液圧制御装置
【課題】中間壁部を有するハウジングを備えた液圧制御装置において、中間壁部における樹脂材料の使用量を可及的に少なくすることができ、ハウジングの軽量化を図る。
【解決手段】基体1の一面に装着され、電気部品組立体20および制御ユニット40が収容されたハウジング10に設けられ、ハウジング10内のスペースを二つに分ける中間壁部13と、中間壁部13に設けられ、電気部品組立体20を複数配置することが可能な四角形状の開口14Aと、を備え、開口14Aの対向する縁部間を渡すように延設された延設部17と、この延設部17に設けられ、電気部品組立体20の端部が当接して位置決めされる保持部15Aと、を備えた構成とした。
【解決手段】基体1の一面に装着され、電気部品組立体20および制御ユニット40が収容されたハウジング10に設けられ、ハウジング10内のスペースを二つに分ける中間壁部13と、中間壁部13に設けられ、電気部品組立体20を複数配置することが可能な四角形状の開口14Aと、を備え、開口14Aの対向する縁部間を渡すように延設された延設部17と、この延設部17に設けられ、電気部品組立体20の端部が当接して位置決めされる保持部15Aと、を備えた構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、車両に用いられる液圧制御装置の構成として、基板が収容される収容室と、コイル装置等の電気部品組立体が収容される収容室と、を仕切る中間壁部をハウジングに設けた構造が開示されている(例えば特許文献1参照)。
この液圧制御装置では、中間壁部に、電気部品組立体に対応した孔部が形成されており、この孔部を通じて電気部品組立体が取り付けられる構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−175812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の液圧制御装置では、中間壁部に孔部が形成されているものの、中間壁部によって電気部品組立体の全周が囲われるように構成されていた。このため、中間壁部の占めるスペースが大きくなり、中間壁部の成形に多くの樹脂材料を使用する必要があるためコストアップになるとともに、ハウジングの重量増加となっていた。
【0005】
このような観点から、本発明は、中間壁部を有するハウジングを備えた液圧制御装置において、中間壁部における樹脂材料の使用量を可及的に少なくすることができ、ハウジングの軽量化を図ることができる液圧制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために創案された本発明の液圧制御装置は、基体と、前記基体の一面に配置された電磁弁と、前記電磁弁に装着された電気部品組立体と、前記基体の前記一面に装着され、前記電気部品組立体および制御ユニットが収容されたハウジングと、を備えた液圧制御装置であって、前記ハウジングに設けられ、前記ハウジング内のスペースを二つに区分する中間壁部と、前記中間壁部に設けられ、前記電気部品組立体を複数配置することが可能な略四角形状の開口と、を備え、前記開口の対向する縁部間を渡すように延設された延設部と、この延設部に設けられ、前記電気部品組立体の端部が当接して位置決めされる保持部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
かかる液圧制御装置によると、ハウジングの中間壁部には、電気部品組立体を複数配置可能な略四角形状の開口が形成されており、開口の対向する縁部間を渡すように延設された延設部には、電気部品組立体の端部が当接して位置決めされる保持部が設けられているので、この保持部に電気部品組立体の端部を当接して位置決めするようにして電気部品組立体を開口に複数配置することができる。
複数の電気部品組立体を配置可能な大きな開口が形成されているので、中間壁部に使用される材料、例えば、樹脂材料の使用量を可及的に少なくすることができる。これにより、ハウジングの軽量化を図ることができる。
【0008】
また、本発明は、前記電気部品組立体が、前記端部から突出して形成された端部片を有しており、前記保持部には、前記端部片が係合される切欠部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
かかる液圧制御装置によると、開口に電気部品組立体を配置する際には、保持部に設けられた切欠部に電気部品組立体の端部片を係合することで、電気部品組立体を開口に容易かつ確実に位置決めすることができる。したがって、電気部品組立体の位置決めが行い易く組付作業を簡単に行うことができる。このことは生産性の向上に寄与する。
【0010】
また、本発明は、前記延設部に、前記電気部品組立体の軸方向に突出する補強リブが設けられていることを特徴とする。
【0011】
かかる液圧制御装置によると、延設部に補強リブが設けられているので、延設部が開口に架け渡された構造でありながら、その強度を確保することができ、延設部で電気部品組立体を好適に位置決めして保持することができる。また、補強リブは、電気部品組立体の軸方向に突出しているので、例えば、隣接する電気部品組立体同士の間に形成されるスペースを利用して配置することができ、省スペース化を実現することができる。
【0012】
また、前記保持部に対向する前記開口の縁部には、前記電気部品組立体の他端部が当接して位置決めされる縁部側保持部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
かかる液圧制御装置によると、電気部品組立体を、延設部の保持部および縁部側保持部の少なくとも二箇所で、位置決めして保持することができる。したがって、電気部品組立体の位置決めが行い易く、また、必要最小限の樹脂材の使用によって、より安定した電気部品組立体の保持が可能となる。
【0014】
また、前記延設部に、前記ハウジング側のハウジング側接続端子をインサート成形してもよく、このように構成することによって、電気部品組立体の位置決めを行いつつ、ハウジング側接続端子を電気部品組立体の接続端子と近接して配置することができる。したがって、省スペース化を図ることができるとともにハウジング側接続端子と電気部品組立体の接続端子との電気的接続が行い易い電気部品組立体の接続構造が得られる。
【0015】
また、前記延設部は、延設方向の中間部分に前記ハウジング側接続端子が介在されてなるように構成することによって、ハウジング側接続端子が介在される分、樹脂材の使用量を可及的に少なくすることができる。これにより、ハウジングの軽量化を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、中間壁部を有するハウジングを備えた液圧制御装置において、中間壁部における樹脂材料の使用量を可及的に少なくすることができ、ハウジングの軽量化を図ることができる液圧制御装置を提供する液圧制御装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気部品組立体の接続構造を適用した液圧制御装置としての車両用ブレーキ液圧制御装置を示した断面図である。
【図2】ハウジングを前方の斜め下方から見た図であり、(a)は電気部品組立体が装着された状態の斜視図、(b)は電気部品組立体が装着される前の状態の斜視図である。
【図3】導電部材とハウジング側接続端子との接続状態を示す拡大斜視図である。
【図4】ハウジングを前方から見た図であり、(a)は電気部品組立体が装着された状態の正面図、(b)は電気部品組立体が装着される前の状態の正面図である。
【図5】ハウジングの断面図であり、(a)は図3(a)のA−A線断面図、(b)は図3(a)のB−B線断面図(前後方向を図5(a)に合わせて示した図)である。
【図6】電気部品組立体を示す図であり、(a)は導電部材のある側から見た斜視図、(b)は導電部材のある側と反対側から見た斜視図である。
【図7】電気部品組立体を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図、(d)は背面図である。
【図8】(a)は本実施形態の電気部品組立体における導電部材(プレス打ち抜き品)の打ち抜きに係るレイアウト図、(b)は比較例の導電部材(プレス打ち抜き品)の打ち抜きに係るレイアウト図である。
【図9】(a)(b)は導電部材とハウジング側接続端子との電気接続工程を示す説明図である。
【図10】(a)(b)は導電部材とハウジング側接続端子との電気接続工程を示す説明図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る電気部品組立体の接続構造を適用した液圧制御装置としての車両用ブレーキ液圧制御装置のハウジング示す図であり、(a)はハウジングを前方の斜め下方から見た図であり、(b)は図11(a)におけるC−C線断面図である。
【図12】(a)は電気部品組立体が装着される前の状態のハウジングを後方の斜め下方から見た図であり、(b)は電気部品組立体が装着された状態のハウジングを後方の斜め下方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、説明において、同一の要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
【0019】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態の電気部品組立体20が組み付けられる液圧制御装置としての車両用ブレーキ液圧制御装置(以下、「ブレーキ制御装置」という。)Uは、自動二輪車、自動三輪車、オールテレーンビークル(ATV)、自動四輪車などの車両に好適に用いられるものであり、車両の車輪に付与する制動力(ブレーキ液圧)を適宜制御する。以下においては、ブレーキ制御装置Uを自動二輪車に適用した例について説明するが、ブレーキ制御装置Uが搭載される車両を限定する趣旨ではない。
【0020】
ブレーキ制御装置Uは、基体1と、この基体1の一面1aに配設された電磁弁2、3と、この電磁弁2、3に装着される電気部品組立体20と、基体1の一面1aに装着されたハウジング10と、このハウジング10内に収容された制御ユニット(電気部品)40と、を備えて構成されている。また、基体1の一面1aの裏側となる背面1bには、図示しないポンプを駆動させる電動モータ60が配設されている。
なお、以下の説明において、ハウジング10における方向を言うときには、図1に示した方向を基準とする。
【0021】
本実施形態に係る電気部品組立体20の接続構造は、基体1の一面1aに直交する方向を向いて基体1の一面1aに配置される電気部品組立体20を、この電気部品組立体20を覆うように基体1の一面1aに装着されるハウジング10に対して電気的に接続する構造であり、電気部品組立体20から突出された導電部材30A,30Bを、ハウジング10から突設されたハウジング側接続端子16に電気的に接続する構造である。
【0022】
基体1は、略直方体に形成された金属製の部材であり、内部にブレーキ液の流路Rが形成されている。基体1の一面1aには、電磁弁2,3を取り付けるための取付穴2a,3aが形成されている。
【0023】
ハウジング10は、樹脂にて略角筒状に形成されたハウジング本体部11と、このハウジング本体部11の前端開口に形成された段部12に装着される図示しない蓋部とを備えて構成されている。ハウジング本体部11は、基体1の一面1aに取付ねじ等の締結部材を用いて取り付けられている。なお、蓋部はハウジング本体部11の前端開口に接着剤や溶着等によって固着される。
