説明

液体揮散具

【課題】ユーザーが揮散構造体の交換時に手を汚すことなく、取り扱いが容易な液体揮散具を提供すること。
【解決手段】液体を貯留するための容器本体4と、容器本体4に装着される蓋付きキャップ3と、蓋付きキャップ3の蓋31を開けた状態で、容器本体4に貯留された液体を吸い上げ、揮散させる揮散構造体2とを備え、揮散構造体2を、揮散体20と、揮散体20を収容して容器本体4に貯留された液体に浸漬させる揮散体収容体21とで構成し、揮散構造体2の揮散体収容体21を、蓋付きキャップ3の開口縁32に係止して装着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体揮散具に関し、特に、使用済みの容器本体から手を汚すことなく揮散体を取り出し、液体を補充した後、交換用の揮散体を簡単に取り付けることができる液体揮散具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、芳香剤や消臭剤等の拡散性の液体(以下、単に「液体」という。)を揮散させるために用いられる液体揮散具として、液体を貯留するための容器本体と、容器本体に貯留された液体を吸い上げ、容器本体の開口部から上端面を露出して揮散させる揮散体とを備えたものが提案され、実用に供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−47254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の液体揮散具は、液体揮散具の容器本体に貯留された液体がなくなった場合には、そのまま廃棄する方式のものと、容器本体に液体を補充し、容器本体を繰り返して使用する方式のもがある。
【0005】
このうち、前者の廃棄する方式のものは、液体の補充や揮散体の交換という手間が必要ないものの、資源のリユースに寄与することができないという問題があった。
【0006】
一方、容器本体に液体を補充し、繰り返して使用する方式のものは、揮散体の交換時に、ユーザーが揮散体を摘んで容器本体から取り出す必要があり、ユーザーの手を汚すという問題があった。
【0007】
本発明は、上記従来の液体揮散具の有する問題点に鑑み、液体揮散具の容器本体に液体を補充し、繰り返して使用する方式の液体揮散具において、ユーザーが揮散構造体の交換時に手を汚すことなく、取り扱いが容易な液体揮散具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の液体揮散具は、液体を貯留するための容器本体と、該容器本体に装着される蓋付きキャップと、キャップの蓋を開けた状態で、容器本体に貯留された液体を吸い上げ、揮散させる揮散構造体とを備えた液体揮散具において、前記揮散構造体を、揮散体と、該揮散体を収容して容器本体に貯留された液体に浸漬させる揮散体収容体とで構成し、該揮散構造体の揮散体収容体を、蓋付きキャップの開口縁に係止して装着するようにしたことを特徴とする。
【0009】
この場合において、前記揮散構造体の揮散体収容体の外周が摺接する筒状部と、該筒状部の上端部に形成した鍔部とを有し、該鍔部が容器本体の開口縁と蓋付きキャップとで挟持されて容器本体内に装着される内栓部材を備えることができる。
【0010】
また、前記揮散体が、揮散体収容体の下端から延出する延出部を有するようにすることができる。
【0011】
また、液体の詰替時に、揮散構造体を蓋付きキャップと共に容器本体から取り外し、新しい揮散構造体と交換した後、蓋付きキャップと共に容器本体に取り付けるようにすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の液体揮散具によれば、揮散構造体を、揮散体と、該揮散体を収容して容器本体に貯留された液体に浸漬させる揮散体収容体とで構成し、該揮散構造体の揮散体収容体を、容器本体に装着される蓋付きキャップの開口縁に係止して装着することにより、揮散体を収容した揮散体収容体を、蓋付きキャップを容器本体から取り外す際に、蓋付きキャップと共に取り外すことができ、ユーザーの手を汚すことがない。
そして、容器本体に液体を補充し、揮散構造体を蓋付きキャップと共に取り付けることができ、簡単な手順で液体揮散具を使用状態にすることができる。
【0013】
