説明

液体混和材組成物

a)コポリマー分散成分と、b)抑泡剤成分と、c)表面活性剤成分と、d)水との水性組成物を含む混和材。前記の成分は配合物であるか、または物理的または化学的に結合していてもよく、且つ、硫酸カルシウム化合物含有建設用化学組成物のための分散剤として使用される安定な液体系をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年8月17日に出願され、米国2008/0017078号として公開された米国第11/894029号の一部継続出願である。前記出願は2007年7月13日に出願された11/827722号の一部継続出願である。前記出願は2006年6月12日に出願され、米国2006/028186号として公開された米国第11/451635号の一部継続出願である。前記出願は2005年6月14日に出願され、今は放棄された米国第11/152678号の一部継続出願である。それらを、ここで参照をもってその全文を開示するものとする。
【0002】
発明の背景
本発明は硫酸カルシウムベースの結合材系のための液体混和材組成物、およびかかる混和材の使用方法に関する。
【0003】
発明の背景
様々なタイプの有機化合物が、湿式水硬性結合材組成物の特定の性質を有利に変更するために使用されている。ある部類の成分は、集合的に"流動化剤"と呼ばれ、湿式セメント組成物を流体化あるいは可塑化してより流動性のある組成物が得られる。モルタルおよびコンクリート中で使用される骨材がセメントペーストから分離しないように、制御された流動性が望まれている。流動化剤は、より低い水とセメントとの比を利用してセメント組成物を製造し、所望の堅さを有する組成物を得ることも可能にし、それはしばしば硬化後により高い圧縮強度を示す硬化したセメント組成物をもたらす。
【0004】
良好な流動化剤は、それが添加された湿式水硬性結合材組成物を流体化するだけではなく、所望の時間範囲にわたって流動化の水準を維持しなければならない。この時間は、湿式組成物流体を、例えばミキサー車内で作業現場に向かう間、保持するのに充分長くなければならない。他の重要な面は、現場でのトラック吐出時間、および所望の最終形態におけるセメント組成物の作業に必要な時間に関する。他方、該セメント混合物は、その硬化が著しく遅れるほど長い時間、流体のままではいられない。なぜなら、これは仕事における作業を遅らせ、且つ最終的に硬化した製品の特性における悪影響を示すからである。
【0005】
流動化剤の従来例は、メラミンスルホネート/ホルムアルデヒド縮合物、ナフタレンスルホネート/ホルムアルデヒド縮合物、およびリグノスルホネート、多糖類、ヒドロキシカルボン酸、およびそれらの塩および炭水化物である。
【0006】
多くの場合、流動化剤は、ポリアルキレングリコールモノビニルエーテルと不飽和ジカルボン酸誘導体とをベースとするコポリマーを最重要種として有する多成分系の製品である。欧州特許第0736553号B1は、少なくとも3つのサブユニット、および特に1つの不飽和ジカルボン酸誘導体、ポリアルキレングリコールモノビニルエーテル、および追加的に1つの疎水性構造単位、例えばエステル単位を含むポリマーを開示している。前記の3つめの構造単位はそれぞれ、ポリプロピレンオキシド誘導体、およびポリプロピレンオキシド−ポリエチレンオキシド誘導体を意味してもよい。
【0007】
ドイツで公開された出願DE19543304号A1は、建設分野用の水含有混合物のための添加剤において、a) 水溶性スルホン酸基、カルボン酸基、または硫酸基含有セルロース誘導体、b) スルホン酸および/またはカルボン酸含有ビニル(コ)ポリマー、および/またはアミノプラストビルダーまたはアクリル含有化合物およびホルムアルデヒドに基づく縮合物を含む添加剤を開示している。この添加剤は、充分な水分保持能力および流動性改質特性を示すとされている。従って、この添加剤は建設用化学組成物含有セメント、焼石膏、石灰、硬石膏、および他の水硬性結合材成分に適しているとされている。
【0008】
不飽和モノカルボン酸またはジカルボン酸誘導体、オキシアルキレングリコールアルケニルエーテル、ビニルポリアルキレングリコール、ポリシロキサンに基づくコポリマー、または鉱物または瀝青炭の結合材に基づく水性懸濁液用の添加剤として使用されるエステル化合物が米国6777517号B1内に記載されている。かかる添加剤の使用は水/結合材比の減少をもたらし、且つ建設材料混合物からの個々の成分の分離がない、流動性の高い建設材料をみちびく。米国’517号の特許によるコポリマーは、無機または有機の固体の水性懸濁液、特に鉱物または瀝青質の結合材、例えばセメント、焼石膏、石灰、硬石膏、または硫酸カルシウムをベースとする他の建設材料をベースとする懸濁液のための添加剤として有用である。
【0009】
セメント含有混合物用の可塑剤として使用できる不飽和エーテルのコポリマーもまた開示されており、例えばEP0537870号A1内に記載されている。それらのコポリマーは、エーテルコモノマー、および追加的なコモノマーとしてオレフィン性不飽和モノカルボン酸またはエステルまたはそれらの塩、または選択的にオレフィン性不飽和スルホン酸を含有する。それらのコポリマーは、1〜50単位の非常に短いエーテル側鎖を有する。前記の短い側鎖は、セメント含有材料中のコポリマーの充分な可塑化効果をもたらし、建設用化学材料自体のスランプの損失を低減する。
【0010】
米国6139623号は、水硬性セメント組成物中で使用するためのエマルション混和材を開示し、それは抑泡剤、界面活性剤、およびイオン結合を形成することでセメントを固定する成分として機能する基が結合する炭素含有主鎖とオキシアルキレン基とを有するコポリマーを乳化することによって形成される。この混和材はエチレンオキシド/プロピレンオキシド(EO/PO)型の櫛形ポリマーと抑泡剤とを含み、水硬性セメント組成物、例えばコンクリートにおいて予測可能な空気制御を可能にする。用語"セメント組成物"は、ペースト、モルタル、グラウト、例えばオイルウェルセメント、および水硬性セメント結合材を含むコンクリート組成物を示す。典型的な抑泡剤は、燐酸エステル、ホウ酸エステル、および消泡特性を有するポリオキシアルキレンコポリマーである。表面活性成分(表面活性剤)は、エマルション混合物を安定化させると言われており、且つ、炭水化物のエステル化された脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン基を有するC2〜C20−アルコールまたはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0011】
