説明

液晶組成物、それから誘導されるポリマー網状構造およびその製造方法

本発明は、式(I):
【化1】


の化合物に関する。本発明はさらに、式(I)の化合物を含む液晶組成物であって、1種以上のキラル化合物をさらに含む組成物、ならびにこの液晶組成物の重合から誘導されるポリマー網状構造に関する。別の実施形態は、式(I)の化合物の提供方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本件出願は、あるゆる目的のために本明細書の一部として全体を援用される、2006年3月31日出願の米国仮特許出願第60/788,525号明細書の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、ビス(メタ)アクリレート液晶化合物の化学合成に関し、ならびに有用なネマチックおよびコレステリック光学的性質のポリマー網状構造を生成するための液晶組成物の重合に関する。
【背景技術】
【0003】
サーモトロピック液晶は一般に、形状がかなり異方性の結晶化合物である。すなわち、分子レベルで、それらは棒状または円盤状構造で特徴づけられる。加熱されるとき、それらは典型的には段階的に溶融し、結晶から最終等方相への1つ以上の熱転移を示す。メソフェースとして知られる中間相は、分子が概して層に限定されているスメクチック相と、分子がロングレンジの位置秩序なしに互いに平行に整列しているネマチック相との幾つかのタイプを含むことができる。液晶相は、加熱サイクルで達成することができるか、または等方相からの冷却で達することができる。一般に液晶、および特にねじれネマチック液晶の構造の包括的な説明は、P.G.デ・ゲネス(P.G.de Gennes)、J.プロスト(J.Prost)著、「液晶の物理学(The Physics of Liquid Crystals)」、Oxford University Press、1995年に与えられている。
【0004】
ネマチック相の重要な変形は、キラル部分が存在する、ねじれネマチックまたはコレステリック相と言われるものである。この事例では、分子はネマチック相でのように互いに平行であるが、分子のディレクター(棒状分子の平均方向)は、層の厚さによって方向を変えてネマチック分子の螺旋状充填を生成する。螺旋のピッチは分子の長軸と垂直である。異方性分子の螺旋状充填は、円偏光二色性、高度の回転力、および紫外、可視、および近赤外光を含む光の選択的反射をはじめとする、ねじれネマチック相の重要な、そして特徴的な光学的性質につながる。可視領域での反射は鮮明な色調の層につながる。螺旋の方向は右回りか左回りかのどちらかであることができ、回転方向は材料の重要な特性である。キラル部分は、例えば、コレステリルエステルでのように液晶分子それ自体中に存在してもよいか、コレステリック相の誘導と共に、ドーパントとしてネマチック相に添加することができるかのどちらかである。この現象は、十分に文書化されており、例えば、H.バスラー(H.Bassler)、M.M.ラベス(M.M.Labes)著、J.Chem.Phys.52(1970年)、631ページを参照されたい。
【0005】
固定したネマチックおよび/またはコレステリック光学的性質を示す安定なポリマー層を製造するための合成および重合法にかなりの努力が注ぎ込まれてきた。一アプローチは、溶融するとネマチックまたはコレステリック相を示す一官能性および/または多官能性の反応性モノマーを合成する、低融点液晶組成物を調合する、そしてそのネマチックまたはコレステリック相で液晶組成物を重合させてネマチックまたはコレステリック相の安定な光学的性質を示すポリマー網状構造を生成することであった。米国特許第4,637,896号明細書に開示されているように、コレステリックモノマー単独の使用は、所望の光学的性質のコレステリック層をもたらしたが、ポリマー層は比較的弱い機械的特性を有した。
【0006】
ポリマー網状構造を生成するために架橋重合可能であるねじれネマチックモノマー相を調合することによる物理的特性および熱安定性を改善するために多くの努力が行われてきた。これらの架橋モノマーの例は、エーテル基(−O−)がコア・メソゲンを柔軟なスペーサーおよび重合性(メタ)アクリレートに結び付けるビス(メタ)アクリレートである。それらの合成およびポリマー網状構造の形成での使用は、Makromol.Chem.190(1989年)、2255−2268ページ;Macromolecules 31(1988年)、5940ページ;Makromol.Chem.192(1991年)、59−74ページ;国際公開第1998/047979号パンフレット;J.Polym.Sci.:Part A:Polym.Chem.37巻(1999年)、3929−3935ぺージ;Makromol.Chem.190(1989年)、3201−3215ページ;米国特許第5,833,880号明細書;独国特許第4,408,170号明細書;欧州特許第261,712号明細書;欧州特許第331,233 B1号明細書;欧州特許第397,263 B1号明細書;および特開平6−16616号公報に開示されている。これらの参考文献の多くはまた、コア・メソゲンを柔軟なスペーサーおよび重合性(メタ)アクリレートに結び付けるエステル基(−C(O)−O−)を特許請求しているが、エステル基(−C(O)−O−)がコア・メソゲンを柔軟なスペーサーおよび重合性(メタ)アクリレートに結び付けるビス(メタ)アクリレートの製造および使用方法の教示に関して有用ないかなる参考文献での開示も限定されている。さらに、それらの具体的な物理的または化学的特性に関する開示も限定されている。
【0007】
メソゲンを柔軟なスペーサーおよび重合性(メタ)アクリレートに結び付ける脂肪族エステル基(−C(O)−O−)を有する一官能性(メタ)アクリレート液晶モノマーの製造は、Polymer Bulletin 6(1982年)、485−492ページにシベエフ(Shibaev)らによって開示されており、メタクリレートを柔軟なスペーサーおよびエステル部分経由でコレステリルメソゲンに結び付ける類似化合物は米国特許第4,614,619号明細書に開示されている。しかしながら、エステル結合のビス(メタ)アクリレートメソゲンは製造されていないので、それらについて存在すると以前に考えられた実用性および特性のいかなる便益も、はっきりと理解することは困難である。
【0008】
エステルがメソゲンを柔軟なスペーサーおよび重合性(メタ)アクリレートに結び付けるビス(メタ)アクリレートの製造方法に対する必要性は依然としてある。ネマチックおよび/またはコレステリック相を広い温度範囲にわたって示す架橋モノマーに対する必要性もまたあり、かつ、コレステリック光学的性質を示すポリマー網状構造に対する必要性がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、式(I):
【化1】

[式中、RおよびRはそれぞれ、群:H、F、ClおよびCHから独立して選択され、n1およびn2はそれぞれ独立して整数3〜20であり、mおよびpはそれぞれ独立して整数0、1または2であり、
【0010】
Aは群:
【化2】

【0011】
(式中、R〜R10はそれぞれ、群:H、C1〜C8直鎖もしくは分岐鎖アルキル、C1〜C8直鎖もしくは分岐鎖アルキルオキシ、F、Cl、フェニル、−C(O)CH、CN、およびCFから独立して選択され、
は群:−O−、−(CHC−、および−(CFC−から選択される二価基である)
から選択される二価基であり、
各BおよびBは、群:R11−置換−1,4−フェニル(ここで、R11はH、−CHまたは−OCHである)、2,6−ナフチル、および4,4’−ビフェニルから独立して選択される二価基であり、ただし、m+pが3または4に等しいとき、BおよびBの少なくとも2つはR11−置換−1,4−フェニルである]
の化合物である。
【0012】
本発明の別の実施形態は、少なくとも1種の式(I)の化合物を含む液晶組成物であり、そしてさらなる実施形態では本液晶組成物は少なくとも1種のキラル化合物を含む。
【0013】
本発明の別の実施形態は、少なくとも1種の式(I)の化合物を含む液晶組成物の重合から誘導されるポリマー網状構造であり、そしてさらなる実施形態では本ポリマー網状構造は少なくとも1種のキラル化合物を含む液晶組成物の重合から誘導される。
【0014】
本発明の別の実施形態は、a)各ポリオールが少なくとも2つのヒドロキシル基と少なくとも2つの共有結合炭素原子とを含み、各ヒドロキシル基が有機ポリオール内の異なる炭素原子に結合している、1種以上の有機ポリオールを提供する工程と、
b)該有機ポリオールを式(V):
【化3】

(式中、XはCl、Brまたは−OHであり、Xは群:Cl、Br、I、−OMs、−OTsおよび−OTf(下に記載されるような)から選択され、nは3〜20に等しい整数である)
の1種以上の官能化アルキル酸または酸ハロゲン化物、および第1反応溶媒と第1反応温度で反応させて1種以上の多官能化アリールアルカノアートエステルおよび第1使用済み反応混合物を生成する工程と、
c)該1種以上の多官能化アリールアルカノアートエステルを(メタ)アクリル酸塩と、相間移動触媒、および第2反応溶媒の存在下に第2反応温度で反応させて1種以上のポリ(メタ)アクリレート−アリールアルカノアートエステルおよび第2使用済み反応混合物を生成する工程と
を含む方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
用語(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリレートエステル、(メタ)アクリル酸などは本明細書では、特に具体的に明記しない限り、例えばRおよび/またはRがメチルであるメタクリレート、Rおよび/またはRがHであるアクリレート、Rおよび/またはRがClであるクロロアクリレート、Rおよび/またはRがFであるフルオロアクリレートを含む物質および部分を包含する。
【0016】
用語「ねじれネマチック相」および「コレステリック相」および「キラルネマチック」は本明細書では同意語である。
【0017】
本明細書の全体にわたって、式(I)で、−A−がトランス−シクロヘキシル部分であり、mおよびpの1つまたは両方が0に等しい整数であるとき、用語「アリールアルカノアートエステル」は、シクロヘキシルアルカノアートエステルを意味することができる。
【0018】
本発明の一実施形態は、式(I):
【化4】

[式中、RおよびRはそれぞれ、群:H、F、ClおよびCHから独立して選択され、n1およびn2はそれぞれ独立して整数3〜20であり、mおよびpはそれぞれ独立して整数0、1または2であり、
【0019】
Aは群:
【化5】

【0020】
(式中、R〜R10はそれぞれ、群:H、C1〜C8直鎖もしくは分岐鎖アルキル、C1〜C8直鎖もしくは分岐鎖アルキルオキシ、F、Cl、フェニル、−C(O)CH、CN、およびCFから独立して選択され、
は群:−O−、−(CHC−、および−(CFC−から選択される二価
基である)
から選択される二価基であり、
各BおよびBは、群:R11−置換−1,4−フェニル(ここで、R11はH、−CHまたは−OCHである)、2,6−ナフチル、および4,4’−ビフェニルから独立して選択される二価基である、ただし、m+pが3または4に等しいとき、BおよびBの少なくとも2つはR11−置換−1,4−フェニルである]
の化合物である。
【0021】
好ましくは、RおよびRは、HおよびCHから独立して選択され、より好ましくは、RおよびRはHである。好ましくはn1およびn2はそれぞれ独立して整数3〜10である。好ましくは、mおよびp=2であるとき、BおよびBはそれぞれ独立してR11−置換−1,4−フェニルである。
【0022】
語句「各BおよびBは、群...から独立して選択される二価基である」において、m=2であるとき、2つのB単位はそれぞれ独立して選択される、すなわち、それらは同じものであってもまたは異なるものであってもよく、p=2であるとき、2つのB単位はそれぞれ独立して選択される、すなわち、それらは同じものであってもまたは異なるものであってもよい。加えて、C1〜C8基は、C、C、C、C、C、C、CまたはCの任意の1つ以上であってもよい。
【0023】
式(I)に上で表現されるような化合物は、重合性液晶組成物で様々な用途を有する。選択は、化合物が、例えば、対称であるか不斉であるかのどちらかであるように、可変の基および置換基について規定範囲内またはその間から行われてもよい。
【0024】
本発明の好ましい実施形態は、mおよびpが0に等しい式(I)に表現されるような化合物であり、式(I)は式(IIa〜f)の群から選択される:
【0025】
【化6】

【0026】
式(IIa〜f)に表現されるような化合物は、液晶組成物のための重合性希釈剤および粘度調整剤として有用である。これらの物質の合成は、本発明の方法で下に記載される。この群内の好ましい化合物は、R〜RがHである式(IIa〜d)に、R〜RがHであり、RがCHである式(IIa)に、およびXが−C(CH−または−O−である式(IIe)に表現されるようなものである。
【0027】
本発明の別の好ましい実施形態は、mが1であり、pが0である式(I)に表現されるような化合物であり、式(I)は式(IIIa〜e)の群から選択される:
【0028】
【化7】

【0029】
式(IIIa〜e)に表現されるような化合物は、同様に本発明の重合性液晶組成物に有用である。これらの化合物の多くは、室温(RT)でまたはその近くでネマチック相を示し、他の液晶モノマーと混合されて広い温度範囲にわたってネマチック相を生成することができる。この群内の他の化合物は低い融点を示すかもしれず、液晶混合物で反応性希釈剤および粘度調整剤として使用することができる。好ましい群の化合物は、R〜RがHである式(IIIa)に表現されるようなものから選択される。別の好ましい群の化合物は、RおよびRがHであり、基R〜Rの1つがCHであり、基R〜Rの3つがHである式(IIIa)に表現されるようなものである。これらの化合物の合成は、本発明の方法で下に記載される。R〜RがHであり、RおよびRがHである式(IIIa)に表現されるようなものが特に好ましい物質である。
【0030】
本発明の別の好ましい実施形態は、mおよびpが1に等しい式(I)に表現されるような化合物であり、式(I)は式(IVa〜e)の群から選択される:
【0031】
【化8】

【0032】
式(IVa〜e)に表現されるような化合物は、同様に本発明の重合性液晶組成物に有用である。これらの化合物の多くは、広いネマチック相を示し、他の液晶モノマーと混合されて広い温度範囲にわたってネマチック相を生成することができる。好ましい群の化合物は、式中BおよびBがR11−置換−1,4−フェニルであり、RおよびRがそれぞれ独立してHまたはCHである式(IVa)に表現されるようなものである。この群内でより好ましい群は、R〜Rの1つがClまたはCHであり、基R〜R
の3つがHであるものである。これらの好ましい群内で式中n1およびn2が、独立して、整数3〜10であるそれらの化合物がより好ましい。これらの物質の合成は、本発明の方法で下に記載される。
【0033】
本発明の別の実施形態は、式(IIa〜f)、(IIIa〜e)および(IVa〜e)に表現されるような化合物などの、式(I)に表現されるような化合物の製造方法である。この方法は、(a)各グリコールが少なくとも2つのヒドロキシル基と少なくとも2つの共有結合炭素原子とを含み、各ヒドロキシル基が有機ポリオール内の異なる炭素原子に結合している、1種以上の有機ポリオールを提供する工程と、(b)該有機ポリオールを式(V):
【化9】

