説明

液化石油ガス製造用触媒、および、この触媒を用いた液化石油ガスの製造方法

【課題】本発明は液化石油ガス(LPG)の半間接合成法のための、LPG選択性の高い触媒を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とを反応させてプロパン又はブタンを主成分とする液化石油ガスを製造するための液化石油ガス製造用触媒であって、少なくとも2種類のゼオライト触媒を含有することを特徴とする液化石油ガス製造用触媒に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とを反応させて、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造するための触媒、および、この触媒を用いた液化石油ガスの製造方法に関する。
【0002】
また、本発明は、合成ガスから、メタノールおよび/またはジメチルエーテルを経由して、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造する方法に関する。さらに、本発明は、天然ガス等の含炭素原料から、メタノールおよび/またはジメチルエーテルを経由して、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
液化石油ガス(LPG)は、常温常圧下ではガス状を呈する石油系もしくは天然ガス系炭化水素を圧縮し、あるいは同時に冷却して液状にしたものをいい、その主成分はプロパンまたはブタンである。液体の状態で貯蔵および輸送が可能なLPGは可搬性に優れ、供給にパイプラインを必要とする天然ガスとは違い、ボンベに充填した状態でどのような場所にでも供給することができるという特徴がある。そのため、プロパンを主成分とするLPG、すなわちプロパンガスが、家庭用・業務用の燃料として広く用いられている。現在、日本国内においても、プロパンガスは約2,500万世帯(全世帯の50%以上)に供給されている。また、LPGは、家庭用・業務用燃料以外にも、カセットコンロ、使い捨てライター等の移動体用の燃料(主に、ブタンガス)、工業用燃料、自動車用燃料としても使用されている。
【0004】
従来、LPGは、1)湿性天然ガスから回収する方法、2)原油のスタビライズ(蒸気圧調整)工程から回収する方法、3)石油精製工程などで生成されるものを分離・抽出する方法などにより生産されている。
【0005】
LPG、特に家庭用・業務用の燃料として用いられるプロパンガスは将来的にも需要が見込め、工業的に実施可能な、新規な製造方法を確立できれば非常に有用である。
【0006】
本発明者らはこれまでに、式(I)に従って、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とから、主成分がプロパンまたはブタンであるLPGを合成する方法について研究を進めてきた。本発明者らはこの方法を「半間接法」と称している。
【0007】
【化1】

【0008】
半間接法における反応は、メタノール又はジメチルエーテルからオレフィンを形成する反応(オレフィン化反応)と、オレフィンを水素化してパラフィン、すなわちLPGを形成する反応(水素化反応)とからなる。
【0009】
本発明者らはこれまでに半間接法に使用する触媒として種々のものを検討してきた(例えば非特許文献1〜3参照)。しかしながらこれまでに開発された半間接法用触媒のLPG選択性は未だ満足できるレベルではない。
【0010】
【非特許文献1】K. Asami et al. Catalysis Today, 106 (2005) 247-251
【非特許文献2】Kenji Asami, Qianwen Zhang, Hirashima Shunsuke, Xiaohong Li, Sachio Asaoka, Kaoru Fujimoto,日本石油学会第47回年会第53回研究発表会、2004年5月、東京
【非特許文献3】Kenji Asami, Qianwen Zhang, Hirashima Shunsuke, Xiaohong Li, Sachio Asaoka, Kaoru Fujimoto,Synthesis of LPG from DME with VIIIB Metal Supported on ZSM-5,第13回日本エネルギー大会研究発表会2004年7月、東京
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つを原料として、主成分がプロパンまたはブタンである炭化水素、すなわち液化石油ガス(LPG)を高選択的に製造することができる触媒を提供することを目的とする。
【0012】
本発明はまた、液化石油ガス(LPG)を効率的に製造することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は以下の発明を包含する。
(1)
メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とを反応させてプロパン又はブタンを主成分とする液化石油ガスを製造するための液化石油ガス製造用触媒であって、
少なくとも2種類のゼオライト触媒を含有することを特徴とする液化石油ガス製造用触媒。
(2)
液化石油ガス製造用触媒が第一ゼオライト触媒と第二ゼオライト触媒とを含有し、
第一ゼオライト触媒が、Pdを担持してもよい、ZSM−5、USY、及びβ−ゼオライトからなる群から選択される少なくとも一種を含有するゼオライト触媒であり、
