説明

液晶表示装置

【課題】液晶パネルと、該液晶パネルの表示面に対向する透明板を有し、前記液晶パネルを収納するカバーケースとを有する液晶表示装置において、前記透明板に外光が映り込む現象や、前記液晶パネルの表示画像の二重映りなどの問題を解消した液晶表示装置の提供。
【解決手段】液晶セル、及びその両側に偏光板が設置された液晶パネルと、バックライトとを有する液晶モジュールと、前記液晶セルの表示面に対向する透明板を有し、前記液晶モジュールを収納するカバーケースとを有する液晶表示装置であって、鏡面反射率及び積分球反射率の双方がそれぞれ3.0%以下を示す第1の反射防止層が前記透明板の片面または両面に形成され、かつ鏡面反射率が3.0%以下を示す第2の反射防止層が前記液晶セルの表示面に形成されたことを特徴とする液晶表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルがカバーケースに収納された液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、液晶セルと偏光板で形成されている液晶パネルと、光源であるバックライトユニット、液晶パネルの電極に信号を印加するための駆動回路、更に外部からの画像信号を液晶パネル駆動信号に変換する為の信号処理回路から構成されている。
【0003】
液晶セルは、互いに対峙する一対の透明基板と、基板間に狭持された液晶層を有しており、TN液晶セル、OCB液晶セル、ECB液晶セル、VA液晶セル、IPS液晶セル等の方式の液晶セルがある。
【0004】
偏光板は、偏光膜と保護膜から形成され、ポリビニルアルコールフィルム(PVA)からなる偏光膜の両面を、フィルム材料であるトリアセテートセルロース(TAC)、ラクトン環含有重合体を含有する熱可塑性樹脂フィルム等の保護膜にて積層したものであり、液晶セルの外側にそれぞれ1枚ずつ配置される。
【0005】
液晶表示装置は、パネル駆動回路において、液晶セル内の印加電圧を制御することで液晶セル内の複屈折性を制御し、この複屈折性の制御と偏光板との組み合わせを用いて、画像表示を行っている。
【0006】
このような液晶表示装置では、液晶分子の動作条件が強い温度依存性を有しており、一般に、低温になるほど液晶の応答時間が長くなる。
【0007】
その結果、低温時には、強い残像の発生、コントラスト低下が生じるなど、著しく表示性能が低下する問題が発生する。
【0008】
この問題に対して、液晶パネル表示面に対向する面に透明板を有し、液晶パネルを熱的に分離・支持するように構成された断熱材カバーケースに収納した状態での使用が提案されている(特許文献1参照)。
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、前記透明板に外光が映り込む現象の発生や、表示画像が二重映りするなど、表示品質を低下させる新たな問題が発生していた。
【0010】
【特許文献1】特開平6−333586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、従来における諸問題を解決し、液晶パネルと、該液晶パネルの表示面に対向する透明板を有し、前記液晶パネルを収納するカバーケースとを有する液晶表示装置において、前記透明板に外光が映り込む現象や、前記液晶パネルの表示画像の二重映りなどの問題を解消した液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。即ち、
<1> 液晶セル、及びその両側に偏光板が設置された液晶パネルと、バックライトとを有する液晶モジュールと、
前記液晶セルの表示面に対向する透明板を有し、前記液晶モジュールを収納するカバーケースとを有する液晶表示装置であって、
鏡面反射率及び積分球反射率の双方がそれぞれ3.0%以下を示す第1の反射防止層が前記透明板の片面または両面に形成され、かつ鏡面反射率が3.0%以下を示す第2の反射防止層が前記液晶セルの表示面に形成されたことを特徴とする液晶表示装置である。
<2> 第1の反射防止層及び/又は第2の反射防止層は、表面処理されたフィルムまたは反射防止フィルムの少なくともいずれかである前記<1>に記載の液晶表示装置である。
<3> 第1の反射防止層は、鏡面反射率及び積分球反射率の双方が1.0%未満を示すAR層、鏡面反射率及び積分球反射率の双方が1.0%〜3.0%を示すLR層、のいずれかであり、
第2の反射防止層は、鏡面反射率及び積分球反射率の双方が1.0%未満を示すAR層、鏡面反射率及び積分球反射率の双方が1.0%〜3.0%を示すLR層、または鏡面反射率が3.0%以下かつ積分球反射率が4.0%以上を示すAG層のいずれかである前記<1>から<2>のいずれかに記載の液晶表示装置である。
<4> カバーケースが、断熱性部材によって作製された前記<1>から<3>のいずれかに記載の液晶表示装置である。
<5> カバーケース内に、加熱手段が設けられた前記<1>から<4>のいずれかに記載の液晶表示装置である。
