説明

液体製品を小出しするための小出し装置

【課題】容器から(液体洗剤など製品を含む)液体製品を小出しするための小出し装置であって、複雑な構成を持たず高価でなく製造できる液体製品用小出し装置を提供すること。
【解決手段】小出し装置1は、第1のチャンバ12と第2のチャンバ13、第1のチャンバと小出し装置が取り付けられた容器の内部との間に流体接続を確立する流入路4及び第2のチャンバを介して小出し装置によって小出しされる液体製品を送出するように適応された流出路8とを含む。中間壁11は小出し装置の内部を第1のチャンバと第2のチャンバに分割し、第1のチャンバと第2のチャンバの間の中間通路14が中間壁11の縁15の位置に画定され、且つ、その縁が第1のチャンバの方に突出するように湾曲されるか又は傾斜される。それにより、小出し装置が傾けられたときに液体製品が中間通路を介して第1のチャンバから出るのが防止され、非常に正確な小出し作業が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤、洗剤、軟化剤、液体化粧石鹸、シャンプー、医薬品等の液体製品を小出しするための小出し装置に関する。より詳細には、本発明は、正確に計量された量の液体製品を小出しすることができる小出し装置に関する。本発明の小出し装置は、小出しされる液体製品を収容する容器に取り付けられると有利なことがある。
【背景技術】
【0002】
例えば前述の種類の液体製品のための小出し装置は、当該技術分野では多くの種類が知られている。例えば、特許文献1は、定量の液体製品を供給する装置を開示している。この装置は、挿入部材によって小出しチャンバと送出部分に分割された内部を有する。液体は、装置内を通るZ形経路をたどり、小出しチャンバ内に収容することができる量の液体だけが、注入動作で装置がひっくり返されるたびに、装置から小出しされる。小出し装置の内部を小出しチャンバと送出部分に分割する挿入部材は、実質的に小出し装置の縦軸に沿って延在する壁を確定する。
【0003】
特許文献2は、装置の内部を小出しチャンバと出口チャンバに分割する垂直分割壁を有する類似の小出し装置を開示している。特許文献2に開示された小出し装置は、特許文献1に開示された小出し装置と同じように機能する。
【0004】
特許文献3は、実質的に小出し装置の縦軸に沿って延在する間仕切壁によって分割された2つの隔室を有する別の類似の小出し装置を開示している。
【0005】
特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に開示された小出し装置には全て、液体製品が小出し装置を介して小出しされるときに、装置の特定の傾斜角又は角度範囲があるために、液体製品が入った容器の内部と容器の外部から小出し装置を介して液体製品が通過してしまうという欠点がある。従って、小出し装置がこの角度に傾けられたときは、液体製品は、既定の一回分に計量されることなく小出し装置を通過する可能性がある。従って、既定の一回分より多い一回分が装置から小出しされることがあり、それにより、この状況では小出し装置は信頼性が低い。更に、小出し装置は、この特定の角度に傾けられているときに「ドクドク」又は「ゴボゴボ」という音を出しやすく、これも望ましくない。更に、そのような「ドクドク」又は「ゴボゴボ」という音は、小出し装置を通過する液体製品の問題を引き起こしたり又は悪化させたりする場合がある。
【0006】
他の種類の既知の小出し装置は、装置の機能を信頼性を高めるためにガスケット、弁、又は弁と似た機能を備える。しかしながら、そのような小出し装置は、一般に、より複雑であり、従って製造するのに高価である。
【0007】
【特許文献1】EP0969269
【特許文献2】EP0082439
【特許文献3】GB2145061
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本発明の目的は、液体製品を小出しし、不正確な一回分の小出しを防ぐことができる単純な小出し装置を提供することである。
【0009】
本発明の更に他の目的は、液体製品を小出しし、「ドクドク」又は「ゴボゴボ」という音の発生を防ぐことができる単純な小出し装置を提供することである。
【0010】
本発明によれば、以上その他の目的は、液体製品を収容する容器から前記製品を小出しするための小出し装置を提供することにより達成され、その小出し装置は、
第1のチャンバと第2のチャンバと、
第1のチャンバと小出し装置が取り付けられた容器の内部との間で流体接続を確立する流入路と、
小出し装置によって小出しされる液体製品を送出するように適応され、第2のチャンバに流体接続された流出路と、
