説明

液体温度調節装置

【課題】水その他の液体の温度を急速に調節することが可能な液体温度調節装置を提供する。
【解決手段】液体温度調節装置100は、一対の温度調節部110a,110bと、液路形成部120とを備え、一対の温度調整部110a,110bは、液路形成部120を挟むように配置される。一対の温度調整部110a,110bはそれぞれ、板ばね部130によって、液路形成部120の方向に付勢されて、液路形成部120に対して押しつけられている。各温度調節部110a,110bは、3つの熱電変換モジュールと、当該熱電変換モジュールの放熱面を冷却する液冷部とによって構成されている。液路形成部120の内部には、液体を流すための液路が形成されており、一方の端部から液路形成部120内に導入された液体は、温度調節部110a,110bによって、その温度が調節されて、他方の端部から外部に導出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体(例えば、水)の温度を調節(例えば、冷却)する液体温度調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水を冷却して供給する冷水機が知られている。従来の冷水機は、例えば、飲料水を貯蔵する小型のタンクを内蔵しており、当該タンクを冷却することで、冷却された水を供給していた。
【0003】
しかしながら、通常、タンク内に貯蔵された飲料水の冷却にはある程度時間がかかることになる。そのため、冷水を飲みたくなったときに即座に飲めるようにするには、飲料水を予めタンク内に貯蔵しておき、当該タンクに貯蔵された飲料水を予め冷却しておく必要があった。
【0004】
この場合、タンク内に貯蔵された飲料水は、すぐには飲まれることなく、タンク内に貯蔵され続けることになる。つまり、飲料水を常温(例えば、25℃)から飲み頃の温度(例えば、5℃)にまで冷やすためだけではなく、飲み頃の温度を維持するためにもエネルギーが使われることになり、エネルギーの有効利用という観点からは、必ずしも望ましいことではない。
【0005】
ここで、飲料水を急速に冷却することができれば、飲みたくなった時点で飲料水を急速冷却し、その場で飲むということが可能となる。このようなことができれば、タンクに貯蔵された飲料水を予め冷却しておき、飲み頃の温度に維持しておくということも不要となるので、その分エネルギーを節約することが可能となる。最近では、エコロジー的な観点からも、そのようなエネルギーを節約することを可能とする装置に対するニーズは高い。
【0006】
なお、特開平4−32680号公報には、冷水タンクの側壁にペルチェ素子を配設し、冷水タンク内に貯蔵された飲料水をペルチェ素子の冷熱で冷却する冷水器が開示されている。また、特開平4−313668号公報には、液体を収納する容器の底部にペルチェ素子を取り付け、容器内の液体をペルチェ素子によって冷却する電気冷水器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平4−32680号公報
【特許文献2】特開平4−313668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、水その他の液体の温度を急速に調節することが可能な液体温度調節装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る液体温度調節装置は、液体が流れる液路が形成される液路形成部と、当該液路形成部の温度を調節する一対の温度調節部とを備え、前記一対の温度調節部は、前記液路形成部を挟むように配置され、前記液路形成部と接触して、前記液路形成部の側面のほぼ全域を覆うことを特徴とする。
【0010】
この場合において、前記液路形成部は、矩形平板状の形状を有するようにしてもよい。
【0011】
また、以上の場合において、前記温度調節部は、前記液路形成部の側面と接触する複数の熱電変換モジュールと、当該複数の熱電変換モジュールと、前記液路形成部とは反対側の面で接触する複数の液冷部とを備え、前記複数の熱電変換モジュールと前記複数の液冷部とは、一対一に対応しているようにしてもよい。
【0012】
この場合において、前記複数の液冷部のそれぞれを、対応する熱電変換モジュールの方向に付勢する付勢手段(例えば、板ばね)を更に備えるようにしてもよい。
【0013】
また、以上の場合において、前記液路は、複数の孔によって構成されるようにしてもよい。この場合、前記孔は、前記液路形成部内を直線状に延びているようにしてもよいし、角のない孔(例えば、円形の孔)であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、水その他の液体の温度を急速に調節することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明による液体温度調節装置100の構造を説明するための正面図である。
