液体用濃度測定装置
【課題】 液体の濃度を測定するにあたり、検知電極の間に生じるリーク抵抗の影響を排除可能な液体用濃度測定装置を提供する。
【解決手段】 第1発振部20および第2発振部25を備える構成とし、2つの異なるデューティ比d1、d2のパルス波でスイッチsw1、sw2を切り換える。一方のスイッチsw1がオンとなり他方のスイッチsw2がオフとなった場合、オペアンプ43は、非反転入力端子および反転入力端子の電位を同じにするように動作し、検知電極41は充電される。反対に、一方のスイッチsw1がオフとなり他方のスイッチsw2がオンとなった場合、検知電極41のプラス側が接地されるため、充電されていた検知電極41は、放電する。このような充放電によって得られるオペアンプ43の出力電圧V(d1)、V(d2)に基づく差を取る。
【解決手段】 第1発振部20および第2発振部25を備える構成とし、2つの異なるデューティ比d1、d2のパルス波でスイッチsw1、sw2を切り換える。一方のスイッチsw1がオンとなり他方のスイッチsw2がオフとなった場合、オペアンプ43は、非反転入力端子および反転入力端子の電位を同じにするように動作し、検知電極41は充電される。反対に、一方のスイッチsw1がオフとなり他方のスイッチsw2がオンとなった場合、検知電極41のプラス側が接地されるため、充電されていた検知電極41は、放電する。このような充放電によって得られるオペアンプ43の出力電圧V(d1)、V(d2)に基づく差を取る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール濃度などを測定する液体用濃度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の燃料として、低公害なアルコール混合ガソリンが注目されている。このアルコール混合ガソリンが最適な空燃比となるように制御するため、混合ガソリン中のアルコールの含有量、すなわちアルコール濃度を測定することが重要となってくる。
【0003】
このようなアルコール濃度を精度よく測定するためには、変化比率の比較的高い物理定数を用いることが望ましい。そのため、従来、比誘電率の変化を検出する方法が開示されている。例えば、比誘電率は静電容量の変化から求められるため、一対の電極を対向配置して静電容量を測定する液体用濃度計が提案されている(例えば、特許文献1参照)。ここに開示される液体用濃度計は、制御回路により一定周期で切り換えられる切換スイッチを介して濃度センサの充放電を繰り返し、測定対象となる流体の濃度に比例した出力電圧を得るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−3313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一対の電極を対向配置して静電容量を求める場合、不純物が多いと、すなわちガソリンが粗悪であると、当該電極間の抵抗(以下「リーク抵抗」という)が比較的小さくなってしまうという問題がある。すなわち、不純物の含まれないガソリンであれば絶縁状態(リーク抵抗が無限大)となって電極間の導電率はほぼ「0」となるのであるが、不純物が多くなると、導電率が比較的大きくなってしまう。
【0006】
そのため、精度よくアルコール濃度を測定するためには、リーク抵抗の影響を排除する測定装置が必要になってくる。この点、上記特許文献1に記載の液体用濃度計では、リーク抵抗の影響を受けてしまい、アルコール濃度を精度よく測定することが困難となるおそれがある。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、液体の濃度を測定するにあたり、検知電極の間に生じるリーク抵抗の影響を排除可能な液体用濃度測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明では、スイッチ手段にて、検知電極の充電および放電を切り換える。このスイッチ手段は、動作信号出力手段により、所定周期で切り換えられる。このスイッチ手段の動作に応じて、検知電極を充電するための電圧が発生する。これにより、検知電極は、所定周期で充放電を繰り返すことになる。このとき、測定値出力手段によって、検知電極の静電容量に応じた電圧が測定値として出力される。
【0009】
ここで特に、本発明では、第1のデューティ比でスイッチ手段を切り換えるための第1デューティ比の動作信号、および、第2のデューティ比でスイッチ手段を切り換えるための第2デューティ比の動作信号を出力するようにした。そして、測定値出力手段によって第1デューティ比による第1測定値および第2デューティ比による第2測定値が出力されると、演算手段によって、第1測定値に第2デューティ比を乗じたものと、第2測定値に第1デューティ比を乗じたものとの差分が演算される。
【0010】
リーク抵抗をRpとした場合、測定値としての電圧の計算式には、(1/Rp)を含む定数項が表れる。そのため、リーク抵抗Rpが小さくなると、その影響が比較的大きくなって、測定値がばらつくことになる。
【0011】
これに対し、本発明では、第1デューティ比による第1測定値および第2デューティ比による第2測定値を出力する。第1デューティ比をd1とし、第2デューティ比をd2とすると、第1測定値にはd1(1/Rp)の項が含まれ、第2測定値にはd2(1/Rp)の項が含まれる。そこで本発明では、第1測定値に第2デューティ比(d2)を乗じたものと、第2測定値に第1デューティ比(d1)を乗じたものとの差分をとる。これにより、(1/Rp)を含む定数項を消去することができ、リーク抵抗の影響を排除することができる。
【0012】
請求項2では、基準電圧生成手段が基準電圧を生成する。この基準電圧に対し、第1測定値および第2測定値が、AC結合手段によって、AC結合される。AC結合自体は、交流結合とも呼ばれ、当業者にとっては周知の技術である。また、基準電圧に対してAC結合された第1測定値および第2測定値が、増幅手段によって、増幅される。このようにすれば、測定値の変動が基準電圧を中心とするものとなり、測定可能範囲での測定値の増幅に寄与する。
【0013】
ところで、AC結合手段は、コンデンサと抵抗器とを用いて構成されるのが一般的である。このとき、コンデンサの電荷量が調整されると、測定値の変動が基準電圧を中心とするものとなる。しかしながら、AC結合手段を構成する抵抗器の抵抗値の大きさによっては電荷のチャージに要する時間が長くなり、測定値の変動が基準電圧を中心とするものとなるまでに、数秒から数十秒かかる場合がある。
【0014】
そこで、請求項3に示すように、AC結合手段を構成するコンデンサの電荷量の調整に要する時間を切替可能な電荷量調整時間切替手段を備えていることが好ましい。具体的には、AC結合手段の抵抗器と並列に、スイッチング素子および抵抗値の小さな抵抗器を配置することが考えられる。なお、スイッチング素子のオン/オフは例えばマイコンにて制御することが例示される。この意味で「電荷量調整時間切替手段」には、マイコン等の制御部が含まれることとしてもよい。ここで、スイッチング素子をオンとすれば、抵抗値の小さな抵抗器を介し、コンデンサへの短時間のチャージ(電荷量調整)が可能となる。その結果、測定値の変動が即座に基準電圧を中心とするものとなる。実際、抵抗器の選択などにもよるが、100ms以下の期間(例えば10ms、20msの期間)で、測定値を基準電圧中心のものにすることができる。
【0015】
このとき、請求項4に示すように、定期的に、コンデンサの電荷量の調整に要する時間を切り替えることが例示される。上述したように本発明では、第1測定値および第2測定値に基づく差分を取ることを特徴にしている。ここで、第1デューティ比の動作信号が出力された時点から、第2デューティ比の動作信号が出力され、再び第1デューティ比の動作信号が出力される時点までを、1サイクルとする。この場合、例えば4サイクルの期間に得られる第1および第2測定値の平均を用いて差分を取ることが考えられる。とすると、「定期的に」を、ここでいう4サイクル毎に、とすることが考えられる。また、1サイクル毎に、としてもよい。あるいは、第1および第2動作信号の切り換えタイミング毎に(0.5サイクル毎に)、としてもよい。このようにすれば、タンクの形状等から途中で燃料中の導電率が変化するという事態が起きたとしても、適切に濃度を測定することができる。
【0016】
また、エンジン始動時には、なるべく早い段階で、燃料中のアルコール濃度を知りたいという要望がある。エンジン始動時の空燃比等を適切に制御するためである。そこで、請求項5に示すように、エンジン始動前のイグニッションスイッチがオンされた時に、コンデンサの電荷量の調整に要する時間を切り替えることが例示される。このようにすれば、エンジン始動後の早い段階で(例えば始動から10ms、20msのうちに)、測定を開始することができる。
【0017】
ところで、測定値の変動が基準電圧を中心とするものになるまでは、測定値が測定可能範囲を越えてしまう虞がある。そこで、請求項6に示すように、動作信号出力手段が、上述の電荷量調整時間切替手段によって切り替えられる調整期間に合わせて、第1デューティ比および第2デューティ比の中間のデューティ比である第3デューティ比の動作信号を出力するようにしてもよい。第1デューティ比および第2デューティ比では、所定電圧を基準として上下に測定値が現れるため、中間のデューティ比である第3デューティ比を用いれば、測定値の変動をほぼ「0」とすることができる。このようにすれば、測定値が測定可能範囲を越えることにより、フェイルセーフの異常信号が出力されることもない。
【0018】
請求項7では、測定値出力手段が第1測定値および第2測定値を平滑化する平滑化手段を有している。このようにすれば、出力電圧がなまされるため、その後の測定値の処理が比較的簡単になる。
【0019】
ところで、上述したように第1測定値および第2測定値に基づく差分をとることによりリーク抵抗の影響を排除することができるが、各測定値自体は、リーク抵抗の影響があると、比較的大きくなってしまう。測定値としての電圧の計算式には、(1/Rp)を含む定数項が表れるためである。したがって、リーク抵抗の影響が大きくなると、測定可能範囲を越えてしまい、測定不可となってしまうことが懸念される。
【0020】
この点、請求項8によれば、検知電極のプラス側端子にカップリングコンデンサが接続されているため、検知電極に流れるリーク電流をより小さくすることが可能となる。これによって、各測定値に現れるリーク抵抗の影響をより小さくすることができる。その結果、測定可能範囲を越えてしまうことが抑制され、測定不可となってしまう事態を回避できる可能性が高くなる。また、カップリングコンデンサを接続することによって、検知電極の両方の電極に交互に電荷が溜まるため、電食(検知電極の電気分解)の抑制に寄与する。
【0021】
請求項9によれば、検知電極のマイナス側端子が直接接地されているため、静電気による影響を受けにくくなるという点で有利である。例えば、スイッチ手段を構成するスイッチが静電気によって損傷を受けることを抑制できる。また例えば、電磁波によってスイッチが誤作動したりすることを抑制できる。さらに、このようにすれば、スイッチ手段の構成が比較的簡単になる。
