説明

液体燃料気化燃焼装置

【課題】正確に、且つ画一的に燃料の変質度合いを判定することができ、燃料の変質度合いに応じた適正な燃焼が可能となる液体燃料気化燃焼装置を提供することである。
【解決手段】液体燃料を燃焼する燃焼部51と、液体燃料供給手段(57,59)と、燃焼用空気供給手段(58,61,62)と、略一定の空燃比制御を行う制御装置Eとを備えた液体燃料気化燃焼装置において、燃焼部51への供給燃料の色調検出センサ79を設け、制御装置Eは色調検出センサ79による色調から燃料の適正度を判定する燃料変質判定機能Hと燃焼時等に燃料変質判定機能Hにより不適正な液体燃料であると判定された場合に液体燃料に応じた燃焼制御を行う燃料不適正対応機能Fとを有する。燃料変質判定機能Hによって、正確に、且つ画一的に燃料の変質度合いを判定でき、不適正な液体燃料である場合は燃料不適正対応機能Fにより燃料の変質度合いに応じた適正な燃焼が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒乾燥装置などに使用する液体燃料を気化する液体燃料気化燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、石油ストーブや石油ファンヒータなどの液体燃料燃焼装置の給油タンク本体の表面に、透明体を有し、油面を直視する油量計を備えた給油タンクにおいて、油量計の透明体の裏面に段差を設けると共に、透明体の裏面側に変質灯油の色調を判別する指標板を設けた給油タンクの構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−152129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
正常な白灯油は無色透明であり、変質すると白灯油が黄味を帯びてくる。そこで、特許文献1の構成により、油量計の透明体の裏面に段差を設けることで、段差により透明体と指標板との間の油層の厚さが異なり、指標板によりこの色の比較ができることで、変質灯油を簡易的に判別できる。
【0005】
しかし、このような構成では、人の目で変質灯油か否かを見比べる必要があり、変質灯油か否かの判断を人の目に頼ることになり、人によって判断が異なる場合もあり得る。したがって、燃焼が適正に行える範囲内の変質程度であるのに燃焼を中止したり、燃焼には不適正であるのに燃焼を続けたりする場合もあり、このような場合は真に適正な燃焼が行われず、燃焼効率の低下を招いてしまう。
燃料を効率よく燃焼させるためには、正確に、且つ画一的に燃料の変質度合いを判定する必要があると共に、燃料の変質度合いに応じた適正な燃焼が行われなければならない。 そこで、本発明の課題は、正確に、且つ画一的に燃料の変質度合いを判定することができると共に、燃料の変質度合いに応じた適正な燃焼が可能となる液体燃料気化燃焼装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、液体燃料を燃焼するための燃焼部(51)と、該燃焼部(51)に液体燃料を供給する液体燃料供給手段(57,59)と、前記燃焼部(51)に燃焼用空気を供給する空気供給手段(58,61,62)と、液体燃料供給手段(57,59)による燃料供給量に応じた空気量が供給されるように前記空気供給手段(58,61,62)を調整して略一定の空燃比制御を行う制御装置(E)とを備えた液体燃料気化燃焼装置において、前記液体燃料供給手段(57,59)により供給される燃料の色調を検出する供給燃料色調検出手段(75,77,79)を設け、前記制御装置(E)は前記供給燃料色調検出手段(75,77,79)により検出された色調から燃料の適正度を判定する燃料変質判定機能(H)と、燃焼時または燃焼待機時に前記燃料変質判定機能(H)により不適正な液体燃料であると判定された場合に、該液体燃料に応じた燃焼部(51)の燃焼制御を行う燃料不適正対応機能(F)とを有する液体燃料気化燃焼装置である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記液体燃料供給手段(57,59)により燃焼部(51)に供給する供給燃料を濾過する濾過部(55)を設け、前記供給燃料色調検出手段(75,77,79)を前記濾過部(55)に設けた請求項1記載の液体燃料気化燃焼装置である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、供給燃料色調検出手段(75,77,79)により検出された色調から燃料の適正度を判定する燃料変質判定機能(H)によって、正確に、且つ画一的に燃料の変質度合いを判定することができる。
また、燃焼時または燃焼待機時に燃料変質判定機能(H)により不適正な液体燃料であると判定された場合に、当該液体燃料に応じた燃焼制御を行うことで、燃料の変質度合いに応じた適正な燃焼が可能となる。
【0009】
また、請求項2記載の発明によれば、上記請求項1記載の発明の効果に加えて、燃焼部(51)に供給する供給燃料を濾過する濾過部(55)に供給燃料色調検出手段(75,77,79)を設けたことで、ゴミや不純物等が取り除かれた液体燃料の色調判断がより正確に行える。更に、供給燃料色調検出手段(75,77,79)の取り付け構成が簡素となり、メンテナンス性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態の液体燃料気化燃焼装置を設けた穀粒乾燥機の側面図である。
【図2】図1の穀粒乾燥機の正面図である。
【図3】本発明の一実施形態の液体燃料気化燃焼装置の全体構成図である。
【図4】図3の液体燃料気化燃焼装置の燃料フィルタ部の詳細図である。
【図5】穀粒乾燥機の液体燃料気化燃焼装置の燃焼制御ブロック図である。
【図6】図3の燃料フィルタ部のRGBセンサの要部を示した図である。
【図7】変質灯油の変質度合いとRGBセンサの出力との関係を示した図である。
【図8】図3の液体燃料気化燃焼装置の燃料供給量と燃料供給量制御信号の関係を示した図である。
【図9】図3の液体燃料気化燃焼装置の燃焼部付近の拡大図を示した図である。
【図10】燃料不適正対応機能Fによる制御例のフローを示した図である。
【図11】図5の燃焼制御ブロック図の受光手段を単色センサとした場合の燃焼制御ブロック図を示した図である。
【図12】図6の燃料フィルタ部のフィルター(単色センサ)の平面図である。
【図13】図6の燃料フィルタ部に単色センサを用いた場合の燃料不適正対応機能Fによる制御例のフローを示した図である。
【図14】図6の燃料フィルタ部に単色センサを用いた場合の燃料不適正対応機能Fによる制御例のフローを示した図である。
【図15】図3の液体燃料気化燃焼装置の燃焼バーナの別の例であり、側面から見たバーナの内部を説明した図である。
【図16】図3の燃焼バーナを穀粒乾燥機内部に設置した場合の側面図である。
【図17】図16の筒状体の拡大図(塵埃量検出手段の詳細図)である。
【図18】図17の塵埃量検出手段の構成図である。
【図19】図1の穀粒乾燥機に塵埃量検出手段を設けた場合の液体燃料気化燃焼装置の燃焼制御ブロック図である。
【図20】塵埃量検出手段による安全対応制御を行う場合のフローを示した図である。
【図21】本発明の他の実施形態の液体燃料気化燃焼装置の燃焼バーナ付近の側面から見たバーナの内部を説明した図である。
【図22】塵埃量検出手段による安全対応制御を行う場合のフローを示した図である。
【図23】図1の穀粒乾燥機に除塵装置を設けた場合の穀粒乾燥機の一部側面図である。
【図24】図1の穀粒乾燥機に除塵装置を設けた場合の穀粒乾燥機の一部平面図である。
【図25】除塵装置の構成図(正面図)である。