【図2】本発明による液体温度調節装置100の構造を説明するための拡大平面図である。
【図3】温度調節部110の構造を説明するための正面図である。
【図4】温度調節部110の構造を説明するための背面図である。
【図5】温度調節部110の構造を説明するための拡大平面図である。
【図6】熱電変換モジュール111の構造を説明するための図である。
【図7】液冷ブロック112の構造を説明するための図である。
【図8】冷却液給排部113を構成する経路ユニット1131の構造を説明するための図である。
【図9】液路形成部120の構造を説明するための図である。
【図10】本体部121の構造を説明するための図である。
【図11】ノズル部122及びパッキン部123の構造を説明するための図である。
【図12】液体温度調節装置100の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下では、液体としての飲料水の冷却を行う液体温度調節装置について説明する。本液体温度調節装置は、外部から供給される飲料水を冷却するために利用される。より具体的には、本液体温度調節装置は、外部から一定の流量(例えば、4cc/秒)で供給される常温(例えば、25℃)の飲料水を飲み頃の温度(例えば、5℃程度)にまで冷却して、冷水として外部に連続的に供給するものである。
【0017】
図1及び図2は、本発明による液体温度調節装置の構造を説明するための図である。図1は正面図を示し、図2は拡大平面図を示している。
【0018】
図1及び図2に示すように、本発明による液体温度調節装置100は、一対の温度調節部110(110a,110b)と、液路形成部120とを備える。一対の温度調節部110(110a,110b)は、液路形成部120を挟むように配置される。そして、一対の温度調節部110(110a,110b)はそれぞれ、板ばね部130によって、液路形成部120の方向に付勢されて、液路形成部120に対して押しつけられている。
【0019】
温度調節部110は、液路形成部120内を流れる液体の温度を調節するものである。より正確には、温度調節部110は、液路形成部120の温度を調節することで、液路形成部120内を流れる液体の温度を調節する。本実施形態では、各温度調節部110は、複数(具体的には、3つ)の熱電変換モジュール(ペルチェモジュール)と、当該熱電変換モジュールの放熱面を冷却する液冷部とによって構成されており、熱電変換モジュールに一定方向の電流を流すことによって、液路形成部120内を流れる飲料水を冷却する。各温度調節部110の構造の詳細については後述する。
【0020】
液路形成部120は、その内部に、液体を流すための液路が形成されているものであって、一方の端部(例えば、下端部)に液体を導入するための注入口を有し、他方の端部(例えば、上端部)に液体を導出するための注出口を有するものである。一方の端部(注入口)から液路形成部120内に導入された液体は、温度調節部110によって、その温度が調節される。所望の温度に調節された液体は、他方の端部(注出口)から外部に導出される。液路形成部120の構造の詳細については後述する。
【0021】
板ばね部130は、一対の温度調節部110及び液路形成部120を囲うように配置されて、そのばね作用によって、各温度調節部110を、液路形成部120の方向に付勢する部材である。また、板ばね部130は、後述する経路ユニットの動きを規制することによって、温度調節部110の形状を保持する作用も有する。図2に示すように、板ばね部130は、2つの板ばね部材130a,130bを適宜連結することで構成されており、2つの板ばね部材130a,130bは、一対の温度調節部110a,110bを挟むように配置される。また、各板ばね部材130a,130bは、菱形状の外形を有する板ばねを3つ連結したような形状を有しており、各板ばねは、3つある熱電変換モジュール(及び後述する液冷ブロック)のそれぞれに対応する位置に配置される。すなわち、3つある熱電変換モジュール(及び後述する液冷ブロック)は、それぞれ個別に、液路形成部120の方向に付勢される。
【0022】
次に、温度調節部110の構造について説明する。
【0023】
図3〜図5は、温度調節部110の構造を説明するための図である。図3は正面図を示し、図4は背面図を示し、図5は拡大平面図を示す。
【0024】
図3〜図5に示すように、温度調節部110は、3つの熱電変換モジュール111(111a〜111c)と、3つの液冷ブロック112(112a〜112c)と、一対の冷却液給排部113(113a,113b)とを備える。
【0025】
