説明

液晶表示装置

【課題】高いコントラストを得ることができ、消費エネルギーを低減することができる直視型の液晶表示装置を提供する
【解決手段】光源からの光ビームによって形成される光スポットを、液晶パネルの画像表示領域11cの背面において主走査方向Dh及び副走査方向Dvに2次元走査させる2次元走査駆動部と、2次元走査駆動部に走査タイミング信号を供給する2次元走査制御部と、画像表示領域11cを複数の領域E1〜E12に分割し、領域毎に入力映像信号に基づく照明光補正係数を出力する分割領域制御部と、領域毎に照明光補正係数に基づいて光ビームの発光強度を制御する発光強度制御部とを有し、発光強度制御部による光ビームの発光強度の制御は、複数の領域の内の1つ又は複数の領域の照明光補正係数と、2次元走査部による主走査方向及び副走査方向の走査タイミングとに基づいて行なわれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直視型の液晶パネルのバックライト照明を光ビームの2次元走査によって行なう液晶表示装置に関し、特に、バックライト照明の強度の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶表示装置(LCD)においては、液晶パネルの画像表示領域の全体がバックライト照明される。液晶パネルは完全にバックライト照明光を遮ることができないので暗い映像が十分暗くならず、高いコントラストを得ることができなかった。この改善策として、光源から出射された光を偏向して液晶パネルの画像表示領域(画像情報表示素子)の全面を1フレーム期間内で線順次走査する表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この表示装置は、映像信号に応じて走査速度を変化させて輝度値を制御することによって、ダイナミックレンジの向上を図っている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−163915号公報(段落0048〜0056、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された表示装置においては、暗く表示したい部分についてもバックライト照明がなされるので、コントラストの向上が十分ではないという問題がある。
【0005】
また、特許文献1に記載された表示装置においては、光スポットの走査速度を変化させるために、2つのポリゴンミラー、又はポリゴンミラーと単振動鏡面体で構成される2次元走査装置の駆動速度を制御しているので、走査速度を速める場合に、消費エネルギーが増加する問題がある。
【0006】
さらに、特許文献1に記載された表示装置においては、暗く表示したい部分についてもバックライト照明がなされるので、消費エネルギーが無駄に使われるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、高いコントラストを得ることができ、消費エネルギーを低減することができる液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る液晶表示装置は、液晶パネルと、入力映像信号に基づいて液晶駆動信号を生成する液晶駆動信号生成手段と、前記液晶駆動信号に基づいて前記液晶パネルを駆動する液晶駆動手段と、光ビームを出射する光源と、前記光ビームを偏向して、前記光ビームによって形成される光スポットを、前記液晶パネルの画像表示領域の背面において主走査方向及び副走査方向に2次元走査させる2次元走査駆動手段と、前記2次元走査駆動手段に、前記光スポットの主走査方向及び副走査方向の走査タイミング信号を供給する2次元走査制御手段と、前記液晶パネルの画像表示領域を複数の領域に分割し、前記領域毎に前記入力映像信号に基づく照明光補正係数を出力する分割領域制御手段と、前記領域毎に前記照明光補正係数に基づいて前記光ビームの発光強度を制御する発光強度制御手段とを有し、前記発光強度制御手段による前記光ビームの発光強度の制御は、前記複数の領域の内の前記光ビームが走査している1つの領域の前記照明光補正係数又は前記複数の領域の内の前記光ビームが走査している