<6> 車載用インストルメントパネルとして使用される前記<1>から<5>のいずれかに記載の液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、従来における諸問題を解決し、液晶パネルと、該液晶パネルの表示面に対向する透明板を有し、前記液晶パネルを収納するカバーケースとを有する液晶表示装置において、前記透明板に外光が映り込む現象や、前記液晶パネルの表示画像の二重映りなどの問題を解消した液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の液晶表示装置について詳細に説明する。
【0015】
(液晶表示装置)
<構成>
図1は、本発明の液晶表示装置の構成を示す断面図である。
図1に示すように、本発明の液晶表示装置1は、液晶モジュール2と、カバーケース3とを有する。
液晶モジュール2は、液晶パネル4と、バックライト50とを有する。
液晶パネル4は、液晶セル10と、液晶セル10を挟持するように配置された第1の偏光板20、及び第2の偏光板30とを有する。
カバーケース3は、無蓋有底の箱形状をなす本体部3aと、該本体部3aの蓋となって本体部3aの内部を略密閉された空間とする透明板3bとを有する。
カバーケース3は、透明板3bが液晶セル10の表示面に対向するように、液晶パネル4を収納する。
このようにして構成された液晶表示装置1は、カバーケース3によって液晶パネル4が外気から遮断され、液晶表示装置1が低温環境下に置かれた場合でも、カバーケース3がない場合に比べて、液晶パネル4が適正に動作するように構成されている。
なお、カバーケース3は、液晶パネル4を外気から適切に遮断できるように、断熱材などで構成されていることが好ましい。
ここで、前記断熱材とは、熱伝導率に関するJIS規格試験で認定の評価を得る材料であることが好ましい。
【0016】
<液晶セル>
本発明の液晶表示装置に用いられる液晶セル10は、TN(TwistedNematic)モード、VA(verticallyaligned)モード、OCB(opticallycompensatedbend)モード、IPS(in−phaseswitching)モード、又はECB(electricallycontrolledbirefringence)モードのいずれでもよいが、これらの中でも、低温環境における駆動能力が比較的高いことから、OCBモードであることが好ましい。
【0017】
液晶セルにおいては、第1の基板、及び第2の基板において液晶分子に接触する表面(以下、「内面」という場合がある)には、配向膜が形成されており、電界無印加状態もしくは低印加状態における液晶分子の配向が制御されている。
また、第1の基板の内面、及び第2の基板の内面には、液晶層に電界を印加可能な透明電極が形成されている。
【0018】
ここで、液晶層の厚さdと、屈折率異方性Δnとの積Δndの大きさは、白表示時の明るさを変化させる。このため最大の明るさを得るために表示モード毎にその範囲を設定する。
また、第2の偏光板の吸収軸と、第1の偏光板の吸収軸との交差角は、一般に概略直交に積層することで高コントラストが得られる。
本発明の液晶表示装置は、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶セルと偏光子との間にカラーフィルターを配置してもよい。
また、上記構成では、液晶セルと、第1の偏光板との間に光学補償フィルムを配置した構成を示したが、液晶セルと、第2の偏光板との間にも、第1の偏光板と同様に光学補償フィルムを配置してもよい。
光学補償フィルムは、粘着剤で貼合した積層形態で配置されてもよいし、第1の偏光板、及び第2の偏光板において液晶セル側に配置される保護フィルムの一方を視野角拡大に使用した、いわゆる一体型楕円偏光板として配置されてもよい。
【0019】
また、バックライト50は、本発明の液晶表示装置を透過型として使用する場合に、冷陰極、あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトが採用される。
【0020】
<偏光板>
本発明の液晶表示装置に用いられる偏光板は、偏光子と、該偏光子を挟持するように設置された2つ以上の保護フィルムとを有してなる。
ここで、前記バックライトと、該バックライト側の保護フィルムとの間には、必要に応じて、輝度向上フィルムなどが設けられる。
【0021】
<反射防止層>
以下に、本発明の液晶表示装置に用いられる反射防止層について説明する。
本発明の液晶表示装置は、複数の反射防止層として、鏡面反射率及び積分球反射率の双方がそれぞれ3.0%以下を示す第1の反射防止層と、鏡面反射率が3.0%以下を示す第2の反射防止層とを有する。
前記反射防止層としては、AG(アンチグレア)層、AR(反射防止)層、及びLR(低屈折率)層の形成が挙げられ、前記各層は、反射防止層を施す対象に対して表面処理する形態でも、前記対象にフィルムとして設置する形態でもよい。なお、各層については、下記表1に示す鏡面反射率及び積分球反射率で定義される性能を有したものを使用した。
具体的には、第1の反射防止層は、鏡面反射率及び積分球反射率の双方が1.0%未満を示すAR層、鏡面反射率及び積分球反射率の双方が1.0%〜3.0%を示すLR層、のいずれかであり、第2の反射防止層は、鏡面反射率及び積分球反射率の双方が1.0%未満を示すAR層、鏡面反射率及び積分球反射率の双方が1.0%〜3.0%を示すLR層、または鏡面反射率が3.0%以下かつ積分球反射率が4.0%以上を示すAG層のいずれかである。
【0022】
