液晶表示装置及びその製造方法
【課題】冷陰極蛍光管の光束量を増大させることにより、液晶表示パネルのバックライトとして輝度向上を図ることができる液晶表示装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】液晶表示装置の液晶表示パネルの背面に設置されるバックライトに適用する冷陰極蛍光管CCFLは、内部に希ガス及び水銀が封入された透光性のガラス管VALと、ガラス管VALの両端部に対向して封入配置された一対の冷陰極ELEと、冷陰極ELEに一端が接続し他端がガラス管外に気密封止してガラス管外に導出された電力導入線LEと、ガラス管VALの内周面上に形成された蛍光体膜FLUとを備え、蛍光体膜FLUは、酢酸ブチルとニトロセロースとの混合溶剤を強攪拌させた懸濁液に蛍光体を混合して再攪拌させて作製した蛍光体懸濁液を吸引塗布して形成される。
【解決手段】液晶表示装置の液晶表示パネルの背面に設置されるバックライトに適用する冷陰極蛍光管CCFLは、内部に希ガス及び水銀が封入された透光性のガラス管VALと、ガラス管VALの両端部に対向して封入配置された一対の冷陰極ELEと、冷陰極ELEに一端が接続し他端がガラス管外に気密封止してガラス管外に導出された電力導入線LEと、ガラス管VALの内周面上に形成された蛍光体膜FLUとを備え、蛍光体膜FLUは、酢酸ブチルとニトロセロースとの混合溶剤を強攪拌させた懸濁液に蛍光体を混合して再攪拌させて作製した蛍光体懸濁液を吸引塗布して形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源として冷陰極蛍光管を用いた液晶表示装置に係わり、特に冷陰極蛍光管の内周面に形成される蛍光体膜の発光効率改善構造及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非発光型である液晶表示パネルを用いた画像表示装置では、当該液晶表示パネルに形成された電子潜像を外部照明手段を設けることにより、可視化させている。外部照明手段には自然光を利用する構造を除いて液晶表示パネルの背面または前面に照明装置を設置している。特に高輝度を要する表示デバイスには、液晶表示パネルの背面に照明装置を設けた構造が主流となっている。これをバックライトと称している。
【0003】
バックライトには、大別してサイドエッジ型と直下型とがある。サイドエッジ型は、透明板からなる導光板の側縁部に沿って冷陰極蛍光管に代表される線状光源を設置した構造であり、パソコン用等の薄型化が要求される表示デバイスに多く用いられている。一方、ディスプレイモニタまたはテレビ受像機に用いられる表示デバイス等の大型サイズの液晶表示装置では、直下型が多く用いられる。直下型バックライトは、液晶表示パネルの背面側の直下に照明装置を設置する構造である。
【0004】
この種の照明装置に用いられる一般的な冷陰極蛍光管は、透光性のガラス管の両端部には一対の陰極が設置され、その内周面には蛍光体膜が被着形成され、そのガラス管内に水銀及び希ガスが封入されて構成されている。そして、このガラス管内で放電させることによって水銀の励起放射による約254nmを主体とする紫外線を発生させ、その紫外線により蛍光体を励起して可視光を放射することによって発光光束を得ている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の蛍光体膜は、発光輝度が最も高くなるように粒子径及び膜厚等を制御して成膜している。例えば、粒径約2μm〜5μmの蛍光体と複数の分散剤とを溶液中に分散させた蛍光体懸濁液をガラス管内に吸引塗布し、膜厚約15μm〜40μmの厚さで形成されている。
【0006】
しかしながら、冷陰極蛍光管内の水銀から発生した紫外線のうち、蛍光体の発光に寄与せずに蛍光体粒子間の間隙を通してガラス管に到達して吸収され、ガラス管外の放射されている割合が約10%〜15%程度あり、これによって発光効率を低下させている。
【0007】
また、蛍光体膜中の蛍光体粒子の分布を顕微鏡にて観察すると、比較的小さい粒子の蛍光体同志が集まった凝集体が観察され、蛍光体粒子間に間隙が多く存在するため、紫外線が発光に寄与せずに蛍光体膜を通り抜け易いと考えられる。また、蛍光体粒子間に間隙が多いと、膜強度が低下し、蛍光体膜に剥がれが生じ易くなるなどの課題があった。
【0008】
したがって、本発明は、前述した従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、蛍光体膜による紫外線透過率を低減させることにより、蛍光体膜の発光効率を改善し、蛍光体膜の発光輝度を効率的に増加させ、冷陰極蛍光管の光束量を増大させることにより、液晶表示パネルのバックライトとして輝度向上を図ることができる液晶表示装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために本発明による液晶表示装置は、内面に画素形成用の電極を有する一対の透光性基板の間に液晶層を挟持して構成された液晶表示パネルと、この液晶表示パネルに照明光を照射する少なくとも1本の冷陰極蛍光管を有するバックライトと、液晶表示パネルとバックライトとの間に介挿された光学補償シート積層体と、液晶表示パネル及びバックライトを収容するフレームとを備え、冷陰極蛍光管は、内部に希ガス及び水銀が封入された透光性のガラス管と、このガラス管の両端部に対向して封入配置された一対の冷陰極と、冷陰極に一端が接続し他端がガラス管外に気密封止してガラス管外に導出された電力導入線と、ガラス管の内周面上に形成された蛍光体膜とを備え、この蛍光体膜は、酢酸ブチルとニトロセルロースとの混合溶剤を強攪拌させた懸濁液に蛍光体を混合して再攪拌させて作製した蛍光体懸濁液を塗布して形成されたことを特徴としている。
【0010】
本発明による他の液晶表示装置は、好ましくは、上記構成において、ガラス管の内周面と蛍光体膜との間に紫外線反射膜を介在させたことを特徴としている。
【0011】
また、本発明による他の液晶表示装置は、好ましくは、上記構成において、紫外線反射膜は、ガラス管内周面における管軸方向の塗布長が蛍光体膜の塗布長よりも長いことを特徴としている。
【0012】
本発明による他の液晶表示装置は、好ましくは、上記構成において、紫外線反射膜の材料は、バンドギャップが5eV以上の物質であることを特徴としている。
【0013】
また、本発明による液晶表示装置の製造方法は、蛍光体膜が酢酸ブチルとニトロセルロースとを混合した溶剤を強攪拌させた後に蛍光体及び結着剤を混合し、再攪拌させて作製した蛍光体懸濁液をガラス管の内周面に吸引塗布し、加熱乾燥して形成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明による液晶表示装置によれば、冷陰極蛍光管がガラス管の内周面に蛍光体膜が高密度に充填されて形成されたことにより、蛍光体膜の紫外線透過率が大幅に低減でき、これによって冷陰極蛍光管から高輝度発光が得られるので、液晶表示パネルのバックライトとしての輝度の向上を図ることができるとともに、同一輝度で電力の低減(低電力化)にも寄与できるなどの極めて優れた効果が得られる。
【0015】
また、本発明による他の液晶表示装置によれば、冷陰極蛍光管がガラス管の内周面と蛍光体膜との間に紫外線反射膜を介在させたことにより、蛍光体膜を透過して外部に放射する紫外線を反射し、再度蛍光体膜に照射され、蛍光体膜の発光が大となり、冷陰極蛍光管の光束量をさらに増加させることができるので、液晶表示パネルのバックライトとしての輝度の向上を図ることができるという極めて優れた効果が得られる。
