説明

液晶表示装置

【課題】本発明は、1台で反射型と透過型の両方の表示が可能な液晶表示装置に関し、光の利用効率を向上させ、また、色再現範囲と透過率を向上させて高画質を実現できる反射型と透過型の両方の表示が可能な液晶表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】光源6からの光が背面から入射するアレイ基板2と、外光が入射する対向基板4と、アレイ基板2と対向基板4との間に挟持された液晶層14とを有し、アレイ基板2、入射した外光を液晶層14へ反射させる反射晩12と、光源6からの光を液晶層14へ透過させる開口部13とを所定の面積比で有している。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)に関し、特に、1台で反射型と透過型の両方の表示が可能な液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は通常、それぞれに透明電極が形成された背面側透明基板及び観察者側透明基板と、これらの基板間に挟持された液晶層とを有している。両基板の透明電極間に電圧を印加することにより液晶を駆動して、観察者側透明基板から射出する光の光量を制御して画像を表示するようになっている。
【0003】また液晶表示装置は、透過型液晶表示装置と反射型液晶表示装置とに大別される。透過型液晶表示装置は液晶層の背面側に光源(バックライト等)を有しており、光源から射出して液晶層を透過する光の透過率を変化させて画像を表示させるようになっている。一方、反射型液晶表示装置は、背面側透明基板に反射膜が設けられており、太陽光や室内光等の外光を観察者側透明基板側から液晶層に入射させ、反射膜で反射して液晶層を透過する光の透過率を変化させて画像を表示させるようになっている。透過光を着色するCF(カラーフィルタ)を設けることにより白黒表示だけでなくカラー表示をすることができる。
【0004】一般に、透過型液晶表示装置には光源が付属するため明るい表示が得られ、コントラストに優れておりカラー表示も大変見易いという利点を有している。しかしながら現状の透過型液晶表示装置は、CRT等に比べれば低消費電力であるものの光源での電力消費が未だ大きい。このため、いわゆるノートブックパソコン等に搭載されて2次電池で駆動する場合には電池の消耗が著しく、長時間の使用ができず携帯性に劣るという問題を有している。
【0005】一方、反射型液晶表示装置は装置内に光源を有さないため、ノートブックパソコン等に搭載しても消費電力が少なく携帯性に優れている。しかし、外光を利用しているため十分な光量が得られず、全体の表示が暗くなってしまうと共にコントラストも低く、高画質を要求されるカラー表示をするには不十分であるという問題を有している。
【0006】このような透過型及び反射型液晶表示装置が有している問題を解決するため、装置内に光源を配置しさらに半透過反射板を設けた反射型カラー液晶表示装置が知られている。この反射型カラー液晶表示装置の構造について図9を用いて説明する。図9は、反射型カラー液晶表示装置をその表示面に垂直な方向で切断した断面を示している。
【0007】図9に示す液晶表示装置200は、透明ガラス基板上に薄膜トランジスタ(TFT)等のスイッチング素子(図示せず)が各画素領域に形成されたアレイ基板(背面側透明基板)202を有している。アレイ基板202と対向する位置に、液晶層214を所定のセルギャップで挟持する透明ガラス基板からなる対向基板(観察者側透明基板)204が配置されている。アレイ基板202と対向基板204とはその周囲に塗布されたシール剤216により貼り合わされている。
【0008】アレイ基板202の液晶層214側の各画素領域には図示しないTFTと接続される透明電極材料からなる画素電極222が形成されている。対向基板204上には、液晶層214を介して画素電極222と対向するカラーフィルタ226が形成されている。さらにその上には透明保護膜228が形成され、その上に透明電極材料からなる共通電極224が形成されている。
【0009】アレイ基板202の液晶層214と反対側の面には偏光板218が張り付けられており、対向基板204の液晶層214と反対側の面には、例えば偏光板218の偏光方位と直交する偏光方位を有する偏光板220が張り付けられている。
【0010】偏光板218のアレイ基板202と反対側の面には半透過反射板212が配置されている。半透過反射板212は一般に反射板に網点状に微細な孔を開けた構造を有しており、光を所定の比率で反射光と透過光に分ける働きをする。しかし、半透過反射板212自身で10%程度光を吸収してしまい光量の減少が発生する。半透過反射板212での反射率を80%とすると透過率は10%程度である。
