説明

液体状態接種用自動化量産システム

【課題】 液体状態で菌種を自動的に接種できる液体状態接種用自動化量産システムを提供する。
【解決手段】 収容空間11を有し、ファン用ろ過組2と、入り口111と出口112と、殺菌ランプ12とを備えるチェンバー1と、細菌培養瓶を輸送する輸送機構3と、レールと揺動台座とエヤシリンダーとを備え、輸送機構3により送入された細菌培養瓶の瓶キャップに対して開閉作業を実施するキャップ開閉機構と、液体状態の菌種を収容する容器61を有し、ポンプ62により容器61内の菌種を吸い上げてノズル63へ輸送し、エヤ駆動昇降台座64に取付けられたノズル63を細菌培養瓶内に挿入して菌種を注入する注射機構6と、ノズル63に対応する箇所にセンサーを備え、輸送機構3とキャップ開閉機構と注射機構6とを制御して、細菌培養瓶の輸送、瓶キャップの開閉、菌種の注入のプロセスを自動的に制御する電気制御組とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は真菌の接種システムに係り、特に液体状態で接種を自動的に実施できる液体状態接種用自動化量産システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
目下、生物農薬において、真菌がよく使用されるものの一つであり、真菌は百種類の害虫を退治できるが、真菌を生産する方法は固体状態接種と液体状態接種とがよく採用され、固体状態接種技術は自動化生産設備が既に開発されたが、液体状態接種技術は実験室での人工接種の段階に止まっている。しかしながら、液体状態接種は固体状態接種技術と比較すると、次のようなメリットがある。
(イ)液体状態の菌種の純度がより高く、液体状態の菌種で接種すれば、接種作業の効率は固体状態の菌種よりも4〜5倍に向上する。
(ロ)液体状態の菌種の芽生え速度は雑菌よりも速く、雑菌は成長できないので、雑菌汚染の問題を克服することができ、品質が向上する。
(ハ)液体状態の菌種の流動浸透能力がより良く、培養土の内部に滲入できるので、接種した後に多数の箇所で芽生えることができ、芽生え速度が向上する。
【0003】
液体状態接種技術としては、例えば特許文献1で開示されているキノコの液体状態菌種接種製造方法とその接種装置が提案された。これは、一定数量の培養土を充填した栽培瓶を収容し輸送する機構であり、液体状態の菌種接種位置で各栽培瓶に対応してノズルによる接種部が設けてあり、前記接種部は、チューブを介して液体状態菌種が貯蔵してある培養タンクと連通して前記液体状態菌種を培養土に散布するためのノズルを有し、前記ノズルには散布する液体状態菌種の数量を制御するためのエヤ駆動バルブおよびタイマーが設けてある。
【0004】
【特許文献1】台湾特許第490286号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、液体状態で菌種を自動的に接種できる液体状態接種用自動化量産システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る液体状態接種用自動化量産システムは、チェンバーと、輸送機構と、キャップ開閉機構と、注射機構と、電気制御組とを備え、前記チェンバーは、開閉可能であり、その内部には収容空間を有し、前記収容空間と連通する入り口および出口を有し、吸気口が設けられ、前記吸気口ではファン用ろ過組が設けられ、前記ファン用ろ過組により前記チェンバーに流入した空気が無塵になり、前記無塵空気が入り口と出口とから排出され、無汚染状態にするために、前記チェンバー内には殺菌ランプが設けられ、前記輸送機構は、細菌培養瓶を輸送するために前記チェンバーの入り口と出口とを貫通し、前記キャップ開閉機構は、前記チェンバーの収容空間内に設置され、輸送機構により送入された細菌培養瓶に対応するレールが設けられ、細菌培養瓶が前記レールに沿って前進し、前記レールが細菌培養瓶の瓶ネックの底縁に対応して設置され、細菌培養瓶はレールにより上への移動を制限され、前記レールの末段には細菌培養瓶に対応する揺動台座が設けられ、揺動台座において細菌培養瓶の瓶キャップの底縁の両側に対応する箇所では止め板が設けられ、細菌培養瓶の上方に対応して揺動台座にはエヤシリンダーが設けられ、前記エヤシリンダーには瓶キャップに対応する押し板が設けられ、前記エヤシリンダーが作動するときには、押し板と二つの止め板とが細菌培養瓶の瓶キャップを挟み、シリンダーにより前記揺動台座が上下に揺動するときに瓶キャップの開閉作業が実施され、前記注射機構は、液体状態の菌種を収容するための容器を有し、ポンプにより前記容器内の液体状態の菌種を吸い上げてノズルへ輸送し、前記注射機構は別にエヤ駆動昇降台座を有し、前記ノズルは前記エヤ駆動昇降台座に取付けられ、細菌培養瓶の瓶キャップが開けられた後、エヤ駆動昇降台座が降下し前記ノズルを細菌培養瓶内に挿入して液体状態の菌種を注入した後、前記注射機構が元の位置に戻り、前記電気制御組は、前記注射機構のノズルに対応する箇所にセンサーが設けられ、細菌培養瓶の瓶口がノズルに位置合わせされた後に信号を発生して前記電気制御組が前記輸送機構を停止し、前記キャップ開閉機構により瓶キャップが開けられて、前記注射機構により液体状態の菌種が注入され、前記キャップ開閉機構により瓶キャップを閉鎖した後、前記輸送機構を起動させる、という順序で自動的に上記プロセスを制御する。
本発明に係る液体状態接種用自動化量産システムによれば、液体状態で菌種を自動的に接種することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
まず、図1から図7を参照する。もちろん、上記図面に示す実施例の構造は、本発明を説明するためのものであり、発明請求範囲を限定するためのものではない。
本発明に係る液体状態接種用自動化量産システムは、チェンバー1と、輸送機構3と、キャップ開閉機構5と、注射機構6と、電気制御組とから構成されたものである。
【0008】
前記チェンバー1は、開閉可能であり、その内部には収容空間11を有し、前記収容空間11と連通する入り口111および出口112を有し、吸気口113が設けてあり、前記吸気口113ではファン用ろ過組2が設けてあり、前記ファン用ろ過組2は、二つのファン組21と、一つの高効率微細粒子ろ過材22とを有し、これにより、前記チェンバー1に流入した空気が無塵になり、前記無塵空気が入り口111と出口112とから排出され、無汚染状態にするために、前記チェンバー1内には殺菌ランプ12が設けてある。
前記輸送機構3は、細菌培養瓶4を輸送するために前記チェンバー1の入り口111と出口112とを貫通する。
【0009】
前記キャップ開閉機構5は、前記チェンバー1の収容空間11内に設置され、輸送機構3により送入された細菌培養瓶4の瓶キャップ41に対して開閉作業を実施し、輸送機構3により送入された細菌培養瓶4に対応するレール51が設けられる。本実施例では、細菌培養瓶4がレール51に沿って前進するために、四つのレール51が互いに平行に並んでおり、前記レール51が細菌培養瓶4の瓶ネック42の底縁421に対応して設置され、細菌培養瓶4がレール51に制限されて上へ移動できなくなっている。前記レール51の末段には細菌培養瓶4に対応する揺動台座52が設けられ、揺動台座52において細菌培養瓶4の瓶キャップ41の底縁の両側に対応する箇所では止め板521が設けられ、細菌培養瓶4の上方に対応して揺動台座52にはエヤシリンダー53が設けられ、前記エヤシリンダー53には瓶キャップ41に対応する押し板531が設けられる。前記エヤシリンダー53が作動するときには、押し板531と二つの止め板521とが細菌培養瓶4の瓶キャップ41を挟み、シリンダー54により前記揺動台座52が上下に揺動するときに瓶キャップの開閉作業が実施される。
【0010】
前記注射機構6は、液体状態の菌種を収容するための二つの容器61を有し、ポンプ62により前記容器61内の液体状態の菌種を吸い上げてノズル63へ輸送する。前記注射機構6は別にエヤ駆動昇降台座64を有し、前記ノズルおよびポンプ62が前記エヤ駆動昇降台座64に取付けられ、細菌培養瓶4の瓶キャップ41が開けられた後、エヤ駆動昇降台座64が降下し前記ノズル63を細菌培養瓶4内に挿入して液体状態の菌種を注入した後、前記注射機構6は元の位置に戻る。
【0011】
