説明

液晶ディスプレイ用のプレポリマー配合物

プレポリマー/液晶組成物を開示しており、液晶構成成分、光重合開始剤、及びポリマー前駆体構成成分を包含する。ポリマー前駆体構成成分としては、少なくとも、シランモノマー、反応性(メタ)アクリルオキシモノマー又はオリゴマー、及びエステル、ウレタン、あるいは1つ以上の反応性(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレート系ポリマー又はオリゴマーが挙げられる。双安定性電気光学デバイスの形成方法もまた開示している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、液晶ディスプレイ用プレポリマー配合物、及びそれらのプレポリマー配合物を用いた双安定性電気光学デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子分散型液晶(PDLC)及び高分子安定化液晶(PSLC)技術は、ディスプレイ用途におけるそれらの潜在的な実用性のために、非常に注目されてきている。液晶とポリマーとの間の相分離を適度に制御することが、多くの商業的用途には重要である。
【0003】
液晶とモノマーは溶解するが液晶/ポリマーは不溶で、ある温度での液晶/モノマーの重合は、重合誘導相分離(PIPS)として記載されている。形成される液晶相の寸法は、重合反応速度によって見かけ上制御される。
【0004】
透明電極間に挟まれたPDLCフィルム製のデバイスは、電界(E)を電極に加えると、弱く散乱する焦点円錐状態から反射性の平面状態へ切り替えることができる。これらの状態はいずれも、E=0において安定である。これは、構造が「固定された状態」であり、再度作用を受けるまで元の状態のままである(すなわち、デバイスは双安定性である)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
平面状態から焦点円錐状態への切り替えには低電圧のパルスが必要である一方で、焦点円錐状態から平面状態へ戻るのには高電圧のパルスが必要であり、デバイスをホメオトロピック状態とした後、最終的な平面状態となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、コレステリック液晶ディスプレイ用のプレポリマー配合物、及びそれらのプレポリマー配合物を用いた双安定性電気光学デバイスの製造方法に関する。
【0007】
一つの代表的な実施例では、プレポリマー/液晶組成物は、液晶構成成分、光重合開始剤、及びポリマー前駆体構成成分を包含する。ポリマー前駆体構成成分としては、少なくとも、シランモノマー、反応性(メタ)アクリルオキシモノマー又はオリゴマー、及びエステル、ウレタン、あるいは1つ以上の反応性(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレート系ポリマー又はオリゴマーが挙げられる。
【0008】
別の代表的な実施例において、双安定性電気光学デバイスの形成方法は、第1導電性内表面を有する第1基材を提供する工程と、第2導電性内表面を有する第2基材を提供する工程と、第1導電性内表面上にプレポリマー/液晶組成物を配置する工程と、組成物上に第2導電性表面を配置する工程と、組成物を硬化して硬化組成物を形成する工程と、を包含する。第1基材又は第2基材のうち少なくとも一方は、可視光線を透過する。プレポリマー/液晶組成物は、液晶構成成分、光重合開始剤、及びポリマー前駆体構成成分を包含する。ポリマー前駆体構成成分としては、少なくとも、シランモノマー、反応性(メタ)アクリルオキシモノマー又はオリゴマー、及びエステル、ウレタン、あるいは1つ以上の反応性(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレート系ポリマー又はオリゴマーが挙げられる。
【0009】
本発明による配合物、方法及び物品のこれら及びその他の態様は、図面と以下の「発明を実施するための形態」とを合わせることで、当業者には容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の様々な実施形態についての以下の詳細な記述を添付の図面と結びつけて検討することで、本発明を更に完全に理解することができる。
【図1】例示的な液晶ディスプレイ物品の断面概略図。
【図2】平均LC液滴直径の変化量とMPTMS/HDDMA/PBMA−1の組成との三角プロット。
【図3】幾つかの実施例の配合物の組成物に関する平面状態におけるCIE Lbプロット。
【図4】MPTMS/HDDMA/エルバサイト(Elvacite)4059の組成質量%におけるピークコントラスト比の依存性に関する三角プロット。
【0011】
本発明は様々な修正及び代替形態に補正することができるが、それらの細目は図面において例を用いてこれまでに示されており、また詳細に記述されるであろう。しかしながら、その意図は、記述した特定の実施形態に本発明を限定するものではないことを理解するべきである。逆に本発明は、本発明の趣旨及び範囲内にあるすべての修正、等価物、及び代替物を網羅するものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
したがって、本開示は、高分子誘導相分離(PIPS)用のプレポリマー/液晶配合物、及びそれらのプレポリマー/液晶配合物を用いた双安定性電気光学デバイスの製造方法を目的とする。
【0013】
次に定義する用語については、特許請求の範囲中又は本明細書中の他の箇所に別の定義が与えられない限り、これらの定義が適用されるものとする。
【0014】
用語「ポリマー」は、ポリマー、コポリマー(例えば、二種以上の異なるモノマーを使用して形成されたポリマー)、オリゴマー、及びこれらの組み合わせ、並びに混和性ブレンド中に形成され得るポリマー、オリゴマー、又はコポリマーを包含するものと解される。
【0015】
用語「プレポリマー」は、中間の分子量状態まで反応したモノマー又はモノマーの系を指す。この材料は、反応性基によって、十分に硬化した高分子量の状態まで更に重合させることが可能である。そのようなものとして、反応性ポリマーと未反応のモノマーとの混合物をプレポリマーと呼ぶ場合もある。用語「プレポリマー」と「ポリマー前駆体」は互換性があり得る。
【0016】
成句「官能基の当量」は、分子中のその官能基の分子量と、存在する数との比を意味する。それは、官能基の1式量を含有する物質の重量である。
【0017】
モノマー、オリゴマー又は反応性ポリマーの質量mによって与えられる語句「官能基の当量」は、質量を官能基の当量で除したものである。
【0018】
で表される用語「当量分率」は、モノマー又はオリゴマーiによって与えられるポリマーPの架橋密度Dへの寄与を定量化するのに使用される。これは次式で表される。
【0019】
【数1】