セメント性組成物用混和材組成物は、米国2005/0257720号A1内に公開されている。この混和材は、水溶性消泡剤と、酸性媒体中で水不溶性の消泡剤を溶解させるアミン塩可溶化剤と、随意にセメント性組成物用の分散剤とを含む。アミン塩可溶化剤と、水不溶性消泡剤と、分散剤とのこの混合物は、長期の貯蔵安定性を示すセメント性組成物用の安定な混和材を提供する。ポリカルボキシレートは典型的な分散剤成分である。鉱油、植物油、脂肪酸エステル、エーテル化合物、ヒドロキシル官能性化合物、アルコール、燐酸エステル、ケイ素、ポリオキシアルキレン、炭化水素、アセチレン化合物、および少なくとも1つのプロピレンオキシドまたはエチレンオキシド成分を含むポリマーが、典型的な水不溶性消泡剤である。水硬性セメントは、ポルトランドセメント、メーソンリーセメント、アルミナセメント、耐火セメント、マグネシアセメント、スルホアルミン酸カルシウムセメントおよびオイルウェルセメントである。
【0012】
WO2006/021792号A2は、地中での形成(subterranean formation)におけるセメンティング方法を開示し、そこでは水、水硬性セメントおよび消泡剤を含んだセメント組成物が提供される。前記の消泡剤の成分は、脱泡炭化水素をベースとする流体、界面活性剤、疎水性粒子またはそれらの混合物の群から選択される少なくとも1つの化合物を含む。前記の水硬性セメントは石膏セメント、およびさらに分散剤を含有するセメント組成物であってよい。
【0013】
上で示されたように、本願は米国2006/0281886号として公開された先行特許に基づき、前記の先行特許は、オレフィン性不飽和モノカルボン酸コモノマーまたはそれらのエステルまたは塩、あるいはオレフィン性不飽和硫酸コモノマーまたはそれらの塩である成分a)、および好ましくはエーテル化合物を意味する成分b)とを有する、2つのモノマー成分を含むコポリマーを開示している。この2つのモノマーのコポリマーは、好ましくは水硬性結合材含有組成物において流動化剤として使用される。そこでは、前記のコポリマーを、コポリマーの追加的な構造単位でもある脱泡成分と組み合わせて使用できることが選択的に開示されている。その結果、前記の消泡成分はコポリマーに化学的に結合するか、あるいは配合物中で遊離した形態で存在できる。一般的な態様において、先行技術は分散剤(可塑剤)、例えば硫酸カルシウム含有結合材系用の典型的な添加剤としてのポリカルボキシレートエーテル(PCE)の使用を教示する。これは水分の減少、並びに物理特性、例えば石膏キャスト密度の増加による圧縮強度の増強をもたらす。追加的に、建設用化学組成物のワーカビリティおよび好ましくは流動挙動が改善される。他方、PCEベースの分散剤の添加は、結合材成分へのはっきりした空気の混入を引き起こし、それは組成物の物理的特性を悪化させる。それらの欠点を克服するために、消泡剤成分が分散剤への追加的な添加剤として使用される。しかしながら、消泡剤は水性配合物中で低い溶解性を示し、且つ不充分な安定性を引き起こす。さらには、配合物の脱泡特性は、消泡剤と分散剤との相分離によって時間とともに減少する。
【0014】
上述の流動化剤の種々の特性および利用可能性に基づき、現在の技術水準よりも改善された新規の混和材の創出がさらに望まれている。従って、本発明の課題は、湿式結合材組成物に良好な流動特性と水分低減特性とを付与する、硫酸カルシウム結合材含有組成物用の新規添加剤を提供することである。追加的な態様は、充分なワーカビリティを有する、水性且つ硫酸カルシウムベースの懸濁液である。
【0015】
発明の詳細な説明
本発明は、a)コポリマー分散成分と、b)抑泡剤成分と、c)界面活性剤成分と、d)水とを含む水性組成物を含む、硫酸カルシウム結合材系含有組成物を含む水性組成物のための液体混和材組成物に関する。
【0016】
本発明によれば、用語"硫酸カルシウム化合物"は、無水または水和した形態での硫酸カルシウム、例えば石膏、硬石膏、硫酸カルシウム二水和物および硫酸カルシウム半水和物を意味する。
【0017】
本発明によれば、用語"石膏"もまた、硫酸カルシウムとして理解され、ここで硫酸カルシウムは様々な無水および水和した形態で結晶水を用いてまたは用いないで使用される。天然の石膏を硫酸カルシウム二水和物で表し、且つ、天然結晶水のない形態の硫酸カルシウムを用語"硬石膏"で表す。天然の形態以外では、硫酸カルシウムは技術工程の典型的な副生成物であり、用語"合成石膏"によって記される。かかる技術工程の1つの例は、排煙脱硫である。合成石膏は、亜リン酸およびフッ化水素の製造方法の副生成物であってもよく、半水和形態(CaSO4・1/2H2O)をとり得る。硫酸カルシウム二水和物(CaSO4・2H2O)を焼成して水和物の水を除去してもよい。様々な焼成工程の生成物が、アルファ型、またはベータ型半水和物である。ベータ型硫酸カルシウム半水和物の粒子は、開放性のユニット内で加熱の間に、水分が素早く放出されることによって形成された高い多孔質構造を示す。アルファ型半水和物は閉鎖したオートクレーブ内で石膏を脱水することによって製造される。この場合、アルファ型半水和物の結晶形態は、より低い表面積を有し、且つ、より密である。従って、ベータ型半水和物よりも水分の需要が少ない。
【0018】
他方、石膏の半水和物は、水でカルシウム二水和物結晶に再水和する。通常、硫酸カルシウム半水和物の水和は、数分から数時間で完了し、数時間または数日を超える時間で水和するセメントと比較して明らかに短縮されたワーカビリティ時間を示す。それらの特徴は、石膏を様々な応用分野において水硬性結合材としてのセメントに対する魅力的な代替物にする。なぜなら、硬化した最終的な石膏製品は特徴的な堅さと圧縮強度とを示すからである。
【0019】
