液体噴射装置
【課題】インクの打ち捨て領域に位置する傾斜した案内面部上にインクが打ち捨てられたとき、インクがインク吸収体に容易に案内されて案内面部上にインクが残らないインク誘導装置を提供する。
【解決手段】インク吸収体25,26が設けられている液体打ち捨て領域部23のプラテン下流部24の上流側縁部分に、液体打ち捨て領域部23側となる上流側に向かって上面が下降傾斜する案内面部29を備え、案内面部29には案内面部29に付着したインクをインク吸収体25側へ誘導する誘導部27が形成されている。誘導部27は毛細管現象により液体を導くエッジ部31を備え、エッジ部31がインク吸収体25,26まで延びていてもよい。
【解決手段】インク吸収体25,26が設けられている液体打ち捨て領域部23のプラテン下流部24の上流側縁部分に、液体打ち捨て領域部23側となる上流側に向かって上面が下降傾斜する案内面部29を備え、案内面部29には案内面部29に付着したインクをインク吸収体25側へ誘導する誘導部27が形成されている。誘導部27は毛細管現象により液体を導くエッジ部31を備え、エッジ部31がインク吸収体25,26まで延びていてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体をそのヘッドから吐出して被噴射媒体に噴射を実行するインクジェット記録装置などの液体噴射装置における液体誘導装置に関するものである。
【0002】
ここで液体噴射装置とは、インクジェット式記録ヘッドが用いられ、該記録ヘッドからインクを吐出して被記録媒体に記録を行うプリンタ、複写機およびファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を前記記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから被記録媒体に相当する被噴射媒体に噴射して、前記液体を前記被噴射媒体に付着させる装置を含む意味で用いる。
【0003】
液体噴射ヘッドとして、前記記録ヘッドの他に、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等が挙げられる。
【背景技術】
【0004】
インクジェット記録装置では、記録ヘッドからインクが吐出され、プラテン上で被記録媒体の端辺からはみ出して打ち捨てられたインクを回収するため、プラテンの記録ヘッドに対向する領域に凹部を形成し、そこにインク吸収体を設け、該インク吸収体にインクを吸収するようにいる。図10に示す如く、従来のプラテン101では、液体打ち捨て領域部103の被記録媒体の進行方向下流側に位置するプラテン下流部101aの上流側は、真っ直ぐに且つ断面が直角に形成されており(符号105で示す部分を参照)、この部分までインク吸収体107が設けられていた。
【0005】
従って、プラテン下流部101aの上流側に隣接する位置でインクが打ち捨てられても、インクがプラテン下流部101a上に付着することはなく、インクはインク吸収体107上に打ち捨てられるようになっていた。このような形態のプラテンは、例えば特許文献1に開示されている。
【0006】
しかし、被記録媒体の全面にインクでいわゆるべた打ちを行う場合、被記録媒体の前端側が多量の付着インクによって下方に撓み、被記録媒体の前端が下流側に位置するプラテン下流部101aの上流端(符号105で示す部分)に衝突することがある。このような場合、図9に示す如く、下流側に位置するプラテン下流部101aの上流側の一部を液体打ち捨て領域部103側に延ばし、且つ液体打ち捨て領域部103へ進むに従って下降していく傾斜した案内面部109を形成し、前記の如く下方に撓んだ被記録媒体の前端を上方へすくって案内する構成が考えられる。
【0007】
ところが、このような「すくい」構成では、傾斜した案内面部109が液体打ち捨て領域部103内に位置するため、案内面部109上にインク111が打ち捨てられたまま残存してしまい、被記録媒体の裏面を汚す虞があった。
【0008】
一方、特許文献2には、図11に示す如く、最も上流側に位置するプラテン101bの上流側に傾斜面113を形成し、この傾斜面113に上下方向に連続して並べられた円弧状の溝部115及び各溝部115間の山部117を形成した構成が開示されている。このような構成により、例え傾斜面113上にインクが空打ちされても、インクが溝部115内に溜まるから、被記録媒体の裏面は山部117に案内されてインクの上方を通過するため、インクに接触して汚れることがない。しかし円弧状の溝部115にインクが溜まる量は限られており、この量を超えた場合インクが溝部115から零れ出し、プラテンの周辺を汚すおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−86821号公報
【特許文献2】特開平7−285251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、インク等の液体の打ち捨て領域部に位置する傾斜した案内面部上に液体が打ち捨てられたとき、その液体がインク吸収体に容易に誘導されて案内面部上に液体が残らない液体噴射装置における液体誘導装置を提供することにある。更にそのような液体誘導装置を備える液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様に係る液体噴射装置における液体誘導装置は、液体噴射ヘッドと対向して位置するプラテンと、前記プラテンの前記液体噴射ヘッドと対向する部分で、前記液体噴射ヘッドの液体吐出領域を越える範囲に設けられ、液体吸収体を有する液体打ち捨て領域部と、前記プラテンの前記液体打ち捨て領域部の下流端部分を区画する縁部分に、上流側に向かって上面が下降傾斜し前記液体吐出領域内にまで突出された案内面部と、前記案内面部に設けられ、該案内面部に付着した液体を前記液体吸収体側へ誘導する誘導構造部とを備えることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第1の態様によれば、案内面部上に溜まった液体の一部が誘導構造部に掛かると、該液体が誘導構造部を介して容易に液体吸収体側へ誘導されていき、案内面部上の液体は液体吸収体に速やかに吸収される。従って、液体噴射ヘッドの液体吐出領域部内にまで及んでいる案内面部を備える構造のプラテンであっても、該案内面部の上面の液体は誘導構造部を介して排除されるから、プラテン上を被噴射媒体が通過するとき被噴射媒体の裏面に液体が付着することを防止できる。