【0020】
その結果、量Dは、次式で表される。
【0021】
【数2】

【0022】
用語「アルキル」とは、S、O、Si、又はNから独立して選択される1つ以上のヘテロ原子置換基を所望により含有する、直鎖又は分枝鎖の一価炭化水素ラジカルを指す。アルキル基としては、一般に、1個〜20個の原子を有するものが挙げられる。アルキル基は、非置換であっても、組成物の特定の機能を妨害しない置換基で置換されていてもよい。置換基としては、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換アミノ、又はハロが挙げられる。本明細書で使用するとき、「アルキル」の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、イソブチル、及びイソプロピルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
用語「アルキレン」とは、S、O、Si、又はNから独立して選択される1つ以上のヘテロ原子置換基を所望により含有する、直鎖又は分枝鎖の二価炭化水素ラジカルを指す。アルキレン基としては、一般に、1個〜20個の原子を有するものが挙げられる。アルキレン基は、非置換であっても、組成物の特定の機能を妨害しない置換基で置換されていてもよい。置換基としては、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換アミノ又はハロが挙げられる。本明細書で使用するとき、「アルキレン」の例としては、メチレン、エチレン、プロパン−1,3−ジイル、プロパン−1,2−ジイル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
用語「アリール」とは、単環を有する一価の不飽和芳香族炭素環ラジカル(例えばフェニル)、又は複数の縮合環を有する一価の不飽和芳香族炭素環ラジカル(例えばナフチル又はアンスリル)を指す。アリール基は、非置換であっても、組成物の特定の機能を妨害しない置換基で置換されていてもよい。置換基としては、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換アミノ、又はハロが挙げられる。本明細書で使用するとき、「アリール」の例としては、フェニル、2−ナフチル、1−ナフチル、ビフェニル、2−ヒドロキシフェニル、2−アミノフェニル、2−メトキシフェニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
用語「アリールアルキル」とは、単環を有する一価の不飽和芳香族炭素環ラジカル(例えばフェニル)、又は複数の縮合環を有する一価の不飽和芳香族炭素環ラジカル(例えばナフチル又はアンスリル)を指し、更には、先に定義したような、1つ以上のアルキル官能基(類)も包含する。アリールアルキル基は、非置換であっても、組成物の特定の機能を妨害しない置換基で置換されていてもよい。置換基としては、例えば、アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、アルキル置換アミノ、又はハロが挙げられる。
【0026】
用語「ハロゲン」又は「ハロ」としては、ヨウ素、臭素、塩素及びフッ素が挙げられる。
【0027】
用語「メルカプト」及び「スルフヒドリル」は、置換基−−SHを指す。
【0028】
用語「ヒドロキシル」は、置換基−−OHを指す。
【0029】
用語「アミノ」は、置換基−−NHを指す。
【0030】
用語「(メタ)アクリレート」又は「(メタ)アクリル」は、メタクリルオキシラジカルとアクリルオキシラジカルの両方を包含する一般表現である。
【0031】
特に指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲において用いられる形状、量、及び物理的特性を表す数値はいずれも、全ての場合において「約」という用語によって修飾されているものと解されるべきである。したがって、特に指示がない限り、前述の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載されている数値パラメータは、本願明細書に開示されている教示を利用して当業者が得ようと試みる所望の特性に応じて変えることのできる近似値である。
【0032】
端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に含まれるすべての数(例えば、1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が包含される)及びその範囲内のあらゆる範囲が包含される。
【0033】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する時、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を有する実施形態にも及ぶ。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、用語「又は」は、その内容について別段の明確な指示がない限り、一般に「及び/又は」を包含する意味で用いられる。
【0034】
成句「液晶」とは、ネマチック相、スメチック相、又はコレステリック相を発現することができる液晶を指す。
【0035】
用語「キラル」単位とは、キラル単位(例えば、鏡面を有しない単位)を含有する非対称単位を指す。キラル単位は、円周方向の左又は右のどちらかに偏光面を回転させることができる。
【0036】
用語「メソゲン」単位とは、液晶中間相の形成を促進する、幾何学的構造を有する単位を指す。
【0037】
用語「ネマチック」液晶化合物とは、ネマチック液晶相を形成する液晶化合物を指す。
【0038】
コレステリック液晶化合物は、性質的にキラルである分子単位(例えば、鏡面を持たない分子)及び性質的にメソゲン性である分子単位(例えば、液晶相を発現する分子)を一般に包含しており、ポリマーでもあり得る。コレステリック液晶組成物は更に、キラル単位と混合した、又はキラル単位を含有する非キラル液晶化合物(ネマチック)を包含してもよい。コレステリック液晶組成物又は材料には、コレステリック液晶相を有する化合物が挙げられ、その相内では、その液晶のディレクタ(平均的な局所的分子整合方向を指定する単位ベクトル)がそのディレクタと直角をなす広がりに沿って螺旋状に回転する。コレステリック液晶組成物はまた、キラルネマチック液晶組成物とも呼ばれる。コレステリック液晶組成物又は材料のピッチは、そのディレクタが360度回転するのに要する(そのディレクタと直角をなし、コレステリック螺旋軸に沿った方向の)距離である。この距離は一般に、100nm以上である。
【0039】
コレステリック液晶材料のピッチは、キラル化合物をネマチック液晶化合物と混合させるか、さもなければそれらを結合させる(例えば、共重合によって)ことにより誘発できる。コレステリック相はまた、キラル非液晶材料によって誘発することもできる。そのピッチは、キラル化合物とネマチック液晶化合物又は材料との相対重量割合に左右される場合がある。ディレクタの螺旋状の捻りは、材料の誘電テンソルに空間的な周期的変動を引き起し、その結果、光の波長選択的な反射を生じさせる。例えば、ピッチは、そのブラッグ反射が光の可視波長領域、紫外線波長領域、又は赤外線波長領域においてピークとなるように選択することができる。
【0040】
コレステリック液晶ポリマーを包含するコレステリック液晶化合物は、一般に知られており、典型的にはこれら材料のうちどれを用いても光学体を作製することができる。好適なコレステリック液晶ポリマー類の例は、米国特許第4,293,435号、同第5,332,522号、同第5,886,242号、同第5,847,068号、同第5,780,629号、同第5,744,057号に記載されており、これら全てを参照によって本明細書に組み込む。また、他のコレステリック液晶化合物類も使用することができる。コレステリック液晶化合物は、例えば、屈折率、表面エネルギー、ピッチ、加工性、透明度、色、問題となる波長における低い吸収、他の構成成分(例えば、ネマチック液晶化合物等)との相溶性、分子量、製造し易さ、液晶ポリマーを形成する液晶化合物又はモノマーの入手可能性、レオロジー、硬化方法及び硬化要件、溶媒の除去し易さ、物理的及び化学的性質(例えば、可撓性、引張強さ、耐溶剤性、引掻抵抗、及び相転移温度)、並びに精製し易さを包含する、1つ以上の要因に基づいて、ある特定の用途又は光学体に適合するように選択されてもよい。
【0041】
本開示は、一般に、液晶ディスプレイ用のプレポリマー/液晶配合物、及びそれらのモノマー/プレポリマー配合物を用いた双安定性電気光学デバイスの製造方法に関する。
【0042】
図1は、例示的な液晶ディスプレイ物品100の断面概略図である。幾つかの実施形態では、液晶ディスプレイ物品100は、双安定性電気光学デバイスである。液晶ディスプレイ物品100は、第1導電性内表面115を有する第1基材110と、第2導電性内表面125を有する第2基材120とを包含している。高分子分散型液晶組成物130は、第1基材110と第2基材120との間に配置される。高分子分散型液晶組成物130は、第1導電性内表面115及び第2導電性内表面125と接触している。幾つかの実施形態では、1つ以上のスペーサー135が、第1基材110と第2基材120との間に配置される。スペーサー135は、第1基材110と第2基材120との間の距離を調節することができる。