第二ゼオライト触媒が、Pdを担持する、ZSM−5、USY、及びβ−ゼオライトからなる群から選択される少なくとも一種を含有するゼオライト触媒であることを特徴とする(1)記載の液化石油ガス製造用触媒。
(3)
第一ゼオライト触媒が、ZSM−5、Pdを担持するZSM−5、USY、及びβ−ゼオライトからなる群から選択される少なくとも一種を含有するゼオライト触媒であることを特徴とする(2)記載の液化石油ガス製造用触媒。
(4)
第二ゼオライト触媒がPdを担持するβ−ゼオライトであることを特徴とする(2)又は(3)記載の液化石油ガス製造用触媒。
(5)
第二ゼオライト触媒が更にUSYを含有することを特徴とする(2)〜(4)のいずれか1項記載の液化石油ガス製造用触媒。
(6)
第一ゼオライト触媒からなる第一層と第二ゼオライト触媒からなる第二層とを備えることを特徴とする(2)〜(5)のいずれか1項記載の液化石油ガス製造用触媒。
(7)
(1)〜(6)のいずれかに記載の液化石油ガス製造用触媒の存在下でメタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とを反応させ、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造することを特徴とする液化石油ガスの製造方法。
(8)
メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とを反応させる際の反応温度が380℃以上500℃以下である(7)に記載の液化石油ガスの製造方法。
(9)
メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とを反応させる際の反応圧力が、0.1MPa以上5MPa以下である(7)または(8)に記載の液化石油ガスの製造方法。
(10)
(i)メタノール合成触媒を含有する触媒層に合成ガスを流通させて、メタノールと水素とを含む反応ガスを得るメタノール製造工程と、
(ii)(1)〜(6)のいずれかに記載の液化石油ガス製造用触媒を含有する触媒層に、メタノール製造工程において得られた反応ガスを流通させて、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造する液化石油ガス製造工程と
を有することを特徴とする液化石油ガスの製造方法。
(11)
(i)メタノール合成触媒とメタノール脱水触媒とを含有する触媒層に合成ガスを流通させて、ジメチルエーテルと水素とを含む反応ガスを得るジメチルエーテル製造工程と、
(ii)(1)〜(6)のいずれかに記載の液化石油ガス製造用触媒を含有する触媒層に、ジメチルエーテル製造工程において得られた反応ガスを流通させて、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造する液化石油ガス製造工程と
を有することを特徴とする液化石油ガスの製造方法。
(12)
(i)含炭素原料と、HO、OおよびCOからなる群より選択される少なくとも一種とから、合成ガスを製造する合成ガス製造工程と、
(ii)メタノール合成触媒を含有する触媒層に合成ガスを流通させて、メタノールと水素とを含む反応ガスを得るメタノール製造工程と、
(iii)(1)〜(6)のいずれかに記載の液化石油ガス製造用触媒を含有する触媒層に、メタノール製造工程において得られた反応ガスを流通させて、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造する液化石油ガス製造工程と
を有することを特徴とする液化石油ガスの製造方法。
(13)
(i)含炭素原料と、HO、OおよびCOからなる群より選択される少なくとも一種とから、合成ガスを製造する合成ガス製造工程と、
(ii)メタノール合成触媒とメタノール脱水触媒とを含有する触媒層に合成ガスを流通させて、ジメチルエーテルと水素とを含む反応ガスを得るジメチルエーテル製造工程と、
(iii)(1)〜(6)のいずれかに記載の液化石油ガス製造用触媒を含有する触媒層に、ジメチルエーテル製造工程において得られた反応ガスを流通させて、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造する液化石油ガス製造工程と
を有することを特徴とする液化石油ガスの製造方法。
ここで、合成ガスとは、水素と一酸化炭素とを含む混合ガスを指し、水素および一酸化炭素からなる混合ガスに限られない。合成ガスは、例えば、二酸化炭素、水、メタン、エタン、エチレンなどを含む混合ガスであってもよい。天然ガスを改質して得られる合成ガスは、通常、水素と一酸化炭素とに加えて二酸化炭素や水蒸気を含む。また、合成ガスは、石炭ガス化により得られる石炭ガスや、石炭コークスから製造される水性ガスであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つを原料として、主成分がプロパンまたはブタンである炭化水素、すなわち液化石油ガス(LPG)を高選択的に製造することができる触媒が提供される。
【0015】
また、本発明により、液化石油ガス(LPG)を効率的に製造することができる方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
1.液化石油ガス製造用触媒
