説明

液晶パネル電算模写において、ディスプレイ映像の観察角度への依存性をパノラミックに出力する方法

本発明は、観測者が液晶パネルを眺める観察角によって、出力画像に対していかなる色合い特性、輝度特性または明暗対比特性を示すかを予測する液晶パネルに関する電算模写画像シミュレーションを行って得た結果を出力する方法に関する。本発明は、出力したい画像に対し、観察者が液晶パネルを眺める観察角を基準として視覚変換過程を行い、投影により遠近感を考慮した画像に変換して出力することを特徴とする。その結果、液晶パネルの全体に対して画像シミュレーションが行われ、観察者がまるでディスプレイ装置の画面を実際に見たかのように感知するパネル画像を出力することにより、一層臨場感のある画像の具現特性の分析が可能になる。また、種々の方式の観察角入力と結果画像出力を提供して、電算模写における観察角による画像の特性分析の便宜性を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観測者が液晶パネルを眺める角度によって、出力画像に対していかなる色合い特性、輝度特性または明暗対比特性を示すかを予測し、液晶パネルに関する電算模写画像シミュレーションにより得た結果を出力する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マルチメディア産業の発達に伴い、ノート型パソコン、携帯用個人情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)、携帯電話などに軽量薄型のディスプレイが実装可能な液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)装置の利用が増えつつある。しかしながら、液晶ディスプレイ装置は、画面を見る角度(観察角)によって色彩具現特性に顕著な違いがあり、観察角方向によって画像が異なって見える問題点がある。このため、このような問題点を解消するために、観察角による画像出力の特性の問題を改善する技術に関する研究が活発になされている。
【0003】
また、液晶ディスプレイの観察角による画像出力特性の問題を改善するために、液晶ディスプレイの電気光学的な特性を数値解析により計算し、これにより液晶ディスプレイが最終的に出力する画像を予測するシミュレーションソフトウェアが用いられている。
図1は、従来の技術による液晶ディスプレイ用シミュレーションソフトウェアが提供する画像出力方式を示す。図1を参照すると、従来の液晶ディスプレイ装置用シミュレーションソフトウェア10は、入力された画像21に対して、それぞれの観察角に対してシミュレーションした結果の画像31、32を画像結果出力モジュールを介して出力する。
【0004】
一方、観察者が感知するディスプレイ装置画面は、x、y、z軸の3次元ワールド座標系における形状ではなく、観察者が物体を眺める観察者の目の位置(視点)を中心とする新たな座標系(視覚座標系)における形状である。また、画面に関するワールド座標系における座標は変化しないが、視覚座標系上における座標は観察者の視点の移動によって変化する。このため、ディスプレイ装置は固定されているとしても、観察者の観察角方向によって、感知する画面の形状が異なってくる。
【0005】
このため、従来の方式によれば、ユーザーは、シミュレーションされた結果画像を観察するに当たり、観察者の観察角方向による形状の変化は全く考慮せず、観察角の変化によるディスプレイ装置の画像の具現特性による画像のみを出力するという特徴がある。
図2は、従来の方式による画像出力方式と、観察者の観察角方向による視覚座標系上の変化を考慮した結果画像の出力方式の相違点を示す。図2を参照すると、観察者が観察角(0、45)からディスプレイ装置を眺めた場合、観察者が感知するディスプレイ装置の画面は、遠近感を考慮した上の画面41と同様である。しかしながら、従来の画像出力方法は、下の画面42のように、観察者の観察角による遠近感の変化を全く考慮せずに、ディスプレイ装置の画像の具現特性による画像のみを出力するという問題点があり、観察者は、常に、現在の画像に関する数値的な観察角情報を念頭に入れて観察しなければならないという不都合があった。
【0006】
このような問題点は、液晶ディスプレイだけのものではなく、観察角特性の分析が求められるあらゆるディスプレイの観察角によるシミュレーション処理後の画像を観察する上で共通する問題である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の第1の目的は、観察者の観察角方向による画像シミュレーション結果に観察者の観察角情報を反映した上で出力する方法を提供するところにある。
