説明

液体噴射装置

【課題】ノズル近傍におけるUV硬化インクの硬化を防止する必要があった。
【解決手段】液体噴射装置であって、液体噴射ヘッドはUV硬化インクをノズルから噴射し、紫外線照射部はUV硬化インクが着弾した記録媒体に紫外線を照射し、紫外線を検出するセンサーを有しノズルが形成された面と記録媒体との間の所定位置に配置可能なノズル保護部と、紫外線照射部から照射される紫外線の記録媒体に対する照射角度を調整可能な調整部とを更に備え、UV硬化インクを記録媒体に噴射することによる記録処理を記録媒体の同一の面を対象として複数回実行する場合に、各回の記録処理の開始前において、記録媒体の当該面に対して紫外線照射部に紫外線を照射させ、センサーにより検出される紫外線の強さに基づいてノズル保護部が受ける紫外線の強さが所定値以下となるように調整部により照射角度を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射装置として、紫外線を浴びることにより硬化し記録媒体に定着する紫外線硬化インク(以下、UV硬化インクと呼ぶ。)を使用するものが知られている。その一つとして、記録媒体上を主走査方向に往復駆動され、記録媒体に対向する面にUV硬化インクを記録媒体上に吐出(噴射)するノズルを形成してなる記録ヘッドと、記録媒体にインクが着弾後に紫外線を照射してインクを硬化させる紫外線光源を備える紫外線照射装置とを有するインクジェットプリンターが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004‐188920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
UV硬化インクを使用するプリンターにおいては、記録媒体に着弾したUV硬化インクを硬化させるべく記録媒体に紫外線を照射したとき、記録媒体で反射した紫外線が散乱して記録ヘッドのノズル面に当ってしまう。このように散乱した紫外線がノズル面に当ることによる、ノズル内外でのUV硬化インクの硬化が問題となっていた。つまり、噴射前にノズル内に在るインクあるいはノズル外に付着したインク(まとめてノズル近傍のインクと呼ぶ。)が硬化すると、ノズルの目詰まり等が発生し、記録ヘッドの製品寿命が短くなるおそれがある。
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、ノズル近傍のUV硬化インクの硬化を防止し、製品の長寿命化を図ることが可能な液体噴射装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様の一つは、液体を噴射させるノズルが記録媒体に相対する面に複数形成され、紫外線により硬化する特定の液体(UV硬化インク)を上記ノズルから噴射させる液体噴射ヘッドと、液体噴射ヘッドと記録媒体との位置関係を変更可能な移動機構と、紫外線光源を有し、当該特定の液体が着弾した記録媒体に紫外線を照射して液体を硬化させる紫外線照射部と、上記ノズルが複数形成された面と上記記録媒体との間の所定位置に配置され、紫外線を検出するセンサーを有するノズル保護部と、記録媒体に対し、上記紫外線照射部から照射される紫外線の照射角度を調整可能な調整部と、を備えた液体噴射装置であって、記録媒体の同一の面に対し、上記特定の液体を噴射することによる記録処理を複数回実行する場合に、各回の記録処理の開始前において、記録媒体の当該面に対して紫外線照射部に紫外線を照射させ、上記センサーにより検出される紫外線の強さに基づいて上記ノズル保護部が受ける紫外線の強さが所定値以下となるように上記調整部により上記照射角度を調整する角度調整処理を行なう構成としてある。
【0007】
当該構成によれば、記録処理を記録媒体の同一の面を対象として複数回実行する(いわゆる重ね印刷する)場合に、各回の記録処理の開始前において、紫外線照射部から照射される紫外線の記録媒体に対する照射角度を上記のように調整する。そのため、各回の記録処理においては、記録媒体で反射してノズルに当る紫外線が弱いものとなり、ノズル近傍でUV硬化インクが硬化してしまうといった不都合を回避することができる。
【0008】
本発明の態様の一つは、液体噴射装置は、上記記録媒体の種類が変更された場合に、上記角度調整処理を行なう構成としてもよい。
当該構成によれば、例えば、記録媒体への重ね印刷を複数の記録媒体に対して同じように行なう場合、各記録媒体にN(N=1以上の整数)回目の記録処理を順次行なっている途中で記録媒体の種類が変更された場合に、変更後の記録媒体を対象として記録処理を再開する前に上記角度調整処理を行なうことができる。そのため、使用される記録媒体における紫外線の反射特性の違いに応じた、ノズル近傍でのUV硬化インクの硬化を防ぐための最適な角度調整を行うことができる。
【0009】
本発明の態様の一つは、液体噴射装置は、上記ノズルが複数形成された面と記録媒体との距離(プラテンギャップ)が変更された場合に、上記角度調整処理を行なう構成としてもよい。
当該構成によれば、例えば、記録媒体への重ね印刷を複数の記録媒体に対して同じように行なう場合、各記録媒体にN(N=1以上の整数)回目の記録処理を順次行なっている途中でプラテンギャップが変更された場合に、当該変更後に残りの記録媒体に当該N回目の記録処理を再開する前に上記角度調整処理を行なうことができる。そのため、プラテンギャップの違い(ノズルと記録媒体との距離の違い)に応じた、ノズル近傍でのUV硬化インクの硬化を防ぐための最適な角度調整を行うことができる。