熱電変換モジュール111は、液路形成部120の側面に接触して、液路形成部120の温度を調節(本実施形態では、冷却)することで、液路形成部120内を流れる液体の温度を調節(本実施形態では、冷却)するものである。熱電変換モジュール111と液路形成部120とが接する面には、熱伝導性を高めるため、例えば、熱伝導性に優れた半固形状の物質であるサーマルグリースが塗布される。熱電変換モジュール111の構造の詳細については後述する。なお、3つの熱電変換モジュール111は、電気的には並列に接続される。
【0026】
液冷ブロック112は、熱電変換モジュール111の液路形成部120と接触する面(吸熱面)とは反対側の面(放熱面)に接触して熱を伝達(放熱)する伝熱部材(放熱部材)であって、例えば、熱伝導性の高い金属(例えば、アルミニウム)によって構成される。液冷ブロック112は、熱電変換モジュール111と一対一に対応するように、各熱電変換モジュール111に対して一つずつ設けられている。そして、液冷ブロック112と、熱電変換モジュール111とは、例えば、熱伝導性の高い接着剤で接着されて一体をなしている。液冷ブロック112の構造の詳細については後述する。
【0027】
冷却液給排部113は、各液冷ブロック112への冷却液の供給路、及び、各液冷ブロック112からの冷却液の排出路を構成するものであり、各冷却液給排部113の下端部には、冷却液の供給及び回収を行うためのチューブが接続される。冷却液給排部113は、3つの経路ユニット1131を連結することで構成されている。冷却液給排部113(経路ユニット1131)の構造の詳細については後述する。
【0028】
次に、温度調節部110を構成する各構成要素の構造について説明する。
【0029】
まず、熱電変換モジュール111の構造について説明する。
【0030】
図6は、熱電変換モジュール111の構造を説明するための図である。
【0031】
同図に示すように、熱電変換モジュール111は、板状に並べられた複数のπ型熱電素子610(n型半導体素子611及びp型半導体素子612の一端を金属電極613で接合したもの)によって構成されており、複数のπ型熱電素子610は、金属電極620によって、電気的には直列に、熱的には並列に接続されている。同図に示した例では、矢印の方向(π型熱電素子のn側からp側へ向かう方向)に直流電流を流すと、上面側(π型熱電素子のnp接合側)で吸熱が行われ、底面側で放熱が行われることになる。また、一般に、上面及び底面には、それぞれ、絶縁基板630(例えば、セラミック基板)が接合されており、吸熱面及び放熱面を形成している。なお、同図では、上面側の絶縁基板は省略してある。
【0032】
次に、液冷ブロック112の構造について説明する。
【0033】
図7は、液冷ブロック112の構造を説明するための図である。同図(a)は平面図を示し、同図(b)は正面図を示し、同図(c)は側面図を示し、同図(d)は断面図を示している。
【0034】
同図に示すように、液冷ブロック112は、矩形平板状の外形を有し、同図における左右の端面に、所定の深さの長穴1121が形成されている。更に、一方の長穴1121の底面から他方の長穴1121の底面に向かって延びる複数(本実施形態では、8つ)の貫通孔1122が形成されている。当該貫通孔1122が、冷却液が流れる液路の一部を構成することになる。
【0035】
次に、冷却液給排部113(経路ユニット1131)の構造について説明する。
【0036】
図8は、冷却液給排部113を構成する経路ユニット1131の構造を説明するための図である。同図(a)は正面図を示し、同図(b)は底面図を示し、同図(c)は、縦断面図を示し、同図(d)はA−A断面図を示し、同図(e)はB−B断面図を示す。
【0037】
同図に示すように、経路ユニット1131は、本体部810と、液冷ブロック挿入部820とを備える。
【0038】
本体部810は、概ね円柱状の外形を有する部分であって、その内部に、冷却液を流すための貫通孔811が(同図における上下方向に)形成される。本体部810の一方の端部(同図における下端部)812は、他の部分より円柱の径が小さくなるように段差が形成されており、本体部810の他方の端部(同図における上端部)には、下端部812を挿入するための穴813が形成されている。すなわち、経路ユニット1131の下端部812が、他の経路ユニット1131の上端部に形成された穴813に挿入されることで、2つの経路ユニット1131が連結される。なお、経路ユニット1131の下端部(小径部)812は、液漏れを防ぐためのOリング840が2つ装着された状態で、隣接する他の経路ユニット1131の上端部の穴813に圧入される。
【0039】