【0022】
請求項10では、測定値出力手段は、クロール型にて回路構成されている。「クロール型」は、スイッチドキャパシタ回路におけるスイッチ切替方式の一つである。このようにすれば、スイッチ手段の構成が若干複雑になるものの、第1測定値および第2測定値を相対的に小さくすることができる。その結果、測定可能範囲を比較的大きくすることができる。
【0023】
請求項11では、第1デューティ比の動作信号と第2デューティ比の動作信号とが、所定期間ごとに切り換えられて出力される。例えば、出力電圧の収束期間を見越して、あるいは、出力電圧の収束を検知して、動作信号を切り換えるという具合である。このようにすれば、並行して2つのデューティ比で動作する回路と比べ、回路構成が簡単になるという点で有利である。
【0024】
請求項12では、マイクロコンピュータの機能として、動作信号出力手段が実現されている。このようにすれば、発振回路を備える構成と比べ、回路構成が簡単になるという点で有利である。
【0025】
請求項13では導電率計測手段によって、第1測定値および第2測定値のうち少なくとも一方に基づき、検知電極の導電率が計測され、その導電率とあらかじめ設定されるスイッチオン抵抗とにより、測定結果が補正される。このようにすれば、リーク抵抗が極端に小さくなっている場合であっても、測定の精度を向上させることができる。
【0026】
請求項14では、スイッチオン抵抗測定手段が、スイッチ手段の動作時に発生するスイッチオン抵抗を測定する。そして、測定されるスイッチオン抵抗に基づき、測定結果を補正する。このようにすれば、リーク抵抗のバラツキ、温度特性があっても、測定の精度をさらに向上させることができる。
【0027】
請求項15では、導電率計測手段によって、第1測定値および第2測定値のうち少なくとも一方に基づき、検知電極の導電率が計測される。また、異常信号出力手段によって、計測された導電率が所定の閾値を上回ると、異常信号が出力される。このようにすれば、フェイルセーフを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態のアルコール濃度センサの構成を示す回路図である。
【図2】アルコール濃度センサの基本動作を説明するための回路図である。
【図3】検知電極およびリーク抵抗に発生する電流を示す説明図である。
【図4】出力電圧に基づく差分を示す説明図である。
【図5】カップリングコンデンサを設けた場合の基本構成を示す回路図である。
【図6】カップリングコンデンサを設けた場合の検知電極およびリーク抵抗に発生する電流を示す回路図である。
【図7】カップリングコンデンサを設けた場合の出力電圧に基づく差分を示す説明図である。
【図8】第2実施形態のアルコール濃度センサの構成を示す回路図である。
【図9】第3実施形態のアルコール濃度センサの構成を示す回路図である。
【図10】第4実施形態のアルコール濃度センサの構成を示す回路図である。
【図11】スイッチオン抵抗を考慮する場合の基本構成を示す回路図である。
【図12】第5実施形態のアルコール濃度センサの構成を示す回路図である。
【図13】測定値の変動の中心となる中心電圧の推移を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本形態のアルコール濃度センサ1の回路構成を示す回路図である。
本形態のアルコール濃度センサ1は、エタノールの濃度を測定するセンサであり、具体的には車両に搭載されて使用される。アルコール濃度センサ1は、図1中の左端に示すバッテリ10を電源電圧Vcc(本形態では5V)とし、図1中の右端に示す端子11に測定結果を出力する。電源電圧Vccは、図1中左上の定電圧IC(三端子レギュレータ)12によって安定的に供給される。
【0030】
アルコール濃度センサ1は、第1発振部20と、第2発振部25と、検知部40と、基準電圧生成部50と、AC結合部60と、増幅部70と、マイコン80とを備えている。
第1発振部20は、判定動作にヒステリシスを設けたシュミットトリガ21、シュミットトリガ21に並列に接続された抵抗器22、および、シュミットトリガ21の入力側と接地電位との間に接続されたコンデンサ23で構成されている。かかる構成により、第1発振部20は、デューティ比d1のパルス波(動作クロック)を出力する。同様に、第2発振部25は、シュミットトリガ26、抵抗器27、および、コンデンサ28で構成されている。かかる構成により、第2発振部25は、デューティ比d2のパルス波(動作クロック)を出力する。なお、本形態では、シュミットトリガ21、26を採用して回路構成しているが、同様の出力を得られるのであれば他の構成を採用してもよい。
【0031】
ここで、第1発振部20および第2発振部25からの出力端子はそれぞれ、デューティ切換スイッチ31、32に接続されている。これら2つのデューティ切換スイッチ31、32は、交互にオンとなるように、マイコン80によって制御される。つまり、これらデューティ切換スイッチ31、32がマイコン80によって制御されることにより、後述する回路がデューティ比d1またはデューティ比d2のパルス波で動作することになる。
【0032】
第1発振部20および第2発振部25からのパルス波は、2つのスイッチsw1およびスイッチsw2を切り換える。ここで一方のスイッチsw1とデューティ切換スイッチ31、32との間には、インバータ33が接続されている。かかる構成により、デューティ切換スイッチ31がオンの状態では、第1発振部20によって出力されるデューティ比d1のパルス波によって、スイッチsw1、sw2が互い違いにオン/オフを繰り返すことになる。同様に、デューティ切換スイッチ32がオンの状態では、第2発振部25によって出力されるデューティ比d2のパルス波によって、スイッチsw1、sw2が互い違いにオン/オフを繰り返すことになる。
【0033】
検知部40は、検知電極41を備えている。この検知電極41が車両の燃料経路に設置される。検知電極41は、対向して配置されることでいわゆるコンデンサを構成している。本形態では、検知電極41の静電容量を測定することにより、エタノール濃度を測定する。このとき、測定を阻害する要因として、リーク抵抗Rpが存在する。すなわち、検知部40に示す抵抗Rpは、不純物の混入によって変わってくるものである。このリーク抵抗Rpは、検知電極41と並列に接続されるものとして考えることができる。本形態の特徴の一つは、このリーク抵抗Rpの影響を受けることなくエタノール濃度を測定可能な点にある。
【0034】
検知電極41のプラス側端子は、カップリングコンデンサ42およびスイッチsw1を順に経由してオペアンプ(演算増幅器)43の反転入力端子に接続されている。また、オペアンプ43の出力端子と反転入力端子との間には、コンデンサ44とゲイン抵抗Rgとが並列に接続されている。さらにまた、電源電圧Vccと接地電位との間には抵抗器45、46が順次接続されており、抵抗器45、46同士の接続点がオペアンプ43の非反転入力端子に接続されている。また、検知電極41のプラス側端子はスイッチsw2を経由して接地されており、マイナス側端子は直接接地されている。
【0035】
オペアンプ43の出力端子は、抵抗器47を経由してオペアンプ48の非反転入力端子に接続されている。また、この非反転入力端子は、コンデンサ49を経由して接地されている。かかる構成により、オペアンプ43の出力電圧は、平滑化された出力電圧Vaとしてオペアンプ48の非反転入力端子へ入力されることになる。オペアンプ48の出力端子と反転入力端子とは、共通接続されている。オペアンプ48の出力は、AC結合部60への入力となっている。
【0036】
基準電圧生成部50は、基準電圧Vrを生成するものであり、抵抗器51、52、53と、オペアンプ54とから構成されている。
抵抗器51、52は、電源電圧Vcc(本形態では5V)と接地電位(=0V)との間に順次接続されて、電源電圧Vccを分圧することにより基準電圧Vr(本形態では2.5V)を生成する。この抵抗器51、52同士の接続点には、オペアンプ54の非反転入力端子が接続されている。オペアンプ54の反転入力端子と出力端子とは共通接続されており、出力端子は、抵抗器53を介して接地されている。かかる構成により、オペアンプ54は、上記基準電圧Vrを出力するバッファとして機能する。
【0037】
AC結合部60は、カップリングコンデンサ61および抵抗器62によって、AC結合を構成している。オペアンプ48の出力端子は、コンデンサ61を経由してオペアンプ71の非反転入力端子に接続されている。また、コンデンサ61とオペアンプ71の非反転入力端子との接続点が抵抗器62を経由して、上記オペアンプ54の出力端子に接続されている。
【0038】
増幅部70は、オペアンプ71および抵抗器72、73から構成されている。オペアンプ71の出力端子は、抵抗器72を経由して反転入力端子に接続されている。また、反転入力端子には、抵抗器73を経由して、上記オペアンプ54の出力端子が接続されている。かかる構成により、増幅部70は、基準電圧Vrを基準として電圧Vbを増幅し、電圧Vcをマイコン80へ出力する。
【0039】
マイコン80は、その端子VCCに、電源電圧Vccが接続されている。マイコン80の端子A/D2には、増幅部70からの出力電圧Vcが入力される。マイコン80は、この出力電圧VcをAD変換するとともに所定の差分演算を行って、端子11に出力する。この端子11は、図示しないECUに接続される。マイコン80の端子AD1には、オペアンプ48の出力端子が接続されており、出力電圧の異常を検知可能となっている。例えば、1つのデューティ比(たとえばデューティ比d1)で回路を動作させ、測定可能範囲を上回る電圧が検知された場合に警告処理を行うことが例示される。この意味で、マイコン80が「導電率計測手段」及び「異常信号出力手段」を構成する。
【0040】
次に、アルコール濃度センサ1の基本部分の動作を説明する。
第1発振部20および第2発振部25からのパルス波(動作クロック)によって、スイッチsw1、sw2が互い違いにオン/オフを繰り返すことは既に述べた(図1参照)。ここでは、最初に図2に基づき、デューティ比dのパルス波が入力されてスイッチsw1、sw2がオン/オフされる場合の電流の流れを説明する。また、この電流の変化を、図3に基づき説明する。なお、図2は、図1の回路の一部を示すものである。
【0041】
パルス波がlowレベルの場合、図2(a)に示すように、一方のスイッチsw1がオンとなり、他方のスイッチsw2がオフとなる。この場合、オペアンプ43は、非反転入力端子および反転入力端子の電位を同じにするように動作し、結果的に、電源電圧Eによって、ゲイン抵抗Rgに電流が発生する。ここでは、検知電極41に発生する電流をi1とし、リーク抵抗Rpに発生する電流をi2として示した。
【0042】