また、前記鏡面反射率は、反射防止フィルムを分光光度計V−550(日本分光(株)製)に装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における鏡面分光反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率で算出した値であり、前記積分球反射率は、反射防止フィルムを分光光度計V−550(日本分光(株)製)の積分球に装着し、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における積分分光反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率で算出した値である。なお、下記表1中において、「CLEAR」は、偏光板表面に反射防止処理がされていない状態を指す。
【0023】
【表1】

【0024】
<<AG(アンチグレア)層>>
アンチグレア(防眩)層は、反射光を散乱させ映り込みを防止するために使用される。アンチグレア機能は、液晶表示装置の最表面(表示側)に凹凸を形成することにより得られる。アンチグレア機能を有する光学フィルムのヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることが更に好ましく、7〜20%であることが特に好ましい。
前記表面に凹凸を形成する方法は、例えば、微粒子を添加して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、比較的大きな粒子(粒径0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成する方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、フィルム表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等を好ましく使用することができる。
【0025】
前記アンチグレア(防眩)層は、反射光を散乱させるので、本発明における透明板に形成されることは避けなければならない。
前記アンチグレア(防眩)層を透明板に形成した場合、液晶表示装置から発する光が、収納ケースと液晶表示装置の間の空間によってあらゆる方向から透明板に入射し、反射光を散乱させるので、透明板の外側から見た液晶表示装置の画像がぼけてしまう現象が発生する。
【0026】
<<AR層、及びLR層>>
反射防止フィルムとしては、フッ素系ポリマー等の低屈折率素材を単層付与しただけの反射率1.0〜3.0%程度のフィルム(LR層)、もしくは薄膜の多層干渉を利用した反射率1%未満のフィルム(AR層)のいずれも含むが、これらのうち、低屈折率素材を単層付与しただけの反射率1.0〜3.0%程度のフィルムを、低屈折率層とする。
反射防止フィルムとしては、前記低屈折率層、及び該低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)を積層した構成が好ましい。
また、日東技報,vol.38,No.1,may,2000,26頁〜28頁や特開2002−301783号公報などに記載された反射防止フィルムを使用することも好ましい。
【0027】
低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.55であることが好ましく、1.30〜1.50であることがより好ましい。
低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として使用することが好ましい。耐擦傷性向上のため、シリコーン基や、フッ素の含有する素材を用い表面への滑り性付与することも好ましく行われる。
含フッ素化合物としては、例えば、特開平9−222503号公報の明細書段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報の明細書段落番号[0019]〜[0030]、特開2001−40284号公報の明細書段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物を好ましく使用することができる。
含シリコーン化合物は、ポリシロキサン構造を有する化合物が好ましいが、反応性シリコーン(例、サイラプレーン(チッソ(株)製)や両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報)等を使用することもできる。
また、シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化させてもよい(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報、特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)。
低屈折率層には、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有させることも好ましい。
【0028】
低屈折率層は、気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されてもよいが、安価に製造できる点で、塗布法で形成することが好ましい。塗布法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法を用いることも好ましい。
