説明

液晶表示装置

【課題】液晶表示素子の温度により近い温度を温度検出素子で検出すると共に、その温度検出素子および液晶表示素子と回路基板との接続が安価に行える液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示素子1と、この液晶表示素子1の背後に配置された回路基板4と、液晶表示素子1と回路基板4とを繋ぐ金属製の接続端子8とを備え、接続端子8は液晶表示素子1および回路基板4と電気的に接続される導電端子12と、回路基板4と電気的に接続されるピン端子13とに分類され、ピン端子13にサーミスタ14(温度検出素子)を半田付する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関し、特に液晶表示素子の温度を検出する温度検出素子を備えた液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶が封入された液晶表示素子は印加される駆動電圧が同じであっても液晶の特性から温度によってコントラストが変化し、表示が見にくくなることがある。そのため、その温度に適した駆動電圧を印加することが液晶表示素子の視認性を低下させない上で重要である。そこで、液晶表示素子の温度を温度検出素子で検出し、この検出した温度に基づいて液晶表示素子に適正な駆動電圧を印加する様にしたものとして、例えば下記特許文献1あるいは特許文献2がある。
【0003】
特許文献1の図1に示されている発明は、図2〜図4に示されている課題を解決したものであり、ガラス基板1に接続されたフレキシブル基板4の端部4a上に温度センサ6(温度検出素子)を実装したことにより、温度センサ6の実装作業性が良くなると共に、温度測定の信頼性と精度を向上できるというものである。また、特許文献2はサーミスタTH(温度検出素子)を発熱部品から遠ざけたフレキシブル印刷配線板50上に実装することにより、熱的影響が大幅に低減され、液晶表示パネル20の周辺により近い温度の検出が可能になるというものである。
【特許文献1】特開2000−47179号公報
【特許文献2】特開平11−64877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載されているガラス基板1(液晶表示素子)と、電源回路などが実装された図示しない硬質回路基板(特許文献2に記載の制御回路基板30に相当)とはフレキシブル基板4で接続されている。従って、フレキシブル基板4を図示しない硬質回路基板に接続するには、特許文献2に示されている様なコネクタ31を硬質回路基板に固着しておく必要があり、部品点数が増えてしまう。また、フレキシブル基板4自体も金額的に高いものである。
【0005】
また、特許文献2に於いてもフレキシブル印刷配線板50と制御回路基板30を接続するコネクタ31を必要とするものであり、コストアップとなってしまう。また、サーミスタTHの位置が液晶表示パネル20から離れた位置にあるために、液晶表示パネル20の温度に合った適正な駆動電圧が印加されにくい。
【0006】
本発明はこの様な点に鑑みなされたもので、液晶表示素子の温度により近い温度を温度検出素子で検出すると共に、その温度検出素子および液晶表示素子と回路基板との接続が安価に行える液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前記目的を達成するため、液晶表示素子と、この液晶表示素子の背後に配置された回路基板と、前記液晶表示素子と前記回路基板とを繋ぐ金属製の接続端子とを備え、前記接続端子は前記液晶表示素子および前記回路基板と電気的に接続される導電端子と、前記回路基板と電気的に接続されるピン端子とに分類され、前記ピン端子に温度検出素子を固着したものである。
【0008】
また、前記ピン端子は断面が略コ字状の挟持部を有し、この挟持部に前記液晶表示素子の端縁が挟み込まれるとともに、前記挟持部に前記温度検出素子が固着されているものである。
【0009】
また、前記ピン端子と前記導電端子を同一としたものである。
【発明の効果】
【0010】
液晶表示素子の温度により近い温度を温度検出素子で検出すると共に、その温度検出素子および液晶表示素子と回路基板との接続が安価に行える液晶表示装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、本発明の第1実施形態を示す液晶表示装置の分解斜視図であり、図2は、液晶表示素子の要部側面図である。
【0012】
液晶表示装置は、矩形の液晶表示素子1と、この液晶表示素子1の裏面側に配置され光透過性を有する拡散板2と、液晶表示素子1および拡散板2が支持されるホルダー3と、このホルダー3の背後に配置された硬質の回路基板4と、この回路基板4上に実装され液晶表示素子1を背後から照明する光源としての発光ダイオード5を備えている。
【0013】
液晶表示素子1は、透明電極が形成された前側基板6と後側基板7との間に液晶分子を封入し、前側基板6と後側基板7に偏光膜(図示せず)を貼り合わせたものである。また、液晶表示素子1には複数の金属製の接続端子8が固着してある。この接続端子8は断面が略コ字状の挟持部9とリード部10とを有しており、挟持部9に液晶表示素子1の後側基板7の端縁が挟み込まれ、リード部10の下端は回路基板4に半田付され(繋がれ)て、回路基板4に形成されている回路と電気的に接続されるようになっている。11は液晶表示素子1を表示駆動する駆動回路チップであり、後側基板7上に実装され透明電極と電気的に接続されている。
【0014】
接続端子8は、駆動回路チップ11と電気的に接続される導電端子12と、回路基板4とは電気的に接続されるが駆動回路チップ11とは電気的には接続されていない2本のピン端子13とに分類される。本実施形態に於ける導電端子12とピン端子13は同一の形状,材質からなる。また、ピン端子13の挟持部9の前面側に温度検出素子としてのサーミスタ14が半田付(固着)してある。本実施形態に於いては、液晶表示素子1と導電端子12とは駆動回路チップ11を介して電気的に接続してあるが、後側基板7上に駆動回路チップ11を設けない場合は、導電端子12は透明電極と電気的に接続されるようになる。
