説明

液晶表示装置および発光制御装置

【課題】 安定して光源の制御を行い、画質の劣化を回避することのできる液晶表示装置および発光制御装置を提供する。
【解決手段】 液晶パネルに光を照射する光源の発光量を決定する光源制御値を設定する制御値設定手段202と、前記制御値設定手段202で設定した前記光源制御値の時間変化を緩和する時間変化緩和手段203と、前記時間変化緩和手段203で時間変化を緩和した前記光源制御値により、前記光源の発光量を制御する発光制御手段110とを備え、前記時間変化緩和手段203による前記光源制御値の時間変化の緩和率は、前記光源制御値の増加時の方が前記光源制御値の減少時よりも低いことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置および発光制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、テレビ、パーソナルコンピュータ、携帯電話機などでは画像表示手段として液晶表示装置が用いられている。液晶表示装置では液晶パネル自体が発光しないため、液晶パネルの背面側にバックライトを配置し、当該バックライトを液晶パネルの背面側から照射することで画像を表示させる。
【0003】
これらの液晶表示装置の中ではバックライトを構成する各光源に対応させて表示画面を複数の領域に分割し、当該領域(画面領域)ごとに各光源を制御するエリア制御を行う液晶表示装置が知られている。
【0004】
このエリア制御では、各画面領域で表示信号を適宜補正することにより、液晶パネルに照射される光の透過率を制御する。そして、補正可能な範囲の発光量を確保できるように、光源の発光量を決定する光源制御値を定めて各光源の発光量を抑制するため、消費電力を削減できる。
【0005】
例えば特許文献1には、バックライトユニットが液晶表示パネルと対向する面にて独自に輝度を調整できる複数のサブユニットに分割されているとともに、液晶表示部は各サブユニットに対向する面毎の画素ブロックに区分けされ、各画素ブロック内の各画素に入力される表示データのうち最大輝度を示すデータを算出する第1の手段と、第1の手段により求められる最高輝度に対応させて当該画素ブロックの各画素に入力される表示データの輝度値を増大させる第2の手段と、第1の手段により求められる最大輝度に対応させて当該画素ブロックに対向するサブユニットの輝度を低減させる第3の手段を備える液晶表示装置が開示されている。
【特許文献1】特開2004−191490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示す液晶表示装置では各ブロックの最高輝度値から光源制御値を決定するが、ノイズ等が含まれる当該最高輝度値における時間変動の影響を受けて光源制御値が不安定になり易い。
【0007】
ここで、ローパスフィルタを導入してノイズ等が含まれる当該最高輝度値における時間変動を抑制して光源制御値を安定させる方法が考えられる。しかし、一般的なローパスフィルタでは制御値を安定化できる反面で時間変動への追従性が鈍化し、補正可能な範囲の発光量を確保できずに表示画像の画質が劣化する可能性がある。
【0008】
そこで、本発明は安定して光源の制御を行い、画質の劣化を回避することのできる液晶表示装置および発光制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明は、液晶パネルに光を照射する光源の発光量を決定する光源制御値を設定する制御値設定手段と、前記制御値設定手段で設定した前記光源制御値の時間変化を緩和する時間変化緩和手段と、前記時間変化緩和手段で時間変化を緩和した前記光源制御値により、前記光源の発光量を制御する発光制御手段とを備え、前記時間変化緩和手段による前記光源制御値の時間変化の緩和率は、前記光源制御値の増加時の方が前記光源制御値の減少時よりも低いことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、画像を表示する液晶パネルと、前記液晶パネルに、光源を用いて光を照射するバックライトと、前記光源の発光量を決定する光源制御値を設定する第1の制御、及び前記第1の制御で設定した前記光源制御値の時間変化を緩和する第2の制御を行う制御部とを備え、前記バックライトは、前記第2の制御で時間変化を緩和した前記光源制御値により、前記光源の発光量を制御し、前記制御部の第2の制御における前記光源制御値の時間変化の緩和率は、前記光源制御値の増加時の方が前記