このときは、図3中に期間T1、T3で示すごとく、検知電極41に発生する電流i1は、最初に立ち上がり、検知電極41が充電されると「0」になる。一方、検知電極41と並列に接続されたものとされるリーク抵抗Rpに発生する電流i2は一定値となる。なお、厳密には、電流i1、i2が同時に立ち上がることはないが(電流i2の立ち上がりが遅れるが)、ここでは便宜上、電流i2を一定値として説明している。
【0043】
パルス波がhighレベルの場合、図2(b)に示すように、一方のスイッチsw1がオフとなり、他方のスイッチsw2がオンとなる。この場合、検知電極41のプラス側が接地されるため、充電されていた検知電極41は、放電する。そのため、検知電極41には、パルス波がlowレベルの場合と反対方向の電流i1が発生する。
【0044】
このときは、図3中に期間T2、T4で示すごとく、検知電極41に流れる電流i1は、反対方向へ立ち上がり、検知電極41の放電が終了すると「0」になる。一方、検知電極41と並列に接続されたものとされるリーク抵抗Rpに流れる電流i2は、「0」になる。
【0045】
次に、このようにデューティ比dのパルス波でスイッチsw1、sw2が切り換えられた場合のオペアンプ43の出力電圧について説明する。
まず図3から、電流i2の平均は、次の式1で示すごとくとなる。
【0046】
【数1】
また、検知電極に溜まる電荷は、検知電極41の静電容量をCpとすると、電源電圧Eであるため、次の式2で示すごとくとなる。
【0047】
【数2】
電流i1の平均は、電荷の時間微分であるため、式2を用いて、次の式3で示すごとくとなる。ここでは、周期T0(=1/f)とした(図3参照)。
【0048】
【数3】
したがって、出力電圧Vは、式1、式3を用いて、次の式4で示すごとくとなる。
【0049】
【数4】
この式4によれば、リーク抵抗Rpが無限大に近い場合、出力電圧Vにばらつきは生じない。つまり、精度よくエタノール濃度が測定できることになる。しかしながら、リーク抵抗Rpが小さくなった場合、すなわち不純物が多く含まれているような場合には、測定誤差が大きくなってしまう。
【0050】
そこで、本形態では、図1に示したように、第1発振部20および第2発振部25を備える構成とし、2つの異なるデューティ比d1、d2のパルス波でスイッチsw1、sw2を切り換え、このときのオペアンプ43の出力電圧V(d1)、V(d2)に基づく差を取ることにした。具体的には、出力電圧V(d1)にデューティ比d2を乗じたものと出力電圧V(d2)にデューティ比d1を乗じたものとの差分を取る。この演算は、マイコン80にて行われる。すなわち、次の式5に示すごとくである。
【0051】
【数5】
このようにすれば、リーク抵抗Rpの影響を受けず、検知電極41の静電容量Cpを出力電圧Vに基づく差分として測定することができる。
【0052】
図4は、出力電圧Vaに基づく差分を示す説明図である。
オペアンプ43からの出力電圧Vは、図1および図2に示した抵抗器47およびコンデンサ49によって平滑化される。図4では最初にデューティ比d2のパルス波でスイッチsw1、sw2の切り換えを行っているが、時刻t1までにほぼ収束している。また、時刻t1からデューティ比d1のパルス波でスイッチsw1、sw2の切り換えを行っているが、時刻t2までにほぼ収束している。したがって、デューティ比d1、d2の切り換えタイミングは、マイコン80によって、このような電圧Vaの変化に基づいて、制御すればよい。
【0053】
ところで、電圧Vaは、上記式4から分かるように、リーク抵抗Rpが小さくなると、大きな値となる。図4中には、リーク抵抗Rpが無限大の場合と、1kオームの場合とを比較して示した。つまり、出力電圧d2・V(d1)、d1・V(d2)の差分はリーク抵抗Rpに影響を受けないものとなるが、出力電圧Va自体は、リーク抵抗Rpの影響で大きくなってしまうのである。そして、極端な場合、出力電圧Vaが測定可能範囲を越えてしまうおそれがある。
【0054】
そこで、本形態では、図5に示したように、検知電極41のプラス側端子が、カップリングコンデンサ42によってAC結合されるようにした。この場合、基本的な動作は、図2で説明したものと同様になる。そして、このときは、図6に示すように、電流i2の平均が、d(1―d)・E/Rpとなり、カップリングコンデンサ42を挿入しない場合と比較して、小さくなる。詳細には、記号Aで示す面積と記号Bで示す面積が同一となる。これによって、上記式4から分かるように、リーク抵抗Rpの影響をd(1−d)とすることができる。すなわち、図7に示すように、カップリングコンデンサ42を挿入しない場合は二点鎖線で示すような出力電圧となるが、カップリングコンデンサ42を設けることによって、リーク抵抗Rpが同じ1kオームの場合でも、出力電圧を小さくすることができる。また、このようにすることで、検知電極41の片方の電極だけに電荷が溜まることを抑制できるため、検知電極41の電食を抑制することができる。
【0055】
上述したような出力電圧Vaは、オペアンプ48、基準電圧生成部50、および、AC結合部60により、基準電圧Vr(本形態では2.5V)を基準とする出力電圧Vbとなる(図1参照)。さらに、出力電圧Vbは、増幅部70によって増幅されて、出力電圧Vcとなる。これによって、測定結果を好適に取り出すことができる。
【0056】
なお、本形態におけるスイッチsw1、sw2が「スイッチ手段」を構成し、第1発振部20、第2発振部25、デューティ切換スイッチ31、32およびマイコン80が「動作信号出力手段」を構成する。オペアンプ43、ゲイン抵抗Rg、コンデンサ44、抵抗器45、46、47、およびコンデンサ49が「測定値出力手段」を構成し、ここで抵抗器47およびコンデンサ49が「平滑化手段」を構成する。また、基準電圧生成部50が「基準電圧生成手段」を構成し、AC結合部60が「AC結合手段」を構成し、増幅部70が「増幅手段」を構成し、マイコン80が「演算手段」を構成する。
【0057】
以上詳述したように、本形態のアルコール濃度センサ1によれば、リーク抵抗Rpに影響されることなく、エタノール濃度を精度よく測定することができる。
また、カップリングコンデンサ42を設けることにより、出力電圧Vaを小さくすることができるため、測定可能範囲を比較的大きくすることができる。しかも、検知電極41の両方の電極に電荷が交互に溜まるため、検知電極41の電食を抑制することができる。
さらにまた、検知電極41のマイナス側端子を直接接地していることによって、2つのスイッチsw1、sw2で回路を構成することができ、その回路構成が比較的簡単になる。加えて、静電気によりスイッチsw1、sw2が損傷を受けることを抑制でき、また、電磁波によるスイッチsw1、sw2の誤作動を抑制することができる。
【0058】
(第2実施形態)
本形態のアルコール濃度センサ2は、上記形態と検知部40の検知電極41の接続が異なるものである。したがって、上記形態との相違部分のみを説明することとし、上記形態と同様の部分についての説明は割愛する。また、上記形態と同様の構成部分には、同一の符号を付すこととする。
【0059】
図8に示すように、アルコール濃度センサ2では、電源電圧Vccと接地電位との間に抵抗器91、92が順次接続されている。抵抗器91、92同士の接続点は、オペアンプ90の非反転入力端子に接続されている。また、オペアンプ90の出力端子と反転入力端子とは、共通接続されている。さらにまた、オペアンプ90の出力端子は、4つのスイッチsw3、sw4、sw2、sw1を順に経由してオペアンプ43の反転入力端子に接続されている。ここでスイッチsw2、sw4同士の接続点が、接地されると共に、オペアンプ43の非反転入力端子に接続され、図8のごとくスイッチsw1、sw4がONのときスイッチsw2、sw3がOFF、反対にスイッチsw1、sw4がOFFのときスイッチsw2、sw3がONとなる。
【0060】
このような構成(クロール型)を採用することにより、4つのスイッチsw1、sw2、sw3、sw4が必要になるものの、さらに、測定可能範囲を大きくすることができる。
【0061】
(第3実施形態)
本形態のアルコール濃度センサ3は、上記形態と第1発振部20および第2発振部25の構成が異なるものである。ここでは、上記形態との相違部分のみを説明することとし、上記形態と同様の部分についての説明は割愛する。また、上記形態と同様の構成部分には、同一の符号を付すこととする。
【0062】
図9に示すように、本形態のアルコール濃度センサ3では、デューティ比d1のパルス波およびデューティ比d2のパルス波をともに、マイコン80から出力するように構成した。この意味で、マイコン80が「動作信号出力手段」としての機能を実現する。このようにすれば、第1発振部20および第2発振部25の構成、さらに、デューティ切換スイッチ31、32が不要となるため、アルコール濃度センサ3の構成が比較的簡単になる。また、部品点数が削減されるため、コスト低減に寄与する。
【0063】
(第4実施形態)
本形態のアルコール濃度センサ4は、上記形態のアルコール濃度センサ3に対し、スイッチsw1、sw2のスイッチオン抵抗を測定可能とするものである。ここでは、上記形態との相違部分のみを説明することとし、上記形態と同様の部分についての説明は割愛する。また、上記形態と同様の構成部分には、同一の符号を付すこととする。
【0064】
図10中の右側下部に示すように、マイコン80によって制御されるスイッチsw3がさらに設けられており、電源電圧Vccと接地電位との間に抵抗器93、スイッチsw3が順次接続されている。また、抵抗器93とスイッチsw3との接続点は、マイコン80の端子AD3に接続されている。このスイッチsw3は、例えば他の2つのスイッチsw1、sw2と同一パッケージに含まれるものとするのが好ましい。この場合、マイコン80はスイッチsw3をオンにすることで発生するスイッチオン抵抗を、端子AD3からの入力電圧に基づいて測定する。これを、他のスイッチsw1、sw2のスイッチオン抵抗とみなして、出力電圧を補正する。この意味で、マイコン80が「スイッチオン抵抗測定手段」を構成する。
【0065】
ここでスイッチオン抵抗を測定することにより、スイッチオン抵抗の影響を補正する方法について説明する。
図11に示すように、一方のスイッチsw1のスイッチオン抵抗Rsw1は、当該スイッチsw1に直列に接続されているものと考えることができる。同様に、他方のスイッチsw2のスイッチオン抵抗Rsw2は、当該スイッチsw2に直列に接続されているものと考えることができる。なお、スイッチオン抵抗Rsw1(=Rsw2)として、以下説明を続ける。
【0066】
出力電圧Vは、次の式6で示すごとくとなる。
【0067】
【数6】
そして、デューティ比d1のときの出力電圧V(d1)とデューティ比d2のときの出力電圧V(d2)とに基づく差分は、式6を用いて、次の式7で示すごとくである。
【0068】
【数7】
この式7から検知電極41の静電容量Cpを求め、次に出力電圧V(d1)(あるいは出力電圧V(d2))からRpを求めることができる。したがって、補正係数は、
Rp/(Rp+Rsw1) ・・・式8
として求めることができる。
【0069】
本形態は、スイッチオン抵抗Rsw1、Rsw2の影響をも補正することができるため、極端に小さなリーク抵抗Rpに対して有効となる。
