説明

液体洗浄剤組成物

【課題】洗浄性及び起泡性に優れる液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤(A)及びアニオン性界面活性剤(B)を含有してなる液体洗浄剤組成物。
【化1】


式中、Rは炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基;AO及びAOは、それぞれ独立にオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基;m+nは0.5〜100の数であり、m及びnのいずれか一方は0でない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄剤組成物に関する。更に詳しくは、食器用及び台所用等の台所用洗剤として好適な液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
台所用洗剤として使用される液体洗浄剤組成物は、使用時に直接皮膚に接触することから、皮膚刺激性が少なく、かつ洗浄性及び起泡性に優れたものが要求されている。このような液体洗浄剤組成物の主基剤としては、従来、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルエステル塩、アシルメチルタウリン塩、アシルグルタミン酸塩及び脂肪酸石鹸等のアニオン性界面活性剤、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン及びアルキルスルホベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びアルキルグリコシド等の非イオン性界面活性剤等が使用されている。
しかしながら、アニオン性界面活性剤は洗浄性は高いが皮膚刺激性が強く、一方両性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤は、皮膚刺激性は少ないが洗浄性及び起泡性が十分ではない等の問題点がある。
【0003】
そこで、皮膚刺激性が少なく、かつ洗浄性及び起泡性に優れた洗浄剤組成物として、アニオン性界面活性剤とアミンオキサイド化合物を併用したものが提案されている(特許文献1)。しかしながら、アニオン性界面活性剤とアミンオキサイド化合物を併用することにより皮膚刺激性は低下し、更に相乗効果によって洗浄性が向上するが、固状の油脂に対しての洗浄性は未だ充分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−107093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、洗浄性及び起泡性に優れる液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果本発明に到達した。すなわち、本発明は、一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤(A)及びアニオン性界面活性剤(B)を含有してなる液体洗浄剤組成物である。
【化1】

式中、Rは炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基;AO及びAOは、それぞれ独立にオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基;m+nは0.5〜100の数であり、m及びnのいずれか一方は0でない。
【発明の効果】
【0007】
本発明の液体洗浄剤組成物は、洗浄性及び起泡性に優れるといった効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の液体洗浄剤組成物は、一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤(A)及びアニオン性界面活性剤(B)を含有してなる。
【0009】
本発明における非イオン性界面活性剤(A)は、一般式(1)で表される化合物である。一般式(1)におけるRは、炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基であり、炭素数8〜24のアルキル基としては、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ドデシル基、イソドデシル基、n−トリデシル基、イソトリデシル基、n−テトラデシル基、イソテトラデシル基、n−ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、n−ステアリル基、イソステアリル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基及びn−テトラコシル基等が挙げられる。
