説明

液晶装置および電子機器

【課題】電極間に大きな電界を発生させ、液晶層中の不純物を効率的にトラップすることが可能な液晶装置を提供する。
【解決手段】液晶層50を挟持して対向配置された第1基板10及び第2基板20と、液晶層50の周囲を囲み、第1基板10と第2基板20とを貼り合わせるシール材51と、シール材51に囲まれた領域に設けられた画素領域1Cと、画素領域1Cとシール材51との間に配置されたトラップ部60と、を備えている。トラップ部60は、第1基板10に形成された第1電極61と、第1電極61の液晶層側において平面視した状態で第1電極61の一部が露出されるように第1電極61と重畳して形成された第2電極62と、第1電極61と第2電極62との間に形成された絶縁膜12と、を有しており、第1電極61と第2電極62との間に発生する電界によって液晶層50中の不純物をトラップする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
封止部材から溶出する不純物が画素領域内に侵入しないように、液晶層の内部に電界をかけて液晶層中の不純物をトラップするトラップ部を備えた液晶装置として、特許文献1ないし6に記載の液晶装置が知られている。特許文献1ないし4の液晶装置は、液晶層を挟持する一対の基板の内面側に一対の電極を形成し、一対の電極の間に発生する液晶層厚方向の電界(縦電界)によって液晶層中の不純物をトラップするものである。特許文献5および6の液晶装置は、液晶層を挟持する一対の基板のうちの一方の基板上に一対の電極を並べて形成し、一対の電極間に発生する液晶層厚方向と直交する方向の電界(横電界)によって、液晶層中の不純物をトラップするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−323336号公報
【特許文献2】特開2000−221521号公報
【特許文献3】特開平8−201830号公報
【特許文献4】特開平10−123526号公報
【特許文献5】特開2008−58497号公報
【特許文献6】特開2008−89938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶層中の不純物を効率よくトラップするためには、電極間に大きな電界を発生させる必要がある。しかし、特許文献1ないし4の液晶装置では、一対の電極が数μmもの厚みを有する液晶層を挟んで対向配置されるため、電極間の距離が大きくなり、電極間に大きな電界を発生させることができない。特許文献5および6の液晶装置では、第1電極と第2電極とをフォトプロセスを用いて同一導電膜からパターニングしているが、i線を使った通常のフォトプロセスの能力では、500nm程度の精度でしかパターンを微細化することができないため、電極間距離を十分に短くすることができない。
【0005】
本発明の目的は、電極間に大きな電界を発生させ、液晶層中の不純物を効率的にトラップすることが可能な液晶装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液晶装置は、第1基板と、前記第1基板と対向配置された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に挟持された液晶層と、前記液晶層の周囲を囲み、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合せるシール材と、前記シール材に囲まれた領域に設けられ複数の画素を有する画素領域と、前記画素領域と前記シール材との間に配置されたトラップ部と、を備え、前記トラップ部は、前記第1基板に形成された第1電極と、前記第1電極の前記液晶層側において平面視した状態で前記第1電極の一部が露出されるように前記第1電極と重畳して形成された第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に形成された絶縁膜と、を有しており、前記第1電極と前記第2電極との間に発生する電界によって前記液晶層中の不純物をトラップする。
【0007】
この構成によれば、第1電極と第2電極との間の距離が、両者を絶縁する絶縁膜の厚みによって制御される。通常の半導体プロセスでは、絶縁膜の厚みは100nm程度まで薄くすることが容易にできるため、液晶層を挟んで第1電極と第2電極とを離間させる場合や、第1電極と第2電極とを横方向に並べて形成する場合に比べて、第1電極と第2電極との間の距離を短くすることができる。よって、第1電極と第2電極との間に大きな電界を発生させることができ、液晶層中の不純物を効率的にトラップすることが可能となる。
【0008】
前記画素の駆動方式は、FFS(Frings Field. Switching)方式以外の駆動方式であってもよい。
【0009】
FFS方式は、画素電極と共通電極とを絶縁膜を介して同一基板上に積層し、画素電極と共通電極との間に発生する電界によって液晶層の配向を制御するものである。この構造は、トラップ部の構造と同じであるため、不純物をトラップしやすく、焼きつきが生じやすい。そのため、画素の駆動方式をFFS方式以外の方式とすることにより、焼きつきの生じにくい液晶装置とすることができる。
【0010】
前記トラップ部は、前記画素領域を囲むように配置されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、画素領域に向けて様々な方向から侵入する不純物を効率的にトラップすることができる。
【0012】
ここで、「トラップ部が画素領域を囲むように配置されている」とは、トラップ部が画素領域の外周に沿って閉じた枠状に形成されている構成だけでなく、トラップ部が画素領域の外周に沿って複数に分割して形成されている構成も含む概念である。
【0013】
トラップ部を画素領域の外周に沿って閉じた枠状に形成した場合には、画素領域に向けて侵入する不純物を漏れなくトラップすることができる。トラップ部が複数に分割されている場合には、分割されたトラップ部の隙間から画素領域に向けて不純物が侵入する惧れがあるが、隙間の間隔を狭くすれば、分割していない場合と同様に高いトラップ能力(不純物をトラップする能力)を発揮することができる。トラップ部を閉じた枠状に形成した場合には、第1電極と第2電極の長さが長くなるので、途中で電圧降下が生じ、不純物のトラップ能力に偏りが生じる惧れがあるが、トラップ部を複数に分割した場合には、そのような問題が生じにくいので、トラップ部全体で概ね均一なトラップ能力を発揮することができる。
