説明

液体紙容器用カートンを成形する角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出方法及び装置

【課題】液体紙容器用カートンを成形する筒状カートンブランクの寸法誤差・成型歪み検出方法。
【解決手段】液体紙容器用カートンを成形し胴貼りしてなる角筒状カートンブランク1を、設計上の胴部内径に略一致した外径を有する四角柱状の挿入部材2とのいずれか一方を移動させて、角筒状カートンブランク1と挿入部材2とを挿入又は離脱方向に摺動させ、カートンブランク1が挿入部材2から離脱する際の摺動に要する力から、カートンブランク1の寸法誤差や成形歪みを検出し、カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出方法であって、カートンブランク1に挿入部材2を挿入する際、又は、カートンブランク1に挿入部材2を挿入した後、カートンブランク1が前記挿入部材2から離脱する際摺動に要する力を測定し、予め定めた適正範囲の値に合致しているか外れているかを判定し、適正範囲の値から外れているものを寸法誤差・成形歪みありとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体紙容器用カートンを成形する角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カートンブランクを胴貼りしてなる角筒状カートンブランクにより成形される液体紙容器用カートンに液体を充填した液体紙容器には、ゲーブルトップ型紙容器やフラットトップ型紙容器等がある。前記角筒状カートンブランクから液体紙容器用カートンを成形して液体を充填し、液体紙容器を製造する成形装置は、通常、放射状に配置されたマンドレルを有する回転体と、マンドレルと協働してマンドレルに供給された角筒状カートンブランクの容器底部となる端部を閉じて液体紙容器用カートンを成形する紙容器底部製造装置とを備えている。この紙容器底部製造装置において、角筒状カートンブランクは角筒状に開かれて前記マンドレルを挿入され、マンドレルの回転に従って順次、容器底部となる端部が折り畳まれ、折り畳まれた端部が融着されて、有底の液体紙容器用カートンが成形されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0003】
一方、カートンブランクを胴貼りしてなる角筒状カートンブランクの胴部は、寸法の正確さや歪みのない成形が要求されるが、胴貼りする際、微妙な狂いが生じて、胴部寸法が予め設計された寸法よりも僅かに大きく又は小さくなったり、或いは胴部形状が正四角柱状とはならず、わずかに歪んでしまったりすることがある。
【0004】
角筒状カートンブランクの胴部に、寸法誤差や、成形歪みが生ずると、紙容器底部製造装置において次のような問題が起こり、液体紙容器の製造工程がストップしたり、出来上がりの液体紙容器に漏れ等が生じるなどのトラブルの原因となる。
【0005】
(a)角筒状カートンブランクの胴部寸法が予め設計された寸法より小さい場合や、胴部形状が歪んでいると、角筒状カートンブランクにマンドレルを挿入できない。この場合、無理に角筒状カートンブランクにマンドレルを挿入しようとすると、包材や角筒状カートンブランクの胴貼り部に皺、破れ、傷、剥がれが生ずる。
【0006】
(b)角筒状カートンブランクの胴部寸法が予め設計された寸法より大きい場合は、マンドレルを挿入された角筒状カートンブランクが、マンドレルの回転に伴ってマンドレルから抜け落ちてしまうおそれがある。また、角筒状カートンブランクがマンドレルにきちんと固定されないため、角筒状カートンブランクの底部となる端部を折り曲げ、底部を形成する際に、前記底部となる端部が予めつけられている折り目線からずれた位置で折り曲げられ、接着される。
【0007】
(c)角筒状カートンブランクの胴部形状が歪んでいる場合、角筒状カートンブランクがマンドレルに不正な位置で固定されるため、上記(b)と同様に、角筒状カートンブランクの底部となる端部を折り曲げ、底部を形成する際に、前記底部となる端部が予めつけられている折り目線からずれた位置で折り曲げられ、接着される。
【0008】
上記のような問題の発生を回避するため、角筒状カートンブランクの製造工程の後で、成形された角筒状カートンブランクをサンプリングして寸法誤差や成形歪みを検査している。この角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪みの検査は、従来、前記紙容器底部製造装置で用いているマンドレルと同じ寸法の挿入部材を用い、この挿入部材に作業者がサンプリングした角筒状カートンブランクを嵌めてみて、その際の摺動の具合を感覚的に判断し、寸法誤差や成形歪みを検出して行っていた。