本発明の液化石油ガス製造用触媒は少なくとも2種類のゼオライト触媒を含有することを特徴とする。半間接法においては、通常、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つをオレフィンに変換するオレフィン合成触媒と、オレフィンに水素を付加する水素化触媒とが使用される。本発明の触媒においては、少なくとも1種類のゼオライト触媒は主としてオレフィン合成触媒として機能し、少なくとも1種類の他のゼオライト触媒は主として水素化触媒として機能しているものと考えられる。既存の半間接法用触媒はいずれも、オレフィン合成触媒としてゼオライト触媒を使用し、水素化触媒として他の触媒を使用したものであった。本発明は、ゼオライト触媒を2種以上組み合わせることにより、半間接法において高選択的にLPGを製造することを可能にする。
【0017】
本明細書では液化石油ガス製造用触媒に含まれる2種類のゼオライト触媒をそれぞれ「第一ゼオライト触媒」及び「第二ゼオライト触媒」と称する。第一ゼオライト触媒は主としてオレフィン合成触媒として機能し、第二ゼオライト触媒は主として水素化触媒として機能する。
【0018】
1.1.第一ゼオライト触媒
第一ゼオライト触媒は、Pdを担持してもよい、ZSM−5、USY、及びβ−ゼオライトからなる群から選択される少なくとも一種を含有するゼオライト触媒であることが好ましい。
【0019】
第一ゼオライト触媒に用いられるZSM−5のSiO/Alモル比は200〜450であることが好ましい。
第一ゼオライト触媒に用いられるUSYのSiO/Alモル比は20〜50であることが好ましい。
第一ゼオライト触媒に用いられるβ−ゼオライトのSiO/Alモル比は30〜100であることが好ましい。
【0020】
SiO/Alモル比がそれぞれ上記の下限以上であれば、Alが少なく酸強度が弱いため、コーキングよる触媒活性劣化が生じ難く、且つ、水による構造の破壊が起こり難い。SiO/Alモル比がそれぞれ上記の上限以下であれば、酸強度は十分に強く、触媒の活性が高い。
【0021】
ZSM−5、USY、又はβ−ゼオライトはPdを担持するものであってもよい。これらのゼオライト触媒中のPdの担持量は0〜0.5%であることが好ましい。Pd担持量がこの範囲であればC1、C2のパラフィンが生じ難い。
【0022】
なおPdの担持量(重量%)は次のように定義される。
Pdの担持量(重量%)=[(Pd重量)/(Pd重量+β−ゼオライト重量)]×100
【0023】
ゼオライト触媒へのPdの導入方法は特に限定されずイオン交換法、含浸法などの方法により導入することができる。
【0024】
Pdは金属の形で含まれていなくてもよく、例えば、酸化物、硝酸塩、塩化物などの形で含まれていてもよい。その場合、より高い触媒活性が得られる点から、反応前に、例えば、水素還元処理などをすることによって、ゼオライト触媒中のPdを金属パラジウムに転化させることが好ましい。
【0025】
第一ゼオライト触媒として最も好ましいものの例としては、ZSM−5、Pdを担持するZSM−5、USY、及びβ−ゼオライトが挙げられる。ZSM−5としては特にSiO/Alモル比が90、400、又は1000のものが好ましい。USYとしては特にSiO/Alモル比が30のものが好ましい。β−ゼオライトとしては特にSiO/Alモル比が37のものが好ましい。
【0026】
1.2.第二ゼオライト触媒
第二ゼオライト触媒は、Pdを担持する、ZSM−5、USY、又はβ−ゼオライトであることが好ましい。
第二ゼオライト触媒に用いられるZSM−5のSiO/Alモル比は20〜200であることが好ましい。
第二ゼオライト触媒に用いられるUSYのSiO/Alモル比は10〜100であることが好ましい。
第二ゼオライト触媒に用いられるβ−ゼオライトのSiO/Alモル比は30〜100であることが好ましい。
【0027】
SiO/Alモル比がそれぞれ上記の下限以上であれば、Alが少なく酸強度が弱いため、コーキングよる触媒活性劣化が生じ難く、且つ、水による構造の破壊が起こり難い。SiO/Alモル比がそれぞれ上記の上限以下であれば、酸強度は十分に強く、触媒の活性が高い。
【0028】
ZSM−5、USY、又はβ−ゼオライト中のPdの担持量は0.1%〜1.0%であることが好ましい。Pdの担持量が0.1%以上であればコーキングよる触媒活性劣化が生じ難い。Pdの担持量が1.0%以下であればコストが低く抑えられる。
【0029】
Pd担持量の定義、Pdの導入方法、Pdの形態等は第一ゼオライト触媒におけると同様である。
【0030】
第二ゼオライト触媒に使用されるZSM−5としては特にSiO/Alモル比が38のものが好ましい。USYとしては特にSiO/Alモル比が20又は30のものが好ましい。β−ゼオライトとしては特にSiO/Alモル比が37のものが好ましい。
【0031】
第二ゼオライト触媒は、Pdを担持するZSM−5、Pdを担持するUSY、及びPdを担持するβ−ゼオライトからなる群から選択される少なくとも一種に加えて、更にPdを担持しないUSYを含有するものであることが好ましい。USYの添加量は、第二ゼオライト触媒の他の成分に対して重量で等量以下であることが好ましい。USYの添加量がこの範囲内であればC1〜C2が生成し難い。USYとしては特にSiO/Alモル比が20又は30のものが好ましい。
【0032】
1.3.第一ゼオライト触媒と第二ゼオライト触媒との組み合わせ(二種類触媒の物理混合)
本発明の液化石油ガス製造用触媒における第一ゼオライト触媒と第二ゼオライト触媒との重量比は、Pd担持量等に応じて適宜決定しうるが、1:4〜2:1の範囲が好ましい。典型例を挙げると、第一ゼオライト触媒としてZSM-5(SiO/Alモル比が400)を用い、第二ゼオライト触媒として0.5%Pd/β(SiO/Alモル比が37)を用いた場合、第一ゼオライト触媒重量:第二ゼオライト触媒重量=1:2である。
【0033】