[式中、XはCl、Brまたは−OHであり、Xは群:Cl、Br、I、−OMs(ここで、Msはメタンスルホニルである)、−OTs(ここで、Tsはトルエンスルホニルである)、および−OTf(ここで、Tfはトリフルオロメタンスルホニルである)から選択され、nは3〜20に等しい整数である]
の1種以上の官能化アルキル酸または酸ハロゲン化物、および第1反応溶媒と第1反応温度で反応させて1種以上の多官能化アリールアルカノアートエステルおよび第1使用済み反応混合物を生成する工程と、c)該1種以上の多官能化アリールアルカノアートエステルを(メタ)アクリル酸塩と、相間移動触媒、および第2反応溶媒の存在下に第2反応温度で反応させて1種以上のポリ(メタ)アクリレート−アリールアルカノアートエステルおよび第2使用済み反応混合物を生成する工程とを含む。好ましくは、本プロセス工程(b)は塩基の使用をさらに含み、Xが−OHであるとき、カルボジイミド脱水剤をさらに含む。好ましくは、工程(c)は1種以上のラジカル阻害剤の使用をさらに含む。
【0034】
本発明の方法の様々な実施形態では、ポリオールは式(VIa〜e):
【0035】
【化10】

【0036】
(式中、R〜R10およびXは上記の通りである)
の化合物の群から選択されてもよい。本方法のこの実施形態は、上記の式(IIa〜f)の化合物を生成するために用いることができる。本方法に有用な、好ましい式(VIa〜f)の具体的なジオールには、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、クロロヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、ビスフェノールA、6F−ビスフェノールA、4,4’−オキシジフェノール、およびトランス−1,4−シクロヘキサンジオールが含まれる。
【0037】
本発明の方法の他の実施形態では、ポリオールには、式(VIIa〜g):
【0038】
【化11】

【0039】
(式中、R〜R11は上記の通りである)
の化合物の群から選択される1種以上のエステルジオールが含まれてもよい。本方法のこの実施形態は、上記の式(IIIa〜e)の化合物を生成するために用いることができる。本方法に有用な、好ましい式(VIIa〜g)の具体的なエステルジオールには、4−ヒドロキシ安息香酸4−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシ安息香酸2−メチル−4−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシ安息香酸3−メチル−4−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシ安息香酸2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシ安息香酸3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシ安息香酸2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシ安息香酸3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシ安息香酸2−フェニル−4−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシ安息香酸3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシ安息香酸6−ヒドロキシナフチル、4−ヒドロキシ安息香酸5−ヒドロキシナフチル、4−ヒドロキシ安息香酸4−(4’−ヒドロキシビフェニル)、4−ヒドロキシ安息香酸トランス−4−ヒドロキシシクロヘキシル、4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸トランス−4−ヒドロキシシクロヘキシル、4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸4−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸2−メチル−4−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸3−メチル−4−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸2−クロロ−4−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸4−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシ−3−メチル安息香酸2−メチル−4−ヒドロキシフェニル、および4−ヒドロキシ−3−メチル安息香酸3−メチル−4−ヒドロキシフェニルが含まれる。
【0040】
6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸から誘導される式(VIIe)に表現されるような具体的な化合物を生成する、本方法に有用な、好ましい他のエステルジオールは、6−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸4−ヒドロキシフェニルエステル(CAS No.[17295−17−9])、6−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸2−メチル−4−ヒドロキシフェニルエステル、6−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸3−メチル−4−ヒドロキシフェニルエステル、6−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸2−クロロ−4−ヒドロキシフェニルエステル、および6−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルエステルである。
【0041】
4’−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸から誘導される式(VIIg)で表現されるような具体的な化合物を生成する、本方法に有用な、好ましい他のエステルジオールには、4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸4−ヒドロキシフェニルエステル、4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸2−メチル−4−ヒドロキシフェニルエステル、4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸3−メチル−4−ヒドロキシフェニルエステル、4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸2−クロロ−4−ヒドロキシフェニルエステル、および4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸3−クロロ−4−ヒドロキシフェニルエステルが含まれる。
【0042】
本発明の方法の別の好ましい実施形態では、ポリオールには、式(VIIIa〜f):
【化12】

(式中、R〜R11は上記の通りである)
の化合物の群から選択される1種以上のジエステルジオールが含まれてもよい。本方法のこの実施形態は、上記の式(IVa〜e)に表現されるような化合物を生成するために用いることができる。本方法に有用な、好ましい式(VIIIa〜f)の具体的なジエステルジオールには、式(VIIIa〜f)の化合物の具体的な例である表1にリストされる化合物が含まれる。
【0043】
式(V)に表現されるような好ましい官能化アルキル酸ハロゲン化物は、式中XがBrである酸塩化物(X=Cl)である。有機ポリオールがジオールであるとき、使用されるべき官能化アルキル酸ハロゲン化物の量は、ジオールの量を基準として、好ましくは約1.8〜約2.5当量、より好ましくは約2.0〜約2.2当量である。工程(b)での好ましい実施形態では、1種以上の官能化アルキル酸ハロゲン化物は、2種以上の官能化アルキル酸ハロゲン化物を含み、前記工程(b)は少なくとも3種の多官能化アリールアルカノアートエステルの混合物を生成する。好ましい事例では、工程(b)で1種以上の官能化アルキル酸ハロゲン化物は、2種の官能化アルキル酸ハロゲン化物を約0.05:1〜約1:1のモル比で含み、前記工程(b)は少なくとも3種の多官能化アリールアルカノアートエステルの混合物を生成する。この方法、または3以上の官能化アルキル酸ハロゲン化物を使用するそれの派生法は、本発明の化合物の複雑な混合物を生成するための便利な、好ましい方法である。
【0044】
第1反応溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンまたはジメトキシエタンなどのアルキルエーテル;酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどのアルキルエステル;キシレンまたはトルエンなどの炭化水素;1,2−ジクロロエタンまたはジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素;およびジメチルホルムアミドまたはジメチルアセトアミド(DMAc)などのアミドをはじめとする、アルコールとの酸ハロゲン化物縮合を行うのに有用であることが当該技術で知られている任意の溶媒であることができる。好ましい第1反応溶媒はTHFである。
【0045】
工程(c)に有用な(メタ)アクリル酸塩は、メタクリル酸、アクリル酸、2−クロロアクリル酸、および2−フルオロアクリル酸をはじめとする相当する(メタ)アクリル酸の中和から誘導することができる。中和に使用される塩基は、アルカリ金属(メタ)アクリル酸塩を生成するための、アルカリ金属塩基、例えば、炭酸および炭酸水素カリウム、炭酸および炭酸水素ナトリウム、炭酸および炭酸水素リチウム、および炭酸および炭酸水素セシウムであることができる。塩基は、アルカリ土類金属(メタ)アクリル酸塩を生成するための、アルカリ土類金属塩基、例えばマグネシウム、カルシウムまたはバリウム炭酸塩であることができる。塩基はまた、アンモニウム(メタ)アクリル酸塩を生成するための、アミン塩基、特に上記のような第三級脂肪族、芳香族または複素環アミンなどのヒンダードアミン塩基であることができる。工程(c)のための好ましい(メタ)アクリル酸塩は、群:(メタ)アクリル酸カリウムおよび群:トリエチルアンモニウムから選択される(メタ)アクリル酸アンモニウムから選択される。
【0046】
(メタ)アクリル酸塩は、商業的供給源から提供されることができ、それは別個のプロセス工程で製造し、そして直接使用するかまたは塩の洗浄、濾過、乾燥、再結晶、もしくは沈澱などの当該技術で公知の1つ以上の方法によって精製することができるか、またはそれは塩基での(メタ)アクリル酸の中和によってその場で製造することができる。本発明の好ましい実施形態では、(メタ)アクリル酸塩は、(メタ)アクリル酸を群:炭酸水素カリウムおよび炭酸カリウムから選択されるアルカリ金属炭酸塩と、それぞれ、約1:1〜約1:5のモル比で、前記第2反応溶媒中で混合することによって生成される。
【0047】
本方法の好ましい実施形態では、使用されるべき(メタ)アクリル酸塩の量は、多官能化アリールアルカノアートエステルの当量当たり約2.0〜約10.0当量である。好ましくは(メタ)アクリル酸塩はアクリル酸塩である。
【0048】
工程(c)に使用されてもよい相間移動触媒は、第1(通常有機)相中に少なくとも部分的に存在してまたはそれよって濡らされて、第1相中の反応体と、それが第2相、通常水性相もしくは固相から第1相に移動させる反応体との反応を促進する物質である。反応後に、相間移動触媒は、反応体をさらに移動させるために放出される。好適には、相間移動触媒は、それを有機相に溶けるようにするために、好ましくは嵩高い有機基、通常はアルキルまたはアラルキル基を含有する、第四級アンモニウムまたはホスホニウム塩である。相間移動触媒は、各窒素またはリン原子に結合した炭素原子の総数が少なくとも4である、テトラアルキルまたはアラルキル(例えばベンジル)トリアルキルアンモニウムまたはホスホニウム塩であることが好ましい。特に好ましくは該数は16〜40の範囲にあるべきである。相間移動触媒として本明細書での使用に好適な他の物質には、E.V.デムロー(E.V.Dehmlow)によってAngewante Chemie(International Edition)13(1974年)、170ページにレビューされているものが含まれる。
【0049】
本明細書での相間移動触媒としての使用に好適な第四級アンモニウム塩には、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、臭化オクチルトリブチルアンモニウム、塩化トリオクチルメチルアンモニウム(アリコート(Aliquat)TM336として入手可能な)、塩化ベンジルジメチルラウリルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化ジラウリルジメチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、硫酸水素テトラブチルアンモニウムおよびヨウ化テトラブチルアンモニウムが含まれる。本明細書での相間移動触媒としての使用に好適な第四級ホスホニウム塩には、臭化セチルトリプロピルホスホニウムおよび臭化トリフェニルエチルホスホニウムが含まれる。使用されてもよい他の相間移動触媒には、クラウンエーテルおよびポリエチレングリコール変異体が含まれる。相間移動触媒は、多官能化アリールアルカノアートエステルの、約0.001〜約0.9モル当量、好ましくは約0.1〜約0.5モル当量の範囲の量で存在してもよい。好ましい相間移動触媒は、群:ヨウ化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、および臭化テトラヘプチルアンモニウム、ならびに群:18−クラウン−6、CAS No.[17455−13−9];ベンゾ−18−クラウン−6、CAS No.[14078−24−9];15−クラウン−5、CAS No.[33100−27−5];およびベンゾ−15−クラウン−5、CAS No.[140−44−3]から選択されるクラウンエーテルから選択される。
【0050】
第2反応溶媒は、(メタ)アクリル酸塩で−Xの求核置換を行うのに有用であることが当該技術で知られている任意の溶媒であることができる。しかしながら、構造が非プロトン性であり、そして約3.5以下の双極子モーメントを有する特定の第2反応溶媒が好ましい。構造が非プロトン性である溶媒は、ヒドロキシルまたは酸官能性などの活性水素を持っていないものである。これらの特性を有する溶媒は、望ましくないエステル開裂生成物の非常に低いレベルを維持しながら多官能化アリールアルカノアートエステルの生成物への高い変換率をもたらす。好ましい第2反応溶媒には、群:テトラヒドロフラン、ジオキサンおよびジメトキシエタンをはじめとするアルキルエーテル、アセトンおよび2−ブタノンをはじめとするケトン、酢酸ブチルおよび酢酸エチルをはじめとするアルキルエステル、アセトニトリルから選択されるものが含まれる。好ましい実施形態では、第2反応溶媒は、第1使用済み反応混合物であってもよい。
【0051】
第1反応温度および第2反応温度は、最小限の副生物で反応の適度な割合をもたらす反応温度である。第1反応温度は一般に、−30℃〜約50℃、好ましくは約0℃〜室温(RT、例えば25℃)である。第2反応温度は一般に、約RT〜約120℃、好ましくは約50℃〜約100℃である。
【0052】
塩基は、工程(b)に使用されるとき、無機塩基、例えばアルカリ金属もしくはアルカル土類金属水酸化物、炭酸塩もしくは炭酸水素塩、または少なくとも2つの脂肪族基を有する、もしくはN原子の周りに立体的な込み合いを誘導するやり方で置換された、脂環式もしくは芳香環中にN原子が存在するアミン塩基などの有機塩基を含むことができる。典型的にはアミン塩基は低い水溶解度のものであり、約10の共役酸のpKを有する。従って、それは、ピリジンまたは置換ピリジン、例えば2,6−ジメチルピリジンなどの複素芳香族塩基であってもよく、またはそれは、それが十分に立体障害を受けているという条件で第二級アミンであってもよい。好適な第二級アミンの例は、2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジンである。しかしながら、好ましくは、それは、式R121314N(式中、R12、R13およびR14はそれぞれ独立してC1〜C10アルキル基またはC3〜C6シクロアルキル基である)の第三級アミンである。アルキル基は直鎖または分岐鎖であってもよい。好適なアルキル基の例には、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、第二ブチルおよび第三ブチルが挙げられる。式R121314Nの好適な第三級アミンは、例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、トリエチルアミン、t−ブチルジメチルアミン、N,N−ジイソプロピルメチルアミン、N,N−ジイソプロピルイソブチルアミン、N,N−ジイソプロピル−2−エチルブチルアミン、トリ−n−ブチルアミンである。群:トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、および2,6−ジメチルピリジンから選択されるアミン塩基が好ましい。塩基は好ましくは、官能化アルキル酸ハロゲン化物の当量当たり約0.8〜約5当量の量で存在する。
【0053】
工程(b)に使用される塩基がアミン塩基であるとき、反応の副生成物は、アミン塩酸塩などのアミン塩である。好ましい実施形態では、アミン塩は、例えば、反応混合物を濾過することによって、第1使用済み反応混合物から除去される。これは、第2反応溶媒が第1反応溶媒を含むことができる、便利な、好ましい方法である。別の実施形態では、工程(b)によって生成される1種以上の多官能化アリールアルカノアートエステルは、当該技術で公知の様々な方法によって第1使用済み反応混合物から分離することができる。好ましい方法には、工程:アミン塩副生成物を濾過する工程;反応混合物を水中へ沈澱させ、濾過する工程;反応混合物を水および/または有機溶媒で分配させる工程;反応混合物を水で洗浄する工程;反応混合物を乾燥剤で乾燥させる工程;蒸発による溶媒の除去、クロマトグラフィー、1種以上の多官能化アリールアルカノアートエステルの結晶化および/または再結晶の工程;または、1種以上の多官能化アリールアルカノアートエステルを溶解させることなく副生物を選択的に除去する1種以上の溶媒で粗生成物を洗浄する工程の任意の1つ以上が含まれる。
【0054】
工程(b)に使用されるとき、好適なカルボジイミド脱水剤は、酸をアルコールおよびフェノールと結合させるのに普通に使用される任意のジイミドであってもよい。工程(b)のための好ましいカルボジイミドはジシクロヘキシルカルボジイミドである。
【0055】
ラジカル阻害剤には、工程(c)に使用されるとき、2,6−ジ−第三ブチルフェノール、2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−第三ブチル−4−エチルフェノール、2−メチル−6−第三ブチルフェノール、2,4,6−トリ−第三オクチルフェノール、2,4−ジメチル−6−第三ブチルフェノール、2−第三ブチル−6−(α−メチルベンジル)フェノール、2,4−ジ−第三オクチルフェノール、2,6−ジ−第三ブチル−4−メトキシフェノール、2,6−ジ−第三オクチル−4−デコキシ(decoxy)フェノール、2−第三ブチル−4−クロロフェノール、2,6−ジ−第三ブチル−4−(N,N’−ジメチルアミノメチル)フェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−第三ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−第三ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−第三ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−第三ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−第三ブチルフェノール)、1,4−ヒドロキノン、4−メトキシフェノールなど;トリ(ノニルフェニル)ホスフェート、トリデシルホスファイトなどのようなリン化合物;1,2−ジヒドロキシナフタレン、1−アミノ−2−ナフトール、1−ニトロ−2−ナフトールなどのようなナフトール−ベース化合物;トリメチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、p−フェニレンジアミン、メルカプトエチルアミン、N−ニトロソジメチルアミン、ベンゾトリアゾール、フェノチアジン、ハロ−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノンなどのようなアミン化合物;またはジラウリルチオジプロピオナート、ジラウリルスルフィドおよび2−メルカプトベンズイミダゾールなどの硫黄化合物をはじめとする、(メタ)アクリレート基のラジカル重合反応を阻害することが知られている任意のラジカル阻害剤が含まれてもよい。上のリストは完全であることを意図されず、有機物質中でラジカルの形成を阻害する多数の種類の化合物が周知であり、また本方法の実施に使用することができる。ラジカル阻害剤は、単一化合物、またはかかる化合物の2種以上の混合物もしくは組み合わせであることができる。好ましいラジカル阻害剤は、群:2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジンおよびトリデシルホスフェートから選択される。
【0056】
別の実施形態では、本方法は、工程(c)によって生成される1種以上のポリ(メタ)アクリレート−アリールアルカノアートエステルを第2使用済み反応混合物から分離する工程をさらに含む。これは、工程:第2使用済み反応混合物を濾過する工程;反応混合物を水中へ沈澱させ、濾過する工程;反応混合物を水および/または有機溶媒で分配させる工程;反応混合物を水で洗浄する工程;反応混合物を乾燥剤で乾燥させる工程;蒸発による溶媒の除去、クロマトグラフィー、1種以上のポリ(メタ)アクリレート−アリールアルカノアートエステルの結晶化および/または再結晶の工程;ならびに1種以上の多官能化アリールアルカノアートエステルを溶解させることなく副生物を選択的に除去する1種以上の溶媒で粗生成物を洗浄する工程の任意の1つ以上をはじめとする当該技術で公知の様々な方法によって行うことができる。
【0057】
本発明の別の実施形態は、mおよび/またはpが2に等しい式(I)の化合物の製造方法である。本方法は、(a)式(VIIa〜g)および(VIIIa〜f)で表現されるものの群から選択される1種以上のポリオールを提供する工程と、(b)該ポリオールを式(IXa〜c):
【0058】
【化13】