【特許文献1】特開2002−355903号公報
【特許文献2】特開2002−361762号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来の角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪みの検査の仕方では、各作業者の感覚の違いにより寸法誤差や成形歪みの検査結果にバラツキが生じてしまう問題点があった。
【0010】
本発明の目的は、作業者の感覚によらずに寸法誤差や成形歪みの検査を行うことができ、バラツキが無く再現性の良い、液体紙容器用カートンを成形する角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために請求項1に記載の発明は、液体紙容器用カートンを成形するカートンブランクを胴貼りしてなる角筒状カートンブランクと、該角筒状カートンブランクの設計上の胴部内径に略一致した外径を有する四角柱状の挿入部材との少なくともいずれか一方を移動させて、前記角筒状カートンブランクと前記挿入部材とを挿入又は離脱方向に摺動させ、前記角筒状カートンブランクに前記挿入部材を挿入する際、又は、前記角筒状カートンブランクに前記挿入部材を挿入した後、前記角筒状カートンブランクが前記挿入部材から離脱する際の摺動に要する力から、前記角筒状カートンブランクの寸法誤差や成形歪みを検出する液体紙容器用カートンを成形する角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出方法であって、前記角筒状カートンブランクに前記挿入部材を挿入する際、又は、前記角筒状カートンブランクに前記挿入部材を挿入した後、前記角筒状カートンブランクが前記挿入部材から離脱する際摺動に要する力を測定し、その測定値が予め定めた適正範囲の値に合致しているか外れているかを判定し、前記適正範囲の値に合致しているものを寸法誤差・成形歪み無し、前記適正範囲の値から外れているものを寸法誤差・成形歪みありとすることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、液体紙容器用カートンを成形するカートンブランクを胴貼りしてなる角筒状カートンブランクと、該角筒状カートンブランクの設計上の胴部内径に略一致した外径を有する四角柱状の挿入部材との少なくともいずれか一方を移動させて、前記角筒状カートンブランクと前記挿入部材とを挿入又は離脱方向に摺動させ、前記角筒状カートンブランクに前記挿入部材を挿入する際、又は、前記角筒状カートンブランクに前記挿入部材を挿入した後、前記角筒状カートンブランクが前記挿入部材から離脱する際の摺動に要する力から、前記角筒状カートンブランクの寸法誤差や成形歪みを検出する液体紙容器用カートンを成形する角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出装置であって、前記挿入部材と前記筒状カートンブランクとの少なくともいずれか一方を移動させて摺動させる作動手段と、前記作動手段によって前記角筒状カートンブランクに前記挿入部材を挿入する際の摺動に要する力、又は、前記角筒状カートンブランクに前記挿入部材を挿入した後、前記角筒状カートンブランクを前記挿入部材から離脱する際の摺動に要する力を測定するセンサーと、前記センサーから得られた測定値が予め定めた適正範囲の値に合致しているか外れているかを判定し、前記適正範囲の値に合致しているものを寸法誤差・成形歪み無し、前記適正範囲の値から外れているものを寸法誤差・成形歪みありとする判定手段とを備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の、前記判定手段では、前記液体紙容器用カートンの種類別に前記適正範囲の値を予めそれぞれ記憶させておき、前記液体紙容器用カートンの種類に応じた前記適正範囲の値を用いて判定を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の液体紙容器用カートンを成形する角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出方法によれば、角筒状カートンブランクに挿入部材を挿入する際、又は、角筒状カートンブランクに挿入部材を挿入した後、角筒状カートンブランクが挿入部材から離脱する際摺動に要する力を測定し、その測定値が予め定めた適正範囲の値に合致しているか外れているかを判定し、適正範囲の値に合致しているものを寸法誤差・成型歪み無し、適正範囲の値から外れているものを寸法誤差・成形歪みありとするので、バラツキが無く再現性の良い、寸法誤差や成形歪みの検査を精度良く行うことができる。
