37に当接し、導通部材37を回路基板40の接地端子42側に向かって付勢することで、カバー部材50は、導通部材37を介して回路基板40の接地端子42と電気的に接続される。つまり、カバー部材50を接地(GND)することができるため、紙等の被噴射媒体や外部からの静電気がカバー部材50に帯電することなく、静電気をカバー部材50を介して除去することができる。
【0043】
また、ノズルプレートが導電性材料の場合には、ノズルプレートとカバー部材50とを導通させるだけで、ノズルプレートの接地も行うことができる。これにより、静電気によって圧力発生手段や駆動回路が破壊されることや、静電気によってノズルプレートにミスト状のインクが付着するなどの不具合を抑制することができる。
【0044】
また、本実施形態では、貫通孔33の回路基板40側に第1大径部35を設けるようにしたため、ミスト状のインクが貫通孔33内に侵入し、侵入したインクが導通部材37との隙間を毛細管現象によって回路基板40まで這い上がるのを抑制することができる。すなわち、貫通孔33を小径部34のみで形成すると、インクが導通部材37との隙間を毛細管現象によって回路基板40まで這い上がり、回路基板40に搭載された電子部品を破壊することや、配線を短絡するなどの不具合が発生する虞がある。そこで、本実施形態では、貫通孔33のカバー部材50側に第2大径部36を設けることで、ミスト状のインクが小径部34と導通部材37との間に侵入し難くして、回路基板40側にインクが這い上がるのを抑制している。ちなみに、小径部34がカバー部材50側に開口していると、小径部34と導通部材37との間にインクが付着しやすく、インクが回路基板40側に這い上がり易くなってしまう。なお、本実施形態では、液体噴射面22を鉛直方向下向きにしてインク滴を吐出させた場合の説明をしたが、液体噴射面22を鉛直方向上向き又は水平方向にしたとしても、同様のことが言える。すなわち、例えば、液体噴射面22を鉛直方向上向きにした場合、小径部34と導通部材37との間に侵入したインクは、小径部34と第1大径部35との境界でメニスカスを形成し、第1大径部35内に侵入し難い。何れにしても、第1大径部35を設けることで、回路基板40側にインクが侵入するのを抑制して、電子部品の破壊や配線の短絡などを抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態では、カバー部材50が弾性変形して、導通部材37を回路基板40の接地端子42に向かって付勢することで、カバー部材50と接地端子42とを導通している。このため、ケース部材30が熱膨張したり変形したとしても、カバー部材50と接地端子42との導通は解除され難い。つまり、貫通孔33内に導電性接着剤を充填して、カバー部材50と接地端子42とを導通させた場合、ケース部材30の熱膨張や変形によって導通状態が解除され易く、信頼性が低い。また、接地端子42とカバー部材50とを導電性接着剤で接着してしまうと、カバー部材50や回路基板40の交換などが行えない。本実施形態では、付勢した導通部材37を介して回路基板40の接地端子42とカバー部材50とを導通しているため、ケース部材30の膨張や変形によって導通が解除され難いと共に、カバー部材50や回路基板40を容易に交換することが可能となる。
【0046】
なお、回路基板40の接地端子42が、ヘッド本体20に接続される接地パターンと導通させておけば、カバー部材50を接地するための外部配線や、キャリッジ等に接続するための端子等が不要となって、インクジェット式記録ヘッド10を小型化することができる。
【0047】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の基本的構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1では、カバー部材50のフランジ部54が変形することで、導通部材37を回路基板40の接地端子42に向かって付勢するようにしたが、導通部材37が貫通孔33内で弓なりに変形することでも、導通部材37は回路基板40の接地端子42とカバー部材50とに当接した状態で回路基板40の接地端子42側に向かって付勢することができる。
【0048】
また、上述したインクジェット式記録ヘッド10は、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備するインクジェット式記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図4は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。
【0049】
図4に示すインクジェット式記録装置Iにおいて、複数のインクジェット式記録ヘッド10を有するインクジェット式記録ヘッドユニット1A、1B(以下、ヘッドユニット1A、1Bとも言う)は、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、このヘッドユニット1A、1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。このヘッドユニット1A、1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
【0050】
そして、駆動モーター6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、ヘッドユニット1A、1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラーなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8に巻き掛けられて搬送されるようになっている。
【0051】
また、上述したインクジェット式記録装置Iでは、インクジェット式記録ヘッド10(ヘッドユニット1A、1B)がキャリッジ3に搭載されて主走査方向に移動するものを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、インクジェット式記録ヘッド10が固定されて、紙等の記録シートSを副走査方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を適用することができる。
【0052】
なお、上記実施の形態においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを、また液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置を挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド及び液体噴射装置全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドや液体噴射装置にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられ、かかる液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0053】
I インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 10 インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 20 ヘッド本体、 21 ノズル開口、 22 液体噴射面、 30 ケース部材、 33 貫通孔、 37 導通部材、 40 回路基板、 42 接地端子、 50 カバー部材、 54 フランジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射するノズルが形成された液体噴射面を有するヘッド本体と、
前記ヘッド本体の前記液体噴射面とは反対面側に設けられたケース部材と、
前記ヘッド本体の前記液体噴射面側を覆うと共に液体が噴射されるノズル開口が露出される露出開口部を有するカバー部材と、
前記ケース部材に保持された回路基板と、を具備し、
前記ケース部材には、前記回路基板の接地された接地端子に相対向する位置に貫通孔が設けられ、該貫通孔内には、導通部材が挿通されており、
前記カバー部材が、前記導通部材を前記回路基板に向けて付勢した状態で前記ケース部材に保持されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記回路基板側の内径がより液体噴射面側の内径より大きくなっていることを特徴とする請求項1記載の液体噴射ヘッド。
【請求項3】
前記ヘッド本体は、前記ノズル開口が設けられて導電性を有するノズルプレートを具備し、該ノズルプレートと前記カバー部材とが導通して設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の液体噴射ヘッド。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−200962(P2012−200962A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66810(P2011−66810)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】