液晶表示装置、電子機器
【課題】低温環境下であっても良好な駆動を実現する液晶表示装置を提供する。
【解決手段】1画素内に反射表示領域Rと透過表示領域Tとを備えた液晶表示装置であって、液晶層80を挟持する一対の基板と、一対の基板のうちの一方の基板の液晶層80とは反対側に配置された照明装置100と、一方の基板の液晶層80側において反射表示領域Rに設けられた反射膜70と、反射膜70と一方の基板との間に配置され、光を熱に変換する光熱変換素子40と、反射膜70と一方の基板との間に配置され、照明装置100から入射された光を光熱変換素子40に向けて集光する集光素子50と、光熱変換素子40に接続され、光熱変換素子40で発生した熱を液晶層80に伝導する熱伝導体42と、を備えることを特徴とする。
【解決手段】1画素内に反射表示領域Rと透過表示領域Tとを備えた液晶表示装置であって、液晶層80を挟持する一対の基板と、一対の基板のうちの一方の基板の液晶層80とは反対側に配置された照明装置100と、一方の基板の液晶層80側において反射表示領域Rに設けられた反射膜70と、反射膜70と一方の基板との間に配置され、光を熱に変換する光熱変換素子40と、反射膜70と一方の基板との間に配置され、照明装置100から入射された光を光熱変換素子40に向けて集光する集光素子50と、光熱変換素子40に接続され、光熱変換素子40で発生した熱を液晶層80に伝導する熱伝導体42と、を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の表示部として幅広く用いられている液晶表示装置は、有機EL装置等の自発光型の表示装置と異なり、表示用の光を必要とすることが知られている。この表示用の光としては、装置外部の照明光や自然光、装置内部の光源からの光などがある。外部光を用いる液晶表示装置は反射型と呼ばれており、内部光を用いるものは透過型と呼ばれている。反射型は、光源が不要であるため低消費電力である点で有利であり、透過型は、表示用の光を確保できるため暗所でも表示可能である点で有利である。近年、反射型と透過型とを併用した半透過半反射型の液晶表示装置が考えられており、低消費電力且つ暗所でも表示可能という双方の利点を兼ね備えた液晶表示装置として注目されている。半透過半反射型の液晶表示装置は、低消費電力である点を活かし、バッテリー駆動を行う携帯機器への応用が期待されている。
【0003】
ところで、携帯電話の様に屋外で使用する携帯機器は、使用環境が定まることが稀であり、通常は多様な環境下で使用される。そのため、携帯機器に用いられる液晶表示装置では使用環境によらず良好な表示が可能であることが求められる。
【0004】
例えば低温環境下での液晶表示装置の駆動を想定した場合、液晶材料は温度が下がると粘度が増加するため、低温環境下では増粘した液晶材料の応答速度が遅くなり、良好な表示が困難となる。この課題に対して、液晶表示装置に液晶材料の加熱機能を付加する構成が提案されている。特許文献1、2では、配置した電極に印加・通電することで抵抗発熱を生じさせ、該電極に液晶材料を温めるヒーターとしての機能を持たせることで、良好な駆動を実現する構成を提案している。
【特許文献1】特開平05−93903号公報
【特許文献2】特開2006−350227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記方法では加熱目的で通電させる必要があるため消費電力が増加する。通常、携帯機器はバッテリーに蓄えられている限られた電力を用いて機器を駆動しているため、上記方法では機器の駆動時間が短くなってしまうという難点がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、液晶材料を加熱する手段を備え、低温環境下であっても良好な駆動を実現する液晶表示装置を提供することを目的とする。また、該液晶表示装置を備え、低温環境下において良好な表示が可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の液晶表示装置は、1画素内に反射表示領域と透過表示領域とを備えた液晶表示装置であって、液晶層を挟持する一対の基板と、前記一対の基板のうちの一方の基板の前記液晶層とは反対側に配置された照明装置と、前記一方の基板の液晶層側において前記反射表示領域に設けられた反射膜と、前記反射膜と前記一方の基板との間に配置され、光を熱に変換する光熱変換素子と、前記反射膜と前記一方の基板との間に配置され、前記照明装置から入射された光を前記光熱変換素子に向けて集光する集光素子と、前記光熱変換素子に接続され、前記光熱変換素子で発生した熱を前記液晶層に伝導する熱伝導体と、を備えることを特徴とする。
通常、半透過半反射型の液晶表示装置では、照明装置(バックライト)から射出された光のうち反射表示領域に差し込む光は、表示に利用されること無く無駄になっている。本構成によれば、この無駄となっているバックライトからの光が、集光素子により光熱変換素子へ集められて熱に変換され、光熱変換素子に接続された熱伝導体により液晶層へ伝えられて液晶層を暖めるために利用される。そのため、別途電力を消費することなく液晶層を暖めることができる。更に、これら集光素子及び光熱変換素子は、反射表示領域の反射膜と一方の基板との間に配置されており、画像表示の妨げとならない。したがって、低温環境下で良好な駆動と高画質な表示が可能な液晶表示装置を実現することができる。
【0008】
本発明においては、前記光熱変換素子は、黒色であることが望ましい。
この構成によれば、光熱変換素子が光を吸収しやすいため、効率的に熱を生み出し、良好な低温駆動を実現する液晶表示装置とすることができる。
【0009】
本発明においては、前記光熱変換素子は、金属材料を含んで形成されていることが望ましい。
金属材料は一般に熱容量が小さく加熱されやすいため、効率的に熱を生み出すことができる。
【0010】
本発明においては、前記集光素子は、凹面鏡であることが望ましい。
この構成によれば、集光素子としての機能を十分に確保し、良好に光熱変換素子に光を集める集光素子とすることができる。
【0011】
本発明においては、前記集光素子は断面での形状が略半円形または略半楕円形である屈折レンズであることが望ましい。例えば凸レンズである。
この構成によれば、集光素子としての機能を十分に確保できる上に、回折レンズと比較して形成が容易であり、良好に光熱変換素子に光を集める集光素子とすることができる。ここで、本発明において「略半円形」または「略半楕円形」とは、製造誤差等を考慮した範囲で半円形または半楕円形とみなせる形状を指し、断面輪郭が半円、半楕円、放物線形状等の曲線を有している形状のことを指す。
【0012】
本発明においては、1画素内に複数のサブ画素が設けられ、前記複数のサブ画素の各々に反射表示領域と透過表示領域とが設けられると共に、前記複数のサブ画素の各々に設けられた前記反射表示領域がサブ画素の配列方向に沿って配列し、前記反射表示領域の配列方向に沿って前記光熱変換素子が延在していることが望ましい。
この構成によれば、複数のサブ画素に設けられた反射表示領域同士が各々隣接して形成されるため、複数のサブ画素にまたがって光熱変換素子や集光素子を形成することが可能となる。したがって、効率的に光を集め熱に変換して液晶層を暖めることが可能な液晶表示装置とすることができる。
【0013】
また本発明においては、前記集光素子は、延在方向に直交する断面での形状が略半円形または略半楕円形である半円筒状の凹面鏡であることがより望ましい。
この構成によれば、集光素子が平面視で帯状または矩形であるため、平面視円形の集光素子よりも、反射表示領域に差し込むバックライトの光を漏れなく集める集光素子とすることが容易である。また、サブ画素ごとにパターニングして形成する必要がないため、容易に集光素子を形成することができる。したがって、液晶層を効率的に暖めることが可能な液晶表示装置とすることができる。
【0014】
本発明においては、集光素子は前記反射表示領域の配列方向に沿って延在する略半円形または略半楕円形を有する半円筒状の屈折レンズであることが望ましい。
この構成によれば、集光素子が平面視で帯状または矩形であるため、平面視円形の集光素子よりも、反射表示領域に差し込むバックライトの光を漏れなく集める集光素子とすることが容易である。また、サブ画素ごとにパターニングして形成する必要がないため、容易に集光素子を形成することができる。したがって、液晶層を効率的に暖めることが可能な液晶表示装置とすることができる。
【0015】
本発明においては、前記液晶表示装置は、前記一方の基板に前記複数のサブ画素を駆動させる複数の駆動素子を備え、前記駆動素子は、前記集光素子と平面的に重ならない領域に配置されることが望ましい。
この構成によれば、集光素子に差し込むバックライトからの光が駆動素子に遮られることなく、効率的に光熱変換素子に光を集め、液晶層を暖めることが出来る。
【0016】
本発明の電子機器は、上述の液晶表示装置を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、低温環境下でも良好な表示が可能な表示部を備えた電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、図1〜図7を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置1について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の膜厚や寸法の比率などは適宜異ならせてある。
【0018】
図1は、本実施形態の液晶表示装置1の回路構成図である。液晶表示装置1にはサブ画素200がマトリックス状に多数配置されており、それぞれのサブ画素200には、画素電極9と駆動素子30とが形成されている。駆動素子30は、サブ画素200の駆動を制御するスイッチング素子である。駆動素子30のソースには、データ線駆動回路101から延びるデータ線6aが電気的に接続されており、駆動素子30のドレインには画素電極9が電気的に接続されている。データ線駆動回路101は、データ線6aを介して画像信号S1、S2、…、Snを各サブ画素200に供給する。
【0019】