前記注射機構6は更にコンプレッサー65を含み、前記コンプレッサー65の出力チューブ651には、フィルタ652と、圧力レギュレータ(図示せず)とが設けられ、前記フィルタ652はエヤ中にあるホコリおよび細菌を取り除くための空気ろ過フィルムであり、無塵無菌の空気は、前記容器61内に注入され、且つポンプ62の動力源として使用され、前記圧力レギュレータは、前記電気制御組により制御され、液体状態の菌種の注入量を調節するためのものである。
【0012】
前記電気制御組は、前記注射機構6のノズル63に対応する箇所でセンサー71が設けられ(電気制御組は電気回路であるので、全体を表示せず、センサーだけを表示し)、細菌培養瓶4の瓶口がノズル63に位置合わせされた後に信号を発生して前記電気制御組が前記輸送機構3を停止して、前記キャップ開閉機構5により瓶キャップ41が開けられて、前記注射機構6により液体状態の菌種が注入されて、前記キャップ開閉機構5により瓶キャップ41が閉鎖された後、前記輸送機構3を起動させる、という順序で自動的に上記プロセスを制御する。
【0013】
本発明の一実施例に係る液体状態接種用自動化量産システムは、作業する前に液体状態の菌種を調製して、液体状態の菌種を注射機構6の容器61内に注入することが必要である。液体状態の菌種の準備作業が完成した後、前記輸送機構3により細菌培養瓶4をチェンバー1の入り口11を経由して収容空間11内に送入し、細菌培養瓶4が送入されたときには、図4に示すように、細菌培養瓶4はキャップ開閉機構5のレール51に沿って前進する。
【0014】
前記チェンバー1の頂部の吸気口113ではファン用ろ過組2が設けられ、前記ファン用ろ過組2により無塵空気がチェンバー1の収容空間11内に送入され、無塵空気が入り口111と出口112とを経由して排出される。これにより、チェンバー1の収容空間11内に外部の空気が進入できないので、液体状態の菌種が汚染される可能性は降下する。
【0015】
電気制御組のセンサー71は、細菌培養瓶4の瓶口がノズル63に位置合わせされたと感知した後に、前記輸送機構3を停止する。このとき、細菌培養瓶4の瓶ネック42の底縁421はレール51に当接し、細菌培養瓶4の瓶キャップ41の底縁はキャップ開閉機構5の止め板521に当接する。電気制御組はエヤシリンダー53を作動させて、図5に示すように、押し板531と二つの止め板521とにより細菌培養瓶4の瓶キャップ41を挟み、前記電気制御組はシリンダー54を駆動し、前記シリンダー54により揺動台座52を上へ揺動し、これにより、図6に示すように、瓶キャップ41が開けられ、細菌培養瓶4はレール51に制限され元の位置に止まる。図7に示すように、前記電気制御組は注射機構6のエヤ駆動昇降台座64を降下することにより、ノズル63を細菌培養瓶4内に挿入して液体状態の菌種を注入する。前記電気制御組は圧力レギュレータを制御することにより液体状態の菌種の注入数量は制御可能である。
【0016】
液体状態の菌種の注入が完成した後、前記電気制御組は注射機構6にあるエヤ駆動昇降台座64を元位置に戻して、キャップ開閉機構5により瓶キャップ41を閉鎖して、前記輸送機構3により細菌培養瓶4を前進させると、自動化接種作業が完成する。このとき、次回の液体状態での接種作業を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施例に係る液体状態接種用自動化量産システムの概略図である。
【図2】本発明の一実施例に係る液体状態接種用自動化量産システムの配置を示す概略図である。
【図3】本発明の一実施例に係るキャップ開閉機構の構造を示す概略図である。
【図4】本発明の一実施例に係るキャップ開閉機構の構造を示す概略図である。
【図5】本発明の一実施例に係る液体状態接種用自動化量産システムにより自動化接種を実施する動作を示す概略図である。
【図6】本発明の一実施例に係る液体状態接種用自動化量産システムにより自動化接種を実施する動作を示す概略図である。
【図7】本発明の一実施例に係る液体状態接種用自動化量産システムにより自動化接種を実施する動作を示す概略図である。
【符号の説明】
【0018】
