説明

液体拡散器具の作動を制御するシステム及び方法

本発明は、密閉空間における空気を処理するために拡散器具の作動を制御する方法及びシステムである。この器具は、流体の拡散手段への流速及びその拡散手段の周期的な作動を定義する制御計画に基づいて作動するように制御されることが可能である。制御計画は、その器具によって処理される空間の異なる体積に関連することができる。抗疲労計画は、流速又は器具の周期的な作動の変化を提供することができる。制御開始計画は、その器具が制御計画の1つに基づいて作動するように制御される前に、その空間の処理を開始するように使用されることが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に液体拡散器具の作動を制御するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の香り及び液体拡散器具において、同装置の作動又は出力を制御する多数の方法が使用されている。しかし、これらの従来の方法は、液体又は芳香合成物を有する空間の開始処理に関しては、最適な態様となっていない傾向があり、この空間の使用者又は所有者の疲労或いは抵抗を考慮していない。またこれらの従来の方法は、拡散器具を駆動する時間、期間及び速度を決める際に、拡散器具の作動特性を考慮していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
空間内の液体を分散させるための制御装置は、その拡散器具から離れた場所に位置するセンサを含むことができる。しかし、このセンサと拡散器具とを接続することにより、望ましくない取付けの複雑性を増やしてしまい、永久的な拡散器具の取付けが望ましくない或いはできない場合には、従来の制御装置は適切ではない。
【0004】
液体の非常に小さな粒子、例えばミクロン又はサブミクロン単位の粒子を分散させるように構成された液体拡散器具において、処理された空間に更に粒子を添加する前に、予め分散された粒子がその空間における空気から衰退し又は除去されることを許容することが望ましい。この空間における拡散率が衰退率よりも大きい場合、その処理された空間における液体の濃度は、所望の範囲内に維持されず、大きくなる傾向にある。
【0005】
従来の液体拡散器具の制御及び作動の方法を改善することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一般に液体拡散器具の作動を制御するシステム及び方法に関する。具体的には、本発明は、拡散器具が作動する際に、その拡散器具の作動の速度及び期間を制御する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】拡散された液体と空間内に位置する液体拡散器具とによって処理される該空間の略図。
【図2】本願に従う液体拡散器具の斜視図。
【図2a】図2の液体拡散器具のカバーを外した斜視図。
【図3】本願に従う液体拡散器具の他の実施形態の斜視図。
【図3a】図3の液体拡散器具の前部カバーを外した斜視図。
【図4】本願に従って液体拡散器具で液体を拡散する制御計画の動作特性を示す表。
【図5】図4の制御計画のオン時間とオフ時間との間の周期を示すグラフ。
【図6】図4の制御計画の計算された負荷サイクルを示すグラフ。
【図7】図4の制御計画のもとに動作する器具の液体出力を示すグラフ。
【図8】図4の制御計画のもとに動作する器具のためのカートリッジの予想寿命を示すグラフ。
【図9】本願に従い複数の液体拡散器具を含む囲まれた空間の略図。
【図10】空気分散配管および本願に従い配管に取り付けられた液体拡散器具を伴った囲まれた空間の略図。
【図11】それぞれ本願に従った液体拡散器具を伴った複数の囲まれた空間の略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
これより、添付の図面で説明される本発明の例示的態様を詳細に言及する。可能な限り、同じあるいは類似の部分を参照する図面は全体を通して、同一の番号が使われる。
図1は、空間あるいは部屋50内の空気あるいは他の対象物を処理する液体を内部に分散させることが望まれる空間50と、そのような液体を分散するように構成された器具52とを示す。望ましくは、空間50は少なくとも半ば囲まれているため、処理液は所望の効果をもたらすために前記空間内で保持されることができる。完全に密封された空間は必要なく、開いた入口や出口を備えた空間が本願に従う処理に適し得ることが期待される。例えば、ホテルのロビー、ビルの広間、そしてカジノのフロアは人が前記空間にアクセスするための入口や出口を備えることができ、本願に従って扱われることができる。露天の展示館あるいは野外競技場では、該空間内の雰囲気の入れ替えあるいは交換により、前記処理液が所望の処理目的を果たすために適切な滞留時間が得られず、本願に従って扱うのにあまり適さない空間の例であろう。しかしながら、特定の種類の液体や処理体制はこれらの空間において本願に従い器具を使用可能とし得ることが期待される。
