説明

液体漂白剤物品

【課題】 使用時の良好な摺動性を長期間維持し、液体漂白剤組成物を安定して吐出させることが可能な液体漂白剤物品を提供する。
【解決手段】 (a)過酸化水素、(b)非イオン界面活性剤、(c)陰イオン界面活性剤、(d)ホスホン酸系金属捕捉剤、(e)フェノール系ラジカルトラップ剤、及び(f)水を、特定比率で含有する液体漂白剤組成物(イ)を、該(イ)を泡状に吐出するトリガー式スプレイヤーを備えた吐出容器(ロ)に収納した液体漂白剤物品であって、前記トリガー式スプレイヤーにおいて構成部材同士が摺動する面と、前記トリガー式スプレイヤーにおいて嵌合する構成部材の少なくとも一面とに、潤滑剤が塗布されている液体漂白剤物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式スプレイヤーを備えた吐出容器に液体漂白剤組成物を収容した液体漂白剤物品、及び液体漂白剤組成物を用いた洗浄方法に関する。特に衣料用液体漂白剤物品、及び衣料用洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液状物を吐出する吐出容器においては、収納部の開口部に、トリガー式スプレイヤー、ポンプ式スプレイヤー等の吐出手段が装着された吐出容器、ボトルをスクイズすることにより泡やシャワー状に液状物を吐出するスクイズ式吐出容器等多くのタイプの吐出容器がある。
上記のような吐出手段が装着された上述の吐出容器では、該吐出手段における、ピストン・シリンダー等の摺動部(内容物の吐出操作に伴い部材同士が摺動する部分)或いはポンプハウジングに対する通液体等の嵌合部に、組立時や使用時の摺動性を向上させる為の潤滑剤を塗布する必要がある。そして、この潤滑剤としては、温度に対する粘度変化の安定性、及び毒性のない安全性に優れている点で、シリコーンオイルが使用されている(特許文献1、2参照)。
一方、過酸化水素、界面活性剤及び水を含有する液体漂白剤組成物を吐出容器に収納した物品(特許文献3、4、5、6、7参照)が知られている。
【特許文献1】実開平7−3744号公報
【特許文献2】特開平8−196974号公報
【特許文献3】特開2004−76006号公報
【特許文献4】特開平11−100594号公報
【特許文献5】特表平11−500778号公報
【特許文献6】特表平9−506130号公報
【特許文献7】特開平5−156293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1、2のような吐出容器では、特許文献3、4、5、6、7のような液体漂白剤組成物を長期間使用すると、摺動部の摺動性が次第に低下する課題があった。特に、リフィール容器の普及にともない、液体漂白剤組成物を収納部に再収納し、吐出手段は繰り返し使用する傾向にある昨今では、斯る課題は軽視できなくなってきている。このような摺動性の低下は、塗布した潤滑剤が少しずつ液体漂白剤組成物に溶け出すために生じると考えられている。また、特許文献3、4、5、6、7の液体漂白剤物品では、特に塗布した潤滑剤の液体漂白剤組成物への溶け出しが著しく、摺動部の摺動性が次第に低下する課題があった。
【0004】
また、使用時の安全性、洗浄性能の点で、安定に泡状で被洗浄物に塗布されることが求められていた。
【0005】
本発明の課題は、使用時の良好な摺動性を長期間維持し、液体漂白剤組成物を安定して泡状に吐出させることが可能な液体漂白剤物品、及び洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、液体漂白剤組成物(イ)を、該液体漂白剤組成物(イ)を泡状に吐出するトリガー式スプレイヤーを備えた吐出容器(ロ)に収納した液体漂白剤物品であって、
前記トリガー式スプレイヤーにおいて構成部材同士が摺動する面と、前記トリガー式スプレイヤーにおいて嵌合する構成部材の少なくとも一面とに、潤滑剤が塗布されており、
前記液体漂白剤組成物(イ)は、(a)過酸化水素0.1〜10質量%、(b)非イオン界面活性剤1〜10質量%、(c)陰イオン界面活性剤0.1〜5質量%、(d)ホスホン酸系金属捕捉剤0.05〜5質量%、(e)フェノール系ラジカルトラップ剤0.001〜5質量%、及び(f)水65〜98質量%を含有し、(b)非イオン界面活性剤/(c)陰イオン界面活性剤の質量比が1/1〜10/1である液体漂白剤物品に関する。
【0007】
また、本発明は、(a)過酸化水素0.1〜10質量%、(b)非イオン界面活性剤1〜10質量%、(c)陰イオン界面活性剤0.1〜5質量%、(d)ホスホン酸系金属捕捉剤0.05〜5質量%、(e)フェノール系ラジカルトラップ剤0.001〜5質量%、及び(f)水65〜98質量%を含有し、(b)非イオン界面活性剤/(c)陰イオン界面活性剤の質量比が1/1〜10/1である液体漂白剤組成物(イ)を、被洗浄物に泡状に塗布して用いる洗浄方法に関する。
【0008】
本発明の好ましい態様として以下のものが挙げられる。
(i)前記トリガー式スプレイヤーに塗布された潤滑剤が、シリコーンオイルである漂白剤物品、
(ii)前記トリガー式スプレイヤーに塗布された潤滑剤が、(A)下記一般式(1)で表される長鎖アルキル変性シリコーン及び/又は(B)下記一般式(2)で表される長鎖アルキルアラルキル共変性シリコーンである液体漂白剤物品、
【0009】
【化3】

【0010】
(式中、Rは炭素数1〜7の1価炭化水素基、R1は炭素数8〜20のアルキル基、AはR又はR1で表される基、n/mは1〜50である。)
【0011】
【化4】

【0012】