【0016】
また、本発明による液晶表示装置によれば、陰極蛍光管の管軸方向の色度差が低減し、均一な冷陰極蛍光管が作製できるとともに、液晶表示装置の出荷及び搬送等での衝撃による膜剥がれ不良が低減でき、品質の安定化が実現可能となるなどの極めて優れた効果が得られる。
【0017】
また、本発明による液晶表示装置によれば、陰極蛍光管の能力向上及び材料費の低減等により製品コストが大幅に低減できるなどの極めて優れた効果が得られる。
【0018】
また、本発明による液晶表示装置の製造方法によれば、冷陰極蛍光管の蛍光体膜がガラス管の内周面に高密度に充填させて形成することができるので、紫外線透過率が低減し、これによって冷陰極蛍光管の光束量を増加させ、液晶表示パネルのバックライトとしての輝度の向上を容易に図ることができるという極めて優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、実施例の図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明による液晶表示装置の一実施例の構成を説明するための模式断面図、図2は図1の模式的展開斜視図である。
【0021】
図1及び図2において、液晶表示パネルLCDは、画素形成用の電極(図示せず)を有する2枚の透光性ガラス基板の間に液晶層が封止されている。一方のガラス基板(通常、アクティブ・マトリクス基板とも称する)の二辺は他方の基板(通常、カラーフィルタ基板とも称する)より食み出た構成となっており、この食み出し部分に走査信号線駆動回路チップGCHを搭載したフレキシブルプリント回路基板FPC1と、データ信号線駆動回路チップDCHを搭載したフレキシブルプリント回路基板FPC2とが実装されている。
【0022】
このような液晶表示装置は、下フレームDFLの内側に反射シートRFSを敷き、その上方には複数本の冷陰極蛍光管CCFLが平行に設置されてバックライトBKLが構成されている。このバックライトBKLの冷陰極蛍光管CCFLの構成については後述する。下フレームDFLは、金属板の成形体により形成され、同じく金属板で形成した上フレームUFLとの間に液晶表示パネルLCDを光学補償シート積層体PHSと共に重ねて一体化する機能も有している。ここで、図2では上フレームUFLは図示を省略してある。
【0023】
液晶表示パネルLCDは、そのサイズが大型化になるのに伴い、一般には冷陰極蛍光管CCFLの管軸方向の長さが大きくなる。冷陰極蛍光管CCFLは直径の小さいガラス管で構成される蛍光灯であり、通常はゴムブッシュGBSによる両端部支持により設置されている。
【0024】
さらに、図示したように照明装置として直下型バックライトを用いた液晶表示装置においては、バックライトBKLの上部(液晶表示パネルLCDとの間)には複数種の光学補償シート積層体PHSが設置されている。この光学補償シート積層体PHSは、拡散板SCBと、第1拡散シートSCS1と、交差して配置された2枚のプリズムシートPRZと、第2拡散シートSCS2とが重ねて構成されている。
【0025】
前述した直下型バックライトBKLは、有底で側縁を有する下フレームDFLの側縁に設けたサイドモールドと称する樹脂製の側部保持枠SMLDを有し、この側部保持枠SMLDに光学補償シート積層体PHSの周端を橋絡させて保持される。
【0026】
また、図示したように導光板GLB及び光学補償シートPHSを保持したバックライトBKLは、モールドフレームMLDで液晶表示パネルLCDと組み合わされた後、上フレームUFLを被せ、この上フレームUFLと下フレームDFLとを図示しない係止部材で結合し、一体化して液晶表示装置が構成される。ここで、液晶表示パネルLCDが大型化される構成においては、光拡散板または光拡散シートを用いることも可能である。
【0027】
図3は、上述した実施例1の本発明による液晶表示装置に実装された冷陰極蛍光管の構成例を示す要部拡大断面図である。図3において、冷陰極蛍光管CCFLは、透光性ガラス管VALの内周面には希土類蛍光体からなる蛍光体膜FLUが被着形成されている。この蛍光体膜FLUの詳細な構成及びその形成方法については後述する。
【0028】
また、この透光性ガラス管VALの両端側内部には、一対の冷陰極ELEが対向して配置され、さらにガラス管VALの内部INSには真空引きした後に不活性ガスとしてネオン−アルゴン(Ne−Ar)ガス及び水銀が封入されて構成されている。
【0029】
一対の冷電極ELEは、例えばニッケル材またはモリブデン材等を例えばプレス成形法によりカップ状に成形されたカップ体CAPがその開口端を主放電領域に向き、その後端底部にはガラス管VALの熱膨張率に近似する例えばニッケル−コバルト−鉄合金からなる電力導入線LEを突き合わせ、例えば抵抗溶接法またはレーザ溶接法により接合されて電気的に接続されて形成されている。
【0030】
この電力導入線LEは、ガラス管VALの両端部にガラスビーズGBEに支持されて気密封着され、一対の冷電極ELEが主放電領域にその開口端を対向させてガラス管VALの両端部に気密封止される。なお、このガラス管VALは、その肉厚が約1.0mm〜1.5mm程度の厚さで形成されている。
【0031】
また、この冷陰極蛍光管CCFLは、そのガラス管VAL本体の肉厚が例えば数100μm程度に対してガラス管VALの両端部の肉厚が約200μm〜300μm程度で形成されている。また、ガラス管VALの外径は、約1.0mm〜10.0mm程度であり、その長さは表示パネルの大きさに対応して約50mm〜800mm程度の大きさで形成される。
【0032】
このように構成された冷陰極蛍光管CCFLは、一対の電力導入線LEに図示しない電源回路(一般にインバータ点灯回路)に接続されて対向する一対の冷電極ELE間に点灯電力が供給される。
【0033】
ここで、上述したガラス管VALの内周面に形成された蛍光体膜FLUの構成及びその形成方法について詳細に説明する。
【0034】
まず、最初に容器内に酢酸ブチルとニトロセルロースとを混合した溶剤を入れ、防爆処理を施したホモジナイザーを用いて初期粘度の約1/3程度になるまで強攪拌する。
【0035】
次に、この溶剤の約40%〜50%と、アルミナ系またはガラス系結着剤を約2%〜10%と、赤・緑・青蛍光体の混合粉を約40%〜60%と、分散保持剤などの添加剤とを加えて十分に混合し、蛍光体懸濁液を作製する。
【0036】
次に、この蛍光体懸濁液をホモジナイザーを用いて初期粘度の約1/2程度になるまで再攪拌する。このときの蛍光体懸濁液の粘度とホモジナイザー処理時間との関係(従来の溶剤及び蛍光体懸濁液の初期粘度を100%としたときの場合)について図4に示す。この蛍光体懸濁液の粘度は、従来品の約1/3程度になる。また、この蛍光体懸濁液中の蛍光体の状態模式図を図5(a)及び図5(b)に示す。なお、図5(a)は当該品を示し、図5(b)は従来品を示している。
【0037】
図5(a)に示した当該品の蛍光体懸濁液の場合は、蛍光体粒子FLの周囲に吸着したニトロセルロース分子鎖NTの広がり(立体障害効果)が大きく、一個一個の蛍光体粒子FLが分散した状態で存在している。一方、図5(b)に示した従来品の蛍光体懸濁液は、ニトロセルロースNTが絡まった状態で吸着しており、複数個の蛍光体粒子FLが固まった状態で存在している。
