説明

液晶パネル検査装置及び液晶パネル検査方法

【課題】偏光板を無駄にすることなく、液晶パネルの欠陥を容易かつ確実に修復(修正)することができる液晶パネル検査装置及び液晶パネル検査方法を得る。
【解決手段】偏光板32Bを備えたバックライト32から液晶パネル10に対して光を照射することにより、液晶パネル10に偏光板が貼り付けられていない状態でも、液晶パネル10の点灯検査が可能になる。これにより、点灯検査において液晶パネル10に欠陥(不良)が確認された場合に、偏光板を剥がすことなく、欠陥(不良)を修復(修正)することができる。また、欠陥部分に位置する偏光板が廃棄されることがないので、偏光板を無駄にすることを防止でき、液晶パネル10の製造コストが低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコンや液晶薄型テレビなどに用いられる液晶パネルの欠陥(不良)の有無を検査する液晶パネル検査装置及び液晶パネル検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコンの表示装置や液晶薄型テレビとして液晶ディスプレイの需要が拡大している。液晶ディスプレイの一部品である液晶パネルの製造工程では、画素不良、走査線及び信号線の断線やショート、表示斑などの欠陥を調べるため、液晶パネルの点灯検査を行っている。この点灯検査は、液晶パネルを点灯させ、点灯状態を目視検査またはカメラを用いた自動検査により実施するものである。点灯検査は、セル工程の最終検査として行われ、液晶の注入・封止、偏光板の貼付後に行われる。点灯検査によって検出された欠陥は、偏光板を剥がしてから欠陥部分を修復し、再度、新しい偏光板を取り付けている。
【0003】
ここで、液晶パネルの点灯検査方法について、具体的に説明する。図6に示すように、従来の点灯検査方法の対象となる液晶パネル100は、カラーフィルタ基板102とアレイ基板104との間に液晶(材料)106を封止するとともに、カラーフィルタ基板102の表面とアレイ基板104の表面に偏光板108、110が接着剤などによりそれぞれ貼り付けられたものである。このように、液晶パネル100には、表面と裏面に偏光板108、110がそれぞれ貼り付けられた状態で、光源となるバックライト112(偏光機能がないもの)から光が照射されて検査される。
【0004】
そして、図7に示すように、具体的な検査工程として、先ず、アレイ基板104を製造するアレイ基板製造工程S200とカラーフィルタ基板102を製造するカラーフィルタ工程S210の終了後、アレイ基板104とカラーフィルタ基板102の配向膜をそれぞれ形成する配向膜工程S220、スペーサ105を形成するスペーサ形成工程S230、液晶を封入・封止する液晶封入・封止工程S240、偏光板108、110を貼り付ける偏光板貼付工程S250の順番で実施されていく。なお、従来の検査方法では、配向膜工程S220と、スペーサ形成工程S230と、液晶封入・封止工程S240と、偏光板貼付工程S250と、がセル製造工程S260になる。その後、点灯検査工程S270において、バックライト112を用いた点灯検査が実施され、液晶パネル100に欠陥(不良)が発生すれば、偏光板108、110が剥がされる偏光板剥離工程S280が実施され、欠陥(不良)を修正する不良修正工程S290が実行される。そして、再度、偏光板108、110を貼り付ける偏光板貼付工程S300が行われ、再点灯検査工程S310において再点灯検査が実施される。なお、液晶パネル100に不良が発生していない場合又は不良が修正された場合には、ドライバー実装工程S320が実行され、次の工程へと進んでいく。
【0005】
なお、上記従来技術は公用の技術であり、本発明は公用の技術をもとに開発したものである。このため、出願人は、特許出願の時において本発明に関連する文献公知発明の存在を知らず、文献公知発明の名称その他の文献公知発明に関する情報の所在の記載を省略する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の点灯検査方法では、液晶パネル100がドライバーICに接続する前の状態(図6に示す符号100の状態)でなければ、検査することができなかった。そのため、液晶パネル100に欠陥があった場合に、その欠陥を修復するために偏光板108、110を剥離しなければならなかった。このため、偏光板108、110を剥離する工程が増えるとともに、剥離した偏光板108、110を廃棄することになるので、液晶パネル100の製造コストも大幅に増加していた。
【0007】