2つ以上の領域の内のいずれか1つの領域の前記照明光補正係数に基づいて行なわれ、前記発光強度制御手段による前記光ビームの発光強度の制御に用いる前記照明光補正係数の切り替えタイミングは、前記2次元走査制御手段からの前記走査タイミング信号に基づいて決定されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の液晶表示装置によれば、コントラストの高い映像を表示でき、また、省エネルギーを実現できるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る液晶表示装置の構成及び動作を概略的に示す図である。また、図2は、実施の形態1に係る液晶表示装置の光学系の構成及び制御系の構成を概略的に示す図である。
【0011】
図1又は図2に示されるように、実施の形態1に係る液晶表示装置は、液晶パネル11と、入力映像信号に基づいて液晶駆動信号A1を生成する液晶駆動信号生成手段としての液晶駆動信号生成部12と、液晶駆動信号A1に基づいて液晶パネル11を駆動する液晶駆動手段としての液晶駆動部13と、光ビームL0を出射する光ビーム出射部20と、液晶パネル11の画像表示領域11cの領域毎に照明光補正係数A2を出力する分割領域制御部23と、液晶パネル11の背面11bにバックライト照明光である光ビームL1を2次元走査する2次元走査手段としての2次元走査駆動部30と、2次元走査駆動部30の制御信号(走査タイミング信号)A3を出力する2次元走査制御部31とを有している。分割領域制御部23は、液晶パネル11の画像表示領域11cを複数の領域に分割する処理と、分割された各領域について照明光補正係数を決定する処理とを行なう。照明光補正係数は、例えば、分割された各領域に表示される映像の輝度に応じて決定される。例えば、分割された各領域に表示される映像の輝度が高ければ、光源21からの光ビームL0の強度を高くする照明光補正係数(例えば、高い値の照明光補正係数)を生成し、分割された各領域に表示される映像の輝度が低ければ、光源21からの光ビームL0の強度を低くする照明光補正係数(例えば、低い値の照明光補正係数)を生成する。この場合、分割された領域に表示される映像の輝度としては、領域内の各画素の輝度の最大値、最小値、若しくはそれらの中間値などを用いるこができ、また、領域内の各画素の輝度の平均値を用いることもできる。
【0012】
図1又は図2に示されるように、液晶パネル11は、観察者によって表面11aが直視される直視型の液晶パネルである。液晶パネル11の画像表示領域(図2における斜線部分)11cの背面11bには、光ビーム出射部20から出射され2次元走査駆動部30で走査される光ビームL1が照射される。2次元走査駆動部30は、例えば、ポリゴンミラーと、ガルバノミラーと、それらを駆動する駆動制御部とから構成することができる。ただし、2次元走査駆動部30は、この構成に限らず、2次元走査を実現する他の構成、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等でもよい。
【0013】
図2に示されるように、光ビーム出射部20は、光ビームを出射する光源21と、光源21から出射される光ビームL0の発光強度を制御する発光強度制御部22とを有している。発光強度制御部22は、分割領域制御部23から出力される照明光補正係数A2と、2次元走査制御部31から出力される走査タイミング信号A3に基づいて光源21に制御信号を出力する。光源21は、例えば、レーザー発光素子又はLED素子を有する光学装置であるが、光ビームを出射できる構成であれば、高輝度水銀ランプのような発光ランプを光源とする光学装置とすることも可能である。
【0014】
また、図1又は図2に示されるように、2次元走査制御部31により制御される2次元走査駆動部30は、光ビーム出射部20からの光ビームL0を水平方向及び垂直方向に偏向することによって、光ビームL1によって形成される光スポットを、液晶パネル11の画像表示領域11cの背面11bにおいて主走査方向(水平方向)Dh及び副走査方向(垂直方向)Dvにそれぞれ所定の周波数(所定の走査タイミング)で走査して、液晶パネル11の画像表示領域11cの背面11bの全面を光スポットで線順次走査する。なお、液晶パネル11の全面の画像情報を書き換える、1/60秒を1フレーム期間とし、この間に液晶パネル11の全面を、光スポットで走査することでバックライト照明を行なう。
