説明

液体揮散具

【課題】コンパクトな形状で、かつ、ユーザーが揮散体の取り扱いを容易に行うことができる液体揮散具を提供すること。
【解決手段】液体を貯留するための容器本体4と、容器本体4に貯留された液体を吸い上げて揮散させる揮散体2と、揮散体2を容器本体4に装着するための揮散体装着用中蓋3と、容器本体4を覆うカバー6とを備え、揮散体装着用中蓋3に、液体揮散具1の使用時に容器本体4に貯留された液体に浸漬される揮散体の浸漬部21を折り畳んで収容する揮散体収納空間33を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体揮散具に関し、特に、液体揮散具の容器本体に貯留された液体を吸い上げて揮散させる揮散体が液体に浸漬されていない状態で販売される方式の液体揮散具において、コンパクトな形状で、かつ、ユーザーが揮散体の取り扱いを容易に行うことができる液体揮散具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、芳香剤や消臭剤等の拡散性の液体(以下、単に「液体」という。)を揮散させるために用いられる液体揮散具として、液体を貯留するための容器本体と、容器本体に貯留された液体を吸い上げて揮散させる揮散体と、揮散体を容器本体に装着するための揮散体装着用中蓋と、容器本体を覆うカバーとを備えたものが提案され、実用に供されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平7−13718号公報
【特許文献2】特開平9−248330号公報
【特許文献3】特開2003−102825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の液体揮散具は、液体揮散具の容器本体に貯留された液体を吸い上げて揮散させる揮散体が、液体に浸漬された状態で販売される方式のものと、揮散体が液体に浸漬されていない状態で販売され、ユーザーが揮散体を液体に浸漬して使用する方式のものがある。
【0005】
このうち、前者の液体に浸漬された状態で販売される方式のものは、保管中に液体揮散具の容器本体に貯留された液体が揮散体を通して蒸散されたり、揮散体に目詰まりが生じやすく、長期間の保存に適さないという問題があった。
【0006】
一方、揮散体が液体に浸漬されていない状態で販売される方式のものは、長期間の保存に適する反面、揮散体が嵩張り、包装や流通のコストが増大するとともに、使用時にユーザーが揮散体を液体に浸漬するのに手数を要するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記従来の液体揮散具の有する問題点に鑑み、液体揮散具の容器本体に貯留された液体を吸い上げて揮散させる揮散体が液体に浸漬されていない状態で販売される方式の液体揮散具において、コンパクトな形状で、かつ、ユーザーが揮散体の取り扱いを容易に行うことができる液体揮散具を提供することを第1の目的とする。
【0008】
また、本発明は、容器本体に貯留された液体が揮散した使用済の容器本体及びカバーの再使用が可能となり、資源のリユースに寄与することができる液体揮散具を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の液体揮散具は、液体を貯留するための容器本体と、該容器本体に貯留された液体を吸い上げて揮散させる揮散体と、該揮散体を容器本体に装着するための揮散体装着用中蓋と、容器本体を覆うカバーとを備えた液体揮散具において、前記揮散体装着用中蓋に、液体揮散具の使用時に容器本体に貯留された液体に浸漬される揮散体の浸漬部を折り畳んで収容する揮散体収納空間を設けたことを特徴とする。
【0010】
この場合において、揮散体の浸漬部を折り畳んで収容した交換用揮散体装着用中蓋の揮散体の浸漬部を伸ばして容器本体に取り付けるようにすることができる。
【0011】
また、揮散体装着用中蓋を、容器本体への第1取付部と、該第1取付部に着脱可能な第2取付部を備えた揮散体装着部とで構成することができる。
【0012】
