説明

液体洗浄剤組成物

【課題】水希釈過程でのゲル化物の形成を抑制し、低温での流動性に優れ、かつ高い洗浄力を有する液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表されるPO・EOブロック付加型の非イオン界面活性剤であって、炭化水素基が、炭素数11以下の飽和直鎖炭化水素基5〜95モル%と炭素数12以上の飽和直鎖炭化水素基5〜95モル%とから成り、且つ全炭化水素基中の炭素数16以上の飽和直鎖炭化水素基の割合が5モル%以下である非イオン界面活性剤を含有する液体洗浄剤組成物。R−O−(PO)m−(EO)n−H(1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液体洗浄剤組成物として、直鎖アルキル基を有する高級アルコールに酸化エチレンを付加させた高級アルコールエトキシレートが知られているが、洗浄に使用する際の水希釈過程においてゲル化物を容易に形成し、洗浄剤成分の分離が起こり、洗浄力が失われる。また低温においては、流動性の悪化や分離を起こす。
【0003】
前記問題を克服するために、分岐アルキル基を有する高級アルコールエトキシレートが提案されたが、水希釈過程でのゲル化物の形成を抑制する性能は満足のいくものではなく、且つ洗浄力の点でも十分なものではなかった。
【0004】
また、炭化水素基に不飽和結合を有する不飽和アルコールエトキシレートは、低温流動性に優れるが、二重結合を有するために洗浄力、安定性が劣る。更に、特許文献1において、溶剤の配合による低温流動性の改良が試みられたが、少なからず界面活性剤自身の性能に影響を与え、溶剤使用によりコストが上昇することから好ましくない。
【0005】
また、特許文献2においては、飽和直鎖高級アルコールに酸化エチレンと酸化プロピレンをランダム付加することにより得られる非イオン界面活性剤が提案されたが、これでも満足のいく流動性、洗浄力を有していない。
【特許文献1】特開昭51−13394号公報、
【特許文献2】特開平7−303825号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、洗浄に使用する際の水希釈過程におけるゲル化物の形成を抑制し、低温での流動性に優れ、かつ高い洗浄力を有する液体洗浄剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記一般式(1)で表され、Rが、炭素数11以下の飽和直鎖炭化水素基(以下、短鎖アルキル基と表記する)5〜95モル%と炭素数12以上の飽和直鎖炭化水素基(以下、長鎖アルキル基と表記する)5〜95モル%とから成り、且つRの全量中の炭素数16以上の飽和直鎖炭化水素基の割合が5モル%以下である非イオン界面活性剤非イオン界面活性剤〔以下、(a)成分という〕を含有する液体洗浄剤組成物に関する。
R−O−(PO)m−(EO)n−H (1)
(式中、Rは炭素数6〜24の飽和直鎖炭化水素基、POはプロピレンオキシ基、mは平均付加モル数で0.1≦m≦15、EOはエチレンオキシ基、nは平均付加モル数で0<n≦50を示す。)
【発明の効果】
【0008】
本発明の液体洗浄剤組成物は、洗浄に使用する際の水希釈過程におけるゲル化物の形成を抑制し、低温での流動性に優れ、かつ高い洗浄力を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<(a)成分>
(a)成分の一般式(1)中のRは、原料の汎用性、取り扱い性の理由から、炭素数6〜22が好ましく、より好ましくは炭素数8〜18、更に好ましくは炭素数8〜16である。Rとしては、直鎖アルキル基が挙げられる。
【0010】
(a)成分は、低温での流動性や洗浄力といった性能面から、Rが、短鎖アルキル基10〜90モル%と長鎖アルキル基10〜90モル%とから、更に短鎖アルキル基20〜80モル%と長鎖アルキル基20〜80モル%とから、更に短鎖アルキル基30〜70モル%と長鎖アルキル基30〜70モル%とから構成されることが好ましい。
【0011】
また、(a)成分のRは上記構成比を満たした上で、短鎖アルキル基と長鎖アルキル基のモル比が、短鎖アルキル基/長鎖アルキル基=1/9〜9/1、更に1/4〜4/1、更に3/7〜7/3であることが好ましい。
【0012】