硫酸カルシウム半水和物は少なくとも2つの結晶形態で生成され、その際、α型焼成石膏は通常、閉鎖されたオートクレーブ内で脱水(乾燥)される。様々な応用分野では、β型焼成石膏が、経済面からの有用性ゆえに選択されることがある。しかしながら、それらの利点が裏目に出ることがある。なぜなら、β型焼成石膏は、ワーカビリティおよび所定の流動性のスラリーを作るために、より多い水の量を必要とするからである。より高い水分−漆喰比で混合された硫酸カルシウム半水和物から製造された硬化または乾燥した石膏は、密度がより低い傾向がある。従って、それらの製品は、より少ない量の水を用いて製造された石膏製品よりも低い強度を示す。
【0020】
一般に、石膏のワーカビリティだけでなく、他の水硬性結合材のワーカビリティもまた、分散剤を添加することによる水硬性の態様の下で改善される。これに関連して、本発明による混和材組成物は、その水性組成物成分の分散特性ゆえに、適した分散剤になる。
【0021】
特定の選択肢において、特許請求された混和材は成分a)を10〜60質量%の量で、抑泡剤b)を0.01〜10.0質量%で、界面活性剤成分c)を0.01〜10.0質量%で含有し、その残りがd)水である。前記の量は水性組成物全体に対するものである。より好ましい混和材においては、成分a)が20.0〜50.0質量%の量、抑泡剤b)が0.01〜5.0質量%、界面活性剤成分c)が0.01〜5.0質量%であり、その残りがd)水である。
【0022】
本発明の主な態様によれば、成分a)、b)、c)およびd)を含む水性組成物が硫酸カルシウムベースの結合材系のための液体混和材組成物の必須成分である。重要な面は、単独の成分a)〜d)の量である。従って本発明の1つの好ましい態様は、抑泡剤b)と界面活性剤成分c)との量が、分散成分a)に対して独立して0.05〜10.0質量%である混和材である。
【0023】
成分a)は、a1)硫酸カルシウム化合物を固定する成分として機能する基が、硫酸カルシウム化合物のカルシウムイオンとイオン結合を形成することによって結合する炭素含有主鎖と、a2)オキシアルキレン基とを有するコポリマーであるべきである。
【0024】
好ましくは、成分a)のコポリマーは2つのモノマー成分を含み、ここで成分a1)は
オレフィン性不飽和モノカルボン酸コモノマーまたは/およびエステル、または/およびそれらの塩、または/およびさらなるコモノマーまたは/およびそれらの塩としてのオレフィン性不飽和スルホン酸化合物であり、
且つ、成分a2)は、一般式(I)
【化1】

且つ、R2=H、または1〜5個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基であり、R3は置換されていない、あるいは置換されたアリール基、好ましくはフェニルであり、且つ、R4=H、または1〜20個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基、6〜14個の炭素原子を有する置換されたアリール基、または以下の群
【化2】

[式中、
5およびR7はそれぞれアルキル、アリール、アラルキル、またはアルカリール(alkaryl)基であってよく、且つR6はアルキリデン、アリリデン(aryliden)、アラルキリデン(aralkyliden)、アルカリリデン(alkaryliden)基であってよく、且つ、pは0、1、2または3であり、mおよびnは独立して2、3、4または5であり、xおよびyは独立して1〜350の整数であり、且つzは0〜200である]
から選択される化合物である]
によるコモノマーであり、ここで
I) 前記のコポリマーは、成分a1)およびa2)を表すコモノマー単位がそれぞれ分子間差異を示さないポリマーであるコポリマーである、または/および
前記のコポリマーは、成分a1)およびa2)を表すコモノマー単位がR1、または/およびR2、または/およびR3、または/およびR4、または/およびR5、または/およびR6、または/およびR7、または/およびm、または/およびn、または/およびx、または/およびy、または/およびzに関して分子間差異を示す、成分a1)とa2)とのポリマー混合物である。これは、前記のコポリマーが、
I) 分子間差異を示さない各成分a1)およびa2) (2つの異なるコモノマー単位のみが成分a1)およびa2)を表す)、
II) 述べられた様々な表記R1〜R7、m、n、x、y、zによる分子間差異を示す各成分1)およびa2)、または
III) 選択肢I)とII)との混合物であって、ただし成分a1)を表すコモノマー単位が同一であり、且つ、成分a2)を表すコモノマー単位が分子間差異を示すか、あるいは、成分a1)を表すコモノマー単位が分子間差異を示し、且つ成分a2)を表すコモノマー単位が同一であるかのいずれか
を有する成分a1)とa2)との重合された系で作られていることを意味する。論じられた分子の差異の全ては、主にポリマーの側鎖、および特に成分a2)の混合した側鎖に集中しており、ここで本発明の一部として含まれる。
【0025】
一般に、本発明によるそれらのポリマー、およびそれらの分散特性に基づくものは、時間が経っても優れた可塑化効果を示し、さらには通常の製造方法を使用して製造できる。従って、経済性の面から、液体混和材組成物の成分としてのそれらのコポリマーは、他の機能性成分、例えば共に特許請求される抑泡剤と界面活性剤とを伴って、先行技術を超える著しい改善を示す。他の態様は、ここで定義される石膏の分野において混和材の成分として可塑化効果を示す水性組成物である。さらには、抑泡剤と界面活性剤とを伴うコポリマーの改善される効果を、広範のエーテルコモノマーに基づいて、特に広い範囲の側鎖長に基づいて選択的に選べる。
【0026】
本発明による成分a)としてのコポリマーは特に、それがコポリマー成分a1)を30〜99モル%、およびエーテル成分a2)を70〜1モル%の量で含む場合、より有利な特性を示す。
【0027】
ここで使用される場合、述べられたコモノマーa1)およびa2)はそれぞれ、その重合後の特許請求されたコポリマーの構造単位として解釈される。
【0028】
好ましい実施態様において、コモノマー成分a1)およびコモノマーa2)のモル%は、それぞれ40〜95および60〜5であり、且つ、p=0または1を有するエーテル成分a2)はビニルまたはアリル基によって表され、且つ、追加的にポリエーテルをR1として含有する。追加的に、この選択肢においてコモノマー成分a1)はアクリル酸またはそれらの塩である。