【0038】
次に、清浄なガラス管を吸引塗布機に直立に取り付ける。そして、このガラス管の下部に蛍光体懸濁液が入った容器を置き、蛍光体懸濁液中にガラス管を接触させ、ガラス管の上部から真空ポンプで減圧すると、蛍光体懸濁液が上昇し、所定の位置まで到達したら、吸引動作を停止する。そして、吸引動作停止後に余分な蛍光体懸濁液が自然落下して容器に戻る。次に、ガラス管の上部から乾燥エアーを一定流速で流し、ガラス管内を乾燥させて蛍光体膜を形成する。その後、ガラス管を吸引塗布機から取り外し、ガラス管の下部に付着した余分な蛍光体懸濁液を拭き取る。
【0039】
その後、ガラス管を焼成炉内に移し、約700℃で約3分間加熱し、溶剤を蒸発させ、蛍光体を固着させる。次に、ガラス管の一方の開口部に放電用冷陰極及び電力導入線をガラス溶融して取り付ける。また、ガラス管の他方の開口部から真空排気装置により排気した後、放電用の不活性ガス及び水銀等を封じ込める。
【0040】
このような方法で作製した冷陰極蛍光管について全光束を測定し、紫外線透過率との関係を図6に示し、膜厚との関係を図7に示す。図6及び図7に示すように当該品の全光束が従来品より向上するのは、紫外線透過率が約2%〜4%の範囲W、膜厚が約12±2μmの範囲Wであり、最大で約5%向上する。また、全光束の向上効果以外に管軸方向の色度差が約1/3に低減し、膜強度が約10%向上する。この範囲での各特性を整理すると、下記表1のようになる。
【0041】
【表1】
【0042】
次に、蛍光体膜の紫外線透過率の測定方法について説明する。ガラス管は紫外線を吸収するためにその状態では、紫外線透過率を正確に測定することができないので、紫外線を透過する石英製ガラス管を用いて様々な膜厚の蛍光体膜を作製した。石英製ガラス管を蛍光体膜表面が露出するように切断して蛍光体膜側から波長約254nmの紫外光を照射したときの発光分を除く透過率と、同時に作製した通常のガラス管冷陰極線管の全光束との関係を図6に示す。
【0043】
図6から明らかなように全光束が従来品より向上する範囲は、紫外線透過率が約2%〜4%の範囲であることが分かる。紫外線透過率が約2%以下の場合は、後述するように可視光の透過率が低いために発光の取り出し効率が低下し、全光束が低下すると考えられる。一方、紫外線透過率が約4%以上の場合は、紫外線がガラス管に吸収されるために発光効率が低下して全光束が低下すると考えられる。
【0044】
図8は、蛍光体膜の紫外線透過率と膜厚との関係を示したものである。図8に示すように当該品の紫外線透過率は、従来品の紫外線透過率とは全く異なり、薄膜域で紫外線透過率を低くすることができることが分かる。
【0045】
また、蛍光体膜の紫外線透過率の他の測定方法として可視光正透過率/積分透過率から決定する方法がある。図9は、可視光正透過率/積分透過率と膜厚との関係を示す。また、図10は紫外線透過率と可視光正透過率/積分透過率との関係を示したものである。図10に示すように紫外線透過率と可視光正透過率/積分透過率とは、当該品及び従来品に係わらず、比例関係にあり、相関性が高い(R2=0.98)。
【0046】
つまり、量産管理や他社球を分析する場合にガラス管の可視光透過率を測定し、図10から蛍光体膜の紫外線透過率を決定することができる。これらの関係から、可視光正透過率/積分透過率と全光束との関係を図11に示す。図11から明らかなように可視光正透過率/積分透過率が0.02〜0.05の範囲で全光束が従来品より向上する。
【0047】
図12は、可視光透過率特性が白色の色温度範囲で適用できるかを調査するために、赤・緑・青の各色の蛍光体の比率を変えたときの冷陰極蛍光管の明るさと、蛍光体膜の可視光正透過率/積分透過率(膜厚約12μm)との関係を示したものである。図12に示すように色温度約500K〜15000Kの範囲で明るさは色温度に寄らず一定であり、可視光透過率は色温度が高いときに約1%程度低下するが、略一定であることを確認できた。
【0048】
図13は、蛍光体膜の断面状態を調査するためにガラス管を切断して蛍光体膜の断面を作製し、顕微鏡にて蛍光体粒子の分布を観察する要部拡大断面図であり、図13(a)は当該品、図13(b)は従来品である。図13(a)に示すように当該品は、蛍光体粒子FLの分布が図13(b)に示す従来品に比べて高密度であり、従来品は粒径の小さい蛍光体粒子が複数個集まった状態でガラス管VALの界面に位置しているのに対し、当該品はガラス管VAL界面に近い所に粒径の大きい蛍光体粒子FLが配置し、粒径の小さい蛍光体粒子は分散して配置されており、図13(a)に示す当該品の膜厚Tが図13(b)に示す従来品の膜厚Tに比べて薄くなって形成されている。
【0049】
図14は、蛍光体膜の管軸方向の膜厚分布を示したものであり、ガラス管を管軸方向に5等分したA〜Eの位置で測定した結果を示してある。蛍光体膜の平均膜厚は、約12μm、管軸方向の膜厚のバラツキは約5%以下であり、従来品より薄く、均一な膜厚分布であった。これらにより、冷陰極蛍光管の管軸方向の色差及び輝度のバラツキが低減していた。
【0050】
図15は、蛍光体膜の強度を調査するために焼成炉で加熱処理した後に蛍光体膜付きガラス管について叩き試験機にて測定を行った結果を示す図である。図15から明らかなように蛍光体膜の強度は従来品に比べて約10%向上していた。
【0051】
図16は、前述した溶剤の強攪拌時間と蛍光体膜の紫外線透過率との関係を示す図である。図16から明らかなように攪拌時間が長くなるにしたがってニトロセルロースの絡み合いが解けて立体障害効果が大きくなり、蛍光体の分解能が高まるため、蛍光体膜の密度が向上し、紫外線透過率が低下する。
【0052】
実施例1の構成によれば、酢酸ブチルとニトロセルロースとの混合溶剤を強攪拌することによって親和性を上げてニトロセルロース分子鎖の絡み合いをなくすことにより、蛍光体を混合させて蛍光体懸濁液にしたときにニトロセルロースNTが蛍光体粒子FLに吸着して生じる立体障害効果を大幅に増大させるために、高密度の蛍光体膜FLUを形成することができる。この蛍光体膜FLUの紫外線透過率は、従来品に比べて大幅に低減させることができる。図6及び図7に示すように紫外線透過率が約2%〜4%、膜厚12±2μmの範囲で紫外線の吸収効率と可視域発光の効率が最大となり、全光束が従来品よりも約5%高くなることが確認できた。
【0053】
また、蛍光体膜FLUを構成する蛍光体粒子FL同士が均一に接触し、高密度に充填されることにより、蛍光体粒子FL間の分子間力が強まり、表1に示したように膜強度が向上する。さらに、赤・緑・青の三色の蛍光体が均一に分散することにより、表1に示すように冷陰極蛍光管CCFLの部分的な色斑を低減できる。また、蛍光体膜FLUが薄膜になるために乾燥時間の短縮が可能になり、生産能力が向上する。
【実施例2】
【0054】
図17は、本発明による液晶表示装置に実装された冷陰極蛍光管の実施例2の構成例を示す要部拡大断面図であり、前述した図3と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。図17において、この冷陰極蛍光管CCFLは、透光性ガラス管VALの内周面に紫外線散乱性の高い紫外線反射膜URLが被着形成され、さらにこの紫外線反射膜URL上には希土類蛍光体からなる蛍光体膜FLUが被着形成されている。この紫外線反射膜URLは、ガラス管VALの内周面における管軸方向の塗布長が蛍光体膜FLUの塗布長よりも長くして被着形成されている。