【0015】
請求項2に記載の液体紙容器用カートンを成形する角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出装置によれば、挿入部材と筒状カートンブランクとの少なくともいずれか一方を移動させて摺動させる作動手段と、作動手段によって角筒状カートンブランクに挿入部材を挿入する際の摺動に要する力、又は、角筒状カートンブランクに挿入部材を挿入した後、角筒状カートンブランクを挿入部材から離脱する際の摺動に要する力を測定するセンサーと、センサーから得られた測定値が予め定めた適正範囲の値に合致しているか外れているかを判定し、適正範囲の値に合致しているものを寸法誤差・成形歪み無し、前記適正範囲の値から外れているものを寸法誤差・成形歪みありとする判定手段とを備えているので、簡単な操作で、バラツキが無く再現性の良い、寸法誤差や成形歪みの検査を精度良く行うことができる。
【0016】
請求項3に記載の液体紙容器用カートンを成形する角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出装置によれば、請求項2に記載の判定手段において、液体紙容器用カートンの種類別に適正範囲の値を予めそれぞれ記憶させておき、液体紙容器用カートンの種類に応じた適正範囲の値を用いて判定を行うようになっているので、大きさや容量、紙基材の坪量や紙基材の表裏両面に積層される樹脂層の種類・厚さ等が異なる、種種の液体紙容器用カートンの種類に応じた適正範囲の値を用いて判定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る液体紙容器用カートンを成形する角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出方法及び装置を実施するための最良の形態を、図に示す実施例を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1乃至図8は本発明に係る液体紙容器用カートンを成形する角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出装置の実施の一例を示したもので、図1は本実施例の全体説明図、図2は本実施例の一部省略斜視図、図3、図4、図5は本実施例におけるガイド部に折り畳まれた角筒状カートンブランクを支持させる工程を示す説明図、図6は本実施例に角筒状カートンブランクを装着した状態を示す斜視図、図7、図8は本実施例における角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪みの検出動作の一例を示す説明図である。
【0019】
本実施例の液体紙容器用カートンを成形する角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出装置は、角筒状カートンブランク1に挿入する挿入部材2と、角筒状カートンブランク1を移動させ、角筒状カートンブランク1と挿入部材2とを挿入方向又は離脱方向に摺動させる作動手段3と、作動手段3によって角筒状カートンブランク1に挿入部材2を挿入する際の摺動に要する力(摺動抵抗)を測定するセンサー4と、センサー4から得られた測定値が予め定めた適正範囲の値に合致しているか外れているかを判定し、適正範囲の値に合致しているものを寸法誤差・成形歪み無し、適正範囲の値から外れているものを寸法誤差・成形歪みありとする判定手段5とを備えている。
【0020】
挿入部材2は、角筒状カートンブランク1の設計上の胴部内径に略一致した外径を有する四角柱状となっており、本実施例では紙容器底部製造装置で使用するマンドレルと実質的に同材料で形成している。この挿入部材2は、ベース板6の一端に立設されたブラケット7に所定の高さで、水平向きに基端が固定されて支持されており、その先端がベース板6の長手方向の他端側を向いている。
【0021】
挿入部材2が挿入される角筒状カートンブランク1は、表裏両面に例えばポリオレフィン系樹脂の如き熱可塑性樹脂を積層した板紙基材からなるカートンブランクを胴貼りすることにより、即ち、カートンブランクを予めつけられた平行する複数本の各折り目線に沿って折り曲げ、各折り目線に平行する両端を融着することにより胴部1aが形成され、この胴部1aの4つの面の一端には、それぞれ4つの底部形成片1bが突設され、他端には、それぞれ4つの頂部形成片1cが突設されている。
【0022】