【0029】
一般に、本発明によれば、コモノマー成分a1)はアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、(メタ)アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、およびそれらの適した塩、またはそれらのアルキルまたはヒドロキシアルキルエステル、またはそれらの混合物からなる群から選択される。
【0030】
選択的に、他のコモノマー、例えばスチレンまたはアクリルアミドを、追加的にエーテル成分a2)およびコモノマー成分a1)と共重合できる。選択的に、疎水性特性を有する成分を使用できる。エステル構造単位を有する化合物、ポリプロプレンオキシド、またはポリプロピレンオキシド−ポリエチレンオキシド(PO/PE)、またはポリブチレンオキシド−ポリオキシエチレン(PB/PE)またはポリスチレンオキシド−ポリエチレンオキシド(PS/PE)単位が好ましい。それらの追加的な構造単位は、コポリマー中で5モル%までの量に相当すべきである。0.05〜3モル%、および0.1〜1.0モル%の量が好ましい。構造単位c)および任意の関連物として米国5798425号および米国6777517号に開示される化合物、およびそれら両方の文献内に開示される種の化合物がより好ましい。追加的なコモノマーの構造に関して、米国5798425号および米国6777517号は参照をもって本願内に含まれ、従ってここで開示されるものとする。
【0031】
本発明によるコポリマーの追加的な好ましい選択肢は、ビニルまたはアリル基含有ポリエーテルを表す化学式(I)で示されるものとする。
【0032】
既に議論された通り、本発明の追加的な好ましい選択肢は、混合した側鎖を有するコモノマーをベースとするコポリマーを含む。成分a1)およびa2)のそれぞれは独立して、長さ1〜350単位、好ましくは5〜150単位、より好ましくは10〜75単位を有する側鎖を示す。詳細には、かかる混合物は、10、15、25、30、40、50、70、90、100、120、140、150、175、200、225、250、275、300、325、または350単位の好ましい側鎖長を有するコモノマーを含む。ここで、繰り返し単位またはそれらの混合物としての各々のこれらの側鎖は、コポリマーa1)およびa2)の1つにおいて独立して表される。述べられた側鎖は好ましくは、エチレンオキシド/プロピレンオキシド(EO/PO)の繰り返し単位によって表される。
【0033】
石膏の使用の実施態様において、長い側鎖と短い側鎖との混合物を有するコポリマーが特に好ましい。なぜなら、それらは流動性改善における効率がより大きいからである。それらの分散剤を石膏と共に用いるいくつかの使用は、例えば米国第11/893758号、11/893759号、および11/893791号内に教示されるものとして解釈され、ここで参照を持って開示されるものとする。
【0034】
既に述べられた通り、本発明のコポリマーを比較的単純な方法で製造でき、それは特に重合を酸素欠乏雰囲気あるいは無酸素雰囲気中で実施する場合である。いくらかの量の溶剤を添加してエーテル化合物を可溶性にしてもよい。それぞれ、コモノマーa2)が多価アルコール基またはアルキレンオキシド誘導体多価アルコール基であり、且つR2のエーテル成分が水素である場合、水が好ましい溶剤である。選択的に、水とアルコール、例えばイソプロパノールとの混合物を添加してよい。R2が水素以外である場合、有機溶剤、特にトルエンが好ましいとみなされる。
【0035】
重合反応を開始させるために、塩基性混合物を室温に加熱するか、あるいは穏やかに冷却する。他の適した選択肢は、開始剤成分としてのレドックス系の添加であってもよい。このレドックス系は、還元剤および酸化剤、および好ましくはRongalite(登録商標)またはBruggolite(登録商標)、および追加的に過酸化物または過硫酸塩、例えばH22またはアンモニア過硫酸塩を含んでもよい。それらの試薬を、好ましくは溶剤として水を有する系の中で使用する。Rongalite(登録商標)は、Rongalit(登録商標)(BASFの登録商標)とも呼ばれ、ヒドロキシメチルスルフィン酸ナトリウム(sodium hydroxymethylsulfinate)である。その塩は水溶性であり、且つ二水和物として一般に販売されている。この塩は亜ジチオン酸ナトリウムから調製され、それは還元剤と試薬との両方として使用され、SO2基を有機分子内に導入する。Brueggemann ChemicalsのBruggolite(登録商標)(Brueggolit(登録商標))は、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム(SFS)をベースとした、織物、製薬、および漂白産業用の還元剤である。
【0036】
原則的に、本発明によるコポリマーを製造するために2つの選択肢を選択できる:
選択肢A:
コモノマー混合物と還元剤とを含有する混合物を、段階的あるいは同時に、エーテル含有混合物に添加する。温度は0〜50℃に及ぶ。
【0037】
選択肢B:
酸化剤を含有する混合物を、前記の完成したモノマー混合物へ段階的に添加する。
【0038】
その後、全ての過酸化物が反応するまで、前記の反応混合物を通常は攪拌する。有機溶剤を使用する場合、それらを蒸留する。その後、前記の反応生成物を冷却し、そしてそのコポリマーを、塩基(例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属、アミンまたはアルカノールアミン)を使用して中和する。水酸化ナトリウムまたはカルシウムを含む水溶液の添加が好ましい選択肢である。
【0039】
開示されたこの方法は、本発明によるコポリマーの製造の一例を表す。
【0040】
最終的に、本発明は粉末形態のコポリマーを有する好ましい選択肢を包む。前記の粉末を、最後の乾燥工程によって、より好ましくは噴霧乾燥によって実現する。
【0041】
現状の技術に対して、この方法では、選択された任意の希釈度で水硬性且つ硫酸カルシウム含有混合物に添加される有益な粉末のコポリマーが製造される。
【0042】