(式中、Rは炭素数1〜7の1価炭化水素基、R1は炭素数8〜20のアルキル基、R2は炭素数8〜20のアラルキル基、BはR、R1又はR2で表される基、(p+q)/rは1〜50である。)
(iii)前記(d)ホスホン酸系金属捕捉剤が1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸及びその塩である液体漂白剤物品、
(iv)前記(e)フェノール系ラジカルトラップ剤が4−メトキシフェノールである液体漂白剤物品、
(v)前記液体漂白剤組成物(イ)が更に、(g)ホウ素化合物0.01〜5質量%含有する液体漂白剤物品、
(vi)前記(a)過酸化水素/(b)非イオン界面活性剤の質量比が5/1〜1/5である漂白剤物品、
(vii)前記液体漂白剤組成物(イ)の20℃における粘度が3〜100mPa・sである漂白剤物品、
(viii)前記液体漂白剤組成物(イ)の20℃におけるpHが7以下である漂白剤物品、
(ix)前記被洗浄物が衣料である洗浄方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、使用時の良好な摺動性を長期間維持し、液体漂白剤組成物を安定して泡状に吐出させることが可能な液体漂白剤物品、及び洗浄力に優れた洗浄方法が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<液体漂白剤組成物(イ)>
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、(a)過酸化水素〔以下、(a)成分という〕0.1〜10質量%、(b)非イオン界面活性剤〔以下、(b)成分という〕1〜10質量%、(c)陰イオン界面活性剤〔以下、(c)成分という〕0.1〜5質量%、(d)ホスホン酸系金属捕捉剤〔以下、(d)成分という〕0.05〜5質量%、(e)フェノール系ラジカルトラップ剤〔以下、(e)成分という〕0.001〜5質量%、及び(f)水〔以下、(f)成分という〕65〜98質量%を含有し、(b)非イオン界面活性剤/(c)陰イオン界面活性剤の質量比が1/1〜10/1である。
【0015】
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)の20℃におけるpHは、安定性の点で、好ましくは7以下、より好ましくは1〜6.5、更に好ましくは2〜5、特に好ましくは2〜4である。このようなpHに調整するためのpH調整剤としては塩酸、硫酸などの無機酸、もしくはクエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸などの有機酸などの酸剤、又は水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニア及びその誘導体、アミン塩(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を、単独もしくは複合して用いることが好ましく、特に塩酸、硫酸から選ばれる酸又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウムから選ばれるアルカリ剤を用いることが好ましい。
【0016】
また、本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、20℃における粘度が3〜100mPa・s、更に4〜60mPa・sの範囲であることが、泡状物として吐出する点で好適である。このような粘度に調整するために本発明では粘度調整剤を配合することができる。粘度調整剤としては、(1)炭素数1〜3のアルキル基、もしくはヒドロキシ基が1〜3個置換していてもよいベンゼンスルホン酸、(2)重量平均分子量3000〜100000のポリエチレングリコールもしくはポリプロピレングリコール、(3)キサンタンガム、グアガム、及びカルボキシメチルセルロースから選ばれる糖系高分子化合物、(4)炭素数12〜20、好ましくは14〜18のアルキル基もしくはアルケニル基と平均付加モル数が60〜200、好ましくは100〜200のポリオキシエチレン鎖を有する非イオン性物質、又は(5)該(4)の非イオン性物質とビニルシクロヘキセンジエポキシド等のジエポキシ化合物との反応生成物を用いることができる。このような粘度調整剤の比率は液体漂白剤組成物(イ)中0〜10質量%、更に0.01〜5質量%が好適である。
【0017】
〔(a)成分〕
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、(a)成分として過酸化水素を0.1〜10質量%含有する。好ましくは(a)成分を0.5〜8質量%、より好ましくは1〜6質量%、特に好ましくは1.5〜5質量%含有する。このような範囲において優れた漂白効果、安全性、摺動性の長期間維持を得ることができる。
【0018】
〔(b)成分〕
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、(b)成分として非イオン界面活性剤を1〜10質量%含有する。好ましくは(b)成分を1.5〜8質量%、より好ましくは2〜6質量%、特に好ましくは3〜5質量%含有する。このような範囲において優れた漂白効果、摺動性の長期間維持を得ることができる。
【0019】
優れた漂白効果、摺動性の長期間維持の点で、(a)過酸化水素/(b)非イオン界面活性剤の質量比は5/1〜1/5が好ましく、3/1〜1/3がより好ましく、2/1〜1/1が更に好ましい。
【0020】