また、(a)成分の短鎖アルキル基中、炭素数8以下の飽和直鎖炭化水素基(RA)と炭素数9以上の飽和直鎖炭化水素基(RB)のモル比が、RA/RB=5/95〜95/5であることが、水希釈過程でのゲル化物の形成抑制、低温での流動性の観点から好ましく、RA/RB=10/90〜90/10、更に20/80〜80/20、更に30/70〜70/30が好ましい。
【0013】
また、(a)成分は、水希釈過程でのゲル化物の形成抑制、低温での流動性の観点から、Rの全量中の炭素数16以上の飽和直鎖炭化水素基の割合が5モル%以下であり、好ましくは3モル%以下である。更に、Rの全量中の炭素数18以上の飽和直鎖炭化水素基の割合は1モル%以下であることが好ましく、更に0.5モル%以下であることが好ましい。更に、Rの全量中の炭素数16以上17以下の飽和直鎖炭化水素基の割合が3モル%以下、更に2モル%以下、特に1モル%以下が好ましい。
【0014】
また、(a)成分は、Rにおける特定炭素数の化合物の個々の比率が40モル%以下であることが好ましく、より好ましくは35モル%以下である。従って、(a)成分は、Rとして、炭素数の異なる化合物を3つ以上含むことが好ましい。
【0015】
また、一般式(1)中、mのPOの平均付加モル数は、水希釈過程でのゲル化物の形成抑制、洗浄力といった性能面から、0.2〜10が好ましく、より好ましくは0.5〜5である。
【0016】
また、一般式(1)中、nのEOの平均付加モル数は、水希釈過程でのゲル化物の形成抑制、低温での流動性といった性能面から、3〜30が好ましく、より好ましくは4〜20、更に好ましくは5〜15である。
【0017】
また、m/n(平均付加モル数の比)は1/150〜10/3、更に1/40〜5/4、より更に1/30〜1/1が好ましい。
【0018】
(a)成分は、例えば、脂肪族飽和直鎖アルコールにプロピレンオキサイドを付加させた後に、更にエチレンオキサイドを付加させて得ることができ、この順序でブロック付加していること、且つ炭化水素基Rが、炭素数11以下の短鎖アルキル基と炭素数12以上の長鎖アルキル基の混合であり、更に、炭素数16以上の飽和直鎖炭化水素基を有する化合物の含有量が所定量であることを必須とする。これにより、本発明の液体洗浄剤組成物では、水希釈過程でゲル化物の形成を抑制し、低温での良好な流動性、高い洗浄力が実現できる。
【0019】
(a)成分は、アルキレンオキサイド付加体の分布が広くなり、本発明の効果を得るためにより好ましい化合物が得られることから、アルキレンオキサイド付加反応において、アルカリ触媒を使用することが好ましい。すなわち、(a)成分は、アルカリ触媒存在下で、原料化合物(例えば、脂肪族飽和直鎖アルコール、及びそのプロピレンオキサイド付加物)にアルキレンオキサイドを付加する工程を含む製造方法により得られたものが好ましい。アルカリ触媒としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物、及びトリエチルアミンなどのアミン化合物などが挙げられる。更に好適な触媒量は反応粗製物(全仕込み量)当たり0.005〜1.5重量%(固形分換算)、より好ましくは0.02〜1.2重量%(固形分換算)の範囲である。
【0020】
(a)成分の製造条件を以下に示すが、これに限定されるものではない。
【0021】
加熱、冷却操作、減圧、加圧操作が可能で、原料仕込口、製品取り出し口、アルキレンオキサイド及び窒素の導入管、撹拌装置、温度計、圧力計を備えた反応器に、上記に列挙した本発明に好適に使用できる脂肪族アルコールの所定量を仕込み、次いで、固形状の水酸化カリウムあるいは水酸化ナトリウム、もしくはそれらの水溶液を仕込んだ後、窒素置換し、常温から180℃の温度範囲で減圧脱水する。次いで、80〜180℃で所定量のアルキレンオキサイド(プロピレンオキサイド、次いでエチレンオキサイド)を導入、付加させる。アルキレンオキサイドの付加反応操作において、所定量のアルキレンオキサイドを導入後、圧力が低下して一定になるまで反応を継続する操作(熟成操作)を行うことがより好ましい。更に、得られた反応粗製物に対して公知の酸の適当量を添加して触媒を中和し、目的の(a)成分を得ることができる。なお、中和操作において、アルカリ吸着剤を使用して、触媒を除去することも可能である。
【0022】