【0010】
本発明の態様の一つは、上記調整部は、記録媒体に対する紫外線照射部の角度を変更することにより上記照射角度を調整するとしてもよい。あるいは、上記調整部は、紫外線照射部から照射される光を一定方向に通過させる光路制限部を備え、紫外線照射部に対する光路制限部の角度を変更することにより、上記照射角度を調整するとしてもよい。つまり、上記照射角度の調整は、紫外線照射部自体を動かすことにより実現してもよいし、紫外線照射部は動かさず光路制限部を動かすことにより実現してもよい。
【0011】
本発明の態様の一つは、液体噴射装置は、上記センサーにより検出される紫外線の強さ及び当該紫外線の強さに基づく上記照射角度の調整量を、所定の画面に表示させる表示部を備える構成としてもよい。
当該構成によれば、記録媒体で反射してノズル保護部に当る紫外線の強さ及び当該紫外線の強さに基づく照射角度の調整量を、ユーザーは画面で認識することができるため、照射角度の調整が容易となる。
【0012】
本発明の態様の一つは、上記移動機構は、記録媒体に対して液体噴射ヘッドを一定方向に往復移動させることが可能であり、液体噴射装置は、上記角度調整処理では、液体噴射ヘッドの往路移動時に上記センサーにより検出される紫外線の強さに基づいて往路移動時における上記照射角度を決定し、かつ、液体噴射ヘッドの復路移動時に上記センサーにより検出される紫外線の強さに基づいて復路移動時における上記照射角度を決定し、上記記録処理では、液体噴射ヘッドの往路移動時には上記決定された往路移動時における照射角度に調整し、液体噴射ヘッドの復路移動時には上記決定された復路移動時における照射角度に調整する構成としてもよい。
当該構成によれば、液体噴射ヘッドを往復移動させていわゆる双方向印刷を行なう際に、往路移動時、復路移動時それぞれにとってノズル近傍でのUV硬化インクの硬化を防ぐための最適な角度に、上記照射角度を調整することができる。
【0013】
本発明の態様の一つは、液体噴射装置は、印刷対象の画像を表現した画像データに基づいて、記録媒体において相対的に多くの上記特定の液体が噴射される領域を特定し、上記角度調整処理では、当該特定された領域に対して紫外線照射部に紫外線を照射させて上記センサーにより検出される紫外線の強さに基づいて、上記照射角度を調整する構成としてある。
当該構成によれば、記録媒体上でUV硬化インクが多く着弾する領域を対象として、紫外線を照射し、当該領域で反射して上記センサーにより検出された紫外線の強さに基づいて上記照射角度を調整する。そのため、実際の記録時に当該領域にUV硬化インクを噴射したときに、ノズル近傍でUV硬化インクが硬化することを的確に防止することができる。
【0014】
本発明にかかる技術的思想は液体噴射装置という形態のみで実現されるものではなく、例えば、液体噴射装置が実現する処理工程を備える方法の発明や、液体噴射装置が実現する処理を、コンピューター(液体噴射装置が備えるCPU等のコンピューター)に実行させるプログラムの発明も把握することができる。また、液体噴射装置は、一つの装置によって実現されてもよいし、複数の装置の組合せからなるシステムによって実現されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】プリンターにおける制御上の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】印刷機構の主たる構成の一例を示す上面図である。
【図3】記録ヘッドや紫外線照射部等の位置関係の一例を簡易的に示す図である。
【図4】ノズル形成面に対し保護プレートを装着する様子の一例を示す図である。
【図5】本実施形態にかかる重ね印刷を示すフローチャートである。
【図6】角度調整処理を示すフローチャートである。
【図7】UI画面の一例を示す図である。
【図8】変形例にかかる、記録ヘッドや紫外線照射部等の位置関係を簡易的に示す図である。
【図9】記録媒体内の領域を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
1.液体噴射装置の概略構成
図1は、本実施形態にかかる液体噴射装置の一例に該当するインクジェット式プリンター(以下、プリンター)11における制御上の構成を概略的に示している。プリンター11は、プリンター11の各部を制御するCPU1と、例えばROMやRAMによって構成された内部メモリー2と、ボタンやタッチパネルにより構成された操作部3と、例えば液晶ディスプレーにより構成された表示部4と、印刷機構5と、パーソナルコンピューター(PC)やサーバーやデジタルスチルカメラやスキャナー等の外部機器と接続するためのインターフェイス(I/F)部6等を備えている。プリンター11の各構成要素は、バスを介して互いに接続されている。
【0017】
印刷機構5は、印刷対象の画像を表現した画像データに基づき印刷を行うための機構である。本実施形態の印刷機構5には、後述するように、液体(インク)を噴射するためのノズルを記録媒体に相対する面に形成する液体噴射ヘッド(記録ヘッド24)や、紫外線光源32を有する紫外線照射部31等が含まれる。紫外線照射部31は、UV硬化インクが着弾した記録媒体に紫外線を照射してUV硬化インクを硬化させるための手段である。I/F部6は、外部機器との間でデータやコマンドのやり取りを行うためのI/Fであり、プリンター11は、I/F部6を介して有線あるいは無線で接続した外部機器から画像データを入力することができる。