【0011】半透過反射板212の偏光板218と反対側の面には導光板210が設けられている。導光板210の端部には光源として蛍光管206が配置されている。導光板210の半透過反射板212と反対側の面には反射板208が貼り付けられている。蛍光管206を射出した光は、導光板206内を反射しつつ進み、反射板208で乱反射して半透過反射板212に入射して、上述のように入射光の約10%が透過して透過光230となり、偏光板218で所定の偏光方位の透過光230となって液晶層214に進む。透過光230は液晶層214で変調されてからR(赤)、G(緑)、B(青)のいずれかのカラーフィルタ226を透過して偏光板220から所定の偏光方位の成分だけが透過する。
【0012】一方、対向基板204側から入射した外光は半透過反射板212で約80%が反射されて反射光232となる。これ以降の反射光232の動作は上述の透過光230と同様であるので説明は省略する。
【0013】さて、図10は透過型及び反射型の液晶表示装置にそれぞれ用いられるカラーフィルタの一般的な光学特性を示している。図10(a)は、透過型用と反射型用のカラーフィルタの色度座標(CIE1931表色系)を示している。図10(b)は、透過型用と反射型用のカラーフィルタの視感透過率を示している。図10R>0(a)に示す色度座標において、頂点が丸印で示された三角形領域(a)は一般に透過型液晶表示装置で用いられるカラーフィルタの色度を示している。また、頂点が三角印で示された三角形領域(b)は、反射型液晶表示装置で用いられるカラーフィルタの色度を示している。さらに、頂点が四角形印で示された三角形領域(c)は、反射型液晶表示装置に入射した光が反射板で反射して三角形領域(b)のカラーフィルタを2回通過した場合の色度を示している。
【0014】また、図10(b)に示す視感透過率において、横軸の(α)は、透過型液晶表示装置で一般に用いられるR、G、Bのカラーフィルタの視感透過率を示し、それらの合成である白の視感透過率を四角形印でプロットしている。同様にして、横軸の(β)は、反射型液晶表示装置で一般に用いられるR、G、Bのカラーフィルタの視感透過率を示し、それらの合成である白の視感透過率を四角形印でプロットしている。さらに、横軸の(γ)は、(β)のカラーフィルタを2回通過した各光の視感透過率を示し、それらの合成である白の視感透過率を四角形印でプロットしている。
【0015】一般に反射型液晶表示装置では、パネルに入射する外光の光量が低いのと入射光がカラーフィルタ中を2回通過することを考慮して、色純度(色再現範囲)は低いが視感透過率が高いカラーフィルタを用いる。このため、図10(a)に示す色度座標における三角形領域(b)の特性を有し、図10(b)に示す(β)の視感透過率を有するカラーフィルタが用いられる。
【0016】しかしながら、三角形領域(b)の特性を有する反射型用のカラーフィルタを透過型液晶表示装置で用いると、図10(a)の色度座標に示すように、透過型液晶表示装置で一般に用いられる三角形領域(a)の10%程度しかない三角形領域(b)の色再現範囲しか得られない。また、図10(b)に示す視感透過率から明らかなように、通常の透過型(α)の白の視感透過率が約30%であるのに対して反射型(β)の白の視感透過率は倍の60%程度あるため、通常の透過型液晶表示装置の2倍の視感透過率となってしまう。
【0017】一方、図10(a)に示す色度座標における三角形領域(b)の特性を有し、図10(b)に示す(β)の視感透過率を有するカラーフィルタを反射型液晶表示装置で用いると、入射した外光はカラーフィルタを2回通過するので、色再現範囲が三角形領域(c)に広がり、三角形領域(a)の約34%程度になる。また、視感透過率は(γ)となって、透過型(α)の約1.5倍になる。