【0014】
前記シール材は、第1シール領域と、前記第1シール領域よりも不純物が溶出或いは集積し易い第2シール領域と、を含み、前記トラップ部は、前記第1シール領域と対向する位置に設けられた第1トラップ部と、前記第2シール領域と対向する位置に設けられ、前記第1トラップ部よりも不純物をトラップする能力の高い第2トラップ部と、を含んでいてもよい。
【0015】
不純物の溶出或いは集積し易さに応じてトラップ能力を領域毎に異ならせることで、画素領域への不純物の侵入をよりよく防止することができる。
【0016】
不純物のトラップ能力を高める方法としては、次の方法がある。
【0017】
第1の方法は、前記画素領域の外周に沿う方向と直交する方向における前記第1電極の幅をトラップ部の幅としたときに、前記第2トラップ部の幅を前記第1トラップ部の幅よりも大きくする方法である。この方法では、第2トラップ部の幅を大きくしているため、第2トラップ部において不純物が広い範囲でトラップされ、不純物のトラップ能力が高くなる。
【0018】
第2の方法は、前記第1電極と対向する前記第2電極の縁の長さを界面距離とし、画素領域の外周に沿う方向における単位長さ当たりの界面距離を単位界面距離としたときに、前記第2トラップ部における単位界面距離を前記第1トラップ部における単位界面距離よりも大きくする方法である。この方法では、第2トラップ部の単位界面距離を大きくしているため、第2トラップ部の電界の密度が大きくなり、不純物のトラップ能力が高くなる。
【0019】
単位界面距離を大きくする方法としては、例えば、(1)1本の第1電極に対して複数本の第2電極を対向配置する方法や、(2)1本の第1電極に対して1本の第2電極を蛇行して対向配置する方法や、(3)第2電極を矩形枠状の枠体部と該枠体部に接続された複数の階段部とを有する梯子状に形成する方法や、(4)第2電極をストライプ状の本線部と該本線部から分岐した複数の分岐部とを備えた形状に形成する方法や、(5)第2電極を複数の環状部と該複数の環状部を接続する接続部とを備えた形状に形成する方法などがある。
【0020】
第3の方法は、前記第2トラップ部の前記絶縁膜の厚みを前記第1トラップ部の前記絶縁膜の厚みよりも小さくする方法である。この方法では、第2トラップ部の電極間距離が小さくなるので、第2トラップ部において大きな電界が発生し、不純物のトラップ能力が高くなる。
【0021】
第4の方法は、前記第2トラップ部の前記絶縁膜の誘電率を前記第1トラップ部の前記絶縁膜の誘電率よりも大きくする方法である。この方法では、第2トラップ部の絶縁膜の誘電率を大きくしているので、第2トラップ部の電界の密度が大きくなり、不純物のトラップ能力が高くなる。
【0022】
前記第1基板には、前記画素毎に設けられた画素電極と、前記画素電極と接続された配線と、が設けられ、前記画素電極と前記配線とが前記絶縁膜によって絶縁されていてもよい。
【0023】
この構成によれば、画素電極と配線とを絶縁する絶縁膜と、第1電極と第2電極とを絶縁する絶縁膜とが共通化されているため、これらを別々に形成する場合に比べて構成が簡単になる。
【0024】
前記第1基板には、前記画素毎に設けられた画素電極と、前記画素電極を覆う前記絶縁膜と、前記絶縁膜を覆う配向膜と、が設けられていてもよい。
【0025】
この構成によれば、画素電極を保護するパッシベーション膜と、第1電極と第2電極とを絶縁する絶縁膜とが共通化されているため、これらを別々に形成する場合に比べて構成が簡単になる。また、トラップ部が配向膜を挟んで液晶層と近い位置に配置されるため、トラップ部で発生した電界が液晶層に作用し易い。さらに、画素電極を保護するパッシベーション膜は、画素電極と液晶層との間に大きな寄生容量が発生しないように、数百nm程度の薄い膜として形成される。そのため、このような薄い膜を第1電極と第2電極との間の絶縁膜として利用すれば、第1電極と第2電極との間の距離が小さくなり、不純物のトラップ能力が高くなる。
【0026】
本発明の電子機器は、本発明の液晶装置を備えている。
【0027】
この構成によれば、液晶層中の不純物を効率的にトラップすることができ、焼きつきの生じにくい表示品位に優れた電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施形態の液晶装置の平面図及び部分断面図である。
【図2】第2実施形態の液晶装置の部分断面図である。
【図3】第3実施形態の液晶装置の平面図である。
【図4】第4実施形態の液晶装置に備えられる封止剤近傍のトラップ部の構成を示す拡大平面図である。
【図5】第5実施形態の液晶装置に備えられる封止剤近傍のトラップ部の構成を示す拡大平面図である。
【図6】トラップ部のバリエーションを示す平面図である。
【図7】第6実施形態の液晶装置に備えられるシール材の角部近傍のトラップ部の構成を示す拡大平面図である。
【図8】第7実施形態の液晶装置に備えられるシール材の角部近傍のトラップ部の構成を示す拡大平面図である。
【図9】第8実施形態の液晶装置に備えられるシール材の角部近傍のトラップ部の構成を示す拡大平面図である。
【図10】第9実施形態の液晶装置に備えられるシール材の角部近傍のトラップ部の構成を示す拡大平面図である。
【図11】電子機器の一例であるプロジェクターの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[第1実施形態]
図1(a)は、第1実施形態の液晶装置1の平面図であり、図1(b)は、液晶装置1に備えられたトラップ部近傍の断面図である。
【0030】
液晶装置1は、TFTアレイ基板(第1基板)10と、TFTアレイ基板10と対向配置された対向基板(第2基板)20と、TFTアレイ基板10と対向基板20との間に挟持された液晶層50と、液晶層50の周囲を囲み且つ一部に液晶注入口51aが形成された矩形枠状のシール材51と、液晶注入口51aを封止する封止剤52と、を備えている。
【0031】
TFTアレイ基板10は、対向基板20よりも大きな面積を有する基板である。TFTアレイ基板10は、対向基板20の一端部よりも外側に張り出す張り出し部10aを備えている。張り出し部10aには、複数の外部回路接続端子122が形成された端子部が設けられている。TFTアレイ基板10上には、シール材51とほぼ同じ輪郭を持つ対向基板20が対向配置されており、シール材51によりTFTアレイ基板10と対向基板20とが貼り合わされている。
