説明

液晶表示装置及びその駆動方法

【課題】従来に比べて焼き付き防止を十分に行うと共に、逆電圧画像のための無駄なデータ転送を不要にする。
【解決手段】映像信号の各フレームを映像信号の1フレーム期間より短い表示期間を持つ12個のサブフレームで表示する液晶表示装置であり、電圧制御部38はサブフレームの1サブフレーム期間を1周期とする対称方形波で、かつ、互いに逆極性のブランキング電圧及び駆動電圧を発生し、ブランキング電圧線V0及び駆動電圧線V1へ供給する。ブランキング電圧はサブフレーム期間の前半期間である駆動期間において黒電圧Vb、サブフレーム期間の後半期間である補償駆動期間において白電圧Vwである。駆動電圧は駆動期間では白電圧Vw、補償駆動期間では黒電圧Vbである。画素20は、サブフレームデータが1か0かにより駆動電圧又はブランキング電圧を選択して階調0のときも交流駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置及びその駆動方法に係り、特に強誘電性液晶を画素に用いた反射型液晶表示装置(LCOS)等の液晶表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印加電圧に対する応答速度がTN(Twisted Nematic)液晶に比べて高速である、自発分極を有する強誘電性液晶(Ferroelectric Liquid Crystal:FLC)を画素に用いた強誘電性液晶表示装置は、優れた動画表示機能を有する特長がある。なお、反強誘電性液晶(Anti- Ferroelectric Liquid Crystal:AFLC)を画素に用いることも可能である。
【0003】
このような強誘電性液晶を用いた液晶表示装置の駆動方法としては、主に振幅変調を用いたアナログ駆動方式と、パルス幅変調を用いたデジタル駆動方式の2つがある。デジタル駆動方式はアナログ駆動方式に比べて、電気的な調整が簡単であるなどの特長がある。上記のデジタル駆動方式の液晶表示装置では、表示する映像信号の各フレームを1フレーム期間より短時間である表示期間をもつ複数のサブフレームにより構成し、それら複数のサブフレームを選択的にオン、又はオフにして1フレームの画像を複数の階調で表示する際に、前半期間と後半期間とで液晶に印加する電圧の正負を反転させて交流駆動することで、液晶に印加される駆動電圧の直流成分をキャンセルして画像のちらつき(フリッカー)や直流電圧印加による液晶材料の劣化を抑制するようにしている。
【0004】
しかし、上記のデジタル駆動方式の液晶表示装置では、1フレーム期間全体でバックライトが点灯されているのに対し、各フレームの前半期間及び後半期間のうち前半期間でのみ画像表示に寄与しないためにバックライトの光利用率が悪い。そこで、従来、この問題を解決するために、各サブフレームをデータ書き込み期間、データ保持期間、データ消去期間及びリセット期間に分割し、データ電圧を保持しているデータ保持期間のみバックライトを点灯させると共に、データ保持期間をサブフレーム期間の1/2を超えるように設定することで、各サブフレーム内においてデータ保持に寄与する時間を増加させて画面の輝度を向上させるようにした強誘電性液晶表示装置の駆動方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、上記のデジタル駆動方式の液晶表示装置では、液晶表示装置が表面に複数の画素電極が形成された第1の基板と、表面に共通電極が形成された第2の基板とを、画素電極と共通電極とが離間対向するように配置すると共に、それら第1及び第2の基板の間に液晶層を封入する構造であるが、第1及び第2の基板が異種材料であることに起因して発生する電圧レベルシフトにより、各サブフレームの前半期間と後半期間とで液晶層に印加される正負の駆動電圧の対称性が崩れてしまい、画像のちらつき(フリッカー)や直流電圧印加による液晶材料の劣化の抑制効果が不十分である。
【0006】
そこで、従来、この問題を解決するために、各サブフレームの表示期間を前半表示期間と後半表示期間に区分し、更に前半表示期間の長さと画素電極及び共通電極の間の電位差との積と、後半表示期間の長さと画素電極及び共通電極の間の電位差との積との比を設定するようにした液晶表示装置の駆動方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
また、上記の第1の基板と第2の基板との間の電位差(縦方向の電界)の時間総和がゼロでない場合、すなわち、電圧の直流成分が有る場合、直流成分の偏りにより強誘電性液晶の内部イオンが一方向に引き付けられ、焼き付き不良が発生するといわれている。静止画表示の場合は、各フィールドの画像が同じため、同一画素(同一箇所)での直流成分の偏りが重畳され焼き付き不良が顕在化される。
【0008】
そこで、上記の縦方向の電界による焼き付き不良は、画素電極と共通電極との間に印加される電圧の電位差の直流成分により決まるので、その直流成分を打ち消すように逆電圧を印加する(これはDCバランス駆動と呼ばれる)ことで、焼き付き不良を防止する液晶表示装置の駆動方法も従来知られている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−219938号公報
【特許文献2】特開2008−122839号公報
【特許文献3】特表2006−522372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の特許文献1記載の強誘電性液晶表示装置の駆動方法では、各サブフレームのデータ消去期間をデータ書き込み期間及びデータ保持期間のデータ電圧と異なる極性の電圧を印加する期間とするか、あるいはデータ消去期間を前半期間と後半期間とに分け、互いに異なる極性の消去電圧を出力する期間とすることで液晶の交流駆動を行っている。また、上記の特許文献2記載の液晶表示装置の駆動方法では、各サブフレームの前半表示期間と後半表示期間とで異なる極性の画素データを液晶に印加することで液晶の交流駆動を行っている。
【0011】
しかしながら、上記の特許文献1及び2記載の従来の液晶表示装置の駆動方法では、表示する画像の階調が「0」であるとき(すなわち、最小輝度の黒表示のとき)、各サブフレームにおいて同一の極性の電圧が印加されるため、交流駆動されず、焼き付き不良の防止効果が不十分である。また、上記の特許文献3記載の従来の液晶表示装置の駆動方法でも、同様に最小輝度の黒表示のときには交流駆動されず、焼き付き不良の防止効果が不十分である。
【0012】
また、上記の特許文献1乃至3記載の従来の液晶表示装置の駆動方法では、いずれも各サブフレームにおいて液晶の交流駆動を行うことで、画像のちらつき(フリッカー)や直流電圧印加による液晶材料の劣化を抑制しているが、1フレーム内のサブフレームの数が多くても4〜5程度であり、焼き付き防止としては不十分である。更に、上記の特許文献3記載の従来の液晶表示装置の駆動方法では、映像表示に用いることができない逆電圧画像のためのデータも送る必要があり、コスト的にも無駄である。
【0013】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、従来に比べて焼き付き防止を十分に行うことができる液晶表示装置及びその駆動方法を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明の他の目的は、逆電圧画像のための無駄なデータ転送を不要とし得る液晶表示装置及びその駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するため、本発明の液晶表示装置は、複数の列データ線と複数の行選択線とが交差する各交差部に配置されると共に、転送用信号線、ブランキング電圧線及び駆動電圧線に共通に接続された、それぞれ液晶素子を備える複数の画素からなる画素部と、映像信号の各フレームを映像信号の1フレーム期間より短い表示期間を持つ複数のサブフレームで構成するため、映像信号から階調テーブルに基づいて映像信号の各画素値に対応した第1の値又は第2の値である複数のサブフレームのサブフレームデータを生成するサブフレームデータ生成手段と、1水平走査期間毎に行選択信号を複数の行選択線に順次に供給して画素部の複数の画素をライン単位の画素毎に順次に選択すると共に、1ラインの各画素のサブフレームデータを1ラインの画素単位に複数の列データ線に供給し、画素部の複数の画素のすべてにサブフレームデータを供給した時に転送用信号線に転送用信号を供給する画素部駆動手段と、サブフレームの1サブフレーム期間を1周期とする対称方形波で、かつ、互いに逆極性のブランキング電圧及び駆動電圧を発生し、ブランキング電圧は1サブフレーム期間の前半期間である駆動期間において液晶素子が最小輝度を示す第1の電圧値とし、1サブフレーム期間の後半期間である補償駆動期間において液晶素子が最大輝度を示す第2の電圧値としてブランキング電圧線に供給し、駆動電圧は駆動期間では第2の電圧値とし、補償駆動期間では第1の電圧値として駆動電圧線に供給すると共に、第1の電圧値と第2の電圧値との中間電圧である第3の電圧値を共通電圧として発生する電圧発生手段と、照明光を射出して複数の画素の液晶素子にそれぞれ共通に照射する光源と、駆動期間では複数のサブフレームのうち各サブフレーム毎の重み付けに応じた発光期間又は発光強度で光源から照明光を射出させ、補償駆動期間では光源からの照明光の射出を停止させるように光源を制御する光源制御手段と、を備え、複数の画素はそれぞれ、
画素電極と共通電極との間の空間に強誘電性の液晶層が封入され、共通電極には電圧発生手段から共通電圧が印加される液晶素子と、行選択線を介して行選択信号が供給されたときに、列データ線を介して供給されるサブフレームデータをサンプリング保持する第1の保持手段と、転送用信号線を介して供給される転送用信号により、第1の保持手段に保持されているサブフレームデータを転送する転送手段と、転送手段により転送された第1の保持手段に保持されているサブフレームデータを保持する第2の保持手段と、第2の保持手段に保持された2値のサブフレームデータが第1の値のときはブランキング電圧線を介して供給されるブランキング電圧を選択し、サブフレームデータが第2の値のときは駆動電圧線を介して供給される駆動電圧を選択して、画素電極に印加して交流駆動する電圧選択手段と、を有し、
画素電極に印加されるサブフレームデータが第2の値で、かつ、光源制御手段の制御により光源から照明光が射出される駆動期間でのみ、その画素電極を備える液晶素子により最大輝度の表示を行わせ、画素電極に印加されるサブフレームデータが第1の値のとき、及び補償駆動期間では液晶素子により最小輝度の表示を行わせることを特徴とする。
【0016】
また、上記の目的を達成するため、本発明の液晶表示装置は、複数の列データ線と複数の行選択線とが交差する各交差部に配置されると共に、ブランキング電圧線及び駆動電圧線に共通に接続された、それぞれ液晶素子を備える複数の画素からなる画素部と、映像信号の各フレームを映像信号の1フレーム期間より短い表示期間を持つ複数のサブフレームで構成するため、映像信号から階調テーブルに基づいて映像信号の各画素値に対応した第1の値又は第2の値である複数のサブフレームのサブフレームデータを生成するサブフレームデータ生成手段と、1水平走査期間毎に行選択信号を複数の行選択線に順次に供給して画素部の複数の画素をライン単位の画素毎に順次に選択すると共に、1ラインの各画素のサブフレームデータを1ラインの画素単位に複数の列データ線に供給し、サブフレームの1サブフレーム期間の前半期間である補償駆動期間内で、画素部の複数の画素のすべてにそのサブフレームのサブフレームデータを複数の列データ線を介して供給する画素部駆動手段と、サブフレームの1サブフレーム期間を1周期とする対称方形波で、かつ、互いに逆極性のブランキング電圧及び駆動電圧を発生し、ブランキング電圧は補償駆動期間において液晶素子が最大輝度を示す第1の電圧値とし、1サブフレーム期間の後半期間である駆動期間において液晶素子が最小輝度を示す第2の電圧値としてブランキング電圧線に供給し、駆動電圧は補償駆動期間では第2の電圧値とし、駆動期間では第1の電圧値として駆動電圧線に供給すると共に、第1の電圧値と第2の電圧値との中間電圧である第3の電圧値を共通電圧として発生する電圧発生手段と、照明光を射出して複数の画素の液晶素子にそれぞれ共通に照射する光源と、補償駆動期間では光源からの照明光の射出を停止させ、駆動期間では複数のサブフレームのうち各サブフレーム毎の重み付けに応じた発光期間又は発光強度で光源から照明光を射出させるように光源を制御する光源制御手段と、を備え、複数の画素はそれぞれ、