【0013】
また、本発明の第2の態様に係る液体噴射装置における液体誘導装置は、上記第1の態様において、前記誘導構造部は毛細管現象により液体を導くエッジ部を備え、前記エッジ部が前記液体吸収体まで延設されていることを特徴とするものである。
本態様によれば、案内面部上に溜まった液体の一部がエッジ部またはその周辺に至ると、該液体がエッジ部での毛細管現象により速やかに液体吸収体側へ誘導されていく。この際、一旦エッジ部から液体吸収体への流れが形成されると、液体が連続している限り全ての液体がこの流れの経路を経て液体吸収体へ誘導されるので、案内面部上の液体は急激に減少する。
【0014】
また、本発明の第3の態様に係る液体噴射装置における液体誘導装置は、上記第2の態様において、前記エッジ部は前記案内面部の前記傾斜面の上流側端部に向かって拡開するV字形の開口部の頂点に位置することを特徴とするものである。
本態様によれば、案内面部上に溜まった液体の一部がV字形の開口部の頂点に至ると、該液体がエッジ部での毛細管現象により速やかに液体吸収体側へ誘導されていく。この際、一旦エッジ部から液体吸収体への流れが形成されると、V字形の開口部内で流れの幅が拡大できるので、液体を速やかに液体吸収体へ誘導できる。
【0015】
また、本発明の第4の態様に係る液体噴射装置における液体誘導装置は、上記第3の態様において、前記V字形の開口部は、前記傾斜面の上下流方向のほぼ全長に亘り延びていることを特徴とするものである。
本態様によれば、液体が最初に誘導され始める領域が大きく拡がるため、より効果的に傾斜面上の液体を排除できる。
【0016】
また、本発明の第5の態様に係る液体噴射装置における液体誘導装置は、上記第2態様において、前記エッジ部は前記案内面部の前記傾斜面の下流側から上流側端部に向かって延びる断面がV字形の長溝の最下端に位置することを特徴とするものである。
本態様によれば、案内面部上に溜まった液体の一部が長溝に掛かると液体がエッジ部内に落下し、一度このような液体の流れ経路が形成されると、液体がエッジ部での毛細管現象により速やかに長溝の上流端から液体吸収体側へ誘導されていく。
【0017】
また、本発明の第6の態様に係る液体噴射装置における液体誘導装置は、上記第2の態様から第5の態様のいずれかにおいて、前記エッジ部の曲率半径は0.05mm以下であることを特徴とするものである。
本態様によれば、エッジ部の曲率半径は0.05mm程度を目安としているので、エッジ部での毛細管現象が効果的に働き、液体吸収体側への液体の誘導効率が上がる。
【0018】
また、本発明の第7の態様に係る液体噴射装置における液体誘導装置は、上記第3の態様から第5の態様のいずれかにおいて、前記V字形の頂角は20°乃至60°であることを特徴とするものである。
本態様によれば、エッジ部での毛細管現象が効果的に働き、液体吸収体側への液体の誘導効率が上がる。
【0019】
また、本発明の第8の態様に係る液体噴射装置は、液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドと対向して位置するプラテンと、前記プラテンの前記液体噴射ヘッドと対向する部分で、前記液体噴射ヘッドの液体吐出領域を越える範囲に設けられ、液体吸収体を有する液体打ち捨て領域部とを備えた液体噴射装置であって、前記プラテンの前記液体打ち捨て領域部と境界を接するプラテンの縁部分の上面、または、前記プラテンの前記液体打ち捨て領域部と境界を接するリブの縁部分の上面において、前記縁部分の上面の少なくとも一部が傾斜した案内面部と、前記案内面部に設けられ、該案内面部に付着した液体を前記液体吸収体側へ誘導する誘導構造部とを備えることを特徴とするものである。本態様によれば、被液体噴射媒体の裏面の汚れが防止できるため、高品質の液体噴射物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のインク誘導装置を適用したインクジェット式記録装置の側断面図。
【図2】プラテン周辺の上方斜視図。
【図3】プラテン周辺の拡大斜視図。
【図4】インク誘導装置の一実施形態を示す斜視図。
【図5】インク誘導装置周辺の側断面図。
【図6】インク誘導装置の他の実施形態を示す斜視図。
【図7】インク誘導装置の更に他の実施形態を示す斜視図。
【図8】インク誘導装置の更に他の実施形態を示す斜視図。
【図9】本発明の比較例を示す斜視図。
【図10】従来技術を示すプラテンの斜視図。
【図11】他の従来技術を示すプラテンの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本願発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る液体誘導装置の一例であるインク誘導装置を適用した液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の側断面図であり、図2は、プラテン周辺の上方斜視図であり、図3はプラテン周辺の拡大斜視図であり、図4はインク誘導装置の一実施形態を示す斜視図であり、図5はインク誘導装置周辺の側断面図である。