【0055】
なお、この紫外線反射膜URLの構成物質としては、バンドギャップが約5eV以上(光吸収端波長が約250nm以下)である少なくとも一つの材料により構成されている。このバンドギャップが5eV以上である材料としては、例えばSi3N4、ZrSiO4、La2O3等の少なくとも一つが挙げられるが、バンドギャップが5eV以上であれば、例えばY2O3、MgO、Al2O3、ZrO2等の物質であっても良く、また、これらの中から選ばれる二種類以上の混合物であっても良い。
【0056】
また、この紫外線反射膜URLは蛍光体膜FLUと同様にガラス管VALの管内部INSに吸引塗布法により塗布した後、加熱乾燥することにより成膜される。
【0057】
このような実施例2の構成によれば、蛍光体層FLUを透過し、ガラス管VALの外部に放射してしまう紫外線が管内部INSで反射して散乱し、再度蛍光体膜FLUに照射されるので、蛍光体膜FLUの発光が大きくなり、且つ可視光域の反射が抑制されるので、冷陰極蛍光管CCFLの光束がさらに増加されることになる。
【0058】
この場合、実施例1での紫外線透過率約2%〜4%のうち、約40%が反射されると見積もられるので、全光束を向上させることができる。また、蛍光体膜を構成する蛍光体分子の密度が多少低くても、補うことができるので、溶剤及び蛍光体懸濁液のホモジナイザー処理に要する時間を短縮させることができる。
【0059】
また、実施例2の構成によれば、この紫外線反射層URLは、ガラス管VALの内周面における管軸方向の塗布長が蛍光体層FLUの塗布長よりも長くして被着形成されているので、これによってガラス管VALの管内部INSにおける紫外線の反射を効率良く散乱させ、さらに拡散させることができる。
【0060】
なお、本発明は、上記構成に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱することなく、種々の変更が可能である。
【0061】
また、本発明は、液晶表示装置のバックライトに適用した陰極線蛍光管について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、蛍光ランプ等の各種の照明器具に適用しても、略同等の効果が得られることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明による液晶表示装置の実施例1を説明するための模式断面図である。
【図2】図1の模式的展開斜視図である。
【図3】本発明による液晶表示装置の実施例1に実装された冷陰極蛍光管の構成例を示す模式断面図である。
【図4】蛍光体懸濁液の粘度とホモジナイザー処理時間との関係を示す図である。
【図5】蛍光体懸濁液中の蛍光体の状態模式図であり、図5(a)は当該品を示し、図5(b)は従来品を示している。
【図6】全光束と紫外線透過率との関係を示す図である。
【図7】全光束と膜厚との関係を示す図である。
【図8】蛍光体膜の紫外線透過率と膜厚との関係を示す図である。
【図9】可視光正透過率/積分透過率と膜厚との関係を示す図である。
【図10】紫外線透過率と可視光正透過率/積分透過率との関係を示す図である。
【図11】可視光正透過率/積分透過率と全光束との関係を示す図である。
【図12】冷陰極蛍光管の明るさと蛍光体膜の可視光正透過率/積分透過率(膜厚約12μm)との関係を示す図である。
【図13】顕微鏡にて蛍光体粒子の分布を観察する要部拡大断面図であり、図13(a)は当該品、図13(b)は従来品である。
【図14】蛍光体膜の管軸方向の膜厚分布を示す図である。
【図15】蛍光体膜付きガラス管について叩き試験機にて測定を行った結果を示す図である。
【図16】溶剤の強攪拌時間と蛍光体膜の紫外線透過率との関係を示す図である。
【図17】液晶表示装置に実装された冷陰極蛍光管の実施例2の構成例を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0063】
LCD・・・液晶表示パネル、SCB・・・拡散板、SCS・・・拡散シート、SCS1・・・第1拡散シート、SCS2・・・第2拡散シート、PRZ・・・プリズムシート、PHS・・・光学補償シート積層体、GLB・・・導光板、RFS・・・反射シート、UFL・・・上フレーム、DFL・・・下フレーム、BKL・・・バックライト、CCFL・・・冷陰極蛍光管、VAL・・・ガラス管、INS・・・管内部、URL・・・紫外線反射膜、FLU・・・蛍光体膜、FL・・・蛍光体粒子、NT・・・ニトロセルロース、ELE・・・冷電極、LE・・・電力導入線、GBE・・・ガラスビーズ、CA・・・カップ体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源として冷陰極蛍光管を用いた液晶表示装置に係わり、特に冷陰極蛍光管の内周面に形成される蛍光体膜の発光効率改善構造及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非発光型である液晶表示パネルを用いた画像表示装置では、当該液晶表示パネルに形成された電子潜像を外部照明手段を設けることにより、可視化させている。外部照明手段には自然光を利用する構造を除いて液晶表示パネルの背面または前面に照明装置を設置している。特に高輝度を要する表示デバイスには、液晶表示パネルの背面に照明装置を設けた構造が主流となっている。これをバックライトと称している。
【0003】
バックライトには、大別してサイドエッジ型と直下型とがある。サイドエッジ型は、透明板からなる導光板の側縁部に沿って冷陰極蛍光管に代表される線状光源を設置した構造であり、パソコン用等の薄型化が要求される表示デバイスに多く用いられている。一方、ディスプレイモニタまたはテレビ受像機に用いられる表示デバイス等の大型サイズの液晶表示装置では、直下型が多く用いられる。直下型バックライトは、液晶表示パネルの背面側の直下に照明装置を設置する構造である。
【0004】
この種の照明装置に用いられる一般的な冷陰極蛍光管は、透光性のガラス管の両端部には一対の陰極が設置され、その内周面には蛍光体膜が被着形成され、そのガラス管内に水銀及び希ガスが封入されて構成されている。そして、このガラス管内で放電させることによって水銀の励起放射による約254nmを主体とする紫外線を発生させ、その紫外線により蛍光体を励起して可視光を放射することによって発光光束を得ている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の蛍光体膜は、発光輝度が最も高くなるように粒子径及び膜厚等を制御して成膜している。例えば、粒径約2μm〜5μmの蛍光体と複数の分散剤とを溶液中に分散させた蛍光体懸濁液をガラス管内に吸引塗布し、膜厚約15μm〜40μmの厚さで形成されている。
【0006】
しかしながら、冷陰極蛍光管内の水銀から発生した紫外線のうち、蛍光体の発光に寄与せずに蛍光体粒子間の間隙を通してガラス管に到達して吸収され、ガラス管外の放射されている割合が約10%〜15%程度あり、これによって発光効率を低下させている。
【0007】