ハウジング本体部11内には、ハウジング側接続端子16の一部が埋設された中間壁部13が形成されている。中間壁部13は、ハウジング10内を基体1側に向かって開口する第一収容室11Aと、反基体1側に向かって開口する第二収容室11Bとに区分する(区画する)仕切り壁の役割をなしている。
【0024】
第一収容室11Aには、電磁弁2,3に装着される電気部品組立体20が収容され、第二収容室11Bには、制御ユニット40が収容されている。なお、制御ユニット40とは、制御用の電子部品が多数搭載された電子基板である。
ハウジング10の内側には、図2(b)に点線で示すように、中間壁部13に略四角形状の開口14が設けられている(図2(b)において、開口14の角部はアール状にして図示した)。この開口14には、計4つの電気部品組立体20が配置可能であり(図2(a)参照)、本実施形態では、電気部品組立体20が、開口14に保持されてハウジング本体11の上下方向に二列に並べられており、各列において、左右方向に二つの電気部品組立体20,20の一対の導電部材30A,30B同士が相互に向かい合う方向に延設されて対向配置されている。
また、一対の導電部材30A,30B同士が相互に向かい合う方向と直交する方向に、ハウジング側接続端子16,16がそれぞれ配置されている。
【0025】
また、電気部品組立体20は、一対の導電部材30A,30Bが車両の上下方向と同じ方向(車両搭載時において、一対の導電部材30A,30Bが車両の鉛直方向と同じ方向)に間隔を空けて平行に配置されるように、ハウジング本体11に収容されている。
【0026】
開口14には、図4(b)に示すように、開口14の対向する縁部13a,13b間を渡すように、延設部17が延設されている。これにより、開口14は、中間壁部13と延設部17とによって上下に区画されて、図2(a)(b)に示すように、上下に並設された二つの縦孔14a,14bを有したものとなっている。なお、各縦孔14a,14bには、図2(a)に示すように、左右方向に間隔を隔てて隣り合うように一対(二個)の電気部品組立体20,20がハウジング10の背面側から(第一収容室11A側から)それぞれ装着されている。
【0027】
延設部17には、縦孔14a,14bの開口縁部に、電気部品組立体20の一端を保持する役割をなす保持部15Aがそれぞれ設けられている(図4(b)参照)。保持部15Aは、延設部17から縦孔14a,14b内に向けてそれぞれ突出しており、当該保持部15Aには、第一収容室11A側から挿入された電気部品組立体20の上端壁部21の一端部が当接されて保持されるようになっている。
一方、保持部15Aが設けられる側と反対側となる縦孔14a,14b(中間壁部13,13)の開口縁部には、縁部側保持部15Bが設けられている。縁部側保持部15Bは、縦孔14a,14bの開口縁部から縦孔14a,14b内に向けてそれぞれ突出しており、当該縁部側保持部15Bには、第一収容室11A側から挿入された電気部品組立体20の上端壁部21の他端部が当接されて保持されるようになっている。
つまり、電気部品組立体20は、その上端壁部21一端部が保持部15Aに当接し、また、上端壁部21の他端部が縁部側保持部15Bに当接することにより位置決めされ、かかる少なくとも二箇所で位置決めされる状態でハウジング10に装着されている。
なお、図4(b)に示すように、保持部15Aおよび縁部側保持部15Bには、電気部品組立体20の端部に突出して形成された端部片23a(図6(a)参照、以下同じ)が係合される切欠部15cがそれぞれ形成されている。切欠部15cは、電気部品組立体20の端部片23aが係合可能な略四角形状を呈している。
【0028】
図2(a),図4(a)に示すように、第二収容室11Bにおいて、電気部品組立体20の近傍位置となるハウジング本体部11の壁部11aには、制御ユニット40(図1参照、以下同じ)に対して図示しないワイヤーボンディングで電気接続されるワイヤーボンディング部18aが設けられている。ワイヤーボンディング部18aは、複数のターミナルが露出した状態に並設された部位であり、複数のターミナルは、制御ユニット40側に設けられた図示しないターミナルとワイヤーを介して電気接続される。本実施形態では、ワイヤーボンディング部18aおよびワイヤーボンディング部18bに沿うようにして、これらの内側位置に、制御ユニット40が装着されるようになっている。つまり、制御ユニット40は、開口14に配置された電気部品組立体20に間隔を空けて重なるように装着される。
【0029】
このワイヤーボンディング部18aにおいて、導電部材30A(30B)とハウジング側接続端子16との接続部分に対向する部位には、空隙部19が形成されている。この空隙部19は、前記した一対の導電部材30A,30B同士が相互に向かい合う方向と直交する方向(一対の導電部材30A,30Bとハウジング側接続端子16,16とが重なる方向)に位置しており、電気接続用治具50(図9(a)(b)参照、以下同じ)の先端部51(図9(a)(b)参照、以下同じ)の挿入および移動を許容する大きさに形成され、導電部材30A(30B)とハウジング側接続端子16とを電気接続する際の作業スペースとして利用可能である。
【0030】
空隙部19は、図4(a)(b)に示すように、縦孔14a(14b)の縁部に配置された2つのハウジング側接続端子16,16に対する電気接続が可能となる大きさ(ハウジング側接続端子16,16と導電部材30A(30B)との対向部位まで深く(奥行きのある大きさに))形成されている。そして、空隙部19は、これらのハウジング側接続端子16,16と導電部材30A(30B)とを電気接続する際の共用のスペースとして利用可能である。空隙部19は、前方(図5(a)においては紙面の上方側)が開口しており、後方(図5(a)においては紙面の下方側)が底部となって、底部側にハウジング側接続端子16,16と導電部材30A(30B)とが対向配置されている。つまり、制御ユニット40よりも後方側にハウジング側接続端子16,16と導電部材30A(30B)とが位置している。
【0031】
前記したように、縦孔14a(14b)内に配置される一対の電気部品組立体20は、図3に示すように、導電部材30A,30Bが設けられる側を相互に対向させた状態で配設されている。縦孔14a(14b)内において、一対の電気部品組立体20,20の間には、隙間が空いている。そして、その隙間に開口14の上下方向の縁部側から延びる導電体16Bが露出しており、導電体16Bの端部が曲げられてハウジング側接続端子16が形成されている。そして、各ハウジング側接続端子16に、導電部材30A,30Bの各接続端子部30a,30bがそれぞれ交差(直交)する状態に配置されている。つまり、接続端子部30a,30bは、開口14(縦孔14a,14b)内に電気部品組立体20が装着される方向と直交する方向にそれぞれ延在して形成されており、対応するハウジング側接続端子16と溶接可能に、ハウジング側接続端子16の側方において一対の導電部材30A,30Bが相互に向かい合う方向と直交する方向に位置するように長さが設定されている。
【0032】
一方、導電体16Bは、大部分がハウジング本体部11内や中間壁部13に埋設されており、図2(b)、図3に示すように、中間壁部13における縦孔14a,14bの開口縁(縁部)から縦孔14a,14b内に突出するとともに第二収容室11B内に向けて屈曲することでハウジング側接続端子16を構成している。ここで、電気部品組立体20の接続端子部30a,30bは、後記するように、電気部品組立体20の軸方向(図6(a)参照)にずれた位置に配置されており、このずれに対応するようにして、ハウジング側接続端子16が配置されている。
【0033】
また、図2(b),図4(b)に示すように、一方の縦孔14aと他方の縦孔14bとの間に配置される延設部17には、延設部17の左右の保持部15A,15A間に掛け渡されるようにして、導電体16Aが露出しており、各縦孔14a,14bに向けてハウジング側接続端子16が設けられている。本実施形態では、延設部17にハウジング側接続端子16(導電体16A)がインサートモールドされており、これによって、延設部17の延設方向の中間部分に、ハウジング側接続端子16(導電体16A)が介在されて、導電体16Aを介して延設部17が開口14に架け渡された構成となっている。
【0034】
電気部品組立体20は、図6(a)(b)に示すように、通電されることによって電磁弁2,3(図1参照)を開閉作動するコイル装置であり、ヨーク21Aと、ヨーク21A内に配設されたボビン25と、ボビン25に巻着されたコイル27と、導電部材30A,30Bとを備えて構成されている。
電気部品組立体20は、図1に示すように、電磁弁2,3のソレノイド部を取り囲んだ状態で、ハウジング10内に収容される電気部品であり、ハウジング側接続端子16,16から接続端子部30a,30bを介して図6(a)(b)に示すコイル27に通電されることで、電磁弁2,3(図1参照)の周囲に磁場を発生させる電磁コイルである。
【0035】
ヨーク21Aは、磁性を有する金属材料で形成されており、図6(b)に示すように、上端壁部21と、下端壁部22と、左右の側壁部23,23と、を有する角筒状の部品であり、コイル27の磁気効率を向上させる磁性体である。上端壁部21、下端壁部22および両側壁部23,23はそれぞれ矩形の壁面を形成しており、上端壁部21、下端壁部22および両側壁部23,23によって囲まれた空間にボビン25が収容される。
ここで、上端壁部21は、保持部15Aおよび縁部側保持部15Bに当接する当接面となる。
【0036】
本実施形態では、下端壁部22および両側壁部23,23をなすU形状の曲げ板部材に、平板状の上端壁部21を組み合わせ、両側壁部23,23の端部片23a,23aが上端壁部21に固定されることで、ヨーク21Aが構成されている。
また、上端壁部21の中心部には円形の孔部21aが形成され、下端壁部22の中心部にも同じ大きさの孔部(図示せず)が形成されている。
【0037】
ボビン25は、図7(b)(c)(d)に示すように、円筒部24と、円筒部24の上下両端部に形成した鍔部25a,25bとを備える樹脂部品である。ボビン25の中心部には、円形の中心孔24a(図7(a)参照)が貫通している。
ボビン25は、ヨーク21A内に収容されており、上側の鍔部25aが上端壁部21の下面に取り付けられ、下側の鍔部25bが下端壁部22の上面に取り付けられている。ボビン25の中心孔24aは、上端壁部21の孔部21aおよび下端壁部22の孔部(図示せず)に連通している。
【0038】
本実施形態では、図7(a)に示すように、ボビン25の上側の鍔部25aがヨーク21Aの上端壁部21よりもボビン25の径方向に突出している。
また、上側の鍔部25aにおいて、上端壁部21よりも後方に突出した部位、つまり、上端壁部21の端部(後方)には、一対の導電部材30A,30Bが一体に成形された端子支持部26(樹脂部)が形成されている。この端子支持部26は、角形の突出部26a,26bを有しており、この突出部26a,26bに、一対の導電部材30A,30Bの中央部分(樹脂埋設部31c,31cとなる折り曲げられた部位)がインサート成形によって埋設(内包)されている。
【0039】