1 チェンバー、11 収容空間、111 入り口、112 出口、113 吸気口、12 殺菌ランプ、2 ファン用ろ過組、21 ファン組、22 高効率微細粒子ろ過材、3 輸送機構、4 細菌培養瓶、41 瓶キャップ、42 瓶ネック、421 底縁、5 キャップ開閉機構、51 レール、52 揺動台座、521 止め板、53 エヤシリンダー、531 押し板、54 シリンダー、6 注射機構、61 容器、62 ポンプ、63 ノズル、64 エヤ駆動昇降台座、65 コンプレッサー、651 出力チューブ、652 フィルタ、71 センサー、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェンバーと、輸送機構と、キャップ開閉機構と、注射機構と、電気制御組とを備え、
前記チェンバーは、開閉可能であり、その内部には収容空間を有し、前記収容空間と連通する入り口および出口を有し、吸気口が設けられ、前記吸気口ではファン用ろ過組が設けられ、前記ファン用ろ過組により前記チェンバーに流入した空気が無塵になり、前記無塵空気が入り口と出口とから排出され、無汚染状態にするために、前記チェンバー内には殺菌ランプが設けられ、
前記輸送機構は、細菌培養瓶を輸送するために前記チェンバーの入り口と出口とを貫通し、
前記キャップ開閉機構は、前記チェンバーの収容空間内に設置され、輸送機構により送入された細菌培養瓶に対応するレールが設けられ、細菌培養瓶が前記レールに沿って前進し、前記レールが細菌培養瓶の瓶ネックの底縁に対応して設置され、細菌培養瓶はレールにより上への移動を制限され、前記レールの末段には細菌培養瓶に対応する揺動台座が設けられ、揺動台座において細菌培養瓶の瓶キャップの底縁の両側に対応する箇所では止め板が設けられ、細菌培養瓶の上方に対応して揺動台座にはエヤシリンダーが設けられ、前記エヤシリンダーには瓶キャップに対応する押し板が設けられ、前記エヤシリンダーが作動するときには、押し板と二つの止め板とが細菌培養瓶の瓶キャップを挟み、シリンダーにより前記揺動台座が上下に揺動するときに瓶キャップの開閉作業が実施され、
前記注射機構は、液体状態の菌種を収容するための容器を有し、ポンプにより前記容器内の液体状態の菌種を吸い上げてノズルへ輸送し、前記注射機構は別にエヤ駆動昇降台座を有し、前記ノズルは前記エヤ駆動昇降台座に取付けられ、細菌培養瓶の瓶キャップが開けられた後、エヤ駆動昇降台座が降下し前記ノズルを細菌培養瓶内に挿入して液体状態の菌種を注入した後、前記注射機構が元の位置に戻り、
前記電気制御組は、前記注射機構のノズルに対応する箇所にセンサーが設けられ、細菌培養瓶の瓶口がノズルに位置合わせされた後に信号を発生して前記電気制御組が前記輸送機構を停止し、前記キャップ開閉機構により瓶キャップが開けられて、前記注射機構により液体状態の菌種が注入されて、前記キャップ開閉機構により瓶キャップを閉鎖した後、前記輸送機構を起動させる、という順序で自動的に上記プロセスを制御することを特徴とする液体状態接種用自動化量産システム。
【請求項2】
前記ファン用ろ過組は、二つのファン組と、高効率微細粒子ろ過材とを有することを特徴とする請求項1に記載の液体状態接種用自動化量産システム。
【請求項3】
前記注射機構は更にコンプレッサーを含み、前記コンプレッサーの出力チューブには、フィルタと、圧力レギュレータとが設けてあり、前記フィルタはエヤ中にあるホコリおよび細菌を取り除くためのものであり、無塵無菌の空気は、前記容器内に注入され、且つポンプの動力源として使用されることを特徴とする請求項1に記載の液体状態接種用自動化量産システム。
【請求項4】
前記注射機構のフィルタは空気ろ過フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の液体状態接種用自動化量産システム。
【請求項5】
前記圧力レギュレータは、前記電気制御組により制御され、液体状態の菌種の注入量を調節するためのものであることを特徴とする請求項3に記載の液体状態接種用自動化量産システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−204136(P2006−204136A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−18465(P2005−18465)
【出願日】平成17年1月26日(2005.1.26)
【出願人】(503326052)行政院農業委員會農業薬物毒物試驗所 (1)
【Fターム(参考)】