作動手段3は、ベース板6上に設けられ、直動機構8によってベース板6の長手方向に往復移動、即ち挿入部材2に対して接近離反方向に直線的に移動する移動部9と、移動部9上に後に詳述するセンサー4を介して設けられて角筒状カートンブランク1の一方の開口端部を固定する固定部10によって構成されている。直動機構8にあっては、ベース板6上、移動部9をベース板6の長手方向に往復移動させるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、公知のエアシリンダ、油圧シリンダ、電動シリンダ、サーボモータ等が使用される。また、固定部10にあっては、その正面の両側に角筒状カートンブランク1の一方の開口端部の端片、本実施例では4つの頂部形成片1cのうちの1つをそれぞれ挟持する挟持凹部10aと、これらの挟持凹部10aに挟持された角筒状カートンブランク1の頂部形成片1cを固定するネジ等の固定具10bを設けた構造となっている。
【0023】
センサー4は、作動手段3を構成する移動部9上に設けられて、移動部9の移動に伴って同方向に移動するようになっている。このセンサー4は、作動手段3によって挿入部材2を角筒状カートンブランク1に挿入する際の摺動に要する力を測定するためのものであって、例えばフォースゲージが使用されている。フォースゲージは、センサー部4aと、フォースゲージ本体部4bとが電気ケーブル4cで相互に接続されて構成されている。そしてセンサー部4aが作動手段3を構成する移動部9上に設けらており、このセンサー部4aに角筒状カートンブランク1の一方の開口端部を固定する固定部10が支持されている。
【0024】
判定手段5は、センサー4から得られた測定値が予め定めた適正範囲の値に合致しているか外れているかを判定し、適正範囲の値に合致しているものを寸法誤差・成形歪み無し、適正範囲の値から外れているものを寸法誤差・成形歪みありとする判定を行うものであって、パーソナルコンピュータ5aで構成され、例えば、センサー4としてフォースゲージを用いた場合には、フォースゲージ本体部4bに対して電気ケーブル11で接続される。ここで適正範囲の値とは、挿入部材2を角筒状カートンブランク1に挿入する際の摺動に要する力として、液体紙容器の製造工程がストップしたり、出来上がりの液体紙容器に漏れ等を生じさせない値の範囲を試験により求めて得られた値である。この値は、角筒状カートンブランク1の大きさや容量、角筒状カートンブランク1を構成する包材を形成する紙基材の坪量や紙基材の表裏両面に積層される樹脂層の種類・厚さ等により異なるので、液体紙容器の種類に応じてそれぞれ求めておくことが好ましい。パーソナルコンピュータ5aは、このようにして得られた適正範囲の値を予めそれぞれ図示しないメモリに記憶させておき、角筒状カートンブランクの寸法誤差や成形歪みを検出しようとする液体紙容器の種類に応じ、適正範囲の値を該メモリから読み出して判定を行うようになっている。また、パーソナルコンピュータ5aの表示画面5bには、例えばフォースゲージ本体部4bから送られてくる、挿入部材2を角筒状カートンブランク1に挿入する際の摺動に要する力等の測定値を経時的に表示するようにしてもよい。
【0025】
また、ベース板6及びベース板6から側方に延設されたベース板6aに跨って、挿入部材2を挿入する角筒状カートンブランク1を支持し、挿入部材2へガイドするガイド部12が設けられている。このガイド部12は、挿入部材2の長手方向と平行に配置された固定ガイドレール13と可動ガイドレール14とにより構成されている。これら固定ガイドレール13と可動ガイドレール14とは、コーナ形のアングル材で形成され、角筒状カートンブランク1の胴部の対角線を挟んで対向する上下のコーナ部を受けて支持するようになっている。そして、角筒状カートンブランク1の胴部の対角線を挟んで対向する上下のコーナ部を受けて支持する支持面は、角筒状カートンブランク1の表面と摺動抵抗が極力少ないことが好ましく、エンボスやスリットを形成するとよい。
【0026】
固定ガイドレール13と可動ガイドレール14のうち、上方には固定ガイドレール13が位置し、下方には可動ガイドレール14が位置しており、固定ガイドレール13は、ベース板6の上にブラケット15で立設されている。可動ガイドレール14は、ベース板6a上に設けられたガイド部作動手段16によって挿入部材2の長手方向と直交する方向に往復移動、即ち、固定ガイドレール13に対して接近離反する方向に直線的に移動するように構成されている。ガイド部作動手段16は、ベース板6a上に設けられ、直動機構17によって挿入部材2の長手方向と直交する方向に往復移動し、可動ガイドレール14を支持する移動部18によって構成されている。直動機構17にあっては、移動部18を挿入部材2の長手方向と直交する方向に往復移動させるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、公知のエアシリンダ、油圧シリンダ、電動シリンダ、サーボモータ等が使用される。