【0032】
シール材51は、TFTアレイ基板10と対向基板20との対向領域の周縁部に沿って設けられている。液晶注入口51aは、シール材51の4つの辺のうち張り出し部10aに面する辺に設けられている。封止剤52は、対向基板20の端面に沿って、張り出し部10aの液晶注入口51a近傍の位置に塗布されている。封止剤52の一部は、毛細管現象により、液晶注入口51aからTFTアレイ基板10と対向基板20との隙間に侵入している。封止剤52は、シール材51とともに、液晶層50の周囲を囲んで液晶層50をTFTアレイ基板10と対向基板20との間に封止する封止部材53を構成する。
【0033】
封止部材53に囲まれた領域の中央部には、複数の画素PX1及び画素PX2がマトリクス状に配置されてなる矩形の画素領域1Cが設けられている。封止部材53に囲まれた領域で且つ画素領域1Cの外側の領域は、画素が形成されていない非画素領域1Bである。封止部材53の外側の領域には、データ線駆動回路や走査線駆動回路が設けられているが、図1では、それらの図示は省略している。
【0034】
画素領域1Cは、画像表示に寄与する複数の画素PX1を備えた矩形の有効画素領域1Aと、画像表示に寄与しない複数の画素PX2を備えた矩形枠状のダミー画素領域1Dと、に区画されている。ダミー画素領域1Dは、有効画素領域1Aにおける基板表面の平坦化や駆動素子の電気的特性のばらつき低減などを目的とするものであり、有効画素領域1Aの周囲に、有効画素領域1Aの画素PX1と同一構成の画素PX2(ダミー画素)を1画素ないし10画素分配置することにより形成されている。
【0035】
画素領域1Cと封止部材53との間には、液晶層50の内部に電界を発生させて液晶層50中の不純物をトラップするトラップ部60が設けられている。トラップ部60は、TFTアレイ基板10の基板本体10A上に形成された第1電極61と、第1電極61の液晶層側において平面視した状態で第1電極61の一部が露出されるように第1電極61と重畳して形成された第2電極62と、第1電極61と第2電極62との間に形成された絶縁膜12と、を備えている。第2電極62の幅は第1電極61の幅よりも小さい。液晶装置1を対向基板20側から見た平面視において、第1電極61の縁は第2電極62の縁よりも外側にはみ出している。トラップ部60では、第1電極61と第2電極62との間に発生する液晶層厚方向と概ね直交する方向の電界によって液晶層50中の不純物をトラップする。
【0036】
なお、本明細書において、単に「第1電極の幅」「第2電極の幅」というときは、「第1電極」「第2電極」の、画素領域1Cの外周に沿う方向と直交する方向(画素領域1Cの各辺と直交する方向)の幅を意味するものとする。
【0037】
トラップ部60は、画素領域1Cを囲むように配置されている。図1では、画素領域1Cに向けて侵入する不純物を漏れなくトラップするために、トラップ部60は、画素領域1Cの外周に沿って閉じた枠状に形成されている。第1電極61は、画素領域1Cの外周に沿って矩形枠状に形成され、一部が引き出し線63として、端子部の左端部に引き回されている。第2電極62は、画素領域1Cの外周に沿って矩形枠状に形成され、一部が引き出し線64として、端子部の右端部に引き回されている。
【0038】
基板本体10Aは、ガラスや石英などの透明基材あるいはシリコンなどの不透明基材の上に、画素電極13を駆動する図示略の駆動素子を形成したものである。基板本体10A上には、第1電極61と、駆動素子と接続された配線11と、が形成され、これらを覆って絶縁膜12が形成され、絶縁膜12上に、第2電極62と画素電極13とが形成され、第2電極62と画素電極13とを覆って配向膜14が形成されている。絶縁膜12は、第1電極61と第2電極62とを絶縁する絶縁膜と、画素電極13と配線11とを絶縁する絶縁膜とを兼ねる。
【0039】
対向基板20は、ガラスや石英などの透明基材上にブラックマトリクス(画素PX1及び画素PX2を区画する遮光膜)や周辺見切り(画素領域1Cの周囲を縁取る遮光膜)を形成してなる基板本体20Aを備え、基板本体20A上に、画素領域1Cの全面を覆う共通電極21が形成され、共通電極21を覆って配向膜22が形成されている。
【0040】
液晶層50は、画素電極13と共通電極21との間に発生する液晶層厚方向の電界(縦電界)によって駆動される縦電界方式の液晶層である。縦電界方式としては、VA(Vertical Alignment)方式が代表的であるが、OCB(Optically Compensated Birefringence)方式やTN(Twisted Nematic)方式などの他の方式でもよい。
【0041】
図1では、共通電極21を対向基板20側に設けて縦電界方式で液晶層50を駆動しているが、共通電極21をTFTアレイ基板10側に設けて、画素電極13と共通電極との間に発生する液晶層厚と概ね直交する方向の電界(横電界)によって液晶層50を駆動してもよい。このような駆動方式は、横電界方式と呼ばれる。横電界方式としては、IPS(In-Plane Switching)方式やFFS(Fringe Field Switching)方式が代表的であるが、FFS方式は焼きつきが発生し易いため、IPS方式などのFFS方式以外の駆動方式が好ましい。
【0042】
上記構成の液晶装置1では、画像表示前、画像表示中、または画像表示後に、第1電極61と第2電極62との間に電圧を印加し、第1電極61と第2電極62との間に発生した電界を液晶層50に作用させて液晶層50中の不純物をトラップする。これにより、例えば、封止部材53から溶出した不純物が画素領域1Cに侵入することを抑制し、焼きつきなどの表示不良の少ない液晶装置とすることができる。
【0043】
ここで、液晶層50中の不純物を効率よくトラップするためには、第1電極61と第2電極62との間の距離を短くし、第1電極61と第2電極62との間に大きな電界を発生させる必要がある。本実施形態の液晶装置1では、第1電極61と第2電極62との間の距離は、両者を絶縁する絶縁膜12の厚みによって制御される。通常の半導体プロセスでは、絶縁膜12の厚みは100nm程度まで容易に薄くすることができるため、液晶層50を挟んで第1電極61と第2電極62とを離間させる場合や、第1電極61と第2電極62とを横方向に並べて形成する場合に比べて、第1電極61と第2電極62との間の距離を短くすることができる。