液冷ブロック挿入部820は、液冷ブロック112の端面に形成された長穴1121に挿入される部分である。液冷ブロック挿入部820の長穴1121に対向する面(同図における右側面)には、一定の深さの穴821が2つ形成されている。当該穴821は、液冷ブロック112に形成された複数の貫通孔1122から供給される冷却液を合流させ、又は、各貫通孔1122に向けて冷却液を分流させるものであって、各穴821は、その底面から水平方向に延びる孔814によって、本体部810内を垂直方向に延びる貫通孔811と連通している。経路ユニット1131は、液冷ブロック挿入部820に接着剤を塗布した状態で、液冷ブロック112に挿入されて、液冷ブロック112に固定される。
【0040】
また、経路ユニット1131の中央部付近には、板ばね部130の一部分を通すための貫通孔830が形成されている。本実施形態では、3段に連結された各経路ユニット1131の貫通孔830に板ばね部130の一部分を通すことによって、3段に連結された経路ユニット1131の連結方向の動きが規制されることになり、その結果、温度調節部110の形状が保持されることになる。なお、連結方向に垂直な方向の経路ユニット1131の動きは、弾性を有するOリング840によって規制されることになる。
【0041】
冷却液給排部113は、上述したような構造を有する経路ユニット1131を3つ連結することで構成される。なお、冷却液給排部113の上端側に配置された経路ユニット1131の上端部の穴813は、適宜栓がされる。
【0042】
次に、液路形成部120の構造について説明する。
【0043】
図9は、液路形成部120の構造を説明するための図である。
【0044】
同図に示すように、液路形成部120は、本体部121と、ノズル部122(122a,122b)と、パッキン部123(123a,123b)とによって構成されている。
【0045】
本体部121は、液路形成部120の本体部分を構成する部材であって、その内部に、液体を流す液路が形成されるものである。本体部121は、例えば、熱伝導性の高い金属(例えば、アルミニウム)によって構成される。
【0046】
ノズル部122は、本体部121の上面及び底面にそれぞれ、パッキン部123を介して接合されて、液体の注入口及び注出口を構成する部材である。
【0047】
パッキン部123は、本体部121とノズル部122との間に挟まれて、液路に導入された液体が漏れ出すのを防止するシール部材であって、例えば、シリコンゴムで構成される。
【0048】
図10は、本体部121の構造を説明するための図である。同図(a)は平面図を示し、同図(b)は正面図を示し、同図(c)はA−A断面図を示す。また、同図(d)は、本体部121と、熱電変換モジュール111との位置及びサイズの関係を示している。
【0049】
同図に示すように、本体部121は、縦に長い矩形平板状の形状を有し、上面から底面まで貫通する小さい孔1211が複数(本実施形態では、13個)形成されている。当該孔1211内を、温度調節対象となる液体が流れることになる。このように、液路を複数の小さい孔1211で構成することにより、液体と本体部121との接触面積を大きくとることができるようになり、液体を急速に冷却することが可能となる。
【0050】
複数の孔1211は、本体部121の上面から、底面に向かって直線的に延びており、各孔1211の平面形状は、角がないような形状(本実施形態では、円形)に形成されている。このように、孔1211の立体形状を、角がなく直線状に延びるような形状(本実施形態では、円柱状)にすることにより、本体部121内の液路に液溜まりが発生せず、液路内の汚染等を防止することが可能となる。
【0051】
なお、孔1211の大きさ及び数は、熱電変換モジュール111の冷却能力、必要とされる冷却温度差、必要とされる流量その他の実装条件に応じて適切なものを選択することができる。
【0052】
また、同図(d)に示すように、本体部121の熱電変換モジュール111と接触する面は、温度調節部110を構成する3つの熱電変換モジュール111a〜111cによって、ほぼ全域を覆うことができるようなサイズ(面積)になっている。更に、本体部121の体積をできるだけ小さくするため、本体部121の厚さは、できるだけ薄くなるようにされる。
【0053】
また、本体部121は、その上面及び底面それぞれの両端部付近に、(パッキン部123を介して)ノズル部122を連結するためのねじ穴1212が2つずつ形成されている。
【0054】
図11は、ノズル部122及びパッキン部123の構造を説明するための図である。同図(a)はノズル部122の平面図を示し、同図(b)はノズル部122の正面図を示し、同図(c)は、ノズル部122の底面図を示す。また、同図(d)はパッキン部123の平面図を示し、同図(b)はパッキン部123の正面図を示す。
【0055】