【0070】
(第5実施形態)
本形態のアルコール濃度センサ5は、上記形態のアルコール濃度センサ1に対し、AC結合部60に、コンデンサの電荷量を短時間で調整するための回路を付加したものである。ここでは、上記形態との相違部分のみを説明することとし、上記形態と同様の部分についての説明は割愛する。また、上記形態と同様の構成部分には、同一の符号を付すこととする。
【0071】
上記形態と同様、出力電圧Vaは、オペアンプ48、基準電圧生成部50、および、AC結合部60により、基準電圧Vr(本形態では2.5V)を基準とする出力電圧Vbとなる(図12参照)。さらに、出力電圧Vbは、増幅部70によって増幅されて、出力電圧Vcとなる。つまり、AC増幅が行われており、測定結果を好適に取り出すことができる。
【0072】
ただし、基準電圧Vrを基準とする出力電圧Vbを得るためには、AC結合部60を構成するコンデンサ61の電荷量が基準電圧Vrによって調整されなければならない。ところが、通常、抵抗器62を介して電極がチャージされるまでには、数秒から数十秒といった時間を要する。
【0073】
そこで、本形態では、AC結合部60を構成する抵抗器62に並列に、抵抗器63及びスイッチング素子64を配設した。ここで、抵抗器63は、抵抗器62に比べて十分に抵抗値の小さいものを用いる。また、スイッチング素子64は、FETなどで構成することが例示され、マイコン80にて制御される。
【0074】
このような構成の下、本形態では、例えば測定タイミングに合わせて定期的に、マイコン80によって、スイッチング素子64をオンとする。スイッチング素子64がオンとなるのは、上述したコンデンサ61のチャージに必要な期間であり、例えば100ms以下の期間(10ms、20ms等)である。この間に、基準電圧Vrによってコンデンサ61がチャージされるため、AC結合部60からの出力Vbは、即座に(遅くとも100msの間に)、基準電圧Vrを中心とするものとなる。
【0075】
ここで、上記構成についての理解を容易にするため、図面を用いた説明を加える。
図13は、デューティ比d1とデューティ比d2とを交互に出力する場合に、測定値Vbの中心電圧の推移を模式的に示す説明図である。なお、「中心電圧」とは、測定値の変動の中心となる電圧をいう。以下でも同様である。
図13に示すように、最初はリーク抵抗Rpの影響により、電圧Veが中心電圧となっており、最終的に、基準電圧Vrが中心電圧となっている。
【0076】
このとき、通常であれば、抵抗器62を介して電極がチャージされるため、記号Jで示すように中心電圧は徐々に基準電圧Vrに近づくことになり、数秒から数十秒といった時間(記号T0で示す時間)を要する。
【0077】
これに対し、本形態では、AC結合部60を構成する抵抗器62に並列に、抵抗器63及びスイッチング素子64を配設した(図12参照)。抵抗器63は抵抗器62に比べて十分に抵抗値の小さいものを用いたため、記号Kで示すように中心電圧が100ms以内(10ms、20msのうち)に基準電圧Vrとなる。記号T1で示すごとくである。
【0078】
これにより、たとえリーク抵抗Rpの影響が大きい場合であっても、即座に基準電圧Vrを中心とする測定値Vbを得ることができる。
【0079】
本形態における抵抗器63、スイッチング素子64、および、マイコン80が「電荷量調整時間切替手段」を構成する。
【0080】
なお、本形態では例えば測定タイミングに合わせて定期的にスイッチング素子64をオンすることとしたが、例えばエンジン始動前のイグニッションスイッチがオンされた時にスイッチング素子64をオンするようにしてもよい。このようにすれば、たとえリーク抵抗Rpの影響が大きい場合であっても、エンジン始動前に測定を開始することができる。
【0081】
また、測定値Vbの変動が基準電圧Vrを中心とするものになるまでは、測定値Vbが測定可能範囲を越えてしまう虞がある。そこで、スイッチング素子64がオンされる期間(図13中の期間T1)では、デューティ比d1とデューティ比d2の中間のデューティ比d3を出力するようにしてもよい。デューティ比d1およびデューティ比d2では、中心電圧を基準として上下に測定値Vbが現れるため、中間のデューティ比d3を用いれば、測定値Vbの変動をほぼ「0」とすることができる。このようにすれば、電荷量の調整中に、測定値Vbが測定可能範囲を越えることがない。
【0082】
ところで、抵抗器63、スイッチング素子64およびマイコン80によるコンデンサ61の電荷量の調整は、上記形態のいずれの形態にも採用することができる。
(他の実施形態)
上記形態はエタノール濃度を測定するセンサとして説明してきたが、メタノール濃度などのアルコール濃度を同様の方法で測定することができる。
以上、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々なる形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0083】
1〜4:アルコール濃度センサ、10:バッテリ、11:端子、20:第1発振部、25:第2発振部、31、32:デューティ切換スイッチ、40:検知部、41:検知電極、42:カップリングコンデンサ、43:オペアンプ、44:コンデンサ、45:抵抗器、47:抵抗器、49:コンデンサ、50:基準電圧生成部、60:AC結合部、61:カップリングコンデンサ、62:抵抗器、63:抵抗器、64:スイッチング素子、70:増幅部、80:マイコン、90:オペアンプ、91〜93:抵抗器、Rg:ゲイン抵抗、Rp:リーク抵抗、Rsw1、Rsw2:スイッチオン抵抗、sw1〜sw4:スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール濃度などを測定する液体用濃度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の燃料として、低公害なアルコール混合ガソリンが注目されている。このアルコール混合ガソリンが最適な空燃比となるように制御するため、混合ガソリン中のアルコールの含有量、すなわちアルコール濃度を測定することが重要となってくる。
【0003】
このようなアルコール濃度を精度よく測定するためには、変化比率の比較的高い物理定数を用いることが望ましい。そのため、従来、比誘電率の変化を検出する方法が開示されている。例えば、比誘電率は静電容量の変化から求められるため、一対の電極を対向配置して静電容量を測定する液体用濃度計が提案されている(例えば、特許文献1参照)。ここに開示される液体用濃度計は、制御回路により一定周期で切り換えられる切換スイッチを介して濃度センサの充放電を繰り返し、測定対象となる流体の濃度に比例した出力電圧を得るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−3313号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一対の電極を対向配置して静電容量を求める場合、不純物が多いと、すなわちガソリンが粗悪であると、当該電極間の抵抗(以下「リーク抵抗」という)が比較的小さくなってしまうという問題がある。すなわち、不純物の含まれないガソリンであれば絶縁状態(リーク抵抗が無限大)となって電極間の導電率はほぼ「0」となるのであるが、不純物が多くなると、導電率が比較的大きくなってしまう。
【0006】
そのため、精度よくアルコール濃度を測定するためには、リーク抵抗の影響を排除する測定装置が必要になってくる。この点、上記特許文献1に記載の液体用濃度計では、リーク抵抗の影響を受けてしまい、アルコール濃度を精度よく測定することが困難となるおそれがある。
【0007】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、液体の濃度を測定するにあたり、検知電極の間に生じるリーク抵抗の影響を排除可能な液体用濃度測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明では、スイッチ手段にて、検知電極の充電および放電を切り換える。このスイッチ手段は、動作信号出力手段により、所定周期で切り換えられる。このスイッチ手段の動作に応じて、検知電極を充電するための電圧が発生する。これにより、検知電極は、所定周期で充放電を繰り返すことになる。このとき、測定値出力手段によって、検知電極の静電容量に応じた電圧が測定値として出力される。
【0009】
ここで特に、本発明では、第1のデューティ比でスイッチ手段を切り換えるための第1デューティ比の動作信号、および、第2のデューティ比でスイッチ手段を切り換えるための第2デューティ比の動作信号を出力するようにした。そして、測定値出力手段によって第1デューティ比による第1測定値および第2デューティ比による第2測定値が出力されると、演算手段によって、第1測定値に第2デューティ比を乗じたものと、第2測定値に第1デューティ比を乗じたものとの差分が演算される。
【0010】
リーク抵抗をRpとした場合、測定値としての電圧の計算式には、(1/Rp)を含む定数項が表れる。そのため、リーク抵抗Rpが小さくなると、その影響が比較的大きくなって、測定値がばらつくことになる。
【0011】
これに対し、本発明では、第1デューティ比による第1測定値および第2デューティ比による第2測定値を出力する。第1デューティ比をd1とし、第2デューティ比をd2とすると、第1測定値にはd1(1/Rp)の項が含まれ、第2測定値にはd2(1/Rp)の項が含まれる。そこで本発明では、第1測定値に第2デューティ比(d2)を乗じたものと、第2測定値に第1デューティ比(d1)を乗じたものとの差分をとる。これにより、(1/Rp)を含む定数項を消去することができ、リーク抵抗の影響を排除することができる。
【0012】
請求項2では、基準電圧生成手段が基準電圧を生成する。この基準電圧に対し、第1測定値および第2測定値が、AC結合手段によって、AC結合される。AC結合自体は、交流結合とも呼ばれ、当業者にとっては周知の技術である。また、基準電圧に対してAC結合された第1測定値および第2測定値が、増幅手段によって、増幅される。このようにすれば、測定値の変動が基準電圧を中心とするものとなり、測定可能範囲での測定値の増幅に寄与する。
【0013】
ところで、AC結合手段は、コンデンサと抵抗器とを用いて構成されるのが一般的である。このとき、コンデンサの電荷量が調整されると、測定値の変動が基準電圧を中心とするものとなる。しかしながら、AC結合手段を構成する抵抗器の抵抗値の大きさによっては電荷のチャージに要する時間が長くなり、測定値の変動が基準電圧を中心とするものとなるまでに、数秒から数十秒かかる場合がある。
【0014】