【図26】図2の穀粒乾燥機に除塵装置を設けた場合の燃焼制御ブロック図である。
【図27】図23から図25に示す除塵装置の運転タイムチャートの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1には、本発明の一実施形態の液体燃料気化燃焼装置を設けた穀粒乾燥機の側面図を示し、図2には、図1の穀粒乾燥機の正面図を示す。図1及び図2に示すように、箱体1の天井側は昇降機2で揚穀した穀粒を箱体1内まで搬送する上部ラセン3(上部搬送手段)を備え、箱体1の後ろ側は箱体1内の熱風を吸引する排風ファン7を備え、箱体1の側方には穀粒を投入する投入口(図示せず)を備えている。
【0012】
そして、昇降機2には穀粒の水分を検出する水分計9と箱体1内の穀粒を機外に排出する穀粒排出口20とをそれぞれ設ける。また操作盤6内には乾燥作業の制御をする制御部(CPU)E(図5)を備えている。
箱体1内には上段に貯留室10を、下段に乾燥室11を備えており、貯留室10の上部には上部ラセン3で搬送された穀粒を貯留室10内に拡散する拡散羽根12を設けている。
【0013】
乾燥室11は燃焼バーナ4で発生させた熱風が通過する熱風室13と、貯留室10から穀粒が流下する流下通路14と、排風ファン7の吸引作用を受ける排風室15とから構成される。流下通路14の下端部には流下通路14を流下した穀粒を所定量ずつ繰り出すロータリバルブ16を設け、ロータリバルブ16の下方にはロータリバルブ16で繰り出された穀粒を昇降機2に搬送する下部ラセン17を設けている。
燃焼バーナ4は機体正面側に設ける外気通過室5に収容されており、取り付けステー22で固定されている。
【0014】
次に、操作盤について説明する。
操作盤6の操作盤面に表示部30(液晶表示部などのモニター、図5)と、穀粒の張込時に操作する張込スイッチ32と、排風ファン7を駆動して通風作業を行なう通風スイッチ33と、燃焼バーナ4を駆動して乾燥作業を行なう乾燥運転スイッチ34と、乾燥作業終了後に穀粒乾燥機内の穀物を機外に排出する排出スイッチ35と、張込・通風・乾燥・排出の各種動作を停止する停止スイッチ36などとからなる運転スイッチと、緊急時に乾燥機を停止する緊急停止スイッチ37を設けている。
【0015】
次に乾燥作業の工程について説明する。
電源を投入すると表示部30には運転条件の設定画面が表示され、作業者は図示しない各設定スイッチの操作により、張込穀粒量、仕上水分値、乾燥速度などをそれぞれ設定する。
穀粒を張り込む場合には張込スイッチ32を押して昇降機2と上部ラセン3と拡散羽根12の張込駆動手段を駆動し、穀粒を貯留室10に張り込んでいく。そして、張込作業が終了するときは停止スイッチ36を押して駆動を停止する。そのとき乾燥運転スイッチ34を押すと燃焼バーナ4が駆動を開始し、下部ラセン17とロータリバルブ16と前述の張込駆動手段とからなる循環駆動手段が駆動を開始し、穀粒は乾燥室11と貯留室10を循環しながら設定水分値まで乾燥作業がなされる。
【0016】
乾燥作業中には表示部30は設定した当該乾燥作業の運転条件の設定値と、乾燥作業中に設定時間毎に水分計9で測定される穀粒水分値及び熱風温度及び設定水分値に到達するまでの乾燥残り時間の乾燥情報とからなる乾燥運転表示画面が表示される。また、この間、穀粒水分値及び熱風温度と乾燥残時間の乾燥情報を順次表示するようにしても良い。
穀粒の測定水分値が設定した仕上水分値(例えば14.5%)に到達すると、燃焼バーナ4が停止し、所定時間排風ファン7が駆動するいわゆるポストパージ処理が行なわれた後、全停止する。
【0017】
穀粒乾燥機内の穀粒を排出するときには排出スイッチ35を押すと、循環駆動手段が駆動を開始し、貯留室10内の穀粒は流下通路14からロータリバルブ16、下部ラセン17、昇降機2を経て排出口20から排出される。そして、穀粒乾燥機には、液体燃料気化燃焼装置50(図3)を備え、液体燃料気化燃焼装置50の燃焼部51で生じた熱を乾燥室11の熱風室13に送ることで、穀粒を乾燥させる。
【0018】
図3には、本発明の一実施形態の液体燃料気化燃焼装置の全体構成図(側面図)を示し、図4には、図3の液体燃料気化燃焼装置の燃料フィルタ部の詳細図を示す。また、図5には、穀粒乾燥機の液体燃料気化燃焼装置の燃焼制御ブロック図を示す。
液体燃料を供給するための容器である燃料タンク53内に貯留された灯油などの液体燃料は、燃料フィルタ部55により濾過されて液体燃料中のゴミや不純物等が除去された後、液体燃料供給手段としての燃料ポンプ59の作動によって液体燃料吸入管57から燃焼部51の拡散体117に供給される。そして 気化筒モータ41で回転する拡散体117で拡散され、気化筒モータ41で回転する気化筒115の内部を通過しながら気化され、燃焼盤119の面でイグナイタ(点火栓)40の点火作用で燃焼する。
【0019】
一方、燃焼用空気は空気吸入口61から燃焼用空気供給手段である送風ファン62の作動により燃焼用空気供給ダクト58から燃焼部51に供給される。そして、前記燃料ポンプ59による燃焼部51への燃料供給量に応じた空気量が供給されるように制御部Eによって送風ファン62を駆動、調整することで、略一定の空燃比制御が行われる。
【0020】
そして、本実施形態の液体燃料気化燃焼装置50によれば、燃料フィルタ部55に、液体燃料の色調を検出する供給燃料色調検出手段(センサ)を設けている。
図4に示すように、燃料タンク53内の灯油は未濾過燃料入り口63から燃料フィルタ部55に供給されてフィルタエレメント65により濾過された後、濾過燃料出口67から液体燃料吸入管57へ吸入される。燃料フィルタ部55は未濾過燃料入り口63と濾過燃料出口67が設けられた上ケース69と、光透過性の材料からなる下ケース71、及び下ケース71の周囲を覆い、外部の光を遮断する遮光壁73などから構成されている。
【0021】
下ケース71内のフィルタエレメント65により濾過された灯油が溜まる貯留部Cにはセラミックス製などの反射板75が設けられており、下ケース71下方の遮光壁73と下ケース71との間の空間部Kには、貯留部C内の灯油に投光するための投光手段としてLED77(例えば、白色LED)及びLED77から反射板75によって反射された光を受光する受光手段としてのRGBセンサ79が設けられている。
LED77からの光は貯留部Cの灯油内を通過して反射板75によって反射され、RGBセンサ79により受光されることで、灯油の色調が検出される。これら反射板75、LED77、RGBセンサ79などをまとめて燃料色調検出手段(75,77,79)と言う。
【0022】
液体燃料として、例えば灯油を長期保存した場合に、その保存過程において生じる高分子成分の重合の程度により黄色に呈色する度合いが変わってくる。したがって、上記燃料色調検出手段(75,77,79)により検出された色調から、灯油の変質度合いが正確、且つ画一的に検出できる。
【0023】
そして、本実施形態の液体燃料気化燃焼装置50によれば、図5の燃焼制御ブロック図に示すように、乾燥運転スイッチ34、停止スイッチ36等のスイッチの入り切り信号が制御部Eに入力されて、各スイッチ操作に応じて出力側の燃料ポンプ59、気化筒115及びオイル拡散体117を駆動軸113(図9)で回転させる気化筒モータ41、炉体温度を上昇させるための炉体加熱手段(コイル、面状ヒータなど)42、燃焼部51に点火するイグナイタ40等に出力される。
【0024】
また、穀粒乾燥機の機外の外気温度、熱風室13の熱風温度、燃料ポンプ59から供給される灯油の温度などがそれぞれ外気温度検出手段(センサなど)46、熱風温度検出手段(センサなど)47、油温検出手段(センサなど)48によって検出され、各種信号が制御部Eに入力される。更に、排風ファン7のファンモータ43の回転数がファンモータ回転数検出手段(センサなど)44から、火炎の有無を検出するフレームロッド121の情報が火災検出手段45から入力される。