【0044】
例えば、第1電極61と第2電極62とを横方向に並べて形成する場合(第1電極と第2電極とをi線による通常のフォトプロセスを用いて同一導電膜からパターニングする場合)には、第1電極と第2電極との間の距離は、せいぜい500nm程度までしか短くならないが、本実施形態の液晶装置1では、絶縁膜12の厚みを通常の半導体プロセスを用いて400nmに制御している。そのため、本実施形態の液晶装置1によれば、第1電極61と第2電極62との間に大きな電界を発生させることができ、液晶層50中の不純物を効率的にトラップすることが可能となる。
【0045】
[第2実施形態]
図2は、第2実施形態の液晶装置2に備えられるトラップ部近傍の断面図である。図2において第1実施形態の液晶装置1と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0046】
液晶装置2において第1実施形態の液晶装置1と異なる点は、トラップ部60の第1電極61が画素電極13とともに絶縁膜12上に形成され、第1電極61と画素電極13とを覆ってパッシベーション膜15が形成され、パッシベーション膜15上に第2電極62が形成され、第2電極62を覆って配向膜14が形成されている点である。
【0047】
パッシベーション膜15は、画素電極13を保護する保護膜である。パッシベーション膜15は、画素電極13と液晶層50との間に大きな寄生容量が発生しないように、300nm程度の薄い膜として形成される。そのため、このような薄い膜を第1電極61と第2電極62との間の絶縁膜として利用すれば、第1電極61と第2電極62との間の距離が小さくなり、不純物のトラップ能力が高くなる。
【0048】
また、パッシベーション膜15上に第2電極62を形成すると、トラップ部60が配向膜14を挟んで液晶層50と近い位置に配置されるため、トラップ部60で発生した電界が液晶層50に作用し易くなり、不純物のトラップが効率よく実施できる。さらに、パッシベーション膜15と、第1電極61と第2電極62とを絶縁する絶縁膜とが共通化されているため、これらを別々に形成する場合に比べて構成が簡単になるという利点もある。
【0049】
[第3実施形態]
図3は、第3実施形態の液晶装置3の平面図である。図3において、第1実施形態の液晶装置1と共通する構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0050】
液晶装置3において第1実施形態の液晶装置1と異なる点は、トラップ部60a,60bが画素領域1Cの外周に沿って複数に分割して形成されている点である。トラップ部60aは画素領域1Cの左半分を囲むように逆コ字型に形成され、トラップ部60bは画素領域1Cの右半分を囲むようにコ字型に形成されている。トラップ部60aとトラップ部60bとは、画素領域1Cの中心を通る線に対して線対称な構成を備えている。
【0051】
トラップ部60aの第1電極61aは、画素領域1Cの外周に沿って逆コ字型に形成され、一部が引き出し線63aとして、端子部の左端部に引き回されている。トラップ部60aの第2電極62aは、画素領域1Cの外周に沿って逆コ字型に形成され、一部が引き出し線64aとして、端子部の左端部に引き回されている。
【0052】
トラップ部60bの第1電極61bは、画素領域1Cの外周に沿ってコ字型に形成され、一部が引き出し線63bとして、端子部の右端部に引き回されている。トラップ部60bの第2電極62bは、画素領域1Cの外周に沿ってコ字型に形成され、一部が引き出し線64bとして、端子部の右端部に引き回されている。
【0053】
本実施形態の液晶装置3では、分割されたトラップ部60a,60bの隙間から画素領域1Cに向けて不純物が侵入する惧れがあるが、隙間の間隔を狭くすれば、分割していない場合と同様に高いトラップ能力(不純物をトラップする能力)を発揮することができる。第1実施形態の液晶装置1のようにトラップ部60を閉じた枠状に形成した場合には、第1電極61と第2電極62の長さが長くなるので、途中で電圧降下が生じ、不純物のトラップ能力に偏りが生じる惧れがあるが、トラップ部60a,60bを複数に分割した場合には、そのような問題が生じにくいので、トラップ部60a,60b全体で概ね均一なトラップ能力を発揮することができる。
【0054】
なお、図3では、トラップ部を画素領域1Cの外周に沿って2分割した例を示したが、トラップ部を3分割以上の分割数で分割することもできる。その場合も、上述したのと同様の効果が得られる。
【0055】
[第4実施形態]
図4は、第4実施形態の液晶装置4に備えられる封止剤52近傍のトラップ部69の構成を示す拡大平面図である。図4において第1実施形態の液晶装置1と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0056】
液晶装置4において第1実施形態の液晶装置1と異なる点は、トラップ部69を不純物のトラップ能力の異なる複数のトラップ部(第1トラップ部67,第2トラップ部68)によって構成し、シール材51よりも不純物の溶出しやすい封止剤52と対向する位置に、不純物のトラップ能力の高い第2トラップ部68を配置した点である。液晶注入口51a近傍のシール材51(第2シール領域)は、液晶注入口51aから離れた部分のシール材51(第1シール領域)よりも不純物が集積し易い。そのため、不純物の集積し易い領域にトラップの能力の高い第2トラップ部68を設けている。
【0057】
第2トラップ部68では、第1トラップ部67よりも不純物のトラップ能力を高めるために、次の方法をとっている。すなわち、第1電極65a,第1電極65bの幅を第1トラップ部67,第2トラップ部68の幅としたときに、第2トラップ部68の幅を第1トラップ部67の幅よりも大きくする方法である。この方法では、第2トラップ部68の幅を大きくしているため、第2トラップ部68において不純物が広い範囲でトラップされ、不純物のトラップ能力が高くなる。
【0058】
なお、図4では、第2トラップ部68の第1電極65bの幅が第1トラップ部67の第1電極65aの幅よりも大きく形成されたことに伴って、第2トラップ部68の第2電極66bの幅は第1トラップ部67の第2電極66aの幅よりも大きく形成されている。