【0027】
次に、上記のように構成された液体紙容器用カートンを成形する角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出装置を用いた角筒状カートンブランクにおける寸法誤差・成形歪み検出方法について説明する。
【0028】
先ず、ガイド部12に角筒状カートンブランク1を支持させる。ガイド部12への角筒状カートンブランク1の支持は、本実施例では、図3乃至図5に示すようにして行われる。
【0029】
先ず、固定ガイドレール13に対し可動ガイドレール14は後退状態にあり、この状態の固定ガイドレール13と可動ガイドレール14の間に扁平に折り畳まれた角筒状カートンブランク1を供給し、胴部1aの対角線を挟んで対向する上下のコーナ部を固定ガイドレール13と可動ガイドレール14の支持面で支持させる(図3)。
【0030】
次に、直動機構17を作動させて移動部18とともに可動ガイドレール14を固定ガイドレール13に対して接近する方向に前進させることにより、扁平な状態にあった角筒状カートンブランク1を角筒状に徐々に変形させる(図4)。
【0031】
そして、扁平な角筒状カートンブランク1の胴部1aが正四角柱状になったら、図示しないストッパの作用により直動機構17の作動を停止させ、可動ガイドレール14の前進を止める(図5)。このようにしてガイド部12への角筒状カートンブランク1の支持が完了する。
【0032】
ガイド部12で支持された角筒状カートンブランク1は、挿入部材2と平行で、その開口部が挿入部材2の先端と一致した状態で向き合う。
【0033】
ガイド部12への角筒状カートンブランク1の支持が完了したら、ガイド部12で支持されている角筒状カートンブランク1の頂部形成片1cを、作動手段3を構成する固定部10の挟持凹部10aに挟持させ、固定具10bで固定する(図6)。
【0034】
そして、直動機構8を作動させ、移動部9を挿入部材2に対して接近する方向に移動させ(図7)、角筒状カートンブランク1に挿入部材2を挿入させる。
【0035】
このときの角筒状カートンブランク1内面と挿入部材2外面との摺動に要する力をセンサー4で測定し、その測定値を判定手段5を構成するパーソナルコンピュータ5aに入力し、メモリに記憶させている予め定めた適正範囲の値に合致しているか外れているかを判定し、適正範囲の値に合致しているものを寸法誤差・成形歪み無し、適正範囲の値から外れているものを寸法誤差・成形歪みありとして、角筒状カートンブランク1における寸法誤差・成形歪みを検出する。
【0036】
上記の実施例では、角筒状カートンブランク1に挿入部材2を挿入したときの角筒状カートンブランク1内面と挿入部材2外面との摺動に要する力をセンサー4で測定して、その測定値をもって角筒状カートンブランクにおける寸法誤差・成形歪みを検出しているが、角筒状カートンブランク1に挿入部材2を挿入した後、角筒状カートンブランク1を挿入部材2から離脱させ、そのときの角筒状カートンブランク1内面と挿入部材2外面との摺動に要する力をセンサー4で測定して、その測定値をもって角筒状カートンブランクにおける寸法誤差・成形歪みを検出してもよい。また、上記実施例では、角筒状カートンブランク1への挿入部材2の挿入、又は、角筒状カートンブランク1の挿入部材2からの離脱にあたっては、角筒状カートンブランク1を作動手段3により移動させているが、作動手段3により移動させるのは挿入部材2であっても構わない。
【0037】
なお、本発明の実効性を実証するために、上記のように構成された液体紙容器用カートンを成形する角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出装置を用いて、下記のような実験を行った。
【0038】
[実験1]
秤量320g/mのミルクカートン用原紙の表裏両面に、低密度ポレエチレン樹脂からなる熱可塑性樹脂層(表面熱可塑性樹脂層 厚さ18μm、裏面熱可塑性樹脂層 厚さ29μm)を積層した包材からなり、図9に示す如き容量1000mlの液体紙容器用カートンブランク19を用いて、その胴部を形成する4枚のパネル20a〜20dのうち、出来上がりの液体紙容器において対向することとなるパネル同士の幅方向長さ、即ちパネル20aと20c、20bと20dの幅方向長さが、互いに等しくなるように胴貼りされた角筒状カートンブランク1を5枚作成した。この角筒状カートンブランク1について、本発明の角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出装置を用い、挿入部材2を挿入する際の摺動に要する力を測定した。その結果、このとき摺動に要する力は、0.41±0.05kgであった。