また、蛍光体膜中の蛍光体粒子の分布を顕微鏡にて観察すると、比較的小さい粒子の蛍光体同志が集まった凝集体が観察され、蛍光体粒子間に間隙が多く存在するため、紫外線が発光に寄与せずに蛍光体膜を通り抜け易いと考えられる。また、蛍光体粒子間に間隙が多いと、膜強度が低下し、蛍光体膜に剥がれが生じ易くなるなどの課題があった。
【0008】
したがって、本発明は、前述した従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、蛍光体膜による紫外線透過率を低減させることにより、蛍光体膜の発光効率を改善し、蛍光体膜の発光輝度を効率的に増加させ、冷陰極蛍光管の光束量を増大させることにより、液晶表示パネルのバックライトとして輝度向上を図ることができる液晶表示装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために本発明による液晶表示装置は、内面に画素形成用の電極を有する一対の透光性基板の間に液晶層を挟持して構成された液晶表示パネルと、この液晶表示パネルに照明光を照射する少なくとも1本の冷陰極蛍光管を有するバックライトと、液晶表示パネルとバックライトとの間に介挿された光学補償シート積層体と、液晶表示パネル及びバックライトを収容するフレームとを備え、冷陰極蛍光管は、内部に希ガス及び水銀が封入された透光性のガラス管と、このガラス管の両端部に対向して封入配置された一対の冷陰極と、冷陰極に一端が接続し他端がガラス管外に気密封止してガラス管外に導出された電力導入線と、ガラス管の内周面上に形成された蛍光体膜とを備え、この蛍光体膜は、酢酸ブチルとニトロセルロースとの混合溶剤を強攪拌させた懸濁液に蛍光体を混合して再攪拌させて作製した蛍光体懸濁液を塗布して形成されたことを特徴としている。
【0010】
本発明による他の液晶表示装置は、好ましくは、上記構成において、ガラス管の内周面と蛍光体膜との間に紫外線反射膜を介在させたことを特徴としている。
【0011】
また、本発明による他の液晶表示装置は、好ましくは、上記構成において、紫外線反射膜は、ガラス管内周面における管軸方向の塗布長が蛍光体膜の塗布長よりも長いことを特徴としている。
【0012】
本発明による他の液晶表示装置は、好ましくは、上記構成において、紫外線反射膜の材料は、バンドギャップが5eV以上の物質であることを特徴としている。
【0013】
また、本発明による液晶表示装置の製造方法は、蛍光体膜が酢酸ブチルとニトロセルロースとを混合した溶剤を強攪拌させた後に蛍光体及び結着剤を混合し、再攪拌させて作製した蛍光体懸濁液をガラス管の内周面に吸引塗布し、加熱乾燥して形成されたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明による液晶表示装置によれば、冷陰極蛍光管がガラス管の内周面に蛍光体膜が高密度に充填されて形成されたことにより、蛍光体膜の紫外線透過率が大幅に低減でき、これによって冷陰極蛍光管から高輝度発光が得られるので、液晶表示パネルのバックライトとしての輝度の向上を図ることができるとともに、同一輝度で電力の低減(低電力化)にも寄与できるなどの極めて優れた効果が得られる。
【0015】
また、本発明による他の液晶表示装置によれば、冷陰極蛍光管がガラス管の内周面と蛍光体膜との間に紫外線反射膜を介在させたことにより、蛍光体膜を透過して外部に放射する紫外線を反射し、再度蛍光体膜に照射され、蛍光体膜の発光が大となり、冷陰極蛍光管の光束量をさらに増加させることができるので、液晶表示パネルのバックライトとしての輝度の向上を図ることができるという極めて優れた効果が得られる。
【0016】
また、本発明による液晶表示装置によれば、陰極蛍光管の管軸方向の色度差が低減し、均一な冷陰極蛍光管が作製できるとともに、液晶表示装置の出荷及び搬送等での衝撃による膜剥がれ不良が低減でき、品質の安定化が実現可能となるなどの極めて優れた効果が得られる。
【0017】
また、本発明による液晶表示装置によれば、陰極蛍光管の能力向上及び材料費の低減等により製品コストが大幅に低減できるなどの極めて優れた効果が得られる。
【0018】
また、本発明による液晶表示装置の製造方法によれば、冷陰極蛍光管の蛍光体膜がガラス管の内周面に高密度に充填させて形成することができるので、紫外線透過率が低減し、これによって冷陰極蛍光管の光束量を増加させ、液晶表示パネルのバックライトとしての輝度の向上を容易に図ることができるという極めて優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、実施例の図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明による液晶表示装置の一実施例の構成を説明するための模式断面図、図2は図1の模式的展開斜視図である。
【0021】
図1及び図2において、液晶表示パネルLCDは、画素形成用の電極(図示せず)を有する2枚の透光性ガラス基板の間に液晶層が封止されている。一方のガラス基板(通常、アクティブ・マトリクス基板とも称する)の二辺は他方の基板(通常、カラーフィルタ基板とも称する)より食み出た構成となっており、この食み出し部分に走査信号線駆動回路チップGCHを搭載したフレキシブルプリント回路基板FPC1と、データ信号線駆動回路チップDCHを搭載したフレキシブルプリント回路基板FPC2とが実装されている。
【0022】
このような液晶表示装置は、下フレームDFLの内側に反射シートRFSを敷き、その上方には複数本の冷陰極蛍光管CCFLが平行に設置されてバックライトBKLが構成されている。このバックライトBKLの冷陰極蛍光管CCFLの構成については後述する。下フレームDFLは、金属板の成形体により形成され、同じく金属板で形成した上フレームUFLとの間に液晶表示パネルLCDを光学補償シート積層体PHSと共に重ねて一体化する機能も有している。ここで、図2では上フレームUFLは図示を省略してある。
【0023】
液晶表示パネルLCDは、そのサイズが大型化になるのに伴い、一般には冷陰極蛍光管CCFLの管軸方向の長さが大きくなる。冷陰極蛍光管CCFLは直径の小さいガラス管で構成される蛍光灯であり、通常はゴムブッシュGBSによる両端部支持により設置されている。
【0024】
さらに、図示したように照明装置として直下型バックライトを用いた液晶表示装置においては、バックライトBKLの上部(液晶表示パネルLCDとの間)には複数種の光学補償シート積層体PHSが設置されている。この光学補償シート積層体PHSは、拡散板SCBと、第1拡散シートSCS1と、交差して配置された2枚のプリズムシートPRZと、第2拡散シートSCS2とが重ねて構成されている。
【0025】
前述した直下型バックライトBKLは、有底で側縁を有する下フレームDFLの側縁に設けたサイドモールドと称する樹脂製の側部保持枠SMLDを有し、この側部保持枠SMLDに光学補償シート積層体PHSの周端を橋絡させて保持される。
【0026】
また、図示したように導光板GLB及び光学補償シートPHSを保持したバックライトBKLは、モールドフレームMLDで液晶表示パネルLCDと組み合わされた後、上フレームUFLを被せ、この上フレームUFLと下フレームDFLとを図示しない係止部材で結合し、一体化して液晶表示装置が構成される。ここで、液晶表示パネルLCDが大型化される構成においては、光拡散板または光拡散シートを用いることも可能である。
【0027】