【0043】
第1基材110及び第2基材120は、例えば、ガラス又はポリマー等の任意の有用な材料から形成することができる。多くの実施形態では、基材110及び120のうち一方又は両方が可視光線を透過することができる。多くの実施形態では、第1基材110と第2基材120は、ロール・ツー・ロール装置で加工されるのに十分な特性(例えば、強度及び可撓性)を有する好適な高分子材料から形成される。ロール・ツー・ロールとは、材料が支持体に巻取られるか又は支持体から巻出され、それに加えて何らかの方法で更に加工されるプロセスを意味する。更なるプロセスの例としては、コーティング、スリッティング、打抜き加工、及び放射線への曝露等が挙げられる。このようなポリマーの例としては、熱可塑性ポリマーが挙げられる。有用な熱可塑性ポリマーの例としては、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、及びビフェノール系又はナフタレン系の液晶ポリマーが挙げられる。有用な熱可塑性樹脂類の更なる例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ(メチルメタクリレート)、ビスフェノールAのポリカーボネート、ポリ(塩化ビニル)、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びポリ(フッ化ビニリデン)が挙げられる。これらのポリマーの一部は更に、特定のディスプレイ用途に特に良く適合する光学的特性(例えば、透明性)も有しており、それらがポリカーボネート、ポリイミド、及び/又はポリエステル等のパターン化された伝導体を支持する。
【0044】
第1基材110と第2基材120は可撓性を有する。第1基材110と第2基材120は、あらゆる有用な厚さを有することができる。これらの基材110及び120は、一般に約5マイクロメートル〜1000マイクロメートル、又は25マイクロメートル〜500マイクロメートル、又は50マイクロメートル〜250マイクロメートル、又は75マイクロメートル〜200マイクロメートルの範囲の様々な厚さで製造することができる。
【0045】
第1基材110の導電性内表面115及び第2基材120の導電性内表面125は、例えば、スパッタリング、化学気相成膜法等のような、いずれかの有用な方法で形成することができる。多くの実施形態では、パターン化された伝導体が、導電性内表面115及び125の一方又は両方を形成する。パターン化された伝導体は、既知の技術によって一方又は両方の基材上に形成することができる。パターン化された伝導体は、比較的導電性の透明なコーティングであり得る。多くの実施形態では、パターン化された伝導体は、可視光線を透過する。パターン化された伝導体は、可視光線を透過し得る酸化インジウムスズ又はITOを、ITO伝導体の厚さに応じて包含することができる。多くの実施形態では、パターン化された伝導体は、一般に、均一なシート抵抗を有する。パターン化された伝導体は、例えば、10〜100nmの厚さのような任意の有用な厚さを有することができる。伝導体のパターンは、ディスプレイの種類や設計パラメータ、例えば、エンドユーザのディスプレイの大きさ等に一部依存する場合がある。パターン化された伝導体としては、酸化スズアンチモン、酸化亜鉛、又は他の適切な伝導性材料を挙げることができる。
【0046】
高分子分散型液晶組成物130は、第1基材110と第2基材120との間に配置される。高分子分散型液晶組成物130は、高分子マトリックス134(連続相)内に分散された液晶相132(分散相)を包含する。多くの実施形態では、高分子分散型液晶組成物130は、重合誘導相分離(PIPS)によって形成され、形成される液晶相液滴の大きさは、重合反応速度によって少なくとも部分的に制御される。
【0047】
多くの実施形態では、この構造は、双安定性の反射型コレステリック液晶ディスプレイを形成する。導電性内表面125及び115を横切って電界(E)を適用することにより、液晶132を、反射性平面状態又は散乱型焦点円錐状態のいずれかに整列させる。これらの状態はいずれも、E=0では安定であり、それ故に構造は固定されており、再度作用を受けるまで元の状態のままである(すなわち、デバイスは双安定性である)。平面状態から焦点円錐状態への切り替えには低電圧のパルスが必要になる一方で、焦点円錐状態から平面状態へ戻るのには高電圧のパルスが必要となり、デバイスをホメオトロピック状態とした後、最終的な平面状態となる。単一ピクセルのコレステリック液晶ディスプレイ(すなわち、ChLCD)セルを切り替えるための例示的な駆動スキームが、デン−キー・ヤン(Deng-Ke Ynag)らによって記載されている(材料科学年報(Annu. Rev. Mater. Sci.)、1977年、27巻、117〜146頁)。この文献に記載の反射率対電圧のプロットに従って、ChLCDセルを、セルが平面状態のときの電圧値V5、又はセルが焦点円錐状態のときの電圧値Vに切り替えることもできる。関連したパルス列(周波数及び振幅)は、当業者であれば誰でも実施可能である。
【0048】
本明細書の係争中の開示内容に記載されている代表的な組成物は、対応する安定な平面状態の反射を提供する。安定な状態の反射とは、セルが、電圧Vによって平面状態へ駆動させた後、周囲条件下に約3日間放置された後で反射損失を呈さないことを表す。
【0049】
高分子分散型液晶組成物130は、第1基材110と第2基材120との間に配置されて、例えば、1〜15マイクロメートルの範囲の厚さのような、任意の有用な厚さを有することができる。1〜15マイクロメートルの範囲の厚さを有するこの高分子分散型液晶組成物130は、0.1〜10mW/cmの範囲、又は0.2〜3mW/cmの範囲の放射線硬化によって形成することができる。
【0050】
高分子分散型液晶組成物130は、反応性プレポリマー/液晶組成物を混合して重合するプロセスで形成される。多くの実施形態では、反応性プレポリマー/液晶組成物は単相を形成しており、液晶が重合していない。組成物が重合するにつれて、ポリマーは液晶から分離して、液晶が、高分子マトリックス内に分散された液晶ドメイン(例えば、液滴)を形成する。この相分離プロセスは、重合誘導相分離(すなわち、PIPS)と称される。PIPSプロセスでは、ポリマー相は、ポリマーの長さが増加するにつれて、重合中に液晶相から分離する。
【0051】
反応性プレポリマー/液晶組成物は、液晶構成成分、光重合開始剤及びポリマー前駆体構成成分を包含する。これら構成成分は、プレポリマー/液晶組成物が重合するまで単相を形成しているように選択される。
【0052】
液晶構成成分は、例えば、コレステリック液晶材料又はネマチック液晶材料等の、いずれかの有用な液晶であり得る。液晶は、組成物中に任意の有用な量で存在することができる。多くの実施形態では、液晶は、組成物中に60〜95重量%、又は70〜95重量%の範囲で存在することができる。
【0053】
光重合開始剤は、任意の有用な光重合開始剤であり得る。多くの実施形態では、光開始剤としては、ヒドロキシ−アルキルベンゾフェノン(例えば、メルク(Merck)から入手可能なダロキュア(Darocur)(商標))、ベンゾインエーテル、アルキルフェノン、ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、ホスフィンオキシド(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から入手可能なイルガキュア(Irgacure)(商標)819)、及びそれらの誘導体が挙げられる。追加の有用な光重合開始剤は、米国特許第5,516,455号に記載されており、これを本開示内容と矛盾しない範囲まで、参照として組み込む。光重合開始剤は、組成物中に任意の有用な量で存在することができる。多くの実施形態では、光重合開始剤は、0.01〜10重量%、又は0.1〜5重量%、又は1〜2重量%の範囲で存在することができる。
【0054】
ポリマー前駆体構成成分は、少なくとも3つの異なるモノマー及び/又はオリゴマーの混合物である。第1構成成分は、加水分解可能又は加水分解不可能であり得るシランモノマーである。例示的なシランモノマーの代替物としては、アルコキシシラン、及びアクリルオキシシランが挙げられる。この第1モノマーは、次の構造(I)を有することができる:
Si(X)4−m−p (I)
式中、Rは、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、又は(メタ)アクリルオキシアルキルであり、Rは、水素、(C〜C12)アルキル、(C〜C12)アリール、又は(C〜C17)アリールアルキルから独立して選択され、Xは、加水分解可能な基又は加水分解不可能な基であり、mは、1〜3の整数であり、及び(m+p)は、1〜3の整数である。構造(I)の特に有用なシランモノマーとしては、次のもの:
【0055】
【化1】