図6はインク誘導装置の他の実施形態を示す斜視図であり、図7はインク誘導装置の更に他の実施形態を示す斜視図であり、図8はインク誘導装置の更に他の実施形態を示す斜視図であり、図9は本発明の比較例を示す斜視図である。
【0022】
図1に示すインクジェット式記録装置(以下、単に記録装置という)1は、記録装置本体3に着脱可能な給送用カセット5を備える。給送用カセット5に積重される被噴射媒体に相当する被記録媒体Pは、給送ローラ7側へ揺動するホッパ9により給送ローラ7の外周面に押圧され、給送ローラ7の駆動回転によって搬送ローラ11へ向けて1枚ずつ分離されて自動給送される。符号8は公知のリタードローラを示し、該リタードローラ8と給送ローラ7とが協働して重送される被記録媒体を1枚に分離する。
【0023】
記録装置本体3には、被記録媒体Pにインクを噴射して記録を行う液体噴射ヘッドの一例である記録ヘッド13を被記録媒体Pに対してその幅方向に走査させるためのキャリッジ15を備えている。キャリッジ15には、各色のインクが充填されたインクカートリッジ(図示せず)が着脱可能に搭載され、インクカートリッジから記録ヘッド13へ各色のインクが供給される。記録ヘッド13は、プラテン17と対向する位置で被記録媒体Pの幅方向へ往復動し、ヘッド面に被記録媒体Pの搬送方向に平行に配列されているノズル列の各ノズル孔からプラテン17上を搬送される被記録媒体Pへインクが吐出されて記録が実行される。ノズル列の前記搬送方向における存在範囲がインク(液体)吐出領域である。記録が完了した被記録媒体Pは、排出ローラ19によって副走査方向へ排出される。
【0024】
図2に示す如く、プラテン17の記録ヘッド13と対向する面である上面には、被記録媒体Pを支持するとともに被記録媒体Pと記録ヘッド13との距離を規定する突起状の多数のリブ21と、被記録媒体Pの端辺から外れて打ち捨てられるインクを受ける液体打ち捨て領域部23とが形成されている。リブ21は、被記録媒体Pの進行方向上流側のプラテン上流部22に形成される上流リブ21aと、被記録媒体Pの進行方向下流側のプラテン下流部24に形成されている下流リブ21bと、上流リブ21aと下流リブ21bとの中間領域に位置する中間リブ21cとがある。液体打ち捨て領域部23は、プラテン上流部22の下流側の辺(縁)部分とプラテン下流部24の上流側の辺(縁)部分との間に位置して設けられており、その中に島状に中間リブ21cが位置する。
【0025】
被記録媒体Pの始端の記録時には、被記録媒体Pの始端よりも下流側にはみ出た廃インクが、液体打ち捨て領域部23の下流側の対応する部位に打ち捨てられる。被記録媒体Pの終端の記録時には、被記録媒体Pの終端よりも上流側に外れた廃インクが、液体打ち捨て領域部23の上流側の対応する部位に打ち捨てられる。
【0026】
図5に示す如く、液体打ち捨て領域部23には打ち捨てられたインクを吸収し保持するためのポリエーテル系材料のインク吸収体25(液体吸収体に相当する)が設けられ、インク吸収体25の下側には更にポリビニールアルコール系材料のインク吸収体26(液体吸収体に相当する)が設けられている。液体打ち捨て領域部23の底面には、誘導部27が設けられ、インク吸収体26の一端部が誘導部27で下方に誘導されて更に大容量のインク吸収材部にまで連通されている。インク吸収体25と、インク吸収体26を、それぞれ別の材質からなる複数の層にすることにより、単一の材質の場合と比べ、打ち捨てられたインクを効率的に前記誘導部27へ導くことが可能になる。
【0027】
図4に示す如く、プラテン下流部24の液体打ち捨て領域部23の下流端部分を区画する上流側縁部分には、液体打ち捨て領域部23側で上流側に向かってその上面が下降するように傾斜して延びる案内面部29を備えている。該案内面部29には、当該案内面部29に付着したインクをインク吸収体25,26側へ誘導する誘導構造部として、毛細管現象によりインクをインク吸収体25,26まで導くエッジ部31が形成されている。
該エッジ部31は、案内面部29の上流側端部33に向かって拡開するV字形の開口部35の頂点に位置しており、その寸法はエッジ部31の角部36の曲率半径が0.05mm或いはそれ以下である。このような小さな曲率半径を有することにより、案内面部29上に溜まったインクの一部がエッジ部31またはその周辺に至ると、インクがエッジ部31での毛細管現象により速やかにインク吸収体25,26側へ誘導されていく。
【0028】
図4に示す実施形態において、V字形の開口部35の頂角は60°であるが、その範囲は20°乃至60°であることが好ましい。また、図7に示す如く、V字形の開口部35は、案内面部29の上下流方向のほぼ全長に亘り延びていてもよい。因みに図7に示す実施形態では、V字形の開口部35の頂角は20°であり、V字形の開口部35の深さは2mmである。
【0029】
次に、図6は本発明の更に他の実施形態を示している。本実施形態では、傾斜した案内面部29の下流側(図6の上側)から上流側(図6の下側)の端部に向かって複数の長溝37が形成されており、長溝37はその横断面がV字形を有する。そして、断面V字形の最下端に長溝37に沿ってエッジ部31が形成されている。また、長溝37の下流側には三角形に切り欠かれた終端部41が形成されており、終端部41における横断面もV字形に形成され、その最下端にもエッジ部31が形成されている。本実施形態におけるエッジ部31では、V字形の最下端の頂角は60°であり、エッジ部31の角部36の曲率半径は0.05mm以下である。更に長溝37の長さは2.2mmである。