画素電極と共通電極との間の空間に強誘電性の液晶層が封入され、共通電極には電圧発生手段から共通電圧が印加される液晶素子と、行選択線を介して行選択信号が供給されたときに、補償駆動期間内で列データ線を介して供給されるサブフレームデータをサンプリング保持する保持手段と、保持手段に保持された2値のサブフレームデータが第1の値のときはブランキング電圧線を介して供給されるブランキング電圧を選択し、サブフレームデータが第2の値のときは駆動電圧線を介して供給される駆動電圧を選択して、画素電極に印加して交流駆動する電圧選択手段と、を有し、
画素電極に印加されるサブフレームデータが第2の値で、かつ、光源制御手段の制御により光源から照明光が射出される駆動期間でのみ、その画素電極を備える液晶素子により最大輝度の表示を行わせ、画素電極に印加されるサブフレームデータが第1の値のとき、及び補償駆動期間では液晶素子により最小輝度の表示を行わせることを特徴とする。
【0017】
また、上記の目的を達成するため、本発明の液晶表示装置は、上記サブフレームデータ生成手段が、映像信号から階調テーブルに基づいて10以上の予め設定した数のサブフレームのサブフレームデータを生成することを特徴とする。
【0018】
また、上記の目的を達成するため、本発明の液晶表示装置は、上記光源制御手段が、駆動期間における光源の発光期間を、複数のサブフレームのうち重み付けが大きなサブフレームほど駆動期間の終端側から始端方向へ長くし、重み付けが最大のサブフレームにおいて駆動期間の全期間を発光期間とするように、光源を制御することを特徴とする。
【0019】
また、上記の目的を達成するため、本発明の液晶表示装置の駆動方法は、複数の列データ線と複数の行選択線とが交差する各交差部に配置されると共に、転送用信号線、ブランキング電圧線及び駆動電圧線に共通に接続された複数の画素からなる画素部の複数の画素はそれぞれ、画素電極と共通電極との間の空間に強誘電性の液晶層が封入され、共通電極には共通電圧が印加される液晶素子と、映像信号の各フレームを映像信号の1フレーム期間より短い表示期間を持つ複数のサブフレームで構成するとき、複数のサブフレームの列データ線を介して供給されるサブフレームデータを、行選択線を介して行選択信号が供給されたときにサンプリング保持する第1の保持手段と、転送用信号線を介して供給される転送用信号により、第1の保持手段に保持されているサブフレームデータを転送する転送手段と、転送手段により転送された第1の保持手段に保持されているサブフレームデータを保持する第2の保持手段と、第2の保持手段に保持された2値のサブフレームデータが第1の値のときはブランキング電圧線を介して供給されるブランキング電圧を選択し、サブフレームデータが第2の値のときは駆動電圧線を介して供給される駆動電圧を選択して、画素電極に印加して交流駆動する電圧選択手段と、を有する液晶表示装置に対して、
映像信号から階調テーブルに基づいて映像信号の各画素値に対応した第1の値又は第2の値である複数のサブフレームのサブフレームデータを生成するサブフレームデータ生成ステップと、1水平走査期間毎に行選択信号を複数の行選択線に順次に供給して画素部の複数の画素をライン単位の画素毎に順次に選択すると共に、1ラインの各画素のサブフレームデータを1ラインの画素単位に複数の列データ線に供給し、画素部の複数の画素のすべてにサブフレームデータを供給した時に転送用信号線に転送用信号を供給する画素部駆動ステップと、サブフレームの1サブフレーム期間を1周期とする対称方形波で、かつ、互いに逆極性のブランキング電圧及び駆動電圧を発生し、ブランキング電圧は1サブフレーム期間の前半期間である駆動期間において液晶素子が最小輝度を示す第1の電圧値とし、1サブフレーム期間の後半期間である補償駆動期間において液晶素子が最大輝度を示す第2の電圧値としてブランキング電圧線に供給し、駆動電圧は駆動期間では第2の電圧値とし、補償駆動期間では第1の電圧値として駆動電圧線に供給すると共に、第1の電圧値と第2の電圧値との中間電圧である第3の電圧値を共通電圧として発生して共通電極に印加する電圧発生ステップと、駆動期間では複数のサブフレームのうち各サブフレーム毎の重み付けに応じた発光期間又は発光強度で、照明光を射出して複数の画素の液晶素子にそれぞれ共通に照射する光源から照明光を射出させ、補償駆動期間では光源からの照明光の射出を停止させるように光源を制御する光源制御ステップと、を含み、画素電極に印加されるサブフレームデータが第2の値で、かつ、光源制御ステップの制御により光源から照明光が射出される駆動期間でのみ、その画素電極を備える液晶素子により最大輝度の表示を行わせ、画素電極に印加されるサブフレームデータが第1の値のとき、及び補償駆動期間では液晶素子により最小輝度の表示を行わせることを特徴とする。
【0020】
また、上記の目的を達成するため、本発明の液晶表示装置の駆動方法は、複数の列データ線と複数の行選択線とが交差する各交差部に配置されると共に、ブランキング電圧線及び駆動電圧線に共通に接続された複数の画素からなる画素部の複数の画素はそれぞれ、画素電極と共通電極との間の空間に強誘電性の液晶層が封入され、共通電極には共通電圧が印加される液晶素子と、映像信号の各フレームを映像信号の1フレーム期間より短い表示期間を持つ複数のサブフレームで構成するとき、サブフレームの1サブフレーム期間の前半期間である補償駆動期間内で列データ線を介して供給されるサブフレームのサブフレームデータを、行選択線を介して行選択信号が供給されたときにサンプリング保持する保持手段と、保持手段に保持された2値のサブフレームデータが第1の値のときはブランキング電圧線を介して供給されるブランキング電圧を選択し、サブフレームデータが第2の値のときは駆動電圧線を介して供給される駆動電圧を選択して、画素電極に印加して交流駆動する電圧選択手段とを有する液晶表示装置に対して、
映像信号から階調テーブルに基づいて映像信号の各画素値に対応した第1の値又は第2の値である複数のサブフレームのサブフレームデータを生成するサブフレームデータ生成ステップと、1水平走査期間毎に行選択信号を複数の行選択線に順次に供給して画素部の複数の画素をライン単位の画素毎に順次に選択すると共に、1ラインの各画素のサブフレームデータを1ラインの画素単位に複数の列データ線に供給し、補償駆動期間内で、画素部の複数の画素のすべてにそのサブフレームのサブフレームデータを複数の列データ線を介して供給する画素部駆動ステップと、サブフレームの1サブフレーム期間を1周期とする対称方形波で、かつ、互いに逆極性のブランキング電圧及び駆動電圧を発生し、ブランキング電圧は補償駆動期間において液晶素子が最大輝度を示す第1の電圧値とし、1サブフレーム期間の後半期間である駆動期間において液晶素子が最小輝度を示す第2の電圧値としてブランキング電圧線に供給し、駆動電圧は補償駆動期間では第2の電圧値とし、駆動期間では第1の電圧値として駆動電圧線に供給すると共に、第1の電圧値と第2の電圧値との中間電圧である第3の電圧値を共通電圧として発生して共通電極に印加する電圧発生ステップと、補償駆動期間では、照明光を射出して複数の画素の液晶素子にそれぞれ共通に照射する光源から照明光の射出を停止させ、駆動期間では複数のサブフレームのうち各サブフレーム毎の重み付けに応じた発光期間又は発光強度で光源から照明光を射出させるように光源を制御する光源制御ステップと、を含み、
画素電極に印加されるサブフレームデータが第2の値で、かつ、光源制御ステップの制御により光源から照明光が射出される駆動期間でのみ、その画素電極を備える液晶素子により最大輝度の表示を行わせ、画素電極に印加されるサブフレームデータが第1の値のとき、及び補償駆動期間では液晶素子により最小輝度の表示を行わせることを特徴とする。
【0021】
更に、上記の目的を達成するため、本発明の液晶表示装置の駆動方法は、上記の電圧発生ステップが、映像信号の各フレームを構成する複数のサブフレームのうち、1フレーム期間内の最後のサブフレームの駆動期間の終了時刻から、次の1フレーム期間内の最初のサブフレームの補償駆動期間の開始時刻までの期間は、第1の電圧値と第2の電圧値を第3の電圧値と等しい値で発生して非駆動期間とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、従来に比べて焼き付き防止効果を向上することができる。また、逆電圧画像のための無駄なデータ転送を不要にできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明が適用される反射型液晶表示素子を用いた投射型表示装置の一例の概略構成図である。
【図2】図1中のデジタル駆動の反射型液晶表示素子の第1の実施の形態の一画素の構成図である。
【図3】強誘電性液晶を用いた反射型液晶表示素子の入力電圧と出力光の強度との関係を示す図である。
【図4】本発明の液晶表示装置の第1の実施の形態のブロック図である。
【図5】図2及び図4の各部の信号説明図である。
【図6】本発明の液晶表示装置の第1の実施の形態における駆動パターンの一例の説明図である。
【図7】本発明の液晶表示装置中のサブフレームデータ変換部で用いる階調テーブルの一例を示す図である。
【図8】図2及び図4の動作説明用タイミングチャートである。
【図9】図1中のデジタル駆動の反射型液晶表示素子の第2の実施の形態の一画素の構成図である。
【図10】本発明の液晶表示装置の第2の実施の形態のブロック図である。
【図11】図9及び図10の各部の信号説明図である。
【図12】本発明の液晶表示装置の第2の実施の形態における駆動パターンの一例の説明図である。
【図13】図9及び図10の動作説明用タイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明の各実施の形態について図面を参照して説明する。
【0025】
本発明は、各々強誘電性液晶を備える複数の画素がマトリクス状に配列された表示パネルを備えるパネル型液晶表示装置に適用できるものであるが、以下の各実施の形態では表示パネルとしてアクティブマトリクス型の反射型液晶表示素子を備えた投射型表示装置を例にして説明する。まず、本発明が適用される投射型表示装置及び反射型液晶表示素子の概略構成について説明する。
【0026】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明が適用される反射型液晶表示素子を用いた投射型表示装置の一例の概略構成図を示す。同図において、投射型表示装置10は、反射型液晶表示素子11、偏光ビームスプリッタ(以下、PBSという)16、投射レンズ17を含んで構成され、投射レンズ17から照射された光はスクリーン18に投射される。
【0027】