【0059】
(式中、XはClまたはBrであり、n1は整数3〜20であり、RおよびRは上記の通りである)
の1種以上の(メタ)アクリレートアリール酸ハロゲン化物、および第1反応溶媒と上記のような第1反応温度で反応させてmおよび/またはp=2である式(I)の1種以上のポリ(メタ)アクリレートアリールアルカノアートエステルを生成する工程とを含む。好ましくは工程(b)は、上記のような、塩基および1種以上のラジカル阻害剤の使用を含む。
【0060】
式(IX)の(メタ)アクリレートアリール酸ハロゲン化物の製造は、下に述べられるような様々な実施例に記載される。上記の本方法では、反応混合物の内容物は、少なくとも、反応が進行して述べられる生成物を商業的に有用である速度でおよび収率で生成することを可能にするのに十分である量で使用される。
【0061】
式(IIIa〜e)および(IVa〜e)の化合物などの、本発明の化合物は、重合性液晶組成物に有用である。これらの化合物の多くは溶融するとネマチック相を示す。それらは、一緒にまたは他の液晶モノマーと混合して室温でまたはその近くで広い温度範囲にわたってネマチック相を生成することができる。本発明の様々な実施形態の幾つかの化合物は、それらのそれぞれのネマチック相を画定するそれらの相当する熱転移と共に下の表2および3にリストされる。本発明の様々な実施形態の化合物の混合物は、それらのそれぞれのネマチック相を画定するそれらの相当する熱転移と共に下の表4にリストされる。
【0062】
本発明によって提供される化合物は一般に、従来の重合性液晶ビス(メタ)アクリレートとは異なる重要な特質を有する。Makromol.Chem.190(1989年)、2255−2268ページ;Macromolecules 31(1988年)、5940ページ;Makromol.Chem.192(1991年)、59−74ページ;国際公開第1998/047979号パンフレット;J.Polym.Sci.:Part A:Polym.Chem.第37巻(1999年)、3929−3935ページ;Makromol.Chem.190(1989年)、3201−3215ページ;米国特許第5,833,880号明細書;独国特許第4,408,170号明細書;欧州特許第261,712号明細書;欧州特許第331,233 B1号明細書;欧州特許第97,263 B1号明細書;および特開平6−16616号公報、ならびにそれらに引用されている参考文献で製造されているような、下の一般式(C−I)の従来の重合性液晶ビス(メタ)アクリレートは、コア・メソゲンを柔軟なスペーサーおよび重合性(メタ)アクリレートに結び付けるエーテル基(−O−)を含む:
【化14】

【0063】
これらの従来の重合性液晶を製造するために用いられる合成方法は十分に文書化されている。一般式(C−I)の幾つかの重合性液晶ビス(メタ)アクリレートは、下の表5にリストされる。
【0064】
比較例4に例示されるように、一般式(C−I)の従来のビス(メタ)アクリレートを製造するために用いられる合成方法は、本発明によって提供される化合物を製造するために有用ではない。さらに、それらのそれぞれのネマチック相と比較して、本発明によって提供される化合物は一般式(C−I)のそれらの従来の(−O−結合)相当品よりかなり広い温度範囲にわたってネマチック相を意外にも示すことが明らかである。例えば、化合物24は、47〜50℃、3℃範囲でネマチック相を示す比較化合物1−Cと対比して、10〜30℃、20℃範囲でネマチック相を示す。化合物14は、93〜124℃、31℃の範囲でネマチック相を示す、比較化合物6−Cと対比して、50〜152℃、102℃範囲でネマチック相を示す。化合物9は、86〜116℃、30℃の範囲でネマチック相を示す、比較化合物7−Cと対比して、46〜130℃、84℃の範囲でネマチック相を示す。加えて、本発明によって提供される化合物は、式(C−I)の従来のビス(メタ)アクリレートより低い融点を示す。式(IVa〜e)で表現されるような液晶化合物についての最低の融点は、化合物15によって示される、43℃である。これは、57℃の融点を示す比較化合物8−Cと比較されてもよい。化合物17はまた、66℃の融点を示す比較化合物9−Cと比べて43℃の融点を示す。
【0065】
さらに、本発明によって提供される化合物を含む液晶混合物は、式(C−I)に相当するそれらの従来の(−O−結合)相当品よりかなり広い温度範囲にわたってネマチック相をそしてより低い溶融温度を示す。混合物9は、60〜97℃、37℃の範囲でネマチック相を示す比較混合物5−Cと比べて、−24〜149℃、173℃の範囲でネマチック相を示す。
【0066】
これらの以前の物質と対照的に、本発明の別の実施形態は、式(I)の少なくとも1種の化合物を含む液晶組成物であり、そしてさらなる実施形態では液晶組成物は少なくとも1種のキラル化合物を含む。本発明によって提供される2種以上の化合物は、混ぜ合わせて重合性ネマチック組成物を形成することができる。本発明によって提供されるような化合物はまた、従来のネマチック液晶または重合性液晶と混合して重合性ネマチック混合物を形成することができる。本発明によって提供されるような化合物は、重合性および/もしくは非重合性キラルモノマーならびに/または重合性および/もしくは非重合性キラルネマチック液晶をはじめとする、キラル化合物とさらに混合して重合性のねじれネマチック組成物、同様に本発明の実施形態を形成することができる。好ましい液晶組成物は、式(IIIa〜e)で表現されるような少なくとも1種の化合物を含む。他の好ましい液晶組成物は、式(IVa〜e)で表現されるような少なくとも1種の化合物を含む。
【0067】
コレステロールの安息香酸エステル、アルキルエステルおよびアルキルカーボネートなどの、コレステリルエステルまたはカーボネートをはじめとする、キラル化合物は、コレステリック相を示すことが知られており、ネマチック相にキラリティを誘導してねじれネマチック相を生み出すのに有用であることが知られている。本発明の液晶組成物への組み込みのために有用なコレステリルエステルには、安息香酸コレステリル、アルキルおよびアルコキシ基がC1〜C8直鎖もしくは分岐鎖アルキル基である4−アルキル安息香酸コレステリルおよび4−アルコキシ安息香酸コレステリル、プロピオン酸コレステリル、ブタン酸コレステリル、ヘキサン酸コレステリル、オクタン酸コレステリル、デカン酸コレステリル、ウンデカン酸コレステリル、ドデカン酸コレステリル、ヘキサデカン酸コレステリル、およびオクタデカン酸コレステリルが含まれる。この目的のために有用なコレステリルカーボネートには、フェニルコレステリルカーボネート、アルキルまたはアルコキシ基がC1〜C8直鎖もしくは分岐鎖アルキル基である4−アルキルフェニルコレステリルカーボネート、4−アルコキシフェニルコレステリルカーボネート、およびアルキルコレステリルカーボネートが含まれる。
【0068】
本発明の組成物の一実施形態では、組み込まれるキラル化合物は重合性キラルモノマーであり、米国特許第4,637,896号明細書に記載されているような重合性コレステロール誘導体、米国特許第6,010,643号明細書に記載されているような重合性テルペノイド誘導体、キラル中心が米国特許第5,560,864号明細書に記載されているような分岐アルキル鎖の不斉炭素原子である重合性誘導体、米国特許第6,120,859号明細書および同第6,607,677号明細書に記載されているようなビシナルジオールまたは置換ビシナルジオールの重合性誘導体、ならびに米国特許第6,723,395号明細書、同第6,217,792号明細書、同第5,942,030号明細書、同第5,885,242号明細書、および同第5,780,629号明細書に記載されているような重合性キラル化合物が含まれる。この段落で上にリストされた参考文献はそれぞれ、本明細書の一部として全体を援用される。
【0069】
本発明の組成物に使用するための好ましい群の重合性キラルモノマーは式(X):
【化15】

[式中、RおよびRはそれぞれ、群:H、F、ClおよびCHから独立して選択され、n1およびn2はそれぞれ独立して整数3〜20であり、qおよびrはそれぞれ独立して整数0、1または2であり、ただしq+rは≧1であり、Dは群:
【化16】

から選択される二価のキラル基であり、BおよびBはそれぞれ、群:R11−置換−1,4−フェニル(ここで、R11はH、−CHまたは−OCHである)、2,6−ナフチル、および4,4’’−ビフェニルから独立して選択される二価基であり、ただし、q+r=3であるとき、BおよびBの少なくとも1つはR−置換−1,4−フェニルであり、q+r=4であるとき、BおよびBの少なくとも2つはR−置換−1,4−フェニルである]
のものである。好ましくはRおよびRは独立してH、またはCHであり、n1およびn2は独立して整数3〜10である。
【0070】
式(X)の化合物が、例えば、対称であるか不斉であるかのどちらかであるように、選択は、可変の基および置換基について規定範囲内またはその間から行われてもよい。
【0071】
本発明を実施するための別の好ましい群の重合性キラルモノマーは、式(XI):
【化17】