【0025】
図6には、図4の燃料フィルタ部のRGBセンサの要部を示し、更に、図7には、変質灯油の変質度合いとRGBセンサ79の出力との関係を示す。
図6に示すように、RGBセンサ79は、支持部材85と該支持部材85により支持されたフォトダイオード87(検出手段の一種である)とフォトダイオード87上に形成されたフィルター部89(赤(R),緑(G),青(B))などから構成されている。そして、RGBセンサ79の四隅及び底部は外乱光が入射しにくいように遮光ブロック81により囲まれ、RGBセンサ79の上部は不要な赤外成分の入射光を除去する赤外線カットフィルタ83で覆わている。
【0026】
図6には、RGBセンサ79として、可視光領域をフィルタR(波長約590〜720nm)、フィルタG(波長約480〜600nm)、フィルタB(波長約400〜540nm)のそれぞれの色信号に分けて検出できるカラーセンサの例を示しているが、これら3つのフィルタ(フィルタR,フィルタG,フィルタB)のうち1つのフィルタだけを用いた単色センサとしても構わない。
【0027】
例えば、図7には、変質灯油の変質度合いとRGBセンサ79の出力(フィルタBの出力信号)との関係を示している。
予め、変質灯油の黄色の呈色度合い(濃淡)に応じたRGBセンサ79の出力信号Sを測定して変質灯油の黄色の呈色度合いとRGBセンサ79の出力信号との関係を記憶装置Mに記憶させておく。そして、変質灯油の黄色の呈色度合いを判定するための基準(Y1およびY2、Y2の方がY1よりも濃い基準とする)を設け、その時のRGBセンサ79の出力信号であるS1(基準Y1のセンサ値)及びS2(基準Y2のセンサ値)を記憶装置Mに記憶させる。なお、S1<S2である。
そして、穀粒の乾燥作業中(液体燃料気化燃焼装置の燃焼時又は燃焼待機時でも良い)にRGBセンサ79によるセンサ値SがS1より小さい場合は制御部E内の燃料変質判定機能Hにより灯油の品質が適正である(適正な白灯油として認知できる程度である)と判定し、正常灯油の範囲として通常の燃焼制御を実施する。
【0028】
しかし、灯油の変質が進行してRGBセンサ79によるセンサ値SがS1以上S2未満となった場合は、制御部E内の燃料変質判定機能Hにより灯油の品質がやや不適正であると判定し、その程度に応じた燃料不適正対応機能Fが作動する。RGBセンサ79によるセンサ値SがS1以上S2未満の場合は変質灯油の黄色の呈色度合いが進行し、灯油の燃焼性や燃焼バーナ4内部のタール付着等の影響が出やすくなるため、例えば最大燃焼量を低減すべく燃料ポンプ59により燃料供給量を制御し、又は最小燃焼量を増加すべく燃料ポンプ59により燃料供給量を制御して燃焼を継続するように制御することで燃焼バーナ4の種類にもよるが、長期保存した変質灯油であっても安全に消費できる。
【0029】
また、RGBセンサ79による測定値がS2以上である場合は、制御部E内の燃料変質判定機能Hにより灯油の品質が不適正であると判定し、その程度に応じた燃料不適正対応機能Fが作動する。この場合は、変質灯油の黄色の呈色度合いがかなり進行している状態であり、安全燃焼の確保の観点から、燃焼を中止する。
【0030】
このように、灯油の品質の適正度を判定する燃料変質判定機能Hによって、正確に、且つ画一的に燃料の変質度合いを判定することができる。また、燃焼時または燃焼待機時に燃料変質判定機能Hにより不適正な灯油であると判定された場合に、燃料不適正対応機能Fによって当該灯油に応じた燃焼制御を行うことで、灯油の変質度合いに応じた適正な燃焼が可能となる。なお、燃焼待機時とは、燃焼を開始していない状態である。図7の例では、灯油の変質度合いを3段階に分けた場合を示しているが、灯油の変質度合いを2段階としても良いし、又はより細かい段階に分けて燃焼制御を行っても良い。
【0031】
そして、灯油の変質程度により、気化筒115を昇温すべく炉体加熱手段42を作動させることで、変質灯油であっても、充分気化燃焼を維持できる。特に燃焼立上りなどの燃焼部51からの残油回収燃料を燃料タンク53に戻す構成の液体燃料気化燃焼装置の場合は、灯油の加熱による高沸点物質の重合が早期に進行しやすい。
しかし、本構成により、このような液体燃料気化燃焼装置の場合も、灯油の変質度合いに応じてきめ細かい燃焼制御ができるので、効果的である。
【0032】
また、燃料色調検出手段(75,77,79)は、燃料ポンプ59内に設けてもよく、燃料タンク53に取り付けているオイルレベラー内や燃料タンク53から燃焼部51までの配管(液体燃料吸入管57)内、又は燃料タンク53内に設けても良い。
図4に示すように、燃料フィルタ部55に供給燃料色調検出手段(75,77,79)を設けると、ゴミや不純物等が取り除かれた灯油の色調判断がより正確に行えるため好ましい。更に、供給燃料色調検出手段(75,77,79)の取り付け構成が簡素となり、メンテナンス性にも優れる。
【0033】
そして、燃料不適正対応機能Fによる燃料不適正対応として、燃焼量を制限制御する例を示す。
表1には、使用液体燃料の出力信号に対する上限供給量(リットル(l)/時間(h))の実施例を示し、表2には、使用液体燃料の出力信号に対する下限供給量(リットル(l)/時間(h))の実施例を示す。また、図8には、燃料供給量と燃料供給量制御信号の関係を示す。
表1及び表2中のS1、S2は、図7の変質灯油の変質度合いとRGBセンサ79の出力(フィルタBの出力信号)との関係によるものである。
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
表1及び表2からRGBセンサ79のセンサ値がS1以下の正常灯油の場合は外気温度にかかわらず、上限供給量を6.0(l/h)、下限供給量を1.0(l/h)とするが、RGBセンサ79によるセンサ値がS1以上S2未満の変質灯油の場合は、外気温度に応じて上限供給量及び下限供給量を調整する。外気温度が低い場合は、燃焼温度が上がりにくいため上限供給量をやや下げて、下限供給量をやや上げることで、供給量の変化が小さくなるように制御する。そして、RGBセンサ79によるセンサ値がS2以上の変質灯油の場合は、外気温度にかかわらず、運転を中止する。外気温度は外気温度検出手段46により制御部Eに入力される。
【0036】
そして、図8に示すように、制御部Eにより燃料供給量制御信号が燃料ポンプ59に出力されることで表1及び表2に示すような上限及び下限供給量になるように燃料供給量が調整されて、当該信号に応じた燃料量が燃焼部51に供給される。
なお、外気温度ではなく、油温検出手段48(図5)による油温によって表1及び表2に示すような燃料供給量制御をしても良い。
【0037】
また、燃料不適正対応機能Fによる燃料不適正対応として、炉体温度を上昇させる炉体加熱手段42を作動制御する例を示す。
図9には、図3の液体燃料気化燃焼装置の燃焼部51付近の拡大図を示す。
前記炉体加熱手段42として、コイル、面状ヒータなどを気化筒115の底部や側壁等に設ける構成とする。あるいは混合ガスを加熱することで炉体温度を上昇させる構成でも良い。混合ガスの温度は予混合ガス温度検出手段(センサなど)91によって測定され、該測定値が制御部Eに入力されて、適正な混合ガス温度に維持されるように制御部Eから炉体加熱手段42に信号が出力されることで混合ガスが加熱される。
【0038】
図10には、燃料不適正対応機能Fによる制御例のフローを示す。具体的には炉体温度を上昇させる炉体加熱手段42を作動制御する場合のフローを示している。
