説明

液体容器

【課題】胴部材の前面に着脱可能な化粧部材を有し、デザイン性が良いうえに、好みに応じて意匠の変更が可能であるような電気ポットの提供。
【解決手段】胴部材12の前面に化粧部材13が着脱可能に取り付けられた液体容器11であって、上記化粧部材13を取り付ける前面部12aが、胴部材12の前面側に、胴部材12の内部の少なくとも一部を隠蔽するように形成されるとともに、上記化粧部材13には、当該液体容器の下端面に当接する下端面部13cが形成された液体容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば電気ポットや保温ポットなどのような液体容器に関し、より詳しくは、外観美麗であるとともに、必要に応じて意匠の変更ができるような液体容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ポットは、卓上等の目立つ場所に置いて使用されるため、そのデザインが重要視されており、その欲求を満たすべく様々に工夫が施されている。デザイン性を高めたポットとしては、下記特許文献1、2に開示されているように、胴部材の前面に化粧パネル又はマスク部材が取り付けられたものがある。
【0003】
特許文献1のポットにおける化粧パネルは、ポットの外周を形作る胴部材よりも薄く形成された略方形をなす平板状で、胴部材の前面に設けられた凹みに嵌め込まれて胴部材の前面と密着一体化するように取り付けられる。化粧パネルを別途に取り付ける構造であるので、デザインの自由度が高いという利点を有する。
【0004】
特許文献2のポットでは、従前であれば胴部材の上に設けられる肩部材に対してノーズ部が形成されていたところを、胴部材にノーズ部を設け、胴部材の前面に取り付けられるマスク部材の上端に、前方に湾曲する湾曲部分を形成して、この湾曲部分が上記ノーズ部の下側部分を形成するようにしている。これによって、斬新なデザインを得るというものである。
【0005】
上記マスク部材の取り付けは、マスク部材を胴部材の前面に重ねた後、公報の図3に明示されている如く、マスク部材の下端を底蓋によって押さえ込んで行う。
【0006】
これらのいずれのポットにおいても、化粧パネルやマスク部材の存在によってデザイン性を高めることができるものの、化粧パネルやマスク部材は、デザイン性のために胴部材から取り外すことが予定されたものではない。
【0007】
また、特許文献1の化粧パネルも特許文献2のマスク部材も、基本的には胴部材の前面を被覆するためのもので、その形状は、おおまかに言えば縦方向にのびる平板状である。そして、その下端縁が胴部材の表面に露出している。換言すれば、胴部材との境目が存在し、この境目にはたとえ小さくとも隙間や段差がある。
【0008】
そもそも化粧パネルやマスク部材を取り付ける部位は、液のはね等で汚れやすいところである。にもかかわらず、このような部位に隙間や段差があれば汚れは内部に入り込み、落ちなくなってしまう。
【0009】
また、特許文献2のポットのように、マスク部材の取り付けに際してマスク部材の下端を別体の底蓋で押さえ込むようにする場合にはまだよいが、特許文献1のように胴部材の前面に形成された凹みに嵌めて密着一体化させる場合には、化粧パネルと胴部材との境目が明確にあらわれ、デザインによっては外観が損なわれる場合がある。また、いくら密着一体化させるといっても、境目は化粧パネルの全周に存在するので、化粧パネルの寸法精度が悪い場合などに不測のはずれや損傷などの原因になることも考えられる。
【0010】
一方、清掃を容易にするために、胴部材の前面側を開放し、この開放部分に別体の前面パネルを着脱可能に取り付けるものがある(下記特許文献3参照)。
【0011】
この前面パネルは、縦に長い平板状で、その下端に、胴部材の下端と同様に、内側に向けて水平に突出する板状部分が形成されたものである。つまり、板状部分は、胴部材の下端を形成するもので、組み立てに際しては、胴部材に対する組み付け後、上記特許文献2の場合と同様に、底蓋を取り付けて完成される。
【0012】
このようなポットでは、胴部材との境目が、主に左右両側だけにあらわれるので、外観が損なわれてしまうことが少ない利点を有するものの、前面パネルの着脱に際して底蓋の着脱が必要であるので、作業性がよくないという難点がある。