(式中、Rは群:H、F、Cl、およびCHから選択され、Eは群:−(CHn3−、−(CHn4O−、および−(CHCHO)n5−から選択され、n3およびn4はそれぞれ整数3〜20であり、n5は整数1〜4であり、yは整数0または1である)
のものである。
【0072】
本発明によって提供されるような組成物での使用に好適なキラル化合物はまた、あらゆる目的のために本明細書の一部として全体を援用される、2006年3月31日出願の、「キラル化合物、ならびにそれらから誘導される液晶組成物およびポリマー網状構造(Chiral Compounds,and Liquid Crystal Compositions and Polymer Networks Derived Therefrom)」という表題の米国仮特許出願第60/787,829号明細書に記載されている。
【0073】
本発明によって提供される液晶組成物は、ネマチックまたはねじれネマチックポリマー網状構造の固定した光学的性質を示すポリマー網状構造を製造するのに有用な混合物である。本発明によって提供されるようなポリマー網状構造は、液晶組成物を含む1つ以上の重合した層であり、パターン化、非パターン化、可変および非可変の光学的性質を包含する、重合したフィルム、コーティング、キャスティングおよびプリントなどの形態で製造されてもよく、かつ、例えば、それらのそれぞれが本明細書の一部として全体を援用される、米国特許第4,637,896号明細書、同第6,010,643号明細書および同第6,410,130号明細書に開示されているような多種多様な方法によって製造することができる。
【0074】
特に、ポリマー網状構造の好ましい一製造方法は、重合開始剤、好ましくはラジカル開始剤入りの、液晶または等方相の形態での、重合性液晶混合物を提供する工程と、該液晶混合物を、場合により配向層を含んでもよい1つ以上の基材に塗布して液晶の層を提供する工程と、所望の液晶相を生成するために場合により該層を処理する工程と、好ましくは液晶相を化学線に露光させることによって、液晶相を重合させる工程とを含む。化学線には、例えば、熱、マイクロ波放射、UVおよび可視光、ならびに電子ビームおよび他の放射線が含まれる。
【0075】
本発明の様々な実施形態によって提供される液晶組成物はラジカル開始剤を含むことができる。ラジカル開始剤は好ましくは、光化学重合を行うのに有用な光開始剤であるが、かかる開始剤は、硬化が電子ビームによって行われるときには必要とされない。好適な光開始剤の例は、イソブチルベンゾインエーテル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)フラン−1−オン、ベンゾフェノンと1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとの混合物、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、パーフッ素化ジフェニルチタノセン、2−メチル−1−(4−[メチルチオ]フェニル)−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル2−ヒドロキシ−2−プロピルケトン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、4−(ジメチルアミノ)安息香酸エチル、2−イソプロピルチオキサントンと4−イソプロピルチオキサントンとの混合物、安息香酸2−(ジメチルアミノ)エチル、d,l−カンファーキノン、エチル−d,l−カンファーキノン、ベンゾフェノンと4−メチルベンゾフェノンとの混合物、ベンゾフェノン、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェートまたはトリフェニルスルホニウム塩の混合物である。好ましくは、光開始剤は、重合性液晶混合物の総重量を基準として約0.1重量%〜約3重量%のレベルで存在する。
【0076】
本発明の化合物からのポリマー網状構造での液晶層の形成は、一様な層、または必要ならば、パターン化もしくは非一様層を提供する任意の方法によって成し遂げることができる。ロッド−コーティング、押出コーティング、グラビアコーティングおよびスピン−コーティングをはじめとするコーティング、吹き付け、印刷、ブレーディング、へら付け、または方法の組み合わせを用いることができる。コーティングおよびへら付けが好ましい方法である。多くの商業コーティング機、コーティングロッドおよびナイフ刃などのデバイス、ならびに印刷機を用いて液晶または等方相として液晶混合物を塗布することができる。
【0077】
ねじれネマチック相が光を反射する能力は、ねじれネマチック相の整列またはきめに依存する。高度の透明度が反射バンドの外側に必要とされる多くの用途向けに、または非常に明確な反射バンドを必要とする用途で、平面または均一配向での高度の一様性が必要とされる。平面配向における不連続性およびドメイン境界は、高度のヘーズおよび反射バンドの劣化の原因になり得る。平面配向における高度の一様性は、配向層ならびに/または基材への塗布中のおよび/もしくは塗布後のねじれネマチック相の機械的剪断の組み合わせで成し遂げることができる。配向層は典型的には、基材に塗布され、そして研磨クロスで機械的にバフ研磨されるかまたは偏光で光学的に整列させられるポリマーである。バフ研磨または光学的整列は、界面に塗布された液晶分子が一方向に整列することを可能にする。有用なポリイミド配向層は、例えば、米国特許第6,887,455号明細書に記載されている。希薄な液晶混合物のコーティングによるねじれネマチック相の整列は、米国特許第6,410,130号明細書に記載されている。
【0078】
所望の液晶相を生成するための液晶層の処理は、例えば所望の相または光学的性質を達成するために、液晶層を冷却するかまたは加熱する工程;例えば、液晶層へのナイフ刃の適用による液晶層への機械的剪断の適用または液晶層が間に置かれている2つ以上の基材を剪断する工程、または基材への振動、超音波処理もしくは他の形態のかき混ぜなどの工程を含むことができる。
【0079】
ポリマー網状構造の別の好ましい製造方法は、重合性液晶混合物、重合開始剤、好ましくは光開始剤、およびキャリア溶剤を含む等方性溶液を提供する工程と、好ましくは配向層を含む、1つ以上の基材に該等方性溶液を塗布して等方性層を提供する工程と、キャリア溶剤を除去する工程と、場合により、所望の液晶相を生成するために該層を処理する工程と、好ましくは液晶相を化学線に露光させることによって、液晶相を重合させる工程とを含む。これらなどの手順は、セルを形成するために2つの基材を使用する液晶層の製造が述べられている米国特許第6,010,643号明細書および同第4,637,896号明細書により十分に説明されている。類似の文脈で、米国特許第4,637,896号明細書および同第6,410,130号明細書は、等方性溶液からの液晶層の製造、引き続く重合を記載している。
【0080】
キャリア溶剤が液晶組成物で使用される場合、コーティングおよび吹き付けは、等方性溶液の好ましい塗布方法である。キャリア溶剤の除去は、加熱および/または真空の適用ありまたはなしで、キャリア溶剤を蒸発させることによって根し遂げることができる。キャリア溶剤の蒸発はまた、上記のように、液晶層への機械的剪断の適用に同伴されてもおよび/またはフォローされてもよい。好適なキャリア溶剤の例は、線状もしくは分岐エステル、特に酢酸エステル、環式エーテルおよびエステル、アルコール、ラクトン、トルエン、キシレンおよびシクロヘキサンなどの脂肪族および芳香族炭化水素、ジクロロメタン、1,1,2,2−テトラクロロエタンなどの塩素化炭化水素、そしてまたケトン、アミド、N−アルキルピロリドン、特にN−メチルピロリドンである。有用な溶剤の追加の例には、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、メチルエチルケトン(MEK)、およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。
【0081】
本発明によって提供されるような液晶組成物は、例えば、2−エトキシエチルアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートおよびエトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレートを含んでもよい少量の重合性希釈剤をさらに含んでもよい。
【0082】
本発明によって提供されるような液晶組成物は、界面活性剤、均染剤、粘度調整剤、湿潤剤、脱泡剤およびUV安定剤のうちの1つ以上などの少量の典型的な添加剤をさらに含んでもよい。選択はしばしば、観察されるコーティングおよび整列品質ならびに基材および他の層への最終ポリマー網状構造の所望の接着性に基づくであろう。典型的な界面活性剤は、シロキシ−、フルオリール−、アルキル−およびアルキニル−置換界面活性剤を含む。これらには、バイク(Byk)(登録商標)(バイク・ケミー(Byk Chemie))、ゾニール(Zonyl)(登録商標)(デュポン(DuPont))、トリトン(Triton)(登録商標)(ダウ(Dow))、サーフィノール(Surfynol)(登録商標)(エア・プロダクツ(Air Products))およびディノール(Dynol)(登録商標)(エア・プロダクツ)界面活性剤が含まれる。
【0083】
本発明によって提供されるような液晶ポリマー網状構造は、それらのIR吸収特性の比較によって、特徴づけることができ、Makromol.Chem.190(1989年)、2255−2268ページおよび米国特許第5,833,880号明細書ならびにそれらに引用された参考文献に開示されているような、一般式(C−I)の従来の重合性液晶ビス(メタ)アクリレートと区別することができる。一般式(C−I)の重合性液晶ビス(メタ)アクリレートの光重合時に得られる網状構造は、R15が線状、分岐、または環式脂肪族鎖であり、そしてArが通常の置換または非置換芳香族置換基であるアリールアリレートおよびアルキルアルカノアート型エステル結合を含有する。本発明の様々な実施形態によって提供されるような重合性液晶ビス(メタ)アクリレートは、2つの前述種類のエステル結合を含有するが、アリールアルカノアート型結合をまた含有する。アリールアリレートおよびアルキルアルカノアート型エステルと関連したエステル伸縮は一致すると報告されているが、アリールアルカノアート型結合についての伸縮振動数は、おおよそ20〜30cm−1より高い振動数で現れると報告されている(プレシュ(Pretsch)、クラーク(Clerc)、セイブル(Seibl)、シモン(Simon)著。「有機化合物の構造決定のためのスペクトルデータ(Spectral Data for Structure Determination of Organic Compounds)」、第2版、Berlin Heidelberg,Springer−Verlag社、1989年、I141−I142ページ)。
【0084】
【化18】

【0085】
図1は、比較混合物1−C、および混合物6、本発明によって提供される組成物から誘導された架橋網状構造のIRスペクトルを示す。比較混合物1−Cおよび混合物6は、ほとんど一致したエステル吸収を、それぞれ、1723および1727cm−1に示す。しかしながら、混合物6は、文献予測と一致して、アリールアルカノアート結合の一意の存在と関連した追加の吸収を1756cm−1に示す。
【0086】
ねじれネマチック相が赤外、可視または紫外領域の光を選択的に反射する能力は、多くの用途で有用である。平面偏光または非偏光の伝搬方向がねじれネマチック層の螺旋軸に沿っているとき、最大反射の波長λは、方程式λ=np(ここで、nはnおよびnの平均であり、そしてnおよびnはそれぞれ、伝播方向に測定された、ねじれネマチック相の普通のおよび異常な屈折率と定義され、そしてpは螺旋のピッチ(螺旋がそれ自体繰り返すために取る距離)である)によって決定される。λの近辺の外の光は、本質的に透過率で影響を受けない。波長λの近辺の波長の光に対して、ねじれネマチック相は、反射されたビームおよび透過されたビームの両方が実質的に円偏光して、おおよそ50%の光が反射され、おおよそ50%の光が透過されるように光の選択的反射を示す。右回り螺旋は、右回り円偏光を反射し、左回り円偏光を透過する。約λを中心とするこの反射波長バンドのバンド幅Δλは、式Δλ=λ・Δn/n(ここで、Δn=n−nである)によって決定することができ、液晶材料中に存在する複屈折を反映する。ピッチpは、キラルドーパントの量、ドーパントのねじれ力およびネマチック材料の選択を操作することによって効果的に調整することができる。ピッチは、温度、温度の変化での巻き戻しまたは締め付けに、そして電場、ドーパント、および他の環境的配慮に敏感である。このように、ねじれネマチック相で、ピッチ、従って最大反射の波長の操作は、多種多様なツールで成し遂げることができる。さらに、反射波長バンドのバンド幅Δλはまた、米国特許第5,506,704号明細書および同第5,793,456号明細書に記載されている方法で操作することができる。
【0087】
本発明によって提供されるようなポリマー網状構造は、架橋に依存して柔軟にまたは脆くすることができる。脆いフィルムは、例えば、薄片にすることができ、薄片は、化粧品および自動車ペイントでの使用のための様々なインクまたはペイント中の顔料として使用することができる。フィルムは、反射光の輝度を高める役割を果たす他の顔料または顔料層、例えば黒色層と組み合わせることができる。
【0088】
本発明によって提供されるようなポリマー網状構造は、光学素子または光学素子の構成要素として有用である。光学素子は、光の特性を修正するために使用される任意のフィルム、コーティングまたは造形物体である。光学素子によって生み出される修正には、透過率または反射率の変化による光の強度の変化、波長または波長分布の変化、偏光の状態の変化、光の一部または全ての伝播方向の変化、または、例えば、光の焦点化、照射、もしくは拡散による強度の空間分布の変化が含まれる。光学素子の例には、直線偏光子、円偏光子、レンズ、鏡、コリメータ、拡散器、反射器などが挙げられる。光学素子の具体的な一例は、窓構造に用いられる、λの近辺内の光を反射する本発明によって提供されるようなコレステリック網状構造の層である。
【0089】
本発明によって提供されるようなポリマー網状構造から製造される光学素子は、その一形態が積層品であってもよい、多層ラミネート中の構成要素として使用されてもよい。一実施形態では、安全ラミネートの特徴と一般に見なされる十分な貫入抵抗を確実にするためにラミネートを構成する全ての構成要素の全厚さが約30ミル(0.75mm)以上の厚さであってもよい場合、光学素子は、約10ミル(0.25mm)より大きい、または約20ミル(0.50mm)以上の厚さを有するシートの形態で提供されてもよい。かかる目的のために有用なポリマーシートは、押出、カレンダー掛け、溶液キャスティングまたは射出成形などの任意の好適な方法によって形成されてもよい。
【0090】
ラミネート内の中間層として使用されるべきポリマーシートは、空気のほとんどが積層プロセス中にラミネートの表面間から除去されることを効果的に可能にするための粗化面を有してもよい。これは、例えば、上記のような、押出後にシートを機械的にエンボス化することによって、またはシートの押出中のメルトフラクチャーなどによって成し遂げられてもよい。この粗面は一時的であるにすぎず、特に、積層中の脱気を容易にする働きをし、その後それは、オートクレーブ処理および他の積層法と関連した高められた温度および圧力で平滑溶融される。
【0091】
ラミネートに使用されるべき光学素子がポリマーフィルムである実施形態では、フィルムは、コーティングへのまたはポリマーシートもしくは両方への接着性を高めるために処理されてもよい。この処理は、シランなどの、接着剤、プライマー、火炎処理、プラズマ処理、電子ビーム処理、酸化処理、コロナ放電処理、化学処理、クロム酸処理、熱風処理、オゾン処理、紫外線処理、サンドブラスト処理、溶剤処理などおよびそれらの組み合わせなどの、公知の任意の好適な形態を取ってもよい。光学素子としての本明細書での使用に好適なフィルムは約10ミル(0.25mm)以下の厚さ、または約0.5ミル(0.012ミリメートル(mm))〜約10ミル(0.25mm)の厚さ、または約1ミル(0.025mm)〜約5ミル(0.13mm)の厚さを有してもよい。
【0092】
さらなる実施形態では、本発明による多層ラミネートの製造方法は、ねじれネマチック液晶層でコートされているポリマーフィルムに積層されたポリマーシートを提供する。ポリマーシートは、ニップロール接合プロセスによってねじれネマチック液晶付きフィルムに軽く接合されてもよい。構成要素は、一時的な融着を促進する、すなわち、ポリマーシートまたはポリマーフィルムの表面を粘着性にならせるのに十分な温度に加熱されてもよい。好適な温度は、好ましい表面温度が約65℃に達して、約50℃〜約120℃の範囲内である。ねじれネマチック液晶付きフィルムはポリマーシートと一緒にニップロールを通って供給され、そこで2つの層は中圧下に合体して弱く接合したラミネートを形成する。一般に、接合圧力は約10psi(0.7kg/平方cm)〜約75psi(5.3kg/平方cm)の範囲内であろうし、好ましくは約25psi(1.8kg/平方cm)〜約30psi(2.1kg/平方cm)の範囲内である。接合後に、ラミネートは、ロールに取り上げられるラミネートが粘着性ではないことを確実にする一連の冷却ロール上に通される。本方法によって製造されたラミネートは、このラミネートを封入する、ガラスラミネートなどの、さらに積層された物品を生み出してもよいラミネーターによるハンドリングを可能にするのに十分な強度を有するであろう。
【0093】
多層ラミネートはまた、ガラスシート、ポリマーシートからなる中間層、(コート層の形態かフィルムの形態かのどちらでの)ねじれネマチック液晶付きポリマーフィルム、第2ポリマーシート、および第2ガラスシートが熱ならびに圧力および真空(例えば、約27〜28インチ(689〜711mm)Hg)の下で一緒に積層されて空気を除去するオートクレーブ法によって形成されてもよい。
【0094】
ポリマーシートとしてであろうと(コート層の形態かフィルムの形態かのどちらでの)ポリマーフィルムとしてであろうと、ねじれネマチック液晶の層に加えて、本発明により提供されるような多層ラミネートは、他のポリマーシート、他のコートされたもしくはコートされていないポリマーフィルム、2分の1波長板および吸収性層などの、追加の層を含んでもよい。追加の層は、ガラスかまたは、例えば、ポリカーボネート、アクリル、ポリアクリレート、エチレン・ノルボルネンポリマーなどの環状ポリオレフィン、メタロセン触媒ポリスチレンなどおよびそれらの組み合わせなどの、硬質透明プラスチックシートであってもよい。透明性がラミネートに必要とされない場合、金属またはセラミックプレートもまた好適であるかもしれない。用語「ガラス」は、窓ガラス、板ガラス、ケイ酸塩ガラス、シートガラス、およびフロートガラスを含むのみならず、着色ガラス、例えば、ソーラーヒーティングをコントロールするための原料を含む特殊ガラス、ソーラーコントロール目的のために、銀もしくはインジウムスズ酸化物などの、例えば、スパッタード金属でのコートガラスおよび他の特殊ガラスを含むことを意図される。特定のラミネートのために選択されるべきタイプのガラスは、意図される用途に依存する。
【0095】
吸収性層はまた、本明細書に提供されるようなラミネートの一部を含んでもよい。吸収性層は別個のフィルムの形態にあってもよい。他の実施形態では、吸収性層はねじれネマチック液晶層、ポリマーシート、ポリマーフィルムおよび硬質シートの1つ以上のコーティングの形態にあってもよい。さらに他の実施形態では吸収性層はねじれネマチック液晶層、ポリマーシート、ポリマーフィルムおよび硬質シートの1つ以上中へ組み込まれてもよい。
【0096】
本発明は、以下の実施例でさらに明確にされる。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示唆するが、例示のみの目的で与えられることが理解されるべきである。上記の議論およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特性を解明することができ、そしてそれの精神および範囲から逸脱することなく、本発明の様々な変更および修正を、それを様々な用途および条件に適合させるために行うことができる。
【実施例】
【0097】
以下の実施例で、熱転移は℃単位で与えられる。以下の表記法を、観察される相を記載するために用いる:K=結晶、N=ネマチック、S=スメクチック、TN=ねじれネマチック、X=未確認相、I=等方性、P=重合した。熱転移および相割り当ては、示差走査熱量測定および高温光学顕微鏡で行った。特に記載のない限り、相挙動は第1加熱サイクルに関する。
【0098】
下記の物質を本発明の実施例に使用する。化合物3、本発明のキラルネマチック混合物に使用されるキラルドーパントを以下の方法で製造した。
【0099】
【化19】