一対の導電部材30A,30Bは、図6、図7の各図に示すように、中央部分が端子支持部26の突出部26a,26bに埋設された棒状の金属部品であり、接続端子部30a,30bの設けられる位置(電気部品組立体20の軸方向の位置)が異なる他は左右で対称の形状とされている。したがって、ここでは、一方の導電部材30Aについて説明し、適宜、導電部材30Bについて説明する。
導電部材30Aは、図7(a)に示すように、平面視で略L字形状を呈しており、樹脂埋設部31cとなる中央部分が突出部26aに埋設されている。より詳細に導電部材30Aは、電気部品組立体20の背面(導電部材30Aが設けられる側の面)に沿うように、図中左方向へ延在する延在部31と、同じく背面に直交するように背面から後方へ向けて突出する接続端子部30aとを有している。なお、導電部材30Bは、樹脂埋設部31cとなる中央部分が突出部26bに埋設され、延在部31が図中右方向へ延在している。
一方、これらの延在部31および接続端子部30a,30bは、中間壁部13に沿う方向(図3、図5(a)参照、電気部品組立体20の軸方向に直交する方向)に延在している。
【0040】
延在部31は、コイル27からの図示しないワイヤを電気接続するワイヤ接続部36と、ワイヤ接続部36よりも端部側に形成されてワイヤの先端部を絡げる絡げ部34とを有している。
ワイヤ接続部36は、延在部31の背面側に折り曲げ可能(図6、図7の各図では折り曲げた状態を図示)な舌片で構成されており、折り曲げられた内側に図示しないワイヤを挟持して溶接することで、ワイヤが電気接続されるようになっている。絡げ部34は、図7(c)(d)に示すように、上下方向から延在部31にくさび状の切り込みを形成することで設けられており、くさび状の切り込み部分にワイヤを巻き付けて絡げることができる。
なお、絡げ部34の側方には、ワイヤを絡げ部34に案内するための案内片35が上方へ立ち上げられて形成されている。
【0041】
接続端子部30aは、導電部材30Aの略中央部(樹脂埋設部31c)で、電気部品組立体20から遠ざかる方向へ90度折り曲げられており、前記したように、電気部品組立体20の背面から後方へ向けて突出している。接続端子部30aは、延在部31よりも細く形成されており、弾性変形可能に構成されている。
【0042】
本実施形態では、導電部材30A,30Bを、フープ端子として構成することができる。すなわち、後記する連結部38を介して端子支持部26の突出部26a,26bに樹脂埋設部31c,31cが埋設され、導電部材30A,30Bとボビン25とが一体的に形成されてなる組付部品として得ることができる。
このような組付部品は、以下に説明するようなプレス打ち抜き工程と、折り曲げ加工工程と、樹脂成形工程と、切り離し工程とを経て製造される。
【0043】
図8(a)に示すように、プレス打ち抜き工程は、プレス打ち抜きによって、導電部材30A,30Bの元となる導電板301A,301Bを備えたプレス打ち抜き品300を得る工程である。プレス打ち抜き工程では、導電性を有し、かつ所定の厚みを有する平板帯状の金属板等を用いて、プレス打ち抜き品300を得ている。
プレス打ち抜き品300は、キャリアとなる枠状の連結部303と、この連結部303に接続部303a,303bを介して各々連成される導電板301A,301Bと、を備えており、これらは前記した端子構造に基づいて成形されている。
【0044】
導電板301A,301Bは、絡げ部34となるテーパー状部304と、案内片35となる小突片305と、ワイヤ接続部36となる突片306と、接続端子部30a,30bとなる延設片307a,307bとを備えている。
案内片35および突片306は、連結部303の上下方向(短手方向)に延設されており、また、延設片307a,307bは、連結部303の左右方向(長手方向)に延設されている。
【0045】
延設片307a,307bは、上下方向に重ならないようにプレス打ち抜き品300の中央部で互い違いに配置されている。つまり、延設片307aは、延在部31となる基部301の中央部分の下側から延設片307b側へ延出しており、また、延設片307bは、基部301の中央部分の上側から延設片307a側へ延出している。これにより、延設片307a,307bは、プレス打ち抜き品300の中央部で、上下方向に間隔を空けつつ互いに干渉しないように対向配置されている。
【0046】
次に、折り曲げ加工工程では、導電板301A,301Bの各突片306と、延設片307a,307b(各基部301の中央側部分)とを折り曲げ加工する。すなわち、図示しないワイヤが挟持できるように各突片306を途中部分から基部301側に折り曲げ加工し(プレス打ち抜き品300の板面から手前側に起こすようにして折曲線T1に沿って折り曲げ、図7(a)の接続端子部30a,30bのように、基部301の上面に対向するようにプレス打ち抜き品300の下方向に向けて折り曲げ加工し)、また、延設片307a,307bがプレス打ち抜き品300の板面に直交して突出するように、延設片307a,307bを、プレス打ち抜き品300の板面から手前側に起こすようにして折曲線T,Tに沿って左右にそれぞれ折り曲げ加工する。
【0047】
その後、樹脂成形工程では、延設片307a,307bの各折り曲げられた部位が樹脂埋設部31c,31cとなるようにインサート成形する。このインサート成形では、前記各折り曲げられた部位を内包するように突出部26a,26b(端子支持部26)が形成されるとともに、これと一体的にボビン25が形成される。
【0048】
その後、切り離し工程において、接続部303aを切断し、連結部303から導電板301A,301Bを切り離す。これにより、ボビン25の端子支持部26の突出部26a,26bに、導電部材30A,30Bの樹脂埋設部31c,31cが埋設されてなる組付部品が得られる。
【0049】
ここで、前記したプレス打ち抜き品300では、連結部303と、左右の突片306,306と、延設片307bとで囲まれる領域Sが、前記したプレス打ち抜き工程において捨てられる部分となるが、この領域Sは、従来のプレス打ち抜き品300’(図8(b)参照)において捨てられる領域S’,S’に比べて、小さいものとなっている。
つまり、図8(b)に示した従来のプレス打ち抜き品300’では、上下方向(短手方向)に、接続端子部30a’,30b’となる延設片307a’,307b’が延設されており(立ち上げられており)、連結部303’が上下方向に大きくなるとともに、プレス打ち抜き工程において、この立ち上げられている長さ分だけ大きく抜かなければならない。このため、プレス打ち抜き工程において、捨てられる領域S’,S’が大きくなってしまう。
【0050】
これに対して、本実施形態では、延設片307a,307bが連結部303の左右方向(長手方向)に向けて延設され、上下方向に重ならないように互い違いに対向配置されているので、上下方向(短手方向)には、図8(a)に示すように、ワイヤ接続部36,36となる突片306,306の立ち上がり分だけで済む。したがって、前記したように、従来の領域S’,S’よりも遥かに小さい領域Sをプレス打ち抜き工程において捨てることで済む。
【0051】
次に、ハウジング10への電気部品組立体20の組み付けについて説明する。電気部品組立体20を組み付ける際は、ハウジング10の第一収容室11A側から、電気部品組立体20を挿入して、中間壁部13の縦孔14a,14bの保持部15Aおよび縁部側保持部15Bに電気部品組立体20の上端壁部21の一端部および他端部をそれぞれ当接させる。そうすると、導電部材30A,30Bの接続端子部30a,30bがハウジング側接続端子16の側方に配置される(図2(a)、図3、図5(a)参照)。
【0052】
そして、図9(a)に示すように、ハウジング10の第二収容室11B側(反基体1側)から一対の電気接続用治具50,50を第二収容室11B内に移動させて、図9(b)に示すように、一方の電気接続用治具50の先端部51が空隙部19内に位置するようにして、例えば、導電部材30Bの接続端子部30bとハウジング側接続端子16との接続部分を2つの先端部51,51で非接触状態に挟み込むようにして位置させる。その後、図10(a)に示すように、電気接続用治具50,50を相互に近付けて、接続端子部30bとハウジング側接続端子16とを2つの先端部51,51で挟み込む。
この状態で、電気接続用治具50に電流を流して、導電部材30Bとハウジング側接続端子16とを溶接(電気接続)する。この導電部材30Bとハウジング側接続端子16との電気接続が完了したら、先端部51,51による挟み込みを解除して、電気接続用治具50を左右方向に移動させ、隣接する電気部品組立体20における導電部材30Aの接続端子部30aとハウジング側接続端子16との接続部分を、前記と同様にして2つの先端部51,51で非接触状態に挟み込むようにして位置させる。この場合、一方の先端部51は、空隙部19内のスペースを利用して空隙部19内に配置された状態で左右方向に移動される。また、他方の先端部51は、接続端子部30aと接続端子部30bとの間に形成されたスペースを利用してこのスペース内に配置された状態で左右方向に移動される。そして、移動後、導電部材30Aの接続端子部30aとハウジング側接続端子16との接続部分を、2つの先端部51,51で挟み込んで前記と同様にして電気接続する。
その後、図10(b)に示すように、導電部材30Aの接続端子部30aとハウジング側接続端子16との接続部分を挟み込み、この状態で、電気接続用治具50に電流を流して、導電部材30Aとハウジング側接続端子16とを溶接(電気接続)する。
また、他の導電部材30A,30Bとハウジング側接続端子16,16との電気接続を順次行う。
【0053】
全ての導電部材30A,30Bとハウジング側接続端子16とについて、電気接続作業が完了したら、図1に示すように、ハウジング10内に制御ユニット40を取り付け、さらに、図示しない蓋部を取り付けて、ハウジング10が完成する。その後、従来と同様の工程を経て、基体1に電磁弁2,3やハウジング10等の各種部品を組み付けることで、ブレーキ制御装置Uが製造される。
【0054】
以上説明したように、一対の導電部材30A,30Bの接続端子部30a,30bは、コイル27から離れる側に折り曲げられて電気部品組立体20の側方に突出しており、一方の接続端子部30aは他方の接続端子部30bに対してコイル27の軸方向にずれた位置に配置されているので、従来のように、コイル27の軸方向に沿って導電部材が立ち上げられているものに比べて、コイル27の軸方向となる電気部品組立体20の軸方向の大きさを小さくすることができる。これによって、電気部品組立体20が組み付けられるハウジング10やこのハウジング10を有するブレーキ制御装置Uの小型化を図ることができる。
【0055】
また、導電部材30A,30Bを金属板等からプレス打ち抜きによって形成する際には、導電部材30A,30Bの接続端子部30a,30bが互い違いに対向して位置するように、金属板上に導電部材30A,30Bをレイアウトして、プレス打ち抜きで形成することができる。したがって、プレス打ち抜き後の不要な箇所を最小限とすることができ、従来に比べて材料ロスが小さくなって、歩留まりが向上する。これにより、コストダウンを達成でき、製造効率を向上させることができる。
【0056】