【0056】
又は
これらの混合物が挙げられ、式中、Rは、水素又は−CHである。例示的なシランモノマーとしては、例えば、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(すなわち、MPTMS)、メタクリルオキシプロピルジメチルエトキシシラン(すなわち、MPDMES)、メタクリルオキシプロピルトリメチルシラン(すなわち、MPTMeS)、メタクリルオキシメチルフェニルジメチルシラン(MMPDMS)が挙げられる。
【0057】
第2モノマーは、構造(II)のいずれかの反応性(メタ)アクリルオキシモノマー又はオリゴマーであり得る:
−R (II)
式中、Rは、アクリルオキシ又はメタクリルオキシから独立して選択され、Rは、S、O、Si、又はNから独立して選択される1つ以上のヘテロ原子置換基を所望により含有する(C〜C20)アルキル又は(C〜C17)アリールアルキルであり、nは、1〜4の整数である。有用な反応性(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーとしては、例えば、グリセロール誘導体、トリメチリオプロパン(trimethlyopropane)誘導体、及びペンタエリスリトール誘導体が挙げられる。構造(II)の特に有用な反応性(メタ)アクリレートモノマー又はオリゴマーとしては、構造(IIa〜IId)のモノマー又はオリゴマーのうちの1つ以上から独立して選択されるモノマー又はオリゴマーが挙げられる;
【0058】
【化2】