低屈折率層の厚さは、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることが更に好ましく、60〜120nmであることが特に好ましい。中屈折率層、及び高屈折率層は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子をマトリックス用材料に分散した構成とすることが好ましい。高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物、例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等を使用することも好ましい。
このような超微粒子は、粒子表面を表面処理剤で処理したり(シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造としたり(特開2001−166104等)、特定の分散剤併用する(例、特開平11−153703号公報、米国特許6210858号、特開2002−2776069号公報等)等の態様で使用することができる。
マトリックス用材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等を使用できるが、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の多官能性材料や、特開2001−293818号公報等に記載の金属アルコキシド組成物から得られる硬化性膜を使用することもできる。
【0029】
高屈折率層の屈折率は、1.70〜2.20であることが好ましい。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがより好ましい。
中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
反射防止フィルムのヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下が更に好ましい。
また、反射防止フィルムの強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることが更に好ましく、3H以上であることが特に好ましい。
【実施例】
【0030】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらに限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)
<液晶表示装置の作製>
TNモードの液晶セルを搭載した液晶表示装置(LL−15G4、SHARP製)から液晶パネルを取り出し、バックライト(SHARP製)とともに、無蓋有底の本体部3aと、透明板3bとからなるカバーケース3に収納した。なお、液晶モジュール2(液晶パネル4、及びバックライト50)をカバーケース3に収納する際には、液晶パネル4の表示面と、透明板3bとが対向するようにカバーケース3内に液晶モジュール2を熱的に分離されるように支持する支持部材によって設置し、カバーケース3の内壁と、液晶モジュール2との間には間隙が設けられるようにした。なお、表示に必要なバックライト用インバーター、液晶パネル駆動回路はカバーケース3の外側に設置される。
ここで、本体部3aの材料として、発泡スチロールを選択し、寸法は、縦300mm、横400mm、高さ80mmであった。また、透明板3bの材料は、コーニング製1737(無アルカリガラス)を選択し、寸法は、縦260mm、横340mm、透過率は92%であった。
偏光板は、偏光膜と保護膜から形成され、ポリビニルアルコールフィルム(PVA)からなる偏光膜の両面を、トリアセテートセルロース(TAC)等の保護膜にて積層したものであり、偏光板は液晶セルの外側にそれぞれ1枚ずつ配置されている。
本実施例においては、図1に示すように、「第2の反射防止層」として、TN液晶セルの表示面に設けられた偏光板(表1では「液晶パネルの表面」と記載)に、下記AGフィルムを設置し、「第1の反射防止層」として、透明板の内面(液晶パネルに対向する側の面、表1では裏面と記載)、及び透明板の外面(外界に接する側の面、表1では表面と記載)に、下記ARフィルムを設置した。
ここで、本発明において用いた反射防止層(AG(Anti−Glare)フィルム、AR(Anti−Reflection)フィルム、及びLR(Low−Reflection)フィルム)について下記に列挙する。
・AGフィルム:製品名無、鏡面反射率2.2%、積分球反射率4.5% 透過率89.9%
・ARフィルム:製品名無、鏡面反射率0.3%、積分球反射率0.8% 透過率95.9%
・LRフィルム:製品名無、鏡面反射率1.5%、積分球反射率1.5% 透過率95.3%
【0032】
<二重映りの評価>
作製した液晶表示装置について、蛍光灯照射室内で、全面黒、全面白、中間調輝度、カラーグラデーション、人物画像、風景画像の表示を行った際の2重映りについて以下の評価基準に基づき、官能評価を実施した。結果を表2に示す。
【0033】
[評価基準]
◎:2重映りが全く〜ほとんどわからない
○:2重映りがわずかにわかる
△:2重映りが識別できるが許容内