また、揮散構造体の揮散体収容体の外周が摺接する筒状部と、該筒状部の上端部に形成した鍔部とを有し、該鍔部が容器本体の開口縁と蓋付きキャップとで挟持されて容器本体内に装着される内栓部材を備えることにより、内栓部材が、揮散構造体の揮散体収容体を保持するとともに、使用中に容器本体が転倒することがあっても、容器本体内の液体が漏れ出すことがない。
【0014】
また、前記揮散体が、揮散体収容体の下端から延出する延出部を有することにより、揮散体収容体の長さ寸法を、容器本体の高さ寸法より短く構成しても、揮散体の延出部が容器本体の下面に到達し、容器本体内の液体を残すことなく吸い上げて揮散させることができる。
【0015】
また、例えば、スタンドパウチ式等、袋入りの詰替用の液体を合わせて揮散構造体を販売することによって、揮散構造体を蓋付きキャップと共に容器本体に取り付けることにより、容器本体に貯留された液体が揮散した使用済みの容器本体、内栓部材及び蓋付きキャップの再使用が可能となり、資源のリユースに寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の液体揮散具の一実施例を示す正面断面図である。
【図2】同液体揮散具の揮散構造体の揮散体を示し、(a)は方形部を筒状に巻く前の状態を示す平面図、(b)は方形部を筒状に巻いた状態を示す斜視図である。
【図3】同液体揮散具の揮散構造体の揮散体収容体を示し、(a)は斜視図、(b)は揮散体を収容した状態を示す斜視図である。
【図4】同液体揮散具の容器本体から揮散構造体を取り外す際の手順を示す説明図である。
【図5】同液体揮散具の容器本体に揮散構造体を取り付ける際の手順を示す一部断面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の液体揮散具の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0018】
図1〜図5に、本発明の液体揮散具の一実施例を示す。
この液体揮散具1は、液体を貯留するための容器本体4と、容器本体4に装着される蓋付きキャップ3と、蓋付きキャップ3の蓋31を開けた状態で、容器本体4に貯留された液体を吸い上げ、揮散させる揮散構造体2とを備え、揮散構造体2を、揮散体20と、揮散体20を収容して容器本体4に貯留された液体に浸漬させる揮散体収容体21とで構成し、揮散構造体2の揮散体収容体21を、蓋付きキャップ3の開口縁32に係止して装着するようにした、容器本体4に液体を補充し、繰り返して使用する方式の液体揮散具である。
【0019】
揮散構造体2は、液体に浸漬する揮散体20と、この揮散体20を収容する揮散体収容体21とからなる。
揮散体20の形状は、特に限定されるものではないが、本実施例においては、図2に示すように、揮散体収容体21の収容部の内径に合わせて、筒状に巻かれる方形部20aと、この方形部20aから延出する延出部20bとを有するシート状部材から構成され、筒状に巻いた方形部20aの上端面が揮散部20cとなるようにしている。
揮散体20の構成材料は、筒状に巻いて、容器本体4内の液体に浸漬している方形部20a及び延出部20bを介して、容器本体4に貯留された液体を毛細管現象で吸い上げ、容器本体4の口部40から露出する揮散部20cから吸い上げた液体を揮散させることができる公知の材料、例えば、不織布、ろ紙、繊維束、連続気泡発泡体等を用いるようにしている。
【0020】
揮散体収容体21は、筒状に巻いた揮散体20を収容するとともに、収容した揮散体20を容器本体4の液体に浸漬させることができるとともに、後述する蓋付きキャップ3の開口縁32に係止して装着することができる構造であれば、特に限定されるものではないが、図3に示すように、蓋付きキャップ3の開口縁32に係止される鍔状の係止部21a、筒状に巻いた方形部20aから直接液体が吸い上げられるように枠状に構成した本体部21bとから構成されている。
本体部21bは、揮散体20を液体に浸漬させる開口を有するものであれば、パンチングメタル等の開口部を多数有する板部材を巻回して構成することもできるが、本実施例においては、縦枠と環状の横枠とを組み合わせた枠状部材から構成する。
また、本体部21bの下端部には揮散体20の延出部20bが延出する開口部を設けるようにしている。
【0021】