(b)成分としては、アルキルグリコシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー(プルロニック)、脂肪酸モノグリセライド又はアミンオキサイド等の、直鎖又は分岐鎖の炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1個有する非イオン界面活性剤又は炭素数8〜24のアルキル基で置換されたアリール基を少なくとも1個有する非イオン界面活性剤が挙げられる。これらの中でもポリオキシエチレンアルキルエーテル(特にエチレンオキサイド(以下、EO)平均付加モル数7〜12、アルキル基の炭素数10〜16)が好ましい。
【0021】
〔(c)成分〕
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、(c)成分として陰イオン界面活性剤を0.1〜5質量%含有する。好ましくは(c)成分を0.5〜4質量%、より好ましくは0.7〜3質量%、特に好ましくは1〜2質量%含有する。このような範囲において優れた漂白効果、摺動性の長期間維持、良好な泡を得ることができる。
【0022】
優れた漂白効果、摺動性の長期間維持、良好な製泡性の点で、(b)非イオン界面活性剤/(c)陰イオン界面活性剤の質量比は5/4〜5/1が好ましく、4/3〜4/1がより好ましく、3/2〜3/1が更に好ましい。
【0023】
(c)成分としては、直鎖又は分岐鎖の炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1個有する陰イオン界面活性剤、又は炭素数8〜24のアルキル基で置換されたアリール基を少なくとも1個有する陰イオン界面活性剤が挙げられ、その例として、アルキルベンゼンスルホン酸塩、石鹸、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、脂肪族α−スルホメチルエステル、アルファオレフィンスルホン酸等を挙げることができる。これらの中でもアルキルベンゼンスルホン酸、アルファオレフィンスルホン酸、アルキル硫酸塩が好ましい。
【0024】
〔(d)成分〕
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、(d)成分としてホスホン酸系金属捕捉剤を0.05〜5質量%含有する。好ましくは(d)成分を0.1〜4質量%、より好ましくは0.5〜3質量%、特に好ましくは1〜2質量%含有する。このような範囲において優れた漂白効果、摺動性の長期間維持を得ることができる。
【0025】
(d)成分としては、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、ヒドロキシエタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、ヒドロキシメタンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ニトリロトリ(メチレンホスホン酸)、2−ヒドロキシエチルイミノジ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等の有機ホスホン酸誘導体やその塩を挙げることができる。これらの中でも1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸やその塩が好ましい。
【0026】
〔(e)成分〕
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、(e)成分としてフェノール系ラジカルトラップ剤を0.001〜5質量%含有する。好ましくは(e)成分を0.01〜3質量%、より好ましくは0.05〜2質量%、特に好ましくは0.1〜1質量%含有する。このような範囲において優れた漂白効果、摺動性の長期間維持を得ることができる。
【0027】
(e)成分としては、フェノール性水酸基を有する化合物又はフェノール性水酸基のエステル誘導体、エーテル誘導体等が挙げられる。このような化合物として、より具体的には、クレゾール、チモール、クロロフェノール、ブロモフェノール、メトキシフェノール、ニトロフェノール、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ジ−t−ブチル−ヒドロキシトルエン、ナフトール、ヒドロキノン、カテコール、ピロガロール、フェノキシエタノール、フェノール、フェノールスルホン酸などが挙げられる。これらの中でも4−メトキシフェノール、4−ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキノン、カテコールがより好ましく、更にラジカルトラップ剤の安定性を考慮すれば、これらの中でも4−メトキシフェノール、4−ヒドロキシ安息香酸が更に好ましく、4−メトキシフェノールが特に好ましい。
【0028】
〔(f)成分〕
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、(f)成分として水を65〜98質量%含有する。水は、微量に水に溶解している金属を除去したイオン交換水又は蒸留水が貯蔵安定性の点から好適である。(f)成分の液体漂白剤組成物(イ)中の含有量は、吐出性の点で好ましくは70〜97質量%、より好ましくは80〜95質量%である。
【0029】
〔その他の成分〕
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、優れた漂白効果、摺動性の長期間維持を得る目的から(g)成分としてホウ素化合物を0.01〜5質量%含有することが好ましく、0.05〜3質量%がより好ましく、0.1〜2質量%が更に好ましく、0.5〜1質量%が特に好ましい。