【0018】
内部メモリー2には、印刷機構5に対する駆動制御(例えば、画像データに基づく印刷)をCPU1に実行させるためのファームウェアFWや、表示部4を制御して表示部4に所定のメッセージやユーザーインターフェイス(UI)画面等を表示させるディスプレードライバーDD等が格納されている。プリンター11は、大判印刷に対応した業務用のプリンター、コンシューマー向けの家庭用プリンター、DPE向けの業務用印刷装置(いわゆるミニラボ機)等、どのようなタイプのプリンターであってもよい。また、プリンター11は、印刷機能以外にも、コピー機能やスキャン機能など多種の機能を備えたいわゆる複合機であってもよい。また、プリンター11は、データを記録したメディア(例えば、メモリーカード等)と所定の接続端子を介して接続し、当該メディアから取得した画像データに基づき画像を印刷する、いわゆるダイレクトプリントに対応したプリンターであってもよい。
【0019】
図2は、プリンター11における印刷機構5の主たる構成の一例を、プリンター11の上面から示している。プリンター11は、箱状をなす本体ケース12を備えるとともに、本体ケース12内には、プラテン13が主走査方向となる本体ケース12の長手方向に沿って配設されている。プラテン13は、記録媒体Pを支持する支持台であって、プラテン13上には、図示しない媒体送り機構により記録媒体Pが主走査方向と直交する副走査方向に給送される。記録媒体Pとしては、用紙、布、プラスチック、金属等、UV硬化インクが定着可能な素材であればあらゆる媒体が用いられる。本体ケース12内においてプラテン13の後部上方には、主走査方向に延びる棒状のガイド軸14が架設され、ガイド軸14にはキャリッジ15が主走査方向へ移動可能な状態で支持されている。また、本体ケース12内の後方側面においてガイド軸14の両端部と対応する位置には、駆動プーリ16及び従動プーリ17が回転自在に支持されている。駆動プーリ16にはキャリッジモーター18が連結されているとともに、対をなすプーリ16,17間には無端状のタイミングベルト19が掛装されている。そして、キャリッジ15の後端側はタイミングベルト19に接続されているので、キャリッジモーター18の駆動により、キャリッジ15はガイド軸14に沿って主走査方向に往復移動するようになっている。キャリッジ15を含む、記録ヘッド24を移動させるための機構は、本発明における液体噴射ヘッドと記録媒体との位置関係を変更可能な移動機構に該当する。
【0020】
本体ケース12内の一端側(図2では右端側)には箱形のカートリッジホルダー20が設けられている。カートリッジホルダー20には、液体としてのインクを収容したインクカートリッジ21が、インクの色毎に複数個(本実施形態においては4個)、着脱可能に装着されている。各インクカートリッジ21はカートリッジホルダー20に装着されることで、インク供給チューブ22の上流端に接続される。また、各インク供給チューブ22の下流端は、キャリッジ15上に搭載された記録ヘッド24に接続されている。記録ヘッド24の下面にて構成されるノズルプレートには、複数のノズルが形成されている。なお、本実施形態では、インクカートリッジ21には、UV硬化インクが収容されており、記録ヘッド24からもUV硬化インクが噴射されるものとする。以下では、単にインクと言った場合でも、特に断らない限りUV硬化インクを指す。
【0021】
カートリッジホルダー20とプラテン13との間、すなわち、記録媒体Pが至らない非印刷領域には、プリンター11の電源オフ時や記録ヘッド24をメンテナンスする場合にキャリッジ15の待機場所となるホームポジションHPが設けられている。また、キャリッジ15がホームポジションHPに配置されたときの下方となる位置には、記録ヘッド24のメンテナンスを行うためのメンテナンスユニット25が備えられている。メンテナンスユニット25はキャップ26及び吸引ポンプ27等を構成要素として備え、キャリッジ15がホームポジションHPに配置された場合には、キャップ26が記録ヘッド24に対してノズルを囲むように当接して、ノズルを保護する。また、キャップ26が記録ヘッド24に当接した状態で吸引ポンプ27を駆動することで、記録ヘッド24内にある増粘したインクや気泡などを排出させるクリーニングが行われる。
【0022】
ファームウェアFWに従った制御により、インクカートリッジ21に収容されたインクが記録ヘッド24側に供給され、副走査方向に記録媒体Pを所定距離搬送する搬送処理と、キャリッジ15とともに主走査方向に沿って移動する記録ヘッド24のノズルからインクを噴射する印刷処理とが交互に行なわれて、記録媒体Pに対する記録処理が実行される。その結果、画像データが表現する画像が記録媒体P上に再現される。
【0023】
図3は、記録ヘッド24や紫外線照射部31等の位置関係を、プリンター11の一側面側から簡易的に示している。図2では省略していたが、キャリッジ15には、紫外線照射部31も搭載されており、記録ヘッド24とともに主走査方向に沿って移動可能となっている。紫外線照射部31は、記録ヘッド24の、主走査方向における両端側に一つずつ設けられている。紫外線照射部31は、内部に紫外線光源32を備え、基本的には照射口33を下方向(プラテン13上の記録媒体Pに相対する方向)に向けている。紫外線光源32としては、紫外線を発する光源であればあらゆる手段を採用可能であるが、本実施形態ではLEDを採用する。