【0059】
式中、Yは、(C〜C20)アルキルであり、nは、独立して、0〜10の整数であり、Zは、−C−又は−C−であり、Rは、−H又は−CHであり、及びRは、−H又は−OHである。構造(II)の例示的なモノマー又はオリゴマーとしては、例えば、トリメチロプロパン(trimethylopropane)トリアクリレート(すなわち、TMPTA)、ヘキサンジオールジメタクリレート(すなわち、HDDMA)、ヘキサンジオールジアクリレート(すなわち、HDDA)、ブタンジオールジメタクリレート(すなわち、BDDMA)、エチレングリコールジメタクリレート(すなわち、EGDMA)、エチレングリコールジアクリレート(すなわち、EGDA)が挙げられる。
【0060】
ポリマー前駆体中の第3構成成分は、エステル、ウレタン、又は1つ以上の反応性(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレート系ポリマー若しくはオリゴマーである。多くの実施形態では、この第3構成成分は、ペンダント(メタ)アクリレート基を有するポリアルキル(メタ)アクリレートである。代表的な例は、ペンダント基又は末端メタクリレート基を有するポリブチルメタクリレートである(PBMA−1)。この種の材料は、米国特許第6,448,301号に記載されており、これを参照として、それが矛盾しない程度まで本明細書に組み込む。ペンダントメタクリレート基を有する別のポリメタクリレートは、米国特許第6,340,733号に記載されており、これを参照として、それが矛盾しない程度まで本明細書に組み込む。市販の(メタ)アクリレート系ポリマー又はオリゴマーであって、1つ以上の反応性(メタ)アクリレートを有するものは、ルサイト・インターナショナル(Lucite International)から入手可能なエルバサイト(Elvacite)系列のポリマーである。これらは典型的に、メチルメタクリレートモノマー、エチルメタクリレートモノマー及びn−ブチルメタクリレートモノマーに由来する。代表的な例は、メチルメタクリレートとブチルメタクリレートとのコポリマーを含むエルバサイト(Elvacite)(商標)4095である。
【0061】
幾つかの実施形態では、ポリマー前駆体は所望により、構造(III)の第3モノマーを包含する:
【0062】
【化3】

【0063】
式中、Rは、水素又は−CHであり、Rは、(C〜C12)アルキル、(C〜C12)アリール、又は(C〜C17)アリールアルキルである。
【0064】
一つの例示的な組成物は、60〜95重量%の液晶構成成分、ポリマー前駆体構成成分と関連する0.1〜5重量%の光重合開始剤、及び5〜40重量%のポリマー前駆体構成成分を包含する。ポリマー前駆体構成成分は、60〜85重量%の構造(I)の第1モノマー、5〜30重量%の構造(II)の1つ以上の第2モノマー、5〜30重量%のエステル、ウレタン、又は1つ以上の(メタ)アクリレートを有する(メタ)アクリレート系ポリマー若しくはオリゴマーを包含する。
【0065】
別の例示的な組成物は、70〜95重量%の液晶構成成分、ポリマー前駆体構成成分と関連する0.1〜5重量%の光重合開始剤、及び5〜30重量%のポリマー前駆体を包含する。ポリマー前駆体構成成分は、40〜95重量%の構造(I)の第1モノマー:
【0066】
【化4】

【0067】
(式中、Rは、水素又は−CHである)、0.05〜65重量%のヘキサンジオールジメタクリレート、及び5〜55重量%のペンダントメタクリレート基を有するポリブチルメタクリレートを包含する。
【0068】
更に例示的な組成物は、70〜95重量%の液晶構成成分、0.1〜5重量%の光重合開始剤、及び5〜30重量%のポリマー前駆体を包含する。ポリマー前駆体構成成分は、60〜85重量%の構造(I)の第1モノマー:
【0069】
【化5】