第一ゼオライト触媒及び第二ゼオライト触媒はそれぞれ上述の好適な候補のなかから独立して選択し、組み合わせることができる。最も好ましくは、表1で示すような組み合わせ1〜8が挙げられる。
【0034】
【表1】

【0035】
本発明の液化石油ガス製造用触媒は、第一ゼオライト触媒と第二ゼオライト触媒とが混合された形態(混合式)であってもよいし、第一ゼオライト触媒からなる第一層と第二ゼオライト触媒からなる第二層とが積層された形態(二層式)であっても良い。
【0036】
第一ゼオライト触媒と第二ゼオライト触媒とが混合された形態である本発明の液化石油ガス製造用触媒は、第一ゼオライト触媒と第二ゼオライト触媒とを均一に混合した後、必要に応じて成形して製造することができる。両触媒成分の混合・成形の方法としては特に限定されないが、乾式の方法が好ましい。湿式で両触媒成分の混合・成形を行った場合、両触媒成分間での化合物の移動が生じることによって、両触媒成分の各々の機能に対して最適化された物性等が変化することがある。触媒の成形方法としては、押出成形法、打錠成形法などが挙げられる。
【0037】
二層式の本発明の液化石油ガス製造用触媒は第一ゼオライト触媒と第二ゼオライト触媒とを積層することにより製造することができる。
【0038】
上記の二層式の触媒を原料ガスからのLPG合成に使用する場合、原料ガスは第一層側から触媒内に流入し、第一層を経て第二層に至り、第二層側から触媒外に流出するように流通されることが好ましい。
【0039】
2.液化石油ガスの製造方法
次に、本発明の液化石油ガス製造用触媒を用いて、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とを反応させ、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガス、好ましくは主成分がプロパンである液化石油ガスを製造する方法について説明する。
【0040】
本発明のLPGの製造方法においては、反応原料として、メタノールまたはジメチルエーテルを単独で用いることもでき、また、メタノールとジメチルエーテルとの混合物を用いることもできる。反応原料としてメタノールとジメチルエーテルとの混合物を用いる場合、メタノールとジメチルエーテルとの含有比率は特に限定されず、適宜決めることができる。
【0041】
反応は、固定床でも、流動床でも、移動床でも行うことができる。原料ガス組成、反応温度、反応圧力、触媒との接触時間などの反応条件は適宜決めることができるが、例えば、以下のような条件でLPG合成反応を行うことができる。
【0042】
反応温度は380℃〜500℃であることが好ましい。反応温度が380℃以上であれば触媒の活性が十分に高い。反応温度が500℃以下であればC1〜C2が生成し難い。
【0043】
反応圧力は0.1MPa〜5MPaであることが好ましい。反応圧力が5MPa以下であればコストを低く抑えることができる。
【0044】
メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とを反応させる際の、触媒の使用量(W)(単位g)を入口ガス流量(F)(単位mol/h)で割った値(W/F値)は0.5〜10.0であることが好ましい。W/F値が0.5以上であれば転化率が高い。W/F値が10.0以下であれば触媒の使用量が少なくて済む。
【0045】
反応原料がメタノールである場合、反応器に送入されるガス(原料ガスとも言う。)中のメタノールの濃度は、生産性と経済性との点から、20モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましい。また、反応器に送入されるガス中のメタノールの濃度は、発熱量を抑え、触媒の劣化を抑制する点から、60モル%以下が好ましく、40モル%以下がより好ましい。
【0046】
反応原料がメタノールである場合、反応器に送入されるガス中の水素の濃度は、水素化率と触媒劣化抑制との点から、メタノール1モルに対して1モル以上が好ましく、1.2モル以上がより好ましい。また、反応器に送入されるガス中の水素の濃度は、生産性と経済性との点から、メタノール1モルに対して3モル以下が好ましく、2モル以下がより好ましい。
【0047】
反応原料がジメチルエーテルである場合、反応器に送入されるガス中のジメチルエーテルの濃度は、生産性と経済性との点から、10モル%以上が好ましく、20モル%以上がより好ましい。また、反応器に送入されるガス中のジメチルエーテルの濃度は、発熱量を抑え、触媒の劣化を抑制する点から、40モル%以下が好ましく、30モル%以下がより好ましい。
【0048】
反応原料がジメチルエーテルである場合、反応器に送入されるガス中の水素の濃度は、水素化率と触媒劣化抑制との点から、ジメチルエーテル1モルに対して2モル以上が好ましく、2.5モル以上がより好ましい。また、反応器に送入されるガス中の水素の濃度は、生産性と経済性との点から、ジメチルエーテル1モルに対して5モル以下が好ましく、4モル以下がより好ましい。
【0049】
反応原料がメタノールとジメチルエーテルとの混合物である場合、反応器に送入されるガス中のメタノールおよびジメチルエーテルの濃度、反応器に送入されるガス中の水素の濃度は、上記の反応原料がメタノールである場合の好ましい範囲と反応原料がジメチルエーテルである場合の好ましい範囲と同様の範囲が好ましく、メタノールとジメチルエーテルとの含有比率に応じてこれらの好ましい範囲を算出することができる。
【0050】