コポリマー分散成分a)の他に、特許請求された液体混和材による水性組成物は、追加的に抑泡剤を成分b)として含む。この抑泡剤は、好ましくは鉱油、植物油、シリコーン油、ケイ素含有エマルション、脂肪酸、脂肪酸エステル、有機変性ポリシロキサン、ホウ酸エステル、アルコキシレート、ポリオキシアルキレン(polyoxialkylene)コポリマー、アセチレンジオールであって脱泡特性を有するもの、および化学式
P(O)(O−R83-x(O−R9x (前記式中、Pは燐を表し、Oは酸素を表し、且つR8およびR9は独立してC2〜C20−アルキルまたはアリール基であり、且つx=0、1、2であり、ここではC2〜C8−を有するアルキル基が好ましい)を有する燐酸エステルを含有する群から選択される。
【0043】
好ましくは、前記の抑泡剤はトリアルキルホスフェート、およびより好ましくはトリイソブチルホスフェート、ポリオキシプロピレンコポリマー、およびグリセロールアルコレートを含む。
【0044】
本発明は追加的に、前記の抑泡剤がトリアルキルホスフェートとポリオキシプロピレンコポリマーとの混合物を含む混和材を含む。
【0045】
水性組成物の第三の成分c)、即ち界面活性剤は、好ましくはエチレンオキシド/プロピレンオキシド(EO/PO)ブロックコポリマー、スチレン/マレイン酸コポリマー、脂肪アルコールアルコキシレート、アルコールエトキシレート R10−EO−H (前記式中、R10は1〜25個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基である)、アセチレンジオール、モノアルキルポリアルキレン、エトキシ化ノニルフェノール、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルスルホネート、アルキルエーテルカルボキシレートを含有する群から選択される。
【0046】
より好ましくは、界面活性剤成分c)は、2〜20個の炭素原子の炭素鎖長からなり、C3〜C12の特定の炭素鎖長を有するポリアルキレン基を有するアルコールを含む。
【0047】
有利には、本発明による混和材は、遊離形態または分散成分a)に結合した、あるいはそれらの混合物である抑泡剤成分b)を含有する水性組成物を含む。抑泡剤が分散成分に結合している場合、それは物理的または化学的に結合されている。化学的な結合であれば、この場合は重合および/またはグラフトされた形態が好ましい。化学的に結合している場合、抑泡剤はコポリマー分散成分の第三のコモノマーとしてもみなされる。その遊離形態において、前記の抑泡剤は水性組成物の配合成分である。従って、抑泡剤成分b)は、分散成分a)に物理的および/または化学的に結合されているか、および/またはそれは遊離形態の成分であるかのいずれかであり、従って配合物の一部である。
【0048】
混和材それ自体に加えて、本発明は好ましくは物理的な配合物(混合物)として成分a)、b)およびc)を含有する水性組成物を形成する方法において、分散成分a)と、安定剤としての界面活性成分c)とを水中で混合し、そして抑泡剤b)を成分a)とc)との安定化された混合物からなる水溶液に添加することによる方法によって製造される混和材にも関する。
【0049】
第二の選択肢によれば、抑泡剤b)と、安定剤としての界面活性剤成分c)とを水中で混合し、そして分散成分a)を成分b)とc)との混合物からなる水溶液に添加することによって、成分a)、b)およびc)を水性組成物、好ましくは物理的な配合物(混合物)として形成する。選択的に、成分b)とc)との混合物の水溶液を分散剤成分a)に添加できる。本発明は一般に、適した反応パラメータ、例えば温度および圧力の下で、任意の順番での主成分a)、b)およびc)の混合に関する。好ましいのは15〜60℃の温度であり、より好ましくは室温および大気圧である。
【0050】
従って、本発明の液体混和材組成物は、主に懸濁液系および/またはエマルション系の混合物を有する分散液である、安定した液体系である。混和材の最終系は、成分a)、b)およびc)の化学的性質、および水性組成物中でのそれらの量に依存する。最終系またはそれに含まれる下位の系とは無関係に、前記の液体混和材は安定な形態の水性組成物に関する。前記の液体混和材が、疎水性特性を有する安定化された溶液になり、それが硫酸カルシウム成分含有系において優位性を示すことは本発明の重要な側面である。
【0051】
消泡剤がコポリマーの追加的な化学的構造の基として提供される実施態様において、米国5789425号および米国6777517号の特許で既に述べられた構造単位"c)"を使用できる。
【0052】
混和材それ自体に加えて、本発明は水硬性成分としての硫酸カルシウム化合物に加えてコポリマー含有水性組成物を含む、水硬性結合材含有組成物にも関する。
【0053】
本発明は、特許請求された混和材を分散剤(流動化剤)として非硬化(湿式)の硫酸カルシウム結合材含有組成物に用いる使用方法にも関する。これに関連して、前記のコポリマーは好ましくは0.01〜10.0質量%の量、およびより好ましくは0.05〜5.0質量%の量で使用される。それぞれの量は結合材成分の質量に対するものである。
【0054】
驚くべきことに、高い貯蔵安定性を有する均質な(homogenous)分散剤を含有する混和材を、界面活性剤、例えばLutensol(登録商標)TO6またはスチレン/マレイン酸コポリマーを添加することによって実現できる。分散剤、消泡剤、および界面活性剤の水性組成物を含有する本発明の混和材は、改善した経時安定性、結合材系、および好ましくは硫酸カルシウム含有組成物中での際立った分散特性、および製造中の低い空気混入を示す。本発明の混和材は、米国20060281886号内に開示されるPCEを、モノマーとしてのアクリル酸およびアルコキシル化ビニルエーテル、水溶性消泡剤(例えば、Pluriol(登録商標)P2000またはBASF AGのDegressal型消泡剤)、および乳化界面活性剤と共に含む。本発明のかかる混和材の製造を変更してもよい。前記の消泡剤および界面活性剤を水性分散溶液に連続的に添加するか、あるいは選択的に、消泡剤と界面活性剤とを含有する混合物をPCE水溶液中で分散させる。硫酸カルシウム含有結合材系、例えば硬石膏ベースのグラウトにおいて、本発明の混和材は、抑泡剤成分を有さないPCE含有配合物と比較して、空気の混入の著しい減少、および流動性におけるかなりの改善ももたらす。
【0055】
