説明

液体噴霧装置

【課題】液体を微細化して空気と共に排出する液体噴霧装置において、微細化液体粒子の生成効率を高め、もってより多くの微細化液体粒子を対象空間に排出(噴霧)できるようにする。
【解決手段】液体噴霧装置22は、ハウジング21及びハウジング21内に配置されたノズルユニット22を有する。ハウジング21には、空気を導入する導入口211及び導入した空気を排出する排出口213が形成されている。ノズルユニット22は、液体供給管3を介して加圧供給された液体を噴出するノズルと、ノズル側の面の少なくとも一部が粗面として形成されて前記ノズルから噴出された液体が当該粗面に衝突する衝突体と、を含む。そして、前記ノズルから噴出され、前記衝突体に衝突することによって微細化されて前記液体の一部が、ハウジング21の導入口211から導入された空気と共に排出口213から排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を霧状にして散布(噴霧)する液体噴霧装置に関し、特に、供給された液体を微細化し、この微細化された液体(微細化液体粒子)を空気と共に対象空間に排出する液体噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を微細化して空気と共に排出する装置として、例えば特許文献1に記載の水煙発生装置がある。この水煙発生装置は、空気浄化システムに適用されており、空気を取り込んで当該空気に含まれる汚染物を除去し、汚染物が除去された新鮮な空気と共に微細化微粒子(水煙)を噴霧する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3144551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記水煙発生装置においては、ノズルから噴出させた水を球体に衝突させることによって微細化水粒子を生成している。
しかし、このような微細化水粒子の生成方法では、ノズルへの供給水量に対して、上記水煙として噴霧される微細化水粒子の量の割合が低く、微細化水粒子の生成効率などの面で課題が残っている。なお、このような課題は、上記水煙発生装置に限るものではなく、加湿装置等の液体を微細化して噴霧する装置(以下「液体噴霧装置」という)に共通するものであると言える。
また、最近では、単に液体を微細化して噴霧するだけではなく、噴霧される微細化液体粒子の状態(例えば、粒径分布や平均粒径)を、噴霧の対象空間等に応じて変化させたいという要求もある。
【0005】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであり、液体を微細化して空気と共に雰囲気中に排出する液体噴霧装置において、微細化液体粒子の生成効率を高め、もってより多くの微細化液体粒子を対象空間に排出(噴霧)することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面による液体噴霧装置は、空気を導入する導入口及び導入した空気を排出する排出口が形成されたハウジングと、前記ハウジング内に配置され、加圧供給された液体を噴出するノズルと、前記ハウジング内に配置されると共に前記ノズル側の面の少なくとも一部が粗面として形成され、当該粗面に前記ノズルから噴出された液体が衝突する衝突体と、を含み、前記衝突体に衝突することによって微細化された前記液体の一部が、前記導入口から導入された空気と共に前記排気口から排出される。
【発明の効果】
【0007】
上記液体噴霧装置によれば、衝突体のノズル側の面の少なくとも一部が意図的に粗面として形成され、この粗面にノズルから噴出された液体を衝突させることによって微細化液体粒子を生成するので、球体などの平滑な面に衝突させる場合に比べて、微細化液体粒子の生成効率が向上し、より多くの微細化液体粒子を噴霧することができる。
また、例えば衝突体の粗面の形状や粗さを適宜調整することによって、生成される微細化液体粒子の状態(粒径等)を変化させることができるので、前記排出口から排出される(すなわち、噴霧される)微細化液体粒子の状態を噴霧の目的や対象空間などに応じて変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】噴霧システムの全体構成を示す図である。