【0030】
本実施形態では、案内面部29上に溜まったインクの一部が長溝37に掛かるとインクがエッジ部31内に落下し、一度このようなインクの流れ経路が形成されると、インクがエッジ部31での毛細管現象により次々と長溝37の上流端からインク吸収体25,26側へ誘導されていく。
【0031】
更に、図8に示す実施形態では、案内面部29に下面側まで貫通するスリット状の間隙部39が下流側(図8の上側)から上流側(図8の下側)の端部に向かって形成されたインクの誘導構造部が形成されている。スリット状の間隙部39の下流側(図8の上側)には、三角形に切り欠かれた終端部41が形成されており、終端部41における横断面はV字形に形成され、その最下端にはエッジ部31が形成されている。本実施形態では、案内面部29上に溜まったインクの一部が終端部41に掛かるとインクがエッジ部31内に入り、一度このようなインクの流れ経路が形成されると、インクがエッジ部31及びスリット状の間隙部39での毛細管現象により次々と間隙部39を介してインク吸収体25,26側へ誘導されていく。
【0032】
本実施形態の説明では、図2において、下流リブ21bの案内面部29の上面のみにエッジ部31が図示されているが、前記効果を得るために下流リブ21b以外の縁部分であっても良く、たとえば、プラテンの液体打ち捨て領域部23と境界を接するプラテン17の縁部分の上面、または、プラテンの液体打ち捨て領域部23と境界を接する上流リブ21a、中間リブ21cの縁部分の上面であっても、前記縁部分の上面の少なくとも一部が傾斜した案内面であれば、前記案内面にエッジ部を設けることで被噴射媒体の裏面に液体が付着することを防止することができる。また、案内面のエッジ部の変形例として、案内面に複数の離間した突起部を設けることでも毛細管現象により同等の効果が得られることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0033】
1…インクジェット式記録装置、3…記録装置本体、5…給送用カセット、7…給送ローラ、9…ホッパ、11…搬送ローラ、13…記録ヘッド、15…キャリッジ、17…プラテン、19…排出ローラ、21a…上流リブ、21b…下流リブ、21c…中間リブ、22…プラテン上流部、23…液体打ち捨て領域部、24…プラテン下流部、25…インク吸収体、26…インク吸収体、27…誘導部、29…案内面部、31…エッジ部、33…案内面部の上流側端部、35…V字形の開口部、36…角部、37…長溝、39…間隙部、41…終端部、P…被記録媒体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体をそのヘッドから吐出して被噴射媒体に噴射を実行するインクジェット記録装置などの液体噴射装置における液体誘導装置に関するものである。
【0002】
ここで液体噴射装置とは、インクジェット式記録ヘッドが用いられ、該記録ヘッドからインクを吐出して被記録媒体に記録を行うプリンタ、複写機およびファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を前記記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから被記録媒体に相当する被噴射媒体に噴射して、前記液体を前記被噴射媒体に付着させる装置を含む意味で用いる。
【0003】
液体噴射ヘッドとして、前記記録ヘッドの他に、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等が挙げられる。
【背景技術】
【0004】
インクジェット記録装置では、記録ヘッドからインクが吐出され、プラテン上で被記録媒体の端辺からはみ出して打ち捨てられたインクを回収するため、プラテンの記録ヘッドに対向する領域に凹部を形成し、そこにインク吸収体を設け、該インク吸収体にインクを吸収するようにいる。図10に示す如く、従来のプラテン101では、液体打ち捨て領域部103の被記録媒体の進行方向下流側に位置するプラテン下流部101aの上流側は、真っ直ぐに且つ断面が直角に形成されており(符号105で示す部分を参照)、この部分までインク吸収体107が設けられていた。
【0005】
従って、プラテン下流部101aの上流側に隣接する位置でインクが打ち捨てられても、インクがプラテン下流部101a上に付着することはなく、インクはインク吸収体107上に打ち捨てられるようになっていた。このような形態のプラテンは、例えば特許文献1に開示されている。
【0006】
しかし、被記録媒体の全面にインクでいわゆるべた打ちを行う場合、被記録媒体の前端側が多量の付着インクによって下方に撓み、被記録媒体の前端が下流側に位置するプラテン下流部101aの上流端(符号105で示す部分)に衝突することがある。このような場合、図9に示す如く、下流側に位置するプラテン下流部101aの上流側の一部を液体打ち捨て領域部103側に延ばし、且つ液体打ち捨て領域部103へ進むに従って下降していく傾斜した案内面部109を形成し、前記の如く下方に撓んだ被記録媒体の前端を上方へすくって案内する構成が考えられる。
【0007】
ところが、このような「すくい」構成では、傾斜した案内面部109が液体打ち捨て領域部103内に位置するため、案内面部109上にインク111が打ち捨てられたまま残存してしまい、被記録媒体の裏面を汚す虞があった。
【0008】