【0009】
器具52は空間50内に示されているが、該器具は物理的に前記空間内に位置する必要がないことが予期される。本明細書の記載のように、空中に拡散した液体を伴って空間50の処理を行なうために、器具52は空間50と流体連結(連通)していなくてはならない。
【0010】
図2および図2aは、囲まれた空間内に拡散あるいは分散される液体104を保持するカートリッジ102を備えた本願に従う液体拡散器具100を示す。器具100は、示されるようにオンボードで取り付けられるか、もしくは器具100に一体化されることが可能な制御装置106を含むこともできる。また、制御装置106は器具100の近くに、もしくは器具100の外部に取り付けられ、器具100に組み込まれないことも可能である。またさらに、制御装置106が離れて配置されて、器具100の遠隔制御や操作を可能とするようにその器具100に接続されることもあり得る。2つ以上の器具が同じ制御装置106によって制御されることが可能であり、該複数の器具は処理される同一の又は異なる空間内に取り付けられ得ることが予期される。
【0011】
図3および図3aは、囲まれた空間内に拡散、又は分散される液体104を保持するカートリッジ152を備えた本願に従う液体拡散器具150の他の実施形態を示す。器具150は器具100と操作や機能が似ている。器具100の各構成要素に関する以下の説明では、必要に応じて、同じ説明が器具150に適用され得る。
【0012】
加圧ガスの発生源108も器具100内に設けられ得る。発生源108は、図3に示されるように、オンボードのコンプレッサであることができ、あるいは、図1のガス管54で示されるように、外部のコンプレッサ又は他の機械的ガス加圧装置に接続することができる。発生源108は、定期的に所望圧力まで補充、もしくは再充填されることが必要な、予圧縮された発生源であることもできる。
【0013】
従来の液体拡散器具で知られているように、前記加圧ガスは、液体104をベンチュリ管に引き込むように働き、その後、器具100から前記処理される空間内への空中分散に適したより小さな粒子に液体104を分けることができる。
【0014】
液体104は、例えば、込み合った行政区画での心地良い香り等の、前記空間内の特に所望された香りを提供する香水であることができる。そのような香り又は香水は、処理される空間の利用者に所望の反応を働きかけるアロマセラピーの選択肢から選ばれることができ、あるいは他の所望の雰囲気条件に基づくことができる。
【0015】
また、液体104はさまざまな周知のエアロゾル消毒剤あるいは前記空間内の所望の生物学的反応をもたらす他のバイオ技術処理の選択肢の1つから選ばれることができる。この例は、既知のあるいは疑わしい病原菌の領域を清浄する、もしくは処理する消毒剤であることができる。
【0016】
空間に分散される液体の特性、液体が分散される目的に係わらず、本願の目的のために、前記空間内で到達される液体の所望の密度があると仮定される。この所望の密度は、前記空間内で求められる効果に基づく密度の範囲でもあり得る。
【0017】
器具100内で、カートリッジ102には、例えば、液体104と流体連結し、かつ発生源108からの加圧ガスが中を流れるように構成されたベンチュリ管等の、拡散手段を組み込むことができる。前記ベンチュリ管を通るガスの流れは真空を生成して液体104を前記ベンチュリ管に引き込み、前記拡散された液体を前記ベンチュリ管から器具100の外方へ空間50内に向かって推進する。また、前記拡散手段は器具100内の、もしくは器具100に近接して取り付けられた別個の構成要素であって、カートリッジ102内に直接組み込まれないようにすることができる。液体104を適度に小さな粒子に分け、該粒子を空間50内に分散するために、他の拡散手段を使うことができる。器具100で作られた粒子のサイズはおよそミクロンの範囲かそれより小さいことが望ましい。この粒径範囲の粒子は、物体に接触するまで囲まれた空間の空気中にサスペンジョンの状態で留まり、その後その物体に付着する。処理される空間内の空気の交換率も、これらのミクロン又はサブミクロンのサイズの液体の粒子が、処理される囲まれた空間内にある滞留時間に影響を及ぼす。
【0018】
図4は、空間50内に所望量の液体104を分散するために、器具100の操作を制御する設定の表を示す。表の各横の行は、器具100の操作を制御する制御計画110を示し、前記器具内の前記拡散手段の操作のタイミングと、液体104の前記拡散手段及び空間50内への流速とを定義する。例えば、各制御計画は、制御装置106の特定の数値ダイヤル設定あるいは他の選択可能な設定111に関連付けることができ、そして、各設定111は順に、器具100が位置する空間50の特定の体積54に適するように定義されることができる。前記液体に関連付けられたどのような異なる香水又は他の効果にもかかわらず、液体104の特性が一致しているならば、部屋のサイズや体積54に合わせた設定111の標準的な関連付けは保持され得る。そうすれば、どのような部屋やどのような液体に対しても、制御装置106の同じ設定を使うことができ、制御装置106を調整する必要なく液体を変えることができる。