【0015】
図3(a)は、実施の形態1に係る液晶表示装置において、液晶パネル11の画像表示領域11cを分割する領域E1〜E12を説明するための図であり、図3(b)は、図3(a)で分割された領域E1〜E12と光スポット(破線の丸で7個示す。)の走査位置P1〜P7との関係を説明するための図である。
【0016】
図3(a)に示されるように、光スポットは液晶パネル11の主走査方向Dhの走査開始位置S1から、1ライン目の走査位置P1のように主走査方向Dhに走査する動作を、複数の走査位置(例えば、P1〜P7)について、例えば、上から順に行い、液晶パネル11の画像表示領域11cの背面11b上の最下端(走査位置P7)まで走査する。ここで、光スポットが液晶パネル11の画像表示領域11cのある領域を照明するタイミングにおいて、分割領域制御部23から出力された、その領域の照明光補正係数A2に基づいて発光強度制御部22は光源21を制御し、光ビームL0の発光強度を決定する。光スポットで複数の領域E1〜E12の内の2つ以上の領域を同時に(すなわち、2つ以上の領域を跨いで)照明するタイミングでは、発光強度制御部22は、領域毎の照明光補正係数を比較して、いずれの領域の照明光補正係数に基づいて光ビームL0の発光強度を制御するかを選択する。
【0017】
すなわち、発光強度制御部22による光ビームL0の発光強度の制御は、分割領域制御部23により決められた複数の領域の内の光ビームL0が走査している1つの領域の照明光補正係数、又は、分割領域制御部23により決められた複数の領域の内の光ビームL0が走査している2つ以上の領域の内のいずれか1つの領域の照明光補正係数に基づいて行なわれ、発光強度制御部22による光ビームL0の発光強度の切り替えタイミング(すなわち、使用される照明光補正係数の切り替えタイミング)は、2次元走査制御部31からの走査タイミング信号に基づいて決定される。このように、2次元走査制御部31から出力される2次元走査の主走査方向Dhと副走査方向Dvの走査タイミング信号A3と、領域毎の照明光補正係数A2とに基づいて光ビームの発光強度を制御することで、コントラストの高い映像を得ることができる。また、暗い映像を表示する場合には、光源21の出力が低くなるように制御するため省エネルギーを実現できる。
【0018】
次に、図3(a)に示されるように液晶パネル11の画像表示領域11cを4列3行の12個の長方形の領域E1〜E12に分割した場合について説明する。また、光スポットの大きさは液晶パネル11の画素サイズよりも十分に大きく、液晶パネル11を分割する各領域の大きさよりも小さいこととする。図3(b)に示されるように副走査方向Dvの走査回数を7回とした場合、奇数ラインの主走査(走査位置P1,P3,P5,P7)は領域の境界付近を光スポットにより照明し、偶数ラインの主走査(走査位置P2,P4,P6)は領域の中心付近を光スポットにより照明することになる。
【0019】
図4は、実施の形態1に係る液晶表示装置において、液晶パネルの画像表示領域11cを分割する領域E1〜E12の入力映像信号を説明するための図である。なお、分割領域制御部23によって分割される領域は、理想的には画素と1対1に対応することが望ましいが、2次元走査駆動部30と光源21とを画素毎に制御して駆動することは技術的な困難を伴うので、複数の画素を含む範囲を1つの領域としている。図4に示されるように、入力映像信号のある1フレームの輝度分布においては領域E7が最も輝度が高く(階調レベルが高く)、領域E6,E10,E11の輝度が中間調であり(階調レベルが中間レベルであり)、その他の領域E1〜E5,E8,E9,E12の輝度は最も低い(階調レベルが低い)。また、図4には、副走査方向Dvの7つの位置P1〜P7で主走査を行なっているため、液晶パネル11を分割する複数の領域E1〜E12の内の1つの領域を照明(走査)するときと、複数の領域E1〜E12の内の2つ以上の領域を跨いで照明(走査)するときとが存在することになる。このことから、そのタイミングにおいてどの領域の照明光補正係数に基づいて光源21の出力制御を行うか決定する必要がある。