そこで、請求項3に示すように、AC結合手段を構成するコンデンサの電荷量の調整に要する時間を切替可能な電荷量調整時間切替手段を備えていることが好ましい。具体的には、AC結合手段の抵抗器と並列に、スイッチング素子および抵抗値の小さな抵抗器を配置することが考えられる。なお、スイッチング素子のオン/オフは例えばマイコンにて制御することが例示される。この意味で「電荷量調整時間切替手段」には、マイコン等の制御部が含まれることとしてもよい。ここで、スイッチング素子をオンとすれば、抵抗値の小さな抵抗器を介し、コンデンサへの短時間のチャージ(電荷量調整)が可能となる。その結果、測定値の変動が即座に基準電圧を中心とするものとなる。実際、抵抗器の選択などにもよるが、100ms以下の期間(例えば10ms、20msの期間)で、測定値を基準電圧中心のものにすることができる。
【0015】
このとき、請求項4に示すように、定期的に、コンデンサの電荷量の調整に要する時間を切り替えることが例示される。上述したように本発明では、第1測定値および第2測定値に基づく差分を取ることを特徴にしている。ここで、第1デューティ比の動作信号が出力された時点から、第2デューティ比の動作信号が出力され、再び第1デューティ比の動作信号が出力される時点までを、1サイクルとする。この場合、例えば4サイクルの期間に得られる第1および第2測定値の平均を用いて差分を取ることが考えられる。とすると、「定期的に」を、ここでいう4サイクル毎に、とすることが考えられる。また、1サイクル毎に、としてもよい。あるいは、第1および第2動作信号の切り換えタイミング毎に(0.5サイクル毎に)、としてもよい。このようにすれば、タンクの形状等から途中で燃料中の導電率が変化するという事態が起きたとしても、適切に濃度を測定することができる。
【0016】
また、エンジン始動時には、なるべく早い段階で、燃料中のアルコール濃度を知りたいという要望がある。エンジン始動時の空燃比等を適切に制御するためである。そこで、請求項5に示すように、エンジン始動前のイグニッションスイッチがオンされた時に、コンデンサの電荷量の調整に要する時間を切り替えることが例示される。このようにすれば、エンジン始動後の早い段階で(例えば始動から10ms、20msのうちに)、測定を開始することができる。
【0017】
ところで、測定値の変動が基準電圧を中心とするものになるまでは、測定値が測定可能範囲を越えてしまう虞がある。そこで、請求項6に示すように、動作信号出力手段が、上述の電荷量調整時間切替手段によって切り替えられる調整期間に合わせて、第1デューティ比および第2デューティ比の中間のデューティ比である第3デューティ比の動作信号を出力するようにしてもよい。第1デューティ比および第2デューティ比では、所定電圧を基準として上下に測定値が現れるため、中間のデューティ比である第3デューティ比を用いれば、測定値の変動をほぼ「0」とすることができる。このようにすれば、測定値が測定可能範囲を越えることにより、フェイルセーフの異常信号が出力されることもない。
【0018】
請求項7では、測定値出力手段が第1測定値および第2測定値を平滑化する平滑化手段を有している。このようにすれば、出力電圧がなまされるため、その後の測定値の処理が比較的簡単になる。
【0019】
ところで、上述したように第1測定値および第2測定値に基づく差分をとることによりリーク抵抗の影響を排除することができるが、各測定値自体は、リーク抵抗の影響があると、比較的大きくなってしまう。測定値としての電圧の計算式には、(1/Rp)を含む定数項が表れるためである。したがって、リーク抵抗の影響が大きくなると、測定可能範囲を越えてしまい、測定不可となってしまうことが懸念される。
【0020】
この点、請求項8によれば、検知電極のプラス側端子にカップリングコンデンサが接続されているため、検知電極に流れるリーク電流をより小さくすることが可能となる。これによって、各測定値に現れるリーク抵抗の影響をより小さくすることができる。その結果、測定可能範囲を越えてしまうことが抑制され、測定不可となってしまう事態を回避できる可能性が高くなる。また、カップリングコンデンサを接続することによって、検知電極の両方の電極に交互に電荷が溜まるため、電食(検知電極の電気分解)の抑制に寄与する。
【0021】
請求項9によれば、検知電極のマイナス側端子が直接接地されているため、静電気による影響を受けにくくなるという点で有利である。例えば、スイッチ手段を構成するスイッチが静電気によって損傷を受けることを抑制できる。また例えば、電磁波によってスイッチが誤作動したりすることを抑制できる。さらに、このようにすれば、スイッチ手段の構成が比較的簡単になる。
【0022】
請求項10では、測定値出力手段は、クロール型にて回路構成されている。「クロール型」は、スイッチドキャパシタ回路におけるスイッチ切替方式の一つである。このようにすれば、スイッチ手段の構成が若干複雑になるものの、第1測定値および第2測定値を相対的に小さくすることができる。その結果、測定可能範囲を比較的大きくすることができる。
【0023】
請求項11では、第1デューティ比の動作信号と第2デューティ比の動作信号とが、所定期間ごとに切り換えられて出力される。例えば、出力電圧の収束期間を見越して、あるいは、出力電圧の収束を検知して、動作信号を切り換えるという具合である。このようにすれば、並行して2つのデューティ比で動作する回路と比べ、回路構成が簡単になるという点で有利である。
【0024】
請求項12では、マイクロコンピュータの機能として、動作信号出力手段が実現されている。このようにすれば、発振回路を備える構成と比べ、回路構成が簡単になるという点で有利である。
【0025】
請求項13では導電率計測手段によって、第1測定値および第2測定値のうち少なくとも一方に基づき、検知電極の導電率が計測され、その導電率とあらかじめ設定されるスイッチオン抵抗とにより、測定結果が補正される。このようにすれば、リーク抵抗が極端に小さくなっている場合であっても、測定の精度を向上させることができる。
【0026】
請求項14では、スイッチオン抵抗測定手段が、スイッチ手段の動作時に発生するスイッチオン抵抗を測定する。そして、測定されるスイッチオン抵抗に基づき、測定結果を補正する。このようにすれば、リーク抵抗のバラツキ、温度特性があっても、測定の精度をさらに向上させることができる。
【0027】
請求項15では、導電率計測手段によって、第1測定値および第2測定値のうち少なくとも一方に基づき、検知電極の導電率が計測される。また、異常信号出力手段によって、計測された導電率が所定の閾値を上回ると、異常信号が出力される。このようにすれば、フェイルセーフを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態のアルコール濃度センサの構成を示す回路図である。
【図2】アルコール濃度センサの基本動作を説明するための回路図である。
【図3】検知電極およびリーク抵抗に発生する電流を示す説明図である。
【図4】出力電圧に基づく差分を示す説明図である。
【図5】カップリングコンデンサを設けた場合の基本構成を示す回路図である。
【図6】カップリングコンデンサを設けた場合の検知電極およびリーク抵抗に発生する電流を示す回路図である。
【図7】カップリングコンデンサを設けた場合の出力電圧に基づく差分を示す説明図である。
【図8】第2実施形態のアルコール濃度センサの構成を示す回路図である。
【図9】第3実施形態のアルコール濃度センサの構成を示す回路図である。
【図10】第4実施形態のアルコール濃度センサの構成を示す回路図である。
【図11】スイッチオン抵抗を考慮する場合の基本構成を示す回路図である。
【図12】第5実施形態のアルコール濃度センサの構成を示す回路図である。
【図13】測定値の変動の中心となる中心電圧の推移を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本形態のアルコール濃度センサ1の回路構成を示す回路図である。
本形態のアルコール濃度センサ1は、エタノールの濃度を測定するセンサであり、具体的には車両に搭載されて使用される。アルコール濃度センサ1は、図1中の左端に示すバッテリ10を電源電圧Vcc(本形態では5V)とし、図1中の右端に示す端子11に測定結果を出力する。電源電圧Vccは、図1中左上の定電圧IC(三端子レギュレータ)12によって安定的に供給される。
【0030】
アルコール濃度センサ1は、第1発振部20と、第2発振部25と、検知部40と、基準電圧生成部50と、AC結合部60と、増幅部70と、マイコン80とを備えている。
第1発振部20は、判定動作にヒステリシスを設けたシュミットトリガ21、シュミットトリガ21に並列に接続された抵抗器22、および、シュミットトリガ21の入力側と接地電位との間に接続されたコンデンサ23で構成されている。かかる構成により、第1発振部20は、デューティ比d1のパルス波(動作クロック)を出力する。同様に、第2発振部25は、シュミットトリガ26、抵抗器27、および、コンデンサ28で構成されている。かかる構成により、第2発振部25は、デューティ比d2のパルス波(動作クロック)を出力する。なお、本形態では、シュミットトリガ21、26を採用して回路構成しているが、同様の出力を得られるのであれば他の構成を採用してもよい。
【0031】
ここで、第1発振部20および第2発振部25からの出力端子はそれぞれ、デューティ切換スイッチ31、32に接続されている。これら2つのデューティ切換スイッチ31、32は、交互にオンとなるように、マイコン80によって制御される。つまり、これらデューティ切換スイッチ31、32がマイコン80によって制御されることにより、後述する回路がデューティ比d1またはデューティ比d2のパルス波で動作することになる。
【0032】
第1発振部20および第2発振部25からのパルス波は、2つのスイッチsw1およびスイッチsw2を切り換える。ここで一方のスイッチsw1とデューティ切換スイッチ31、32との間には、インバータ33が接続されている。かかる構成により、デューティ切換スイッチ31がオンの状態では、第1発振部20によって出力されるデューティ比d1のパルス波によって、スイッチsw1、sw2が互い違いにオン/オフを繰り返すことになる。同様に、デューティ切換スイッチ32がオンの状態では、第2発振部25によって出力されるデューティ比d2のパルス波によって、スイッチsw1、sw2が互い違いにオン/オフを繰り返すことになる。
【0033】
検知部40は、検知電極41を備えている。この検知電極41が車両の燃料経路に設置される。検知電極41は、対向して配置されることでいわゆるコンデンサを構成している。本形態では、検知電極41の静電容量を測定することにより、エタノール濃度を測定する。このとき、測定を阻害する要因として、リーク抵抗Rpが存在する。すなわち、検知部40に示す抵抗Rpは、不純物の混入によって変わってくるものである。このリーク抵抗Rpは、検知電極41と並列に接続されるものとして考えることができる。本形態の特徴の一つは、このリーク抵抗Rpの影響を受けることなくエタノール濃度を測定可能な点にある。
【0034】
