説明

液体洗浄剤組成物

【課題】 水希釈前は低pH領域で漂白基剤を安定に保存し得、そして水希釈後は高pH領域で漂白基剤による漂白効果及び洗浄効果が得られる、液体洗浄剤組成物の提供。
【解決手段】 下記(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を含有する液体洗浄剤組成物。
(a)過酸化水素又は水中で過酸化水素を生成する化合物
(b)ゲルマニウム又はゲルマニウムを含有する化合物
(c)隣り合う炭素原子の両方にそれぞれ1つヒドロキシル基を有する部位が1つ以上存在する化合物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
過酸化水素等の漂白基剤を配合した液体洗浄剤組成物は、組成物の安定性と漂白効果を両立させる観点から、組成物の保存時のpHを酸性(例えば、pH2〜4)にする必要がある。
【0003】
漂白基剤を含有する漂白剤組成物や洗浄剤組成物分野において、ホウ素化合物及び糖類を含有する組成物を使用時に水に希釈することでpHを上昇させる技術(pHジャンプ技術)が特許文献1〜6に開示されている。この技術を用いた場合、水で希釈した場合に上昇するpHは最大で9付近であり、pHを9以上に上昇させるための達成手段として、水希釈前(保存時)の組成物のpHを予め5以上に調整することが必要である。しかしながら、このように保存時のpHを5以上に調整した場合、組成物中の漂白基剤の安定性に問題が生じる。
【特許文献1】特開平6−100888号公報
【特許文献2】特開平7−53994号公報
【特許文献3】特開平7−70593号公報
【特許文献4】特開平10−72595号公報
【特許文献5】特開平10−72596号公報
【特許文献6】特開2000−144187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
過酸化水素等の漂白基剤を配合した液体洗浄剤組成物において、過酸化水素による漂白効果のより一層の向上のため、水希釈前はより低いpHで保存し、そして水希釈時により高いpHまで上昇させる技術が求められている。
【0005】
本発明の課題は、水希釈前は低pH領域で漂白基剤を安定に保存し得、そして水希釈後は高pH領域で漂白基剤による漂白効果及び洗浄効果が得られる、液体洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、鋭意研究の結果、ゲルマニウム又はゲルマニウムを含有する化合物と特定の多価アルコールを併用することで著しく高いpHジャンプ効果を発現し、水希釈前は低pH領域で漂白基剤を安定に保存し得、水希釈後は高pH領域で漂白基剤による漂白効果及び洗浄効果が著しく向上し得ることを見出した。
【0007】
即ち、本発明は、下記(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を含有する液体洗浄剤組成物を提供する。
(a)過酸化水素又は水中で過酸化水素を生成する化合物
(b)ゲルマニウム又はゲルマニウムを含有する化合物
(c)隣り合う炭素原子の両方にそれぞれ1つヒドロキシル基を有する部位が1つ以上存在する化合物
【発明の効果】
【0008】
本発明の液体洗浄剤組成物は、著しく高いpHジャンプ効果を発現することができ、水希釈前は低pH領域で漂白基剤を安定に保存することができ、水希釈後は高pH領域で漂白基剤による優れた漂白効果及び洗浄効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[(a)成分]
本発明の液体洗浄剤組成物は、(a)成分として過酸化水素又は水中で過酸化水素を生成する化合物を含有する。水中で過酸化水素を生成する化合物としては、過炭酸塩、過ホウ酸塩等が挙げられる。
【0010】
本発明の液体洗浄剤組成物中の(a)成分の含有量(過酸化水素としての含有量)は、好ましくは0.1〜6質量%、より好ましくは0.5〜5質量%、更に好ましくは1〜4.5質量%、特に好ましくは1〜3質量%である。このような範囲において優れた漂白効果を得ることができる。
【0011】
[(b)成分及び(c)成分]
本発明の液体洗浄剤組成物は、(b)成分としてゲルマニウム又はゲルマニウムを含有する化合物を含有する。ゲルマニウムを含有する化合物としては、例えば、塩化ゲルマニウム、酸化ゲルマニウム、臭化ゲルマニウム、ヨウ化ゲルマニウム、ゲルマニウムエトキシド、ゲルマニウムメトキシド、ゲルマニウムブトキシド、ゲルマニウムイソプロポキシドなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(c)成分として隣り合う炭素原子の両方にそれぞれ1つヒドロキシル基を有する部位が1つ以上存在する化合物を含有する。