穀粒の乾燥作業を開始して、制御部Eにより供給燃料色調検出手段(75,77,79)のRGBセンサ79(色調センサーと言う場合がある)の出力信号Sが確認されると、ステップAに進み、当該出力信号SとS1及びS2(図7)との大小が比較される。出力信号SがS2以上である場合(S≧S2)は、表示部30に燃料が異常であることが表示され、制御部Eによって燃焼の停止指示信号が出力されることによって、燃焼ポンプ59等が停止して燃焼が停止する。
【0039】
一方、ステップAにおいて、出力信号SがS2よりは小さい場合(S<S2)はステップBに進み、出力信号SがS1以上である場合(S1≦S<S2)は、炉体加熱手段42により加熱強度を上げて点火制御工程に入る。また、ステップBにおいて、出力信号SがS1よりも小さい場合(S<S1)は、前記炉体加熱手段42による加熱強度を上げることなく点火制御工程に入り、点火栓40が作動する。
なお、点火制御工程におけるフレームロッド121の着火判定(ステップC)がNoの場合で、着火ミス回数が所定回数である場合はイグナイタ40による着火動作を停止し、所定回数でない場合は、再度点火制御工程に入って再び着火判定(ステップC)が行われる。
着火が上手く行われ、着火判定(ステップC)がYesの場合は、燃焼制御工程に入る。
【0040】
そして、制御部Eの供給燃料量信号(図8の制御信号)が一定範囲内で安定したら(ステップD)、当該燃料量供給信号を記憶装置M(図5)に記憶させて、更に予混合ガス温度検出手段91からの検出値を記憶させる。そして、予混合ガス温度検出手段91から混合ガスの温度変化を算出して、ステップEに進み、混合ガスの温度変化幅を判定する。混合ガスの温度変化幅が所定値以内でなければ表示部30にガス化が不安定である旨の表示・警告がなされる。
【0041】
ステップEにおいて、混合ガスの温度変化幅が所定値以内の場合は、混合ガスの温度平均値Tgsを検出してステップFに進み、TgsとTg0(供給燃料の種類に応じた予混合ガス温度の基準値)との大小が比較される。ステップFにおいてTgs<Tg0でない場合は適正な燃焼であると判定し、フローをリターンする。一方、ステップFにおいてTgs<Tg0である場合は、燃焼不可と判定されて、ステップGに進み、炉体加熱手段42による加熱強度段数を判定する。
【0042】
ステップGでYesの場合(例えば加熱強度段数が3段目の場合)は再び燃焼不可と判定し、燃焼中でも燃焼制御が中止されて燃焼が停止する。ステップGでNoの場合は、更に炉体加熱手段42による加熱強度段数を上げて、当該段数を記憶装置Mに記憶し、フローをリターンする。
すなわち、燃料が不適切の場合に炉体加熱手段42を段階的に上げて気化筒115の温度を上げて燃焼を行ない、燃焼状態が良好になるとそのまま燃焼を継続して行ない、それでも燃焼状態が良好にならなければ燃焼不可と判定して燃焼を停止する。
【0043】
このように、RGBセンサ79によるセンサ値がS1未満の正常灯油の場合は、そのまま点火制御工程に入るが、RGBセンサ79によるセンサ値がS1以上S2未満の変質灯油の場合は、炉体加熱手段42により1段階加熱強度を上げることで炉体温度を1段階上昇させる。
そして、更に予混合ガス温度検出手段91によるガス温度の平均値が低い場合は、更に炉体加熱手段42により段階(段数)を上げて加熱することで、炉体温度をより上昇させる。
【0044】
本構成によれば、供給燃料色調検出手段(75,77,79)による色調(灯油の変質度合い)に加えて燃焼部51の混合ガス温度によっても加熱制御を行うことにより、燃焼条件に応じたより細かい燃焼制御が可能となる。
【0045】
なお、図10において、供給燃料色調検出手段(75,77,79)における判定結果、灯油の変質が燃焼可能域を越えたと判定された場合、表示部30による表示のみではなく、ブザー、音声などで警告を発するとともに燃焼を中止する信号を制御部Eにより発しても良い。
【0046】
図11には、図5の穀粒乾燥機の液体燃料気化燃焼装置の燃焼制御ブロック図の受光手段(RGBセンサ79)を単色センサとした場合の燃焼制御ブロック図を示し、図12には、フィルター部89(単色センサ)の平面図を示す。
そして、供給燃料色調検出手段(75,77,79)による色調から、燃料気化燃焼装置50に異種の液体燃料を供給していると燃料変質判定機能Hにより判定した場合に、異種燃料である旨を表示部30に表示するとともに燃焼を中止するように制御部Eにより性御しても良い。
【0047】
液体燃料を気化して適正な空燃比で燃焼させる液体燃料気化燃焼装置50では、長期保存し、変質した灯油燃料のみならず、農家等では種々の燃料を扱う。例えば穀粒乾燥機に軽油やガソリンを供給してしまうこともあり、異種の液体燃料を使用すると、燃焼が上手く行われない。
例えば、軽油であれば、不正行為を防止するために軽油識別剤が微量混合されて販売されており、国内では緑色に呈色され、白灯油とはRGBセンサ79により容易に識別可能である。また、ガソリンにも目視識別できるように橙色に呈色され(規格がある)、RGBセンサ79によって容易に識別可能である。したがって、RGBセンサ79又はR単色センサ79R、G単色センサ79G、B単色センサ79Bを用いることで、特に視力が低下した人などでも誤使用を防止できる。
【0048】
図12に示すように、フィルター部89は、3色の単色センサ(R単色センサ79R、G単色センサ79G、B単色センサ79B)が1枚のフィルターで構成されており、該単色センサにより光の3原色を簡便に測定し、色調の違いが判別可能である。したがって、農家などで間違えて、穀粒乾燥機に、本来は灯油を投入するはずが軽油を投入して燃焼が上手く行われないという事態が生じることを防止できる。
上述のように国内の軽油は軽油識別剤を混合しており、緑色系であるので、無色の灯油との識別は単色センサ(R単色センサ79R、G単色センサ79G、B単色センサ79B)で充分識別可能である。また、ガソリンも橙色系で規格化されており、視力が低下した人でもガソリンを誤って穀粒乾燥機に投入することを防止できる。
【0049】
図13には、R単色センサ79R、G単色センサ79G、B単色センサ79Bなどの単色センサを用いた場合の燃料不適正対応機能Fによる制御例のフローを示し、具体的には赤色光と緑色光の出力信号を用いて異種燃料の判定をする場合の制御例を示している。なお、RGBセンサ79のみならず、単色センサ(R単色センサ79R、G単色センサ79G、B単色センサ79B)のことも色調センサーと言う場合がある。
【0050】
穀粒の乾燥作業を開始して、制御部Eにより供給燃料色調検出手段(75,77,79)の単色センサ(色調センサー)の出力信号SR,SG,SB(R単色センサ79Rの出力信号をSR、G単色センサ79Gの出力信号をSG、B単色センサ79Bの出力信号をSBと表しているが、図13ではぞれぞれR,G,Bと省略している)が確認されると、ステップJに進み、R単色センサ79Rの出力信号SRが所定値内であるか否かを判定する。 R単色センサ79Rの出力信号SRが所定値内でない場合は燃料がガソリンであると判断して表示部30に燃料が異常であることが表示され、制御部Eによって燃焼の停止指示信号が出力されることによって、燃焼が停止する。
【0051】
また、ステップJにおいて、R単色センサ79Rの出力信号SRが所定値内である場合はステップKに進み、G単色センサ79Gの出力信号SGが所定値内であるか否かを判定する。G単色センサ79Gの出力信号SGが所定値内でない場合は燃料が軽油であると判断して、表示部30に燃料が異常であることが表示され、制御部Eによって燃焼の停止指示信号が出力されることによって、燃焼が停止する。