【0018】以上説明したように、色再現範囲が三角形領域(b)で視感透過率が(β)のカラーフィルタを使用してバックライトによる透過光で画像を表示してもある程度の光量は得られるが、色再現範囲、コントラストが低く十分な画質のカラー表示を得ることができない。また、反射型として使用した場合においては、十分な光量の外光が入射しても低い画質のカラー表示が得られる程度であり、外光の入射が少ない場合にはバックライトを用いてもさらに低い画質しか得られない。このように、半透過反射板212を用いることで光の利用効率が減少し、通常の透過型に及ばない低い画質のカラー表示となってしまう。仮に、十分な電力がある屋内等で表示させても十分な表示品質が得られないのが現状である。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】以上説明したように従来の技術による反射型と透過型の両方の表示が可能な液晶表示装置では、光の利用効率が低いという問題を有している。また、カラー表示において反射型で十分な色再現範囲が得られても、透過型では色再現範囲が不十分であったり、透過型で十分な色再現範囲が得られても、反射型では透過率が不十分であったりして透過型及び反射型の両方で十分なカラー画像を表示させることができないという問題を有している。
【0020】本発明の目的は、光の利用効率を向上させ、また、色再現範囲と透過率を向上させて高画質を実現できる反射型と透過型の両方の表示が可能な液晶表示装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記目的は、光源からの光が背面から入射する背面側透明基板と、外光が入射する観察者側透明基板と、前記背面側透明基板と前記観察者側透明基板との間に挟持された液晶層とを有する液晶表示装置であって、前記背面側透明基板は、入射した前記外光を前記液晶層へ反射させる反射部と、前記光源からの光を前記液晶層へ透過させる開口部とを所定の面積比で有していることを特徴とする液晶表示装置によって達成される。
【0022】上記本発明の液晶表示装置において、前記背面側透明基板と前記観察者側透明基板のいずれか一方に、前記光源からの光及び前記入射した外光が透過するカラーフィルタが配置されていることを特徴とする。さらに、前記開口部のカラーフィルタ材料の色再現範囲は、前記反射部のカラーフィルタ材料の色再現範囲と同等かそれより広いことを特徴とする。またさらに、前記反射部のカラーフィルタ材料の視感透過率は、前記開口部のカラーフィルタ材料の視感透過率と同等かそれより高いことを特徴とする。
【0023】また上記本発明の液晶表示装置において、前記反射部の前記カラーフィルタ材料の膜厚は、前記開口部の前記カラーフィルタ材料の膜厚と異なることを特徴とする。また、前記反射部の前記カラーフィルタ材料の底面積は、前記開口部の前記カラーフィルタ材料の底面積と異なることを特徴とする。さらに、前記反射部は、前記カラーフィルタ材料が形成されていない領域を有していることを特徴とする。また上記本発明の液晶表示装置において、前記反射部と前記開口部のカラーフィルタ材料の膜厚が異なるように、前記反射部と前記開口部とは、前記背面側透明基板からの高さが相違して形成されていることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の第1の実施の形態による液晶表示装置の概略の構成を図1を用いて説明する。図1は、液晶表示装置をその表示面に垂直な方向で切断した断面を示している。図1に示す液晶表示装置1は、透明ガラス基板上にTFT等のスイッチング素子(図示せず)が各画素領域に形成されたアレイ基板(背面側透明基板)2を有している。アレイ基板2と対向する位置に、液晶層14を所定のセルギャップで挟持する透明ガラス基板からなる対向基板(観察者側透明基板)4が配置されている。アレイ基板2と対向基板4とはその周囲に塗布されたシール剤16により貼り合わされている。
【0025】アレイ基板2の液晶層14側の各画素領域には図示しないTFTと接続される透明電極材料からなる画素電極22が形成されている。また、各画素電極22とアレイ基板2との間には所定の間隙の開口部13を介して隣り合う複数の反射板12が形成されている。
【0026】対向基板4上には、液晶層14を介して画素電極22と対向するカラーフィルタ26が形成されている。さらにその上には透明保護膜28が形成され、その上に透明電極材料からなる共通電極24が形成されている。
【0027】アレイ基板2の液晶層14と反対側の面には偏光板18が張り付けられており、対向基板4の液晶層14と反対側の面には、例えば偏光板18の偏光方位と直交する偏光方位を有する偏光板20が張り付けられている。
【0028】偏光板18のアレイ基板2と反対側の面にはバックライトユニットを構成する導光板10が設けられている。導光板10の端部には光源として蛍光管6が配置されている。導光板10の偏光板18と反対側の面には反射板8が貼り付けられている。蛍光管6を射出した光は、導光板6内を反射しつつ進み、反射板8で乱反射して偏光板18で所定の偏光方位の透過光30にされて各画素電極22に入射し、隣接する反射板12間の開口部13から透過して液晶層14に進む。透過光30は液晶層14で変調されてからR(赤)、G(緑)、B(青)のいずれかのカラーフィルタ26を透過して偏光板20から所定の偏光方位の成分だけが透過する。