【0059】
本実施形態の液晶装置4によれば、不純物の溶出し易さに応じてトラップ部69のトラップ能力を領域毎に異ならせているため、画素領域1Cへの不純物の侵入をよりよく防止することができる。
【0060】
[第5実施形態]
図5は、第5実施形態の液晶装置5に備えられる封止剤52近傍のトラップ部75の構成を示す拡大平面図である。図5において第1実施形態の液晶装置1と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0061】
液晶装置5において第1実施形態の液晶装置1と異なる点は、トラップ部75を不純物のトラップ能力の異なる複数のトラップ部(第1トラップ部73,第2トラップ部74)によって構成し、シール材51よりも不純物の溶出しやすい封止剤52と対向する位置に、不純物のトラップ能力の高い第2トラップ部74を配置した点である。液晶注入口51a近傍のシール材51(第2シール領域)は、液晶注入口51aから離れた部分のシール材51(第1シール領域)よりも不純物が集積し易い。そのため、不純物の集積し易い領域にトラップの能力の高い第2トラップ部74を設けている。
【0062】
第2トラップ部74では、第1トラップ部73よりも不純物のトラップ能力を高めるために、次の方法をとっている。すなわち、第1電極71a,第1電極71bと対向する第2電極72a,第2電極72bの縁の長さを界面距離とし、画素領域1Cの外周に沿う方向における単位長さ当たりの界面距離を単位界面距離としたときに、第2トラップ部74における単位界面距離を第1トラップ部73における単位界面距離よりも大きくする方法である。この方法では、第2トラップ部74の単位界面距離を大きくしているため、第2トラップ部74の電界の密度が大きくなり、不純物のトラップ能力が高くなる。
【0063】
単位界面距離を大きくする方法としては、例えば図5のように、1本の第1電極71bに対して複数本の細長い第2電極72bを対向配置する方法が挙げられる。図5の例では、第2トラップ部74における界面距離は、複数本分の第2電極72bの界面距離の合計値として算出され、単位界面距離は、その合計値を画素領域1Cの外周に沿う方向の第1電極71bの長さで除算して算出される。第1トラップ部73における界面距離は、第2電極72aが1本であるので、1本分の第2電極72aの界面距離となり、単位界面距離は、その1本分の界面距離を画素領域1Cの外周に沿う方向の第1電極71aの長さで除算して算出される。
【0064】
本実施形態の液晶装置5によれば、不純物の溶出し易さに応じてトラップ部75のトラップ能力を領域毎に異ならせているため、画素領域1Cへの不純物の侵入をよりよく防止することができる。
【0065】
[第5実施形態の変形例]
図6(a)ないし図6(f)は、トラップ部のバリエーションを示す平面図である。図6(a)ないし図6(f)において、第1電極の長さはいずれもLである。
【0066】
図6(a)は、1本の第1電極76に対して一定幅の1本の第2電極77を対向配置したトラップ部78の平面図である。第1電極76と第2電極77の長さはいずれもLである。よって、界面距離は2Lであり、単位界面距離は2である。
【0067】
図6(a)は図5に示した第1トラップ部73の構成と同じである。第2トラップ部では、第1トラップ部よりも単位界面密度を大きくしなければならないが、その構成例としては、図6(b)ないし図6(f)の構成例がある。
【0068】
図6(b)は、1本の第1電極79に対して一定幅の複数本の第2電極80を対向配置したトラップ部81の平面図である。第1電極79と第2電極80の長さはいずれもLである。よって、界面距離は4Lであり、単位界面距離は4である。
【0069】
図6(c)は、1本の第1電極82に対して一定幅の1本の第2電極83を蛇行して対向配置したトラップ部84の平面図である。第1電極82の長さはLであり、第2電極83の蛇行方向に沿った長さはLよりも大きい。よって、界面距離は2Lよりも大きく、単位界面距離は2よりも大きい。
【0070】
図6(d)は、第2電極86をストライプ状の本線部86aと該本線部86aから分岐した複数の分岐部86bとを備えた形状に形成したトラップ部87の平面図である。第1電極85の長さはLであり、第2電極86の界面距離は2Lよりも大きい。よって、単位界面距離は2よりも大きい。
【0071】
図6(e)は、第2電極89を矩形枠状の枠体部89aと該枠体部89aに接続された複数の階段部89bとを有する梯子状に形成したトラップ部90の平面図である。第1電極88の長さはLであり、第2電極89の界面距離は2Lよりも大きい。よって、単位界面距離は2よりも大きい。
【0072】
図6(f)は、第2電極92を複数の矩形の環状部92bと該複数の環状部92bを接続する接続部92aとを備えた形状に形成したトラップ部93の平面図である。第1電極91の長さはLであり、第2電極92の界面距離は2Lよりも大きい。よって、単位界面距離は2よりも大きい。
【0073】
図6(b)ないし図6(f)の構成は一例である。これ以外にも単位界面距離を大きくする構成は種々考えられるが、全てを図示することはできないので、代表的なもののみを示している。第2電極の形状を種々変更することで、単位界面距離の大きさは比較的自由に変更することができる。
【0074】
[第6実施形態]
図7は、第6実施形態の液晶装置6に備えられるシール材51の角部近傍のトラップ部98の構成を示す拡大平面図である。図7において第1実施形態の液晶装置1と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0075】
液晶装置6において第1実施形態の液晶装置1と異なる点は、トラップ部98を不純物のトラップ能力の異なる複数のトラップ部(第1トラップ部96,第2トラップ部97)によって構成し、シール材51の直線部(角部以外の部分;第1封止領域)よりも不純物の溶出しやすいシール材51の角部(第2封止領域)と対向する位置に、不純物のトラップ能力の高い第2トラップ部97を配置した点である。
【0076】