駆動素子30のゲートには、走査線駆動回路102から延びる走査線3aが電気的に接続されている。走査線駆動回路102から所定のタイミングで走査線3aに供給される走査信号G1、G2、…、Gmは、この順に線順次で駆動素子30のゲートに印加されるようになっている。駆動素子30のゲートに走査信号G1〜Gmが印加されると、駆動素子30のゲートとソースの間が一定期間オンとなり、データ線6aから供給される画像信号S1〜Snが、所定のタイミングで画素電極9に入力されるようになっている。
【0020】
画素電極9は、図示略の共通電極と対向しており、画素電極9と共通電極との間には容量が形成される。また、サブ画素200には、走査線3aに平行して設けられた容量線3bが接続されるとともに、駆動素子30のドレインと画素電極9との間には保持容量110が設けられている。前記容量と保持容量110は並列接続となっており、画素電極9に書き込まれた所定レベルの画像信号S1〜Snは、前記容量と保持容量110とに一定期間保持される。保持容量110が併設されていることにより、前記容量に保持された画像信号がリークしないようになっている。
【0021】
図2は、第1実施形態の液晶表示装置1の概略構成図である。図2(a)には液晶表示装置1の主要な構成であるサブ画素200での断面図を示し、図2(b)には液晶表示装置1の備える第1基板20Aの要部を模式的に示す概略平面図を示し、図2(c)には第1基板20の要部を模式的に示す分解斜視図を示す。図2(a)は、図2(b)の線分A−Aを結ぶ矢視断面図に相当する断面図である。
【0022】
図2(a)に示すように、液晶表示装置1は、基板本体10を基体としてなる第1基板(一方の基板)20Aと第2基板(基板)20Bとの間に液晶層80を挟持して構成されている。第1基板20Aの端部と第2基板20Bの端部とは、シール材(図示略)によって貼り合わせられており、液晶層80は、これらの基板間に封止されている。また、第1基板20Aの液晶層80と反対側の面に対向して照明装置(バックライト)100が配置されている。
【0023】
また、液晶表示装置1は、バックライト100からの光を液晶層80で変調し表示を行う透過表示領域Tと、第2基板20B側から装置内に差し込む外光を液晶層80で変調し表示を行う反射表示領域Rとを備えた、半透過半反射型の表示方式を採用している。反射表示領域Rに平面的に重なる第1基板20Aには、反射散乱膜70が配置され、反射散乱膜70と基板本体10との間には、本発明の特徴部分である光熱変換素子40と集光素子50とが配置されている。以下の説明においては、第1基板20Aの配置している側を下側、第2基板20Bの配置している側を上側として、各構成の上下関係、積層関係を示すこととする。以下、各構成要素について順に説明する。
【0024】
液晶表示装置1が備える基板本体10は、透明性を備える基板を用いることができ、例えばガラス、石英ガラス、窒化ケイ素等の無機物や、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機高分子(樹脂)が使用可能である。また、光透過性を備えるならば、前記材料を積層または混合して形成された複合材料を用いることもできる。本実施形態では、基板本体10の材料としてガラスを用いる。
【0025】
基板本体10の上には素子層20が形成されている。素子層20は、液晶表示装置1を駆動させるための駆動素子30や、前述した走査線3a、容量線3bおよびデータ線6a等の各種配線、更には層状に積層される無機物または有機物の絶縁膜などを備えている。駆動素子30や各種配線はフォトリソグラフィによりパターニングした後エッチングすることにより、また、絶縁膜は蒸着法やスパッタ法など通常知られた方法により適宜形成することができる。基板本体10と素子層20は基板20Lを構成している。
【0026】
基板20Lの上の反射表示領域Rと平面的に重なる領域には、光熱変換素子40が形成されている。光熱変換素子40の形成材料は、可視光を吸収する物質であれば特に限定は無く、樹脂材料、金属材料共に用いることができる。これらの材料が同一の材料で構成されていても良く、積層または混合して形成されていても良い。
【0027】
光熱変換素子40の形成材料は、着色していると可視光を吸収しやすいため好ましく、光の吸収効率の面から黒色に着色していることが好ましい。樹脂材料であれば、基材となる樹脂に顔料系または染料系の着色材料を加えて所望の色に着色し、形成材料として用いることができる。顔料系の着色材料には金属微粒子のような無機顔料、カーボンブラックのような有機顔料のいずれも使用可能である。例えば、エポキシ樹脂やアクリル樹脂に黒色顔料としてカーボンブラックを添加し、プレート状に成形して用いることが好ましい。鉄、マンガン、クロム等の黒色の金属材料であれば、熱容量(比熱)が小さく加熱されやすいため好ましい。本実施形態では、カーボンブラックを添加したアクリル樹脂を用いて形成する。
【0028】
光熱変換素子40には熱伝導体42が接続されている。熱伝導体42の形成材料としては、光熱変換素子40で発生する熱を伝えることが出来ればよく、熱を効率的に伝導するために熱伝導率が高いものが好ましい。このような材料としては、例えば、クロム等の金属や、インバー(36Ni−Fe)、42Ni−Fe等のニッケル−鉄合金、AZ91D等のマグネシウム合金やアルミニウム合金等の合金、或いはCoolPoly D2(商品名)のような熱伝導性樹脂を挙げることができる。また、配線材料であるITOであっても構わない。本実施形態では、クロムを用いる。
【0029】
光熱変換素子40の上には、光熱変換素子40および熱伝導体42の一部と重なって、集光素子50が形成されている。本実施形態の集光素子50は平面視略円形の凹面鏡であり、断面形状は略半楕円形状となっている。集光素子50は、エポキシ樹脂やアクリル樹脂等の感光性樹脂を用い、公知のフォトリソグラフィ技術により平面視略円形の透明な凸レンズを形成した後に、マスクを介して蒸着法やスパッタ法によりレンズ表面に選択的にアルミニウムや銀等の光反射性の金属膜を形成することで得られる。
【0030】
集光素子50を覆って全面に、絶縁層60が形成されている。絶縁層60は透過表示領域Tと重なる部分が薄く、反射表示領域Rと重なる部分が厚いマルチギャップ構造となっている。このマルチギャップ構造が備える厚みの差(段差)を利用して、反射表示領域Rに重なる液晶層80の厚みを、透過表示領域Tに重なる液晶層80の厚みの半分程度に設定し、液晶層80を透過する光の光路差を補正することができる。絶縁層60は、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂等の絶縁性樹脂を用い、公知のフォトリソグラフィ技術によりパターニングすることで形成することができる。
【0031】
反射表示領域Rの絶縁層60表面は凹凸形状に加工されており、その上に反射膜70が形成されている。反射膜70は、アルミニウムや銀等の光反射性の金属膜や、屈折率の異なる誘電体膜(SiO2とTiO2等)を積層した誘電体積層膜(誘電体ミラー)を備えて構成されている。反射膜70は、絶縁層60表面の凹凸形状に沿って形成されるため、全体として反射光を散乱させる機能を有しており反射散乱膜となっている。そのため、液晶表示装置1の反射表示の視認性を向上させることができる。本実施形態ではアルミニウムの膜とする。
【0032】
絶縁層60および反射膜70の表面には、透過表示領域Tと反射表示領域Rとに重なる画素電極90が形成されている。画素電極90はITO等の透明導電材料で形成されている。また、反射膜70、絶縁層60及び素子層20の一部を貫通して駆動素子30に達するコンタクトホール62が形成されており、画素電極90と駆動素子30とが電気的に接続されている。
【0033】
その他、第1基板20Aおよび第2基板20Bは、不図示の配向膜や偏光板を備えている。また、第2基板20Bの液晶層80と対向しない面にはカラーフィルタを備えてカラー表示が可能としてもよい。更には、透過表示領域Tの画像と反射表示領域Rの画像との位相差を補償するための位相差層を備えることとしても良い。
【0034】
続いて、図2(b)には第1基板20Aの要部を模式的に示す概略平面図を示す。ここでは図示を簡単にするために、絶縁層60を省略して示している。図に示すように、基板20L上に形成される光熱変換素子40は、平面視略矩形の形状を備えている。光熱変換素子40の形状はこれに限定されず、集光素子50の焦点位置に配置されていれば任意に設定できるが、集光素子50の成形誤差による収差を考慮した平面視面積を備えることが望ましい。また、バックライト100から集光素子50へ差し込む光が、光熱変換素子40にて完全に遮られないように、集光素子50の平面視形状を考慮し、集光素子50の平面視形状よりも小さく寸法を設計すると良い。
【0035】
熱伝導体42は帯状に形成されている。熱伝導体42は、光熱変換素子40と接続されサブ画素200の長軸方向に延在する熱伝導体42aと、熱伝導体42aと接続されサブ画素200の短軸方向に延在する熱伝導体42bと、熱伝導体42bと並行に形成されサブ画素200の短軸方向に延在する熱伝導体42cと、熱伝導体42bと熱伝導体42cとを接続する熱伝導体42dと、で構成されている。熱伝導体42bは、図示略の絶縁層60と平面的に重なる領域に形成されている。また、熱伝導体42b,c,dは平面視で梯子状の形状を有しており、これらで囲む領域は、平面視略矩形または平面視略正方形をしている。また、隣接するサブ画素間の反射表示領域R同士はサブ画素の配列方向に沿って配列しており、熱伝導体42b,dは、複数のサブ画素にまたがって配置している。なお熱伝導体42b,dは、一方または両方がサブ画素毎に独立して配置されていても良い。
【0036】
集光素子50は、駆動素子30と平面的に重ならない領域に配置されている。そのため、バックライト100から集光素子50に差し込む光を駆動素子30が遮ることなく、集光素子50の機能を十分に発揮することが可能となっている。
【0037】
画素電極90は、熱伝導体42cおよび熱伝導体42dと平面的に重ならないように、透過表示領域Tおよび反射表示領域Rの両方に延在して形成されている。
【0038】
続いて、図2(c)には第1基板20Aの要部を模式的に示す分解斜視図を示す。基板20L上に形成された光熱変換素子40、熱伝導体42、集光素子50を覆って、絶縁層60が形成されている。絶縁層60は反射表示領域Rが透過表示領域Tよりも厚い段差構造を備えたマルチギャップ構造となっている。隣接するサブ画素間の反射表示領域R同士はサブ画素の配列方向に沿って配列しているため、絶縁層60の段差部分もサブ画素配列方向に沿って形成されている。反射表示領域Rに重なる絶縁層60の内部には光熱変換素子40、集光素子50が埋設されており、絶縁層60の表面には反射表示領域Rと透過表示領域Tにまたがって延在し、絶縁層60の段差部分で屈曲する画素電極90が配置されている。