【0013】
本発明において、(c)成分は、液体洗浄剤組成物中で(b)成分とモノ体又はジ体を形成し得る化合物であり(下記一般式を参照)、3個以上のヒドロキシル基を有し、且つ隣り合う炭素原子の両方にそれぞれ1つヒドロキシル基を有する部位が1つ以上存在するような構造を有する化合物が好ましい。
【0014】
ここで、(b)成分と(c)成分との間には下記の式のような平衡反応が存在する。
【0015】
【化1】

【0016】
(c)成分の具体例としては下記(1)〜(4)の化合物が好適であり、これらの化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を用いることができる。
【0017】
(1)グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、アルキル(炭素数1〜10)ポリグリセリルエーテル(例えば、アルキル(炭素数1〜10)ジグリセリルエーテル、アルキル(炭素数1〜10)トリグリセリルエーテル)
(2)ソルビトール、マンニトール、マルチトース、イノシトール、及びフィチン酸から選ばれる糖アルコール類
(3)グルコース、アピオース、アラビノース、ガラクトース、リキソース、マンノース、ガロース、アルドース、イドース、タロース、キシロース、及びフルクトースから選ばれる還元糖類、及びこれらの誘導体(アルキル(ポリ)グリコシド等)
(4)デンプン、デキストラン、キサンタンガム、グアガム、カードラン、プルラン、アミロース、及びセルロースから選ばれる多糖類。
【0018】
本発明では、特に上記(2)の糖アルコール類が好適であり、単独又は複数で用いることができる。特にソルビトールが安定性及び漂白/洗浄効果の点から好適である。
【0019】
一つの実施形態として、本発明の液体洗浄剤組成物は、(b)成分と(c)成分から構成されるpHジャンプ系を、特定の組成及び比率で使用し得る。本発明の液体洗浄剤組成物は、このような特定の組成及び比率を更に有することで、優れたpHジャンプ効果及び優れた過酸化水素の安定性を発現し得る。
【0020】
本発明では液体洗浄剤組成物に対して1000容積倍の水により希釈した場合の希釈液の20℃におけるpHが8.5以上10.5未満、好ましくは9以上10.5未満になることが漂白/洗浄効果を得る目的から好ましい。
【0021】
本発明においてはジ体がpHジャンプ系の主要成分であることが希釈溶液のpHを8.5以上10.5未満にするために好適であり、液体洗浄剤組成物中に存在する全ゲルマニウム化合物に対して、ジ体の含有量が70〜100モル%であり、モノ体の含有量が5モル%未満であり、そして単独で存在するゲルマニウム及び/又はゲルマニウム化合物の含有量が25モル%未満になるようにすることが好適である。本発明においては(c)成分/(b)成分のモル比を、好ましくは1.0〜12.0、より好ましくは1.5〜10.0、更に好ましくは1.5〜6.0、特に好ましくは2.0〜4.0に調整することで、優れたpHジャンプ効果、並びに過酸化水素及び漂白活性化剤の安定性が得られ得る。
【0022】
なお、本発明では(b)成分及び(c)成分を液体洗浄剤組成物に配合する場合には、一般に、液体洗浄剤組成物中では上記モノ体、及びジ体の化合物に変換されている。本発明でいう(b)成分の含有量とは、単独、モノ体及びジ体として存在する(b)成分の全含有量を意味する。(c)成分の含有量とは、単独、モノ体及びジ体として存在する(c)成分の全含有量を意味する。本発明の(b)成分の含有量は、優れたpHジャンプ効果を達成させる観点から、液体洗浄剤組成物中においてゲルマニウム原子として好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.15〜3.0質量%、特に好ましくは0.2〜3.0質量%である。(c)成分の含有量は、優れたpHジャンプ効果を達成させる観点から、液体洗浄剤組成物中において好ましくは0.3〜35質量%、より好ましくは1〜30質量%、特に好ましくは2〜20質量%である。
【0023】
なお、変換されたモノ体及びジ体の含有量は、ゲルマニウム(32Ge)のNMR分光法とICP発光分析法との組合せを用いることで算出することができる。
【0024】
[液体洗浄剤組成物]
本発明の液体洗浄剤組成物は、必須成分として上記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を含有する。また、本発明の液体洗浄剤組成物は、(d)成分として漂白活性化剤を含有することができる。
【0025】
本明細書中において、漂白活性化剤とは、無機過酸化物と反応することで有機過酸を生成する化合物を意味する。本発明の漂白活性化剤としては、以下の一般式(1)で表されるエステル結合を有する化合物が挙げられる。