炭素数が8〜24のアルケニル基としては、n−オクテニル基、n−デセニル基、イソデセニル基、n−ウンデセニル基、n−ドデセニル基、n−テトラデセニル基、イソヘキサデセニル基、n−オクタデセニル基及びn−オクタデカジエニル基等が挙げられる。これらのうち、洗浄性の観点から好ましいのは炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基であり、更に好ましいのは炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基である。また、炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基は、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0010】
一般式(1)におけるAO及びAOは、それぞれ独立にオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基であり、具体的には、オキシエチレン基単独、オキシプロピレン基単独及びオキシエチレン基とオキシプロピレン基の併用が挙げられる。これらのうち、洗浄性の観点から好ましいのはオキシエチレン基単独である。なお、オキシエチレン基とオキシプロピレン基の併用の場合、付加形式はブロック付加でもランダム付加でもよい。
【0011】
一般式(1)におけるm+nは0.5〜100の数であり、m及びnのいずれか一方は0でない。m+nは、好ましくは0.5〜50の数であり、更に好ましくは1〜40の数である。m+nが0.5未満又は100を超えると、洗浄性が低下するため好ましくない。なお、m及びnは、それぞれオキシアルキレン基の平均付加モル数を表しているため、m+nは整数であるとは限らず、小数の場合もある。
【0012】
一般式(1)における(AO)m及び(AO)nの全重量に基づくオキシエチレン基の含有率は、油汚れの乳化性及び洗浄性の観点から好ましくは70重量%以上であり、更に好ましくは80重量%以上であり、特に好ましくは90重量%以上であり、最も好ましくは100重量%である。
【0013】
本発明における非イオン性界面活性剤(A)は、特開2007−262251号公報に記載の公知の製造方法、又は以下の方法で製造することができる。
R1−NH2で表されるアミンを加圧反応容器に投入し、無触媒でアミン1モル当たり0.5〜2モルのエチレンオキサイド(以下、EOと略記する)及び/又はプロピレンオキサイド(以下、POと略記する)を80〜130℃で付加反応させる。次いでアミンの重量に基づき0.01〜3重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドを触媒として投入し、更にアミン1モル当たり2.5〜98モルのEO及び/又はPOを50〜95℃で付加反応させる。反応終了後、前記触媒を130〜180℃で加熱分解し、触媒の加熱分解物を減圧除去する。
【0014】
R1−NH2で表されるアミンとしては、n−オクチルアミン、イソオクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、n−ノニルアミン、イソノニルアミン、n−デシルアミン、イソデシルアミン、n−ドデシルアミン、イソドデシルアミン、n−トリデシルアミン、イソトリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、イソテトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、イソヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−ステアリルアミン、イソステアリルアミン、n−ノナデシルアミン、n−エイコシルアミン、n−テトラコシルアミン、n−オクテニルアミン、n−デセニルアミン、イソデセニルアミン、n−ウンデセニルアミン、n−ドデセニルアミン、n−テトラデセニルアミン、n−ヘキサデセニルアミン、n−オクタデセニルアミン及びn−オクタデカジエニルアミン等が挙げられる。また、上記アミンの混合物である牛脂アミン、硬化牛脂アミン、ヤシ油アミン、パーム油アミン及び大豆油アミン等の動植物油由来の1級アミンが挙げられる。
【0015】