【0024】
ただし本実施形態では、図3において鎖線で例示するように、紫外線照射部31の記録媒体Pに対する角度(照射口33の記録媒体Pに対する角度)を、調整部34によって変更可能である。調整部34は、紫外線照射部31から照射される紫外線の記録媒体Pに対する照射角度を調整可能な機構である。図3では、便宜的に、照射口33を下方向に向けた状態の紫外線照射部31に「31a」の符号を付し、調整部34によって角度が変更された状態の紫外線照射部31に「31b」の符号を付している。調整部34は、記録ヘッド24の両端に在る紫外線照射部31について、「紫外線照射部31a」の角度(傾き0)を基準として、照射口33が記録ヘッド24から離れる側に角度を変更することができる。
【0025】
また、図3および図4に示すように、記録ヘッド24における、ノズル28が形成された面(ノズル形成面24a、つまりノズルプレートの下面)には、ノズル形成面24aを保護するための保護プレート(ノズル保護部)30が設けられる。保護プレート30は、ノズル形成面24aに対して着脱可能な部材であり、図4は、ノズル形成面24aに対して保護プレート30を装着する様子を例示している。ノズル形成面24aには、複数のノズル28が副走査方向に並んで形成されるノズル列29が、主走査方向に複数列並んで形成されている。一方、保護プレート30は、ノズル形成面24aにおける少なくともノズル28が形成された範囲を覆う面積を有し、かつ、紫外線を検出するためのセンサー35が搭載されている。図4内の拡大図に示すように、センサー35は、例えば、紫外線を検出可能なフォトダイオードである。
【0026】
保護プレート30内におけるセンサー35の配置態様は特に限られないが、一例として、保護プレート30をノズル形成面24aに装着したときにノズル列29に略一致する位置にセンサー35が配列するように、複数のセンサー35を配列させている。また、保護プレート30は、必ずしもノズル形成面24aに接触して配置される必要は無いが、少なくとも、記録媒体Pで反射した紫外線がノズル形成面24aに当らないように、ノズル形成面24aと記録媒体Pとの間の所定位置に配置される。
【0027】
2.重ね印刷
図5は、本実施形態においてプリンター11が実行する重ね印刷のフローチャートを示している。重ね印刷は、基本的には、ファームウェアFWに従ってCPU1が実行するプリンター11の各部に対する制御によって実現される。重ね印刷とは、インクを噴射することによる記録処理を記録媒体Pの同一面に対して複数回実行することにより、複数のインクの層が重なって形成される画像を記録媒体P上に再現する処理を意味する。CPU1は、操作部3等を介してユーザーから重ね印刷の指示を受け付けると、まず、インクが噴射される前の記録媒体Pの一面の状態に基づいて角度調整処理を実行し(ステップS100)、次に、一層目の画像を表現した画像データ(例えば、各画素についてインク種類毎のドットの記録/非記録を規定した画像データ)に基づいて当該一面に一層目の画像(下地画像)を記録する(ステップS200)。次に、一層目の画像が記録された記録媒体Pの当該一面の状態に基づいて角度調整処理を実行し(ステップS300)、二層目の画像を表現した画像データに基づいて当該一面に二層目の画像を記録(上塗り)する(ステップS400)。
【0028】
以降、ユーザーが指示した重ね印刷にかかる画像の最後のインクの層(最上層)の当該一面に対する記録を終えるまで、上記のように角度調整処理と記録処理とを繰り返す。なお、N(N=1以上の整数)層目の記録処理がなされた後の記録媒体Pを、次の角度調整処理の対象とするためにプリンター11における記録媒体Pの搬送開始位置にセットする処理は、CPU1による制御に基づいて機械的(自動的)に実行しても良いし、ユーザーが、プリンター11からの指示(表示部4に表示されたUI画面等による指示)に従って手作業により行なっても良い。また、N回目の角度調整処理のためにプリンター11にセットされていた記録媒体Pを、N回目の記録処理の対象とするためにプリンター11における搬送開始位置にセットする処理も、機械的(自動的)に実行しても良いし、ユーザーによる手作業により行なっても良い。
【0029】
図6は、図5に示した角度調整処理(ステップS100,S300等)の内容をフローチャートにより示している。角度調整処理とは、記録媒体Pの上記一面に対して紫外線照射部31に紫外線を照射させ、センサー35により検出される紫外線の強さに基づいてノズル保護プレート30が受ける紫外線の強さが所定値以下となるように調整部34により紫外線の照射角度を調整する処理である。
ステップS310では、保護プレート30を、記録ヘッド24のノズル形成面24aを覆う所定位置(例えば図3参照)にセットする。保護プレート30の当該位置へのセットは、CPU1による制御に基づいて機械的(自動的)に実行しても良いし、ユーザーが、プリンター11からの指示(表示部4に表示されたUI画面等による指示)に従って手作業により行なっても良い。
【0030】