光源制御値の減少時よりも低いことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、光源の発光量を決定する光源制御値を発光装置に出力し、前記光源の発光量を制御する発光制御装置であって、前記光源制御値を設定する制御値設定手段と、前記制御値設定手段で設定した前記光源制御値の時間変化を緩和し、当該時間変化が緩和した光源制御値を前記発光制御装置に出力する時間変化緩和手段とを備え、前記時間変化緩和手段による前記光源制御値の時間変化の緩和率は、前記光源制御値の増加時の方が前記光源制御値の減少時よりも低いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、安定して光源の制御を行い、画質の劣化を回避することのできる液晶表示装置および発光制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について説明する。まず、図1乃至図3を参照して本発明の実施の形態に係る液晶表示装置100の構成について説明する。図1は、本実施例に係る液晶表示装置100の構成を示す分解斜視図である。図2は、本実施例の光源領域および光源の構成を示す斜視図である。図3は、発光部と液晶パネルとをそれぞれの光源領域と画面領域との対応関係を明示して示す斜視図である。
【0014】
液晶表示装置100は例えば液晶テレビ等に用いられ、図1に示す通り、バックライト110と、液晶パネル111とを有している。
バックライト110は、発光部101と、発光部101の前面に配置されたプリズムシート103を挟む一対の拡散板102,104とを有している。拡散板102,104は例えば半透明なプラスチック光学部品であり、光を散乱・拡散させて表示面全体を均一な明るさにする。
【0015】
発光部101は、例えば複数の光源領域109がP行Q列の縦横規則的に配置されたマトリクス構造を有している。尚、図1では5行8列の光源領域109を備えた発光部101を一例として示している。
【0016】
図2に示すように、光源領域109は隔壁124によって四方を囲まれている。また、各光源領域109には、RGB三原色の3個のLED121,122,123からなる光源108が配置されている。光源108は、赤色LED121、緑色LED122及び青色のLED123によって構成され、赤緑青の3色を混ぜながら液晶パネル111に向けて光を出射する。各光源領域109からの出射光によって液晶パネル111の背面側が照射され、出射光の液晶パネル111の透過を調製して画像が表示される。
【0017】
液晶表示装置100は、各光源領域109に配置されている複数の光源108によってバックライト110が全面発光し、液晶パネル111に背面から光を照射する直下型方式になっている。
【0018】
液晶パネル111は一対の偏光板105,107と、偏光板105,107の間に挟まれた液晶106とを有している。尚、偏光板105,107は自然光を直線偏光に変える機能を有する。偏光板105および偏光板107を互いに並行配置した場合、入射光を全て透過して白色の画像を表現することができる。また、一方の偏光板を90度回転させて配置した場合、入射光を全て遮断して黒色の画像を表現することができる。
【0019】
ここで、液晶106は電圧を加えると液晶内の分子の方向が変化する特性を有する。よって、液晶表示装置100では偏光板の配置を変化させなくても、電圧の印加による液晶内分子の方向制御を行うことで光の透過率を制御できる。
【0020】
また、本実施例では図3に示すように、液晶パネル111は各光源領域109に対応した画面領域112を有す。複数の光源領域109がP行Q列に配置されたマトリクス構造である場合、画面領域112は当該光源領域109に対応するようにP行Q列の其々の領域に区分される。
【0021】
液晶表示装置100では、バックライト110を構成する各光源と表示画面とを対応させて複数の領域に分割し、表示画面の領域ごとに各光源を制御するエリア制御が可能となる。
【0022】
次に、図4を参照してバックライト制御部200の構成について説明する。図4は、バックライト制御部200の構成をバックライト110および液晶パネル111とともに示すブロック図である。バックライト制御部200はバックライト110、液晶パネル111および後述する表示値補正部204とともに液晶表示装置100に備えられている。
【0023】