【0020】
図5は、実施の形態1に係る液晶表示装置において領域E1〜E12を光スポットで照明するタイミングにおいて、光源21からの光ビームの強度Iを示す図である。図5において、11cは液晶パネルの画像表示領域を示し、E1〜E12は画像表示領域を分割した領域を示し、P1〜P7は主走査方向Dhの走査位置(副走査方向Dvの位置)を示し、I11〜I17は画像表示領域11c上における光源11の発光強度の変化(すなわち、用いられる照明光補正係数の変化)を、横軸がDhで縦軸が強度Iである座標系で示している。実施の形態1においては、図5に示されるように、発光強度制御部22による光源21からの光ビームL0の発光強度の制御は、光スポットが2つ以上の領域を走査しているときには、当該2つ以上の領域の内の階調レベルの最も低い領域の照明光補正係数に基づいて行なわれる。
【0021】
まず、図5の1ライン目(走査位置P1)の主走査について説明する。1ライン目の主走査(走査位置P1)で照明する、領域E1、領域E2、領域E3、領域E4は、その階調レベルが最も低いため、光源21からの光ビームL0をオフにする照明光補正係数(領域E1,E2,E3,E4の照明光補正係数)を選択する。その結果、図5に示されるように、1ライン目の主走査(走査位置P1)における光源21からの光ビームL0の強度I11は、ゼロを維持する。
【0022】
図5の2ライン目(走査位置P2)の主走査について説明する。2ライン目(走査位置P2)の主走査で照明する、領域E1、領域E2、領域E3、及び領域E4は、その階調レベルが最も低いため、光源21からの光ビームL0をオフにする照明光補正係数(領域E1,E2,E3,E4の照明光補正係数)を選択する。その結果、図5に示されるように、2ライン目(走査位置P2)の主走査における光源21からの光ビームL0の強度I12は、ゼロを維持する。
【0023】
図5の3ライン目(走査位置P3)の主走査について説明する。3ライン目(走査位置P3)の主走査で光スポットが照明する領域は、領域E1,E5、領域E2,E6、領域E3,E7、領域E4,E8である。また、領域E1,E5から領域E2,E6に光スポットが移動する途中では、領域E1,E5,E2,E6を跨いで照明する期間が存在する。また、領域E2,E6から領域E3,E7に光スポットが移動する途中では、領域E2,E6,E3,E7を跨いで照明する期間が存在する。また、領域E3,E7から領域E4,E8に光スポットが移動する途中では、領域E3,E7,E4,E8を跨いで照明する期間が存在する。実施の形態1においては、2つ以上の領域を跨いで光スポットが移動するときには、当該2つ以上の領域の内の階調レベルの最も低い領域の照明光補正係数に基づいて光ビームの強度の調整が行なわれる。その結果、図5に示されるように、3ライン目(走査位置P3)の主走査における光源21からの光ビームL0の強度I13は、ゼロを維持する。
【0024】
図5の4ライン目(走査位置P4)の主走査について説明する。4ライン目(走査位置P4)の主走査で光スポットが照明する領域は、領域E5、領域E6、領域E7、及び領域E8である。また、領域E5から領域E6に光スポットが移動する途中では、領域E5,E6を跨いで照明する期間が存在する。また、領域E6から領域E7に光スポットが移動する途中では、領域E6,E7を跨いで照明する期間が存在する。また、領域E7から領域E8に光スポットが移動する途中では、領域E7,E8を跨いで照明する期間が存在する。実施の形態1においては、2つ以上の領域を跨いで光スポットが移動するときには、当該2つ以上の領域の内の階調レベルの最も低い領域の照明光補正係数に基づいて光ビームの強度の調整が行なわれる。その結果、4ライン目(走査位置P4)の主走査における光源21からの光ビームL0の強度I14は、図5に示されるように、領域E6内及び領域E7内において高くなる。
【0025】