また、揮散体装着用中蓋の揮散体装着部を、前記第2取付部と、該第2取付部にヒンジ部を介して開口可能に設けられ、揮散体の浸漬部と一体の揮散体の揮散部を保持する蓋部とで構成し、前記第2取付部を水平に区画する区画壁を形成し、該区画壁の上に、揮散体の浸漬部と揮散部とを接続する接続部に接するように第2揮散体を配設するとともに、区画壁の下に液体揮散具の使用時に容器本体に貯留された液体に浸漬される揮散体の浸漬部を折り畳んで収容するようにすることができる。
【0013】
また、揮散体の浸漬部を折り畳んで収容した交換用揮散体装着部の揮散体の浸漬部を伸ばして第1取付部を介して容器本体に取り付けるようにすることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の液体揮散具によれば、揮散体装着用中蓋に、液体揮散具の使用時に容器本体に貯留された液体に浸漬される揮散体の浸漬部を折り畳んで収容する揮散体収納空間を設けることにより、液体揮散具の容器本体に貯留された液体を吸い上げて揮散させる揮散体が液体に浸漬されていない状態で販売される方式の液体揮散具を、コンパクトに構成することができ、また、ユーザーが揮散体装着用中蓋の揮散体収納空間に折り畳んで収容されている揮散体の浸漬部を伸ばして容器本体に貯留された液体に浸漬することで液体揮散具を容易に使用状態にすることができる。
【0015】
また、例えば、袋入りの詰替用の液体を合わせて揮散体の浸漬部を折り畳んで収容した交換用揮散体装着用中蓋を販売することによって、交換用揮散体装着用中蓋の揮散体の浸漬部を伸ばして交換用揮散体装着用中蓋を容器本体に取り付けることにより、容器本体に貯留された液体が揮散した使用済の容器本体及びカバーの再使用が可能となり、資源のリユースに寄与することができる。
【0016】
また、揮散体装着用中蓋を、容器本体への第1取付部と、該第1取付部に着脱可能な第2取付部を備えた揮散体装着部とで構成することにより、ユーザーが液体揮散具を一層容易に使用状態にすることができる。
【0017】
また、揮散体装着用中蓋の揮散体装着部を、前記第2取付部と、該第2取付部にヒンジ部を介して開口可能に設けられ、揮散体の浸漬部と一体の揮散体の揮散部を保持する蓋部とで構成し、前記第2取付部を水平に区画する区画壁を形成し、該区画壁の上に、揮散体の浸漬部と揮散部とを接続する接続部に接するように第2揮散体を配設するとともに、区画壁の下に液体揮散具の使用時に容器本体に貯留された液体に浸漬される揮散体の浸漬部を折り畳んで収容するようにすることにより、液体の揮散状態を容易に制御することができるとともに、揮散体に目詰まりが生じることを防止することができる。
【0018】
また、例えば、袋入りの詰替用の液体を合わせて揮散体の浸漬部を折り畳んで収容した交換用揮散体装着部を販売することによって、交換用揮散体装着部の揮散体の浸漬部を伸ばして第1取付部を介して交換用揮散体装着部を容器本体に取り付けることにより、容器本体に貯留された液体が揮散した使用済の容器本体、第1取付部及びカバーの再使用が可能となり、資源のリユースに寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の液体揮散具の第1実施例を示す一部を切り欠いた正面断面図である。
【図2】同液体揮散具の揮散体を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は浸漬部を折り畳んだ状態の正面図である。
【図3】同液体揮散具の揮散体装着用中蓋を示し、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は(b)のX−X断面図、(d)は(c)のY−Y断面図である。
【図4】同液体揮散具の揮散体装着用中蓋に揮散体を収容する手順を示し、(a)は浸漬部を区画壁の孔部に挿入した状態を、(b)は(a)を平面視した状態を、(c)は揮散体を揮散体収納空間に収容した状態を、(d)は浸漬部を折り畳んで浸漬部収納空間に収容した状態を、(e)は(d)を平面視した状態を示す。
【図5】同液体揮散具を使用する際の手順を示す概略図である。
【図6】本発明の液体揮散具の第2実施例を示す一部を切り欠いた正面断面図である。