【0026】
1a−C(=O)−LG (1)
〔式中、R1aは、炭素数5〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基、アリール基、又はアルキル基(炭素数1〜3)置換アリール基である。LGは脱離基である。〕
一般式(1)において、R1aは、好ましくは炭素数5〜13の分岐鎖のアルキル基であり、カルボニル炭素に対してα位又はβ位に側鎖を有する炭素数5〜13の分岐鎖アルキル基がより好ましい。このような分岐鎖アルキル基を有する漂白活性化剤は、直鎖アルキル基を有する漂白活性化剤と比較して、弱酸性領域における貯蔵安定性の向上を確保できることから、より高い漂白効果及び高い洗浄効果を液体洗浄剤組成物に付与することが可能となる。
【0027】
また、一般式(1)において、LGで示される脱離基としては、具体的には以下の群から選ばれる基が挙げられる。
【0028】
【化2】

【0029】
(ここでR1bはアルキレン基、好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基、pは0又は1、Mは水素原子、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を示す。)
(d)成分の具体的に好ましい化合物としては、下記一般式(2)で表される化合物を挙げることができる。
【0030】
【化3】

【0031】
〔式中、R2a−CO−は、カルボニル炭素に対してα位及びβ位の少なくとも一方に側鎖を有する総炭素数6〜21、好ましくは6〜13、更に好ましくは7〜13のアルカノイル基であり、R2a−は下記のα位分岐型又はβ位分岐型が好適である。
【0032】
【化4】

【0033】
ここで、R2bは炭素数4〜10のアルキル基であり、R2cはメチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基から選ばれる基である。Xは−COOM及び−SO3Mから選ばれる基であり、Mは水素原子、アルカリ金属又はアルカリ土類金属である。〕
本発明の(d)成分としては、一般式(2)においてR2a−CO−が2−エチルヘキサノイル基、3,5,5−トリメチルヘキサノイル基、2−エチルペンタノイル基、又は3,6,8,8−テトラメチルノナノイル基が好ましく、特に3,5,5-トリメチルヘキサノイル基が最も好適である。また、Xが-COOH又は−SO3Mである化合物が好適であり、p位に−SO3Mを有する化合物が最も好ましい。
【0034】
本発明の液体洗浄剤組成物中における(d)成分の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.2〜5質量%、特に好ましくは0.2〜2質量%である。
【0035】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(e)成分として界面活性剤を含有することができる。界面活性剤は、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種であり、特許庁公報「周知・慣用技術集(衣料用粉末洗剤)」日本国特許庁、平成10年3月26日、P4〜22に記載されている界面活性剤を用いることができる。
【0036】
本発明に用いられる界面活性剤は、非イオン界面活性剤を含有することが好ましい。非イオン界面活性剤としては下記一般式(3)で表される化合物が好ましく、グリフィン法で求めたHLBが13〜17の非イオン界面活性剤が更に好ましい。
【0037】
3a−O[(EO)m/(PO)n]−H (3)
〔式中、R3aは、炭素数10〜18、好ましくは12〜14のアルキル基又はアルケニル基を示す。mは数平均付加モル数0〜20の数、nは数平均付加モル数0〜20の数を示し、m及びnの両者が0の場合を除く。好ましくはmの数平均付加モル数は6〜15、より好ましくは7〜12であり、nの数平均付加モル数は0〜10、より好ましくは0〜5、特に好ましくは0〜3である。またEOとPOとはランダム共重合体又はブロック共重合体のいずれの形態で配列されていてもよい。〕
ここで、グリフィン法で求めたHLBとは、以下の式で求めたHLBである。
【0038】
HLB値=20×親水部の式量の総和/分子量
これらの非イオン界面活性剤の中では、グリフィン法で求めたHLBが13〜17である、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤、並びにオキシエチレン基及びオキシプロピレン基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種が好ましく、具体的には、下記一般式で表される化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