【0039】
続いて、本実施形態の液晶表示装置1の備える特徴的な機能について説明する。バックライト100から射出された光のうちの反射表示領域Rに差し込む光は、一部が集光素子50に入射する。集光素子50の内部では、入射した光を集光素子50の焦点位置に向けて反射し集光する。焦点位置には、光を吸収し熱に変換する光熱変換素子40が配置されており、集光されるバックライトからの光を熱に変換する。生み出される熱は、光熱変換素子40に接続されている熱伝導体42を伝わり、透過表示領域Tに平面的に重なる絶縁層60を介して液晶層80を暖める。このように、本実施形態の液晶表示装置1は、バックライト100の光を用いて液晶層80を暖めることができる。
【0040】
次いで、図3から図7を用いて、液晶表示装置1の製造方法を説明する。それぞれの図では、(a)が図2(a)に相当する断面図、(b)が図2(b)に相当する平面図を示している。
【0041】
まず、図3(a)に示すように、基板本体10上に駆動素子30を含む各素子を備えた素子層20を形成し基板20Lとする。次いで、基板20L上に、光熱変換素子40と熱伝導体42を形成する。光熱変換素子40はフォトリソグラフィ技術により、また熱伝導体42は、熱伝導体42の形成材料の薄膜を作成した後にパターニングしてエッチングするなど、いずれも従来公知の方法を用いて形成することができる。本実施形態では、熱伝導体42を形成した後に、熱伝導体42の端部に一部重なるように光熱変換素子40を形成し、両者が確実に接続されるようにした。図3(b)に示すように、熱伝導体42b,c,dは、平面視で梯子状の形状となり、光熱変換素子40と熱伝導体42aで接続している。
【0042】
次いで、図4(a)に示すように、光熱変換素子40が焦点位置に配置されるように且つ駆動素子30と平面的に重ならない位置に集光素子50を形成する。集光素子50は、まずエポキシ樹脂やアクリル樹脂等の感光性樹脂を用いて、公知のフォトリソグラフィ技術により平面視略円形の透明な凸レンズを形成した後、マスクを介して蒸着法やスパッタ法によりレンズ表面に選択的に金属膜を形成することで得られる。表面に形成する金属膜は、アルミニウムや銀等の光反射性の金属膜が好ましい。図4(b)に示すように、集光素子50は、光熱変換素子40と熱伝導体42aの一部に平面的に重なって形成される。
【0043】
次いで、図5(a)に示すように、光熱変換素子40、熱伝導体42および集光素子50を覆って全面に絶縁層60を形成する。絶縁層60は、前述のようにエポキシ樹脂やアクリル樹脂等の絶縁性樹脂を用い、公知のフォトリソグラフィ技術によりパターニングすることで、透過表示領域Tよりも反射表示領域Rに重なる絶縁層60の方が厚いマルチギャップ構造とする。集光素子50は、反射表示領域Rに重なる絶縁層60の内部に埋設される。また、図5(b)に示すように、熱伝導体42bおよび熱伝導体42dの一部も反射表示領域Rに重なる絶縁層60の下に埋設される。
【0044】
次いで、図6(a)に示すように、反射表示領域Rに重なる絶縁層60の上面に反射膜70を形成する。反射膜70は、反射表示領域Rに重なる絶縁層60の上面にエッチングを施し凹凸形状を形成した後、マスクを介してスパッタや蒸着等の方法により形成する。エッチングによりコンタクトホール62を形成した後、ITOをマスク蒸着し画素電極90を形成する。図6(b)に示すように、反射表示領域Rに重なる絶縁層60に埋設される熱伝導体や集光素子は、反射膜70の下に配置されるため、液晶層側からは見えなくなる。
【0045】
次いで、図7に示すように、第1基板20Aの端部と第2基板20Bの端部とを、図示略のシール材によって貼り合わせ、これらの基板間に液晶層80を封止する。第1基板20Aと第2基板20Bとの離間距離(ギャップ)を調節することにより、反射表示領域Rに重なる液晶層80の厚みを、透過表示領域Tに重なる液晶層80の厚みのほぼ半分として形成する。液晶層80の封入後、付帯装置であるバックライト100や、図示略のカラーフィルタ等を配置する。以上のようにして、本実施形態の液晶表示装置1を製造する。
【0046】
以上のような構成の液晶表示装置1によれば、バックライト100の光を利用することで、別途電力を消費することなく液晶層80を暖めることができる。したがって、低消費電力で低温環境下での良好な駆動と高画質な表示が可能な液晶表示装置1を実現することができる。
【0047】
また、本実施形態では、光熱変換素子40は黒色顔料であるカーボンブラックを含むアクリル樹脂で形成されることとしている。そのため、光熱変換素子40が光を吸収しやすく、効率的に熱を生み出し、良好に低温駆動を実現する液晶表示装置1とすることができる。
【0048】
また、本実施形態では、集光素子50はバックライト側から見て凹面鏡であることとしている。形成しやすい上、集光素子50としての機能を十分に確保し、良好に光熱変換素子40に光を集める集光素子50とすることができる。
【0049】
また、本実施形態では、駆動素子30が集光素子50と平面的に重ならない領域に配置されている。そのため、駆動素子30が集光素子50に差し込むバックライト100の光を遮ることなく効率的に集光し、液晶層80を暖めることが出来る。
【0050】
なお、本実施形態においては、光熱変換素子40および集光素子50はサブ画素200に各々1つ配置することとしたが、複数配置しても構わない。その場合には、それぞれの光熱変換素子に一端を接続する熱伝導体42aを形成し、他端を熱伝導体42bに接続することが望ましい。
【0051】
なお、本実施形態においては、反射膜70を形成する保護層60の表面が凹凸形状であることとしたが、平坦であったとしても構わない。
その場合は、形成して出来上がる平坦な反射膜70の表面にエッチング等の方法にて凹凸状とすることが望ましい。
【0052】
また、本実施形態においては、熱伝導体42はクロムで形成することとし、画素電極90が熱伝導体42b,c,dに平面的に重ならないこととしたが、熱伝導体の形成材料に透光性を備えたITOを用いた場合には、画素電極90と平面的に重なることとしても構わない。
【0053】
[第2実施形態]
図8は、本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置2の説明図である。本実施形態の液晶表示装置2は、第1実施形態の液晶表示装置1と一部共通している。異なるのは、集光素子50が平面視略円形の凹面鏡ではなく、延在方向に直交する断面の形状が略半円形または略楕円形の半円筒状の凹面鏡であることである。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0054】
図8(a)には、液晶表示装置2の概略断面図を示し、図8(b)には第1基板20Aの平面図を示し、図8(c)には第1基板20Aの分解斜視図を示す。これらは図2の各図にそれぞれ対応する図である。
【0055】
図8(a)に示すように、液晶表示装置2が備える集光素子50は断面の形状が略半楕円形を備えており、反射表示領域Rと重なる絶縁層60に埋設されている。集光素子50の焦点位置には光熱変換素子40が配置されている。
【0056】
図8(b)に示すように、光熱変換素子40は反射表示領域Rに沿って帯状に形成されており、光熱変換素子40に重なって集光素子50が平面視で帯状に形成されている。光熱変換素子40は帯状の集光素子50の中央部で重なっている。
【0057】
光熱変換素子40には複数の熱伝導体42aの一端が接続され、熱伝導体42aの他端は光熱変換素子40に並行して形成されている光熱変換素子42bに接続されている。熱伝導体42は画素電極90と平面的に重ならないサブ画素間の領域に配置されている。
【0058】
図8(c)に示すように、集光素子50は半円筒の形状を備えた凹面鏡であり、焦点位置には帯状の光熱変換素子40が配置されている。集光素子50は、公知のフォトリソグラフィ技術により半円筒状の透明なシリンドリカルレンズを形成した後に、マスクを介して蒸着法やスパッタ法によりレンズ表面に選択的にアルミニウムや銀等の光反射性の金属膜を形成することで得られる。
【0059】
このような構成の液晶表示装置2によれば、複数のサブ画素に設けられた反射表示領域R同士が各々隣接して形成されており、複数のサブ画素にまたがって光熱変換素子40や集光素子50を形成することが可能となる。そして、集光素子50が平面視で帯状または矩形であるため、平面視円形の集光素子を用いた場合よりも、反射表示領域Rに差し込むバックライト100の光を漏れなく集める集光素子50を形成することが容易である。また、光熱変換素子40および集光素子50をサブ画素ごとにパターニングして形成する必要がないため、容易にこれらの素子を形成することができる。したがって、光熱変換素子40で効率的に熱を生成し、液晶層80を暖めることが可能な液晶表示装置とすることができる。
【0060】
なお、本実施形態においては、光熱変換素子40および集光素子50を複数のサブ画素にまたがって形成することとしたが、これらの光熱変換素子40および集光素子50を各々のサブ画素毎に形成することとしても構わない。
【0061】
[第3実施形態]
図9は、本発明の第3実施形態に係る液晶表示装置3の説明図である。本実施形態の液晶表示装置3は、第1実施形態の液晶表示装置1と一部共通している。主な相違点は、集光素子50が平面視略円形の凹面鏡ではなく、液晶層の側に対して凸レンズであることである。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0062】
図9(a)には、液晶表示装置3の概略断面図を示し、図9(b)には第1基板20Aの分解斜視図を示す。図9(a)は図2(a)に、図9(b)は図2(c)にそれぞれ対応する図である。
【0063】
図9(a)に示すように、基板20L上であって反射表示領域Rに平面的に重なる領域に、集光素子50が形成されている。集光素子50は屈折レンズであり、平面視略円形の凸レンズであって断面形状は略半楕円形状となっている。集光素子50は、エポキシ樹脂やアクリル樹脂等の感光性樹脂を用い、公知のフォトリソグラフィ技術により形成することができる。