【0019】
また、標準又は通常の液体とは著しく異なった特性を備える液体104を含むカートリッジ102に対して、同等の表を提供することができる。このような表は制御装置106のそれぞれの設定111に関連付けられた変えられた空間の体積54を提供するために使うことができる。図4の表には、制御装置106の48個の異なる設定111に関連付けられた全48個の制御計画110が示される。より多くの又はより少ない設定、および/または、制御計画110が、このような表に、あるいは、本願の範囲内の制御装置106に、設けられ得る。
【0020】
それぞれの制御計画110について、速度設定112は、前記拡散手段が作動している際に、前記器具を通る流体の流れの速度を設定する。オン持続時間114とオフ持続時間116とが負荷サイクル118を得るために組み合わせられ、負荷サイクルは前記拡散手段が作動する時間の割合である。ほとんどの設備において、常に作動する拡散手段を備えることは望まれないので、望ましくは負荷サイクル118は1より小さくなり得る。前記囲まれた空間における交換率に基づいて、前記空間内にすでに分散した粒子を減衰させるために、器具のサイクルのオン及びオフがあることが望ましい。分散の率(器具100の操作の速度とタイミングに基づく)が減衰の率と釣り合っているときにのみ、前記囲まれた空間内の粒子の濃度が所望の限界内に制御されることができる。分散と減衰とを釣り合わせる1つのアプローチは、図4に示すように、器具100の操作のオン及びオフを繰り返すことである。
【0021】
器具100のオンとオフを繰り返す操作の付加的な利益として、囲まれた空間内の液体の濃度は、その濃度の範囲内で変動可能とすることができる。このような変動は香水に対する疲労、あるいは前記分散された液体の所望の効果を認識する前記空間内の人の能力を弱める嗅覚の順応の防止に役に立ち得る。
【0022】
それぞれの方式の流速を最大可能流速に近づけず、最小流速にも近づけないことも望ましい。速度設定112は前記拡散手段の最大値の百分率で示される。速度設定112は、特定の拡散手段の操作上の特性のために推奨のあるいは最適の値の範囲に対応する値の範囲内に保持され得る。例えば、前記拡散手段が最大操作速度の40%と65%との間で最も効率的に動作するのであれば、速度設定はこの範囲の値で制限され得る。ベンチュリ管を組み込んだ拡散手段に関し、前記液体の前記流速は発生源108からベンチュリ管を通って送り込まれるガスの速度あるいは体積に直接関連し得る。図4の表において、前記速度設定はガス発生源108から利用できる最大流量の百分率として表される。
【0023】
図4の異なる制御計画110で、段階的アプローチが流速すなわち速度の設定に対して示され得る。例えば、1から6まで番号付けされる制御計画110からの1組目の速度設定は、最大ガス流速の所望の百分率に対応する同一の速度設定112を含むことができる。異なる空間の体積に異なる方式で適合するために、該異なる方式のための前記負荷サイクルを変化させることができる。同じ流速すなわち速度設定でのオン持続時間の割合が大きいほど、前記流速が変更される必要がある前に、より大きな体積の空間を処理することを可能にする。制御計画1から6の例では、80立方フィート(2.265立方メートル)から480立方フィート(13.592立方メートル)までの空間の処理が同一の流速と異なる負荷サイクルとによって達成され得る。
【0024】
制御計画42から47は100パーセントの負荷サイクルを含み、前記流速を変化させることに注意されたい。これらの設定は液体104の連続した拡散が望まれる、もしくは要求される状況、あるいは、拡散が空気空間換気率と一緒に制御される状況のためである。カートリッジの寿命及びラベル付けされた列120から分かるように、これらの拡散操作レベルで液体に対する際立って大きな需要があり、カートリッジはこれらのレベルの処理を維持するためにより頻繁に取り替えられる必要があるだろう。これらの制御計画は特別な状況においてのみ使用され、通常使われる制御計画ではないことが予期される。
【0025】
図5から図8は、図4の表の制御計画110の異なる特性を説明するグラフを含む。図5には、図4の表の前記設定のそれぞれに対するオン持続時間の量及びオフ持続時間の量をグラフ状に示す。上記の説明に対応して、設定42から47は流れのレベルの変化を伴う常にオンの操作に対応するので、41より後ろの設定は示されていない。
【0026】
図6は、図4及び図5のオン時間及びオフ時間の値から得られた負荷サイクルを示し、設定42から47の負荷サイクルを100パーセントとして示す。図7に、それぞれの設定のための流速122と負荷サイクル118とを考慮に入れた、それぞれの設定111のための連続した流速122と対応する平均出力124とを示す。図8には、器具100に用いられ、制御計画110の1つに従って操作するカートリッジ104の予想寿命120に各設定が及ぼす影響を示す。