また、導電部材30A,30Bは、導電部材30A,30Bの突出方向と平行な方向に延設された中間壁部13に設けられたハウジング側接続端子16と交差した状態で電気接続されるので、ハウジング10側に省スペースでハウジング側接続端子16を配置することができるとともに、導電部材30A,30Bのハウジング10側への突出が抑えられることとなり、電気部品組立体20が組み付けられるブレーキ制御装置Uの小型化を図ることができる。
また、ハウジング10内において、制御ユニット40を電気部品組立体20に近付けて配置することができ、設計の自由度を高めることができる。
【0057】
また、各接続端子部30a,30bの樹脂埋設部31c,31cとなる折り曲げられた部位を内包するようにしてボビン25に接続端子部30a,30bが一体的に形成されるので、折り曲げられた部位の強度を向上させつつ、ボビン25と一体的に接続端子部30a,30bを設けることができ、接続端子部30a,30bが一体的に形成されたボビン25を効率良く形成することができる。
【0058】
ワイヤーボンディング部18aには、空隙部19が形成されているので、この空隙部19を利用して電気接続用治具50の先端部51を挿入することができ、導電部材30A(30B)とハウジング側接続端子16との接続部分の側方に電気接続用治具50の先端部51を好適に配置することができる。そして、空隙部19内で電気接続用治具50の先端部51を移動させて電気接続作業を好適に行うことができる。
したがって、電気接続用治具50の先端部51を挿入および移動するための所定のスペースをハウジング10に確保しつつ、ハウジング10の小型化を図ることができる。
また、電気接続時には、空隙部19に向けて電気接続用治具50の先端部51を挿入することで、導電部材30A(30B)とハウジング側接続端子16との接続部分の側方に電気接続用治具50の先端部51を簡単に配置することができるので、電気接続時における作業性の向上を図ることができる。
また、ワイヤーボンディング部18aを電気部品組立体20に近付けて設けることができ、導電体16Bの配索性が高まるとともに、ハウジング10の設計の自由度も高まる。
【0059】
また、空隙部19は、縦孔14a(14b)の縁部に配置された2つのハウジング側接続端子16,16に対する電気接続が可能となる大きさに形成されているので、これらのハウジング側接続端子16,16と導電部材30A(30B)とを電気接続する際の共用のスペースとして利用可能であり、電気接続時には、空隙部19内で電気接続用治具50の先端部51を2つのハウジング側接続端子16,16に対応する位置に移動させることで、2つのハウジング側接続端子16,16と導電部材30A(30B)との電気接続を連続的に行うことが可能である。したがって、空隙部19からいちいち電気接続用治具50の先端部51を取り出して移動させながら電気接続を行う等の煩雑な操作が必要とならず、電気接続時のサイクルタイムの短縮を図ることができ、生産性の向上を図ることができる。
【0060】
また、複数の電気部品組立体20は、ハウジング10に二列に並べられ、列同士の間で一対の導電部材30A(30B)を相互に向かい合わせて対向配置されているので、導電部材30A(30B)とハウジング側接続端子16との溶接部位を、列同士の間となる電気部品組立体20の間に集約することができる。したがって、複数の電気部品組立体20を有する接続構造においても、電気接続時のサイクルタイムの短縮を図ることが可能であり、生産性の向上を図ることができる。
【0061】
ハウジング本体11の中間壁部13には、電気部品組立体20を複数配置可能な略四角形状の開口14が形成されており、開口14の対向する縁部間を渡すように延設された延設部17には、電気部品組立体20の端部が当接して位置決めされる保持部15Aおよび縁部側保持部15Bが設けられているので、この保持部15Aおよび縁部側保持部15Bに電気部品組立体20の上端壁部21の一端部および他端部をそれぞれ当接して位置決めするようにして電気部品組立体20を開口14(縦孔14a,14b)に複数配置することができる。
複数の電気部品組立体20を配置可能な大きな開口14が形成されているので、中間壁部13に使用される樹脂材料の使用量を可及的に少なくすることができる。これにより、ハウジング10の軽量化を図ることができる。
【0062】
また、延設部17は、開口14の対向する縁部13a,13b間を渡すように延設されているので、所望の強度を有しつつ、コンパクトでかつ効果的に電気部品組立体20を当接させることができる。
【0063】
また、保持部15Aおよび縁部側保持部15Bには、電気部品組立体20の端部片23aが係合される切欠部15cが設けられているので、開口14に電気部品組立体20を配置する際には、切欠部15cに電気部品組立体20の端部片23aを係合することで、電気部品組立体20を開口14(縦孔14a,14b)に容易かつ確実に位置決めすることができる。したがって、電気部品組立体20の位置決めが行い易く組付作業を簡単に行うことができる。このことは生産性の向上に寄与する。
【0064】
また、延設部17に、ハウジング側接続端子16(導電体16A)をインサートモールドしてあるので、電気部品組立体20の位置決めを行いつつ、ハウジング側接続端子16を電気部品組立体20の接続端子30a,30bと近接して配置することができる。したがって、省スペース化を図ることができるとともに、ハウジング側接続端子16と接続端子30a,30bとの電気的接続が行い易い。
【0065】
また、延設部17は、延設方向の中間部分にハウジング側接続端子16が介在されてなるので、ハウジング側接続端子16が介在される分、樹脂材の使用量を可及的に少なくすることができる。これにより、ハウジング10の軽量化を図ることができる。
【0066】
また、電気部品組立体20は、一対の導電部材30A,30Bが搭載される車両の鉛直方向と同じ方向に間隔を空けて平行に配置されるように、ハウジング10に収容されているので、車両の鉛直方向の振動に対して電気部品組立体20に耐性をもたせることができる。つまり、上下に間隔を空けて配置された一対の導電部材30A,30Bには、これを相互に打ち消しあうような力が作用する(一方の導電部材30Aに作用した軸方向の引っ張り力を、他方の導電部材30Bに作用した軸方向の圧縮力で打ち消しあう)ようになり、車両側から伝わる上下方向の振動に耐性をもたせることができる。
【0067】
本実施形態のハウジング10を備えたブレーキ制御装置Uによると、電気接続用治具50の先端部51を挿入するための所定のスペースをハウジング20に確保しつつ、小型化を図ることができる。
【0068】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態が前記第1実施形態と異なるところは、延設部17が補強リブ17a,17bで補強されている点にある。
【0069】
補強リブ17a,17bは、図11(a)(b)に示すように、延設部17の延設方向に沿って電気部品組立体20の軸方向に突出しており、図11(b)に示すように、上下方向から見て略三角形状を呈している。
補強リブ17a,17bは、図12(a)に示すように、電気部品組立体20を囲繞する壁部11aに基端側が一体的に接続されており、図12(b)に示すように、上下の縦孔14a,14bの間において、上下に連なる電気部品組立体20,20同士の間を部分的に仕切る役割をなしている。
【0070】
本実施形態によると、延設部17に補強リブ17a,17bが設けられているので、延設部17が開口14に架け渡された構造でありながら、その強度を確保することができ、延設部17で電気部品組立体20を好適に位置決めして保持することができる。また、補強リブ17a,17bは、電気部品組立体20の軸方向に突出しているので、例えば、隣接する電気部品組立体20同士の間に形成されるスペースを利用して配置することができ、省スペース化を実現することができる。
【0071】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
例えば、本実施形態では、導電部材30A,30Bとハウジング側接続端子16との電気接続を第二収容室11B内で行う構成としたが、これに限られるものではなく、第一収容室11A内へこれらを延出(突出)させて、第一収容室11A内で電気接続させてもよい。この場合、電気接続用治具50(電極)は、第一収容室11A側から第一収容室11A内に移動させればよく、このような構成によっても、前記の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0072】
また、前記実施形態で示した電気部品組立体20の個数および配置は一例であって、前記構成に限定する趣旨ではない。
【0073】
また、前記実施形態では、電気部品組立体20として、電磁弁2,3(図1参照)を開閉作動するコイル装置を示したが、これに限られるものではなく、基体1に設けた液圧検出センサ(圧力検出センサ)やその他の電気部品との接続構造に対して本発明を適用してもよい。
【0074】
電気部品組立体20が組み付けられる組付装置は、ブレーキ制御装置Uに限られることはなく、電気部品を備えた他の装置であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 基体
10 ハウジング
13 中間壁部
16 ハウジング側接続端子
20 電気部品組立体
27 コイル
30A,30B 導電部材
30a,30b 接続端子部
40 制御ユニット
50 電気接続用治具
R 流路
U ブレーキ制御装置(車両用ブレーキ液圧制御装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、車両に用いられる液圧制御装置の構成として、基板が収容される収容室と、コイル装置等の電気部品組立体が収容される収容室と、を仕切る中間壁部をハウジングに設けた構造が開示されている(例えば特許文献1参照)。
この液圧制御装置では、中間壁部に、電気部品組立体に対応した孔部が形成されており、この孔部を通じて電気部品組立体が取り付けられる構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−175812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の液圧制御装置では、中間壁部に孔部が形成されているものの、中間壁部によって電気部品組立体の全周が囲われるように構成されていた。このため、中間壁部の占めるスペースが大きくなり、中間壁部の成形に多くの樹脂材料を使用する必要があるためコストアップになるとともに、ハウジングの重量増加となっていた。
【0005】
このような観点から、本発明は、中間壁部を有するハウジングを備えた液圧制御装置において、中間壁部における樹脂材料の使用量を可及的に少なくすることができ、ハウジングの軽量化を図ることができる液圧制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決するために創案された本発明の液圧制御装置は、基体と、前記基体の一面に配置された電磁弁と、前記電磁弁に装着された電気部品組立体と、前記基体の前記一面に装着され、前記電気部品組立体および制御ユニットが収容されたハウジングと、を備えた液圧制御装置であって、前記ハウジングに設けられ、前記ハウジング内のスペースを二つに区分する中間壁部と、前記中間壁部に設けられ、前記電気部品組立体を複数配置することが可能な略四角形状の開口と、を備え、前記開口の対向する縁部間を渡すように延設された延設部と、この延設部に設けられ、前記電気部品組立体の端部が当接して位置決めされる保持部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