小出し装置が取り付けられた容器の内部の方に第2のチャンバの境界を定める第1の端壁と、
少なくとも第1のチャンバの境界を定め、第1の壁と実質的に反対側に配置された第2の端壁と、
小出し装置の内部を第1のチャンバと第2のチャンバに分割する中間壁とを有し、中間壁は、中間壁の縁の位置に中間通路が画定されるように第2の端壁から第1の端壁の方向に延在し、前記中間通路は、第1のチャンバと第2のチャンバ間の流体連通を提供し、
中間壁は、中間壁の表面に定められ第2の端壁から中間壁の縁の方に延在する湾曲が、第1のチャンバの方に向かう接線を有する部分を有するように位置決めされる。
【0011】
本発明による小出し装置は、洗浄剤、液体洗剤、軟化剤、液体セッケン、シャンプー、又は製品を収容する容器から小出しにすることが望ましい他の適切な種類の液体製品等の液体製品を小出しするように適応される。本発明による小出し装置は、更に、計量した一回分の液体製品を小出しすることができる。本発明による小出し装置は、更に、単純な設計を有し、従って製造が容易である。これについては更に後で説明される。
【0012】
流入路は、第1のチャンバと小出し装置が取り付けられた容器の内部との間に流体接続を確立する。従って、小出し装置が容器に取り付けられたとき、液体製品は、流入路を介して、容器の内部から第1のチャンバ内に、それにより小出し装置内に通される。従って、液体製品が、小出し装置によって容器から小出しされるとき、最初に、容器からの液体製品が、第1のチャンバに入ることによって小出し装置に入る。
【0013】
流出路は、第2のチャンバに流体接続され、小出し装置によって小出しされる液体製品を送出するように適応される。従って、液体製品が小出し装置によって小出しされるとき、第2のチャンバから流出路を介して小出し装置を出る。
【0014】
第1の端壁は、小出し装置が取り付けられた容器の内部の方の第2のチャンバの境界を定める。従って、小出し装置が容器に取り付けられたとき、第1の端壁は、容器の内部と小出し装置の内部との間の境界を提供し、即ち、容器と小出し装置によってそれぞれ画定される容積を分離する。従って、第1の端壁は、液体製品が小出し装置に自由に入るのを防ぎ、またそれにより、液体製品は、前述のように流入路を介して小出し装置だけに入ることができる。また、第1と第2のチャンバは、通常、側壁によって境界が定められる。そのような側壁は、小出し装置及び/又は小出し装置が取り付けられた容器によって画定されてもよい。
【0015】
第1の端壁は、実質的に平らな壁でよく、例えば、容器によって定義された縦軸と実質的に垂直に配置されるか或いはそのような縦軸に対して斜めに配置されてもよい。代替として、第1の端壁は、他の適切な形状(例えば、凸形状、凹形状、波状、起伏形状、又は他の適切な形状等の湾曲形状)を有することができる。代替又は追加として、第1の端壁の表面は、1つ又は複数のくぼみ、波形、起伏、エンボス・パターン等を備えてもよい。
【0016】
第2の端壁は、少なくとも第1のチャンバの境界を定め、また第1の端壁と実質的に反対側に配置される。この文脈では、用語「実質的に反対」は、第1の端壁と第2の端壁の表面が、それらの間の相互距離で向かい合っていることを意味するように解釈される。第1の端壁と第2の端壁は、実質的に平行に配置されてもよいが、代替として、端壁間の傾きが画定されるように配置されてもよい。第1の端壁が、容器の方の小出し装置の境界を定めるので、それにより、第2の端壁は、容器から遠い方、即ち周囲の方の少なくとも第1のチャンバの境界を定める。
【0017】
第2の端壁は、更に、この方向の第2のチャンバの境界を定めることができる。しかしながら、代替として、第2のチャンバは、更に他の端壁によって境界が定められてもよく、例えば第2の端壁のレベルに対してずらされたレベルに配置されてもよい。別の代替として、第2のチャンバは、単純にこの方向に境界が定められなくてもよい。この場合、出口は、単に、第2の端壁が配置されたレベル又は任意の他のレベルに対応するレベルで第2のチャンバの断面積に対応する面積を有してもよい。
【0018】
中間壁は、小出し装置の内部を第1のチャンバと第2のチャンバに分割する。従って、中間壁の一方の面は第1のチャンバに向き、中間壁の別の面は第2のチャンバに向く。中間壁は、中間壁の内部に空洞やチャネル等が画定されないという意味で中実でよい。この場合、中間壁は、薄い(例えば、シート状構造を有する)ことが好ましい。代替として、中間壁は、1つ又は複数の中空部品(例えば、1つ又は複数の空洞の形)及び/又は1つ又は複数のチャネルの形(例えば、小出しする際に周囲から容器内への空気の流れを容易にするか制御する)を含んでもよい。