【0013】
また、胴部材の前面は開放されており、前面パネルを外した時にタンクをはじめ全てのものが露出することになるので、一般家庭で前面パネルの着脱を行うのは実際上むつかしい。
【0014】
【特許文献1】特開2004−357777号公報
【特許文献2】特開2005−342021号公報
【特許文献3】特開2001445789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そこでこの発明は、デザイン性が良いうえに、意匠の変更が可能であるような液体容器の提供を主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そのための手段は、胴部材の前面に化粧部材が着脱可能に取り付けられた液体容器であって、上記化粧部材を取り付ける前面部が、胴部材の前面側に、胴部材の内部の少なくとも一部を隠蔽するように形成されるとともに、上記化粧部材には、当該液体容器の下端面に当接する下端面部が形成された液体容器である。
【0017】
この構成によれば、化粧部材は胴部材の前面部に対して前方からあるいは下方から、重ねるようにして取り付けられる。そして取り付けると、化粧部材の下端面部が胴部材や底部材の下端面に当接する。
【0018】
下端面部が液体容器の下端面に当接する構造であるので、胴部材との間にできる境目を少なくすることができて、デザイン性を損なわないで済むうえに、たとえ汚れが付着しても落としやすい、換言すれば汚れのこびりつきを抑制できる形態にすることが可能である。しかも、化粧部材は着脱可能であるので、必要に応じて取り外すことで、きれいにすることが可能であるとともに、意匠の異なる化粧部材に取り替えることで液体容器の意匠を自由に変更することができる。また、化粧部材単独で着脱する構造にすることができるため、着脱の作業性は良好である。
【0019】
別の手段は、胴部材の前面に化粧部材が着脱可能に取り付けられた液体容器であって、上記化粧部材を取り付ける前面部が、胴部材の前面側に、胴部材の内部の少なくとも一部を隠蔽するように形成されるとともに、上記化粧部材には、胴部材の前面部を上下方向にスライドするスライド面と、当該液体容器の下端面に当接する下端面部が形成された液体容器である。
【0020】
この構成によれば、化粧部材は胴部材の前面部に対して上下方向にスライドさせて重ねるように取り付けられる。取り付けると、化粧部材の下端面部が胴部材や底部材の下端面に当接する。
【0021】
この場合も、下端面部が液体容器の下端面に当接する構造であるので、胴部材との間にできる境目を少なくすることができて、デザイン性を損なわないで済むうえに、たとえ汚れが付着しても落としやすい形態にすることができる。しかも、化粧部材は着脱可能であるので、必要に応じて取り外すことで、きれいにすることが可能であるとともに、意匠の異なる化粧部材に取り替えることで液体容器の意匠を自由に変更することができる。また、化粧部材がスライド面を有するので、着脱に際しての作業が簡単であるとともに、化粧部材単独で着脱する構造にすることができるため、着脱の作業性は良好である。
【0022】
なお、上記スライド面とその対向面との間には、相互に係合して化粧部材の分離を阻止する係止爪と、該係止爪が係止する係止溝が形成されるとよい。
【0023】
係止爪と係止溝との係止で、化粧部材が胴部材から分離することが阻止されるので、ビス止めのみで着脱可能にする場合に比して、外観を害することをなくし、着脱作業を簡単にすることができる。
【0024】
ここで、上記液体容器は、上記胴部材の前面部に取り付けられた化粧部材と交換可能な交換用の化粧部材を備えるものであるとよい。
【0025】
交換用の化粧部材は、化粧部材が毀損された時の代替用として、また洗浄時の洗い換え用として、さらには液体容器の意匠を変更する模様替え(着せ替え)用として使用される。
【0026】
別の手段は、胴部材の前面に化粧部材が着脱可能に取り付けられた液体容器であって、上記化粧部材を取り付ける前面部が、胴部材の前面側に、胴部材の内部の少なくとも一部を隠蔽するように形成されるとともに、取り付けられた化粧部材と交換可能な交換用の化粧部材を備える液体容器である。