【0030】
(g)成分としては、ホウ酸やホウ酸塩等を挙げることができるが、中でも4ホウ酸ナトリウム・5水塩、4ホウ酸ナトリウム・10水塩が製造上好ましい。
【0031】
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、漂白効果を向上させる目的から(h)成分として漂白活性化剤を含有することが好ましく、組成物(イ)中の含有量は0.1〜5質量%がより好ましく、0.2〜3質量%が更に好ましく、0.4〜1質量%が特に好ましい。
【0032】
(h)成分としては、アルカノイルオキシベンゼン型漂白活性化剤が好ましく、特に炭素数8〜14、好ましくは8〜13のアルカノイル基を有するアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸もしくは炭素数8〜14、好ましくは8〜13のアルカノイル基を有するアルカノイルオキシベンゼンカルボン酸又はこれらの塩が好ましい。より具体的に好ましい例としてはオクタノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、ノナノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、デカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、ドデカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、オクタノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、ノナノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、デカノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、ドデカノイルオキシ−o−又は−p−ベンゼンカルボン酸、及びこれらの塩が挙げられる。塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩が好ましく、特にナトリウム塩が溶解性の点から好ましい。
【0033】
これらの中でも特にノナノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸、デカノイルオキシ−p−ベンゼンカルボン酸、ドデカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸及びこれらの塩が漂白効果の点から好ましい。
【0034】
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、漂白効果を高める目的から(i)成分として分散剤を含有することが好ましく、組成物(イ)中の含有量は0.05〜14質量%がより好ましく、0.1〜8質量%が更に好ましい。特に、重量平均分子量5千〜4万、好ましくは5千〜1万のポリアクリル酸もしくはその塩又はポリメタクリル酸もしくはその塩、重量平均分子量1万〜10万、好ましくは3万〜7万のアクリル酸とマレイン酸とのコポリマーもしくはその塩から選ばれるカルボン酸系ポリマー、あるいは重量平均分子量4千〜2万、好ましくは5千〜1万のポリエチレングリコールから選ばれる非イオン性ポリマーが好ましい。
【0035】
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、漂白効果を高める目的で(j)成分として溶剤を含有することが好ましく、組成物(イ)中の含有量は0.05〜3質量%がより好ましく、0.1〜2質量%が更に好ましい。
【0036】
(j)成分としては(j1)炭素数1〜5の1価アルコール、(j2)炭素数2〜12の多価アルコール、(j3)下記の一般式(6)で表される化合物、(j4)下記の一般式(7)で表されるアルコール系化合物が好適である。
【0037】
14O(C24O)e(C36)f15 (6)
16OCH2CH(OH)CH2OH (7)
【0038】
〔式中、R14及びR15は、それぞれ水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はベンジル基を示すが、R14及びR15の双方が水素原子となる場合を除く。eは0〜10の数を、fは0〜10の数を示すが、e及びfの双方が0である場合を除く。R16は炭素数1〜8のアルキル基を示す。〕
【0039】
(j1)の炭素数1〜5の1価アルコールとしては、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等が挙げられる。これらの低級アルコールを配合することにより低温における系の安定性を更に向上させることができる。
【0040】
(j2)の炭素数2〜12の多価アルコールとしては、イソプレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
【0041】