図5の5ライン目(走査位置P4)の主走査について説明する。5ライン目(走査位置P4)の主走査で光スポットが照明する領域は、領域E5,E9、領域E6,E10、領域E7,E11、領域E8,E12である。また、領域E5,E9から領域E6,E10に光スポットが移動する途中では、領域E5,E9,E6,E10を跨いで照明する期間が存在する。また、領域E6,E10から領域E7,E11に光スポットが移動する途中では、領域E6,E10,E7,E11を跨いで照明する期間が存在する。また、領域E7,E11から領域E8,E12に光スポットが移動する途中では、領域E7,E11,E8,E12を跨いで照明する期間が存在する。実施の形態1においては、2つ以上の領域を跨いで光スポットが移動するときには、当該2つ以上の領域の内の階調レベルの最も低い領域の照明光補正係数に基づいて光ビームの強度の調整が行なわれる。その結果、5ライン目(走査位置P5)の主走査における光源21からの光ビームL0の強度I15は、図5に示されるように、領域E6内及び領域E7内において高くなる。
【0026】
図5の6ライン目(走査位置P6)の主走査について説明する。6ライン目(走査位置P6)の主走査で光スポットが照明する領域は、領域E9、領域E10、領域E11、及び領域E12である。また、領域E9から領域E10に光スポットが移動する途中では、領域E9,E10を跨いで照明する期間が存在する。また、領域E10から領域E11に光スポットが移動する途中では、領域E10,E11を跨いで照明する期間が存在する。また、領域E11から領域E12に光スポットが移動する途中では、領域E11,E12を跨いで照明する期間が存在する。実施の形態1においては、2つ以上の領域を跨いで光スポットが移動するときには、当該2つ以上の領域の内の階調レベルの最も低い領域の照明光補正係数に基づいて光ビームの強度の調整が行なわれる。その結果、6ライン目(走査位置P6)の主走査における光源21からの光ビームL0の強度I16は、図5に示されるように、領域E10内及び領域E11内において高くなる。
【0027】
図5の7ライン目(走査位置P7)の主走査について説明する。7ライン目(走査位置P7)の主走査で光スポットが照明する領域は、領域E9、領域E10、領域E11、及び領域E12の横方向の境界である。また、領域E9から領域E10に光スポットが移動する途中では、領域E9,E10を跨いで照明する期間が存在する。また、領域E10から領域E11に光スポットが移動する途中では、領域E10,E11を跨いで照明する期間が存在する。また、領域E11から領域E12に光スポットが移動する途中では、領域E11,E12を跨いで照明する期間が存在する。実施の形態1においては、2つ以上の領域を跨いで光スポットが移動するときには、当該2つ以上の領域の内の階調レベルの最も低い領域の照明光補正係数に基づいて光ビームの強度の調整が行なわれる。その結果、7ライン目(走査位置P7)の主走査における光源21からの光ビームL0の強度I17は、図5に示されるように、領域E10内及び領域E11内において高くなる。
【0028】
以上の説明では副走査方向Dvの7つの位置P1〜P7において主走査方向Dhの走査を行なう場合を説明したが、副走査方向の位置の数は7以外の数であってもよく、1つ又は2つ以上の領域の照明光補正係数と、2次元走査制御部31から出力される2次元走査の主走査方向Dhと副走査方向Dvの走査タイミングの信号に基づいて光源21の出力を制御することができる。
【0029】
また、以上の説明では液晶パネル11の画像表示領域11cを4列3行の12領域に分割した場合を説明したが、他の領域分割手段、例えば、6列4行の24領域に分割した場合等のように、他の領域数としてもよい。また、行域の形状も長方形に限定されない。
【0030】
以上に説明したように、実施の形態1に係る液晶表示装置は、2次元走査制御部31から出力される2次元走査の主走査方向Dhと副走査方向Dvの走査タイミングの信号と、1つ又は2つ以上の領域の内、階調レベルの低い領域の照明光補正係数に基づいて光ビームの発光強度を制御することで、コントラストの高い映像を得ることができる。
【0031】
また、実施の形態1に係る液晶表示装置は、暗い映像を表示する場合には光源21の出力が低くなるように制御するため省エネルギーを実現できる。
【0032】
実施の形態2.