【0019】
中間壁は、第2の端壁から第1の端壁の方に延在する。従って、中間壁は、好ましくは液体製品及び/又は空気が第2の端壁と中間壁間を通るのを防ぐことができるほど充分に密封又は気密に第2の端壁に取り付けられるか、第2の端壁と一体化されるか、第2の壁壁と当接する。
【0020】
第2の端壁への中間壁の取り付け部又は当接部と反対側に、中間壁は、中間壁の自由端を画定する縁を備える。中間壁は、縁の位置に中間通路が画定されるように延在し、中間通路は、第1のチャンバと第2のチャンバ間で流体連通を提供し、即ち中間通路は、第1の端壁と側壁から一定の距離で「止まる」。従って、液体製品は、中間通路を介して第1のチャンバから第2のチャンバに通ることができる。液体製品が小出し装置を介して容器から小出しされるとき、液体製品は、流入路を介して容器から第1のチャンバに通り、更に中間通路を介して第2のチャンバに入り、最終的に液体製品は、流出路を介して小出し装置から送出される。同時に、空気は、逆方向に流出路を介して周囲から第2のチャンバ内に通り、更に中間通路を介して第1のチャンバに入り、最終的に流入路を介して容器に入り、それにより小出しされた量の液体製品が前に占めていた容積が満たされる。空気は、液体の通路の通り方と似た実質的に「一回分」で通路内を通る。
【0021】
中間壁は、中間壁の表面に定められ第2の端壁から中間壁の縁の方に延在する曲線が、第1のチャンバの方に向かう接線を有するように位置決めされる。それにより、第1のチャンバは、空洞又はボウル形領域を画定する。この結果、第1のチャンバが第2のチャンバより上に配置されるように小出し装置が向けられたとき、中間壁の一部分は、空洞又はボウル形領域より高いレベルに配置されることになる。従って、小出し装置がそのように向けられたとき、液体製品は、中間壁の縁を越えて中間通路内を通るには、上方向に、即ち重力に逆らって動かなければならないので、第1のチャンバに収容された液体製品は閉じ込められる。これは、液体製品が小出し装置を通過し、即ち流入路から流出路まで通過できる角度に小出し装置を傾けることができないことが保証されるので有利である。従って、本発明の小出し装置は漏れがなく、「ドクドク」又は「ゴボゴボ」という音について前に述べた問題も回避される。更に、小出し装置から常に正確に計量された一回分の液体製品が小出しされることが保証される。これについては後で更に詳しく説明される。
【0022】
空洞又はボウル形領域は、中間壁全体又は中間壁のもっと小さな部分によって構成されてもよい。後者の場合、領域は、第2の端壁の近くにあってもよく、縁の近くにあってもよく、又は第2の端壁と縁の間のどこかにあってもよい。
【0023】
本発明の小出し装置は、以下の方法で操作されると有利な場合がある。小出し装置は、小出し装置によって小出しされる液体製品を収容する容器の口に取り付けられる。代替として、小出し装置は、容器の口の一体部分を構成してもよい。この口は、通常、容器が収容のみに使用されるとき、即ち液体製品が小出しされていないときは、容器の上方に向けられた部分に配置される。従って、この状況では、容器内の液体製品は口と接しておらず、それにより小出し装置と接していない。
【0024】
容器から一回分の液体製品を小出したいとき、容器は傾けられ、小出し装置も、第1のチャンバが第2のチャンバの位置より高い位置の方に動くように傾けられる。この傾ける動きによって、容器からの液体製品が流入路を介して第1のチャンバに入る。容器が約90°傾けられたとき、空洞又はボウル形領域が中間壁の近傍部分の下に配置され、このとき、第1のチャンバに入った液体製品は、前述のように第1のチャンバ内に閉じ込められ、即ち液体製品は、中間通路を介して第2のチャンバに入ることができない。この空洞又はボウル形領域は、閉じ込められた液体を第2のチャンバの方に流さないことを保証する。それにより、詳細には容器が約90°(この点に関して最大限界角である)傾けられたとき、液体製品が小出し装置を通過できなくなることが効率的に保証される。容器が90°より大きく傾けられたとき、小出し装置は更に確実に機能するようになることは明らかである。
【0025】
容器は、次に、直立姿勢に戻される。この動きの際に、第1のチャンバに閉じ込められた液体製品は、中間通路を通って第2のチャンバ内に達することができる。小出し装置は、閉じ込められた液体製品の量が中間壁の縁より下の第2のチャンバの容積を超えるように設計されてもよい。この場合、容器が直立姿勢に戻されたときに、多すぎる液体製品は、流入路を介して容器の内部に戻されることが好ましい。動きが完了した後、第2のチャンバに収容された液体製品の量が液体製品の一回分になる。