【0029】一方、対向基板4側から入射した外光は反射板12で反射されて反射光32となる。これ以降の反射光32の動作は上述の透過光30と同様であるので説明は省略する。
【0030】本実施の形態による液晶表示装置において、各画素内に外光を反射させる反射板12と、反射板12背面からの光を透過させるための複数の反射板12間に設けられた開口部(透過部)13とは所定の面積比で形成されている。反射板12と開口部13との面積比を調整することにより、反射光32の反射光量と透過光30の透過光量とを調整することができる。そのため、所望の反射率/透過率比を得ることができる。さらに、従来のような半透過反射板を用いていないので光の吸収による光量の減少を抑えることができる。
【0031】次に、本発明の第2の実施の形態による液晶表示装置を図2乃至図5を用いて説明する。まず、本実施の形態による液晶表示装置の概略の構成を図2を用いて説明する。図2は、液晶表示装置をその表示面に垂直な方向で切断した断面を示している。なお、第1の実施の形態と同一の作用機能を有する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。図2に示すように本実施の形態では、透明ガラス基板からなる対向基板4が背面側透明基板となり、TFT及び画素電極22が形成されたアレイ基板2が観察者側透明基板となっている。対向基板4の液晶層14側表面には、所定の間隙の開口部13と反射板12とが各画素領域に対応してそれぞれ形成されている。反射板12は例えばアルミニウム(Al)で形成されている。反射板12及び開口部13上にはカラーフィルタ26が形成されている。カラーフィルタ26の構成については後程図3を用いて詳述する。カラーフィルタ26上には透明電極材料からなる共通電極24が形成されている。対向基板4と対向する位置に、液晶層14を所定のセルギャップで挟持する透明ガラス基板からなるアレイ基板(観察者側透明基板)2が配置されている。アレイ基板2と対向基板4とはその周囲に塗布されたシール剤16により貼り合わされている。
【0032】アレイ基板2の液晶層14側の各画素領域にはTFT等のスイッチング素子(図示せず)が各画素領域に形成され、またTFTと接続される透明電極材料からなる画素電極22が形成されている。
【0033】対向基板4の液晶層14と反対側の面には偏光板18が張り付けられており、アレイ基板2の液晶層14と反対側の面には、例えば偏光板18の偏光方位と直交する偏光方位を有する偏光板20が張り付けられている。
【0034】偏光板18の対向基板4と反対側の面には導光板10が設けられている。導光板10の端部には光源として蛍光管6が配置されている。導光板10の偏光板18と反対側の面には反射板8が貼り付けられている。蛍光管6を射出した光は、導光板10内を反射しつつ進み、反射板8で乱反射して偏光板18で所定の偏光方位の透過光30にされて反射板12間の開口部13に入射する。透過光30はR(赤)、G(緑)、B(青)のいずれかのカラーフィルタ26を透過して液晶層14に入射する。
【0035】一方、アレイ基板2側から入射した外光は反射板12で反射されて反射光32となる。これ以降の反射光32の光路上での作用は上述の透過光30と同様であるので説明は省略する。アレイ基板4に設けられた複数の画素電極22の印加電圧を制御することにより上記透過光30あるいは反射光32の射出光量を調節して画像を表示することができる。以上説明した動作は使用する液晶の種類に依存せず、TN(ねじれネマチック)型、STN(超ねじれネマチック)型、強誘電型等のいずれの液晶にも適用可能である。
【0036】次に、図2に示した本実施の形態による液晶表示装置の対向基板4のカラーフィルタ26近傍を図3R>3及び図4を用いて説明する。図3は、対向基板4のカラーフィルタ26近傍の断面を示している。図4は、対向基板4上に形成された複数のカラーフィルタ26の一部をアレイ基板2側から見た状態を示している。図3及び図4に示すように、R、G、Bの各画素(a)〜(d)には約0.1μmの膜厚のAl膜が反射板12として形成されている。各反射板12の中央部には各画素面積の20%の大きさの開口部13が形成されている。各画素(a)〜(d)の反射板12及び開口部13上にカラーフィルタ26が形成されている。