また、液晶パネル100に対してバックライト112により光を照射して欠陥の有無を人の目で確認する目視検査では、欠陥の位置を正確に記憶することができないため、欠陥の位置の特定に手間取ったり、あるいは欠陥位置を間違えたりすることがある。このため、欠陥を修復するまでに多くの時間が必要となっていた。そこで、この時間の問題を解決するために、検査対象となる液晶パネル100に直接、マーキングを付けて欠陥位置を示す方法がとられていたが、液晶パネル100の欠陥位置を容易に特定できても、欠陥を修復した後、マーキングを消し忘れたり、マーキングが汚れとなり、新たな不良を引き起こすという別の問題が生じていた。
【0008】
さらに、液晶パネル100に対してバックライト112により光を照射して欠陥の有無をカメラで確認する自動検査では、液晶パネル100の欠陥位置を正確に記憶できるものの、検査装置の構成が複雑かつ大型化するため、検査装置の導入コストが高くなり、かつ検査時間も長くなるという問題が生じていた。
【0009】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、偏光板を無駄にすることなく、液晶パネルの欠陥を容易かつ確実に修復(修正)することができる液晶パネル検査装置及び液晶パネル検査方法を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、上記事情を考慮し、液晶パネル検査装置の大型化及び複雑化を抑制し、液晶パネルの製造コスト及び液晶パネル検査装置の導入コストを低減させることができる液晶パネル検査装置及び液晶パネル検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、ガラス基板に液晶を封入して構成した液晶パネルに対して光を照射し検査する液晶パネル検査装置であって、発光する光源部と、前記光源部からの光を偏光させて前記液晶パネルに照射する偏光部と、を有することを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液晶パネル検査装置において、前記液晶パネルを透過可能な任意のマークを前記偏光部に表示させる制御部と、前記マークを前記液晶パネルの欠陥の位置に移動させ、前記マークの位置を確定する操作部と、を有し、前記操作部により確定された前記マークの位置が前記制御部に入力されることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、ガラス基板に液晶を封入して構成した液晶パネルに対して光を照射し検査する液晶パネル検査方法であって、偏光された光を発光部から前記液晶パネルに対して照射する光照射工程と、前記液晶パネルに照射されて前記液晶パネルを透過した光に基づいて前記液晶パネルの欠陥の有無を検査する欠陥検査工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の液晶パネル検査方法において、前記発光部に表示された任意のマークを前記液晶パネルに透過させ、前記液晶パネル上の前記マークを操作部により前記液晶パネルの欠陥部位に移動させて前記液晶パネルの欠陥の位置を特定する操作工程と、前記操作部により特定された前記液晶パネルの欠陥の位置を制御部に入力する入力工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、光源部からの光が偏光部により偏光されて液晶パネルに照射される。これにより、液晶パネルに偏光板が貼り付けられていない場合でも、液晶パネルを透過する光を目視して液晶パネルの傷などの欠陥(不良)を確認することができる。この結果、液晶パネルに欠陥が確認された場合でも、偏光板を剥がす工程を省略することができ、作業負担を軽減させることができる。また、剥がした偏光板を廃棄することがないので、偏光板が無駄になることを防止でき、製造コストを低減させることができる。さらに、液晶パネル検査装置は、光源部と偏光部で構成されているだけなので、大型化かつ複雑化することがなく、液晶パネル検査装置の導入コストを低減させることができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、制御部により偏光部に任意のマークが表示される。このマークは、液晶パネルを透過する。このため、作業者は、偏光部に表示されたマークを液晶パネル上で視認することができる。そして、液晶パネルに欠陥を発見した場合には、操作部を操作してマークがその欠陥部位と重なるようにマークを移動させ、欠陥部位と重なったマークの位置を確定する。そして、操作部により確定されたマークの位置が制御部に入力される。これにより、このマークの位置が液晶パネルの欠陥の位置になる。この結果、液晶パネルの欠陥の位置を容易かつ正確に特定することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、光照射工程において、偏光された光が発光部から液晶パネルに対して照射される。