非イオン性界面活性剤(A)の具体例としては、n−オクチルアミンのEO15モル付加物、n−オクチルアミンのPO2モル/EO8モルブロック付加物、2−エチルヘキシルアミンのEO4モル付加物、n−デシルアミンのPO2モル/EO10モルブロック付加物、n−ウンデシルアミンのEO5モル付加物、n−ドデシルアミンのEO0.5モル付加物、n−ドデシルアミンのEO1モル付加物、n−ドデシルアミンのEO2モル付加物、n−ドデシルアミンのEO4モル付加物、n−ドデシルアミンのEO15モル付加物、n−ドデシルアミンのEO50モル付加物、n−ドデシルアミンのEO100モル付加物、n−ドデシルアミンのPO4.5モル/EO10.5モルブロック付加物、n−ドデシルアミンのPO6モル/EO9モルブロック付加物、イソトリデシルアミンのEO10モル付加物、n−テトラデシルアミンのEO15モル付加物、n−ペンタデシルアミンのEO20モル付加物、n−ヘキサデシルアミンのEO30モル付加物、n−ヘプタデシルアミンのEO40モル付加物、n−オクタデシルアミンのEO50モル付加物、n−オクタデセニルアミンのEO70モル付加物、n−ノナデシルアミンのEO80モル付加物及びn−エイコシルアミンのEO15モル付加物等が挙げられる。なお、(A)としては、これらのうちの2種以上を併用してもよい。
【0016】
本発明におけるアニオン性界面活性剤(B)としては、硫酸エステル(塩)基を有するアニオン性界面活性剤(B−1)、スルホン酸(塩)基を有するアニオン性界面活性剤(B−2)、リン酸エステル(塩)基を有するアニオン性界面活性剤(B−3)及びカルボン酸(塩)基を有するアニオン性界面活性剤(B−4)等が挙げられる。ここで、硫酸エステル(塩)基は、硫酸エステル基又は硫酸エステル塩基を意味し、スルホン酸(塩)基は、スルホン酸基又はスルホン酸塩基を意味し、リン酸エステル(塩)基は、リン酸エステル基又はリン酸エステル塩基を意味し、カルボン酸(塩)基は、カルボン酸基又はカルボン酸塩基を意味する。
【0017】
硫酸エステル(塩)基を有するアニオン性界面活性剤(B−1)としては、炭素数8〜24の脂肪族アルコールの硫酸エステル(塩)[ドデシルアルコール硫酸エステルナトリウム塩、ステアリルアルコール硫酸エステルアンモニウム塩及びオレイルアルコール硫酸エステルカリウム塩等]、炭素数8〜24の脂肪族アルコールのEO1〜10モル付加物硫酸エステル(塩)[ドデシルアルコールのEO1〜10モル付加物硫酸エステルナトリウム塩及びステアリルアルコールのEO1〜10モル付加物硫酸エステルトリエタノールアミン塩等]等が挙げられる。
【0018】
スルホン酸(塩)基を有するアニオン性界面活性剤(B−2)としては、炭素数6〜24のアルコールのスルホコハク酸モノ又はジエステル(塩)[ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩、スルホコハク酸ドデシルエステル2ナトリウム塩及びドデシルアルコールのEO1〜10モル付加物スルホコハク酸エステルナトリウム等]、炭素数8〜24のα−オレフィンスルホン酸(塩)[α−オレフィン(炭素数8〜24)スルホン酸ナトリウム等]、炭素数8〜24のアルカンスルホン酸(塩)[アルカン(炭素数8〜24)スルホン酸ナトリウム等]、炭素数6〜24の芳香族炭化水素基を有するアルキルベンゼンスルホン酸(塩)[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びアルキル(炭素数6〜12)ジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等]等が挙げられる。
【0019】
リン酸エステル(塩)基を有するアニオン性界面活性剤(B−3)としては、炭素数8〜24の脂肪族アルコールのリン酸モノ又はジエステル(塩)[ドデシルアルコールモノリン酸エステルカリウム塩及びオクチルアルコールジリン酸エステルナトリウム塩等]、炭素数8〜24の脂肪族アルコールのEO付加物リン酸モノ又はジエステル(塩)[ドデシルアルコールのEO4モル付加物のリン酸モノエステルナトリウム塩及びオレイルアルコールのEO5モル付加物のリン酸モノエステルナトリウム塩等]が挙げられる。
【0020】
カルボン酸(塩)基を有するアニオン性界面活性剤(B−4)としては、炭素数
8〜24の脂肪酸(塩)[オレイン酸ナトリウム塩及びステアリン酸カリウム塩等]及び炭素数8〜24の脂肪族アルコールのエーテルカルボン酸(塩)[ドデシルアルコールのEO1〜10モル付加物エーテル酢酸及びトリデシルアルコールエーテル酢酸ナトリウム塩等]等が挙げられる。
【0021】
(B−1)〜(B−4)における塩としては、アルカリ金属(ナトリウム及びカリウム
等)塩、アルカリ土類金属(マグネシウム等)塩、アンモニウム塩、1級アミン(メチルアミン、エチルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン及びグアニジン等)塩、2級アミン(ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン及びジエタノールアミン等)塩、3級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン及びトリエタノールアミン等)等が挙げられる。
【0022】