図6は、実施の形態2に係る液晶表示装置において各領域を光スポットで照明するタイミングにおいて、光源21からの光ビームの強度Iを示す図である。図6において、11cは液晶表示パネルの画像表示領域を示し、E1〜E12は画像表示領域において分割された領域を示し、P1〜P7は査線位置の副走査方向Dvの位置を示し、I21〜I27は画像表示領域11c上における光源11の発光強度の変化(すなわち、用いられる照明光補正係数の変化)を、横軸をDhで縦軸を強度Iとする座標系で示している。実施の形態2においては、図6に示されるように、発光強度制御部22による光源21からの光ビームL0の発光強度の制御は、光スポットが2つ以上の領域を走査しているとき(2つ以上の領域を跨ぐとき)には、当該2つ以上の領域の内の階調レベルの最も高い領域の照明光補正係数に基づいて行なわれる。また、実施の形態2の説明においては、図1乃至図4をも参照する。実施の形態2に係る液晶表示装置は、明るい映像をより明るく表示させることに重点をおいた点において、実施の形態1に係る液晶表示装置と相違する。この点を除き、実施の形態2に係る液晶表示装置は、実施の形態1に係る液晶表示装置と同じである。
【0033】
まず、図6の1ライン目(走査位置P1)の主走査について説明する。1ライン目(走査位置P1)の主走査で照明する、領域E1、領域E2、領域E3、及び領域E4は、その階調レベルが最も低いため、光源21からの光ビームL0をオフにする照明光補正係数(領域E1,E2,E3,E4の照明光補正係数)を選択する。その結果、図6に示されるように、1ライン目(走査位置P1)の主走査における光源21からの光ビームL0の強度I21は、ゼロを維持する。
【0034】
図6の2ライン目(走査位置P2)の主走査について説明する。2ライン目(走査位置P2)の主走査で照明する、領域E1、領域E2、領域E3、及び領域E4は、その階調レベルが最も低いため、光源21からの光ビームL0をオフにする照明光補正係数(領域E1,E2,E3,E4の照明光補正係数)を選択する。その結果、図6に示されるように、2ライン目(走査位置P2)の主走査における光源21からの光ビームL0の強度I22は、ゼロを維持する。
【0035】
図6の3ライン目(走査位置P3)の主走査について説明する。3ライン目(走査位置P3)の主走査で光スポットが照明する領域は、領域E1,E5、領域E2,E6、領域E3,E7、及び領域E4,E8である。また、領域E1,E5から領域E2,E6に光スポットが移動する途中では、領域E1,E5,E2,E6を跨いで照明する期間が存在する。また、領域E2,E6から領域E3,E7に光スポットが移動する途中では、領域E2,E6,E3,E7を跨いで照明する期間が存在する。また、領域E3,E7から領域E4,E8に光スポットが移動する途中では、領域E3,E7,E4,E8を跨いで照明する期間が存在する。実施の形態2においては、2つ以上の領域を跨いで光スポットが移動するときには、当該2つ以上の領域の内の階調レベルの最も高い領域の照明光補正係数に基づいて光ビームの強度の調整が行なわれる。その結果、図6に示されるように、3ライン目(走査位置P3)の主走査における光源21からの光ビームL0の強度I23は、領域E1,E5,E2,E6を跨ぐ部分、領域E2,E6を跨ぐ部分で高くなり、領域E2,E6,E3,E7を跨ぐ部分、領域E3,E7を跨ぐ部分、領域E3,E7,E4,E8を跨ぐ部分でさらに高くなる。
【0036】
図6の4ライン目(走査位置P4)の主走査について説明する。4ライン目(走査位置P4)の主走査で光スポットが照明する領域は、領域E5、領域E6、領域E7、及び領域E8である。また、領域E5から領域E6に光スポットが移動する途中では、領域E5,E6を跨いで照明する期間が存在する。また、領域E6から領域E7に光スポットが移動する途中では、領域E6,E7を跨いで照明する期間が存在する。また、領域E7から領域E8に光スポットが移動する途中では、領域E7,E8を跨いで照明する期間が存在する。実施の形態2においては、2つ以上の領域を跨いで光スポットが移動するときには、当該2つ以上の領域の内の階調レベルの最も高い領域の照明光補正係数に基づいて光ビームの強度の調整が行なわれる。その結果、4ライン目(走査位置P4)の主走査における光源21からの光ビームL0の強度I24は、図6に示されるように、領域E2,E6を跨ぐ部分、領域E6内で高くなり、領域E6,E7を跨ぐ部分、領域E7内、領域E7,E8を跨ぐ部分でさらに高くなる。