反応器に送入されるガスは、反応原料であるメタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素以外に、例えば、水、不活性ガスなどを含むものであってもよい。また、反応器に送入されるガスは、一酸化炭素および/または二酸化炭素を含むものであってもよい。
【0051】
なお、メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とは、混合して反応器に供給してもよく、また、別々に反応器に供給してもよい。
反応器に送入されるガスは、分割して反応器に送入し、それにより反応温度を制御することもできる。
【0052】
反応は固定床、流動床、移動床などで行うことができるが、反応温度の制御と触媒の再生方法との両面から選定することが好ましい。例えば、固定床としては、内部多段クエンチ方式などのクエンチ型反応器、多管型反応器、複数の熱交換器を内包するなどの多段型反応器、多段冷却ラジアルフロー方式や二重管熱交換方式や冷却コイル内蔵式や混合流方式などその他の反応器などを用いることができる。
【0053】
液化石油ガス製造用触媒は、温度制御を目的として、シリカ、アルミナなど、あるいは、不活性で安定な熱伝導体で希釈して用いることもできる。また、液化石油ガス製造用触媒は、温度制御を目的として、熱交換器表面に塗布して用いることもできる。
【0054】
このようにして得られる反応生成ガス(低級パラフィン含有ガス)は、含まれる炭化水素の主成分がプロパンまたはブタンである。液化特性の点から、低級パラフィン含有ガス中のプロパンおよびブタンの合計含有量は多いほど好ましい。本発明では、プロパンおよびブタンの合計含有量が、含まれる炭化水素の炭素量基準で60%以上、好ましくは65%以上、より好ましくは70%以上である低級パラフィン含有ガスを得ることができる。
【0055】
また、得られる低級パラフィン含有ガスは、燃焼性および蒸気圧特性の点から、ブタンよりプロパンが多いことが好ましい。
【0056】
また、得られる低級パラフィン含有ガスには、通常、水分や、プロパンの沸点より低い沸点または昇華点を持つ物質である低沸点成分、ブタンの沸点より高い沸点を持つ物質である高沸点成分が含まれる。低沸点成分としては、例えば、未反応の原料である水素、副生物であるエタン、メタンや、一酸化炭素、二酸化炭素などが挙げられる。高沸点成分としては、例えば、副生物である高沸点パラフィン(ペンタン、ヘキサン等)などが挙げられる。
【0057】
そのため、得られた低級パラフィン含有ガスから、必要に応じて水分、低沸点成分および高沸点成分などを分離し、プロパンまたはブタンを主成分とする液化石油ガス(LPG)を得る。また、必要に応じて、未反応の原料であるメタノールおよび/またはジメチルエーテルなども公知の方法によって分離する。
【0058】
水分の分離、低沸点成分の分離、高沸点成分の分離は、公知の方法によって行うことができる。
水分の分離は、例えば、液液分離などによって行うことができる。
【0059】
低沸点成分の分離は、例えば、気液分離、吸収分離、蒸留などによって行うことができる。より具体的には、加圧常温での気液分離や吸収分離、冷却しての気液分離や吸収分離、あるいは、その組み合わせによって行うことができる。また、膜分離や吸着分離によって行うこともでき、これらと気液分離、吸収分離、蒸留との組み合わせによって行うこともできる。低沸点成分の分離には、製油所で通常用いられているガス回収プロセス(「石油精製プロセス」石油学会/編、講談社サイエンティフィク、1998年、p.28〜p.32記載)を適用することができる。
【0060】
低沸点成分の分離方法としては、プロパンまたはブタンを主成分とする液化石油ガスを、ブタンより沸点の高い高沸点パラフィンガス、あるいは、ガソリンなどの吸収液に吸収させる吸収プロセスが好ましい。
【0061】
高沸点成分の分離は、例えば、気液分離、吸収分離、蒸留などによって行うことができる。
なお、分離条件は、公知の方法に従って適宜決めることができる。
また、液化石油ガスを得るために、必要に応じて加圧および/または冷却を行ってもよい。
【0062】
民生用としては、使用時の安全性の点から、例えば、分離によってLPG中の低沸点成分の含有量を5モル%以下(0モル%も含む)とすることが好ましい。
【0063】
このようにして製造されるLPG中のプロパンおよびブタンの合計含有量は、炭素量基準で90%以上、さらには95%以上(100%も含む)とすることができる。また、製造されるLPG中のプロパンの含有量は、炭素量基準で50%以上、さらには60%以上、さらには65%以上(100%も含む)とすることができる。本発明によれば、家庭用・業務用の燃料として広く用いられているプロパンガスに適した組成を有するLPGを製造することができる。
【0064】
3.含炭素原料からの液化石油ガスの製造方法
本発明において反応原料として用いるメタノールおよびジメチルエーテルは、現在、工業的に製造されている。
メタノールは、例えば、以下のようにして製造されている。
【0065】
まず、必要に応じて、硫黄や硫黄化合物などの触媒被毒物質を除去(脱硫など)した後、天然ガス(メタン)と、HO、OおよびCOからなる群より選択される少なくとも一種とをNi系触媒などの改質触媒の存在下で反応させることにより、合成ガスを製造する。合成ガスの製造方法として、天然ガス(メタン)の水蒸気改質法、複合改質法あるいは自己熱改質法はよく知られている。
【0066】