欠陥検査工程において、液晶パネルに照射されて液晶パネルを透過した光に基づいて液晶パネルの欠陥の有無が検査される。これにより、液晶パネルに偏光板が貼り付けられていない場合でも、液晶パネルを透過する光を目視して液晶パネルの傷などの欠陥(不良)を確認することができる。この結果、液晶パネルに欠陥が確認された場合でも、偏光板を剥がす工程を省略することができ、作業負担を軽減させることができる。また、剥がした偏光板を廃棄することがないので、偏光板が無駄になることを防止でき、製造コストを低減させることができる。さらに、液晶パネル検査装置は、光源部と偏光部で構成されているだけなので、大型化かつ複雑化することがなく、液晶パネル検査装置の導入コストを低減させることができる。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、操作工程において、発光部に表示された任意のマークが液晶パネルに透過され、液晶パネル上のマークを操作部により液晶パネルの欠陥の位置と重なる位置に移動させて液晶パネルの欠陥の位置が特定される。入力工程において、操作部により特定された液晶パネルの欠陥の位置が制御部に入力される。これにより、このマークの位置が液晶パネルの欠陥の位置になる。この結果、液晶パネルの欠陥の位置を容易かつ正確に特定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明の一実施形態に係る液晶パネル検査装置及び液晶パネル検査方法について、図面を参照して説明する。
【0020】
先ず、検査対象となる液晶パネルの構造について説明する。
【0021】
図1に示すように、液晶パネル10は、アレイ基板12と、カラーフィルタ基板14と、を備えており、アレイ基板12とカラーフィルタ基板14との間には液晶(液晶材料)16が封入・封止されて、構成されている。このため、検査対象となる液晶パネル10には、偏光板が貼り付けられていない。
【0022】
アレイ基板12とは、TFT(Thin−Film−Transistor)基板といわれるものであり、後述のバックライト32である白色光を通したり通さなかったりする基板である。具体的には、アレイ基板12は、アレイ製造工程において、ガラス基板12Aの液晶側の上面にトランジスタ12Bを形成することにより製造される。なお、トランジスタ12Bの液晶側の上面には、配向膜12Cが形成されている。
【0023】
液晶16は、ネマティック液晶である。この液晶は、一般に、ダイレクタ(director)と呼ばれる分子の統計平均的な配向方向と誘電的性質及び光学的性質とが密接に関連しており、液晶パネルにおいては、この液晶の性質が積極的に利用される。通常液晶パネルに用いられるネマティック液晶の誘電率は、ダイレクタ方向に大きくダイレクタに垂直な方向に小さい場合(ポジ型液晶)と、ダイレクタ方向に小さく、ダイレクタに垂直な方向に大きい場合(ネガ型液晶)がある。また、光学的性質としては、屈折率がダイレクタ方向の光電場に対して大きく、ダイレクタに垂直な方向の光電場に対しては小さい物の利用が一般的である。液晶パネルでは、ガラス等の基板に電極を設けて、基板近傍に配置された液晶材料の配向方向を、電極間に与えた電界によって制御し、その配向方向と屈折率の関係から所望の表示を得る。
【0024】
カラーフィルタ基板14は、CF(Color Filter)基板であり、白色光をR・G・B(赤・緑・青)の三色に変えるための基板である。カラーフィルタ基板14は、カラーフィルタ製造工程において、画素に対応させてガラス基板14Aの液晶側の上面にR(赤)・G(緑)・B(青)の光を透過させる着色層14Bを形成することにより製造される。このため、各画素の通過光をR、G、Bに着色することができ、カラー表示を実現することができる。各画素の電圧を制御することで、スクリーン上の任意の一点で任意の発色が可能になる(非発色=黒も可能)。なお、着色層14Bの液晶側の上面には、配向膜14Cが形成されている。
【0025】
上記液晶パネル10では、アレイ基板12とカラーフィルタ基板14を、スペーサ形成工程で得たスペーサ18を介して、両者の配向膜12C、14Cが対向するようにして合わせ、その後、アレイ基板12とカラーフィルタ基板14との間に形成された隙間に液晶を封入し、シール部材20により液晶を封止する。このようにして、液晶パネル10が製造される。
【0026】
次に、液晶パネル検査装置について説明する。
【0027】
図1及び図2に示すように、液晶パネル検査装置30は、バックライト32を備えている。図3に示すように、バックライト32は、発光する光源部32Aと、光源部32Aからの光を偏光させる偏光板32Bと、で構成されている。すなわち、バックライト32は、偏光機能を備えた光源であり、偏光された光を上述した液晶パネル10に対して照射させることができる。