【図7】同液体揮散具の使用状態を示す一部を切り欠いた正面断面図である。
【図8】同液体揮散具に使用する揮散体装着用中蓋の揮散体装着部を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は(a)のZ−Z断面図、(d)はヒンジ部の拡大図、(e)は蓋部を揺動させた状態を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の液体揮散具の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0021】
図1〜図5に、本発明の液体揮散具の第1実施例を示す。
この液体揮散具1は、液体を貯留するための容器本体4と、容器本体4に貯留された液体を吸い上げて揮散させる揮散体2と、揮散体2を容器本体4に装着するための揮散体装着用中蓋3と、容器本体4を覆うカバー6とを備えた液体揮散具において、揮散体装着用中蓋3に、液体揮散具1の使用時に容器本体4に貯留された液体に浸漬される揮散体の浸漬部21を折り畳んで収容する揮散体収納空間33を設けるようにした、揮散体2が液体に浸漬されていない状態で販売される方式の液体揮散具である。
【0022】
揮散体2は、略正方形の揮散部20と、揮散部20より細幅に形成された容器本体4に貯留された液体に浸漬される揮散体の浸漬部21と、浸漬部21と同形状に形成された接続部22とからなる一体構造としている。
浸漬部21の長さは、伸ばしたときに、少なくとも、容器本体4の底面近傍に到達する長さを有し、折り畳んだ際に、2つ折り程度で揮散体装着用中蓋3に形成した揮散体収納空間33に収容できるように設定している。
揮散体2の構成材料は、浸漬部21及び接続部22を介して、容器本体4に貯留された液体を毛細管現象で吸い上げ、揮散部20において、吸い上げた液体を揮散させることができる公知の材料、例えば、不織布、ろ紙、繊維束、連続気泡発泡体等を用いるようにしている。
【0023】
揮散体装着用中蓋3は、容器本体4の口部40に取り付けられるとともに、揮散部20を保持し、浸漬部21を折り畳んだ状態で揮散体収納空間33に収容することができる構造であれば、その構成は特に限定されるものではないが、本実施例においては、図3に示すように、容器本体4の口部40に取り付けるための取付部3Bと、揮散体2を保持、収容する揮散体装着部3Aとから構成するようにしている。
【0024】
取付部3Bは、容器本体4の口部40の周面に形成した雄ねじ部41に螺合することができる雌ねじ部30を内周面に形成するとともに、外周面に取り付け時の滑りを防止するためのローレットを形成した円筒形状としている。
揮散体装着部3Aは、取付部3Bの上方に一体に形成され、区画壁31によって水平に区画し、区画された上部の開放した空間を揮散部配設空間32とし、下部の空間を揮散体収納空間33とするようにしている。
そして、区画壁31には、揮散体2の浸漬部21及び接続部22が通過可能な開口幅の孔部31aを形成する。
孔部31aの形成箇所は、図3〜図4に示すように、揮散部配設空間32に揮散部20を配設したときに、揮散体2の浸漬部21及び接続部22が位置する箇所(本実施例では、略正方形となる区画壁31のいずれか1辺の中央部)に形成する。
また、揮散体装着部3Aの揮散部配設空間32の開放した上面には、各辺に爪部34を形成し、揮散部配設空間32の開放した上面側から揮散体2の揮散部20を変形させながら取り付けることができるようにするとともに、揮散部配設空間32に配設した揮散体2の揮散部20が離脱することを防止するようにしている。
【0025】
区画壁31には、孔部31aのほかに、揮散部20に吸い上げられた液体が過剰となった場合に、揮散部20から漏れ出す液体を容器本体4内に戻すための開口部31bを形成する。
開口部31bは、揮散部20から漏れ出した液体が容器本体4に戻るように形成すれば、その数や形状は、特に限定されるものではないが、本実施例においては、図3に示すように、4隅から中央に向かって略矩形状に4箇所に形成するようにしている。