【0052】
また、ステップKにおいて、G単色センサ79Gの出力信号SGが所定値内である場合はガソリンや軽油ではなく、正常の燃料(この例では灯油)であると判断し、点火制御工程に入り、点火栓40が作動する。そして、その後のフローは図10と同様である。
すなわち、点火制御工程におけるフレームロッド121の着火判定(ステップC)がNoの場合で、着火ミス回数が所定回数である場合はイグナイタ40による着火動作を停止し、所定回数でない場合は、再度点火制御工程に入って再び着火判定(ステップC)が行われる。
着火が上手く行われ、着火判定(ステップC)がYesの場合は、燃焼制御工程に入る。
【0053】
そして、制御部Eの供給燃料量信号(図8の制御信号)が一定範囲内で安定したら(ステップD)、当該燃料量供給信号を記憶装置M(図5)に記憶させて、更に予混合ガス度検出手段91からの検出値を記憶させる。そして、予混合ガス度検出手段91から混合ガスの温度変化を算出して、ステップEに進み、混合ガスの温度変化幅を判定する。混合ガスの温度変化幅が所定値以内でなければ表示部30にガス化が不安定である旨の表示・警告がなされる。
【0054】
ステップEにおいて、混合ガスの温度変化幅が所定値以内の場合は、混合ガスの温度平均値Tgsを検出してステップFに進み、TgsとTg0(供給燃料の種類に応じた予混合ガス温度の基準値)との大小が比較される。ステップFにおいてTgs<Tg0でない場合は適正な燃焼であると判定し、フローをリターンする。一方、ステップFにおいてTgs<Tg0である場合は、燃焼不可と判定されて、ステップGに進み、炉体加熱手段42による加熱強度段数を判定する。
【0055】
ステップGでYesの場合(例えば加熱強度段数が3段目の場合)は再び燃焼不可と判定し、燃焼中でも燃焼制御が中止されて燃焼が停止する。ステップGでNoの場合は、更に炉体加熱手段42による加熱強度段数を上げて、当該段数を記憶装置Mに記憶し、フローをリターンする。
すなわち、燃料が不適切の場合に炉体加熱手段42を段階的に上げて気化筒115の温度を上げて燃焼を行ない、燃焼状態が良好になるとそのまま燃焼を継続して行ない、それでも燃焼状態が良好にならなければ燃焼不可と判定して燃焼を停止する。
【0056】
このように、R単色センサ79Rの出力信号SRとG単色センサ79Gの出力信号SGの値によって燃料が灯油であるか他の燃料(ガソリン、軽油)であるかの判定をしてから、点火制御工程に入る燃焼制御を行うことで、異種燃料の誤使用を容易、且つ確実に防止できる。
特に燃料を燃料タンク53に補充するときに、誤って異種燃料を投入する場合、例えば、穀粒乾燥機等の燃料タンク53に軽油を補充した場合に、軽油自身の緑色の呈色度合いに加えて、無色の灯油と混合すると識別剤の濃度は薄くなるので、単色光での判定では精度が不十分な場合もある。
【0057】
そこで、図14には、R単色センサ79R、G単色センサ79G、B単色センサ79Bなどの単色センサを用いた場合の燃料不適正対応機能Fによる図13とは別の制御例のフローを示し、具体的には赤色光と緑色光の信号比を用いて異種燃料の判定をする場合の制御例を示している。
【0058】
穀粒の乾燥作業を開始して、制御部Eにより供給燃料色調検出手段(75,77,79)の単色センサ(色調センサー)の出力信号SR,SG,SBが確認されると、ステップMに進み、R単色センサ79Rの出力信号SRとG単色センサ79Gの出力信号SGとの比(SG/SR)が所定値X1以下であるか否か判定される。SG/SRが所定値X1以下である場合は燃料がガソリンであると判断して表示部30に燃料が異常であることが表示され、制御部Eによって燃焼の停止指示信号が出力されることによって、燃焼が停止する。 また、ステップMにおいて、SG/SRが所定値X1以下でない場合はステップNに進み、SG/SRが所定値X2以上であるか否か判定される(X1<X2)。SG/SRが所定値X2以上の場合は燃料が軽油であると判断して、表示部30に燃料が異常であることが表示され、制御部Eによって燃焼の停止指示信号が出力されることによって燃焼が停止する。
【0059】
また、ステップNにおいて、SG/SRが所定値X2以上でない場合(X1<SG/SR<X2)は、ガソリンや軽油ではなく、正常の燃料(この例では灯油)であると判断し、点火制御工程に入り、点火栓40が作動する。そして、その後のフローは図10と同様である。
【0060】
すなわち、点火制御工程におけるフレームロッド121の着火判定(ステップC)がNoの場合で、着火ミス回数が所定回数である場合はイグナイタ40による着火動作を停止し、所定回数でない場合は、再度点火制御工程に入って再び着火判定(ステップC)が行われる。着火が上手く行われ、着火判定(ステップC)がYesの場合は、燃焼制御工程に入る。
そして、制御部Eの供給燃料量信号(図8の制御信号)が一定範囲内で安定したら(ステップD)、当該燃料量供給信号を記憶装置M(図5)に記憶させて、更に予混合ガス度検出手段91からの検出値を記憶させる。そして、予混合ガス度検出手段91から混合ガスの温度変化を算出して、ステップEに進み、混合ガスの温度変化幅を判定する。混合ガスの温度変化幅が所定値以内でなければ表示部30にガス化が不安定である旨の表示・警告がなされる。
【0061】
ステップEにおいて、混合ガスの温度変化幅が所定値以内の場合は、混合ガスの温度平均値Tgsを検出してステップFに進み、TgsとTg0(供給燃料の種類に応じた予混合ガス温度の基準値)との大小が比較される。ステップFにおいてTgs<Tg0でない場合は適正な燃焼であると判定し、フローをリターンする。一方、ステップFにおいてTgs<Tg0である場合は、燃焼不可と判定されて、ステップGに進み、炉体加熱手段42による加熱強度段数を判定する。
【0062】
ステップGでYesの場合(例えば加熱強度段数が3段目の場合)は再び燃焼不可と判定し、燃焼中でも燃焼制御が中止されて燃焼が停止する。ステップGでNoの場合は、更に炉体加熱手段42による加熱強度段数を上げて、当該段数を記憶装置Mに記憶し、フローをリターンする。
すなわち、燃料が不適切の場合に炉体加熱手段42を段階的に上げて気化筒115の温度を上げて燃焼を行ない、燃焼状態が良好になるとそのまま燃焼を継続して行ない、それでも燃焼状態が良好にならなければ燃焼不可と判定して燃焼を停止する。
【0063】
このように、単色センサ(R単色センサ79R、G単色センサ79G、B単色センサ79B)のそれぞれの信号比で燃料の種類を判定することで、燃料の温度補正や外光の影響も補正でき、安定した判定が可能となる。また、灯油の劣化についても、例えば青色光と赤色光の信号比で判定することで精度向上となるのは言うまでもない。なお、R単色センサ79R、G単色センサ79G、B単色センサ79Bの出力信号の判定は、その中央波長が赤(R)、緑(G)、青(B)の色を示せばよい。
【0064】
そして、このように穀粒乾燥機は、穀粒を貯留する貯留室10から流下する穀粒を加熱して再び貯留室10に貯留するものであるが、その加熱量の大小により、貯留した穀粒量の大小に関わらず略一定の乾燥速度を得ることができる。更に、このような穀粒乾燥機の加熱量の大小を変更する燃焼バーナ4に塵埃量検出手段95を設けて、塵埃量検出手段95により検出される塵埃量によって燃焼バーナ4の塵埃に対する安全対応制御を実施しても良い。
乾燥作業時、特に穀粒の穀粒乾燥機への投入時には塵埃が立つため、穀粒乾燥機の設置場所付近の空気は他の箇所に比べて塵埃量が過多状態になりやすい。そして、穀粒の乾燥初期には、塵埃量が過多状態の雰囲気下で炉体加熱手段42によって加熱運転をすることになり、燃焼バーナ4の内外で塵埃が接触することも考えられる。