【0100】
4−ヒドロキシ安息香酸(80g)、イソソルビド(40g)、p−トルエンスルホン酸(2g)、およびキシレン(500mL)を、ディーン−スタークトラップ(Dean−Stark trap)、冷却器および機械撹拌機を備えたフラスコ中で組み合わせた。反応混合物を7時間加熱して還流させ、その時点で追加装入のp−トルエンスルホン酸(1.0g)を加え、混合物を加熱して還流に戻した。2.5時間後に、反応物を室温に放冷した。キシレンをデカンテーションし、固形分を500mL酢酸エチルに取り上げ、1%(w/v)炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄した。溶媒を減圧下に除去し、化合物1を生成した。H NMR(DMSO−d,400MHz):δ 3.88−3.98(m,4H),4.58(d,J=4.9Hz,1H),4.93(t,J=5.3Hz,1H),5.27(br s,1H),5.32(q,J=4.5Hz,1H),6.85(d,J=8.8Hz,2H),6.87(d,J=8.8Hz,2H),7.81(d,J=8.8Hz,2H),7.84(d,J=8.8Hz,2H),10.36(s,2H)。
【0101】
【化20】

【0102】
化合物1(30g)、THF(200mL)、およびトリエチルアミン(48mL)の混合物を0℃に冷却した。塩化6−ブロモヘキサノイル(36.5g)とテトラヒドロフラン(150mL)との混合物を25分にわたって滴加した。2時間撹拌した後、反応物を水とジエチルエーテルとに分配させ、有機物を希HClで洗浄し、乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗混合物をイソプロピルアルコールから結晶化させて化合物2を生成した。H NMR(CDCl,500MHz):δ 1.59(m,4H),1.80(m,4H),1.93(m,4H),2.60(t,J=7.4Hz,2H),2.61(t,J=7.4Hz,2H),3.43(t,J=6.7Hz,2H),3.44(t,J=6.7,2H),4.07(m,4H),4.66(おおよそd,1H),5.04(おおよそt,1H),5.41(おおよそq,1H),5.48(おおよそd,1H),7.16(d,J=8.9Hz,2H),7.18(d,J=8.9Hz,2H),8.04(d,J=8.9Hz,2H),8.11(d,J=8.8Hz,2H)。
【0103】
【化21】

【0104】
化合物2(40g)、炭酸水素カリウム(48.7g)、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(8.0g)、2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノール(1.74g)、およびTHF(500mL)の混合物に、アクリル酸(11.2g)を加えた。混合物を6.5時間加熱して還流させ、RTで16時間撹拌した。混合物をエチルエーテルで希釈し、水で洗浄した。有機物を乾燥させ、濾過し、濃縮し、次に熱イソプロピルアルコールに取り上げた。冷却すると固形分が沈澱し、濾過して化合物3を生成した。H NMR(CDCl,400MHz):δ 1.52(m,4H),1.75(m,4H),1.81(m,4H),2.60(t,J=7.4Hz,2H),2.61(t,J=7.4Hz,2H),4.07(m,4H),4.191(t,J=6.5Hz,2H),4.194(t,J=6.5Hz,2H),4.66(おおよそd,J=4.7Hz,1H),5.05(おおよそt,J=5.2Hz,1H),5.41(おおよそq,J=5.2Hz,1H),5.48(br s,1H),5.82(br d,J=10.4Hz,2H),6.12(おおよそdd,J=17.3,10.4Hz,2H),6.40(おおよそd,J=17.3Jz,2H),7.16(d,J=8.4,2H),7.18(d,J=8.4Hz,2H),8.04(d,J=8.8Hz,2H),8.10(d,J=8.8Hz,2H)。
【0105】
化合物6、本発明のキラルネマチック混合物に使用されるキラルドーパントを以下の方法で製造した。
【0106】
【化22】

【0107】
4−ヒドロキシ安息香酸(40g)、イソマンニド(20g)、トルエン(85mL)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(4mL)、および濃硫酸(1g)の混合物を、窒素下に8時間加熱して還流させた。RTに冷却した後、酢酸エチル(200mL)を加え、混合物を60℃で2時間撹拌した。混合物をRTに冷却し、生じた固体を濾過し、乾燥させて化合物4を生成した。H−NMR(DMSO−d,500MHz):δ 3.85(dのd,2H,JHH=9.3Hz),4.05(dのd,2H,JHH=9.3Hz),4.78(m,2H),5.23(m,2H),6.89(d,4H),7.87(d,4H),10.35(s,2H)。
【0108】
【化23】

【0109】
化合物5を、化合物2の合成について上に記載されたものと類似の手順を用いて製造した。H NMR(DMSO−d,500MHz):δ 1.50(m,4H),1.69(m,4H),1.86(m,4H),2.64(t,4H,JHH=7.2Hz),3.56(t,4H,JHH=6.6Hz),3.90(dのd,2H,JHH=9.1Hz),4.07(dのd,2H,JHH=9.2Hz),4.82(m,2H),5.29(m,2H),7.31(m,4H),8.06(m,4H)。
【0110】
【化24】

【0111】
化合物6を、化合物3の合成について上に記載されたものと類似の手順を用いて清祥した。H NMR(CDCl,500MHz):δ 1.52(m,4H),1.75(m,4H),1.81(m,4H),2.60(t,J=7.4Hz,4H),3.99(dd,J=9.4,6.5Hz,2H),4.13(dd,J=9.4,6.5Hz,2H),4.20(t,J=6.6Hz,4H),4.87(dd,J=4.1,1.3Hz,2H),5.33(m,2H),5.82(dd,J=10.5,1.4Hz,2H),6.12(dd,J=17.3,10.4Hz,2H),6.40(dd,J=17.3,1.4Hz,2H),7.18(d,J=8.7Hz,4H),8.12(d,8.7Hz,4H)。
【0112】
実施例1
本実施例は、化合物9、本発明の一実施形態の液晶モノマーの形成を例示する。
【0113】
【化25】

【0114】
240.0gの4−ヒドロキシ安息香酸、100.2gのメチルヒドロキノン、6gのp−トルエンスルホン酸、および1.5Lのキシレンの混合物を、ディーン−スタークトラップ(Dean−Stark trap)、冷却器および機械撹拌機を備えたフラスコ中で窒素雰囲気下に計26時間加熱して還流させた。追加のp−トルエンスルホン酸(6.0g部分)を、8および18時間後に反応混合物をRTに冷却した後に加えた。最終反応混合物をRTに冷却し、固形分を集め、ヘキサンで洗浄した。固形分を熱アセトン(600mL)でスラリー化し、RTに冷却し、集め、乾燥させて化合物7を生成した。H NMR(DMSO−d,500MHz):δ 2.16(s,3H),6.93(d,J=8.8Hz,2H),6.95(d,J=8.8Hz,2H),7.13(m,1H),7.23(m,2H),7.99(d,J=8.8Hz,2H),8.02(d,J=8.8Hz,2H),10.51(s,2H)。
【0115】
【化26】

【0116】
化合物7(100g)、THF(750mL)、およびトリエチルアミン(165mL)の混合物を0℃に冷却した。テトラヒドロフラン(400mL)中の塩化6−ブロモヘキサノイル(126.0g)の混合物を約0.75時間にわたって加えた。混合物を0℃で2時間撹拌し、RTに暖まるに任せ、2時間撹拌した。混合物を1.5L水に注ぎ込み、塩酸(37%)を、混合物がpH6になるまで加えた。混合物を15分間撹拌し、固形分を集めた。固形分を水、メタノールでリンスし、次に乾燥させて化合物8を生成した。H NMR(CDCl,500MHz):δ 1.60(m,4H),1.81(m,4H),1.95(m,4H),2.25(s,3H),2.62(t,J=7.4Hz,2H),2.63(t,J=7.4Hz,2H),3.45(t,J=6.8Hz,4H),7.10(dd,J=8.6,2.7Hz,1H),7.14(d,J=2.7,1H),7.19(d,J=8.6Hz,1H),7.24(d,J=8.7Hz,2H),7.25(d,J=8.7Hz,2H),8.22(d,J=8.7Hz,2H),8.25(d,J=8.7Hz,2H)。
【0117】
【化27】

【0118】
化合物8(20.0g),25.1gの炭酸水素カリウム,5.14gのヨウ化テトラブチルアンモニウム、1.04gの2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノール、およびTHF(350mL)の混合物に5.73mLのアクリル酸を加えた。混合物を65℃で9時間加熱し、次に一晩RTで撹拌するに任せた。混合物をエーテル/水に分配させ、エーテル層を数部分の水で洗浄した。エーテル層を乾燥させ、溶媒を除去し、生成物をイソプロパノールから再結晶して化合物9(17.25g、88%)を生成した。H NMR(CDCl,500MHz):δ 1.54(m=4H),1.77(m,4H),1.83(m,4H),2.25(s,3H),2.624(t,J=7.4Hz,2H),2.629(t,J=7.4Hz,2H),4.21(t,J=6.6,4H),5.82(dd,J=10.4,1.3Hz,2H),6.13(dd,J=17.3,10.4Hz,2H),6.40(dd,J=17.3,1.3Hz,2H),7.10(dd,J=8.7,2.7Hz,1H),7.15(d,J=2.7Hz,1H),7.19(d,J=8.7Hz,1H),7.24(d,J=8.6Hz,2H),7.25(d,J=8.6Hz,2H),8.22(d,J=8.6Hz,2H),8.25(d,J=8.6Hz,2H)。
【0119】
実施例2〜10
本発明の様々な実施形態の液晶モノマーである化合物10〜18を、実施例1に記載されたものと同様な方法で製造した。
【0120】
【化28】

【0121】
H NMR(CDCl,500MHz):δ 2.17(m,4H),2.73(t,J=7.3Hz,4H),4.31(t,J=6.3Hz,4H),5.85(dd,J=10.4,1.4Hz,2H),6.14(dd,J=17.4,10.4Hz,2H),6.43(dd,J=17.4,1.4Hz,2H),7.26(d,J=8.7Hz,4H),7.28(s,4H),8.24(d,J=8.7Hz,4H)。
【0122】
【化29】

【0123】
H NMR(CDCl,500MHz):δ 1.54(m,4H),1.76(m,4H),1.83(m,4H),2.63(t,J=7.4Hz,4H),4.20(t,J=6.6Hz,4H),5.82(dd,J=10.5,1.4Hz,2H),6.12(dd,J=17.4,10.5Hz,2H),6.41(dd,J=17.4,1.4Hz,2H),7.24(d,J=8.7Hz,4H),7.28(s,4H),8.23(d,J=8.7Hz,4H)。
【0124】
【化30】

【0125】
H NMR(CDCl,500MHz):δ 1.28〜1.47(m,24H),1.67(m,4H),1.77(m,4H),2.59(t,J=7.5Hz,4H),4.16(t,J=6.7Hz,4H),5.80(dd,J=10.5,1.3Hz,2H),6.12(dd,J=17.4,10.5Hz,2H),6.39(J=17.4,1.3Hz,2H),7.24(d,J=8.7Hz,4H),7.28(s,4H),8.23(d,J=8.7Hz,4H)。
【0126】
【化31】

【0127】
H NMR(CDCl,500MHz):δ 2.17(m,4H),2.26(s,3H),2.73(t,J=7.3Hz,2H),2.74(t,J=7.3Hz,2H),4.308(t,J=6.2Hz,2H),4.310(t,J=6.2Hz,2H),5.858(dd,J=10.5,1.4Hz,1H),5.860(dd,J=10.5,1.4Hz,1H),6.144(dd,J=17.4,10.5Hz,1H),6.146(dd,J=17.4,10.5Hz,1H),6.434(dd,J=17.4,1.4Hz,1H),6.437(dd,J=17.4,1.4Hz,1H),7.10(dd,J=8.6,2.8Hz,1H),7.15(d,J=2.6,1H),7.19(d,J=8.8Hz,1H),7.25(d,J=8.8Hz,2H),7.27(d,J=8.8Hz,2H),8.23(d,J=8.8Hz,2H),8.26(d,J=8.8Hz,2H)。
【0128】
【化32】