ステップS320では、CPU1は、紫外線照射部31に対し、電源オン(紫外線光源32点灯)の指令を出力するとともに、キャリッジ15の往復移動および媒体送り機構による記録媒体Pの搬送を実行させ、かつ、保護プレート30に搭載されたセンサー35からの出力値を入力する。つまり、紫外線照射部31によって紫外線が照射された状態の記録媒体P上を、センサー35に走査させることにより、ノズル形成面24aが受けると想定される(実際には保護プレート30が受けている)紫外線の強さを検出する。ステップS320では、記録媒体Pの一面の全範囲をセンサー35に走査させてもよいし、処理時間の短縮化のために記録媒体Pの一部範囲をセンサー35に走査させてもよい。また、最初の角度調整処理(ステップS100)における、最初のステップS320の時点では、紫外線照射部31の角度は、照射口33を下方向に向けた、図3の符号「31a」の状態にある。
【0031】
ステップS330では、CPU1は、ステップS320における走査期間中に各センサー35から得られた出力値(例えば、フォトダイオードとしての各センサー35が受光した紫外線の強度に応じて夫々出力した電流値)を集計し、これら出力値についての一つの代表値(例えば平均値)を取得(算出)する。
ステップS340では、CPU11は、上記代表値と予め設定された所定のしきい値Thとを比較し、代表値がしきい値Th以下であるか否か判定する。しきい値Thは、例えば、ノズル形成面24aが受光したときにノズル28近傍にあるUV硬化インクを硬化させるには不十分とされる程度の紫外線の強度を示す値である。代表値がしきい値Th以下である場合(ステップS340において“Yes”)は角度調整処理を終え、代表値がしきい値Thを超える場合(ステップS340において“No”)はステップS350へ進む。
【0032】
ステップS350では、調整部34が、ステップS330で取得された値(上記代表値)に基づいて、紫外線照射部31aの角度を変更する。具体的には、まずステップS340で“No”と判定されると、ディスプレードライバーDDが、表示部4に、所定のUI画面4aを表示させる。
図7は、UI画面4aの一例を示している。UI画面4aには、例えば「ノズルプレートが受ける紫外線強度」等といった表記とともに、ステップS320でセンサー35により検出された紫外線の強度(上記代表値)が、判りやすく棒グラフ等で表示される。また、図7に示すように、当該棒グラフに対しては、上記しきい値Thのレベルを示す表示も付加されており、センサー35によってステップS320で得られた紫外線の強度と上記しきい値Thとの大小関係も、ユーザーが視覚的に容易に理解できるようになっている。
【0033】
さらに、UI画面4aでは、例えば「左右の照射機をそれぞれ外側へ○○度傾けた状態として下さい。」等といったメッセージが表示される。当該メッセージが指示する角度は、ステップS330で取得された値(上記代表値)に基づいてCPU1が算出した角度である。つまり、上記代表値のレベルに応じて、紫外線照射部31を傾けるべき角度というものが予め規定されており、CPU1は、かかる規定に基づいてそのとき要求すべき紫外線照射部31の角度をユーザーに対してUI画面4aを通して指示する。このようなUI画面4aを見たユーザーは、調整部34を介して、両側の紫外線照射部31の角度を、指示された角度に調整する。この場合、調整部34は、例えばユーザーが操作可能なダイヤルであり、ユーザーが当該ダイヤルを回すことで、当該ダイヤルと機械的に接続された両側の紫外線照射部31は、各々同じ角度分だけ、左右対称(ただし主走査方向を左右としたとき。)に変位する。
【0034】
あるいは、UI画面4aを見たユーザーは、操作部3を操作することにより、調整部34に対して紫外線照射部31の角度を指示してもよい。この場合、調整部34は、紫外線照射部31の角度を変位させるためのモーター等を含む機構部であり、ユーザーから操作部3を介して角度の指示を受けた調整部34は、指示された角度となるように、両側の紫外線照射部31の角度を変位させる。あるいは、ユーザーの操作を介するのではなく、CPU1が調整部34に対して紫外線照射部31の角度を指示し、調整部34が、指示された角度となるように両側の紫外線照射部31の角度を変位させるとしてもよい。
【0035】
この結果、両側の紫外線照射部31は各々、図3の符号「31a」の状態(傾き0)を基準として、照射口33が記録ヘッド24から離れる側に上記指定された角度分(例えば10度)、傾いた状態となる。このように、紫外線照射部31の照射口33の向きが記録ヘッド24から離れる側に傾くことで、照射口33から記録媒体Pに照射された紫外線が記録媒体P上で反射しても、その反射光が記録ヘッド24側へ散乱する量が減り、ノズル形成面24a(角度調整処理中においては保護プレート30)が受ける紫外線の強度も減る。このようなステップS350の後は、再びステップS320〜S340の処理を繰り返す。ステップS340で再び“No”と判定された場合は、紫外線照射部31の傾き量がまだ不足しているということであるから、さらにステップS350で紫外線照射部31の角度を変更(微調整)する。
【0036】