【0027】
この構成によれば、交換用の化粧部材を有するので、取り付けてある化粧部材が汚れたときや違う意匠の液体容器にしたいときに、化粧部材を交換することができる。
【0028】
別の手段は、液体容器における胴部材の内部の少なくとも一部を隠蔽すべく胴部材の前面側に形成された前面部に対して取り付けられる化粧部材であって、上下方向にのびる面を形成する板状部と、該板状部の下端に形成されて上記液体容器の下端面に当接する下端面部とを有し、上記前面部に対して着脱可能に取り付けられる化粧部材である。
【0029】
この構成によれば、液体容器における胴部材の前面部に対して取り付けたときに、化粧部材の下端面部が胴部材や底部材の下端面に当接する。すなわち、胴部材との間にできる境目を少なくすることができて、デザイン性を損なわないで済むうえに、たとえ汚れが付着しても落としやすい形態にすることができる。しかも、化粧部材は着脱可能であるので、必要に応じて取り外すことで、きれいにすることが可能であるとともに、液体容器に対しては、異なる意匠の化粧部材の取り付けで意匠を自由に変更することに資する。
【発明の効果】
【0030】
以上のように、この発明によれば、デザイン性がよく外観美麗で、必要に応じて意匠の変更ができる液体容器を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、液体容器の一例としての電気ポット11を示す斜視図である。この図に示すように、電気ポット11は、その胴部12の前面に幅方向全体にわたる大きさの化粧部材13が取り付けられており、この化粧部材13は着脱可能であり、図2に示したごとく必要に応じて交換することができる。
【0032】
また、化粧部材13を着脱可能にする部分である胴部材12の前面部12aは、図3に示したように、水位管14とその近傍の必要な部材を除く部分を隠蔽するように形成されている。
【0033】
なお、図示したように、電気ポット11の胴部分は、前面側が平面で形成され、背面側が円弧状に湾曲する湾曲面で形成された形態をなす。
【0034】
具体的に説明すると、電気ポット11は、図4、図5にも示したように、胴部材12と、該胴部材12の上に取り付けられる肩部材15と、上記化粧部材13とを有し、各部材とその付属部材は次のように構成されている。
【0035】
上記胴部材12は、上面の全体と底面の中央が開放された略筒状に形成され、その内部には、液体を貯留する内容器21が、湯沸しや温度制御等のための必要機器、液体吐出のためのポンプ22などとともに収納され、底面の中央は、図示しない底部材で閉塞される。図中22aは、上記ポンプ22の吐出管である。
【0036】
胴部材12の前面部12aは、上述のように水位管14の背面側を隠蔽するとともに、化粧部材13を取り付けるために、左右両側に形成された嵌合スライド部23と、これらの間に形成されて前面が平らな形状をなす突出段部24とを有する。そして、突出段部24の左右方向の一側部には、断面略半円弧状をなす溝状の凹部24aが形成されている。この凹部24aの存在により水位管14が胴部材12の突出段部24の前面から後退した位置に収まる。このため、電気ポット11の外観に影響を与えずに所望の意匠感を得ることができるのである。
【0037】
この凹部24aの下側部分であって上記ポンプ22の吐出管22aに対応する部位には、ポンプ22の吐出管22aと水位管14とを連通させるL字状をなす接続パイプ41の存在を許容する下側開口部24bが形成される。
【0038】
一方、凹部24aの上側部分には、水位管14の上端に取り付けられる弁ユニット42の存在を許容する上側開口部24cが形成される。この上側開口部24cは、幅方向の中間部から左右両側にかけて形成されており、上記下側開口部24aに比して幅広である。図中42aは、電気ポット11から液体を吐出する吐出口を示す。
【0039】
なお、上記ポンプ22の吐出管22aと接続パイプ41、接続パイプ41と水位管14、水位管14と弁ユニット42は相互に着脱可能である。
【0040】