バックライト制御部200は特徴量抽出部201と、初期制御値設定部202と、ローパスフィルタ203とを備える。これらの各部の詳しい機能については以下に述べる動作内容で説明する。
【0024】
尚、表示値補正部204は、液晶パネル111における画像表示に用いられる画像表示信号g1をローパスフィルタ203からの光源制御値にしたがい補正して液晶パネル111に出力する。
【0025】
バックライト制御部200では、液晶パネル111に画像を表示させるための画像表示信号g1を入力し、画像表示信号g1に応じて光源制御値を決めてバックライト110の発光を制御する。
【0026】
特徴量抽出部201は、入力された画像表示信号g1にしたがい、例えば各画面領域112内で最も明るく発光する画素を抽出し、その抽出した画素の輝度に応じた発光を行うための制御値(以下、最大表示値と称する)S[p,q]を設定する。設定された最大表示値S[p,q]は初期制御値設定部202に出力される。尚、ここでは表示を行うための制御値を画面領域112内で最も明るく発光する箇所の表示値である最大表示値と設定したが、画面領域112内の平均表示値に基づいて設定しても良いものとする。
【0027】
ここで、pは画面領域112及び光源領域109の行数を示し、1からPの間の正の整数に設定される。qは画面領域112及び光源領域109の列数を示し、1からQの間の正の整数に設定される。尚、Pは行数の最大値、Qは列数の最大値である。
【0028】
初期制御値設定部202は、特徴量抽出部201で抽出した最大表示値S[p,q]を用いて、制御対象である光源領域109の初期制御値L[p,q]を設定する。尚、初期制御値L[p,q]は光源108をどの程度発光させるかを示すもので、0以上1以下の値を示す。
【0029】
ローパスフィルタ203は、例えばFIRフィルタ(Finite Impulse Response Filter)やIIRフィルタ(Infinite Impulse Response Filter)等から構成される時間方向のデジタルフィルタであり、初期制御値設定部202で設定した初期制御値L[p,q]に含まれるノイズ等の時間変動を抑制して初期制御値L[p,q]を安定化させ、光源制御値A[p,q]を生成する。また、ローパスフィルタ203は、生成した光源制御値A[p,q]をバックライト110および表示値補正部204に出力する。
【0030】
以上のようにして、各光源領域109について安定した光源制御値を求めることにより、バックライト110の発光を制御することができる。
また、本実施例のローパスフィルタ203は光源制御値を安定化させると共に、光源制御値の時間変動における追従性を維持するため、例えば図5に示すように上昇の時定数が下降の時定数と比べて小さいという特性を備えている。本実施例において時定数とは、対象としている系の周波数応答の速さを表す値であり、一定の入力信号の振幅が1/eにまで減衰する時間を示す。尚、eは自然対数の底である。
【0031】
また、本実施例において上昇の時定数とは、時間変動の抑制対象である初期制御値L[p,q]の値が増加する方向に変動した場合におけるローパスフィルタの時定数であり、下降の時定数とは、初期制御値L[p,q]の値が減少する方向に変動した場合におけるローパスフィルタの時定数である。以下、図5乃至図7を参照しながら本実施例のローパスフィルタの特性について説明する。
【0032】
図5は、各制御値における時間変動の一例を示した図である。図5(a)は、初期制御値設定部202で設定した初期制御値L[p,q]の時間変動を示し、図5(b)は、初期制御値L[p,q]を上昇・下降の時定数が同一のローパスフィルタに通して生成した光源制御値A′[p,q]の時間変動を示し、図5(c)は、初期制御値L[p,q]を本実施例のローパスフィルタ203に通して生成した光源制御値A[p,q]時間変動を示す。尚、ここでは縦軸が制御値の大きさを示し、横軸が変動の時刻を示す。
【0033】
特徴量抽出部201で抽出した最大表示値S[p,q]から設定する初期制御値L[p,q]は、例えば1つの表示フレーム間隔は120分の1ヘルツまたは60分の1ヘルツ等の単位で区切られる表示フレーム毎の離散値で表される。図5では、時刻t2から時刻t3に移るときに初期制御値L[p,q]がL1からL2に増加し、時刻t6から時刻t7に移るときに初期制御値L[p,q]がL2からL1に減少する時間変動の例を示す。
【0034】
図5に示す時間変動の初期制御値L[p,q]をそのまま光源制御値として採用した場合、表示画面からの発光が急激に変化することによるフリッカが生じる。このフリッカを回避するためIIRフィルタ等で構成されるローパスフィルタを導入して時間変化量を緩和した光源制御値を生成する方法が知られている。