検知電極41のプラス側端子は、カップリングコンデンサ42およびスイッチsw1を順に経由してオペアンプ(演算増幅器)43の反転入力端子に接続されている。また、オペアンプ43の出力端子と反転入力端子との間には、コンデンサ44とゲイン抵抗Rgとが並列に接続されている。さらにまた、電源電圧Vccと接地電位との間には抵抗器45、46が順次接続されており、抵抗器45、46同士の接続点がオペアンプ43の非反転入力端子に接続されている。また、検知電極41のプラス側端子はスイッチsw2を経由して接地されており、マイナス側端子は直接接地されている。
【0035】
オペアンプ43の出力端子は、抵抗器47を経由してオペアンプ48の非反転入力端子に接続されている。また、この非反転入力端子は、コンデンサ49を経由して接地されている。かかる構成により、オペアンプ43の出力電圧は、平滑化された出力電圧Vaとしてオペアンプ48の非反転入力端子へ入力されることになる。オペアンプ48の出力端子と反転入力端子とは、共通接続されている。オペアンプ48の出力は、AC結合部60への入力となっている。
【0036】
基準電圧生成部50は、基準電圧Vrを生成するものであり、抵抗器51、52、53と、オペアンプ54とから構成されている。
抵抗器51、52は、電源電圧Vcc(本形態では5V)と接地電位(=0V)との間に順次接続されて、電源電圧Vccを分圧することにより基準電圧Vr(本形態では2.5V)を生成する。この抵抗器51、52同士の接続点には、オペアンプ54の非反転入力端子が接続されている。オペアンプ54の反転入力端子と出力端子とは共通接続されており、出力端子は、抵抗器53を介して接地されている。かかる構成により、オペアンプ54は、上記基準電圧Vrを出力するバッファとして機能する。
【0037】
AC結合部60は、カップリングコンデンサ61および抵抗器62によって、AC結合を構成している。オペアンプ48の出力端子は、コンデンサ61を経由してオペアンプ71の非反転入力端子に接続されている。また、コンデンサ61とオペアンプ71の非反転入力端子との接続点が抵抗器62を経由して、上記オペアンプ54の出力端子に接続されている。
【0038】
増幅部70は、オペアンプ71および抵抗器72、73から構成されている。オペアンプ71の出力端子は、抵抗器72を経由して反転入力端子に接続されている。また、反転入力端子には、抵抗器73を経由して、上記オペアンプ54の出力端子が接続されている。かかる構成により、増幅部70は、基準電圧Vrを基準として電圧Vbを増幅し、電圧Vcをマイコン80へ出力する。
【0039】
マイコン80は、その端子VCCに、電源電圧Vccが接続されている。マイコン80の端子A/D2には、増幅部70からの出力電圧Vcが入力される。マイコン80は、この出力電圧VcをAD変換するとともに所定の差分演算を行って、端子11に出力する。この端子11は、図示しないECUに接続される。マイコン80の端子AD1には、オペアンプ48の出力端子が接続されており、出力電圧の異常を検知可能となっている。例えば、1つのデューティ比(たとえばデューティ比d1)で回路を動作させ、測定可能範囲を上回る電圧が検知された場合に警告処理を行うことが例示される。この意味で、マイコン80が「導電率計測手段」及び「異常信号出力手段」を構成する。
【0040】
次に、アルコール濃度センサ1の基本部分の動作を説明する。
第1発振部20および第2発振部25からのパルス波(動作クロック)によって、スイッチsw1、sw2が互い違いにオン/オフを繰り返すことは既に述べた(図1参照)。ここでは、最初に図2に基づき、デューティ比dのパルス波が入力されてスイッチsw1、sw2がオン/オフされる場合の電流の流れを説明する。また、この電流の変化を、図3に基づき説明する。なお、図2は、図1の回路の一部を示すものである。
【0041】
パルス波がlowレベルの場合、図2(a)に示すように、一方のスイッチsw1がオンとなり、他方のスイッチsw2がオフとなる。この場合、オペアンプ43は、非反転入力端子および反転入力端子の電位を同じにするように動作し、結果的に、電源電圧Eによって、ゲイン抵抗Rgに電流が発生する。ここでは、検知電極41に発生する電流をi1とし、リーク抵抗Rpに発生する電流をi2として示した。
【0042】
このときは、図3中に期間T1、T3で示すごとく、検知電極41に発生する電流i1は、最初に立ち上がり、検知電極41が充電されると「0」になる。一方、検知電極41と並列に接続されたものとされるリーク抵抗Rpに発生する電流i2は一定値となる。なお、厳密には、電流i1、i2が同時に立ち上がることはないが(電流i2の立ち上がりが遅れるが)、ここでは便宜上、電流i2を一定値として説明している。
【0043】
パルス波がhighレベルの場合、図2(b)に示すように、一方のスイッチsw1がオフとなり、他方のスイッチsw2がオンとなる。この場合、検知電極41のプラス側が接地されるため、充電されていた検知電極41は、放電する。そのため、検知電極41には、パルス波がlowレベルの場合と反対方向の電流i1が発生する。
【0044】
このときは、図3中に期間T2、T4で示すごとく、検知電極41に流れる電流i1は、反対方向へ立ち上がり、検知電極41の放電が終了すると「0」になる。一方、検知電極41と並列に接続されたものとされるリーク抵抗Rpに流れる電流i2は、「0」になる。
【0045】
次に、このようにデューティ比dのパルス波でスイッチsw1、sw2が切り換えられた場合のオペアンプ43の出力電圧について説明する。
まず図3から、電流i2の平均は、次の式1で示すごとくとなる。
【0046】
【数1】
また、検知電極に溜まる電荷は、検知電極41の静電容量をCpとすると、電源電圧Eであるため、次の式2で示すごとくとなる。
【0047】
【数2】
電流i1の平均は、電荷の時間微分であるため、式2を用いて、次の式3で示すごとくとなる。ここでは、周期T0(=1/f)とした(図3参照)。
【0048】
【数3】
したがって、出力電圧Vは、式1、式3を用いて、次の式4で示すごとくとなる。
【0049】
【数4】
この式4によれば、リーク抵抗Rpが無限大に近い場合、出力電圧Vにばらつきは生じない。つまり、精度よくエタノール濃度が測定できることになる。しかしながら、リーク抵抗Rpが小さくなった場合、すなわち不純物が多く含まれているような場合には、測定誤差が大きくなってしまう。
【0050】
そこで、本形態では、図1に示したように、第1発振部20および第2発振部25を備える構成とし、2つの異なるデューティ比d1、d2のパルス波でスイッチsw1、sw2を切り換え、このときのオペアンプ43の出力電圧V(d1)、V(d2)に基づく差を取ることにした。具体的には、出力電圧V(d1)にデューティ比d2を乗じたものと出力電圧V(d2)にデューティ比d1を乗じたものとの差分を取る。この演算は、マイコン80にて行われる。すなわち、次の式5に示すごとくである。
【0051】
【数5】
このようにすれば、リーク抵抗Rpの影響を受けず、検知電極41の静電容量Cpを出力電圧Vに基づく差分として測定することができる。
【0052】
図4は、出力電圧Vaに基づく差分を示す説明図である。
オペアンプ43からの出力電圧Vは、図1および図2に示した抵抗器47およびコンデンサ49によって平滑化される。図4では最初にデューティ比d2のパルス波でスイッチsw1、sw2の切り換えを行っているが、時刻t1までにほぼ収束している。また、時刻t1からデューティ比d1のパルス波でスイッチsw1、sw2の切り換えを行っているが、時刻t2までにほぼ収束している。したがって、デューティ比d1、d2の切り換えタイミングは、マイコン80によって、このような電圧Vaの変化に基づいて、制御すればよい。
【0053】
ところで、電圧Vaは、上記式4から分かるように、リーク抵抗Rpが小さくなると、大きな値となる。図4中には、リーク抵抗Rpが無限大の場合と、1kオームの場合とを比較して示した。つまり、出力電圧d2・V(d1)、d1・V(d2)の差分はリーク抵抗Rpに影響を受けないものとなるが、出力電圧Va自体は、リーク抵抗Rpの影響で大きくなってしまうのである。そして、極端な場合、出力電圧Vaが測定可能範囲を越えてしまうおそれがある。
【0054】
そこで、本形態では、図5に示したように、検知電極41のプラス側端子が、カップリングコンデンサ42によってAC結合されるようにした。この場合、基本的な動作は、図2で説明したものと同様になる。そして、このときは、図6に示すように、電流i2の平均が、d(1―d)・E/Rpとなり、カップリングコンデンサ42を挿入しない場合と比較して、小さくなる。詳細には、記号Aで示す面積と記号Bで示す面積が同一となる。これによって、上記式4から分かるように、リーク抵抗Rpの影響をd(1−d)とすることができる。すなわち、図7に示すように、カップリングコンデンサ42を挿入しない場合は二点鎖線で示すような出力電圧となるが、カップリングコンデンサ42を設けることによって、リーク抵抗Rpが同じ1kオームの場合でも、出力電圧を小さくすることができる。また、このようにすることで、検知電極41の片方の電極だけに電荷が溜まることを抑制できるため、検知電極41の電食を抑制することができる。
【0055】
上述したような出力電圧Vaは、オペアンプ48、基準電圧生成部50、および、AC結合部60により、基準電圧Vr(本形態では2.5V)を基準とする出力電圧Vbとなる(図1参照)。さらに、出力電圧Vbは、増幅部70によって増幅されて、出力電圧Vcとなる。これによって、測定結果を好適に取り出すことができる。
【0056】
なお、本形態におけるスイッチsw1、sw2が「スイッチ手段」を構成し、第1発振部20、第2発振部25、デューティ切換スイッチ31、32およびマイコン80が「動作信号出力手段」を構成する。オペアンプ43、ゲイン抵抗Rg、コンデンサ44、抵抗器45、46、47、およびコンデンサ49が「測定値出力手段」を構成し、ここで抵抗器47およびコンデンサ49が「平滑化手段」を構成する。また、基準電圧生成部50が「基準電圧生成手段」を構成し、AC結合部60が「AC結合手段」を構成し、増幅部70が「増幅手段」を構成し、マイコン80が「演算手段」を構成する。
【0057】
以上詳述したように、本形態のアルコール濃度センサ1によれば、リーク抵抗Rpに影響されることなく、エタノール濃度を精度よく測定することができる。
また、カップリングコンデンサ42を設けることにより、出力電圧Vaを小さくすることができるため、測定可能範囲を比較的大きくすることができる。しかも、検知電極41の両方の電極に電荷が交互に溜まるため、検知電極41の電食を抑制することができる。
さらにまた、検知電極41のマイナス側端子を直接接地していることによって、2つのスイッチsw1、sw2で回路を構成することができ、その回路構成が比較的簡単になる。加えて、静電気によりスイッチsw1、sw2が損傷を受けることを抑制でき、また、電磁波によるスイッチsw1、sw2の誤作動を抑制することができる。
【0058】
(第2実施形態)
本形態のアルコール濃度センサ2は、上記形態と検知部40の検知電極41の接続が異なるものである。したがって、上記形態との相違部分のみを説明することとし、上記形態と同様の部分についての説明は割愛する。また、上記形態と同様の構成部分には、同一の符号を付すこととする。