【0027】
図4から図8に示される関係及びグラフは、特定の容量を備え、かつ共通の拡散特性を備える液体104を収容する特定のカートリッジ102を有する特定の器具100に関連する。各設定のパラメータは、所望の流速あるいは処理特性に適合するため、あるいは処理される空間の構成の異なる寸法に適合するために、変更され、あるいは適応させられることができる。各設定に関連付けられた数字は一例にすぎず、本願をいかなる特定の構成、器具、空間、あるいは操作のパラメータに制限するものではない。
【0028】
空間内の雰囲気の処理が開始される際、所望のレベル、あるいは処理の濃度に対しより急速な立ち上がりを提供し、器具が定常状態あるいは維持操作に移行することが望まれる。本願の範囲内のこの種の急速な立ち上がりを達成するいくつかのアプローチがあり得る。これらのアプローチの1つは、前記制御計画のそれぞれに関係した一定期間の100パーセントの負荷サイクル操作を提供するものである。各制御計画は空間の特定の体積あるいは形状に指定されるので、前記関連付けされた制御計画に特定される流速を維持している間、各設定の前記100パーセントの負荷サイクルの持続時間を特定の空間に対応して選ぶことができる。初期段階が完了次第、前記器具は前記選択された制御計画に従って機能するように切り替えられる。同様に、100パーセントの負荷サイクルの代わりに、制御設定に規定される負荷サイクルよりも大きく、100パーセントよりも小さな、さらに高い負荷サイクルを該制御計画の初期段階で使用することができる。
【0029】
また、前記初期段階中、前記設定の前記負荷サイクルは維持され、前記制御計画はより大きな流速に関連付けられることもできる。例えば、図4を参照すると、設定5は初期段階中に前記流速を40パーセントから65パーセントまで上昇させてもよい。初期段階後、前記流速は設定5に関連付けられた制御計画に対して通常規定された40パーセントまで減少させることができる。
【0030】
流速と負荷サイクルの増大のいくつかの組み合わせを初期段階を定義するために使用することもでき、異なる制御計画に関連付けられた初期段階は、さらに高い負荷サイクルまたはさらに高い流速、もしくはそれらの組み合わせを用いるための異なるアプローチを備えることができる。
【0031】
またさらに、図1に示されるように、1つ以上の雰囲気センサ70を空間内に含めることができ、いつ初期段階を終え、空間50の前記選択された制御計画のもとでの操作に移るかを決定するのに使うことができる。このような構成において、前記初期段階を一定期間延長する代わりに、該初期段階は前記空間の前記雰囲気中の液体濃度が所望量に達した時点で終了することができる。当然、濃度の検知及び一定期間の前記初期段階の操作の組み合わせを同様に用いることができる。センサ70は器具52の操作パラメータを無効にする/調整することに使用することができる。異なる種類のセンサ70を同様に使うことができる。例として、そしてこれらに限らず、センサ70は前記液体の1つ以上の化学成分の濃度を検出するために使用でき、あるいは異なるセンサ70は、前記部屋内にいる人数を推定する手段の一つとして、空間50内の二酸化炭素を測定することができる。このようなセンサの出力は、空間50内の状況に対処するために前記器具の操作パラメータを変えるのに使用できる。同一の空間内の異なるレベルの活動は、前記空間内の活動の所定の平均レベルに基づくパラメータと異なった操作パラメータを要求し得る。
【0032】
センサ70は空間50内の状態に基づいて器具52の操作を変更するために使われることができる。該操作の変更とは、使用される第1の制御計画が前記空間の寸法に基づいて選択され、第2の制御計画が前記空間内の前記活動にも基づいて選択される異なる制御計画を選択することである。上述のように、前記センサは、操作の開始モードから前記他の制御計画の1つのもとでの操作に移行する時を決定するために用いられることができる。前記センサは、抗疲労方式が前記空間内の処理レベルの所望の変更を達成した時を決定し、よって異なる制御計画に従う器具の操作に戻る時を決定するために用いられることができる。
【0033】
図9に示されるように、複数の器具52が空間50を処理するために用いられることができ、当該個々の器具は組織的な操作のために中央制御装置56により集中的に制御されることができる。また、前記器具のそれぞれは、例えば制御装置106のような、局部的な又は専用の制御装置によって制御されることができ、同一の空間を処理するほかの器具とは独立に操作することができる。中央制御装置56、あるいは個々の制御装置106は、本明細書に記載される制御計画およびその変形に従って、接続された器具52を操作することができる。またさらに、1つあるいは複数のセンサ70は、本明細書に記載のように、前記制御計画から前記器具52の前記操作を変更するために用いられることができる。よって、より大きな又は不規則な形の空間、あるいは量が変化する空気交換や異なる領域での処理の必要性を生じる活動を備え得る空間は、本願に従う器具を用いることによって効果的に処理されることができる。