アニオン性界面活性剤(B)のうち、洗浄性の観点から好ましいのは、(B−1)及び(B−2)であり、更に好ましいのは、(B−1)のうちのアルカリ金属塩及び(B−2)のうちのアルカリ金属塩である。
【0023】
本発明における非イオン性界面活性剤(A)とアニオン性界面活性剤(B)の重量比(A)/(B)は、好ましくは0.01/99.99〜50/50であり、更に好ましくは0.1/99.9〜40/60、特に好ましくは0.2/99.8〜30/70である。(A)/(B)が0.01/99.99以上であれば洗浄性が向上し、50/50以下であれば起泡性が向上するため好ましい。
【0024】
本発明の液体洗浄剤組成物は、非イオン性界面活性剤(A)及びアニオン性界面活性剤(B)以外に、一般式(2)で表されるアミンオキサイド(C)を含有させてもよい。アミンオキサイド(C)を含有させることにより、洗浄性及び起泡性が向上する。
【0025】
【化2】

式中、Rは炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基;R3は炭素数1〜4のアルキレン基;R4及びR5はそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基;qは0又は1の数;Xは−CONH−、−NHCO−、−COO−、−OCO−及び−O−からなる群から選ばれる1種である。
【0026】
一般式(2)におけるRは、一般式(1)におけるRと同様に炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基であり、洗浄性の観点から好ましいのは、炭素数8〜16のアルキル基及びアルケニル基であり、更に好ましいのは炭素数10〜14のアルキル基及びアルケニル基である。
【0027】
一般式(2)におけるRは、炭素数1〜4のアルキレン基であり、起泡性の観点から好ましいのは炭素数1〜3のアルキレン基であり、更に好ましいのは炭素数1又は2のアルキレン基である。
【0028】
一般式(2)におけるXは、−CONH−、−NHCO−、−COO−、−OCO−及び−O−からなる群から選ばれる1種であり、起泡性の観点から好ましいのは、−CONH−及び−NHCO−である。
【0029】
一般式(2)におけるqは、0又は1の数であり、起泡性の観点から好ましいのは0である。
【0030】
一般式(2)におけるR及びRは、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基であり、起泡性の観点から好ましいのは炭素数1〜3のアルキル基であり、更に好ましいのはメチル基及びエチル基であり、特に好ましいのはメチル基である。
【0031】
アミンオキサイド(C)の具体例としては、n−ドデシルジメチルアミンオキサイド[一般式(2)におけるRがn−ドデシル基、qが0、R4及びR5がメチル基である化合物]、ヤシアルキルジメチルアミンオキサイド[一般式(2)におけるRがn−ドデシル基及びn−テトラデシル基、qが0、R4及びR5がメチル基である化合物]、ステアラミドメチルジメチルアミンオキサイド[一般式(2)におけるRがヘプタデシル基、qが1、Xが−CONH−、Rがメチレン基、R4及びR5がメチル基である化合物]、ドデシロイロキシエチルジメチルアミンオキサイド[一般式(2)におけるRがウンデシル基、qが1、Xが−COO−、Rがエチレン基、R4及びR5がメチル基である化合物]及びオクトキシエチルジメチルアミンオキサイド[一般式(2)におけるRがオクチル基、qが1、Xが−O−、Rがエチレン基、R4及びR5がメチル基である化合物]等が挙げられる。
【0032】
本発明における非イオン性界面活性剤(A)及びニオン性界面活性剤(B)の総重量に基づくアミンオキサイド(C)の重量比(C)/[(A)+(B)]は、洗浄性及び起泡性の観点から、好ましくは0/100〜40/60であり、更に好ましくは10/90〜30/70である。
【0033】
本発明の液体洗浄剤組成物は、非イオン性界面活性剤(A)以外の非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤等の公知の界面活性剤を含有させてもよい。
【0034】
非イオン性界面活性剤(A)以外の非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキサイド付加型非イオン性界面活性剤及び多価アルコール型非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
アルキレンオキサイド付加型非イオン性界面活性剤としては、高級アルコール(炭素数8〜18)アルキレン(炭素数2〜4、好ましいのは2)オキサイド付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜30)、アルキル(炭素数1〜12)フェノールEO付加物(付加モル数1〜30)、脂肪酸(炭素数8〜18)EO付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜60)、ポリプロピレングリコール(数平均分子量200〜4,000)EO付加物(活性水素1個当たりの付加モル数1〜50)及びポリオキシエチレン(繰り返し単位数3〜30)アルキル(炭素数6〜20)アリルエーテル等が挙げられる。