本発明の混和材組成物、および特に硫酸カルシウム化合物を含有する組成物中での分散剤としてのその適用は、技術水準の明らかな改善を示す。なぜなら、該混和材はそれが含有されている水性組成物と共に、時間が経っても均質な可塑化効果、および湿式の建設用化学物質の石膏塊において水と空気との両方の含有率が低減することによる物理的特性の改善をもたらすからである。さらには、特許請求された混和材は改善された安定性および均質性を示す。追加的に、湿式水硬性結合材含有組成物のポンパビリティおよびワーカビリティが著しく改善される。
【0056】
以下の実施例は、特許請求された混和材、それを含有する水性組成物、含まれる成分およびその使用の利点を明示する。
【0057】
実施例
1. 混和材の製造
実施例1.1
温度調節器、還流冷却器、および2つの滴下漏斗を備えた1リットルの四つ口フラスコに、水490.0gと、ポリエチレングリコール−5800−モノビニルエーテル350.0g(0.06モル)と、NaOH(20%)10.0gとを添加した。水40.0g中にアクリル酸26.0g(0.36mol)を含む混合物を別途調製し、その後、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル溶液に添加した。そのpHは5.3に低下した。その後、硫酸鉄(II)七水和物("緑礬")40.0mgと、Rongalite(登録商標)4.0gと、メルカプトエタノール1.5gとを添加した。短時間の攪拌後、50%の過酸化水素3.6gを添加した。その温度は20℃から29℃に上昇した。その後、前記の溶液を10分間室温で攪拌し、そして次に20%の水酸化ナトリウム溶液37.0gで中和した。前記のコポリマー分散剤は、淡い黄色で澄んだ、固体濃度40質量%を有するポリマー水溶液であった。前記のコポリマー分散剤に、抑泡剤と界面活性剤とを添加した。このエマルションは、抑泡剤と界面活性剤とを攪拌された(500rpm)コポリマー分散剤の溶液に室温(25℃)で連続的に添加することによって調製された。表1に示される材料の量は、溶液に対する質量パーセントである。
【0058】
実施例1.2
実施例1によるフラスコに、水490gと、ポリエチレングリコール−5800−モノビニルエーテル350.0g(0.06モル)と、10%のプロピレン含有率を有する混合エチレンプロピレンポリアルキレングリコール−6000−モノビニルエーテル35.0g(0.006モル)と、NaOH(20%)10.0gとを添加した。水40.0g中にアクリル酸26.0g(0.36mol)を含む混合物を別途調製し、その後、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル溶液に添加した。そのpHは5.3に低下した。その後、硫酸鉄(II)七水和物("緑礬")40.0mgと、Rongalite(登録商標)4.0gと、メルカプトエタノール1.5gとを添加した。短時間の攪拌後、50%の過酸化水素3.6gを添加した。その温度は20℃から29℃に上昇した。その後、前記の溶液を10分間室温で攪拌し、そして次に20%の水酸化ナトリウム溶液37.0gで中和した。前記のコポリマー分散剤は、淡い黄色で澄んだ、固体濃度40質量%を有するポリマー水溶液であった。前記のコポリマー分散剤に、抑泡剤と界面活性剤との混合物を添加した。このエマルションは、500rpmの攪拌下で抑泡剤を界面活性剤に添加し、次にこの配合物を室温(25℃)で混合してコポリマー分散剤にすることによって形成された。表1に示される材料の量は、溶液に対する質量パーセントである。
【0059】
実施例1.3
温度調節器、還流冷却器、および2つの滴下漏斗を備えた1リットルの四つ口フラスコに、水335.0gと、ポリエチレングリコール−3000−モノビニルエーテル210.0g(0.07mol)と、ポリエチレングリコール−500−モノビニルエーテル23.3g(0.047モル)とを添加した。その後、硫酸鉄(II)七水和物("緑礬")10.0mgと、Bruggolite FF6(登録商標)5.0gと、3−メルカプトプロピオン酸1.9gとを添加した。その後、アクリル酸25.4g(0.35モル)を前記のポリエチレングリコールモノビニルエーテル溶液に添加した。そのpHは4.4に低下した。短時間の攪拌後、50%の過酸化水素2.5gを添加した。その温度は20℃から35℃に上昇した。その後、前記の溶液を10分間室温で攪拌し、そして次に20%の水酸化ナトリウム溶液65.0gで中和した。前記のコポリマー分散剤は、淡い黄色で澄んだ、固体濃度40質量%を有するポリマー水溶液であった。前記のコポリマー分散剤に、抑泡剤と界面活性剤との混合物を添加した。このエマルションは、500rpmの攪拌下で抑泡剤を界面活性剤に添加し、次にこの配合物を室温(25℃)で混合してコポリマー分散剤にすることによって形成された。表1に示される材料の量は、溶液に対する質量パーセントである。
【0060】
2. 石膏系中での適用試験
下記の混和材(試験溶液)において、抑泡剤A1はPluriol(登録商標)P2000として市販のポリプロピレングリコールであり、且つ、抑泡剤A2はDegressal(登録商標)SD23として市販のアルコキシル化アルコールであり、且つ、抑泡剤A3はDegressal(登録商標)SD30として市販のカルボン酸エステルであり、全てBASF SE(ルートヴィヒスハーフェン、ドイツ)製である。界面活性剤S1は、BASF SE(ルートヴィヒスハーフェン、ドイツ)製のLutensol(登録商標)TO6として市販のイソトリデカノールエトキシレートであった。界面活性剤S2は、EP0306449号A2に従って合成されたスチレン/マレイン酸コポリマーである。
【0061】
【表1】

【0062】
レシピのガイド:
FGD硬石膏 (煙道ガス石膏) 350g
砂 (0〜2mm) 536.3g
水晶充填材 1600 100g
CEM I 42.5 R 10.5g
硫酸カリウム 2.5g
Tylose MH 2000 0.3g
水 200g
混和材(流動化剤) 0.02%−bwg (石膏の質量に対して)。
【0063】
混合手順および測定:
混合手順および測定を、欧州規格EN196−1およびDIN18555−2に準拠して実施した。
【0064】
【表2】

【0065】