【0034】
器具52のような器具はより大きな空間を処理するために用いることができるため、前記器具によって拡散された液体を空間50のいたるところに分配するために役立つ補助ファンを備えることが望ましい。分配を補助する補助ファン72の例は、図10に示すような、強制的な空気加熱あるいは冷却装置の一部であるHVACファンであり得る。器具52は、このような装置の供給ダクト内に配置されるか、供給ダクト内に液体を拡散するように配置されることができ、前記拡散された液体は、ファン72が作動しているときはいつでも、空間50のいたるところに分散させることができる。この種の装置において、前記補助ファンの操作は前記器具の操作によって制御されない、あるいは前記器具の操作に依存することができる。
【0035】
また、図1に示すように、器具52は、前記拡散される液体の分散の役に立つように専用の補助ファン72に近接して取り付けることができる。この別の設備あるいは構成において、補助ファン72は前記器具の操作に連動して制御することができる。よって、補助ファン72は液体拡散と協調してのみ操作される。補助ファン72は前記器具と同時に操作することができ、拡散が始った後に作動するように、そして、拡散が前記制御計画のオン部分のために完了された後、もしくは、前記制御計画のオン部分に関連した他の取り決めで操作された後に留まるように、補正されることができる。
【0036】
例えば、図11に示すような、宴会場、会議室、事務室、ホテルの部屋等の、同じような寸法、及び/あるいは、構成の複数の空間をそれぞれ処理するために、複数の器具52を配置することができる。このような同様の空間50の処理のために、中央制御装置54が全ての器具52を一緒に操作するために用いられる。例として、これらの器具は共通の圧縮ガス供給源108に接続され、各器具からの前記液体の拡散を同時に制御するために、中央制御装置56が前記供給源を操作することができる。あるいは、各器具52は、オンボードの圧縮機などのような圧縮ガスの独立した発生源を含むことができ、中央制御装置54は拡散を制御するために前記圧縮機のそれぞれの電力供給を制御することができる。さらに、これらの器具52のそれぞれは、各器具によって拡散されている液体の分散に役に立つ補助ファン72に対して設置されることができる。
【0037】
処理されている空間にいる人々は、該空間の雰囲気の処理に敏感でなくなることがあり、あるいは、疲れたり、もはや前記処理に気づかなくなったりすることがある。これは、特に雰囲気の処理に使われる香水あるいはアロマに関しては、共通の現象であり、前記雰囲気中の液体104の濃度のある程度の変動を提供することが望ましい。ある間隔おきの所望の濃度レベルを超えたり、その濃度レベル未満の濃度の変動が、前記処理に対する疲労に対抗するために用いられることができ、所望レベルで前記処理の効果を高めることができる。
【0038】
本願に照らして、このような抗疲労の変動は、前記の選択される制御計画の1回以上の一時的な交替によって提供されることができる。第1のアプローチは、前記空間の前記濃度が前記所望レベル未満に低下するように、前記負荷サイクルを一定期間0パーセントまで減少させることであり得る。この時間の最後に、前記負荷サイクルは前記制御計画の規定値に戻されることができ、前記所望レベルまで徐々に高まることが可能な濃度に戻されることができる。同様に、濃度の減少は疲労に対抗するためにより望ましくまたはより効果的であるが、前記負荷サイクルは、前記空間内により高い濃度を提供するために、前記制御計画に規定された負荷サイクルを超えて一定期間にわたって増加させることができる。前記期間の後、前記負荷サイクルは前記制御計画の規定の負荷サイクルまで減少させることができ、前記所望レベルに戻ることが可能な前記空間内の前記濃度まで減少させることができる。
【0039】
また、前記流速は、前記空間内の前記濃度を低減するために、前記制御計画の流速以下に減少されることができ、または、前記空間内の前記濃度を増加するために、前記制御計画の流速以上に増加されることができる。流速の変更は一定期間維持され、そしてそれから前記選択される制御計画に規定された流速に戻ることを可能とすることができる。流速の変動と負荷サイクルの組み合わせが、前記空間に関する濃度の変動を達成するために用いることができる。
【0040】