【図2】噴霧システムを構成する液体噴霧装置の概略構成を示す図である。
【図3】ノズルユニットの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態による液体噴霧装置を適用した噴霧システムの全体構成を示している。図1に示すように、この噴霧システム1は、供給された液体を噴霧する一つ又は複数(ここでは、三つ)の液体噴霧装置2と、液体供給管3を介して液体噴霧装置2に液体を加圧供給する液体供給装置4と、空気供給管5を介して液体噴霧装置2に空気を供給する送風装置6と、を備える。
【0010】
ここで、上記液体には、水はもちろん、除菌機能及び消臭機能の少なくとも一方を有する除菌消臭液等のいわゆる機能水も含まれる。上記液体が水である場合には、噴霧システム1は、例えば各液体噴霧装置2が設置された部屋を加湿したり、噴霧された水の蒸発潜熱を利用して冷却を行ったりすることができ、上記液体が除菌消臭液である場合には、噴霧システム1は、例えば各液体噴霧装置2が設置された部屋の除菌・消臭を行うことができる。
【0011】
各液体噴霧装置2は、例えば異なる部屋(室)に設置され、液体供給装置4によって加圧供給された液体を微細化し、この微細化された液体(微細化液体粒子)の一部を、送風装置6によって供給された空気と共に、各部屋の雰囲気中(すなわち、対象空間)に排出する。
【0012】
図2は、液体噴霧装置2の概略構成を示している。図2(A)は液体噴霧装置2の平面図であり、図2(B)は液体噴霧装置2の正面図であり、図2(C)は図2(B)のX−X断面図である。
図2に示すように、液体噴霧装置2は、ハウジング21と、このハウジング21内に配置された一つ又は複数(ここでは、六つ)のノズルユニット22と、を含む。液体噴霧装置2は、送風装置6によって供給された空気をハウジング21内に導入すると共にノズルユニット22によって微細化液体粒子を生成し、生成された微細化液体粒子の一部を上記導入された空気と共に排出する。
【0013】
ハウジング21の背面には、空気(外気)をハウジング21内の導入するための導入口211が各ノズルユニット22に対応して形成されている。ここでは、各ノズルユニット22に対して三つの導入口211が設けられている。各導入口211は、例えば導入口211と同様の開口部を有するスライド式のシャッタ部材212aによって、その有効開口面積が調整できるように構成されている。具体的には、本実施形態においては、ハウジング21の側方に設けられたスライド調整ボルト212bを操作することにより、シャッタ部材212aがハウジング21の左右方向にスライド移動して導入口211の有効開口面積が変更される。
【0014】
また、ハウジング21の背面外側には、送風装置6から延びる空気供給管5が接続される送風ダクト(給気ダクト)23が設けられている。これにより、送風装置6から送出された空気は、空気供給管5及び送風ダクト23を介して各導入口211からハウジング21内に導入される。ここで、スライド調整ボルト212bを操作し、シャッタ部材212aをスライド移動させて各導入口21の開口面積を変更することにより、ハウジング21内に導入される空気(外気)の流量が調整される。
【0015】
一方、ハウジング21の正面には、排出口213が形成されている。ここでは、ハウジング21の正面に一つの排出口213が形成されているが、各導入口211に対応させるように排出口を設けてもよい。そして、導入口211からハウジング21内に導入された空気(外気)は、この排出口213からハウジング21外へと排出される。
【0016】
また、ハウジング21内の各導入口211の下側には、バッフル板214が設けられている。このバッフル板214は、各導入口211の開口幅よりも幅広に形成されると共にハウジング21の背面側から前後方向のほぼ中央まで延びている。このバッフル板214は各導入口211から導入された空気(外気)が下方に向かうことを防止しており、これにより、各導入口211からハウジング21内に導入された空気は、バッフル板214の上方、すなわち、ハウジング21内の上部をほぼ水平方向に移動して排出口213から排出される。