【0035】
多価アルコール型非イオン性界面活性剤としては、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレート、ソルビタンモノラウレート及びソルビタンモノオレート等の多価(2〜8価又はそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステル、ラウリン酸モノエタノールアミド及びラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸(炭素数10〜18)アルカノールアミド等が挙げられる。
【0036】
カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩型又はアミン塩型のカチオン界面活性剤等が挙げられる。第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤としては、第3級アミン類と4級化剤[ハロゲン化アルキル(メチルクロライド、メチルブロマイド、エチルクロライド及びベンジルクロライド等)、ジメチル硫酸、ジメチルカーボネート及びEO等]との反応で得られる化合物等が使用でき、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムブロマイド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロマイド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド(塩化ベンザルコニウム)、セチルピリジニウムクロライド、ポリオキシエチレントリメチルアンモニウムクロライド及びステアラミドエチルジエチルメチルアンモニウムメトサルフェート等が挙げられる。
アミン塩型カチオン界面活性剤としては、第1〜3級アミン類を無機酸(塩酸、硝酸、硫酸及びヨウ化水素酸等)又は有機酸(酢酸、ギ酸、シュウ酸、乳酸、グルコン酸、アジピン酸及びアルキルリン酸等)で中和することにより得られる化合物が使用でき、例えば第1級アミン塩型のものとしては、脂肪族高級アミン(ラウリルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、硬化牛脂アミン及びロジンアミン等)の無機酸塩又は有機酸塩、低級アミン類の高級脂肪酸(ステアリン酸及びオレイン酸等)塩等が挙げられる。第2級アミン塩型のものとしては、例えば脂肪族アミンのEO付加物等の無機酸塩又は有機酸塩が挙げられる。
【0037】
両性界面活性剤としては、ベタイン型両性界面活性剤(ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン及びラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等)、アミノ酸型両性界面活性剤(β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等)等が挙げられる。
【0038】
本発明の液体洗浄剤組成物は、必要により、公知のその他の成分、例えば特開2004−27181号公報に記載のキレート剤、酵素、除菌剤、香料、着色剤、アルカリ剤及び親水性溶媒等を含有してもよい。
【0039】
キレート剤としてはクエン酸塩、リンゴ酸塩、EDTA及びNTA等の多価カルボン酸塩が挙げられる。
酵素としてはプロテアーゼ、リパーゼ及びアミラーゼ等が挙げられる。
除菌剤としては、キトサン、ヒノキチオール及び茶カテキン等が挙げられる。
香料としては、メチルイオノン、ヘキシルシンナミックアルデヒド及びリナロール等が挙げられる。
着色剤としては、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料及びウルトラマリンブルー等が挙げられる。
アルカリ剤としては、苛性ソーダ、アンモニア、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン及びトリポリリン酸ナトリウム等が挙げられる。
親水性溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びプロピレングリコール等が挙げられる。
【0040】
本発明の液体洗浄剤組成物における公知の界面活性剤及びその他の成分の含有率は、以下の通りである。
公知の界面活性剤の含有率は、液体洗浄剤組成物の全重量に基づいて、洗浄性及び起泡性の観点から好ましくは0〜80重量%であり、更に好ましくは0〜50重量%である。