また、本発明の第2の目的は、前記第1の目的に加えて、観察者の観察角方向による画像の具現特性の分析の便宜性を高めることができる画像シミュレーション結果の出力方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、観察者の観察角方向に関する情報を入力するステップと、前記視野角方向情報を用いて視覚変換情報を生成するステップと、前記観察角方向から見たときに画面上に表示されるシミュレーション画像を読み出すステップと、前記読み出した画像を前記観察角方向に垂直な投影平面に投影してマッピングするステップと、マッピングした画像を出力するステップと、を含む画像シミュレーション結果の出力方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明による画像シミュレーション結果の出力方法は、画像シミュレーションされた結果画像を観察者がディスプレイ装置の画面を見たときと同様にして出力するので、一層臨場感のある画像の具現特性の分析が可能になる。また、種々の方式の観察角入力と結果画像出力を提供して、観察角に対応した画像の特性分析の便宜性を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、添付した図3から図7に基づき、本発明による画像シミュレーション結果の出力方法を詳述する。
【0011】
図3は、本発明による画像シミュレーション結果の出力の流れを示すフローチャートである。図3を参照すると、本発明による画像シミュレーション結果の出力方法は、観察者が目的とする観察角方向に関する情報を入力した後(ステップS110)、該入力した観察角情報を用いて入力された観察角に関する視覚変換情報を生成する(ステップS120)。次いで、観察者の観察角方向に相当する画像計算を行うか、あるいは、既に計算された画像データを読み出し(ステップS130)、出力したい画像を観察者の観察角方向に垂直な平面に投影してマッピングした後(ステップS140)、マッピングされた画像を出力する(ステップS150)。また、観察者が他の観察角方向に関する入力があるかどうかを判断して(ステップS160)、他の観察角方向に関する入力があれば、入力された観察角情報を用いて入力された観察角に関する視覚変換情報を生成するステップ(ステップS120)から、他の観察角方向に関する入力があるかどうかを判断するステップ(ステップS160)までの過程を繰り返し行う。
【0012】
本発明の好適な態様によれば、入力された観察角方向の情報を用いて入力された観察角方向に関する視覚変換情報を生成するステップ(ステップS120)及び観察者の観察角方向から眺めたときに画面上に表示される計算された画像を観察者の観察角方向に垂直な平面に投影してマッピングするステップ(ステップS140)、マッピングした画像を出力するステップ(ステップS150)は、OpenGL、MESAなどの開示されたグラフィックス・ライブラリから提供する関数を用いることができる。
【0013】
本発明による観察角情報または観察角方向に関する情報は、1または2以上のワールド座標系上における視点座標である。また、視覚変換情報とは、ワールド座標系上の座標を視覚座標系上の座標に変換するための情報である。
【0014】
図4は、観察者の観察角による観察角方向情報及び視覚変換情報の一態様を示す。図4を参照すると、ディスプレイ装置の画面200は、X軸、Y軸、Z軸により構成されたワールド座標系上のX平面上に位置している。また、ワールド座標系の原点O(250)は、ディスプレイ装置中に位置する。このとき、観察角情報は、ワールド座標系上の視点E(260)の位置に関する球面座標(ρ,θ,φ)または直角座標(X,Y,Z)である。このとき、球面座標ρは、ワールド座標系の原点O(250)から視点E(260)までの距離、θは、視点E(260)がX平面に投影された点E’(261)と原点O(250)を通る線分がX軸となす角度、φは、原点O(250)から視点E(260)を通るベクトルがZ軸となす角度をそれぞれ意味する。
【0015】
一方、視覚座標系は、X軸、Y軸、Z軸により構成され、視点E(260)を原点とする。また、Z軸は、視点E(260)とワールド座標系の原点(O)を通るベクトルと平行であり、X平面はZ軸に垂直である。
このとき、ワールド座標系上の任意の点(x,y,z)は、下記式に示すように、視覚変換行列により点(x,y,z)に変換される。視覚変換情報とは、視覚変換行列の各要素であってもよい。
【数1】

