説明

液封式真空度制御装置

【課題】住宅等建物での真空を利用した真空断熱化工法を大きく前進させるため・嵌め込み硝子パネル・外壁パネル・屋根パネル・床パネル・サッシ・ドアーなどの複層高気密断熱部材と真空制御装置とを組み合わせ高い断熱性能と遮音性能を半永久的に安定維持する液封式真空制御装置の提供。
【解決手段】一台の真空ポンプ15で、任意に設定した1〜複数の真空度を得る手段に使用する液封式真空度制御装置10とした。
複層高気密断熱部材3の1〜複数の各気密空間部を真空度制御装置1により個々に真空度制御し高い断熱性能や遮音性能を得る手段に使用する液封を利用した液封式真空度制御装置10としている。そして、住宅等建物の・嵌め込み硝子パネル30・外壁パネル31、他・屋根パネル・床パネル・サッシ・ドアーなどの複層高気密断熱部材3の1〜複数の各気密空間部を個々の設定真空度毎にチューブで連通接続させ、最少使用数の真空度制御装置1で高い断熱性能や遮音性能を得る手段に使用する液封式真空度制御装置10とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複層高気密断熱部材の1〜複数の各気密空間部を真空度制御装置により個々に真空度制御し高い断熱性能や遮音性能を得る手段として液封を利用した液封式真空度制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生物にとって自然災害が少ない地球環境の維持継続を考えた場合、特に、人類だけが生活の快適さを得るために暖房や冷房に膨大な石油や石炭また天然ガスの消費を続けている。
この再生不可能な貴重な地下資源である石油や石炭また天然ガスの消費をこれからも続ければ大気汚染が進み地球温暖化が加速する。このことで生物にとって致命的な風水害や砂漠化など異常気象に伴う自然災害に見舞われる可能性が格段に高くなると言われている。石油や石炭また天然ガスなどの貴重な地下資源は大切に利用すべきであり、燃料に使用するよりも生物が共栄共存し人類が豊かになるための製品を生みだすことに振り向けられるべきもので、限りある地球資源の有効利用に関し人類は基本的な指標を世界的に合意しなければならない段階にあると言ってよい。
【0003】
ところで近年、社会的ニーズの高まりは広範囲におよび地球温暖化の抑制に関してもその意識が高まってきている。
その中で住宅など建築物においては便利さや快適さの要求も強く、例えば・安全・安心・健康・癒し・省エネルギーに関する多くの工夫を取り入れた住宅建築工法の開発が進められているのが現状である。
特に、地球温暖化の抑制に関しては、適切な24時間機械換気システムの基で高気密化と高断熱化への取り組みが盛んで地球温暖化抑制には他にさまざまな住宅建築工法と対策が講じられている。しかし、現状の高気密高断熱化住宅の多くはグラスウール、ロックウールでの断熱化、また、石油系の断熱材では難燃性発泡スチロールなどが多量に用いる被覆断熱化工法が主流で、このような被覆断熱化工法では建材を多く使用し決して地球環境に優しい住宅建築工法とは言えないのである。
そこで、真空を利用した真空断熱化工法に着目した。真空断熱の考えは昔からあるものの実用化されたものは窓ガラスなどのサッシ類の一部だけで、未だに住宅全体を真空断熱材で覆い徹底した省エネルギー住宅化までには至っていないのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の事情に鑑み、住宅等建物での真空を利用した真空断熱化工法を大きく前進させるため・嵌め込み硝子パネル・外壁パネル・屋根パネル・床パネル・サッシ・ドアーなどの複層高気密断熱部材と真空制御装置とを組み合わせ高い断熱性能と遮音性能を半永久的に安定維持させる液封式真空制御装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために以下の技術的手段を講じた。
第1に、一台の真空ポンプで、任意に設定した1〜複数の真空度を得る手段に使用する液封式真空度制御装置とした。
第2に、複層高気密断熱部材の1〜複数の各気密空間部を真空度制御装置により個々に真空度制御し高い断熱性能や遮音性能を得る手段に使用する液封を利用した液封式真空度制御装置とした。
第3に、住宅等建物の・嵌め込み硝子パネル・外壁パネル、他・屋根パネル・床パネル・サッシ・ドアーなどの複層高気密断熱部材の1〜複数の各気密空間部を個々の設定真空度毎にチューブで連通接続させ、最少使用数の真空度制御装置で高い断熱性能や遮音性能を得る手段に使用する液封式真空度制御装置とした。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、住宅等建物の建築工法で真空を利用した真空断熱化を大きく前進させることを可能とし、・嵌め込み硝子パネル・外壁パネル・屋根パネル・床パネル・サッシ・ドアーなどの複層高気密断熱部材と液封式真空制御装置との組み合わせで高い断熱性能と遮音性能を半永久的にしかも安定維持させることができる。
液封式真空制御装置と各複層高気密断熱部材とを同じ設定真空度毎にチューブで連通接続しそのチューブの最終末端の一本一本を液封の深さの調整により真空度制御する方式なので真空度制御装置として簡単な構造の真空度制御システムとなっており具現化や実用化が容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、液封式真空制御装置の概略図、図2は、各複層高気密断熱部材と液封式真空制御装置とをチューブ接続した概略図である。
【0008】
図1の真空制御装置1は、液封をしていないチューブ21と液封をした2本のチューブ22とチューブ23とで構成した液封式真空制御装置10で、一台の真空ポンプ15によって3つの違った真空度を得ることができる液封式真空制御装置10となっている。
チューブ21系は、真空ポンプ15と直結しているので真空度が最も高い高真空度である。
チューブ22系は、液封の深さが中段位置で中真空度となっている。