また、天然ガス以外の含炭素原料と、HO、OおよびCOからなる群より選択される少なくとも一種とを公知の方法により反応させることによっても、合成ガスを製造することができる。含炭素原料としては、炭素を含む物質であって、HO、OおよびCOからなる群より選択される少なくとも一種と反応してHおよびCOを生成可能なものであれば何れも用いることができ、例えば、エタン等の低級炭化水素など、また、ナフサ、石炭などを用いることができる。
【0067】
次に、メタノール合成触媒の存在下、一酸化炭素と水素とを反応させることにより、合成ガスからメタノールを製造する。メタノール合成触媒としてCu−Zn−Al複合酸化物、Cu−Zn−Cr複合酸化物などのCu−Zn系触媒(CuおよびZnを含む複合酸化物)を用いる場合、通常、反応温度230〜300℃程度、反応圧力2〜10MPa程度で反応を行う。メタノール合成触媒としてZn−Cr系触媒(ZnおよびCrを含む複合酸化物)を用いる場合、通常、反応温度250〜400℃程度、反応圧力10〜60MPa程度で反応を行う。
【0068】
このようにして得られる生成物(未精製のメタノール)には、通常、水や、未反応の原料である一酸化炭素、副生物である二酸化炭素、ジメチルエーテルなどが含まれる。本発明においては、反応原料として、この未精製のメタノールを用いることもできる。
【0069】
一方、ジメチルエーテルは、例えば、リン酸アルミニウムなどの固体酸触媒を用い、メタノールの脱水反応により製造されている。
【0070】
さらに、メタノールを経由せず、合成ガスから直接ジメチルエーテルを製造するプロセスも実用化されつつある。このプロセスにおいては、スラリー相反応器を用い、メタノール合成触媒とメタノール脱水触媒との混合触媒、例えば、メタノール合成触媒とメタノール脱水触媒とを、メタノール合成触媒:メタノール脱水触媒=1:2〜2:1(質量比)で含有する触媒の存在下、反応温度230〜280℃程度、反応圧力3〜7MPa程度で、一酸化炭素と水素とを反応させることにより、ジメチルエーテルを合成することができる。
【0071】
このようにして得られる生成物(未精製のジメチルエーテル)には、通常、水や、未反応の原料である一酸化炭素、副生物である二酸化炭素、メタノールなどが含まれる。本発明においては、反応原料として、この未精製のジメチルエーテルを用いることもできる。
【0072】
本発明においては、含炭素原料と、HO、OおよびCOからなる群より選択される少なくとも一種とから、合成ガスを製造し(合成ガス製造工程)、メタノール合成触媒を含有する触媒層に得られた合成ガスを流通させて、メタノールと水素とを含む反応ガスを得(メタノール製造工程)、上記の方法に従って、液化石油ガス製造用触媒を含有する触媒層に、メタノール製造工程において得られた反応ガスを流通させて、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造する(液化石油ガス製造工程)こともできる。
【0073】
また、本発明においては、含炭素原料と、HO、OおよびCOからなる群より選択される少なくとも一種とから、合成ガスを製造し(合成ガス製造工程)、メタノール合成触媒とメタノール脱水触媒とを含有する触媒層に得られた合成ガスを流通させて、ジメチルエーテルと水素とを含む反応ガスを得(ジメチルエーテル製造工程)、上記の方法に従って、液化石油ガス製造用触媒を含有する触媒層に、ジメチルエーテル製造工程において得られた反応ガスを流通させて、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造する(液化石油ガス製造工程)こともできる。
【0074】
合成ガスの合成反応は、上記の方法など、公知の方法に準じて行えばよい。また、メタノールの合成反応およびジメチルエーテルの合成反応も、上記の方法など、公知の方法に準じて行えばよい。
【0075】
上記のLPGの製造方法において、合成ガスを製造する反応器である改質器の下流にシフト反応器を設け、シフト反応(CO+HO→CO+H)によって合成ガスの組成を調整することもできる。
【0076】
また、上記のLPGの製造方法において、液化石油ガス製造工程で低級パラフィン含有ガスから分離された低沸点成分を、合成ガス製造工程の原料としてリサイクルすることもできる。
【0077】
低級パラフィン含有ガスから分離された低沸点成分は、すべて合成ガス製造工程にリサイクルしてもよいし、また、一部を系外に抜き出し、残りを合成ガス製造工程にリサイクルしてもよい。低沸点成分は、所望の成分のみを分離して合成ガス製造工程にリサイクルすることもできる。
【0078】
この場合、合成ガス製造工程において、反応器である改質器に送入されるガス中の低沸点成分の含有量、すなわちリサイクル原料の含有量は適宜決めることができる。
【0079】
低沸点成分をリサイクルするためには、適宜リサイクルラインに昇圧手段を設ける等、公知の技術を採用することができる。
【0080】
本発明によれば、既存のメタノール合成プラントあるいはジメチルエーテル合成プラントを利用し、それに本発明のLPG製造装置を付設することによって、合成ガスから、あるいは、天然ガス等の含炭素原料から液化石油ガスを製造することが可能である。
【実施例】
【0081】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0082】
表2に示す条件で実験(実施例1〜13及び比較例1〜5)を行った。