【0017】
さらに、ハウジング21の底面は、左右方向のほぼ中央部が最も低くなるように傾斜して形成されており、この中央部(すなわち、ハウジング21の底面の最下部)には、ハウジング21内に貯留した液体を排出するための排液口(ドレイン口)215が設けられている。
【0018】
各ノズルユニット22は、対応するバッフル板214よりも下側に設置されており、液体供給装置4によって液体供給管3を介して加圧供給された液体を微細化して微細化液体粒子を生成する。液体供給管3は、ハウジング21の側面を貫通してハウジング21内の下部にのびており、このハウジング21内の液体供給管3に各ノズルユニット22が接続されている。
【0019】
図3は、ノズルユニット22の概略構成を示している。図3(A)はノズルユニット22の正面図であり、図3(B)はノズルユニット22の側面図である。
図3に示すように、ノズルユニット22は、継手24を介して液体供給管3に接続された接続管221と、この接続管221の先端に設けられて加圧供給された上記液体を噴出するノズル222と、ノズル222から噴出された液体が衝突する衝突体223と、を含む。
【0020】
ハウジング21内において、液体供給管3に接続された接続管221は、図示省略した支持部材によって支持されている。
ノズル222は、液体供給管3及び接続管221を介して加圧供給された上記液体を衝突体223に向かって噴出する。本実施形態において、ノズル222としていわゆる一流体ノズルを用いており、ノズル222は、加圧供給された上記液体を細い液体流としてほぼ水平方向に噴出する。
【0021】
衝突体223は、そのノズル222側の面の少なくとも一部が粗面223aとして形成されており、この粗面223aにノズル222から噴出された液体が衝突する。ノズル222から噴出された液体は、衝突体223の粗面223aに衝突することによって微細化され、これにより、微細化液体粒子が生成される。
【0022】
ここで、衝突体223の粗面223aは、粗面加工等によって意図的に凹凸を有するように形成されていればよく、規則的な粗面としてもよいし、不規則な粗面としてもよい。また、衝突体223が、支持体(衝突体本体)とこの支持体に取り付けられた粗面形成部材とによって構成されてもよい。一例をあげれば、上記粗面をやすり面に準じた形状とすることができる。
【0023】
なお、本実施形態においては、衝突体223(及びその粗面223a)がノズル222の噴孔の中心軸を挟んで上下方向(鉛直方向)に細長く延びるように形成されているが、これに限るものではない。衝突体223は、その粗面223aにノズル222から噴出された液体が衝突するように設けられていればよい。
また、発明者らの実験により、ノズル222から噴出された液体を平滑な面に衝突させる場合よりも凹凸を有する粗面に衝突させた場合の方がより多くの微細化液体粒子を生成できること、及び、上記粗面の形状や上記粗面の粗さ等が異なれば、衝突によって生成される微細化液体粒子の状態(平均粒径、粒径分布等)が異なること、が確認されている。
【0024】
衝突体223は、接続管221に取り付けられたホルダ224にねじ等によって着脱可能に固定されている。ホルダ224は、接続管221が挿入されて当該接続管221の軸方向にスライド移動可能な円筒部224aと、この円筒部224aの外周に固定された板金等からなるホルダ本体224bと、を有して構成されている。そして、ボルト225が締め付けられることによって、円筒部224aが接続管221の軸方向の所定位置に固定される。すなわち、ホルダ224及びそこに固定された衝突体223は、接続管221の軸方向に移動可能に構成されており、これにより、ノズル222と衝突体223との間の距離を適宜調整することが可能である。
【0025】
また、図に示されるように、本実施形態におけるホルダ本体224bは、衝突体223の上方を覆う天板部224cを有しており、これにより、衝突体223に衝突して微細化された液体が上方に飛び散ることが防止(抑制)されている。
【0026】
図1に戻って、液体供給装置4は、水又は機能水を選択的に液体噴霧装置2に供給するものであり、高圧ポンプ41と、水を蓄えた水タンク42と、機能水を蓄えた機能水タンク43を含む。
