説明

液晶表示装置

【課題】擬似インパルス駆動を実行可能な液晶表示装置において、フリッカの発生を防止する。
【解決手段】液晶表示装置は、制御部から入力された第1画像データのフレームレートを2倍にするレート変換部51と、レート変換部51から出力された画像データの輝度レベルを高く又は低くする第1ガンマ変換部52及び第2ガンマ変換部53と、各ガンマ変換部52,53から出力された明暗画像データとレート変換部51から出力された画像データが入力され、明暗切替えにより第2画像データを出力する擬似インパルス駆動機能を有する切替部54と、擬似インパルス駆動を行うとフリッカが発生しやすいような第1画像データがマッチする判定条件が設定された判定部55とを備えている。判定部55により第1画像データについて判定条件にマッチすると判定されると、切替部54は、レート変換部51から出力された画像データをそのまま出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、擬似インパルス駆動により液晶パネルに画像を表示させてホールド効果を低減させる機能を有する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置においては、CRTのようなインパルス表示と異なり、所定時間(例えばフレームレートが60ヘルツの場合60分の1秒間)だけ同一フレームの画像がホールド表示される。このため、画像が次のフレームの画像に切り替わっても、ユーザの視覚において、網膜残像効果により前フレームが残像として残り、動画像表示時に、その動画像がぼやけて見えるホールド効果が発生する。従来より、ホールド効果を低減させて画質を向上させるため、液晶パネルの駆動方法として、液晶パネルに表示させる元の画像(第1画像)の1フレーム分に対して複数フレームの第2画像を表示させて行ういわゆる擬似インパルス駆動方法が提案されている。擬似インパルス駆動方法としては、例えば特許文献1に開示されているように、通常の第1画像の表示時間を少なくしてその第1画像と次フレームの第1画像との間に黒画面やグレー画面の挿入を行う方法(いわゆる黒挿入やグレー挿入)や、第1画像に基づき生成した輝度の高い第2画像と輝度が低い第2画像とを高速で交互に表示させる(以下、明暗切り替えと称する)方法が知られている。このような駆動方法においては、例えば、第1画像のフレームレートの倍速となるフレームレートで第2画像を切り替えて液晶パネルに表示させるため、同一の画像を表示する時間を短くしてホールド効果を低減させることができ、例えば場面の切り替わりが速くフレーム毎の画像の変化が大きい動画をより鮮明に視聴可能にすることができる。
【0003】
ところで、上記のような倍速駆動時において、液晶パネルに輝度の異なる画像を切り替えて表示させるため、ユーザにはフリッカ(ちらつき)が生じて画質が低下しているように感じられることがある。倍速駆動時のフリッカの発生は、例えば、第1画像のフレームレートが50ヘルツであったり、第1画像が高階調のラスタ画像であったり、第1画像がパーソナルコンピュータ等のラスタ画像を主に含むものであったりする場合に、特に顕著である。
【0004】
ここで、このような倍速駆動時のフリッカの発生の問題に関し、特許文献1には、第1画像が動画であるか静止画かを判断し、動画の場合は黒挿入を行って画質を向上させることが開示されている。しかしながら、特許文献1には、例えば第1画像のフレームレートが低い場合にフリッカの発生を防ぐことは開示されていない。また、特許文献1には、特に2種類の明度が異なる画像を交互に表示させる明暗切り替えを行う場合にフリッカの発生を防ぐことが可能な回路等の構成は開示されていない。
【0005】
また、特許文献2には、動画像においては光源を点滅点灯させてホールド効果を低減することを図った液晶表示装置が開示されている。この液晶表示装置においては、映像入力がパーソナルコンピュータからのものである場合は動画像が少ないと判断し、点滅点灯を行わず、フリッカの発生を防ぐように構成されている。特許文献3には、光源を点灯点滅させることによりホールド効果の低減を図った液晶表示装置において、第1画像が動画である場合に光源の点灯期間の比率を下げ、それにより動画の画質を向上させることが開示されている。しかしながら、特許文献2及び特許文献3に記載の液晶表示装置は、光源を高速で点滅点灯させるために、例えばLED等の応答性が高いものを光源として用いる必要があり、製造コストが高くなりがちなものである。そして、特許文献2及び特許文献3には、上記のように明度が異なる画像を高速で切り替える場合のフリッカの発生についての解決策は開示されていない。