表2中の用語について説明する。βはβ−ゼオライトを意味する。ZSM−5、USY、βの前に「H」がある場合、当該ゼオライトがプロトン型であることを意味する。「Pd−」の記号はパラジウムがイオン交換法により担持されていることを意味し、「Pd/」の記号はパラジウムが含浸法により担持されていることを意味する。Pdの直前の数値(%)はPdの担持量を意味する。ZSM−5、USY、βの後ろにハイフンを伴って記載されている数値は、SiO/Alモル比を意味する。実施例9では水素化触媒として0.5重量%Pd担持β−ゼオライト0.2gと、プロトン型のUSY(SiO/Alモル比30)0.1gとを混合したものを使用した。
【0083】
本実験で使用したZSM−5およびβ触媒は発明者らが調製した。USYは触媒化成株式会社製のものを使用した。
本実験で使用したSiOは富士シリシア化学株式会社のQ−6(粒徑:75〜500μm)である。
【0084】
ゼオライトへのイオン交換法によるPdの担持は次の方法により行った。まず担持量に応じた濃度のPd(NOの溶液を調製した。そしてこの溶液150mlにゼオライト粉末を5g添加し、水浴を用いて80℃にて8時間攪拌した。攪拌後ろ過して触媒を回収した。回収された触媒を開放系にて120℃で乾燥させた。次いで空気中にて500℃で4時間焼結した。
【0085】
SiOへの含浸法によるPdの担持は次の方法により行った。担持量に応じた濃度のPd(NO3)2の溶液を調製し、等体積法でSiOへ含浸し、120℃で一晩乾燥させ、空気中にて500℃、4hで焼成した。
【0086】
二層式の触媒は、各層を構成する触媒成分を順次反応管内に充填することにより形成した。
混合式の触媒は、触媒成分を混合し、反応管内に充填することにより形成した。
【0087】
調製した触媒を内径6mmの反応管に充填した。二層式触媒の場合、図1(a)に示すとおり、反応管中にオレフィン合成触媒の層が上層、水素化触媒の層が下層になるように充填した。混合式触媒について図1(b)に示す配置で触媒を充填した。原料ガスは図1(a)(b)の上方から下方に向かって流れるようにした。
【0088】
触媒充填後、反応に先立ち、触媒を常圧の水素気流により温度385℃にて4時間処理して活性化させた。活性化後、Hにより所定の反応圧にまで管内の圧力を高め、次いでジメチルエーテルを導入して反応を開始した。
【0089】
【表2】

【0090】
実施例5を除く各実施例及び比較例では複数の温度条件で反応を行い、反応開始から1時間後の生成物をガスクロマトグラフィーにより分析した。実施例5では反応温度を430℃に固定し、反応開始から経時的に生成物を採取しガスクロマトグラフィー分析を行った。
また、ジエチルエーテルの転化率(%)、及びCOx(Xは1又は2)への転化率(%)も測定した。
【0091】
ジエチルエーテルの転化率(%)=[(入口のジエチルエーテル流量(mol/h)−出口のジエチルエーテル流量(mol/h))/入口のジエチルエーテル流量(mol/h)]×100
COxへの選択率(%)=COx生成速度/[2×(入口のジエチルエーテル流量(mol/h)−出口のジエチルエーテル流量(mol/h))]×100
【0092】
実施例1〜13の生成物の炭化水素の分析結果をそれぞれ図2〜14に示す。比較例1〜5の生成物の炭化水素の分析結果をそれぞれ図15〜19に示す。図2〜19に示す各カラムにおける、所定の炭素数の炭化水素の割合を示す各領域の上下方向の配置順序は、グラフ右外側の欄内における、所定の炭素数の炭化水素に対応する各凡例の上下方向の配置順序と一致する。なお、特定の炭素数の炭化水素の割合がゼロ%である場合は、当該炭化水素に対応する領域はカラムから欠損するため、当該カラムにおける各領域の上下方向の配置順序はグラフ右外側の欄内における各凡例の上下方向の配置順序と一致しないが、その場合であっても、凡例を参照することにより各領域に対応する炭化水素の炭素数を理解することができる。
ジエチルエーテルの転化率(%)はいずれの実施例及び比較例においても100%であった。
【0093】
COxへの転化率(%)は実施例1〜9、実施例13、及び比較例1〜5では0%であった。実施例10ではCOxへの転化率(%)は375℃において4.7%、475℃において0.2%であった。実施例11ではCOxへの転化率(%)は375℃において1.8%、475℃において4.5%であった。実施例12ではCOxへの転化率(%)は375℃において0.7%、430℃において2.0%であった。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】反応管中における触媒の充填方法を示す図である。
【図2】実施例1の生成物の炭化水素の組成を示す図である。
【図3】実施例2の生成物の炭化水素の組成を示す図である。
【図4】実施例3の生成物の炭化水素の組成を示す図である。
【図5】実施例4の生成物の炭化水素の組成を示す図である。
【図6】実施例5の生成物の炭化水素の組成を示す図である。
【図7】実施例6の生成物の炭化水素の組成を示す図である。
【図8】実施例7の生成物の炭化水素の組成を示す図である。
【図9】実施例8の生成物の炭化水素の組成を示す図である。
【図10】実施例9の生成物の炭化水素の組成を示す図である。
【図11】実施例10の生成物の炭化水素の組成を示す図である。
【図12】実施例11の生成物の炭化水素の組成を示す図である。
【図13】実施例12の生成物の炭化水素の組成を示す図である。
【図14】実施例13の生成物の炭化水素の組成を示す図である。
【図15】比較例1の生成物の炭化水素の組成を示す図である。
【図16】比較例2の生成物の炭化水素の組成を示す図である。
【図17】比較例3の生成物の炭化水素の組成を示す図である。
【図18】比較例4の生成物の炭化水素の組成を示す図である。