(j3)の化合物は、一般式(6)において、R14及びR15が、それぞれアルキル基である場合の炭素数は1〜4が特に好ましい。また、一般式(6)中、EO及びプロピレンオキシドの平均付加モル数のe及びfは、それぞれ0〜10の数である(e及びfの双方が0である場合を除く)が、これらの付加順序は特に限定されず、ランダム付加したものであってもよい。(j3)の化合物の具体例としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ポリオキシエチレン(p=2〜3)ポリオキシプロピレン(p=2〜3)ジメチルエーテル(pは平均付加モル数を示す、以下同様)、ポリオキシエチレン(p=1〜4)フェニルエーテル、フェニルカルビトール、フェニルセロソルブ、ベンジルカルビトール等が挙げられる。このうち、洗浄力及び使用感の点から、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリオキシエチレン(p=1〜4)モノフェニルエーテルが好ましい。
【0042】
また、(j4)の化合物としてはアルキルグリセリルエーテル化合物が挙げられ、好ましくは一般式(7)中のR16が炭素数3〜8のアルキル基の化合物である。
【0043】
これらのなかでも本発明の性質を満たすために(j1)〜(j4)の水溶性溶剤が好ましく、特にエタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、イソプレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ペンチルグリセリルエーテル、オクチルグリセリルエーテル、及びポリオキシエチレン(p=1〜4)モノフェニルエーテルから選ばれる溶剤が好ましい。
【0044】
本発明に係わる液体漂白剤組成物(イ)は、漂白繊維に対する漂白効果を増すために蛍光増白剤として、チノパールCBS(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、チノパールSWN(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)や、カラー・インデックス蛍光増白剤28、40、61、71等のような蛍光増白剤や、漂白性能を向上させるために酵素(セルラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ)することができる。また染料や顔料のような着色剤、香料、シリコーン類、殺菌剤、紫外線吸収剤等の種々の微量添加物を適量配合してもよい。
【0045】
<吐出容器(ロ)>
本発明に係わる吐出容器(ロ)は、液体漂白剤組成物(イ)の収納部と、該液体漂白剤組成物(イ)の泡状での吐出手段としてトリガー式スプレイヤーを備える。
【0046】
本発明に係るトリガー式スプレイヤーには、互いに摺動する構成部材と、嵌合により該トリガー式スプレイヤーを構成する部材とが存在する。例えば、互いに摺動する構成部材としては、トリガー式スプレイヤーのピストンとシリンダー等が挙げられる。また、嵌合によりトリガー式スプレイヤーを構成する部材としては、ポンプハウジングに対する通液体等が挙げられる。
【0047】
本発明に用いられるトリガー式スプレイヤーの一例を、図1〜3に基づき説明する。図1はトリガー式吐出容器を示す模式図、図2は泡吐出状態を示す模式図、図3は吐出停止状態を示す模式図である。図1の吐出容器は、収納部の開口部に吐出手段を設け、該と出手段に加える手動操作により、容器内容物を泡状に吐出可能としてなる吐出容器であって、手動ポンプ組立体の摺動部及び嵌合部に潤滑剤を塗布してなるものである。
【0048】
トリガー式吐出容器10は、図1に示す如く、収納部11の開口部11Aに螺着されるキャップ12により手動ポンプ組立体13を固定している。
【0049】
手動ポンプ組立体13は、ポンプハウジング14に通液体15を嵌合し、通液体15の下部フランジ部15Aを上述のキャップ12により上記収納部11の開口部11Aに固定的に保持している。
【0050】
通液体15は、通液路16の下端部に通液チューブ17を嵌合せしめられ、通液路16の内部にボール状入側逆止弁18と、2連空洞部を備えた弾性体からなる伸縮自在の出側逆止弁19とを有している。
【0051】
そして、通液体15は、入側逆止弁18と出側逆止弁19の間の通液路16を後述するポンプ室26に連通する連通路21を備えるとともに、出側逆止弁19の弁体19Aにより出側の通液路16を後述する吐出路29に連通する連通路22を備えている。
【0052】
入側逆止弁18は、(a) 自由状態において入側弁座23Aに着座して通液路16を閉じ、(b) ポンプ室26の吸引圧によって通液路16を開き収納部11内の内容物をポンプ室26側に導入可能とする。出側逆止弁19は、2連空洞部の上部を通液路16の上端部に固定されており、(a) 自由状態において2連空洞部の弾発力により弁体19Aを出側弁座23Bに着座させて通液路16を閉じ、(b) ポンプ室26の吐出圧によって通液路16を開きポンプ室26側の内容物を吐出路29側に排出可能とする。
【0053】
手動ポンプ組立体13は、ポンプハウジング14の前面側下部にトリガー25を有し、ポンプハウジング14内における通液体15の前部にポンプ室26を形成し、ポンプ室26に摺動可能に挿入されるピストン27をトリガー25によって加圧操作可能としている。28はピストン27をトリガー25の側に弾発するばねである。ポンプ室26は前述の如く、連通路21を介して、通液体15の通液路16に連通している。トリガー25の加圧操作によりピストン27はポンプ室26を圧縮し、ポンプ室26に前述の吐出圧を生成する。また、トリガー25の加圧操作解除によりピストン27はポンプ室26を拡張し、ポンプ室26に前述の吸引圧を生成する。
【0054】
手動ポンプ組立体13は、ポンプハウジング14の上部に吐出路29を有している。吐出路29は前述の如く、連通路22を介して、通液体15の通液路16に連通している。
【0055】
吐出容器10は、手動ポンプ組立体13の前面部に吐出ノズル31を装着されている。