【0006】
特許文献4には、第1画像が動画か静止画かの判断結果に基づいて、駆動周波数・駆動方式・バックライト点灯方式を変更することにより、動画と静止画の両方の画質を改善させる液晶表示装置が開示されている。しかしながら、この液晶表示装置では、第1画像が動画である場合と静止画である場合とで駆動周波数や駆動方式を変更するので、回路構成が複雑である。そして、特許文献4には、上記のようにホールド効果を低減させるために明度が異なる画像を高速で切り替える場合におけるフリッカの発生について、有効な解決策は開示されていない。
【特許文献1】特開2002−6818号公報
【特許文献2】特許3971892号公報
【特許文献3】特許3535799号公報
【特許文献4】特開2002−91400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、通常の動画表示時には擬似インパルス駆動により画質を向上させることができ、かつ、画像がフリッカを発生させやすい所定の条件下においては自動的にフリッカの発生を防止することができる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、複数の画素により画像を表示するように構成された液晶パネルと、前記液晶パネルに表示させるための画像データを所定の第1フレームレートで出力する制御部と、前記制御部から入力された第1画像データを前記第1フレームレートより大きい第2フレームレートの画像データに変換し、その画像データに基づく第2画像データを出力する機能を有する倍速変換部と、前記倍速変換部から出力された第2画像データに基づいて前記液晶パネルの各画素を駆動する駆動部とを備え、前記倍速変換部は、前記第2フレームレートに変換した画像データについて、所定のガンマ変換処理を行った後に第2画像データとして出力するいわゆる明暗切り替えによる擬似インパルス駆動機能を有している液晶表示装置において、前記倍速変換部は、前記制御部から入力された第1画像データに関し、所定の判定条件にマッチするかどうか判定する判定部をさらに有し、前記判定部が前記制御部から入力された第1画像データに関して前記判定条件にマッチすると判断したとき、前記第2フレームレートに変換した画像データをそのまま第2画像データとして出力し、それによりフリッカの発生を防止することができるように構成されているものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記判定部は、前記第1画像データの第1フレームレートに関する条件、前記第1画像データの内容に関する条件、及び前記制御部から入力された第1画像データの入力元情報に関する条件のうち少なくともいずれか1つを含む条件を前記所定の判定条件として、前記第1画像データに関して前記判定を行うように構成されているものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記倍速変換部は、前記制御部から入力された第1画像データを前記第2フレームレートの画像データに変換するレート変換部と、前記レート変換部を経由した画像データについて所定の第1ガンマ変換テーブルに基づきガンマ変換処理を行う第1ガンマ変換部と、前記レート変換部を経由した画像データについて所定の第2ガンマ変換テーブルに基づきガンマ変換処理を行う第2ガンマ変換部と、少なくとも前記第1ガンマ変換部を経由した画像データ、第2ガンマ変換部を経由した画像データ、及び前記レート変換部を経由した画像データが入力され、入力された画像データを切り替えて第2画像データとして出力可能な切替部とを有し、前記切替部は、前記判定部が前記制御部から入力された第1画像データに関して前記判定条件にマッチすると判断していないときには、前記第1ガンマ変換部を経由した画像データ及び第2ガンマ変換部を経由した画像データを交互に切り替えて前記第2フレームレートで出力することにより前記擬似インパルス駆動機能を実行し、前記判定部が前記制御部から入力された第1画像データに関して前記判定条件にマッチすると判断したときには、前記レート変換部を経由した画像データをそのまま前記第2フレームレートで出力することにより前記擬似インパルス駆動機能を実行しないように構成されているものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、第1画像データが所定の判定条件にマッチする場合には第1画像データ又はフレームレートが変換された画像データがそのまま出力されるので、明暗切り替えによる擬似インパルス駆動を行うとフリッカが発生する可能性が高い場合には、擬似インパルス駆動機能を実行せずに画像を表示させ、自動的にフリッカの発生を防止することができる。