【図19】比較例5の生成物の炭化水素の組成を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とを反応させてプロパン又はブタンを主成分とする液化石油ガスを製造するための液化石油ガス製造用触媒であって、
少なくとも2種類のゼオライト触媒を含有することを特徴とする液化石油ガス製造用触媒。
【請求項2】
液化石油ガス製造用触媒が第一ゼオライト触媒と第二ゼオライト触媒とを含有し、
第一ゼオライト触媒が、Pdを担持してもよい、ZSM−5、USY、及びβ−ゼオライトからなる群から選択される少なくとも一種を含有するゼオライト触媒であり、
第二ゼオライト触媒が、Pdを担持する、ZSM−5、USY、及びβ−ゼオライトからなる群から選択される少なくとも一種を含有するゼオライト触媒であることを特徴とする請求項1記載の液化石油ガス製造用触媒。
【請求項3】
第一ゼオライト触媒が、ZSM−5、Pdを担持するZSM−5、USY、及びβ−ゼオライトからなる群から選択される少なくとも一種を含有するゼオライト触媒であることを特徴とする請求項2記載の液化石油ガス製造用触媒。
【請求項4】
第二ゼオライト触媒がPdを担持するβ−ゼオライトであることを特徴とする請求項2又は3記載の液化石油ガス製造用触媒。
【請求項5】
第二ゼオライト触媒が更にUSYを含有することを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項記載の液化石油ガス製造用触媒。
【請求項6】
第一ゼオライト触媒からなる第一層と第二ゼオライト触媒からなる第二層とを備えることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項記載の液化石油ガス製造用触媒。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の液化石油ガス製造用触媒の存在下でメタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とを反応させ、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造することを特徴とする液化石油ガスの製造方法。
【請求項8】
メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とを反応させる際の反応温度が380℃以上500℃以下である請求項7に記載の液化石油ガスの製造方法。
【請求項9】
メタノール及びジメチルエーテルの少なくとも1つと水素とを反応させる際の反応圧力が、0.1MPa以上5MPa以下である請求項7または8に記載の液化石油ガスの製造方法。
【請求項10】
(1)メタノール合成触媒を含有する触媒層に合成ガスを流通させて、メタノールと水素とを含む反応ガスを得るメタノール製造工程と、
(2)請求項1〜6のいずれかに記載の液化石油ガス製造用触媒を含有する触媒層に、メタノール製造工程において得られた反応ガスを流通させて、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造する液化石油ガス製造工程と
を有することを特徴とする液化石油ガスの製造方法。
【請求項11】
(1)メタノール合成触媒とメタノール脱水触媒とを含有する触媒層に合成ガスを流通させて、ジメチルエーテルと水素とを含む反応ガスを得るジメチルエーテル製造工程と、
(2)請求項1〜6のいずれかに記載の液化石油ガス製造用触媒を含有する触媒層に、ジメチルエーテル製造工程において得られた反応ガスを流通させて、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造する液化石油ガス製造工程と
を有することを特徴とする液化石油ガスの製造方法。
【請求項12】
(1)含炭素原料と、HO、OおよびCOからなる群より選択される少なくとも一種とから、合成ガスを製造する合成ガス製造工程と、
(2)メタノール合成触媒を含有する触媒層に合成ガスを流通させて、メタノールと水素とを含む反応ガスを得るメタノール製造工程と、
(3)請求項1〜6のいずれかに記載の液化石油ガス製造用触媒を含有する触媒層に、メタノール製造工程において得られた反応ガスを流通させて、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造する液化石油ガス製造工程と
を有することを特徴とする液化石油ガスの製造方法。
【請求項13】
(1)含炭素原料と、HO、OおよびCOからなる群より選択される少なくとも一種とから、合成ガスを製造する合成ガス製造工程と、
(2)メタノール合成触媒とメタノール脱水触媒とを含有する触媒層に合成ガスを流通させて、ジメチルエーテルと水素とを含む反応ガスを得るジメチルエーテル製造工程と、
(3)請求項1〜6のいずれかに記載の液化石油ガス製造用触媒を含有する触媒層に、ジメチルエーテル製造工程において得られた反応ガスを流通させて、主成分がプロパンまたはブタンである液化石油ガスを製造する液化石油ガス製造工程と
を有することを特徴とする液化石油ガスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−313450(P2007−313450A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−146921(P2006−146921)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(503065494)日本ガス合成株式会社 (18)
【Fターム(参考)】