【0070】
(Rは、水素又は−CHである。)、5〜30重量%のヘキサンジオールジメタクリレート、及び5〜30重量%のペンダントメタクリレート基を有するポリブチルメタクリレートを包含する。
【0071】
本発明は、本明細書に記載される特定の実施例に限定されるとみなされるべきではなく、むしろ添付の特許請求の範囲において明確に記載されるように、本発明の全ての態様を網羅するものと理解されるべきである。本明細書を再考することにより、本発明が対象とする様々な修正、等価の方法、並びに本発明を適用でき得る多数の構造が、当業者には容易に明らかとなるであろう。
【実施例】
【0072】
3−(メタクリルオキシ)プロピルトリメトキシシラン(MPTMS)は、アルファ・イーザ(Alfa Aesar)から入手した。
【0073】
メタクリルオキシメチルフェニルジメチルシラン(MMPDMS)は、ペンシルバニア州、モーリスビル(Morrisville)のジェレスト社(Gelest Inc.)から入手した。
【0074】
ヘキサンジオールジメタクリレート(HDDMA)は、ペンシルバニア州、エクストン(Exton)のサートマー社(Sartomer Company, Inc.)から入手した。
【0075】
プロポキシル化(6)トリメチロールプロパントリアクリレートは、サートマー社(Sartomer Company)から製品番号CD−501として入手した。
【0076】
プロポキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレートは、サートマー社(Sartomer Company)から製品番号SR−492として入手した。
【0077】
エルバサイト(商標)4059固体アクリル樹脂は、ルサイト・インターナショナル社(Lucite International Inc.)から入手した。そのガラス転移温度は40℃であり、分子量(Mw)は20,500である。供給元は、(メタ)アクリレート官能基当量を約1.37×10と見積もっていた。
【0078】
イルガキュア(Irgacure)(商標)819は、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドのチバ−ガイギー社(Ciba-Geigy Corporation)の商標名であって、アルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals)から入手した。
【0079】
本明細書に記載されるコレステリック液晶は、メルク社(Merck KGaA)の系列会社である、ドイツ・ダーマシュタット(Darmstadt)のEMDケミカルズ社(EMD Chemicals Inc.)から入手した実験材料であるMDA−01−1955とMDA−00−3506とを組合わせたものである。配合物は、スライドガラスの間に挟んだ薄いコートとして、546nmで反射するように調整した。LC配合物を、MDA−546と呼ぶ。
【0080】
ITOコーティングされたPET基材は、シェルダール(Sheldahl)(ミネソタ州、55057、ノースフィールド(Northfield))から入手した。
【0081】
コントラスト比は、平面状態の最大反射率と対応する焦点円錐状態の反射率との比として見積もられる。試料を、これらを測定するために、黒色表面上に配置した。基材−空気界面を除いてセルの裏面を着色すると、更に高い値のコントラスト比を得ることができる。
【0082】
実施例1
ペンダントメタクリレート基を有するポリブチルメタクリレートの調製
【0083】
【化6】

【0084】
ブチルメタクリレート(29.25g、205.7ミリモル、35.7当量)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(0.75g、5.76ミリモル、1.0当量)、チオールグリコール酸イソオクチルエステル(0.30g、1.47ミリモル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(0.06g)、及び酢酸エチル(100g)の混合物を、瓶に入れ、窒素ガスで15分間置換した。瓶に蓋をして、60℃の水浴で24時間混転させた。冷却した混合物に、2−イソシアナトエチルメタクリレート(0.90g)を加え、この混合物を50℃で4.5時間加熱した。この溶液を、次に、メタノール中で沈澱させ白色固体を得て、それを真空乾燥した(収量16.2g)。GPCで求めた分子量は、Mwが3.20×10、Mnが1.65×10であり、多分散度は1.94であった。このポリマー前駆体は、以降の実験においてPBMA−1と呼ぶ。Mwからのペンダントメタクリレート繰返し単位の計算値は、5.7であり、メタクリレート当量は5.6×10を示す。
【0085】
実施例2
テフロン(登録商標)シール付きのバイアル瓶に、MPTMS(1.60g、質量の80%)、PBMA−1(0.17g、8.57%)及びHDDMA(0.23g、11.43%)を入れた。これを、機械振盪器において室温で約16時間攪拌して、透明な溶液とした。光開始剤イルガキュア(Irgacure)(商標)819(0.03g、1.5%)を加え、バイアル瓶を密封し、光触媒が溶解するまで振盪した。得られたポリマー前駆体を、次いで、表1に示した比率の量に従って、MDA−546及びポリ(ジビニルベンゼン)微小球スペーサー・ビーズと混合した。
【0086】
【表1】

【0087】
プレポリマー/LC配合物を、次に、5分間超音波処理した後、12ピクセルのITOパターン化されたPET基材の間に適用した。基材を積層して、過剰の配合物を拭取った。硬化は、1.20mW/cmのGEブラックライトの下で15分間行った。平均LC液滴寸法を測定して、12.64μmであることが分かった。デン−キー・ヤン(Deng-Ke Ynag)らによって記載された従来の駆動スキーム(材料科学年報(Annu. Rev. Mater. Sci.)、1977年、27巻、117〜146頁)に従って電気的に処置すると、平面状態は不安定であることが分かった。
【0088】
実施例3〜10及び比較例1〜3:平面状態の安定性、反射率及び彩度に関するMPTMS/HDDMA/PBMA−1配合物
PBMA−1を、表2に示すように、様々な量のMPTMS及びHDDMAと配合した。これらプレポリマー混合物を、次に、実施例2の方法に従って、MDA−546と配合した。LC液滴寸法と平面状態の安定性を、表2及び図2に示す。
【0089】
【表2】