上記肩部材15は、その前側部分を除く部分が、胴部材12の側面と背面の上端部に取り付けられるべく平面視略半円形状に形成され、前方には、湾曲して吐出するノーズ部15aを有している。このノーズ部15aは、下面側が開放された状態であり、肩部材15を胴部材12に組み付けたあとで、上記弁ユニット42を取り付けできるように構成される。
【0041】
ノーズ部15aには、上記弁ユニット42を操作する操作機器(図示せず)が備えられるとともに、その上面には操作パネル51が設けられる。
【0042】
また、ノーズ部15aよりも後方側には、胴部材12内に収容した内容器21を開閉する蓋部材52が枢着されている。
肩部材15にはまた、ハンドル53も取り付けられている。
【0043】
上記化粧部材13は、上記ノーズ部15aの開口された下面と、胴部材12の
前面部12aと、その下端を覆う形状に形成されている。つまり、前面の平面部13aと、その左右両側に位置して胴部材12の側面に露出する側面部13bと、下端の下端面部13cと、上端のノーズ下面部13dとを有する。
【0044】
平面部13aは、水位管14を透視する覗き窓31を有する。そして、この平面部13aの内側面が突出段部24の表面を上下方向にスライドするスライド面13eである。スライド面13eは、側面部13bの内側面にも形成される。このスライド面13eは、上記嵌合スライド部23を上下方向にスライドする。上記下端面部13cは、胴部材12の下端面に当接するものであり、上記平面部13aから段差なく滑らかに連設されている。ノーズ下面部13dは、弁ユニット42の吐出口42aを露出する吐出用開口部32を有している。
【0045】
また、化粧部材1と3の厚さは、胴部材12の厚さや強度と同一または同等で、それ自体で充分な剛性を有するものである。材料としては合成樹脂や金属など適宜のものが使用できるが、たとえばABS樹脂などが好ましく用いられる。そして、化粧部材13の表面には、メッキ、塗装、プリント、成形など適宜手段によってデザインが施される。
【0046】
なお、上記覗き窓31や上記胴部材12の凹部24a近傍、水位管14には、水位を見やすくするために、必要に応じて目盛り等の表示がなされる。
【0047】
化粧部材13と胴部材12との着脱構造について次に説明すると、着脱構造は、化粧部材13における上記側面部13bの近傍と下端面部13cとに設けられる。着脱はスライドによる嵌合とねじ止めにより行われるものである。
【0048】
すなわち、化粧部材13の平面部13aと側面部13bとの間の部分であって、胴部材12の嵌合スライド部23に対応する位置の内側面には、背面側、つまり胴部材12側に突出する係止爪35が形成される。係止爪35は、その先端が左右方向の内側に向けて突出する逆L字形をなす。つまり、化粧部材13の内面からのびる軸部35aの先端に、左右方向の一方側に突出する爪部35bを有する。このような係止爪35が左右に3個ずつ、合計6個形成される。
【0049】
これに対して、胴部材12の嵌合スライド部23には、上記各係止爪35を係止する係止穴部25を有する。係止穴部25は、係止爪35の侵入を許容する幅広部25aと、該幅広部25aの上側に連設された幅狭部25bとからなる。幅狭部25bは、係止爪35の軸部35aに対応する側に形成される。
【0050】
また、化粧部材13の下端面部13cの適宜位置には、ビス61を挿入するための貫通孔37が形成され、これに対応する突出段部24の位置にはビス61を螺合するねじ孔27が形成されている。上記貫通穴37とねじ孔27は、ビス61を取り付けたときにビス61の頭部が突出しないように形成される(図6参照)。
【0051】
なお、化粧部材13の外周、つまり上端、左右両端および下端と、胴部材12や肩部材15におけるそれらに対向する部分とが接合する接合面部11aが面一になるように、各部材は形成されている。
【0052】
また、化粧部材13は、電気ポット11に対して取り付けられるものはもちろんのこと、電気ポット11に付属されたり、単独で譲渡されたりして、複数備えられる。好ましくは、図2に示したように意匠の異なるものが複数備えられるとよい。
【0053】
このように構成された電気ポット11では、次のように使用され、次のような効果をもたらす。
【0054】