【0064】
更に、基板20L上の反射表示領域Rに平面的に重なる領域には、集光素子50を覆って絶縁層60Aが形成されている。絶縁層60Aは、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂等の絶縁性樹脂のうち、集光素子50の形成材料よりも相対的に屈折率の低い材料を用い、公知のフォトリソグラフィ技術によりパターニングすることで形成することができる。ここで集光素子50の形成材料よりも相対的に屈折率の高い材料を用いると、両者の屈折率の関係から、集光素子50が凹レンズとして機能してしまうため、想定する集光機能を果たさない。
【0065】
絶縁層60Aの上には、集光素子50の焦点位置に光熱変換素子40が形成されており、更に、光熱変換素子40と絶縁層60Aを覆って基板20Lの上面全面に絶縁層60Bが形成されている。絶縁層60Aと絶縁層60Bとが積層して、透過表示領域Tと重なる部分が薄く、反射表示領域Rと重なる部分が厚いマルチギャップ構造となっている。
【0066】
図9(b)に示すように、光熱変換素子40に接続する熱伝導体42aは、絶縁層60Aの延在方向に沿って帯状に形成されている熱伝導体42bと接続されている。また、透過表示領域Tには熱伝導体42bと並行して熱伝導体42cが形成されており、熱伝導体42bと42cとはマルチギャップ構造の段差部分で屈曲する熱伝導体42dで接続されている。
【0067】
このような構成の液晶表示装置3によれば、集光素子50が屈折レンズの凸レンズである。そのため、集光素子50としての機能を十分に確保できる上に、回折レンズと比較して形成が容易であり、良好に光熱変換素子40に光を集める集光素子50とし、低温環境下で良好な駆動ができる液晶表示装置とすることができる。
【0068】
なお、本実施形態においては、凸レンズを用いたがフレネルレンズを用いることとしてもよい。また、回折レンズを形成して集光素子として利用することも可能である。
【0069】
[第4実施形態]
図10は、本発明の第4実施形態に係る液晶表示装置4の説明図である。本実施形態の液晶表示装置4は、第3実施形態の液晶表示装置3と一部共通している。主な相違点は、集光素子50が凸レンズではなく、シリンドリカルレンズであることである。したがって、本実施形態において第3実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、図10の各図は、図9の各図にそれぞれ対応する図である。
【0070】
図10(a)に示すように、液晶表示装置4が備える集光素子50は断面の形状が略楕円形を備えており、反射表示領域Rと重なる絶縁層60Aに埋設されている。集光素子50の焦点位置には光熱変換素子40が配置されている。
【0071】
図10(b)に示すように、集光素子50は半円筒の形状を備えたシリンドリカルレンズであり、焦点位置には帯状の光熱変換素子40が配置されている。
【0072】
このような構成の液晶表示装置4によれば、平面視円形の凸レンズを用いた場合よりも、反射表示領域Rに差し込むバックライト100の光を漏れなく集める集光素子50を形成することが容易である。また、光熱変換素子40および集光素子50をサブ画素ごとにパターニングして形成する必要がないため、容易にこれらの素子を形成することができる。したがって、光熱変換素子40で効率的に熱を生成し、液晶層80を暖めることが可能な液晶表示装置とすることができる。
【0073】
[第5実施形態]
図11は、本発明の第5実施形態に係る液晶表示装置5の説明図である。本実施形態の液晶表示装置5は、第1実施形態の液晶表示装置1と一部共通している。異なるのは、透過表示領域Tに絶縁層60が配置されず、透過表示領域Tでは熱伝導体42と画素電極90が同一の層上に設けられていることである。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。また、ここでは第1実施形態の液晶表示装置1に類似の集光素子を備えた液晶表示装置5を説明するが、第2実施形態から第4実施形態で説明した他の形態の集光素子を備えた液晶表示装置であっても同様の形態を取ることが可能である。なお、図11の各図は、図9の各図にそれぞれ対応する図である。
【0074】
図11(a)に示すように、液晶表示装置5の透過表示領域Tには絶縁層60が形成されておらず、反射表示領域Rにのみ形成されている。そのため、透過表示領域Tにおいては画素電極90と熱伝導体42とが、同じく基板20L上に形成されている。
【0075】
図11(b)に示すように、透過表示領域Tに重なる画素電極90は、周辺端部が熱伝導体42c,dと重ならないように形成されている。
【0076】
このような構成の液晶表示装置5によれば、透過表示領域Tにおいて液晶層80と熱伝導体42とを隔てる絶縁層60が無いため、熱伝導体42から液晶層80への熱の伝達が容易となり効率的に液晶層80を暖めることができる。
【0077】
[電子機器]
次に、本発明の電子機器の実施形態について説明する。図12は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。図12に示す携帯電話1300は、本発明の液晶表示装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。これにより、本発明の液晶表示装置により構成された、低温環境下での表示に優れる表示部を具備した携帯電話1300を提供することができる。
【0078】
上記各実施の形態の液晶表示装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、プロジェクタ、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、テレビジョン受像機、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、かかる構成とすることで、低温環境下において良好な表示が可能な液晶表示部を備えた電子機器を提供できる。
【0079】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置1の回路構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置1の概略構成図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置1の製造工程図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置1の製造工程図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置1の製造工程図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置1の製造工程図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置1の製造工程図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置2の概略構成図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る液晶表示装置3の概略構成図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る液晶表示装置4の概略構成図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係る液晶表示装置5の概略構成図である。
【図12】本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0081】
1〜5…液晶表示装置、20A…第1基板(基板)、20B…第2基板(基板)、30…駆動素子、40…光熱変換素子、42、42a〜42d…熱伝導体、50…集光素子、70…反射膜、80…液晶層、100…照明装置、200…サブ画素、1300…電子機器、R…反射表示領域、T…透過表示領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器の表示部として幅広く用いられている液晶表示装置は、有機EL装置等の自発光型の表示装置と異なり、表示用の光を必要とすることが知られている。この表示用の光としては、装置外部の照明光や自然光、装置内部の光源からの光などがある。外部光を用いる液晶表示装置は反射型と呼ばれており、内部光を用いるものは透過型と呼ばれている。反射型は、光源が不要であるため低消費電力である点で有利であり、透過型は、表示用の光を確保できるため暗所でも表示可能である点で有利である。近年、反射型と透過型とを併用した半透過半反射型の液晶表示装置が考えられており、低消費電力且つ暗所でも表示可能という双方の利点を兼ね備えた液晶表示装置として注目されている。半透過半反射型の液晶表示装置は、低消費電力である点を活かし、バッテリー駆動を行う携帯機器への応用が期待されている。
【0003】
ところで、携帯電話の様に屋外で使用する携帯機器は、使用環境が定まることが稀であり、通常は多様な環境下で使用される。そのため、携帯機器に用いられる液晶表示装置では使用環境によらず良好な表示が可能であることが求められる。
【0004】
例えば低温環境下での液晶表示装置の駆動を想定した場合、液晶材料は温度が下がると粘度が増加するため、低温環境下では増粘した液晶材料の応答速度が遅くなり、良好な表示が困難となる。この課題に対して、液晶表示装置に液晶材料の加熱機能を付加する構成が提案されている。特許文献1、2では、配置した電極に印加・通電することで抵抗発熱を生じさせ、該電極に液晶材料を温めるヒーターとしての機能を持たせることで、良好な駆動を実現する構成を提案している。
【特許文献1】特開平05−93903号公報