【0129】
H NMR(CDCl,500MHz):δ 1.86(m,8H),2.25(s,3H),2.66(t,J=7.0Hz,2H),2.67(t,J=7.0Hz,2H),4.24(t,J=6.2Hz,4H),5.84(dd,J=10.5,1.3Hz,2H),6.14(dd,J=17.4,10.5Hz,2H),6.42(dd,J=17.4,1.3Hz,2H),7.10(dd,J=8.7,2.6Hz,1H),7.14(d,2.6Hz,1H),7.19(d,J=8.7Hz,1H),7.24(d,J=8.8Hz,2H),7.25(d,J=8.8Hz,2H),8.23(d,J=8.8Hz,2H),8.25(d,J=8.8Hz,2H)。
【0130】
【化33】

【0131】
H NMR(CDCl,400MHz):δ 1.55(m,4H),1.77(m,4H),1.84(m,4H),1.95(s,6H),2.25(s,3H),2.62(t,J=7.4Hz,2H),2.63(t,J=7.4Hz,2H),4.19(t,J=6.5Hz,4H),5.56(m,2H),6.11(br s,2H),7.10(dd,J=8.7,2.6Hz,1H),7.14(d,J=2.6Hz,1H),7.19(d,J=8.7Hz,1H),7.23(d,J=8.8Hz,2H),7.24(d,J=8.8Hz,2H),8.22(d,J=8.8Hz,2H),8.25(d,J=8.8Hz,2H)。
【0132】
【化34】

【0133】
H NMR(CDCl,400MHz):δ 1.25〜1.47(m,24H),1.67(m,4H),1.78(m,4H),2.25(s,3H),2.59(t,J=7.5Hz,2H),2.60(t,J=7.5Hz,2H),4.16(t,J=6.7Hz,4H),5.80(dd,J=10.5,1.3Hz,2H),6.12(dd,J=17.4,10.5Hz,2H),6.39(dd,J=17.4,1.3Hz,2H),7.10(dd,J=8.7Hz,2.5Hz,1H),7.14(d,J=2.5Hz,1H),7.19(d,J=8.7Hz,2H),7.24(d,J=8.7Hz,2H),7.25(d,J=8.7Hz,2H),8.22(d,J=8.7Hz,2H),8.25(d,J=8.7Hz,2H)。
【0134】
【化35】

【0135】
H NMR(CDCl,500MHz):δ 1.54(m,4H),1.76(m,4H),1.83(m,4H),2.623(t,J=7.4Hz,2H),2.626(t,J=7.4Hz,2H),4.20(t,J=6.5Hz,4H),5.82(dd,J=10.5,1.3Hz,2H),6.12(dd,J=17.4,10.5Hz,2H),6.40(dd,J=17.4,1.3Hz,2H),7.21(dd,J=8.8,2.7Hz,1H),7.25(d,J=8.7Hz,2H),7.26(d,J=8.7Hz,2H),7.34(d,J=8.8Hz,1H),7.41(d,J=2.7Hz,1H),8.21(d,J=8.7Hz,2H),8.26(d,J=8.7Hz,2H)。
【0136】
【化36】

【0137】
H NMR(DMSO−d,500MHz):δ 1.45(m,4H),1.69(m,8H),2.65(t,2H,JHH=7.4Hz),4.14(t,4H,JHH=6.5Hz),5.94(dのd,2H,JHH=10.3Hz),6.18(dのd,2H,JHH=17.3Hz),6.33(dのd,2H,JHH=17.3Hz),7.15(d,4H),7.36(m,8H),8.19(d,4H)。
【0138】
実施例11
本実施例は、化合物21、本発明の一実施形態の液晶モノマーの形成を例示する。
【0139】
【化37】

【0140】
6−ヒドロキシ−ナフタレン−2−カルボン酸(20g)、メチルヒドロキノン(6g)、濃硫酸(1mL)、およびキシレン(125mL)の混合物を、ディーン−スタークトラップ(Dean−Stark trap)、冷却器および機械撹拌機を備えたフラスコ中で窒素雰囲気下に8時間加熱して還流させた。約2mLの水をトラップに集めた。混合物をRTに冷却し、濾過し、固定分をヘキサンでリンスし、次に乾燥させた。固形分を400mLのDMAcに加え、混合物を60℃に加熱し、1時間撹拌した。混合物を冷却し、不溶性物質を濾別した。濾液容量を約1/4容量に濃縮し、1Lの水へ滴加し、2時間撹拌した。沈澱を濾別し、粗生成物を200mLアセトンに溶解させ、0.5時間沸騰させた。混合物を冷却し、RTで一晩撹拌した。固形分を濾過し、濾液を1Lの水に滴加し、1時間撹拌した。沈澱を濾別し、一晩乾燥させて化合物19を生成した。H−NMR(DMSO−d,500MHz):δ 2.25(s,3H),7.2〜7.4(m,7H),7.8〜7.9(m,2H),8.0〜8.1(m,4H),8.75(d,2H,JHH=16Hz),10.3(s,2H幅広い)。
【0141】
【化38】

【0142】
化合物20を、化合物8の合成について上に記載されたものと類似の手順を用いて製造した。H−NMR(DMSO−d,500MHz):δ 1.43(q,4H,JHH=7.4Hz),1.62(q,4H,JHH=7.5Hz),1.77(q,4H,JHH=7.3Hz),2.14(s,3H),2.57(t,4H,JHH=7.4Hz),3.46(t,4H,JHH=6.6Hz),7.1〜7.4(m,5H),7.72(m,2H),7.9〜8.1(m,4H),8.17(m,2H),8.80(d,2H,JHH=20.6Hz)。
【0143】
【化39】

【0144】
化合物21を、化合物9の合成について上に記載されたものと類似の手順を用いて製造した。生成物は76%単離収率で得られた。H−NMR(DMSO−d,500MHz):δ 1.48(q,4H,JHH=7.3Hz),1.72(m,8H,JHH=7.5Hz),2.26(s,3H),2.69(t,4H,JHH=7.3Hz),4.16(t,4H,JHH=6.5Hz),5.94(dのd,2H,JHH=10.3Hz),6.20(dのd,2H,JHH=17.2Hz),6.35(dのd,2H,JHH=17.3Hz),7.3〜7.5(m,5H),7.83(m,2H),8.1〜8.2(m,4H),8.28(dのd,2H,JHH=9.1Hz),8.92(d,2H,JHH=16.6Hz)。
【0145】
実施例12
本実施例は、化合物24、本発明の一実施形態の液晶モノマーの形成を例示する。
【0146】
【化40】

【0147】
4−ヒドロキシ安息香酸(80g)、ヒドロキノン(64g)、p−トルエンスルホン酸(2g)、キシレン(500mL)の混合物を、約10mLの水が集められるまで、ディーン−スタークトラップ(Dean−Stark trap)、冷却器および機械撹拌機を備えたフラスコ中で加熱して還流させた。室温に冷却した後、固形分を濾別し、ヘキサンで洗浄し、乾燥させた。得られた固形分を600mLの沸騰アセトン中へ入れ、30分間撹拌した。混合物を熱時濾過して微量の不溶性物質を排除した。室温に冷却した後アセトン溶液は黄色であるが透明であった。1500mLのDI水をゆっくり加えて生成物を沈澱させた。沈澱した生成物を濾別し、乾燥させて化合物22を生成した。H NMR(CDCl,500MHz):δ 6.78(d,8.9Hz,2H),6.90(d,J=8.8Hz,2H),7.00(d,J=8.9Hz,2H),7.94(d,J=8.8Hz,2H),9.42(s,1H),10.44(s,1H)。
【0148】
【化41】

【0149】
化合物23を、化合物8の合成について上に記載されたものと類似の手順を用いて製造した。H NMR(CDCl,500MHz):δ 1.59(m,4H),1.80(m,4H),1.94(m,4H),2.59(t,J=7.4Hz,2H),2.63(t,J=7.4Jz,2H),3.441(t,J=6.7Hz,2H),3.446(t,J=6.7Hz,2H),7.14(d,J=9.0Hz,2H),7.22(d,9.0Hz,2H),7.24(d,8.8Hz,2H),8.22(d,8.8Hz,2H)。
【0150】
【化42】

【0151】
化合物24を、化合物9の合成について上に記載されたものと類似の手順を用いて製造した。H NMR(CDCl,500MHz):δ 1.52(m,4H),1.76(m,4H),1.78(m,4H),2.59(t,J=7.4Hz,2H),2.62(t,J=7.4Hz,2H),4.19(t,J=6.6Hz,2H),4.20(t,J=6.6Hz,2H),5.823(dd,1H),5.826(dd,1H),6.122(dd,1H),6.127(dd,1H),6.404(dd,1H),6.407(dd,1H),7.13(d,J=8.6Hz,2H),7.21(d,J=8.6Hz,2H),7.23(d,J=8.6Hz,2H),8.21(d,J=8.6Hz,2H)。
【0152】
実施例13
本実施例は、化合物27、本発明の一実施形態の液晶モノマーの形成を例示する。
【0153】
【化43】

【0154】
6−ヒドロキシ−ナフタレン−2−カルボン酸(20g)、ヒドロキノン(17g)、濃硫酸(4滴)、およびキシレン(125mL)の混合物を8時間加熱して還流させ、この時間中にもう2回の4滴アリコートの硫酸を加えた。2.0mLの水をトラップに集めた後に反応物を室温に冷却し、固形分を濾過し、ヘキサンで洗浄し、乾燥させた。物質を300mLのアセトンへ懸濁させ、30分間加熱して還流させた。混合物を熱時濾過して不溶性物質を除去し、無色透明な溶液を1Lの水に注ぎ込んだ。沈澱した生成物を濾別し、水で洗浄し、乾燥させた。上記の精製手順をもう一度繰り返して化合物25を生成した。H−NMR(DMSO−d,500MHz):δ 6.87(m,2H),7.11(m,2H),7.22〜7.28(m,2H),7.9〜8.1(m,3H),8.69(d,1H,JHH=1Hz),9.50(s,1H),10.27(s,1H)。
【0155】
【化44】

【0156】
化合物26を、化合物8の合成について上に記載されたものと類似の手順を用いて製造した。H−NMR(DMSO−d,500MHz):δ 1.52(m,4H),1.71(m,4H),1.87(m,4H),2.62(t,2H,JHH=7.4Hz),2.68(t,2H,JHH=7.3Hz),3.57(m,4H),7.25(m,2H),7.40(m,2H),7.46(m,1H),7.83(d,1H,JHH=2Hz),8.1〜8.3(m,3H),8.87(s,1H)。
【0157】
【化45】

【0158】
化合物27を、化合物9の合成について上に記載されたものと類似の手順を用いて製造した。H−NMR(DMSO−d,500MHz):δ 1.46(m,4H),1.69(m,8H),2.62(t,2H,JHH=7.3Hz),2.69(t,2H,JHH=7.3Hz),4.15(m,4H),5.94(dのd,2H,JHH=10.3Hz),6.19(dのd,2H,JHH=17.3Hz),6.34(dのd,2H,JHH=17.2Hz),7.24(m,2H),7.40(m,2H),7.46(m,1H),7.83(d,1H,JHH=2Hz),8.1〜8.3(m,3H),8.88(s,1H)。
【0159】
実施例14〜15
化合物8および9の製造(実施例1)に用いられたものと類似の手順を用いて、本発明の様々な実施形態によって生成されるモノマーである、化合物29および30を製造した。
【0160】
【化46】

【0161】
H NMR(CDCl,500MHz):δ 1.58(m,4H),1.78(m,4H),1.92(m,4H),2.16(s,3H),2.56(t,J=7.4Hz,2H),2.60(t,J=7.4Hz,2H),3.43(t,J=6.7Hz,4H),6.91(dd,J=8.6,2.8Hz,1H),6.96(d,J=2.8Hz,1H),6.99(d,J=8.6Hz,1H)。
【0162】
【化47】

【0163】
H NMR(CDCl,500MHz):δ 1.52(m,4H),1.74(m,4H),1.81(m,4H),2.56(t,J=7.5Hz,2H),2.59(t,J=7.5Hz,2H),4.19(t,J=6.55Hz,4H),5.81(br d,J=10.5Hz,2H),6.12(おおよそdd,J=17.3,10.5Hz,2H),6.39(おおよそdd,J=17.3,1.4Hz,2H),6.90(dd,J=8.7,2.7Hz,1H),6.95(d,J=2.7Hz,1H),6.99(d,J=8.7Hz,1H)。
【0164】
【化48】

【0165】
H NMR(CDCl,500MHz):δ 1.51(m,4H),1.66(s,6H),1.74(m,4H),1.79(m,4H),2.56(t,J=7.3Hz,4H),4.18(t,J=6.5Hz,4H),5.80(dd,J=10.5,1.3Hz,2H),6.11(dd,J=17.4,10.5Hz,2H),6.38(dd,J=17.4,1.3Hz,2H),6.96(d,J=8.8Hz,4H),7.21(d,J=8.8Hz,4H)。
【0166】
実施例16
本実施例は、化合物9が、中間化合物8の単離なしに、化合物7から直接製造される本発明によって提供される方法を例示する。
【0167】
化合物7(5.0g)を60mLのTHF、および8.3mLのトリエチルアミンと組み合わせた。溶液を0℃に冷却し、40mLのTHF中の6.3gの塩化6−ブロモヘキサノイルの溶液を20分にわたって滴加した。反応物を0℃で1.5時間、次にRTで2時間撹拌した。溶液を濾過し、20mLのTHFでリンスした。反応液を次に12.4gの炭酸水素カリウム、2.03gのヨウ化テトラブチルアンモニウム、0.42gの2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノール、および2.82mLのアクリル酸と組み合わせ、5.5時間空気に開放して還流で加熱した。反応物を250mLの水に加え、濃HClを使用してpHを5に調整した。生成物をジエチルエーテルで抽出し、次に水で洗浄した。有機部物を乾燥させ(MgSO)、次に濃縮して黄色オイルを生成した。100mLのヘキサンを加え、混合物を20分間0℃に冷却して固体を生み出し、それを濾過し、乾燥させて、化合物9を生成した。H NMRスペクトルは、実施例1の方法に従って得られたものと同一であった。
【0168】
実施例17
本実施例は、混合物1、本発明により提供されるような方法によって調製される、本発明により提供されるような液晶組成物の形成を例示する。モル比は、反応化学量論に基づいた名目上の比である。
【0169】
【化49】