また、区画壁31の上面に、揮散部配設空間32側に向かって突出した針状の突起部31cを形成し、揮散部配設空間32に配設された揮散部20を固定するようにしている。
突起部31cの配設数は、特に限定されるものではないが、本実施例においては、4箇所配設した例を示す。
【0026】
容器本体4は、合成樹脂又はガラス製のものからなり、口部40に揮散体装着用中蓋3が取り付けられる構造であれば、特にその構成を限定されるものではなく、本実施例においては、口部40の周面に形成した雄ねじ部41に、揮散体装着用中蓋3の取付部3Bに形成した雌ねじ部30を螺合し、揮散体装着用中蓋3が取り付けられるようにしている。
また、容器本体4の口部40は、販売時には、シール材や中蓋等からなる封緘材5によって密封するようにし、ユーザーが使用時に封緘材5を取り外し、揮散体装着用中蓋3の揮散体収納空間33に収容されている揮散体2の折り畳まれた浸漬部21を伸ばして、容器本体4の液体に浸漬させながら、揮散体装着用中蓋3を容器本体4に取り付けるようにする。
これにより、長期間の保存に対応できるとともに、移送等の際に容器本体4に貯留した液体が漏れ出すことを防止することができる。
【0027】
容器本体4に取り付けるカバー6は、容器本体4の周方向に形成した溝部42に嵌合する周上突起部6aを内周面に形成し、液体揮散具1の使用時において、揮散体2の揮散部20から揮散する液体の成分が室内に放たれるように、表面に拡散口6bを開口するようにしている。
カバー6は、液体揮散具1の使用時において、最も人目につく部分となるため、意匠上見栄えのよい材質や形状とする。
【0028】
次に、揮散体2を揮散体装着用中蓋3に取り付ける手順を、図4に基づいて説明する。
まず、図4(a)及び(b)に示すように、揮散体2の浸漬部21及び接続部22を、揮散部20から伸ばした状態にして、孔部31aの上部の爪部34をかわしながら、区画壁31に開口した孔部31aを通過させる。
そして、浸漬部21及び接続部22が孔部31aを通過し、揮散部20が揮散体装着部3Aの揮散部配設空間32の開放した上面の各辺に形成した爪部34を越えることによって、図4(c)に示すように、揮散部20が揮散部配設空間32に配設され、突起部31cによって固定される。
この状態で、図4(d)及び(e)に示すように、孔部31aから垂れ下がった浸漬部21及び接続部22を折り畳み、折り畳んだ状態の浸漬部21及び接続部22を揮散体収納空間33に収容する。
【0029】
この液体揮散具1は、図1に示すように、容器本体4の口部40を封緘材5によって密封し、揮散体2の揮散部20を揮散部配設空間32に配設するとともに、浸漬部21及び接続部22を揮散体収納空間33に折り畳んだ状態で収容した揮散体装着用中蓋3を、揮散体装着用中蓋3の雌ねじ部30を容器本体4の口部40の雄ねじ部41に螺合することにより取り付け、容器本体4の周方向に形成した溝部42に嵌合する周上突起部6aを内周面に形成したカバー6を取り付けた状態で流通させる。
このとき、容器本体4の口部40は封緘材5によって密封されているから、雌ねじ部30及び雄ねじ部41のねじ精度を高める必要がない。
【0030】
そして、使用時には、ユーザーが、カバー6を容器本体4から取り外し、図5に示すように、容器本体4の口部40から取り外した揮散体装着用中蓋3の揮散体収納空間33から揮散体2の浸漬部21及び接続部22を引き出すとともに、容器本体4の口部40を封緘する封緘材5を取り外す。
その後、揮散体2の折り畳まれた浸漬部21を伸ばして、容器本体4の液体に浸漬させながら、揮散体装着用中蓋3を容器本体4に取り付け、容器本体4にカバー6を取り付けて使用に供するようにする。
【0031】
ところで、この液体揮散具1は、例えば、袋入りの詰替用の液体を合わせて揮散体の浸漬部及び接続部を折り畳んで収容した交換用揮散体装着用中蓋(揮散体装着用中蓋3と同形状のもの(図示省略))を販売することができる。
これによって、交換用揮散体装着用中蓋の揮散体の浸漬部を伸ばして容器本体4に取り付けることにより、容器本体4に貯留された液体が揮散した使用済の容器本体4及びカバー6の再使用が可能となり、資源のリユースに寄与することができる。
【実施例2】
【0032】