【特許文献2】特開2006−350227号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記方法では加熱目的で通電させる必要があるため消費電力が増加する。通常、携帯機器はバッテリーに蓄えられている限られた電力を用いて機器を駆動しているため、上記方法では機器の駆動時間が短くなってしまうという難点がある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、液晶材料を加熱する手段を備え、低温環境下であっても良好な駆動を実現する液晶表示装置を提供することを目的とする。また、該液晶表示装置を備え、低温環境下において良好な表示が可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の液晶表示装置は、1画素内に反射表示領域と透過表示領域とを備えた液晶表示装置であって、液晶層を挟持する一対の基板と、前記一対の基板のうちの一方の基板の前記液晶層とは反対側に配置された照明装置と、前記一方の基板の液晶層側において前記反射表示領域に設けられた反射膜と、前記反射膜と前記一方の基板との間に配置され、光を熱に変換する光熱変換素子と、前記反射膜と前記一方の基板との間に配置され、前記照明装置から入射された光を前記光熱変換素子に向けて集光する集光素子と、前記光熱変換素子に接続され、前記光熱変換素子で発生した熱を前記液晶層に伝導する熱伝導体と、を備えることを特徴とする。
通常、半透過半反射型の液晶表示装置では、照明装置(バックライト)から射出された光のうち反射表示領域に差し込む光は、表示に利用されること無く無駄になっている。本構成によれば、この無駄となっているバックライトからの光が、集光素子により光熱変換素子へ集められて熱に変換され、光熱変換素子に接続された熱伝導体により液晶層へ伝えられて液晶層を暖めるために利用される。そのため、別途電力を消費することなく液晶層を暖めることができる。更に、これら集光素子及び光熱変換素子は、反射表示領域の反射膜と一方の基板との間に配置されており、画像表示の妨げとならない。したがって、低温環境下で良好な駆動と高画質な表示が可能な液晶表示装置を実現することができる。
【0008】
本発明においては、前記光熱変換素子は、黒色であることが望ましい。
この構成によれば、光熱変換素子が光を吸収しやすいため、効率的に熱を生み出し、良好な低温駆動を実現する液晶表示装置とすることができる。
【0009】
本発明においては、前記光熱変換素子は、金属材料を含んで形成されていることが望ましい。
金属材料は一般に熱容量が小さく加熱されやすいため、効率的に熱を生み出すことができる。
【0010】
本発明においては、前記集光素子は、凹面鏡であることが望ましい。
この構成によれば、集光素子としての機能を十分に確保し、良好に光熱変換素子に光を集める集光素子とすることができる。
【0011】
本発明においては、前記集光素子は断面での形状が略半円形または略半楕円形である屈折レンズであることが望ましい。例えば凸レンズである。
この構成によれば、集光素子としての機能を十分に確保できる上に、回折レンズと比較して形成が容易であり、良好に光熱変換素子に光を集める集光素子とすることができる。ここで、本発明において「略半円形」または「略半楕円形」とは、製造誤差等を考慮した範囲で半円形または半楕円形とみなせる形状を指し、断面輪郭が半円、半楕円、放物線形状等の曲線を有している形状のことを指す。
【0012】
本発明においては、1画素内に複数のサブ画素が設けられ、前記複数のサブ画素の各々に反射表示領域と透過表示領域とが設けられると共に、前記複数のサブ画素の各々に設けられた前記反射表示領域がサブ画素の配列方向に沿って配列し、前記反射表示領域の配列方向に沿って前記光熱変換素子が延在していることが望ましい。
この構成によれば、複数のサブ画素に設けられた反射表示領域同士が各々隣接して形成されるため、複数のサブ画素にまたがって光熱変換素子や集光素子を形成することが可能となる。したがって、効率的に光を集め熱に変換して液晶層を暖めることが可能な液晶表示装置とすることができる。
【0013】
また本発明においては、前記集光素子は、延在方向に直交する断面での形状が略半円形または略半楕円形である半円筒状の凹面鏡であることがより望ましい。
この構成によれば、集光素子が平面視で帯状または矩形であるため、平面視円形の集光素子よりも、反射表示領域に差し込むバックライトの光を漏れなく集める集光素子とすることが容易である。また、サブ画素ごとにパターニングして形成する必要がないため、容易に集光素子を形成することができる。したがって、液晶層を効率的に暖めることが可能な液晶表示装置とすることができる。
【0014】
本発明においては、集光素子は前記反射表示領域の配列方向に沿って延在する略半円形または略半楕円形を有する半円筒状の屈折レンズであることが望ましい。
この構成によれば、集光素子が平面視で帯状または矩形であるため、平面視円形の集光素子よりも、反射表示領域に差し込むバックライトの光を漏れなく集める集光素子とすることが容易である。また、サブ画素ごとにパターニングして形成する必要がないため、容易に集光素子を形成することができる。したがって、液晶層を効率的に暖めることが可能な液晶表示装置とすることができる。
【0015】
本発明においては、前記液晶表示装置は、前記一方の基板に前記複数のサブ画素を駆動させる複数の駆動素子を備え、前記駆動素子は、前記集光素子と平面的に重ならない領域に配置されることが望ましい。
この構成によれば、集光素子に差し込むバックライトからの光が駆動素子に遮られることなく、効率的に光熱変換素子に光を集め、液晶層を暖めることが出来る。
【0016】
本発明の電子機器は、上述の液晶表示装置を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、低温環境下でも良好な表示が可能な表示部を備えた電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、図1〜図7を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置1について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の膜厚や寸法の比率などは適宜異ならせてある。
【0018】
図1は、本実施形態の液晶表示装置1の回路構成図である。液晶表示装置1にはサブ画素200がマトリックス状に多数配置されており、それぞれのサブ画素200には、画素電極9と駆動素子30とが形成されている。駆動素子30は、サブ画素200の駆動を制御するスイッチング素子である。駆動素子30のソースには、データ線駆動回路101から延びるデータ線6aが電気的に接続されており、駆動素子30のドレインには画素電極9が電気的に接続されている。データ線駆動回路101は、データ線6aを介して画像信号S1、S2、…、Snを各サブ画素200に供給する。
【0019】
駆動素子30のゲートには、走査線駆動回路102から延びる走査線3aが電気的に接続されている。走査線駆動回路102から所定のタイミングで走査線3aに供給される走査信号G1、G2、…、Gmは、この順に線順次で駆動素子30のゲートに印加されるようになっている。駆動素子30のゲートに走査信号G1〜Gmが印加されると、駆動素子30のゲートとソースの間が一定期間オンとなり、データ線6aから供給される画像信号S1〜Snが、所定のタイミングで画素電極9に入力されるようになっている。
【0020】
画素電極9は、図示略の共通電極と対向しており、画素電極9と共通電極との間には容量が形成される。また、サブ画素200には、走査線3aに平行して設けられた容量線3bが接続されるとともに、駆動素子30のドレインと画素電極9との間には保持容量110が設けられている。前記容量と保持容量110は並列接続となっており、画素電極9に書き込まれた所定レベルの画像信号S1〜Snは、前記容量と保持容量110とに一定期間保持される。保持容量110が併設されていることにより、前記容量に保持された画像信号がリークしないようになっている。
【0021】
図2は、第1実施形態の液晶表示装置1の概略構成図である。図2(a)には液晶表示装置1の主要な構成であるサブ画素200での断面図を示し、図2(b)には液晶表示装置1の備える第1基板20Aの要部を模式的に示す概略平面図を示し、図2(c)には第1基板20の要部を模式的に示す分解斜視図を示す。図2(a)は、図2(b)の線分A−Aを結ぶ矢視断面図に相当する断面図である。
【0022】
図2(a)に示すように、液晶表示装置1は、基板本体10を基体としてなる第1基板(一方の基板)20Aと第2基板(基板)20Bとの間に液晶層80を挟持して構成されている。第1基板20Aの端部と第2基板20Bの端部とは、シール材(図示略)によって貼り合わせられており、液晶層80は、これらの基板間に封止されている。また、第1基板20Aの液晶層80と反対側の面に対向して照明装置(バックライト)100が配置されている。
【0023】
また、液晶表示装置1は、バックライト100からの光を液晶層80で変調し表示を行う透過表示領域Tと、第2基板20B側から装置内に差し込む外光を液晶層80で変調し表示を行う反射表示領域Rとを備えた、半透過半反射型の表示方式を採用している。反射表示領域Rに平面的に重なる第1基板20Aには、反射散乱膜70が配置され、反射散乱膜70と基板本体10との間には、本発明の特徴部分である光熱変換素子40と集光素子50とが配置されている。以下の説明においては、第1基板20Aの配置している側を下側、第2基板20Bの配置している側を上側として、各構成の上下関係、積層関係を示すこととする。以下、各構成要素について順に説明する。
【0024】
液晶表示装置1が備える基板本体10は、透明性を備える基板を用いることができ、例えばガラス、石英ガラス、窒化ケイ素等の無機物や、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機高分子(樹脂)が使用可能である。また、光透過性を備えるならば、前記材料を積層または混合して形成された複合材料を用いることもできる。本実施形態では、基板本体10の材料としてガラスを用いる。
【0025】
基板本体10の上には素子層20が形成されている。素子層20は、液晶表示装置1を駆動させるための駆動素子30や、前述した走査線3a、容量線3bおよびデータ線6a等の各種配線、更には層状に積層される無機物または有機物の絶縁膜などを備えている。駆動素子30や各種配線はフォトリソグラフィによりパターニングした後エッチングすることにより、また、絶縁膜は蒸着法やスパッタ法など通常知られた方法により適宜形成することができる。基板本体10と素子層20は基板20Lを構成している。
【0026】