【0037】画素(a)及び(d)の反射板12上には、反射型液晶表示装置用の分光特性を備えた厚さ約1.1μmのR(赤)用カラーフィルタ材料26R−1が形成されている。画素(a)及び(d)の開口部13上には、透過型液晶表示装置用の分光特性を備えた厚さ1.1μmのR用カラーフィルタ材料26R−2が形成されている。同様にして、画素(b)の反射板12上には、反射型液晶表示装置用の分光特性を備えた厚さ約1.1μmのG(緑)用カラーフィルタ材料26G−1が形成されている。画素(b)の開口部13上には、透過型液晶表示装置用の分光特性を備えた厚さ1.1μmのG用カラーフィルタ材料26G−2が形成されている。また、画素(c)の反射板12上には、反射型液晶表示装置用の分光特性を備えた厚さ約1.1μmのB(青)用カラーフィルタ材料26B−1が形成されている。画素(c)の開口部13上には、透過型液晶表示装置用の分光特性を備えた厚さ1.1μmのB用カラーフィルタ材料26B−2が形成されている。これらカラーフィルタ26上には厚さ約0.15μmのITO(インジウム・ティン・オキサイド)からなる共通電極24が形成されている。
【0038】図5は、図10に示したのと同様の色度座標(図5(a))と視感透過率(図5(b))を示している。図5(a)に示す色度座標において、頂点が丸印で示された三角形領域(a)は、透過光30が通過する開口部13上に形成されたカラーフィルタ材料26R−2、26G−2、26B−2で得られる色再現範囲を示している。頂点が三角印で示された三角形領域(b)は、反射光32が反射する反射板12上に形成されたカラーフィルタ材料26R−1、26G−1、26B−1で得られる色再現範囲を示している。さらに、頂点が四角形印で示された三角形領域(c)は、入射した外光が反射板12で反射して三角形領域(b)のカラーフィルタを2回通過した場合の色再現範囲を示している。
【0039】また、図5(b)に示す視感透過率において、横軸の(α)は、カラーフィルタ材料26R−2、26G−2、26B−2の視感透過率を示し、それらの合成である白の視感透過率を四角形印でプロットしている。同様にして、横軸の(β)は、カラーフィルタ材料26R−1、26G−1、26B−1の視感透過率を示し、それらの合成である白の視感透過率を四角形印でプロットしている。さらに、横軸の(γ)は、(β)のカラーフィルタ材料を2回通過した各光の視感透過率を示し、それらの合成である白の視感透過率を四角形印でプロットしている。
【0040】図5に基づき、カラーフィルタ材料26R−1、26G−1、26B−1(以下、反射部のカラーフィルタ材料という)とカラーフィルタ材料26R−2、26G−2、26B−2(以下、開口部のカラーフィルタ材料という)とを比較すると、色再現範囲において、(反射部のカラーフィルタ材料)×2≦(開口部のカラーフィルタ材料)とし、視感透過率において、(反射部のカラーフィルタ材料)×2≧(開口部のカラーフィルタ材料)とすることにより、反射型では明るい画像を、透過型では十分な色再現性の画像を得ることができるようになる。
【0041】反射板12上のカラーフィルタ材料26R−1、26G−1、26B−1と開口部13上のカラーフィルタ材料26R−2、26G−2、26B−2を上記条件を満たすように形成するには、例えば、カラーフィルタの着色層膜厚を変化させたり、着色層の面積比を変化させたりすることにより容易に得ることができる。
【0042】次に、本発明の第3の実施の形態による液晶表示装置の概略の構成を図6を用いて説明する。本実施の形態による液晶表示装置は、第2の実施の形態の対向基板4側のカラーフィルタ26近傍の構成が異なっている点に特徴を有している。従って、第2の実施の形態と同一の作用機能を有する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。図6は、液晶表示装置をその表示面に垂直な方向で切断した対向基板4のカラーフィルタ26近傍の断面を示しており、第2の実施の形態における図3に対応している。
【0043】図6に示すように、R、G、Bの各画素(a)〜(d)には約0.1μmの膜厚のAl膜が反射板12として形成されている。反射板12上には厚さ0.8μmの透明レジスト膜40が形成されている。各反射板12及び透明レジスト膜40の中央部には各画素面積の20%の大きさの開口部13が形成されている。各画素(a)〜(d)の反射板12及び開口部13上にカラーフィルタ26が形成されている。画素(a)及び(d)の反射板12上の透明レジスト膜40上には、透過型液晶表示装置用の分光特性を備えた厚さ約0.2μmのアクリル系のR(赤)用カラーフィルタ材料26R−1が形成されている。画素(a)及び(d)の開口部13上には、同じく透過型液晶表示装置用の分光特性を備えた厚さ1.1μmのアクリル系のR用カラーフィルタ材料26R−2が形成されている。カラーフィルタ材料26R−1と26R−2とは同時に同一の材料で形成されており、膜厚だけが相違している。