表2において示される通り、本発明による混和材は消泡特性を示す。空気含有率は比較例C3よりも著しく低いことが見出された。
【0066】
3. 石膏系における適用試験
レシピのガイド:
漆喰 400g
水 260g (水と漆喰との比=0.65)。
【0067】
混合手順および測定:
必要量の液体混和材を、混合カップ内に計量投入し、そして水の総量が260gになるまで水を添加する。漆喰を促進剤と共に15秒以内で水中に移し、その後、Hobart(登録商標)ミキサーを用いて15秒間、高速(285rpm)で混合する。60秒後、シリンダー(高さ:10cm、直径:5cm)を用いて流動値を測定した。硬化時間をいわゆるナイフカット試験法によって測定した。
【0068】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫酸カルシウムベースの結合材系を含有する水性組成物のための液体混和材組成物において、
a) コポリマー分散成分、
b) 抑泡剤成分、
c) 界面活性剤成分、および
d) 水
を含む液体混和材組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の混和材において、硫酸カルシウム化合物が無水および水和した形態での硫酸カルシウム、例えば石膏、硬石膏、硫酸カルシウム二水和物、硫酸カルシウム半水和物からなる群から選択される前記混和材。
【請求項3】
請求項1に記載の混和材において、成分a)の量が10.0〜60.0質量%であり、抑泡剤b)の量が0.01〜10.0質量%であり、界面活性剤成分c)の量が0.01〜10.0質量%であり、その残りが水である(ここで、与えられた全ての量は水性組成物の総量に対するものである)前記混和材。
【請求項4】
請求項3に記載の混和材において、成分a)の量が20.0〜50.0質量%であり、抑泡剤b)の量が0.01〜5.0質量%であり、界面活性剤成分c)の量が0.01〜5.0質量%であり、その残りが水である(ここで、与えられた全ての量は水性組成物の総質量に対するものである)前記混和材。
【請求項5】
請求項1に記載の混和材において、抑泡剤b)および界面活性剤成分c)が独立して、分散成分a)に対して0.05〜10.0質量%の量で存在する前記混和材。
【請求項6】
請求項1に記載の混和材において、成分a)がa1)硫酸カルシウム化合物を固定する成分として機能する基が、硫酸カルシウム化合物のカルシウムイオンとイオン結合を形成することによって結合する炭素含有主鎖と、a2)オキシアルキレン基とを有するコポリマーである前記混和材。
【請求項7】
請求項1に記載の混和材において、成分a)のコポリマーが2つのモノマー成分からなり、ここで成分a1)はオレフィン性不飽和モノカルボン酸コモノマー、それらのエステルまたはそれらの塩、あるいはオレフィン性不飽和スルホン酸化合物、またはそれらの塩の少なくとも1つであり、且つ、成分a2)は化学式(I)
【化1】

且つ、R2=H、または1〜5個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基であり、R3は置換されていない、あるいは置換されたアリール基であり、且つ、R4はH、または1〜20個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基、5〜8個の炭素原子を有する脂環式炭化水素基、6〜14個の炭素原子を有する置換されたアリール基、または以下の群
【化2】

[式中、
5およびR7は独立してアルキル、アリール、アラルキル、またはアルカリール基であり、且つR6はアルキリデン、アリリデン、アラルキリデン、アルカリリデン基であり、且つ、pは0、1、2または3であり、mおよびnは独立して2、3、4または5であり、xおよびyは独立して1〜350の整数であり、且つzは0〜200である]
から選択される化合物である]
のコモノマーであって、
I) 前記のコポリマーは、成分a1)およびa2)を表すコモノマー単位がそれぞれ分子間差異を示さないポリマーである、または/および
II) 前記のコポリマーは、成分a1)または/およびa2)を表すコモノマーがR1、または/およびR2、または/およびR3、または/およびR4、または/およびR5、または/およびR6、または/およびR7、または/およびm、または/およびn、または/およびx、または/およびy、または/およびzに関して分子間差異を示す成分a1)とa2)とのポリマー混合物である、
前記混和材。
【請求項8】
請求項7に記載の混和材において、R3がフェニルである混和材。
【請求項9】
請求項6に記載の混和材において、コモノマーa1)がアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、(メタ)アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、それらの塩、それらのアルキルまたはヒドロキシアルキルエステル、またはそれらの混合物である前記混和材。
【請求項10】
請求項6に記載の混和材において、成分a)が30〜99モル%のコモノマー成分a1)と、70〜1モル%のエーテル成分a2)とを含む前記混和材。
【請求項11】
請求項6に記載の混和材において、コモノマー成分a1)の量が40〜95モル%であり、且つコモノマー成分a2)の量が60〜5モル%である前記混和材。
【請求項12】
請求項6に記載の混和材において、コモノマー成分a1)がアクリル酸、またはそれらの塩であり、且つ、pが0または1であるエーテル成分a2)がビニルまたはアリル基を表し且つ追加的にポリエーテルを含有する前記混和材。
【請求項13】
請求項7に記載の混和材において、分散成分a)が共重合された形態において追加的な構造の基を含む前記混和材。
【請求項14】
請求項13に記載の混和材において、追加的な構造の基が、スチレン、アクリルアミド、または疎水性化合物の少なくとも1つである前記混和材。
【請求項15】
請求項14に記載の混和材において、追加的な構造の基がエステル構造単位、ポリプロピレンオキシドおよびポリプロピレンオキシド/ポリエチレンオキシド(PO/PE)単位、ポリブチレンオキシド−ポリオキシエチレン(PB/PE)単位、ポリスチレンオキシド−ポリエチレンオキシド(PS/PE)単位の少なくとも1つである前記混和材。