かかる液圧制御装置によると、ハウジングの中間壁部には、電気部品組立体を複数配置可能な略四角形状の開口が形成されており、開口の対向する縁部間を渡すように延設された延設部には、電気部品組立体の端部が当接して位置決めされる保持部が設けられているので、この保持部に電気部品組立体の端部を当接して位置決めするようにして電気部品組立体を開口に複数配置することができる。
複数の電気部品組立体を配置可能な大きな開口が形成されているので、中間壁部に使用される材料、例えば、樹脂材料の使用量を可及的に少なくすることができる。これにより、ハウジングの軽量化を図ることができる。
【0008】
また、本発明は、前記電気部品組立体が、前記端部から突出して形成された端部片を有しており、前記保持部には、前記端部片が係合される切欠部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
かかる液圧制御装置によると、開口に電気部品組立体を配置する際には、保持部に設けられた切欠部に電気部品組立体の端部片を係合することで、電気部品組立体を開口に容易かつ確実に位置決めすることができる。したがって、電気部品組立体の位置決めが行い易く組付作業を簡単に行うことができる。このことは生産性の向上に寄与する。
【0010】
また、本発明は、前記延設部に、前記電気部品組立体の軸方向に突出する補強リブが設けられていることを特徴とする。
【0011】
かかる液圧制御装置によると、延設部に補強リブが設けられているので、延設部が開口に架け渡された構造でありながら、その強度を確保することができ、延設部で電気部品組立体を好適に位置決めして保持することができる。また、補強リブは、電気部品組立体の軸方向に突出しているので、例えば、隣接する電気部品組立体同士の間に形成されるスペースを利用して配置することができ、省スペース化を実現することができる。
【0012】
また、前記保持部に対向する前記開口の縁部には、前記電気部品組立体の他端部が当接して位置決めされる縁部側保持部が設けられていることを特徴とする。
【0013】
かかる液圧制御装置によると、電気部品組立体を、延設部の保持部および縁部側保持部の少なくとも二箇所で、位置決めして保持することができる。したがって、電気部品組立体の位置決めが行い易く、また、必要最小限の樹脂材の使用によって、より安定した電気部品組立体の保持が可能となる。
【0014】
また、前記延設部に、前記ハウジング側のハウジング側接続端子をインサート成形してもよく、このように構成することによって、電気部品組立体の位置決めを行いつつ、ハウジング側接続端子を電気部品組立体の接続端子と近接して配置することができる。したがって、省スペース化を図ることができるとともにハウジング側接続端子と電気部品組立体の接続端子との電気的接続が行い易い電気部品組立体の接続構造が得られる。
【0015】
また、前記延設部は、延設方向の中間部分に前記ハウジング側接続端子が介在されてなるように構成することによって、ハウジング側接続端子が介在される分、樹脂材の使用量を可及的に少なくすることができる。これにより、ハウジングの軽量化を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、中間壁部を有するハウジングを備えた液圧制御装置において、中間壁部における樹脂材料の使用量を可及的に少なくすることができ、ハウジングの軽量化を図ることができる液圧制御装置を提供する液圧制御装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電気部品組立体の接続構造を適用した液圧制御装置としての車両用ブレーキ液圧制御装置を示した断面図である。
【図2】ハウジングを前方の斜め下方から見た図であり、(a)は電気部品組立体が装着された状態の斜視図、(b)は電気部品組立体が装着される前の状態の斜視図である。
【図3】導電部材とハウジング側接続端子との接続状態を示す拡大斜視図である。
【図4】ハウジングを前方から見た図であり、(a)は電気部品組立体が装着された状態の正面図、(b)は電気部品組立体が装着される前の状態の正面図である。
【図5】ハウジングの断面図であり、(a)は図3(a)のA−A線断面図、(b)は図3(a)のB−B線断面図(前後方向を図5(a)に合わせて示した図)である。
【図6】電気部品組立体を示す図であり、(a)は導電部材のある側から見た斜視図、(b)は導電部材のある側と反対側から見た斜視図である。
【図7】電気部品組立体を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図、(d)は背面図である。
【図8】(a)は本実施形態の電気部品組立体における導電部材(プレス打ち抜き品)の打ち抜きに係るレイアウト図、(b)は比較例の導電部材(プレス打ち抜き品)の打ち抜きに係るレイアウト図である。
【図9】(a)(b)は導電部材とハウジング側接続端子との電気接続工程を示す説明図である。
【図10】(a)(b)は導電部材とハウジング側接続端子との電気接続工程を示す説明図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る電気部品組立体の接続構造を適用した液圧制御装置としての車両用ブレーキ液圧制御装置のハウジング示す図であり、(a)はハウジングを前方の斜め下方から見た図であり、(b)は図11(a)におけるC−C線断面図である。
【図12】(a)は電気部品組立体が装着される前の状態のハウジングを後方の斜め下方から見た図であり、(b)は電気部品組立体が装着された状態のハウジングを後方の斜め下方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、説明において、同一の要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
【0019】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態の電気部品組立体20が組み付けられる液圧制御装置としての車両用ブレーキ液圧制御装置(以下、「ブレーキ制御装置」という。)Uは、自動二輪車、自動三輪車、オールテレーンビークル(ATV)、自動四輪車などの車両に好適に用いられるものであり、車両の車輪に付与する制動力(ブレーキ液圧)を適宜制御する。以下においては、ブレーキ制御装置Uを自動二輪車に適用した例について説明するが、ブレーキ制御装置Uが搭載される車両を限定する趣旨ではない。
【0020】
ブレーキ制御装置Uは、基体1と、この基体1の一面1aに配設された電磁弁2、3と、この電磁弁2、3に装着される電気部品組立体20と、基体1の一面1aに装着されたハウジング10と、このハウジング10内に収容された制御ユニット(電気部品)40と、を備えて構成されている。また、基体1の一面1aの裏側となる背面1bには、図示しないポンプを駆動させる電動モータ60が配設されている。
なお、以下の説明において、ハウジング10における方向を言うときには、図1に示した方向を基準とする。
【0021】
本実施形態に係る電気部品組立体20の接続構造は、基体1の一面1aに直交する方向を向いて基体1の一面1aに配置される電気部品組立体20を、この電気部品組立体20を覆うように基体1の一面1aに装着されるハウジング10に対して電気的に接続する構造であり、電気部品組立体20から突出された導電部材30A,30Bを、ハウジング10から突設されたハウジング側接続端子16に電気的に接続する構造である。
【0022】
基体1は、略直方体に形成された金属製の部材であり、内部にブレーキ液の流路Rが形成されている。基体1の一面1aには、電磁弁2,3を取り付けるための取付穴2a,3aが形成されている。
【0023】
ハウジング10は、樹脂にて略角筒状に形成されたハウジング本体部11と、このハウジング本体部11の前端開口に形成された段部12に装着される図示しない蓋部とを備えて構成されている。ハウジング本体部11は、基体1の一面1aに取付ねじ等の締結部材を用いて取り付けられている。なお、蓋部はハウジング本体部11の前端開口に接着剤や溶着等によって固着される。
ハウジング本体部11内には、ハウジング側接続端子16の一部が埋設された中間壁部13が形成されている。中間壁部13は、ハウジング10内を基体1側に向かって開口する第一収容室11Aと、反基体1側に向かって開口する第二収容室11Bとに区分する(区画する)仕切り壁の役割をなしている。
【0024】
第一収容室11Aには、電磁弁2,3に装着される電気部品組立体20が収容され、第二収容室11Bには、制御ユニット40が収容されている。なお、制御ユニット40とは、制御用の電子部品が多数搭載された電子基板である。
ハウジング10の内側には、図2(b)に点線で示すように、中間壁部13に略四角形状の開口14が設けられている(図2(b)において、開口14の角部はアール状にして図示した)。この開口14には、計4つの電気部品組立体20が配置可能であり(図2(a)参照)、本実施形態では、電気部品組立体20が、開口14に保持されてハウジング本体11の上下方向に二列に並べられており、各列において、左右方向に二つの電気部品組立体20,20の一対の導電部材30A,30B同士が相互に向かい合う方向に延設されて対向配置されている。
また、一対の導電部材30A,30B同士が相互に向かい合う方向と直交する方向に、ハウジング側接続端子16,16がそれぞれ配置されている。
【0025】
また、電気部品組立体20は、一対の導電部材30A,30Bが車両の上下方向と同じ方向(車両搭載時において、一対の導電部材30A,30Bが車両の鉛直方向と同じ方向)に間隔を空けて平行に配置されるように、ハウジング本体11に収容されている。
【0026】
開口14には、図4(b)に示すように、開口14の対向する縁部13a,13b間を渡すように、延設部17が延設されている。これにより、開口14は、中間壁部13と延設部17とによって上下に区画されて、図2(a)(b)に示すように、上下に並設された二つの縦孔14a,14bを有したものとなっている。なお、各縦孔14a,14bには、図2(a)に示すように、左右方向に間隔を隔てて隣り合うように一対(二個)の電気部品組立体20,20がハウジング10の背面側から(第一収容室11A側から)それぞれ装着されている。
【0027】
延設部17には、縦孔14a,14bの開口縁部に、電気部品組立体20の一端を保持する役割をなす保持部15Aがそれぞれ設けられている(図4(b)参照)。保持部15Aは、延設部17から縦孔14a,14b内に向けてそれぞれ突出しており、当該保持部15Aには、第一収容室11A側から挿入された電気部品組立体20の上端壁部21の一端部が当接されて保持されるようになっている。
一方、保持部15Aが設けられる側と反対側となる縦孔14a,14b(中間壁部13,13)の開口縁部には、縁部側保持部15Bが設けられている。縁部側保持部15Bは、縦孔14a,14bの開口縁部から縦孔14a,14b内に向けてそれぞれ突出しており、当該縁部側保持部15Bには、第一収容室11A側から挿入された電気部品組立体20の上端壁部21の他端部が当接されて保持されるようになっている。