【0065】
そこで、燃焼バーナ4周辺に塵埃量を検出する手段95(センサなど)を設け、塵埃量が多い場合などは安全性確保の観点から、燃焼バーナ4による加熱運転を中止し、通風乾燥を実行する。通風乾燥時間は穀物の種類や測定水分値に応じて設定すればよい。この通風乾燥処理中に夾雑物や塵埃が除去された場合、再度熱風乾燥を実施することで安全性の高い乾燥作業となる。
すなわち、通風乾燥を実行して所定時間後、塵埃量が低減した後に燃焼バーナ4による加熱運転を行う。更に、塵埃又はその加熱かすなどが燃焼バーナ4に付着することを防止でき、長期に亘って使用可能な燃焼バーナ4を搭載した穀粒乾燥機となる。
【0066】
図15には、図3とはバーナに送風するファンの位置が異なる燃焼バーナ4(回転式気化バーナ)とした場合の側面図を示す。また、図16には、図3に示す燃焼バーナ4を穀粒乾燥機内部に設置した場合の図(側面図)を示し、図17には、図16の筒状体123の拡大図(塵埃量検出手段95の詳細図)を示す。更に、図18には、塵埃量検出手段95の構成図を示し、図19には、図1の穀粒乾燥機に塵埃量検出手段95を設けた場合の液体燃料気化燃焼装置の燃焼制御ブロック図を示す。
【0067】
燃焼用空気は空気吸入口61(図3)から送風ファン62の作動により燃焼部51に供給されるが、図15に示す燃焼バーナ4では、更に風調ファンモータ103の駆動により風調ファン101によっても空気供給量が調整される。そして、液体燃料吸入管57(図3)から供給される液体燃料はカップモータ107により回転される気化筒115の内面へ移動するが、気化燃焼時には気化筒115は炎によって加熱されているため、液体燃料はオイル拡散体117の作用によって放射状に拡散して気化筒115の内面で気化し、風調ファン101から気化筒115内部へ送られる空気と混ざって混合気となる。図15には回転式気化バーナの例を示したが、ガンバーナでも良い。なお、図15に示す燃焼バーナ4は図3に示す燃焼バーナ4と燃焼部51は同じ構造である。この図15に示す燃焼バーナ4を穀粒乾燥機内部に設置しても良い。
【0068】
燃焼バーナ4や風調ファン101周辺の外気空気は外気通過室5(図16)内に入って矢印R方向に流れるが、燃焼バーナ4周辺の塵埃が外気空気と共に矢印R方向に流れて熱風室13に導入される。外気通過室5内に空気の流入方向(矢印R方向)に長手方向を有する筒状体123を設け、該筒状体123内に投光部96(発光ダイオードなど)と受光部97(フォトトランジスタ、RGBセンサなど)からなる塵埃量検出手段95を設置する。なお、投光部96と受光部97間の距離は一定にする。
【0069】
図17及び図18に示すように、投光部96からの光は筒状体123内の空気の流れ方向(矢印R方向)と略直角方向に進み、受光部97に到達する。受光部97の出力信号は増幅回路によって増幅されてA/D変換された後、電流値が測定されて、塵埃量に換算される。筒状体123内を矢印R方向に流れる空気中の塵埃量が塵埃量検出手段95によって検出されることで、塵埃量に応じた加熱制御が可能となる。なお、塵埃量検出手段95は、外気通過室5の内部に設けた例を示したが外気通過室5の外部やその近傍に設けても良い。
【0070】
図20には、塵埃量検出手段95による安全対応制御を行う場合のフローを示す。具体的には、塵埃量検出手段95により検出される塵埃量によって安全対応制御を行う場合のフローである。
穀粒の乾燥を開始すると、外気温度センサ46により外気温度が検出されて、更に穀物温度センサ130により乾燥室11内の穀物の温度が検出される。更に穀粒の貯留室10に張り込んだ張込量が張込量センサ131により検出されて、これら外気温度、穀物の温度、穀物の張込量などから乾燥温度が設定される。そして、燃料ポンプ59、燃料バルブ60、点火栓40などを作動して加熱運転を開始する。加熱運転が開始されると水分計9の水分計モータ9aが駆動して穀粒水分値が測定される。更に、塵埃量検出手段95によって塵埃量が検出される。
【0071】
そして、ステップPに進み、塵埃量検出手段95により検出された塵埃量が所定値Z1以上の場合は燃料ポンプ59、燃料バルブ60、点火栓40などの加熱手段による加熱運転を停止する。そして、表示部30には塵埃量が過多である旨の表示がされ、通風乾燥に移行する。更にステップUに進み、通風乾燥を既に実施している場合は穀粒乾燥機が停止し、通風乾燥を実施していない場合はロータリバルブ16のバルブモータ139を高速設定にして所定時間、通風乾燥を行って塵埃量が低減した後に乾燥開始のフローをリターンする。なお、この加熱手段は、前記した炉体加熱手段42とは異なるものである。すなわち、炉体加熱手段42は燃焼バーナ4の炉体を温めるものであるのに対し、この加熱手段は、燃焼バーナ4自体を指している。
【0072】
一方、ステップPにおいて、塵埃量検出手段95により検出された塵埃量が所定値Z1未満の場合はステップQに進み、該塵埃量が所定値Z2(Z1>Z2)以上であるか否かを判定する。塵埃量が所定値Z2未満の場合はそのまま次のステップに進むが、塵埃量が所定値Z1未満で所定値Z2以上の場合は乾燥温度を低減制御する。
すなわち、乾燥温度を、所定の乾燥速度を発揮するために設定した乾燥温度よりも相当量低い温度に変更する。乾燥温度を低い温度に変更することで、加熱手段の熱出力を低減し、塵埃の過熱防止を図る。そして、乾燥初期の塵埃の過多状態が消失して塵埃量検出手段95による塵埃量検出値が低減すれば、所定の乾燥速度を発揮すべく乾燥温度低減制御を解除することで効率的かつ安全性の高い乾燥作業となる。
【0073】
そして、次に水分計9の穀物水分センサ133により穀粒(単粒)の水分値を検出した後、水分計9を停止して、演算値を記憶装置Mに記憶、表示部30に表示後、所定時間経過したら、ステップTに進み、穀粒(単粒)の水分値の測定が設定された測定回数であるか否かを判定し、 設定測定回数でない場合は再び水分計9を駆動させ、設定測定回数に達している場合は平均値を演算し、ステップVに進む。
ステップVにおいて、穀粒の水分値が目標水分値であるか否かを判定し、目標水分値でない場合は休止時間を設け、休止時間経過後、乾燥開始のフローをリターンする。ステップVにおいて、穀粒の水分値が目標水分値である場合は加熱運転を停止し、所定時間経過後、穀粒乾燥機が停止する。
【0074】
なお、図19の制御部Eの入力側には、籾と玄米の切換スイッチ(穀粒の種類切換スイッチの一例である)134、穀粒の張込時に操作する張込スイッチ32と、燃焼バーナ4を駆動して乾燥作業を行なう乾燥運転スイッチ34と、乾燥作業終了後に穀粒乾燥機内の穀物を機外に排出する排出スイッチ35と、各種センサ(外気温度センサ46、張込量センサ131、熱風温度センサ47、穀物温度センサ130、穀物水分センサ133、塵埃量検出手段95)などを設けている。
また、制御部Eの出力側には、ロータリバルブ16のバルブモータ139、昇降機2の昇降機モータ140、排風ファン7の送風機(ファン)モータ43、水分計モータ9a、燃料ポンプ59、燃料バルブ60、点火栓40などが設けられている。
【0075】
なお、図21には、本発明の他の実施形態の液体燃料気化燃焼装置の燃焼バーナ4付近の側面図を示しているが、投光部96及び受光部97などからなる塵埃量検出手段95を燃焼用空気供給ダクト58内に設けても良い。特に塵埃量が比較的多いと思われる送風ファン62の近傍に設けることで、正確な塵埃量を検出できる。
【0076】
このように、塵埃量検出手段95は、穀粒乾燥機内の燃焼バーナ4内又は燃焼バーナ4外に設けても良いし、穀粒乾燥機の近傍に設けても良い。また、水分計9や制御部E(操作盤6)に設けても良い。更に、塵埃量検出手段95にはろ過手段を設けても良い。