【0035】
しかし、ここで、表示値補正部204において補正する表示値の上限は採用した光源制御値を超えることが出来ないという問題がある。表示値補正部204では画像表示信号g1を光源制御値にしたがい補正するが、採用した光源制御値が必要以上に低い値であれば、透過率を100パーセントにしても発光量を確保できず、その結果、表示値を補正しきれずに画質が劣化してしまう可能性がある。
【0036】
このような状況は初期制御値L[p,q]が急峻に増加する場合に発生する。例えば、図5(a)おいて、時刻t3で初期制御値L[p,q]がL1からL2急峻に増加するが、図5(b)に示す光源制御値A′[p,q]のグラフにおいては時間変化量がローパスフィルタにより減衰された結果、時刻t3における光源制御値がL1′と、L2と比較して大幅に低くなっているため当該時刻の表示フレームでは透過率を100パーセントにしても必要な発光量を確保できなくなる可能性がある。
【0037】
従って、光源制御値は減少する変動局面ではフリッカを回避するため変動を緩和する必要があるが、光源制御値が増加する変動局面では、補正可能な範囲の発光量を確保するため急峻に変動に追従することが必要である。つまり、光源制御値における時間変化の緩和率は、前記光源制御値の増加時の方が前記光源制御値の減少時よりも低くすれば良い。
【0038】
そこで、本実施例では光源制御値の増加する変動局面と減少する変動局面とで減衰量が異なるローパスフィルタ203を用いる。ローパスフィルタ203は上昇の時定数が下降の時定数と比べて小さいという特性を備えるため、当該フィルタを通過して生成された光源制御値は、光源制御値A[p,q]のグラフに示すように増加する変動局面においては急峻に変動に追従し、減少する変動局面においては変動を緩和した離散値となる。
【0039】
次に、図6及び図7を参照して、上昇の時定数が下降の時定数と比べて小さいという特性を備えるローパスフィルタ203の設計の一例を示す。図6は、ローパスフィルタ203の構成を示すブロック図の一例である。ここでは、簡単なIIRフィルタを利用して構成させるローパスフィルタ203の一例を示す。
【0040】
このIIRフィルタは、1つの遅延素子301と、2つの減算器302,304と、1つの係数乗算器303から構成される。遅延素子301は、信号を1単位時間だけ遅延させる素子である。例えば、遅延素子301に入力する離散時間信号がy[n]で示される場合、遅延素子301は当該離散時間信号y[n]を1単位時間だけ遅延させ、信号y[n−1]として出力する。尚、ここではnを任意の自然数とする。
【0041】
減算器302,304は、減算(引き算)の機能を持った演算器である。例えば、減算器302に入力される信号が、被減算信号x[n]及び減算信号y[n−1]であった場合、減算器302,304は被減算信号x[n]から減算信号y[n−1]を減算し、信号x[n]−y[n−1]として出力する。
【0042】
係数乗算器303は、所定のパラメータを乗算(掛け算)する機能を持った演算器である。例えば所定のパラメータがkであり、係数乗算器303に入力される信号がx[n]−y[n−1]であった場合、係数乗算器303は当該入力信号x[n]−y[n−1]にパラメータkを乗算し、信号k・{x[n]−y[n−1]}として出力する。
【0043】
ここで、図7に示すブロック図における信号の流れを説明する。尚、x[n]及びy[n]は其々入力信号である初期制御値L[p,q]、及び出力信号である光源制御値A[p,q]に対応する。
【0044】
まず、初期制御値L[p,q]である入力信号x[n]は分岐点で2つに分かれ、減算器302及び減算器304に入る。また、光源制御値A[p,q]である出力信号はy[n]は分岐点からフィードバックして遅延素子301に入る。遅延素子301ではy[n]を1単位時間だけ遅延させて信号y[n−1]を減算器302に出力する。
【0045】
減算器302は、分岐点からの信号x[n]から遅延素子301からの信号y[n−1]を減算して信号x[n]−y[n−1]を係数乗算器303に出力する。尚、ここでは分岐点からの信号が被減算信号であり、遅延素子301からの信号が減算信号であるものとする。
【0046】
係数乗算器303は、減算器302からの信号x[n]−y[n−1]にパラメータkを乗算して信号k・{x[n]−y[n−1]}を減算器302に出力する。