反射型液晶表示素子11は、導電性及び光反射性をそれぞれ有する複数の画素電極12と、強誘電性液晶による液晶層13と、複数の画素電極12に共通の導電性及び光透過性を有する共通電極(透明電極)14と、画素回路15とを含む。複数の画素電極12は第1の基板(図示せず)の表面に二次元マトリクス状に配置されている。なお、図1では、複数の画素電極12のうちの任意の一つの画素電極のみを示している。共通電極14は第2の基板(図示せず)の表面に形成されている。液晶層13は、強誘電性の液晶からなり、画素電極12及び共通電極14が対向するように第1の基板と第2の基板とが離間配置されて形成された基板間の空間内に封入されている。なお、画素電極12、共通電極14の各表面には配向膜(図示せず)が被覆されている。画素回路15は、本発明の要部をなす後述する駆動制御部34その他からなる駆動回路と共に第1の基板に設けられており、画素電極12に電気的に接続されている。
【0028】
投射型表示装置10では、図示しない照明光学系から射出したバックライトである入射光L1がPBS16に入射する。入射光L1は、互いに偏光面が直交するS偏光成分とP偏光成分とを含んでいる。図1において、P偏光成分は線分で、またS偏光成分は丸でそれぞれ模式的に示されている。PBS16は入射する光のS偏光成分を反射し、P偏光成分を透過する光学特性を有している。従って、PBS16は入射光L1のS偏光成分を反射し、共通電極14に入射する。
【0029】
反射型液晶表示素子11は、共通電極14に入射したS偏光成分を液晶層13を通して画素電極12に入射して反射させ、更に画素電極12からの反射光を液晶層13及び共通電極14をそれぞれ通して射出する。ここで、反射型液晶表示素子11は、共通電極14に入射したS偏光成分が画素電極12で反射して共通電極14から射出するまでの上記の過程で、画素電極12に印加される画素データに応じた駆動電圧と、共通電極14に印加される共通電圧との間の電位差に応じて、共通電極14に入射したS偏光成分を変調し、S偏光成分の一部をP偏光成分として、S偏光成分とP偏光成分とからなる光として射出する。
【0030】
PBS16は、反射型液晶表示素子11から射出された上記の光のうちP偏光成分を透過して投射レンズ17に入射し、S偏光成分は反射して照明光学系へ入射する。投射レンズ17は、PBS16からのP偏光成分を出射光L2としてスクリーン18に投射し画像を表示させる。なお、後述する「出力光の強度」とは、スクリーン18上で測定した出射光L2の照度をいう。
【0031】
図2は、本発明になる液晶表示装置の第1の実施の形態の一画素の構成図を示す。図2において、本発明になる液晶表示装置の第1の実施の形態における反射型液晶表示素子11の一つの画素20は、画素回路15aと液晶素子LCとからなり、列データ線Dと行選択線Wとの交差部に配置されている。液晶素子LCは前述したように、画素電極12及び共通電極14が対向するように第1の基板と第2の基板とが離間配置されて形成された基板間の空間内に強誘電性の液晶層13が封入された構成とされている。
【0032】
一方、画素回路15aは、図1の画素回路15の第1の実施の形態で、図2に示すように、サブサンプルホールド部21、転送用スイッチングトランジスタ22、メインサンプルホールド部23、及び電圧選択部24からなる。サブサンプルホールド部21とメインサンプルホールド部23とはSRAM(Static Random Access Memory)構造のフリップフロップよりなる。サブサンプルホールド部21は、列データ線Dと行選択線Wとに接続されており、行選択線Wを介して印加される行選択信号により選択されたときに、列データ線Dを介して供給される画素データをサンプリング及びホールドする。
【0033】
転送用スイッチングトランジスタ22は、ソースがサブサンプルホールド部21の出力端子に接続され、ドレインがメインサンプルホールド部23の入力端子に接続され、ゲートが転送用信号線Tに接続されており、転送用信号線Tを介して所定論理値の転送用信号が印加されたときにアクティブとされて、サブサンプルホールド部21にホールドされているサブフレームデータ(画素データ電圧)をメインサンプルホールド部23に転送する。
【0034】
メインサンプルホールド部23は、転送用スイッチングトランジスタ22を通して入力されたサブフレームデータ(画素データ電圧)をサンプリング及びホールドする。電圧選択部24は、ブランキング電圧線V0、駆動電圧線V1に接続されている。電圧選択部24の出力端子は画素電極12に接続されている。電圧選択部24はメインサンプルホールド部23により保持されているサブフレームデータ(画素データ電圧)の値が「0」であるか「1」であるかに応じて、ブランキング電圧線V0のブランキング電圧及び駆動電圧線V1の駆動電圧の一方を選択して画素電極12に印加する。共通電極14に印加される電圧は共通電圧Vcomと呼ばれている。
【0035】
図3は、各実施の形態における強誘電性液晶を用いた反射型液晶表示素子11の入力電圧と出力光の強度との関係を示す図である。図3において、横軸は入力電圧であり、画素電極12と共通電極14との間の電位差、すなわち液晶層13の駆動電圧を示す。
また、図3の縦軸は、液晶層13から射出される出力光の強度(輝度)を示す。
【0036】
液晶層13は、電圧Vb[V]印加時に最小輝度の黒表示を行い、電圧Vw[V]印加時に最大輝度の白表示を行う(なお、以下の説明では電圧Vbを黒電圧、電圧Vwを白電圧ともいう)。ただし、液晶層13を構成する強誘電性液晶は、図3に示すように、入力電圧が黒電圧Vb[V]から白電圧Vw[V]へ徐々に増加するときは、図3にIで示すように出力光の強度が変化する特性を示し、入力電圧が白電圧Vw[V]から黒電圧Vb[V]へ徐々に減少するときは、図3にIIで示すように出力光の強度が変化する特性を示し、両特性が異なるヒステリシス特性を有する。このため、入力電圧が黒電圧Vb[V]と白電圧Vw[V]との中間の0[V]印加時は直前の電圧により、輝度が変わってしまう。本実施の形態では、この強誘電性液晶の特性に鑑み、液晶表示素子には後述するように黒電圧Vb[V]及び白電圧Vw[V]のどちらか一方が印加されるようにする。なお、黒電圧Vb[V]は負電圧であり、白電圧Vw[V]は正電圧である。
【0037】
図4は、本発明になる液晶表示装置の第1の実施の形態のブロック図を示す。同図に示すように、本実施の形態の液晶表示装置30は、サブフレームデータ変換部31、メモリ制御部32、フレームバッファA331及びフレームバッファB332、駆動制御部34、LED制御部35、データ転送部36、ソースドライバ37、電圧制御部38、ゲートドライバ39、画素部40を含んで構成されている。
【0038】
画素部40は、n+1本の列データ線D0〜Dnと、m+1本の行選択線W0〜Wmとが交差する各交差部に配置された、全部で(n+1)×(m+1)個の画素20から構成される。一つの画素20は、図2に示した画素20の構成である。また、画素部40の全ての画素20は、各電圧選択部24にブランキング電圧線V0及び駆動電圧線V1が共通に接続され、各転送用スイッチングトランジスタ22のゲートに転送用信号線Tが共通に接続されている。
【0039】
LED制御部35は、前述した照明光学系を構成する発光ダイオード(LED)42を点灯又は消灯するように駆動制御する。また、LED制御部35は、LED重み付けテーブルを有し、そのLED重み付けテーブルに基づいて、後述するように各サブフレーム毎にLED35の発光期間を予め決定する機能を備えている。
【0040】
サブフレームデータ変換部31は、後述する図7のサブフレーム階調テーブルを有し、表示する映像信号データを1フレーム毎に、例えば12個のサブフレームデータに変換して出力する。従って、表示する映像信号データが1秒あたり60フレームの信号であるものとすると、上記の12個のサブフレームデータの各データ期間はそれぞれ1389μs(=1/(60×12)s)となる。また、サブフレームデータ変換部31が出力する12個の各1ビットのサブフレームデータの各値は、表示する映像信号データの画素値(階調値)に応じてサブフレーム階調テーブルを参照した値とされる。このように、本実施の形態の液晶表示装置30では、表示する映像信号の各フレームを、それぞれ1フレーム期間より短時間であるサブフレーム期間をもつ12個のサブフレームにより構成して、画素20をデジタル駆動する。
【0041】
メモリ制御部32は、サブフレームデータ変換部31から供給される例えば1フレームあたり12ビットのサブフレームデータを2つのフレームバッファA331及びフレームバッファB332に供給して、一方のフレームバッファにサブフレームデータを書き込むと同時に、他方のフレームバッファから格納されているサブフレームデータを読み出すことを1フレーム期間単位で交互に繰り返す。すなわち、フレームバッファA331及びフレームバッファB332はダブルバッファの構造(つまり、12個のサブフレームに分割されたフレームバッファが2セット)になっており、フレームバッファA331がメモリ制御部32を通して供給される、ある1フレームの12個のサブフレームデータを書き込んでいる期間は、フレームバッファB332から既に書き込まれている直前の1フレームの12個のサブフレームデータがメモリ制御部32により読み出される。次の1フレームではフレームバッファB332が12個のサブフレームデータを書き込み、これと並行してフレームバッファA331が直前の1フレームの12個のサブフレームデータを読み出す。以下上記の動作を繰り返す。
【0042】
駆動制御部34は、サブフレームデータ変換部31に供給される映像信号データの垂直同期信号VSYNC及び水平同期信号HSYNCが供給され、これらの同期信号に同期してデータ転送タイミング、電圧制御タイミング、LED制御タイミング等を制御しており、データ転送部36への転送指示、ソースドライバ37/ゲートドライバ39の制御、電圧制御部38及びLED制御部35へのタイミング指示を行う。データ転送部36は、駆動制御部34からの指示に従いメモリ制御部32を指示して、メモリ制御部32がフレームバッファA331又はフレームバッファB332から読み出したサブフレームデータのうち、指定したサブレームデータを受け取り、ソースドライバ37へ転送する。
【0043】
ソースドライバ37は、駆動制御部34からの水平スタート信号(HST)/水平シフトクロック信号(HCK)により、データ転送部36からのサブフレームデータをシフトして、1ライン分の(n+1)画素のサブフレームデータを受け取る毎に、その1ライン分のサブフレームデータを列データ線D0〜Dnを並列に介して画素部40へ同時に転送する。
【0044】
ゲートドライバ39は、駆動制御部34からの垂直スタート信号(VST)/垂直シフトクロック信号(VCK)により、1水平走査期間毎に行選択信号を行選択線W0〜Wmに順次に供給して画素部40の複数の画素20を、上から下方向にライン単位で順次に選択する。例えば、ゲートドライバ39が行選択線W0〜Wmのうち指定された1ライン(行)yの行選択線Wyをアクティブにすると、指定された行yの(n+1)個の各画素20が選択され、その選択された各画素20内の各サブサンプルホールド部21に、ソースドライバ37から列データ線D0〜Dnを介して並列に入力される1ライン分の(n+1)画素のサブフレームデータが画素別に転送されて保持される。ソースドライバ37及びゲートドライバ39は、本発明の画素部駆動手段を構成している。
【0045】