基板20Lの上の反射表示領域Rと平面的に重なる領域には、光熱変換素子40が形成されている。光熱変換素子40の形成材料は、可視光を吸収する物質であれば特に限定は無く、樹脂材料、金属材料共に用いることができる。これらの材料が同一の材料で構成されていても良く、積層または混合して形成されていても良い。
【0027】
光熱変換素子40の形成材料は、着色していると可視光を吸収しやすいため好ましく、光の吸収効率の面から黒色に着色していることが好ましい。樹脂材料であれば、基材となる樹脂に顔料系または染料系の着色材料を加えて所望の色に着色し、形成材料として用いることができる。顔料系の着色材料には金属微粒子のような無機顔料、カーボンブラックのような有機顔料のいずれも使用可能である。例えば、エポキシ樹脂やアクリル樹脂に黒色顔料としてカーボンブラックを添加し、プレート状に成形して用いることが好ましい。鉄、マンガン、クロム等の黒色の金属材料であれば、熱容量(比熱)が小さく加熱されやすいため好ましい。本実施形態では、カーボンブラックを添加したアクリル樹脂を用いて形成する。
【0028】
光熱変換素子40には熱伝導体42が接続されている。熱伝導体42の形成材料としては、光熱変換素子40で発生する熱を伝えることが出来ればよく、熱を効率的に伝導するために熱伝導率が高いものが好ましい。このような材料としては、例えば、クロム等の金属や、インバー(36Ni−Fe)、42Ni−Fe等のニッケル−鉄合金、AZ91D等のマグネシウム合金やアルミニウム合金等の合金、或いはCoolPoly D2(商品名)のような熱伝導性樹脂を挙げることができる。また、配線材料であるITOであっても構わない。本実施形態では、クロムを用いる。
【0029】
光熱変換素子40の上には、光熱変換素子40および熱伝導体42の一部と重なって、集光素子50が形成されている。本実施形態の集光素子50は平面視略円形の凹面鏡であり、断面形状は略半楕円形状となっている。集光素子50は、エポキシ樹脂やアクリル樹脂等の感光性樹脂を用い、公知のフォトリソグラフィ技術により平面視略円形の透明な凸レンズを形成した後に、マスクを介して蒸着法やスパッタ法によりレンズ表面に選択的にアルミニウムや銀等の光反射性の金属膜を形成することで得られる。
【0030】
集光素子50を覆って全面に、絶縁層60が形成されている。絶縁層60は透過表示領域Tと重なる部分が薄く、反射表示領域Rと重なる部分が厚いマルチギャップ構造となっている。このマルチギャップ構造が備える厚みの差(段差)を利用して、反射表示領域Rに重なる液晶層80の厚みを、透過表示領域Tに重なる液晶層80の厚みの半分程度に設定し、液晶層80を透過する光の光路差を補正することができる。絶縁層60は、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂等の絶縁性樹脂を用い、公知のフォトリソグラフィ技術によりパターニングすることで形成することができる。
【0031】
反射表示領域Rの絶縁層60表面は凹凸形状に加工されており、その上に反射膜70が形成されている。反射膜70は、アルミニウムや銀等の光反射性の金属膜や、屈折率の異なる誘電体膜(SiO2とTiO2等)を積層した誘電体積層膜(誘電体ミラー)を備えて構成されている。反射膜70は、絶縁層60表面の凹凸形状に沿って形成されるため、全体として反射光を散乱させる機能を有しており反射散乱膜となっている。そのため、液晶表示装置1の反射表示の視認性を向上させることができる。本実施形態ではアルミニウムの膜とする。
【0032】
絶縁層60および反射膜70の表面には、透過表示領域Tと反射表示領域Rとに重なる画素電極90が形成されている。画素電極90はITO等の透明導電材料で形成されている。また、反射膜70、絶縁層60及び素子層20の一部を貫通して駆動素子30に達するコンタクトホール62が形成されており、画素電極90と駆動素子30とが電気的に接続されている。
【0033】
その他、第1基板20Aおよび第2基板20Bは、不図示の配向膜や偏光板を備えている。また、第2基板20Bの液晶層80と対向しない面にはカラーフィルタを備えてカラー表示が可能としてもよい。更には、透過表示領域Tの画像と反射表示領域Rの画像との位相差を補償するための位相差層を備えることとしても良い。
【0034】
続いて、図2(b)には第1基板20Aの要部を模式的に示す概略平面図を示す。ここでは図示を簡単にするために、絶縁層60を省略して示している。図に示すように、基板20L上に形成される光熱変換素子40は、平面視略矩形の形状を備えている。光熱変換素子40の形状はこれに限定されず、集光素子50の焦点位置に配置されていれば任意に設定できるが、集光素子50の成形誤差による収差を考慮した平面視面積を備えることが望ましい。また、バックライト100から集光素子50へ差し込む光が、光熱変換素子40にて完全に遮られないように、集光素子50の平面視形状を考慮し、集光素子50の平面視形状よりも小さく寸法を設計すると良い。
【0035】
熱伝導体42は帯状に形成されている。熱伝導体42は、光熱変換素子40と接続されサブ画素200の長軸方向に延在する熱伝導体42aと、熱伝導体42aと接続されサブ画素200の短軸方向に延在する熱伝導体42bと、熱伝導体42bと並行に形成されサブ画素200の短軸方向に延在する熱伝導体42cと、熱伝導体42bと熱伝導体42cとを接続する熱伝導体42dと、で構成されている。熱伝導体42bは、図示略の絶縁層60と平面的に重なる領域に形成されている。また、熱伝導体42b,c,dは平面視で梯子状の形状を有しており、これらで囲む領域は、平面視略矩形または平面視略正方形をしている。また、隣接するサブ画素間の反射表示領域R同士はサブ画素の配列方向に沿って配列しており、熱伝導体42b,dは、複数のサブ画素にまたがって配置している。なお熱伝導体42b,dは、一方または両方がサブ画素毎に独立して配置されていても良い。
【0036】
集光素子50は、駆動素子30と平面的に重ならない領域に配置されている。そのため、バックライト100から集光素子50に差し込む光を駆動素子30が遮ることなく、集光素子50の機能を十分に発揮することが可能となっている。
【0037】
画素電極90は、熱伝導体42cおよび熱伝導体42dと平面的に重ならないように、透過表示領域Tおよび反射表示領域Rの両方に延在して形成されている。
【0038】
続いて、図2(c)には第1基板20Aの要部を模式的に示す分解斜視図を示す。基板20L上に形成された光熱変換素子40、熱伝導体42、集光素子50を覆って、絶縁層60が形成されている。絶縁層60は反射表示領域Rが透過表示領域Tよりも厚い段差構造を備えたマルチギャップ構造となっている。隣接するサブ画素間の反射表示領域R同士はサブ画素の配列方向に沿って配列しているため、絶縁層60の段差部分もサブ画素配列方向に沿って形成されている。反射表示領域Rに重なる絶縁層60の内部には光熱変換素子40、集光素子50が埋設されており、絶縁層60の表面には反射表示領域Rと透過表示領域Tにまたがって延在し、絶縁層60の段差部分で屈曲する画素電極90が配置されている。
【0039】
続いて、本実施形態の液晶表示装置1の備える特徴的な機能について説明する。バックライト100から射出された光のうちの反射表示領域Rに差し込む光は、一部が集光素子50に入射する。集光素子50の内部では、入射した光を集光素子50の焦点位置に向けて反射し集光する。焦点位置には、光を吸収し熱に変換する光熱変換素子40が配置されており、集光されるバックライトからの光を熱に変換する。生み出される熱は、光熱変換素子40に接続されている熱伝導体42を伝わり、透過表示領域Tに平面的に重なる絶縁層60を介して液晶層80を暖める。このように、本実施形態の液晶表示装置1は、バックライト100の光を用いて液晶層80を暖めることができる。
【0040】
次いで、図3から図7を用いて、液晶表示装置1の製造方法を説明する。それぞれの図では、(a)が図2(a)に相当する断面図、(b)が図2(b)に相当する平面図を示している。
【0041】
まず、図3(a)に示すように、基板本体10上に駆動素子30を含む各素子を備えた素子層20を形成し基板20Lとする。次いで、基板20L上に、光熱変換素子40と熱伝導体42を形成する。光熱変換素子40はフォトリソグラフィ技術により、また熱伝導体42は、熱伝導体42の形成材料の薄膜を作成した後にパターニングしてエッチングするなど、いずれも従来公知の方法を用いて形成することができる。本実施形態では、熱伝導体42を形成した後に、熱伝導体42の端部に一部重なるように光熱変換素子40を形成し、両者が確実に接続されるようにした。図3(b)に示すように、熱伝導体42b,c,dは、平面視で梯子状の形状となり、光熱変換素子40と熱伝導体42aで接続している。
【0042】
次いで、図4(a)に示すように、光熱変換素子40が焦点位置に配置されるように且つ駆動素子30と平面的に重ならない位置に集光素子50を形成する。集光素子50は、まずエポキシ樹脂やアクリル樹脂等の感光性樹脂を用いて、公知のフォトリソグラフィ技術により平面視略円形の透明な凸レンズを形成した後、マスクを介して蒸着法やスパッタ法によりレンズ表面に選択的に金属膜を形成することで得られる。表面に形成する金属膜は、アルミニウムや銀等の光反射性の金属膜が好ましい。図4(b)に示すように、集光素子50は、光熱変換素子40と熱伝導体42aの一部に平面的に重なって形成される。
【0043】
次いで、図5(a)に示すように、光熱変換素子40、熱伝導体42および集光素子50を覆って全面に絶縁層60を形成する。絶縁層60は、前述のようにエポキシ樹脂やアクリル樹脂等の絶縁性樹脂を用い、公知のフォトリソグラフィ技術によりパターニングすることで、透過表示領域Tよりも反射表示領域Rに重なる絶縁層60の方が厚いマルチギャップ構造とする。集光素子50は、反射表示領域Rに重なる絶縁層60の内部に埋設される。また、図5(b)に示すように、熱伝導体42bおよび熱伝導体42dの一部も反射表示領域Rに重なる絶縁層60の下に埋設される。
【0044】
次いで、図6(a)に示すように、反射表示領域Rに重なる絶縁層60の上面に反射膜70を形成する。反射膜70は、反射表示領域Rに重なる絶縁層60の上面にエッチングを施し凹凸形状を形成した後、マスクを介してスパッタや蒸着等の方法により形成する。エッチングによりコンタクトホール62を形成した後、ITOをマスク蒸着し画素電極90を形成する。図6(b)に示すように、反射表示領域Rに重なる絶縁層60に埋設される熱伝導体や集光素子は、反射膜70の下に配置されるため、液晶層側からは見えなくなる。