減算器302は、分岐点からの信号及x[n]から、係数乗算器303からの信号{x[n]−y[n−1]}・kを減算してx[n]−k・{x[n]−y[n−1]}を出力信号y[n]として出力する。尚、ここでは分岐点からの信号が被減算信号であり、係数乗算器303からの信号が減算信号であるものとする。
【0047】
以上、図6のローパスフィルタ203における初期制御値L[p,q]である入力信号x[n]と光源制御値A[p,q]である出力信号y[n]との関係は式1で求められる。
【0048】
【数1】

【0049】
式1により求めた出力信号y[n]は、パラメータkの値が大きいほど、入力信号x[n]の影響が少なくなり、1単位時間前の出力信号y[n−1]の影響が大きくなる。尚、式1における(1−k)が負の値となる場合は発振してしまうため、パラメータkは0≦k<1の範囲に設定される。
【0050】
次に、図7を参照しながらパラメータ変化に伴う出力信号の変化を説明する。図7は、パラメータkを変化させた場合の光源制御値の時間変動を示す図である。例えば、ここでは任意の3つのパラメータk1、k2、k3を設定した場合における各光源制御値の時間変動の例を示す。また、k1〜k3の関係はk1<k2<k3である。
【0051】
図7に示すように、パラメータkを大きくするほど減衰量が大きくなって光源制御値の時間変動は緩和され、パラメータkを小さくするほど減衰量が小さくなって光源制御値の時間変動は急峻になる。
【0052】
つまり、パラメータkの設定に伴ってローパスフィルタ203の時定数を適宜変化させることが可能となる。よって、光源制御値が増加する変動局面においてはパラメータkの値を小さくし、光源制御値が減少する変動局面においてはパラメータkの値を大きくするようにパラメータを設定すれば、画質を落とさずに光源制御値を安定させることができる。
【0053】
このようにパラメータを設定することで、本実施例では上昇の時定数が下降の時定数と比べて小さいという特性を備えるローパスフィルタ203の設計を実現する。
上述した通り、本実施例によると安定して光源の制御を行い、画質の劣化を回避することのできる液晶表示装置および発光制御装置を提供することができる。
本実施例では、光源制御値が減少する局面では時間変動を緩和し、光源制御値を安定させてフリッカを回避することが出来る。また、光源制御値が増加する局面では急峻に変動し、補正可能な範囲の発光量を確保することが出来る。
【0054】
本実施例では、上昇の時定数が下降の時定数と比べて小さいという特性を備えるローパスフィルタを用いることで、光源制御値が減少する局面では時間変動を緩和し、光源制御値の時間変動を急峻化することが出来る。
【0055】
本実施例では、デジタルフィルタにおける係数乗算器で乗算するパラメータを適宜設定することで、上昇の時定数が下降の時定数と比べて小さいという特性を備えるローパスフィルタを設計し、光源制御値の時間変動を好適に制御可能にする。
【0056】
本実施例では、表示画像信号から光源領域内で最も明るく発光する画素を抽出し、当該画素の輝度から光源制御値を設定するため、光源領域内で最も明るく発光する領域を補正するため必要な発光量を確保することができる。
【0057】
以上の説明は、本発明の実施の形態についての説明であって、この発明の装置及び方法を限定するものではなく、様々な変形例を容易に実施することができる。又、各実施形態における構成要素、機能、特徴あるいは方法ステップを適宜組み合わせて構成される装置又は方法も本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本実施例の液晶表示装置の構成を示す分解斜視図である。
【図2】発光領域の構成を示す斜視図である。
【図3】発光部と液晶パネルとをそれぞれの光源領域と画面領域との対応関係を明示して示す斜視図である。
【図4】バックライト制御部の構成をバックライト、液晶パネルおよび表示値補正部とともに示すブロック図である。
【図5】制御値における時間変動の一例を示した図である。
【図6】ローパスフィルタの構成を示すブロック図の一例である。
【図7】パラメータを変化させた場合の制御値の時間変動を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
100・・・液晶表示装置
101・・・発光部
102,104・・・拡散版
103・・・プリズムシート
105,107・・・偏光板
106・・・液晶
108・・・光源
109・・・発光領域