上記の動作が1ライン単位で繰り返されて画素部40のすべてのラインの画素20内のサブサンプルホールド部21への1つのサブフレームのデータ転送及び保持が完了する毎に、駆動制御部34からの転送用信号線Tの転送用信号により、すべての画素20内の転送用スイッチングトランジスタ22がアクティブとされ、サブサンプルホールド部21に保持されているサブフレームデータが、メインサンプルホールド部23に転送されてサンプリング及びホールドされる。メインサンプルホールド部23にサンプリング及びホールドされて電圧選択部24に印加される、画素データであるサブフレームデータは、その画素で表示されるべき階調に応じて「1」又は「0」の値を有している。
【0046】
図4の電圧制御部38は、駆動制御部34の指示に従い、画素部40のすべての画素20に対して、ブランキング電圧線V0を介してブランキング電圧を供給すると共に、駆動電圧線V1を介して駆動電圧を供給する。上記のブランキング電圧と駆動電圧とは、サブフレームの1サブフレーム期間を1周期とする対称方形波で、互いに逆相(逆極性)とされている。すなわち、1サブフレーム期間を前半期間と後半期間とに分け、前半期間を駆動期間とし、後半期間を補償駆動期間としたとき、ブランキング電圧線V0のブランキング電圧は、図5(G)に示すように、駆動期間では黒電圧Vb[V]であり、補償駆動期間では白電圧Vw[V]である。一方、駆動電圧線V1の駆動電圧は、図5(H)に示すように、駆動期間では白電圧Vw[V]であり、補償駆動期間では黒電圧Vb[V]である。
【0047】
図2の電圧選択部24は、メインサンプルホールド部23でホールドされているサブフレームデータの値が「1」のときは、図5(A)に示すように、同図(H)に示した駆動電圧線V1の駆動電圧を選択して画素電極12に印加し、他方、サブフレームデータの値が「0」のときは、図5(A)に示すように、同図(G)に示したブランキング電圧線V0のブランキング電圧を選択して画素電極12に印加する。
【0048】
液晶素子LCには、共通電極14には電圧制御部38から図5(B)に示す一定電圧0[V]の共通電圧Vcomが印加されている。この一定電圧0[V]は、黒電圧Vb[V]と白電圧Vw[V]との中間電圧である。液晶層13は画素電極12の印加電圧と共通電圧Vcomとの電位差で駆動されるため、液晶層13に印加される駆動電圧は、図5(C)に示すように、サブフレームデータの値が「1」のときは、駆動期間では白電圧Vw[V]で、補償駆動期間では黒電圧Vb[V]となり、サブフレームデータの値が「0」のときは、駆動期間では黒電圧Vb[V]で、補償駆動期間では白電圧Vw[V]となる。
【0049】
液晶素子LCは、液晶層13に印加される駆動電圧が白電圧Vw[V]のときに駆動されるため、液晶素子LCの駆動波形は図5(D)にハイレベルで模式的に示すように、サブフレームデータの値が「1」のときは、駆動期間で駆動され、サブフレームデータの値が「0」のときは、補償駆動期間で駆動される。すなわち、本実施の形態の液晶表示装置30では、後述するように画素の階調が「0」で、12個のサブフレームデータの値がすべて「0」のときには、駆動期間では駆動されないが、補償駆動期間で駆動されるために常に交流駆動を確保でき、その結果、十分な焼き付き防止を行うことができる。
【0050】
一方、LED制御部35は、駆動制御部34からの指示に従い、サブフレームデータの値に関係なく駆動期間内でのみ図5(E)にハイレベルで模式的に示すようにLED42を駆動して発光させ、照明光学系内のLED42から照明光が図1に示した入射光L1として射出し、液晶表示素子11に入射する。なお、LED制御部35は、LED42を駆動期間で駆動するが、後述するようにLED重み付けテーブルに従い、1フレーム期間を構成する12個のサブフレーム期間のうちの何番目のサブフレーム期間であるかに応じて、駆動期間全期間(694μs)以下の予め定めた設定期間でLED42を発光させる。
【0051】
これに対し、液晶駆動素子11の一部を構成する液晶素子LCは図5(D)に示したように、サブフレームデータの値が「1」のときは入射光が入射する駆動期間で駆動されるため図5(F)にハイレベルf1で模式的に示すように図1に示した射出光L2が出力されて白表示を行う。一方、図5(D)に示したように、駆動期間ではサブフレームデータの値が「0」のときは入射光が入射しても、液晶素子LCは駆動されないため図5(F)にローレベルf3で模式的に示すように射出光L2が出力されず黒表示を行う。また、サブフレームデータの値が「0」のときは、液晶素子LCは補償駆動期間で図5(D)にハイレベルで模式的に示すように駆動されるが、同図(E)にローレベルで模式的に示すように液晶素子LCに照明光が入射しないため、同図(F)にローレベルf4で模式的に示すように射出光L2が出力されず黒表示を行う。
【0052】
次に、本実施の形態の液晶表示装置30の駆動パターンについて説明する。
【0053】
図6は、本発明になる液晶表示装置の第1の実施の形態における駆動パターンの一例の説明図を示す。図6は、映像信号が1秒あたり60フレーム、サブフレーム数が12個の場合の本実施の形態の液晶表示装置30の駆動パターンについて示している。1サブフレーム期間は1389[μs]となる。すなわち、図6(A)は1フレーム期間において第2サブフレームSF2から第1サブフレームSF1までの計12個のサブフレーム転送が行われることを示している。
【0054】
また、図6(B)は、各サブフレーム期間が前述したように、前半期間が駆動期間、後半期間が補償駆動期間に設定されることを示す。更に、図6(C)は、LED制御部35により光源であるLED42が、サブフレームSF1〜SF6では駆動期間の後半に発光するように設定されることを示す。すなわち、LED制御部35は、駆動期間におけるLED42の発光期間を、サブフレームSF1〜SF12のうち重み付けが大きなサブフレームSF1、SF2、SF3、SF4、SF5ほど駆動期間の終端側から始端方向へ長くし、重み付けが最大のサブフレームSF6〜SF12において駆動期間の全期間を発光期間とするように、LED42を制御する。駆動期間の後半に発光するようにすることにより、液晶層13の立ち上がり期間におけるロスを低減することができる。
【0055】
また、図6(C)は、サブフレームSF1〜SF12のうち、サブフレームSF6〜SF12では駆動期間と同じ期間LED42が発光し、サブフレームSF1、SF2、SF3、SF4、SF5では、それぞれ駆動期間の1/32倍、2/32倍、4/32倍、8/32倍、16/32倍の期間発光することを示している。1フレーム期間内のサブフレームSF1〜SF12のうちの何番目のサブフレームであるかに応じてLEDの発光期間を重み付けして可変制御する動作は、LED制御部35がLED重み付けテーブルを参照して行う。
【0056】
次に、階調テーブルについて説明する。図7は、階調テーブルの一例を示す。階調テーブルは、サブフレームデータ変換部31が、映像信号データをサブフレームデータに変換して出力する際に、映像信号データの画素値(階調値)に応じて参照するテーブルである。
【0057】
図7に示す階調テーブルは、縦軸が階調の値を示し、横軸がサブフレームSF1〜SF12を示し、それらにより階調の値に応じた各サブフレームデータの値を決定する。図7に示す階調テーブルは、サブフレームSF1からSF5までは“バイナリ”の重み付けを行い、サブフレームSF6からSF12までは“ステップビット”の重み付けを行うことで、階調0から255までを表現する。
【0058】
“バイナリ”の重み付けでは、各サブフレームに対して重みが2n(n=0,1,2,・・・)で表わされる重み付けを行う。図7の例ではSF1〜SF5の各パルス幅の比が1(=20)、2(=21)、4(=22)、8(=23)、16(=24)の5個のバイナリビットパルスを用いて0〜31レベルの計32レベルの輝度(階調)を表現でき、少ないパルス数でも、多くの階調を表現することが可能である。これにより、図7では、例えばパルス幅の比が[2、16]のパルスを駆動期間とし、[1、4、8]のパルスをブランキング期間とすることにより、輝度(階調)“18”を表現する。つまり、階調“18”は、SF2、SF5のサブフレームデータの値を「1」、SF1、SF3、SF4のサブフレームデータの値を「0」として表現する(ただし、この場合、SF6〜SF12の各サブフレームデータの値は「0」である)。
【0059】
一方、“ステップビット”の重み付けでは、パルス幅の比が1、2、4、8、16のバイナリビットパルスがある場合、32、32、32、32、32、32、32のような同じパルス幅のステップビットパルスを用いた同じ重み付けを行う。例えば、階調“127”は、SF1〜SF5の各サブフレームデータの値を「1」として階調「31」を表し、これに加えてステップビットの重み付けを行うSF6〜SF12のうち、SF6〜SF8の3つのサブフレームデータの値を「1」として階調「96」(=3×32)を表し、それらの合計で階調“127”を表現する。
【0060】
次に、図8のタイミングチャートを参照して本実施の形態の液晶表示装置30の動作について更に詳細に説明する。
【0061】
駆動制御部34に供給される、図8(A)に示す垂直同期信号VSYNCが時刻T0でアクティブとなると、駆動制御部34の指示に従いサブフレームSF1のサブフレームデータがデータ転送部36より、ソースドライバ37に順次入力される。ソースドライバ37は1ライン分の(n+1)個のサブフレームデータを格納する毎に列データ線D0〜Dnを並列に介して画素部40へ同時に転送し、ゲートドライバ39で指定された行(1ライン)yの(n+1)個の各画素20内の各サブサンプルホールド部21に画素別にサンプリング及びホールドさせる。
【0062】
上記の動作が1ライン単位で繰り返されて図8(B)にSF1で示すサブフレームSF1のすべてのサブフレームデータの画素部40のすべてのラインの画素20内のサブサンプルホールド部21へのデータ転送が完了すると、駆動制御部34から転送用信号線Tに時刻T1で図8(D)に示す転送用信号が出力され、すべての画素20内の転送用スイッチングトランジスタ22が同時にアクティブとされ、全ての画素20内のサブサンプルホールド部21に保持されているサブフレームデータが、メインサンプルホールド部23に同時に転送されてサンプリング及びホールドされる。例えば、画素部40内のある一つの画素20(x,y)において、SF1からSF12までの12個のサブフレームデータD(x,y)の値が、図8(C)に示すように[1,0,1,1,0,1,1,1,1,0,0,0,]である場合、メインサンプルホールド部23において、時刻T1ではSF1のサブフレームデータ“1”が保持される。メインサンプルホールド部23におけるこのSF1のサブフレームデータ“1”の保持は、図8(E)に示すように、次のSF2のサブフレームデータが転送されている期間(T1−T3)の間保持される。
【0063】
また、画素20(x,y)の電圧選択部24には、1サブフレーム期間の前半期間である駆動期間では、ブランキング電圧線V0を介して図8(F)に示すような、黒電圧Vb[V]がブランキング電圧として印加されると共に、駆動電圧線V1を介して図8(G)に示すような白電圧Vw[V]が印加される。従って、電圧選択部24は1サブフレーム期間(T1−T3)の前半期間である駆動期間(T1−T2)ではメインサンプルホールド部23で保持されているサブフレームデータ“1”に基づき、電圧V1を選択して図8(I)にハイレベルで模式的に示すように白電圧Vw[V]を画素電極12に印加する。
【0064】
このとき、液晶素子LCの共通電極14には図8(H)に示す0[V]の共通電圧Vcomが印加されているため、液晶層13には同図(J)で示すような駆動電圧が印加され、液晶素子LCは同図(K)にハイレベルで模式的に示すように駆動期間(T1−T2)で駆動される。また、LED制御部35はSF1の駆動期間(T1−T2)では、図8(L)にハイレベルで模式的に示すように駆動期間の1/32倍の重み付けの期間だけLED42を点灯する。従って、SF1の駆動期間(T1−T2)では液晶表示装置30の当該画素20(x,y)は、図8(M)にハイレベルで模式的に示すように上記の重み付けの期間だけ白表示を行う。