つまり、図6のフローチャートにより、そのときの記録媒体Pの面の状態(例えば、面における凹凸)に応じて、紫外線照射部31からの紫外線の照射角度が、ノズル形成面24aでUV硬化インクを硬化させないような角度に最適化される。このような記録媒体Pの面の状態(紫外線の反射特性や散乱の仕方)は、重ね印刷を構成する各層を記録する前と後で変るため、本実施形態では、各層を印刷する前に角度調整処理を行なうのである。後の記録処理(ステップS200,S400等)では、直近の角度調整処理によって最適化された照射角度にて、紫外線照射部31から紫外線が記録媒体Pに照射され、記録媒体P上のUV硬化インクを硬化させる。むろん記録処理においては、保護プレート30はノズル形成面24aを覆う位置から外される。このような本実施形態によれば、重ね印刷を行なう場合に、いずれの層を記録媒体Pに記録する際においても、記録媒体P上で反射した紫外線によってノズル28内外でUV硬化インクが硬化することを防止することができ、印刷品質向上や製品の長寿命化を図ることができる。
【0037】
なお、記録媒体Pに着弾したUV硬化インクを効率的に硬化させるという視点に立てば、紫外線の照射角度は記録媒体Pに対して垂直(図3の符号「31a」の状態(傾き0))であることが望ましい。また、紫外線照射部31が大きく傾いていると、紫外線照射部31を含むキャリッジ15が往復移動するために必要なスペースをプリンター11内で大きく確保する必要がある。従って、紫外線照射部31は、記録媒体Pでの反射光でノズル形成面24aにおいてUV硬化インクを硬化させないような角度であって、かつ、できるだけ傾きの少ない角度であることが望ましい。そこで、ステップS340では上述の判定の代わりに、「下限値≦上記代表値≦上限値」が成立するか否かの判定を行うとしてもよい。ここで言う「上限値」は上記しきい値Thを意味する。一方、「下限値」は、これより上記代表値が低いと上述したような記録媒体PにおけるUV硬化インクの硬化の効率悪化やキャリッジ15の移動スペース増大といった問題が起こるほど紫外線照射部31の傾きが大きい、ということを示すしきい値(第二のしきい値)である。このように、上記代表値が上限値と下限値との範囲に収まるように紫外線の照射角度を調整すれば、記録媒体Pに着弾したUV硬化インクは効率的に硬化させ、かつノズル形成面24aにおいてはUV硬化インクは硬化しない、という2つの効果を最良のバランスで両立させることができる。
【0038】
なお上記では、両側の紫外線照射部31の角度を左右対称で同じように調整するとしたが、各紫外線照射部31の角度を別々に調整してもよい。その場合、一回の角度調整処理(例えばステップS100)の中で、一方の紫外線照射部31のために図6のフローチャートを実行し、かつ、他方の紫外線照射部31のために図6のフローチャートを実行する。つまり、一方の紫外線照射部31の紫外線光源32だけ点灯させた場合のセンサー35による検出結果に基づいて当該一方の紫外線照射部31の角度を調整(最適化)し、同様に、他方の紫外線照射部31の紫外線光源32だけ点灯させた場合のセンサー35による検出結果に基づいて当該他方の紫外線照射部31の角度を調整(最適化)する。ただし、一方の紫外線照射部31、他方の紫外線照射部31各々の調整の際にステップS340の判定で用いるしきい値については、これまで説明したしきい値の半分の値を用いる等する。
【0039】
ここで、重ね印刷が行なわれる実際の状況においては、多数の記録媒体Pに対して同じ重ね印刷を行なう(多数刷りする)場合がある。その場合、基本的には、N層目の記録処理の前に一つの記録媒体Pを用いて角度調整処理を行い、調整された紫外線照射部31の角度を保持した状態で各記録媒体Pに対して当該N層目の記録処理を行ない、次に、N+1層目の記録処理の前に一つの記録媒体Pを用いて角度調整処理を行い、調整された紫外線照射部31の角度を保持した状態で各記録媒体Pに対して当該N+1層目の記録処理を行なう…、というサイクルを最上層の記録処理まで繰り返すことになる。しかしながら、ある層の画像を所定数(例えば100部)の記録媒体Pに記録する途中で(例えば50部まで印刷したところで)、記録媒体Pの種類がユーザーによって変更されたり、ノズル形成面24aとプラテン13との距離(プラテンギャップPG。図3参照。)が変更されたりすることがある。
【0040】
記録媒体Pの種類が変更されたり、プラテンギャップPGが変更されると、当然、記録媒体P上における紫外線の反射特性も変るため、それまでの角度調整処理の結果をそのまま維持して記録処理を継続することは適切とは言えない。そこで、CPU1は、記録処理(ステップS200等)において、複数の記録媒体Pを対象として一つの層の画像の記録を繰り返す中で、記録媒体Pの種類の変更あったことを検知した場合は、当該層の画像の記録を中断する。そして、変更後の種類の記録媒体Pを対象として、ステップS100の角度調整処理から処理を開始する。また、CPU1は、記録処理(ステップS200等)において、複数の記録媒体Pを対象として一つの層の画像の記録を繰り返す中で、プラテンギャップPGの変更あったことを検知した場合は、当該層の画像の記録を中断し、当該層の画像が未記録の記録媒体Pを対象として当該層の記録前に行なうべき角度調整処理から行なうようにする。
このような構成によれば、記録媒体Pの種類変更やプラテンギャップPGの変更といった、記録媒体PGにおける紫外線の反射特性に影響を与える変更があった場合にも、変更後の状態に合せて紫外線照射部31からの紫外線の照射角度を再び調整することができ、結果、ノズル28内外でUV硬化インクが硬化することを防止することができる。
【0041】
3.変形例
本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば以下に述べるような変形例も可能である。各実施形態や変形例を適宜組み合わせた内容も、本発明の開示範囲である。
【0042】