110・・・バックライト
111・・・液晶パネル
112・・・画面領域
121・・・赤色LED
122・・・緑色LED
123・・・青色LED
124・・・隔壁
200・・・バックライト制御部
201・・・最大値検出部
202・・・初期制御値設定部
203・・・ローパスフィルタ
204・・・表示値補正部
301・・・遅延素子
302,304・・・減算器
303・・・係数乗算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルに光を照射する光源の発光量を決定する光源制御値を設定する制御値設定手段と、
前記制御値設定手段で設定した前記光源制御値の時間変化を緩和する時間変化緩和手段と、
前記時間変化緩和手段で時間変化を緩和した前記光源制御値により、前記光源の発光量を制御する発光制御手段と
を備え、
前記時間変化緩和手段による前記光源制御値の時間変化の緩和率は、前記光源制御値の増加時の方が前記光源制御値の減少時よりも低いこと
を特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記時間変化緩和手段は、高周波数信号を遮断するローパスフィルタを用いて前記光源制御値の時間変化を緩和し、前記光源制御値が増加する場合の前記ローパスフィルタの時定数は、前記光源制御値が減少する場合の時定数よりも小さいこと
を特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記制御値設定出手段は、画像を表示する表示信号から前記光源領域内で最も明るく発光する画素を抽出し、当該画素の輝度から前記光源制御値を設定することを特徴とする請求項2記載の液晶表示装置。
【請求項4】
画像を表示する液晶パネルと、
前記液晶パネルに、光源を用いて光を照射するバックライトと、
前記光源の発光量を決定する光源制御値を設定する第1の制御、及び前記第1の制御で設定した前記光源制御値の時間変化を緩和する第2の制御を行う制御部と
を備え、
前記バックライトは、前記第2の制御で時間変化を緩和した前記光源制御値により、前記光源の発光量を制御し、
前記制御部の第2の制御における前記光源制御値の時間変化の緩和率は、前記光源制御値の増加時の方が前記光源制御値の減少時よりも低いこと
を特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
前記制御部の第2の制御は、高周波数信号を遮断するローパスフィルタを用いて前記光源制御値の時間変化を緩和し、前記光源制御値が増加する場合の前記ローパスフィルタの時定数は、前記光源制御値が減少する場合の時定数よりも小さいこと
を特徴とする請求項4記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記制御値設定出デバイスは、前記バックライトの光源領域内で最も明るく発光する画素の輝度から前記光源制御値を設定することを特徴とする請求項5記載の液晶表示装置。
【請求項7】
光源の発光量を決定する光源制御値を発光装置に出力し、前記光源の発光量を制御する発光制御装置であって、
前記光源制御値を設定する制御値設定手段と、
前記制御値設定手段で設定した前記光源制御値の時間変化を緩和し、当該時間変化が緩和した光源制御値を前記発光制御装置に出力する時間変化緩和手段と
を備え、
前記時間変化緩和手段による前記光源制御値の時間変化の緩和率は、前記光源制御値の増加時の方が前記光源制御値の減少時よりも低いこと
を特徴とする発光制御装置。
【請求項8】
前記時間変化緩和手段は、高周波数信号を遮断するローパスフィルタを用いて前記光源制御値の時間変化を緩和して前記発光制御装置に出力し、前記光源制御値が増加する場合の前記ローパスフィルタの時定数は、前記光源制御値が減少する場合の時定数よりも小さいこと
を特徴とする請求項7記載の発光制御装置。
【請求項9】
前記制御値設定出手段は、前記発光装置の光源領域内で最も明るく発光する画素の輝度から前記光源制御値を設定することを特徴とする請求項8記載の発光制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−181075(P2009−181075A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21989(P2008−21989)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】