その他の成分のうち、キレート剤及びアルカリ剤の含有率は、液体洗浄剤組成物の全重量に基づいて、好ましくは10重量%以下である。酵素、除菌剤、香料及び着色剤の含有率は、液体洗浄剤組成物の全重量に基づいて、好ましくは5重量%以下である。親水性溶媒の含有率は、液体洗浄剤組成物の全重量に基づいて、好ましくは20重量%以下である。
【0041】
本発明の液体洗浄剤組成物は、貯蔵安定性及び環境への負荷の観点から、必要により水を含有させてもよい。水を含有させる場合の水の含有率は、液体洗浄剤組成物及び水の全重量に基づいて、好ましくは20〜90重量%であり、更に好ましくは30〜80重量%であり、特に好ましくは40〜70重量%である。
【0042】
本発明の液体洗浄剤組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば撹拌機及び加熱冷却装置を備えた混合槽に、非イオン性界面活性剤(A)とアニオン性界面活性剤(B)、更に必要により、アミンオキサイド(C)、公知の界面活性剤、その他の成分及び水を、投入順序に特に制限なく投入し、10〜50℃で均一になるまで攪拌して製造することができる。
【0043】
本発明の液体洗浄剤組成物を食器用又は台所用の液体洗浄剤組成物として使用する場合、本発明の液体洗浄剤組成物をスポンジ等(好ましくは水を含む)に染み込ませ、食器、食品調理用器具、キッチンシンク、ガスレンジ及び換気扇等に前記スポンジ等を直接接触させて洗浄する方法や、本発明の液体洗浄剤組成物をスプレー等で吹き付けて洗浄する方法等に適用できる。
【実施例】
【0044】
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
【0045】
<製造例1>[n−ドデシルアミンのEO15モル付加物(A−1)の合成]
撹拌機、加熱冷却装置及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、n−ドデシルアミン185部(1モル部)を投入し、窒素置換後密閉し、減圧下(−0.097MPa)、95℃に昇温し、EO88部(2モル部)を圧力が0.3MPaを超えないように調整しながら、90〜110℃の範囲で4時間かけて滴下した。滴下終了後、95℃で30分間熟成し、室温まで冷却した。次いでテトラメチルアンモニウムヒドロキシド25%水溶液3.2部を空気が混入しないように投入し、95℃に昇温し同温で1時間減圧下(−0.097MPa)脱水した。温度を70℃に下げた後、EO572部(13モル部)を圧力が0.2MPaを超えないように調整しながら、70〜90℃の範囲で3時間かけて滴下した。滴下終了後、70℃で30分間熟成させ、150〜170℃に昇温後、同温で触媒の加熱分解物を3時間かけて減圧(−0.097MPa)除去し、n−ドデシルアミンのEO15モル付加物(A−1)を得た[(A−1)は、一般式(1)におけるRがn−ドデシル基、AO及びAOがオキシエチレン基、m+nが15である化合物]。
【0046】
<製造例2>[n−ドデシルアミンのEO50モル付加物(A−2)の合成]
EOの部数572部を2112部(48モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、n−ドデシルアミンのEO50モル付加物(A−2)を得た[(A−2)は、一般式(1)におけるRがn−ドデシル基、AO及びAOがオキシエチレン基、m+nが50である化合物]。
【0047】
<製造例3>[n−ドデシルアミンのEO100モル付加物(A−3)の合成]
EOの部数572部を4312部(98モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、n−ドデシルアミンのEO100モル付加物(A−3)を得た[(A−3)は、一般式(1)におけるRがn−ドデシル基、AO及びAOがオキシエチレン基、m+nが100である化合物]。
【0048】
<製造例4>[n−ドデシルアミンのEO2モル付加物(A−4)の合成]
撹拌機、加熱冷却装置及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、n−ドデシルアミン185部(1モル部)を投入し、窒素置換後密閉し、減圧下(−0.097MPa)、95℃に昇温し、EO88部(2モル部)を圧力が0.3MPaを超えないように調整しながら、90〜110℃の範囲で4時間かけて滴下し、滴下終了後95℃で30分間熟成し、n−ドデシルアミンのEO2モル付加物(A−4)を得た[(A−4)は、一般式(1)におけるRがn−ドデシル基、AO及びAOがオキシエチレン基、m+nが2である化合物]。
【0049】
<製造例5>[n−ドデシルアミンのEO1モル付加物(A−5)の合成]