【0059】
図8に示すように、アルコール濃度センサ2では、電源電圧Vccと接地電位との間に抵抗器91、92が順次接続されている。抵抗器91、92同士の接続点は、オペアンプ90の非反転入力端子に接続されている。また、オペアンプ90の出力端子と反転入力端子とは、共通接続されている。さらにまた、オペアンプ90の出力端子は、4つのスイッチsw3、sw4、sw2、sw1を順に経由してオペアンプ43の反転入力端子に接続されている。ここでスイッチsw2、sw4同士の接続点が、接地されると共に、オペアンプ43の非反転入力端子に接続され、図8のごとくスイッチsw1、sw4がONのときスイッチsw2、sw3がOFF、反対にスイッチsw1、sw4がOFFのときスイッチsw2、sw3がONとなる。
【0060】
このような構成(クロール型)を採用することにより、4つのスイッチsw1、sw2、sw3、sw4が必要になるものの、さらに、測定可能範囲を大きくすることができる。
【0061】
(第3実施形態)
本形態のアルコール濃度センサ3は、上記形態と第1発振部20および第2発振部25の構成が異なるものである。ここでは、上記形態との相違部分のみを説明することとし、上記形態と同様の部分についての説明は割愛する。また、上記形態と同様の構成部分には、同一の符号を付すこととする。
【0062】
図9に示すように、本形態のアルコール濃度センサ3では、デューティ比d1のパルス波およびデューティ比d2のパルス波をともに、マイコン80から出力するように構成した。この意味で、マイコン80が「動作信号出力手段」としての機能を実現する。このようにすれば、第1発振部20および第2発振部25の構成、さらに、デューティ切換スイッチ31、32が不要となるため、アルコール濃度センサ3の構成が比較的簡単になる。また、部品点数が削減されるため、コスト低減に寄与する。
【0063】
(第4実施形態)
本形態のアルコール濃度センサ4は、上記形態のアルコール濃度センサ3に対し、スイッチsw1、sw2のスイッチオン抵抗を測定可能とするものである。ここでは、上記形態との相違部分のみを説明することとし、上記形態と同様の部分についての説明は割愛する。また、上記形態と同様の構成部分には、同一の符号を付すこととする。
【0064】
図10中の右側下部に示すように、マイコン80によって制御されるスイッチsw3がさらに設けられており、電源電圧Vccと接地電位との間に抵抗器93、スイッチsw3が順次接続されている。また、抵抗器93とスイッチsw3との接続点は、マイコン80の端子AD3に接続されている。このスイッチsw3は、例えば他の2つのスイッチsw1、sw2と同一パッケージに含まれるものとするのが好ましい。この場合、マイコン80はスイッチsw3をオンにすることで発生するスイッチオン抵抗を、端子AD3からの入力電圧に基づいて測定する。これを、他のスイッチsw1、sw2のスイッチオン抵抗とみなして、出力電圧を補正する。この意味で、マイコン80が「スイッチオン抵抗測定手段」を構成する。
【0065】
ここでスイッチオン抵抗を測定することにより、スイッチオン抵抗の影響を補正する方法について説明する。
図11に示すように、一方のスイッチsw1のスイッチオン抵抗Rsw1は、当該スイッチsw1に直列に接続されているものと考えることができる。同様に、他方のスイッチsw2のスイッチオン抵抗Rsw2は、当該スイッチsw2に直列に接続されているものと考えることができる。なお、スイッチオン抵抗Rsw1(=Rsw2)として、以下説明を続ける。
【0066】
出力電圧Vは、次の式6で示すごとくとなる。
【0067】
【数6】
そして、デューティ比d1のときの出力電圧V(d1)とデューティ比d2のときの出力電圧V(d2)とに基づく差分は、式6を用いて、次の式7で示すごとくである。
【0068】
【数7】
この式7から検知電極41の静電容量Cpを求め、次に出力電圧V(d1)(あるいは出力電圧V(d2))からRpを求めることができる。したがって、補正係数は、
Rp/(Rp+Rsw1) ・・・式8
として求めることができる。
【0069】
本形態は、スイッチオン抵抗Rsw1、Rsw2の影響をも補正することができるため、極端に小さなリーク抵抗Rpに対して有効となる。
【0070】
(第5実施形態)
本形態のアルコール濃度センサ5は、上記形態のアルコール濃度センサ1に対し、AC結合部60に、コンデンサの電荷量を短時間で調整するための回路を付加したものである。ここでは、上記形態との相違部分のみを説明することとし、上記形態と同様の部分についての説明は割愛する。また、上記形態と同様の構成部分には、同一の符号を付すこととする。
【0071】
上記形態と同様、出力電圧Vaは、オペアンプ48、基準電圧生成部50、および、AC結合部60により、基準電圧Vr(本形態では2.5V)を基準とする出力電圧Vbとなる(図12参照)。さらに、出力電圧Vbは、増幅部70によって増幅されて、出力電圧Vcとなる。つまり、AC増幅が行われており、測定結果を好適に取り出すことができる。
【0072】
ただし、基準電圧Vrを基準とする出力電圧Vbを得るためには、AC結合部60を構成するコンデンサ61の電荷量が基準電圧Vrによって調整されなければならない。ところが、通常、抵抗器62を介して電極がチャージされるまでには、数秒から数十秒といった時間を要する。
【0073】
そこで、本形態では、AC結合部60を構成する抵抗器62に並列に、抵抗器63及びスイッチング素子64を配設した。ここで、抵抗器63は、抵抗器62に比べて十分に抵抗値の小さいものを用いる。また、スイッチング素子64は、FETなどで構成することが例示され、マイコン80にて制御される。
【0074】
このような構成の下、本形態では、例えば測定タイミングに合わせて定期的に、マイコン80によって、スイッチング素子64をオンとする。スイッチング素子64がオンとなるのは、上述したコンデンサ61のチャージに必要な期間であり、例えば100ms以下の期間(10ms、20ms等)である。この間に、基準電圧Vrによってコンデンサ61がチャージされるため、AC結合部60からの出力Vbは、即座に(遅くとも100msの間に)、基準電圧Vrを中心とするものとなる。
【0075】
ここで、上記構成についての理解を容易にするため、図面を用いた説明を加える。
図13は、デューティ比d1とデューティ比d2とを交互に出力する場合に、測定値Vbの中心電圧の推移を模式的に示す説明図である。なお、「中心電圧」とは、測定値の変動の中心となる電圧をいう。以下でも同様である。
図13に示すように、最初はリーク抵抗Rpの影響により、電圧Veが中心電圧となっており、最終的に、基準電圧Vrが中心電圧となっている。
【0076】
このとき、通常であれば、抵抗器62を介して電極がチャージされるため、記号Jで示すように中心電圧は徐々に基準電圧Vrに近づくことになり、数秒から数十秒といった時間(記号T0で示す時間)を要する。
【0077】
これに対し、本形態では、AC結合部60を構成する抵抗器62に並列に、抵抗器63及びスイッチング素子64を配設した(図12参照)。抵抗器63は抵抗器62に比べて十分に抵抗値の小さいものを用いたため、記号Kで示すように中心電圧が100ms以内(10ms、20msのうち)に基準電圧Vrとなる。記号T1で示すごとくである。
【0078】
これにより、たとえリーク抵抗Rpの影響が大きい場合であっても、即座に基準電圧Vrを中心とする測定値Vbを得ることができる。
【0079】
本形態における抵抗器63、スイッチング素子64、および、マイコン80が「電荷量調整時間切替手段」を構成する。
【0080】
なお、本形態では例えば測定タイミングに合わせて定期的にスイッチング素子64をオンすることとしたが、例えばエンジン始動前のイグニッションスイッチがオンされた時にスイッチング素子64をオンするようにしてもよい。このようにすれば、たとえリーク抵抗Rpの影響が大きい場合であっても、エンジン始動前に測定を開始することができる。
【0081】
また、測定値Vbの変動が基準電圧Vrを中心とするものになるまでは、測定値Vbが測定可能範囲を越えてしまう虞がある。そこで、スイッチング素子64がオンされる期間(図13中の期間T1)では、デューティ比d1とデューティ比d2の中間のデューティ比d3を出力するようにしてもよい。デューティ比d1およびデューティ比d2では、中心電圧を基準として上下に測定値Vbが現れるため、中間のデューティ比d3を用いれば、測定値Vbの変動をほぼ「0」とすることができる。このようにすれば、電荷量の調整中に、測定値Vbが測定可能範囲を越えることがない。
【0082】
ところで、抵抗器63、スイッチング素子64およびマイコン80によるコンデンサ61の電荷量の調整は、上記形態のいずれの形態にも採用することができる。
(他の実施形態)
上記形態はエタノール濃度を測定するセンサとして説明してきたが、メタノール濃度などのアルコール濃度を同様の方法で測定することができる。
以上、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々なる形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0083】
1〜4:アルコール濃度センサ、10:バッテリ、11:端子、20:第1発振部、25:第2発振部、31、32:デューティ切換スイッチ、40:検知部、41:検知電極、42:カップリングコンデンサ、43:オペアンプ、44:コンデンサ、45:抵抗器、47:抵抗器、49:コンデンサ、50:基準電圧生成部、60:AC結合部、61:カップリングコンデンサ、62:抵抗器、63:抵抗器、64:スイッチング素子、70:増幅部、80:マイコン、90:オペアンプ、91〜93:抵抗器、Rg:ゲイン抵抗、Rp:リーク抵抗、Rsw1、Rsw2:スイッチオン抵抗、sw1〜sw4:スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極が対向して配置されてなる検知電極と、
前記検知電極の充電および放電を切り換えるためのスイッチ手段と、
前記スイッチ手段の切り換えを所定周期で行うために、前記スイッチ手段を動作させる動作信号を出力する動作信号出力手段と、
前記スイッチ手段の動作に応じて前記検知電極を充電するための電圧を発生させると共に、前記検知電極の静電容量に応じた電圧を測定値として出力可能な測定値出力手段と、
前記測定値出力手段にて出力された前記測定値に基づく演算を行う演算手段と、
を備えた液体用濃度測定装置であって、
前記動作信号出力手段は、第1のデューティ比で前記スイッチ手段を切り換えるための第1デューティ比の動作信号、および、第2のデューティ比で前記スイッチ手段を切り換えるための第2デューティ比の動作信号を出力し、
前記測定値出力手段は、第1デューティ比による第1測定値および第2デューティによる第2測定値を出力し、
前記演算手段は、前記第1測定値に前記第2デューティ比を乗じたものと、前記第2測定値に前記第1デューティ比を乗じたものとの差分を、測定結果として出力すること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体用濃度測定装置において、