図6〜図8に、本発明の液体揮散具の第2実施例を示す。
この液体揮散具1は、揮散体装着用中蓋3を、容器本体への第1取付部3B1と、第1取付部3B1に着脱可能な第2取付部3B2を備えた揮散体装着部3Aとで構成したもので、より具体的には、揮散体装着用中蓋3の揮散体装着部3Aを、第2取付部3B2と、第2取付部3B2にヒンジ部Hを介して開口可能に設けられ、揮散体2の浸漬部21と接続部22を介して一体構造とした揮散体2の揮散部20を保持する蓋部7とで構成し、第2取付部3B2を水平に区画する区画壁31を形成し、区画壁31の上に、揮散体2の浸漬部21と揮散部20とを接続する接続部22に接するように第2揮散体23を配設するとともに、区画壁31の下に液体揮散具1の使用時に容器本体4に貯留された液体に浸漬される揮散体2の浸漬部21及び接続部22を折り畳んで収容するようにしている。
【0033】
揮散体2は、略正方形の揮散部20及び第2揮散体23と、揮散部20より細幅に形成された容器本体4に貯留された液体に浸漬される揮散体の浸漬部21と、浸漬部21と同形状に形成された接続部22とからなる一体構造としている。
揮散体2の構成材料は、第1実施例と同様、公知の材料、例えば、不織布、ろ紙、繊維束、連続気泡発泡体等を用いるようにしている。
【0034】
第1取付部3B1は、第1実施例と同様、容器本体4の口部40の周面に形成した雄ねじ部41に螺合する雌ねじ部30を内周面に形成するとともに、外周面に取り付け時の滑りを防止するためのローレットを形成した円筒形状とし、上部に揮散体装着部3Aを取り付けるための係合部37aを外面に形成した矩形の外周枠37を備える。
【0035】
揮散体装着部3Aの第2取付部3B2は、矩形の枠構造とし、内部を区画壁31によって、第2揮散体23の揮散部配設空間32及び揮散体収納空間33に区画する。
この区画壁31には、第1実施例と同様に、揮散部20及び第2揮散体23から漏れ出す液体を容器本体4内に戻すための開口部31bを形成するとともに、浸漬部21に一部を当接させて揮散部配設空間32に収容する第2揮散体23を引っ掛けるようにして固定する爪部32Aを形成するようにしている。
第2揮散体23は、開口部31bを覆い、浸漬部21が挿通される孔部31aを覆わない位置で固定し、揮散体2の浸漬部21と揮散部20とを接続する接続部22に1辺が接するように配設することによって、浸漬部21及び接続部22を介して、容器本体4に貯留された液体を毛細管現象で吸い上げ、第2揮散体23及び揮散部20において、吸い上げた液体を揮散させることができるようにしている。
【0036】
区画壁31と共に揮散体収納空間33を形成する下部外周枠35は、第1取付部3B1の外周枠37に形成した係合部37aと係合する突起部35aを形成し、図6に示すように上部から押し込むことによって、突起部35aに係合部37aが係合して揮散体装着部3Aの第2取付部3B2が第1取付部3B1に取り付けられるようにしている。
また、区画壁31と共に揮散部配設空間32を形成する上部外周枠36は、1辺を蓋部7との連結部36aとして、蓋部7の連結部7aと連結し、両連結部36a、7aが折れ曲がるようにすることにより、蓋部7が揺動自在となるようにしている。
【0037】
上部外周枠36の連結部36a及び蓋部7の連結部7aは、揮散体装着用中蓋3の揮散体装着部3Aに、蓋部7が揺動自在に連結されるようにするものであれば、特に限定するものではないが、本実施例においては、図8に示すように、揮散体装着部3Aと蓋部7とを一体に成形し、両連結部36a、7a同士の接合部が、薄肉のヒンジ部Hとなるようにしている。
より具体的には、揮散体装着部3Aの上部外周枠36の上面縁部と蓋部7の裏面部とが同一平面上となるように成形し、薄肉のヒンジ部Hは、外力が加わっていない状態では、上部外周枠36の上面縁部と蓋部7の裏面部とが同一平面上に、外力を加えるとヒンジ部Hを基線として容易に180°折り畳まれて、上部外周枠36の上面縁部と蓋部7の裏面部とが当接するように構成されている。
【0038】
上部外周枠36は、連結部36aを形成した辺の対辺に切欠部36bを形成し、蓋部7の連結部7aの対辺に形成した係合部材70が切欠部36bに係合するようにしている。