すなわち、本発明の(a)成分は、例えば上記の方法に準じて、アルカリ触媒の存在下、下記一般式(1’)で表される脂肪族飽和直鎖アルコール(短鎖アルキル基と長鎖アルキル基が本発明の条件を満たすもの)に、プロピレンオキサイドを付加して、下記一般式(1’’)で表される化合物を製造し、次いで、これにエチレンオキサイドを付加して得ることができる。
R−O−H (1’)
(式中、Rは炭素数6〜24の飽和直鎖炭化水素基を示す。)
R−O−(PO)m−H (1’’)
(式中、Rは炭素数6〜24の飽和直鎖炭化水素基、POはプロピレンオキシ基、mは平均付加モル数で0.1≦m≦15を示す。)
【0023】
<液体洗浄剤組成物>
本発明の液体洗浄剤組成物は、(a)成分を、2〜80重量%、更に3〜70重量%含有することが好ましい。残部は水である。衣料用液体洗浄剤組成物とする場合、(a)成分の含有量は3〜70重量%、更に5〜60重量%が好ましく、20℃におけるpHは4〜13、更に5〜12が好ましい。また、食器やプラスチック、金属等の硬質表面用液体洗浄剤組成物とする場合、(a)成分の含有量は2〜60重量%、更に3〜50重量%が好ましく、20℃におけるpHは3〜13、4〜12がより好ましい。更に衣料を手洗いするための組成物等、軽質衣料用液体洗浄剤組成物とする場合、pHは4〜11が好ましく、5〜9がより好ましい。
【0024】
本発明の液体洗浄剤組成物には、上記必須成分の他に、本発明の効果を阻害しない範囲内で、高級脂肪酸、溶剤、公知のキレート剤、再汚染防止剤として、例えばポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース等、乳濁剤として、例えばポリ酢酸ビニル、酢酸ビニルスチレン重合体、ポリスチレンなどを配合する事ができる。更にpHを調整するために水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン、硫酸、塩酸等を使用できる。また、公知の増粘剤、漂白剤、酵素、防腐剤などを配合することもできる。更に、洗浄力などを更に向上させるために(a)成分以外の非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤などと組み合わせることもできる。なお、他の非イオン界面活性剤を含有する場合、全非イオン界面活性剤中、(a)成分の比率は1〜100重量%、更に10〜100重量%が好ましく、特に30〜100重量%が好ましい。また、全界面活性剤中、(a)成分の比率は1〜95重量%、更に5〜90重量%が好ましく、特に10〜80が好ましい。
【0025】
本発明の液体洗浄剤組成物は、衣料用、食器やプラスチック、金属等の硬質表面用、身体(手指、毛髪、洗顔等)用、更に、香粧や化粧用などとして用いることができる。
【0026】
本発明の液体洗浄剤組成物は、5℃における粘度が、移送時・配合時のハンドリング性の観点から、200mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは150mPa・s以下、更に好ましくは100mPa・s以下である。この粘度は後述の実施例の方法で測定されたものである。
【実施例】
【0027】
1.非イオン界面活性剤の合成
(1)本発明品の合成
炭素数8の飽和直鎖アルコール130g、炭素数10の飽和直鎖アルコール192g、炭素数12の飽和直鎖アルコール104g、炭素数14の飽和直鎖アルコール81g、炭素数16の飽和直鎖アルコール10g、炭素数18の飽和直鎖アルコール3gの混合アルコール(モル比31.2:38:17.4:11.8:1.3:0.3)及びKOH1.8gを攪拌装置、温度制御装置、自動導入装置を備えたオートクレーブに仕込み、110℃、1.3kPaにて30分間脱水を行った。脱水後窒素置換を行い、120℃まで昇温した後、プロピレンオキサイドを371g仕込んだ。120℃にて付加反応・熟成を行い、プロポキシレートを得た。次いで、120℃にてエチレンオキサイドを1408g仕込んだ。120℃にて付加反応・熟成を行った。その後、80℃まで冷却した後、1.9gの酢酸をオートクレーブ内に加え、80℃で30分間攪拌した後、抜き出しを行い、本発明の非イオン界面活性剤(1)[一般式(1)においてR:C8/C10/C12/C14/C16/C18=31.2/38/17.4/11.8/1.3/0.3(モル比、また、「Cn」は、炭素数nの飽和直鎖炭化水素基を意味する、以下同様)、m=2、n=10]を得た。
【0028】
同様の操作にて、以下の非イオン界面活性剤を合成した。