EOの部数88部を44部(1モル部)に変更した以外は製造例4と同様にして、n−ドデシルアミンのEO1モル付加物(A−5)を得た[(A−5)は、一般式(1)におけるRがn−ドデシル基、AO及びAOがオキシエチレン基、m+nが1である化合物]。
【0050】
<製造例6>[n−ドデシルアミンのEO0.5モル付加物(A−6)の合成]
EOの部数88部を22部(0.5モル部)に変更した以外は製造例4と同様にして、n−ドデシルアミンのEO0.5モル付加物(A−6)を得た[(A−6)は、一般式(1)におけるRがn−ドデシル基、AO及びAOがオキシエチレン基、m+nが0.5である化合物]。
【0051】
<製造例7>[n−オクチルアミンのEO15モル付加物(A−7)の合成]
n−ドデシルアミン185部(1モル部)をn−オクチルアミン129部(1モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、n−オクチルアミンのEO15モル付加物(A−7)を得た[(A−7)は、一般式(1)におけるRがn−オクチル基、AO及びAOがオキシエチレン基、m+nが15である化合物]。
【0052】
<製造例8>[n−テトラコシルアミンのEO15モル付加物(A−8)の合成]
n−ドデシルアミン185部(1モル部)をn−テトラコシルアミン353部(1モル部)に変更した以外は製造例1と同様にして、n−テトラコシルアミンのEO15モル付加物(A−8)を得た[(A−8)は、一般式(1)におけるRがn−テトラコシル基、AO及びAOがオキシエチレン基、m+nが15である化合物]。
【0053】
<製造例8>[n−ドデシルアミンのPO4.5モル/EO10.5モルブロック付加物(A−9)の合成]
撹拌機、加熱冷却装置及び滴下ボンベを備えた耐圧反応容器に、n−ドデシルアミン1
85部(1モル部)及び水酸化カリウム2部を投入し、窒素置換後密閉し、減圧下(−0.097MPa)、130℃に昇温した。撹拌下PO261部(4.5モル部)を圧力が0.5MPa以下になるように調整しながら5時間かけて滴下した後、次いでEO462部(10.5モル部)を圧力が0.5MPa以下になるように調整しながら8時間かけて滴下し、更に130℃で2時間熟成した。次いで90℃に冷却後、吸着処理剤「キョーワード600」[協和化学工業(株)製]20部を投入し、90℃で1時間撹拌して水酸化カリウムを吸着処理した後、吸着処理剤をろ過してn−ドデシルアミンのPO4.5モル/EO10.5モルブロック付加物(A−9)を得た[(A−9)は、一般式(1)におけるRがn−ドデシル基、AO及びAOがオキシエチレン基及びオキシプロピレン基、(AO)m及び(AO)nの全重量に基づくオキシエチレン基の含有率が70%、m+nが15である化合物]。
【0054】
<製造例10>[n−ドデシルアミンのPO6モル/EO9モルブロック付加物(A−10)の合成]
POの部数261部を348部(6モル部)に、EOの部数462部を396部(9モル部)に変更した以外は製造例8と同様にして、n−ドデシルアミンのPO6モル/EO9モルブロック付加物(A−10)を得た[(A−10)は、一般式(1)におけるRがn−ドデシル基、AO及びAOがオキシエチレン基及びオキシプロピレン基、(AO)m及び(AO)nの全重量に基づくオキシエチレン基の含有率が60%、m+nが15である化合物]。
【0055】
<実施例1〜27及び比較例1〜5>
表1、2に記載の部数の液体洗浄剤組成物の各原料を配合し、更に水に溶解して固形分濃度30%の液体洗浄剤組成物(実施例1〜27及び比較例1〜5)を作製した。
実施例1〜27及び比較例1〜5の液体洗浄剤組成物について洗浄性及び起泡性を以下の方法で評価した。結果を表1、2に示す。
【0056】
<洗浄性の評価方法>
(1)牛脂に指示薬としてスダンIII(赤色色素)を0.01%添加して均一に混合したものを人工汚垢とし、人工汚垢2.5gを磁性の皿(直径25cm)に均一に塗布し、洗浄性評価用の皿を作製する。
(2):食器洗い用スポンジ(11.5cm×7.5cm×3cm)に27gの水道水と2gの液体洗浄剤組成物を計り採り、数回手で揉んだ後、洗浄性評価用の皿を前記スポンジでこすり洗いする。
(3):こすり洗いで洗浄性評価用の皿から人工汚垢が完全に取れた場合は、新たに洗浄性評価用の皿をこすり洗いする。
(4):(3)の工程で洗浄性評価用の皿から人工汚垢が完全に取れた場合は、再度(2)と(3)の工程を繰り返す。
洗浄性は、(2)〜(4)の工程を繰り返し、洗浄性評価用の皿から人工汚垢が完全に取れなくなるまでに洗浄できた皿の枚数で評価した。皿の枚数が多いほど洗浄性に優れることを表す。
【0057】
<起泡性の評価方法>
食器洗い用スポンジ(11.5cm×7.5cm×3cm)に27gの水道水と3gの液体洗浄剤組成物をとり、10回手で揉んだときの泡の体積をメスシリンダーで測定し、下記の評価基準に基づき起泡性を評価した。○〜◎が合格範囲である。