【0016】
図5は、本発明により視覚座標系上の座標を投影平面に投影した一態様を示す。図5を参照すると、投影平面300が視点E(260)から垂直距離d301だけ離れた個所に位置し、且つ、投影平面の幅302が2W、投影平面の幅303が2Lの大きさを持つとしたとき、視覚座標系上の座標、すなわち、X、Y軸により構成されたX投影平面上の座標(X,Y)は下記式の通りである。
【数2】

【数3】

【0017】
このため、本発明によれば、観察者は、観察角情報によって変わるディスプレイ装置の画像400を出力することができる。すなわち、遠近感が考慮されたディスプレイ装置の画面に、観察角によって計算された画像または既に計算された画像データを読み出してマッピングするので、一層臨場感のある観察角による画像を出力することができる。
【0018】
図6Aないし図6Dは、本発明による観察角情報の入力方法の態様を示す。図6Aに示すように、ユーザーは、Windows(登録商標)プログラムにより実現されたダイアログ510を用いて1または2以上の視点に関する球面座標または直角座標を入力して観察角情報を入力若しくは修正してもよく、既に限定された観察角情報を選択することにより入力若しくは修正してもよい。また、図6Bに示すように、別途に表示された座標系520上において、視点の位置をマウスやキーボードで指定して入力若しくは修正することができ、図6Cに示すように、画像がマッピングされて出力される投影平面300の上にマウスでクリックまたはドラッグしてリアルタイムにて観察角情報を入力若しくは修正しながら、マッピングされた結果画像を出力することができる。
また、本発明の好適な態様によれば、投影平面300上には、出力された画像と関する情報または観察角情報610のうちいずれか一つまたはこれらの組み合わせを一緒に出力することができる。
【0019】
図7は、マッピングされた画像を出力した好適な態様を示す。図7を参照すると、多数の分割された投影平面を同時に出力して相異なる観察角方向のマッピングされた結果物を同時に表示するような方式により出力することができる。
【0020】
以上、特許請求の範囲に記載した本発明の理解をたすけるために、本発明の特徴と技術的な利点をやや幅広く概説した。開示された本発明の概念と特定の態様は、本発明と類似する目的を成し遂げるための他の構造の設計や修正のベースとして直ちに使用可能であることが当業界における通常の知識を持った者によって認識さるべきである。
【0021】
なお、本発明に開示された発明の概念と態様が、本発明と同様の目的を成し遂げるために他の構造に修正したり設計するためのベースとして、当該技術分野における通常の知識を持った者によって使用可能である。また、当該技術分野における通常の知識を持った者によるこのような修正または変更された等価な構造は、特許請求の範囲に記載された思想や範囲を逸脱しない限り、各種の進化、置換及び変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来の技術により液晶ディスプレイ電算模写の計算結果を提供する画像出力方式を示す図である。
【図2】従来の方式による画像出力方式と、観察者の観察角方向による視覚座標系上の変化が考慮された結果画像の出力方式の相違点を示す図である。
【図3】本発明による画像シミュレーション結果の出力の流れを示すフローチャートである。
【図4】観察者の観察角による観察角方向情報及び視覚変換情報の一態様を示す図である。
【図5】本発明により視覚座標系上の座標を投影平面に投影した一態様を示す図である。
【0023】
【図6A】本発明による観察角情報の入力方法の態様を示す図である。
【図6B】本発明による観察角情報の入力方法の態様を示す図である。
【図6C】本発明による観察角情報の入力方法の態様を示す図である。
【図7】マッピングされた画像を出力した好適な態様を示す図である。
【符号の説明】
【0024】
200:ワールド座標系上のディスプレイ装置の画面
300:投影平面
400:観察角が考慮された投影平面上のディスプレイ装置の画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶ディスプレイ(LCD)パネルが出力した全体の画像画面の特性を電算模写計算して、観測者が前記液晶ディスプレイパネルを観測する観察角度によって変わるパネルの画像を電算模写により出力する方法において,
(a)観察者が前記液晶パネルを眺める観察角を球面座標系または直角座標系情報として1または2以上入力するステップと、
(b)前記観察角方向の情報からワールド座標系上の座標を視覚座標系上の座標に視覚変換するステップと、
(c)前記観察角方向から前記液晶パネルを眺めたときに画面上に現れる計算された結果画像を読み出すステップと、
(d)前記ステップ(c)において読み出した視覚座標系上の3次元座標として現れる画像を前記変換された観察角方向に垂直な投影平面に投影して2次元座標にマッピングするステップと、
(e)前記マッピングされた結果物を出力するステップと、を含む電算模写結果の出力方法。
【請求項2】
観察者の視点座標を入力するステップ(a)において、
マウスで視点の位置をクリックして視点座標を入力する、請求項1に記載の電算模写結果の出力方法。
【請求項3】
観察者の視点座標を入力するステップ(a)において、
マウスのドラッグまたはキーボードの方向キーで視点の位置を修正して視点座標を入力する、請求項1に記載の電算模写結果の出力方法。
【請求項4】
前記観察角方向情報を用いて視覚変換情報を生成するステップ(b)において、
OpenGLまたはMESAなどのグラフィックス・ライブラリに含まれる関数を用いる、請求項1に記載の電算模写結果の出力方法。
【請求項5】
読み出した画像を前記視野角方向に垂直な投影平面に投影してマッピングするステップ(d)において、
OpenGLまたはMESAなどのグラフィックス・ライブラリに含まれる関数を用いる、請求項1に記載の電算模写結果の出力方法。
【請求項6】
前記マッピングされた画像を出力するステップ(e)において、
1または2以上に分割された投影平面にマッピングした画像を出力する、請求項1に記載の電算模写結果の出力方法。
【請求項7】
前記マッピングした画像を出力するステップ(e)において、
原画像の情報または観察角情報のうちいずれか1つまたは両方をさらに含めて出力する、請求項1に記載の電算模写結果の出力方法。
【請求項8】
前記マッピングした画像を出力するステップ(e)において、
OpenGLまたはMESAなどのグラフィックス・ライブラリに含まれる関数を用いる、請求項1に記載の電算模写結果の出力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−524868(P2007−524868A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552032(P2006−552032)
【出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【国際出願番号】PCT/KR2004/001182
【国際公開番号】WO2005/076122
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(505032001)サナイ システム カンパニー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】