ここで、本実施形態においては、上記機能水として、次亜塩素酸ソーダ、水酸化カルシウム及び炭酸ソーダを含む水溶液からなる除菌消臭液を用いている。かかる除菌消臭液は、商品名「ピーズガード」として知られており、各種ウイルスや各種細菌に対する除菌効果を有すること、消臭機能を有すること、安全性の面でも問題がないこと、臭気及び金属腐食のおそれがほとんどないことが確認されている。
【0027】
高圧ポンプ41の吸込口は、吸込管44及び給水管45を介して水タンク42に接続されると共に、吸込管44及び機能水供給管46を介して機能水タンク43に接続されている。高圧ポンプ41の吐出口は、液体供給管3を介して各液体噴霧装置2(のノズルユニット22)に接続されている。高圧ポンプ41は、吸込んだ液体、すなわち、水又は機能水(除菌消臭液)を比較的高い圧力(例えば、6〜8MPa程度又はそれ以上の圧力)で吐出できるものであればよく、その構造等は特に制限されない。
【0028】
また、給水管45には、第1低圧ポンプ47a及び第1バルブ48aが設けられ、機能水供給管46には、第2低圧ポンプ47b及び第2バルブ48bが設けられている。そして、第1、第2低圧ポンプ47a,bの作動状態及び第1、第2バルブ48a,bの開閉状態が適宜調節されることにより、高圧ポンプ41には、水タンク42内の水又は機能水タンク43内の機能水(除菌消臭液)が選択的に供給される。
【0029】
送風装置6は、空気供給管5及び送風ダクト23を介して各液体噴霧装置2に空気を供給するものであり、空気を送出する送風機(図示省略)を含む。但し、このような構成の送風装置6に限るものではない。導入口211からハウジング21内に導入される空気を供給することができればよく、例えばハウジング21の各導入口211に送風ファンを取り付けてもよい。
【0030】
ここで、噴霧システム1の作用を説明する。
噴霧システム1が起動されると、液体供給装置4は、高圧ポンプ41によって水又は機能水(除菌消臭液)を圧送する。圧送された液体は、液体供給管3を介して各液体噴霧装置2の各ノズルユニット22に供給される。各ノズルユニット22においては、供給された液体がノズル222から噴出され、この噴出された液体は、衝突体223の粗面223aに衝突して微細化される(微細化液体粒子が生成される)。なお、上述したように、衝突体223が固定されたホルダ224(ホルダ本体224b)は、天板部224cを有しており、衝突体223に衝突して微細化された液体が、そのまま上方へと飛び散らないようになっている。
【0031】
一方、送風装置6によって送出された空気は、空気供給管5及び送風ダクト23を介して各液体噴霧装置2に供給され、ハウジング21に形成された各導入口211からハウジング21内に導入される。
【0032】
ノズルユニット22によって生成された微細化液体粒子のうち比較的粒径の大きなものは落下(下降)してハウジング21の底部に貯留するが、粒径の小さなものはハウジング21内を浮遊する。そして、ハウジング21内に浮遊している微細化液体粒子、さらに言えば、ホルダ224の上方に浮遊している微細化液体粒子は、各導入口211からハウジング21内に導入された空気(外気)が排出口212から排出される際に、当該空気と共に排出される。
【0033】
このとき、ハウジング21内に導入された空気(外気)に粉塵等の汚染物が含まれている場合には、ハウジング21内に浮遊している微細化液体粒子に汚染物が吸着し、この汚染物が吸着した微細化液体粒子は重くなって落下(下降)する。
この結果、液体噴霧装置2からは、汚染物を除去された新鮮な空気と共に、より微細な液体粒子、すなわち、人や物をほとんど濡らすことがなく、かつ、浮遊時間の長い微細な液体粒子が排出される。
【0034】
上記実施形態による噴霧システム1によれば、対象空間内に存在する人や物に対して悪影響を与えることなく、対象空間の全体がほぼ均一に加湿され、又は対象空間の全体にわたって除菌又は消臭が効果的に行われる。このため、加湿や除菌・消臭を必要とする様々な空間への適用が可能である。
ここで、液体供給装置4は、上記液体として、水と除菌消臭液とを選択的に供給することができるので、例えば、通常は対象空間の加湿を行いつつ、必要に応じて又は定期的に対象空間の除菌・消臭を行うことが可能となり非常に便宜である。