【0037】
図6の5ライン目(走査位置P5)の主走査について説明する。5ライン目(走査位置P5)の主走査で光スポットが照明する領域は、領域E5,E9、領域E6,E10、領域E7,E11、及び領域E8,E12である。また、領域E5,E9から領域E6,E10に光スポットが移動する途中では、領域E5,E9,E6,E10を跨いで照明する期間が存在する。また、領域E6,E10から領域E7,E11に光スポットが移動する途中では、領域E6,E10,E7,E11を跨いで照明する期間が存在する。また、領域E7,E11から領域E8,E12に光スポットが移動する途中では、領域E7,E11,E8,E12を跨いで照明する期間が存在する。実施の形態2においては、2つ以上の領域を跨いで光スポットが移動するときには、当該2つ以上の領域の内の階調レベルの最も高い領域の照明光補正係数に基づいて光ビームの強度の調整が行なわれる。その結果、5ライン目(走査位置P5)の主走査における光源21からの光ビームL0の強度I25は、図6に示されるように、領域E5,E9,E6,E10を跨ぐ部分、領域E6,E10を跨ぐ部分で高くなり、領域E6,E10,E7,E11を跨ぐ部分、領域E7,E11を跨ぐ部分、領域E7,E11,E8,E12を跨ぐ部分でさらに高くなる。
【0038】
図6の6ライン目(走査位置P6)の主走査について説明する。6ライン目(走査位置P6)の主走査で光スポットが照明する領域は、領域E9、領域E10、領域E11、領域E12である。また、領域E9から領域E10に光スポットが移動する途中では、領域E9,E10を跨いで照明する期間が存在する。また、領域E10から領域E11に光スポットが移動する途中では、領域E10,E11を跨いで照明する期間が存在する。また、領域E11から領域E12に光スポットが移動する途中では、領域E11,E12を跨いで照明する期間が存在する。実施の形態2においては、2つ以上の領域を跨いで光スポットが移動するときには、当該2つ以上の領域の内の階調レベルの最も高い領域の照明光補正係数に基づいて光ビームの強度の調整が行なわれる。その結果、6ライン目(走査位置P6)の主走査における光源21からの光ビームL0の強度I26は、図6に示されるように、領域E9,E10を跨ぐ部分、領域E10内、領域E11内、領域E11,E12を跨ぐ部分において高くなる。
【0039】
図6の7ライン目(走査位置P7)の主走査について説明する。7ライン目(走査位置P7)の主走査で光スポットが照明する領域は、領域E9、領域E10、領域E11、領域E12の横方向の境界である。また、領域E9から領域E10に光スポットが移動する途中では、領域E9,E10を跨いで照明する期間が存在する。また、領域E10から領域E11に光スポットが移動する途中では、領域E10,E11を跨いで照明する期間が存在する。また、領域E11から領域E12に光スポットが移動する途中では、領域E11,E12を跨いで照明する期間が存在する。実施の形態2においては、2つ以上の領域を跨いで光スポットが移動するときには、当該2つ以上の領域の内の階調レベルの最も高い領域の照明光補正係数に基づいて光ビームの強度の調整が行なわれる。その結果、7ライン目(走査位置P7)の主走査における光源21からの光ビームL0の強度I27は、図6に示されるように、領域E9,E10を跨ぐ部分、領域E10内、領域E11内、領域E11,E12を跨ぐ部分において高くなる。
【0040】
以上に説明したように、実施の形態2に係る液晶表示装置は、2次元走査制御部31から出力される2次元走査の主走査方向Dhと副走査方向Dvの走査タイミングの信号と、1つ又は2つ以上の領域の内、階調レベルの高い領域の照明光補正係数に基づいて光ビームの発光強度を制御することで、コントラストの高い映像を得ることができる。
【0041】
また、実施の形態2に係る液晶表示装置は、暗い映像を表示する場合には光源21の出力が低くなるように制御するため省エネルギーを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態1及び2に係る液晶表示装置の構成及び動作を概略的に示す図である。