前記器具の前記操作における抗疲労の変動の間隔は特定の抗疲労方式によって固定されることができ、あるいは不規則に変化することができる。特定の抗疲労の変動方式が前記器具の各制御計画の設定に関連付けられることができ、あるいは、共通の抗疲労変動方式が前記器具の全ての設定と共に使用されるために組み込まれることができる。固定された抗疲労方式は所定の一定間隔での前記流速の変動、所定の一定間隔での前記拡散手段の操作の変動、あるいは前記二つのパラメータを所定のパターンに従って変えることの組み合わせを含むことができる。また、流速、および/あるいは、操作の変動は不規則な方式に従う変動に左右されるすべてのパラメータを伴って、完全に不規則に行なわれることができる。この不規則な抗疲労方式は、前記空間内の前記濃度がある所望レベルを超えたり、下回ったりしないことを保障するために、ある種の制約に支配されることができる。
【0041】
本願に従う前記制御計画内の前記拡散手段の周期的操作は、一定の抗疲労機能を提供することに注意されたい。前記拡散手段の前記周期的操作は空間50内の液体104の濃度の少なくともある程度の変動を提供し、この変動性は、本願に従う抗疲労方式によって引き起こされるように、よりはっきりとした変動を有する必要性あるいは要求を減らすことができる。
【0042】
上述のように、前記制御計画内の中断あるいは操作をしない期間の利用は、疲労あるいは順応を避ける、あるいは低減するために役に立つ空間内の液体の濃度の変動を提供し得る。中断の長さは、前記空間で濃度をより低いレベルまで低減するために十分な減衰を可能とするように選ばれることができる。中断が終わったとき、器具100の操作は前記濃度をより高いレベルまで戻す。よって、前記負荷サイクル特有の中断は同様に抗疲労効果を提供するために用いられることができる。同じ規定された負荷サイクルを伴っても、各中断の長さは、より大きな又はより小さな減衰を可能とするように、そしてそれにより濃度の減少を可能とするように調整されることができる。例えば、25パーセントの負荷サイクルは3分の中断と1分の操作時間とを備えることができる。45分の中断と15分の操作時間とでプログラムされた同じ装置は、同じ計算された負荷サイクルを備え、処理される空間内でより大きな濃度変動を可能とするだろう。中断の長さは拡散される液体の特性と、前記空間内の粒子が接触し得る表面の数および/あるいは面積と、前記空間内の雰囲気の入れ替えの率とに基づいて選ばれることができる。
【0043】
上記の説明により、前記空間の雰囲気中の液体104の特定のレベルあるいは濃度を供給する器具100のより長期の操作が提案されている。しかしながら、器具100は、より離散的な期間の制御計画に従って操作するように構成され、要求に応じて開始され得ることが予期される。器具100の操作は空間内の活動に応じて開始され、該活動に対応するために必要な予期された持続期間だけ操作しても良い。例えば、空間50がホテルのロビーであり、液体104が殺菌剤である場合、器具100は空間50内の液体104の効果的な濃度を供給するために、早朝時間に機能するように構成することができる。これにより、前記空間を通る最小の動作時間であることができ、前記空間内の雰囲気および表面の最も均一な処理を保証することができる。出入りの激しい日あるいは時間の処理は望ましい、あるいは効果的でないかもしれない。また、器具100は、予定されている会議が見込まれる会議室空間内の香水の濃度を設定するために用いられることができ、該会議中は作動させる必要がないことができる。
【0044】
本発明は推奨の実施形態に関して記載されてきたが、本発明は上記に記載の個々の実施形態に限定されるものではないことを理解されるべきである。したがって、ある種の置き換え、変更、修正、そして、省略が本発明の精神あるいは意図から逸脱することなくなし得ることを当業者は十分理解するものとみなされる。従って、前述の記載は一例に過ぎず、本発明は本発明の主題と関係のあるすべての相応な均等物を含むと考えられるべきであり、請求項に記載の発明の範囲を限定するものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体によって処理され、液体拡散器具と流体連結している密閉空間を提供する工程であって、前記器具は、リザーバと前記液体を前記空間に拡散させる拡散手段とを備える工程と、
前記液体の特性及び前記空間の所望の処理レベルに基づき、前記器具のための複数の制御計画を提供する工程であって、各前記制御計画は、前記器具のための作動パラメータを確定し、前記パラメータは、液体の流速、前記拡散手段の作動周期を含む工程と、
前記空間の処理される体積を決定する工程と、
前記空間の処理される体積に基づいて前記制御計画のうちから1つを選択する工程と、
前記選択された制御計画に基づいて前記器具を作動させる工程と、
を備える液体拡散器具の制御方法。
【請求項2】
複数の処理開始計画を提供する工程であって、各開始計画は、前記空間における液体の拡散を所望の処理レベルに加速するように構成され、同開始計画は、少なくとも1つの前記制御計画に関連し、液体の流速及び拡散手段の作動を決定する工程と、
前記選択された制御計画に関連する前記開始計画を選択する工程と、
前記制御計画に基づいて前記器具を作動させる前に、前記開始計画に基づいて前記器具を作動させる工程と