【0026】
次に、容器とそれにより小出し装置は、第1のチャンバが第2のチャンバの位置より高い位置の方に動くように再び傾けられる。それにより、第2のチャンバに収容された液体製品は、流出路を介して小出し装置から出る。同時に、前述のように、新しい体積の液体製品が流入路を介して第1のチャンバに入り、それにより、小出し装置は、容器が次に傾けられたときに一回分の液体製品を送出する準備ができる。従って、前述のように容器が傾けられるたびに、正確に計量された一回分の液体製品が容器から小出しされ、一回分のサイズは、中間通路を通って第1のチャンバから第2のチャンバに流れる液体の量によって決定される。小出し装置の実際の設計により、この量は、主に、第1のチャンバの容積と流入路の位置、又は小出し装置の側壁、第1の端壁及び中間壁の縁の高さによって画定される第2のチャンバのサブ容積の容積のうち小さい方の容積によって決定されてもよい。換言すると、小出しされた一回分のサイズは、容器が傾けられたときに第1のチャンバ内に閉じ込められ次に容器が直立姿勢になったときに第2のチャンバの中間壁の縁より下の部分に収容される液体製品の量によって画定される。
【0027】
中間壁が前述のように配置されるので、前述の操作の際に、液体製品が容器の内部から流入路、第1のチャンバ、中間通路、第2のチャンバ及び流出路を通過することはない。それにより、容器が前述のように傾けられるたびに、前に画定され正確に計量された一回分が小出しされる。従って、本発明の小出し装置は、類似の先行技術の小出し装置から小出しされた一回分より正確な一回分の液体製品を小出しすることができる。
【0028】
本発明の小出し装置と容器へのその接続は、傾ける操作の際に空気が液体と同じ通路を通ってしか容器又はチャンバに出入りできないように気密であることが好ましい。この実施形態では、容器が傾けられたとき容器内が減圧状態になる。この減圧状態は、容器内の液体の重さを打ち消し、容器内の液体の重さによって液体が小出し装置を通って容器から安定して流れ出るのを防ぐ。
【0029】
中間壁は、小出し装置によって定義された縦方向に対して傾けられてもよい。この場合、中間壁は、有利には、実質的に平らな壁でよい。代替として、中間壁は、中間壁が延在する方向と実質的に垂直な方向に沿って湾曲されてもよい。この場合、中間壁は、円筒の壁の断面の形状を有してもよく、円筒の主軸は、縦方向に対して斜めに配置される。小出し装置によって定義される縦方向は、有利には、小出し装置が取り付けられた容器が、保管中に通常位置決めされる直立姿勢にあるとき、即ち容器が底部分で立っているときに、実質的に垂直方向でよい。
【0030】
代替又は追加として、中間壁は、第2の端壁から第1の端壁の方に延在する方向に沿って湾曲されてもよい。この場合、中間壁は、単に小出し装置の縦方向に対して傾けられるのではなく湾曲した経路にたどる。中間壁の湾曲は、第1のチャンバから見たときに凹状でよく、即ち、中間壁は、第1のチャンバ内に「曲がり込ん」でもよく、そにれより空洞又はボウル形領域が形成される。
【0031】
好ましい実施形態によれば、小出し装置は、第1の部分と第2の部分を有してもよく、第1の部分と第2の部分は相互接続され、それにより小出し装置が形成される。この実施形態によれば、小出し装置は、別々に製造された2つの部品によって構成される。次に、2つの部品は、小出し装置を構成するために永久的又は着脱式に相互接続される。製造の観点から見ると、詳細には小出し装置の内部(具体的には中間壁)に配置される部品を形成するほうが容易なので、小出し装置が2つの別々の部品からなると有利である。例えば、これにより、小出し装置を射出成形によって製造するができ、それにより製造コストを大幅に削減することができる。しかしながら、代替として、小出し装置は、一体的に製造されてもよい。
【0032】
第1の部分はガイド手段を備えてもよく、第2の部分は中間壁を備えてもよく、このガイド手段は、中間壁が所望の位置及び/又は形状になるように中間壁をガイドするように適応される。この実施形態によれば、中間壁は、単に、ガイド手段によってガイドされるときに壁の形状及び/又は位置を変化させることができるだけの弾力性を有する平らな壁でよい。そのような平坦な壁を作成するのは、所望の正確な傾斜又は湾曲を有する壁を作成するより容易である。しかしながら、所望の傾斜又は湾曲は、ガイド手段によって得られる。従って、中間壁の所望の位置及び/又は形状(例えば、湾曲)が容易に得られ、小出し装置の製造が容易になり、それにより製造コストを削減することができる。