【0090】
平面状態の反射率は、<5.5ミクロンのLC液滴寸法と関連があることが認められる。
【0091】
安定な平面状態の反射率を有する実施例2〜10のセルに関し、それらの反射率データ、並びに対応するCIE Lb色空間座標を記録した(表3及び図3)。後者の値は、1931 CIE XYZ空間の転位を表しており、知覚に基づいた軸を示す。輝度は、0〜100の値を取り、L=0は、黒色を表し、L=100は白色を表す。a座標及びb座標は、緑/マゼンタ軸及び青/黄色軸における位置(−100〜+100)を示す。
【0092】
【表3】

【0093】
表3は、PBMA−1の導入(実施例3、4、5、7)が、対応する輝度Lの値で示されるように、平面状態の明るさに悪影響をもたらさなかったことを示す。図3は、実施例3、5の配合物が、相応して最高の彩度を有していたことを示す。特に、比較例2を実施例3と比較すると、いずれも同様のD値とHDDMA質量%とを有するが、比較例2の配合物にMPTMSを犠牲にしてPBMA−1を添加することにより、彩度が顕著に改善する。
【0094】
最良の2成分配合物は、比較例2であることが確認された。比較例3の配合物は安定なデバイスを与えたが、そのセルを黒色表面上に配置したときに観測すると、その焦点円錐状態が曇って見えた。
【0095】
実施例11〜22及び比較例4〜5:架橋剤R−Rを含むMPTMS/エルバサイト(Elvacite)4059の最適化
実施例2の一般的な方法に従って、MPTMS/エルバサイト(Elvacite)4059/R−Rのポリマー前駆体/LC混合物を、1.5質量%のエルバサイト4059と混合した。得られたポリマー前駆体混合物を、次に、表3に示す比率の量に従って、MDA−546及びスペーサー・ビーズと混合した。ポリマー前駆体/LC配合物を、次いで、5分間超音波処理した後、12ピクセルのITOパターン化されたPET基材の間に適用した。基材を積層して、過剰の配合物を拭取った。硬化は、1.20mW/cmのGEブラックライトで15分間行った。平面状態と焦点円錐状態の反射率を表4に記録する。図4は、MPTMS/エルバサイト(Elvacite)4059/HDDMA系における、組成と平面状態のコントラスト比の値とのプロットである。図4からは、エルバサイト(Elvacite)(商標)4059含有量が増加するにつれてピークコントラスト比が増加することが認められる。
【0096】
【表4】

【0097】
実施例23:加水分解不可能なシランを含むプレポリマー配合物の使用
テフロン(登録商標)シール付きバイアル瓶に、MMPDMS(1.28g、質量の64%)、HDDMA(0.44g、22%)及びエルバサイト(Elvacite)4059(0.28g、14%)を入れた。これを、機械振盪器において室温で約16時間攪拌して、透明な溶液とした。光開始剤イルガキュア(Irgacure)(商標)819(0.03g、1.5%)を加えて、バイアル瓶を密封し、光触媒が溶解するまで振盪した。得られたプレポリマー混合物を、次いで、表1に示した比率の量に従って、MDA−546及びスペーサー・ビーズと混合した。
【0098】
対応するChLCDセルの加工は、実施例2の標準条件に従って行った。得られたChLCDセルは、安定な平面状態の反射を与えた。LC液滴寸法は2.0μm未満であり、コントラスト比は3.10であった。
【0099】
実施例24:プロセスウィンドウの決定:セルの熱安定性評価
ChLCDデバイスの平面状態の退色は、特にPIPSプロセスが不完全な場合に、LC相のモノマー又はオリゴマー汚染を幾分引き起こす。そこで、実施例14、16及び17の配合物を、様々なブラックライト強度で15分間、PIPSプロセスに付した。得られたセルを、室温から約55℃まで5℃ずつ昇温してアニールした。各実施例におけるアニール時間は15分であった。各アニール温度において、セルを室温まで冷却し、その後、セルの平面状態を回復させてから反射率を記録した。温度に対する反射率の変化率をプロットした。反射率が著しく低下した温度を表5に示す。
【0100】
【表5】

【0101】
実施例16の配合物は、1.2〜1.5mW/cmの最も大きな照射プロセスウィンドウをもたらすことが認められる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶構成成分と、
光重合開始剤と、
ポリマー前駆体構成成分と、を含み、前記ポリマー前駆体構成成分が、
(i)構造(I)の第1モノマー40〜95重量%、
Si(X)4−m−p (I)
(式中、
は、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、又は(メタ)アクリルオキシアルキルであり、
は、水素、(C〜C12)アルキル、(C〜C12)アリール、又は(C〜C17)アリールアルキルから独立して選択され、
Xは、加水分解可能又は加水分解不可能な基であり、
mは、1〜3の整数であり、(m+p)は、1〜3の整数である。)と、
(ii)構造(II)の1つ以上の第2モノマー0.05〜65重量%、
−R (II)
(式中、
は、アクリルオキシ又はメタクリルオキシから独立して選択され、
は、S、O、Si、又はNから独立して選択される1つ以上のヘテロ原子置換基を所望により含有する(C〜C20)アルキル又は(C〜C17)アリールアルキルであり、
nは、1〜4の整数である。)と、
(iii)エステル、ウレタン、又は1つ以上の反応性(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレート系ポリマー若しくはオリゴマー0.05〜55重量%と、を含む、組成物。
【請求項2】
前記ポリマー前駆体が更に、構造(III)の第3モノマー、
【化1】