【0035】
また、上記噴霧システム1を構成する液体噴霧装置2のノズルユニット22は、ノズル221から噴出された液体を衝突体223の粗面に衝突させて微細化するので、例えば平滑な面に衝突させて微細化する場合に比べて、ハウジング21内に浮遊する微細化液体粒子がより多く生成される。これにより、対象空間に排出される微細化液体粒子の量(噴霧量)を増大できるので、対象空間の加湿や除菌・消臭を効率的に行える。
【0036】
また、液体噴霧装置2のハウジング21に形成された導入口211は、シャッタ部材22によって開口面積が調整可能に構成されているので、ハウジング22内に導入される空気(外気)の流量を調整して、対象空間又は噴霧の目的等に応じて排出口213から排出される微細化液体粒子の状態や量を調整できる。
【0037】
また、ノズルユニット22において、衝突体223は、ホルダ224に着脱可能に固定されており、例えば粗面の形状や粗面の粗さの異なる衝突体を用いる(交換する)ことによって、ノズルユニット22によって生成される微細化液体粒子、ひいてはハウジング21から排出される微細化液体粒子の状態を容易に変更することができる。
【0038】
さらに、衝突体223が固定されたホルダ224は、先端にノズル222が設けられた接続管221の軸方向に移動可能に構成されており、ノズル222と衝突体223との間の距離を変更することができる。これにより、例えば微細化液体粒子の生成をより効率的に行える状態への調整等を容易に行うことができる。
【0039】
特に、導入口211の開口面積、衝突体223の粗面の形状や粗面の粗さ、及びノズル222と衝突体223との間の距離を適宜組み合わせて調整することによって、対象空間や噴霧の目的等に応じた適切な噴霧を実現できる。
【0040】
ところで、上記実施形態において、液体供給装置4は、水又は機能水としての除菌消臭液を選択的に液体噴霧装置2に供給するようにしているが、水のみを液体噴霧装置2に供給するようにしたり、機能水(除菌消臭液)のみを液体噴霧装置2に供給するようにしたりするように構成してもよい。前者の場合、噴霧システム1は加湿システムとなり、後者の場合、噴霧システム1は除菌・消臭システムとなる。
【0041】
また、液体噴霧装置2のハウジング21内に設けられた複数のノズルユニット22のうちの一部のノズルユニットが、他のノズルユニットとは、粗面の形状又は粗面の粗さの異なる衝突体223を備えるようにしてもよい。このようにすると、例えばより広範囲の粒径の微細化液体微粒子を容易に対象空間に噴霧させることができる。
【0042】
さらに、送風装置6が、空気中に含まれた汚染物が除去された後の新鮮な空気を各液体噴霧装置2に供給するように構成してもよい。
例えば送風装置6の内部にノズルユニット22を設け、送風機によって送出された空気が、ノズルユニット22によって生成された微細化液体粒子(微細化水粒子)が浮遊している雰囲気中を通過した後に、空気供給管5を介して各液体噴霧装置2に供給されるように構成する。このようにすると、さらに新鮮な空気を対象空間に供給することができるので、噴霧システム1は、加湿機能及び/又は除菌消臭機能に加えて、空気清浄機能も有することになり、非常に便宜である。また、噴霧された微細化液体粒子(微細化水粒子)の蒸発潜熱によって液体噴霧装置2に供給する空気の冷却を行うことができ、例えば対象空間が冷蔵倉庫等である場合に好適である。
【0043】
また、上記実施形態においては、ホルダ本体224bが衝突体223の上方を覆う天板部224cを有しているが、このような天板部を有さないホルダ本体を用いてもよい。この場合、衝突体223に衝突して上方に飛び散った微細化液体粒子の一部もハウジング21の排出口213から排出されるため、比較的大きな粒径の微細化液体粒子が噴霧されることにはなるが、噴霧量を増大できるというメリットがある。
一方、ホルダ本体224bが天板部224cを有する場合には、上記飛び散った微細化液体粒子が排出されることを防止できると共に、浮遊している微細化液体粒子のうち天板部224cのない位置まで移動した微細化液体粒子だけが排出されることになる。このため、天板部224cの面積を大きくするほど、より具体的には、衝突体223(の粗面223a)を真上を中心としたより広い範囲を天板部224cが覆うようにするほど、より小さな粒径の微細化液体粒子を噴霧できる(但し、噴霧量は少なくなる)。