【図2】実施の形態1及び2に係る液晶表示装置の光学系の構成及び制御系の構成を概略的に示す図である。
【図3】(a)は、実施の形態1及び2に係る液晶表示装置において、液晶パネルの画像表示領域を分割する領域を説明するための図であり、(b)は、分割する領域と光スポットを走査する位置との関係を説明するための図である。
【図4】実施の形態1及び2に係る液晶表示装置において、液晶パネルの画像表示領域を分割する領域の入力映像信号を説明するための図である。
【図5】実施の形態1に係る液晶表示装置において各領域を光スポットで照明するタイミングにおいて、光源からの光ビームの強度を示す図である。
【図6】実施の形態2に係る液晶表示装置において各領域を光スポットで照明するタイミングにおいて、光源からの光ビームの強度を示す図である。
【符号の説明】
【0043】
11 液晶パネル、 11a 液晶パネルの表面、 11b 液晶パネルの背面、 11c 液晶パネルの画像表示領域、 12 液晶駆動信号生成部、 13 液晶駆動部、 20 光ビーム出射部、 21 光源、 22 発光強度制御部、 23 分割領域制御部、 30 2次元走査駆動部、 31 2次元走査制御部、 A1 液晶駆動信号、 A2 照明光補正係数、 A3 走査タイミング信号、 Dh 主走査方向、 Dv 副走査方向、 E1〜E12 分割された領域、 I,I11〜I17,I21〜I27 光ビームの強度、 P1〜P7 走査位置、 S1 光スポット走査開始位置。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと、
入力映像信号に基づいて液晶駆動信号を生成する液晶駆動信号生成手段と、
前記液晶駆動信号に基づいて前記液晶パネルを駆動する液晶駆動手段と、
光ビームを出射する光源と、
前記光ビームを偏向して、前記光ビームによって形成される光スポットを、前記液晶パネルの画像表示領域の背面において主走査方向及び副走査方向に2次元走査させる2次元走査駆動手段と、
前記2次元走査駆動手段に、前記光スポットの主走査方向及び副走査方向の走査タイミング信号を供給する2次元走査制御手段と、
前記液晶パネルの画像表示領域を複数の領域に分割し、前記領域毎に前記入力映像信号に基づく照明光補正係数を出力する分割領域制御手段と、
前記領域毎に前記照明光補正係数に基づいて前記光ビームの発光強度を制御する発光強度制御手段とを有し、
前記発光強度制御手段による前記光ビームの発光強度の制御は、前記複数の領域の内の前記光ビームが走査している1つの領域の前記照明光補正係数又は前記複数の領域の内の前記光ビームが走査している2つ以上の領域の内のいずれか1つの領域の前記照明光補正係数に基づいて行なわれ、
前記発光強度制御手段による前記光ビームの発光強度の制御に用いる前記照明光補正係数の切り替えタイミングは、前記2次元走査制御手段からの前記走査タイミング信号に基づいて決定される
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記発光強度制御手段による前記光ビームの発光強度の制御は、前記光スポットが前記複数の領域の内の2つ以上の領域を走査しているときには、当該2つ以上の領域の内の階調レベルの最も低い領域の前記照明光補正係数に基づいて行なわれることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記発光強度制御手段による前記光ビームの発光強度の制御は、前記光スポットが前記複数の領域の内の2つ以上の領域を走査しているときには、当該2つ以上の領域の内の階調レベルの最も高い領域の前記照明光補正係数に基づいて行なわれることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−26248(P2010−26248A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−187624(P2008−187624)
【出願日】平成20年7月18日(2008.7.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】