一方、特許文献2には、図11に示す如く、最も上流側に位置するプラテン101bの上流側に傾斜面113を形成し、この傾斜面113に上下方向に連続して並べられた円弧状の溝部115及び各溝部115間の山部117を形成した構成が開示されている。このような構成により、例え傾斜面113上にインクが空打ちされても、インクが溝部115内に溜まるから、被記録媒体の裏面は山部117に案内されてインクの上方を通過するため、インクに接触して汚れることがない。しかし円弧状の溝部115にインクが溜まる量は限られており、この量を超えた場合インクが溝部115から零れ出し、プラテンの周辺を汚すおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−86821号公報
【特許文献2】特開平7−285251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、インク等の液体の打ち捨て領域部に位置する傾斜した案内面部上に液体が打ち捨てられたとき、その液体がインク吸収体に容易に誘導されて案内面部上に液体が残らない液体噴射装置における液体誘導装置を提供することにある。更にそのような液体誘導装置を備える液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様に係る液体噴射装置における液体誘導装置は、液体噴射ヘッドと対向して位置するプラテンと、前記プラテンの前記液体噴射ヘッドと対向する部分で、前記液体噴射ヘッドの液体吐出領域を越える範囲に設けられ、液体吸収体を有する液体打ち捨て領域部と、前記プラテンの前記液体打ち捨て領域部の下流端部分を区画する縁部分に、上流側に向かって上面が下降傾斜し前記液体吐出領域内にまで突出された案内面部と、前記案内面部に設けられ、該案内面部に付着した液体を前記液体吸収体側へ誘導する誘導構造部とを備えることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の第1の態様によれば、案内面部上に溜まった液体の一部が誘導構造部に掛かると、該液体が誘導構造部を介して容易に液体吸収体側へ誘導されていき、案内面部上の液体は液体吸収体に速やかに吸収される。従って、液体噴射ヘッドの液体吐出領域部内にまで及んでいる案内面部を備える構造のプラテンであっても、該案内面部の上面の液体は誘導構造部を介して排除されるから、プラテン上を被噴射媒体が通過するとき被噴射媒体の裏面に液体が付着することを防止できる。
【0013】
また、本発明の第2の態様に係る液体噴射装置における液体誘導装置は、上記第1の態様において、前記誘導構造部は毛細管現象により液体を導くエッジ部を備え、前記エッジ部が前記液体吸収体まで延設されていることを特徴とするものである。
本態様によれば、案内面部上に溜まった液体の一部がエッジ部またはその周辺に至ると、該液体がエッジ部での毛細管現象により速やかに液体吸収体側へ誘導されていく。この際、一旦エッジ部から液体吸収体への流れが形成されると、液体が連続している限り全ての液体がこの流れの経路を経て液体吸収体へ誘導されるので、案内面部上の液体は急激に減少する。
【0014】
また、本発明の第3の態様に係る液体噴射装置における液体誘導装置は、上記第2の態様において、前記エッジ部は前記案内面部の前記傾斜面の上流側端部に向かって拡開するV字形の開口部の頂点に位置することを特徴とするものである。
本態様によれば、案内面部上に溜まった液体の一部がV字形の開口部の頂点に至ると、該液体がエッジ部での毛細管現象により速やかに液体吸収体側へ誘導されていく。この際、一旦エッジ部から液体吸収体への流れが形成されると、V字形の開口部内で流れの幅が拡大できるので、液体を速やかに液体吸収体へ誘導できる。
【0015】
また、本発明の第4の態様に係る液体噴射装置における液体誘導装置は、上記第3の態様において、前記V字形の開口部は、前記傾斜面の上下流方向のほぼ全長に亘り延びていることを特徴とするものである。
本態様によれば、液体が最初に誘導され始める領域が大きく拡がるため、より効果的に傾斜面上の液体を排除できる。
【0016】
また、本発明の第5の態様に係る液体噴射装置における液体誘導装置は、上記第2態様において、前記エッジ部は前記案内面部の前記傾斜面の下流側から上流側端部に向かって延びる断面がV字形の長溝の最下端に位置することを特徴とするものである。
本態様によれば、案内面部上に溜まった液体の一部が長溝に掛かると液体がエッジ部内に落下し、一度このような液体の流れ経路が形成されると、液体がエッジ部での毛細管現象により速やかに長溝の上流端から液体吸収体側へ誘導されていく。
【0017】
また、本発明の第6の態様に係る液体噴射装置における液体誘導装置は、上記第2の態様から第5の態様のいずれかにおいて、前記エッジ部の曲率半径は0.05mm以下であることを特徴とするものである。
本態様によれば、エッジ部の曲率半径は0.05mm程度を目安としているので、エッジ部での毛細管現象が効果的に働き、液体吸収体側への液体の誘導効率が上がる。
【0018】
また、本発明の第7の態様に係る液体噴射装置における液体誘導装置は、上記第3の態様から第5の態様のいずれかにおいて、前記V字形の頂角は20°乃至60°であることを特徴とするものである。
本態様によれば、エッジ部での毛細管現象が効果的に働き、液体吸収体側への液体の誘導効率が上がる。
【0019】