基準電圧を生成する基準電圧生成手段と、
前記基準電圧生成手段にて生成された基準電圧に対して前記第1測定値および前記第2測定値をAC結合するAC結合手段と、
前記AC結合手段にて基準電圧に対してAC結合された前記第1測定値および前記第2測定値を増幅する増幅手段と、
を備えていることを特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体用濃度測定装置において、
前記AC結合手段を構成するコンデンサの電荷量の調整に要する時間を切替可能な電荷量調整時間切替手段を備えていること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液体用濃度測定装置において、
前記電荷量調整時間切替手段は、定期的に、前記コンデンサの電荷量の調整に要する時間を切り替えること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の液体用濃度測定装置において、
エンジンに搭載され用いられることを前提とし、
前記電荷量調整時間切替手段は、前記エンジン始動前のイグニッションスイッチがオンされた際に、前記コンデンサの電荷量の調整に要する時間を切り替えること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか一項に記載の液体用濃度測定装置において、
前記動作信号出力手段は、前記電荷量調整時間切替手段によって切り替えられる調整期間に合わせて、前記第1デューティ比の動作信号および前記第2デューティ比の中間のデューティ比である第3デューティ比の動作信号を出力すること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体用濃度測定装置において、
前記測定値出力手段は、前記第1測定値および前記第2測定値を平滑化する平滑化手段を有していること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の液体用濃度測定装置において、
前記検知電極は、そのプラス側端子にカップリングコンデンサが接続されて構成されていること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の液体用濃度測定装置において、
前記検知電極は、そのマイナス側端子が直接接地されていること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の液体用濃度測定装置において、
前記測定値出力手段は、前記検知電極に対し、クロール型にて回路構成されていること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の液体用濃度測定装置において、
前記動作信号出力手段は、前記第1デューティ比の動作信号と前記第2デューティ比の動作信号とを、所定期間ごとに切り換えて出力すること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の液体用濃度測定装置において、
前記動作信号出力手段は、マイクロコンピュータの機能として実現されていること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の液体用濃度測定装置において、
前記第1測定値および前記第2測定値のうち少なくとも一方に基づき、前記検知電極の導電率を計測する導電率計測手段と、
前記導電率計測手段にて計測された導電率とあらかじめ設定される前記スイッチ手段の動作時に発生するスイッチオン抵抗とにより、前記第1測定値と前記第2測定値とに基づく差分である測定結果を補正すること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項14】
請求項13に記載の液体用濃度測定装置において、
前記スイッチオン抵抗を測定するスイッチオン抵抗測定手段を備え、
前記スイッチオン抵抗測定手段にて測定される前記スイッチオン抵抗に基づいて、前記測定結果を補正すること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の液体用濃度測定装置において、
前記第1測定値および前記第2測定値のうち少なくとも一方に基づき、前記検知電極の導電率を計測する導電率計測手段と、
前記導電率計測手段にて計測された導電率が所定の閾値を上回ると、異常信号を出力する異常信号出力手段とを備えていること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項1】
電極が対向して配置されてなる検知電極と、
前記検知電極の充電および放電を切り換えるためのスイッチ手段と、
前記スイッチ手段の切り換えを所定周期で行うために、前記スイッチ手段を動作させる動作信号を出力する動作信号出力手段と、
前記スイッチ手段の動作に応じて前記検知電極を充電するための電圧を発生させると共に、前記検知電極の静電容量に応じた電圧を測定値として出力可能な測定値出力手段と、
前記測定値出力手段にて出力された前記測定値に基づく演算を行う演算手段と、
を備えた液体用濃度測定装置であって、
前記動作信号出力手段は、第1のデューティ比で前記スイッチ手段を切り換えるための第1デューティ比の動作信号、および、第2のデューティ比で前記スイッチ手段を切り換えるための第2デューティ比の動作信号を出力し、
前記測定値出力手段は、第1デューティ比による第1測定値および第2デューティによる第2測定値を出力し、
前記演算手段は、前記第1測定値に前記第2デューティ比を乗じたものと、前記第2測定値に前記第1デューティ比を乗じたものとの差分を、測定結果として出力すること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体用濃度測定装置において、
基準電圧を生成する基準電圧生成手段と、
前記基準電圧生成手段にて生成された基準電圧に対して前記第1測定値および前記第2測定値をAC結合するAC結合手段と、
前記AC結合手段にて基準電圧に対してAC結合された前記第1測定値および前記第2測定値を増幅する増幅手段と、
を備えていることを特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体用濃度測定装置において、
前記AC結合手段を構成するコンデンサの電荷量の調整に要する時間を切替可能な電荷量調整時間切替手段を備えていること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液体用濃度測定装置において、
前記電荷量調整時間切替手段は、定期的に、前記コンデンサの電荷量の調整に要する時間を切り替えること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の液体用濃度測定装置において、
エンジンに搭載され用いられることを前提とし、
前記電荷量調整時間切替手段は、前記エンジン始動前のイグニッションスイッチがオンされた際に、前記コンデンサの電荷量の調整に要する時間を切り替えること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか一項に記載の液体用濃度測定装置において、
前記動作信号出力手段は、前記電荷量調整時間切替手段によって切り替えられる調整期間に合わせて、前記第1デューティ比の動作信号および前記第2デューティ比の中間のデューティ比である第3デューティ比の動作信号を出力すること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体用濃度測定装置において、
前記測定値出力手段は、前記第1測定値および前記第2測定値を平滑化する平滑化手段を有していること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の液体用濃度測定装置において、
前記検知電極は、そのプラス側端子にカップリングコンデンサが接続されて構成されていること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の液体用濃度測定装置において、
前記検知電極は、そのマイナス側端子が直接接地されていること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の液体用濃度測定装置において、
前記測定値出力手段は、前記検知電極に対し、クロール型にて回路構成されていること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の液体用濃度測定装置において、
前記動作信号出力手段は、前記第1デューティ比の動作信号と前記第2デューティ比の動作信号とを、所定期間ごとに切り換えて出力すること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の液体用濃度測定装置において、
前記動作信号出力手段は、マイクロコンピュータの機能として実現されていること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の液体用濃度測定装置において、
前記第1測定値および前記第2測定値のうち少なくとも一方に基づき、前記検知電極の導電率を計測する導電率計測手段と、
前記導電率計測手段にて計測された導電率とあらかじめ設定される前記スイッチ手段の動作時に発生するスイッチオン抵抗とにより、前記第1測定値と前記第2測定値とに基づく差分である測定結果を補正すること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項14】
請求項13に記載の液体用濃度測定装置において、
前記スイッチオン抵抗を測定するスイッチオン抵抗測定手段を備え、
前記スイッチオン抵抗測定手段にて測定される前記スイッチオン抵抗に基づいて、前記測定結果を補正すること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の液体用濃度測定装置において、
前記第1測定値および前記第2測定値のうち少なくとも一方に基づき、前記検知電極の導電率を計測する導電率計測手段と、
前記導電率計測手段にて計測された導電率が所定の閾値を上回ると、異常信号を出力する異常信号出力手段とを備えていること
を特徴とする液体用濃度測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−133253(P2011−133253A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−290658(P2009−290658)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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