非イオン界面活性剤(2);一般式(1)において、R:C8/C10/C12/C14/C16/C18=13.1/48.5/22.9/13.5/1.4/0.6、m=1.5、n=7の非イオン界面活性剤
非イオン界面活性剤(3);一般式(1)において、R:C8/C10/C12/C14/C16/C18=13/45.5/23.1/14.9/2.3/1.2、m=2、n=9の非イオン界面活性剤
非イオン界面活性剤(4);一般式(1)において、R:C8/C10/C12/C14/C16=31.4/31/26.3/11/0.3、m=1.5、n=9の非イオン界面活性剤
【0029】
(2)比較品の合成
(2−1)比較合成例1
炭素数12の飽和直鎖アルコール930g及びKOH2.8gを攪拌装置、温度制御装置、自動導入装置を備えたオートクレーブに仕込み、110℃、1.3kPaにて30分間脱水を行った。脱水後窒素置換を行い、120℃まで昇温した後、プロピレンオキサイドを580g仕込んだ。120℃にて付加反応・熟成を行い、プロポキシレートを得た。次いで、120℃にてエチレンオキサイドを2200g仕込んだ。120℃にて付加反応・熟成を行った。その後、80℃まで冷却した後、3.0gの酢酸をオートクレーブ内に加え、80℃で30分間攪拌した後、抜き出しを行い、比較例の非イオン界面活性剤(5)を得た。この非イオン界面活性剤(5)は、アルキル基が単一の組成からなる比較品〔一般式(1)中のmは2、nは10〕である。
【0030】
(2−2)比較合成例2
炭素数8の飽和直鎖アルコール130g、炭素数10の飽和直鎖アルコール192g、炭素数12の飽和直鎖アルコール104g、炭素数14の飽和直鎖アルコール78g、炭素数16の飽和直鎖アルコール52gの混合アルコール(モル比29.8:36.3:16.6:10.9:6.4)及びKOH1.9gを攪拌装置、温度制御装置、自動導入装置を備えたオートクレーブに仕込み、110℃、1.3kPaにて30分間脱水を行った。脱水後窒素置換を行い、120℃まで昇温した後、プロピレンオキサイドを389g仕込んだ。120℃にて付加反応・熟成を行い、プロポキシレートを得た。次いで、120℃にてエチレンオキサイドを1474g仕込んだ。120℃にて付加反応・熟成を行った。その後、80℃まで冷却した後、2.0gの酢酸をオートクレーブ内に加え、80℃で30分間攪拌した後、抜き出しを行い、比較例の非イオン界面活性剤(6)を得た。この非イオン界面活性剤(6)は、一般式(1)において、R:C8/C10/C12/C14/C16=29.8/36.3/16.6/10.9/6.4、m=2、n=10の比較品である。
【0031】
(2−3)比較合成例3
炭素数8の飽和直鎖アルコール130g、炭素数10の飽和直鎖アルコール192g、炭素数12の飽和直鎖アルコール104g、炭素数14の飽和直鎖アルコール81g、炭素数16の飽和直鎖アルコール10g、炭素数18の飽和直鎖アルコール3gの混合アルコール(モル比31.2:38:17.4:11.8:1.3:0.3)及びKOH1.8gを攪拌装置、温度制御装置、自動導入装置を備えたオートクレーブに仕込み、110℃、1.3kPaにて30分間脱水を行った。脱水後窒素置換を行い、120℃まで昇温した後、プロピレンオキサイドを3712g仕込んだ。120℃にて付加反応・熟成を行い、プロポキシレートを得た。次いで、120℃にてエチレンオキサイドを1408g仕込んだ。120℃にて付加反応・熟成を行った。その後、80℃まで冷却した後、1.9gの酢酸をオートクレーブ内に加え、80℃で30分間攪拌した後、抜き出しを行い、比較例の非イオン界面活性剤(7)を得た。この非イオン界面活性剤(7)は、一般式(1)中のmが20、nが10の比較品である。
【0032】
(2−4)比較合成例4
炭素数8の飽和直鎖アルコール130g、炭素数10の飽和直鎖アルコール192g、炭素数12の飽和直鎖アルコール104g、炭素数14の飽和直鎖アルコール81g、炭素数16の飽和直鎖アルコール10g、炭素数18の飽和直鎖アルコール3gの混合アルコール(モル比31.2:38:17.4:11.8:1.3:0.3)及びKOH1.8gを攪拌装置、温度制御装置、自動導入装置を備えたオートクレーブに仕込み、110℃、1.3kPaにて30分間脱水を行った。脱水後窒素置換を行い、120℃まで昇温した後、プロピレンオキサイドを371g仕込んだ。120℃にて付加反応・熟成を行い、プロポキシレートを得た。次いで、120℃にてエチレンオキサイドを8448g仕込んだ。120℃にて付加反応・熟成を行った。その後、80℃まで冷却した後、1.9gの酢酸をオートクレーブ内に加え、80℃で30分間攪拌した後、抜き出しを行い、比較例の非イオン界面活性剤(8)を得た。この非イオン界面活性剤(8)は、一般式(1)中のmが2、nが60の比較品である。