(式中、
は、水素又は−CHであり
は、(C〜C12)アルキル、(C〜C12)アリール、又は(C〜C17)アリールアルキルである。)を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、液晶構成成分を60〜95重量%含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、光開始剤を0.1〜5重量%含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
Xが加水分解可能な基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
Xがアルコキシ基である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
構造(I)の前記第1モノマーが、
【化2】

又は
これらの混合物であり、式中、Rが、水素又は−CHである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記第2モノマーが、トリメチロプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、又はエチレングリコールジメタクリレートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記(メタ)アクリレート系ポリマー又はオリゴマーが、ペンダントメタクリレート基を有するポリブチルメタクリレートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
液晶構成成分60〜95重量%と、
前記ポリマー前駆体と関連する光重合開始剤0.1〜5重量%と、
ポリマー前駆体構成成分5〜40重量%と、を含み、前記ポリマー前駆体構成成分が、
(i)構造(I)の前記第1モノマー60〜85重量%と、
(ii)構造(II)の1つ以上の前記第2モノマー5〜30重量%と、
(iii)エステル、ウレタン、又は1つ以上の反応性(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレート系ポリマー若しくはオリゴマー5〜30重量%と、を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
液晶構成成分70〜95重量%と、
前記ポリマー前駆体と関連する光重合開始剤0.1〜5重量%と、
ポリマー前駆体構成成分5〜30重量%と、を含み、前記ポリマー前駆体構成成分が、
(i)構造(I)の前記第1モノマー40〜95重量%、
【化3】

(式中、Rは、水素又は−CHである。)と、
(ii)ヘキサンジオールジメタクリレート0.05〜65重量%と、
(iii)ペンダントメタクリレート基を有するポリブチルメタクリレート5〜55重量%と、を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
液晶構成成分70〜95重量%と、
前記ポリマー前駆体と関連する光重合開始剤0.1〜5重量%と、
ポリマー前駆体構成成分5〜30重量%と、を含み、前記ポリマー前駆体構成成分が、
(i)構造(I)の前記第1モノマー60〜85重量%、
【化4】

(式中、Rは、水素又は−CHである。)と、
(ii)ヘキサンジオールジメタクリレート5〜30重量%と、
(iii)ペンダントメタクリレート基を有するポリブチルメタクリレート5〜30重量%と、を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
構造(II)の1つ以上の前記第2モノマーが、構造(IIa〜IId)のモノマー、
【化5】

(式中、
Yは、(C〜C20)アルキルであり、
nは、独立して0〜10の整数、
Zは、−C−又は−C−であり、
は、−H又は−CHであり、及び
は、−H又は−OHである。)のうちの1つ以上から独立して選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
双安定性電気光学デバイスの形成方法であって、前記方法が、
第1導電性内表面を有する第1基材を供給する工程と、
第2導電性内表面を有する第2基材を供給する工程であって、前記第1基材又は前記第2基材のうち少なくとも一方が、可視光線を透過することと、
前記第1導電性内表面上に組成物を付着する工程であって、前記組成物が、
(a)液晶構成成分と、
(b)光重合開始剤と、
(c)ポリマー前駆体構成成分と、を含み、前記ポリマー前駆体構成成分が、
(i)構造(I)の第1モノマー40〜95重量%、
Si(X)4−m−p (I)
(式中、
は、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、又は(メタ)アクリルオキシアルキルであり、
は、水素、(C〜C12)アルキル、(C〜C12)アリール、又は(C〜C17)アリールアルキルから独立して選択され、
Xは、加水分解可能又は加水分解不可能な基であり、
mは、1〜3の整数であり、(m+p)は、1〜3の整数である。)と、
(ii)構造(II)の1つ以上の第2モノマー0.05〜55重量%、
−R
(式中、
は、アクリルオキシ又はメタクリルオキシから独立して選択され、
は、(C〜C20)アルキルであり、
nは、1〜4の整数である。)と、
(iii)エステル、ウレタン、又は1つ以上の反応性(メタ)アクリレート基を有する(メタ)アクリレート系ポリマー若しくはオリゴマー5〜65重量%と、を含むことと、
前記組成物上に前記第2導電性表面を配置する工程と、
前記組成物を硬化して、硬化組成物を形成する工程と、を含む、方法。
【請求項15】
前記硬化工程が、前記組成物を硬化して、1〜15マイクロメートルの範囲の厚さを有する硬化組成物を形成することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記硬化工程が、前記組成物を0.1〜10mW/cmの範囲で放射線硬化することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記硬化工程が、前記組成物を0.2〜3mW/cmの範囲で放射線硬化することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第1基材を供給する前記工程が、第1可撓性の透明ポリマー基材を供給する工程を含むか又は、前記第2基材を供給する前記工程が、第2可撓性の透明ポリマー基材を供給することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記方法が、ロール・ツー・ロール装置で実施される、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記硬化工程が、前記組成物を硬化して、分散型液晶相とポリ(メタ)アクリレート連続相とを有する硬化組成物を形成することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記第1基材を供給する前記工程が、パターン化された電極である第1導電性内表面を有する第1基材を供給することを含むか、又は第2基材を供給する前記工程が、パターン化された電極である第2導電性内表面を有する第2基材を供給することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記配置工程が、コレステリック液晶材料を含む前記組成物を配置することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記配置工程が、ネマチック液晶材料を含む前記組成物を配置することを含む、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−509457(P2010−509457A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536377(P2009−536377)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/082466
【国際公開番号】WO2008/057774
【国際公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】