また、本発明の第8の態様に係る液体噴射装置は、液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドと対向して位置するプラテンと、前記プラテンの前記液体噴射ヘッドと対向する部分で、前記液体噴射ヘッドの液体吐出領域を越える範囲に設けられ、液体吸収体を有する液体打ち捨て領域部とを備えた液体噴射装置であって、前記プラテンの前記液体打ち捨て領域部と境界を接するプラテンの縁部分の上面、または、前記プラテンの前記液体打ち捨て領域部と境界を接するリブの縁部分の上面において、前記縁部分の上面の少なくとも一部が傾斜した案内面部と、前記案内面部に設けられ、該案内面部に付着した液体を前記液体吸収体側へ誘導する誘導構造部とを備えることを特徴とするものである。本態様によれば、被液体噴射媒体の裏面の汚れが防止できるため、高品質の液体噴射物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のインク誘導装置を適用したインクジェット式記録装置の側断面図。
【図2】プラテン周辺の上方斜視図。
【図3】プラテン周辺の拡大斜視図。
【図4】インク誘導装置の一実施形態を示す斜視図。
【図5】インク誘導装置周辺の側断面図。
【図6】インク誘導装置の他の実施形態を示す斜視図。
【図7】インク誘導装置の更に他の実施形態を示す斜視図。
【図8】インク誘導装置の更に他の実施形態を示す斜視図。
【図9】本発明の比較例を示す斜視図。
【図10】従来技術を示すプラテンの斜視図。
【図11】他の従来技術を示すプラテンの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本願発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る液体誘導装置の一例であるインク誘導装置を適用した液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置の側断面図であり、図2は、プラテン周辺の上方斜視図であり、図3はプラテン周辺の拡大斜視図であり、図4はインク誘導装置の一実施形態を示す斜視図であり、図5はインク誘導装置周辺の側断面図である。
図6はインク誘導装置の他の実施形態を示す斜視図であり、図7はインク誘導装置の更に他の実施形態を示す斜視図であり、図8はインク誘導装置の更に他の実施形態を示す斜視図であり、図9は本発明の比較例を示す斜視図である。
【0022】
図1に示すインクジェット式記録装置(以下、単に記録装置という)1は、記録装置本体3に着脱可能な給送用カセット5を備える。給送用カセット5に積重される被噴射媒体に相当する被記録媒体Pは、給送ローラ7側へ揺動するホッパ9により給送ローラ7の外周面に押圧され、給送ローラ7の駆動回転によって搬送ローラ11へ向けて1枚ずつ分離されて自動給送される。符号8は公知のリタードローラを示し、該リタードローラ8と給送ローラ7とが協働して重送される被記録媒体を1枚に分離する。
【0023】
記録装置本体3には、被記録媒体Pにインクを噴射して記録を行う液体噴射ヘッドの一例である記録ヘッド13を被記録媒体Pに対してその幅方向に走査させるためのキャリッジ15を備えている。キャリッジ15には、各色のインクが充填されたインクカートリッジ(図示せず)が着脱可能に搭載され、インクカートリッジから記録ヘッド13へ各色のインクが供給される。記録ヘッド13は、プラテン17と対向する位置で被記録媒体Pの幅方向へ往復動し、ヘッド面に被記録媒体Pの搬送方向に平行に配列されているノズル列の各ノズル孔からプラテン17上を搬送される被記録媒体Pへインクが吐出されて記録が実行される。ノズル列の前記搬送方向における存在範囲がインク(液体)吐出領域である。記録が完了した被記録媒体Pは、排出ローラ19によって副走査方向へ排出される。
【0024】
図2に示す如く、プラテン17の記録ヘッド13と対向する面である上面には、被記録媒体Pを支持するとともに被記録媒体Pと記録ヘッド13との距離を規定する突起状の多数のリブ21と、被記録媒体Pの端辺から外れて打ち捨てられるインクを受ける液体打ち捨て領域部23とが形成されている。リブ21は、被記録媒体Pの進行方向上流側のプラテン上流部22に形成される上流リブ21aと、被記録媒体Pの進行方向下流側のプラテン下流部24に形成されている下流リブ21bと、上流リブ21aと下流リブ21bとの中間領域に位置する中間リブ21cとがある。液体打ち捨て領域部23は、プラテン上流部22の下流側の辺(縁)部分とプラテン下流部24の上流側の辺(縁)部分との間に位置して設けられており、その中に島状に中間リブ21cが位置する。
【0025】
被記録媒体Pの始端の記録時には、被記録媒体Pの始端よりも下流側にはみ出た廃インクが、液体打ち捨て領域部23の下流側の対応する部位に打ち捨てられる。被記録媒体Pの終端の記録時には、被記録媒体Pの終端よりも上流側に外れた廃インクが、液体打ち捨て領域部23の上流側の対応する部位に打ち捨てられる。
【0026】
図5に示す如く、液体打ち捨て領域部23には打ち捨てられたインクを吸収し保持するためのポリエーテル系材料のインク吸収体25(液体吸収体に相当する)が設けられ、インク吸収体25の下側には更にポリビニールアルコール系材料のインク吸収体26(液体吸収体に相当する)が設けられている。液体打ち捨て領域部23の底面には、誘導部27が設けられ、インク吸収体26の一端部が誘導部27で下方に誘導されて更に大容量のインク吸収材部にまで連通されている。インク吸収体25と、インク吸収体26を、それぞれ別の材質からなる複数の層にすることにより、単一の材質の場合と比べ、打ち捨てられたインクを効率的に前記誘導部27へ導くことが可能になる。
【0027】
図4に示す如く、プラテン下流部24の液体打ち捨て領域部23の下流端部分を区画する上流側縁部分には、液体打ち捨て領域部23側で上流側に向かってその上面が下降するように傾斜して延びる案内面部29を備えている。該案内面部29には、当該案内面部29に付着したインクをインク吸収体25,26側へ誘導する誘導構造部として、毛細管現象によりインクをインク吸収体25,26まで導くエッジ部31が形成されている。