【0056】
吐出ノズル31は、図2、図3に示す如く、ポンプハウジング14の前面に嵌合されているノズル取付部材32の突出リング状支持筒部32Aに回動可能に係着されている。吐出ノズル31は、支持筒部32A回りで回動し、以下の(A) 泡吐出位置、(B) 吐出停止位置のいずれかに選択的に設定可能とされる。尚、図2、図3は理解をし易くするために、吐出ノズル31を固定し、突出リング状支持筒部32A(スピン部32B)を回動させた状態で示している。
【0057】
(A) 泡吐出位置(図2)
吐出ノズル31が泡吐出位置に設定されるとき、吐出ノズル31は、ポンプハウジング14内の吐出路29に連なる導通路31Aをノズル取付部材32のスピン部32Bに設けてある泡用旋回路33Aに連通せしめられる。泡用旋回路33Aは流路面積小であり、流通液に強い旋回を付与する。
【0058】
このとき、トリガー25を引いて加圧操作すると、ポンプ室26に吐出圧を生ずる結果、出側逆止弁19が通液路16を開き、ポンプ室26内の内容物が通液路16から吐出路29を経て、吐出ノズル31の導通路31A、スピン部32Bの泡用旋回路33Aから強い旋回を伴って吐出ノズル31の吐出口31Bから外方に噴出する。吐出口31Bから噴出するスプレー液は、強い旋回力を付与されているから霧状にて広く拡開して、吐出ノズル31の泡形成筒31Cの内周面に衝突する。泡形成筒31Cの内面に衝突した霧状スプレー液の粒子は、衝突によって、破壊されて膜状になる。同時に、吐出口31Bから噴出するスプレー液は、吐出ノズル31の吐出口31B前面に開口してある空気取入路31Dからベンチュリ効果によって空気を巻き込み、結果として上述の膜状スプレー液に空気を取込ませることにて該膜状スプレー液を泡とする。これにより、吐出ノズル31から泡状スプレー液が吐出されるものとなる。
【0059】
尚、上記(A)において、トリガー25の加圧操作を解除すると、ポンプ室26に吸引圧を生ずる結果、入側逆止弁18が通液路16を開き、収納部11内の内容物が通液チューブ17から通液路16を経て、ポンプ室26に導入される。
【0060】
(B) 吐出停止位置(図3)
吐出ノズル31が吐出停止位置に設定されるとき、吐出ノズル31は、導通路31Aをノズル取付部材32のスピン部32Bに設けてある閉塞部33Cにて閉塞せしめられる。これにより、吐出ノズル31は吐出停止状態となる。
【0061】
然るに、吐出容器10にあっては、手動ポンプ組立体13のポンプハウジング14における通液体15の組立嵌合部41、ポンプハウジング14におけるポンプ室26内面であるピストン27の往復動摺動部42、ノズル取付部材32の支持筒部32A外面である吐出ノズル31の回動摺動部43等に、潤滑剤を塗布している。
【0062】
そして、本発明では、トリガー式スプレイヤーにおいて構成部材同士が摺動する面(以下、摺動部という)と、トリガー式スプレイヤーにおいて嵌合する構成部材の少なくとも一面(以下、嵌合部という)とに、潤滑剤が塗布されており、摺動性の長期間維持を得る目的から潤滑剤はシリコーンオイルが好ましく、(A)下記一般式(1)で表される長鎖アルキル変性シリコーン〔以下、長鎖アルキル変性シリコーン(A)という〕及び/又は(B)下記一般式(2)で表される長鎖アルキルアラルキル共変性シリコーン〔以下、長鎖アルキルアラルキル共変性シリコーン(B)という〕がより好ましい。本発明のトリガー式スプレイヤーとしては、摺動部と嵌合部とが、共に、トリガー式スプレイヤーに存在することが好ましい。また、摺動部が、吐出操作に伴い摺動する構成部材の面に存在することが好ましい。使用時の良好な摺動性を長期間維持する点で長鎖アルキル変性シリコーン(A)がより好ましい。
【0063】
【化5】

【0064】
(式中、Rは炭素数1〜7の1価炭化水素基、R1は炭素数8〜20のアルキル基、AはR又はR1で表される基、n/mは1〜50である。)
【0065】
【化6】

【0066】
(式中、Rは炭素数1〜7の1価炭化水素基、R1は炭素数8〜20のアルキル基、R2は炭素数8〜20のアラルキル基、BはR、R1又はR2で表される基、(p+q)/rは1〜50である。)
【0067】
〔長鎖アルキル変性シリコーン(A)〕
上記式(1)中、Rは同一もしくは異種の炭素数1〜7の1価炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基などの飽和炭化水素基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの飽和脂環式炭化水素基、フェニル基、トリル基などの芳香族炭化水素基が例示され、特にメチル基が好ましい。
【0068】
1は同一もしくは異種の炭素数8〜20のアルキル基であり、具体的には、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基などが例示され、炭素数8〜14が好ましく、炭素数8〜12がより好ましく、炭素数10が更に好ましい。
【0069】
使用時の良好な摺動性を長期間維持する点で、m、nは、n/mが1〜50となる数であり、2〜40が好ましく、3〜30がより好ましく、5〜20が更に好ましい。
【0070】
使用性、使用時の良好な摺動性を長期間維持する点で、長鎖アルキル変性シリコーン(A)の粘度は、25℃において100〜5000mm2/sが好ましく、200〜1000mm2/sがより好ましい。
【0071】
〔長鎖アルキルアラルキル共変性シリコーン(B)〕