フリッカが発生する可能性が少ない場合には、擬似インパルス駆動機能により動画ぼけが少なく鮮明で高画質な画像を視聴可能にすることができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、第1画像データの第1フレームレート、第1画像データの内容、及び第1画像データの入力元情報の少なくともいずれか1つに関する条件を所定の判定条件に含んでいるので、例えば、第1フレームレートが所定値以下であったり、第1画像データが高階調ラスタ画像を示すものであったり、又は第1画像データがパーソナルコンピュータから入力されたものであったりする場合等、擬似インパルス駆動を行うとフリッカが発生しやすい場合を適切に判定部により判定し、フリッカの発生を効果的に防止することができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、倍速変換部において、擬似インパルス駆動時にガンマ変換を行った2種類の画像データを交互に切り替える切替部が、第1画像データが所定の判定条件にマッチする場合に、レート変換部を経由した画像データをそのまま第2画像データとして出力するように構成されているので、比較的単純な回路構成により、第1画像データに応じて擬似インパルス駆動機能の実行と非実行とを切り替えることが可能であり、液晶表示装置の製造コストを低減することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る液晶表示装置の一例を示す。液晶表示装置1は、例えばテレビジョン放送受像機である。液晶表示装置1は、液晶パネル2と、外部のアンテナ(図示せず)等から入力された信号を選局するチューナ3と、液晶表示装置1の各部を制御する制御部4と、制御部4に制御されてチューナ3を制御し、チューナ3に受信する信号を選局させる選局部3aと、チューナ3から制御部4を経由して入力された画像データである第1画像データのフレームレートを変換する機能及びいわゆる擬似インパルス駆動機能を有する倍速変換部5と、倍速変換部5から出力された第2画像データに基づき液晶パネル2を駆動する駆動部6と、制御部4により用いられる種々の設定情報等が記憶される記憶部7と、例えば外部のパーソナルコンピュータ等や光ディスクレコーダ等から画像データを入力可能な外部入力部10等で構成されている。制御部4は、例えばチューナ3により受信された信号に基づく画像データを倍速変換部5に出力するか、外部入力部10から入力された画像データを倍速変換部5に出力するかを切替制御可能に構成されており、液晶表示装置1は、多種の画像ソースによる画像を視聴可能に構成されている。
【0015】
液晶パネル2は、バックライト(図示せず)と、その前面に縦方向及び横方向に行列をなすように配列された複数の画素(図示せず)を有している。液晶パネル2の各画素は、駆動部6からの駆動電圧が印加されることによりその駆動電圧に応じてバックライトからの光の透過率を変更する液晶素子である。すなわち、液晶パネル2は、駆動部6により各画素が制御部4から倍速変換部5を経由し出力された第2画像データに対応する階調で駆動されて、その各画素の階調の濃淡により、チューナ3により選局された入力信号に対応する画像を表示する。駆動部6は、第2画像データの出力レベルに応じた駆動電圧で各画素を駆動する。本実施形態において、液晶パネル2は、例えば、RGBそれぞれ256階調で各画素を駆動可能に構成されており、いわゆるカラー画像を表示可能に構成されている。
【0016】
制御部4は、例えばマイコン等により構成されている。制御部4は、チューナ3から入力された入力信号を処理して画像データを生成する信号処理部4aを有している。信号処理部4aは、液晶パネル2に表示する画像のブライトネスやコントラスト等の調整処理や入力信号に対するガンマ補正処理等を行い、所定のフレームレート(例えば50ヘルツ又は60ヘルツ)の液晶パネル2に表示させる画像の画像データを生成する。生成された画像データは、制御部4から出力され、倍速変換部5に入力される。