【0039】
上記角筒状カートンブランク1と同様に胴貼りされた角筒状カートンブランクは、四国化工機製の成形充填機(UPN−SE65)にて液体紙容器用カートンを形成した際、容器底部成形装置で問題なく底部が形成され、液体からなる内容物を充填しても液漏れ等を生じなかった。
【0040】
[実験2]
上記実験1で用いた液体紙容器用カートンブランクと同じ図9に示す如き液体紙容器用カートンブランク19を用い、その胴部を形成する4枚のパネル20a〜20dのうち、パネル20dの幅方向長さが、出来上がりの液体紙容器において、このパネル20dと対向することとなるパネル20bの幅方向長さよりも0.3mm短くなるように胴貼りされた角筒状カートンブランク1を5枚作成した。この角筒状カートンブランク1について、本発明の角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出装置を用い、挿入部材2を挿入する際の摺動に要する力を測定した。その結果、このとき摺動に要する力は、0.75±0.05kgであった。
【0041】
上記角筒状カートンブランク1と同様に胴貼りされた角筒状カートンブランクは、四国化工機製の成形充填機(UPN−SE65)にて液体紙容器用カートンを形成した際、容器底部成形装置で問題なく底部が形成され、液体からなる内容物を充填しても液漏れ等を生じなかった。
【0042】
[実験3]
上記実験1で用いた液体紙容器用カートンブランクと同じ図9に示す如き液体紙容器用カートンブランク19を用い、その胴部を形成する4枚のパネル20a〜20dのうち、パネル20dの幅方向長さが、出来上がりの液体紙容器において、このパネル20dと対向することとなるパネル20bの幅方向長さよりも0.3mm長くなるように胴貼りされた角筒状カートンブランク1を5枚作成した。この角筒状カートンブランク1について、本発明の角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出装置を用い、挿入部材2を挿入する際の摺動に要する力を測定した。その結果、このとき摺動に要する力は、0.35±0.03kgであった。
【0043】
上記角筒状カートンブランク1と同様に胴貼りされた角筒状カートンブランクは、四国化工機製の成形充填機(UPN−SE65)にて液体紙容器用カートンを形成した際、容器底部成形装置で問題なく底部が形成され、液体からなる内容物を充填しても液漏れ等を生じなかった。
【0044】
[実験4]
上記実験1で用いた液体紙容器用カートンブランクと同じ図9に示す如き液体紙容器用カートンブランク19を用い、その胴部を形成する4枚のパネル20a〜20dのうち、パネル20dの幅方向長さが、出来上がりの液体紙容器において、このパネル20dと対向することとなるパネル20bの幅方向長さよりも0.4mm短くなるように胴貼りされた角筒状カートンブランク1を5枚作成した。この角筒状カートンブランク1について、本発明の角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出装置を用い、挿入部材2を挿入する際の摺動に要する力を測定した。その結果、このとき摺動に要する力は、1.00±0.05kgであった。
【0045】
上記角筒状カートンブランク1と同様に胴貼りされた角筒状カートンブランクは、四国化工機製の成形充填機(UPN−SE65)にて液体紙容器用カートンを形成する際、容器底部成形装置においてマンドレルを挿入し、又はマンドレルを引き抜くときに内面に傷がついたり、底部となる端部が折り目線からずれた位置で折り曲げられ、接着されるというトラブルを発生させた。
【0046】
[実験5]
上記実験1で用いた液体紙容器用カートンブランクと同じ図9に示す如き液体紙容器用カートンブランク19を用い、その胴部を形成する4枚のパネル20a〜20dのうち、パネル20dの幅方向長さが、出来上がりの液体紙容器において、このパネル20dと対向することとなるパネル20bの幅方向長さよりも0.4mm長くなるように胴貼りされた角筒状カートンブランク1を5枚作成した。この角筒状カートンブランク1について、本発明の角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出装置を用い、挿入部材2を挿入する際の摺動に要する力を測定した。その結果、このとき摺動に要する力は、0.27±0.03kgであった。