上記式(2)中、Rは同一もしくは異種の炭素数1〜7の1価炭化水素基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基などの飽和炭化水素基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの飽和脂環式炭化水素基、フェニル基、トリル基などの芳香族炭化水素基が例示され、特にメチル基が好ましい。
【0072】
1は同一もしくは異種の炭素数8〜20のアルキル基であり、具体的には、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基などが例示され、炭素数8〜14が好ましく、炭素数10〜14がより好ましく、炭素数12が更に好ましい。
【0073】
2は同一もしくは異種の炭素数8〜20のアラルキル基であり、具体的には、ベンジル基、4−メチルベンジル基、p−メトキシベンジル基、ジフェニルメチル基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基などが例示され、特に2−フェニルプロピル基が好ましい。
【0074】
使用時の良好な摺動性を長期間維持する点で、p、q、rは、(p+q)/rが1〜50となる数であり、2〜40が好ましく、3〜30がより好ましく、5〜20が更に好ましい。
【0075】
使用時の良好な摺動性を長期間維持する点で、q/pは0.5〜20が好ましく、1〜10がより好ましく、2〜5が更に好ましい。
【0076】
使用性、使用時の良好な摺動性を長期間維持する点で、長鎖アルキルアラルキル共変性シリコーン(B)の粘度は、25℃において100〜5000mm2/sが好ましく、200〜1000mm2/sがより好ましい。
【0077】
本発明では、上記長鎖アルキル変性シリコーン(A)及び/又は長鎖アルキルアラルキル共変性シリコーン(B)は、摺動部には0.01〜0.5g/m2、更に0.05〜0.1g/m2となるように、嵌合部には0.01〜0.5g/m2、更に0.05〜0.1g/m2となるように塗布することが好ましい。なお、嵌合部への塗布は、組み立て前に構成要素の一面に塗布されていれば足りる。
【0078】
<液体漂白剤物品>
本発明の液体漂白剤物品は、上記液体漂白剤組成物(イ)を、上記吐出容器に充填してなるものであり、硬質表面用漂白剤、衣料用漂白剤として用いることができる。本発明の液体漂白剤物品は、衣料用漂白剤としてより好ましい。
【0079】
安全性、漂白性能の点で、液体漂白剤組成物(イ)を泡状に吐出させて用いることが好ましい。特に、本発明では、「泡状」とは、対象表面に付着させたときの組成物(イ)の単位質量当りの見掛け体積が、気泡を含むことにより2倍以上となり、且つ1分経過後も2倍以上の見掛け体積を保持した状態が好ましい。また、泡状物を構成する気泡は、平均泡径1〜10000μm、更に10〜5000μm、特に100〜3000μmであることが好ましい。また、泡状に吐出された組成物の粘度は、20℃で3〜100mPa・s、更に3〜80mPa・s、特に4〜60mPa・sであることが好ましい。
【0080】
<洗浄方法>
被洗浄物に対して、本発明の液体漂白剤組成物(イ)を泡状に塗布し、接触時間を設けた後、濯ぐ。好ましくは接触時間を設けた後一般の弱アルカリ性洗剤と共に洗濯する。
【0081】
被洗浄物の単位面積(cm2)に対する泡状組成物の付着量(g)は、0.1〜1g/cm2、好ましくは0.1〜0.5g/cm2が高い漂白効果を得る目的から好ましい。また、泡状組成物と被洗浄物の接触時間は、1〜600分間、更に3〜300分間、特に5〜60分間が好ましい。被洗浄物としては、繊維製品、特に衣料が好ましい。
【実施例】
【0082】
実施例1〜4及び比較例1〜6
表1の液体漂白剤組成物を吐出容器(下記参照)に300ml収納し、45℃に保存し、1日(24時間ごとに)10回液体漂白剤組成物を吐出させ、長期使用時のトリガーの摺動性を調べた。各組み合わせについて、それぞれ10サンプルの試験を行い、以下の基準で評価した。結果を表1に示した。
評価基準 30日以内に可動不良発生:×
30日を超え、50日以内に可動不良発生:△
50日を超え、100日以内に可動不良発生:○
100日以内に可動不良が発生しない:◎
【0083】
<液体漂白剤組成物>
表1に示す組成物を調製した。何れも、20℃におけるpHを表1に示したように調整した(1/10規定硫酸水溶液及び1/10規定水酸化ナトリウム水溶液で調整)。なお、表1中の成分は以下のものである。
・非イオン界面活性剤1:炭素数10〜14の1級アルコールにEOを平均8モル付加させたもの
・非イオン界面活性剤2:炭素数12〜14の2級アルコールにEOを平均7モル付加させたもの
・陰イオン界面活性剤1:アルキル基の炭素数12〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
・陰イオン界面活性剤2:アルキル基の炭素数14〜18のα−オレフィンスルホン酸ナトリウム
・1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸:Dequest2010(ソルーシア社)
・AAポリマー:ポリアクリル酸(平均分子量1万;GPCによる測定、ポリエチレングリコール換算)
【0084】
<吐出容器>
・吐出容器No.1
図1の吐出容器の摺動部及び嵌合部に、一般式(1)中のRが炭素数1の飽和炭化水素基、R1が炭素数10のアルキル基、Aが共にメチル基、n/mが12で、25℃の粘度が500mPa・sの長鎖アルキル変性シリコーンを、それぞれ0.05g/m2の割合で塗布した。この吐出容器は、収納部の開口部に吐出手段を設け、手動ポンプ組立体に加える手動操作により、容器内容物を泡状に吐出可能としてなる吐出容器であり、手動ポンプ組立体の摺動部及び嵌合部に前記長鎖アルキル変性シリコーンオイルを塗布してなるものである。