【0044】同様にして、画素(b)の反射板12上の透明レジスト膜40上には、透過型液晶表示装置用の分光特性を備えた厚さ約0.2μmのアクリル系のG(緑)用カラーフィルタ材料26G−1が形成されている。画素(b)の開口部13上には、同じく透過型液晶表示装置用の分光特性を備えた厚さ1.1μmのアクリル系のG用カラーフィルタ材料26G−2が形成されている。カラーフィルタ材料26G−1と26G−2とは同時に同一の材料で形成されており、膜厚だけが相違している。
【0045】また、画素(c)の反射板12上の透明レジスト膜40上には、透過型液晶表示装置用の分光特性を備えた厚さ約0.2μmのアクリル系のB(青)用カラーフィルタ材料26B−1が形成されている。画素(c)の開口部13上には、同じく透過型液晶表示装置用の分光特性を備えた厚さ1.1μmのアクリル系のB用カラーフィルタ材料26B−2が形成されている。カラーフィルタ材料26B−1と26B−2とは同時に同一の材料で形成されており、膜厚だけが相違している。これらカラーフィルタ26上には厚さ約0.15μmのITOからなる共通電極24が形成されている。
【0046】このように本実施の形態では、第2の実施の形態のように反射部と開口部とで分光特性の異なるカラーフィルタ材料を用いるのではなく、同一のカラーフィルタ材料を用いてその膜厚を反射部と開口部とで異ならせてそれぞれ所望の分光特性を得ている。
【0047】こうすることにより製造工程を簡略化できる。具体的には、まず各画素の反射板12の中央部に開口部13を形成するため、透明レジスト膜を全面に塗布しフォトリソグラフィ手法を用いてパターニングして透明レジスト膜40を形成する。透明レジスト膜40をエッチングマスクとして反射板12をエッチングし開口部13を形成する。次いで、反射板12上に残った透明レジスト膜40をポストベークして厚さ0.8μmの透明レジスト膜40を残す。次いで透過型用分光特性を備えたアクリル系の各カラーフィルタ材料を順次反射部(反射板12及び透明レジスト膜40)上で厚さ0.2μm、開口部13上で厚さ1.1μmに形成する。次いで、それらの表面に厚さ約0.15μmのITO膜を形成する。このようにして形成したカラーフィルタの反射部と開口部での分光特性も図5に示したものと同様になる。
【0048】本実施の形態では、0.9μmの開口部段差に平坦性のよいアクリル系カラーフィルタ材料(厚さ1.1μm)を形成して反射部に厚さ0.2μmのカラーフィルタ材料を形成したが、カラーフィルタ材料の平坦性により開口部段差を制御することで反射部と開口部で所望の膜厚を得ることができる。また、透明レジスト膜40を用いる代わりに反射板12の膜厚を制御することでも同様な構造を得ることができる。
【0049】次に、本発明の第4の実施の形態による液晶表示装置図7及び図8を用いて説明する。本実施の形態による液晶表示装置は、第2の実施の形態の対向基板4側のカラーフィルタ26近傍の構成が異なっている点に特徴を有している。従って、第2の実施の形態と同一の作用機能を有する構成要素には同一の符号を付してその説明は省略する。図7は、液晶表示装置をその表示面に垂直な方向で切断した対向基板4のカラーフィルタ26近傍の断面を示しており、第2の実施の形態における図3に対応している。図8は、対向基板4上に形成された複数のカラーフィルタ26の一部をアレイ基板2側から見た状態を示している。
【0050】図7及び図8に示すように、R、G、Bの各画素(a)〜(d)には約0.1μmの膜厚のAl膜が反射板12として形成されている。各反射板12の中央部には各画素面積の20%の大きさの開口部13が形成されている。各画素(a)〜(d)の反射板12及び開口部13上にカラーフィルタ26が形成されている。画素(a)及び(d)では、透過型液晶表示装置用の分光特性を備えた厚さ約1.1μmのR(赤)用カラーフィルタ材料26R−1が反射板12上の4箇所に直方体形状で形成されている。カラーフィルタ材料26R−1の底面積は反射板12の面積の約25%である。画素(a)及び(d)の開口部13上には、同じく透過型液晶表示装置用の分光特性を備えた厚さ1.1μmのR用カラーフィルタ材料26R−2が形成されている。カラーフィルタ材料26R−1と26R−2とは同時に同一の材料で形成されている。