図3は、上述した実施例1の本発明による液晶表示装置に実装された冷陰極蛍光管の構成例を示す要部拡大断面図である。図3において、冷陰極蛍光管CCFLは、透光性ガラス管VALの内周面には希土類蛍光体からなる蛍光体膜FLUが被着形成されている。この蛍光体膜FLUの詳細な構成及びその形成方法については後述する。
【0028】
また、この透光性ガラス管VALの両端側内部には、一対の冷陰極ELEが対向して配置され、さらにガラス管VALの内部INSには真空引きした後に不活性ガスとしてネオン−アルゴン(Ne−Ar)ガス及び水銀が封入されて構成されている。
【0029】
一対の冷電極ELEは、例えばニッケル材またはモリブデン材等を例えばプレス成形法によりカップ状に成形されたカップ体CAPがその開口端を主放電領域に向き、その後端底部にはガラス管VALの熱膨張率に近似する例えばニッケル−コバルト−鉄合金からなる電力導入線LEを突き合わせ、例えば抵抗溶接法またはレーザ溶接法により接合されて電気的に接続されて形成されている。
【0030】
この電力導入線LEは、ガラス管VALの両端部にガラスビーズGBEに支持されて気密封着され、一対の冷電極ELEが主放電領域にその開口端を対向させてガラス管VALの両端部に気密封止される。なお、このガラス管VALは、その肉厚が約1.0mm〜1.5mm程度の厚さで形成されている。
【0031】
また、この冷陰極蛍光管CCFLは、そのガラス管VAL本体の肉厚が例えば数100μm程度に対してガラス管VALの両端部の肉厚が約200μm〜300μm程度で形成されている。また、ガラス管VALの外径は、約1.0mm〜10.0mm程度であり、その長さは表示パネルの大きさに対応して約50mm〜800mm程度の大きさで形成される。
【0032】
このように構成された冷陰極蛍光管CCFLは、一対の電力導入線LEに図示しない電源回路(一般にインバータ点灯回路)に接続されて対向する一対の冷電極ELE間に点灯電力が供給される。
【0033】
ここで、上述したガラス管VALの内周面に形成された蛍光体膜FLUの構成及びその形成方法について詳細に説明する。
【0034】
まず、最初に容器内に酢酸ブチルとニトロセルロースとを混合した溶剤を入れ、防爆処理を施したホモジナイザーを用いて初期粘度の約1/3程度になるまで強攪拌する。
【0035】
次に、この溶剤の約40%〜50%と、アルミナ系またはガラス系結着剤を約2%〜10%と、赤・緑・青蛍光体の混合粉を約40%〜60%と、分散保持剤などの添加剤とを加えて十分に混合し、蛍光体懸濁液を作製する。
【0036】
次に、この蛍光体懸濁液をホモジナイザーを用いて初期粘度の約1/2程度になるまで再攪拌する。このときの蛍光体懸濁液の粘度とホモジナイザー処理時間との関係(従来の溶剤及び蛍光体懸濁液の初期粘度を100%としたときの場合)について図4に示す。この蛍光体懸濁液の粘度は、従来品の約1/3程度になる。また、この蛍光体懸濁液中の蛍光体の状態模式図を図5(a)及び図5(b)に示す。なお、図5(a)は当該品を示し、図5(b)は従来品を示している。
【0037】
図5(a)に示した当該品の蛍光体懸濁液の場合は、蛍光体粒子FLの周囲に吸着したニトロセルロース分子鎖NTの広がり(立体障害効果)が大きく、一個一個の蛍光体粒子FLが分散した状態で存在している。一方、図5(b)に示した従来品の蛍光体懸濁液は、ニトロセルロースNTが絡まった状態で吸着しており、複数個の蛍光体粒子FLが固まった状態で存在している。
【0038】
次に、清浄なガラス管を吸引塗布機に直立に取り付ける。そして、このガラス管の下部に蛍光体懸濁液が入った容器を置き、蛍光体懸濁液中にガラス管を接触させ、ガラス管の上部から真空ポンプで減圧すると、蛍光体懸濁液が上昇し、所定の位置まで到達したら、吸引動作を停止する。そして、吸引動作停止後に余分な蛍光体懸濁液が自然落下して容器に戻る。次に、ガラス管の上部から乾燥エアーを一定流速で流し、ガラス管内を乾燥させて蛍光体膜を形成する。その後、ガラス管を吸引塗布機から取り外し、ガラス管の下部に付着した余分な蛍光体懸濁液を拭き取る。
【0039】
その後、ガラス管を焼成炉内に移し、約700℃で約3分間加熱し、溶剤を蒸発させ、蛍光体を固着させる。次に、ガラス管の一方の開口部に放電用冷陰極及び電力導入線をガラス溶融して取り付ける。また、ガラス管の他方の開口部から真空排気装置により排気した後、放電用の不活性ガス及び水銀等を封じ込める。
【0040】
このような方法で作製した冷陰極蛍光管について全光束を測定し、紫外線透過率との関係を図6に示し、膜厚との関係を図7に示す。図6及び図7に示すように当該品の全光束が従来品より向上するのは、紫外線透過率が約2%〜4%の範囲W、膜厚が約12±2μmの範囲Wであり、最大で約5%向上する。また、全光束の向上効果以外に管軸方向の色度差が約1/3に低減し、膜強度が約10%向上する。この範囲での各特性を整理すると、下記表1のようになる。
【0041】
【表1】
【0042】
次に、蛍光体膜の紫外線透過率の測定方法について説明する。ガラス管は紫外線を吸収するためにその状態では、紫外線透過率を正確に測定することができないので、紫外線を透過する石英製ガラス管を用いて様々な膜厚の蛍光体膜を作製した。石英製ガラス管を蛍光体膜表面が露出するように切断して蛍光体膜側から波長約254nmの紫外光を照射したときの発光分を除く透過率と、同時に作製した通常のガラス管冷陰極線管の全光束との関係を図6に示す。
【0043】
図6から明らかなように全光束が従来品より向上する範囲は、紫外線透過率が約2%〜4%の範囲であることが分かる。紫外線透過率が約2%以下の場合は、後述するように可視光の透過率が低いために発光の取り出し効率が低下し、全光束が低下すると考えられる。一方、紫外線透過率が約4%以上の場合は、紫外線がガラス管に吸収されるために発光効率が低下して全光束が低下すると考えられる。
【0044】
図8は、蛍光体膜の紫外線透過率と膜厚との関係を示したものである。図8に示すように当該品の紫外線透過率は、従来品の紫外線透過率とは全く異なり、薄膜域で紫外線透過率を低くすることができることが分かる。
【0045】
また、蛍光体膜の紫外線透過率の他の測定方法として可視光正透過率/積分透過率から決定する方法がある。図9は、可視光正透過率/積分透過率と膜厚との関係を示す。また、図10は紫外線透過率と可視光正透過率/積分透過率との関係を示したものである。図10に示すように紫外線透過率と可視光正透過率/積分透過率とは、当該品及び従来品に係わらず、比例関係にあり、相関性が高い(R2=0.98)。
【0046】
つまり、量産管理や他社球を分析する場合にガラス管の可視光透過率を測定し、図10から蛍光体膜の紫外線透過率を決定することができる。これらの関係から、可視光正透過率/積分透過率と全光束との関係を図11に示す。図11から明らかなように可視光正透過率/積分透過率が0.02〜0.05の範囲で全光束が従来品より向上する。
【0047】
図12は、可視光透過率特性が白色の色温度範囲で適用できるかを調査するために、赤・緑・青の各色の蛍光体の比率を変えたときの冷陰極蛍光管の明るさと、蛍光体膜の可視光正透過率/積分透過率(膜厚約12μm)との関係を示したものである。図12に示すように色温度約500K〜15000Kの範囲で明るさは色温度に寄らず一定であり、可視光透過率は色温度が高いときに約1%程度低下するが、略一定であることを確認できた。
【0048】