【0033】
ガイド手段は、中間壁を湾曲させ、例えば前述のように凹状の湾曲を実現するように適応されてもよい。代替として、ガイド手段は、中間壁の傾きを提供するように適応されてもよい。
【0034】
ガイド手段は、中間壁の側縁を収容するように適応された1対の軌道を備えてもよい。この場合、軌道は、第1の部分と第2の部分が相互接続されて小出し装置を形成するときに中間壁の縁がたどる経路を画定することが好ましい。これらの経路は、中間壁に所望の傾斜及び/又は湾曲が提供されるように形成され配置される。前述のように、中間壁は、軌道の形状と位置に適合することを可能にする充分な弾力性を有することが好ましい。更に、そのような軌道は、封止機能を提供してもよく、それにより、液体製品及び/又は空気が、中間通路を介してしか第1と第2のチャンバの間を通ることができなくなる。
【0035】
小出し装置は、更に、容器に小出し装置を取り付ける手段を備えてもよい。この場合、小出し装置を、小出しされる液体製品を収容する容器に取り付けることができる。小出し装置は、容器に着脱式に取り付けられるように適応されてもよく、その場合、小出し装置は、容器に後付けされるように適応されてもよい。この場合、エンドユーザは、所望の容器に小出し装置を取り付けることができる。小出し装置は、容器が空になったときにエンドユーザが小出し装置を取り外し、それを新しい容器に取り付けることができるという意味で再使用可能でもよい。代替として、容器に収容された液体製品の製造業者は、小出し装置を容器に取り付けることができ、その場合、容器は、小出し装置が取り付けられた状態で販売されると有利なことがある。
【0036】
代替として、取り付け手段は、小出し手段を容器に永久的に取り付ける種類のもの(例えば、スナップ嵌め、接着剤又はモールド成形よって)でよい。この場合、小出し装置は、容器に収容されている液体製品の製造業者によって容器に取り付けられることが好ましい。
【0037】
取り付け手段は、ねじ部を備えてもよい。ねじ部は、容器の出口又はその近くに形成された対応するねじ部と係合するように適応されることが好ましい。それにより、小出し装置を回転運動によって容器に取り付けることができる。この場合、小出し装置は、容器に脱着式に取り付けられる。ねじ部は、小出し装置が特定の容器に取り付けられたときに、小出し装置が、例えばねじが通常の方法で締められたときに容器の柄に対して所望の向きに配置されるように設計されてもよい。それにより、小出し装置の所望の向きと、小出し装置と容器間の十分な封止が保証される。
【0038】
流入路は、中間壁の縁と第2の端壁の間のレベルに配置されてもよい。この場合、流入路は、第1のチャンバの側壁に形成されると有利なことがある。流入路を中間通路の縁と第2の端壁の間のレベルに位置決めすると、前述のように、流入路を介して第1のチャンバに入る液体製品が中間壁によって確実に「閉じ込められる」という利点が得られる。更に、流入路が第2の端壁の近く配置されるほど、容器の液体製品の最終部分を小出し装置が容易に小出しできるようになることに注意されたい。
【0039】
一実施形態によれば、流入路と第2の端壁の間に画定された第1のチャンバのサブ容積は、第1の端壁と中間壁の縁の間に画定された第2のチャンバのサブ容積と実質的に等しくてもよい。この実施形態によれば、第1のチャンバ内に閉じ込められた液体製品の量(即ち、計量された一回分)は、第2のチャンバの縁より下に収容される量と実質的に等しい。それにより、小出し装置の全体寸法を最小化することができる。
【0040】
出口は、第2の端壁に配置されてもよい。この実施形態によれば、出口は、小出し装置のない通常の容器と同じように、容器の上部に配置される。これにより、一回分を小出しするためにユーザによって行われる操作は、通常の容器を使用するときにユーザが行なわなければならない操作と似ている。
【0041】
大きな容器、即ち、約1.5リットル以上の容積の容器と共に使用されるとき、容器内の液体の重さが増えることにより、容器が傾けられたときに小出し装置が「漏れ」、即ち液体が連続的に流れる場合がある。これを防ぐために、流入路を構成する入口の面積を小さくしてもよい。入口は、10mm2より小さく、好ましくは5mm2より小さく、より好ましくは2mm2より小さい面積を有してもよい。そのような場合は、小出し装置が大きな容器と共に使用されるときでも、正確な一回分の液体が得られる。
【0042】
流入路は、少なくとも2つの入口を備えてもよい。これにより、容器がほとんど空で小出し装置が比較的小さい入口を有するときでも、容器内のかなり強粘性の液体を正確な一回分で小出することができる。