【0051】同様にして、画素(b)には、透過型液晶表示装置用の分光特性を備えた厚さ約1.1μmのG(緑)用カラーフィルタ材料26G−1が反射板12上の4箇所に直方体形状で形成されている。カラーフィルタ材料26G−1の底面積は反射板12の面積の約25%である。画素(b)の開口部13上には、同じく透過型液晶表示装置用の分光特性を備えた厚さ1.1μmのG用カラーフィルタ材料26G−2が形成されている。カラーフィルタ材料26G−1と26G−2とは同時に同一の材料で形成されている。
【0052】また、画素(c)には、透過型液晶表示装置用の分光特性を備えた厚さ約1.1μmのB(青)用カラーフィルタ材料26B−1が反射板12上の4箇所に直方体形状で形成されている。カラーフィルタ材料26B−1の底面積は反射板12の面積の約25%である。画素(c)の開口部13上には、同じく透過型液晶表示装置用の分光特性を備えた厚さ1.1μmのB用カラーフィルタ材料26B−2が形成されている。カラーフィルタ材料26B−1と26B−2とは同時に同一の材料で形成されている。これらカラーフィルタ26は透明レジスト膜46で埋め込まれており、平坦化された透明レジスト膜46上には、厚さ約0.15μmのITOからなる共通電極24が形成されている。
【0053】このように本実施の形態では、第3の実施の形態のように反射部と開口部とでカラーフィルタの膜厚を変えるのではなく、同一のカラーフィルタ材料を用いて反射板12上で当該カラーフィルタ材料の有無により反射光全体の光学特性を適正化する点に特徴を有している。
【0054】このような構成により、入射した外光の反射光のうち、カラーフィルタ材料26R−1、26G−1、26B−1中を透過して反射板12で反射する反射光42の割合が25%となり、カラーフィルタ材料を透過せずに直接反射板12で反射する反射光44の割合が75%でとなる。これらの反射光42、44全体の光学特性は図5(a)に示した色度座標における三角形領域(c)と同様になる。こうすることにより同一のカラーフィルタ形成材料を反射板12上と開口部13とに用いても、反射板12上と開口部13とで異なる光学特性のカラーフィルタを得ることができる。なお、反射部と開口部の着色層の面積比は任意に設定できるが、反射部に着色層を設けないことにより、反射型液晶表示装置として明るい黒白画像を表示し、透過型液晶表示装置としてはカラー画像を表示するようにすることも可能になる。
【0055】本実施の形態によれば、観察者側の外からの入射光を反射させる反射部と、背面側の光源からの入射光を透過させる開口部とが所定の面積比で1画素毎に形成されているので、所望の反射率及び透過率の比が得られ、光の吸収や減衰が少ない反射型と透過型の両方の表示が可能な液晶表示装置を提供することができる。
【0056】さらに、カラー表示をさせる場合において、反射部と開口部でのカラーフィルタ材料の色純度(色再現範囲)及び視感透過率を、カラーフィルタ膜厚を変化させたりカラーフィルタ材料の底面積の比を変化させりして、色純度において反射部≦開口部とし、透過率において反射部≧開口部とすることにより、反射型でも透過型でも十分な色再現範囲が得られる反射型と透過型の両方の表示が可能な液晶表示装置を実現できる。
【0057】本発明は、上記実施の形態に限らず種々の変形が可能である。例えば、上記第2乃至第4の実施の形態では、対向基板4側に反射板12を設けているが、本発明はこれに限らず、図1に示したように対向基板4を観察者側に配置し、背面側にアレイ基板2を配置して開口部13が形成された反射板12を配置してももちろんよい。
【0058】
【発明の効果】以上の通り、本発明によれば、光の利用効率を向上させ、また、色再現範囲と透過率を向上させて高画質の画像を表示する反射型と透過型の両方の表示が可能な液晶表示装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態による液晶表示装置をその表示面に垂直な方向で切断した断面を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態による液晶表示装置をその表示面に垂直な方向で切断した断面を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態による液晶表示装置の対向基板上のカラーフィルタ近傍の断面を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態による液晶表示装置の対向基板上の複数のカラーフィルタの一部をアレイ基板側から見た状態を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態による液晶表示装置におけるカラーフィルタの色度座標と視感透過率を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態による液晶表示装置をその表示面に垂直な方向で切断した断面の構成を示す図である。