を更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの前記制御計画は、流速の所定の周期的な変化を含む抗疲労計画を備える
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの前記制御計画は、前記拡散手段の作動の所定の周期的な変化を含む抗疲労計画を備える
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの前記制御計画は、前記流速及び前記拡散手段の作動の、所定の間隔をおいた変化を含む抗疲労計画を備える
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの前記制御計画は、前記流速のランダムな間隔をおいた変化を含む抗疲労計画を備える
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの前記制御計画は、前記拡散手段の作動のランダムな間隔をおいた変化を含む抗疲労計画を備える
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの前記制御計画は、前記流速及び前記拡散手段の作動のランダムな間隔をおいた変化を含む抗疲労計画を備える
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
全ての前記制御計画のための流速は、前記空間における所望の処理レベルを提供するために前記拡散手段の間欠的な作動を許容するように選択される
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの前記制御計画のための、前記拡散手段の周期的な作動における中断の長さは、前記空間における処理レベルが前記所望の処理レベルよりも低くなることを許容するように選択され、前記拡散手段の作動の長さは、前記処理レベルを前記所望の処理レベルに戻すように選択される
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの前記制御計画のための、前記拡散手段の周期的な作動における中断の長さは、前記空間における処理レベルが実質的に一定に維持されて前記所望の処理レベルの近傍にあるように選択される
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記リザーバに流体連結しているベンチュリ管を含む前記拡散手段を提供する工程であって、前記ベンチュリ管は、圧縮ガス源に流体連結している工程を更に含み、
前記拡散手段の作動は、前記圧縮ガスが前記ベンチュリ管へ放出されることと、前記ガスが前記リザーバから液体を前記所望の流速で前記ベンチュリ管に引き込むことと、前記ガスと液体とを前記空間に拡散させることとを含む
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記圧縮ガス源はコンプレッサであり、前記拡散手段の作動は、前記コンプレッサを駆動して前記圧縮ガスを前記ベンチュリ管へ放出することを含む
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記コンプレッサは、前記器具に組み込まれている
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記圧縮ガス源は、事前圧縮ガス源であり、前記拡散手段の作動は、ガスが前記事前圧縮ガス源から前記ベンチュリ管へ流動することを許容することを含む
請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記リザーバにおける前記液体は香水である
請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記リザーバにおける前記液体は消毒剤である
請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記リザーバにおける前記液体はバイオ技術の処理液である
請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記空間内に位置し、動作可能に前記器具に接続された気圧センサを提供する工程と、
前記気圧センサからの、前記空間における前記所望の処理レベルに関連する信号に基づいて前記器具の作動パラメータを調整する工程とを更に備える
請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記密閉空間を処理する複数の器具と、前記選択された制御計画により前記各器具を作動させる工程とを更に備える
請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記密閉空間の一部をそれぞれ処理する複数の器具と、前記器具が処理する前記密閉空間の部分に基づいて同器具のために制御計画を選択する工程と、前記器具のために選択された制御計画により同器具を作動させる工程とを更に備える