これによって、蓋部7が、揮散体装着部3Aの開放した上面(揮散体装着用中蓋3の上部外周枠36)を覆ったときに、切欠部36bに係合部材70が係合し、蓋部7が固定されるようにしている。
また、図8(a)に示すように、ヒンジ部Hの近傍の揮散体装着部3Aに嵌合凹部38を、ヒンジ部Hの近傍の蓋部7に嵌合凸部73を形成し、嵌合凹部38に嵌合凸部73が嵌合することによって、蓋部7の揮散体装着部3Aへの固定(蓋部7の開口角度の調節機構の機能を含む。)をより安定したものとすることができる。
なお、ヒンジ部Hを軸孔と枢軸で構成し、蓋部7の揺動角度を任意に調整する蓋部7の開口角度の調節機構(図示省略)を設けることもできる。
【0039】
蓋部7は、矩形の上部外周枠36を覆うように矩形に形成し、揮散体2の揮散部20を保持するL字状の爪部71を、連結部7aを形成する辺以外の3辺に形成する。
また、蓋部7は、揮散体2の浸漬部21を容器本体4に貯留された液体に浸漬することによって、蓋部7で揮散体装着部3Aの第2取付部3B2の開放した上面を覆ったままの状態でも、浸漬部21で吸い上げた芳香剤の香りや消臭材の消臭成分を周辺に拡散することができるように、開口部72を形成するようにしている。
【0040】
また、蓋部7には、蓋部7で揮散体装着部3Aの開放した上面を覆ったときに、蓋部7が上部外周枠36内に入り込まないようにするための、上部外周枠36の高さと略同一高さのストッパ74を形成するようにしている。
【0041】
この液体揮散具1は、揮散体2の揮散部20を蓋部7の爪部71によって保持し、浸漬部21及び接続部22を、実施例1と同様の方法で、揮散体装着部3Aの第2取付部3B2の揮散体収納空間33に収容するとともに、第2揮散体23を、区画壁31の上に、揮散体2の浸漬部21と揮散部20とを接続する接続部22に接するように配設する。
そして、蓋部7の係合部材70を上部外周枠36の切欠部36bに係合させて、蓋部7で、揮散体装着部3Aの第2取付部3B2の開放した上面を覆うようにする。
これにより、図6に示すように、揮散部20と第2揮散体23とは接した状態で収容されることとなる。
【0042】
この液体揮散具1は、図6に示すように、容器本体4の口部40を封緘材5によって密封し、揮散体2の揮散部20を蓋部7に保持するとともに、浸漬部21及び接続部22を揮散体収納空間33に折り畳んだ状態で収容し、さらに、第2揮散体23を区画壁31の上に配設した揮散体装着用中蓋3を、揮散体装着用中蓋3の第1取付部3B1の雌ねじ部30を容器本体4の口部40の雄ねじ部41に螺合することにより取り付け、容器本体4の周方向に形成した溝部42に嵌合する周上突起部6aを内周面に形成したカバー6を取り付けた状態で流通させる。
このとき、容器本体4の口部40は封緘材5によって密封されているから、雌ねじ部30及び雄ねじ部41のねじ精度を高める必要がない。
【0043】
そして、使用時には、ユーザーが、カバー6を容器本体4から取り外すとともに、容器本体4の口部40から揮散体装着用中蓋3を取り外す。そして、取り外した揮散体装着用中蓋3の揮散体装着部3Aの第2取付部3B2の揮散体収納空間33から揮散体2の浸漬部21及び接続部22を引き出すとともに、容器本体4の口部40を封緘する封緘材5を取り外す。
その後、揮散体装着用中蓋3の第1取付部3B1を容器本体4に固定し、次に、揮散体2の折り畳まれた浸漬部21を伸ばして、容器本体4の液体に浸漬させながら、揮散体装着用中蓋3の第2取付部3B2を第1取付部3B1を介して容器本体4に取り付け、容器本体4にカバー6を取り付けて使用に供するようにする。
このとき、芳香剤の香りや消臭材の消臭成分を、通常よりも多く周辺に拡散したい場合には、図7に示すように、蓋部7の係合部材70による上部外周枠36の切欠部36bへの係合及び嵌合凸部73による嵌合凹部38への嵌合を解除する。
これによって、カバー6の内面と蓋部7の縁部が当接するまで揺動し、揮散部20は、蓋部7の揺動に伴って揺動し、浸漬部21で吸い上げた芳香剤の香りや消臭材の消臭成分を揮散部20の両面を使ってより効率的に周辺に拡散させることができる。