つまり、電気部品組立体20は、その上端壁部21一端部が保持部15Aに当接し、また、上端壁部21の他端部が縁部側保持部15Bに当接することにより位置決めされ、かかる少なくとも二箇所で位置決めされる状態でハウジング10に装着されている。
なお、図4(b)に示すように、保持部15Aおよび縁部側保持部15Bには、電気部品組立体20の端部に突出して形成された端部片23a(図6(a)参照、以下同じ)が係合される切欠部15cがそれぞれ形成されている。切欠部15cは、電気部品組立体20の端部片23aが係合可能な略四角形状を呈している。
【0028】
図2(a),図4(a)に示すように、第二収容室11Bにおいて、電気部品組立体20の近傍位置となるハウジング本体部11の壁部11aには、制御ユニット40(図1参照、以下同じ)に対して図示しないワイヤーボンディングで電気接続されるワイヤーボンディング部18aが設けられている。ワイヤーボンディング部18aは、複数のターミナルが露出した状態に並設された部位であり、複数のターミナルは、制御ユニット40側に設けられた図示しないターミナルとワイヤーを介して電気接続される。本実施形態では、ワイヤーボンディング部18aおよびワイヤーボンディング部18bに沿うようにして、これらの内側位置に、制御ユニット40が装着されるようになっている。つまり、制御ユニット40は、開口14に配置された電気部品組立体20に間隔を空けて重なるように装着される。
【0029】
このワイヤーボンディング部18aにおいて、導電部材30A(30B)とハウジング側接続端子16との接続部分に対向する部位には、空隙部19が形成されている。この空隙部19は、前記した一対の導電部材30A,30B同士が相互に向かい合う方向と直交する方向(一対の導電部材30A,30Bとハウジング側接続端子16,16とが重なる方向)に位置しており、電気接続用治具50(図9(a)(b)参照、以下同じ)の先端部51(図9(a)(b)参照、以下同じ)の挿入および移動を許容する大きさに形成され、導電部材30A(30B)とハウジング側接続端子16とを電気接続する際の作業スペースとして利用可能である。
【0030】
空隙部19は、図4(a)(b)に示すように、縦孔14a(14b)の縁部に配置された2つのハウジング側接続端子16,16に対する電気接続が可能となる大きさ(ハウジング側接続端子16,16と導電部材30A(30B)との対向部位まで深く(奥行きのある大きさに))形成されている。そして、空隙部19は、これらのハウジング側接続端子16,16と導電部材30A(30B)とを電気接続する際の共用のスペースとして利用可能である。空隙部19は、前方(図5(a)においては紙面の上方側)が開口しており、後方(図5(a)においては紙面の下方側)が底部となって、底部側にハウジング側接続端子16,16と導電部材30A(30B)とが対向配置されている。つまり、制御ユニット40よりも後方側にハウジング側接続端子16,16と導電部材30A(30B)とが位置している。
【0031】
前記したように、縦孔14a(14b)内に配置される一対の電気部品組立体20は、図3に示すように、導電部材30A,30Bが設けられる側を相互に対向させた状態で配設されている。縦孔14a(14b)内において、一対の電気部品組立体20,20の間には、隙間が空いている。そして、その隙間に開口14の上下方向の縁部側から延びる導電体16Bが露出しており、導電体16Bの端部が曲げられてハウジング側接続端子16が形成されている。そして、各ハウジング側接続端子16に、導電部材30A,30Bの各接続端子部30a,30bがそれぞれ交差(直交)する状態に配置されている。つまり、接続端子部30a,30bは、開口14(縦孔14a,14b)内に電気部品組立体20が装着される方向と直交する方向にそれぞれ延在して形成されており、対応するハウジング側接続端子16と溶接可能に、ハウジング側接続端子16の側方において一対の導電部材30A,30Bが相互に向かい合う方向と直交する方向に位置するように長さが設定されている。
【0032】
一方、導電体16Bは、大部分がハウジング本体部11内や中間壁部13に埋設されており、図2(b)、図3に示すように、中間壁部13における縦孔14a,14bの開口縁(縁部)から縦孔14a,14b内に突出するとともに第二収容室11B内に向けて屈曲することでハウジング側接続端子16を構成している。ここで、電気部品組立体20の接続端子部30a,30bは、後記するように、電気部品組立体20の軸方向(図6(a)参照)にずれた位置に配置されており、このずれに対応するようにして、ハウジング側接続端子16が配置されている。
【0033】
また、図2(b),図4(b)に示すように、一方の縦孔14aと他方の縦孔14bとの間に配置される延設部17には、延設部17の左右の保持部15A,15A間に掛け渡されるようにして、導電体16Aが露出しており、各縦孔14a,14bに向けてハウジング側接続端子16が設けられている。本実施形態では、延設部17にハウジング側接続端子16(導電体16A)がインサートモールドされており、これによって、延設部17の延設方向の中間部分に、ハウジング側接続端子16(導電体16A)が介在されて、導電体16Aを介して延設部17が開口14に架け渡された構成となっている。
【0034】
電気部品組立体20は、図6(a)(b)に示すように、通電されることによって電磁弁2,3(図1参照)を開閉作動するコイル装置であり、ヨーク21Aと、ヨーク21A内に配設されたボビン25と、ボビン25に巻着されたコイル27と、導電部材30A,30Bとを備えて構成されている。
電気部品組立体20は、図1に示すように、電磁弁2,3のソレノイド部を取り囲んだ状態で、ハウジング10内に収容される電気部品であり、ハウジング側接続端子16,16から接続端子部30a,30bを介して図6(a)(b)に示すコイル27に通電されることで、電磁弁2,3(図1参照)の周囲に磁場を発生させる電磁コイルである。
【0035】
ヨーク21Aは、磁性を有する金属材料で形成されており、図6(b)に示すように、上端壁部21と、下端壁部22と、左右の側壁部23,23と、を有する角筒状の部品であり、コイル27の磁気効率を向上させる磁性体である。上端壁部21、下端壁部22および両側壁部23,23はそれぞれ矩形の壁面を形成しており、上端壁部21、下端壁部22および両側壁部23,23によって囲まれた空間にボビン25が収容される。
ここで、上端壁部21は、保持部15Aおよび縁部側保持部15Bに当接する当接面となる。
【0036】
本実施形態では、下端壁部22および両側壁部23,23をなすU形状の曲げ板部材に、平板状の上端壁部21を組み合わせ、両側壁部23,23の端部片23a,23aが上端壁部21に固定されることで、ヨーク21Aが構成されている。
また、上端壁部21の中心部には円形の孔部21aが形成され、下端壁部22の中心部にも同じ大きさの孔部(図示せず)が形成されている。
【0037】
ボビン25は、図7(b)(c)(d)に示すように、円筒部24と、円筒部24の上下両端部に形成した鍔部25a,25bとを備える樹脂部品である。ボビン25の中心部には、円形の中心孔24a(図7(a)参照)が貫通している。
ボビン25は、ヨーク21A内に収容されており、上側の鍔部25aが上端壁部21の下面に取り付けられ、下側の鍔部25bが下端壁部22の上面に取り付けられている。ボビン25の中心孔24aは、上端壁部21の孔部21aおよび下端壁部22の孔部(図示せず)に連通している。
【0038】
本実施形態では、図7(a)に示すように、ボビン25の上側の鍔部25aがヨーク21Aの上端壁部21よりもボビン25の径方向に突出している。
また、上側の鍔部25aにおいて、上端壁部21よりも後方に突出した部位、つまり、上端壁部21の端部(後方)には、一対の導電部材30A,30Bが一体に成形された端子支持部26(樹脂部)が形成されている。この端子支持部26は、角形の突出部26a,26bを有しており、この突出部26a,26bに、一対の導電部材30A,30Bの中央部分(樹脂埋設部31c,31cとなる折り曲げられた部位)がインサート成形によって埋設(内包)されている。
【0039】
一対の導電部材30A,30Bは、図6、図7の各図に示すように、中央部分が端子支持部26の突出部26a,26bに埋設された棒状の金属部品であり、接続端子部30a,30bの設けられる位置(電気部品組立体20の軸方向の位置)が異なる他は左右で対称の形状とされている。したがって、ここでは、一方の導電部材30Aについて説明し、適宜、導電部材30Bについて説明する。
導電部材30Aは、図7(a)に示すように、平面視で略L字形状を呈しており、樹脂埋設部31cとなる中央部分が突出部26aに埋設されている。より詳細に導電部材30Aは、電気部品組立体20の背面(導電部材30Aが設けられる側の面)に沿うように、図中左方向へ延在する延在部31と、同じく背面に直交するように背面から後方へ向けて突出する接続端子部30aとを有している。なお、導電部材30Bは、樹脂埋設部31cとなる中央部分が突出部26bに埋設され、延在部31が図中右方向へ延在している。
一方、これらの延在部31および接続端子部30a,30bは、中間壁部13に沿う方向(図3、図5(a)参照、電気部品組立体20の軸方向に直交する方向)に延在している。
【0040】
延在部31は、コイル27からの図示しないワイヤを電気接続するワイヤ接続部36と、ワイヤ接続部36よりも端部側に形成されてワイヤの先端部を絡げる絡げ部34とを有している。
ワイヤ接続部36は、延在部31の背面側に折り曲げ可能(図6、図7の各図では折り曲げた状態を図示)な舌片で構成されており、折り曲げられた内側に図示しないワイヤを挟持して溶接することで、ワイヤが電気接続されるようになっている。絡げ部34は、図7(c)(d)に示すように、上下方向から延在部31にくさび状の切り込みを形成することで設けられており、くさび状の切り込み部分にワイヤを巻き付けて絡げることができる。
なお、絡げ部34の側方には、ワイヤを絡げ部34に案内するための案内片35が上方へ立ち上げられて形成されている。
【0041】
接続端子部30aは、導電部材30Aの略中央部(樹脂埋設部31c)で、電気部品組立体20から遠ざかる方向へ90度折り曲げられており、前記したように、電気部品組立体20の背面から後方へ向けて突出している。接続端子部30aは、延在部31よりも細く形成されており、弾性変形可能に構成されている。
【0042】
本実施形態では、導電部材30A,30Bを、フープ端子として構成することができる。すなわち、後記する連結部38を介して端子支持部26の突出部26a,26bに樹脂埋設部31c,31cが埋設され、導電部材30A,30Bとボビン25とが一体的に形成されてなる組付部品として得ることができる。
このような組付部品は、以下に説明するようなプレス打ち抜き工程と、折り曲げ加工工程と、樹脂成形工程と、切り離し工程とを経て製造される。
【0043】
図8(a)に示すように、プレス打ち抜き工程は、プレス打ち抜きによって、導電部材30A,30Bの元となる導電板301A,301Bを備えたプレス打ち抜き品300を得る工程である。プレス打ち抜き工程では、導電性を有し、かつ所定の厚みを有する平板帯状の金属板等を用いて、プレス打ち抜き品300を得ている。