同図(a)〜(c)に示すように、ノズル部122は、円柱状の形状を有する円柱部1221と、直方体状の形状を有する直方体部1222とを備える。そして、円柱部1221の上面には円形状の孔1223が形成されており、直方体部1221の底面には細長い矩形状の孔1224が形成されている。当該孔1224は、本体部121に形成された複数の孔1211から供給される液体を合流させ、又は、各孔1211に向けて液体を分流させるものであって、円柱部1221の方向に向かうに従って、長さが短くなるように(先細になるように)形成されており、中央部付近で、円柱部1221に形成された孔1223と連通している。
【0056】
また、直方体部1222の両端部にはそれぞれ、ノズル部122を本体部121に接合(ねじ留め)するための孔1225が形成されている。
【0057】
一方、同図(d)〜(e)に示すように、パッキン部123は、横に長い矩形平板状の形状を有し、その中央部分に、液体を通すための細長い矩形状の孔1231が形成されている。更に、パッキン部123の長手方向の両端部にはそれぞれ、ノズル部122を本体部121に取り付けるためのねじを通す孔1232が形成されている。
【0058】
次に、以上のような構成を有する液体温度調節装置100の動作について説明する。
【0059】
図12は、液体温度調節装置100の動作を説明するための図である。同図に示すように、液体温度調節装置100の液路形成部120の下端部(注入口)には、液体導入チューブ211の一方の端部が接続されており、当該液体導入チューブ211の他方の端部は、チューブポンプ212の吐出口に接続されている。また、チューブポンプ212の吸入口には、水を入れた容器213から飲料水を吸入するための吸入チューブ214が接続されている。
【0060】
また、液体温度調節装置100の液路形成部120の上端部(注出口)には、液体導出チューブ221の一方の端部が接続されており、当該液体導出チューブ221の他方の端部には、冷やされた飲料水をグラス222に注ぐための注出ノズル223が接続されている。
【0061】
なお、同図には示していないが、液体温度調節装置100の冷却液給排部113の下端部には、冷却液の供給及び回収を行うためのチューブが接続される。また、液体温度調節装置100の温度調節部110内の熱電変換モジュールに電力を供給するための配線もされているものとする。
【0062】
同図に示した状態において、まず、温度調節部110を動作させて、液路形成部120の温度を調節する。すなわち、液冷ブロック112への冷却液の循環供給を開始すると共に、熱電変換モジュール111に直流電流を流すことによって、液路形成部120を冷却する。
【0063】
そして、一定時間経過後、液路形成部120の温度が予め決められた温度(例えば、5℃)になると、液路形成部120に、冷却対象となる飲料水の導入を開始する。すなわち、液体導入チューブ211に接続されたチューブポンプ212を動作させることで、冷却対象液体である飲料水を、一定の流量で容器213から液路形成部120に導入する。なお、液路形成部120が予め決められた温度に達したかどうかは、例えば、温度センサによって検知する。
【0064】
液路形成部120の一方のノズル部122から一定の流量で導入された飲料水は、液路形成部120内に形成された液路を通って、液路形成部120の他方のノズル部122から導出されるまでに、飲み頃の温度(5℃程度)に冷却される。
【0065】
液路形成部120から液体導出チューブ221を介して導出された飲料水は、注出ノズル223を介して、グラス222に注がれる。グラス222への冷水の注出は、チューブポンプ212を動作させている間は、連続的に行われる。そして、グラス222内に必要な量の冷水が得られると、温度調節部110の動作が停止されると共に、液路形成部120への飲料水の導入が停止される。なお、温度調節部110の動作を停止させる時点で、液路形成部120内に導入済の飲料水については、液路形成部120内から押し出してから、チューブポンプ212の動作を停止させるようにすれば、飲料水の冷却に使われたエネルギーを無駄にしないで済む。一般に、グラス222の容量に比べて、液路形成部120内の液路の容積は充分小さいので、このような制御をしても問題になることはない。
【0066】
以上のようにして、冷却対象となる飲料水が、所望の温度まで冷却されて、グラス222に連続的に注がれることになる。
【0067】
上述した液体温度調節装置100によれば、液路形成部120(本体部121)の側面のほぼ全域を、温度調節部110(熱電変換モジュール111)で覆っているので、液体の温度を効率よく急速に調節することが可能となる。また、液路形成部120(本体部121)のサイズ(厚み)を可能な限り小さくすることにより、液路形成部120(本体部121)自体の温度調節に使用される熱量(エネルギー)を最小限にすることができ、必要な都度、温度調節部110を動作させるような使用の仕方をする場合に、無駄になる熱量を最小限にすることが可能となる。
【0068】