【0065】
続いて、電圧選択部24は1サブフレーム期間(T1−T3)の後半期間である補償駆動期間(T2−T3)ではメインサンプルホールド部23で保持されているサブフレームデータ“1”に基づき、電圧V0を選択して図8(I)にローレベルで示すように黒電圧Vb[V]を画素電極12に印加する。このとき、液晶素子LCの共通電極14には図8(H)に示す0[V]の共通電圧Vcomが印加されているため、液晶層13には同図(J)で示すような駆動電圧が印加され、液晶素子LCは同図(K)にローレベルで模式的に示すように補償駆動期間(T2−T3)では駆動期間とは逆極性の電圧で駆動される。一方、LED制御部35はSF1の補償駆動期間(T2−T3)では、図8(L)に示すようにLED42を駆動しない。従って、SF1の補償駆動期間(T2−T3)では液晶表示装置30の当該画素20(x,y)は、図8(M)にローレベルで模式的に示すように黒表示を行う。
【0066】
続いて、メインサンプルホールド部23において、時刻T3ではSF2のサブフレームデータ“0”が保持される。メインサンプルホールド部23におけるこのSF2のサブフレームデータ“0”の保持は、図8(E)に示すように、次のSF3のサブフレームデータが転送されている期間(T3−T5)の間保持される。
【0067】
また、電圧選択部24は1サブフレーム期間(T3−T5)の前半期間である駆動期間(T3−T4)ではメインサンプルホールド部23で保持されているサブフレームデータ“0”に基づき、電圧V0を選択して図8(I)にローレベルで示すように黒電圧Vb[V]を画素電極12に印加する。このとき、液晶素子LCの共通電極14には図8(H)に示す0[V]の共通電圧Vcomが印加されているため、液晶層13には同図(J)で示すような駆動電圧が印加され、液晶素子LCは同図(K)にローレベルで模式的に示すように駆動期間(T3−T4)では黒電圧Vb[V]に対応する電圧で駆動される。また、LED制御部35はSF2の駆動期間(T3−T4)では、図8(L)に示すように駆動期間の2/32倍の重み付けの期間だけLED42を点灯する。従って、SF2の駆動期間(T3−T4)では液晶表示装置30の当該画素20(x,y)は、図8(M)にローレベルで模式的に示すように上記の重み付けの期間だけ黒表示を行う。
【0068】
続いて、電圧選択部24は1サブフレーム期間(T3−T5)の後半期間である補償駆動期間(T4−T5)ではメインサンプルホールド部23で保持されているサブフレームデータ“0”に基づき、電圧V1を選択して図8(I)にハイレベルで示すように白電圧Vw[V]を画素電極12に印加する。このとき、液晶素子LCの共通電極14には図8(H)に示す0[V]の共通電圧Vcomが印加されているため、液晶層13には同図(J)で示すような駆動電圧が印加され、液晶素子LCは同図(K)にハイレベルで模式的に示すように補償駆動期間(T4−T5)では白電圧で駆動される。一方、LED制御部35はSF2の補償駆動期間(T4−T5)では、図8(L)に示すようにLED42を駆動しない。従って、SF2の補償駆動期間(T4−T5)では照明光が存在しないため、液晶表示装置30の当該画素20(x,y)は、光出力が0となり図8(M)にローレベルで模式的に示すように黒表示を行う。
【0069】
以下、SF3からSF12まで同様な処理が行われる。この結果、本実施の形態によれば、光出力として、図8(M)に示すようにSF1からSF12までの各サブフレームにおいて「1,0,4,8,32,32,32,32,0,0,0」が出力され、積分値として「141」が出力される。この結果、画素20(x,y)において階調値「141」が表示される。このように、入力された1フレームのデータは、期間(T0−T1)だけ遅延して、光出力として出力されるため、入力データの1フレーム期間が期間(T0−T6)である場合、光出力の1フレーム期間は期間(T1−T7)となる。
【0070】
このように、本実施の形態の液晶表示装置30によれば、画素の階調が「0」で、SF1〜SF12の12個のサブフレームデータの値がすべて「0」のときにも、駆動期間と補償駆動期間とでは互いに逆極性の電圧(黒電圧及び白電圧)が交互に画素電極12に印加されて駆動されるため、常に交流駆動を確保でき、その結果、十分な焼き付き防止を行うことができる。
【0071】
また、本実施の形態の液晶表示装置30によれば、1フレーム期間を12サブフレーム期間に分割して各サブフレーム期間毎に液晶素子LCを交流駆動しているため、1フレーム毎に12回という従来よりも多くのDCバランス極性反転を行うことができ、焼き付き防止精度を向上することができ、その結果、強誘電性液晶を用いた液晶表示装置の信頼性を向上することができる。
【0072】
更に、本実施の形態の液晶表示装置30によれば、画素電極12に1サブフレームの前半の駆動期間と後半の補償駆動期間とで互いに逆極性の電圧(黒電圧及び白電圧)を印加することで交流駆動するようにしているため、特許文献3記載の液晶表示装置の駆動方法のような映像表示に用いることができない逆電圧画像のためのデータ転送を不要にできる。
【0073】
(第2の実施の形態)
次に、本発明になる液晶表示装置の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態も図1に示した投射型表示装置10における反射型液晶表示素子11として用いることができる。
【0074】
図9は、本発明になる液晶表示装置の第2の実施の形態の一画素の構成図を示す。同図中、図1及び図2と同一構成部分には同一符号を付してある。図9において、本発明になる液晶表示装置の第2の実施の形態における反射型液晶表示素子11の一つの画素50は、画素回路15bと液晶素子LCとからなり、2本の列データ線D及び反転列データ線DXを一組とするデータ線と、行選択線Wとの交差部に配置されている。液晶素子LCは前述したように、画素電極12及び共通電極14が対向するように第1の基板と第2の基板とが離間配置されて形成された基板間の空間内に強誘電性の液晶層13が封入された構成とされている。なお、図2及び図9では各画素回路15a、15b単位で液晶素子LCが設けられていることを分かり易くするために、液晶素子LCを各画素回路単位で図示しているが、実際には液晶素子LCのうち画素電極12は画素回路15a、15b毎に個別に設けられるが、液晶層13及び共通電極14は全画素に共通に設けられている。
【0075】
一方、画素回路15bは、図1の画素回路15の第2の実施の形態で、図9に示すように、サンプルホールド部51及び電圧選択部52からなる。サンプルホールド部51はSRAM(Static Random Access Memory)構造のフリップフロップよりなる。サンプルホールド部51は、列データ線D及び反転列データ線DXと、行選択線Wとに接続されており、行選択線Wを介して印加される行選択信号により選択されたときに、列データ線D及び反転列データ線DXを介して供給される画素データをサンプリング及びホールドする。
【0076】
電圧選択部52は、サンプルホールド部51と、ブランキング電圧線V0及び駆動電圧線V1とに接続されている。電圧選択部52の出力端子は画素電極12に接続されている。電圧選択部24は、サンプルホールド部51により保持されているサブフレームデータ(画素データ電圧)の値が「0」であるか「1」であるかに応じて、ブランキング電圧線V0のブランキング電圧及び駆動電圧線V1の駆動電圧の一方を選択して画素電極12に印加する。
【0077】
図10は、本発明になる液晶表示装置の第2の実施の形態のブロック図を示す。同図中、図4と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図10において、本実施の形態の液晶表示装置60は、サブフレームデータ変換部31、メモリ制御部32、フレームバッファA331及びフレームバッファB332、LED制御部35、データ転送部36、ゲートドライバ39、駆動制御部61、ソースドライバ62、電圧制御部63、画素部64を含んで構成されている。
【0078】
画素部64は、1本の列データ線D及び1本の反転列データ線DXを一組とする、全部で(n+1)組の列データ線D0〜Dn及び反転列データ線DX0〜DXnと、m+1本の行選択線W0〜Wmとが交差する各交差部に配置された、全部で(n+1)×(m+1)個の画素50から構成される。一つの画素50は、図9に示した画素50の構成である。また、画素部64の全ての画素50は、各電圧選択部52にブランキング電圧線V0及び駆動電圧線V1が共通に接続されている。
【0079】
駆動制御部61は、サブフレームデータ変換部31に供給される映像信号データの垂直同期信号VSYNC及び水平同期信号HSYNCが供給され、これらの同期信号に同期してデータ転送タイミング、電圧制御タイミング、LED制御タイミング等を制御しており、データ転送部36への転送指示、ソースドライバ62/ゲートドライバ39の制御、電圧制御部63及びLED制御部35へのタイミング指示を行う。データ転送部36は、駆動制御部61からの指示に従いメモリ制御部32を指示して、メモリ制御部32がフレームバッファA331又はフレームバッファB332から読み出したサブフレームデータのうち、指定したサブレームデータを受け取り、ソースドライバ62へ転送する。
【0080】
ソースドライバ62は、駆動制御部61からの水平スタート信号(HST)/水平シフトクロック信号(HCK)により、データ転送部36からのサブフレームデータをシフトして、1ライン分の(n+1)画素のサブフレームデータを受け取る毎に、その1ライン分の互いに逆論理値の2種類のサブフレームデータを列データ線D0〜Dn及び反転列データ線DX0〜DXnを並列に介して画素部64へ同時に転送する。
【0081】
ここで、列データ線D0〜Dnのうち任意の列データ線Diにて転送されるサブフレームデータの値と、反転列データ線DX0〜DXnのうち上記の列データ線Diと同じ組の任意の反転列データ線DXiにて転送される反転サブフレームデータの値とは、常に一方が“1”のとき他方が“0”である、逆論理値の関係にある。ここで、本実施の形態で列データ線D0〜Dn及び反転列データ線DX0〜DXnを用いるのは、画素50内のサンプルホールド部51としてフリップフロップ回路によるSRAMを用いたのに対応して、より実際に近い構成としたためである。SRAMは、データを安定して保持するためには、互いに逆論理値の2つのデータを必要とする。勿論、原理的には図4の第1の実施の形態の液晶表示装置30のように1種類の列データ線のみでよい。
【0082】
ゲートドライバ39は、駆動制御部61からの垂直スタート信号(VST)/垂直シフトクロック信号(VCK)により、1水平走査期間毎に行選択信号を行選択線W0〜Wmに順次に供給して画素部64の複数の画素50を、上から下方向にライン単位で順次に選択する。例えば、ゲートドライバ39が行選択線W0〜Wmのうち指定された1ライン(行)yの行選択線Wyをアクティブにすると、指定された行yの(n+1)個の各画素50が選択され、その選択された各画素50内の各サンプルホールド部51に、ソースドライバ62から列データ線D0〜Dn及び反転列データ線DX0〜DXnを介して並列に入力される1ライン分の(n+1)画素のサブフレームデータが画素別に転送されて保持される。ソースドライバ62及びゲートドライバ39は、本発明の画素部駆動手段を構成している。
【0083】