【0047】
上記角筒状カートンブランク1と同様に胴貼りされた角筒状カートンブランクは、四国化工機製の成形充填機(UPN−SE65)にて液体紙容器用カートンを形成する際、容器底部成形装置において、底部となる端部が折り目線からずれた位置で折り曲げられ、接着されるというトラブルを発生させた。
【0048】
上記実験1〜5の結果より、本実験で用いた液体紙容器用カートンブランクは、これを胴貼りした角筒状カートンブランク1について本発明の角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出装置にて測定した、挿入部材2を挿入する際の摺動に要する力が0.32〜0.80kg、好ましくは0.35〜0.75kg、特に好ましくは0.38〜0.70kgである場合に、四国化工機製の成形充填機(UPN−SE65)にて液体紙容器用カートンを成形し、液体からなる内容物を充填したとき、容器底部成形装置で問題なく底部が形成され、内容物を充填しても液漏れ等を生じさせないことがわかった。また、角筒状カートンブランク1に挿入部材2を挿入する際の摺動に要する力が、0.32kg未満や、0.80kgを越える場合には、液体紙容器用カートンの内面に傷が付いたり、その底部が成形不良を起こしたりするおそれがあることもわかった。
【0049】
このように、角筒状カートンブランク1の寸法誤差・成形歪みは、角筒状カートンブランク1内面と、この角筒状カートンブランク1の設計上の胴部内径に略一致した外径を有する四角柱状の挿入部材2顔面との摺動に要する力と相関し、角筒状カートンブランク1と挿入部材2とは、この角筒状カートンブランク1から液体紙容器の成形充填装置を用いて液体紙容器用カートンを成形し、液体からなる内容物を充填したとき、容器底部成形装置で問題なく底部が形成され、内容物を充填しても液漏れ等を生じさせないため、上記摺動に要する力が特定な範囲内にある必要がわかる。本発明はこのことをりようして、角筒状カートンブランク1の不適切な寸法誤差・成形歪みの有無の判定を、角筒状カートンブランク1に挿入部材2を挿入する際、又は、角筒状カートンブランク1に挿入部材2を挿入した後、挿入部材2から角筒状カートンブランク1を離脱させる際の摺動に要する力を測定して行うものである。
【0050】
即ち、本発明の角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出装置を用い、事前に、角筒状カートンブランク1に挿入部材2を挿入する際の摺動に要する力、又は、角筒状カートンブランク1に挿入部材2を挿入した後、挿入部材2から角筒状カートンブランク1を離脱させる際の摺動に要する力として、液体紙容器の製造工程がストップしたり、出来上がりの液体紙容器に漏れ等が生じさせない値の範囲を求め、これを適正範囲の値として予め定めておき、実操業においては、角筒状カートンブランク1の製造工程の後で、成型された角筒状カートンブランク1をサンプリングし、サンプリングした角筒状カートンブランク1について、この角筒状カートンブランク1と挿入部材2との上記摺動に要する力を測定し、その測定値が予め定めた適正範囲の値に合致しているか外れているかを判定し、適正範囲の値に合致しているものを寸法誤差・成形歪み無し、前記適正範囲の値から外れているものを寸法誤差・成形歪みありとする。従って本発明によれば、角筒状カートンブランク1の不適切な寸法誤差・成形歪みの検査を、バラツキが無く、再現性良く、精度も高く行うことができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る液体紙容器用カートンを成形する角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出装置の実施の一例を示した全体説明図である。
【図2】本実施例の一部省略斜視図である。
【図3】本実施例におけるガイド部に折り畳まれた角筒状カートンブランクを支持させる工程を示す説明図である。
【図4】本実施例におけるガイド部に折り畳まれた角筒状カートンブランクを支持させる工程を示す説明図である。
【図5】本実施例におけるガイド部に折り畳まれた角筒状カートンブランクを支持させる工程を示す説明図である。
【図6】本実施例に角筒状カートンブランクを装着した状態を示す斜視図である。
【図7】本実施例で角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪みの検出動作の一例を示す説明図である。