図13は、蛍光体膜の断面状態を調査するためにガラス管を切断して蛍光体膜の断面を作製し、顕微鏡にて蛍光体粒子の分布を観察する要部拡大断面図であり、図13(a)は当該品、図13(b)は従来品である。図13(a)に示すように当該品は、蛍光体粒子FLの分布が図13(b)に示す従来品に比べて高密度であり、従来品は粒径の小さい蛍光体粒子が複数個集まった状態でガラス管VALの界面に位置しているのに対し、当該品はガラス管VAL界面に近い所に粒径の大きい蛍光体粒子FLが配置し、粒径の小さい蛍光体粒子は分散して配置されており、図13(a)に示す当該品の膜厚Tが図13(b)に示す従来品の膜厚Tに比べて薄くなって形成されている。
【0049】
図14は、蛍光体膜の管軸方向の膜厚分布を示したものであり、ガラス管を管軸方向に5等分したA〜Eの位置で測定した結果を示してある。蛍光体膜の平均膜厚は、約12μm、管軸方向の膜厚のバラツキは約5%以下であり、従来品より薄く、均一な膜厚分布であった。これらにより、冷陰極蛍光管の管軸方向の色差及び輝度のバラツキが低減していた。
【0050】
図15は、蛍光体膜の強度を調査するために焼成炉で加熱処理した後に蛍光体膜付きガラス管について叩き試験機にて測定を行った結果を示す図である。図15から明らかなように蛍光体膜の強度は従来品に比べて約10%向上していた。
【0051】
図16は、前述した溶剤の強攪拌時間と蛍光体膜の紫外線透過率との関係を示す図である。図16から明らかなように攪拌時間が長くなるにしたがってニトロセルロースの絡み合いが解けて立体障害効果が大きくなり、蛍光体の分解能が高まるため、蛍光体膜の密度が向上し、紫外線透過率が低下する。
【0052】
実施例1の構成によれば、酢酸ブチルとニトロセルロースとの混合溶剤を強攪拌することによって親和性を上げてニトロセルロース分子鎖の絡み合いをなくすことにより、蛍光体を混合させて蛍光体懸濁液にしたときにニトロセルロースNTが蛍光体粒子FLに吸着して生じる立体障害効果を大幅に増大させるために、高密度の蛍光体膜FLUを形成することができる。この蛍光体膜FLUの紫外線透過率は、従来品に比べて大幅に低減させることができる。図6及び図7に示すように紫外線透過率が約2%〜4%、膜厚12±2μmの範囲で紫外線の吸収効率と可視域発光の効率が最大となり、全光束が従来品よりも約5%高くなることが確認できた。
【0053】
また、蛍光体膜FLUを構成する蛍光体粒子FL同士が均一に接触し、高密度に充填されることにより、蛍光体粒子FL間の分子間力が強まり、表1に示したように膜強度が向上する。さらに、赤・緑・青の三色の蛍光体が均一に分散することにより、表1に示すように冷陰極蛍光管CCFLの部分的な色斑を低減できる。また、蛍光体膜FLUが薄膜になるために乾燥時間の短縮が可能になり、生産能力が向上する。
【実施例2】
【0054】
図17は、本発明による液晶表示装置に実装された冷陰極蛍光管の実施例2の構成例を示す要部拡大断面図であり、前述した図3と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。図17において、この冷陰極蛍光管CCFLは、透光性ガラス管VALの内周面に紫外線散乱性の高い紫外線反射膜URLが被着形成され、さらにこの紫外線反射膜URL上には希土類蛍光体からなる蛍光体膜FLUが被着形成されている。この紫外線反射膜URLは、ガラス管VALの内周面における管軸方向の塗布長が蛍光体膜FLUの塗布長よりも長くして被着形成されている。
【0055】
なお、この紫外線反射膜URLの構成物質としては、バンドギャップが約5eV以上(光吸収端波長が約250nm以下)である少なくとも一つの材料により構成されている。このバンドギャップが5eV以上である材料としては、例えばSi3N4、ZrSiO4、La2O3等の少なくとも一つが挙げられるが、バンドギャップが5eV以上であれば、例えばY2O3、MgO、Al2O3、ZrO2等の物質であっても良く、また、これらの中から選ばれる二種類以上の混合物であっても良い。
【0056】
また、この紫外線反射膜URLは蛍光体膜FLUと同様にガラス管VALの管内部INSに吸引塗布法により塗布した後、加熱乾燥することにより成膜される。
【0057】
このような実施例2の構成によれば、蛍光体層FLUを透過し、ガラス管VALの外部に放射してしまう紫外線が管内部INSで反射して散乱し、再度蛍光体膜FLUに照射されるので、蛍光体膜FLUの発光が大きくなり、且つ可視光域の反射が抑制されるので、冷陰極蛍光管CCFLの光束がさらに増加されることになる。
【0058】
この場合、実施例1での紫外線透過率約2%〜4%のうち、約40%が反射されると見積もられるので、全光束を向上させることができる。また、蛍光体膜を構成する蛍光体分子の密度が多少低くても、補うことができるので、溶剤及び蛍光体懸濁液のホモジナイザー処理に要する時間を短縮させることができる。
【0059】
また、実施例2の構成によれば、この紫外線反射層URLは、ガラス管VALの内周面における管軸方向の塗布長が蛍光体層FLUの塗布長よりも長くして被着形成されているので、これによってガラス管VALの管内部INSにおける紫外線の反射を効率良く散乱させ、さらに拡散させることができる。
【0060】
なお、本発明は、上記構成に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱することなく、種々の変更が可能である。
【0061】
また、本発明は、液晶表示装置のバックライトに適用した陰極線蛍光管について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、蛍光ランプ等の各種の照明器具に適用しても、略同等の効果が得られることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明による液晶表示装置の実施例1を説明するための模式断面図である。
【図2】図1の模式的展開斜視図である。
【図3】本発明による液晶表示装置の実施例1に実装された冷陰極蛍光管の構成例を示す模式断面図である。
【図4】蛍光体懸濁液の粘度とホモジナイザー処理時間との関係を示す図である。
【図5】蛍光体懸濁液中の蛍光体の状態模式図であり、図5(a)は当該品を示し、図5(b)は従来品を示している。
【図6】全光束と紫外線透過率との関係を示す図である。
【図7】全光束と膜厚との関係を示す図である。
【図8】蛍光体膜の紫外線透過率と膜厚との関係を示す図である。
【図9】可視光正透過率/積分透過率と膜厚との関係を示す図である。
【図10】紫外線透過率と可視光正透過率/積分透過率との関係を示す図である。
【図11】可視光正透過率/積分透過率と全光束との関係を示す図である。
【図12】冷陰極蛍光管の明るさと蛍光体膜の可視光正透過率/積分透過率(膜厚約12μm)との関係を示す図である。
【図13】顕微鏡にて蛍光体粒子の分布を観察する要部拡大断面図であり、図13(a)は当該品、図13(b)は従来品である。
【図14】蛍光体膜の管軸方向の膜厚分布を示す図である。
【図15】蛍光体膜付きガラス管について叩き試験機にて測定を行った結果を示す図である。
【図16】溶剤の強攪拌時間と蛍光体膜の紫外線透過率との関係を示す図である。
【図17】液晶表示装置に実装された冷陰極蛍光管の実施例2の構成例を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0063】