上記の動作が1ライン単位で繰り返され、画素部64のすべての画素50内のサンプルホールド部51に1つのサブフレーム期間のすべてのサブフレームデータが後述する補償駆動期間内で転送されてサンプリング及びホールドされる。画素データであるサブフレームデータは、その画素で表示されるべき階調に応じて「1」又は「0」の値を有している。
【0084】
図10の電圧制御部63は、駆動制御部61の指示に従い、画素部64のすべての画素50に対して、ブランキング電圧線V0を介してブランキング電圧を供給すると共に、駆動電圧線V1を介して駆動電圧を供給する。上記のブランキング電圧と駆動電圧とは、サブフレームの1サブフレーム期間を1周期とする対称方形波で、互いに逆相(逆極性)とされている。すなわち、1サブフレーム期間を前半期間と後半期間とに分け、前半期間を補償駆動期間とし、後半期間を駆動期間としたとき、ブランキング電圧線V0のブランキング電圧は、図11(G)に示すように、補償駆動期間では白電圧Vw[V]であり、駆動期間では黒電圧Vb[V]である。一方、駆動電圧線V1の駆動電圧は、図11(H)に示すように、補償駆動期間では黒電圧Vb[V]であり、駆動期間では白電圧Vw[V]である。
【0085】
図9の電圧選択部52は、サンプルホールド部51でホールドされている列データ線Dを介して入力されたサブフレームデータの値が「1」のとき(すなわち、反転列データ線DXを介して入力された反転サブフレームデータの値が「0」のとき)は、図11(A)に示すように、同図(H)に示した駆動電圧線V1の駆動電圧を選択して画素電極12に印加する。他方、電圧選択部52は、列データ線Dを介して入力されたサブフレームデータの値が「0」のとき(すなわち、反転列データ線DXを介して入力された反転サブフレームデータの値が「1」のとき)は、図11(A)に示すように、同図(G)に示したブランキング電圧線V0のブランキング電圧を選択して画素電極12に印加する。
【0086】
液晶素子LCの共通電極14には電圧制御部63から図11(B)に示す一定電圧0[V]の共通電圧Vcomが印加されている。この一定電圧0[V]は、黒電圧Vb[V]と白電圧Vw[V]との中間電圧である。液晶層13は画素電極12の印加電圧と共通電圧Vcomとの電位差で駆動されるため、液晶層13に印加される駆動電圧は、図11(C)に示すように、サブフレームデータの値が「1」(反転サブフレームデータの値が「0」)のときは、補償駆動期間では黒電圧Vb[V]で、駆動期間では白電圧Vw[V]となり、サブフレームデータの値が「0」(反転サブフレームデータの値が「1」)のときは、補償駆動期間では白電圧Vw[V]で、駆動期間では黒電圧Vb[V]となる。
【0087】
液晶素子LCは、液晶層13に印加される駆動電圧が白電圧Vw[V]のときに駆動されるため、液晶素子LCの駆動波形は図11(D)にハイレベルで模式的に示すように、サブフレームデータの値が「1」(反転サブフレームデータの値が「0」)のときは、駆動期間で駆動され、サブフレームデータの値が「0」(反転サブフレームデータの値が「1」)のときは、補償駆動期間で駆動される。すなわち、本実施の形態の液晶表示装置60では、後述するように画素の階調が「0」で、12個のサブフレームデータの値がすべて「0」のときには、駆動期間では駆動されないが、補償駆動期間で駆動されるために常に交流駆動を確保でき、その結果、十分な焼き付き防止を行うことができる。
【0088】
一方、LED制御部35は、駆動制御部61からの指示に従い、サブフレームデータの値に関係なく駆動期間内でのみ図11(E)にハイレベルで模式的に示すようにLED42を駆動して発光させ、照明光学系内のLED42から照明光が図1に示した入射光L1として射出し、液晶表示素子11に入射する。なお、LED制御部35は、LED42を駆動期間で駆動するが、後述するようにLED重み付けテーブルに従い、1フレーム期間を構成する12個のサブフレーム期間のうちの何番目のサブフレーム期間であるかに応じて、駆動期間全期間以下の予め定めた設定期間でLED42を発光させる。
【0089】
これに対し、液晶駆動素子11の一部を構成する液晶素子LCは図11(D)に示したように、サブフレームデータの値が「1」(反転サブフレームデータの値が「0」)のときは入射光が入射する駆動期間で駆動されるため図11(F)にハイレベルf14で模式的に示すように図1に示した射出光L2が出力されて白表示を行う。一方、図11(D)に示したように、サブフレームデータの値が「0」(反転サブフレームデータの値が「1」)のときは駆動期間において入射光が入射しても、液晶素子LCは駆動されないため図11(F)にローレベルf12で模式的に示すように射出光L2が出力されず黒表示を行う。
【0090】
また、サブフレームデータの値が「0」(反転サブフレームデータの値が「1」)のときは、液晶素子LCは補償駆動期間で図11(D)にハイレベルで模式的に示すように駆動されるが、同図(E)にローレベルで模式的に示すように液晶素子LCに照明光が入射しないため、同図(F)にローレベルf11で模式的に示すように射出光L2が出力されず黒表示を行う。
【0091】
次に、本実施の形態の液晶表示装置60の駆動パターンについて説明する。
【0092】
図12は、本発明になる液晶表示装置の第2の実施の形態における駆動パターンの一例の説明図を示す。図12は、サブフレーム数が12個の場合の本実施の形態の液晶表示装置60の駆動パターンについて示している。図12(A)は1フレーム期間においてサブフレームSF1からサブフレームSF12までの計12個のサブフレーム転送が行われることを示している。すべての画素50内のサンプルホールド部51の情報(サブフレームデータ)を書き換える期間を、データアドレス期間とするとき、データアドレス期間は、各サブフレームにおける前半期間である補償駆動期間内で終了している必要がある。
【0093】
また、図12(B)は、各サブフレーム期間が前述したように、前半期間が補償駆動期間、後半期間が補償駆動期間に設定されることを示す。つまり、データアドレス期間中は補償駆動期間となる。更に、図12(C)は、LED制御部35により光源であるLED42が、SF1〜SF6では駆動期間の後半に発光するように設定されることを示す。すなわち、LED制御部35は、駆動期間におけるLED42の発光期間を、サブフレームSF1〜SF12のうち重み付けが大きなサブフレームSF1、SF2、SF3、SF4、SF5ほど駆動期間の終端側から始端方向へ長くし、重み付けが最大のサブフレームSF6〜SF12において駆動期間の全期間を発光期間とするように、LED42を制御する。駆動期間の後半に発光するようにすることにより、液晶層13の立ち上がり期間におけるロスを低減することができる。
【0094】
また、最後のサブフレームSF12の駆動期間が終了した後、次のフレームが始まるまでの期間を“非駆動期間”とし、液晶層13にかかる電圧が0[V]となるようにする。すなわち、ブランキング電圧線V0のブランキング電圧と駆動電圧線V1の駆動電圧とを、それぞれ共通電極電圧Vcomと同じ電圧値となるように設定する。これは、サブフレームの合計期間をフレーム期間に一致させることは非常に困難なため、どうしても余った期間が生じ、この余った期間に余計な電圧が液晶素子LCにかかると、焼き付きの原因になってしまうため、これを防止するためである。すなわち、上記の余った期間を、ブランキング電圧線V0のブランキング電圧と駆動電圧線V1の駆動電圧と共通電極電圧Vcomとをそれぞれ同じ電圧値に設定して液晶素子LCを駆動しない非駆動期間とすることで、サンプルホールド部51にて保持されたサブフレームデータの値によらず、液晶素子LCにかかる電圧を0にして、焼き付きを防止することができる。
【0095】
また、図12(C)は、サブフレームSF1〜SF12のうち、サブフレームSF6〜SF12では駆動期間と同じ期間LED42が発光し、サブフレームSF1、SF2、SF3、SF4、SF5では、それぞれ駆動期間の1/32倍、2/32倍、4/32倍、8/32倍、16/32倍の期間発光することを示している。1フレーム期間内のサブフレームSF1〜SF12のうちの何番目のサブフレームであるかに応じてLEDの発光期間を重み付けして可変制御する動作は、第1の実施の形態と同様にLED制御部35がLED重み付けテーブルを参照して行う。
【0096】
次に、図13のタイミングチャートを参照して本実施の形態の液晶表示装置60の動作について更に詳細に説明する。
【0097】
駆動制御部61に供給される、図13(A)に示す垂直同期信号VSYNCが時刻T0でアクティブとなると、駆動制御部61の指示に従いサブフレームSF1のサブフレームデータがデータ転送部36より、ソースドライバ62に順次入力される。ソースドライバ37は1ライン分の(n+1)個のサブフレームデータを格納する毎に、列データ線D0〜Dn及び反転列データDX0〜DXnを並列に介してサブフレームデータ及び反転サブフレームデータを同時に画素部64へ転送し、ゲートドライバ39で指定された行(1ライン)yの(n+1)個の各画素50内の各サンプルホールド部51に画素別にサンプリング及びホールドさせる。
【0098】
例えば、画素部50内のある一つの画素50(x,y)において入力されるSF1からSF12までの12個のサブフレームデータD(x,y)の各1ビットの値が、図13(D)に示すように[1,0,1,1,0,1,1,1,1,0,0,0]であるものとする。なお、以下の説明では反転サブフレームデータについては説明を省略する。この場合、最初のサブフレームSF1の伝送期間では、垂直同期信号VSYNCの入力時刻T0からyライン分遅れた時刻T11にて図13(C)に示すように、yライン目の行選択線Wに供給される行選択信号Wyによりyライン目の各画素50が選択され、それらの各画素50内のサンプルホールド部51にサブフレームSF1のサブフレームデータ“1”が保持される。この画素50(x,y)内のサンプルホールド部51におけるSF1のサブフレームデータ“1”の保持は、図13(E)に示すように、次のSF2のサブフレームデータが転送される時刻T16までの(T11−T16)の期間保持される。
【0099】
そして、時刻T12でサブフレームSF1のすべてのサブフレームデータの転送が終了し、図13(B)に示すようにSF1のデータアドレス期間が終了する。ここで、サブフレームSF1の1サブフレームは、図13(B)に示す時刻T0から時刻T15までの期間(T0−T15)で、その1サブフレームの前半期間である時刻T0から時刻T13までの期間(T0−T13)では、補償駆動期間としてブランキング電圧線V0には図13(F)にハイレベルで示す白電圧Vw[V]が、また駆動電圧線V1には図13(G)にローレベルで示す黒電圧Vb[V]が印加される。続く、SF1の1サブフレームの後半期間である時刻T13から時刻T15までの期間(T13−T15)では、駆動期間としてブランキング電圧線V0には図13(F)にローレベルで示す黒電圧Vb[V]が、また駆動電圧線V1には図13(G)にハイレベルで示す白電圧Vw[V]が印加される。なお、共通電極電圧Vcomは図13(H)に示すように、常に0[V]である。
【0100】
上記の駆動期間(T13−T15)では、画素50(x,y)内のサンプルホールド部51で保持されているサブフレームデータ値は図13(D)に示したように “1”であるので、画素50(x,y)内の電圧選択部52は、駆動電圧線V1の駆動電圧を選択して図13(I)にハイレベルで示すように白電圧Vw[V]を画素電極12に印加する。
【0101】