◎:泡の体積が200ml以上
○:泡の体積が150ml以上200ml未満
△:泡の体積が130ml以上150ml未満
×:泡の体積が130ml未満
【0058】
表1、2に記載の液体洗浄剤組成物の各原料は以下の通りである。
(A‘−1):n−ドデシルアルコールのEO11モル付加物「エマルミン NL−110」[三洋化成工業(株)製]
(A‘−2):n−テトラデシルアルコールのEO29モル付加物「エマルミン CC−290」[三洋化成工業(株)製]
(B−1):n−ドデシルアルコールのEO2モル付加物硫酸エステルナトリウム塩「サンデット EN」[三洋化成工業(株)製]
(B−2):第2級アルカンスルホン酸ナトリウム「HOSTAPUR SAS 60」[クラリアントジャパン(株)製]
(B−3):n−ドデシルアルコールのEO4モル付加物のリン酸モノエステルナトリウム塩「ニッコール TLP−4」[日光ケミカルズ(株)製]
(B−4):n−ドデシルアルコールのEO3モル付加物エーテル酢酸ナトリウム塩「ビューライト LCA」[三洋化成工業(株)製]
(C−1):ドデシルジメチルアミンオキサイド「アロモックス DM12D−W(C)」[ライオンアクゾ(株)製]
(C−2):ヤシアルキルジメチルアミンオキサイド「アロモックス DMC−W」[ライオンアクゾ(株)製]
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
表1、2の結果から、実施例1〜27の液体洗浄剤組成物は、比較例1〜5の液体洗浄剤組成物と比較して洗浄性及び起泡性が高いことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の液体洗浄剤組成物は、特に油汚れ、水垢汚れ等に対する洗浄性が優れているため、油汚れと水垢汚れを含む洗浄対象用の洗浄剤として適用できる。具体的には、食器用及び台所用等の液体洗浄剤として好適である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤(A)及びアニオン性界面活性剤(B)を含有してなる液体洗浄剤組成物。
【化1】

[式中、Rは炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基;AO及びAOは、それぞれ独立にオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基;m+nは0.5〜100の数であり、m及びnのいずれか一方は0でない。]
【請求項2】
前記一般式(1)における(AO)m及び(AO)nの全重量に基づいて、70重量%以上がオキシエチレン基である請求項1記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記アニオン性界面活性剤(B)が、硫酸エステル(塩)基を有するアニオン性界面活性剤及び/又はスルホン酸(塩)基を有するアニオン性界面活性剤である請求項1又は2記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記非イオン性界面活性剤(A)と前記アニオン性界面活性剤(B)の重量比(A)/(B)が0.01/99.99〜50/50である請求項1〜3のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
更に、一般式(2)で表されるアミンオキサイド(C)を含有してなる請求項1〜4のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物。
【化2】

[式中、Rは炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基;Rは炭素数1〜4のアルキレン基;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基;qは0又は1の数;Xは−CONH−、−NHCO−、−COO−、−OCO−及び−O−からなる群から選ばれる1種である。]
【請求項6】
(A)及び(B)の総重量に基づく(C)の重量比(C)/[(A)+(B)]が0/100〜40/60である請求項5記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項7】
食器用又は台所用である請求項1〜6のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物。


【公開番号】特開2011−236397(P2011−236397A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129782(P2010−129782)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】