【0017】
図2は、倍速変換部5を示す。倍速変換部5は、制御部4から画像データが第1画像データとして入力されるレート変換部51と、レート変換部51を経由した画像データが入力される第1ガンマ変換部52及び第2ガンマ変換部53と、第1ガンマ変換部52及び第2ガンマ変換部53から画像データが入力される切替部54とを有している。レート変換部51は、第1画像データが入力されると、そのフレームレートを2倍に変換した画像データを出力するように構成されている。すなわち、本実施形態において、レート変換部51は、所定の第1フレームレート(例えば50ヘルツ又は60ヘルツ)の第1画像データが入力されると、そのフレームレートを2倍に変換し、第2フレームレート(例えば100ヘルツ又は120ヘルツ)の画像データを出力する。第1ガンマ変換部52は、所定の第1ガンマ変換テーブルを有しており、第2ガンマ変換部53は、所定の第2ガンマ変換テーブルを有している。各ガンマ変換テーブルは、各ガンマ変換部52,53に入力された画像データの輝度レベル(入力レベル)と当該ガンマ変換部52,53から出力される画像データの輝度レベル(出力レベル)との対応関係がルックアップテーブルとして予め設定されたものである。本実施形態において、第1ガンマ変換テーブルでは、入力レベルに対応する出力レベルが大きく、画像が明るくなるように設定されており、第2ガンマ変換テーブルでは、入力レベルに対応する出力レベルが大きく、画像が暗くなるように設定されている。また、同一入力レベルの画像データについて、第1ガンマ変換テーブルにおける出力レベルと第2ガンマ変換テーブルにおける出力レベルとは、両出力レベルの平均が入力レベルに略等しくなるように設定されている。第1ガンマ変換部52は、レート変換部51から出力された画像データについて、第1ガンマ変換テーブルに基づき輝度レベルを変換し、それにより輝度レベルが高くなった画像データを切替部54に出力する。第2ガンマ変換部53は、レート変換部51から出力された画像データについて、第2ガンマ変換テーブルに基づき輝度レベルを変換し、それにより輝度レベルが低くなった画像データを切替部54に出力する。
【0018】
切替部54は、第1ガンマ変換部52を経由して入力された輝度が高くなった画像データ及び第2ガンマ変換部53を経由して輝度が低くなった画像データを交互に切り替えて第2画像データとして駆動部6に出力することにより、擬似インパルス駆動機能を実行する。図3は、倍速変換部5に入力される第1画像データに含まれるフレームと、擬似インパルス駆動機能を実行しているときに倍速変換部5から出力される第2画像データに含まれるフレームとを模式的に示す。切替部54は、画像データの切り替えを所定の第2フレームレート(例えば第1フレームレートが60ヘルツである場合、120ヘルツ)で行うことにより、その第2フレームレートの第2画像データを出力する。これにより、図に示すように、第2画像データは、輝度が高い画像の画像データ(高輝度画像データ)と輝度が低い画像の画像データ(低輝度画像データ)を1フレームの画像分ずつ交互に含むものになる。すなわち、倍速変換部5は、1フレームの画像分の第1画像データ(図に入力画像として示す)当たり、2フレームの画像分の第2画像データを出力することになり、その第2画像データは、1フレーム画像分の第1画像データにそれぞれ対応する1フレームの高輝度画像データ(図において明画像として示す)及び1フレームの低輝度画像データ(図において暗画像として示す)からなっている。駆動部6が、この倍速変換部5から出力された第2画像データに基づいて液晶パネル2を駆動することにより、液晶パネル2において、第1画像データ1フレームの画像の表示時間に、明暗が異なる2フレームの画像が表示される。このように、この液晶表示装置1においては、倍速変換部5によって明暗切り替えによる擬似インパルス駆動機能が行われることにより、ユーザの視覚においてホールド効果が発生しにくくなる。従って、特に第1画像データの1フレーム毎の画像の変化が大きいような動画像を、より高画質で視聴可能にすることができる。
【0019】