【0045】
次いで、図7に示すように、第1基板20Aの端部と第2基板20Bの端部とを、図示略のシール材によって貼り合わせ、これらの基板間に液晶層80を封止する。第1基板20Aと第2基板20Bとの離間距離(ギャップ)を調節することにより、反射表示領域Rに重なる液晶層80の厚みを、透過表示領域Tに重なる液晶層80の厚みのほぼ半分として形成する。液晶層80の封入後、付帯装置であるバックライト100や、図示略のカラーフィルタ等を配置する。以上のようにして、本実施形態の液晶表示装置1を製造する。
【0046】
以上のような構成の液晶表示装置1によれば、バックライト100の光を利用することで、別途電力を消費することなく液晶層80を暖めることができる。したがって、低消費電力で低温環境下での良好な駆動と高画質な表示が可能な液晶表示装置1を実現することができる。
【0047】
また、本実施形態では、光熱変換素子40は黒色顔料であるカーボンブラックを含むアクリル樹脂で形成されることとしている。そのため、光熱変換素子40が光を吸収しやすく、効率的に熱を生み出し、良好に低温駆動を実現する液晶表示装置1とすることができる。
【0048】
また、本実施形態では、集光素子50はバックライト側から見て凹面鏡であることとしている。形成しやすい上、集光素子50としての機能を十分に確保し、良好に光熱変換素子40に光を集める集光素子50とすることができる。
【0049】
また、本実施形態では、駆動素子30が集光素子50と平面的に重ならない領域に配置されている。そのため、駆動素子30が集光素子50に差し込むバックライト100の光を遮ることなく効率的に集光し、液晶層80を暖めることが出来る。
【0050】
なお、本実施形態においては、光熱変換素子40および集光素子50はサブ画素200に各々1つ配置することとしたが、複数配置しても構わない。その場合には、それぞれの光熱変換素子に一端を接続する熱伝導体42aを形成し、他端を熱伝導体42bに接続することが望ましい。
【0051】
なお、本実施形態においては、反射膜70を形成する保護層60の表面が凹凸形状であることとしたが、平坦であったとしても構わない。
その場合は、形成して出来上がる平坦な反射膜70の表面にエッチング等の方法にて凹凸状とすることが望ましい。
【0052】
また、本実施形態においては、熱伝導体42はクロムで形成することとし、画素電極90が熱伝導体42b,c,dに平面的に重ならないこととしたが、熱伝導体の形成材料に透光性を備えたITOを用いた場合には、画素電極90と平面的に重なることとしても構わない。
【0053】
[第2実施形態]
図8は、本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置2の説明図である。本実施形態の液晶表示装置2は、第1実施形態の液晶表示装置1と一部共通している。異なるのは、集光素子50が平面視略円形の凹面鏡ではなく、延在方向に直交する断面の形状が略半円形または略楕円形の半円筒状の凹面鏡であることである。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0054】
図8(a)には、液晶表示装置2の概略断面図を示し、図8(b)には第1基板20Aの平面図を示し、図8(c)には第1基板20Aの分解斜視図を示す。これらは図2の各図にそれぞれ対応する図である。
【0055】
図8(a)に示すように、液晶表示装置2が備える集光素子50は断面の形状が略半楕円形を備えており、反射表示領域Rと重なる絶縁層60に埋設されている。集光素子50の焦点位置には光熱変換素子40が配置されている。
【0056】
図8(b)に示すように、光熱変換素子40は反射表示領域Rに沿って帯状に形成されており、光熱変換素子40に重なって集光素子50が平面視で帯状に形成されている。光熱変換素子40は帯状の集光素子50の中央部で重なっている。
【0057】
光熱変換素子40には複数の熱伝導体42aの一端が接続され、熱伝導体42aの他端は光熱変換素子40に並行して形成されている光熱変換素子42bに接続されている。熱伝導体42は画素電極90と平面的に重ならないサブ画素間の領域に配置されている。
【0058】
図8(c)に示すように、集光素子50は半円筒の形状を備えた凹面鏡であり、焦点位置には帯状の光熱変換素子40が配置されている。集光素子50は、公知のフォトリソグラフィ技術により半円筒状の透明なシリンドリカルレンズを形成した後に、マスクを介して蒸着法やスパッタ法によりレンズ表面に選択的にアルミニウムや銀等の光反射性の金属膜を形成することで得られる。
【0059】
このような構成の液晶表示装置2によれば、複数のサブ画素に設けられた反射表示領域R同士が各々隣接して形成されており、複数のサブ画素にまたがって光熱変換素子40や集光素子50を形成することが可能となる。そして、集光素子50が平面視で帯状または矩形であるため、平面視円形の集光素子を用いた場合よりも、反射表示領域Rに差し込むバックライト100の光を漏れなく集める集光素子50を形成することが容易である。また、光熱変換素子40および集光素子50をサブ画素ごとにパターニングして形成する必要がないため、容易にこれらの素子を形成することができる。したがって、光熱変換素子40で効率的に熱を生成し、液晶層80を暖めることが可能な液晶表示装置とすることができる。
【0060】
なお、本実施形態においては、光熱変換素子40および集光素子50を複数のサブ画素にまたがって形成することとしたが、これらの光熱変換素子40および集光素子50を各々のサブ画素毎に形成することとしても構わない。
【0061】
[第3実施形態]
図9は、本発明の第3実施形態に係る液晶表示装置3の説明図である。本実施形態の液晶表示装置3は、第1実施形態の液晶表示装置1と一部共通している。主な相違点は、集光素子50が平面視略円形の凹面鏡ではなく、液晶層の側に対して凸レンズであることである。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0062】
図9(a)には、液晶表示装置3の概略断面図を示し、図9(b)には第1基板20Aの分解斜視図を示す。図9(a)は図2(a)に、図9(b)は図2(c)にそれぞれ対応する図である。
【0063】
図9(a)に示すように、基板20L上であって反射表示領域Rに平面的に重なる領域に、集光素子50が形成されている。集光素子50は屈折レンズであり、平面視略円形の凸レンズであって断面形状は略半楕円形状となっている。集光素子50は、エポキシ樹脂やアクリル樹脂等の感光性樹脂を用い、公知のフォトリソグラフィ技術により形成することができる。
【0064】
更に、基板20L上の反射表示領域Rに平面的に重なる領域には、集光素子50を覆って絶縁層60Aが形成されている。絶縁層60Aは、例えばエポキシ樹脂やアクリル樹脂等の絶縁性樹脂のうち、集光素子50の形成材料よりも相対的に屈折率の低い材料を用い、公知のフォトリソグラフィ技術によりパターニングすることで形成することができる。ここで集光素子50の形成材料よりも相対的に屈折率の高い材料を用いると、両者の屈折率の関係から、集光素子50が凹レンズとして機能してしまうため、想定する集光機能を果たさない。
【0065】
絶縁層60Aの上には、集光素子50の焦点位置に光熱変換素子40が形成されており、更に、光熱変換素子40と絶縁層60Aを覆って基板20Lの上面全面に絶縁層60Bが形成されている。絶縁層60Aと絶縁層60Bとが積層して、透過表示領域Tと重なる部分が薄く、反射表示領域Rと重なる部分が厚いマルチギャップ構造となっている。
【0066】
図9(b)に示すように、光熱変換素子40に接続する熱伝導体42aは、絶縁層60Aの延在方向に沿って帯状に形成されている熱伝導体42bと接続されている。また、透過表示領域Tには熱伝導体42bと並行して熱伝導体42cが形成されており、熱伝導体42bと42cとはマルチギャップ構造の段差部分で屈曲する熱伝導体42dで接続されている。
【0067】
このような構成の液晶表示装置3によれば、集光素子50が屈折レンズの凸レンズである。そのため、集光素子50としての機能を十分に確保できる上に、回折レンズと比較して形成が容易であり、良好に光熱変換素子40に光を集める集光素子50とし、低温環境下で良好な駆動ができる液晶表示装置とすることができる。
【0068】
なお、本実施形態においては、凸レンズを用いたがフレネルレンズを用いることとしてもよい。また、回折レンズを形成して集光素子として利用することも可能である。
【0069】
[第4実施形態]
図10は、本発明の第4実施形態に係る液晶表示装置4の説明図である。本実施形態の液晶表示装置4は、第3実施形態の液晶表示装置3と一部共通している。主な相違点は、集光素子50が凸レンズではなく、シリンドリカルレンズであることである。したがって、本実施形態において第3実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、図10の各図は、図9の各図にそれぞれ対応する図である。
【0070】
図10(a)に示すように、液晶表示装置4が備える集光素子50は断面の形状が略楕円形を備えており、反射表示領域Rと重なる絶縁層60Aに埋設されている。集光素子50の焦点位置には光熱変換素子40が配置されている。
【0071】
図10(b)に示すように、集光素子50は半円筒の形状を備えたシリンドリカルレンズであり、焦点位置には帯状の光熱変換素子40が配置されている。
【0072】
このような構成の液晶表示装置4によれば、平面視円形の凸レンズを用いた場合よりも、反射表示領域Rに差し込むバックライト100の光を漏れなく集める集光素子50を形成することが容易である。また、光熱変換素子40および集光素子50をサブ画素ごとにパターニングして形成する必要がないため、容易にこれらの素子を形成することができる。したがって、光熱変換素子40で効率的に熱を生成し、液晶層80を暖めることが可能な液晶表示装置とすることができる。
【0073】
[第5実施形態]