各角度調整処理(ステップS100等)それぞれにおける、最初のステップS320では、キャリッジ15を移動させながら記録媒体Pを紫外線照射部31で照射するのではなく、記録媒体P上の特定の位置でキャリッジ15を止めた状態で紫外線を当てるだけにしてもよい。つまり、図6のフローチャートにおける最初のステップS320〜S350では、記録媒体Pの一点(あるいは当該一点を含む局地的範囲)に紫外線を当てることで得られたセンサー35による検出結果に基づくしきい値判定を行い、紫外線照射部31による紫外線の照射角度をある程度定める。そして、2回目以降のステップS320において、キャリッジ15を移動させながら記録媒体P上を紫外線照射部31で照射し、上記しきい値判定を行い、角度の微調整を行なう。かかる構成とすれば、角度調整処理に要する時間を効果的に短縮することができる。
【0043】
図8は、記録ヘッド24や紫外線照射部31等の位置関係をプリンター11の一側面側から簡易的に示すものであり、図3とは異なる例を示している。図3においては、紫外線照射部31の記録媒体Pに対する角度を調整部34によって変更するとした。しかし、図8では、紫外線照射部31から照射される光を一定方向に通過させる光路制限部36を備え、紫外線照射部31に対する光路制限部36の角度を変更することにより、紫外線の記録媒体Pに対する照射角度を調整する構成とした。光路制限部36は、例えば、紫外線光源32から照射される光のうち光路制限部36に対して垂直に入射する光のみを一定方向に通過させるフィルター(偏光フィルター)である。調整部34は、紫外線照射部31に対する光路制限部36の角度を変更可能な機構であり、光路制限部36の角度を記録ヘッド24から離れる側に傾けることで、結果的に、光路制限部36を通過する紫外線の記録媒体Pに対する照射角度を変更する。つまり、ステップS350における照射角度変更は、紫外線照射部31自体を動かすのではなく、上記のような光路制限部36を動かすことにより実現してもよい。
【0044】
プリンター11は、キャリッジ15(記録ヘッド24)の往復移動の往路移動時および復路移動時のそれぞれで記録ヘッド24からインクを噴射するいわゆる双方向印刷を実行可能である。また、双方向印刷を実行しながら紫外線照射部31から紫外線を記録媒体Pに照射する場合、往路移動時と復路移動時とでは、記録媒体Pにおける紫外線の反射特性は同じではない。そこで、往路移動と復路移動それぞれに関して、紫外線の照射角度の調整を行うようにしてもよい。具体的には、一回の角度調整処理(例えばステップS100)の中で、往路方向のために図6のフローチャートを実行し、かつ、復路方向のために図6のフローチャートを実行する。往路方向のための図6のフローチャートにおいては、ステップS330では、記録ヘッド24の往路移動時にセンサー35から得られた出力値のみを集計して代表値を取得する。その結果、ステップS340で“Yes”の判定をした時点で、往路移動時において採用すべき紫外線照射部31の角度(或いは、光路制限部35。以下同様。)が特定されるため、CPU1は、当該特定した角度の情報を一旦、内部メモリー2に往路移動のための角度として保存する。同様に、復路方向のための図6のフローチャートにおいては、ステップS330では、記録ヘッド24の復路移動時にセンサー35から得られた出力値のみを集計して代表値を取得する。その結果、ステップS340で“Yes”の判定をした時点で、復路移動時において採用すべき紫外線照射部31の角度が特定されるため、CPU1は、当該特定した角度の情報を、内部メモリー2に復路移動のための角度として保存する。
【0045】
そして、角度調整処理後の記録処理(例えばステップS200)では、双方向印刷の往路移動時には、紫外線照射部31の角度を上記保存した往路移動のための角度とし、復路移動時には、紫外線照射部31の角度を上記保存した復路移動のための角度にして、記録ヘッド24からインクを記録媒体Pに対して噴射する。なお、往路と復路が切り替わる度にユーザーの操作で紫外線照射部31の角度を変更することは現実的ではないため、CPU1が調整部34の機構を制御することにより、往路時・復路時それぞれにおいて紫外線照射部31の角度が自動的に変更されるものとする。
【0046】
ここで、画像データに基づく印刷を行なう場合、記録媒体Pの全ての領域にインクが噴射されるとは限らず、インクが噴射される領域もあれば、噴射されない領域もある。従って、インクが噴射されない領域に対しては、記録処理中において紫外線照射部31から紫外線を照射させない(紫外線光源32の発光を禁止する)。また、その前の角度調整処理においては、インクが噴射されない(予定の)領域に照射した紫外線の反射をセンサー35で検出する必要性も低い。そこでCPU1は、角度調整処理(ステップS100等)の開始前に、次に記録する層の画像を表す画像データを解析することにより、記録媒体P上の領域のうち相対的に多くのインクが噴射される領域Aを特定する。相対的に多くのインクが噴射される領域Aを判断する基準は種々考えられるが、ここでは当該画像データが示すインクによる記録媒体Pの被覆率がある一定上となる領域を領域Aとする。図9では、記録媒体Pの領域のうち、上記のように特定された領域Aを例示している。
【0047】