ここで、本実施形態において、倍速変換部5には、判定部55がさらに設けられており、また、切替部54には、レート変換部51を経由した第2フレームレートの画像データがさらに入力されている。図2に示すように、判定部55には、制御部4から、第1画像データと、その第1画像データに関する入力元情報が入力されている。ここで、入力元情報としては、例えば、第1画像データがチューナ3により受信されたものであるか外部入力部10から入力されているものであるかを示すデータ元情報や、第1画像データがチューナ3により受信されたものであればそれがどのチャンネルの画像データであるか、又は、外部入力部10から入力されているものであればそれが外部のパーソナルコンピュータから入力されたものであるか別の外部機器等から入力されたものであるかを示すようなチャンネルデータ等を含んでいる。
【0020】
倍速変換部5は、判定部55により第1画像データに関し所定の判定条件にマッチするかどうかを判定し、マッチする場合には、切替部54がレート変換部51を経由した第2フレームレートの画像データを第2画像データとして出力することにより、上記擬似インパルス駆動機能を行わないように構成されている。判定部55には、第1画像データに関する判定条件が予め設定されている。判定条件としては、ある第1画像データに基づいて明暗切り替えによる擬似インパルス駆動機能を行ったときにフリッカが発生する可能性が高い場合、その入力条件がマッチするように予め設定されている。判定条件としては、例えば、第1画像データの第1フレームレートが50ヘルツであること、第1画像データの画像が、高階調のラスタ画像を示すものであること、及び第1画像データが外部入力部10に接続されたパーソナルコンピュータから出力されたものであること、の3つの条件が設定されている。判定部55は、入力されている第1画像データについて、それらの判定条件それぞれにマッチするかどうかを判定し、いずれか1つの判定条件にマッチする場合には、その旨を示すフラグであるマッチ判定信号を切替部54に出力する。
【0021】
切替部54は、判定部55からのマッチ判定信号が入力されると、レート変換部51を経由した画像データを、そのままの第2フレームレートで、第2画像データとして出力するように構成されている。図4は、倍速変換部5に入力される第1画像データに含まれるフレームと、擬似インパルス駆動機能を実行していないときに倍速変換部5から出力される第2画像データに含まれるフレームとを模式的に示す。図に示すように、マッチ判定信号が入力されているとき、切替部54は、レート変換部51で倍速にされた第2フレームレートの第2画像データを出力するので、倍速変換部5は、1フレームの画像分の第1画像データ(図に入力画像として示す)当たり、その第1画像データの画像と同一の2フレームの画像分の第2画像データを出力する。切替部54は、判定部55からマッチ判定信号が入力されなくなると、再び、上記のように明画像と暗画像とを切り替えて擬似インパルス駆動機能を実行する。
【0022】
このように、本実施形態においては、第1画像データが所定の判定条件にマッチし、明暗切り替えによる擬似インパルス駆動を行うとフリッカが発生する可能性が高い場合には、フレームレートが変換された画像データがそのまま出力されるので、擬似インパルス駆動機能を実行せずに画像を表示させることができ、自動的にフリッカの発生を防止することができる。他方、フリッカが発生する可能性が少ない場合には、従来と同様に、擬似インパルス駆動機能により動画ぼけが少なく鮮明で高画質な画像を視聴可能にすることができる。また、第1画像データの第1フレームレート、第1画像データの内容、及び第1画像データの入力元情報に関し、擬似インパルス駆動を行うとフリッカが発生しやすい場合の第1画像データが確実にマッチするように判定条件が設定されているので、フリッカが発生しやすい場合を適切に判定部により判定することができ、フリッカの発生をより確実に防止することができる。
【0023】
また、この液晶表示装置1では、倍速変換部5において、擬似インパルス駆動時に明暗2種類の画像データを交互に切り替える切替部54が、マッチ判定信号が入力されたときにレート変換部51を経由した画像データをそのまま第2画像データとして出力する。従って、倍速変換部5を比較的単純な回路構成として、第1画像データに応じた擬似インパルス駆動機能の実行と非実行との切り替えを行うことが可能であり、液晶表示装置1の製造コストを低減することが可能になる。
【0024】