図11は、本発明の第5実施形態に係る液晶表示装置5の説明図である。本実施形態の液晶表示装置5は、第1実施形態の液晶表示装置1と一部共通している。異なるのは、透過表示領域Tに絶縁層60が配置されず、透過表示領域Tでは熱伝導体42と画素電極90が同一の層上に設けられていることである。したがって、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。また、ここでは第1実施形態の液晶表示装置1に類似の集光素子を備えた液晶表示装置5を説明するが、第2実施形態から第4実施形態で説明した他の形態の集光素子を備えた液晶表示装置であっても同様の形態を取ることが可能である。なお、図11の各図は、図9の各図にそれぞれ対応する図である。
【0074】
図11(a)に示すように、液晶表示装置5の透過表示領域Tには絶縁層60が形成されておらず、反射表示領域Rにのみ形成されている。そのため、透過表示領域Tにおいては画素電極90と熱伝導体42とが、同じく基板20L上に形成されている。
【0075】
図11(b)に示すように、透過表示領域Tに重なる画素電極90は、周辺端部が熱伝導体42c,dと重ならないように形成されている。
【0076】
このような構成の液晶表示装置5によれば、透過表示領域Tにおいて液晶層80と熱伝導体42とを隔てる絶縁層60が無いため、熱伝導体42から液晶層80への熱の伝達が容易となり効率的に液晶層80を暖めることができる。
【0077】
[電子機器]
次に、本発明の電子機器の実施形態について説明する。図12は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。図12に示す携帯電話1300は、本発明の液晶表示装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。これにより、本発明の液晶表示装置により構成された、低温環境下での表示に優れる表示部を具備した携帯電話1300を提供することができる。
【0078】
上記各実施の形態の液晶表示装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、プロジェクタ、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、テレビジョン受像機、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、かかる構成とすることで、低温環境下において良好な表示が可能な液晶表示部を備えた電子機器を提供できる。
【0079】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置1の回路構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置1の概略構成図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置1の製造工程図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置1の製造工程図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置1の製造工程図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置1の製造工程図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置1の製造工程図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置2の概略構成図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る液晶表示装置3の概略構成図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る液晶表示装置4の概略構成図である。
【図11】本発明の第5実施形態に係る液晶表示装置5の概略構成図である。
【図12】本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0081】
1〜5…液晶表示装置、20A…第1基板(基板)、20B…第2基板(基板)、30…駆動素子、40…光熱変換素子、42、42a〜42d…熱伝導体、50…集光素子、70…反射膜、80…液晶層、100…照明装置、200…サブ画素、1300…電子機器、R…反射表示領域、T…透過表示領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1画素内に反射表示領域と透過表示領域とを備えた液晶表示装置であって、
液晶層を挟持する一対の基板と、
前記一対の基板のうちの一方の基板の前記液晶層とは反対側に配置された照明装置と、
前記一方の基板の液晶層側において前記反射表示領域に設けられた反射膜と、
前記反射膜と前記一方の基板との間に配置され、光を熱に変換する光熱変換素子と、
前記反射膜と前記一方の基板との間に配置され、前記照明装置から入射された光を前記光熱変換素子に向けて集光する集光素子と、
前記光熱変換素子に接続され、前記光熱変換素子で発生した熱を前記液晶層に伝導する熱伝導体と、を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記光熱変換素子は、黒色であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記光熱変換素子は、金属材料を含んで形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記集光素子は、凹面鏡であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記集光素子は、断面での形状が略半円形または略半楕円形である屈折レンズであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液晶表示装置
【請求項6】
1画素内に複数のサブ画素が設けられ、前記複数のサブ画素の各々に反射表示領域と透過表示領域とが設けられると共に、前記複数のサブ画素の各々に設けられた前記反射表示領域がサブ画素の配列方向に沿って配列し、前記反射表示領域の配列方向に沿って前記光熱変換素子が延在していることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記集光素子は、前記反射表示領域の配列方向に沿って延在する略半円形または略半楕円形を有する半円筒状の凹面鏡であることを特徴とする請求項6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記集光素子は、前記反射表示領域の配列方向に沿って延在する略半円形または略半楕円形を有する半円筒状の屈折レンズであることを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記液晶表示装置は、前記一方の基板に前記複数のサブ画素を駆動させる複数の駆動素子を備え、
前記駆動素子は、前記集光素子と平面的に重ならない領域に配置されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の液晶表示装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
1画素内に反射表示領域と透過表示領域とを備えた液晶表示装置であって、
液晶層を挟持する一対の基板と、
前記一対の基板のうちの一方の基板の前記液晶層とは反対側に配置された照明装置と、
前記一方の基板の液晶層側において前記反射表示領域に設けられた反射膜と、
前記反射膜と前記一方の基板との間に配置され、光を熱に変換する光熱変換素子と、
前記反射膜と前記一方の基板との間に配置され、前記照明装置から入射された光を前記光熱変換素子に向けて集光する集光素子と、
前記光熱変換素子に接続され、前記光熱変換素子で発生した熱を前記液晶層に伝導する熱伝導体と、を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記光熱変換素子は、黒色であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記光熱変換素子は、金属材料を含んで形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記集光素子は、凹面鏡であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記集光素子は、断面での形状が略半円形または略半楕円形である屈折レンズであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液晶表示装置
【請求項6】
1画素内に複数のサブ画素が設けられ、前記複数のサブ画素の各々に反射表示領域と透過表示領域とが設けられると共に、前記複数のサブ画素の各々に設けられた前記反射表示領域がサブ画素の配列方向に沿って配列し、前記反射表示領域の配列方向に沿って前記光熱変換素子が延在していることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記集光素子は、前記反射表示領域の配列方向に沿って延在する略半円形または略半楕円形を有する半円筒状の凹面鏡であることを特徴とする請求項6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記集光素子は、前記反射表示領域の配列方向に沿って延在する略半円形または略半楕円形を有する半円筒状の屈折レンズであることを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記液晶表示装置は、前記一方の基板に前記複数のサブ画素を駆動させる複数の駆動素子を備え、
前記駆動素子は、前記集光素子と平面的に重ならない領域に配置されることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の液晶表示装置を備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−139696(P2009−139696A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316884(P2007−316884)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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