【請求項16】
請求項13に記載の混和材において、追加的な構造の基が5モル%以下の量で含有される前記混和材。
【請求項17】
請求項16に記載の混和材において、追加的な構造の基が0.05〜3.0モル%の量で含有される前記混和材。
【請求項18】
請求項16に記載の混和材において、追加的な構造の基が0.1〜1.0モル%の量で含有される前記混和材。
【請求項19】
請求項7に記載の混和材において、化学式(I)がビニルまたはアリル基を含有するポリエーテルを表す前記混和材。
【請求項20】
請求項1に記載の混和材において、分散成分a)が粉末として提供される前記混和材。
【請求項21】
請求項20に記載の混和材において、粉末が噴霧乾燥によって生成される前記混和材。
【請求項22】
請求項1に記載の混和材において、抑泡剤成分b)が、鉱油、植物油、シリコーン油、ケイ素含有エマルション、脂肪酸および脂肪酸エステル、有機変性ポリシロキサン、ホウ酸エステル、アルコキシレート、ポリオキシアルキレンコポリマー、アセチレンジオールであって消泡特性を有するもの、および化学式
P(O)(O−R83-x(O−R9x (前記式中、Pは燐を表し、Oは酸素を表し、且つR8およびR9は独立してC2〜C20−アルキルまたはアリール基であり、且つx=0、1、2である)を有する燐酸エステルからなる群から選択される前記混和材。
【請求項23】
請求項22に記載の混和材において、前記の抑泡剤b)がトリアルキルホスフェート、ポリオキシプロピレンコポリマー、および/またはグリセロールアルコレートの少なくとも1つを含む前記混和材。
【請求項24】
請求項23に記載の混和材において、抑泡剤b)がトリイソブチルホスフェートである前記混和材。
【請求項25】
請求項23に記載の混和材において、前記の抑泡剤がトリアルキルホスフェートとポリオキシプロピレンコポリマーとの混合物を含む前記混和材。
【請求項26】
請求項1に記載の混和材において、前記の界面活性剤成分c)が、エチレンオキシド/プロピレンオキシド(EO/PO)ブロックコポリマー、スチレン/マレイン酸コポリマー、脂肪アルコールアルコキシレート、アルコールエトキシレート R10−(EO)−H (前記R10は、1〜25個の炭素原子を有する脂肪族炭化水素基である)、アセチレンジオール、モノアルキルポリアルキレン、エトキシ化ノニルフェノール、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルエーテルスルホネート、またはアルキルエーテルカルボキシレートからなる群から選択される前記混和材。
【請求項27】
請求項1に記載の混和材において、前記の界面活性剤成分c)が2〜20個の炭素原子の炭素鎖長を有するポリアルキレン基を有するアルコールを含む前記混和材。
【請求項28】
請求項27に記載の混和材において、前記のポリアルキレン基が3〜12個の炭素原子の炭素鎖長を有する前記混和材。
【請求項29】
請求項1に記載の混和材において、水性組成物が、遊離した形態または分散成分a)に結合した、あるいはそれらの混合物である抑泡剤成分b)を含有する前記混和材。
【請求項30】
請求項1に記載の混和材において、成分a)、b)およびc)が、分散成分a)と、安定剤としての界面活性剤成分c)とを希釈水中で混合し、そして抑泡剤b)を成分a)とc)との安定化された混合物を含有する水溶液に添加することによって、水性組成物に形成される前記混和材。
【請求項31】
請求項1に記載の混和材において、成分a)、b)およびc)が、抑泡剤b)と、安定剤としての界面活性剤成分c)とを希釈水中で混合し、そして分散成分a)を成分b)とc)との混合物を含有する水溶液に添加するか、あるいは選択的に成分b)とc)との混合物を含有する水溶液を分散成分a)に添加することによって、水性組成物に形成される前記混和材。
【請求項32】
請求項1に記載の混和材において、成分a)、b)およびc)が、界面活性剤成分c)を分散成分a)と抑泡剤b)とを含有する水溶液に添加することによって、水性組成物に形成される前記混和材。
【請求項33】
請求項30から32までのいずれか一項に記載の混和材において、形成された水溶液が物理的な配合物である前記混和材。
【請求項34】
請求項1の混和材を、硫酸カルシウム成分を水硬性結合材として含有する非硬化(湿式)組成物のための分散剤として提供することを含む方法において、前記の混和材を、硫酸カルシウム成分を含有する湿式且つ非硬化の組成物と混合することによる方法。
【請求項35】
混和材を、硫酸カルシウム成分を含有する湿式且つ非硬化の組成物と混合する請求項34に記載の方法において、硫酸カルシウム成分が無水および水和した形態での硫酸カルシウム、例えば石膏、硬石膏、硫酸カルシウム二水和物、および硫酸カルシウム半水和物からなる群から選択される前記方法。
【請求項36】
混和材を、硫酸カルシウム成分を含有する湿式且つ非硬化の組成物と混合する請求項34に記載の方法において、前記の混和材を流動化剤(superplastiziser)として0.01〜10.0質量%の量で添加する前記方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法において、混和材を0.05〜5.0質量%の量(ここで前記の量は水硬性結合材としての硫酸カルシウム成分の質量に対するものである)で添加する前記方法。

【公表番号】特表2010−536699(P2010−536699A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521394(P2010−521394)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060552
【国際公開番号】WO2009/024499
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(500487262)ビーエーエスエフ コンストラクション ポリマース ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (6)
【氏名又は名称原語表記】BASF Construction Polymers GmbH
【Fターム(参考)】