【0028】
ここで、光を偏光する偏光板の基本原理は、従来から周知のものであるが、複数の隙間が形成されており、一定方向に振動する光のみを透過させるものである。例えば、2枚のスモーク偏光板を重ねて、一方を他方に対して90度回転させて両者の隙間の方向(位相)を平行又は垂直にすることにより、視覚的に、透明にしたり、あるいは黒色にしたりすることができる。これは、隙間の方向(位相)が平行の場合、一定方向に振動する光は2枚の偏光板を透過して人の目で認識することができるが、隙間の方向(位相)が垂直の場合、一定方向に振動する光は1枚の偏光板を透過しても、他の1枚の偏光板を透過することができず、人の目で認識することができないことによる。また、例えば、赤色のカラー偏光板とカラー偏光板を重ねて、一方を他方に対して90度回転させて両者の隙間の方向(位相)を平行又は垂直にすることにより、視覚的に、透明にしたり、あるいは赤色にしたりすることができる。
【0029】
本発明に用いられるバックライト32としては、パソコンなどに用いられている液晶ディスプレイ(LCD、PDP、EL、など)が好ましい。液晶ディスプレイは、偏光板として機能する光学フィルタを備えている。光学フィルタは、偏光板は自然光を直線偏光に変える素子であり、一般的な機能は入射する光を直交する偏光成分の一方のみを通過させ、他方を吸収(あるいは反射・散乱)により遮蔽するものである。現在特にLCD用に量産実用化されている偏光板の多くは基材フィルム(ポリビニルアルコール:PVA)にヨウ素や有機染料などの二色性の材料を染色・吸着させ、高度に延伸・配向させることで吸収二色性を発現させているものである。偏光板の光学特性は透過率(T)、偏光度(P)、色相の3種のパラメータで表すことが出来る。特にT、P値はLCDの輝度、コントラストに直接関係するため重要な特性であり、これを可視光領域で十分に確保することが要求される。
【0030】
また、図2及び図4に示すように、バックライト32には、パソコン等の制御機器34が電気的に接続されている。この制御機器34は、欠陥(不良)の種類(例えば、傷、斑、短絡、など)、欠陥の程度、欠陥部位(欠陥位置)を表示する表示部(モニタ)36と、所定の情報を入力し、あるいはカーソルやポインタなどの任意のマークAをバックライト32の表面に表示させる操作部38と、所定のプログラムが格納され所定の演算処理が実行されるとともに、得られた値をデータとして記憶可能な制御本体部40と、を有している。操作部38を操作することにより、バックライト32の表面にカーソルやポインタなどのマークAを変動表示させることができ、カーソルやポインタなどのマークAの位置を制御本体部40に入力することができる。なお、制御機器34は、他の制御機器、通信装置、サーバなどに接続可能になっており、得られた値を他の制御機器などにおいて共有することができるようになっている。
【0031】
次に、本実施形態の液晶パネル検査装置30を用いた液晶パネル検査方法について説明する。
【0032】
図5に示すように、アレイ製造工程S10において、アレイ基板12が製造される。アレイ基板12は、ガラス板12Aの上面に任意のトランジスタ12Bを形成することにより製造される。また、カラーフィルタ製造工程S20において、カラーフィルタ基板14が製造される。カラーフィルタ基板14は、ガラス板14Aの上面にR(赤)・G(緑)・B(青)の着色層14Bを形成することにより製造される。
【0033】
次に、配向膜形成工程S30において、アレイ基板12のトランジスタ12Bとカラーフィルタ基板14の着色層14Bの上面に配向膜12C、14Cがそれぞれ形成される。次に、スペーサ形成工程S40において、アレイ基板12とカラーフィルタ基板14との間に配置させるスペーサ18が形成される。次に、液晶封入・封止工程S50において、アレイ基板12の配向膜12Cとカラーフィルタ基板14の配向膜14Cとが相互に対向かつ近接するように配置され、アレイ基板12とカラーフィルタ基板14との間に形成された隙間に液晶16が封入される。そして、シール部材20によりシールされて液晶16が封止される。これにより、検査対象となる液晶パネル10が製造される。本実施形態では、配向膜形成工程S30と、スペーサ形成工程S40と、液晶封入・封止工程S50と、でセル製造工程S60が構成されている。この点、図7に示すように、偏光板貼付工程が含まれていた従来技術のセル製造工程S260と比較して、本実施形態のセル製造工程S60の中には、偏光板貼付工程が削除された簡易な工程になっている。
【0034】