×:2重映りが我慢できず不可
【0034】
<映り込みの評価>
作製した液晶表示装置について、蛍光灯照射室内で、全面黒、全面白、中間調輝度、カラーク゛ラテ゛ーション、人物画像、風景画像の表示を行った際の映り込みについて以下の評価基準に基づき、官能評価を実施した。結果を表2に示す。
【0035】
[評価基準]
◎:映り込みが全く〜ほとんどわからない
○:映り込みがわずかにわかる
△:映り込みが識別できるが許容内
×:映り込みが我慢できず不可
【0036】
<鮮鋭度の評価>
作製した液晶表示装置について、暗室内で液晶パネルにチェッカーパターンを表示させ、鮮鋭度について、以下の評価基準に基づき、官能評価を実施した。結果を表2に示す。
【0037】
[評価基準]
◎:非常に鮮鋭であり問題ない
○:まずまず鮮鋭であり問題ない
△:ややぼやけているが許容内
×:完全にぼやけており不可
【0038】
(実施例2〜12、比較例1〜16)
実施例1において、表2に示すように反射防止層の条件を変えた以外は、実施例と同様にして、実施例2〜12、及び比較例1〜16の液晶表示装置を作製し、実施例1と同様にして、二重映り、映り込み、及び鮮鋭度を評価した。結果を表2に示す。
【0039】
【表2】

【0040】
表2に示すように、実施例1〜12の液晶表示装置は、2重映りを防止し、映り込みを防止し、及び表示画像の鮮鋭度を劣化させない液晶表示装置であることが確認された。
それらの中でも、液晶パネル表面にARの反射防止処理がされており、透明板両面の反射防止処理がAR処理されている実施例7が特によい結果を示した。
本発明の液晶表示装置は、カバーケースの部材を、発泡ポリプロピレンなどからなる断熱性部材とすると、寒冷地での使用として更に有効である。
また、カバーケース内に、電熱式ヒーターなどの加熱手段を設置して加熱保温機能を加えてもよい。
更に、本発明の液晶表示装置は、外界の温度に影響されず、2重映りや、映り込みを軽減し、明瞭な画像表示が可能であるので、インストルパネル用途などで自動車に搭載し、スピードメーター、タコメーターなど計器板の表示、カーナビゲーション、バックモニター、リヤシートエンターテイメントや情報端末表示用としての使用に適用することが有効である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は、本発明の一実施形態における液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 液晶表示装置
2 液晶モジュール
3 カバーケース
4 液晶パネル
10 液晶セル
20 第1の偏光板
30 第2の偏光板
50 バックライト
101 第1の反射防止層
102 第2の反射防止層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶セル、及びその両側に偏光板が設置された液晶パネルと、バックライトとを有する液晶モジュールと、
前記液晶セルの表示面に対向する透明板を有し、前記液晶モジュールを収納するカバーケースとを有する液晶表示装置であって、
鏡面反射率及び積分球反射率の双方がそれぞれ3.0%以下を示す第1の反射防止層が前記透明板の片面または両面に形成され、かつ鏡面反射率が3.0%以下を示す第2の反射防止層が前記液晶セルの表示面に形成されたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
第1の反射防止層、及び第2の反射防止層の少なくともいずれかは、表面処理されたフィルムまたは反射防止フィルムの少なくともいずれかである請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
第1の反射防止層は、鏡面反射率及び積分球反射率の双方が1.0%未満を示すAR層、鏡面反射率及び積分球反射率の双方が1.0%〜3.0%を示すLR層、のいずれかであり、
第2の反射防止層は、鏡面反射率及び積分球反射率の双方が1.0%未満を示すAR層、鏡面反射率及び積分球反射率の双方が1.0%〜3.0%を示すLR層、または鏡面反射率が3.0%以下かつ積分球反射率が4.0%以上を示すAG層のいずれかである請求項1から2のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項4】
カバーケースが、断熱性部材によって作製された請求項1から3のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項5】
カバーケース内に、加熱手段が設けられた請求項1から4のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項6】
車載用インストルメントパネルとして使用される請求項1から5のいずれかに記載の液晶表示装置。

【図1】
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【公開番号】特開2008−256728(P2008−256728A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−95276(P2007−95276)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】