【図7】本発明の第4の実施の形態による液晶表示装置をその表示面に垂直な方向で切断した断面の構成を示す図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態による液晶表示装置の対向基板上の複数のカラーフィルタの一部をアレイ基板側から見た状態を示す図である。
【図9】従来の反射型カラー液晶表示装置をその表示面に垂直な方向で切断した断面を示す図である。
【図10】透過型及び反射型の液晶表示装置にそれぞれ用いられるカラーフィルタの一般的な光学特性を示す図である。
【符号の説明】
1、200 液晶表示装置
2、202 アレイ基板
4、204 対向基板
6、206 蛍光管
10、210 導光板
12、208 反射板
13 開口部
14、214 液晶層
16、216 シール剤
18、20、218、220 偏光板
22、222 画素電極
24、224 共通電極
26、226 カラーフィルタ
28、228 透明保護膜
30、230 透過光
32、232 反射光
40、46 透明レジスト膜
212 半透過反射板

【特許請求の範囲】
【請求項1】光源からの光が背面から入射する背面側透明基板と、外光が入射する観察者側透明基板と、前記背面側透明基板と前記観察者側透明基板との間に挟持された液晶層とを有する液晶表示装置であって、前記背面側透明基板は、入射した前記外光を前記液晶層へ反射させる反射部と、前記光源からの光を前記液晶層へ透過させる開口部とを所定の面積比で有していることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】請求項1記載の液晶表示装置において、前記背面側透明基板と前記観察者側透明基板のいずれか一方に、前記光源からの光及び前記入射した外光が透過するカラーフィルタが配置されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】請求項2記載の液晶表示装置において、前記開口部のカラーフィルタ材料の色再現範囲は、前記反射部のカラーフィルタ材料の色再現範囲と同等かそれより広いことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】請求項2又は3に記載の液晶表示装置において、前記反射部のカラーフィルタ材料の視感透過率は、前記開口部のカラーフィルタ材料の視感透過率と同等かそれより高いことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】請求項3又は4に記載の液晶表示装置において、前記反射部の前記カラーフィルタ材料の膜厚は、前記開口部の前記カラーフィルタ材料の膜厚と異なることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項6】請求項3又は4に記載の液晶表示装置において、前記反射部の前記カラーフィルタ材料の底面積は、前記開口部の前記カラーフィルタ材料の底面積と異なることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】請求項6記載の液晶表示装置において、前記反射部は、前記カラーフィルタ材料が形成されていない領域を有していることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】請求項5記載の液晶表示装置において、前記反射部と前記開口部のカラーフィルタ材料の膜厚が異なるように、前記反射部と前記開口部とは、前記背面側透明基板からの高さが相違して形成されていることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2001−125094(P2001−125094A)
【公開日】平成13年5月11日(2001.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−306527
【出願日】平成11年10月28日(1999.10.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】