図5は、本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置の倍速変換部を示す。以下、第2実施形態について、第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、第1実施形態と相違する部分についてのみ説明する。第2実施形態において、液晶表示装置の倍速変換部105はいわゆる黒挿入方式により擬似インパルス駆動機能を行うことができるように構成されている点で第1実施形態と異なり、液晶表示装置のその他の部位は第1実施形態と略同様に構成されている。
【0025】
第2実施形態において、倍速変換部105は、第1実施形態と略同様に構成され機能するレート変換部51及び判定部55と、レート変換部51から出力された画像データを黒画像とする黒挿入部152と、レート変換部51から出力された画像データの輝度レベルを変更する輝度調整部153と、黒挿入部152及び輝度調整部153から出力された画像データが入力され、それらを第2フレームレートで交互に切り替えることにより擬似インパルス駆動機能を実行可能な切替部154とを有している。判定部55に設定されている所定の判定条件としては、例えば第1フレームレートに関する条件等、黒挿入方式による擬似インパルス駆動機能を実行するとフリッカが発生する可能性が高いような第1画像データにマッチするような条件が設定されている。輝度調整部153は、所定の輝度調整ルックアップテーブルを有しており、その輝度調整ルックアップテーブルに基づいて、画像データの輝度レベルを、入力された画像データの輝度レベルに応じてそれより明るい輝度レベルに変更し、切替部154に出力する。そして、切替部154が、黒挿入部152と輝度調整部153から入力された映像データを第2フレームレート(例えば120ヘルツ)で交互に切り替えて、黒画像のフレームと高輝度画像のフレームとが交互に連続する第2画像データとして出力することにより、液晶パネル2を介して視聴される画像の輝度をあまり低下させずに、ホールド効果を低減させて高画質な画像を視聴可能にすることができるように構成されている。
【0026】
ここで、切替部154には、輝度調整部153により輝度レベルが調整されて出力された画像データについて、輝度調整部153による調整がなされる前の輝度レベルに戻すことができるように構成されている輝度調整部154aが設けられている。そして、判定部55が、上記第1実施形態と同様に、入力されている第1画像データについて所定の判定条件にマッチすると判定し、マッチ判定信号を切替部154に出力すると、切替部154は、黒挿入部152から入力された画像データを用いずに輝度調整部153から出力された画像データのみを、輝度調整部154aにより、輝度調整部153から出力された画像データの輝度レベルを輝度調整部153による調整がなされる前の輝度レベルに戻した上で、第2画像データとして出力するように構成されている。なお、判定部55がマッチ判定信号を出力すると、輝度調整部153が輝度調整を行わずに画像データをそのまま切替部154に出力し、その画像データが第2画像データとして倍速変換部105から出力されるように構成されていてもよい。
【0027】
このように、第2実施形態においては、第1画像データが所定の判定条件にマッチし、黒挿入方式による擬似インパルス駆動を行うとフリッカが発生する可能性が高い場合には、フレームレートが変換された画像データが略そのままの輝度で黒挿入を行わずに出力されるので、擬似インパルス駆動機能を実行せずに画像を表示させることができ、フリッカの発生を防止することができる。また、フリッカが発生する可能性が少ない場合には、従来と同様に、黒挿入による擬似インパルス駆動機能により動画ぼけが少なく鮮明で高画質な画像を視聴可能にすることができる。
【0028】
なお、本発明は上記第1実施形態及び第2実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を変更しない範囲で適宜に種々の変形が可能である。例えば、切替部は、判定部により判定条件にマッチすると判定されたとき、第1画像データをそのまま倍速変換部から出力させ、液晶パネル2を擬似インパルス駆動時の半分のフレームレートで駆動するように構成されていてもよい。また、判定部は、第1画像データに関して、設定されている全ての判定条件にマッチする場合にのみマッチ判定信号を出力するように構成されていてもよく、その他にも、ユーザ自ら、種々の判定条件を設定可能に構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置の一例を示すブロック図。
【図2】上記液晶表示装置の倍速変換部の構成を示すブロック図。