1225-O(C24O)m1−H (m1=7〜20、HLB=13.1〜16.9)
1429-O(C24O)m2−H (m2=7〜24、HLB=13.1〜17.0)
1225-O(C24O)p1(C36O)2(C24O)r1−H (p1+r1=5〜18、HLB=13.4〜17.0)
これら一般式で表される化合物の一例として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(オキシエチレン平均付加モル数8、HLB13.1)、C1225-O(C24O)7-(C36O)2-(C24O)4−H(HLB15.8)などが挙げられる。
【0040】
これらの非イオン界面活性剤の中では、特にオキシエチレン基及びオキシプロピレン基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤が好ましい。このポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン性界面活性剤は、ランダム共重合体又はブロック共重合体のいずれの形態で配列されていてもよく、その中でもブロック共重合体が好ましい。ブロック共重合体の形態としては、下記一般式(4)で表され、グリフィン法で求めたHLBが13〜17である化合物が特に好ましい。
【0041】
4a−O(EO)a(PO)b(EO)c−H (4)
〔式中、R4aは炭素数10〜18、好ましくは12〜14のアルキル基又はアルケニル基を示す。aは数平均付加モル数1〜20の数、bは数平均付加モル数1〜20の数、cは数平均付加モル数1〜20の数を示す。好ましくは、aの数平均付加モル数は6〜15、より好ましくは7〜12であり、bの数平均付加モル数は1〜10、より好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜3であり、cの数平均付加モル数は6〜15、より好ましくは7〜12である。〕
非イオン界面活性剤は、2種以上の混合物として配合し得る。
【0042】
本発明の液体洗浄剤組成物中の(e)成分の含有量は、洗浄性能向上の観点から、好ましくは1.0〜70質量%、より好ましくは10〜70質量%、更に好ましくは15〜70質量%、特に好ましくは20〜65質量%である。
【0043】
本発明の液体洗浄剤組成物は、(f)成分として、過酸化水素及び漂白活性化剤の安定性向上の観点から、金属イオン封鎖剤を含有し得る。金属イオン封鎖剤としては、ホスホン酸系化合物が好ましく用いられる。その具体例としては、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸塩、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、ニトリロトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸等の有機ホスホン酸誘導体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上配合することができる。中でも、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸等が好ましい。
【0044】
本発明の液体洗浄剤組成物中の(f)成分の含有量は、過酸化水素及び漂白活性化剤の安定性向上の観点から、好ましくは0.05〜1.0質量%、より好ましくは0.1〜0.5質量%である。
【0045】
本発明の液体洗浄剤組成物は、過酸化水素及び漂白活性化剤の安定性向上の観点から、ラジカルトラップ剤を含有し得る。ラジカルトラップ剤としては、フェノール系、すなわちフェノール性OH基を有する化合物、そのエステル誘導体やエーテル誘導体等の誘導体が好ましい。好適な例としては、ジメトキシフェノール、カテコール、ハイドロキノン、メトキシフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等が挙げられる。
【0046】
本発明の液体洗浄剤組成物は、香料等の各種成分を安定させる観点から、ハイドロトロープ剤を含有し得る。ハイドロトロープ剤としては、エタノール、イソプロパノール、フェニルポリオキシエチレンアルコール等の1価アルコール類や、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類等が挙げられる。
【0047】
その他に本発明の液体洗浄剤組成物は、シリコーン類、殺菌剤、蛍光染料、酵素、香料等の任意成分を配合し得る。本発明の液体洗浄剤組成物は水を含有し、通常、組成物の残部は水である。香料としては、例えば、特許公開2003−213295段落[0007]〜[0022]に記載の香料を使用することができる。