プレス打ち抜き品300は、キャリアとなる枠状の連結部303と、この連結部303に接続部303a,303bを介して各々連成される導電板301A,301Bと、を備えており、これらは前記した端子構造に基づいて成形されている。
【0044】
導電板301A,301Bは、絡げ部34となるテーパー状部304と、案内片35となる小突片305と、ワイヤ接続部36となる突片306と、接続端子部30a,30bとなる延設片307a,307bとを備えている。
案内片35および突片306は、連結部303の上下方向(短手方向)に延設されており、また、延設片307a,307bは、連結部303の左右方向(長手方向)に延設されている。
【0045】
延設片307a,307bは、上下方向に重ならないようにプレス打ち抜き品300の中央部で互い違いに配置されている。つまり、延設片307aは、延在部31となる基部301の中央部分の下側から延設片307b側へ延出しており、また、延設片307bは、基部301の中央部分の上側から延設片307a側へ延出している。これにより、延設片307a,307bは、プレス打ち抜き品300の中央部で、上下方向に間隔を空けつつ互いに干渉しないように対向配置されている。
【0046】
次に、折り曲げ加工工程では、導電板301A,301Bの各突片306と、延設片307a,307b(各基部301の中央側部分)とを折り曲げ加工する。すなわち、図示しないワイヤが挟持できるように各突片306を途中部分から基部301側に折り曲げ加工し(プレス打ち抜き品300の板面から手前側に起こすようにして折曲線T1に沿って折り曲げ、図7(a)の接続端子部30a,30bのように、基部301の上面に対向するようにプレス打ち抜き品300の下方向に向けて折り曲げ加工し)、また、延設片307a,307bがプレス打ち抜き品300の板面に直交して突出するように、延設片307a,307bを、プレス打ち抜き品300の板面から手前側に起こすようにして折曲線T,Tに沿って左右にそれぞれ折り曲げ加工する。
【0047】
その後、樹脂成形工程では、延設片307a,307bの各折り曲げられた部位が樹脂埋設部31c,31cとなるようにインサート成形する。このインサート成形では、前記各折り曲げられた部位を内包するように突出部26a,26b(端子支持部26)が形成されるとともに、これと一体的にボビン25が形成される。
【0048】
その後、切り離し工程において、接続部303aを切断し、連結部303から導電板301A,301Bを切り離す。これにより、ボビン25の端子支持部26の突出部26a,26bに、導電部材30A,30Bの樹脂埋設部31c,31cが埋設されてなる組付部品が得られる。
【0049】
ここで、前記したプレス打ち抜き品300では、連結部303と、左右の突片306,306と、延設片307bとで囲まれる領域Sが、前記したプレス打ち抜き工程において捨てられる部分となるが、この領域Sは、従来のプレス打ち抜き品300’(図8(b)参照)において捨てられる領域S’,S’に比べて、小さいものとなっている。
つまり、図8(b)に示した従来のプレス打ち抜き品300’では、上下方向(短手方向)に、接続端子部30a’,30b’となる延設片307a’,307b’が延設されており(立ち上げられており)、連結部303’が上下方向に大きくなるとともに、プレス打ち抜き工程において、この立ち上げられている長さ分だけ大きく抜かなければならない。このため、プレス打ち抜き工程において、捨てられる領域S’,S’が大きくなってしまう。
【0050】
これに対して、本実施形態では、延設片307a,307bが連結部303の左右方向(長手方向)に向けて延設され、上下方向に重ならないように互い違いに対向配置されているので、上下方向(短手方向)には、図8(a)に示すように、ワイヤ接続部36,36となる突片306,306の立ち上がり分だけで済む。したがって、前記したように、従来の領域S’,S’よりも遥かに小さい領域Sをプレス打ち抜き工程において捨てることで済む。
【0051】
次に、ハウジング10への電気部品組立体20の組み付けについて説明する。電気部品組立体20を組み付ける際は、ハウジング10の第一収容室11A側から、電気部品組立体20を挿入して、中間壁部13の縦孔14a,14bの保持部15Aおよび縁部側保持部15Bに電気部品組立体20の上端壁部21の一端部および他端部をそれぞれ当接させる。そうすると、導電部材30A,30Bの接続端子部30a,30bがハウジング側接続端子16の側方に配置される(図2(a)、図3、図5(a)参照)。
【0052】
そして、図9(a)に示すように、ハウジング10の第二収容室11B側(反基体1側)から一対の電気接続用治具50,50を第二収容室11B内に移動させて、図9(b)に示すように、一方の電気接続用治具50の先端部51が空隙部19内に位置するようにして、例えば、導電部材30Bの接続端子部30bとハウジング側接続端子16との接続部分を2つの先端部51,51で非接触状態に挟み込むようにして位置させる。その後、図10(a)に示すように、電気接続用治具50,50を相互に近付けて、接続端子部30bとハウジング側接続端子16とを2つの先端部51,51で挟み込む。
この状態で、電気接続用治具50に電流を流して、導電部材30Bとハウジング側接続端子16とを溶接(電気接続)する。この導電部材30Bとハウジング側接続端子16との電気接続が完了したら、先端部51,51による挟み込みを解除して、電気接続用治具50を左右方向に移動させ、隣接する電気部品組立体20における導電部材30Aの接続端子部30aとハウジング側接続端子16との接続部分を、前記と同様にして2つの先端部51,51で非接触状態に挟み込むようにして位置させる。この場合、一方の先端部51は、空隙部19内のスペースを利用して空隙部19内に配置された状態で左右方向に移動される。また、他方の先端部51は、接続端子部30aと接続端子部30bとの間に形成されたスペースを利用してこのスペース内に配置された状態で左右方向に移動される。そして、移動後、導電部材30Aの接続端子部30aとハウジング側接続端子16との接続部分を、2つの先端部51,51で挟み込んで前記と同様にして電気接続する。
その後、図10(b)に示すように、導電部材30Aの接続端子部30aとハウジング側接続端子16との接続部分を挟み込み、この状態で、電気接続用治具50に電流を流して、導電部材30Aとハウジング側接続端子16とを溶接(電気接続)する。
また、他の導電部材30A,30Bとハウジング側接続端子16,16との電気接続を順次行う。
【0053】
全ての導電部材30A,30Bとハウジング側接続端子16とについて、電気接続作業が完了したら、図1に示すように、ハウジング10内に制御ユニット40を取り付け、さらに、図示しない蓋部を取り付けて、ハウジング10が完成する。その後、従来と同様の工程を経て、基体1に電磁弁2,3やハウジング10等の各種部品を組み付けることで、ブレーキ制御装置Uが製造される。
【0054】
以上説明したように、一対の導電部材30A,30Bの接続端子部30a,30bは、コイル27から離れる側に折り曲げられて電気部品組立体20の側方に突出しており、一方の接続端子部30aは他方の接続端子部30bに対してコイル27の軸方向にずれた位置に配置されているので、従来のように、コイル27の軸方向に沿って導電部材が立ち上げられているものに比べて、コイル27の軸方向となる電気部品組立体20の軸方向の大きさを小さくすることができる。これによって、電気部品組立体20が組み付けられるハウジング10やこのハウジング10を有するブレーキ制御装置Uの小型化を図ることができる。
【0055】
また、導電部材30A,30Bを金属板等からプレス打ち抜きによって形成する際には、導電部材30A,30Bの接続端子部30a,30bが互い違いに対向して位置するように、金属板上に導電部材30A,30Bをレイアウトして、プレス打ち抜きで形成することができる。したがって、プレス打ち抜き後の不要な箇所を最小限とすることができ、従来に比べて材料ロスが小さくなって、歩留まりが向上する。これにより、コストダウンを達成でき、製造効率を向上させることができる。
【0056】
また、導電部材30A,30Bは、導電部材30A,30Bの突出方向と平行な方向に延設された中間壁部13に設けられたハウジング側接続端子16と交差した状態で電気接続されるので、ハウジング10側に省スペースでハウジング側接続端子16を配置することができるとともに、導電部材30A,30Bのハウジング10側への突出が抑えられることとなり、電気部品組立体20が組み付けられるブレーキ制御装置Uの小型化を図ることができる。
また、ハウジング10内において、制御ユニット40を電気部品組立体20に近付けて配置することができ、設計の自由度を高めることができる。
【0057】
また、各接続端子部30a,30bの樹脂埋設部31c,31cとなる折り曲げられた部位を内包するようにしてボビン25に接続端子部30a,30bが一体的に形成されるので、折り曲げられた部位の強度を向上させつつ、ボビン25と一体的に接続端子部30a,30bを設けることができ、接続端子部30a,30bが一体的に形成されたボビン25を効率良く形成することができる。
【0058】
ワイヤーボンディング部18aには、空隙部19が形成されているので、この空隙部19を利用して電気接続用治具50の先端部51を挿入することができ、導電部材30A(30B)とハウジング側接続端子16との接続部分の側方に電気接続用治具50の先端部51を好適に配置することができる。そして、空隙部19内で電気接続用治具50の先端部51を移動させて電気接続作業を好適に行うことができる。
したがって、電気接続用治具50の先端部51を挿入および移動するための所定のスペースをハウジング10に確保しつつ、ハウジング10の小型化を図ることができる。
また、電気接続時には、空隙部19に向けて電気接続用治具50の先端部51を挿入することで、導電部材30A(30B)とハウジング側接続端子16との接続部分の側方に電気接続用治具50の先端部51を簡単に配置することができるので、電気接続時における作業性の向上を図ることができる。
また、ワイヤーボンディング部18aを電気部品組立体20に近付けて設けることができ、導電体16Bの配索性が高まるとともに、ハウジング10の設計の自由度も高まる。
【0059】
また、空隙部19は、縦孔14a(14b)の縁部に配置された2つのハウジング側接続端子16,16に対する電気接続が可能となる大きさに形成されているので、これらのハウジング側接続端子16,16と導電部材30A(30B)とを電気接続する際の共用のスペースとして利用可能であり、電気接続時には、空隙部19内で電気接続用治具50の先端部51を2つのハウジング側接続端子16,16に対応する位置に移動させることで、2つのハウジング側接続端子16,16と導電部材30A(30B)との電気接続を連続的に行うことが可能である。したがって、空隙部19からいちいち電気接続用治具50の先端部51を取り出して移動させながら電気接続を行う等の煩雑な操作が必要とならず、電気接続時のサイクルタイムの短縮を図ることができ、生産性の向上を図ることができる。
【0060】
また、複数の電気部品組立体20は、ハウジング10に二列に並べられ、列同士の間で一対の導電部材30A(30B)を相互に向かい合わせて対向配置されているので、導電部材30A(30B)とハウジング側接続端子16との溶接部位を、列同士の間となる電気部品組立体20の間に集約することができる。したがって、複数の電気部品組立体20を有する接続構造においても、電気接続時のサイクルタイムの短縮を図ることが可能であり、生産性の向上を図ることができる。