また、塵埃量検出手段95により検出される塵埃量により水分計9の清掃モードを動作させる信号や燃焼バーナ4の清掃モードを動作させる信号を制御部Eにより出力しても良い。
【0077】
図22には、塵埃量検出手段95による安全対応制御を行う場合の別の例のフローを示す。具体的には、塵埃量検出手段95により検出される塵埃量によって除塵能力を増加制御する場合のフローである。
穀粒の乾燥を開始すると、外気温度センサ46により外気温度が検出されて、更に穀物温度センサ130により乾燥室11内の穀物の温度が検出される。更に穀粒の貯留室10に張り込んだ張込量が張込量センサ131により検出されて、これら外気温度、穀物の温度、穀物の張込量などから乾燥温度が設定される。そして、燃料ポンプ59、燃料バルブ60、点火栓40などを作動して加熱運転を開始する。加熱運転が開始されると水分計9の水分計モータ9aが駆動して穀粒水分値が測定される。更に、塵埃量検出手段95によって塵埃量が検出される。
【0078】
そして、ステップPに進み、塵埃量検出手段95により検出された塵埃量が所定値Z1以上の場合は燃料ポンプ59、燃料バルブ60、点火栓40などの加熱手段による加熱運転を停止する。そして、表示部30には塵埃量が過多である旨の表示がされ、通風乾燥に移行する。更にステップUに進み、通風乾燥を既に実施している場合は穀粒乾燥機が停止し、通風乾燥を実施していない場合はロータリバルブ16のバルブモータ139を高速設定にして所定時間、通風乾燥を行って塵埃量が低減した後に乾燥開始のフローをリターンする。
【0079】
一方、ステップPにおいて、塵埃量検出手段95により検出された塵埃量が所定値Z1未満の場合はステップQに進み、該塵埃量が所定値Z2(Z1>Z2)以上であるか否かを判定する。塵埃量が所定値Z2未満の場合はそのまま次のステップに進むが、塵埃量が所定値Z1未満で所定値Z2以上の場合は除塵能力を増加制御する。
【0080】
そして、次に水分計9の穀物水分センサ133により穀粒(単粒)の水分値を検出した後、水分計9を停止して、演算値を記憶装置Mに記憶、表示部30に表示後、所定時間経過したら、ステップTに進み、穀粒(単粒)の水分値の測定が設定された測定回数であるか否かを判定し、 設定測定回数でない場合は再び水分計9を駆動させ、設定測定回数に達している場合は平均値を演算し、ステップVに進む。
ステップVにおいて、穀粒の水分値が目標水分値であるか否かを判定し、目標水分値でない場合は休止時間を設け、休止時間経過後、乾燥開始のフローをリターンする。ステップVにおいて、穀粒の水分値が目標水分値である場合は加熱運転を停止し、所定時間経過後、穀粒乾燥機が停止する。
【0081】
図23には、図1の穀粒乾燥機に除塵装置を設けた場合の穀粒乾燥機の一部側面図を示す。また、図24には、図1の穀粒乾燥機に除塵装置を設けた場合の穀粒乾燥機の一部平面図を示し、図25には、除塵装置の構成図(正面図)を示す。更に、図26には、図2の穀粒乾燥機に除塵装置を設けた場合の燃焼制御ブロック図を示す。なお、図26は、図19の燃焼制御ブロック図に除塵装置のモータを追加した点で異なり、それ以外の構成は図19と同様であるので説明は省略する。
穀粒乾燥機の貯留室10上方の空間部又は上部ラセン3近傍に夾雑物の大きさや塵埃量に対応可能な除塵装置150を設ける。また、個別に動作可能であって、夾雑物の大きさや塵埃量に対応可能な除塵装置150を複数個設け、単独駆動又は連動駆動可能な構成としても良い。
【0082】
従来の穀粒乾燥機の除塵装置は、一般的に上部ラセン3の近傍にモータ駆動吸引ファンを1個設け、その吸引口を上部ラセン3のケーシング部160に連結して、上部ラセン3で攪拌される穀粒から、塵埃や夾雑物を吸引除去する構成であった。しかし、被乾燥穀粒の塵埃や夾雑物の状況によっては、吸引ファン近傍に設けた風量調節弁により調節しても、乾燥終了時に充分な除塵ができなかった。
そこで、個別に運転可能な除塵装置を複数個設け、主として比較的大きい夾雑物(籾の場合、しいな、カン切れ等)を除去するものと、主として比較的細かな塵埃(籾のしこう、小麦の頂毛や土埃等)を除去するものとを複数個設置して、状況に応じて対応することで、乾燥終了後の夾雑物や塵埃の少ない仕上げとなる。
【0083】
例えば、図23から図25に示すように、穀粒乾燥機に、上部ラセン3により搬送される穀粒に混じる藁屑等の夾雑物を除塵する除塵装置150(例えばファンなど)を、上部ラセン3のケーシング部160近傍に複数個設けると良い。除塵装置150は駆動モータ153により駆動され、上部ラセン3により搬送される塵埃、夾雑物などは除塵ダクト151から除塵装置150に吸入され、排出ダクト154から穀粒乾燥機の外部に排出される。除塵装置150の空気吸入量は除塵ダクト151の上部ラセン3側の側壁に設けた空気吸入量調節弁155により調整できる。
【0084】
図22のフローのステップQにおいて、塵埃量検出手段95により検出された塵埃量が所定値Z1未満で所定値Z2以上の場合は除塵能力を増加制御するが、その場合に除塵装置150を通常よりも高能力に運転制御し、乾燥初期の塵埃量の過多状態の雰囲気を早期に解消して、その後、塵埃量検出手段95による塵埃量が所定値Z2未満の通常状態になれば通常の除塵能力制御をすることで、省エネ運転に努める。
【0085】
また、除塵能力を増加制御する方法として、複数個の除塵装置150を連動運転するように制御部Eにより制御する。例えば、第1除塵装置150aと第2除塵装置150bの二つの除塵装置150を設けた場合は、第1除塵装置150aの第1駆動モータ153aと第2除塵装置150bの第2駆動モータ153bを両方駆動することで、乾燥初期の塵埃量の過多状態の雰囲気を早期に解消して、その後、塵埃量検出手段95による塵埃量が所定値Z2未満の通常状態になれば第1除塵装置150aの駆動モータ153a又は第2除塵装置150bの駆動モータ153bのみ駆動することで、省エネ運転に努める。
【0086】
また、二つの除塵装置150のうち、一方の第1除塵装置150aは空気吸入量を予め大夾雑物対応の調節弁155の開度にして、上部ラセン3内の風速が比較的高速になるように搬送速度を設定し、他方の第2除塵装置150bは空気吸入量を予め小夾雑物対応の調節弁155の開度にして、上部ラセン3内の風速が比較的低速になるように搬送速度を設定する。
【0087】
本構成により、大小の夾雑物に対して共に除塵することが可能となる。また、空気量調節の方法として、弁開度によらずに、吸引口の開口面積を変更する方法や、ファンの寸法、ファンの回転数の変更など種々の方法が可能である。
また、上記の例は、上部ラセン3のケーシング部160からの除塵であるが、小夾雑物の場合は貯留室10上部からの除塵でも可能である。また、上記の例は、2個の除塵装置150を用いる場合で説明したが、多種多様な穀粒に対応し、かつ除塵性能を遺憾なく発揮するには3個以上を用いることが望ましい。
【0088】
図27には、図23から図25に示す除塵装置150の運転タイムチャートの一例を示す。
乾燥工程の初期には、少なくとも、主として小夾雑物を除塵する第2除塵装置150bを不作動にすると良い。特に、被乾燥物の水分が高い乾燥初期には、比較的細かい塵埃(籾のしこう、小麦の頂毛や土埃等)は、穀粒表面に付着しており、また、穀粒が乾燥室11と貯留室10を循環することで穀粒の摩擦による離脱が進むまでは効率的な除塵はできない。したがって、小夾雑物を除塵する第2除塵装置150bを不作動とすることで省エネで効率的な除塵ができる。
【0089】