【0043】
本発明は、更に、本発明による小出し装置が取り付けられた液体製品を収容する容器に関する。
【0044】
次に、本発明を添付図面を参照して説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
図1は、本発明の一実施形態による小出し装置1の斜視図である。小出し装置1は、相互接続された第1の部分2と第2の部分3によって構成される。第1の部分2は、流入路4を有し、小出し装置が取り付けられた容器から液体は、この流入路4を介して小出し装置1内に入ることができる。第2の部分3は、肩部5と、小出し装置1の内部と外部の間の流体接続を確立する流出路(図1に示していない)を開閉するための蓋6とを備える。肩部5は、容器の口に配置された外側ねじと合致するように適応された内側ねじを備える。それにより、容器内に突出する第1の部分2と、容器の出口の外側に配置された肩部5とによって、小出し装置1を容器の出口に容易に気密に取り付けることができる。小出し装置1が、このように容器に取り付けられたとき、小出し装置1を介して容器から定量の液体を注ぐことができる。第1の端壁7は、容器の内部の方の小出し装置1の境界を定める。
【0046】
図2は、図1の小出し装置1の側面図である。図2では、第2の端壁9に配置された流出路8が見える。
【0047】
図3は、図1と図2の小出し装置1の平面図であり、即ち第2の端壁9から見た図である。流出路8がはっきり見える。
【0048】
図4は、図1から図3の小出し装置1の、図3に示した線A−Aに沿った断面図である。図4では、第1の部分2は、第2の部分3の一部を構成する柔軟な中間壁11を収容するように適応された軌道10を有することが分かる。従って、第1の部分2と第2の部分3が相互接続されて小出し装置1が構成されたとき、中間壁11は、軌道10内に収容され、それにより軌道10によって画定された湾曲面をたどる。第1の部分2と第2の部分3が、図4に示したように相互接続された後で、中間壁11は、第2の端壁9から第1の端壁7の方に延在し、それにより小出し装置1の内部が、第1のチャンバ12と第2のチャンバ13にその間の中間通路14によって分割され、液体製品が、第1のチャンバ12と第2のチャンバ13の間を通ることが可能になる。更に、中間壁11の縁15は、第2の端壁9での中間壁の位置と比較して第1のチャンバ12の方に、即ち図4の右側の方にずれた位置に配置される。従って、中間壁11の表面に定められ第2の端壁9から中間壁11の縁15の方に延在する曲線は、第1のチャンバ12の方に向かう接線を有する部分を有する。図4に示した実施形態では、この部分は、中間壁11の湾曲した部分に定められた湾曲部分によって構成される。
【0049】
小出し装置1が取り付けられた容器から1回分の液体製品を小出しにしたいとき、容器と、従って小出し装置1は、流入路4が上を向く姿勢に傾けられる。これは、図4に示された小出し装置1を反時計回りの方向に回転させることに対応する。これにより、液体製品は流入路4を介して第1のチャンバ13に入る。小出し装置1が約90°回転されたとき、縁15は、中間壁11の他の部分よりも高いレベルになる。従って、このとき第1のチャンバ12内に収容されている液体製品は、中間通路14を介して第2のチャンバ13に入るために、重力に抗して上方向に流れなければならない。その結果、この液体製品は、第1のチャンバ12内に閉じ込められる。小出し装置1と容器へのねじ接続は気密であり、その結果、傾けられたときに容器内が減圧状態になる。この減圧状態のために、容器内に残っている液体の重さが、閉じ込められた液体に圧力を加えず、そうでないと液体が第2のチャンバ13の方に進むことになる。
【0050】
次に、容器と小出し装置1が、図4に示した姿勢に戻される。それにより、以前に第1のチャンバ12内に閉じ込められていた液体製品が、中間通路14を介して第2のチャンバ13に入ることができる。しかしながら、容器内にできた減圧状態のために、液体は更に流入路4を介して小出し装置1に入ることができず、それにより、そのとき第2のチャンバ13内に収容されている液体製品の量は、液体製品の正確に計量された一回分となる。
【0051】
次に、容器と小出し装置1は、再び前述のように傾けられる。それにより、第2のチャンバ13に収容された定量の液体製品が、流出路8から注がれる。同時に、新しい一回分が、流入路4から第1のチャンバ12に入り、小出し装置1は、直ちに次の一回分を送出する準備ができる。中間壁11の縁15の位置は、傾ける操作の際に液体製品が第1のチャンバ12に逆流するのを防ぐ。