【0061】
ハウジング本体11の中間壁部13には、電気部品組立体20を複数配置可能な略四角形状の開口14が形成されており、開口14の対向する縁部間を渡すように延設された延設部17には、電気部品組立体20の端部が当接して位置決めされる保持部15Aおよび縁部側保持部15Bが設けられているので、この保持部15Aおよび縁部側保持部15Bに電気部品組立体20の上端壁部21の一端部および他端部をそれぞれ当接して位置決めするようにして電気部品組立体20を開口14(縦孔14a,14b)に複数配置することができる。
複数の電気部品組立体20を配置可能な大きな開口14が形成されているので、中間壁部13に使用される樹脂材料の使用量を可及的に少なくすることができる。これにより、ハウジング10の軽量化を図ることができる。
【0062】
また、延設部17は、開口14の対向する縁部13a,13b間を渡すように延設されているので、所望の強度を有しつつ、コンパクトでかつ効果的に電気部品組立体20を当接させることができる。
【0063】
また、保持部15Aおよび縁部側保持部15Bには、電気部品組立体20の端部片23aが係合される切欠部15cが設けられているので、開口14に電気部品組立体20を配置する際には、切欠部15cに電気部品組立体20の端部片23aを係合することで、電気部品組立体20を開口14(縦孔14a,14b)に容易かつ確実に位置決めすることができる。したがって、電気部品組立体20の位置決めが行い易く組付作業を簡単に行うことができる。このことは生産性の向上に寄与する。
【0064】
また、延設部17に、ハウジング側接続端子16(導電体16A)をインサートモールドしてあるので、電気部品組立体20の位置決めを行いつつ、ハウジング側接続端子16を電気部品組立体20の接続端子30a,30bと近接して配置することができる。したがって、省スペース化を図ることができるとともに、ハウジング側接続端子16と接続端子30a,30bとの電気的接続が行い易い。
【0065】
また、延設部17は、延設方向の中間部分にハウジング側接続端子16が介在されてなるので、ハウジング側接続端子16が介在される分、樹脂材の使用量を可及的に少なくすることができる。これにより、ハウジング10の軽量化を図ることができる。
【0066】
また、電気部品組立体20は、一対の導電部材30A,30Bが搭載される車両の鉛直方向と同じ方向に間隔を空けて平行に配置されるように、ハウジング10に収容されているので、車両の鉛直方向の振動に対して電気部品組立体20に耐性をもたせることができる。つまり、上下に間隔を空けて配置された一対の導電部材30A,30Bには、これを相互に打ち消しあうような力が作用する(一方の導電部材30Aに作用した軸方向の引っ張り力を、他方の導電部材30Bに作用した軸方向の圧縮力で打ち消しあう)ようになり、車両側から伝わる上下方向の振動に耐性をもたせることができる。
【0067】
本実施形態のハウジング10を備えたブレーキ制御装置Uによると、電気接続用治具50の先端部51を挿入するための所定のスペースをハウジング20に確保しつつ、小型化を図ることができる。
【0068】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態が前記第1実施形態と異なるところは、延設部17が補強リブ17a,17bで補強されている点にある。
【0069】
補強リブ17a,17bは、図11(a)(b)に示すように、延設部17の延設方向に沿って電気部品組立体20の軸方向に突出しており、図11(b)に示すように、上下方向から見て略三角形状を呈している。
補強リブ17a,17bは、図12(a)に示すように、電気部品組立体20を囲繞する壁部11aに基端側が一体的に接続されており、図12(b)に示すように、上下の縦孔14a,14bの間において、上下に連なる電気部品組立体20,20同士の間を部分的に仕切る役割をなしている。
【0070】
本実施形態によると、延設部17に補強リブ17a,17bが設けられているので、延設部17が開口14に架け渡された構造でありながら、その強度を確保することができ、延設部17で電気部品組立体20を好適に位置決めして保持することができる。また、補強リブ17a,17bは、電気部品組立体20の軸方向に突出しているので、例えば、隣接する電気部品組立体20同士の間に形成されるスペースを利用して配置することができ、省スペース化を実現することができる。
【0071】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。
例えば、本実施形態では、導電部材30A,30Bとハウジング側接続端子16との電気接続を第二収容室11B内で行う構成としたが、これに限られるものではなく、第一収容室11A内へこれらを延出(突出)させて、第一収容室11A内で電気接続させてもよい。この場合、電気接続用治具50(電極)は、第一収容室11A側から第一収容室11A内に移動させればよく、このような構成によっても、前記の作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0072】
また、前記実施形態で示した電気部品組立体20の個数および配置は一例であって、前記構成に限定する趣旨ではない。
【0073】
また、前記実施形態では、電気部品組立体20として、電磁弁2,3(図1参照)を開閉作動するコイル装置を示したが、これに限られるものではなく、基体1に設けた液圧検出センサ(圧力検出センサ)やその他の電気部品との接続構造に対して本発明を適用してもよい。
【0074】
電気部品組立体20が組み付けられる組付装置は、ブレーキ制御装置Uに限られることはなく、電気部品を備えた他の装置であってもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 基体
10 ハウジング
13 中間壁部
16 ハウジング側接続端子
20 電気部品組立体
27 コイル
30A,30B 導電部材
30a,30b 接続端子部
40 制御ユニット
50 電気接続用治具
R 流路
U ブレーキ制御装置(車両用ブレーキ液圧制御装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体と、前記基体の一面に配置された電磁弁と、前記電磁弁に装着された電気部品組立体と、前記基体の前記一面に装着され、前記電気部品組立体および制御ユニットが収容されたハウジングと、を備えた液圧制御装置であって、
前記ハウジングは、その内部のスペースを二つに区分する中間壁部を備え、
前記中間壁部は、前記電気部品組立体を複数配置することが可能な略四角形状の開口と、
前記開口の対向する縁部間を渡すように延設された延設部と、
前記延設部に設けられ、前記電気部品組立体の端部が当接して位置決めされる保持部と、を有することを特徴とする液圧制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液圧制御装置において、
前記電気部品組立体は、前記端部から突出して形成された端部片を有しており、
前記保持部には、前記端部片が係合される切欠部が設けられていることを特徴とする液圧制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の液圧制御装置において、
前記延設部には、前記電気部品組立体の軸方向に突出する補強リブが設けられていることを特徴とする液圧制御装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の液圧制御装置において、
前記保持部に対向する前記開口の縁部には、前記電気部品組立体の他端部が当接して位置決めされる縁部側保持部が設けられていることを特徴とする液圧制御装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の液圧制御装置において、
前記ハウジングが樹脂材料からなり、
前記延設部には、前記ハウジング側のハウジング側接続端子がインサート成形されていることを特徴とする液圧制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の液圧制御装置において、
前記延設部は、延設方向の中間部分に前記ハウジング側接続端子が介在されてなることを特徴とする液圧制御装置。
【請求項1】
基体と、前記基体の一面に配置された電磁弁と、前記電磁弁に装着された電気部品組立体と、前記基体の前記一面に装着され、前記電気部品組立体および制御ユニットが収容されたハウジングと、を備えた液圧制御装置であって、
前記ハウジングは、その内部のスペースを二つに区分する中間壁部を備え、
前記中間壁部は、前記電気部品組立体を複数配置することが可能な略四角形状の開口と、
前記開口の対向する縁部間を渡すように延設された延設部と、
前記延設部に設けられ、前記電気部品組立体の端部が当接して位置決めされる保持部と、を有することを特徴とする液圧制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液圧制御装置において、
前記電気部品組立体は、前記端部から突出して形成された端部片を有しており、
前記保持部には、前記端部片が係合される切欠部が設けられていることを特徴とする液圧制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の液圧制御装置において、
前記延設部には、前記電気部品組立体の軸方向に突出する補強リブが設けられていることを特徴とする液圧制御装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の液圧制御装置において、
前記保持部に対向する前記開口の縁部には、前記電気部品組立体の他端部が当接して位置決めされる縁部側保持部が設けられていることを特徴とする液圧制御装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の液圧制御装置において、
前記ハウジングが樹脂材料からなり、
前記延設部には、前記ハウジング側のハウジング側接続端子がインサート成形されていることを特徴とする液圧制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の液圧制御装置において、
前記延設部は、延設方向の中間部分に前記ハウジング側接続端子が介在されてなることを特徴とする液圧制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−101655(P2012−101655A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251194(P2010−251194)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000226677)日信工業株式会社 (840)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000226677)日信工業株式会社 (840)
【Fターム(参考)】
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