蓋付きキャップ3は、容器本体4の口部40に取り付けられるとともに、開口縁32で揮散体収容体21を係止することができるとともに、蓋31よって上面が開閉される構造であれば、その構成は特に限定されるものではないが、本実施例においては、図1に示すように、蓋31と、この蓋31が取り付けられる上椀部30A、容器本体4の口部40に取り付けるための取付部30B及び揮散構造体2の揮散体収容体21を係止する開口縁32となる環状片30Cからなるキャップ本体30とから構成するようにしている。
【0022】
取付部30Bは、容器本体4の口部40の周面に形成した雄ねじ部41に螺合することができる雌ねじ部33を内周面に形成する。
また、上椀部30Aは、取付部30Bと一体構造で、取付部30Bの雌ねじ部33の形成箇所よりも上方に形成され、上端面の一部にヒンジ部を介して蓋31が連結され、ヒンジ部と対向する上端面に係止溝を形成し、蓋31のヒンジ部と対向する箇所に形成した係止爪と係止して蓋31の閉止状態を維持するように構成されている。
また、蓋付きキャップ3の外周面には、取り付け時の滑りを防止するためのローレットを形成することが好ましい。
【0023】
また、本実施例においては、開口縁32を、上椀部30Aと取付部30Bとの境となる内面から突出して形成した環状片30Cとし、この環状片30Cの上面に、揮散体収容体21の上部に形成した鍔状の係止部21aの下面を載置することによって、揮散構造体2を蓋付きキャップ3に係止して装着するようにしているが、開口縁32の構成は、特に限定されるものではなく、上椀部30Aの上端面を開口縁32とし、蓋31の開閉と干渉しないように、上椀部30Aの上端面の適所に切欠部を設けるとともに、揮散体収容体21の上部に係止片を延設し、この係止片を切欠部に係止することによって揮散構造体2を蓋付きキャップ3に係止して装着するようにすることもできる。
【0024】
また、容器本体4の口部40には、使用中に容器本体4が転倒することがあっても、容器本体4内の液体が漏れ出すことがないように内栓部材5を装着する。
この内栓部材5は、揮散構造体2の揮散体収容体21の外周が摺接する筒状部50と、筒状部50の上端部に形成した鍔部51とから構成され、鍔部51が容器本体4の開口縁4aと蓋付きキャップ3とで挟持されて容器本体4内に装着されるもので、筒状部50によって、揮散構造体2の揮散体収容体21を保持する役割も果たす。
【0025】
容器本体4の開口縁4aとの間で、鍔部51を挟持する蓋付きキャップ3の挟持箇所は、特に限定されるものではなく、本実施例においては、開口縁4aと揮散体収容体21を係止する環状片30Cの下面とによって挟持するようにしている。
【0026】
容器本体4は、合成樹脂又はガラス製、陶器製のものからなり、口部40に蓋付きキャップ3、揮散構造体2及び内栓部材5が取り付けられる構造であれば、特にその構成を限定されるものではなく、本実施例においては、口部40の周面に形成した雄ねじ部41に、蓋付きキャップ3の取付部30Bに形成した雌ねじ部33を螺合し、上述したように、揮散構造体2及び内栓部材5が取り付けられるようにしている。
【0027】
また、この液体揮散具1は、上記構造によって、液体の詰替時に、揮散構造体2を蓋付きキャップ3と共に容器本体4から取り外し、新しい揮散構造体2と交換した後、蓋付きキャップ3と共に容器本体4に取り付けるようにすることができる。
揮散構造体2のうち、揮散体20は、1度使用することにより、不純物等によって目詰まりを生じることが多く、吸い上げ効率が低下するため再利用することは好ましくなく、また、揮散体収容体21は、再利用することができるものの、ユーザーが揮散体収容体21から揮散体20を取り出し、揮散体20を、方形部20aを揮散体収容体21の内径に合わせて筒状に巻いた上で揮散体収容体21に収容させることは、ユーザーの手を汚す場合があるとともに、手数を有するため、再利用することは好ましくない。
このため、揮散構造体2は、予め、揮散体20を揮散体収容体21に収容した状態で提供することが望ましい。
そして、例えば、スタンドパウチ式等、袋入りの詰替用の液体を合わせて揮散構造体2を販売することによって、揮散構造体2を蓋付きキャップ3と共に容器本体4に取り付けることにより、容器本体4に貯留された液体が揮散した使用済みの容器本体4、内栓部材5及び蓋付きキャップ3の再使用が可能となり、資源のリユースに寄与することができる。
【0028】
次に、容器本体4の液体の詰替時に、揮散構造体2を容器本体4から取り外し、液体を補充した後に、揮散構造体2を容器本体4に取り付ける手順を、図4〜図5に基づいて説明する。