【0052】
図1から図4に示した相対寸法及び形状を有する小出し装置1は、第1のチャンバ12内に閉じ込められた液体の量(即ち、小出しされる一回分)が、ユーザの小出し操作のしかた、例えば容器を傾ける角度や容器をどれだけ速く傾けるかに実質的に依存しないため、特に好ましい。この理由は、流入路4を通る水平面より下の第1のチャンバ12のサブ容積が、90°〜180°の全ての傾き角度で実質的に一定であるためである。これは、主に、中間壁11の湾曲と相対位置と、流入路4の相対位置の結果である。
【0053】
本発明による小出し装置1が高い信頼性で機能するためには、計量された一回分が開口8から注ぎ出された後で容器が傾けられたときに、容器の内部が容器のまわりの空気から実質的に封鎖されなければならない。そうでないと、容器内の液体の重さによって小出し装置1から更なる量の液体が押し出され、最終的に小出しが不正確になったり、更には容器が完全に空になったりすることになる。この姿勢では、容器内の液体は、小出し装置1の周囲上部に集まりそれにより流入路4が覆われる。同時に、第1のチャンバ12は、流入路4のすぐ上まで液体とその上に空気を収容する。一般に、小出し装置1を使用する人は、一般に、容器の傾け角又は振り方をわずかに変化させ、その結果、第1のチャンバ12内の液体面は、流入路4の上縁の下まで一時的に動き、それにより、第1のチャンバ12内の空気が、流入路4で容器内の液体と直接接触する場合がある。最も実際的な場合、第1のチャンバ12からの空気が容器の内部に入らないようにするには液体の表面張力で十分である。しかしながら、大きな容器の場合は、表面張力が流入路4で液体と空気を分離したままにするのに足るようにする更に他の手段が必要な場合がある。
【0054】
発明者によって行なわれた実験から、大きな容器は、小さな容器よりも「ドクドク」又は「ゴボゴボ」という音が生じやすいことが分かった。正確な理由は分からないが、容器内の比較的大きな減圧状態、液体のより大きな慣性、比較的弱い容器壁、及び人が容器を確実に保持するのに必要な比較的大きな力が全て、この作用に寄与すると考えられる。また、実験から、流入路を構成する個々の入口のサイズを小さくすることによって、「ドクドク」又は「ゴボゴボ」という音を最小にしたり完全に防いだりできることが分かった。容器がほとんど空のときでも液体が流れ易くするために、流入路4は、幾つかの入口を備えてもよい。幾つかの小さい入口を備えた流入路4は、例えば、小出し装置1の壁にメッシュ又は格子構造を形成することによって提供される。
【0055】
水に近い粘性と密度を有する液体の場合、個々の入口の面積は、1リットル以下の容積の容器では約15mm2、1.5リットルの容積の容器では約9mm2、2.5リットルの容積の容器では約4mm2、5リットルの容積の容器では約1mm2が使用されることが好ましい。
【0056】
図5は、図1から図4の小出し装置1の第1の部分2の断面図であり、図6は、図1から図4の小出し装置1の第2の部分3の断面図である。小出し装置1は、図5に示した第1の部分2と図6に示した第2の部分3を相互接続によって構成される。図6に示した中間壁11が、図5に示した軌道10内に収容されたときに得る形状を有することに注意されたい。しかしながら、第2の部分3が製造されるときは、中間壁11は実質的に平面であり、軌道10によって成形されるのに十分に柔軟であることを理解されたい。これにより、射出成形によって第2の部分3を製造するのが極めて容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態による小出し装置の斜視図である。
【図2】図1の小出し装置の側面図である。
【図3】図1と2の小出し装置の平面図である。
【図4】図1から図3の小出し装置の図3に示した線A−Aに沿った断面図である。
【図5】図1から図4の小出し装置の第1の部分の断面図である。
【図6】図1から図4の小出し装置の第2の部分の断面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 小出し装置
2 第1の部分
3 第2の部分
4 流入路
5 肩部
6 蓋
7 第1の端壁
8 流出路
9 第2の端壁
10 軌道
11 中間壁
12 第1のチャンバ
13 第2のチャンバ
14 中間通路
15 縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体製品を収容する容器から前記製品を小出しする小出し装置(1)であって、
第1のチャンバ(12)と第2のチャンバ(13)と、