また、上述した液体温度調節装置100では、各熱電変換モジュール111毎に、液冷ブロック112を用意し、板ばね部130のばね作用によって、各液冷ブロック112を、対応する熱電変換モジュール111と共に、液路形成部120に押しつけるようにしているので、熱電変換モジュール111の厚みに製造上のばらつきがあっても、各熱電変換モジュール111を、液路形成部120に密着させることが可能となる。
【0069】
なお、上述した液体温度調節装置100の動作モードとして、飲料水の冷却を行う冷却モードの外に、液路を殺菌するための殺菌モードを用意して、殺菌モード時には、熱電変換モジュール111に、冷却モード時とは逆方向に直流電流を流すことによって、液路形成部120に導入された水を所定の温度(例えば、90℃程度)まで加熱し、加熱した水を所定時間、液路形成部120内に滞留させることによって、液路形成部120内の液路の殺菌をするようにしてもよい。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、当然のことながら、本発明の実施形態は上記のものに限られない。例えば、上述した実施形態では、飲料用の水を冷却する場合について説明したが、本発明による液体温度調節装置を、工作機械のクーラント等の冷却に利用することも考えられる。また、水その他の液体を冷却する場合だけでなく、加温する場合に利用することも考えられる。
【符号の説明】
【0071】
100 液体温度調節装置
110,110a,110b 温度調節部
111,111a,111b,111c 熱電変換モジュール
112,112a,112b,112c 液冷ブロック
1121 長孔
1122 貫通孔
113,113a,113b 冷却液給排部
1131 経路ユニット
120 液路形成部
121 本体部
1211 孔
1212 ねじ穴
122,122a,122b ノズル部
1221 円柱部
1222 直方体部
1223,1224,1225 孔
123,123a,123b パッキン部
1231,1232 孔
130 板ばね部
130a,130b 板ばね部材
211 液体導入チューブ
212 チューブポンプ
213 容器
214 吸入チューブ
221 液体導出チューブ
222 グラス
223 注出ノズル
610 π型熱電素子
611 n型半導体素子
612 p型半導体素子
613,620 金属電極
630 絶縁基板
810 本体部
811 貫通孔
812 下端部(小径部)
813 穴
814 円孔
820 液冷ブロック挿入部
821 穴
830 貫通孔
840 Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が流れる液路が形成される液路形成部と、
当該液路形成部の温度を調節する一対の温度調節部と
を備え、
前記一対の温度調節部は、
前記液路形成部を挟むように配置され、前記液路形成部と接触して、前記液路形成部の側面のほぼ全域を覆う
ことを特徴とする液体温度調節装置。
【請求項2】
前記液路形成部は、矩形平板状の形状を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の液体温度調節装置。
【請求項3】
前記温度調節部は、
前記液路形成部の側面と接触する複数の熱電変換モジュールと、
当該複数の熱電変換モジュールと、前記液路形成部とは反対側の面で接触する複数の液冷部とを備え、
前記複数の熱電変換モジュールと前記複数の液冷部とは、一対一に対応している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体温度調節装置。
【請求項4】
前記複数の液冷部のそれぞれを、対応する熱電変換モジュールの方向に付勢する付勢手段を更に備える
ことを特徴とする請求項3に記載の液体温度調節装置。
【請求項5】
前記液路は、複数の孔によって構成される
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体温度調節装置。
【請求項6】
前記孔は、前記液路形成部内を直線状に延びている
ことを特徴とする請求項5に記載の液体温度調節装置。
【請求項7】
前記孔は、角のない孔である
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の液体温度調節装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−164277(P2010−164277A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8782(P2009−8782)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(398032289)株式会社テックスイージー (20)
【Fターム(参考)】