【0170】
混合物1
化合物7(5.0g)、THF(60mL)、および8.4mLのトリエチルアミンの混合物を0℃に冷却し、50mLのTHF中の4.29gの塩化6−ブロモヘキサノイルと1.87gの塩化4−ブロモブチリルとの混合物を20分にわたって滴加した。反応物を0℃で追加の1時間、引き続きRTで2時間撹拌した。混合物を濾過し、濾過された固形分を20mLのTHFで洗浄した。濾液を次に、12.4gの炭酸水素カリウム、2.03gのヨウ化テトラブチルアンモニウム、および0.42gの2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノールと組み合わせた。RTで5分間撹拌した後、アクリル酸(2.82mL)を加えた。混合物を4時間、空気に開放して、加熱して還流させた。混合物をRTで追加の14時間撹拌した。水(250mL)を加え、濃HClを使用してpHを6に調整した。生成物をジエチルエーテルへ抽出した。有機物を水で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、曇った黄色オイルへ濃縮した。粗生成物を30分間75mLのメタノールで洗浄した。メタノールをデカンテーションし、ヘキサン(75mL)を加えた。30分間撹拌した後ヘキサンをデカンテーションし、残存溶媒を除去して混合物1を生成した。相挙動:X−29N131I。
【0171】
実施例18
本実施例は、混合物2、本発明により提供されるような方法によって調製されるキラル液晶組成物の形成を例示する。
【0172】
【化50】

【0173】
混合物2
4.60gの化合物7、0.424gの化合物1、60mLのTHFおよび6.3mLのトリエチルアミンの混合物を0℃に冷却した。40mLのTHF中の4.83gの塩化6−ブロモヘキサノイルと1.40gの塩化4−ブロモブチリルとの溶液を次に20分にわたって滴加した。反応物を、RTで追加の2時間撹拌する前に0℃で1時間撹拌した。反応混合物を濾過し、濾過された固形分を20mLのTHFで洗浄した。濾液を次にフレッシュなフラスコに移し、12.4gの炭酸水素カリウム、2.03gのヨウ化テトラブチルアンモニウム、および0.42gの2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノールを加えた。室温で5分間撹拌した後に2.82mLのアクリル酸を加えた。反応混合物を4時間、空気に開放して加熱して還流させた。室温に冷却した後、反応混合物を室温で追加の14時間撹拌した。反応混合物を200mLの水に加え、次に濃HClを使用してpH5に調整した。残渣をジエチルエーテルへ抽出し、抽出液を水で3回洗浄し、乾燥させ、濾過し、黄色オイルへ濃縮した。オイルをイソプロピルアルコール(75mL)で洗浄し、ヘキサン(75mL)で洗浄し、残存溶媒を除去して混合物2を生成した。相挙動:第一加熱=X−31TN110I、第一冷却=I109TN−34X、第二加熱=X−31TN111I。反射率の波長=797nm。
【0174】
実施例19
本実施例は、混合物の各化合物が別々に製造された、アキラルの液晶混合物の調製方法を例示する。
【0175】
【化51】

【0176】
混合物3
化合物9(0.125g)と化合物11(0.123g)とを組み合わせ、塩化メチレンに溶解させた。溶液を濾過し(0.45ミクロンフィルター)、溶媒を除去して混合物3を生成した。
【0177】
実施例20
本実施例は、各化合物が別々に製造された、ねじれネマチック混合物を調製するために用いられる方法を例示する。
【0178】
【化52】

【0179】
混合物4
混合物3の調製について上に記載されたものと類似の手順に従った。DSC:第一加熱=K55TN105I、第一冷却=I104TN−53X、第二加熱=X−31TN105I。反射率の波長=532nm。
【0180】
実施例21
本実施例は、各化合物が別々に製造された、ねじれネマチック混合物を調製するために用いられる方法を例示する。
【0181】
【化53】

【0182】
混合物5
混合物3の調製について上に記載されたものと類似の手順に従った。相挙動:第一加熱=X−32TN94I、第一冷却:I85TN,第二加熱=TN97I。反射率の波長=789nm。
【0183】
実施例22
本実施例は、本発明の液晶モノマーから誘導される本発明のポリマー網状構造の形成を例示する。
【0184】
混合物2(0.5g)、化合物24(0.128g)、およびイルガキュア(Irgacure)(登録商標)184(0.013g)を1,1,2,2−テトラクロロエタン(1.19mL)に溶解させて混合物6を生成した。ポリエチレンテレフタレートフィルムをヨシカワ(Yoshikawa)YA−20−R研磨クロスで手動研磨した。少量の混合物6を、ワイヤ・サイズ20巻き線型実験室ロッド(ポール N.ガードナー・カンパニー、フロリダ州ポムパノ・ビーチ)(Wire Size 20 Wire Wound Lab Rod(Paul N.Gardner Company,Pompano Beach,Florida))を用いて手動によりコートした。湿潤コーティングを50℃で2分間加熱し、窒素雰囲気下に2分間ブラーク−レイ長波UV水銀ランプ(UVP社、カリフォルニア州アップランド)(Blak−Ray Long Wave UV Mercury Lamp(UVP Inc.,Upland,California))に露光させた。フィルムの赤外線スペクトルを図1に示す。
【0185】
実施例23
本実施例は、キラルモノマーが反応性コレステリルエステル化合物である、ねじれネマチック組成物の調製を例示する。化合物31はシバエフ(Shibaev)によって以前に報告された。化合物32の製造は、シャノン(Shannon)によって以前に報告された(Marcromolecules 16(1983年)、1677−1678ページ)。
【0186】
【化54】

【0187】
混合物3の調製について上に記載されたものと類似の手順に従った。相挙動:第一加熱=X60TN95I、第一冷却=I94TN、第二加熱=TN96I。反射率の波長=1015nm。
【0188】
実施例24
本実施例は、式(IX)の(メタ)アクリレートアリール酸ハロゲン化物の合成を例示する。
【0189】
6−ヒドロキシヘキサン酸を先ず、PCT/JP2005/004389に報告されている手順に従って製造した。
【0190】
【化55】

【0191】
カプロラクトン(100g)を、水酸化カリウム(145g)、メタノール(110mL)、およびTHF(390mL)の混合物に加えた。生じた混合物を一晩室温で撹拌した。溶液を次にHClで酸性化し、酢酸エチルで抽出した。組み合わせた有機層を水で洗浄し、乾燥させ、濾過し、濃縮して6−ヒドロキシヘキサン酸を得た。H NMR(CDCl,500MHz):δ 1.44(m,2H),1.60(m,2H),1.68(m,2H),2.37(t,J=7.5Hz,2H),3.66(t,J=6.5Hz,2H),5.80(br,1H)。
【0192】
6−アクリロイルオキシヘキサン酸を、PCT/JP2005/004389に報告されている手順に従って製造した。
【0193】
【化56】

【0194】
6−ヒドロキシヘキサン酸(10g)、2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノール(0.5g)、およびジメチルアセトアミド(57mL)の混合物を0℃に冷却した。塩化アクリロイル(17.2g)を次に滴加した。3.5時間撹拌した後、ピリジン(12mL)および水(12mL)をゆっくり加えた。もう2時間撹拌した後、溶液を希HClで酸性化し、酢酸エチルで抽出した。組み合わせた有機層を水で洗浄し、乾燥させ、濾過し、濃縮して6−アクリロイルオキシヘキサン酸を生成した。H NMR(CDCl,500MHz):δ 1.46(m,2H),1.70(m,4H),2.37(t,J=7.3Hz,2H),4.17(t,J=6.4Hz,2H),5.82(d,J=10.4Hz,1H),6.12(dd,J=17.3,10.5Hz,1H),6.39(d,J=17.3Hz,1H),11.59(br,1H)。
【0195】
【化57】

【0196】
6−アクリロイルオキシヘキサン酸(5.0g)、2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノール(0.3g)、クロロホルム(30mL)、およびDMF(10滴)の混合物を0℃に冷却した。塩化オキサリル(5.12g)およびクロロホルム(20mL)を次に滴加した。3時間撹拌した後、溶媒を除去し、生じた酸塩化物を、クロロホルム(20mL)とテトラヒドロフラン(20mL)との混合物に再溶解させた。酸塩化物溶液を次に、0℃に冷却された4’−ヒドロキシ−4−ビフェニルカルボン酸(5.76g)、トリエチルアミン(5.2mL)、4−ジメチルアミノピリジン(0.13g)、2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノール(0.3g)、およびテトラヒドロフラン(55mL)の混合物に移した。12時間撹拌した後、反応混合物を水に加え、希HClで酸性化し、クロロホルムで抽出し、乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗混合物を、アセトニトリルおよびイソプロパノールで洗浄することによって精製して化合物33を得た。H NMR(DMSO−d,500MHz):δ 1.45(m,2H),1.69(m,4H),2.63(t,J=7.4Hz,2H),4.14(t,J=6.6Hz,2H),5.94(おおよそd,J=10.3Hz,1H),6.18(おおよそdd,J=17.3,10.4Hz,1H),6.33(おおよそd,J=17.3Hz,1H),7.24(m,2H),7.79(m,4H),8.02(m,2H),12.95(br,1H)。
【0197】
化合物33(3.0g)、2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノール(0.14g)、テトラヒドロフラン(20mL)、およびDMF(6滴)の混合物を0℃に冷却した。塩化オキサリル(1.49g)およびテトラヒドロフラン(20mL)を次に滴加した。7時間撹拌した後、溶媒を除去して相当する酸塩化物を生成した。
【0198】
比較例1
比較例1〜3は、ハロゲン化物置換により分子中に(メタ)アクリレート官能性を提供するための公知方法が、アリールアルカノアートエステルを含むビス(メタ)アクリレートが提供されるべきであるときに満足のいくものではないことを実証する。
【0199】
アクリレート付加を、文献手順を用いて行った。
【0200】
【化58】

【0201】
化合物9への化合物8の変換を、ランダー(Lander)およびヘゲダス(Hegedus)(J.Am.Chem.Soc.116(1994年)、8126−8132ページ)によって報告された手順に従って試みた。
【0202】
25mL丸底フラスコに0.3g(0.418ミリモル)の化合物8、0.233mL(1.67ミリモル)のトリエチルアミン、および5mLのジメチルホルムアミドを加えた、アクリル酸(0.115mL、1.67ミリモル)を次に加えた。反応物を25℃で19時間撹拌した。粗反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で3回洗浄した。有機物を乾燥させ(MgSO)、次に回転蒸発によって濃縮して0.23gの無色オイルを生成した。NMR分析は、39%のアルキル臭化物がアクリロイルオキシ基に変換されたに過ぎないことを示した。芳香族エステル骨組は変わらないままであった。
【0203】
比較例2
アクリレート付加を、文献手順を用いて行った。
【0204】
【化59】

【0205】
化合物9への化合物8の変換を、クレイグ(Craig)およびイムリー(Imrie)(Macromolecules 28(1995年)、3617−3624ページ)によって報告された手順に従って試みた。
【0206】
シュレンク(Schlenk)チューブに0.238g(2.38ミリモル)の炭酸水素カリウム、引き続き0.17mLのアクリル酸を加えた。混合物を、0.6g(0.836ミリモル)のメチルヒドロキノンのビス(4−(6−ブロモヘキサノイル)−安息香酸)エステル、0.002gのヒドロキノン、および10mLのDMFを加える前に25℃で5分間一緒に撹拌した。反応物を100℃に14時間加熱した。反応混合物を塩化メチレンで希釈し、5%水酸化ナトリウム溶液、引き続き水で洗浄した。有機物を乾燥させ(MgSO)、次に回転蒸発によって濃縮して黄褐色オイルを生成した。NMR分析はアクリロイルオキシ基への臭化物の完全な変換を示唆したが、30%未満の生成物収率(NMR)をもたらすエステル結合の広範な開裂があった。
【0207】
比較例3
アクリレート付加を、特許手順を用いて行った。
【0208】
【化60】

【0209】
化合物9への化合物8の変換を、米国特許第4,614,619号明細書に報告された手順に従って試みた。化合物8(0.6g、0.836ミリモル)、アクリル酸カリウム(0.553g、5.016ミリモル)、臭化テトラブチルアンモニウム(0.108g、0.3344ミリモル)、2,6−ジ−第三ブチル−4−メチルフェノール(0.013g、0.057ミリモル)、水(0.6mL)およびクロロホルム(0.3mL)の混合物を、112℃の油浴温度で40時間加熱した。冷却した反応混合物に40mLのジエチルエーテルと10mLの塩化メチレンとを加え、有機相を水で3回洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、白色固体を生成した。NMR分析はアクリロイルオキシ基への臭化物の完全な変換を示唆したが、5%未満の生成物収率(NMR)をもたらすエステル結合の完全な加水分解があった。
【0210】
比較例4
本比較例は、従来のエーテル結合物質(式C−I)を製造するために用いられる方法論が本発明によって提供される物質の製造には適用できないことを実証する。米国特許第5,833,880号明細書、実施例1に開示されているような、式C−Iの物質の製造における第1ステップに従ったが、酢酸4−クロロブチルを塩化6−ブロモヘキサノイルで置き換えた。
【0211】
そのようなものとして、3gの4−ヒドロキシ安息香酸エチル、0.036gのヨウ化カリウム、および2.99gの炭酸カリウムを24mLのDMFに溶解させ、4.62gの塩化6−ブロモヘキサノイルを滴加した。反応物を、氷水に加える前に、90℃で10時間加熱した。生成物は、固体を単離する米国特許第5,833,880号明細書の教示とは対照的に、オイルとして分離した。油状生成物を、エーテル抽出を用いて水から分離させた。エーテルを乾燥させ、除去して5.36gの黄色オイルを生成した。NMR分析は、アシル化生成物とアルキル化生成物との複雑な混合物の存在を示唆した。黄色オイルを4.81gの水酸化カリウムおよび36mLのエタノールと組み合わせ、3時間加熱して還流させた。反応物を氷水に加え、濃HClで酸性化し、濾過し、フレッシュ水で洗浄し、乾燥させて、1.3gの白色固体を得た。NMR分析は、生成物が所望の化合物35よりむしろ、化合物34であることを示唆した。
【0212】
【化61】