LCD・・・液晶表示パネル、SCB・・・拡散板、SCS・・・拡散シート、SCS1・・・第1拡散シート、SCS2・・・第2拡散シート、PRZ・・・プリズムシート、PHS・・・光学補償シート積層体、GLB・・・導光板、RFS・・・反射シート、UFL・・・上フレーム、DFL・・・下フレーム、BKL・・・バックライト、CCFL・・・冷陰極蛍光管、VAL・・・ガラス管、INS・・・管内部、URL・・・紫外線反射膜、FLU・・・蛍光体膜、FL・・・蛍光体粒子、NT・・・ニトロセルロース、ELE・・・冷電極、LE・・・電力導入線、GBE・・・ガラスビーズ、CA・・・カップ体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面に画素形成用の電極を有する一対の透光性基板の間に液晶層を挟持して構成された液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルに照明光を照射する少なくとも1本の冷陰極蛍光管を有するバックライトと、
前記液晶表示パネルと前記バックライトとの間に介挿された光学補償シート積層体と、
前記液晶表示パネル及び前記バックライトを収容するフレームと、
を備えた液晶表示装置であって、
前記冷陰極蛍光管は、内部に希ガス及び水銀が封入された透光性のガラス管と、
前記ガラス管の両端部に対向して封入配置された一対の冷陰極と、
前記冷陰極に一端が接続し他端が前記ガラス管外に気密封止して当該ガラス管外に導出された電力導入線と、
前記ガラス管の内周面上に形成された蛍光体膜と、
を備え、
前記蛍光体膜は、酢酸ブチルとニトロセルロースとの混合溶剤を強攪拌させた懸濁液に蛍光体を混合して再攪拌させて作製した蛍光体懸濁液を塗布して形成されたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記ガラス管の内周面と前記蛍光体膜との間に紫外線反射膜を介在させたことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記紫外線反射膜の材料は、バンドギャップが5eV以上の物質であることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記紫外線反射膜は、前記ガラス管内周面における管軸方向の塗布長が前記蛍光体膜の塗布長よりも長いことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
内面に画素形成用の電極を有する一対の透光性基板の間に液晶層を挟持して構成された液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルに照明光を照射する少なくとも1本の冷陰極蛍光管を有するバックライトと、
前記液晶表示パネルと前記バックライトとの間に介挿された光学補償シート積層体と、
前記液晶表示パネル及び前記バックライトを収容するフレームと、
を備えた液晶表示装置であって、
前記冷陰極蛍光管は、内部に希ガス及び水銀が封入された透光性のガラス管と、
前記ガラス管の両端部に対向して封入配置された一対の冷陰極と、
前記冷陰極に一端が接続し他端が前記ガラス管外に気密封止して当該ガラス管外に導出された電力導入線と、
前記ガラス管の内周面上に形成された蛍光体膜と、
を備え、
前記蛍光体膜は、酢酸ブチルとニトロセルロースとを混合した溶剤を強攪拌させた後に蛍光体及び結着剤を混合し、再攪拌させて作製した蛍光体懸濁液をガラス管の内周面に吸引塗布し、加熱乾燥して形成されたことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項1】
内面に画素形成用の電極を有する一対の透光性基板の間に液晶層を挟持して構成された液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルに照明光を照射する少なくとも1本の冷陰極蛍光管を有するバックライトと、
前記液晶表示パネルと前記バックライトとの間に介挿された光学補償シート積層体と、
前記液晶表示パネル及び前記バックライトを収容するフレームと、
を備えた液晶表示装置であって、
前記冷陰極蛍光管は、内部に希ガス及び水銀が封入された透光性のガラス管と、
前記ガラス管の両端部に対向して封入配置された一対の冷陰極と、
前記冷陰極に一端が接続し他端が前記ガラス管外に気密封止して当該ガラス管外に導出された電力導入線と、
前記ガラス管の内周面上に形成された蛍光体膜と、
を備え、
前記蛍光体膜は、酢酸ブチルとニトロセルロースとの混合溶剤を強攪拌させた懸濁液に蛍光体を混合して再攪拌させて作製した蛍光体懸濁液を塗布して形成されたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記ガラス管の内周面と前記蛍光体膜との間に紫外線反射膜を介在させたことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記紫外線反射膜の材料は、バンドギャップが5eV以上の物質であることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記紫外線反射膜は、前記ガラス管内周面における管軸方向の塗布長が前記蛍光体膜の塗布長よりも長いことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
内面に画素形成用の電極を有する一対の透光性基板の間に液晶層を挟持して構成された液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルに照明光を照射する少なくとも1本の冷陰極蛍光管を有するバックライトと、
前記液晶表示パネルと前記バックライトとの間に介挿された光学補償シート積層体と、
前記液晶表示パネル及び前記バックライトを収容するフレームと、
を備えた液晶表示装置であって、
前記冷陰極蛍光管は、内部に希ガス及び水銀が封入された透光性のガラス管と、
前記ガラス管の両端部に対向して封入配置された一対の冷陰極と、
前記冷陰極に一端が接続し他端が前記ガラス管外に気密封止して当該ガラス管外に導出された電力導入線と、
前記ガラス管の内周面上に形成された蛍光体膜と、
を備え、
前記蛍光体膜は、酢酸ブチルとニトロセルロースとを混合した溶剤を強攪拌させた後に蛍光体及び結着剤を混合し、再攪拌させて作製した蛍光体懸濁液をガラス管の内周面に吸引塗布し、加熱乾燥して形成されたことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−16177(P2009−16177A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−176469(P2007−176469)
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(503273790)株式会社日立ディスプレイデバイシズ (97)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(503273790)株式会社日立ディスプレイデバイシズ (97)
【Fターム(参考)】
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