このとき、画素50(x,y)内の液晶素子LCの共通電極14には図13(H)に示す0[V]の共通電圧Vcomが印加されているため、液晶層13には同図(J)で示すような駆動電圧が印加され、液晶素子LCは同図(K)にハイレベルで模式的に示すように駆動期間(T13−T15)で駆動される。また、LED制御部35はSF1の駆動期間(T13−T15)の終了直前の時刻T14から時刻T15までの、駆動期間の1/32倍の重み付けの期間(T14−T15)では、図13(L)にハイレベルで模式的に示すようにLED42を点灯する。従って、SF1の駆動期間内の上記の重み付けの期間(T14−T15)では液晶表示装置60の当該画素50(x,y)は、図13(M)にハイレベルで模式的に示すように白表示を行う。
【0102】
続いて、同様に図13(B)に示す時刻T15から時刻T20までの1サブフレーム(T15−T20)において、次のサブフレームSF2の処理が行われる。画素50(x,y)内のサンプルホールド部51は、図13(E)に示すように、SF2のサブフレームデータ“0”を時刻T15直後の時刻T16でサンプリング保持し、次のSF3のサブフレームデータが転送される時刻までの期間保持する。
【0103】
そして、時刻T20でサブフレームSF2のすべてのサブフレームデータの転送が終了し、図13(B)に示すようにSF2のデータアドレス期間が終了する。ここで、サブフレームSF2の1サブフレーム(T15−T20)のうち、前半期間である期間(T15−T18)では、補償駆動期間としてブランキング電圧線V0には図13(F)にハイレベルで示す白電圧Vw[V]が、また駆動電圧線V1には図13(G)にローレベルで示す黒電圧Vb[V]が印加される。続く、SF2の1サブフレームの後半期間である期間(T18−T20)では、駆動期間としてブランキング電圧線V0には図13(F)にローレベルで示す黒電圧Vb[V]が、また駆動電圧線V1には図13(G)にハイレベルで示す白電圧Vw[V]が印加される。
【0104】
上記の駆動期間(T18−T20)では、画素50(x,y)内のサンプルホールド部51で保持されているサブフレームデータ値は図13(D)に示したように “0”であるので、画素50(x,y)内の電圧選択部52は、ブランキング電圧線V0のブランキング電圧を選択して図13(I)にローレベルで示すように黒電圧Vb[V]を画素電極12に印加する。
【0105】
このとき、画素50(x,y)内の液晶素子LCの共通電極14には図13(H)に示す0[V]の共通電圧Vcomが印加されているため、液晶層13には同図(J)で示すような駆動電圧が印加され、液晶素子LCは駆動期間(T18−T20)では同図(K)にローレベルで模式的に示すように黒電圧Vb[V]に対応する電圧で駆動される。また、LED制御部35はSF2の駆動期間(T18−T20)では、図13(L)に示すように駆動期間の2/32倍の重み付けの期間(T19−T20)だけLED42を点灯する。これにより、SF2の駆動期間(T18−T20)では液晶表示装置60の当該画素50(x,y)は、黒電圧Vb[V]に対応する電圧で駆動されるため、駆動期間の2/32倍の重み付けの期間(T19−T20)だけLED42が点灯したとき、図13(M)にローレベルで模式的に示すように黒表示を行う。
【0106】
以下、SF3からSF12まで同様な処理が行われる。この結果、本実施の形態によれば、光出力として、図13(M)に示すようにSF1からSF12までの各サブフレームにおいて「1,0,4,8,32,32,32,32,0,0,0」が出力され、積分値として「141」が出力される。この結果、画素50(x,y)において階調値「141」が表示される。
【0107】
なお、時刻T0から始まる1フレーム期間内の最後のサブフレームSF12の駆動期間終了時刻T21からその1フレーム期間の最後の時刻(次の1フレーム期間の最初のサブフレームSF1の補償駆動期間の開始時刻)T22までの、図13に「Blank」で示す期間は、電圧制御部63は図13(F)、(G)にそれぞれ示すように、共通電極電圧Vcomと同一電圧値(0[V])のブランキング電圧及び駆動電圧を発生する。この期間は、図12に“非駆動期間”として示した期間に相当し、液晶層13にかかる電圧が0[V]となり、図13(K)に示すように、液晶素子LCは非駆動とされる。
【0108】
次に、DCバランスとして図13(J)に示す液晶電圧に注目すると、同図(E)に示すサンプルホールドの値が“0“から”1“に変化する、SF1、SF3、及びSF6と、サンプルホールドの値が”1“から”0“に変化する、SF2、SF5、及びSF10とでは、それぞれ波形が逆転している。また、図13(E)に示すサンプルホールドの値が変化しない、他のサブフレームSF4、SF7、SF8、SF9、SF11、及びSF12では、サブフレーム内にてDCバランスが0[V]になっている。このように、1フレーム期間で注目すると、本実施の形態の液晶表示装置60ではDCバランスが0[V]に保たれていることが分かる。
【0109】
このように、本実施の形態の液晶表示装置60によれば、画素の階調が「0」で、SF1〜SF12の12個のサブフレームデータの値がすべて「0」のときにも、補償駆動期間と駆動期間とでは互いに逆極性の電圧(黒電圧及び白電圧)が交互に画素電極12に印加されて駆動されるため、常に交流駆動を確保でき、その結果、十分な焼き付き防止を行うことができる。
【0110】
また、本実施の形態の液晶表示装置60によれば、1フレーム期間を12サブフレームに分割して各サブフレーム毎に液晶素子LCを交流駆動しているため、1フレーム毎に12回という従来よりも多くのDCバランス極性反転を行うことができ、焼き付き防止精度を向上することができ、その結果、強誘電性液晶を用いた液晶表示装置の信頼性を向上することができる。
【0111】
更に、本実施の形態の液晶表示装置60によれば、1サブフレームの前半期間を補償駆動期間とし、後半期間を駆動期間として、補償駆動期間でのみサブフレームデータ転送を行うようにしたため、データ転送効率を略50%とすることができる。すなわち、本実施の形態の液晶表示装置60によれば、データ転送期間と駆動期間とを工夫することで、画素回路15b内のサンプルホールド回路は1つのサンプルホールド部51のみでも動作することができ、その結果、画素サイズの小型化が容易となり、第1の実施の形態に比べて、液晶表示装置全体の小型化や高解像度化への応用に有利である。
【0112】
なお、本発明は以上の実施の形態に限定されるものではなく、例えばサブフレームSF1〜SF12のそれぞれにおけるLED42の発光期間を図6(C)、図12(C)に示したように階調テーブルの重み付けに応じた発光期間に可変しているが、発光期間は一定とし発光強度を上記の重み付けに応じて可変する(重み付けが大であるほど発光強度を大とする)ようにしてもよい。また、1フレーム期間のサブフレームの数は12に限定されるものではなく、10以上であれば所期の目的を達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、色割れの少ない小型あるいは低コストなプロジェクタに応用することができる。
【符号の説明】
【0114】
10 投射型表示装置
11 反射型液晶表示素子
12 画素電極
13 液晶層
14 共通電極
15、15a、15b 画素回路
16 偏光ビームスプリッタ(PBS)
17 投射レンズ
18 スクリーン
20、50 画素
21 サブサンプルホールド部
22 転送用スイッチングトランジスタ
23 メインサンプルホールド部
24、52 電圧選択部
30、60 液晶表示装置
31 サブフレームデータ変換部
32 メモリ制御部
331A、332B フレームバッファ
34、61 駆動制御部
35 LED制御部
36 データ転送部
37、62 ソースドライバ
38、63 電圧制御部
39 ゲートドライバ
40、64 画素部
42 LED(発光ダイオード)
51 サンプルホールド部
LC 液晶素子
D0〜Dn、D 列データ線
DX0〜DXn、DX 反転列データ線
W0〜Wm、W 行選択線
V0 ブランキング電圧線
V1 駆動電圧線
T 転送用信号線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の列データ線と複数の行選択線とが交差する各交差部に配置されると共に、転送用信号線、ブランキング電圧線及び駆動電圧線に共通に接続された、それぞれ液晶素子を備える複数の画素からなる画素部と、
映像信号の各フレームを前記映像信号の1フレーム期間より短い表示期間を持つ複数のサブフレームで構成するため、前記映像信号から階調テーブルに基づいて前記映像信号の各画素値に対応した第1の値又は第2の値である前記複数のサブフレームのサブフレームデータを生成するサブフレームデータ生成手段と、
1水平走査期間毎に行選択信号を前記複数の行選択線に順次に供給して前記画素部の前記複数の画素をライン単位の画素毎に順次に選択すると共に、1ラインの各画素の前記サブフレームデータを1ラインの画素単位に前記複数の列データ線に供給し、前記画素部の前記複数の画素のすべてに前記サブフレームデータを供給した時に前記転送用信号線に転送用信号を供給する画素部駆動手段と、
前記サブフレームの1サブフレーム期間を1周期とする対称方形波で、かつ、互いに逆極性のブランキング電圧及び駆動電圧を発生し、前記ブランキング電圧は前記1サブフレーム期間の前半期間である駆動期間において前記液晶素子が最小輝度を示す第1の電圧値とし、前記1サブフレーム期間の後半期間である補償駆動期間において前記液晶素子が最大輝度を示す第2の電圧値として前記ブランキング電圧線に供給し、前記駆動電圧は前記駆動期間では前記第2の電圧値とし、前記補償駆動期間では前記第1の電圧値として前記駆動電圧線に供給すると共に、前記第1の電圧値と前記第2の電圧値との中間電圧である第3の電圧値を共通電圧として発生する電圧発生手段と、
照明光を射出して前記複数の画素の前記液晶素子にそれぞれ共通に照射する光源と、
前記駆動期間では前記複数のサブフレームのうち各サブフレーム毎の重み付けに応じた発光期間又は発光強度で前記光源から前記照明光を射出させ、前記補償駆動期間では前記光源からの前記照明光の射出を停止させるように前記光源を制御する光源制御手段と、
を備え、前記複数の画素はそれぞれ、
画素電極と共通電極との間の空間に強誘電性の液晶層が封入され、前記共通電極には前記電圧発生手段から前記共通電圧が印加される前記液晶素子と、
前記行選択線を介して前記行選択信号が供給されたときに、前記列データ線を介して供給される前記サブフレームデータをサンプリング保持する第1の保持手段と、
前記転送用信号線を介して供給される前記転送用信号により、前記第1の保持手段に保持されている前記サブフレームデータを転送する転送手段と、
前記転送手段により転送された前記第1の保持手段に保持されている前記サブフレームデータを保持する第2の保持手段と、
前記第2の保持手段に保持された2値の前記サブフレームデータが前記第1の値のときは前記ブランキング電圧線を介して供給される前記ブランキング電圧を選択し、前記サブフレームデータが前記第2の値のときは前記駆動電圧線を介して供給される駆動電圧を選択して、前記画素電極に印加して交流駆動する電圧選択手段と、
を有し、前記画素電極に印加される前記サブフレームデータが前記第2の値で、かつ、前記光源制御手段の制御により前記光源から前記照明光が射出される前記駆動期間でのみ、その画素電極を備える前記液晶素子により最大輝度の表示を行わせ、前記画素電極に印加される前記サブフレームデータが前記第1の値のとき、及び前記補償駆動期間では前記液晶素子により最小輝度の表示を行わせることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