少なくとも1つの入口を備え、第1のチャンバ(12)と小出し装置(1)が取り付けられた容器の内部との間に流体接続を確立する流入路(4)と、
第2のチャンバ(13)に流体接続され、小出し装置(1)によって小出しされる液体製品を送出するように適応された流出路(8)と、
小出し装置(1)が取り付けられた容器の内部への第2のチャンバ(13)の境界を定める第1の端壁(7)と、
少なくとも第1のチャンバ(12)の境界を定め、第1の端壁(7)と実質的に反対側に配置された第2の端壁(9)と、
小出し装置(1)の内部を第1のチャンバ(12)と第2のチャンバ(13)に分割する中間壁(11)であって、中間通路(14)が中間壁(11)の縁(15)の位置に画定され且つ前記中間通路(14)が第1のチャンバ(12)と第2のチャンバ(13)の間に流体連通を提供するように第2の端壁(9)から第1の端壁(7)への方に延在する中間壁(11)とを有し、
中間壁(11)は、中間壁(11)の表面に定められ第2の端壁(9)から中間壁(11)の縁(15)の方に延在する曲面が、第1のチャンバ(12)の方への接線を有する部分を有するように位置決めされた小出し装置(1)。
【請求項2】
中間壁(11)は、小出し装置(1)によって画定された縦方向に対して傾けられた、請求項1に記載の小出し装置(1)。
【請求項3】
中間壁(11)は、第2の端壁(9)から第1の端壁(7)の方に延在する方向に沿って湾曲された、請求項1又は2に記載の小出し装置(1)。
【請求項4】
中間壁(11)の湾曲は、第1のチャンバ(12)から見たときに凹状である、請求項3に記載の小出し装置(1)。
【請求項5】
小出し装置(1)は第1の部分(2)と第2の部分(3)を有し、第1の部分(2)と第2の部分(3)は相互接続され、それにより小出し装置(1)が構成された、請求項1から4のいずれか1項に記載の小出し装置(1)。
【請求項6】
第1の部分(2)はガイド手段を有し、第2の部分(3)は中間壁(11)を有し、ガイド手段は、中間壁(11)の所望の位置及び/又は形状が得られるように中間壁(11)をガイドするように適応された、請求項5に記載の小出し装置(1)。
【請求項7】
ガイド手段は、中間壁(11)を曲げるように適応された、請求項6に記載の小出し装置(1)。
【請求項8】
ガイド手段は、中間壁(11)の側縁を収容するように適応された1対の軌道(10)を有する、請求項6又は7に記載の小出し装置(1)。
【請求項9】
容器に小出し装置(1)を取り付ける手段を更に有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の小出し装置(1)。
【請求項10】
取り付け手段は、ねじ部を有する、請求項9に記載の小出し装置(1)。
【請求項11】
流入路(4)は、中間壁(11)の縁(15)と第2の端壁(9)の間のレベルに配置された、請求項1から10のいずれか1項に記載の小出し装置(1)。
【請求項12】
流入路(4)と第2の端壁(9)の間に画定された第1のチャンバ(12)のサブ容積は、第1の端壁(7)と中間壁(11)の縁(15)の間に画定された第2のチャンバ(13)のサブ容積と実質的に等しい、請求項11に記載の小出し装置(1)。
【請求項13】
流出路(8)は、第2の端壁(9)に配置された、請求項1から12のいずれか1項に記載の小出し装置(1)。
【請求項14】
最大の入口の面積は、10mm2より小さい、請求項1から13のいずれか1項に記載の小出し装置(1)。
【請求項15】
最大の入口の面積は、5mm2より小さい、請求項1から14のいずれか1項に記載の小出し装置(1)。
【請求項16】
最大の入口の面積は、2mm2より小さい、請求項1から15のいずれか1項に記載の小出し装置(1)。
【請求項17】
流入路(4)は、少なくとも2つの入口を有する、請求項1から16のいずれか1項に記載の小出し装置(1)。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか1項による小出し装置(1)が取り付けられた、液体製品を収容するための容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−149375(P2009−149375A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323460(P2008−323460)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(507370895)
【Fターム(参考)】