該エッジ部31は、案内面部29の上流側端部33に向かって拡開するV字形の開口部35の頂点に位置しており、その寸法はエッジ部31の角部36の曲率半径が0.05mm或いはそれ以下である。このような小さな曲率半径を有することにより、案内面部29上に溜まったインクの一部がエッジ部31またはその周辺に至ると、インクがエッジ部31での毛細管現象により速やかにインク吸収体25,26側へ誘導されていく。
【0028】
図4に示す実施形態において、V字形の開口部35の頂角は60°であるが、その範囲は20°乃至60°であることが好ましい。また、図7に示す如く、V字形の開口部35は、案内面部29の上下流方向のほぼ全長に亘り延びていてもよい。因みに図7に示す実施形態では、V字形の開口部35の頂角は20°であり、V字形の開口部35の深さは2mmである。
【0029】
次に、図6は本発明の更に他の実施形態を示している。本実施形態では、傾斜した案内面部29の下流側(図6の上側)から上流側(図6の下側)の端部に向かって複数の長溝37が形成されており、長溝37はその横断面がV字形を有する。そして、断面V字形の最下端に長溝37に沿ってエッジ部31が形成されている。また、長溝37の下流側には三角形に切り欠かれた終端部41が形成されており、終端部41における横断面もV字形に形成され、その最下端にもエッジ部31が形成されている。本実施形態におけるエッジ部31では、V字形の最下端の頂角は60°であり、エッジ部31の角部36の曲率半径は0.05mm以下である。更に長溝37の長さは2.2mmである。
【0030】
本実施形態では、案内面部29上に溜まったインクの一部が長溝37に掛かるとインクがエッジ部31内に落下し、一度このようなインクの流れ経路が形成されると、インクがエッジ部31での毛細管現象により次々と長溝37の上流端からインク吸収体25,26側へ誘導されていく。
【0031】
更に、図8に示す実施形態では、案内面部29に下面側まで貫通するスリット状の間隙部39が下流側(図8の上側)から上流側(図8の下側)の端部に向かって形成されたインクの誘導構造部が形成されている。スリット状の間隙部39の下流側(図8の上側)には、三角形に切り欠かれた終端部41が形成されており、終端部41における横断面はV字形に形成され、その最下端にはエッジ部31が形成されている。本実施形態では、案内面部29上に溜まったインクの一部が終端部41に掛かるとインクがエッジ部31内に入り、一度このようなインクの流れ経路が形成されると、インクがエッジ部31及びスリット状の間隙部39での毛細管現象により次々と間隙部39を介してインク吸収体25,26側へ誘導されていく。
【0032】
本実施形態の説明では、図2において、下流リブ21bの案内面部29の上面のみにエッジ部31が図示されているが、前記効果を得るために下流リブ21b以外の縁部分であっても良く、たとえば、プラテンの液体打ち捨て領域部23と境界を接するプラテン17の縁部分の上面、または、プラテンの液体打ち捨て領域部23と境界を接する上流リブ21a、中間リブ21cの縁部分の上面であっても、前記縁部分の上面の少なくとも一部が傾斜した案内面であれば、前記案内面にエッジ部を設けることで被噴射媒体の裏面に液体が付着することを防止することができる。また、案内面のエッジ部の変形例として、案内面に複数の離間した突起部を設けることでも毛細管現象により同等の効果が得られることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0033】
1…インクジェット式記録装置、3…記録装置本体、5…給送用カセット、7…給送ローラ、9…ホッパ、11…搬送ローラ、13…記録ヘッド、15…キャリッジ、17…プラテン、19…排出ローラ、21a…上流リブ、21b…下流リブ、21c…中間リブ、22…プラテン上流部、23…液体打ち捨て領域部、24…プラテン下流部、25…インク吸収体、26…インク吸収体、27…誘導部、29…案内面部、31…エッジ部、33…案内面部の上流側端部、35…V字形の開口部、36…角部、37…長溝、39…間隙部、41…終端部、P…被記録媒体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体噴射ヘッドと対向して位置するプラテンと、
前記プラテンの前記液体噴射ヘッドと対向する部分で、前記液体噴射ヘッドの液体吐出領域を越える範囲に設けられ、液体吸収体を有する液体打ち捨て領域部と、
前記プラテンの前記液体打ち捨て領域部の下流端部分を区画する縁部分に、上流側に向かって上面が下降傾斜し前記液体吐出領域内にまで突出された案内面部と、
前記案内面部に設けられ、該案内面部に付着した液体を前記液体吸収体側へ誘導する誘導構造部と、を備えることを特徴とする液体噴射装置における液体誘導装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置における液体誘導装置において、前記誘導構造部は毛細管現象により液体を導くエッジ部を備え、前記エッジ部が前記液体吸収体まで延設されていることを特徴とする液体噴射装置における液体誘導装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体噴射装置における液体誘導装置において、前記エッジ部は前記案内面部の前記傾斜面の上流側端部に向かって拡開するV字形の開口部の頂点に位置することを特徴とする液体噴射装置における液体誘導装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液体噴射装置における液体誘導装置において、前記V字形の開口部は、前記傾斜面の上下流方向のほぼ全長に亘り延びていることを特徴とする液体噴射装置における液体誘導装置。