【0033】
(2−5)比較合成例5
合成アルコール(商品名:SAFOL23、SASOL社製、炭素数12、13のアルキル基を有する、分岐率50%)194g及びKOH0.5gを攪拌装置、温度制御装置、自動導入装置を備えたオートクレーブに仕込み、110℃、1.3kPaにて30分間脱水を行った。脱水後窒素置換を行い、120℃まで昇温した後、エチレンオキサイドを440g仕込んだ。120℃にて付加反応・熟成を行った。その後、80℃まで冷却した後、0.6gの酢酸をオートクレーブ内に加え、80℃で30分間攪拌した後、抜き出しを行い、比較例の非イオン界面活性剤(9)を得た。この非イオン界面活性剤(9)は、一般式(1)中のRが、分岐鎖アルキル基を含み且つ短鎖アルキル基を含まず、更に、一般式(1)中のmが0、nが10の比較品である。
【0034】
(2−6)比較合成例6
2−エチルヘキサノール65g、合成アルコール(商品名:ISOFOL12、SASOL社製、炭素数12のアルキル基を有する、分岐率100%)93gの混合アルコール(モル比50:50)及びKOH0.5gを攪拌装置、温度制御装置、自動導入装置を備えたオートクレーブに仕込み、110℃、1.3kPaにて30分間脱水を行った。脱水後窒素置換を行い、120℃まで昇温した後、プロピレンオキサイドを116g仕込んだ。120℃にて付加反応・熟成を行い、プロポキシレートを得た。次いで、120℃にてエチレンオキサイドを440g仕込んだ。120℃にて付加反応・熟成を行った。その後、80℃まで冷却した後、0.6gの酢酸をオートクレーブ内に加え、80℃で30分間攪拌した後、抜き出しを行い、比較例の非イオン界面活性剤(10)を得た。この非イオン界面活性剤(10)は、一般式(1)中のRが、分岐鎖アルキル基のみの比較品であり、Rとして短鎖アルキル基(C8)と長鎖アルキル基(C12)とをモル比50:50で含み、更に、一般式(1)中のmが2、nが10である。
【0035】
(2−7)比較合成例7
炭素数8の飽和直鎖アルコール130g、炭素数10の飽和直鎖アルコール192g、炭素数12の飽和直鎖アルコール104g、炭素数14の飽和直鎖アルコール81g、炭素数16の飽和直鎖アルコール10g、炭素数18の飽和直鎖アルコール3gの混合アルコール(モル比31.2:38:17.4:11.8:1.3:0.3)及びKOH3.0gを攪拌装置、温度制御装置、自動導入装置を備えたオートクレーブに仕込み、110℃、1.3kPaにて30分間脱水を行った。脱水後窒素置換を行い、120℃まで昇温した後、プロピレンオキサイド626g、エチレンオキサイド2376gを混合したアルキレンオキサイド混合物を仕込んだ。120℃にて付加反応・熟成を行った。その後、80℃まで冷却した後、3.3gの酢酸をオートクレーブ内に加え、80℃で30分間攪拌した後、抜き出しを行い、比較例の非イオン界面活性剤(11)を得た。この非イオン界面活性剤(11)は、一般式(1)中のPOとEOがランダムに配列した比較品〔PO平均付加モル数2、EO平均付加モル数10〕である。
【0036】
(2−8)比較合成例8
炭素数8の飽和直鎖アルコール130g、炭素数10の飽和直鎖アルコール192g、炭素数12の飽和直鎖アルコール104g、炭素数14の飽和直鎖アルコール81g、炭素数16の飽和直鎖アルコール10g、炭素数18の飽和直鎖アルコール3gの混合アルコール(モル比31.2:38:17.4:11.8:1.3:0.3)及びKOH3.0gを攪拌装置、温度制御装置、自動導入装置を備えたオートクレーブに仕込み、110℃、1.3kPaにて30分間脱水を行った。脱水後窒素置換を行い、120℃まで昇温した後、エチレンオキサイドを2376g仕込んだ。120℃にて付加反応・熟成を行い、エトキシレートを得た。次いで、120℃にてプロピレンオキサイドを626g仕込んだ。120℃にて付加反応・熟成を行った。その後、80℃まで冷却した後、3.3gの酢酸をオートクレーブ内に加え、80℃で30分間攪拌した後、抜き出しを行い、比較例の非イオン界面活性剤(12)を得た。この非イオン界面活性剤(12)は、一般式(1)中のPOとEOが逆にブロック配列した、R−O−(EO)n−(PO)m−Hの構造の比較品〔PO平均付加モル数2、EO平均付加モル10〕である。