チューブ23系は、液封の深さが一番深く低真空度となっている。
【0009】
液封方式では液の密度によって左右される次の関係がある。例えば、水銀の場合は絶対真空度は760mmHgだが、水では略10mに相当する。
住宅の場合、取り扱い上の安全、安心面から水を使用し、冬場の凍結を考慮しなければならない場合には不凍液水での液封式が望ましい。
液封式真空制御装置10のパイプ高さは略11m以上とし不凍液水の液高さは絶対真空度の場合に相当する略10mとなる。
従って、図示した通り液封式真空制御装置10のパイプ上部の気相部19の真空度は真空ポンプ15の性能の左右されることになる。そして、液封式真空制御装置10のパイプの液中には他の2本のチューブ22とチューブ23が挿入液封されている。
【0010】
このような状態で、真空ポンプ15を稼働させると複層高気密断熱部材3の嵌め込み硝子パネル30の・気密空間部35は高真空度で・気密空間部34、36は中真空度・気密空間部33、37は低真空度となり真空度制御された嵌め込み硝子パネル30として高い断熱性能や遮音性能を継続維持できるようになっている。
従って、真空度設定値により稼働する真空ポンプ15は液封式真空制御装置10とチューブで連通接続している各複層高気密断熱部材3の系統に漏れなどの異常がない限り真空度を保持し、真空ポンプ15の停止状態は続く。
尚、各チューブ21、22、23の液封式真空制御装置10への固定シール方法は、液封式真空制御装置10のパイプに3本のチューブ21、22、23を挿入した後に固定シール部品99によってそれぞれ固定シールされ外気の漏れ込みを遮断している。
液補給弁95は、液封式真空制御装置10のパイプの底部の位置に取り付けてあるので簡単に吸引補給が可能となっている。
【0011】
図2の実施形態で、高真空度のチューブ21系は、複層高気密断熱部材3の嵌め込み硝子パネル30の気密空間部35と、また、隙間保持部材38を有する外壁パネル31の気密空間部39とに連通接続されていて、液封式真空制御装置10のパイプ最上部の気相部19と連通しその末端は真空ポンプ15の吸引口に接合している。
中真空度のチューブ22系は、嵌め込み硝子パネル30の気密空間部34、36に連通接続しその末端は液封式真空制御装置10のパイプ内で液封深さ略3m位置aとなっている。
低真空度のチューブ23系は、嵌め込み硝子パネル30の気密空間部33、37に連通接続しその末端は液封式真空制御装置10のパイプ内で液封深さ略6m位置bとなっている。
【0012】
このように液封式真空制御装置10のパイプ内で、液封の深さを調整することにより任意の真空度を選ぶことができる真空制御装置1となっている。
例えば、嵌め込み硝子やサッシなどはできれば隙間保持部材がない方が好ましくガラス一枚一枚の強度と設定された真空度制御のバランスを保持確保することによって、気密空間部の隙間を保持する隙間保持部材がなくても最小限の隙間を保持し、最高の断熱と遮音性能を有する違和感を感じない透明ガラス部を有する複層の嵌め込み硝子パネル30を具現化している。
【0013】
尚、本発明の実施形態に限らず、以下のような変更が可能である。
本発明の図1、図2では、3本のチューブを使用し・高真空度・中真空度・低真空度と3つの真空度制御としているが、これを1〜複数の真空度を得る液封式真空制御装置10としてもよいし、また、チューブで連通接続する複層高気密断熱部材の種類や数に関しても上記の実施形態に制約や制限されるものではない。
【産業上の利用の可能性】
【0014】
本発明の液封式真空制御装置は、住宅等建物の複層高気密断熱部材の開発促進に結び付く。
そして住宅の高気密高断熱化また高い遮音性能を得ることのできる・安全・安心・健康・癒し・省エネルギー住宅は地球環境に優しい新たな住宅建築工法の開発に結び付く。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】液封式真空制御装置の概略図。
【図2】各複層高気密断熱部材と液封式真空制御装置とをチューブ接続した概略図。
【符号の説明】
【0016】
1 真空度制御装置
3 複層高気密断熱部材
10 液封式真空制御装置
15 真空ポンプ
19 気相部
21、22、23 チューブ
30 嵌め込み硝子パネル
31 外壁パネル
33、34、35、36、37、39 気密空間部
38 隙間保持部材
95 液補給弁
99 固定シール部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空度制御装置(1)であって、
一台の真空ポンプ(15)で、任意に設定した1〜複数の真空度を得る手段に使用する液封式真空度制御装置(10)。
【請求項2】
住宅等建物で使用する真空度制御装置(1)であって、
複層高気密断熱部材(3)の1〜複数の各気密空間部を真空度制御装置(1)により個々に真空度制御し高い断熱性能や遮音性能を得る手段に使用する液封を利用したことを特徴とする請求項1に記載の液封式真空度制御装置(10)。
【請求項3】
住宅等建物で使用する真空度制御装置(1)であって、
住宅等建物の・嵌め込み硝子パネル(30)・外壁パネル(31)、他・屋根パネル・床パネル・サッシ・ドアーなどの複層高気密断熱部材(3)の1〜複数の各気密空間部を個々の設定真空度毎にチューブで連通接続させ、最少使用数の真空度制御装置(1)で高い断熱性能や遮音性能を得る手段に使用することを特徴とする請求項1又は2に記載の液封式真空度制御装置(10)。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−100947(P2007−100947A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318808(P2005−318808)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【出願人】(501120889)
【出願人】(505122829)株式会社ウィズ・ワン (9)
【Fターム(参考)】