次に、点灯検査工程S70において、上記セル製造工程S60で得られた液晶パネル10を用いた点灯検査が実施される。すなわち、バックライト32の前方に、液晶パネル10のアレイ基板12側が近接するように設定し、バックライト32から液晶パネル10に対して光を照射させる。なお、上述した通り、バックライト32からの光は、偏光調整された状態で液晶パネル10に照射される。液晶パネル10に照射された光は、液晶パネル10のアレイ基板12、液晶16、カラーフィルタ基板14の順番に透過していくことになる。
【0035】
作業者は、液晶パネル10のカラーフィルタ基板14側から液晶パネル10を目視により検査する。目視検査では、液晶パネル10に、傷、埃、輝度斑、などの欠陥(不良)が存在するか否かを確認する。このとき、図4に示すように、バックライト32の偏光板32B上に表示されているマークAが液晶パネル10を透過して液晶パネル10上に表示される。そして、液晶パネル10に、傷、埃、輝度斑、などの欠陥(不良)が確認されると、作業者が操作部38を操作してその欠陥位置にマークAが位置するように移動させ、欠陥位置にマークAを合わせて(重ねて)確定操作することにより、その欠陥位置が制御本体部40に入力されて記憶されるとともに、その欠陥の情報(種類、位置、大きさ)が表示部36に表示される。なお、マークAはバックライト32上に表示されるものであるが、マークAを示す光が液晶パネル10を透過するため作業者に視認することができるようになっている。また、欠陥の種類(例えば、傷、埃、輝度斑、など)は、操作部38において種類別の入力ボタンあるいは入力情報が区分けされており、作業者が欠陥の種類に対応する入力ボタンあるいは入力情報を入力することにより容易に特定することができる。さらに、制御本体部40に記憶された欠陥情報は、他の通信機器にも接続可能とされて共有化される。また、欠陥の種類や位置が所定の欠陥に偏った場合などには、液晶パネル10の欠陥部位を製造する生産ラインを特定することができ、かつ、その特定した生産ラインを適宜メンテナンスすることにより、以後に発生し得る欠陥を未然に防止することが可能になる。
【0036】
上記点灯検査工程S70における点灯検査の結果、欠陥が発見されなかった場合には、偏光板貼付工程S80において、液晶パネル10のアレイ基板12の表面とカラーフィルタ基板14の表面に偏光板がそれぞれ貼り付けられる。その後、液晶パネル10は、ドライバー実装工程S90を経て別の工程に送られる。
【0037】
一方、上記点灯検査工程S70における点灯検査の結果、欠陥が発見された場合には、不良修正工程S100において、液晶パネル10の欠陥(不良)が修復(修正)される。そして、再点灯検査工程S110において点灯検査が実施され、欠陥が修復(修正)された場合には、偏光板貼付工程S80で偏光板が貼り付けられる。その後、液晶パネル10は、ドライバー実装工程S90を経て別の工程に送られる。
【0038】
以上のように、本実施形態の液晶パネル検査装置30を用いた液晶パネル検査方法によれば、液晶パネル10に偏光板が貼り付けられていない状態で液晶パネル10の点灯検査が実施されるため、点灯検査において液晶パネル10に欠陥(不良)が確認された場合に、偏光板を剥がすことなく、欠陥(不良)を修復(修正)することができる。これにより、偏光板を剥がす工程を省略することができ、欠陥を修復する労力が軽減される。また、欠陥部分に位置する偏光板が廃棄されることがないので、偏光板を無駄にすることを防止でき、液晶パネル10の製造コストが低減される。
【0039】
また、点灯検査において人による目視検査が実施されるが、従来技術のように作業者が欠陥位置を記憶する方法と異なり、欠陥の種類、位置及び程度が操作部38を介して制御本体部40に入力されるため、欠陥に関する正確な情報を容易に記録することができる。また、従来技術のように液晶パネルに欠陥位置をマーキングする必要もないので、マーキングの消し忘れや、マーキングにより新たな欠陥(不良)が発生することも防止できる。
【0040】
さらに、欠陥に関する正確な情報をデーターベース化することができ、欠陥に関するデータを有効に活用することにより、作業者の作業負担を軽減することができるとともに、点灯検査時間を短縮することができ、また検査精度を高めることができる。また、記憶された欠陥にするデータに基づいて、生産ラインを見直すことにより、液晶パネル10及びその部品の不良解析、歩留まり改善及び品質管理にも役立てることができる。
【0041】
また、本実施形態の液晶パネル検査装置30は、バックライト32と制御機器34で構成されているため、検査装置自体が大型化及び複雑化することを防止でき、ひいては検査装置の導入コストが高くなることも防止できる。
【0042】