【0085】
・吐出容器No.2
図1の吐出容器の摺動部及び嵌合部に、一般式(2)中のRが炭素数1の飽和炭化水素基、R1が炭素数12のアルキル基、R2が2−フェニルプロピル基、Bが共にメチル基、(p+q)/rが9、q/pが4で、25℃の粘度が500mPa・sの長鎖アルキルアラルキル共変性シリコーンを、それぞれ0.05g/m2の割合で塗布した。
【0086】
・吐出容器No.3
図1の吐出容器の摺動部及び嵌合部に、25℃の粘度が500mPa・sのジメチルシリコーンを、それぞれ0.05g/m2の割合で塗布した。
【0087】
・吐出容器No.4
図1の吐出容器の摺動部及び嵌合部に、一般式(1)中のRが炭素数1の飽和炭化水素基、R1が炭素数10のアルキル基、Aが共にメチル基、n/mが80で、25℃の粘度が500mPa・sの長鎖アルキル変性シリコーンを、それぞれ0.1g/m2の割合で塗布した。
【0088】
・吐出容器No.5
図1の吐出容器の摺動部及び嵌合部に、一般式(1)中のRが炭素数1の飽和炭化水素基、R1が炭素数10のアルキル基、Aが共にエチル基、n/mが0.4で、25℃の粘度が500mPa・sの長鎖アルキル変性シリコーンを、それぞれ0.05g/m2の割合で塗布した。
【0089】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】トリガー式吐出容器を示す模式図である。
【図2】泡吐出状態を示す模式図である。
【図3】吐出停止状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0091】
10 吐出容器
11 収納部
13 吐出手段
41 嵌合部
42、43 摺動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体漂白剤組成物(イ)を、該液体漂白剤組成物(イ)を泡状に吐出するトリガー式スプレイヤーを備えた吐出容器(ロ)に収納した液体漂白剤物品であって、
前記トリガー式スプレイヤーにおいて構成部材同士が摺動する面と、前記トリガー式スプレイヤーにおいて嵌合する構成部材の少なくとも一面とに、潤滑剤が塗布されており、
前記液体漂白剤組成物(イ)は、(a)過酸化水素0.1〜10質量%、(b)非イオン界面活性剤1〜10質量%、(c)陰イオン界面活性剤0.1〜5質量%、(d)ホスホン酸系金属捕捉剤0.05〜5質量%、(e)フェノール系ラジカルトラップ剤0.001〜5質量%、及び(f)水65〜98質量%を含有し、(b)非イオン界面活性剤/(c)陰イオン界面活性剤の質量比が1/1〜10/1である液体漂白剤物品。
【請求項2】
前記トリガー式スプレイヤーに塗布された潤滑剤が、シリコーンオイルである請求項1記載の液体漂白剤物品。
【請求項3】
前記トリガー式スプレイヤーに塗布された潤滑剤が、(A)下記一般式(1)で表される長鎖アルキル変性シリコーン及び/又は(B)下記一般式(2)で表される長鎖アルキルアラルキル共変性シリコーンである請求項1記載の液体漂白剤物品。
【化1】


(式中、Rは炭素数1〜7の1価炭化水素基、R1は炭素数8〜20のアルキル基、AはR又はR1であり、n/mは1〜50である。)
【化2】


(式中、Rは炭素数1〜7の1価炭化水素基、R1は炭素数8〜20のアルキル基、R2は炭素数8〜20のアラルキル基、BはR、R1又はR2であり、(p+q)/rは1〜50である。)
【請求項4】
前記(d)ホスホン酸系金属捕捉剤が1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸及びその塩から選ばれる請求項1〜3何れか記載の液体漂白剤物品。
【請求項5】
前記(e)フェノール系ラジカルトラップ剤が4−メトキシフェノールである請求項1〜4何れか記載の液体漂白剤物品。
【請求項6】
前記液体漂白剤組成物(イ)が更に、(g)ホウ素化合物0.01〜5質量%含有する請求項1〜5何れか記載の液体漂白剤物品。
【請求項7】
前記(a)過酸化水素/(b)非イオン界面活性剤の質量比が5/1〜1/5である請求項1〜6何れか記載の液体漂白剤物品。
【請求項8】
前記液体漂白剤組成物(イ)の20℃における粘度が3〜100mPa・sである請求項1〜7何れか記載の液体漂白剤物品。
【請求項9】
前記液体漂白剤組成物(イ)の20℃におけるpHが7以下である請求項1〜8何れか記載の液体漂白剤物品。
【請求項10】
(a)過酸化水素0.1〜10質量%、(b)非イオン界面活性剤1〜10質量%、(c)陰イオン界面活性剤0.1〜5質量%、(d)ホスホン酸系金属捕捉剤0.05〜5質量%、(e)フェノール系ラジカルトラップ剤0.001〜5質量%、及び(f)水65〜98質量%を含有し、(b)非イオン界面活性剤/(c)陰イオン界面活性剤の質量比が1/1〜10/1である液体漂白剤組成物(イ)を、被洗浄物に泡状に塗布して用いる洗浄方法。
【請求項11】
前記被洗浄物が衣料である請求項10記載の洗浄方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2007−9065(P2007−9065A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−191780(P2005−191780)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】