【0037】
2.液体洗浄剤組成物の調製及び評価
上記により得られた非イオン界面活性剤及び表1に示した各成分を用い、表1に示した配合に従って液体洗浄剤組成物を調製し、以下の要領で水希釈時のゲル化物の形成有無、低温での流動性(粘度)評価、洗浄力評価を行った。評価結果を表2に示す。なお、表1に示した組成は、配合成分の固形分に基づく重量%である。また、表1の液体洗浄剤組成物は、衣料用液体洗浄剤組成物として好適である。
【0038】
【表1】

【0039】
* 表中、pH調整剤は、水酸化ナトリウム及び/又は硫酸であり、pHが8となる量(表中、調整量と表示)でこれらを用いた。
【0040】
(1)水希釈時のゲル化物の形成有無
液体洗浄剤組成物10gを、水道水により100倍希釈し、マグネチックスターラーにより、回転数100rpmで3分間撹拌した際のゲル化物の形成有無について外観観察を行い、下記基準で評価した。
【0041】
I…ゲル化物の形成なし
II…ごくわずかにゲル化物を形成
III…わずかにゲル化物を形成
IV…ゲル化物を形成
V…多量にゲル化物を形成
【0042】
(2)粘度
液体洗浄剤組成物の粘度は、B型粘度計〔(株)東京計器製、VISCOMETER MODEL DVM−B〕を用い、使用するローター1〜4、回転数30r/min、測定時間60秒の条件にて5℃で測定した。
【0043】
この評価において、液体洗浄剤組成物の粘度は、移送時・配合時のハンドリング性の観点から200mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは150mPa・s以下、更に好ましくは100mPa・s以下である。
【0044】
(3)洗浄力
(襟あか布の調製)
JIS K3362:1998記載の襟あか布を調製する。
(洗浄条件及び評価方法)
JIS K3362:1998記載の衣料用合成洗剤の洗浄力評価方法に準じ、表1の液体洗浄剤組成物の洗浄力を比較した。表1の液体洗浄剤組成物の使用濃度は、1.33g/Lとした。
【0045】
比較例1をブランクとし、洗浄後の襟あか布の状態(白色度)を観察し、下記基準で評価した。また、洗浄後の襟あか布の色ムラも下記基準で評価した。
【0046】
(白色度)
I…ブランクより優れる白色度
II…ブランクよりやや優れる白色度
III…ブランクと同等の白色度
IV…ブランクに対して白色度が劣る
(色ムラ)
I…色ムラなし
II…わずかに色ムラあり(ブランクと同等)
III…色ムラあり
【0047】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表され、Rが、炭素数11以下の飽和直鎖炭化水素基5〜95モル%と炭素数12以上の飽和直鎖炭化水素基5〜95モル%とから成り、且つRの全量中の炭素数16以上の飽和直鎖炭化水素基の割合が5モル%以下である非イオン界面活性剤を含有する液体洗浄剤組成物。
R−O−(PO)m−(EO)n−H (1)
(式中、Rは炭素数6〜24の飽和直鎖炭化水素基、POはプロピレンオキシ基、mは平均付加モル数で0.1≦m≦15、EOはエチレンオキシ基、nは平均付加モル数で0<n≦50を示す。)
【請求項2】
前記非イオン界面活性剤の炭素数11以下の飽和直鎖炭化水素基中、炭素数8以下の飽和直鎖炭化水素基(RA)と炭素数9以上の飽和直鎖炭化水素基(RB)のモル比が、RA/RB=5/95〜95/5である、請求項1に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記非イオン界面活性剤が、アルカリ触媒存在下で、原料化合物にアルキレンオキサイドを付加する工程を含む製造方法により得られたものである、請求項1又は2に記載の液体洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2010−47656(P2010−47656A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211389(P2008−211389)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】