なお、本実施形態において、点灯検査の対象となる液晶パネル10にカラーフィルタ基板14とアレイ基板12とが貼り付けられた構成を示したが、この構成に限られるものではなく、例えば、液晶とアレイ基板のみ(カラーフィルタ基板が無い)で構成された液晶パネルに対して点灯検査を実施してもよい。これにより、欠陥が確認された場合でも、カラーフィルタ基板も無駄にすることがなく、一層経済的になる。液晶とカラーフィルタ基板のみ(アレイ基板が無い)で構成された液晶パネルに対して点灯検査を実施してもよい。これにより、欠陥が確認された場合でも、アレイ基板も無駄にすることがなく、一層経済的になる。また、液晶を2枚のガラス基板の間に封入しただけの液晶パネルに対して点灯検査を実施してもよい。これにより、欠陥が確認された場合でも、カラーフィルタ基板とアレイ基板の両方を無駄にすることがなく、一層経済的になる。さらに、液晶とアレイ基板とカラーフィルタ基板で構成される液晶パネルに対してカラーフィルタ基板のみに偏光板を貼り付けて、アレス基板に偏光板を貼り付けない状態で点灯検査を実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施形態に係る液晶パネル検査装置で検査される液晶パネルの構成を示した構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る液晶パネル検査装置の構成を示した構成図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る液晶パネル検査装置に用いられるバックライトの構成を示した構成図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る液晶パネル検査装置のバックライトに表示されたマークが液晶パネルに透過して液晶パネル上に表示されている状態を示した説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る液晶パネル検査装置の検査対象となる液晶パネルの製造工程、検査工程及び欠陥修正工程を示した工程図である。
【図6】従来の液晶パネル検査装置で検査される液晶パネルの構成を示した構成図である。
【図7】従来の液晶パネル検査装置の検査対象となる液晶パネルの製造工程、検査工程及び欠陥修正工程を示した工程図である。
【符号の説明】
【0044】
10 液晶パネル
12 アレイ基板(ガラス基板)
14 カラーフィルタ基板(ガラス基板)
16 液晶
30 液晶パネル検査装置
32 バックライト(発光部)
32A 光源部(バックライト)
32B 偏光板(偏光部、バックライト)
38 操作部
40 制御本体部(制御部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板に液晶を封入して構成した液晶パネルに対して光を照射し検査する液晶パネル検査装置であって、
発光する光源部と、
前記光源部からの光を偏光させて前記液晶パネルに照射する偏光部と、
を有することを特徴とする液晶パネル検査装置。
【請求項2】
前記液晶パネルを透過可能な任意のマークを前記偏光部に表示させる制御部と、
前記マークを前記液晶パネルの欠陥の位置に移動させ、前記マークの位置を確定する操作部と、
を有し、
前記操作部により確定された前記マークの位置が前記制御部に入力されることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネル検査装置。
【請求項3】
ガラス基板に液晶を封入して構成した液晶パネルに対して光を照射し検査する液晶パネル検査方法であって、
偏光された光を発光部から前記液晶パネルに対して照射する光照射工程と、
前記液晶パネルに照射されて前記液晶パネルを透過した光に基づいて前記液晶パネルの欠陥の有無を検査する欠陥検査工程と、
を有することを特徴とする液晶パネル検査方法。
【請求項4】
前記発光部に表示された任意のマークを前記液晶パネルに透過させ、前記液晶パネル上の前記マークを操作部により前記液晶パネルの欠陥部位に移動させて前記液晶パネルの欠陥の位置を特定する操作工程と、
前記操作部により特定された前記液晶パネルの欠陥の位置を制御部に入力する入力工程と、
を有することを特徴とする請求項3に記載の液晶パネル検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−216810(P2008−216810A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−56302(P2007−56302)
【出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(501114693)株式会社ウインズ (23)
【Fターム(参考)】