そして、ステップS320では、上記特定された領域Aに限定して紫外線照射部31に紫外線を照射させ(記録媒体Pの領域A以外の領域上を紫外線照射部31が通過するときは紫外線光源32の発光を禁止して)、上記のようにセンサー35により検出される紫外線の強さに基づいて照射角度を調整する。かかる構成によれば、角度調整処理では、記録処理時に実際にインクが着弾する領域Aを対象として、紫外線を反射させてセンサー35で紫外線の強さを検出するため、上記照射角度を、実際の記録時に当該領域Aにインクを噴射して紫外線で硬化させたときにノズル開口28近傍でインクが硬化しないような角度に的確に調整することができる。
【0048】
なお、プリンター11は、記録ヘッド24を主走査方向に移動させながら記録を行なうシリアルプリンターである必要はなく、いわゆるラインヘッドを備えた機種であってもよい。ラインヘッドの場合、ラインヘッドの長手方向と直交する方向に記録媒体Pを送る媒体送り機構が、液体噴射ヘッドと記録媒体との位置関係を変更可能な移動機構に該当する。
【符号の説明】
【0049】
1…CPU、2…内部メモリー、3…操作部、4…表示部、4a…UI画面、5…印刷機構、11…プリンター、13…プラテン、15…キャリッジ、24…記録ヘッド、24a…ノズル形成面、28…ノズル開口、30…保護プレート、31,31a,31b…紫外線照射部、32…紫外線光源、33…照射口、34…調整部、35…センサー、36…光路制限部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射させるノズルが記録媒体に相対する面に複数形成され、紫外線により硬化する特定の液体を上記ノズルから噴射させる液体噴射ヘッドと、
液体噴射ヘッドと記録媒体との位置関係を変更可能な移動機構と、
紫外線光源を有し、当該特定の液体が着弾した記録媒体に紫外線を照射して液体を硬化させる紫外線照射部と、
上記ノズルが複数形成された面と上記記録媒体との間の所定位置に配置され、紫外線を検出するセンサーを有するノズル保護部と、
記録媒体に対し、上記紫外線照射部から照射される紫外線の照射角度を調整可能な調整部と、
を備えた液体噴射装置であって、
記録媒体の同一の面に対し、上記特定の液体を噴射することによる記録処理を複数回実行する場合に、各回の記録処理の開始前において、記録媒体の当該面に対して紫外線照射部に紫外線を照射させ、上記センサーにより検出される紫外線の強さに基づいて上記ノズル保護部が受ける紫外線の強さが所定値以下となるように上記調整部により上記照射角度を調整する角度調整処理を行なう、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
上記記録媒体の種類が変更された場合に、上記角度調整処理を行なうことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
上記ノズルが複数形成された面と記録媒体との距離が変更された場合に、上記角度調整処理を行なうことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
上記調整部は、記録媒体に対する紫外線照射部の角度を変更することにより上記照射角度を調整することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の液体噴射装置。
【請求項5】
上記調整部は、紫外線照射部から照射される光を一定方向に通過させる光路制限部を備え、紫外線照射部に対する光路制限部の角度を変更することにより、上記照射角度を調整することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の液体噴射装置。
【請求項6】
上記センサーにより検出される紫外線の強さ及び当該紫外線の強さに基づく上記照射角度の調整量を、所定の画面に表示させる表示部を備えることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の液体噴射装置。
【請求項7】
上記移動機構は、記録媒体に対して液体噴射ヘッドを一定方向に往復移動させることが可能であり、
上記角度調整処理では、液体噴射ヘッドの往路移動時に上記センサーにより検出される紫外線の強さに基づいて往路移動時における上記照射角度を決定し、かつ、液体噴射ヘッドの復路移動時に上記センサーにより検出される紫外線の強さに基づいて復路移動時における上記照射角度を決定し、
上記記録処理では、液体噴射ヘッドの往路移動時には上記決定された往路移動時における照射角度に調整し、液体噴射ヘッドの復路移動時には上記決定された復路移動時における照射角度に調整する、ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の液体噴射装置。
【請求項8】
印刷対象の画像を表現した画像データに基づいて、記録媒体において相対的に多くの上記特定の液体が噴射される領域を特定し、上記角度調整処理では、当該特定された領域に対して紫外線照射部に紫外線を照射させて上記センサーにより検出される紫外線の強さに基づいて、上記照射角度を調整することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−86339(P2013−86339A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228310(P2011−228310)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】