第2トラップ部97では、第1トラップ部96よりも不純物のトラップ能力を高めるために、次の方法をとっている。すなわち、第1電極94a,第1電極94bの幅を第1トラップ部96,第2トラップ部97の幅としたときに、第2トラップ部97の幅を第1トラップ部96の幅よりも大きくする方法である。この方法では、第2トラップ部97の幅を大きくしているため、第2トラップ部97において不純物が広い範囲でトラップされ、不純物のトラップ能力が高くなる。
【0077】
なお、図7では、第2トラップ部97の第1電極94bの幅が第1トラップ部96の第1電極94aの幅よりも大きく形成されたことに伴って、第2トラップ部97の第2電極95bの幅は第1トラップ部96の第2電極95aの幅よりも大きく形成されている。
【0078】
本実施形態の液晶装置6によれば、不純物の集積し易さに応じてトラップ部98のトラップ能力を領域毎に異ならせているため、画素領域1Cへの不純物の侵入をよりよく防止することができる。
【0079】
[第7実施形態]
図8は、第7実施形態の液晶装置7に備えられるシール材51の角部近傍のトラップ部102の構成を示す拡大平面図である。図8において第1実施形態の液晶装置1と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0080】
液晶装置7において第1実施形態の液晶装置1と異なる点は、トラップ部103を不純物のトラップ能力の異なる複数のトラップ部(第1トラップ部101,第2トラップ部102)によって構成し、シール材51の直線部(角部以外の部分;第1封止領域)よりも不純物の溶出しやすいシール材51の角部(第2封止領域)と対向する位置に、不純物のトラップ能力の高い第2トラップ部102を配置した点である。
【0081】
第2トラップ部102では、第1トラップ部101よりも不純物のトラップ能力を高めるために、次の方法をとっている。すなわち、第1電極99a,第1電極99bと対向する第2電極100a,第2電極100bの縁の長さを界面距離とし、画素領域1Cの外周に沿う方向における単位長さ当たりの界面距離を単位界面距離としたときに、第2トラップ部102における単位界面距離を第1トラップ部101における単位界面距離よりも大きくする方法である。この方法では、第2トラップ部102の単位界面距離を大きくしているため、第2トラップ部102の電界の密度が大きくなり、不純物のトラップ能力が高くなる。
【0082】
単位界面距離を大きくする方法としては、例えば図8のように、1本の第1電極99bに対して複数本の細長い第2電極100bを対向配置する方法が挙げられる。図8の例では、第2トラップ部102における界面距離は、複数本分の第2電極100bの界面距離の合計値として算出され、単位界面距離は、その合計値を画素領域1Cの外周に沿う方向の第1電極99bの長さで除算して算出される。第1トラップ部101における界面距離は、第2電極100aが1本であるので、1本分の第2電極100aの界面距離となり、単位界面距離は、その1本分の界面距離を画素領域1Cの外周に沿う方向の第1電極100aの長さで除算して算出される。
【0083】
本実施形態の液晶装置7によれば、不純物の集積し易さに応じてトラップ部103のトラップ能力を領域毎に異ならせているため、画素領域1Cへの不純物の侵入をよりよく防止することができる。
【0084】
本実施形態の液晶装置7では、第2トラップ部102の単位界面距離を大きくするために、1本の第1電極99bに対して複数本の第2電極100bを対向配置した。しかし、単位界面距離を大きくする方法は、これに限らず、図6(c)ないし図6(f)に示した方法を用いてもよい。
【0085】
[第8実施形態]
図9(a)は、第8実施形態の液晶装置8に備えられるシール材51の角部近傍のトラップ部106の構成を示す拡大平面図であり、図9(b)は図9(a)のA−A′線に沿う断面図である。図9において第1実施形態の液晶装置1と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0086】
液晶装置8において第1実施形態の液晶装置1と異なる点は、トラップ部106を不純物のトラップ能力の異なる複数のトラップ部(第1トラップ部107,第2トラップ部108)によって構成し、シール材51の直線部(角部以外の部分;第1封止領域)よりも不純物の集積しやすいシール材51の角部(第2封止領域)と対向する位置に、不純物のトラップ能力の高い第2トラップ部108を配置した点である。
【0087】
第2トラップ部108では、第1トラップ部107よりも不純物のトラップ能力を高めるために、第2トラップ部108の絶縁膜109bの厚みを第1トラップ部107の絶縁膜109aの厚みよりも小さくしている。絶縁膜109の厚みを領域毎に異ならせる方法としては、エッチングやハーフ露光などの公知の方法を用いることができる。この方法では、第2トラップ部108における第1電極104と第2電極105との間の距離が小さくなるので、第2トラップ部108において大きな電界が発生し、不純物のトラップ能力が高くなる。
【0088】
本実施形態の液晶装置8によれば、不純物の集積し易さに応じてトラップ部106のトラップ能力を領域毎に異ならせているため、画素領域1Cへの不純物の侵入をよりよく防止することができる。
【0089】
[第9実施形態]
図10(a)は、第9実施形態の液晶装置9に備えられるシール材51の角部近傍のトラップ部112の構成を示す拡大平面図であり、図10(b)は図10(a)のB−B′線に沿う断面図である。図10において第1実施形態の液晶装置1と共通の構成要素については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0090】
液晶装置9において第1実施形態の液晶装置1と異なる点は、トラップ部112を不純物のトラップ能力の異なる複数のトラップ部(第1トラップ部113,第2トラップ部114)によって構成し、シール材51の直線部(角部以外の部分;第1封止領域)よりも不純物の溶出しやすいシール材51の角部(第2封止領域)と対向する位置に、不純物のトラップ能力の高い第2トラップ部114を配置した点である。
【0091】