【0048】
本発明の液体洗浄剤組成物は、20℃におけるpHが好ましくは3〜7、より好ましくは3.5〜6、更に好ましくは3.7〜5.5において、安定性の向上、特に漂白活性化剤を配合する場合の更なる安定化を実現でき、貯蔵後でも優れた漂白洗浄性能を発現する。
【実施例】
【0049】
実施例1〜13、比較例1〜6
下記配合成分を用い、表1に示す組成の液体洗浄剤組成物を調製した。得られた液体洗浄剤組成物について、以下の方法でpHジャンプ性能及び漂白性能の評価を行った。結果を表1に示す。
【0050】
<配合成分>
(a)成分
・a−1;過酸化水素
(b)成分
・b−1;酸化ゲルマニウム
・b−2;塩化ゲルマニウム
(b’)成分((b)成分の比較品)
・b’−1;ホウ酸
・b’−2;4ホウ酸ナトリウム5水和物
(c)成分
・c−1;ソルビトール
・c−2;マンニトール
(d)成分
・d−1;デカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム(n−C919COOC64SO3Na)
・d−2;下記式で表されるiso−ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム
【0051】
【化5】

【0052】
(e)成分
・e−1;ポリオキシエチレンラウリルエーテル(オキシエチレン平均付加モル数8、HLB13.1)
・e−2;C1225O-(C24O)7-(C36O)2-(C24O)4-H(HLB15.8)
(f)成分
・f−1;エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸(デイクエスト2010、ソルーシア社製)
<pHジャンプ性能の評価法>
液体洗浄剤組成物1mLと4°DH1000mLを混合し、20℃のpHを測定した。pHは、(株)堀場製作所製pHメータF52、pH電極6367−S004を用いて測定したものである。
【0053】
<漂白性能の評価法>
液体洗浄剤組成物1mLと4°DH1000mLを混合した後、そこに以下の方法で調製したミートソース汚染布(4枚)を入れ、ターゴトメータを用いて20℃、80rpmで10分間漂白処理を行った。処理前後の布表面の反射率を測定し、下式により漂白率を求めた。
【0054】
・ミートソース汚染布の調製
カゴメ(株)製ミートソース(完熟トマトのミートソース(2007年5月27日賞味期限、ロット番号:D5527JF)/内容量259gの缶詰)の固形分をメッシュ(目の開き;500μm)で除去した後、得られた液を煮沸するまで加熱した。この液に木綿金布#2003を浸し、15分間煮沸した。そのまま火からおろし2時間程度放置し30℃まで放置した後、布を取りだし、余分に付着している液をへらで除去し、自然乾燥させた。その後プレスし、10×10cmの試験布として実験に供した。
【0055】
【数1】

【0056】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を含有する液体洗浄剤組成物。
(a)過酸化水素又は水中で過酸化水素を生成する化合物
(b)ゲルマニウム又はゲルマニウムを含有する化合物
(c)隣り合う炭素原子の両方にそれぞれ1つヒドロキシル基を有する部位が1つ以上存在する化合物
【請求項2】
(c)成分/(b)成分のモル比が1.0〜12.0である請求項1記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
更に(d)成分として漂白活性化剤を含有する請求項1又は2記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
更に(e)成分として界面活性剤を含有する請求項1〜3何れかに記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
(e)成分が、グリフィン法で求めたHLBが13〜17である、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤、並びにオキシエチレン基及びオキシプロピレン基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項4記載の液体洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2008−56720(P2008−56720A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−231676(P2006−231676)
【出願日】平成18年8月29日(2006.8.29)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】