【請求項5】
請求項2に記載の液体噴射装置における液体誘導装置において、前記エッジ部は前記案内面部の前記傾斜面の下流側から上流側端部に向かって延びる断面がV字形の長溝の最下端に位置することを特徴とする液体噴射装置における液体誘導装置。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一項に記載の液体噴射装置における液体誘導装置において、前記エッジ部の角部の曲率半径は0.05mm以下であることを特徴とする液体噴射装置における液体誘導装置。
【請求項7】
請求項3から5のいずれか一項に記載の液体噴射装置における液体誘導装置において、前記V字形の頂角は20°乃至60°であることを特徴とする液体噴射装置における液体誘導装置。
【請求項8】
液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドと対向して位置するプラテンと、
前記プラテンの前記液体噴射ヘッドと対向する部分で、前記液体噴射ヘッドの液体吐出領域を越える範囲に設けられ、液体吸収体を有する液体打ち捨て領域部とを備えた液体噴射装置であって、
前記プラテンの前記液体打ち捨て領域部と境界を接するプラテンの縁部分の上面、または、前記プラテンの前記液体打ち捨て領域部と境界を接するリブの縁部分の上面において、前記縁部分の上面の少なくとも一部が傾斜した案内面部と、
前記案内面部に設けられ、該案内面部に付着した液体を前記液体吸収体側へ誘導する誘導構造部と、を備えることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項1】
液体噴射ヘッドと対向して位置するプラテンと、
前記プラテンの前記液体噴射ヘッドと対向する部分で、前記液体噴射ヘッドの液体吐出領域を越える範囲に設けられ、液体吸収体を有する液体打ち捨て領域部と、
前記プラテンの前記液体打ち捨て領域部の下流端部分を区画する縁部分に、上流側に向かって上面が下降傾斜し前記液体吐出領域内にまで突出された案内面部と、
前記案内面部に設けられ、該案内面部に付着した液体を前記液体吸収体側へ誘導する誘導構造部と、を備えることを特徴とする液体噴射装置における液体誘導装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置における液体誘導装置において、前記誘導構造部は毛細管現象により液体を導くエッジ部を備え、前記エッジ部が前記液体吸収体まで延設されていることを特徴とする液体噴射装置における液体誘導装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体噴射装置における液体誘導装置において、前記エッジ部は前記案内面部の前記傾斜面の上流側端部に向かって拡開するV字形の開口部の頂点に位置することを特徴とする液体噴射装置における液体誘導装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液体噴射装置における液体誘導装置において、前記V字形の開口部は、前記傾斜面の上下流方向のほぼ全長に亘り延びていることを特徴とする液体噴射装置における液体誘導装置。
【請求項5】
請求項2に記載の液体噴射装置における液体誘導装置において、前記エッジ部は前記案内面部の前記傾斜面の下流側から上流側端部に向かって延びる断面がV字形の長溝の最下端に位置することを特徴とする液体噴射装置における液体誘導装置。
【請求項6】
請求項2から5のいずれか一項に記載の液体噴射装置における液体誘導装置において、前記エッジ部の角部の曲率半径は0.05mm以下であることを特徴とする液体噴射装置における液体誘導装置。
【請求項7】
請求項3から5のいずれか一項に記載の液体噴射装置における液体誘導装置において、前記V字形の頂角は20°乃至60°であることを特徴とする液体噴射装置における液体誘導装置。
【請求項8】
液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドと対向して位置するプラテンと、
前記プラテンの前記液体噴射ヘッドと対向する部分で、前記液体噴射ヘッドの液体吐出領域を越える範囲に設けられ、液体吸収体を有する液体打ち捨て領域部とを備えた液体噴射装置であって、
前記プラテンの前記液体打ち捨て領域部と境界を接するプラテンの縁部分の上面、または、前記プラテンの前記液体打ち捨て領域部と境界を接するリブの縁部分の上面において、前記縁部分の上面の少なくとも一部が傾斜した案内面部と、
前記案内面部に設けられ、該案内面部に付着した液体を前記液体吸収体側へ誘導する誘導構造部と、を備えることを特徴とする液体噴射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−116201(P2012−116201A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−22788(P2012−22788)
【出願日】平成24年2月6日(2012.2.6)
【分割の表示】特願2007−232388(P2007−232388)の分割
【原出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月6日(2012.2.6)
【分割の表示】特願2007−232388(P2007−232388)の分割
【原出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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