第2トラップ部114では、第1トラップ部113よりも不純物のトラップ能力を高めるために、第2トラップ部114の絶縁膜115bの誘電率を第1トラップ部113の絶縁膜115aの誘電率よりも大きくしている。絶縁膜115の誘電率を領域毎に異ならせる方法としては、例えば、絶縁膜115の材料を領域毎に異ならせる方法がとられる。図10の例では、第1トラップ部113の絶縁膜115aはSiOxで形成され、第2トラップ部114の絶縁膜115bはSiNxやTaOxで形成されている。この方法では、第2トラップ部114の絶縁膜115bの誘電率を大きくしているので、第2トラップ部114の電界の密度が大きくなり、不純物のトラップ能力が高くなる。
【0092】
本実施形態の液晶装置9によれば、不純物の集積し易さに応じてトラップ部112のトラップ能力を領域毎に異ならせているため、画素領域1Cへの不純物の侵入をよりよく防止することができる。
【0093】
[電子機器]
図11は、上記実施形態の液晶装置を備えた電子機器の一例を示す図である。図11の電子機器は、上述した液晶装置を3個用意し、夫々RGB用の液晶装置962R、962Gおよび962Bとして用いたプロジェクター1100である。
【0094】
プロジェクター1100の光学系には、光源装置920と、均一照明光学系923が採用されている。プロジェクター1100は、この均一照明光学系923から出射される光束Wを赤(R)、緑(G)、青(B)に分離する色分離手段としての色分離光学系924と、各色光束R、G、Bを変調する変調手段としての3つのライトバルブ925R、925G、925Bと、変調された後の色光束を再合成する色合成手段としての色合成プリズム910と、合成された光束を投射面SCRの表面に拡大投射する投射手段としての投射レンズユニット906を備えている。また、青色光束Bを対応するライトバルブ925Bに導く導光系927をも備えている。
【0095】
均一照明光学系923は、2つのレンズ板921、922と反射ミラー931を備えており、反射ミラー931を挟んで2つのレンズ板921、922が直交する状態に配置されている。均一照明光学系923の2つのレンズ板921、922は、それぞれマトリクス状に配置された複数の矩形レンズを備えている。光源装置920から出射された光束は、第1のレンズ板921の矩形レンズによって複数の部分光束に分割される。そして、これらの部分光束は、第2のレンズ板922の矩形レンズによって3つのライトバルブ925R、925G、925B付近で重畳される。したがって、均一照明光学系923を用いることにより、光源装置920が出射光束の断面内で不均一な照度分布を有している場合でも、3つのライトバルブ925R、925G、925Bを均一な照明光で照明することが可能となる。
【0096】
各色分離光学系924は、青緑反射ダイクロイックミラー941と、緑反射ダイクロイックミラー942と、反射ミラー943から構成される。まず、青緑反射ダイクロイックミラー941において、光束Wに含まれている青色光束Bおよび緑色光束Gが直角に反射され、緑反射ダイクロイックミラー942の側に向かう。赤色光束Rはこのミラー941を通過して、後方の反射ミラー943で直角に反射されて、赤色光束Rの出射部944から色合成プリズム910の側に出射される。次に、緑反射ダイクロイックミラー942において、青緑反射ダイクロイックミラー941において反射された青色、緑色光束B、Gのうち、緑色光束Gのみが直角に反射されて、緑色光束Gの出射部945から色合成光学系の側に出射される。緑反射ダイクロイックミラー942を通過した青色光束Bは、青色光束Bの出射部946から導光系927の側に出射される。本例では、均一照明光学素子の光束Wの出射部から、色分離光学系924における各色光束の出射部944、945、946までの距離がほぼ等しくなるように設定されている。
【0097】
色分離光学系924の赤色、緑色光束R、Gの出射部944、945の出射側には、それぞれ集光レンズ951、952が配置されている。したがって、各出射部から出射した赤色、緑色光束R、Gは、これらの集光レンズ951、952に入射して平行化される。このように平行化された赤色、緑色光束R、Gは、ライトバルブ925R、925Gに入射して変調され、各色光に対応した画像情報が付加される。すなわち、これらの液晶装置は、図示しない駆動手段によって画像情報に応じてスイッチング制御されて、これにより、ここを通過する各色光の変調が行われる。一方、青色光束Bは、導光系927を介して対応するライトバルブ925Bに導かれ、ここにおいて、同様に画像情報に応じて変調が施される。なお、本例のライトバルブ925R、925G、925Bは、それぞれさらに入射側偏光手段960R、960G、960Bと、出射側偏光手段961R、961G、961Bと、これらの間に配置された液晶装置962R、962G、962Bとからなる液晶ライトバルブである。
【0098】
導光系927は、青色光束Bの出射部946の出射側に配置した集光レンズ954と、入射側反射ミラー971と、出射側反射ミラー972と、これらの反射ミラーの間に配置した中間レンズ973と、ライトバルブ925Bの手前側に配置した集光レンズ953とから構成されている。集光レンズ954から出射された青色光束Bは、導光系927を介して液晶装置962Bに導かれて変調される。各色光束の光路長、すなわち、光束Wの出射部から各液晶装置962R、962G、962Bまでの距離は青色光束Bが最も長くなり、したがって、青色光束の光量損失が最も多くなる。しかし、導光系927を介在させることにより、光量損失を抑制することができる。各ライトバルブ925R、925G、925Bを通って変調された各色光束R、G、Bは、色合成プリズム910に入射され、ここで合成される。そして、この色合成プリズム910によって合成された光が投射レンズユニット906を介して所定の位置にある投射面SCRの表面に拡大投射されるようになっている。
【0099】
プロジェクター1100において、液晶装置962R、962G、962Bは、上述した実施形態の構成を備えたものである。そのため、液晶層中の不純物を効率的にトラップすることができ、焼きつきの生じにくい表示品位に優れたプロジェクター1100となる。
【0100】
なお、上記実施形態では、画素電極と共通電極をITOなどの透明導電膜で形成した透過型の液晶装置について説明した。しかし、画素電極を反射材料とした反射型の液晶装置に本発明を適用してもよく、この場合、プロジェクター1100も反射型のプロジェクターとなる。
【符号の説明】
【0101】