【0213】
化合物34のH−NMR:(DMSO−d,400MHz)δ 1.43(m,2H),1.57(m,2H),1.73(m,2H),2.23(t,J=7.3Hz,2H),4.03(t,J=6.5Hz,2H),6.99(d,8.9Hz,2H),7.88(d,8.9Hz,2H)。
【0214】
比較例5
液晶混合物メルク(Merck)RMS03−009(比較混合物1−C)を、メルクKGaA、液晶、独国ダルムスタット(Merck KGaA,Liquid Crystals,Darmstadt,Germany)から購入した。コーティングを、実施例22で上に記載されたものと類似の手順を用いて製造した。エーテル結合(−O−)ポリマー網状構造の赤外線スペクトルを図1に示す。
【0215】
【化62】

【0216】
【表1】

【0217】
【表2】

【0218】
【表3】

【0219】
【表4】

【0220】
【表5】

【0221】
【表6】

【0222】
【表7】

【0223】
【表8】

【0224】
【表9】

【0225】
【表10】

【0226】
【表11】

【0227】
本明細書に示される式のそれぞれは、(i)他の可変の基、置換基または数係数の全てが一定に保持されながら可変の置換基または数係数の1つについて規定範囲内からの選択、および(ii)他のものが一定に保持されながら他の可変の基、置換基または数係数のそれぞれについて規定範囲内からの同じ選択を順繰りに行うことによって当該式中に形成することができる別個の個々の化合物のそれぞれおよび全てを表現する。範囲で規定される群のメンバーのたったの1つの可変の基、置換基または数係数のいずれかについての規定範囲内で行われる選択に加えて、複数の化合物は、2つ以上だが基、置換基または数係数の群の数の全て未満を選択することによって表現されてもよい。可変の基、置換基または数係数のいずれかについて規定範囲内で行われる選択が(a)該範囲によって記載される群のただ1つのメンバー、または(b)該群の2つ以上だが全て未満のメンバーを含有する亜群であるとき、被選択メンバーは、亜群を形成するために選択されない全体群のそれらのメンバーを除外することによって選択される。化合物、または複数の化合物は、かかる事象では、1つ以上の可変の基、置換基または数係数を含有するとして記載されてもよく、その可変の基、置換基または数係数のそれぞれは、亜群を形成するために除外されたメンバーの不存在下での当該可変の基、置換基または数係数についての範囲によって記載される、全体群のメンバーによって画定される。
【0228】
本発明のある種の特徴は、本開示にかそれとも図面の1つに記載されるように、様々なかかる特徴を一緒に組み合わせる実施形態との関連で本明細書に記載される。しかしながら、本発明の範囲は、任意の特定の実施形態内のただ1つのある種の特徴の説明によって制限されず、本発明はまた、(1)任意の記載される実施形態の特徴の全てより少ないサブ組み合わせであって、サブ組み合わせを形成するために除外された特徴の不存在によって特徴づけられるサブ組み合わせ、(2)記載される実施形態の組み合わせ内に、個々に、含められる特等のそれぞれ、ならびに(3)本明細書の別の場所に開示されるような他の特徴と一緒に、記載される実施形態の特徴の1つ以上または全てから形成される特徴の他の組み合わせを含む。
【0229】
数値の範囲が本明細書に列挙される場合、該範囲はそれの終点ならびに該範囲内の個々の整数および分数を全て含み、そしてまた、あたかもそれらのより狭い範囲のそれぞれが明確に列挙されているかのように、同程度までより大きい群の値の亜群を形成するためにそれらの終点ならびに内部整数および分数の様々な可能な組み合わせ全てによって形成されるその中のより狭い範囲のそれぞれを含む。数値の範囲が規定値より大きいとして本明細書に述べられる場合、該範囲はそれにもかかわらす有限であり、本明細書に記載されるような本発明の枠の中で操作可能である値とその上端で境界を接する。数値の範囲が規定値より小さいとして本明細書に述べられる場合、該範囲はそれにもかかわらす非ゼロ値とその下端で境界を接する。
【0230】
本明細書では、本発明の実施形態がある種の特徴または要素を含む、包含する、含有する、有する、それらからなるまたはそれらによって構成されるもしくはそれらを構成するとして述べられるかまたは記載される場合、特に明確に述べられない限りまたは用法の前後関係によって反対を示唆されない限り、明確に述べられるかまたは記載されるものに加えて1つ以上の特徴または要素が実施形態に存在してもよい。しかしながら、本発明の代わりの実施形態は、ある種の特徴または要素から本質的になるとして述べられてもまたは記載されてもよく、その実施形態では、操作の原理または実施形態の際立った特性を実質的に変えるであろう特徴または要素はそれらの中に存在しない。本発明のさらなる代わりの実施形態は、ある種の特徴または要素からなるとして述べられてもまたは記載されてもよく、その実施形態では、またはそれの実体のない変形では、具体的に述べられるまたは記載される特徴または要素が存在するに過ぎない。
【0231】
本明細書では、特に明確に述べられない限りまたは用法の前後関係によって反対を示唆されない限り、
(a)本明細書に列挙される量、サイズ、調合物、パラメータ、ならびに他の量および特性は、特に該用語「約」によって修飾されるときに、正確であってもよいが正確である必要はなく、本発明の枠の中で、表示値への機能的なおよび/または操作可能な等価を有するそれの外側の表示値内のそれらの値の包含だけでなく、許容差、変換係数、端数計算、測定誤差などを反映して、おおよそであってもおよび/または表示値より大きいかまたは小さくてもよく(要望通り)、
(b)部、百分率または比の全ての数量は重量による部、百分率または比として与えられ、
(c)本発明の要素また特徴の存在についての言明または説明に関して不定冠詞「ア(a)」または「アン(an)」の使用は、要素または特徴の存在を数の点で1つに限定せず、
(d)単語「含む(include)」、「含む(includes)」、および「はじめとする(including)」は、事実上それが当てはまらない場合、あたかもそれらに語句「限定なしに」が続くかのように読まれるおよび解釈されるべきであり、ならびに、
(e)単語「または」は、本明細書で用いるところでは、包含的であり、より具体的には、語句「AまたはB」は「A、B、またはAおよびBの両方」を意味し、排他的な意味での「または」の使用は、例えば、「AかBかのどちらか」および「AまたはBの1つ」などの用語によって明示される。
【図面の簡単な説明】
【0232】
【図1】アリールアルカノアートエステル結合を有する本発明のポリマー網状構造およびエーテル結合を有する従来のポリマー網状構造のFT−IRスペクトルを例示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、RおよびRはそれぞれ、群:H、F、ClおよびCHから独立して選択され、n1およびn2はそれぞれ独立して整数3〜20であり、mおよびpはそれぞれ独立して整数0、1または2であり、Aは群:
【化2】

(式中、R〜R10はそれぞれ、群:H、C1〜C8の直鎖または分岐鎖アルキル、C1〜C8の直鎖または分岐鎖アルキルオキシ、F、Cl、フェニル、−C(O)CH、CN、およびCFから独立して選択され、Xは群:−O−、−(CHC−、および−(CFC−から選択される二価の基である)
から選択される二価の基であり、各BおよびBは、群:R11−置換−1,4−フェニル(ここで、R11はH、−CHまたは−OCHである)、2,6−ナフチル、および4,4’−ビフェニルから独立して選択される二価の基であり、ただし、m+pが3または4に等しいとき、BおよびBの少なくとも2つはR11−置換−1,4−フェニルである]
の化合物。
【請求項2】
mおよびpが0に等しく、式(I)が式(IIa〜f):
【化3】

の群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
mが1であり、pが0であり、式(I)が式(IIIa〜e):
【化4】

の群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
〜RがHである式(IIIa)から選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
およびRがHであり、基R〜Rの1つがClまたはCHであり、基R〜Rの3つがHである式(IIIa)から選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
mおよびpが1に等しく、式(I)が式(IVa〜e):
【化5】

の群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
およびBがR11−置換−1,4−フェニルであり、そしてRおよびRが独立してHまたはCHである式(IVa)から選択される請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
基R〜Rの1つがClまたはCHであり、そして基R〜Rの3つがHである請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
n1およびn2がそれぞれ独立して整数3〜10である、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
mおよびp=2であり、BおよびBがそれぞれ独立してR11−置換−1,4−フェニルである請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1に記載の少なくとも1つの化合物を含む液晶組成物。
【請求項12】
請求項3に記載の少なくとも1つの化合物を含む請求項11に記載の液晶組成物。
【請求項13】
請求項6に記載の少なくとも1つの化合物を含む請求項11に記載の液晶組成物。
【請求項14】
少なくとも1種のキラル化合物をさらに含む請求項11に記載の液晶組成物。
【請求項15】
キラル化合物がコレステリルエステルまたはカーボネートである請求項14に記載の液晶組成物。
【請求項16】
キラル化合物が、式(X):
【化6】

[式中、RおよびRはそれぞれ、群:H、F、ClおよびCHから独立して選択され、n1およびn2はそれぞれ独立して整数3〜20であり、qおよびrは独立して整数0、1または2であり、ただしq+rは≧1であり、Dは群:
【化7】

から選択される二価のキラル基であり、BおよびBはそれぞれ、群:R11−置換−1,4−フェニル(ここで、R11はH、−CHまたは−OCHである)、2,6−ナフチル、および4,4’−ビフェニルから独立して選択される二価の基であり、式中、q+r=3であるとき、BおよびBの少なくとも1つはR−置換−1,4−フェニルであり、q+r=4であるとき、BおよびBの少なくとも2つはR−置換−1,4−フェニルである]
ならびに、式(XI):
【化8】

[式中、Rは群:H、F、Cl、およびCHから選択され、Eは群:−(CHn3−、−(CHn4O−、および−(CHCHO)n5−(ここで、n3およびn4は整数3〜20であり、そしてn5は整数1〜4である)から選択され、そしてyは整数0または1である]のコレステリルエステルおよびカーボネート
の群から選択される請求項14に記載の液晶組成物。
【請求項17】
ラジカル開始剤をさらに含む、請求項11または14に記載の液晶組成物。
【請求項18】
請求項11に記載の液晶組成物の重合から誘導されるポリマー網状構造。
【請求項19】
請求項14に記載の液晶組成物の重合から誘導されるポリマー網状構造。
【請求項20】
光学素子または多層ラミネートとして製造される請求項18または19に記載のポリマー網状構造。
【請求項21】
顔料として製造される請求項19に記載のポリマー網状構造。
【請求項22】
a)各ヒドロキシル基が有機ポリオール内の異なる炭素原子に結合している、少なくとも2つのヒドロキシル基と少なくとも2つの共有結合炭素原子とを含む1つまたはそれ以上の有機ポリオールを提供する工程、
b)上記有機ポリオールを式(V):
【化9】

(式中、XはCl、Brまたは−OHであり、Xは群:Cl、Br、I、−OMs、−OTsおよび−OTfから選択され、そしてnは3〜20の整数である)
の1つまたはそれ以上の官能化アルキル酸または酸ハロゲン化物、および第1反応溶媒と第1反応温度で反応させて1つまたはそれ以上の多官能化アリールアルカノアートエステルおよび第1スペント反応混合物を生成する工程、および
c)上記1つまたはそれ以上の多官能化アリールアルカノアートエステルを(メタ)アクリル酸塩と、相間移動触媒、および第2反応溶媒の存在下に第2反応温度で反応させて1つまたはそれ以上のポリ(メタ)アクリレート−アリールアルカノアートエステルおよび第2スペント反応混合物を生成する工程
を含む方法。
【請求項23】
工程(b)が塩基の添加をさらに含み、そして工程(c)が1つまたはそれ以上のラジカル禁止剤の添加をさらに含む請求項22に記載の方法。
【請求項24】
塩基がアミン塩基であり、そして官能化アルキル酸ハロゲン化物の約0.8〜約5当量の量で存在する請求項23に記載の方法。
【請求項25】
第2反応溶媒が約3.5未満の双極子モーメントを有する非プロトン性溶媒であり、そして(メタ)アクリル酸塩がアルカリ金属塩またはアンモニウム塩から選択される請求項22に記載の方法。
【請求項26】
d)1つまたはそれ以上の多官能化アリールアルカノアートエステルを第1スペント反応混合物から分離する工程、および
e)1つまたはそれ以上のポリ(メタ)アクリレート−アリールアルカノアートエステルを第2スペント反応混合物から分離する工程
をさらに含む請求項22に記載の方法。
【請求項27】
第2反応溶媒が第1スペント反応混合物を含む請求項22に記載の方法。
【請求項28】
工程(b)において1つまたはそれ以上の官能化アルキル酸または酸ハロゲン化物が2つまたはそれ以上の官能化アルキル酸ハロゲン化物を含み、そして該工程(b)が少なくとも3つの多官能化アリールアルカノアートエステルの混合物を生成する、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
(メタ)アクリル酸塩が(メタ)アクリル酸および炭酸水素カリウムまたは炭酸カリウムから選択されるアルカリ金属炭酸塩を、第2反応溶媒中で、それぞれ、約1:1〜約1:5のモル比で混合することによって生成され、そして該(メタ)アクリル酸塩の十分な量が多官能化アリールアルカノアートエステルの約2.0〜約10.0当量である、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
ポリオールが式(VIa〜e):
【化10】

(式中、R〜R10は群:H,C1〜C8の直鎖または分岐鎖アルキル、C1〜C8の直鎖または分岐鎖アルキルオキシ、F、Cl、フェニル、−C(O)CH、CNおよびCFから選択され、そしてXは群:−O−、−(CHC−、および−(CFC−から選択される二価の基である)
の化合物の群から選択されるジオールである請求項22に記載の方法。
【請求項31】
ポリオールが式(VIIa〜g):
【化11】

(式中、R〜R10は群:H、C1〜C8の直鎖または分岐鎖アルキル、C1〜C8の直鎖または分岐鎖アルキルオキシ、F、Cl、フェニル、−C(O)CH、CNおよびCFから選択され、そしてR11はH、−CHまたは−OCHである)
の物質の群から選択されるエステルジオールである請求項22に記載の方法。
【請求項32】
ポリオールが式(VIIIa〜e):
【化12】

(式中、R〜R10は群:H、C1〜C8の直鎖または分岐鎖アルキル、C1〜C8の直鎖または分岐鎖アルキルオキシ、F、Cl、フェニル、−C(O)CH、CNおよびCFから選択され、そしてR11はH、−CHまたは−OCHである)
の化合物の群から選択されるジエステルジオールである請求項22に記載の方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2009−532362(P2009−532362A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−503059(P2009−503059)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/008079
【国際公開番号】WO2007/120458
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】