【0044】
要するに、ホルダ本体224bに天板部224cを設けるか否かや、設ける場合にどの程度の大きさの天板部224cとするか等は、対象空間や噴霧の目的、あるいは衝突体223(粗面223aの形状や粗さ)等に応じて適宜設定すればよい。もちろん、ホルダ本体224bに対して天板部224cを着脱可能に構成するなどして、衝突体223の上方を覆う面積を適宜調整できるようにしてもよい。
なお、本実施形態においては、ボルト225を緩めることによってホルダ224(及びそこに固定された衝突体223)を接続管221から取り外すことができるので、噴霧システム1の設置後においても、ホルダ224(例えば、適切な大きさの天板部224cを有するホルダ)や衝突体223の交換を容易に行うことができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態及びその変形例等について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて更なる変形や変更が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0046】
1…噴霧システム、2…液体噴霧装置、3…液体供給管、4…液体供給装置、5…空気供給管、6…送風装置、21…ハウジング、22…ノズルユニット、211…導入口、212…シャッタ部材、213…排出口、214…バッフル板、221…接続管、222…ノズル、223…衝突体、223a…粗面、224…ホルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を導入する導入口及び導入した空気を排出する排出口が形成されたハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、加圧供給された液体を噴出するノズルと、
前記ハウジング内に配置されると共に前記ノズル側の面の少なくとも一部が粗面として形成され、当該粗面に前記ノズルから噴出された液体が衝突する衝突体と、
を含み、
前記衝突体に衝突することによって微細化された前記液体の一部が、前記導入口から導入された空気と共に前記排出口から排出される、液体噴霧装置。
【請求項2】
前記ノズルと前記衝突体との間の距離が変更可能に構成されている、請求項1に記載の液体噴霧装置。
【請求項3】
前記衝突体は、前記ハウジングに対して着脱可能に設けられており、
前記粗面の形状又は粗さの異なる衝突体を用いることによって、前記排出口から排出される前記液体の状態を可変とする、請求項1又は2に記載の液体噴霧装置。
【請求項4】
前記導入口は、その有効開口面積が調整可能に構成されている、請求項1〜3のいずれか一つに記載の液体噴霧装置。
【請求項5】
前記ハウジング内に、複数のノズル及び複数の衝突体が設けられている、請求項1〜4のいずれか一つに記載の液体噴霧装置。
【請求項6】
前記複数の衝突体は、前記粗面の形状又は粗さが互いに異なる衝突体を含む、請求項5に記載の液体噴霧装置。
【請求項7】
前記導入口から導入される空気は、送風機によって送り出されたものである、請求項1〜6のいずれか一つに記載の液体噴霧装置。
【請求項8】
液体を加圧して前記ノズルに供給する液体供給部を含み、
前記液体供給部は、水又は除菌・消臭機能を有する除菌消臭液を前記液体として選択的に前記ノズルに供給可能に構成されている、請求項1〜7のいずれか一つに記載の液体噴霧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−34949(P2013−34949A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173612(P2011−173612)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(511058903)株式会社ピーズガード (1)
【Fターム(参考)】