化粧部材13の取り付けに際しては、まず化粧部材13を胴部材12の前面部12aに重ね合わせる。すなわち、化粧部材13の係止爪35が胴部材12の係止穴部25の幅広部25aに入る位置にあわせてから係止爪35を係止穴部25に挿入する。つぎに、化粧部材13を上方にスライドさせ、化粧部材13のノーズ下面部13dを肩部材15のノーズ部15aの下端に嵌めるとともに、化粧部材13の下端面部13cを胴部材12の下端に嵌める。すとる、係止爪35と係止穴部25が相互に係止して抜け止めされた状態で一体化される。この後、ビス61を用いて化粧部材13と胴部材12との結合を行えば、上記の一体化状態を保持できる。
【0055】
このように化粧部材13は、胴部材12に対して単独で固定できる。しかも、その固定は、スライドと、係止爪35及び係止穴部25と、1本のビス61で行うものであるので、取り付け作業が簡単である。
【0056】
化粧部材13を分離する場合は、上記の各作業を逆の手順で行えばよく、分離作業も簡単である。
【0057】
また、化粧部材13の大きさは、電気ポット11の前面の幅方向全体にわたる大きさであるとともに、その両側部分で固定を行う構造であるので、強固な取り付け状態を得ることができる。
【0058】
さらに、上記化粧部材13の大きさと形状により、胴部材12の前面は化粧部材13のみで覆われた構造となるので、化粧部材13と胴部材12の境目は、胴部材12の前面のうち吐出口42aより下の位置にはあらわれない。つまり、はねなどにより汚れが付着しやすい部分には、隙間や段差である境目を有しない。このため、たとえ汚れが付着してもそれが隙間等の内側に入り込むことはなく、落としやすく、汚れのこびりつきを抑制できる状態となる。
【0059】
また、電気ポット11の前面部12aとその近傍は上述のような構成を有するので、その製造においては、組み立て作業が容易である。
【0060】
すなわち、組み立てに際しては、まず、胴部材12に対して内容器21などの必要部材を収納するとともに、肩部材15の取り付けまで行う(図4、図5参照)。続いて、接続パイプ41を用いて水位管14の下端をポンプ22に連結するとともに、水位管14の上端に弁ユニット42を取り付けて、弁ユニット42を肩部材15のノーズ部15aに収納する(図3参照)。そして最後に、化粧部材13を上述のような手順で取り付ければよい(図1、図2参照)。
【0061】
すると、内容器21と水位管14との間、すなわち水位管14の背面側には胴部材12の前面部12aにおける凹部24aとその近傍が位置して、内容器21を隠蔽する。また、胴部材12の前面部12aと水位管14は、化粧部材13によって被覆され、隠蔽された状態になる。このとき、水位管14は化粧部材13の覗き窓31から透視できるが、水位管14の背景には、胴部材12の前面部12aしか見えず、外観を良好に維持できるとともに、水位を見やすい状態にすることもできる。
【0062】
また、胴部材12と化粧部材13との接合面部11aは面一であって、接合面部11aに引っ掛かりができて損傷の原因にならないばかりでなく、外観上も化粧部材13と胴部材12の一体性が高く、良好なデザインを得られる。
【0063】
上述のように、内容器21と胴部材12、胴部材12と肩部材15という、比較的大きな部材を先に組み付けてから、水位管14を取り付けて、最後に化粧部材13を取り付ければよい。従来であれば、内容器に水位管を取り付けてから胴部材に取り付けて行われていたので、取り付けに際して、水位管や水位管の背面側に取り付けたカバーなどに注意を払いながら組み立てる必要があった。しかし、カバーが不要であり、水位管14は後で取り付けるので、作業性が良好である。
【0064】
しかも、化粧部材13を外せば水位管14が露出するとともに、水位管14や接続パイプ41等は取り外し可能であるので、各部材を必要に応じて充分に洗浄することができる。このため、珈琲や茶による汚れを落とし、また衛生状態を保つようにすることができる。
【0065】
また、化粧部材13は着脱可能であるので、必要に応じて取り外すことで、きれいに洗浄することが可能である。
【0066】