【0015】
拡散板2は、光透過性の合成樹脂からなり、発光ダイオード5からの光が液晶表示素子1を均一に照明する様に、例えば微細なシボ(凹凸)や調光印刷が施してある。なお、満足する照明が得られるようであれば、拡散板2は省略しても良い。
【0016】
ホルダー3は白色の合成樹脂からなり、周壁15と、液晶表示素子1および拡散板2が載置される載置面16と、液晶表示素子1および拡散板2の外周に沿って設けられた囲い部17と、液晶表示素子1の接続端子8が挿通される貫通長穴18を有している。また、周壁15の下端側には位置決めピン19が設けてある。
【0017】
回路基板4には、前述した様に液晶表示素子1を照明する発光ダイオード5の他に、図示しないが電源回路やサーミスタ14で検出した温度に基づいて駆動電圧を調整するマイクロコンピュータなどの制御手段が設けられている。また、接続端子8のリード部10に対応した箇所に貫通孔20が設けられており、ホルダー3の貫通長穴18を挿通したリード部10の下端側が貫通孔20に挿入されて半田付される。また、位置決め孔21が設けられており、この位置決め孔21にホルダー3の位置決めピン19が入り、ホルダー3と回路基板4とが位置決めされている。
【0018】
この様に、液晶表示素子1と、この液晶表示素子1の背後に配置された回路基板4と、液晶表示素子1と回路基板4とを繋ぐ金属製の接続端子8とを備え、接続端子8は液晶表示素子1および回路基板4と電気的に接続される導電端子12と、回路基板4と電気的に接続されるピン端子13とに分類され、ピン端子13にサーミスタ14を半田付したことにより、従来の様にフレキシブル基板を使わなくて済み、さらに、フレキシブル基板を硬質回路基板に接続する際のコネクタも不要となるため、コスト低減となる。
【0019】
また、ピン端子13は断面が略コ字状の挟持部9を有し、この挟持部9に液晶表示素子1の後側基板7の端縁が挟み込まれるとともに、挟持部9にサーミスタ14を半田付するようにしたことにより、後側基板7にピン端子13を固着する際の作業性と、ピン端子13にサーミスタ14を半田付する際の作業性が良い。また、液晶表示素子1に最も近い位置で液晶表示素子1の温度を検知でき、最適な駆動電圧を印加することができる。また、ピン端子13と導電端子12とを同一としたことにより、接続端子8が一種類で済み、コストアップを抑えられる。
【0020】
図2は、本発明の第2実施形態を示す接続端子が固着された液晶表示素子の斜視図である。本実施形態に於いては、接続端子の形状およびサーミスタの固着位置が前記第1実施形態と異なるのみで他は同じため、前記第1実施形態と同一もしくは相当箇所については同一符号を付し、その詳細説明は省略する。
【0021】
接続端子8は、導電端子12とピン端子13とに分類されている。導電端子12とピン端子13は同一の形状,材質からなるが、リード部10の上側(液晶表示素子1側)に幅広部22が設けてある。そして、ピン端子13の幅広部22に温度検出素子としてのサーミスタ14が半田付(固着)してある。他は前記第1実施形態と同様である。
【0022】
この様に構成したことにより、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。また、前記第1実施形態ではサーミスタ14を挟持部9上に半田付したために、サーミスタ14が前側基板6の表面より出っ張ることもあるが、サーミスタ14をリード部10に半田付する様にしたことにより、例えば液晶表示素子1の前側基板6周縁を覆う部材が前側基板6に接する様に配置されたとしても、部材を配置する上での障害となりにくい。
【0023】
なお、各実施形態に於いて導電端子12とピン端子13を同一のものとしたが、異なっていても良い。但し、前述した様に同一である方が接続端子8が一種類で済み、接続端子8を作る上でも管理する上でも安くなる。また、接続端子8は例えばリン青銅やステンレスなどからなる金属製であれば材質,形状は任意である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1実施形態を示す液晶表示装置の分解斜視図。
【図2】同液晶表示素子の要部側面図。
【図3】本発明の第2実施形態を示す液晶表示素子の斜視図。
【符号の説明】
【0025】
1 液晶表示素子
4 回路基板
6 前側基板
7 後側基板
8 接続端子
9 挟持部
12 導電端子
13 ピン端子
14 サーミスタ(温度検出素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示素子と、この液晶表示素子の背後に配置された回路基板と、前記液晶表示素子と前記回路基板とを繋ぐ金属製の接続端子とを備え、前記接続端子は前記液晶表示素子および前記回路基板と電気的に接続される導電端子と、前記回路基板と電気的に接続されるピン端子とに分類され、前記ピン端子に温度検出素子を固着したことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記ピン端子は断面が略コ字状の挟持部を有し、この挟持部に前記液晶表示素子の端縁が挟み込まれるとともに、前記挟持部に前記温度検出素子が固着されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記ピン端子と前記導電端子を同一としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−267762(P2006−267762A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−87606(P2005−87606)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】