【図3】上記倍速変換部に入力される第1画像データと擬似インパルス駆動時に同第1画像データに応じて同倍速変換部から出力される第2画像データとの関係を示す図。
【図4】上記倍速変換部に入力される第1画像データと擬似インパルス駆動を行わないときに同第1画像データに応じて同倍速変換部から出力される第2画像データとの関係を示す図。
【図5】本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置の倍速変換部の構成例を示すブロック図。
【符号の説明】
【0030】
1 液晶表示装置
2 液晶パネル
4 制御部
5 倍速変換部
6 駆動部
51 レート変換部
52 第1ガンマ変換部
53 第2ガンマ変換部
54 切替部
55 判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素により画像を表示するように構成された液晶パネルと、
前記液晶パネルに表示させるための画像データを所定の第1フレームレートで出力する制御部と、
前記制御部から入力された第1画像データを前記第1フレームレートより大きい第2フレームレートの画像データに変換し、その画像データに基づく第2画像データを出力する機能を有する倍速変換部と、
前記倍速変換部から出力された第2画像データに基づいて前記液晶パネルの各画素を駆動する駆動部とを備え、
前記倍速変換部は、前記第2フレームレートに変換した画像データについて、所定のガンマ変換処理を行った後に第2画像データとして出力するいわゆる明暗切り替えによる擬似インパルス駆動機能を有している液晶表示装置において、
前記倍速変換部は、前記制御部から入力された第1画像データに関し、所定の判定条件にマッチするかどうか判定する判定部をさらに有し、前記判定部が前記制御部から入力された第1画像データに関して前記判定条件にマッチすると判断したとき、前記第2フレームレートに変換した画像データをそのまま第2画像データとして出力し、それによりフリッカの発生を防止することができるように構成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記第1画像データの第1フレームレートに関する条件、前記第1画像データの内容に関する条件、及び前記制御部から入力された第1画像データの入力元情報に関する条件のうち少なくともいずれか1つを含む条件を前記所定の判定条件として、前記第1画像データに関して前記判定を行うように構成されていることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記倍速変換部は、
前記制御部から入力された第1画像データを前記第2フレームレートの画像データに変換するレート変換部と、
前記レート変換部を経由した画像データについて所定の第1ガンマ変換テーブルに基づきガンマ変換処理を行う第1ガンマ変換部と、
前記レート変換部を経由した画像データについて所定の第2ガンマ変換テーブルに基づきガンマ変換処理を行う第2ガンマ変換部と、
少なくとも前記第1ガンマ変換部を経由した画像データ、第2ガンマ変換部を経由した画像データ、及び前記レート変換部を経由した画像データが入力され、入力された画像データを切り替えて第2画像データとして出力可能な切替部とを有し、
前記切替部は、
前記判定部が前記制御部から入力された第1画像データに関して前記判定条件にマッチすると判断していないときには、前記第1ガンマ変換部を経由した画像データ及び第2ガンマ変換部を経由した画像データを交互に切り替えて前記第2フレームレートで出力することにより前記擬似インパルス駆動機能を実行し、
前記判定部が前記制御部から入力された第1画像データに関して前記判定条件にマッチすると判断したときには、前記レート変換部を経由した画像データをそのまま前記第2フレームレートで出力することにより前記擬似インパルス駆動機能を実行しないように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−162937(P2009−162937A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341100(P2007−341100)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【出願人】(503193351)株式会社イクス (28)
【Fターム(参考)】