1…液晶装置、1C…画素領域、2,3,4,5,6,7,8,9…液晶装置、10…TFTアレイ基板(第1基板)、11…配線、12…絶縁膜、13…画素電極、14…配向膜、15…パッシベーション膜、20…対向基板(第2基板)、50…液晶層、51…シール材、60,60a,60b…トラップ部、61,61a,61b…第1電極、62,62a,62b…第2電極、65a,65b…第1電極、66a,66b…第2電極、67…第1トラップ部、68…第2トラップ部、69…トラップ部、71a,71b…第1電極、72a,72b…第2電極、73…第1トラップ部、74…第2トラップ部、75…トラップ部、76…第1電極、77…第2電極、78…トラップ部、79…第1電極、80…第2電極、81…トラップ部、82…第1電極、83…第2電極、84…トラップ部、85…第1電極、86…第2電極、86a…本線部、86b…分岐部、87…トラップ部、88…第1電極、89…第2電極、89a…枠体部、89b…階段部、90…トラップ部、91…第1電極、92…第2電極、92a…環状部、92b…接続部、93…トラップ部、94a,94b…第1電極、95a,95b…第2電極、96…第1トラップ部、97…第2トラップ部、98…トラップ部、99a,99b…第1電極、100a,100b…第2電極、101…第1トラップ部、102…第2トラップ部、103…トラップ部、104…第1電極、105…第2電極、106…トラップ部、107…第1トラップ部、108…第2トラップ部、109,109a,109b…絶縁膜、110…第1電極、111…第2電極、112…トラップ部、113…第1トラップ部、114…第2トラップ部、115、115a,115b…絶縁膜、1100…プロジェクター(電子機器)、PX1,PX2…画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板と対向配置された第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に挟持された液晶層と、
前記液晶層の周囲を囲み、前記第1基板と前記第2基板とを貼り合せるシール材と、
前記シール材に囲まれた領域に設けられ複数の画素を有する画素領域と、
前記画素領域と前記シール材との間に配置されたトラップ部と、を備え、
前記トラップ部は、前記第1基板に形成された第1電極と、前記第1電極の前記液晶層側において平面視した状態で前記第1電極の一部が露出されるように前記第1電極と重畳して形成された第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に形成された絶縁膜と、を有しており、前記第1電極と前記第2電極との間に発生する電界によって前記液晶層中の不純物をトラップする液晶装置。
【請求項2】
前記画素の駆動方式は、FFS(Frings Field. Switching)方式以外の駆動方式である請求項1に記載の液晶装置。
【請求項3】
前記トラップ部は、前記画素領域を囲むように配置されている請求項1又は2に記載の液晶装置。
【請求項4】
前記トラップ部は、前記画素領域の外周に沿って閉じた枠状に形成されている請求項3に記載の液晶装置。
【請求項5】
前記トラップ部は、前記画素領域の外周に沿って複数に分割して形成されている請求項3に記載の液晶装置。
【請求項6】
前記シール材は、第1シール領域と、前記第1シール領域よりも不純物が溶出或いは集積し易い第2シール領域と、を含み、
前記トラップ部は、前記第1シール領域と対向する位置に設けられた第1トラップ部と、前記第2シール領域と対向する位置に設けられ、前記第1トラップ部よりも不純物をトラップする能力の高い第2トラップ部と、を含む請求項3〜5のいずれか1項に記載の液晶装置。
【請求項7】
前記画素領域の外周に沿う方向と直交する方向における前記第1電極の幅をトラップ部の幅とすると、前記第2トラップ部の幅は前記第1トラップ部の幅よりも大きい請求項6に記載の液晶装置。
【請求項8】
前記第1電極と対向する前記第2電極の縁の長さを界面距離とし、前記画素領域の外周に沿う方向における単位長さ当たりの界面距離を単位界面距離とすると、前記第2トラップ部における単位界面距離は前記第1トラップ部における単位界面距離よりも大きい請求項6に記載の液晶装置。
【請求項9】
前記第2トラップ部では、1本の前記第1電極に対して複数本の前記第2電極が対向配置されている請求項8に記載の液晶装置。
【請求項10】
前記第2トラップ部では、1本の前記第1電極に対して1本の前記第2電極が蛇行して対向配置されている請求項8に記載の液晶装置。
【請求項11】
前記第2トラップ部では、前記第2電極が、矩形枠状の枠体部と該枠体部に接続された複数の階段部とを有する梯子状に形成されている請求項8に記載の液晶装置。
【請求項12】
前記第2トラップ部では、前記第2電極が、ストライプ状の本線部と該本線部から分岐した複数の分岐部とを備えた形状に形成されている請求項8に記載の液晶装置。
【請求項13】
前記第2トラップ部では、前記第2電極が、複数の環状部と該複数の環状部を接続する接続部とを備えた形状に形成されている請求項8に記載の液晶装置。
【請求項14】
前記第2トラップ部の前記絶縁膜の厚みは、前記第1トラップ部の前記絶縁膜の厚みよりも小さい請求項6に記載の液晶装置。
【請求項15】
前記第2トラップ部の前記絶縁膜の誘電率は、前記第1トラップ部の前記絶縁膜の誘電率よりも大きい請求項6に記載の液晶装置。
【請求項16】
前記第1基板には、前記画素毎に設けられた画素電極と、前記画素電極と接続された配線と、が設けられ、前記画素電極と前記配線とが前記絶縁膜によって絶縁されている請求項1〜15のいずれか1項に記載の液晶装置。
【請求項17】
前記第1基板には、前記画素毎に設けられた画素電極と、前記画素電極を覆う前記絶縁膜と、前記絶縁膜を覆う配向膜と、が設けられている請求項1〜15のいずれか1項に記載の液晶装置。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に記載の液晶装置を備えている電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−203235(P2012−203235A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68216(P2011−68216)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】