そのうえ、胴部材12とは別に化粧部材13を有しているので、様々なデザインの化粧部材13、ひいては様々なデザインの電気ポット11が得られる。しかも、簡単な作業で着脱可能であるので、複数の化粧部材13を用意しておき、胴部材12に取り付ける化粧部材13を、季節や雰囲気、好み等に応じて適宜取り替えれば、電気ポット11を楽しく使用することができる。つまり、別個に用意された化粧部材13は、化粧部材13が毀損された時の代替用として、また洗浄時の洗い換え用として、さらには電気ポット11の意匠を変更する模様替え(着せ替え)用として使用される。
【0067】
また、化粧部材13を外した時、胴部材12の前面部12aによってその内側が隠蔽されており、上述のように着脱作業が簡単であるので、一般家庭においても容易に化粧部材13の着脱や交換ができる。
【0068】
この発明の構成と、上記一形態の構成との対応において、
この発明の液体容器は、上記一形態の電気ポット11に対応し、
以下同様に、
係止溝は、係止穴部25に対応するも、
この発明は、上記の構成のみに限定されるものではなく、その他の様々な形態を採用することができる。
【0069】
たとえば、上述の例では液体容器として電動式の電気ポットを示したが、エアーの電気ポットであるもよく、また、保温ポットであるも、下部注出型のものなどその他の液体容器であるもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】電気ポットの斜視図。
【図2】電気ポットの構造を説明する斜視図。
【図3】化粧部材を取り外した状態の電気ポットの斜視図。
【図4】水位管組み付け前の電気ポットの斜視図。
【図5】電気ポットの胴部材と化粧部材の要部を示す正面図。
【図6】化粧部材の下端部を示す断面図。
【符号の説明】
【0071】
11…電気ポット
12…胴部材
12a…前面部
13…化粧部材
13c…下端面部
13e…スライド面
25…係止穴部
35…係止爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部材の前面に化粧部材が着脱可能に取り付けられた液体容器であって、
上記化粧部材を取り付ける前面部が、胴部材の前面側に、胴部材の内部の少なくとも一部を隠蔽するように形成されるとともに、
上記化粧部材には、当該液体容器の下端面に当接する下端面部が形成された
液体容器。
【請求項2】
胴部材の前面に化粧部材が着脱可能に取り付けられた液体容器であって、
上記化粧部材を取り付ける前面部が、胴部材の前面側に、胴部材の内部の少なくとも一部を隠蔽するように形成されるとともに、
上記化粧部材には、胴部材の前面部を上下方向にスライドするスライド面と、当該液体容器の下端面に当接する下端面部が形成された
液体容器。
【請求項3】
前記スライド面とその対向面との間には、相互に係合して化粧部材の分離を阻止する係止爪と、該係止爪が係止する係止溝が形成された
請求項2に記載の液体容器。
【請求項4】
前記胴部材の前面部に取り付けられた化粧部材と交換可能な交換用の化粧部材を備える
請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項5】
胴部材の前面に化粧部材が着脱可能に取り付けられた液体容器であって、
上記化粧部材を取り付ける前面部が、胴部材の前面側に、胴部材の内部の少なくとも一部を隠蔽するように形成されるとともに、
取り付けられた化粧部材と交換可能な交換用の化粧部材を備える
液体容器。
【請求項6】
液体容器における胴部材の内部の少なくとも一部を隠蔽すべく胴部材の前面側に形成された前面部に対して取り付けられる化粧部材であって、
上下方向にのびる面を形成する板状部と、該板状部の下端に形成されて上記液体容器の下端面に当接する下端面部とを有し、上記前面部に対して着脱可能に取り付けられる
化粧部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−215903(P2007−215903A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−42092(P2006−42092)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(000112233)ピーコック魔法瓶工業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】