【図8】本実施例で角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪みの検出動作の一例を示す説明図である。
【図9】液体紙容器用カートンブランクの展開図である。
【符号の説明】
【0052】
1 角筒状カートンブランク
1a 胴部
1b 底部形成片
1c 頂部形成片
2 挿入部材
3 作動手段
4 センサー
4a センサー部
4b フォースゲージ本体部
4c 電気ケーブル
5 判定手段
5a パーソナルコンピュータ
5b 表示画面
6、6a ベース板
7 ブラケット
8 直動機構
9 移動部
10 固定部
10a 挟持凹部
10b 固定具
11 電気ケーブル
12 ガイド部
13 固定ガイドレール
14 可動ガイドレール
15 ブラケット
16 ガイド部作動手段
17 直動機構
18 移動部
19 液体紙容器用カートンブランク
20a、20b、20c、20d パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体紙容器用カートンを成形するカートンブランクを胴貼りしてなる角筒状カートンブランクと、該角筒状カートンブランクの設計上の胴部内径に略一致した外径を有する四角柱状の挿入部材との少なくともいずれか一方を移動させて、前記角筒状カートンブランクと前記挿入部材とを挿入又は離脱方向に摺動させ、前記角筒状カートンブランクに前記挿入部材を挿入する際、又は、前記角筒状カートンブランクに前記挿入部材を挿入した後、前記角筒状カートンブランクが前記挿入部材から離脱する際の摺動に要する力から、前記角筒状カートンブランクの寸法誤差や成形歪みを検出する液体紙容器用カートンを成形する角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出方法であって、
前記角筒状カートンブランクに前記挿入部材を挿入する際、又は、前記角筒状カートンブランクに前記挿入部材を挿入した後、前記角筒状カートンブランクが前記挿入部材から離脱する際摺動に要する力を測定し、その測定値が予め定めた適正範囲の値に合致しているか外れているかを判定し、前記適正範囲の値に合致しているものを寸法誤差・成形歪み無し、前記適正範囲の値から外れているものを寸法誤差・成形歪みありとすることを特徴とする液体紙容器用カートンを成形する角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出方法。
【請求項2】
液体紙容器用カートンを成形するカートンブランクを胴貼りしてなる角筒状カートンブランクと、該角筒状カートンブランクの設計上の胴部内径に略一致した外径を有する四角柱状の挿入部材との少なくともいずれか一方を移動させて、前記角筒状カートンブランクと前記挿入部材とを挿入又は離脱方向に摺動させ、前記角筒状カートンブランクに前記挿入部材を挿入する際、又は、前記角筒状カートンブランクに前記挿入部材を挿入した後、前記角筒状カートンブランクが前記挿入部材から離脱する際の摺動に要する力から、前記角筒状カートンブランクの寸法誤差や成形歪みを検出する液体紙容器用カートンを成形する角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出装置であって、
前記挿入部材と前記筒状カートンブランクとの少なくともいずれか一方を移動させて摺動させる作動手段と、前記作動手段によって前記角筒状カートンブランクに前記挿入部材を挿入する際の摺動に要する力、又は、前記角筒状カートンブランクに前記挿入部材を挿入した後、前記角筒状カートンブランクを前記挿入部材から離脱する際の摺動に要する力を測定するセンサーと、前記センサーから得られた測定値が予め定めた適正範囲の値に合致しているか外れているかを判定し、前記適正範囲の値に合致しているものを寸法誤差・成形歪み無し、前記適正範囲の値から外れているものを寸法誤差・成形歪みありとする判定手段とを備えていることを特徴とする液体紙容器用カートンを成形する角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出装置。
【請求項3】
前記判定手段では、前記液体紙容器用カートンの種類別に前記適正範囲の値を予めそれぞれ記憶させておき、前記液体紙容器用カートンの種類に応じた前記適正範囲の値を用いて判定を行うことを特徴とする請求項2に記載の液体紙容器用カートンを成形する角筒状カートンブランクの寸法誤差・成形歪み検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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