請求項1に記載の方法。
【請求項22】
複数の密閉空間を処理する複数の器具と、前記選択された制御計画に基づいて各器具を作動させる工程とを更に備える
請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記器具により拡散された液体を分散させるために設置された補助ファンを更に備える
請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記選択された制御計画により、前記器具の作動と協調して前記補助ファンを作動する工程を更に備える
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
液体により密閉空間を処理するシステムであって、
前記空間と流体連結しているとともに、分散される前記液体を収容するリザーバに接続されている拡散手段を有する器具と、
前記器具に接続され、前記液体を前記空間に分散させるための複数の制御計画を含む制御装置とを備え、
各制御計画は、前記器具のための作動パラメータを決定し、前記パラメータは、前記拡散手段の周期的な作動及び前記リザーバから前記拡散手段を通じて流れる液体の流速を含み、各前記制御計画は、前記空間内の特定の体積に対応する
システム。
【請求項26】
制御開始計画に関連する各制御計画を更に備え、
前記開始制御計画は、前記関連の制御計画の流速で一定期間において前記拡散手段の一定の作動を実行し、開始機能が選択された後に、前記器具は、前記制御開始計画により前記液体を拡散させた後に、前記選択された制御計画により前記液体を拡散させる
請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
抗疲労制御計画に関連する各制御計画を更に備え、
前記抗疲労制御計画は、前記関連制御計画の前記拡散手段の前記周期的な作動の、所定の間隔をおいた変化を定義する
請求項25に記載のシステム。
【請求項28】
抗疲労制御計画に関連する各制御計画を更に備え、
前記抗疲労制御計画は、前記関連制御計画の前記拡散手段の前記周期的な作動の、ランダムな間隔をおいた変化を定義する
請求項25に記載のシステム。
【請求項29】
抗疲労制御計画に関連する各制御計画を更に備え、
前記抗疲労制御計画は、前記関連制御計画の流速の所定の間隔をおいた変化を定義する
請求項25に記載のシステム。
【請求項30】
抗疲労制御計画に関連する各制御計画を更に備え、
前記抗疲労制御計画は、前記関連制御計画の流速のランダムな間隔をおいた変化を定義する
請求項25に記載のシステム。
【請求項31】
前記制御装置に動作可能に接続されたセンサを更に備え、
前記制御装置は、前記空間内の状態に関連する、前記センサからの信号に基づいて前記器具の作動パラメータを調整する
請求項25に記載のシステム。
【請求項32】
前記制御装置によって作動される複数の器具を更に備える
請求項25に記載のシステム。
【請求項33】
複数の器具を更に備え、
各器具は複数の制御装置のうちの1つによって作動される
請求項25に記載のシステム。
【請求項34】
前記器具によって拡散された液体を前記密閉空間に分散させるために設置された補助ファンを更に備える
請求項25に記載のシステム。
【請求項35】
液体拡散器具の作動のための制御計画を定義する方法であって、
前記密閉空間において前記器具によって発生する液体の所望の濃度を決定する工程と、
前記密閉空間内において前記液体の所望の濃度を発生させるために、前記器具の周期的な作動のためのデューティサイクルを含む制御計画を選択する工程と、
前記液体の濃度が前記所望の濃度よりも低い濃度に減少するように前記液体が前記空間内に拡散されることを許容するために、前記デューティサイクルにおける中断の長さを選択する工程と
を備える方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図2a】
image rotate

【図3】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2011−515113(P2011−515113A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501264(P2010−501264)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/058724
【国際公開番号】WO2008/119068
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(509254720)プロリテック インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】PROLITEC,INC.
【Fターム(参考)】