また、蓋部7が揺動することによって第2揮散体23の上面が露出することとなり、浸漬部21で吸い上げた芳香剤の香りや消臭材の消臭成分を第2揮散体23を使ってより効率的に周辺に拡散させることができる。
【0044】
ところで、この液体揮散具1は、例えば、袋入りの詰替用の液体を合わせて揮散体の浸漬部及び接続部を折り畳んで収容した交換用揮散体装着部(揮散体装着部4Aと同形状のもの(図示省略))を販売することができる。
これによって、交換用揮散体装着部の揮散体の浸漬部を伸ばして第1取付部3B1を介して交換用揮散体装着部を容器本体4に取り付けることにより、容器本体4に貯留された液体が揮散した使用済の容器本体4、第1取付部3B1及びカバー6の再使用が可能となり、資源のリユースに寄与することができる。
【0045】
なお、本実施例のその他の構成及び作用は、上記第1実施例と同様である。
【0046】
以上、本発明の液体揮散具について、複数の実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の液体揮散具は、コンパクトな形状で、かつ、ユーザーが揮散体の取り扱いを容易に行うことができるという特性を有していることから、揮散体が液体に浸漬されていない状態で販売される方式の液体揮散具の用途に用いることができる。
また、適用対象も、芳香剤のほか、消臭材等、拡散性の液体を揮散させるために用いられる液体揮散具の用途に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 液体揮散具
2 揮散体
20 揮散部
21 浸漬部
22 接続部
23 第2揮散体
3 揮散体装着用中蓋
3A 揮散体装着部
3B 取付部
3B1 第1取付部
3B2 第2取付部
31 区画壁
31a 孔部
32 揮散部配設空間
33 揮散体収納空間
4 容器本体
40 口部
5 封緘材
6 カバー
7 蓋部
H ヒンジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留するための容器本体と、該容器本体に貯留された液体を吸い上げて揮散させる揮散体と、該揮散体を容器本体に装着するための揮散体装着用中蓋と、容器本体を覆うカバーとを備えた液体揮散具において、前記揮散体装着用中蓋に、液体揮散具の使用時に容器本体に貯留された液体に浸漬される揮散体の浸漬部を折り畳んで収容する揮散体収納空間を設けたことを特徴とする液体揮散具。
【請求項2】
揮散体の浸漬部を折り畳んで収容した交換用揮散体装着用中蓋の揮散体の浸漬部を伸ばして容器本体に取り付けるようにしたことを特徴とする請求項1記載の液体揮散具。
【請求項3】
揮散体装着用中蓋を、容器本体への第1取付部と、該第1取付部に着脱可能な第2取付部を備えた揮散体装着部とで構成したことを特徴とする請求項1記載の液体揮散具。
【請求項4】
揮散体装着用中蓋の揮散体装着部を、前記第2取付部と、該第2取付部にヒンジ部を介して開口可能に設けられ、揮散体の浸漬部と一体の揮散体の揮散部を保持する蓋部とで構成し、前記第2取付部を水平に区画する区画壁を形成し、該区画壁の上に、揮散体の浸漬部と揮散部とを接続する接続部に接するように第2揮散体を配設するとともに、区画壁の下に液体揮散具の使用時に容器本体に貯留された液体に浸漬される揮散体の浸漬部を折り畳んで収容するようにしたことを特徴とする請求項3記載の液体揮散具。
【請求項5】
揮散体の浸漬部を折り畳んで収容した交換用揮散体装着部の揮散体の浸漬部を伸ばして第1取付部を介して容器本体に取り付けるようにしたことを特徴とする請求項3又は4記載の液体揮散具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−75748(P2012−75748A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225121(P2010−225121)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(500140943)ライオンケミカル株式会社 (10)
【Fターム(参考)】