複数の列データ線と複数の行選択線とが交差する各交差部に配置されると共に、ブランキング電圧線及び駆動電圧線に共通に接続された、それぞれ液晶素子を備える複数の画素からなる画素部と、
映像信号の各フレームを前記映像信号の1フレーム期間より短い表示期間を持つ複数のサブフレームで構成するため、前記映像信号から階調テーブルに基づいて前記映像信号の各画素値に対応した第1の値又は第2の値である前記複数のサブフレームのサブフレームデータを生成するサブフレームデータ生成手段と、
1水平走査期間毎に行選択信号を前記複数の行選択線に順次に供給して前記画素部の前記複数の画素をライン単位の画素毎に順次に選択すると共に、1ラインの各画素の前記サブフレームデータを1ラインの画素単位に前記複数の列データ線に供給し、前記サブフレームの1サブフレーム期間の前半期間である補償駆動期間内で、前記画素部の前記複数の画素のすべてにそのサブフレームのサブフレームデータを前記複数の列データ線を介して供給する画素部駆動手段と、
前記サブフレームの1サブフレーム期間を1周期とする対称方形波で、かつ、互いに逆極性のブランキング電圧及び駆動電圧を発生し、前記ブランキング電圧は前記補償駆動期間において前記液晶素子が最大輝度を示す第1の電圧値とし、前記1サブフレーム期間の後半期間である駆動期間において前記液晶素子が最小輝度を示す第2の電圧値として前記ブランキング電圧線に供給し、前記駆動電圧は前記補償駆動期間では前記第2の電圧値とし、前記駆動期間では前記第1の電圧値として前記駆動電圧線に供給すると共に、前記第1の電圧値と前記第2の電圧値との中間電圧である第3の電圧値を共通電圧として発生する電圧発生手段と、
照明光を射出して前記複数の画素の前記液晶素子にそれぞれ共通に照射する光源と、
前記補償駆動期間では前記光源からの前記照明光の射出を停止させ、前記駆動期間では前記複数のサブフレームのうち各サブフレーム毎の重み付けに応じた発光期間又は発光強度で前記光源から前記照明光を射出させるように前記光源を制御する光源制御手段と、
を備え、前記複数の画素はそれぞれ、
画素電極と共通電極との間の空間に強誘電性の液晶層が封入され、前記共通電極には前記電圧発生手段から前記共通電圧が印加される前記液晶素子と、
前記行選択線を介して前記行選択信号が供給されたときに、前記補償駆動期間内で前記列データ線を介して供給される前記サブフレームデータをサンプリング保持する保持手段と、
前記保持手段に保持された2値の前記サブフレームデータが前記第1の値のときは前記ブランキング電圧線を介して供給される前記ブランキング電圧を選択し、前記サブフレームデータが前記第2の値のときは前記駆動電圧線を介して供給される駆動電圧を選択して、前記画素電極に印加して交流駆動する電圧選択手段と、
を有し、前記画素電極に印加される前記サブフレームデータが前記第2の値で、かつ、前記光源制御手段の制御により前記光源から前記照明光が射出される前記駆動期間でのみ、その画素電極を備える前記液晶素子により最大輝度の表示を行わせ、前記画素電極に印加される前記サブフレームデータが前記第1の値のとき、及び前記補償駆動期間では前記液晶素子により最小輝度の表示を行わせることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
前記サブフレームデータ生成手段は、前記映像信号から前記階調テーブルに基づいて10以上の予め設定した数のサブフレームのサブフレームデータを生成することを特徴とする請求項1又は2記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記光源制御手段は、前記駆動期間における前記光源の発光期間を、前記複数のサブフレームのうち重み付けが大きなサブフレームほど前記駆動期間の終端側から始端方向へ長くし、前記重み付けが最大のサブフレームにおいて前記駆動期間の全期間を前記発光期間とするように、前記光源を制御することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の液晶表示装置。
【請求項5】
複数の列データ線と複数の行選択線とが交差する各交差部に配置されると共に、転送用信号線、ブランキング電圧線及び駆動電圧線に共通に接続された複数の画素からなる画素部の前記複数の画素はそれぞれ、
画素電極と共通電極との間の空間に強誘電性の液晶層が封入され、前記共通電極には共通電圧が印加される液晶素子と、
映像信号の各フレームを前記映像信号の1フレーム期間より短い表示期間を持つ複数のサブフレームで構成するとき、前記複数のサブフレームの前記列データ線を介して供給されるサブフレームデータを、前記行選択線を介して行選択信号が供給されたときにサンプリング保持する第1の保持手段と、
前記転送用信号線を介して供給される前記転送用信号により、前記第1の保持手段に保持されている前記サブフレームデータを転送する転送手段と、
前記転送手段により転送された前記第1の保持手段に保持されている前記サブフレームデータを保持する第2の保持手段と、
前記第2の保持手段に保持された2値の前記サブフレームデータが第1の値のときは前記ブランキング電圧線を介して供給される前記ブランキング電圧を選択し、前記サブフレームデータが第2の値のときは前記駆動電圧線を介して供給される駆動電圧を選択して、前記画素電極に印加して交流駆動する電圧選択手段と、
を有する液晶表示装置に対して、
前記映像信号から階調テーブルに基づいて前記映像信号の各画素値に対応した前記第1の値又は前記第2の値である前記複数のサブフレームのサブフレームデータを生成するサブフレームデータ生成ステップと、
1水平走査期間毎に行選択信号を前記複数の行選択線に順次に供給して前記画素部の前記複数の画素をライン単位の画素毎に順次に選択すると共に、1ラインの各画素の前記サブフレームデータを1ラインの画素単位に前記複数の列データ線に供給し、前記画素部の前記複数の画素のすべてに前記サブフレームデータを供給した時に前記転送用信号線に転送用信号を供給する画素部駆動ステップと、
前記サブフレームの1サブフレーム期間を1周期とする対称方形波で、かつ、互いに逆極性のブランキング電圧及び駆動電圧を発生し、前記ブランキング電圧は1サブフレーム期間の前半期間である駆動期間において前記液晶素子が最小輝度を示す第1の電圧値とし、前記1サブフレーム期間の後半期間である補償駆動期間において前記液晶素子が最大輝度を示す第2の電圧値として前記ブランキング電圧線に供給し、前記駆動電圧は前記駆動期間では前記第2の電圧値とし、前記補償駆動期間では前記第1の電圧値として前記駆動電圧線に供給すると共に、前記第1の電圧値と前記第2の電圧値との中間電圧である第3の電圧値を前記共通電圧として発生して前記共通電極に印加する電圧発生ステップと、
前記駆動期間では前記複数のサブフレームのうち各サブフレーム毎の重み付けに応じた発光期間又は発光強度で、照明光を射出して前記複数の画素の前記液晶素子にそれぞれ共通に照射する光源から前記照明光を射出させ、前記補償駆動期間では前記光源からの前記照明光の射出を停止させるように前記光源を制御する光源制御ステップと、
を含み、前記画素電極に印加される前記サブフレームデータが前記第2の値で、かつ、前記光源制御ステップの制御により前記光源から前記照明光が射出される前記駆動期間でのみ、その画素電極を備える前記液晶素子により最大輝度の表示を行わせ、前記画素電極に印加される前記サブフレームデータが前記第1の値のとき、及び前記補償駆動期間では前記液晶素子により最小輝度の表示を行わせることを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。
【請求項6】
複数の列データ線と複数の行選択線とが交差する各交差部に配置されると共に、ブランキング電圧線及び駆動電圧線に共通に接続された複数の画素からなる画素部の前記複数の画素はそれぞれ、
画素電極と共通電極との間の空間に強誘電性の液晶層が封入され、前記共通電極には共通電圧が印加される液晶素子と、
映像信号の各フレームを前記映像信号の1フレーム期間より短い表示期間を持つ複数のサブフレームで構成するとき、前記サブフレームの1サブフレーム期間の前半期間である補償駆動期間内で前記列データ線を介して供給される前記サブフレームのサブフレームデータを、前記行選択線を介して行選択信号が供給されたときにサンプリング保持する保持手段と、
前記保持手段に保持された2値の前記サブフレームデータが第1の値のときは前記ブランキング電圧線を介して供給される前記ブランキング電圧を選択し、前記サブフレームデータが第2の値のときは前記駆動電圧線を介して供給される駆動電圧を選択して、前記画素電極に印加して交流駆動する電圧選択手段と
を有する液晶表示装置に対して、
前記映像信号から階調テーブルに基づいて前記映像信号の各画素値に対応した前記第1の値又は前記第2の値である前記複数のサブフレームのサブフレームデータを生成するサブフレームデータ生成ステップと、
1水平走査期間毎に行選択信号を前記複数の行選択線に順次に供給して前記画素部の前記複数の画素をライン単位の画素毎に順次に選択すると共に、1ラインの各画素の前記サブフレームデータを1ラインの画素単位に前記複数の列データ線に供給し、前記補償駆動期間内で、前記画素部の前記複数の画素のすべてにそのサブフレームのサブフレームデータを前記複数の列データ線を介して供給する画素部駆動ステップと、
前記サブフレームの1サブフレーム期間を1周期とする対称方形波で、かつ、互いに逆極性のブランキング電圧及び駆動電圧を発生し、前記ブランキング電圧は前記補償駆動期間において前記液晶素子が最大輝度を示す第1の電圧値とし、前記1サブフレーム期間の後半期間である駆動期間において前記液晶素子が最小輝度を示す第2の電圧値として前記ブランキング電圧線に供給し、前記駆動電圧は前記補償駆動期間では前記第2の電圧値とし、前記駆動期間では前記第1の電圧値として前記駆動電圧線に供給すると共に、前記第1の電圧値と前記第2の電圧値との中間電圧である第3の電圧値を前記共通電圧として発生して前記共通電極に印加する電圧発生ステップと、
前記補償駆動期間では、照明光を射出して前記複数の画素の前記液晶素子にそれぞれ共通に照射する光源から前記照明光の射出を停止させ、前記駆動期間では前記複数のサブフレームのうち各サブフレーム毎の重み付けに応じた発光期間又は発光強度で前記光源から前記照明光を射出させるように前記光源を制御する光源制御ステップと、
を含み、前記画素電極に印加される前記サブフレームデータが前記第2の値で、かつ、前記光源制御ステップの制御により前記光源から前記照明光が射出される前記駆動期間でのみ、その画素電極を備える前記液晶素子により最大輝度の表示を行わせ、前記画素電極に印加される前記サブフレームデータが前記第1の値のとき、及び前記補償駆動期間では前記液晶素子により最小輝度の表示を行わせることを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。
【請求項7】
前記電圧発生ステップは、
前記映像信号の各フレームを構成する前記複数のサブフレームのうち、1フレーム期間内の最後のサブフレームの前記駆動期間の終了時刻から、次の1フレーム期間内の最初のサブフレームの前記補償駆動期間の開始時刻までの期間は、前記第1の電圧値と前記第2の電圧値を前記第3の電圧値と等しい値で発生して非駆動期間とすることを特徴とする請求項6記載の液晶表示装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−15803(P2013−15803A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−162850(P2011−162850)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】