まず、図4に示すように、蓋付きキャップ3を回転させ、容器本体4の口部40に形成した雄ねじ部41と取付部30Bに形成した雌ねじ部33との螺合を解除し、蓋付きキャップ3を容器本体4から取り外す。
このとき、揮散構造体2は、蓋付きキャップ3の開口縁32に係止されているため、蓋付きキャップ3と共に、容器本体4から取り外されることとなり、ユーザーの手を汚すことがない。
なお、内栓部材5は、容器本体4の口部40に装着した状態のまま、取り外す必要はない。
【0029】
そして、詰替用の液体を容器本体4内に補充した後に、図5に示すように、詰替用の揮散構造体2を蓋付きキャップ3と共に、容器本体4の口部40に取り付ける。
このとき、揮散構造体2は、予め蓋付きキャップ3の開口縁32に係止して装着した状態で、蓋付きキャップ3の取付部30Bに形成した雌ねじ部33を容器本体4の口部40に形成した雄ねじ部41に螺合しても、先に蓋付きキャップ3を容器本体4に取り付けてから、揮散構造体2を蓋付きキャップ3の開口縁32に係止して装着するようにしても構わない。
【0030】
そして、使用時には、ユーザーが、蓋付きキャップ3の蓋31を開け、容器本体4の口部40から揮散部20cを露出させることにより、揮散構造体2の揮散体20が吸い上げた芳香剤の香りや消臭材の消臭成分を周辺に拡散させることができる。
【0031】
このように、本発明の液体揮散具1は、簡単な交換作業をユーザーが行うことにより、容器本体4に貯留された液体が揮散した使用済みの容器本体4、蓋付きキャップ3及び内栓部材5の再使用が可能となり、資源のリユースに寄与することができる。
【0032】
以上、本発明の液体揮散具について、実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の液体揮散具は、ユーザーが揮散構造体の交換時に手を汚すことなく、取り扱いが容易であることから、液体揮散具の容器本体に液体を補充し、繰り返して使用する方式の液体揮散具の用途に用いることができる。
また、適用対象も、芳香剤のほか、消臭材等、拡散性の液体を揮散させるために用いられる液体揮散具の用途に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 液体揮散具
2 揮散構造体
20 揮散体
21 揮散体収容体
3 蓋付きキャップ
30 キャップ本体
31 蓋
32 開口縁
4 容器本体
4a 開口縁
5 内栓部材
50 筒状部
51 鍔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留するための容器本体と、該容器本体に装着される蓋付きキャップと、キャップの蓋を開けた状態で、容器本体に貯留された液体を吸い上げ、揮散させる揮散構造体とを備えた液体揮散具において、前記揮散構造体を、揮散体と、該揮散体を収容して容器本体に貯留された液体に浸漬させる揮散体収容体とで構成し、該揮散構造体の揮散体収容体を、蓋付きキャップの開口縁に係止して装着するようにしたことを特徴とする液体揮散具。
【請求項2】
前記揮散構造体の揮散体収容体の外周が摺接する筒状部と、該筒状部の上端部に形成した鍔部とを有し、該鍔部が容器本体の開口縁と蓋付きキャップとで挟持されて容器本体内に装着される内栓部材を備えたことを特徴とする請求項1記載の液体揮散具。
【請求項3】
前記揮散体が、揮散体収納筒の下端から延出する延出部を有することを特徴とする請求項1又は2記載の液体揮散具。
【請求項4】
液体の詰め替え時に、揮散構造体を蓋付きキャップと共に容器本体から取り外し、新しい揮散構造体と交換した後、蓋付きキャップと共に容器本体に取り付けるようにしたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の液体揮散具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−217799(P2012−217799A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90096(P2011−90096)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(500140943)ライオンケミカル株式会社 (10)
【Fターム(参考)】