一方、乾燥工程の終期には、少なくとも、主として大夾雑物を除塵する第1除塵装置150aを不作動にすると良い。特に、被乾燥物の水分が低い乾燥終期には、比較的大きい夾雑物(籾の場合、しいな、カン切れ等)は、穀粒の水分低下とともに、水分が低下して軽量となっており、比較的大きい夾雑物の除塵能力を確保している、主として大夾雑物を除塵する第1除塵装置150aでは整粒の飛散の危険性が出てくる。
したがって、乾燥終期には、大夾雑物を除塵する第1除塵装置150aを不作動とすることで整粒の飛散を回避し、かつ省エネで効率的な除塵ができる。
【0090】
図27に示すように、乾燥運転スイッチ34を入り(オン)にすると、まず大夾雑物対応の第1除塵装置150aの第1駆動モータ153aが駆動する。第1駆動モータ153aが駆動して所定時間T1経過後、第2除塵装置150bの第2駆動モータ153bが駆動する。この所定時間T1は第2除塵装置150bの不作動時間となる。
そして、停止スイッチ36を入り(オン)にする直前の乾燥終期には、第1除塵装置150aの第1駆動モータ153aを第2除塵装置150bの第2駆動モータ153bよりも所定時間T2だけ先に停止させる。この所定時間T2が第1除塵装置150aの不作動時間となる。
本構成により、穀粒乾燥機の省エネで効率的な除塵が可能となる。
【0091】
また、乾燥工程中の水分計9による検出水分値に応じて、少なくとも、主として小夾雑物を除塵する第2除塵装置150bを不作動としても良い。
特に、被乾燥物の水分が高い乾燥初期には、比較的細かい塵埃は、穀粒表面に付着しており、また、穀粒が乾燥室11と貯留室10を循環することで穀粒の摩擦による離脱が進むまでは効率的な除塵はできない。したがって、小夾雑物を除塵する第2除塵装置150bを不作動とすることで省エネで効率的な除塵ができる。
【0092】
また、被乾燥物の水分が低い乾燥終期には、比較的大きい夾雑物は、穀粒の水分低下とともに、水分が低下して軽量となっており、比較的大きい夾雑物の除塵能力を確保している、主として大夾雑物を除塵する第1除塵装置150aでは整粒の飛散の危険性が出てくる。したがって、乾燥終期には、第1除塵装置150aを不作動とすることで整粒の飛散を回避し、かつ省エネで効率的な除塵ができる。
【0093】
表3には、各除塵装置150の不作動制御とする水分基準値を示し、表4には、全除塵装置150の不作動制御とする水分基準値を示す。
【表3】

【0094】
【表4】

【0095】
表3から、穀粒の種類に応じた水分基準値を設け、小夾雑物を除塵する第2除塵装置150bの不作動制御とする検出水分基準値W2を、大夾雑物を除塵する第1除塵装置150aの不作動制御とする検出水分基準値W1よりも高めに設定する。また、第2除塵装置150bの不作動制御は基準値W2以上となった場合に行い、第1除塵装置150aの不作動制御は基準値W1以下となった場合に行う。
このように、穀粒の種類に応じた検出水分基準値によって各除塵装置150を制御することで、穀粒乾燥機の更なる省エネ効果、効率的な除塵が可能となる。
【0096】
また、表4に示すように、籾の場合は検出水分値が30%以上及び15%以下、小麦の場合は検出水分値が28%以上及び13%以下、大麦の場合は検出水分値が30%以上及び13%以下では第1除塵装置150a、第2除塵装置150bなどの全除塵装置150を不作動制御とする。穀粒の水分値が比較的高い場合は穀粒表面に付着している塵埃が除去されにくく、また穀粒の水分値が比較的低い場合は、塵埃の軽量化により除去効率が落ちる。したがって、このようにある程度穀粒の水分値が高い又は低い場合には、除塵装置150を不作動制御とすることで、更に省エネで効率的な除塵が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明による液体燃料気化燃焼装置は、穀粒乾燥装置のみならず、液体燃料を用いる他の装置にも利用可能性がある。
【符号の説明】
【0098】
1 箱体 2 昇降機
3 上部ラセン 4 燃焼バーナ
5 外気通過室 6 操作盤
7 排風ファン 9 水分計
9a 水分計モータ 10 貯留室
11 乾燥室 12 拡散羽根
13 熱風室 14 流下通路
15 排風室 16 ロータリバルブ
17 下部ラセン 20 穀粒排出口
22 取り付けステー 30 表示部
32 張込スイッチ 33 通風スイッチ
34 乾燥運転スイッチ 35 排出スイッチ
37 緊急停止スイッチ 36 停止スイッチ
40 イグナイタ(点火栓)41 気化筒モータ
42 炉体加熱手段 43 ファンモータ
44 ファンモータ回転数検出手段
45 火災検出手段 46 外気温度検出手段
47 熱風温度検出手段 48 油温検出手段
50 液体燃料気化燃焼装置
51 燃焼部 53 燃料タンク
55 燃料フィルタ部 57 液体燃料吸入管
58 燃焼用空気供給ダクト
59 燃料ポンプ 60 燃料バルブ
61 空気吸入口 62 送風ファン
63 未濾過燃料入り口 65 フィルタエレメント
67 濾過燃料出口 69 上ケース
71 下ケース 73 遮光壁
75 反射板 77 投光手段(LED)
79 受光手段(RGBセンサ)
81 遮光ブロック 83 赤外線カットフィルタ
85 支持部材 87 フォトダイオード(検出手段)
89 フィルター部 91 温度検出手段
95 塵埃量検出手段 96 投光部
97 受光部 101 風調ファン
103 風調ファンモータ 107 カップモータ
113 駆動軸 115 気化筒
117 拡散体 119 燃焼盤
121 フレームロッド 123 筒状体
130 穀物温度センサ 131 張込量センサ
133 穀物水分センサ
134 籾と玄米の切換スイッチ(穀粒の種類切換)
139 バルブモータ 140 昇降機モータ
150 除塵装置 151 除塵ダクト
153 駆動モータ 154 排出ダクト
155 空気吸入量調節弁 160 ケーシング部
C 貯留部 E 制御部
F 燃料不適正対応機能 H 燃料変質判定機能
K 空間部 M 記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体燃料を燃焼するための燃焼部(51)と、該燃焼部(51)に液体燃料を供給する液体燃料供給手段(57,59)と、前記燃焼部(51)に燃焼用空気を供給する空気供給手段(58,61,62)と、液体燃料供給手段(57,59)による燃料供給量に応じた空気量が供給されるように前記空気供給手段(58,61,62)を調整して略一定の空燃比制御を行う制御装置(E)とを備えた液体燃料気化燃焼装置において、
前記液体燃料供給手段(57,59)により供給される燃料の色調を検出する供給燃料色調検出手段(75,77,79)を設け、
前記制御装置(E)は前記供給燃料色調検出手段(75,77,79)により検出された色調から燃料の適正度を判定する燃料変質判定機能(H)と、燃焼時または燃焼待機時に前記燃料変質判定機能(H)により不適正な液体燃料であると判定された場合に、該液体燃料に応じた燃焼部(51)の燃焼制御を行う燃料不適正対応機能(F)とを有することを特徴とする液体燃料気化燃焼装置。
【請求項2】
前記液体燃料供給手段(57,59)により燃焼部(51)に供給する供給燃料を濾過する濾過部(55)を設け、
前記供給燃料色調検出手段(75,77,79)を前記濾過部(55)に設けたことを特徴とする請求項1記載の液体燃料気化燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−12838(P2011−12838A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−154906(P2009−154906)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】